○滝井
委員 今
柳田、岡両
委員からいろいろ御質問がありましたので、重複する点を省略して、簡単に二、三の点を御質問いたしたいと思いますが、問題はやはりパーセントの問題だと思うのです。輸入病変米の措置に関する
覚書によれば、含有率が〇・三%未満のものは
配給日数に制限がない。〇・三%以上のものについては、〇・三%から一%が五日、一%から一・六%が三日、一・六%から二・五%が一日、こういうことにな
つておるわけですが、問題はこのパーセントの
意味するものだと思うのです。たとえばきよう
検査をいたしましてこれが〇・三%以下だ、
従つてこれは無制限に何日も
配給していいわけだが、一応現在の
外米の
配給基準というものは、たとえば私たち福岡の
状態を見ると七、三、五で、七日炉内地米、三日が準内地米、五日が
外米、結局〇・三%のものならば五日、
外米のわくに入
つて配給されることになるわけです。ところが問題は、きよう
検査をして〇・三%であ
つても、これがいよいよ
配給のルートに乗
つてわれわれの家庭に入
つて来るまでには一箇月以上はかか
つて来るわけです。優に一箇月、へますると二箇月も三箇月もかかる。問題は、どうもあなた方の議論を聞いておりますと、菌というものは、これはきよう
検査したならばそれからふえもしなければ、そのまま固定しているような
考えで議論を進められておる、そういうような感じがする。ところが菌というものは生きている、微生物ですから。
従つて問題はここを
考えなければならない点だと思うのです。三%のものを人に
実験をしてみて、これはもう〇・三%の十倍の率を見ているのだから大丈夫だという、こういう
考え方で、ちよつと聞くところはきわめて
科学的なんですが、もつと掘り下げて
考えて行くと、きわめて非
科学的だ。なぜならば今申すように菌は生きておるからです。そこでこれは私はもつと深刻に検討をしてもらわなければならぬと思う。ちよつと
考えたところを述べてみますと、ビルマで入れるときには口で見て一%以上を入れて来ても、一%といえば百粒の中へ一粒まじ
つているということになりますと、一粒の表面だけが侵されておつた場合と、全部しんまで侵されておつた場合とは、その中に含まれるところの毒素の率は違
つておる。だからそれはなるほど百の中の一粒であ
つて一%かもしれませんけれ
ども、これは表面だけ侵された場合の一粒の一%と全部侵された、いわゆるつかめばぼろぼろとくずになるような一粒とは非常に毒素が違う。こういう場合が
一つ。いま
一つは、
黄変米には、これは
食品衛生課から出ているのにもありますが、ミヤケ
黄変米とタイ
黄変米とイスランデイア
黄変米がある。ところがこれらの三種の
黄変米が全部
毒性が違
つているわけです。だからあなた方の方でこれは
黄変米だと見ても、これが大体どの
黄変米であるかということによ
つて違う。たとえばミヤケ
黄変米は主として
肝臓や中枢神経に働く。タイ
黄変米は腎臓に働く。それからイスランデイア
黄変米は
肝臓に働く。全部これはそれぞれ働く
肝臓器に違いがある。しかもそれがたとえば白ねずみなら白ねずみに
実験した場合のその量がどういう量に持
つて行つたら致命的なあれを与えるかということは、これはその種類によ
つて私は違うと思う。こういうような違いがあることと、それから
検査の後における貯蔵の
状態によ
つてこれはまた違
つて来る。たとえば米にかびがはえるということもいろいろ
学者が
実験しておるようでございますが、大体米に水分が一四・五%に
なつたときにかびがはえる。そのときの空中の
湿度は七五%、しかも
温度は三十度前後が一番かびがはえやすい要素だということなんです。そうすると最近の日本のようにむし暑くて
湿度が高いというような情勢のもとで、
温度がちようど三十二、三度——倉庫あたりはそういう
状態だということになりますと、これはきよう
検査してそれが〇・三%であ
つても、二箇月の後においては一%以上にな
つている
可能性は十分にあるわけなんです。あるいは今度は、これはいつかどこかで中毒があつたと思うのですが、飯をたいてすぐに食えばいいのだが、その
黄変米をたいてからしばらくして食つた。そのために
黄変米の中毒が起つたという例があるはずです。これは
新聞にも発表されておつた。あるいはこれはさいぜん
柳田さんもるる述べておられましたが、個人的な差によ
つて、老人が食べたりあるいは青年が食べたり、子供が食べたりということによ
つて違
つて来る。こういうように今日現在において、これは
黄変米だが大丈夫だとあなた方が烙印を押したものが、いよいよ
配給ルートに乗
つてわれわれの方に入
つて来たときに、すでにこれが〇・三%を越えておつたという事態が起る
可能性が十分あるということなんです。私はやはり
黄変米の問題は、これは現実に入
つておる。何ぼ入
つておるか知りませんが、いつかの
新聞で前谷さんの座談会か何かの記事をちよつと私見たことがあるのです。これは真偽のほどは
新聞ですからわかりませんが、今年の輸入計画は百五十万トン、現在百三十万トン
程度外米が入つた。そのうちの
黄変菌のおそれのあるものは八十ないし九十万トンだというような
新聞記事を見たことがあるのです。これはおそれのあるものだということですからはつきりはしないでしようが、とにかくおそれのあるものが相当あることは確実らしいのです。そうするとビルマで
検査したときは一%以下であつたものが内地に入
つて来ると相当のものにな
つている。こういういろいろな要素を
考えると、パーセントというものが、
大臣はきわめて
科学的だと言わつしやつたけれ
ども、今私に言つたことから見れば、今日現在
科学的であ
つても、いよいよ
配給に
なつたときに、菌は生きものであるところに必ずしも
科学的でなくなる要素が出て来るということです。これに対する解明をはつきりとしていただく必要がある。これの解明ができなければ、吉田政府に対する不信以外には
国民は
黄変米に対してはそう大した問題はない。問題はやはり吉田内閣の不信に対する現われが
黄変米の問題に形をかえているところに問題がある。これはやはり政治が貧困であるところに
黄変米の問題が出て来ている。だからもつと
科学的に今
言つたような点の御解明をしていただきたいと思います。