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1954-08-11 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十一日(水曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 松永 佛骨君    理事 古屋 菊男君 理事 長谷川 保君    理事 岡  良一君       越智  茂君    助川 良平君       寺島隆太郎君    安井 大吉君       滝井 義高君    萩元たけ子君       柳田 秀一君    杉山元治郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君  委員外出席者         厚生政務次官  淺香 忠雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         食糧庁長官   前谷 重夫君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ————————————— 六月七日  委員中野四郎辞任につき、その補欠として重  光葵君が議長指名委員に選任された。 七月六日  委員津雲國利辞任につき、その補欠として高  橋等君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月三日  水道法案只野直三郎君提出、衆法第三五号)  公衆衛生医療制度社会保障及び婦人・児童  保護に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  食品衛生に関する件     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず参考人選定の件についてお諮りいたします。本委員会は本十一日、十二日、十三日の三日間委員会を開会し、食品衛生に関する件その他について調査を進める予定でありますが、先刻の理事会におきまして、明日の委員会参考人として、京都大学医学部教授井上硬君、東京大学医学部助教授浦口健二君、国立衛生試験所薬理試験部長池田良雄君、食糧研究所醗酵化学研究室長角田廣君、以上四君に御出席願いまして意見を求めるべきであると決定いたしたのでありますが、理事会の決定通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認めましてそのように決しました。     —————————————
  4. 小島徹三

    小島委員長 次に食品衛生に関する件について発言の通告がありますので、順次これを許可いたします。柳田秀一君。
  5. 柳田秀一

    柳田委員 問題になつております黄変米配給の件でありますが、まず厚生大臣にお尋ねいたします。厚生大臣は先般、三月六日ですか、婦人議員大臣に面会を求めたときも、あるいは昨日の参議院の委員会においても、現在の厚生省基準では無害だと確信するというふうに御答弁になつておりますが、それには間違いございませんか。
  6. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実は先般農林厚生両次官で、従来の黄変米に対する取扱い基準を改訂いたしました。従来は肉眼で一%程度のものはこれを許可いたすという方針で覚書をとりかわしておつたのでありますが、その後いろいろ研究の結果、肉眼でわかりまする黄変いたしました米以外の白色の米の中にも、いわゆる黄変菌があることがわかりましたので、今回の基準にいたしてとりきめをいたした次第でございます。従つて現在の状態におきましては、この基準というのが、黄変米取扱いについては基礎になつて参るのでございます。従来一%程度のものは、普通の状態において配給することにさしつかえないといたしておりましたのを、一%程度のものは月に五日以内、二・五%のものは月に一日というのを一つ限度にいたした次第であります。そういう次第で決定いたしたのでございますが、この決定につきましては、いろいろ調査研究の結果現在知り得る最上の方法をもつて検討をし、さらにこれには相当の安全率を認めておりますから、現在の基準においてはこれでしかるべきものだと存じております。
  7. 柳田秀一

    柳田委員 絶対無害だと確信すると言つておられるのですが、確信するとよほどの信念を持つてお答えになつておるようでありますが、それには厚生省の独自のお考えでなしに、あまねく学界意見等も参酌せられまして、科学的根拠の上で絶対無害だということを確信されておりますかどうか、その点を結論的にお伺いします。
  8. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これはいろいろ学者の方でも研究をされておりますが、それらの研究等十分参考にいたしまして、その総合的結果から判断いたしました結論としての基準といたした次第であります。
  9. 柳田秀一

    柳田委員 明日学界からも参考人を呼ぶことになつておりますが、今大臣の言われたように、学界等においても、今の厚生大臣の言を裏書きするように、今の配給基準ならば絶対無害学界も確信しておるという矛うに厚生大臣も確信されておりますかどうか。
  10. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実は黄変米科学的研究というのは、まだ実際のところ、研究結論には到達しておらないと思います。まだ研究中である。従いまして、現在の段階においてと私申し上げましたが、今後の研究の結果、これがさらにもつとやわらげていいとか、あるいはもつと厳格にすべき状態実験の結果出て参りますと、この基準は、前年結びましたのを今回かえましたのもその結果かえたのでありますが、そういう意味におきまして、今後変更することにはもちろんやぶさかではございません。
  11. 柳田秀一

    柳田委員 そうしますと、現在の段階においてという前置詞がついておりますが、その裏を返しますと、現在の段階においては厚生資当局としては無害であると信じておるが、将来の研究の結果、現在の段階においてのこの無害が有害になり得ることもある。あるいは厚生省の今のわくをさらにもう少し、ゆるやかにしても、無害であるという逆のこともあるかもしれない。あるいは今の一%の配給でも有害であるという結論になるかもしれない。これは現在の段階ではわからない。それではわからないままに国民配給するということを厚生省がきめられた、さように解釈してよろしゆうございますか。
  12. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは学問的に、あるいは理論的に参りますと、柳田さんのお話のようなことが考えられると思います。また私どももそれを考えながらいたして参つたのでありますから、従つて今後研究の結果、あるいはもつと基準を高めねばならないという状態になるかもしれません。そこで理論的な基準から、相当安全率の倍数を大幅に持つて、その間の操作をいたすことが妥当であるというので、二・五%の一日というのは、現在の研究の結果、もつとゆるやかにやれるけれども安全率をうんと加えた数にいたしております。実際の今後の研究の結果は、具体的には従来の結果等と比較いたしまして、もちろんかわると思います。かわると思いますが、そのかわる度合いを相当大幅に現在は見ながら、かわり得る可能性を見ながらいたしておるような次第であります。
  13. 柳田秀一

    柳田委員 大体安全率を十倍と見ておられますが、その十倍という根拠科学的に出たものでありますか、それとも政治的な含みから出たものでありますか、概念的に十倍というような数を出されたのですか、その根拠をひとつ伺いたい。
  14. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実はこれは政治的にいたしておりませんで、科学的でございますので、環境衛生部長からその数字の墓礎を御説明申上げます。
  15. 柳田秀一

    柳田委員 その十倍の安全率そのものが少しくおかしいじやないかと私は思いますが、環境衛生部長の御答弁あとにしまして、先に厚生大臣にお尋ねしておきます。  こういうふうな八千五百万国民主食の非常に重大な問題であります。従つてこれを配給する、配給せぬ、これはひとり環境衛生部長の問題を離れて、厚生大臣とし、国務大臣とし、非常に重要な責任ある御処分だと思いますから、なるべく厚生大臣責任を持つてお答え願いたいのですが、先ほどの答弁でも、現在の段階においてはあるいは無害と思うが将来のことはわからぬ、これをひつくり返して言うと、無害がさらにもう少しく安全率が多くなる場合があるし、無害の場合が研究の結果有害の場合もあるし、それをしも押し切つて、まだ結論も出ておらないのにこれを配給されようとした。しかもそれがたまたま国会休会中になされたことに、一応私はひがみかもしれませんが、疑問を持つのであります。とにかく今の自由覧政府国会軽視の風潮があることは吉田さんから今の閣僚諸公に大分及んでおるようですが、何ゆえ二十六年ころからこういうふうに重大な問題になつておるものを、時たまたま国会休会中に唐突として出されましたか、その真意をひとつ承りたい。
  16. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実は従来の基準でそのまま押して参りますと、先ほど申し上げましたように肉眼視一%というのが従来の配給なり輸入なりの基準といたしておつたのであります。しかしその後調査研究あるいは動物実験その他の科学的な根拠によりまする検査の結果は、白色米にもいわゆる黄変菌というのを含んでおるということが結論づけられて参つたのでありますから、従つてこれを従来の基準において配給することはいけないというので、その結論を急いで出さなければならない状態に相なつてつたのであります。そこでその結論を、基準をどの線で引くかというのを学問的な立場も総合して検討し、根本的にはこの試験実験の結果を中心にいたしましていたしたのであります。決して国会休会中を目当てにしたというような考え方は毛頭ないのであります。むしろ従来の基準を早くかえて、早く安全な方法配給なり基準なりというものが最も急がれたのでありますから、研究を急がしておつたのでありますが、両省の間においての学問的な研究中心といたしました基準結論による覚書というのができましたので、それによつていたすことにいたしたのであります。そういう意味でありますから、国会の問題あるいは国会の開会、閉会中というような政治的な意味は私どもは少しも持たず、純国民の健康と言う立場から取上げて参つたものであります。
  17. 柳田秀一

    柳田委員 新聞に出ております報道を見ても、配給するのは厚生大臣じやなしに農林大臣だ、農林大臣の方に聞いてみると、厚生省基準範囲内で配給するんだ。但しいましばらく状況を見るらしいようなことが出ております炉、それじや厚生大臣としては、こういうような厚生省のお考え安全基準で出しておられるのだから、農林大臣の方で職種で配給されれば別に厚生大臣の方には発言権もなければ、もう一人で厚生大臣はしかるべく自分の権限においてやつた、国民配給されても、厚生大臣としてはそれで当然だというふうにお考えになつておりますかどうですか。
  18. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 この黄変米基準というのは、これ以上は配給してはいけない、食品衛生上、国民健康保持上これ以上はいけないという一つ限度を示したのであります。従つてその限度を守りながらその限度内において配給するということは、これは米の操作上妥当な方法においてなされまするならばさしつかえないと思います。
  19. 柳田秀一

    柳田委員 もとより私が質問しているのも厚生省限度内のことでありますが、今の米の操作限度内にやられることはやむを得ぬ、あるいは妥当だ、そういうふうに米の操作上の政治的の考慮の上でこれはなさるべきもの、そういうふううに大臣はお考えになつているのですか。少くとも国民に有毒なものを与えぬという意味においても、なお基準以内ならば有毒でないという厚生当局の確信あるデータに基いて厚生大臣としては配給をしてもさしつかえないと言われるのか、政治的考慮に基いて配給いたしかたないと言われるのかどちらですか。
  20. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは政治的な考慮は全然ございません。先ほど申し上げましたように、調査研究の結果、従来は一%の許容限度と申しますか、リミツトを置いておつたのでございますが、それでは先ほど申し上げましたいろいろ不適当なことがありますので、今度仕分けをして詳細にしかも相当厳格に従来よりも下まわつた線基準を設けたのでございます。従いましてこの基準以内においてなさることは食品衛生上私どもはさしつかえないと思います。ただそれは二・五%は一日配給しなければならないというのではございません。二・一%のものは配給の場合には月に一日、従つてその実際の配給そのものはその配給内でありまするから、あるいは配給しないでもいい状態にありまするならば、もちろん配給しないでもさしつかえないことになるのでありまして、私ども基準というのはその許容限度を示したのであります。
  21. 柳田秀一

    柳田委員 たいへん暑いときでございますし、他に質問者もありますから、私も簡単に結論だけ申し上げますから、大臣も最後の結論だけひとつお答えを願いたい。答弁というものは結論的なことは避けてかやく的なものを多くして何を言つたかわからぬというのが名答弁であるというような従来の悪い習慣がありますから、簡潔に明瞭に御答弁願いたいと思います。  厚生大臣新聞を読んでおられるものと思いますが、今の厚生省のきめられた基進度内においても相当議論があることは承知されているかどうか、その点だけお伺いしたい。
  22. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 承知しております。
  23. 柳田秀一

    柳田委員 しからば承知されておつて学界においても異論のあるものをなおかつ厚生大臣としてやはり基準以内ならば配給して行くというお考えですか、これも結論だけをお伺いしたい。
  24. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 承知いたしておりますが、これはたいへん国民に一種の不安を与える。その不安を与えているのを除去する方法は、万全の方法をとつて行くべきものだと考えます。
  25. 柳田秀一

    柳田委員 万全の方法というのは、これは通り言葉になつておりますが、万全の方法を具体的に申すとどういうものがありますか。万全の方法を大体具体化すればどういうこととどういうこととどういうことである。しかも万全の方法を具体化して、その具体化した方法がただ厚生省は一方的に具体化したと思つているが、国民大衆に納得行かなかつたら何にもならない。国民大衆が納得するだろうという確信のもとの万全の方法とはいかなるものか、お伺いしたい。
  26. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これはいろいろな方法があると思いますが、ただ具体的に申し上げますと、学問的な基準というのが基礎である。それを国民によく理解していただくことを徹底するようにいたして参りたい。あるいはその徹底の仕方が当初において不十分であつたから、なお一層心配を与えたという面が多少ありはしないかと存じております。
  27. 柳田秀一

    柳田委員 今万全の方法のうちのただ一点だけ、その一点とは学界において結論的なものを得たいとのお考えであります。これは結論としては最も重要な結論でありますが、それだけが万全の方法とは思いません。しかし最も重要な万全の方法ですが、それならばもしも学界において今の厚生省安全基準度というものをひつくり返して、これは不安全だということになつたときには、厚生大臣責任は非常に重大です。それならば厚生大臣が出された以上は、農林大臣がかつてにやつていいんだからというような万全の方法をとられる以上は、厚生大臣農林大臣ちよつと待つたという掛声をかけられるのが私は最も当然だと思いますが、これに対してはどういうふうにお考えですか。
  28. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 私が万全の方法というのは、徹底せしむるための方法としていろいろな方法をとつて行かなければならぬ。現在の基準において私どもは、厚生省側農林省がとりきめました覚書基準という案いろいろ安全度安全率等考えておりますから、これでさしつかえないし、これでいわゆる危険率はない、こういう考えのもとにやつておりますから、従つてかりに科学的なあらゆる面からの結論が出まして、これをかえるという段階になりますと、これはかえるのにやぶさかではございませんけれども、しかし現在の段階におきましては十分な安全率を見ておりますので、この健康上の危険、健康上の毒性というものは全然ないと考えております。
  29. 柳田秀一

    柳田委員 問題はそこなんです。厚生省主観で事を決定されては困る。学界結論的なものが今の安全度では不安全だという結論なつたときにはどう責任をとられるかと言うのです。しかし現在では厚生省ではこれは安全だと思うという単なる主観なんです。学者の方でこれに異論があることは厚生大臣新聞を読んで知つておられると言われる。だからまだ客観的になつていない。世の定説になつていない。厚生省だけがそう考えている。この場合にもし不安全だということになつたときにどう責任をとられるかと言うのです。
  30. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは厚生省主観的な立場だけではございません。厚生省のそれぞれの機関を通じまして実際の研究をやり、また学者間においてもいろいろ御意見がありますことも承知しておりますが、これまたこれによつて大丈夫だという結論は全然現在は出ておらないと存じます。こういう意味におきまして今後の研究、学問の進歩につれて、あるいは詳細なるデータが出て来ることもあると思う。しかしそういうことも相当私ども考慮に入れまして、従つて安全率というものをここに倍加加算いたしている次第であります。そういうのでございますから昨年来の取扱い基準をむしろ急いで改めて、そうして不徹底であつたのを一層徹底せしむることがより母上好影響を来すというので今度の方法とつた次第でございます。
  31. 柳田秀一

    柳田委員 そこは厚生省考え方はわからぬじやないのです。ただ今厚生省のあらゆる機関をと言われましたが、食品衛生法の第二十五条に「食品衛生に関する重要事項調査審議させるため、厚生大臣の監督に属する食品衛生調査会を置く。」ということになつておりまするが、この衛生調査会にこれはお諮りになりましたか、なりませんか。
  32. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これらの点につきましてはあと環境衛生部長からお答え申し上げます。
  33. 柳田秀一

    柳田委員 大臣がそういうようなことを言われるとは私は予想しなかつた。このような国民全体の保健衛生に関する重要な問題、しかもそのために厚生大臣に属した諮問機関として、食品衛生法が明記している重要なる食品衛生に関するかくかくの諮問機関にかけろということになつておりますが、それにかけたかかけぬかということさえこれを直接に御答弁にならぬというのは、厚生大臣として責任をおとりになるのか、すべてを属僚に転嫁されるのか、どちらなんですか。
  34. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実は黄変米基準については従来ともただいま御指摘の委員会には付託研究あるいは諮問をいたしておらなかつたのであります。従つて今回の基準は従来以上にこまかくし従来以上に小さくいたしました、そういう意味において委員会には諮問をせずに決定いたしたと存じます。
  35. 柳田秀一

    柳田委員 このような重要な事項を法律に基いたその機関にも諮らなかつた。しかも今の御答弁では厚生省のあらゆる機関にはなかつた、こういうような御答弁だ。これは明らかに厚生大臣として職務怠慢だと思いますが、こういう重要な主食に関する、何をおいてもやらなければならぬ重要なことをこの諮問機関に諮らなかつたということは、それでもなお職務怠慢でないとお考えになつておりますか。
  36. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 職務怠慢。怠慢でないということは別論といたしまして、従来ただいま申し上げましたような姿で一%を許容いたして参つたのでありますが、一%では私ども不安であり、なお実験の結果は妥当ではないというので、それをさらにこまかくし、下げて参つた次第でございます。従来よりむしろ増すという態度でありますと、  これらの点については一層さまざまな方法を必要とするかも存じませんが、そういう意味においていたしましたから、このとりきめにあたつての処置は特別に怠慢であるとも考えておらないような次第であります。
  37. 柳田秀一

    柳田委員 言葉言葉といたしましても、ここに大きな問題は残つておるのであります。それから問題は現段階においてということですが、最初に肉眼で大体見ただけ、それが肉眼ではだめだということになつて培養になつて来た。培養をやつてみると、今度は白い米からもなお毒性がわかつて来る。こういうふうに漸次科学進歩につれて有毒物質検査進歩して来る。と同時に問題になりますのは、今お配り願つた食品衛生課からの病変米毒性試験抄によりますと。毒性を現わすのがきわめて早い。条件がよければ一昼夜で黄色米になるといつておる。黄色というのは色素である。この色素というものはやはり薗体から出した排泄物である。菌体が毒物を出す。排泄物を出す。これはほかの細菌でもあることです。そういうふうに一昼夜でも、条件がよいと、これは温度湿度に影響すると思いますが、一昼夜でも黄変するということは、それだけ菌体から色素を出しておる。菌体がある以上、毒素があるにきまつておる。そこで今の厚生省検査のような段階で、ある一定基準以内であつても、やはり温度湿度条件が菌にとつて都合がよい場合には、もう配給する場合には恐しい毒性になつておるかもしれない。あるいは厚生省基準度というものは、大体算術によつてつておるようでありますが、一プラス一が必ずしも二にならない場合があると思う。一プラス一が百になる場合もある。これは決して算術によつて割出せるものではない。そういうような面から考えても、私はただちに大臣が今、盲われたような言葉が、直接に基準安全度になるとは思わない。ただ問題はそういう意味で今後いよいよこういうように関心が深くなつて厚生省としてもそれぞれの学界なりに委託し、あるいは調査される。あるいは人体実験もわずかに健康な人間二人だけで済んでおりますが、肝臓というところは御承知のように健康人でも非常に毒に対する許容量の幅のあるものです。これは酒に強い弱いということも肝臓に影響されると言われるくらい幅が広いものです。肝臓が強い弱いは健康人でも差がある。あるいは病人に至つてはなおさらのこと、子供でも老人でもデータが違つて来る。そういうように今までの基礎になつておる資料というものは必ずしも万全でないと思う。また検査方法も十分でない。従つて段階においてはなるほど厚生省では、これは有毒でないと信じられておるかもしれませんが、今後さらにこれに対するところの学界研究が進むなり、あるいはこれに対する毒性検査方法が進むなりに従つて、現在の段階でも毒性はもつと強くなるかもしれない。あるいはそのときに検査した結果は無毒であつても、倉庫に一日でも二日でも置いてから配給されるときにはもつと強くなるかもしれない。こういう不安定、不確実きわまるものです。そういう不安定、不確実きわまるものを今の段階では、厚生省考えでは、まず今までのところ大丈夫だからといつて配給される。これでは国民は納得しない。国民が大きく騒ぐのも、事主食に関するからでありまして、私の住んでおります京都でも、この問題が起きてから非常にみんなが心配しまして、自分たち外米配給されたらみなそれぞれ米をずつとむしろの上に並べまして、目を皿のように光らせて黄色いお米はないかと一生懸命調べておる。これは八月六日の京都新聞に出ておるのですが、やはり外米配給されたある市民が、自分配給を受けたお米を約五十粒か、変色しておるといつて、すぐにこれを保健所に届けておる。こういうように不安は不安を呼んでおるのです。厚生大臣としては、万全の方法でこの不安の除去に努めると言われるが、万全の方法というのは具体的にどうかというと、今言つたように、もう少し学界結論をまちたいというのである。それではいつまでたつても不安は解消しない。しかも厚生大臣の方では安全基準度をきめられたのだから、この基準範囲内では農林大臣は自由にこれはやれます。ただ現在は問題になつておりますから、農林省の方では多少つき直しをするとかなんとか言つておりますが、やろうと思えばいつでもやれる。その後厚生省の方から、こういうふうに今の範囲内では大丈夫だという折紙もあつたから、農林省はやると厚生大臣責任を転嫁されておる。これだけの不安を国民に与えて、今度は科学的なものでなく、政治的なものとして、それでも厚生大臣政治的責任はないとおつしやるのかどうか。
  38. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは先ほどずつとお答えを申し上げましたように、従来の基準度では不適当であるということを発見いたしましたので、すみやかにこれをかえる必要を生じたわけであります。従つてそのかえる場合に、どういうかえようをするかというのが、今回のいわゆる基準の問題になつて参ると思います。そこでその基準を定める場合には、お話のように学問的な基礎というものが中心になつて参る。またことに柳田さんは御専門のように、身体によりましてはいろいろ影響の度合いが違つて来ると存じます。従つてそれらのことも総合しながら、今後の学問的な調査研究等も頭に入れた一つ基準度——ことに人体でございますから、あるいは幼少の人もあり、あるいは弱小の人もありますから、これらも考慮に入れて、安全率というものをそこに加えてやるという方法をいたしたのでございますから、さよう御了承をいただきたい。また私どももそういう意味において今回定めました基準というものは安全率だと考えておる次第であります。
  39. 柳田秀一

    柳田委員 私はこの前何の問題でしたか、産児制限で避妊ピンが有効かどうかを質問したとき、それは大体無害だと思うが、なおかつ学界で東大、慶応等の間においても学者意見が違うので、いましばらく結論を出すのは待つておると言われた。こういうようにやはり行政官庁としては一応無害だということがわかつても、そういうように学界意見が定まるまでは慎重な態度であるのはよくわかる。そういう点でははなはだ慎重であるが、この問題に関する限り、これほど学界異論があるにかかわらず、なおかつ配給する。しかも配給はするが、なお今後も研究して行きたい。さらに安全度についても現在はねずみしかやつておりませんが、猿にも、犬にも、人間にも将来はずつとやつて行きたい。これでは全然順序が逆になつておると私は思う。こういう主食の問題は特に重要なんですから、こういう問題こそ、今のところ厚生省としては大文夫と思うけれども、今の実験例ではねずみしかやつていない。さらに犬にもやつてみたい。あるいは人体実験も二例しかない。人体実験はそう簡単にはやれませんけれども、できるならばそれもやつてみたい。そういうことできめられるならば話はわかります。それを逆にやつておるから、現在こういうように私は追究しておるのです。これでは厚生大臣が何と弁明されようとも国民は納得行かない。現在の実験では無害だと信ずる、国民が納得するような万全な方策をとりたいと言われるから。その万全な方策を問うたら、学界結論をまちたいと言う。その学界結論は出ても、一般大衆にはのみ込めません。結論が出るまでにもひまがかかると思う。九月になると農林省はつき直しをして配給するかもしれない。そうするとここで問題になるのは、一点、二点と伺いますが、つき直しをしたならば、毒性が減るものかどうかということが第一点。それからそういうふうにして配給したときには、国民は非常な不安から、どの国民もおそらく食べぬと思いますが、そういうものを無理に、これは安全だというふうに納得さすためにどういう手があるか、学界意見の決定以外にどういう手があるか、ひとつ伺いたい。
  40. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 つき直しをして減る場合と減らぬ場合と、これは私専門ではございませんから、学問的には詳細には存じませんが、しかし減る場合と減らぬ場合とあり得ると思います。従つてつき直しをいたしまして、さらにこれを検査いたしまして、いわゆる基準の一%以下に減つておつたら、これはその基準によつてなし得ると思います。減つておらなんだらあるいはその量によつて他にまわすなり、主食からはずすなり、その基準によつていたすべきものだと考えております。  それからさらにいろいろ今後の万全な方法には、この基準のきめ方についての学問的な基礎というのが中心になつて来る。従つていくら学問的な基礎を置いても国民が信用しないじやないかということになりますと、これはその信用してもらう方法を十分検討する必要があると思いますが、しかしやはりこういう問題は学問的基礎あるいは実験基礎というものが中心になつて参りますので、そういう点においては大いに具体的に示す方法と、そうして示す方法によつての了解ということに努むべきものだと考えております。
  41. 柳田秀一

    柳田委員 私も学問のことはあまり知りませんが、こういうふうに国民全体の重大な関心事でありますから、厚生大臣もやはりある程度の常識的な学問的なことは当然研究されていると思いますが、食品衛生課からいただきましたこの試験抄でも、食糧研究所の角田さんですか、培養米を細粉としたものを飼料として白ねずみを飼育してもやはり毒性が出ているのです。従つて細粉としたものでも毒性があるのですから、つき直しをしてもやはり毒そのものが米の中に入つておるときはこれは減らぬと思うのですが、そういう点はどの程度つき直して減るものであるかどうか、農林省はつき直しをして配給するというので非常に重大になつている、そうなつて来るとつき直しをして、はたして農林省が期待しているように減つて来るものかどうか、見通しだけは厚生大臣直接当然お考えになつておると思います。
  42. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 ただいま申し上げましたように、つき直して減るものと減らぬ場合とあり得ると思います。実際にやつてみないと、またその米の品質等からも起つて来る問題であります。そこで実験をいたしまして、減つておるものは心配ない限度におきまして配給のルートに乗せ得ると存じます。そうでないものはこの基準によつてそれぞれの処置を講ずることと考えております。これはつき直しをした上の検査の結果でないと申し上げかねると思います。
  43. 柳田秀一

    柳田委員 どうも話がわからぬのですが、学問の話はそこでよしましよう。厚生大臣は特に御出身が僧籍でありまして、戒律のきびしい生活をなさつたのですから、われわれ以上にモラルはきびしいのでありますが、政治の要諦は一体厚生大臣はどこに置いておられるか、やはり国民厚生省がこうやるんだからついて来ればよろしいというふうにお考えになつておるのか、それとも政治の要諦は国民全体がこういう主食の問題にはよく厚生省の意図を体してくれて、納得してくれて、理解してくれて、協力してくれることが望ましいのか、どちらをお考えなのか、これは学問と全然問題が離れて、厚生大臣の人間性から御答弁をお願いしたい。
  44. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 まことに御傾聴申し上げる御意見を含んだ御質問でございますが、私ども国民の納得の行くやり方ということが中心考えられます。しかし従来の一%が現在の配給基準になつておる、この基準はまことに妥当ではないということを発見いたしました以上は、それをそのままにして研究を待つて、一%で許容するという行き方は妥当ではないから、従つてそれをもつとしぼつて——今度は相当しぼつておる意味でございますが、しぼつて安全度を認めながらやる、しかしなおこれでむしろ逆に不安を生ずるという、結果的にはそういう状態である。そこでこれが不安の除去について政治的にあらゆる方法を今後考究しなければならぬ。決して押しつけてこれでいい、これでいやだけれども、どうというような行き方は必ずしも妥当ではないと存じておりますから、さつきも申し上げたように、その不安の除去については、あらゆる方法を講じなければならないと考えておりますことを申し上げた次第であります。
  45. 小島徹三

    小島委員長 この際委員長として一言お聞きしたいのですが、黄変米が問題になつてからもう相当期間がたつていますが、厚生省としてはその間、これをつき直してみたら減つたとかふえたとかいう研究をしてみたのでしようか。
  46. 楠本正康

    ○楠本説明員 従前よりやりつつありますが、まだ確たる成績が出ておらぬわけであります。
  47. 柳田秀一

    柳田委員 今も委員長から適切な質問があつたのですが、すでに今のような御答弁なのです。つき直してもなお確たる結果が出ないという、農林省はつき直して配給しようとする、だから厚生大臣としてはそれに待つたをかけるのがあたりまえじやないかと先ほどから私は質問している。なお厚生大臣答弁で明らかになつたことは、この点で多少道義心を起した感じがします。その点においては厚生大臣がある意味において良心的であつたと言い得る、従来の基準を下げたという点はわかるのです。しかし下げたそのことが、また科学的に絶対客観的な妥当性がないといわれておるのですから、私は、これは仏をつくつて魂を入れぬ以上の、非常に軽挙妄動ではないかということを申し上げた。他の方の質問もありますから、私は大体質問を終りたいと思います。またあとで追加して厚生大臣じやなしに厚生当局の方にも質問いたしますが、大臣にはこの程度にしておきます。ただ問題はわずかにねずみで実験しただけだ、人体実験京都大学が頼まれて二列やつておるということですが、このような大事な実験には、むしろ厚生大臣が率先して、みずから人体実験をおやりになる意思があるか、それともみずから厚生省の役人全部黄変米を食つて、そしてある程度許容量以上のものを食つてみるとか、国民の疑惑を解くためにはあらゆる方法を尽さなければならない、私は万全の方法の中にはそういうこともお含みになるかと思つてつたのです。私が厚生大臣ならば自分で試験してみてもいいと思いますが、どちらですか。厚生大臣自分自身がお食べになる、あるいは厚生省も省議決定したので、厚生省のお役人がおやりになる、それだけの意図がありますか。
  48. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 私自身は大いにございます。また私が食べますることによつて不安を一掃し得るならば、いつでもそれをいたしたいと思います。ただこれらの点は慎重にいたすことがむしろ適当であると存じまして、いつでも試食等はいたす覚悟でございまするけれども取扱いについて慎重を期しておる次第であります。
  49. 柳田秀一

    柳田委員 そういう取扱いについて最後ならば、ひとつ配給も非常に慎重に最後的にやつていただきたいと思いますが、一つお尋ねしておきます。食品衛生法の第七条によりますと、厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品もしくは添加物にいろいろと基準または規格を定められておる、そして基準または規格に合わない食品もしくは添加物は輸入してはならないということになつているのですが、そういうふうになつて来ると、今こういうような外米を引続き買われておることが食品衛生法違反になると思いますが、どうですか。
  50. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 お示しのように、食品衛生法ではその通りになつております。実は黄変米においては従来では、さきに申し上げました肉眼視一%というので取扱つておると存じております。しかし先ほど来るる申し上げましたように、それを実験いたしまするとつておつたと存じております。
  51. 柳田秀一

    柳田委員 だからつまり今の厚生大臣が定められた基準ですね。前は肉眼で今度は培養してみたらずいぶんまた違つて来た、これは検査を厳格にやればやるほど厚生大臣の定めている基準以内ではなしに、基準をはるかにオーバーするような報告がどんどん入つて来ているのだから、そんなものを輸入してはならないと食品衛生法第七条に書いてあるのに、それを入れるのは法律違反ではないかということをお尋ねしている。
  52. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 米の輸入に対しての基準というのは、必ずしも食品の基準ばかりではない場合があると思います。従つて従来は主食配給用としての基準としては一%というので基準を用いておりましたが、御指摘のようにまた私が申し上げたように、白色にもありまするので、従つてこれらの取扱い、これらの輸入基準という問題については検討を要すべき問題だと思います。
  53. 柳田秀一

    柳田委員 それはおかしいですね。国民の血税の中から毎年百何十万トンのお米を輸入する、これは何もアルコール、澱粉、みそ、しようゆのためにわれわれは血税をしぼつてつているのじやない。主食としてこれを輸入しておる。どうしても主食に不適なものをそういう方に流しているだけで、主食として輸入しているのである。それが今のように、厚生省が不確実な基準で——われわれは今の基準をもつてとつ安全基準だとは思つておりませんが、この不確実な基準にもなおかつこういうふうに抵触するような、さらにもつと危険度の多い外米をどんどん輸入されておることは、食品衛生法の第七条に違反するかどうか、その点をお聞きしている。
  54. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 御質問の御趣旨がこの基準による輸入の問題になつて来るのでありまするが、この基準は、たとい二・五%のものがあるいは一日分の十倍ありましても、それが配給にあたつてはほかのものとまぜて一日分配給したらそれでいいというのが、それが最高限度だというのが基準であります。それが輸入量の問題についての問題になると、またおのずから別になつて参ります。
  55. 柳田秀一

    柳田委員 そういうような答弁では私も納得いたしませんし、おそらくきようお聞きのどなたも納得をいたしません。またこの速記録を通じて国民に明らかにされても、おそらくだれも納得されません。厚生大臣はやはりこういう委員会を通じて国民に知らせる、そうして協力してもらう、これが厚生大臣のいわゆる万全の方法のうちの一つ——こういう委員会はよい機会だから、この委員会から率直に、厚生大臣としても国民の皆さん方にどうか協力してほしいという気持があるならば、もつと素直にやらなければならない。今のような答弁は、ただしつぽをつかまれないようにぬらりくらりと答弁しているだけである。われわれは答弁技術の問題をこの暑い最中にやつておるのではありません。事国民の生命に関する問題だから真剣に討議をしておるのですが、今の答弁ではだれも納得しないことだけは申し添えておきます。  最後に、食品衛生調査会ですが、これは法律よると省令によつていろいろ定めることになつておるが、これはいつ開かれ、どういう構成になつておるか。これに対してはまた厚生大臣の方からどなたかに命じて資料を出していただきたい。ことにこういう重大な問題に対して全然どこの意見も聞かずに出したことは、厚生大臣の職務怠慢であるということを再び警告しておきますから、それに対しての資料も出していただきたいと思います。
  56. 小島徹三

    小島委員長 岡良一君。
  57. 岡良一

    ○岡委員 黄変米の問題ですが、明日専門の方をお呼びして、どの程度混入すれば人体に害があるのか、また絶対にいけないのかという専門の御意見を聞かしていただくことになつておりますので、その上で私どもの方でも考え方をとりまとめたいと思いますが、ただ今後こうした黄変米、正確に言えばもはや黄色くなつていなくとも、人体に影響を及ぼすおそれがあるということであります。厚生省の方でも多少危険は予期されるような段階になつておるから、黄変米とか病変米というよりも、毒性輸入米とでも申した方が適当ではないかと思いますが、この毒性の輸入米を今日まで輸入をされ、そしてその結果としてこうしてごうごうたる世論の批判が起り、また社会不安にもなろうとしております。そこでこれまでの経過について二、三点お伺いをいたしたいのですが、あながち厚生省責任を追究する意味ではなく、むしろ私は食糧庁長官なりまた当該関係の外務省の官吏の諸君にも来ていただいて、その間の経緯の詳細を承りたいと思つてつたのでありますが、それはまたいずれ必要とあらば後刻委員長のごあつせんで御出席を願うとして、厚生省の方として知つておられる限りの点についての率直なる御所見をお伺いをいたしたいと思うのであります。  そこで、その前にお伺いいたしたいのは、昨日の夕刊紙を拝見いたしますると、これは読売新聞と朝日新聞の夕刊でありますが、たとえば朝日新聞ではこういう記事が出ております。大きな見出しで「納得行く措置を」小見出しで「閣議で両相発言」「保利農林、草葉厚生の両相は十日の閣議で特に発言し、黄変米配給については、できるだけ消費者の納得を得る措置をとりたい。厚生省としても黄変米の混入率などについて、さらに精密な実験を行い、研究を進める考えであるとのべた。これについて稲永官房長官は黄変米配給については世論の反撃もあるので配給に当つても消費者の誤解を解く前に急いで行うことはない」、こういうふうに出ておるのでありますが、この御両相の御発言並びに福永官房長官の発表は、真実と認めていいのでございましようか。
  58. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 昨日の閣議において黄変米の話を二、三いたしましたことは事実でございます。そうして私平素、今お読みになつたような考えを持つておることも事実でございます。従いまして今後一層国民の不満を一掃するように努力をいたして参りたいと存じております。
  59. 岡良一

    ○岡委員 それでは、先ほど来柳田君への答弁を承り、昨日の朝日新聞や読売新聞の記事を拝見して、大いに君子は豹変されたのかと歓迎をいたしておつたのでありますが、今のお答えをもあわせて考えれば、やはりそういう精密な実験を行い、研究を進める考えは持つておるが、しかし今のところは先月二十四日の農林、厚生両次官の病変米の措置に関する覚書基準従つて、病変米を混入して配給するという方針はこれを延期するとか一時中止するということは全然考えていない、こういうことでございましようか。
  60. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実はその点がちよつと違う点でございますが、基準というものは配給をする場合の最大限度を示したのでございます。従つて黄変米じやない普通の米を配給するのが一番理想である、それから配給のいろいろな状態に応じてこれ以上はいかないのだというのが基準基礎でございます。従つて基準基礎を、従来は一%の基礎を立てておりましたのを、一%のものは五日以内じやないといけない。だから五日配給せよというのじやなしに、配給しない方がむしろ理想でございます。あるいは一日でもいい、六日はいかぬぞ、こういうのでございます。五日までならいいというのがこの基準でございます。そういう意味でございますから、従つて基準配給とはそこにおのずから違つて来ると思います。
  61. 岡良一

    ○岡委員 お気持はよくわかるのでございますが、しかしそれにいたしましても政府の方針としては、一応〇・三%以上のもの、そうして一%未満のものは五日云々、以下三項目まであつて、一・五%以上二・五%未満のものは一日ということは、一応実施し得る限界としては、方針としてはお認めになつた、こう解釈していいのでございましようか。そうして決してそれは中止したり延期する意思はない、やはりやるつもりだ、こういうことでございますか。
  62. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 基準は今早急にかえるという根拠を実は持ちませんので、従つて今後検討してさらに基準をかえるべき状態になりますれば、かえることにやぶさかではないと存じます。そういう意味において検討ももちろん進めて参りたい、ただ不安が生じて参つておりますので、不安の解消にあたつてはいろいろな点をあるいはつき直し、あるいはもう少し延期というような問題も生じて来ると思います。それらの点も総合しながら解決して行かなければならない問題であると思います。
  63. 岡良一

    ○岡委員 問題は主食の問題であり、ここまで大きく世論の注視を浴びておる問題でありますので、いろいろ調べてみたり、実験の結果が出て来たところで、また基準はかえるかもしれない、それは大いにかえていただかなければならないけれども、そういう朝令暮改が軽卒に認められるような取扱いをなさるということでは、私は相済まないと思うわけなのです。しかしそれはさておきまして、大体米の配給については、前月の月半ばごろまでには次の月の配給計画をきめる、こういうことに従来習慣上なつておりますが、そういたしますと、九月分の配給はこの月半ばまでには大体きめなければならないということに相なるわけであります。事実九月分に八月十五日中には配給計画が、今お示しのような方針によつてなされ、同時にまた十月は、九月中旬までにはなされるというふうに、順を追うてなされるわけです。特に今は端境期にもなつておりますので、需給関係もありましようから、思い切つて九月から配給する、こういうようなことに農林省がする場合、厚生省は同意を与えられますか、あるいは同意を与えられるおつもりでありますか。
  64. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 厳密な意味から申しますと、私の方で配給基準というものをきめましたのは、その基準によつてやることは、健康上害はないという立場によつて、この基準をきめたわけでございます。従つてそれをあるいはただちに実施することにおいては、決して手続上の不合理はないと思います。しかしさきに申し上げましたように、国民の不安というのがありますから、これが解除ということについては大いに考えて行かなければならぬのであります。従つてこれらの点を考えながら、あるいはつき直したり、あるいはこれをただちに九月の操作に——事実間に合わぬ場合もございましよう、これはいずれ詳しく食糧庁長官等から御答弁申し上げる方が、主管が向うでございますから、間違いないと存じますが、そういう点をいろいろ考えながら進んで参るべき問題だと思つております。
  65. 青柳一郎

    ○青柳委員 関連して……。先ほど来柳田委員の質問に対しましても、大臣国民の納得を得る必要をるる述べられたのであります。ただいままたお答えの中に、配給の延期という言葉もあつたように思うのであります。これら全部総合して考えてみると、昨日の閣議の模様もあり、あるいは私の受取方が早急であつたかもしれませんが、政府としては国民の納得を得ることに努める、そのほかいろいろ配給技術上の問題もあろうけれども、納得を得るまではこの基準による配給をとりやめるというようなお気持があるようにも聞くのでありますが、この点を今一番ついておられるのだと思います。国民の納得を得ずして一もこの混入率を強行されようとするのか、あるいは国民の納得を得るまで、この混合率を強行するのをおとりやめになる御意思があるか、その点について確認を得たいと思います。
  66. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは実は配給の問題で、私から御答弁申し上げるのはちよつと差控えたいと存じますが、私どもの気持といたしましては、配給操作等も十分検討していただいて、そうして国民の納得の行く状態における配給ということを希望しております。
  67. 青柳一郎

    ○青柳委員 そういたしますと、納得の問題というのは、黄変米による害があるかどうかという問題が一番大きいのでございます。これは配給を受ける国民立場から考えてみなければいけない。国民の納得を得るというおもな点は、黄変米の混入によりまして、国民の身体を害せぬかどうかという問題だと思います。その点が一番心配なんで、その点の納得を得られないのが現状だと思います。この納得が得られぬとも、配給の方の状況からいつて、どうしてもやらなければならぬ場合には、現在の考えを強行されるおつもりでございましようか。
  68. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは今申し上げましたように、米の配給操作の関係から私がにわかに御答弁申し上げるのはむ旧しろ妥当でないと存じますが、しかし不安という点から申し上げますと、そういうことも米の操作上可能であります場合におきましては、むしろ新聞等でも出ており、また農林省からもときどきお答えがあつたいろいろのデータ等も調査をいたしまして、そのうち国民の不安もそれらによつて解消いたして参る点も出て来ると思います。そういう立場においての配給方法考えて行くのが妥当ではないかと思います。
  69. 青柳一郎

    ○青柳委員 そうすると、配給操作上可能であるならば、国民の納得を得るまでとりやめたい、そういう御意思のように聞えるのですが、あまりに執念深いようでございますが、その点をもう一ぺんお答え願いたい。
  70. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実は具体的に申し上げると、結局基準というものを厚生省が示した。現在のところ危険度は私ども事実と考えておる。しかし今度の学問、実験等、学者等の研究の結果、さらにかえなければならぬ場合があるかもしれない。その場合にはおそらくもつとむしろやわらかな程度が出て来る場合の可能性が多いのではないかくらいに考えられる点がたくさんあります。一応必ずしもそうじやないとばかりは考えられない。従つてそういう裏づけ等は今後一層出て来る場合があり得るのではないか。これは今後の研究の結果でないと一概には申し上げかねる。そういうので、一応は基準を示しております。従つて基準の線においてもしも配給ということがいたされるならば——これの配給がいけないとなると、基準を全然かえてしまつて、そうして少しでも入つておる米は全部配給してはいけないぞという態度を厚生省がとらない限りは、表面上の問題としてはいけないと思う。しかしさつき申しました実際上の問題として、いろいろ国民に不安がある。その不安解除の政治的操作と申し上げる方があるいは妥当かもしれませんが、そういう意味においてはなるべくほかの米の配給というのを先にして、そうして問題の点の解消を待ちながらやるというのが妥当な方法ではないか、こう考えて今申し上げたような次第であります。
  71. 岡良一

    ○岡委員 そこで私は今の大臣の御答弁で少しふに落ちないと思いますので、はつきりとお伺いしたいのであります。配給操作農林省にまかせる、混入をさしても人体に悪影響がないという基準厚生省が示すというようなことでありますが、しかし今年のような不作の年には、言うまでもなく百五十万トン近い米麦を輸入しなければならぬ。これというのも、結局国民の栄養を確保したいためにこれを輸入しておる。毒を食わすために輸入しておるわけではない。ところがそうなれば、当然厚生省としてはこれは国民の栄養上支障炉ある、そのおそれがあると認められた場合は——食品衛生法にはつきり書いてある。おそれあるものは入れてならないと書いてある。そうしてその最後には罰則として三年以下の懲役とまで書いてある。そうすればやはり食品衛生法の所管省として、または国民栄養を預かる最高の責任者としては、そこまで強く基準を示すか、あるいはは配給は、要するに実害が与えられたところでこつちの知つたことではない、これでは国民栄養に責任を持つ厚生省としては相済まない。問題は目的と手段というものが平等になることだ。国民主食を確保するために輸入される。また配給という技術を通じて操作されておる。目的は国民の栄養を確保する。ところがたまたまその目的のために入れたものの中に、身体に有害な、しかも現在治療方法がないとさえある臨床家などが言うように、肝臓なり、腎臓に対する慢性的な退行性変化を起させる。こういう危険性のあるものを入れようとすることそのことについてはいけないぞと、ここまで押し切つて言うのは厚生大臣あるいは厚生省のお仕事ではないかと私は思うのですが、どうも大臣の御答弁だと基準はきめるがあと農林省責任だ。これではぼくは厚生省としての責任は相済まないと思いますが、その点いかがですか。
  72. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 つまり基準を、きめましたことは、これ以下による配給をせよとそういうであります。従つてそれ以下による配給をしないということになりますると、これは全然問題がおのずから別になつて来る次第であります。農林省厚生省と打合せましたのは、もちろんこれらの基準以下による配給をするという確約のもとにいたした次第であります。これが行われることを私どもも期待し、必ずその実行においてなされると信じております。従つてこれらの点におきましては技術操作上の問題もございましようから、農林省が十分それを忠実に実行しながら進められるということにおいて今後とも打合せをして参りたいと思います。
  73. 岡良一

    ○岡委員 前谷長官が来られましたのでちよつとお尋ねいたしますが、今実は厚生大臣に御答弁つておりますのは、昨日の閣議の模様について朝日、読売新聞等が伝えているところによりますと、この病変米の配給については世論の反撃もあり、従つて国民の納得を得る時期にこれをいたしたい、福永官房長官はそう急ぐこともない、こういうふうに言つておるわけであります。そこで厚生大臣の御答弁によれば、しかし配給操作ということになればこれは農林省の方がやることであるから一応人体が耐え得る最高の限度基準までは示したので、あとは食糧庁の方で配給操作の実務に当るという御答弁でありますが、一体閣議でこのような論議があり、その後において官房長官が急ぐことはないと発表しておるが、私ども聞くところによれば、大体九月の配給は八月の中ごろまでには配給計画をきめられるというふうに承知をしておりまするが、九月からこの配給を、しなければこの端境期の需要というものは乗り切れない事情であるから、どうしてもこれを配給するという方針なのですか。それともやはり官房長官の発表のごとく当分はこれを控えよう、そうして世論の納得を得るよう努力をするのだという厚生省考え方に同調願えるのかどうか。その点をお答え願いたい。
  74. 前谷重夫

    ○前谷説明員 ただいま御質問の閣議の模様、私まだ承知いたしておりませんが、われわれといたしましてももちろん厚生省のお示しになりました範囲配給することは当然でございます。御指摘のように大体九月の配給計画は前月の半ば過ぎまでには府県に指示しなければなりません。現在のものにつきましては再搗精もやらなければならない。具体的に県別の検討をしておるわけでございますが、ぜひ九月に配給しなければ九月が乗り越せないという事情ではございませんので、再搗精なりその他の準備をしまして慎重に今計画を準備中であります。
  75. 小島徹三

    小島委員長 この際新しく政務次官になられた淺香君を御紹介いたします。
  76. 淺香忠雄

    ○淺香説明員 一言皆さん方にごあいさつを申し上げます。今度はからずも政務次官更迭に際しまして、中山さんのあとを受けまして、新しく就任させていただきました淺香でございます。もちろん淺学菲才、その器ではございませんが、皆さん方の御指導をいただきまして、その職責を果させていただきたいと考えておる次第であります。どうぞ今後ともよろしくお願いを申し上げます。
  77. 小島徹三

    小島委員長 それでは質疑を続行いたします。
  78. 岡良一

    ○岡委員 重ねてお尋ねいたしますが、それでは一応長官の御答弁は、さしあたり端境的を乗り切るには、これを配給しなければならないほどきゆうくつではないというような事情から、十分再搗精その他の方法により病害の度を低めるという研究もしたいというようなことであるから、九月から配給はなさらないであろうという期待を持ち得ることにいたします。  そこでどの程度が人体に害があるかどうかという問題は明日に譲りますが、今日ここまで問題が大きくなつて世論の批判を浴びて参つた。それについて私はどうもこの黄変米に対する取扱いが、今日まで政府としてもほんとうに責任を持つて善処するという行き届いた対策が欠けておつたのではないかというような感じもいたしますのでお尋ねをいたします。  まず第一の問題は、この黄変米異変というものがいろいろと世上の論議に相なりまして、国会もこれを取上げたのはたしか一昨年の春のことだと私は記憶いたしております。そのときには、政府としては現地においてこれを買い上げるときにおいて十分慎重な用意を持つて臨むというように、その際具体的なプログラム等も御発表になつて国会に公約をいたされておることですが、この公約は具体的にどういうふうになされたか、その点簡潔でけつこうでございますからお答え願いたいと思います。
  79. 前谷重夫

    ○前谷説明員 先般の国会におきまして、黄変米は二十六年度及び二十七年度に輸入しましたものにつきまして御審議を願つたのでありますが、その際におきましては黄変米の色のついたものが問題になつておつたわけであります。従いましてこれはビルマ米に発見されきたのでビル面といろいろ外交交渉をいたしまして、国際規格といたしましては、そういう黄変粒は取引の一つの規格になつておらないのですが、特に日本側におきまして交渉いたしまして、昨年から黄変粒一%以上は引取りを拒絶するということにいたしたわけでございます。積取りの場合におきましては、毎回はしけから本船に引取ります場合に検査をいたしまして、黄変粒の輸入につきましては特別これが入らないようにいたしまして、現在はほとんど入つておりません。ただ昨年の暮から変色しないで、外形的には見わけのつかない普通の米につきましても菌が存在するということが研究の結果判明いたしましたので、これが措置につきましているく研究いたしたわけであります。従来のものは変色いたしましたものでございまして、外形上の見わけがつきますので、これにつきましては契約の規格で入れまして、それの輸入防止については努めておるわけであります。
  80. 岡良一

    ○岡委員 新聞紙によりますと、昨年の六月から七月にわたつて日本政府はビルマ、タイとの間に九十七万トンの輸入をすることに契約をいたしておる。その契約の中には、厚生省のいわゆる暫定基準と称されて、両者の間に一応了解のついておる目で見て黄変したものが一%あるものは除くということになつておる。そこでこの暫定基準である目で見て黄変したもの一%以上のものは除くということで一応この約束は契約の上においてはつきりとされて、目で見て一%以上の黄色のものは相なるべくばこれを買い上げないということが守られておるわけです。そこで問題はその後に至つて、目で見てはちつとも黄変していない、言いかえれば良質の白色米ではあるけれども、しかし培養試験等によつてはやはり黄変菌が証明し得るものが発見された。そういうことに相なれば、当然こういう目で見て黄変一%ということではわれわれはけんのんでこれを取引することができないという事情になつて来たわけであります。そうなれば当然前の契約の条件である目で見て黄変したもの一%以上あるものは除くということではなく、もつと科学的に黄変菌が存在するものは除くというような条件を即時政府としてはビルマ政府なりタイ国政府との間に交渉しなければならないと思う。しかもそれは三箇年間の契約ですから、これは先ほども申し上げるように、何もわれわれは毒を食いたいために買つているのじやない。食糧が足らないから買つているので、たまたまありがたいと思つてつてみたら、からだに種々の病気を起す危険性があるものだ、病原菌を含んでおるものだというようなことになつたのでは、これはまつたく本末転倒の形になるので、当然政府としてはビルマなりタイ国に対しては、こういう事態であるから、従つてこの程度検査を厳重に実施した上で引取るという強硬な態度に出るべきが、国民がかわいいと思つたらほんとうじやないか。こういう点に対してはたしてそういう御意見厚生省農林省の省内にあつたのかどうか、あるいは外務省その他こういう関係の筋あるいは商社筋なりに対してこういうような話合いについて何かあつたのか。あるいはビルマなりタイ国の政府に対してこういう意向の申出が非公式なりとあつたのかどうか。しかしながらそれにしても、それが通らなかつたとすれば、なぜ通らなかつたか、この点の経緯をひとつ御説明願いたいと思います。
  81. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お話の点につきましては、われわれもそういう点は考えなければならないわけでございます。御承知のように従来の場合におきましても、現地において一定の限度におきまして、たとえば一%以上ののものは拒絶する、こういうふうに交渉といたしましてはそこに限界を設けてやるわけでございます。従いましてこの白色粒の場合においても、現地においていかなる検査をすればそれが発見できるかどうかというふうな点、どの限度までを拒絶するかというふうな点につきましては、政府部内におきまして外務省、厚生省と検討をいたしておつたわけでございますが、今般大体の線が出たわけでございます。大体ビルマ及びタイにつきましては、われわれも従来黄変粒が出る場合は、雨期以後において船積みされたものについて黄色粒が出るということで、雨期前に積み取るということも極力やつたのであります。本年度の買付としては完了をいたしておるわけでありますが、今後の問題として契約の条項等については検討しなければならない、かように考えております。
  82. 岡良一

    ○岡委員 去年の暮れにはすでに白色粒にもいわゆる黄変菌なるものが培養試験の結果証明された。その事実に基いて、その後たとい本年度契約分にいたしましても、その途中においてビルマ政府なりあるいはタイ国政府等について、厚生省なりあるいは農林省としては、こういう危険な米を引取ることについては日本政府としても難色があるというようなことを、外交辞令的にどういうふうにお話するのかわかりませんが、やはり当然政府の責任として強く申し出らるべき筋合いではないかと思いまするが、そのことは、厚生省の方でもあるいは農林省の方でも、そういうことが話題となり、具体的に対外的にそういうような申出をするという事実はなかつたのでございますか。
  83. 楠本正康

    ○楠本説明員 お答え申し上げます。その問題につきましては、つまり現地買付の問題として農林省から相談がございました。しかしながらこれはいろいろ方法が複雑になりますので、いまだどうしたらいいかという結論は得ておりません。ただ昨年の十一月フィリピンから特別に外米が入ります際には、こちらから特に検査員をフィリピンに派遣いたしまして、そこで抜取り検査をいたしまして、それを飛行機で内地へ送り、内地でそれを調べて電報で返事をするというようなやり方で輸入をいたしたことがございます。これは一つのテスト・ケースとして実施をしてみたわけでございますが、かような点はかねて農林省からも相談はありますが、まだどうするかということは意見の一致を見ておりません。
  84. 岡良一

    ○岡委員 今年度の外米輸入計画によると九十七万五千トンで、上半期の四月から九月までの買付量は三十七万余トン、残りの六十万一千トンは下半期の十月から来年三月までということで、この数字は異動があるかもしれませんが、相当の米が入つて来る。これに対してフィリピンではすでに事前に、船に積み込む前に、今申されたような手を打つて、いわば大臣の万全の措置に近い措置をとつておられる。そうすればビルマやタイ国でもこれはとれないことはないじやありませんか。ましてやビルマやタイ国は米の輸出は国家輸出の大宗で国が管理しているはずですから、フイリピンよりもつと簡単にやれるはずだ。これをやつていないというならぼくは非常に大きな失態だと思うが、やらないとすればどうしてやらないのですか。
  85. 前谷重夫

    ○前谷説明員 ただいまお話のございましたフィリピンの場合におきましては、倉庫に在庫がございまして船積みの前におきましてサンプルをとつて検査することは可能であつたわけであります。タイ国、ビルマにおきましては、大体買い付けまする約二週間前後に清米所が大体精米いたしまして確定するというのが通例でございます。奥地から運んで参りまして精米してから買い付けるのであります。奥地から精米所まではこれはもちろんタイ、ビルマ国内であります。もみで輸出港に来まして、そこで精米して、それのどれを買うか、こういうことになるわけでございます。相当早目に在庫いたしておりまして、サンプルがとれる場合におきましてはそういうことが可能でございますが、タイとかビルマにおきましては大量に買い付けておりますので、一つの流れでございます。その流れによつて買付をいたすわけでございます。現在の検査状態からいたしますと、サンプルをとつて検査をして、そうしてそれを現地に通報いたしまして、それによつて買付をするという期間的な問題が一つあるわけであります。従いまして厚生省にも、どの程度においてこの検査を早め得るか、そういう買付に対する検査の点についてどういうふうに具体的に時間的になし得るかということの御検討を願つている次第でございますが、現実の問題といたしましては現在のところ一月以上の期間を要するのではないか。そうすると現実の問題として一月以上前にその買付をする品物を特定するということは困難である、こういう事情であります。
  86. 岡良一

    ○岡委員 一つお尋ねするが、これは飛行機で送るなら大体一日で送れるわけなんだが、培養試験の結果がわかるのは二週間あればぼくは済むと思う。返事を出すのにも十五、六日あれば出せると思うが、それくらいのことが精米及び船に積み込む場合の時間的な関係との間にとてもできないという事情が現地にあるのですか。培養試験の結果がわかるというのはどれくらいかかるのですか。
  87. 楠本正康

    ○楠本説明員 はなはだ申しかねますが、従来は特に固まつて輸入米が入ります等の関係がございまして、一度に多数のものが入つて検査を要することになります。しかも一方検査能力というものに、施設の関係、人員の関係等で限度がありますので、勢い検査そのものが遅れる場合があつたのであります。しかしこれがもし平均して入つて来れればはなはだやりいいのですが、固まつて入るというところに困難があります。しかも一方人員、能力の不足というような点から、大いに検査を急いでおりますが、ややもすると遅れる結果になる、こういうことでございます。
  88. 岡良一

    ○岡委員 私が楠本さんに聞きたいのは、去年の暮れにいわゆる白色粒ではあるが黄変菌の存在を認めた。そこで人体に有害な影響があるおそれを認めたので、フィリピンの米を買つたときには、サンプルをとつて培養試験をした結果、これは無害であるという判定を厚生省責任において下して、その上でこれを買いつけるという措置をとつておられる。してみればそれをビルマやタイとの間になぜできなかつたのであるかといつてお聞きしたら、前谷長官のお話では、精米所へまでは現地員がもみを集買して来る。なるほどバンコツクの波止場に行つてもラングーンの波止場に行つても、国営の大きな煙突のある精米所炉ある。そこでどつと一貫作業のようにして出しております。その精米されたものを引取るときに、サンプルをとつて培養試験をやつて、それに毒性があるかないかというところまで突き詰めた上で引取るということについて時間的に余裕がない、こう前谷さんはおつしやるのですが、私はそういうことはなかろうと思う。うんと急いだならば十五日あればできると思う。十五日ならば精米から船積までの時間的の余裕がある。それをなぜやらなかつたかということを私は聞いておるので、十日か十五日あれば飛行機で送つて電報で返事を出すまで、厚生省培養試験をやれるでしよう。
  89. 楠本正康

    ○楠本説明員 要員の充実さえ見合いますれば、これは技術的には十五日でおつしやるようにできるわけであります。
  90. 岡良一

    ○岡委員 とにかくそういうところが非常に政府としてはのんびりし過ぎておられたと思うのです。この問題が国民主食にかかわる問題であり、一つ問題が大きくクローズアツプされると、いろいろな感情もからんで大きな国民不安のもとになるのだということをもう少し考えられたならば、行き届いた手が打たれてよかつたのではないか。それが今日まで非常に看過されて来て、今になつてからああでもない、こうでもない、こういつたつて不面目な話だ。今さらこんな問題を取上げるようになつたということは非常に努力が足りなかつた。一昨年六月から入つておつたそのときに、もつとその後の経過にかんがみながら適切な手を打つという努力が足りなかつたというふうに私は言わざるを得ないと思う。問題は、こういうものが入つて来てからこれをどうするかでは——何と言いましようか、あとから国内の問題として、国内の責任で大騒ぎをしなければならないということでは、問題の本質的な解決にはならない。どうしても輸入しなければならないという事情は私どももわかるのですが、それには病変菌がいるかいないかということについても、今日の日本の科学技術をもつて、いないという立証の与えられたものを入れるということについて、これはもう綿密に、格段の責任のある措置を講じられなければうそだと思う。そうでなければこの問題はいつまで立つても長々尾を引いて来ると思うので、これは希望として申し上げておく。  そこで楠本氏は、さていよいよそれが内地へどつと入つて来ると、とても人員が不足で手がまわらないので、四割はどうにか抜取り検査をやるが、あとの六割はもう野放しだということを言つておられる。六万トンも七万トンも黄変米を積んで来ることはたいへんな金だと思う。八億か九億かわかりませんが、そんな金に比べれば、これくらいな人員を充足して、遺憾のない措置を講ずるということはできるのじやないか、これをやらないということは非常に手落ちじやないかと思う。一体何人あればこれに応じられるのですか、それに必要な予算はどのくらいなのですか、そういうことは御検討になつたと思うが、そういう点をひとつ数字の上で明らかにしてもらいたい。
  91. 楠本正康

    ○楠本説明員 昨年予算で要求いたしましたのは六十一名の増員、なお予算総額は二千万程度じやなかつたかと記憶いたしております。なお詳しい数字は後ほど調べましてお答えいたします。
  92. 岡良一

    ○岡委員 実人員は今どれだけですか。
  93. 楠本正康

    ○楠本説明員 現在サンプリング要員及び検査要員を含めまして三十八名であります。
  94. 岡良一

    ○岡委員 三十八名では今しばしば厚生省の御発表というか、打明け話としての、六割は検査ができない、入つて来るものの四割しかできないということに相なるわけでございますか。
  95. 楠本正康

    ○楠本説明員 さようでございます。
  96. 岡良一

    ○岡委員 これは大臣やはりはつきりしていただかなければ困ると思います。内地に入つて来たものについても毒性米をキヤツチするための職種をしつかり備えていただかないと困ると思うが。そういう点について大臣責任ある御見解を承りたい。
  97. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 従来は大体目で見ておるという程度であつたのでありますから三十八名で、それですらただいま御答弁申し上げたようにあるいは不十分であつたかもしれません。しかし今度は、一々培養武検事が問題こなります。そういう点もありますし、ものが主食のいわゆる最も高価な、貴重なものでございますので、人員等の充実につきましては急いで財務当局等とも連絡をして、そして検査も何分の一の検査というようなことでなしに、全体的な検査に及ぶ方法をとつて参りたいと存じます。
  98. 岡良一

    ○岡委員 今特に前谷さんがおられるからお尋ねしたいのですが、決算委員会の質疑応答の中で、たしか昨年黄変米の滞貨は八万数千トンあるべきものが、五万六千トンだか六万トン前後しかない、三万トン弱のものが、厚生省の方からはこれは配給をしないようにしてもらいたいという通牒を出したが、それがもうおそまきですでに配給済みであつた、こういう事態があつた、これはどういうところからこういう手違いが起るわけですか。
  99. 前谷重夫

    ○前谷説明員 先般問題になりましたのは名古屋の加州米でございますが、これは一月二十八日に入港いたしたのでございます。そして厚生省から御通知をいただきましたのが六月八日です。準内地米は御承知のように相当需給的には逼迫をいたしております。その面からいたしまして、時間的に、大体二、三箇月の余裕のストツクがございますが、地域によりますと準内地米の場合におきましては非常にストツクが少いという場合がございまして、配給をいたした次第でございます。さしとめがないだろうというふうな考え方でもつて現実には進んでおつたと思います。
  100. 岡良一

    ○岡委員 どうも厚生省ももう少し早く——人をふやさなければやれないとおつしやればしかたがないが、そこまで需給も逼迫をし、準内地米が足らないので早くやりたいというなら、やはりはつきりとその事実を認めて、早く検査をやつていただかなければ困る。  それから前谷さんによく申し上げておきます炉、こうことをやられると食品衛生法に基くとこれは処罰の対象になるのですよ。人体に危害を及ぼすおそれのあるものについては輸出もできない。輸出のことは輸出した上でものをきめるのだからいいとしても、これを配給するとしたら処罰の対象になるのです、三年以下の懲役ですよ。政府部内で法律が非常に無関心に取扱われたり、法律の違反をやつておる。こんなことでは主食を取扱う責任官庁としても責任がないと思う。しかしこういうことを申し上げても何ですからこの程度にしまして、私は以上申し上げた点、繰返しませんが、とにもかくにも黄変米国会で問題となつてからの政府の今日までの取扱い方については、お金がないとか、連絡が不行き届きだとか、役所のそれぞれの職能がわかれておるというようなことで、とにかく責任を回避せられておるのでありますが、国民の主要食糧の確保の任に当り、かつまたこれを通じて国民の栄養を守ろうという最高の責任の府であるところの厚生省なり農林省黄変米に対する態度は、少くとも今私が申し上げた点では至つて不行き届きだ、こういうようなことでは、いかに国民の納得するように努力すると言われても時遅れておると私は考える。そういうことを率直に申し上げて私の質問を終ります。
  101. 小島徹三

    小島委員長 柳田君。食糧庁長官に……。
  102. 柳田秀一

    柳田委員 先ほど食糧庁長官がお見えにならない前に質問したのでありますが、三点、第一は厚生省の方では安全基準度をきめた、そこでその安全基準度というものは現段階においては厚生省は安全だと見ておられるが、将来さらに検査方法あるいは実験等によつてまた安全基準度に変更を加えなければならぬ場合には、それを改訂するにやぶさかでない、こういうふうに大臣は今答弁された。ところがその裏は、そういう将来の結果を待つならば、今の厚生省から食糧庁に来た安全度農林省会議された安全度では危険だという線も出れば、もう少し厳格にしてもなおかつ安全だと両方が出るわけなんです。これはもう厚生大臣はおそらく将来研究が進めば、さらにまた安全度がふえるのじやなかろうかという希望的な考え方を持つておられますが、そうは簡単に参りません。逆に最初は目に見える黄変米でも、今度培養すれば黄変米でなくて白色米からも出て来る、こういうことになつて来る。まだ実験が十分でありません。人間についてもわずかに人体実験は二例だ。ねずみでやつておる。またさらに犬とかさるの実験が済んでおりません。こういうふうに実験が進んで参りますと、黄変米に対する肝臓の解毒量は人間によつて非常に幅があるというようなときには、今の安全度が危険になるかもしれない。現段階においては安全だと思つて農林省厚生省の言うことを信じられて配給された。ところが将来半年か一年か先になつて、半年前に配給したのは不安全であつた、危険であつたというプロバビリティは全然ゼロではありません。そういう際に農林省はどういうような責任をとられますか、実際その衝に直接当つておられる食糧庁長官らかはつきり伺いたい。もしも学界から危険だという結論が出たときには、あの程度では安全だと思つてそのまま配給しましたが、もうこういうことが一応予測される現段階において、別に問題になつておらぬならばどうこう言いませんが、問題になつておるから、今のままでは危険だという線が出たときに、食糧庁長官としてはどういうような責任をとられますか。
  103. 前谷重夫

    ○前谷説明員 非常にむずかしい問題でありまして、われわれといたしましては厚生省がいろいろ安全率を見られた線で考えておるわけであります。そういう場合におきましては、現実に配給されておらないものは配給を停止することはもちろんでございます。そういう意味におきまして厚生省の方においては、現在のデータでもつて非常に安全率をお考えなつ範囲でお示しになつておるのでありまして、現在われわれといたしましてはこれに対する見解に従つて再搗精その他の努力をして、さらにそれを下げるという努力はしなければならぬ、またそれがかわつた場合におきましては、現に卸小売にあるものは回収して新基準従つて配給して行く、こういうことにしたいと思つております。
  104. 柳田秀一

    柳田委員 私の質問もあるいは杞憂上にすぎぬかもしれぬ。しかし事国民主食でありますから、われわれはやはり杞憂を一応考えた上で質問しておるのですから、そういうような杞憂でも、なおプロバビリティが一%でもあるならば、厚生省としては一応あの基準をきめたが、食糧庁としては当分配給を中止するというお考えになりませんかどうか。
  105. 前谷重夫

    ○前谷説明員 われわれといたしましては今までいろいろ慎重に検討願つたわけでありますが、さらに現実におきましては、非常な国民の不安感があるわけであります。これにつきましては十分納得の行くように試験も進めていただかなければなりませんし、また厚生省の見解をよく国民に周知徹底していただく必要があろうかと思うのであります。ただわれわれといたしましても、そういう現在の事態におきまして、需給の許す限りにおいては長期的に、しかも再搗精の措置というものは早急に実施して、できるだけ現在のもののパーセンテージを下げて行くということによりまして、さらにその配給操作のできる範囲において努力いたしたい、かように考えております。
  106. 柳田秀一

    柳田委員 私の質問しておるのはそうではなしに、もしも学界研究等炉進んだ結果、今の基準が危険だということがわかつた場合に、そのことをすでにもう私は本日質問をしておるのですから、そのときにやはり責任が農林当局にかかつて参りますが、その責任はどう考えられますかということを問うのです。それはいたし方ありませんとおつしやいますか、今のところは厚生省からそういうような基準が来たから、食糧庁はそれに従つてやつただけである、で、しりは厚生省の方に持つてつてほしいと、こういうようにおつしやるのですか、農林省としては今のところいたし方ないというなら、簡潔に率直に御答弁願つたらいい。
  107. 前谷重夫

    ○前谷説明員 これは厚生省農林省責任という問題とは別に、われわれといたしましては、厚生省で御研究願つた範囲でやらざるを得ない。ただ操作の許す限りにおいて、これを下げて行くという努力はいたしたい、かように考えております。
  108. 柳田秀一

    柳田委員 操作の許す限りということで、たとえばつき直しをして配給する、九月になればつき直しをして配給するというように新聞に出ておりましたが、つき直しをすればこの毒性は減るものですかどうですか。またつき直してどれくらい減るというお見通しに立つておられますか、その点を食糧庁長官に伺いたい。
  109. 前谷重夫

    ○前谷説明員 つき直しすればある程度減ると思いますが、具体的なデータにつきましては今検討しております。従いましてつき直しをしたものをさらに検討をしていただきまして、どの程度に減つたかということを見まして、そうして配給計画を立てたい、かように考えております。
  110. 柳田秀一

    柳田委員 つき直しをして減るという大体予測のもとですが、すでに先ほど委員長からもこの点は御質問があつたのですが、この黄変米の黴菌の問題は三年来の問題ですから、すでにつき直しをしてどの程度減るのだという結論は当然厚生当局並びに農林当局においては検討済みでなければならぬのですが、それに対してはまだ検討する段階にまで現在至つておらぬのだ、とにかく世間がわあわあ騒いで、今のままで配給するのはぐあいが悪い、だから何とか糊塗しなければならぬので、つき直して配給すると、少し何か一般大衆に対する影響が緩和されるというので、窮余の思いつきでつき直しということを言われたのか、それとももうすでに三年来の問題ですから、つき直しの問題は十分に検討されて、研究済みの上のものであるか。
  111. 前谷重夫

    ○前谷説明員 つき直しの問題は、これは御了承願わなければなりませんが、従来の考え方でありますと、着色いたしたものを基準にして考えております。これについてはつき直しをすれば相当減ります。ただ現実に白いものにつきましては、つき直しというのは表面の層を削るだけでございますから、その間に菌がどの程度にあるかという問題でございまして、これが新しい問題として実は起つたのであります。従来の着色の場合におきましては、これは相当軽減できたのであります。ただ新しい問題としての白い米でございますので、その菌の所在がどの層にどの程度にあるかということは、これはいろいろ違います。そういう点が問題になろうと思います。
  112. 柳田秀一

    柳田委員 あと一点だけ、その質問をする前に、これは私の私見ですが申し上げておきます。大体黄変米であろうが、黄色く変化しておらなくても、すでに毒性があるのですから、黄色いというのは菌体から出は色素なんです。菌が出した色素なんです。菌は毒素と色素と両方出す。毒素というものはそのお米の中に入つておるわけです。菌が毒素を出して毒素はお米の中に入つておる。色素が外に出ておる。黄色いやつはつき直しをしたら毎が減つた。検査をしたら温度湿度の関係さえよければどんどん細菌は繁殖します。そうして繁殖すればするほど、やはり色素も出せば毒素も出す。だから私は常識上考えて、これは毒素が出、また色素も出たものを少々つき直しをして、そんなことで私は毒性が減るなんということは常識上考えられぬと思いますが、これは後日に残しておきます。  それから食品衛生法第七条を見ますと、こういう食品は一定の基準を大体定め、その基準に合わないようなものを輸入したり販売してはならないと、第七条に書いてあるわけです。ところが先般名古屋で調べたのでは、六万一千トンのうち、二万九千トン、約五〇%が黄変米なんです。こういうのは、これを輸入すること、そのことが食品衛生法第七条に触れると思いますが、どういうようにお考えでありますか。
  113. 楠本正康

    ○楠本説明員 この点に関しましてはおつしやるように第七条により輸入禁止の措置が講じられるわけでございます。しかしながら厚生、農林両省で話合いをいたしまして、これは政府同士のことでもあり、商社あるいは商品というものでもないので、従つて法の運用は両省がひとつ話合いをしてきめて行こう、運営は話合いをしてきめて行こうということで、別にその運営につきましては両省の間に覚書が交換してございます。その覚書によりましてとにかく一応通関手続は済ませる、その後厚生省の方で調べた結果、その処分方法について農林省に通報すれば、農林省は間違いなく責任を持つてその厚生省の示した処理方法従つて処理するということが運営上の申合せとなつておるわけであります。従つて外米の輸入に関する限りは一応通関手続等はこれは済ましてさしつかえない。しかしあくまで法は法でありますので、それは運営上さような方法で実施をして行く、こういうことに相なつておるわけであります。
  114. 柳田秀一

    柳田委員 厚生大臣国民になるたけ不安を除きたい、こう言つておる。不安を除くためには万全の措置を講じたい。先ほど厚生大臣に尋ねたのですが、まだ人体実験は二例しかやつていない。三十代の健康な女の人なんです。これはねずみから犬になり、さるになり、だんだん人間に近づいて参りますけれども、やはり人体実験というものはそう軽々に行わるべきものではないと思う。私は厚生大臣に率直に言つた。あなたはあなた自身が人体実験の第三例になる御意思があるか、厚生大臣は、それも国民の諸君の不安を取除くことならばあえて辞せぬ、こういうことなんです。これは先ほどのお話のように、あげて厚生省責任だ、農林省責任だというのでなしに、政府の責任なんだ。従つて厚生省も当然そうでありますし、それから食糧配給の元締めをやつておる食糧庁長官としても、農林大臣としても、厚生省当局、農林省当局がこれほど世間を騒がして国民に不安を与えたわけですから、厚生当局、農林当局、大臣以下全部ひとつ御自身が率先して黄変米を二・五%でも、三%でも、九%でもお食べになつてためしてみられて、それから国民配給されるなら国民は納得すると思いますが、あなたはそれをやられるだけのお心持がありますか。農林大臣にもそれを准言されるだけの勇気がありますか。
  115. 前谷重夫

    ○前谷説明員 農林大臣のことはこれは別でございますが、私たちは厚生省のきめられました線というものは、これはその線に従つて配給をいたすわけでございます。当然私としてもそういう考えを持つております。
  116. 小島徹三

    小島委員長 ちよつとこの際お尋ねします。先ほどの岡君の質問にも関連いたしておりますが、そうすると、名古屋における配給というものは厚生省が試験をしている最中に農林省配給したことになるのですか。それとも試験のことを全然知らぬうちに配給してしまつたのですか、どうなんですか。
  117. 前谷重夫

    ○前谷説明員 これは御承知のように全量検査をいたしておりません。厚生省からさしとめの通知がありまましたものについて配給を停止する。従いまして結果といたしまして非常に通知が遅れましたために、普通の例に従いまして配給をいたしておつたわけであります。通知を受けてから配給をいたしたわけではないのであります。それが全量の検査の場合でございますと、全部ストツプするわけであります炉、全量検査の場合ではございませんから、そういう取扱いをいたしたわけであります。
  118. 小島徹三

    小島委員長 そうすると厚生省検査というものは意味をなさないことになりますね。全量しない限りは……。
  119. 前谷重夫

    ○前谷説明員 われわれの方といたしましては検査の迅速化をお願いいたしまして、そうして通知のあるものにつきましては十分注意いたしておるわけでございますが、相当に期間がたちまして、そうして御通知がないということになりますと、数箇月、この前のケースですと、非常に長い期間がかかつております。これは無害のものだというふうなことでやつております。
  120. 小島徹三

    小島委員長 滝井義高君。
  121. 滝井義高

    ○滝井委員 今柳田、岡両委員からいろいろ御質問がありましたので、重複する点を省略して、簡単に二、三の点を御質問いたしたいと思いますが、問題はやはりパーセントの問題だと思うのです。輸入病変米の措置に関する覚書によれば、含有率が〇・三%未満のものは配給日数に制限がない。〇・三%以上のものについては、〇・三%から一%が五日、一%から一・六%が三日、一・六%から二・五%が一日、こういうことになつておるわけですが、問題はこのパーセントの意味するものだと思うのです。たとえばきよう検査をいたしましてこれが〇・三%以下だ、従つてこれは無制限に何日も配給していいわけだが、一応現在の外米配給基準というものは、たとえば私たち福岡の状態を見ると七、三、五で、七日炉内地米、三日が準内地米、五日が外米、結局〇・三%のものならば五日、外米のわくに入つて配給されることになるわけです。ところが問題は、きよう検査をして〇・三%であつても、これがいよいよ配給のルートに乗つてわれわれの家庭に入つて来るまでには一箇月以上はかかつて来るわけです。優に一箇月、へますると二箇月も三箇月もかかる。問題は、どうもあなた方の議論を聞いておりますと、菌というものは、これはきよう検査したならばそれからふえもしなければ、そのまま固定しているような考えで議論を進められておる、そういうような感じがする。ところが菌というものは生きている、微生物ですから。従つて問題はここを考えなければならない点だと思うのです。三%のものを人に実験をしてみて、これはもう〇・三%の十倍の率を見ているのだから大丈夫だという、こういう考え方で、ちよつと聞くところはきわめて科学的なんですが、もつと掘り下げて考えて行くと、きわめて非科学的だ。なぜならば今申すように菌は生きておるからです。そこでこれは私はもつと深刻に検討をしてもらわなければならぬと思う。ちよつと考えたところを述べてみますと、ビルマで入れるときには口で見て一%以上を入れて来ても、一%といえば百粒の中へ一粒まじつているということになりますと、一粒の表面だけが侵されておつた場合と、全部しんまで侵されておつた場合とは、その中に含まれるところの毒素の率は違つておる。だからそれはなるほど百の中の一粒であつて一%かもしれませんけれども、これは表面だけ侵された場合の一粒の一%と全部侵された、いわゆるつかめばぼろぼろとくずになるような一粒とは非常に毒素が違う。こういう場合が一つ。いま一つは、黄変米には、これは食品衛生課から出ているのにもありますが、ミヤケ黄変米とタイ黄変米とイスランデイア黄変米がある。ところがこれらの三種の黄変米が全部毒性が違つているわけです。だからあなた方の方でこれは黄変米だと見ても、これが大体どの黄変米であるかということによつて違う。たとえばミヤケ黄変米は主として肝臓や中枢神経に働く。タイ黄変米は腎臓に働く。それからイスランデイア黄変米肝臓に働く。全部これはそれぞれ働く肝臓器に違いがある。しかもそれがたとえば白ねずみなら白ねずみに実験した場合のその量がどういう量に持つて行つたら致命的なあれを与えるかということは、これはその種類によつて私は違うと思う。こういうような違いがあることと、それから検査の後における貯蔵の状態によつてこれはまた違つて来る。たとえば米にかびがはえるということもいろいろ学者実験しておるようでございますが、大体米に水分が一四・五%になつたときにかびがはえる。そのときの空中の湿度は七五%、しかも温度は三十度前後が一番かびがはえやすい要素だということなんです。そうすると最近の日本のようにむし暑くて湿度が高いというような情勢のもとで、温度がちようど三十二、三度——倉庫あたりはそういう状態だということになりますと、これはきよう検査してそれが〇・三%であつても、二箇月の後においては一%以上になつている可能性は十分にあるわけなんです。あるいは今度は、これはいつかどこかで中毒があつたと思うのですが、飯をたいてすぐに食えばいいのだが、その黄変米をたいてからしばらくして食つた。そのために黄変米の中毒が起つたという例があるはずです。これは新聞にも発表されておつた。あるいはこれはさいぜん柳田さんもるる述べておられましたが、個人的な差によつて、老人が食べたりあるいは青年が食べたり、子供が食べたりということによつてつて来る。こういうように今日現在において、これは黄変米だが大丈夫だとあなた方が烙印を押したものが、いよいよ配給ルートに乗つてわれわれの方に入つて来たときに、すでにこれが〇・三%を越えておつたという事態が起る可能性が十分あるということなんです。私はやはり黄変米の問題は、これは現実に入つておる。何ぼ入つておるか知りませんが、いつかの新聞で前谷さんの座談会か何かの記事をちよつと私見たことがあるのです。これは真偽のほどは新聞ですからわかりませんが、今年の輸入計画は百五十万トン、現在百三十万トン程度外米が入つた。そのうちの黄変菌のおそれのあるものは八十ないし九十万トンだというような新聞記事を見たことがあるのです。これはおそれのあるものだということですからはつきりはしないでしようが、とにかくおそれのあるものが相当あることは確実らしいのです。そうするとビルマで検査したときは一%以下であつたものが内地に入つて来ると相当のものになつている。こういういろいろな要素を考えると、パーセントというものが、大臣はきわめて科学的だと言わつしやつたけれども、今私に言つたことから見れば、今日現在科学的であつても、いよいよ配給なつたときに、菌は生きものであるところに必ずしも科学的でなくなる要素が出て来るということです。これに対する解明をはつきりとしていただく必要がある。これの解明ができなければ、吉田政府に対する不信以外には国民黄変米に対してはそう大した問題はない。問題はやはり吉田内閣の不信に対する現われが黄変米の問題に形をかえているところに問題がある。これはやはり政治が貧困であるところに黄変米の問題が出て来ている。だからもつと科学的に今言つたような点の御解明をしていただきたいと思います。
  122. 楠本正康

    ○楠本説明員 技術的な点についてまずお答えいたします。私どもは一応の検査を国内に入つてからいたしておりますが、国内の貯蔵では従来の経験から増加はいたしておりません。これらの点はおそらく倉庫の貯蔵方法その他が十分に完備されておる結果だと考えております。なお家庭に配給されてからの菌の状況は調べてございませんが、しかしながら私ども配給の店頭のものは数多く調べてございます。これらのものについてもさようなものが新たに発生した、あるいは増加したというような成績は見えておりません。また一方湿度あるいは温度等の関係から考えましても、一般家庭に入つてから別にふえることはあるまいと判断をいたしております。  次に第二点の問題は、これは御指摘のように現在私どもはその白米粒に黄変菌が付着しているかいないかによつてパーセントをきめております。しかしながらこの点は御指摘のように毒力検査、毒量と申しましようか、分泌物量と申しましようか、かようなものがはたしてどの程度あるかということはいまだ検査する方法がございません。従いまして、現在一粒内の量、あるいは粒によるさような毒性の差というものはわかりません。しかもこれは私どもはきわめて大ざつぱに考えまして、先ほど柳田先生からもお話がありましたように、菌から出る色素と毒素とは一応並行するものと考えれば、私どもは白米の中に存在するきわめて微量の菌から生産される毒量というものは、黄変粒に比べればきわめて少いものだろうと考えております。従つてこの点はいまだ白米試験等行われておりません。しかしながら私どもは重きに従つて事を考えるのが国民のためと考えまして、おそらく白米の中におけるものは大した問題はあるまい、問題は黄変粒にあるだろうと思いますが、さらに一段と重きに従つて国民のためを思いまして、今回は培養試験の成績をとつたわけであります。従つてこれらの点につきましては、将来毒量が計算できる方法がありますればさらに合理的になるわけでありますが、私どもは現在、くどいようでありますが、むしろ厳格に失する程度にこの問題を処理いたしているわけであります。
  123. 滝井義高

    ○滝井委員 あんまり納得いかぬ説明でございますが、そうしますと、厚生省の方では〇・三%未満のものならば配給を毎日やつてもいいのだ、こういうお考えのもとに一貫をした配給基準覚書農林省とつくられた。ところが問題は、農林省が今度は——農林省が買いつけるわけではなく、商社が買いつけるわけでしようが、現地で一%以上のものははねる、ここの食い違いなんです。〇・三%のものならば大体大丈夫だと言われている。ところが現地で一%以上なんですから、〇・九%なら合格して来る。そうすると、〇・九%なら内地に来た場合にはおそらく一%以上になる可能性が十分あるわけです。現地で買いつけるときに一%以下、〇・九%は合格で買いつけて来る。そうすると内地に来たときにはそれは一%になる可能性が十分ある。そうしますとこれは五日の配給のわくにしか入らない。無限の配給のわくに入らない。問題はこういうところの調整で、農林省で買いつけるときに、厚生省と同じように〇・三%にすることはできないかどうかということなんです。これは将来の問題を含みますが、〇・三%以上ではだめだということにはできないものでしようか。
  124. 前谷重夫

    ○前谷説明員 その前に先ほどお話がございました新聞記事のことを申し上げます。これは私が申し上げましたのは、現在黄変米の発生しました外国からの輸入量がそれだけに当るということを申し上げたのであります。多少新聞記事が不明瞭でありますが、タイ、ビルマ、パキスタン、仏印とかの輸入計画がそれに当るということを申し上げたのであります。その点御了承願いたいと思います。  それから御質問の点でございますが、実は物理的に検査をいたしますために、変色をもつて標準といたしまして、その変色が従来の基準でございますと、一%でございましたので、これを標準にして相手国と交渉いたしまして契約をいたしまして、その基準でもつてはねていたわけであります。今度は従来のそういう変色による基準というものは実は意味がなく、従いまして現地におきまして具体的に変色しないものの中の菌分の所在を科学的な何か簡易な方法で発見するということがまず第一の問題だと思います。それと御承知のように穀物の取引は大量取引でございますので、世界的に一つの取引の基準というものがきまつているわけであります。米でございますとブロークンでございますとか、あるいは異物混入とか、一つの国際的な基準がきまつているわけで、日本側といたしましては、日本側において黄変粒の問題がございましたので、これは特約といたしまして相手国政府とそういう一%以内の契約を結んだわけでございますが、ただいま申し上げましたように、簡易な分別方法の発見と同時に相手国に対してそういう点を交渉しなければいけないということが今後の問題になります。
  125. 滝井義高

    ○滝井委員 今後の問題については現地で科学的な方法を検討されるということでございますが、科学的な簡易な方法はおそらくすぐできないだろうと思います。やはり当分の間は肉眼的なものあるいは螢光燈でやるとかいう、きわめて科学的でない方法でやらざるを得ないと思いますが、内地に入つてからさらに正確な検討を加えて配給ルートに乗ることになるので、内地の問題についてちよつと御質問したいのですが、先日やはりわれわれの九州においても、さいぜん岡君が名古屋であつたといわれたのと同じようなことがあつたと新聞で報道されておるのですが、内外汽船所属の辰日丸が九千七百トン積んで来た、そうして一%以上の黄変粒を含むということで不適格として配給停止をされておるらしいのですが、その中の一部はすでに北九州の筑豊に配給をされたということになつております。その場合に聞くところによりますと、A、B、Cというような三つの階級が外米には定めてある、そうして現地の食糧事務所かあるいは県の食糧課か知りませんが、そういうところから、今からこの米を配給するがどうだという間合せを厚生省にやつて、一、二箇月以内に不適の通知のないものはA級として配給するというようなことが出ておつたのですが、何かそういう外米配給の上にA級、B級、C級というような基準でもつくられておるのですか、この点をお伺いしたい。
  126. 前谷重夫

    ○前谷説明員 お答え申し上げます。従来の黄変粒の場合におきまして、やはり一応検査の仕訳といたしまして、三段階にわけましてこれを倉庫で仕訳けております。そうしてその仕訳によりましてサンプルをとつて検査をいたしております。大体A級の場合におきましては着色がないということで、まず危険がないというふうな取扱いはいたしておつたのであります。これは倉庫内で仕訳をするために、そういうふうに三段階にわけて、買付も全部別にする、こういう取扱いをいたしております。
  127. 滝井義高

    ○滝井委員 B級、C級をちよつと……。
  128. 前谷重夫

    ○前谷説明員 大体三段階にわけて、これは倉庫内で買付をかえまして、混同しないようにいたしております。そうしてまずA級の場合におきましては、大体従来の観念から申しますと、混入率からいつてもそういうパーセンテージは入つておりませんので、これは検査が合格したものという取扱いになるわけであります。B級、C級になりますとそういうことはいたしません。
  129. 滝井義高

    ○滝井委員 B級、C級というのは検査をしなければならぬものなのですか。
  130. 前谷重夫

    ○前谷説明員 原則といたしましてもちろん検査をいたすわけでありますが、検査が時間的に遅れまして返事がないというふうな場合におきましては、一応検査に合格したものという取六扱いが考えられておるものと思います。
  131. 滝井義高

    ○滝井委員 そうするとB級、C級の検査をどこでやりますか、国立衛生試験所ですか。厚生省が直接どこかに委託してやるのですか。これは今言つたように、こちらから適当かどうかと申し出る、そうすると、一、二箇月して返事が来ないものは、そのままこれはもう大丈夫だというようなことでは不完全きわまるものだと思うのです。やはりこれはA級でございましようか、B級でしようか、C級でしようかと来たら、これはA級だということを言つてやるのが政治だと思うのです。ほうつてつてもそれは大丈夫だ、配給していいということにすると、現実に一%以上出たものが配給のルートに乗つて問題になるのだと思うのです。そうすると〇・三%ならば無害だといつてつたのにもかかわらず一%以上あつた。それならば五日のわくにははまらぬわけなのです、ところが一%以上あるものが五日のわくにはまつて配給されたというような事態になつて、現実にどこもそういうものは買わないのだ、こういうことになるわけです、もしそういう場合には、食品衛生法の四条の三号には「病原微生物により汚染され、又はその疑があり、人の健康を害う虞があるもの。」これは販売してはならぬことになつておるわけなのです。しかもその四条に違反した場合には、食品衛生法の二十二条で、厚生大臣もできますが、知事ができるのです。知事はそれを廃棄行分にすることができる、まぐろと同じなのです。廃棄処分にした場合は無償なのです。やがて来年の四月は知事選挙が行われます、そうすると、あなた方は〇・三%は無害であるときめても、黄変米を食わした知事なんというのは当選しませんよ。だからどこの知事でもごらんなさい、佐賀県にしても熊本県にしても、福岡県にしても、知事の権限で配給停止です。へますると農林省がいくら配給しようとしたつて、知事が廃棄処分を命じたら、いわゆる食品衛生法の四条の三号「病原微生物により汚染され、又はその疑があり、人の健康を害う虞があるもの。」とちやんと書いてある、黄変米はこれとそつくりなのです。この四条をたてにとつて厚生大臣じやない、知事でできるのです、二十二条には厚生大臣または都通府県立事は四条に違反しておつたら廃棄処分をすることができるというので、問題はこういうことになつた場合に、責任はどこでとるかということなのです。食管会計の赤字というものはだれが責任をとるか、国民責任を負うことはできません。問題はここにあるのです、現実に黄変米が問題になつて、政治的なもので基準を決定しても、来年の知事選挙を控えた知事が、毒のあるようなものを国民に食わしたら当選しない、現実にどこもこの配給を中止しておる、福岡県でも熊本県でも、佐賀県でも、そういう情勢がだんだん出て来ておる、婦人会はこういうものは受けませんと外米拒否の問題が起つて来ておる。黄変米拒否じやない、外米拒否の運動が起つて来ている。こういう事態になりつつある現在において、食品衛生法の四条と二十二条の関係というものは、どういうことになるのかということなのです。あるいは今言つたA、B、C級の処理というものは一番最後の責任者はだれなのかということなのです。この点をひとつはつきりしてもらいたいと思います。
  132. 前谷重夫

    ○前谷説明員 第一の点でございますが、知事が廃棄処分にいたしまする場合には、これは食糧特別会計からの売却ができないという形であろうと思います。卸売業者が食糧特別会計からの買入れを拒否するということになりますから、そのものとして食糧特別会計に残るということになると思います。その場合におきましては、基準に従いまして他用途に、たとえばみそでございますとか、その他の用途に配給する、こういう形になると思います。
  133. 楠本正康

    ○楠本説明員 ただいま御質問の食品衛生法第四条との関余でございますが、食品衛生法第四条の人の健康をそこなうおそれありという判断を厚生、農林両次官の覚書によつてきめたわけでございます。従いまして知事としては、さような判断を無視いたしまして廃棄処分等をいたすことはあるまいと考えております。しかしながらかようなことがありといたしますれば。今後十分指導をいたしまして、かようなことがないように、つまり行き過ぎのないように善処いたしたい考えでございます。
  134. 滝井義高

    ○滝井委員 おそらく廃棄はしないでしようが、二十二条によればこれは販売を停止することもできるわけなのです。そうすると何万石という米が配給を停止される、現実に停止されておる、佐賀県も停止しておるはずだ、熊本も停止しておるはずだ、現実に停止されるならば、米の配給操作の上に大きな支障を来すことは当然だ。これはもう千トンや二千トンの米じやないのですから、全国的にすれば、二日分か三日分の米が販売を停止されることになる。そうすれば停止されたかわりのものを送つてやらなければならないわけです。その間の操作は当然食糧庁においてはやらなければならぬと思うのです。だからこういう廃棄と同じような停止ということは、結局食わないことなんですから、廃棄と大してかわりはしない。もちろん食管特別会計にはすぐには赤字としては響いて来ないでしよう。だがだんだん長く停止されて、倉庫に入れられておれば、これは今言つたように、だんだんその米の価値は下つて来ることは明らかである。そうすると、実際の配給のルートに乗せても、今度はそれを買わないという事態が起つて来る。知事が一応停止したものを、今度何とか国民に納得させて買わせようとしても、これは買わなければそれまでだ。だから結末はやはり政治的な不信の問題になつて来ることになる。だから停止をした場合に——これは現実に停止をしておるわけですが、農林省はかわりの米を送つておるようであります。福岡の食糧事務所には、かわりの米を送られておる。これは知事のそういう権限を認められた上でのことではないでしようか。今言つたように、知事がそういうことをするのは行き過ぎだと言つておるが、農林省がかわりの米を送つておるのは、そのことを認めて送つておるのではないのですか。
  135. 前谷重夫

    ○前谷説明員 これは食品衛生法の問題とは別に、結局買入れの品物につきまして、知事側なり府県なりから意見が出ておるのでありまして、われわれとしては、配給責任がございますので、買わないというものを買えと言うわけに行きませんから、代品を送つておるという形になります。
  136. 滝井義高

    ○滝井委員 買わないというものを無理に売るわけには行かぬから代品を送るということになりますと、どうも基準というものが権威がないものになつてしまうわけですよ。知事が廃棄処分と同じ効果のある販売を停止するということはどうも行き過ぎだと今楠本部長さんは言われましたが、これはどうなんですか。厚生省の権威はまつたくなくなつてしまうことになるのですよ。
  137. 小島徹三

    小島委員長 どうです、ひとつみんなよく考えて、あしたでも答弁してもらいましよう。
  138. 滝井義高

    ○滝井委員 それでは答弁できなければ次に移ります。  厚生省黄変米は栄養があるとお考えですか、どうですか。普通の米と同じように含水炭素、蛋白質、脂肪というものの比率は、一粒の米には、分析の結果何パーセント、何パーセント含まれておる。大体黄変米はどの程度の栄養が減じておるのか、あるいは栄養炉全然なくなつておるのか、その点をひとつはつきり承りたい。
  139. 楠本正康

    ○楠本説明員 白米の病変米——まつたく見かけ上何ら差のない病変米につきましては試験がしてございませんが、おそらく普通の米とかわるまいと考えております。
  140. 滝井義高

    ○滝井委員 どうも普通米とかわりがないらしいくらいではだめなんで、これもひとつぜひ検査してもらいたいと思います。なぜならばこれはもう明らかに栄養が落ちておることは、米の生気がなくなつておる。油気がない。脂肪がない。これはつぶしてもぽろぽろの粉になるものと、われわれがつぶしてもぽろぽろの粉にならないものとは形態が違うのですから、質がかわつておることは明らかなんです。だからそういう点は栄養のないものを配給してもものの役に立ちませんから、それならば値段を下げなければならない。栄養のないものを配給するということになれば、米としての価値というものは半減しておるから、そこらの科学的なもつとはつきりした、栄養がどうだ、いわゆるりつぱな外米黄変米との栄養の差はどうだということ、そうしてもし栄養がないならば、値段を下げることは当然なんです。それを普通の白米と同じ値段で売るなら、これは詐欺なんだ。ある人がこういうことを言つておる。もしこの米を買つてつて厚生省が大丈夫だと言つた基準で食つて障害が起つたら、これは傷害罪で訴えると言つておる。これは傷害罪で訴えられるはずなんだ。食品衛生法上大丈夫でございますといつて国が保証したものを食つて、その結果肝臓がはれて来たら、これは傷害罪で訴えられます。それを栄養のないものを栄養のあるものとして売れば、これは詐欺なんだ。だから当然値段は、百円するものなら八十円か七十円に下げなければならぬ。そういつたことの詳しい結果については、あす学者が来ますからわかりますが、栄養が落ちておれば、食糧庁としてはこの販売値段を下げるかどうかという、この点もひとつつておきたい。
  141. 前谷重夫

    ○前谷説明員 これは滝井さんも御承知のように、現在一定の標準におきまして栄養を標準とした価格はつけておらないわけであります。ただ、もちろん通常の白米としての価値というものは、栄養と同時に嗜好の問題がございますので、外米につきましては内地米とは別個の価格をつくつておるわけであります。ただこれが非常に栄食的にこわれるということは、同時に外見的にも、今のお話のようにぽろぽろになる、こういう場合には商品として当然普通の商品とはかわつたウエートのものになります。ただ栄養の問題は、われわれ今まで聞いておりますところは、そういう病菌がございますが、栄養の考え方でございますが、普通の蛋白、脂肪その他については、それによつて影響はされないように聞いております。ただ外米につきましては、御承知のように軟質米と硬質米の違いがありまして、内地米のように軟質米ではございません。ぽろぽろするとかあるいは脂肪的な要素が少い。これは外米本来のものについてあることはあり得るのであります。
  142. 小島徹三

    小島委員長 滝井君、杉山先生の御質問がございますからその程度で……。
  143. 滝井義高

    ○滝井委員 もうあと二問で終ります。  そうすると、現在こうして黄変米が非常に問題になつておるわけなんですが、食糧庁としてはもみで輸入する意思はないかどうか。それからいま一つは、外米の輸入方式をちよつと簡単に御説明願いたいと思います。たとえばタイ米ならタイ米でけつこうでございますから。
  144. 前谷重夫

    ○前谷説明員 もみの問題でございますが、まず第一問題といたしまして、もみの場合に菌が付着しておるかどうかということの研究がまだついておりせまん。まあ行つた考の話によりますと、ついておるのではないかという意見もありますし、もみの場合は大丈夫だろうという意見もございます。この点は今後検討しなければなりませんが、ただもみの買付の問題になりますと、これはまた別の問題になります。と申しますのは、御承知のようにタイにおきましては、もみの輸出は許可制にいたしております。現実の問題として輸出は全然許可されておりません。それからビルマにおきましては、これは許可制と申しますか、一応こちらから申請すればそれは受付ける建前にはなつております。しかし現実の問題といたしまして現地の精米、これは国内産業の関係上現実には認められておらないということになつておりますから、この点につきましては相手国がそのもみの買付を認めるかどうか、現在までの状態においては、われわれは相手国がこのもみの買付は認めないというふうに考えております。  それから外米の輸入の方式でございますが、これはビルマにつきましては、御承知のように三年間の契約で数量は初年度は三十万トン、以降二十万トン、そうして価格につきましては。ビルマが外国に売る価格よりも高くないという契約をいたしております。品質につきましては、これはそれぞれのビルマの品種がございます。その品種別にビルマの政府側と日本政府とにおきまして数量の協定をいたしております。たとえばナツセン種何万トン、ミードン種何万トンということで、われわれといたしましては良質ものを買うように品種別に数量を協定いたしております。これは政府間でそういうものをきめまして、商社でもつて代行せしめております。商社につきましては、ビルマにおきましては従来から民貿開始以来三社が取扱つておりますので、これを指定いたしております。タイにつきましては、建前上は政府間の貿易と民貿と両方があり得るわけであります。従来もタイの米穀の供給が困難なときにおきましては、タイ側におきましては一定の価格をもつて政府間の数量を少くして、民貿の形をとりまして取引しております。これも実際問題としては全部輸出許可制になつておりまして、それは高値でやるという形になつておつたわけであります。昨年度から食糧の需要状況もだんだん緩和して参りましたので、最近タイにおきましては、もち米を除きますると政府間の取引になつております。
  145. 滝井義高

    ○滝井委員 そうするとこのもみの輸入は必ずしもできないことはない。タイが許可制、それからビルマは申請を受付ける——実際は行われていないらしいのですが、将来における東南アジアと日本との関係というものは密接なものになるわけですから、従つてこれは外交的に、ある程度政治的な解決をすれば私はもみで買付できる同能性は十分あると思う。ただ問題は、もみを持つて来るということは、量の上から船腹その他に困難が伴うということでありましようが、米で持つて来たものに相当多くの黄変米があるということになれば、そういうことも一つ考え方かと思います。  それからいま一つは、私は商社にやはり相当責任を持たせなければいけないのじやないかと思うのです。外米検査にあたつて、昨年ごろからタイあたりでは大手の三菱とか第一物産、日綿というような大きな商社が中心になつてつておりまして、それらの商社は最近はしけの請負までやつておるのですから、当然検査の請負もそれらのものにやらせて、そしてこつちに来て黄変米が出たら、その商社の損失にしてしまうというくらいのところまで持つて行くことが私妥当じやないかと思う。こつちから官吏が行つてあそこでやるということもなかなかたいへんですから、むしろ商社に責任を持たして、黄変米の輸入検査を国が委託してやらせる、その費用は国がある程度出すということにすべきだと思います。  それからいま一つは、現在国内にある五万六千トンといわれておる黄変米の処理の問題ですが、これは現在のようにこじれると、厚生大臣が言われるように、国民が納得してから何とかうまいことやりますと言われても、なかなかこれは納得が行かないものなんです。そこで私は、二十六年に一万トン、二十七年に一万三千トンと黄変米が出て、それをお菓子とか、みそ、しようゆなどにしたと思うのです。その場合に、大体現在の日本において上質のものは菓子にし、中級のものはみそかしようゆの原料にし、それから非常にたちの悪い低級なものは工業用アルコールとかのりの原料にされたりしておるようでありますが、この五万六千トンをそういうように食糧以外のものに持つて行くということにはになれば、食管特別会計には、十億か二十億か知りませんが相当な赤字が出ると思います。しかしこういうぐあいに問題がこじれて来ると、配給のルートに乗せても、今言つたよう食品衛生法との関係があつてなかなかスムーズに行かないと思うのです。従つて二・五%というようなものは、むしろ思い切つてこの際政府みずからが天下に声明をして、そしてこういうお菓子とかみそとか工業用アルコールにやりますというくらいの、親心といつてはおかしいが、政府が率先して公明な政治をやることが必要だと思う。政治責任をはつきりして、そして問題は、今後の外米の輸入については絶対大丈夫だという保証を国民にするというのが政治だと思うのです。国民のいやがるものを無理に押しつける必要はない。そこで今後の日本における五万六千トンの米が、お菓子とか、みそとか、しようゆとか、工業用アルコールとかのりとかいうものに大体どの程度つて行き得る可能性があるかどうか。これはあなた方は持つて行かないつもりだろうが、一応持つて行く可能性があるかどうかという点なんです。どうもある人の話によれば、五万トン、六万トンではとてもアルコールや何かに持つて行つたつてさばき切れないという話があるのですが、大体その方にまわし得る限界量はどの程度であるか、こういう点を最後にお聞きしておきたいと思います。
  146. 前谷重夫

    ○前谷説明員 大体申し上げますと、みその場合におきましては、年間六万トン程度の需要がございます。アルコールの場合におきましては、これは糖蜜、とうもろこしその他切ぼし等の原料関係によつてつて参ると思いますが、アルコールの消費量というものは相当多いわけでございまして、原料がどういう程度に輸入するかということと関連して、相当な需要があると思います。菓子について申しますと、御承知のように現在の統制下におきましては、いろいろやみの問題もございますが、需要の面といたしましては、これは相当あるということはいえます。
  147. 杉山元治郎

    ○杉山委員 三人の同僚議員が、おもに医者としての立場から専門的な質問がございましたので、私は繰返してその点は触れたくないと存じますが、まず第一に食糧庁長官にお伺いいたしたい点は今輸入外米の中でどこの国とどこの国から入つているかということと、それからその中でどこの国の米がおもに黄変米になつているかということを、一応先に示しておいていただきたいと思います。
  148. 前谷重夫

    ○前谷説明員 これは米穀年度で申し上げるとはつきりするかと思いますが、大体本年度におきましては、約百五十万トンの米の輸入を計画いたしたわけでございます。そのうちビルマが三十万トン、タイが五十五万トン、台湾が八万トンから十万トンというふうにして契約いたしております。それからアメリカにつきましては四十万トン、そのほかはスペイン、イタリア、中南米、パキスタン、仏印、こういう形になりまして、中共もそのほかに入つております。大きな輸入数量といたしましては、半分以上がタイ、ビルマになつております。この場合におきまして病変米の発生いたしておりますのは、タイ、ビルマの量が一番多うございますが、その他の地域にも発生いたしております。中南米のもの、先ほどお話がございました加州米、イタリア米、相当各地域に広がつております。ただ全然ないのは台湾ということになつております。
  149. 杉山元治郎

    ○杉山委員 そうすると輸入される米の大部分にはある、こういうように考えてよいわけでございますが、そういたしますと、今滝井委員からもお話になつておりましたが、この買付が大きな商社に一任しておつて、戦前には農林省の監督官と申しますか、そういう者が出ておつたと思うのでありますが、現在はどういう状態になつておりましようか。
  150. 前谷重夫

    ○前谷説明員 タイ、ビルマにつきましては、大使館に農林省の係官が大使館員として行つております。それから買付の最盛期におきましては、食糧庁から技術官が出張の形式で現地に参ります。その他の地域につきましては、まだそういう手段はとつておりません。
  151. 杉山元治郎

    ○杉山委員 わずかの国には駐在官がおるが、しかしそれは、そういうような検査をする技術官でなしに、ただ買付の監督をするという建前くらいでないかと思うのでありますが、もしほんとうに検査をするような技術官がおいでになつておれば、これは非常に好都合だと思うのです。そうするとこちらに来てこういう大騒ぎをする前に防止することができるのではないか、そういうような意味において、今日たくさんの国費をむだにすることを考えるならば、少々の金を使つて多数のそういう技術官を現地に置いておくことの方が、非常に好都合ではないかと思うのですが、政府はそういうようなことについてどういう考え方を持つておるか。今後将来において、できるならばそういうような技術官を置こうとしておるのか、そういう点なども、将来のことですが、もしお漏らしできれば聞いておきたいと存じます。
  152. 前谷重夫

    ○前谷説明員 買付にあたりましては、大量の国に対しましては、その時期に技術員を派遣いたすということで、これをだんだんに拡充いたして行かなければならない、かように考えております。ただ今回の問題は、従来のわれわれが穀物検査として考えておりました常識なり、経験なり、知識とは全然別の観点から定められなければならないということになりますので、従来の知識、経験では実は役に立たないわけであります。厖大なる設備なり専門的な技術者をもつて検査しなければ、普通のわれわれが穀物取引として常識を持ち、経験を持ち、知識を持つておる。これでは間に合わない。そのためにどうするかということは今後の問題として研究しなければならないと思います。
  153. 杉山元治郎

    ○杉山委員 お話の通りだと思いますが、そうだからというて、これを無為に捨てておくわけにはいかないのであつて、いわゆる国費のむだになることを考えますならば、むしろそうした方が利益になるならば、進んでとつていただかなければならぬと思うのであります。先ほどのお話で一%黄変しておつたようなものは除く、それはやはり商社がやつておるのですか。あるいは今お話の出張の方がこれをやつておるのですか。
  154. 前谷重夫

    ○前谷説明員 穀物取引は、杉山先生も御存じの通り、国際的に一つの規約がございますが、これに立会いますのは、原則といたしまして、国際的に検定いたしておりますスーパーとか、デルパンとか、世界的な会社がございます。従来はタイもビルマも自国の検定をもつてフアイナルということに落ちついておつたわけですが、黄変米の問題がございましたので、この世界的なインスペクターが立会う。同時に日本の商社も立会う、向う側の検査官も立会う、こういう合同立会いという形で検査をいたしておるわけであります。ただそこで検査官の意見が合わない場合におきましては、それぞれ最終的な決定は、ビルマですと中立検定局、ビルマの国定検定機関でやります。タイも同様にタイの国定機関が最終的に決定する、こういう形になつております。
  155. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それほどにしていわゆる検査をして来たものが、内地の港に着きましたときに、今問題になつておるような大量に黄変米が出る、こういうことは、途中のいわゆる船艇の中における湿気なり温度なりの関係でなつて来たのでしようか。あるいは今お話のように専門的な知識がないから、いわゆる従来の方法でやつたため、そういう関係でなつたのか、その問題がはつきりしないと、やはり従来の取引の立会い、こういうことだけなら、今度は今お話のように少し大がかりでも現地にそういう人たちを送つておく、そうして日本内地に来てこういう問題を繰返さない、こういう方法をとらなければならぬと思いますが、その米はいかがなんでしようか。
  156. 前谷重夫

    ○前谷説明員 資料もございますが、これがいわゆる菌のあるものでございまして、これが菌のないものでございます。これは外見的に見ますと全然かわりはございません。内地に着きましても、厚生省で菌培養していただいて初めて有無がわかります。普通の現地の検査におきましては、現地で菌培養するとか、先ほどお話もございましたように、相当期間あらかじめサンプルをとつて、それによつて、品物の菌検定をして買いつける以外に、従来の取引方法においては現実に物理的に見わけることが困難だという状態になつております。
  157. 杉山元治郎

    ○杉山委員 滝井さんも触れましたが、お話によると、もみの買付も菌が付着しておらないと断定できないというお話でございましたが、普通のしろうと常識から考えると、もみの皮をかぶつておれば黄変菌がつかないんじやないか、こういう感じがいたしますので、そういうものがつかぬということなら、これは向うさんの方のいろいろの問題もあろうけれども、いろいろクレームの問題なども起ることを申し入れて外交的にやれば、もみの買付も可能になるんじやないかと思うのですが、そうしたことの方が、いわゆる経瀞の点においても、また今申すようなあとにいろいろ苦情を残すというような点などにおいても非常によいことでないかと思う。私もこの際もみの買付ができるならばもみの買付で行つた方がいい、こういう考え方を持つておるのですが、政府の方は進んでもみの買付の方にやつて行こうという意図を持つておるのか。あるいは相手の問題ですけれども、しかし相手を説いてでもやつてつて黄変米問題を解決しよう、こういう意図を持つておるかどうか、その点も一応伺つておきたい。
  158. 前谷重夫

    ○前谷説明員 黄変米の解決につきましては、われわれも何とかいたさなければならぬと思つていろいろ研究いたしておりますが、もみの問題は、先ほど申し上げましたように相手方の問題が一つございます。もう一つは実はこれは農林省の問題でございますが、植物防疫法におきまして、内地のもみなり品種の稲の保護のために病虫なり、ばい菌がつくということをおそれまして、現在におきましては、台湾と沖縄と朝鮮と、従来検疫をしてそのもみには内地の農業生産を害するようなものがないという地域だけに輸入を限つておるわけです。国内的にも農業生産の面からして検討しなければいけない問題があります。  もう一点は、御承知のように、国内でもみの脱穀精米ということになりますと、輸入港におきまして厖大な別の設備をつくらないと、内地の処理ということが、もみから玄米にするということが、現実の問題として現在の設備ではできない。もみの買付なり輸入につきましては、そういういろいろな問題を検討いたしませんと、これがよい悪いという結論が他の面からも問題がございます。なおもみの量から行きますと、ます日で行きますと、玄米の半分くらいでございます。容積的にも、船舶の費用なりその他のコストの問題がもちろんございます。それ以外に国内の農業の問題、それから現実の精米の問題についても検討しないとただちに実施ができない状況でございます。
  159. 杉山元治郎

    ○杉山委員 買付の方の問題はこれくらいにいたしまして、国内に入つて参りますときに、ここに資料をいただいたものによりますと七つの港を書いておりますが、この七つの港以外に外米が入つているところもございましようか。
  160. 前谷重夫

    ○前谷説明員 外米の輸入は、大体指定貿易港には原則として入り得るわけになつております。消費地の関係で、われわれといたしましては従来は表日本が中心になつておりまして、本年六月からさらに生産地に対しても外米配給いたしております。裏日本にも配給いたしております。この入る場所は、そのときの需給状況によりましてかわつて参ります。ただその場合におきましては出張していただく、こういうことになつております。
  161. 杉山元治郎

    ○杉山委員 今の資料によりますと、貿易港における駐在員はわずか十四人ということになつておりますが、この人達が、神戸にでも大阪にでも何方トンという量が入つて来ております。抜取り検査という話もございますけれども、これはどういうような検査をやつているのか。従来あまり簡単な検査で、とつたものにはかりになかつたといたしましても、他の部分には相当あるものもあるのであります。そういう危険性は私ども非常に感じるのであります。もしこれを一々やるというなら、このわずかの人で何方俵というあの米の袋を検査することはとうていできない。さしただけでも手がはれてしまうだろう、こういうので、今検査しているのは、ただ簡単に、あのたくさんの俵の中で抜取りなら抜取りの検査をやつているのか。その抜取り検査の中には、今言うように、これはないと断定したけれども、実は他の部分の方が多くあつたためにこの中に黄変米が入つているという危険はないか、この点をひとつ伺いたい。
  162. 楠本正康

    ○楠本説明員 御指摘のように、わずか十四名という少数の人間でこれを実施いたしております。方法は大体荷積みの際に生産地、扱者、そういうものでみなそれぞれ量がきまつております。従つてそういう点を考慮に入れましてそれぞれの区わけをいたしまして、そのうちから俵にさしをつつ込みましてとるわけであります。なおこのとる数量は、全体の数量によつて差がございますが、これらの点につきましてはいわゆる統計学上のサンプリングスというものを扱つておりますが、しかしこれらの点につきましてはなお研究の余地はあろうと存じますが、存じますが、私どもは一応さような袋ごとにさしを入れて抜きとる。そうして数の多い場合には全部の袋にいたすわけではございませんが、これらは統計学上の一つの確率数を基本といたしまして抜きとつておるわけでございます。
  163. 杉山元治郎

    ○杉山委員 これは厚生省の頭の中の問題であつて、現場でやつてる人たちがほんとうに確率的にそういう統計学的な方法でとつておるかどうか。いろいろ現場に行つて聞いてみると、そういうことではなさそうな点があるのであつて、どうもああいうような状態であつたならば、いわゆる黄変米はのがれていやしないか、いいというもののうちに実は入つておるのじやないか、こういう点を私どもは心配するのです。しかし一々これを検査することは、なかなかたいへんな量であつて、ちよつと言うべくして行われないと思うのです。しかもこういう二人や三人で、たとえば大阪に入つたときに二人の人が神戸から手伝いに来た、こういうときに幸いにというか、大阪で発見しているようですけれども、ほんとうにたくさんの数なんで、精密に検査したらもつともつと大阪の場合には出たのではないか、こういう心配を私どもはしておるのです。それでこの今の黄変米の量も、もう少しほんとうから言えば検査官の数が多かつたら、もつともつと出ておるのじやないかという感じもするのですが、その点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  164. 楠本正康

    ○楠本説明員 これは御指摘のように、私どもは抜取り検査のやり方を、机上のいわゆる統計学上の確率数から考えて実施をいたしております。従いまして現場におきまして、私どもは今後さような確率性を尊重した方針通り抜取り検査を行うことを極力指導いたしたい決心でございます。またそのようにやつておると信じておりますが、なおこまかく申し上げますと、現在、先ほど申し上げましたように一つの区わけ、つまり積荷、生産地、扱者というようなものから、おのずから一つのグループがございますが、われわれロツトと称しておりますが、これから約一ロツト、その数にもよりますが、約五十俵のうちから、一俵について十グラムないし二十グラムを抜きとりまして培養検査をいたしておるわけでございます。別な話になりますが、現在はむしろ検査能力の方に要員の不足を感じておる状況でございます。
  165. 杉山元治郎

    ○杉山委員 今の一グループ五十俵と申しますが、この五十俵のごときもの一はごくわずかな数であります。全体の数から申しますとほんとうに少い数でございますから、私は先ほど言うたような点を非常におそれるので、この点をもう少し拡充して行かなければ、この人たちは単に黄変米検査だけではなしに、いろいろの食料品の検査もやつているので、とても手が足りそうもないと考えておりますから、その点をもう少し御考慮をいただきたいと同町に、さきに三十八人という話もありましたが、この十四人の人も入れて三十八人でありますか。
  166. 楠本正康

    ○楠本説明員 その通りでございます。
  167. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それではあとに残つている検査をする人たち二十四人でやるということでは不十分だと思いますが、ともかくももう少し検査内容を充実してもらいますことと、先ほどいただいた資料によりますと、そういうようなものがあると認めたときには、これを検査して、そうしてこれを農林省にまで通知をする、この間先ほどの話によれば十五日以内には十分できるはずだというが、そういうことが迅速に行われておれば、農林省の方は配給をするということを控えるのではないか、来ないからこれは大丈夫だろうと配給したというようなことで、前から問題が起つておるようですが、今言う試験をするものをとつて、一体今度はほんとに何日くらいで農林省に報告することができるのですか、その点一応聞いておきたい、
  168. 楠本正康

    ○楠本説明員 最近は大いに馬力をかけまして、しかも最近かたまつて入ることがございませんので、一応三週間程度で報告ができております。最近の話でございます。
  169. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それじや三週間で間違いのないように農林省厚生省の間にずれができて黄変米配給されるというようなことのないようにやつていただきたい。菌の問題については明日専門家の方々から伺うということですから、それを伺つてからいろいろ尋ねてみたい点がたくさんございますが、きようは事務的な点だけにとどめまして私の質問を終ります。
  170. 小島徹三

    小島委員長 本日はこの程度にとどめ散会いたします。次会は明十二日午前十時より開会いたします。    午後一時七分散会