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1954-06-03 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第56号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月三日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君    理事 松永 佛骨君 理事 古屋 菊男君    理事 長谷川 保君 理事 岡  良一君       越智  茂君    助川 良平君       中野 四郎君    神近 市子君       滝井 義高君    河野  密君       杉山元治郎君    山口シヅエ君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君  委員外出席者         大蔵事務官         (関東財務局管         財部長)    上田  新君         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         参  考  人         (板橋区長)  渋谷常三郎君         参  考  人         (興亜寮自治会         代表)     田村 英郎君         参  考  人         (板橋民生課         長)      千葉 哲郎君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ————————————— 六月三日  委員鳩山一郎君、三木武夫君、萩元たけ子君及  び山口シヅエ辞任につき、その補欠として山  口六郎次君、山下春江君、神近市子君及び河野  密君が議長の指名委員に選任された。 同日  委員神近市子君及び河野密辞任につき、その  補欠として萩元たけ子君及び山口シヅエ君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会審査申出の件  興亜寮問題について参考人より説明聴取  厚生行政に関する件  社会保障に関する件     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず閉会審査申出の件についてお諮りいたします。先般の委員会において閉会中の審査事件を決定いたしたのでありますが、当委員会に付託になつております只野直三郎提出水道法案は、内閣提出水道法案参議院において閉会審査になる模様でありますので、そうなりました場合、当委員会といたしましては閉会中の審査申出をいたすことにしたいと思いますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なお閉会中の審査に関し小委員会を開くような事態が生じました場合は、現在当委員会に所属しております小委員会を全部引続き設置することとし、小委員に欠員を生じました場合における補欠選任に関しましては、委員長に御一任願つておきたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。   暫時休憩いたします。    午前十時三十九分休憩      ————◇—————    午前十一時十三分開議
  5. 青柳一郎

    青柳委員長代理 委員長が他出中でありますので、私が委員長の職務をとります。  これより会議を開きます。  黄変米の問題について岡委員より発言を求められております。これを許します。
  6. 岡良一

    岡委員 環境衛生部長にお伺いいたしたいと思いますが、最近新聞紙等を通じまして、外国から輸入される主要食糧である米について、その品質国民栄養支障があるやのことを承るのでありまするが、現在厚生省としてはどの程度の規格に合致するものが国民栄養上さしつかえないものとして外米を処理しておられるのであるか、まずこの点をお伺いをいたしたいと思います。
  7. 楠本正康

    楠本政府委員 お答えを申し上げます。現在私ども黄変米の問題につきまして、食糧としてどの程度のものまでを許し得るかという問題につきましては、かねて私ども付属研究機関並びに各大学の研究成績あるいは諸外国文献等を総合いたしまして、しかも学者の意見を聞きまして、一応の基準を定めております。これにつきましては御承知のごとく、黄変米にはいろいろな種類がございますが、まず最も多いタイ国黄変米といわれております種類につきましては、一%以下の分は飯米として配給をすることといたしております。なお一%以上一〇%の間のものまでは、みそ等加工用食糧原料として使用することといたしております。さらに一〇%以上になりますものは、工業用原料として食糧以外に使用することといたしております。  次に韓黄変米といわれる黄変米種類につきましては、一%以下のものでありましても、その毒性にかんがみまして搗精あるいは水洗を十分行いますことを前提といたしまして、菓子原料あるいはみそ原料等といたしております。さらに一%を越えますものにつきましては、すべて工業用といたす方針をとつております。  次にこれら両者の黄変米を混合したものにつきましては、重きに従いまして韓黄変米に準じて処置をいたしております。なおこれらの基準につきましては、農林省とも十分に相談をいたしまして、かような基準を定めておる次第でございます。
  8. 岡良一

    岡委員 それでは最近そのような基準をもつてこれを国民主要食糧として配給するに至つていない、そのために波止場、倉庫等滞貨しておる黄変米等は、一体何トンあるでしようか。
  9. 楠本正康

    楠本政府委員 現在各地の倉庫等に貯蔵されております、以上申し上げました黄変米基準に合致いたしますものは、現在五万六千九百五十六トンに至つております。
  10. 岡良一

    岡委員 五五六千九百トンということになりますと、これはたいへんな量になるのであつて、おそらく小さい都市の一箇月分の米の配給量にも匹敵するかと思うのでありますが、一体このような黄変米が荏苒目を暮して倉庫の中に滞貨しておるということは、ここに何かやはり行政上の手違いがあるのではないかと私ども危惧いたすのでありますが、この点についての御所見はいかがでしよう。
  11. 楠本正康

    楠本政府委員 これらは輸入されました都度、港におきまして一部私ども検査をいたしました結果、かような数量が出ておるわけでございます。なおこれらの米につきましては、先ほど申し上げました基準に従いまして、それぞれ農林省にその結果を報告し、農林省の方におきましてこれらをみそ原料菓子原料、あるいはアルコール原料等仕訳をいたすわけでございますが、ただ量が非常に多いために、いまだ仕訳に至らず存在しておるわけでございます。ただ、最近農林省におきましては、この量が意外に多いところから再搗精をいたしまして、さらに検査をし、その結果に基いて仕訳をするということを考えております。これはもちろん私ども了解をいたしておりますので、これらの再搗精等に要する計画その他に時間がかかると存じます。  なお一言申し上げたいと存じますが、昭和二十七年は約六千トン、昭和二十八年におきましては約一万トンでございましたが、昭和二十九年になりまして、一月から現在までに十一件、合計五万四千余トンがかような結果と相なつております。従いまして、滞貨いたしておりますのは、きわめて最近になりましてこれらの輸入が多くなつて来たことにむしろ原因があるだろうと存じます。
  12. 岡良一

    岡委員 せつかくこうして、結局は国民の負担となる形において、主要食糧の不足を補う意味で輸入される外米が、本年度になつてから急速度に不適格米が多くなつておる。そうして金額にしても莫大なものが滞貨のままに放置されてあるのは、私としてはゆゆしき問題だと思うわけです。これについては当然厚生省としても、国民栄養を主管する省といたしまして、適当な方法によつてこのような不適格外米輸入はこれを阻止するという手が打たれてしかるべきだと思いますが、これらの点については、あなた方の方で外務省、通産省等に御連絡いただいてあるいは食糧庁等に御連絡いただいて、適当な手段を講ぜられておるのかどうかという点。それからまた、もしそうでないとするならば、これはいたつて怠慢であると私どもは思うのでありますが、将来いかなる措置を講ぜられようとしておられるのか、これらの点を伺いたいと思います。
  13. 楠本正康

    楠本政府委員 まことに御指摘通りでございまして私どもといたしましては、従前、いかなる食糧輸入すれば国内において引受けなければならないこととなつておりました。かようなやり方は、終戦直後非常に食糧に難儀をいたしました当時の遺物であるとも考えられるのでありましてそこで、前国会におきまして、私どもは、かように衛生支障のあるような食糧は、検査の結果輸入を禁止することのできる措置とつた次第でございます。従いまして現在の法律におきましては、検査の結果食糧として不適当なものは輸入できない建前になつております。これが私どものとりました一つ方法でございまして、かような国の法律によりまして初めて相手国に対してクレームをつけることもできますし、あるいは買付の際にもそれだけ注意される、こういう結果になるわけで、これを一つ対策として講じたわけであります。但し、主要食糧につきましては、農林省が直接これを輸入いたします等の関係がありまして、法律をそのまま適用するということは政府としてもはなはだ困難な点もございますので、一応はかようなものは現在輸入の形になつておりますが、しかしながらこれらの点につきましては、私よく存じませんが、甘木政府買付先の国との契約によつておそらくかような結果になつているのだろうと思います。従いまして、結論的に申し上げますと、必ずしも食品衛生法趣旨にのつとつて輸入を拒否できないところに悩みがあるのではなかろうかと存じます。ただしかし、農林当局に聞きますと、食品衛生法輸入拒否の規定によりましてクレームをつけることができて非常に便利であるということは聞いております。  それからなお、これに対する将来の対策という第二点の御質問でございますが、私どもといたしましては、できるだけ現地においていい品物を買つていただくという以外になかろうと存じます。しかしながら、これをいたします一つ悩みというものは、現在世界市場に出まわります米というものは、わずかに四百万トン程度と記憶をいたしておりますが、そのうち日本は百万トン以上を買いつける、つまり三分の一以上を日本だけが買いつけるところに根本的な悩みがあるのではなかろうかと存じます。
  14. 岡良一

    岡委員 そこで、輸入を禁止できる、あるいはまたクレームをつけることができる、時と場合によればキヤンセルもできる。しかしこれはいわば後手後手と、後手に追われているような対策になるわけなので、いかに大量を日本が買いつけるといたしましても、やはり現地において十分に吟味をし、また十分に信用のできる相手からこれを買いつけるというような点については、これはやはり現地における買付の操作の過程において、厚生省の考え方というものが十分に反映し得るような措置が講ぜられるべきではなかろうか、これがきわめて形式に流れているかあるいはなされていないか、こういうことから、結局輸入してみたら黄変米が多い、不適格米が多いということになつているのではなかろうかと私は思うのであります。問題は、買いつける現地において、こうした好ましくないものを買いつけないように、來雑しないものを買いつけるように、そうした観点から吟味をした買付方が必要ではないかと思うのでありますが、こういう点については、厚生省としては、何か直接現地においてタツチをされておるのか、あるいはまたそういう方面にも何らかの手段を講じようとしておられるのか、それとも、世界市場に出まわるものは四百万トンで、そのうち時によれば百万トン以上も日本が買いつけるのだから、多少そんなものが入つてつてもいたし方がないということでながめておられるのか、どういうふうなお考えで臨まれるのであるかという点を一応承りたい。
  15. 楠本正康

    楠本政府委員 これらの点につきましては、私どもとしては、かねて農林省に強く申入れをいたしておりますが、しかしながら農林省におきましても、これを買いつける国の代行機関として買付をいたしておりますものは、商社または現地外務当局がこの責任を負つております関係等もございまして、これらの点に徹底を欠くうらみがございます。しかしながら本年度は、農林省におきまして、買付の際には農林省から専門家を派遣して契約をするということを実施するように聞いております。しかしながら、私どもといたしましては、かねて、現地厚生省衛生担当官をも派遣いたしまして、買付の際に衛生的な検査をすることがいいのではなかろうかという主張をいたしまして、予算要求をいたしたこともございます。  なお最近フィリピンから米が入つて参りましたが、これにつきましては、あらかじめフィリピン政府相談をいたしまして、厚生省から検査官を派遣をいたしまして、そうして現地で調べてこちらに持つて参つた例はございます。この結果、フィリピンから入りましたものにつきましては全部いい品物が入つておるようなことでございますので、今後はできるだけ輸出国に対しまして了解を求めまして、あらかじめ厚生省から専門家、あるいは厚生省に限らず日本から専門家が行つて調べるということをいたしたいと存じます。しかし私はむしろわずか四百万トンの中から百五十万トンも買いつけようとするところに根本的な無理があるのではなかろうかと存じます。従つて厚生省立場としては、米もさることながら、むしろ麦によつてこれを補つた方が、外貨節約にもなるし、大きな国費節約にもなるじやないかということをむしろ強く主張いたしておるわけでございます。
  16. 岡良一

    岡委員 実はこの問題は非常に日本貿易根本にかかわる問題だと思うのです。この際意見だけ申し上げておきたいと思うのでありますが、たとえばパキスタンでは、日本貿易商社はまだ公然たる貿易商社としては登録を持つておるものはないのです。貿易商社としての登録税が非常に高い。カラチに駐在していても全然正規の貿易商社として認められていない。その結果、現地登録を得た商社との間に日本貿易商社契約を結んで、政府ライセンスを得てこれを輸入せしめるというような方法を主としてとられておる。そういう関係から、いわば現地諸君の意のままに日本貿易商社があやつられておるという結果になつて、しかも内地の貿易商社カラチでお互いに競争いたしますので、その弱みにつけ込んで、結局品質的にも悪い、価格としても高いものを引取らなければならないという結果になつておる。こういう点はやはり日本パキスタン貿易根本の問題としてまだまだ改善をされなければならない問題がある。あるいはまたビルマに行きましても、ビルマの米は日本買付をするぞというと、御存じのように農民は米をつくりますが、収買はほとんどインド人がやつておる。インド人日本買付という情報を耳に入れると、ただちに米の値段を上げて来る。そこで商社としては政府としての予算のわく内においてライセンスを受け、米の買付を始めておりますから、米の品質に触れないで、とにかく量的にまとめればいいという欠陥が起きて来る。これは私ども去年現地で見ておるのであります。こういうことではなかなか黄変米というものが、あるいはそうした国民栄養上悪いものが入つて来ることを防ぐ道がないのではないか。そういうところに根本の問題があるわけであります。そういう点は、やはり厚生省国民栄養に十分の責任を持つておられる立場上、四百万トンのうち百六十万トンも買いつけるのだから、中に悪いものがあつてもいたし方ないということでは私は相済むまいと思う。ベストとまでは行かないまでも、ベターへの努力というものはあつてしかるべきだ。今申し上げましたような日本東南アジア貿易における根本的な一つのウィーク・ポイントはありますけれども、それなればこそ現地で買いつけるときには、やはり衛生に関する専門担当官が十分その品質吟味するというくらいな親切がないと、また責任感がないと、せつかく入つて来た、ことしだけでも五万六千九百トンというものが倉庫滞貨しておる。金額にしてもたいへんなものである。生活保護法入院患者が強制退所させられるなどと言わなくても、これは合理的にやれば幾らでも予算的な措置が出て来るのじやないか、このままでずるずる行つたということになると、これはたいへんなことになると思う。楠本さんのように、多いからいたし方ないというあきらめではなく、ベストは望めないまでもベターであるということについては、通産省なり食糧庁とも十分御協議になつて、そうして遺憾のないように、今後はこういう大きな黄変米滞貨をかかえて国民も不安に感じ、政府も経済的な大きな損失をそのまま抱いておるようなことのないようにお願いしたい。  なお同時に今あなたの御所見についてお聞きをいたしますと、麦を代替した方がいいではないかというお考え、これは私どもも双手をあげて賛成なんです。そこで最近私どもが聞いた話では、ぱキスタン日本小麦を輸出いたしまして、大体その半量に当る米をパキスタンから日本輸入しておる。要するに米と麦を日本が交換をしておる。その量は大体半分の米をいただいておる。しかもこの米がほとんど黄変米であつたということを聞いておるわけです。こういう事実をあなたは御存じなのかどうか。どうせ厚生省としては、各倉庫について、また入荷する米についてその性質を御検討でしようから、どこから入つた米だということはわかつておられると思いますが、それなどから総合してそういうようなことがあるかどうか、この点についての御所見を承りたい。
  17. 楠本正康

    楠本政府委員 小麦と米とをパキスタンに対しまして交換する場合に、小麦半量をもつて代替をいたしたということは私も聞いております。なおパキスタンから参ります米は、全部厚生省衛生検査行つたのではないが、一部について検査行つた結果では、黄変米は発見されなかつたのでございます。  なお先ほどのお話でございますが、私も御指摘通り少くとも米を輸入する以上は、かような配給のできないような米を輸入することはいけませんので、厚生省といたしましても、かねてできるだけの努力はいたしております。そこでフィリピンから来るような場合には、初めてでありましたので、悪いくせをつけてはいかぬと思いまして、特に向うと相談をいたしましてフィリピン政府からの依頼の形にいたしまして、厚生省から係官を出したのであります。これは初めての措置でありましたから、悪いくせをつけてはならぬと思つて注意深い措置としてやつたわけでございます。従いまして私もできる限りはこの点を解決いたしたいと存じます。しかし私は何と申しましても、高い米を買いつけて、しかもこれにまた補給金までつけて国民に売る、しかも高い外貨を払うというところに根本的な無理があるのじやなかろうかということを、厚生省立場としては絶えず強く農林省申入れをいたしておるわけでございます。問題は現在外米を加えて米の配給日数というものが一日でも減つたならばたいへんなことになるという農林省の感じと、私どもは一日や二日、三日、四日、ここでもつて外米配給日数の上で減つて麦にかわつてもそう問題はなかろうという二つの根本的な意見の相違がそこにあるわけでございますが、私どもといたしましては、これだけ大きな国費外貨を使つておる、しかもこれだけの問題を起すものならば、これを麦にかえたいというのが私どもの従来の念願であります。しかしながらそれはそれとして、岡先生の御指摘のように入れます以上は、かようなものが入らぬような十分な措置を今後も尽したいと存じます。なおことしもビルマあるいはタイ等に対しまして厚生省の米の検査官を駐在させておくに要する予算も大蔵省に対して要求をいたす予定で進んでおります。
  18. 岡良一

    岡委員 しかし今の楠本部長の御発言には非常に重大な問題が含まれていると思うのです。まず第一の点は、私の意見でもありますが、私も楠本氏とは同様な意見でもあり、また昨年暮衆議院食生活改善についての決議をいたしました趣旨も、でき得べくんばできるだけすみやかな機会に麦を米に代替すべきであるという趣旨に貫かれておると私は思つておるわけであります。しかしながら御存じのように、われわれが今度参議院を通じまして学校給食法案を出した。この学校給食法案によれば千三百万のすべての児童たちに対しては学校給食をしなければならない、そしてそのためには国は輸入する麦等については無償でこれを交付しなければならない等々、国の責任においてとにかく小さいときから、米から麦への大きな食生活の転換を意図したのでありまするが、しかしこれがきわめて低調なるところの学校給食法案に、政府並びに自由党案によつてすりかえられたことは御存じ通りなんです。われわれは百も早く環境衛生部あるいは食品衛生責任者諸君が考えておられるように、麦を米に代替させて行く、そのための相当な予算措置は十分に償い得る効果を期待できるという確信を持つておるのでありまするが、それはそれといたしまして、ただいまの御発言によれば、パキスタンに対して日本小麦を出しておる。そうしてその半量に近い米を輸入いたしておる。麦と米を交換しておる。一方日本MSA等協定に基きまして小麦輸入しておる。同時にまた今度吉田首相外遊の使命の一つとしてうたわれておるものも、今度さらに過剰なる米国の農産物を日本国内輸入すべきであるということも外遊の目的の一つであるということがうたわれておる。そうすると主食が足りないと言いながら、しかもその主食一つである小麦を輸出し、そうしてしかもいわば品度の落ちた米を輸入しておるということはまことに矛盾きわまることであつて、この問題は単にここで楠本君とわれわれが論争すべき問題ではなく、むしろ政府食糧政策根本あるいは対米関係、対東南アジア関係根本にかかわる問題でありますので、この際委員長におかれましては、厚生大臣あるいは外務大臣なり、通商大臣あるいは農林大臣なり、またこれにかわり得る適当なる責任者の御出頭をごあつせんいただいて、この問題についての政府責任ある所見を私はただしたいと思うのであります。  そこでさらにお伺いいたしまするが、私どもの聞いておるところでは、これも新聞に伝えられておりまするが、最近日本の神戸や川崎の港に入荷しておるところのMSA協定に基く援助の小麦というようなものの中に、相当国民栄養上の不適格品があると聞いておりますが、はたしてあるのかどうか、現在輸入されたものはどれだけで、このうち不適格品はどれだけあるのか、これらの点についての御調査の結果を承りたいと思います。
  19. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ただいまの岡君の御発言の中で、政府の意向を聴取する件につきましては、いずれ理事会でお諮りいたしまして決定いたしたいと存じます。
  20. 楠本正康

    楠本政府委員 MSA小麦につきまして、現在まで私ども検査いたしましたものは三件でございます。これは件数は少いがトン数はかなり多い……。
  21. 岡良一

    岡委員 どれくらいですか。
  22. 楠本正康

    楠本政府委員 いずれ後ほど詳しい資料でお答えいたしますが、なお品質につきましては、従来小麦品質は数年前一時悪いことがございましたが、最近は外地から参ります小麦品質が非常によくなつております。昨年あたりは一回も不良品を見出したことはございません。今回わずか三件でございましたが、これらのMSA小麦につきましては、従来通りきわめて傷秀な品であつたということでございます。
  23. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ちよつと速記をやめてください。   〔速記中止
  24. 青柳一郎

    青柳委員長代理 速記を始めてください。     —————————————
  25. 青柳一郎

    青柳委員長代理 次に生活保護費及び社会保障費予算措置に関する件について、岡委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。岡君。
  26. 岡良一

    岡委員 私はお許しを得ましてこの際決議案を提出いたしまして同僚各位の御賛同を願いたいと思うのであります。この決議案は、まずその本文を朗読さしていただきます。    生活保護と社会保障に関する決議   最近の緊縮予算のもとに於ては、ややもすれば生活保護法、児童福祉法等の運営にあたつて重大の支障なきを保しがたいのである。このようにして国の責任が地方団体、あるいは民間事業等に転嫁されるの結果となり、特に入院患者の強制退所、あるいは要措置児童の入所拒絶等の結果をもたらすことともなれば、まことに遺憾にたえないところである。   よつて政府は民生の安定と、社会不安の緩和のため特に生活保護費をはじめ、社会保障関係予算につき誠意ある措置を講ずべきである。  右決議する。  以上がただいま提出いたしました決議案の本文であります。  いささか簡潔にその趣旨を弁明さしていただきたいと思うのでありまするが、私どもからいまさら申し上げるまでもなく、最近におけるデフレの影響はもはやきわめて深刻な影響を与えております。中小企業等におきましても、東京手形交換所管内における不渡り手形の枚数が、一月に比べてもうすでに四月ははるかに多くなつておりまするし、倒産等につきましても、繊維商社の倒産が、本年一月の四十三件がすでに三月には百五件、なおこれらの事態が今後ますます深刻になろうといたしておるわけであります。こういうような一例をもつて見ましても、デフレ政策の進展の結果、あるいは繰業の短縮となり、経営規模の縮小となり、また企業系列化の名に基くところの生産規模の縮小などによりまして、賃金の不払い、切下げ、労働時間の強化等、労働条件の悪化が漸次進行しつつある懸念を持つておるのでありましてその結果は当然失業者の増加と相なつておるのでありまするが、このことにつきましても、総理府統計局の労働力調査によりますると、完全失業者が本年の一月は三十九万人、二月が四十三万人、そうして三月は五十九万人と、実に前月よりも二十六万人も増加いたしております。おそらくこのほかには潜在失業者といわれる者も数百万人に達するのではないかということを私どもは心配いたしておるわけであります。これに対しまして失業保険の受給者数も、一月が四十一万七千人、二月が四十二万六千人、三月は約二万四千人これに増加いたしまして四十五万人、昨年の三月に比べますると、十万人の増加を見せておるのであります。これら不渡り手形の増加、倒産の増加、そしてまた失業者の増加、失業保険受給者数の増加という、いわばデフレ進行下における日本国民大衆の生活の貧困化が氷山の一角としてこれらの数字の上にはつきりと出ておるわけであります。従いましてわれわれはこういう結果特に失業保険のごときは、御存じのように五人未満の事業所においては適用されないということに相なつておりますので、おそらく目に見えない零細企業に働く人々の中で生活の困窮にあえぐ人々が今後どしどし増加し乗るのではなかろうかということを非常に懸念をいたしておるのであります。  こういうようかいろいろの事情を考えまして私はこの決議案を提出いたしたのでありますが、さらに決議案の内容について具体的に申し上げますると、生活保護法予算といたしましては二十七年度には二百四十六億余円であつた。二十八年度は二百六十五億余円、二十九年度は二百八十四億八千六百万円と相なつておるのでありまするが、この内容を見ますると、二十九年度につきましては本年度の一月、従つて二十八年度に扶助費についてはわずかに主食の値上り部分を含めたにすぎないのであり、対象の範囲については辛うじて四%ぐらいの人たちは前年度よりもよけい生活扶助費を与え得るであろうというようなことに相なつておるようでありまするが、先ほど申しましたもろもろの事情、もろもろの数字から考えまして、とうてい四%をもつてしては済まないのではないか。二十九年度十九億八千万円の予算増になつておりまするが、もう大衆の貧困化が刻々進行するという事実を考えますときに、十九億八千万をもつてしてはなかなか生活扶助を決定することはむずかしいのではないか。もちろん事実上いろいろと濫給もあり、またその他の点もありましようが、しかしそれらのものを整理いたしまして法の運用の適正化をはかられましても、十九億余の予算増をもつてしてはなかなかこれは不可能ではなかろうかということを私どもは心配しておるわけであります。特に医療扶助につきましては昨年の七月から十二月までの一箇月の支払いが大体十七億余平均出しておるわけであります。そういたしますると、おそらくこれは六月からは基金の窓口から支払いになつておりますので、そういう事情も多少あろうかとは思いまするけれども、やはり生活の貧困という根本の事情があつて医療扶助の申請をする者、従つてまたその適用を受ける者が増加をいたして来ておるのであろうと私どもは考えておるのでありますが、こういうような事情が先ほど来るる申し述べましたような事情のもとに、いよいよ多く広汎な大衆が生活の貧困よりやむを得ず医療扶助の申請をする。またこれにはその通り保護を与えてやらなければならないという事実がますます強く起つて来るのではなかろうか、そういうことに相なりますと、大体十六億といたしましても百九十余億の金が必要となる。これらについては同僚長谷川君等から予算委員会、当委員会を通じているく厚生当局との間に質疑応答もあり、御要求があつたのでありますが、しかし最近の諸般の事情がどうしてもなかなかこれだけで集れないのではないか、もちろん生活扶助の点は予算増を伴えば義務的にこれを増加しなければならないという建前になつております。かとは申すものの、一応既決予算のわくに縛られて、これまでは不給付なり、あるいは地方においては私どもの納得の行きかねるような子供の保育所の入所拒絶なり、またしばしば指摘されましたような強制退院等のこともあつたのであります。これらのことを考えるときに、こうしたことがなく、生活保護法が完全に運用され、そうして今日貧困化の一途をたどつている国民大衆の生活がせめてもこの法律の円満なる運用によつて楽になるように、一家心中の新聞記事が新聞からなくなつてしまうように、この際政府は格別な御配慮を願いたいというのがこの決議案の趣旨なのであります。どうか願わくば皆さんの御賛同を得まして、この決議案が成立するように御協力願いたいと思う次第であります。
  27. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ただいまの岡君の御発言は当委員会において本件について決議し、所要の手続をとるべきであるという御発言と存じますが、御発議の通り委員会で決議し、その取扱いに関しては委員長に一任いたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 青柳一郎

    青柳委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。  それでは午後一時より再会することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ————◇—————    午後一時四十七分開議
  29. 小島徹三

    小島委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。  まず療術士の問題について青柳委員より発言を求められておりますのでこれを許可いたします。
  30. 青柳一郎

    青柳委員 私は厚生大臣に療術行為の問題につきまして御質問をしようとするものであります。  ちようど昭和二十五年の第四回国会の厚生委員会におきまして、私の経験から言いますればこの療術行為は最初に取上げられたのであります。その当時政府委員昭和二十四年、五年の両年にわたつて国費年額五十万円をもつて療術の実態を調査中である、調査研究の結果、科学的によいものであるなら立法化することは政府の方針であると答弁されたのであります。ちようど私、その委員会に列席いたしておりまして、実は私の経験から申しましても、厚生省に会計課長としての職を奉じておりました時分にこの問題と取組んで、当時の私の考え方から申しますれば、はなはだ失礼な言い分かもしれませんけれども、お医者さんのやつておられます医学、医術は相当な進歩でございます。しかしながら現在の医学、医術をもつてして解明できない分野もあるに違いない。従つて療術行為によつて人間の体がよくなるならこの行為を許すべきであるという観念に立つて大蔵当局と折衝いたして、研究調査費をとつた経験を持つておるのでございます。従いまして私も続いて質問をいたしまして、その調査研究は数年を要するようなことがあつてはならない、できるだけ早目にその調査研究の結果を出すようにしてもらいたいと言つて政府所見をただしましたところ、そう何年もかかることはない、ある程度の結論が出たら逐次措置して行きたいという御答弁があつたのであります。その後四年間を経過いたしております。政府は調査のみに重点を置いておるように見えますが、かかる業態の中でもいろいろございます。もちろん新興宗教の行う加持祈薦の類のごとき排除しなければならぬものもございます。しかしながら良心的に相当な科学的な知識を備えてまじめにこれらの療術行為をやつておられる方々が全国に相当多数あつて、多年少しも弊害なく行われておつた事実は重視すべきものであると考えるのでございます。これは現実の事実でございます。国会においても、御承知のように、五年前から——何でも大臣も治療室に行かれるということを承つておりますが、両院の議員の方々が国会において治療を盛んにやつておられるというようなことも聞くのでございます。  この療術行為禁止の法律が出ましたのは占領当初でございまして、占領軍の考えによつて昭和二十二年法律第二百十七号をもちまして制定されたのでございまするが、当時の一松厚生大臣は、療術業者の内容が改善されれば、来年にでも療術の禁止を解くと言明せられたことも、これまた事実でございます。その後政府御当局の指導でございまするかあるいは勧奨でございまするか、それによりまして、各府県におきましても、療術行為について、療術行為に従事しておられる方々が非常に熱心に各種の科学的の方面の知識を涵養することに努力しておることも、大臣すでに御存じ通りであると思うのであります。また現状におきましては、全国各府県の衛生当局もこれを要望して来ておるということも確かに承つておるのでございます。  さらに思い起しますれば、昭和二十七年のころでございました。厚生委員長は松永佛骨君の時代でございます。各政党が集まりまして、療術をやつておられる方々の意見を聞いて今度の国会にはぜひこれを法律として制定しようということを申し合せたことも、当時私その席に列しておりまして、よく知つておる事実でございます。もちろんこれは議会方面の意見であつたのではありまするけれども……。しこうしてさらに昨年になりますと、二十八年の三月十四日、この厚生委員会において、当時の野沢委員から、この法律の第十九条の、昭和三十年十二月三十一日まで、現在療術をやつておる方々は許されるという条項を削つて、当分の間当該医業類似行為を業とすることができると修正し、さらに附帯決議として、政府は急速に調査を行い、療術の適当なものは法に取入れ、免許を与えるとともに、危険有害なものはすみやかにこれを禁止することを要望したのに対しまして、曽田、現在の医務局長は、私ども責任を持つて急速に検討いたし、御趣旨に沿うよう解決に到達したいと答弁しておられるのでございます。  その後私どもといたしましては、今申し上げましたように、毎年のごとくこの問題と取組んで、あるいはそれら療術に従事しておられる方々に対して、昭和三十年の十二月三十一日で営業を禁止せられることにはならぬ、これは延ばします、さらに弊害を除去した上に立つた療術行為であるならば、狭い門であろうとも開かして見せますということを申しておるのでございます。私どもも申しておりますし、政府もまたその線に沿つての御発言が、ただいま御紹介したように、たび重なつてあつたのでございます。私どもも厚生委員会にこうやつて五年もおりますると、この問題を思い起すにつきまして、何となくうそをついて人をだましておるような気持がいたしまして良心的にはなはだ晏如たり得ないところがあるのでございます。その後数年にもなりますが、現在における政府御当局のこの問題についての御意見を承らせていただきたいと同時に、今後の御処置につきまして承りたいと存じます。
  31. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 お話のあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法に基きまして昭和二十二年の法律以来療術行為につきまして、第十九条に示しておりまする点等から、従来国会等でもいろいろ御意見等を拝承いたしておりまするので、厚生省といたしましてもその後鋭意調査を進めて参つておる次第でございます。二十四年以来はずつと年に五十万円程度ではありまするが、調査費を計上いたしまして、現在まで進めて来たのであります。その結果いろいろありまする種類の分類なりあるいはそれらの内容につきまして専門家意見等もしんしやくいたしましてその後の対策を立てつつある次第でございまするが、関係しておりまする分野がたいへん広汎にわたつておる次第でございます。従いましてその限界等につきましても慎重を期せねばならないという点もあります。  こういう点から実は二十四年以来具体的に調査を進めて参りまして、なるべく早くそれらの結論を出したいと考えて参つたのでございまするが、ただいま申し上げました限界等の点でなお相当検討を要する点等もあります。しかし昭和三十年一ぱいということをこの第十九条が示しておりまするので、ぜひその前に早くこれらの点についてまたこれらの業者の仕事の上の安心、生活上の不安等を起さないような処置を十分考慮に入れて、かつ国会等の御意見等を尊重いたしまして、処置をいたして参りたいとただいま検討を進めております。そういう意味でございまするから、なるべく近いうちにそれらの結論は出ると存じまするが、ただいま申し上げましたような段階で、政府も誠意をもつて努めたいと存じておりまするから、御了承いただきたいと思います。
  32. 青柳一郎

    青柳委員 この問題で私が予算に関与いたしましたのは昭和十七年のことであります。十七年、十八年と二年にわたつて調査研究を行つたのであります。そしてその結果が出たか、あるいは出る直前に戦災によつてその書類を焼失したということに相なつております。当時も調査研究を行つたのであります。今から十二、三年前であります。最近におきましては、政府昭和二十四年、二十五年の二箇年間にわたつても調査費を計上しておるのでございます。本年あるいは昨年は調査はないのであります。従つて調査の結果はもう出ていると思います。出ている、おらぬということを問題にいたすのではございませんが、いかにも調査々々といつて引延ばして、結論を出すことを非常に逡巡しておられる。もう結論を出しますぞ出しますぞといつて延ばしに延ばしているのは、療術行為をやる人たちだけではございません、療術にかかつている相当多数の人までだまかして、一日々々と延ばしているような気がしてならぬのでございます。大臣も療術にかかつて御体験のことと思いまするが、できるだけすみやかなる結論を得られて、そして私の希望するのは、一つは、来年で業権を失われるのをもつと延ばしてもらいたいということでございます。これについての御意見を承りたい。第二番目に、新たに狭い門でもかまいませんから、こちらの方面の知識を持つている方々に対してその狭い門をあけていただきたい。その二つの点を私は熱望するのでございます。と申しますのは、先ほど申し上げました私どもの気持として、五年以上この委員会に私は関係しております。そして毎年々々やるぞやるぞと、こう言うて引延ばしであります。私どもとしては黙つてつて、ああそうですか、ああそうですかと言つて行くのには、良心がとがめるのでございます。その二点について御意見を承らしていただきたいと思います。
  33. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御指摘のように、昭和二十四年、二十五年はもちろんでございますが、その後におきましても、昭和二十八年まで予算を計上いたしまして、実はずつと調査を進めて参つておるわけでございます。本年は予算を計上いたしておりませんから、この点から申しますると、いわゆる結論を出すべき年でございます。そういう従来の、二十四年以来の調査並びに検討に基きまして、ただいまこれらの各観点から検討を進めて参つておる次第でございますが、ただいま申し上げましたように、たいへん種類が広汎になつておりますし、その限界の点におきまして、学問的に十分検討を要する点もありますような次第で、ただいまの御指摘はまことにごもつともな点だと存ずる次第でございますから、これらの点につきましては、法律昭和三十年の年末までと明示しております点もございますので、その前に政府の確たる方針をきめ、またこれらに従事していらつしやる方々に不安を与えず、その生活の脅威を与えないようにいたして参りたいと存じておる次第であります。従いまして適当でないものに対しましてはこれを除去しますと同時に適当でありまするものについての処置等も、あるいは必要である場合においてはそれぞれ適正なる措置を講ずるという点につきまして、今具体的に検討を進めておる次第でございますから、この点御了承をいただきまして、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  34. 青柳一郎

    青柳委員 私はこれ以上御質問をするのは差控えますが、現状のままですと、新興宗教によるあの加持祈薦というがごとき、およそ科学からは大いに隔絶したものが現状で行われておるのであります。こういうものこそ排除して科学的に解明でき、また安心できるもののみの狭い門でも開いていただきたいという趣旨も私の意見の中に入つておるのでございまして、その点もおくみとりを願いまして、私の質問はこれをもつて終ります。
  35. 小島徹三

    小島委員長 次に奄美大島の癩療養所の問題について長谷川委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。長谷川保君。
  36. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 担当官に来ていただかなかつたので、恐縮でありますが、ついでに厚生大臣にざつと伺いたいと思います。  奄美大島がまた日本に帰つて参りました。聞くところによりますと、非常に生活程度が悪いということでありますが、今日奄美大島の島民の生活状態はどんなふうでありましようか。専門担当官がお見えになつておりませんからこまかいことを伺おうとは思いませんが、大ざつぱのことでけつこうでありますが伺いたいと思います。
  37. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実は奄美大島は、御承知のように、ああいう地域にありまする関係から、そうしてことに終戦後ずつと米軍の管理下にありましたような関係から、島民の生活が相当窮迫いたしておつたと承知をいたすのであります。それが昨年復帰をいたしまして以来、いろいろな面におきまして、あるいは福祉施設に、あるいは経済上に、あるいは産業上に都合よく進展して参りましたが、従来の関係等で急激な変化が一度に来ないことは当然でございますけれども、ただいまそういう関係で内地とは少しかわつたような、あるいはざつくばらんな言葉を使うことをお許しをいただきますと、見劣りのするような生活状態であるのではないかと承知をいたしております。従いまして、今後経済、産業、教育、社会施設等の問題が、考えておりまするように十分参りますとだんだんと空して参る、それを期待しながらただいまいたしているような次第であります。現在におきましては、期待の程度まではただちには行つていないかとも存じまするが、そういう方向へ進めて行きたいと思つております。
  38. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 生活保護法にかけなければならぬような者がよほどおるようでしようか。わからなければあとでけつこうですが、いかがでしようか。
  39. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 相当程度ありまして、ただいまちよつと数を記憶しておりませんが、米軍管理下における生活保護をその移引継ぎまして、これを日本円に切りかえながら増額をいたしまして、現在私の記憶では、内地の生活保護法は等級がわけてありますが、その最下級よりも少し低い状態に支給しているはずでございます。それは向うの生活状態が内地ともいろいろかわつておりますから、従つてその生活状態に即応する程度においての方途を講ずるために、内地の最低よりも少し低い率で実施しているはずであります。人数等につきましては、引継ぎ後の状態から多分少しふえて来ているのではないかと存じますが、数の点はあとではつきり申し上げます。
  40. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 では次の機会にまた詳しく伺わせていただきたいと思いますが、どうか奄美大島の島民が日本に帰つて来てほんとうに喜んでくれるような、生活に困ります方々に対しましては最低生活を保障するような道を十分つけられますように当局の御努力をお願いする次第であります。  次に、奄美大島の癩の問題でございます。前から非常に癩が多いところと聞いておりますが、今日の実情はどんなふうでございましようか。
  41. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 奄美大島には従来から癩療養所がありまして、和光園であつたと存じますが、これが占領下にもずつと続けられておりましたが、復帰と同時にこれに対しまして、あるいは拡張なり、あるいは修繕なり——御指摘のように、あの方面におきましては癩患者の数も相当多くあるという状態でありまするから、これが拡張等につきましても十分検討いたして参つておつたのでございます。従つてこれらの点につきまして、あるいは道路の建設なりあるいはあれはたしか川のすぐそばにあつたかと記憶するのでございますが、そういういろいろな関係で、土地の整理なり、さらにベツドの増床なりというようなことも考えられるので、復帰前からそういう点も検討いたしておりましたが、いろいろ関係する点がありますので、現在は一応そういういろいろの内容の整備等を考えております。しかしまだ相当多数の癩患者がおられる——二、三百人くらいはおられるのではないかと思われるような点もありまするから、これらの収容につきましても、あるいは鹿児島なりそういう方面とも今後連絡いたして参らねばならないと存じます。もう一つは、向うを出られて沖縄等へ行かれた人で相当罹病した人が帰つて来る場合、また逆に申しますと、罹病患者が自分の郷里である地方に入つて来るような場合も考えますと、あるいは現在数以上になつて来るような場合もあると存じます。こういう点も考えながら療養所の施設等の拡充強化をやりたいと存じております。
  42. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 島全体の事情から申しまして、癩療養所は非常に荒廃しているのじやないかと私ども思うのであります。それについて厚生省の方でもそれを整備しようというお気持があり、御計画があるやに今伺つたのでありますが、私どもの方にも陳情して来られておりまするのを見ますると、どうしても百ベツドくらいふやしてくれ、こういうように陳情して来ております。というところを見ますると、今お話のように未収容の方が非常に多いのではないかと心配をするのであります。今収容施設をふやすという具体的な計画があるのでありましようか。
  43. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実はお話のようにことしは修理等を中心に力を注ぎまして、ほんとうはなるべく早く増床等の計画も立てたいと思つて一応は立てて参つたのでありますが、なかなか一度に行きにくい事情もありまするので、近いうちに百床あるいはそれ以上の増床を検討いたしながら、計画しながら進んでおるような次第であります。
  44. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そういたしますと本年は施設の修理、整備等をやる、そして近い将来百床くらいふやそうという御計画のようでありますが、大体のめどは来年度にそういう計画を立てようというような御計画でございましようか。やはり地元の癩家族あるいは癩患者にしてみますると、ある程度のめどを知りたいだろうと思うのでありますが、この点につきましては具体的にどんなふうでございましようか。
  45. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実は最初からその点は考えて参つておりまして、復帰に関しまする措置費等についてできるならばそういう点もその中から出して増床等もしたいと存じておりましたが、いろいろな関係でまた急施を要しまするような施設等もありましたので、できるならばひとつ年度等はそういう点を十分考えながら行きたいと存じております。
  46. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 内地の癩療養所のベツドは空床があるわけでございまして先ほども少し大臣のお話がございましたが、実情を十分お調べになりまして、もし私どもに陳情して来ておりますような非常な窮状に癩患者及びその家族の方々があるといたしますれば、当然内地のあいておりまするベツドを利用すべきであつて、どうか実情をすみやかに調べられまして、これに対しまする最善の施策をいたしまして、長い間非常な苦闘をいたして参りました奄美の同胞たちの生活に光明を与えられますように切望いたす次第であります。
  47. 杉山元治郎

    ○杉山委員 関連して……。今長谷川委員のお話で大体よく了承したのでありますが、来る年度に拡張する意図であるというだけでは、私どもははなはだ心もとないと存じますので、もし拡張するといたしますれば、大体どの程度の予想をお持ちになつておるのか、一応それをお示しいただければ、お話のように要望して参ります島民の人たちの心もやわらぎ、安心するだろうと思いますので、もし大体そういうような意図がわかれば、お示しを願えればけつこうだと思うのであります。
  48. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実はただいま長谷川委員からの御質問もありましたが、復帰と同時にこちらから係の専任者を派遣しまして、この療養所の状態なりあるいは大島の状態なりをよく調査させまして、その復命に基きましていろいろ計画を進めて、修理あるいは拡張等をいたしておる次第でございます。そういう点からできるならば——現在は約三百床でございまして二百九十八名収容しておると存じておりますが、なお相当増床をしまして収容すべきものと考えております。予算等の関係もありまするが、この三分の一あるいは四分の一程度は何とかいたして参りたいと存じておる次第でございます。
  49. 杉山元治郎

    ○杉山委員 大臣のお言葉で私ども了承したいと思いますが、内地の癩療養所は今長谷川委員も仰せのように、まあまあ何とか一ぱいであるという程度でございますが、今お話のように和光園が少くとも百ベツドぐらいほしい、こういうように急を要しておるようでございますので、特に来年度においてベツドをふやすときには、和光園のために多くのベツドをふやす、こういうことにぜひ御尽力願いたい、こういうことを申し述べて私の質問を終ります。     —————————————
  50. 小島徹三

    小島委員長 次に興亜寮の運営問題について参考人並びに関係当局の方が見えておりますので、本問題についての調査を進めることといたします。  なお本問題について前会決定いたしました方々のほかに、板橋区の民生課長千葉哲郎君が見えておりますので、同君からも参考人として説明願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  まず神近市子君の発言を許可いたします。なお神近君に申し上げますが、特定の事項について参考人を招くということはよほどの例外でございますから、そのつもりで御質問願います。
  52. 神近市子

    神近委員 板橋の十丁目にございます興亜寮と申しますのは軍の施設でございまして、終戦後引揚者あるいは戦災者の方々のために住居を提供しておる施設でございます。この興亜寮につきまして、たいへん何か紛擾があるというようなお手紙をいただいたことがございましたので、実は私少し前でございますけれども、一度区役所に行つたことがございます。そして区長さんはお留守でございましたので、千葉民生課長にお目にかかりましているく事情を伺いましたところが、千葉課長は、あの問題は解決してしまつたからというわけで、何か文書を見せていただきまして、実は私も安心して帰つて来たものでございます。ところがその後、ちよつとまだどうも解決しないらしいというお話がございましたので、私も施設がどういうふうな施設であるか見に参つたことがございます。ところがもう非常にひどい、まあ何と言つてよろしいか、涙が出るようにひどい住居がございましてそうして最上のものでもどこかそこらにある市民の生活が辛うじて支えられるという程度の家だつたのでございます。いろいろ伺いますと、この問題を解決したいというわけで、区長さん、区の議長さん、それから民生課長さんにも、半年にも及びましていろいろ御陳情申し上げますけれども、一向はつきりとした御回答ができない。区長さんに伺えば私の係ではない、それは篠区会議長の責任だとおつしやるし、篠さんは、わしは知らぬとおつしやるし、それから民生課長さんのところに参りますと、区長と相談して何とかしようというようなことで、どこにすがることもできないという状態になつている。それはどういう理由で、非常にいろいろの不便とかあるいは困つたことがたくさんできておりますのに、区長さんがその責任を回避するような態度にお出になつたのか、それを一度伺わせていただきたいと思います。
  53. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 私は板橋の区長の渋谷常三郎でございます。二十六年の四月に区長に就任をいたしました。  ただいまお尋ねになりました板橋十丁目に所在いたします興亜寮の件でございますが、これは今お尋ねの中にありましたように、終戦後板橋区が戦災者のために陸軍省から借り受けまして、戦災者を収容したところでございます。大体規模は二階建が五棟、平屋が九棟、広さは大体六千八百坪のところに二千坪余りの建物が建つております。現在百四十余りの世帯が入つておるわけであります。その後終戦の秋に戦災援護会及び軍人援護会が合体して同胞援護会というものになりました。その後同胞援護会の支部ということでその経営をして参つたのでございます。その当時区は大蔵省に移りました建物を区長の名前で契約してしばらくやつておつたところが、その後勅令の百何号かによりまして、地方自治体の長がそういう責任者になつてはいけないということで、時の区議会の議長にその援護会の会長になつてもらつて今日に至りました。  援護会が経営しておりましたが、当時は一室十五畳以上のところでございますが、三十円の間代をとつておりました。二十三年ころまでは大蔵省からその使用料などの決定がないままに過して参りましたところが、二十四年になりまして一度に今までの分を払えということで、十万以上の金をお払いいたしました。引続きまして二十四年度の分を九万ほどお払いいたしまし七、今日に至つておりますが、今はその室料も値上げいたしまして、二十五年から三百四十円かの室料を徴収しておりますが、むろんそれには差等がございます。中には今お尋ねの中にありましたように、ほかの部屋に比べて確かに見劣りのするような狭い部屋もございますから、それはごく少額の賃料を徴収しておるわけでございます。いずれにいたしましても、同胞援護会という団体によつて運営をして参りました。  そこで昨年、実は今申しましたような少額の室料では、もう大分たちました建物の修理等もとうていおぼつかないものですから、その室料を値上げしようということで、その内意を伝えましたところが、一部の方がこれに反対をされました。同志を集められまして室料を納めないという運動が始まつたのでございます。私どもそろばんをとつてみますと、大体七割くらい値上げをしないと、とうてい今後の運営がおぼつかないということになりましたのですが、七割の値上げは不当だということでございますので、それでは一応五割の値上げをして、それでひとつつてみようということで五割案をお示ししましたところが、それでも不当である、反対であるということで、五十人ほどの方々が署名をされたそうでございます。特にその代表となられて七、八人の方がかなり熱心に私どものところへおいでになられました。私は区長としてあまり責任の地位ではないのですが、実はその運営を同胞援護会がやつているわけでございますから、私は直接にお答えをする必要はないといつてははなはだあれですけれども、まあ責任のあるお答えは援護会の会長から得てもらいたい、こういうことで一応私の考えだけはお答えして参りました。そんなわけですが、熱心な方々が、同志と称せられる四十数名の方々の室料を一時納めることをよした方がいいということで、最近まで納められません。そこで経営はますます困難になつたということなのでございます。  一方またその方々がしきりに……。
  54. 小島徹三

    小島委員長 傍聴人の方に申し上げますが、ふまじめな態度をとられますと退場を命じます。
  55. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 しきりに援護会の経理の面において不正があるということをおつしやつて、特にその中に、二十五年から経営の内情を共同募金の当局に訴えまして、その配分を申請いたしましたところが、爾来少額の配分金をいただいて、二十八年度までに約百万円ほどになりました。その費途について明瞭を欠く、これには一部の者が不正を働いておるのであるというふうに不正呼ばわりをされて宣伝をされておるのでございます。私はほかのことと違いまして、事共同募金の費途について不正があるということではこれは申訳ないと存じまして、このことにつきましては、その費途については帳簿等を希望によりまして公開をいたしますということで、一部の方は見に来てくださつたのでありますが、大部分の方は見る必要がない、区長及び援護会そのものを信用するんだ、こういうことでそれを問題にされた方はきわめて少数なのでございます。もつともこれは聞いた話でございますが、百五十人、寮内の居住者全部の意思だといつておる署名簿もあるそうでございますが、これは戦争反対ということで集められたものだそうでございます。  そんなふうにいたしまして、私どもの監督不行届及び経理内容の不正ということで今日まで一部の方々に宣伝をされておるのでございます。私どもといたしましてははなはだ迷惑とは存じますけれども、一々これに対して反駁をするというようなことは区長としては慎むべきことだと存じまして、反駁はいたしておりません。それで今日に及んでおる次第でございます。
  56. 神近市子

    神近委員 ケース・バイ・ケースでお尋ねしようと思いましたら、何もかも一人でお話になりましたから、あと返りすることになりますけれども、元来同胞援護会の一支部として出発したというお話は承りました。しかし、同胞援護会は二十六年に解散しております。その後の板橋援護会というものはそれではどういう法人格をとつておられるでしようか。それから孤立して東京援護会というものがありますけれども、それに加入しておいでになりますかどうですか。
  57. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 お説の通り東京都同胞援護会そのものは解散いたしておりますが、それに伴いまして板橋に対しての何らのつながりも持たなくなりました。しかしながら従来同胞援護会板橋支部の名前をもつて経営しておりました興亜寮及び洗心寮及び八丁原の戦災者居住住宅という経営は依然として継続しなければなりませんので、そこで板橋同胞援護会という名前で今日まで経営をいたしております。さらにこれに伴つて有名無実ではないかという御説を先般お目にかかつたときに伺いましたからあわせて申し上げますが、私どもは有名無実ではないと存じます。しかしながらその当時は確かに一部御指摘通り同胞援護会会長及び管理人というようなごく少数の者で運営しておるというために、その経理面に疑惑を持たれるという心配もありますので、昨年の暮れに同胞援護会というものの組織を改組いたしました。もちろん従来その責任者として経営しておられた板橋区の区会議長には依然会長になつてもらいましたが、そのほか顧問としましては板橋区内選出の東京都議会議員四人、そのほか区議会の厚生委員長あるいは教育委員長その他の方々に役員になつていただきまして、爾来その方々による役員会に基きまして、運営して参りました。そのことは改組、結成と同時に寮内居住者全般にそれらを告知いたしまして、御承知を願つてつております。
  58. 青柳一郎

    青柳委員 どうもこの取扱いが私はわからないのです。全般的の問題を知つておればわかるのですが、何もわからぬうちに裁判所みたいにきゆうきゆうやる。どうも私は取扱いがわかりません。それともう一つ私は本質的にお聞きしたい。区長さんが今答弁されましたが、責任ある答弁かどうか。事は同胞援護会に関する問題です。区長さんと同胞援護会の関係はどういうものか、それを承りたい。これは本質的な問題です。これを究明してからでなければ区長さんの発言を有権的な発言とは認められません。国会ではそういうことはできません。
  59. 小島徹三

    小島委員長 この際申し上げたいと思います。神近市子先生は十分この事件の内容というものを御存じだと思いますけれども、他の委員の方は事件の全貌についての知識が全然ございませんので、何をお聞きにならうとしておるのかわからないので問題になるのだと思いますから、一応神近さんから全貌をごく簡単に、どういうことを御質問するのかということを御説明願います。
  60. 神近市子

    神近委員 これは先ほど申し上げましたように、板橋十丁目の興亜寮という軍施設のあとがあるのでありましてそこに戦災者並びに引揚者が約二百世帯お入りになつているわけであります。大体貧困階級の方々でありまして生活保護を受けている方もあるし、日雇いに出ておる方もあるし、あるいはごく低額のサラリーで働いている人もあります。問題が起りましたのは、ここの援護会は今区長がおつしやいましたように、篠という区会議長が会長になつております。しかしこれは私ども第三者が考えまして、何も中の事情を御存じない。こういうような状態で、今度家賃の値上げ、その他のことが問題になつたときに、いろいろの関係からここが福祉施設法人でなければ受けられない共同募金の金を約百万円もらつて、それを今まで居住者には一切ふせておいて、これを相当かつてに使つているというので、一番の問題は経理の不明朗という点でございます。私はここに大体材料を全部持つておりますが、非常に奇妙な、たとえば二月という月に三十一日があつたり、あるいはある特定の二十六年三月という月には二十三万何千円という金が一度に出て行つて、その中には区長の接待費が二万三千円も出されておりましたり、三月に管理人の年末手当が出ていたりというように、経理の面に非常に不明朗な点があるのであります。そこでいろいろ疑いが起りまして、取調べてみますと、今まで居住者が地代も家賃も一万何千円か余りがあるように納めてありますのに、経理の面では、地代が出ていたり、あるいは共同募金委員会の報告とまるで違つたものに使われている、そういうような面がだんだん出て参りました。なおこれは関東財務局との直契約でございますが、関東財務局との契約文書を拝見いたしますと、八年間というもの契約の中にある火災保険は一文も払つていない。それから契約に反して、そこにいろいろな居住者が割込んでおる。それから契約に反してあの区画の中に八軒というもの八百屋だのだ菓子屋だのトタン屋だのというものが、関財がちつとも知らないうちに家が建てられている。こういうようなたくさんの奇怪なことが起つて来たものですから、それで居住者たちが何とかして管理をもつと明朗にしてもらいたい、経理をはつきりしてもらいたいというのが事の起りでございます。  そうすると、今区長さんがおつしやいましたのですが、ああいうようないろいろな、区長さんのお立場として一この区長さんはまだ新しい区長さんでありまして、前任者のときの問題が相当残つているわけでございますので、御存じないということはごもつともなのでございますけれども、これを何とかしてはつきり片づけてやろうという誠意が見えないということが事情を一層悪くしております。そして関財の方では、ほかの建物が全部直接契約に切りかえてあり、もうすでにこの契約は昨年の三月に期限が切れて、そして期限の切れたときには任意に契約を解消させていいという契約がここにちやんと入つているのですから、この際居住者たちが、今までのことは不問にしても、関財と直接の契約で多少家賃を値上げされてもかまいません、ぜひそうしてもらいたいというので、興亜寮自治会というものをつくりまして、そうして関財にお願いして、関財もいろいろ事情を聞けば、なるほどこれは居住者の利便のためにあるものだから、それで契約してもいいという考え方に一応は居住者方に御回答の意思があるように見られたのです。そこでこの経理の面だとか契約違反の面だとかいうものがたくさん出て来ると、たいへん区役所側ではあわてられまして、それで切りくずしということを始められたのです。三世帯くらいあそこに吏員が入つております。区の吏員でございますから、うつかり区長さんやその他の上役の意思に反する行動をとれば、いじめられるおそれがある、それから区会議員だとか区の役人だとか、そういう人々の縁故者が相当入つております。それからどつちつかずの弱腰の人たち、そういうものを今いわゆる切りくずしをいたしまして、あそこに非常に攻勢をかけて、トラツクや何かを持ち出して大きな声で、おとなしくしていなければ皆さん御損でございます、というような宣伝をして歩いたり、いろいろな工作が行われている。これは興亜寮だけでなく、私どもも一、二同じような困つた人たちの居住が、そういうような変な管理のやり方をされているということを存じておりますので、これは全国の一つの例として、はつきりここで明朗な経営にして、不幸な人たちの生活が明るくなるようにというのが、今日ここの委員会にお願いをして問題を委員の方々に聞いていただきたいと思つた次第でございます。以上でございます。
  61. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 関連して。問題はただいま神近さんがおつしやつたようなわけですが、そのほかに私がこの問題を委員会で取上げていただかなければならないと考えましたのは、この中に収容しております生活保護の被保護者の諸君に対して、この反対の運動というようなことをするならば、生活保護を打切るというような脅迫をしたという事件がある。それからさらにその者はこの寮から立ちのかせるというような威嚇をする、こういう事実があるというお話が居住者の方からありました。これはもしそういうことであるならば、ここに収容しております者は普通の方々ではなくて、戦災者、引揚者、こういう方々でありますから、当委員会の重大問題であります。決してこれは無関心では済まされない、また同様の事件がほかにもちよいちよいあるらしい、しかもその施設は国有財産である、こういうことでありますから、当委員会においてこれを明瞭にすべきである、こう考えまして理事会に持ち出した次第でございます。
  62. 小島徹三

    小島委員長 長谷川君にお尋ねしますが、そういう脅迫をしたというのは政府あるいは公共団体の役人がしたということでございますか、それとも単なる普通の人がやつたということですか。
  63. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 それは区の関係者であります。
  64. 青柳一郎

    青柳委員 どの人かわかりませんが、区の関係者が、われわれの言うことを聞かなければ生活保護を打切るとか、あるいは立ちのかせるというような言動をいたし、またそれを実施することは、断然避くべきものと存じます。ただしかし事を究明するにあたりましては、結局神近先生のお話を承りますと、区長はどういう立場に立つておられるか、私は存じませんが、ここの興亜寮の管理者に対して責めるのが当然だと思います。管理者がだれであるかということについて御承知でございましようか。
  65. 神近市子

    神近委員 今区長が言われました通り、援護会の会長は篠という区議会議長が名義人になつておりますけれども、これはほとんどタツチしていないようでございます。そうして代人としてあの中に管理人を置いてあつて、それに一万円ぐらいずつの給料を出してある。そしてそれが今行方不明なのでございます。この問題が起りかけたときに、北海道に行きましたと言いまして、なかなか帰つて来ない。そうして行方がわからない。まあ一番いろいろな問題のかぎを握つているのはその男だろうと思います。
  66. 青柳一郎

    青柳委員 区議会の議長さんが会長で、形式的であろうともその人が責任者であり、また実質的に仕事をやつておつた人が所在不明だ。この人はどつかに逃げておる。こういう人に当るのこそほんとうであつて、直接の責任を持つていない区長さんに何と言われても、事の真相はなかなかつかめない。もちろん私は管理という言葉の中に、会計経理のお話がございましたので、その点も入れて申し上げているのでございますが、会計経理のことも究明されたいような御所存でもございますから、それを含めて申しております。ほんとうの管理の責任を持つている者について尋ねなければ事の真相はわからぬ、こう思うのであります。区長さんはどういうつもりでお答えになつたのか知らぬけれども、直接の責任のない人がよくああ言うことができたものだとこう思わざるを得ません。御意見を承りたい。
  67. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 最初に神近先生の先ほどのお尋ねでございますが、興亜寮居住者に対しまして、区役所関係の者が生活保護受給者に、自分たちの言うことを聞かないと打切るというような威嚇的の言辞を弄したという事実は絶対にございません。責任を持つて申し上げます。  それから私がここにどういう関係で立つたかというお尋ねでございますが、私は先ほども申しましたように、区長が大蔵省から区長の名前で貸していただいておりまして、管理を同胞援護会に委任いたしております。そういう関係で私は立つた次第であります。
  68. 青柳一郎

    青柳委員 区長さんがそういう責任を持つてお答えになるなら何も申し上げません。区長さんに御質問願います。
  69. 神近市子

    神近委員 そのほかにも青柳さんに御理解をいただきたいのですけれども、関財局との契約——ここに契約書がございますけれども、これは区長の名前で契約ができておりますから、どつちにいたしましても、名義上でも責任はないわけでもございません。
  70. 小島徹三

    小島委員長 どうぞ質問を続行願います。
  71. 神近市子

    神近委員 話が非常に変なところにそれましたので、ちよつと片づかなくなりましたけれども、まずここの契約にそれているのではないかと思う点から進めて参ります。経理の点はあとにまわします。
  72. 小島徹三

    小島委員長 神近さんに申しますが、できるだけ厚生委員会で取扱うような範囲内の質問をお願いいたします。
  73. 神近市子

    神近委員 私は厚生委員になれませんので、その点きびしくなつたら御容赦願いたいと思います。
  74. 小島徹三

    小島委員長 どうぞ続行願います。
  75. 神近市子

    神近委員 この関財との契約には、賃貸してもならない、それから賃貸権を譲渡してもならないし、転貸してもならないということがございます。あの中で十軒でございますか、都営住宅に貸しておるということがございます。それから吏員を何人か入れておいて官舎にお使いになつておる。それからあの土地でございます、あの八軒とかできている土地はどういう権限の上でお建てになつたのでございましようか。今あなたがいろいろな問題でたいはん興奮しておいでになりましたから、事実の上から少しずつ尋ねることにしたいと思います。それでその結論は、どうも関財との契約を正常なものになさる必要があるという点に参るのですか。
  76. 千葉哲郎

    ○千葉参考人 民生課長の千葉でございます。私から神近先生のお尋ねに対しましてお答え申し上げます。  寮の一部に都の関係の者あるいは区の関係の吏員の寮があるというのは事実であると思います。これは終戦直後の住宅難のために、都の関係の職員といたしましても相当の難儀をいたしましたので、同胞援護会といたしましては自己の経費によりましてそれぞれの改修等もいたしまして、拡張計画もいたしたのであります。ただいまお話の場所は当初軍の倉庫に当つておつたところなのでありますが、同胞援護会の経費そのものが不十分でありましたので、東京都の経済を通しましてその倉庫を住宅に改造いたしました。当時好意的にそういう話があつたものですから、ちようど幸いと思いましてそういう施設に改造いたしまして、使用権を確認いたしました。しかしこれは長い期間のことではなくて今後におきましては当然同胞援護会の管理に移つて行くものと考えております。ただいま折衝いたしております。以上であります。
  77. 神近市子

    神近委員 この新聞などにはやはり都営住宅のことまで書いてございますけれども、賃貸するとか転貸するとか、うわさによれば権利金もおとりになつているというようなことが出ているのですが、それは関財に了承を得なくてもできるとお考えになつたわけですか。その点はこの契約書とは大きに違うようでございますね。
  78. 千葉哲郎

    ○千葉参考人 ただいま御質問の都の管理という点につきましても、これは私ども転貸とは解釈いたしてございません。それから権利金の授受のお話がありましたが、同胞援護会としては全然あずかり知らないところであります。
  79. 神近市子

    神近委員 新設の家がたくさんあるようですけれども、あの新設の土地はどういうことなんですか。
  80. 千葉哲郎

    ○千葉参考人 土地の問題でございますが、終戦直後におきまして全坪数の一部が解約をいたしたのでございますが、これは地主と同胞援護会長との契約になつておるのでございます。丁寧に取扱いますれば、同胞援護会が大蔵省へのお話もあつて後の解約がよかつたこととも存じますけれども、同胞援護会と地主との契約でございますので、同胞援護会の考えによつて空地の一部を返還いたしたものでございます。従いまして地主へ返しましたあとの問題につきましては、同胞援護会といたしましては関知いたしていないのでございます。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 私は関東財務局管財部長さんにお尋ねしたいのですが、財務局とそれから板橋区長との契約ですね、これは契約するにあたつては、その家屋の貸付の目的ということがはつきりうたわれておるわけなのです。従つてその目的以外のものに、たといこれが地方公共団体の区であろうと何であろうと、目的以外のものに国有財産をかつてに使うということはできないのじやないかと常識的に考えられるわけなのです。今のいろいろの御議論を聞いておりますと、どうもわれわれ初めて聞くので、その土地がどこの土地なのかということもちよつとはつきりしないのですが、ひとつ財務局の方からこの国有財産がどういうぐあいにして区との契約なつたものなのか、しかもその目的をどういうぐあいに使わせるように契約をして、そうしてその後財務局はその寮に対してどういう管理の、管理と申しますか、とにかく監督をとつておつたのか、こういう点をひとつ概括的に御説明を願いたいと思います。そうしますと今の神近先生の御質問の要旨がはつきりして来ると思うのです。そういう概念が私たちにはどうもはつきりしないので、土地がどこのものやら、国有財産なのかあるいは国がある人から借りておつて、その地主の土地にかつてにだれか家を建てたのか、そういう点がはつきりして来るだろうと思いますので、ひとつその点を概括的に御説明願いたいと思います。
  82. 上田新

    ○上田説明員 お答えいたします。本施設は東京第二陸軍造兵廠の養成工の生徒舎でございます。終戦とともに生徒が離散いたしまして、その後に戦災者並びに引揚者の方が随時お入りになりまして相当の数になつたようでございます。土地につきましてはこれは民有の借上げ地でございます。当時その土地居住者と地主との間で話がまとまらずに区があつせんされたと聞いておるのですが、土地につきましての賃貸借契約の当事者はただいま同胞援護会になつておりまして、地代は区の方で直接地主の方にお払いになつていらつしやいます。建物につきましては二十五年の二月になりましてようやく私の方で区の方に折衝いたしまして、区長に貸しつけて戦災者引揚者収容施設として運営していただくことになつております。その使用料は現在一括して国の方に納めていただくことになつておりまして、二十七年の分までただいま入つております。
  83. 神近市子

    神近委員 この第五条でございますか、ここに原形を変更しようとするときはその都度関財の了承を得るものとするということが書いてございます。今倉庫は外郭を直すわけではないから、まあ別といたしまして、それであそこにボイラー室がありまして、何十万円かのボイラーがあそこにあつたわけでございます。それが関財も御存じない、それから居住者も何のためかわからないというところに取払われておるということもあるのですが、それは関財ではどういうふうにお考えになつていますか。
  84. 上田新

    ○上田説明員 ただいまボイラーの件につきましてお尋ねがございましたのですが、はなはだ申訳ございませんが、管理不十分でございまして、どうしてそれがなくなつておりますか、ただいま取調べ中でございますが、まだはつきりしておりません。
  85. 神近市子

    神近委員 それでは経理の面でちよつともう一つ関財との関係におきまして、この契約には必ず居住者の安全のために火災保険をつけるのが条件になつております。八年間一度も火災保険をかけたことがないということは御存じなかつたのでしようか。
  86. 上田新

    ○上田説明員 この点につきましても申訳ございませんが、火災保険がつけてないようでございまして、賃貸借契約につきましては、火災保険をつけるのが常道でございます。
  87. 小島徹三

    小島委員長 神近君に申し上げますが、管財人と賃貸人と賃借人の関係は、厚生委員会の別個の問題にして取扱つていただきたいと思います。今管財人にもし違反があるならば、賃借人との関係においてまた別個の問題として解決すると思いますから、厚生委員会の問題にしていただかないようにお願いいたします。
  88. 神近市子

    神近委員 それではもつぱら厚生援護の面と思つて……。
  89. 小島徹三

    小島委員長 それは法務委員会の方で、国有財産の管理の問題になると思いますから、これは厚生委員会で取扱うべき問題でないと思います。
  90. 神近市子

    神近委員 それは問題が関財の方面とは別だ、こつちの厚生面とは別だというように切り離せない問題なので、そのあとお尋ねする伏線にいろいろ伺つておいたのであります。この問題は経理の不明瞭というところに一番問題があるのでございまして、そこへ今度はお伺いすることにいたします。  今まで共同募金の中から何万円か、ずつと四年くらいの間にもらつておいでになる。それを居住者にどうして包み隠すような方法でおいでになつたのでしようか。これは何か理由があつたわけでございますか。区長さんでも民生課長でもよろしゆうございます。
  91. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 かようなことを申して、はなはだ相済みませんが、家主がたな子に対しまして、家主のふところぐあい、勘定ぐあいなんかを一々発表する必要はなかろうかと存じまして、進んでは発表しておりません。決して包み隠すという必要もございませんし、そういう意図は毛頭ございません。
  92. 神近市子

    神近委員 それは家主とかたな子とかいうような関係ではないと思うのです。さつき管財部長もおつしやつた通りに、これは罹災者あるいは引揚者の生活援護の目的で管理を区にゆだねたのでありまして、たな子と家主というような利害の対立した関係において、たとえばいわゆる家主でございましたら、この中から一銭でももうけを上げようとするでございましようし、そしてたな子でございましたら、これは居住を与えられるというだけで、まるで家主の半分奴隷のような関係に置かれる。私はその言葉が今度の問題をよく象徴しておると考えます。そういうわけで、それではふところを見せないために居住者にはそのことをお話にならなかつたとおつしやるのですね。——わかりました。  それでこの共同募金委員会の経理と、それからおたくの経理帳簿の数字、あるいは出金名目というのは、てんで合つていないのですが、これはどういうわけでございましようか、ひとつその御説明を伺つてみたいと思います。
  93. 千葉哲郎

    ○千葉参考人 共同募金関係の経理につきましては、すでにそれぞれ御発表申し上げてございますので御承知かと存じますが、この機会でございますので、一応収支決算の大きなところだけ申し上げたいと思います。共同募金は、昭和二十四年度から配分金をちようだいいたしてございます。昭和二十四年度におきましては、配分金が五万円でございました。その使途の内容はおおかた修理費になつております。次に昭和二十五年度でございますが、この配分金が三十五万五千円でございます。その使途の内容は、事務雑費が四万七千九百五十円、補修その他につきまして三十万三千六百三十七円三十九銭、次年度繰越が三千四百十二円六十一銭、以上で三十五万五千円でございます。次が昭和二十六年度でございますが、配分金の総額が二十四万九千円、その支出の内訳を申し上げますと、事務費が八万円、補修費その他が十六万四千八百五十円、次年度繰越が四千百五十円、以上で二十四万九千円でございます。次が昭和二十七年度でございますが、配分金の総額は二十万三千円、その支出の内訳を申し上げますと、補修費その他が十九万三千五百八十円、次年度繰越が九千四百二十円、以上が昭和二十四年度から昭和二十七年度までの収支の概略を御報告申し上げたわけでございますが、以上によつて御了承願えれば幸いだと思います。
  94. 神近市子

    神近委員 あなたの御報告をわれわれが伺つたところで、信用もできないような気もいたしますけれども、大体あなたがわからないのです。ですから私はこまかく伺わなくてはならないのです。この共同募金委員会への申請ですか報告ですかの理由は、新栄会から賃借した建物を、経理困難だからこれを返す、そのときに土台の腐つたところやあるいは張りかえ工事に充当する。それから第二回分の二万五千円は、倒れた板へい——何でもあそこの住宅には板塀は私ひとつもなかつたように思うのですが、その倒れた板へい、自家用電燈などの回収費に充当する。そうしてあなた方の方の会計報告の帳簿の中には一切そういう名目は見えないのです。これは共同募金委員会に対しても、そういうよい意味で与えられたお金をかつてに流用するということはあまり悪い仕事のように思うのですが、これはいかがでございますか。
  95. 千葉哲郎

    ○千葉参考人 お答え申し上げます。各年の内容につきまして率直に申し上げたのでありますが、そのこまかい各款項にわたつての説明は、時間も長くなりますので遠慮させていただきます。ただいまお話の共同募金本部に対する申請並びに報告等との相違につきましては、申請当時あるいは報告当時の時期もございますが、申請にあたつては会計年度の当初に申請を出します。しこうしてその配分金は、場合よりますとすでに翌年の三月ごろにちようだいすることもございます。従いまして実際の経理面におきましては、申請内容とはいささか食い違いのあるところもあつたと思います。なおつけ加えて御説明申し上げますが、その使途の内容につきましては、共同募金の性格に相反した使途はいささかもございません。
  96. 神近市子

    神近委員 それは私もできないと思います。これは、下に委員会の方がいらつしやいますから尋ねて来てもよろしゆうございます。  それから二十五年度分なのですけれども、あなたの申請も実行もこれは事実でございまして、玄関が四つありますところに左右一室ずつ八室増築していらつしやいます。私はそれを拝見して窓もない物置のようなところに人間が住まなくちやならぬということにほんとうに心を打たれたわけなのですけれども、あれに十一万二千八百三円出ておるわけであります。ところがこれは建具代、手間代、それから材料代というようなものを合せましても九万円しか行つていないのです。しかも一番大きな出費が建具代になつております。ところが居住者は、建具代は全部か半分は自分が出していますよ。天井もない、窓もない、ただ板を入口からちよつと張つて、そしてドアを一枚つけたようなところにこれだけのお金がどうしてかかつたか。しかもその受取りの方からは、委員会への報告と実質面で出ているお金とはこれだけ違いがある。そういうところにいろいろ疑いを持たれる原因があると私どもは考えるのですけれども、それは建具代というものを徴収しておいて、そうして二重にここから支出したというようなことはどういうことでございましようか。
  97. 千葉哲郎

    ○千葉参考人 お答え申し上げます。修理費の見積りが、あるいは支払い額が高額であるというような御意見でございますが、当座の見積りその他につきましては適正なものであると私ども考えております。
  98. 神近市子

    神近委員 あなたがそうおつしやつても、井戸が二万九千円かかつたとおつしやれば、井戸屋さんの方はいやあれは二万三千円しかいただきませんでしたと言うようなこともあると、この建具代を全部とつて建てておいて、この十一万何千円ですかがかかつたということを委員会に報告してある、そういうところにどうしても納得の行かないものを感じるわけなのです。そうしてカラスも——みんな一度青柳委員にもごらんになつていただきたいと思うくらいで、まるで窓のない、板をただついたてみたいに入口から張つて、上は素通しに風が来るという長四畳、そこへ土間がたつた半枚敷きあつて、そこでこんろを使つて御飯をたく。これはまだいい方でございます。もつとひどいのになりますと——一番ひどいのを見せてくれと私は言つたのですが、小屋の方はもう気の毒で見せてくれと言われなかつたけれども、端にある建物は、建物の一部ではありますけれども窓が全部ない。冬になつたらどうするだろう。押入れには一枚のからかみも入つていない。そこに三人か四人かの家族がざこ寝のように寝ている。もう畳はボロボロになつている。そういうところなのです。そうしておいて、私はここが問題だと思うのですけれども、ふしぎなことに二十五年の三月という月には二十三万五千何百円という金がずつと出まして、その前の月の二月には、さつき申し上げたように三十日だか三十一日だかがついているわけです。そういうようなところ、そして区長の交際費として二万三千円とかお金が出ている。ともかくこういう事実で居住者側の不信を区役所が買つていらつしやる。それで私どもは居住者の仕合せ、安全、それから明朗化というようなことでおとなしく話をつけて、居住者が御希望なさるように直接契約になさつたらということをもう百も希望していたわけなのです。それをさつきおつしやるように面子とかなんとか、しかも悲しい生活をなさつている人々をああいうふうに徒党を組んでとか、あるいはだれかに教唆されてとかいう意味のことを言つて、そうしていろいろ策動なさる、そういうのにがまんができないというのが私どもの受けている印象でございます。それで今そこに居住者の方がいらつしやつておりますから、どうか青柳委員その他からも居住者の代表の田村さんにいろいろ内情をもつと聞いていただきたいと思います。それでぜひともこの問題は建物本来、施設本来の目的に返しまして、居住者本位の——こういうたいへんな家主かたぎの使途でなく、居住者の幸福を守る本来の目的のために使わしていただきたいというのが、厚生委員会に私どもがお願いするところでございます。
  99. 小島徹三

    小島委員長 他に質疑者はございませんか。杉山君。
  100. 杉山元治郎

    ○杉山委員 ちよつと伺いたいのですけれども、私どもは今青柳委員と同じようにやはり話を聞いてもはつきりと全貌がわからないし、区長も二十六年四月後の就任で、話は二十六年以前の問題があつたりして、区長に聞いていいのか悪いのかという問題などもつて参りますし、はなはだどうも混沌としてわからないのですが、神近委員のお話の意図もみな伺つてわからぬこともないのです。そこでひとつ財務局の管財部長にお伺いしたいのですが、もし住民の人たちに今言うように要求があるならば、貸すという意図があるのかどうか、その点まず伺つておきたいと思います。
  101. 上田新

    ○上田説明員 お答えいたします。私どもといたしましては、居住者が総意で皆さん御希望になり、またほんとうに居住者の利益であるならば、区に貸そうとも、あるいは居住者に直接貸そうとも、いずれでもさしつかえないわけでございます。ただこうした戦災者、引揚者共同の収容施設といつたものにつきましては、できるならば都民生局または区といつた公共団体が引受けて、居住者と一体となつてこれを運営して行くということが一番望ましいと思つております。しかし都民生局がこれを引受けず、また区もこれを責任を持つて引受けることができないということであるならば、居住者に直接貸さざるを得ないし、また居住者の方々と直接話合いをして行つてもいいと思います。しかしその場合でも、百数十世帯に及びます各戸の方々と契約を結びますことは非常に困難であります。また今後の運営につきましても非常に煩雑さを伴いますので、そうした場合に、ほんとうに居住者の方々の総意に基く何らかの団体をつくつていただくならば、その団体と契約してもいい、こう考えております。従いましてこの問題が起りましてから、まずわれわれ一番希望いたしますのは、都民生局なり区なりと折衝するのが最初の段階である、こう考えまして、今後の問題につきましては相談いたしました。これにつきまして区長からは責任を持つて管理して行きたい、こういうことでございましたので、ただいまいかにして将来を運営して行くかということを区長と相談いたしております。考え方といたしましてはそこまで……。
  102. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それから経費の点もいろいろ伺いましたが、この居住者の方からいただいている金と、いろいろいつている純粋の費用を見ますと、神近さんのお話になつたように、一万四千円ほど剰余がある、こういうことですけれども、これには修繕費、修理費、そういうものが入つておらぬようですが、今共同募金の金の使途のお話を伺うと、大部分はそういう修理の方に使われている、こういうことですが、今の共同募金の金、あるいは居住者からいただいたほかに、区として何かこの寮に対して支出しているものがありますかどうか。
  103. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 現在まで区といたしましては、この同胞援護会経営の興亜寮等に補助を出しておりません。法人の性質上出しておりません。
  104. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ただいま区としては支出しておらぬということでありますが、先ほど来のお話で、当然区長も民生課長さんも、これは十分責任のあるお仕事であると思うのであります。単に区民である戦災者、引揚者の幸福ということだけでなしに、この事業自体に対して私は今までのいきさつを伺つてみますと、当然責任があろうと考えるのであります。そこで今の経理でありますが、区は全然金を出しておらぬ、補助金等は出しておらぬということでありますが、その前の経理の帳じり、決算等につきましては、区長は十分その管理をしていらつしやいましようか。
  105. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 お説の通り管理しております。ことに昨年夏五割値上げ等の発表をいたしました直後、今お尋ねの段々があつたようなことを耳にいたしましたので、帳簿の一切は区の民生課の方に一応持つて参りまして、親しくこれを計算いたしまして、その上でただいま民生課長が御報告申しましたような決算がわかつたのであります。
  106. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そういたしますと、先ほども神近さんからちよつとお話がございましたが、この経理の方から、この居住者のために、あるいはこの施設の管理のために支出した以外の、たとえば交際費とか、いろいろなものが出ているようなふうに先ほどお話がありましたが、そのような点は全然ないのでしようか。
  107. 千葉哲郎

    ○千葉参考人 お答え申し上げます。神近先生から先ほどお話があつたのですが、それと思われる節のものにつきましてよく調査いたしました。昭和二十五年の十二月二十二日に、会議費といたしまして一万七千円支出いたしてございます。それから同十二月二十八日に、役職員の手当といたしまして二万二千円支出いたしてございます。同様書記年末手当といたしまして八千円支出いたしてございます。以上のほか、経理内容を調査いたしましても、交際費とおぼしきものは出ておりません。
  108. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ただいま少し数字を伺いましたが、同胞援護会の性質でありますが、それは先ほどのお話で、法人でもない、何でもないように伺いましたが、同胞援護会はどういう性質になつておりますか、法的な根拠はどうなつておりますか。
  109. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 先ほどもちよつと申し上げましたように、ただいまのところでは、東京都同胞援護会とは縁がございませんので、板橋同胞援護会と名前をつけておるだけでございます。しかし居住者の方々に対しましては、それではいかにもあやふやな、不安の感じを抱かすという点もございましようから、これは法的にしつかりしたものにしたいと今考えておる次第であります。
  110. 中野四郎

    ○中野委員 関連して——私も実は同胞援護会の牛込の支会長をしている一人であります。現に経理学校の跡で三百世帯に及ぶ、あなたの方と同じケースのものを持つている一人です。今あなたのお説についてちよつと伺いたいのですが、家賃がかりに二百円、二百五十円、三百円、あなたのところは幾らか知りませんが、私のところは最高八百円くらいまであるのです。しかし現在の物価高において収支のとれないことは論をまたぬと思う。そうして恩賜財団同胞援護会が、かりに板橋同胞援護会になりましても、これを法人にするつもりだとおつしやるけれども、現段階ではとてものことに財政の収支が合つたものでないのです。今御質問の御趣旨はどこにあるか私は知らぬが、あなたに伺つておきたいのは、私自身がやつてつて非常に困つているのは、最初の間入る人は、雨露さえしのげばいいからというので、われわれの方も実際はあまり好ましいことではないけれども、なけなしの金を借りて、一つの縁を張り、たたみを入れても、その後の維持がつかない。社会事業は、敗戦後においてはまつたく寄付金という特定のものがなかなか固定してない。いわんや、今聞いてみれば、民有地であり、一方の家屋は国有財産である。してみると、実際上の財産になるものはない。収入は皆無であつてあなたの方は共同募金の割返しが幾らかおありになるようであるが、私のところは一つもありません。そうしてみると、法人にすると言うても、対象となるべき法人の財源をまつたく得ることができ得ないのだから、法人にはちよつとしにくい。東京中にこういう例はたくさんあるのです。私なんかままになるならば早くもうみんな出て行つてもらいたい。この家を何とか処理してしまいたいという気持になるのですけれども、それでは社会事業の趣旨に反しますから、泣きの涙で今でも維持しておるのです。法人に私どももしたいと思うのだけれども、いかんせん福祉法人にしても財団法人にしても、財源がいわゆる一方は国有財産であり、一方はあなたのところは民有地であるとなれば、これは法人にはなかなかならない。あなたはするつもりだとおつしやるけれども、ならない現状ではないか。この点を伺いたい。私の方は実はなかなかならないで困つておる。できるものなれば早く法人に切りかえて、そうして一般住民にも安定した生活をしてもらいたいという気持で努力しておるのですけれども、なかなかその財源がない。あなたの方はするつもりだとおつしやるけれども、なかなかできぬだろうと思うが、何かうまい方法をお考えになつておるかどうか、渋谷君にこの機会にひとつ教えてもらいたい。
  111. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 先ほども私が言葉を多少渋つたのは、そこにあるのです。大蔵省からは直接経営したらどうかというお示しをいただきますと、この区が直接いたします場合に、これを社会事業として扱うか、さらにまた住宅政策の一環として扱うか、これによりましてまたおのずから考えが違つて来るのでありまして、もし住宅政策の一つとするならば、言葉は悪いけれども、ああいうこわれた、手のかかるものを区が引受けるわけには行きません。それからまた社会事業、純粋の社会事業の対象としてこれを経営いたしますると、区がこれを補助いたしまする場合には、これは居住者がおのずからその対象でなければならないということになります。ところが現在居住していらつしやる方は、広汎な意味におきましては戦災者でございましても、その後大分御職業につかれたり、生活に相当余裕のある方もあつたりいたしますと、社会事業の対象にはならぬ、こういう現実の問題にぶつかりますので、なかなか世間言われるように、すぐにそういうふうに法人の組織もできませんし、さりとて区がこれを直営する場合に、そう簡単に区議会が承認いたしません、そういう現実でございます。
  112. 中野四郎

    ○中野委員 そこで管財部長にちよつと伺いたいと思うのですが、今あなたは場合によれば、認めることができればこれを個人に貸してもいいというような御意見であります。ほんとうにそれでできますか。私は率直に言うけれども、国有財産を又貸しする場合においては、大蔵大臣の特別なるところの許可が必要である。現に私らのところはその資金がないために、東京都から資金を出させて、そうしてあなたも御承知の通り、経理学校の中に三棟のものをつくつておる。ところがこの東京都に貸し与えて、さらにこれをつくるときにあたつて来栖大蔵大臣のときでしたか、大蔵大臣の特別の許可を得ておるのです。しかしその後さらに又貸しをして、何らかの形でこれを維持したいと考えても、大蔵大臣の特別な許可のない限りにおいては、これは又貸しすることができない。私は管財部長はもつと勇気を持つて、ひとつはつきりした態度で臨まれた方がいいと思うのです。というのは、この問題はおそらくいろいろな点について、社会党の方からお出しになつたのでしようが、居住者の方もよほどお考えにならなければならぬことは、もしわれわれが責任だけ免かれて、この寮をばそれぞれの居宅者にまかせるとすれば、東京住宅協会というものがあつて、こういうものにまかしてしまえば一番われわれは責任を免がれていいのです。ところがこの方面にまかせれば、おそらく家賃もぐつと上るでしよう。そうして生活にも相当響いて来るだろう。従つてわれわれは現段階で満足しておられる人々に対しては、低賃金をもつてできるだけ補修をして維持して行きたいという考えに立つて、ジレンマに陥りながら、こういう社会事業を経営しておる。その経営者の苦衷というものは、今すでに渋谷君の言われた通りです。ところが今あなたの言われるように、誤解が生じてはならぬのですが、何か個人の集団がもし認めることができるならば、それに貸してもいいというような御意見を述べられたが、そういうことではたしてできるかどうか。私はこれはたいへんな問題だと思う。たとえば共産党の扇動とか、あるいは一部の者が扇動せんがために、住宅者の中でいろいろと議論を並べる場合があつても、そのことは全般の意見ではないのでありまして、全般の意見として大所高所からながめて、なるほどこれはこういう団体に貸し与えることが妥当であるという見解に立てば、おそらくそういうような立場もできぬこともないかもしらぬが、それでもつて今日の国有財産の処理にあたつては、むずかしい問題が起つて来ると思う。してみれば、この板橋の興亜寮というのですか、この人たちが貸せと言つたら、あなた方は貸すことができますか。私は手続上至難な問題が多々あろうと思いますが、あなたの言うように簡単に貸し与えることができるかどうか、これを伺つておきたい。将来われわれこういうものを経営しておるものが、非常な困難に陥る場合がある。戦災後この人々をあらゆる犠牲を払つて今日までお住み願つて来ておる、その後において一部の者が一つの形をとつた場合に、これを貸すことができるかどうか、あなたの言うように簡単にできるかどうか、一ペんこの際伺つておきたい。
  113. 上田新

    ○上田説明員 お答え申し上げます。私が先ほど御説明いたしましたのは、原則といたしましては都や区にやつていただきたい。これが大前提でございます。これまで区に貸しております。しかし二十八年度につきましては、年度契約でございますので、まだ未契約になつておりますが、区にまず折衝いたしまして、区がおやりにならなければこれを返していただく、返していただいたときに居住者相手に貸すことができるのでございまして、区に貸したままで居住者に直接貸すことはできません。これは一応区の方に管理を委託しております。ですから契約の表向きは二十八年度につきましては切れておりますけれども、なお私どもとしましては、区とよく御相談して従来のような形式で行きたい。従来の形式と申しますか、運営につきましていろいろ御相談いたすこともございましようが、貸付先は区にして行きたい、しかし区でおやりにならない、また都でもお引受けにならないということであれば、直接居住者を貸付の対象にすることはできる、こう申し上げたわけであります。直接居住者に貸し付けます場合も、本来ならば住んでおられる方々各個人を相手といたしますが、これでは管理面が非常に複雑になりますので、居住者の方々の総意に基く団体があるならぱ、その団体でよろしい。これは総意ということをまず前提にいたしております。
  114. 中野四郎

    ○中野委員 それはなかなかむずかしい問題です。あなたは責任負えますか。はつきり聞いておかなければならぬことですが、たとえば一年ずつの契約は当然なんです。これは一つ法律の施行上におけるところの慣例なんです。一年心々に切りかえて行くということは、われわれのところだつて、あなたのところへ毎年々心切りかえておることは論をまたぬところなんです。しかしもし区がこれを引受けない、それからまた適当な、区に準ずるものがこれを引受けない、その場合はあなたの方は返してもらう、返してもらつた場合に、個人の集団——総意があつても個人の集団であるものが貸付の対象となるか、それはあなた引受けられるか、もしそうなればこれは非常に複雑微妙な問題が起つて来る。私はそういう場合には東京住宅協会とか——東京でなくても住宅協会とか、ないしは公的性格を持つたものを対象として国有財産を貸し付けるなら話はわかるが、総意にしても何にしても、個人的な団体に貸し付けることができるという見解を持つておられるかどうか、法的にはできるかもしれないが、実際上の手続としてそれができるかどうか伺つておる。そういう個人的な団体に貸し付けることができますか、やりますか、やるとすれば、あぶなくてこういう社会事業はやれません。だから一ぺんあなたに伺つておく。
  115. 上田新

    ○上田説明員 お答え申し上げます。私は考え方としてこうした考え方もある、実際の問題として、それができる確信を持つて申し上げるまでの研究はいたしておりません。
  116. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 なお区長さんに伺いたいことはたくさんございますが、その前に今までは一方的に区長なり区の民生課長のお話を承りましたが、中に入つております居住者の自治会の代表も見えておりますから、自治会の代表の方に、ただいまいろいろわれわれと区長さんたちとの問答があつたわけでありますが、それらについて、またそのほかのことにつきましても、この施設が国の建物を貸しました本来の目的と反するような事実があるかどうか、そのことについて伺いたいのであります。
  117. 田村英郎

    ○田村参考人 御質問の点にお答えしたいのでございますけれども、その前にまず私たちが……。
  118. 小島徹三

    小島委員長 質問に関連してだけ答弁願います。
  119. 田村英郎

    ○田村参考人 では関連した点だけをお答え申し上げます。大蔵管財との契約の面について相違する点があるかという点でございますが、これはプリントにも書いてございます通り、又貸しの事実は公々然と行われておりますし、権利金は板橋では興亜寮は二万円が相場ということで、はつきりとブローカーの間で取引されておるという事実もございます。(「区がとつておるのではないだろう」と呼ぶ者あり)区ではありません。これは同胞援護会の形でやつておりますから、区ではとつておりません。個々人で取引されておる。そのことにつきまして、別に管理者側から異議の申立てもなく、入つておるということも事実であります。以上の二点を御説明いたしましただけで、大体御賢察願えるのではないかと思うのであります。
  120. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ただいま申しましたように、本来の目的と違つたように使われておるというようなことについて、田村さんがこういう点が非常に心外だというようなことがありますかどうか、そういう点を承りたいと思います。
  121. 田村英郎

    ○田村参考人 共同募金の点で申しますと、まつたく私たちが調査いたしましたことと相反する事実がたくさんございます。ただいまここに証輝書のたぐい等も持つておりますが、先ほど神近先生から御指摘のありました井戸掘りの代金等につきましても、業者から領収書を私どもの方でちようだいいたしてございます。これは決していかさまのものではございません。なお先ほど同じく神近先生から御質問のありました、入口の建具等の増築の際に、個々人から金を領収した件につきましても、当時の管理人である松島健之助氏からの領収書が私たちの手元にございます。これ等をごらんになりましても、明らかに共同募金の配分等も目的を逸脱した使用の仕方をしておるということは、証憑書によつても明らかであると思います。
  122. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 大体の外貌がわかつて参りましたが、区長さんに伺いたいのでありますが、自治会側から私の方に来ておりまする陳情書等を見ますると、助成金と称しまして、地代とか、あるいはその他のものを地代以外にもとつていらつしやるようでありまするし、あるいは修繕等につきましても、家賃のほかに修繕料というものもとつていらつしやるようであります。ただいままた権利金という問題が出て参りました。こういうものは、同胞援護会のあなたが監督していらつしやいまする帳簿には、全部載つておりますか。
  123. 渋谷常三郎

    ○渋谷参考人 権利金云々というお話がありましたが、これは私は初耳でございます。援護会等の全然あずかり知らぬところで行われていたかもしれませんが、全然私たちは知りません。それからそのほかのお尋ねでございますが、今いろいろお話がございましたけれども、私どもはそういうことは行われているということは信じられません。
  124. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そういたしますと、もし権利金をとつておるということになりますれば、どこかやみに入つておるということになる。国有財産を使い、そうして戦災者、引揚者でありまする居住者を利用いたしまして、中に権利金をとるというような不届きなことが行われておるということでありまして、実に困つたことであります。これは黙過し得ないところであると思うのであります。この点につきましては、区長さんの十分な御監督をしていただいて、調査をただちにしていただかなければならぬと思うのであります。なお先ほどの共同募金の金でありますが、私の方に得ておる資料によりますと、どうも共同募金でとりました金が、先ほど民生課長さんのお話では、共同募金を申請したときの条件と違つたように使つていらつしやるということでありますが、そればかりでなく、共同募金で得たものでつくつたというもので出て参りました金額と、共同募金でとりました金額との間には開きがある。つまりよけいとつておる。さらに居住者に聞きますと、たとえば井戸を掘る、あるいは部屋をつくるというときに、その金を居住者に割当てたようであります。そういう事実があるのでありますか。
  125. 千葉哲郎

    ○千葉参考人 お答え申し上げます。いずれの点ですか、具体的な点につきましてよくわかりませんが、共同募金の配分を受けた目的のものに対しまして、二重に居住者から負担をいただいておる事実はございません。
  126. 河野密

    河野(密)委員 私ちよつと御質問申し上げますが、実はこの問題が起りましてから、おそらく私のところに一番先に御相談が来たのじやないかと思うのです。そういうような関係で、いきさつをよく存じております者として、ここでひとつ居住者の代表の方に伺いたいのですが、あなた方の御趣旨は、大体これは現在の区の当局の責任をお問いになろうというのであるのか、それとも先ほどお話がありました松島何がしという前の管理人の責任を問おうとするのであるか、どちらなんでしようか。その目的のほどをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  127. 田村英郎

    ○田村参考人 お答えいたします。私たちは当初から値上げに反対しておるものでもありません。ただ経理の内容と使途が不明確でありますので、その点を松島管理人を通じて常に追究いたしておりましたが、彼は老齢で、目が見えず、耳が遠くて、事務が処理できないということを理由に、二年間にわたつて帳簿の公開、会計の内容の報告をいたしませんでした。そうしておりますうちに、先ほども説明いたしましたように、種々の不正と思われる事実がだんだん出て参つたわけでございます。当初私は屋根工でございますので、あそこの屋根の修理をいたしました。その節に、松島管理人は領収書を二枚私に要求いたしました。一通は区役所、一通は寮に保管しておくのだと申しまして、正規の領収書を二通とつた。このよう事実から、だんだん懐疑を抱いて参りました。ところが先ほども関財の方に御質問がありましたように、ボイラーを無断で撤去してどこかに持ち去つたというような事実もだんだん明らかになりましたので、このような不正を許しておいてはいけない、こういうことをやつていたのでは、いつまでたつても生活はよくならないから、そういう悪いことをやる人にはやめてもらつて私たちが明るく住みいいところにするために、ぜひ私たちの手に運営をまかしていただきたいということが、私たちのねらいでございまして、決して犯罪人を出すとかその他のことがねらいではございません。
  128. 河野密

    河野(密)委員 それで今のお話を聞くと、その管理していた人に対するあなた方の不満か不平か存じませんが、そういうことで私の知る範囲では、今年一月一日から都では先ほどお話がありましたような板橋戦災者同胞援護会ですか、そういうものをこしらえて、そうして区長も顧問だと思いますが、先ほどお話の篠某という人が会長になつて、あの中に住んでおられる区の民生委員理事になられ、そうしてそういう陣容を立て直して管理をされておる。それだのに前の松島某という人がどういうことをしたか、それは存じませんが、その人の問題とそれとを考えあわせてそうしてそれと一緒にして論議されているということは、少しく受取れないと思うのです。その点はあなた方はこの新しいあれについて、どういうふうに考えておられるのか。これはおそらく板橋の都会議員の人も顧問になつているし、区会議員の者もその理事かになつておると思いますが、そういう人の顔触れが悪いというのか、あるいはどういう趣旨なのか、そこのところが、あなた方の言われる趣旨が、どうものみ込めないのです。私も御相談を受けたけれども、それはなるべく区の方とお話合いをつけて、円満に話をされるのが最も筋道じやないかということを、私は再三代表の方にも申し上げたつもりであります。そういう筋で行かれるのがいいのではないかと思うのですが、あなたはどうお考えですか。
  129. 田村英郎

    ○田村参考人 舌足らずのために誤解を受けたかと思いますが、私たちはやはり何回か当事者である区に相談に参りました。千葉民生課長にもこのことを申し上げますと、千葉民生課長は、私は事務当事者であつて責任者ではないから、契約当事者である区長と話してくれというようなことも言われました。区長のところに参りますと、区長は御多忙中のためにお会いになれない、それではだれにお会いしたらよろしいのですかとお尋ねいたしましたら、では篠先生にお会いしてもらいたいということで、堂々めぐりして、ちつともらちが明きませんので、そこで再び千葉民生課長にお会いしましたのが、昨年の十二月二十八日でございます。そのときには千葉民生課長と意見の一致をみました。私たちと区と協力して明るくやつて行こうじやないかということで意見の一致を見ましたのですが、遺憾ながら今年の一月一日付で板橋同胞援護会の規則ができました。ここに傍聴になつていられる板橋英雄先生も知らない間に顧問になつておるという形で、ほとんどの人が知らない間にでき上つたので、こういうことでは困る。私たちは決して何もかもぶちこわそうという、ただでたらめなことをやつているのではないということで陳情を続けたのですが、全然責任の所在が明らかでありません。かてて加えて契約がもう切れているというので、大蔵省の管財に参りまして、話を進めて参つたわけでございます。
  130. 河野密

    河野(密)委員 もう一つ質問します。これは大蔵省の管財部長にお尋ねを申し上げますが、先ほど中野君からも質問した点が、きわめて要点だと思いますが、私の承知する範囲におきましては、大蔵省の管財部長が、大蔵省としてはその居住者と直接契約をするのだ、むしろそれを希望するのだということを意思表示されて、それが問題をきわめて紛糾さしておる根本だと私は思うのですが、はたしてそういうことを言われたかどうか、明確にひとつ御答弁願います。
  131. 上田新

    ○上田説明員 お答え申し上げます。管財部長といたしまして、居住者に直接貸しつけることの方を希望すると申したことはございません。先ほど御説明申し上げました通りでございまして、戦災者、引揚者共同の収容施設というものにつきましては、地方公共団体がまず責任を持つてもらいたいというのが私たちの希望でございますし、従来からの取扱いでもございます。
  132. 河野密

    河野(密)委員 それでは居住者の方にちよつとお尋ねしますが、先ほど渋谷区長がだれかの質問に対して言われました点が私は要点だと思うのです。あの建物を社会事業団体として管理するということになれば、たとえばあなたのように正式な職業を持つていて、何らの援護を必要としない者はあそこから出てもらうというようなことになるかもしれません。それからもしかすれば適当な要職を持つている者とかいうものは、これは社会事業の援護の対象にならないかもしれません。もしまたあれを一つの住宅の対象として考え、住宅が必要であるという意味から考えるならば、先ほど来のお話のような修理その他等を完全にするためには、家賃も値上げをしてペイするように、収支相償うようにやつて行かなければならない。このいずれの道を選ぶかという一つのジレンマになるだろうと思います。そこのところをあなた方はどういうふうにお考えになつて、あそこの居住者の代表と言われるか。あなた方が代表と言われるのは一体何人を代表しておられるのか、そこらのところを十分お考えになつているかどうかお伺いしたい。
  133. 田村英郎

    ○田村参考人 お答えいたします。  まず第一に社会事業団体になつた場合にあそこから出て行かなければならないと思うが、ということでございますが、私は現在あそこに居住権を持つている以上、そういう形があとから出てもおそらく区長さんはしやにむに出て行けとはおつしやらない、そのような理不尽なことをおつしやらないと思います。  それから次に私は、ただいま持つて来ておりますが、百十名の署名をいただいておりまして、その上に立つて物事を処理いたしております。ただいまここに百十名の署名を持つております。
  134. 小島徹三

    小島委員長 委員の方に申し上げます。本会議も始まりましたし、大体厚生委員会として知らなければならぬところの共同募金に関する問題、並びに同胞援護会の性質等に関する問題は、大体これで委員の方々は了承されたと思いますから、その他のこまかい点についてはこの際質問を遠慮していただきたいと思います。
  135. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 最後に簡単に……。今までの質疑応答で大体のことはわかつたのです。社会事業に住居の提供という仕事があります。社会福祉事業の中にも項目としてございます。でありますから住居にお困りの方があそこにお住まいになることは少しもさしつかえないと思うのであります。  なおただいままでのお話の結果大体わかつて参りましたのは、これは相当に会計がずさんである。区長さんが、国有財産でありますところのボイラーを持ち去られても知らんでいる、こういうようなばかなことはないのであります。これは正確に申しますれば、衆議院の行政監察委員会等の対象となるべき筋のものであります。そういうような問題から考えましても、その他の事情から推しましても、これはきわめて管理が不十分である。もう時間がありませんからこれ以上伺うことはできませんが、きわめて管理は不十分である。この国有財産を戦災者、引揚者のために国が貸したという目的に十分かなつておらない。この点につきまして今後区長さんは、当然の責任者といたしまして、そこに居住しておられます戦災者あるいは引揚者と関財と契約いたしました条項、目的がはつきりあるのですから、その目的にかないますように十分な管理をせられて、戦災者の援護、引揚者の援護の目的を十分に遂行されるように、切に希望する次第であります。  またいろいろ設備等につきましてもきわめて不十分のように伺つています。なるほど家賃が非常に安いという点もありましようが、これらの点につきましても、居住者と十分協力してくださつて、ことに区長さんは社会党の右の方だと伺つておりますので、この点は私が申すまでもなく十分にそれらの方々に丸する同情はお持ちのことと思います。どうかそれらの人々のほんとうの意味での更生の施設といたしまして十分にこれを管理せられますように、そうして国の財産がその目的にかなうように使われますように、切に希望してやみません。
  136. 小島徹三

    小島委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会