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滝井委員 そうしますと、今後民営あるいは私営の
水道は、
市町村公営主義をとるので、強制買付の
措置を
指導して行かれるということでございますが、これは私はそういう
方針ができれば一番けつこうなことだと
考えるのですが、問題は工業用水との関連があ
つて、なかなかそれが
現実にできかねる
状態が多いのです。たとえばその市とに全然別の、遠い上流の村から
水利権を、ある炭鉱なら炭鉱が買収をして、そうして工業用水と飲料用水とを同時にその川から引いて持
つて来て、一部を工業用水に使い、一部を飲料用水に使
つておるわけです。そうしますと、たとえば炭鉱なんかのあるその市のほとんど全部が鉱業にかか
つておる。それで私営の
水道もあるが、私営の
水道は
簡易水道の
ようなほんの小つぽけなもので、いわゆる鉱業権者の経営しておる工業用水と飲料用水とが一緒にな
つた水道、いわゆる鉱害の補償として飲料用水を供給しておるという
ような場合が多い。これは筑豊炭田なんかには至るところそういうな
状態が多いのです。現在その鉱業権者が
水道を買収して私営の
水道にし
ようという動きは至るところにあります。ところがそれが今日工業用水との関連においてなかなか困難な
状態であります。なぜかと申しますと、
市町村営の
水道でありますと、これらの鉱業権者が今度は水を買わなければならぬことになるわけです。そういう点で現在非常な難関が出て来ておるのです。こういう点の難関も乗り切
つて、
厚生省は今後この
法案が通れば
市町村公営主義をと
つてや
つて行かれるだけの勇気があるのかどうか、私はむしろそういう勇気があればぜひそうしてもらいたいと思う。そうしますと水の問題はこれは非常に
解決しやすいのです。なぜかと申しますと、現在たとえばわれわれの筑豊炭田においても、
市町村というものは炭鉱の力が政治を左右する
状態が非常に強いのです。
従つて市町村の力を利用して炭鉱が水源地を求めて、そうして自分の
施設の
水道をつく
つてしまうわけだ。そうしますと、今度市が市営の
水道をやろうとしても、水源地はたくさんあるものではないのですから、もはや炭鉱に独占をされてしま
つて手も足も出ないというのが
現実なんです。
従つてもしあなたの言われる
ように、今度この
法案が通れば、
市町村公営主義をと
つて行く、そうして民営あるいは私営のものは強制的にでも買収して行くということになれば、私は大賛成なんです。ぜひそういう方向にや
つてもらいたいと
思いますが、客観情勢はそうあなたが口で言われるほど、やさ上いものでないと私は
思つておるのですが、今後そういう
建前でほんとうにや
つてもらえるものか。これはきわめて大事な点ですから、ひとつ念を押しておきたいと
思います。