○滝井
委員 私は今までの
結核対策は大きな誤りはなか
つたと思います。問題はこういう
実態の
調査ができて、そしてその
調査に基いていろいろ
対策の
機関をつく
つて行く、
日本の現実はその
機関ができてもその
機関が動かないというところに、むしろ欠陥があるわけなんです。私はここを誤
つてはならぬと思います。なるほど役所はいろいろたくさんの
機関をつくりますが、その
機関がほんとうに本来の目的に向
つて動かない。私をして言わしむるならば、今まで
日本の
結核の第一線の予防の中心は保健所であ
つたと思う。
治療の中心は
療養所である。そして
療養所から出て来た後
保護施設というもの、すなわちアフター・ケア、これらの三つのものが系統的に有機的な連絡をと
つて動くところに、初めて
日本の
結核対策があると思う。しかもそれらの三つの
機関が有機的に動いて行くためには、それと並行的に社会保険というものが整備をされて来なければならぬと思う。ところがこれらの
機関が現実に有機的な連絡をも
つて動いていないところに私は
結核対策の根本的な誤りがあ
つたと思う。たとえば現在
政府の保健所に対する
対策を見てみると、常に
政府が出した当初の原案においては保健所の保健婦の補助を削
つたり、あるいはいろいろな補助金を削
つて行く。三党修正でようやくそれがどうにか気息えんえんたる
状態ながら元にふつ返しておる。ところがそれが現実においても動いていない。保健所は現在——私がある有力な温泉マークを経営しておる人に、現在あなたは
日本の官庁で一番恐しいのは何ですかと、こういう質問をしました。私はおそらくその人が税務署であるということを第一に言うであろうと期待してお
つた。ところが彼は税務署と言わなか
つた。まず第一に
日本の官庁で何が一番恐しいかというと、労働基準局、第二番目が消防署、第三番目が保健所、四番目が税務署だ。私はこれを聞いて驚いた。
日本の保健所というものは、われわれは少くともこれが発足の当時においては、
結核予防の中心の
機関としてこれを発足せしめたはずなんです。ところが現在保健所というものは監督
機関にな
つておる。料理屋のABCをきめたりなんかするような、そういう監督
機関にな
つて、これは
国民のサービス
機関にな
つていない、こういうところに根本的な
日本の
結核対策の大きな誤りがあり、大きな認識の
不足が私はあ
つたと思う。あるいは
結核の
療養所においても十七万の
ベツドがあるということを期待してお
つたが、今の答弁では十一万しか
回転をしていない、しかも
予算はおそらく十七万のものを基礎にして計算しておるだろうと思われる。アフター・ケアの必要なことはもう衆目の見るところなんです。ところがそのアフター・ケアの
予算というものは今年度においてもわずかに二千四百八十六万円で、二箇所分だ。そうしますとこれは明らかにもはや出てもいいのだという人ができて来ても、これは労働にはつけないのですから、当然軽作業か何かをや
つて、社会に出て就職をする準備をしなければならぬが、そういうものを何もや
つていない、
従つて莫大な百三十何億という
結核対策の金を使われていながら、この
国民の膏血というものは何ら効果的に使われていない。こういうところにいくら
機関をつく
つて、この
実態調査に法いて
計画したところで、これはもう役に立たないと私は思う。たとえば
療養所の問題が出ましたが、私も先日福岡において
療養所に
行つて調べてみましたが、現在
療養所に入
つておる者は社会保険
関係の者がほとんど全部だ、社会保険
関係とい
つたら健康保険と
生活保護関係あるいは共済組合の
関係の者が全部だ。
国民健康保険の
患者というものは
結核療養所に入れない。なぜ入れないかというと、半額
負担があるから入れない。あるいは自費
患者に至
つてはほとんど一割以下だ。しかもその自費
患者はほとんど全部滞納しておる、こういう
実態です。そうしますと社会保険の恩恵を受けない者は三千万以上おる。
国民健康保険の
関係者が二千四百万、合せると五千万以上の者が
結核対策からま
つたく盲点にな
つてオミツトされておる。そうすると八千万
国民の中に五百万以上の
患者と要
療養者がおるということになれば、現在二百万以上の者がほつぼり出されて菌をばらまいておるという
実態なんです。
従つて私はまず第一線の予防の中心としての保健所の確立から始めたければならぬ。いかに
療養所をつく
つたつてこれは同じなんです。まず予防が徹底しなければならぬ。ところがしからば現在保健所が予防の機能を持
つておるか、私は持
つていないと思うが、
大臣はこれをどうお
考えになりますか。