運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-25 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十五日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川 俊思君    理事 中川源一郎君 理事 松永 佛骨君    理事 古屋 菊男君 理事 長谷川 保君    理事 岡  良一君       助川 良平君    降旗 徳弥君       山口六郎次君    亘  四郎君       山下 春江君    滝井 義高君       萩元たけ子君    柳田 秀一君       杉山元治郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         厚生事務官         (児童局保育課         長)      吉見 静江君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ————————————— 五月二十日  委員中曽根康弘辞任につき、その補欠として  松村謙三君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員萩たけ子辞任につき、その補欠として  木原津與志君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員松村謙三君及び木原津與志君辞任につき、  その補欠として山下春江君及び萩元たけ子君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十二日  結核及びらい患者福祉事業振興会法案福田繁  芳君外三名提出、衆法第四二号) 同月二十日  戦傷病者戦没者遺族等援護法等公務死適用範  囲拡大に関する請願大石ヨシエ紹介)(第  四八七七号)  戦傷病者援護強化に関する請願中嶋太郎君  紹介)(第四八七八号)  同(伊藤好道紹介)(第四八七九号)  同(堤康次郎紹介)(第四九一一号)  同(小平忠紹介)(第四九一四号)  同(今井耕紹介)(第四九二五号)  同(堤ツルヨ紹介)(第四九七四号)  療術法制定に関する請願辻文雄紹介)(第  四八八〇号)  同(山口丈太郎紹介)(第四八八一号)  日雇労働者健康保険法の一部改正に関する請願  (宇都宮徳馬紹介)(第四九二〇号)  無名戦士墓献納に関する請願山口六郎次君  外一名紹介)(第四九二三号)  遺家族等援護対策確立に関する請願大高康  君紹介)(第四九二四号)  医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正す  る法律廃止に関する請願外三件(田中伊三次君  紹介)(第四九二六号)  クリーニング業における試験制度存続に関する  請願三池信紹介)(第四九三九号)  医薬関係審議会設置法制定に関する請願(只野  直三郎君紹介)(第四九五二号)  檮原村に簡易水道敷設請願長野長廣君紹  介)(第四九七五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  厚生行政に関する件     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。人口問題に関する小委員でありました降旗徳弥君及び岡良一君は去る四月二十日、二十八日の両日にそれぞれ委員辞任されたに伴いまして、人口問題に関する小委員が欠員となつておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、再び委員に選任された降旗徳弥君及び岡良一君を人口問題に関する小委員指名いたします。     —————————————
  4. 小島徹三

    小島委員長 次に結核実態調査結果に関する件について発言を求められておりますので、これを許可いたします。長谷川委員
  5. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先般来の厚生省当局その他の非常な御努力によって、画期的なわが国結核実態調査の結果が判明したようでありますが、それによりますと、かつて日本結核状態につきましての推定は根本的に立て直さなければならないようになったと思うのでありますが、今日、全国の結核ベツドの数は幾らまで整備されて来ているのか、かつて結核五箇年対策計画がどこまで進んでおるのか、まずベツドの数を伺いたいと思います。
  6. 楠本正康

    楠本政府委員 結核ベツドは、五箇年計画をもちまして、一応十九万床を目標にして進んで参りましたが、現在約十一万床運転いたしております。しかしながら、今回の実態調査の結果からいたしますと、これらの十九万床計画というものは、これらの数字を離れまして、運営面なりあるいはそのやり方につきまして、再検討をする必要があろうと考えております。特に、現在、結核十九万床計画のほかにアフター・ケアの施設が若干始まつておりますが、これらも総合した一つ病床計画というものが必要ではなかろうかと考えております。
  7. 長谷川保

    長谷川(保)委員 十一万床の公私立法人立等内訳はどうなつておりますか。
  8. 楠本正康

    楠本政府委員 この内訳の詳しい点につきましては、後ほど資料でお手元に差上げたいと存じます。
  9. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今回の実態調査によりますと、大体進行性の者が二百五十万人くらいあるようであります。そのうちの空洞を持つております者が約五十五万人くらいあるように拝見をするのであります。そしてさらに患者及び特別な保養を要します人々の総数は五百五十三万人という数字が出ておりまして、実に容易ならぬ事情考えられます。従つてこれに対しましては先ほど申しましたように画期的な考え方にかえなければならぬ、新しい考え方にしなければならないと思うのでありますが、ことに拝見して参りまして、病人の出ております事情が大体一世帯の中に二人、三人というのがやはり多いようであります。このことは明らかに肺菌者約六十万人、ことに空洞を持つております五十五万人等々のおりますところに結局家族感染というものが著しく起つているというように考えられるのでありまして、ここに結核病床を整理し、それに肺菌者を隔離するということが非常に大きな問題であり、解決の根本問題になるであろう、こういうように考えられるのであります。この実態調査かできました結果といたしまして、大体厚生省ではどういうふうに今後の考え方をなさろうとするのか、今後どういうような結核対策を立てようとなさるのか。すでにお考えが進んでいるのかどうかを伺いたいのであります。
  10. 楠本正康

    楠本政府委員 結核対策につきましては、その関係いたしますところか公衆衛生当局に限らず、社会局あるいは保険局等広く関係をいたしておりますので、目下省内におきまして関係官でいろいろ方針を練つておるわけでございます。ただこの場合御指摘のように五、六十万人の肺菌者が現に存在をいたしております。あるいは進行性の者が数百万人もおるという現状でございますが、しかしながらこれらをすべて療養所に入所させて、従来通り方針で進むというようなことになりますとなかなか急の間に合わない。そこで一方ではむしろベツド回転率をきわめて盛んにして行つて、この不足を補う、あるいはさらに民間その他の力を総合して収容施設考える、あるいは現在まで比較的等閑に付せられておりました在宅患者管理指導、かようなことを徹底させることを考えなければならぬと思つております。さらにこれら空洞を持つた患者あるいは肺菌患者等につきましては、無自覚性の者あるいは後年者の場合、さらに少くとも生活能力を持つておる者がかなり見られますので、これらにつきましては特別に生産を上げつつ何らかの措置をとる必要があろうう考えておる次第であります。
  11. 長谷川保

    長谷川(保)委員 いずれにいたしましても肺菌者の処置ということがまず解釈のうちの根本方針一つであろうかと思うのであります。これに対しまして今お話のような方法が考えられるといたしましても、何といたしましてもこれは単なる弁解ではなくて、実質的にこの肺菌者に対しまする積極的な隔離、治療という線が打出されなければならないと思う。そういう点が私は厚生当局がよほど腹をきめてかからないと、今日の日本財政事情、また現内閣の政治方針といたしましては、この方面に大きな措置をすることは不可能であろうと思うのであります。こういうような意味で私はこれだけの大きな調査ができ上がつて来ておるという場合に、もう間もなくまた来年度の予算を組むというときが来ているわけであります。事務当局といたしましても十分の腹構えがなされなければならないのでありますが、ただいまの御答弁のような程度のことではとうていこれは解決しないと私たちは感ずるのであります。またさらに来年度を待たないでこういう実感調査国民に発表されました以上は、今年度におきましてもただちにあとう限りの手を当然打たなければならないのでありますが、逆に今月私ども結核療養所におきまして、肺菌を持つておりますような君たち開放性結核患者であります者が退院させられる、あるいはベツド回転という立場からそういうことを強行なさるのであるかもしれませんが、きわめて不十分な治療状態にありまする、病状のまだ固定しておりません者を退院をさせておるというような実情を頻頻として知らせられておるのであります。大体今日の状況におきまして、今年度の対策といたしまして、公衆衛生局当局はどういうような方針を今後とられて行こうとするのであるか、今年度の対策をお聞きしたいと思います。
  12. 楠本正康

    楠本政府委員 今年度はすでに予算決定いたしております。従いまして大きくこの実態調査の結果に基きまして、結核対策を変更せしめて行くということは困難な実情にあります。従いまして現在は少くも保健婦活動というようなものを一層積極的に活用いたしまして、足らざるベツド不足を補う、あるいは先ほど御指摘家族感染の点につきましては、療養指導のほか特に重点的にBCG接種の励行ということを奨励いたしまして、この際は新しい明らかとなつ事態に処して行きたい所存でございます。
  13. 長谷川保

    長谷川(保)委員 社会局長がおいででありますから聞きたいのでありますが、これは社会局だけの問題ではないようであります。最近生活保護患者に対しまして、ことに結核関係生活保護患者に対しまして、相当きびしい療養審査をなされ、それが度を過ぎたほどの行き方をしているのではないかと私ども考えられる節があるのでありますが、ことに社会局の方で、今までの福祉事務所でもつて決定をしておりました医療扶助につきまして、それを福祉事務所だけにまかせないで、県に特別な機関をつくつて、それの審査を経て、また福祉事務所を通して決定をするというようなふうの方針をとられるやに伺つておるのでありますが、そういろ面につきましてどういうような事情になつておりますか、伺いたいのであります。
  14. 安田巌

    安田政府委員 医療扶助がだんだんふえて参りましたことは仰せの通りでございまして、大体生活保護費の五〇%をやや越える程度の額になつておる。それで昨年度の末には医療費支払い等にも困つたような事実もございますし、この際医療扶助現状というものをもう少しはつきり把握する必要があるだろうということになつたわけでございます。それでいろいろ調べまして、現在三十四県ばかりの県から報告があつたのでありますが、主として医療扶助の単給、医療扶助だけを受ける世帯について調べてみたわけでございます。その結果保護の停廃止をすべきものと認められるものが八%、この調査いたしました世帯は五万五千九百八十五世帯でございますけれども、八%くらい出ております。新たに一部負担を課すとか、一部負担を増してもいいと思われるようなものは一四%、全体の二割二分くらいが何とかもう少し適正な措置がとれるのではないかということが出て来たわけでございます。なお東京とか大阪とか京都とかいう大都市についても調べましたけれども、やはり三割くらい何とか措置を要するというものが出て来たわけでございます。それで私どもといたしましては、医療扶助を要するものを扶助しないというようなことはいたさないつもりでございますけれども、しかしもし若干でもそこにむだがありますならば、そういうむだを省くような努力をいたしますことは、当然の責任ではないかと考えておる次第でございまして、そういう点については私どもはたびたび指示をいたしておるわけでございます。  なお従来福祉事務所医療扶助決定しておつたものを県の方へ引揚げたかどうかというようなお話でございましたけれども医療扶助そのものにつきましては県の方へ引揚げたことはございません。但し入院とか退院とかいうことにつきましては、いろいろ従来も問題がございまして、病院等によりまして非常に不公平がございます。それで先ほど楠本部長からもお話がありましたように、ベツド回転をよくして、非常に困つた人たち、症状の重い人を入院させるというような建前から、入退院につきまして一つの権威ある協議会をつくつて、そうしてそこに公立の病院長とか保健所長が入つてきめるというような措置をとろうとしておるところがございます。東京都の場合はその協議会を始めたばかりでありまして、どの程度のことをやつておるかということはまだつぶさには承知しておりませんけれども、そういう動きがあるということも事実でございます。  なお付添い決定につきましては、従来非常に問題がございましたので、やはり正確を期する上からこの分だけは県の方へ引揚げた方がよかろうということで申し入れたことがございます。
  15. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今付添いの話が出ましたが、付添婦医療扶助患者につけさせるという場合に、何にしても早急を要する場合がある。そういう場合にただいままでのような福祉事務所で扱うということだけでも、非常に遅れて困つておるのであります。それを厚生省の方で今度御指示なつたやに伺いまするような、福祉事務所で制定するだけでなく、福祉事務所からさらに県の嘱託の特別な審議をする係の方に出して、その許可を得て、また福祉事務所を通してつけるというようなことになりますと、これは早急の間に合わないことになる。実情に非常に反することになつて国民の基本的な当然の人権でありまする、そういう生命の危険にさらされておる場合に間に合わない実情になりはせぬかということをおそれ、また事実現場からもそういう陳情が私らに参つておりますが、これについてはどういうふうになさるお考えでありますか。
  16. 安田巌

    安田政府委員 これは病気のことでございますから、そういうこともあると思います。そういう場合には、あとで手続をする場合もございましよう。ただ現在の付添い実態を調べますと、これは相当ルーズに行われておるのでありまして、完全看護でなくても、病人自体の一応の看護ということは、これは入院料の手数料の中に入つておることは御承知通りでありまして、完全看護とそうでない普通の看護との差は非常にわずかなものであります。そこで普通の病人看護では間に合わない人だけを看護婦の資格を持つておる人を原則として付添いと認めるという方針でやつてつたものが、実際は付添婦が付き添うていろいろ雑用をしておるという点が非常に多いのであります。このことはいろいろ調べてみてもそうでございますし、現実に私どもが一人付しか認めないといつておるのに、二人付、三人付というものを現に病院あたりでやつておる点、から見ましても、そういうことが言える。同時にまた二人付、三人付というようなことを認めましたために、いろいろ弊害が起つて参りました。これは一つの悪い例でございますけれども、三人付ならば普通の料金の三分の一ずつを一人の患者についてもらえばよいわけでありますけれども、これも結局福祉事務所等が違いますために、三重取りという事例が出て来ておる。そういう事例がございまして、会計検査院からいろいろ指摘をされて、私ども非常にその不明を恥じたわけでございますけれども、そういう点からいつて引揚げることが必要じやないかというような事態になつて来たわけでございます。
  17. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私は、これは厚生省でお考え直しを願わなければ実態に即さないのではないかと思うのであります。今二人付、三人付がありまして、三人分とるということでございますれば、これは非常な問題です。その点を問題にされたことは当然であります。けれども実際はそういう人はほとんど少いのであつて、ただ患者相当重症であつても、全然つきつきりでなくてはならぬということではなくて、必要なときにある時間この人のめんどうをみる、そのあとでちよつとほかの患者をみるということは当然できまして、そういう意味で二人付、三人付ということが自然と行われて参つたと思うのであります。さればといつて、それではそれなしでよいかというと、なしで行けるものではないのであります。それは病気というものは、それ自体がそういうわけなのであります。それを病院付看護婦で当然やるべきだとおつしやいますけれども病院付看護婦は、実態といたしましてそこまでほとんど手を出しません。また雑用と申しますけれども付添婦のなしまする雑用がなくては、患者はとうてい入院しておれぬ。相当生活をしておりまして、家庭から付添いにだれか行くならばよろしゆうございますけれども、そうでなければ患者はまつたくほうりつぱなしになるということでありまして、やはり二人付、三人付が出て来たその事情というものは、当然そう行けば行けるのだ、一番ぐあいよく行けるという面も多分にあると思うのであります。また病院看護婦看護料に、入院料にある程度つているから、病院看護婦でやるべきだとおつしやいますけれども、実際はそういうようになつていないのでそうは行かないのであります。だから今日のように付添婦を限定して参るということになりますと、患者自体が非常に困つて、安心して療養ができないという事情になるのは当然でありまして、その点当局の御認識が不十分じやないか、実態とそぐわないじやないかというように思うのであります。ことに今申しましたように、福祉事務所から県を通つてまた福祉事務所に来て付添婦をつけるかつけぬかということをきめることになりますと、付添婦の方といたしましては、下手をまごつけばただ働きさせられるということになつて来るのでありまして、そこに急を要しまする患者、ことに手術等をいたしました患者のごときは、国民の当然の権利といたしましての医療扶助を受けられないということになつて来るわけでありまして、これは非常な問題だと思うのであります。この点についてなお局長の御意見を伺いたいのでありますが、大臣がお見えになりましたので、大臣の方にひとつ伺いたいのであります。  先ほど来部長局長に伺つておるのでありますが、御承知のように今般厚生当局の非常な御努力によつて、また関係者の非常な御努力によつて、世界でも珍しい結核画期的実態調査がここに確実になされ、その成果が発表されたわけでありますが、私どもこの成果につきましては非常な注意をして参りましたし、また期待をして参つたのでありますが、その調査の結果といたしまして、御承知のようにわが国におきましては、今までの予想と全然違いまして、五百五十三万人もの、大ざつぱに申しますならば、十五人に一人の割合に結核患者もしくはこれに準じまする特別な顧慮を要する結核関係の人があるということは、実に容易ならぬことであります。そこでこの重大なる問題に対しましては、従来の方針をよほどかえました画期的な方策をとらなくてはならぬと思うのでありますが、大臣のお考えを承りたいのであります。
  18. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 お話のように昨年全国的に調査をいたしました結果、従来の結核対策相当検討して見直さなければならぬ結果になつたと思うのであります。従来の状態から考えますると、大体死亡率に対する医療考えて、一応結核患者の数を推定しておつたのでありますが、ただいまお話になりました結核患者が約二百九十二万であり、また発病の危険のある者が二百六十一万という数字になつて参りましたので、従つてこれらに対しまする根本的な結核対策というのを検討いたしてみる必要に迫られておると思うのであります。そういう観点から従来の結核対策をさらに検討いたしますために、近く結核対策に対しまする具体的な一つ機関と申しまするか、そういうものの、調査の結果に基いた資料に基きまして方策を立ててみたいと存じまして、現在急いでそれを検討いたしておるところであります。従いましてその結果によりまして今後の結核対策を樹立して参りたいと存じております。
  19. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この調査の結果を見ますと、要医療者が二百九十二万人、しかもそのうち進行性のものが二百五十万人、入院を必要といたしますものが約百五十万人、空洞を持つておるものが五十五万人ぐらいの数字が出ておるようであります。従いまして先ほども部長伺つたのでありますが、今日結核ベツドで運転しておりますのが十一万床ということでは、問題にならない、しかも結核患者実情を見ますと、一つ世帯に二人、三人とおるものが多いようであります。私は根本的に考えかけれはならぬのは、これはやはり結核伝染病だということであつて家族感染というものが行われておるということを考えなければならぬ。従いまして根本問題としては、やはり入院のできる設備をつくらなければだめだ、それを思い切つてつくらなければこの問題は解決しない、それを思い切つて今つくりますれば、急速に解決に向つて進んで行くであろう、こう思うのであります。問題は、その場合にその設備相当大きな金がかかるわけであります。しかし今日の政府のあり方から考えますと、そういう方面に大きな予算を出すということは、相当法律をきめませんとなかなか不可能であるけれども、これほどに日本国民結核に虫ばまれておるという現状を見ますならば、根本的に政府当局に十分に考えてもらわなければならぬというわけであります。従いましてもう間もなく予算編成期が来るのでありますが、大臣としてはそれに対して来年度どういうような御方針をお考えになつておるか、これだけの確実な実態調査ができている以上、大臣としては腹構えがおありだと思うのでありますが、それについてお伺いをいたしたいのであります。
  20. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 調査の結果は御案内の通りでありますが、その調査の結果に基きましてだんだん検討をいたしますと、大部分無自覚患者が多いのであります。お話のように結核死亡率が私どもの想像以上に多かつたのがうんと減つて約三分の一程度に減つた。しかし罹病者はずつと多いのですが、その罹病者の中でもむしろ壮年層青少年層より多くなつた。そうしてその大部分無自覚患者だ、そこで具体的には御指示のようにあるいは病床増床という問題、その他そういう結果から考えまして、いろいろな対策を講じなければならないと存ずるわけであります。従いましてそれらの対策につきまして、ただいま申し上げましたように根本対策検討いたす一つ機関をつくりまして、それらの意見を十分総合いたして、この対策を立てたいと、現在その方向に向つて進んでおる次第であります。現在私ども考えておりまする点は、どうしてもすべての社会保障社会施設等におきまする立場から、結核対策相当十分にして行かないと、いろいろな方面の影響が大きいので、従つて一方における観点から考えますると、まず結核対策というものが、一つの基本になつて来るものではないかという意味におきましては、まつたく同感に考えております。
  21. 長谷川保

    長谷川(保)委員 これは私どもあとう限りの御協力をするわけでありますが、よほど腹をきめて、来年度に今までの十九万床の五年計画というようなものを根本から立て直して、そしてまず結核療養施設に対しまして、公私立、法人立を問わず、これをよほど増床し、そして最近の進みました結核に対する医療のできるような、そういう設備を整える必要がある。従来のような厚生省の弱腰では、私はとうてい来年度の予算がふえると思えない。この際厚生当局、ことに大臣によほど腹をきめてもらつて、来年度の確固たる対策を立てていただかなければならないと思うのであります。来年度以後の根本的な対策を、特別な委員会をつくりましてお立てになるというお話でありますが、来年度以後の問題につきましては、今申しましたように、根本的に建て直してもらうと同時に、すでにこういう実態がはつきりして参りました以上、今年度におきましても、これが対策を十分立てなければならぬ。しかるに今年度のきわめて不十分な予算におきまして、なおかつ聞くところによりますと、逆に医療設備費、その他あらゆる厚生省予算関係で、一割ぐらいを最初から節約をするというような指示が出ているかに伺うのでありますが、厚生者はさような方針をとつておるのでありましようか。大臣の御意見を伺いたいと思います。
  22. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 一応私から申し上げて、また具体的には医務局長から申し上げることにいたしますが、必ずしも一割減でやろうという意味ではございません。ただこういう時期でありますから、節約し得るものは節約し、ことに燃料等で急激に市価が安くなつておるようなものもありまするし、従いまして多分そういう意味考えていたしておることだと存じます。決して無理に縮めて減らして、経営を困難な状態に陥れるというようなことは考えておりませんので、この点は御了承をいただきたいと思います。
  23. 長谷川保

    長谷川(保)委員 こういう問題はあちこちに私ども伺うのであります。たとえば埼玉県の豊岡の国立療養所のごとき、患者のまかない料を一割引くようにということを、患者自治会に申し入れておる、こういう事実もあるのであります。こういうように患者に対してそういうことを申し入れられておるのみならず、また国立病院等でも、医療設備の整備費について一割節約するというように指示をいたしているかのごとくに伺つておるのでありますが、当局の方ではどうでありましようか。
  24. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 ただいま御質問のございました、二十九年度予算の一割節減ということにつきましては、これは予算はもう定まつておることでございますし、いろいろと予算の実施の計画を立てなければならぬわけであります。その際の支出負担行為の計画を立てる場合に、今年度は今後おそらく節約を迫られる状況になるかもしれないので、一応そういう点を考慮して、今から準備と申しますか、心構えをそのつもりでやつてもらいたいという意向を、大蔵省の方からも伝えられておりますので、後になりまして無理な節約になつても困りますし、そのことを施設に申したことは事実でございます。しかしながらこれは食費につきましては、ただちに節約というようなことはできないのであります。そういうような意味で、この点についてはさらに大蔵省の方ともいろいろ御相談して、もちろん大蔵省の方でも今ただちに一割節減せよということを言つて来たわけではないのであります。ただそういうことが将来予想されるから、そのことを考慮の中に置いてくれということであつたのであります。その後いろいろと折衝いたしまして、そうして食糧費、特に患者の食料費あるいは看護婦の生徒の食糧費というようなものは、これは減額ということはほとんど不可能でございますので、この点をよく事情を説明いたしまして、十分了解も得ましたので、さようなことはまず予想されないから、考慮する必要はないということを、その後また各施設に伝えてやつたような状況であります。
  25. 長谷川保

    長谷川(保)委員 生活保護予算が、御承知のように表面から申しますと、昨年度と比べて十四億九千四百万円ばかりふえた形になつておりますが、前年度の不足分といたしまして、二十億今年度に食い入つておりましたので、実質的には減つておるように思うのであります。そうして今日の事情考えまして、昨年度のあの医療扶助の金のごとき、実にひどいものは、十月から五月まで半年も支払いをしなかつたというひどいことになつてしまつたわけであります。その事情等から思い合せまして、今年度この予算では足らない、私ども予算審議いたしますころに、しきりにこの点を念を押したのであります。今日の事情ではやはりとうてい私は足らないと考えるのでありますが、補正予算を組むことを要求なさるおつもりが厚生大臣におありになるかどうか。
  26. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 現在のところでは、さような考えは持つておりません。あるいは大災害等が起るような場合がありますれば別でございますが、普通の場合にはさような考えは持つておりません。
  27. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこで今日の実情は先ほど局長お話では、停廃止もしくは一部負担等をさせるべきものが約二割ぐらいあるというように、実情調査した結果考えられるというお話でございましたが、それは今日入院しておる者について、そういうことがある程度あるでありましようけれども、これは実際はずいぶんひどい。末端におきましては、彼らの人権を侵害するという苛酷な打切りをいたしておるのであります。もしこの苛酷な打切りをいたすといたしましても、なお先ほどもお話が出ましたように、今日結核の要治療者、入院を要する者が非常にたくさんあるのでありますから、もし今日入つている人に対しまして、苛酷なる扱いをいたしまして打切りをして退院をさせるとか、あるいは無理やりに一部負担をさせますために、やむを得ず彼らはその一部負担に耐えかねて、方法なくして退院して行く。すなわち退院すべからざるからだでありますが、退院して行く。そうして自宅において療養をする。そのためいよいよ自宅の大きな重荷になりまして、結果といたしまして自殺その他の悲劇が起つて来ることになる。また家庭の者たちは勤労する機会を失つて、いよいよ生活に脅威を受けるという事情にもなつて参りましよう。かくいたしまして、無理やりに退院をさせる、あるいは余儀なく退院をして行くというような事情になつて参りましようが、先ほど申しましたように、なおうしろには入院を待つておりまする数十万あるいは百数十万という予備軍がおるわけでありますから、これらの人々がかわつてつて来ることは当然であります。従いまして、昨年より生活保護関係が少くなるというようなことは絶対にあり得ない。ことに今日のデフレ政策からいたしまする中小企業の倒産等の関係から考えて参りすすると、失業者もふえましようし、生活困窮者もいよいよふえて来ることでありますから、生活保護予算が昨年以下であるというようなことは絶対あり得ないし、昨年のごとき、半年も医療扶助の金を病院当同等に支払わなかつた、こういうような点から申しまして、当然補正予算を組まなければやつて行けないことは明らかだと考えられるのであります。従いまして、今日その御意思がないというお話でありますが、これは今から考えていただかぬとまた昨年の二の舞をするのではないか、こういうように思うのでありますが、重ねて大臣の御所見を承りたいと思います。
  28. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 ただいまお話にありました点につきましては、実は入院患君等について、予算関係等のために苛酷に退院をさせるというようなことはいたさない、またいたすべきものでないと考えておるのであります。従いまして、もしやそういうようなことがありますれば、今後ひとつ御注意をいただきまして、末端に対しまして十分指導をいたして参りたいと存じております。ただ、実際は退院していい人がなかなか退院をしないという場合がありまして、お話のようにあとには相当な人が待つておられるので、なるべく回転率をよくしながら治療をするように、言葉をかえて申しますると、生活保護の円滑なる運営をいたして参りたいという心組みは十分持つておりまするけれども、そのために無理に出すという方針はとりたくないと存じております。現に私ちよいちよい地方の療養所をまわりますると、退院し得る状態にありまするが、あるいは家庭等の事情なり、あるいは住宅等のためにまだ退院していらつしやらない方も相当見受けるという状態でございます。これもあまり理論的にばかりは行かないので、従つてそこは実情をよく検討しながら進んで参らねばならないと考えております。  この二百七十九億の予算、その後増しましたが、この予算で本年度事実運営が困難になりまする場合には、これはいわゆる一種の法律上の義務負担でございますから、従つてその施行に誤りさえなかつたら、当然国庫において負担をして参らねばならない金でございます。今年これでずつと執行いたして参りまして、もしやなお不足等の状態が生じますると、従来通りあるいは予備費等から充当するというようなやり方をいたして参るわけでありまするが、それは実際執行いたしまして後に起つて来まする情勢に応じて適当に処置をいたして参るべきものと存じております。このために、予算の範囲内において納めるという立場から、お話のように、事実治療をいたすべきもの、あるいはもつと治療をいたすべきものを無理にするというやり方はとらざる点であると存じまして、さように進めて参りたいと存じております。
  29. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の大臣の御答弁をそのままひとつやつていただきたいのであります。実際におきましては、大臣のお考えと違つたことが非常に行われておる。なるほど結核療養所等に参りますと、すでに退院をしてよいと思われるような方々がある程度いられることも事実でありましよう。しかしその方が出られませんのは、出ればただちに生活に困る。つまりアフター・ケアの措置もなければ、さればといつて職業につくという自信もありませんし、また結核療養所から出て来たものを雇い入れるところもない、生活方法がつきませんから、ついずるずるいるという方々も少数おられると思うのであります。従いまして、アフター・ケアの施設につきましても、積極的におやりにならなければならないと思うのでありますが、今年の予算を見ましても、ごく小さなものを二箇所くらいつくる、あるいはそれをさらに半分ずつに割りまして四箇所つくるというようなことである。それもきわめてちやちな小さなもののようであります。そのようなことではこの問題は解決しないのでありまして、無理やり療養所から出せば生活に困つて、結局最後は犯罪を犯すか死ぬより道がなくなるのであります。どうかこの生活保護法の精神に従い、憲法の精神に従つて、今大臣がおつしやられましたように、決して無理やりに出されないような立場でしつかりとやつていただきたいと思うのであります。  ついでにこの際伺つておきたいのでありますが、昨年御承知のように医療扶助費が遅払いになりまして、医療施設は非常な困難をいたしました。やむを得ず大部分のものが高利を借りたり、あるいはまた出入りの商人に四箇月も支払いをしませんから非常に高いものを買わされざるを得ないことになりまして、実質において非常な損失をいたしております。こういうような、当然国が支払うべきものを半年も引延ばしたということにつきましては、国といたしまして当然その責任を負うべきであつて、かつて大蔵省の方に伺つたときにも、あるいは利子は支払うべきであるかもしれぬというようなお話があつたのであります。こういうものに対して利子をお支払いになるかどうか、この国の責任をどうなさるか。  さらにいま一つつておきたい。生活保護、ことに医療扶助の方の支払いを二月後にできるようにまたなさつたということでありますが、国といたしましては、県の方に早く金をまわしておいて、県の方といたしましては、医療扶助を引受けておりまするその施設に対しまして、少くともその月もしくは翌月には支払うべきである。それを国の方が困るんじやないかというようなことからいたしまして、二月後に支払うというような方針をとられることは一方的なやり方である。施設といたしましては、お上の言うことでありますからということで泣き寝入りをしていらつしやるようでありますが、しかし非常な苦情が私どもに参つておるのであります。せつかく翌月支払うようにいたしましたのを、また一箇月遅らして支払うようになされたのは不当であると思うのでありますが、この点につきまして当局はどういう方針をおとりになるか、今後の方針を伺いたいのであります。
  30. 安田巌

    安田政府委員 ちよつとこまかくなりますので、私から御答弁申し上げたいと思います。二十八年度の医療費が遅れましたことは事実でございまして、まことにその点申訳ないと思つております。ただ御指摘のように五箇月も六箇月も遅れたということではないのでございまして、大体支払いが苦しくなりました昨年の十一月の支払い、つまり十二月から支払う分につきましては、たびたびこの委員会でも申し上げたのでありますけれども、国の療養所とか病院とかあるいは公立の方の支払いをためておきまして、一般の私立の病院、その他診療所にはなるべく遅れないような措置をとつたわけであります。なおまた年度末等におきましては、いろいろ資金の操作等をいたしまして払つたような事実がございまして、御指摘のようにそれほど遅れたということは私ども承知いたしておりません。いずれにいたしましても、遅れたことはまことに申訳ないのでございますから、今後十分気をつけたいと思います。  ただ従来県が直接医療機関に払つておりましたのを、昨年の六月から社会保険診療報酬支払基金で支払うようにいたしまして、そうして翌月払いといたしましたために、非常に支払いが促進されたと私どもはその当時思つてつたのでございます。ところが調べてみますと、それまでに各県なり市なりが医療機関に大分支払いをためておつたような事実がございます。それをだんだん解消して行くために支払いの額もふえますし、同時にまた、そういうものがあるために支払いが遅れたというような事実がございますけれども、しかし私は今でもこの基金払いにしたために、そういう点が画一的に支払いができるようになつて、支払いが早くなつたのではないかということを考えておるものでございます。そういうわけでございますので、まあひとつ利子の方は御勘弁願いたいと思います。  それからいま一つ指摘の、今まで一箇月あと払いであつたものを二箇月あと払いにするのはけしからぬというお話でございますが、私ども実は五月に診療を受けた者は六月中に支払うということにいたしたいのであります。ところがだんだん調べてみますと、基金の審査の事務、その他の手続等に間違いがあることも相当発見いたしまして、そういうものを監査に行つて指摘しておるのでありますけれども、やはり一月あと払いというのは無理なような状況があるのであります。そこで現在健康保険が二箇月あと払いでございますので、健康保険より遅れることはどうも困るけれども、しかし十五日くらい遅れることは今の実情から見てはやむを得ないだろう、こういうことで指導いたしておるわけでございまして、この点まことに申訳ございませんが、現在の点数単価の支払いの方法で、しかも基金払いで内容を審査して払うということになりますと、どうしてもそういうようになつて来るので、どうぞその点あしからず御了承願いたいと思います。
  31. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の局長の答弁には非常に不満であります。そんな実情じやない、もつとひどい実情になつております。当然厚生省も利子は払うべきだと私は思うのでありますが、時間がありませんし、ほかの質問者もありましようから、次の問題に移りたいと思います。  今の問題と関連しておりますが、診療報酬の単価の問題であります。先般当委員会におきまして保険局長から診療報酬の単価をきめました条件をいろいろ御説明がございました。後に私も調べてみますと、これはいわゆる今井案を御説明になつたようであります。それによりますと、従来診療報酬の単価をきめまする基準が、医師の世帯構成を五・二人といたしまして、一箇月の世帯費、つまり生活費を一万八千九百十三円というようにいたしております。今日これに対しまして非常な不満が起つており、私大臣の郷里でありまする愛知県に二、三日前に参りましたが、すでに保険医諸君が、かつていたしましたような保険医辞退の署名をまたいたしまして、ほとんどそれをとりまとめております。これが全国に波及することは明らかでありまして、事は非常に重大であると思うのであります。これに対しまして、まずただいま申しましたような五・二人の世帯構成で一万八千九百十三円というような世帯費の計算の上に立つておりまする今日の診療報酬の単価計算の基礎というものを、大臣は正しいとお考えになるか、それともこれは当然改訂さるべきだとお考えになるか。今保険医の総辞退というような重大なる段階がもうすぐ全国的に広がると思われますので、この際大臣の御所見を伺つておきたい。
  32. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは保険局長からもお答えを申し上げたことだと存じます。現在の単価の算定の基準はお答えを申し上げましたようになつて、そこできめて——私ここに資料を持つておりませんが、多分御指摘のようであつたと存じます。そこで現在の単価が今の時代にどうかという問題になりますが、もしもこれが適当でないとなるならば、増額という問題になつて、あるいは高かつたら安くという問題になるのはこれは当然でありまして、これはそれぞれ新しい角度から検討し直してみなければならないという点もありましようけれども、とにかく現在この単価によつてお願いをしておる次第でございます。かつてこの委員会か大蔵委員会で総括的に、それなら現在の単価はこれでいいと思つておるか、あるいは安いと思つておるかという御質問があつた次第でございますが、私はこれは決して高いとは考えておりません。しかしこれの影響いたしますところは直接予算に影響して参ります。従いまして一方単価と関係いたしますあるいは税の問題なりその他の問題等とも関連して検討しなければならないという点もありましようし、これを今の状態におきまして、ただちに改訂するということは、いろいろと影響するところが大きいのでありますから、この点につきましてはかねがね医師会等とも御相談を申し上げておつたような次第でございます。
  33. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいま申し上げましたように、すでに保険医の総辞退という段階が目の前に来ておるという重大なる事態を、大臣とされましては十分に御認識をいただきたいのであります。もう愛知県では、先ほど申しましたように、調印をとりまとめたという実情であります。今日の政治の貧困からいたしまして御承知のように失業対策は十分できておらず、生活保護は現実において苛酷にも打切りをいたしておる、これに対する国民の非常な不満があり、また不安があり、さらにこれに輪をかけて保険医の総辞退というような段階に至りますならば、私は非常な社会不安が起つて来ると思う。先ほど来の社会局長等の御答弁は事実と相当に離れた御答弁であると、私ども実際の末端をまわつて深く感ずるのであります。従いまして私は先ほど来大臣が言われておりましたように、ほんとうに生活保護法の立法精神というものを実施していただきたい。憲法二十五条の精神をほんとうに行つていただきたい。そうしないと重大なる社会不安が来る。それに拍車をかけるということになる。すでに重大な段階に立ち至つて来ているということをお考え願いたい。この社会不安を解消いたしますために最も働いていただかなければならぬのは厚生省でございまするから、どうかその点について十分な御努力をいただきたい。  ことに結核対策につきましても、結核機関をつくられるということでありますが、どういう機関をつくられますかまだ伺つておりませんけれども、これにつきましても先ほど来申しておりますように、国民の十五人に一人という恐るべき数字結核患者及びそれに準ずる者が出て来ておるのでございまして、これまた重大な社会不安の一つの要素である、これらにつきまして今後大臣の十分なる御努力をお願いする次第であります。今年度の予算につきましても、とうていこれでは足らぬことはもはや火を見るよりも明らかで、これにつきましてもどうか十分なる御決意をお願いいたしたいのであります。  以上生活保護法、結核関係に対しまする私の質問を終ります。
  34. 小島徹三

    小島委員長 滝井義高君。
  35. 滝井義高

    ○滝井委員 今長谷川先生からいろいろ結核実態調査の全貌に関連して質問がありましたが、重複しない二、三の点についてお尋ねしたいと思います。長谷川さんに対する御答弁の中に、結核対策というものについては、この実態調査の結果再検討することが必要である、従つてそれのための機関をおつくりになる、こういうことでございましたが、そうしますと大臣のお考えでは、この結核実態調査をごらんになつて、今までのわれわれの、たとえば結核の死亡者に十か十二をかけたものが患者の数であるというような、きわめて不確実な推定でやつてつたものが、非常に大きな誤りであつた従つて今までの結核対策全般については大きな齟齬を来しておつたので、新しく新規まき直しでやりかえると言われるのですか、それとも今までのものは間違つていなかつた、大体正しかつたが、それをさらにより緻密なもの、よりよきものにするために再検討を加える、こういう意味なんでしようか、そのどちらでしようか。
  36. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 大体従来は推定百六十万程度、つまり結核死亡に対する十ないし十二倍というのが世界的な考え方であつたと思います。それをとつて日本もやつてつた従つて大体百六十万くらいということが一応言われておる点であります。今まではこれをもつて考えざるを得ないし、またそのほかには方法がなかつたと存じます。従つて今までのそれらのものを中心にしてやりまして、皆さんの御協力をいただいてやりました結果、死亡率はぐつと減つてつた。二十五年には約十二万人、二十六年にはそれが九万三千人、二十七年には七万五百人、昨年は五万五千に減つて来た、この結果は、たいへんいい活動であつたと思います。しかしそれであるからといつて結核患者が減つたかというと、決してそうではないというのが今度の調査の結果現われて参りました。それらの実情に即応する一つ観点からの対策を今度は必要とするのではないか、従来の成果につきましては私ども決して否定するものでもないし、その結果相当の成績を上げておるが、今度の調査の結果はさらにこれをいろいろな角度から検討して、その調査に沿うような方策を立てて行かなければならないと考えておるのであります。
  37. 滝井義高

    ○滝井委員 私は今までの結核対策は大きな誤りはなかつたと思います。問題はこういう実態調査ができて、そしてその調査に基いていろいろ対策機関をつくつて行く、日本の現実はその機関ができてもその機関が動かないというところに、むしろ欠陥があるわけなんです。私はここを誤つてはならぬと思います。なるほど役所はいろいろたくさんの機関をつくりますが、その機関がほんとうに本来の目的に向つて動かない。私をして言わしむるならば、今まで日本結核の第一線の予防の中心は保健所であつたと思う。治療の中心は療養所である。そして療養所から出て来た後保護施設というもの、すなわちアフター・ケア、これらの三つのものが系統的に有機的な連絡をとつて動くところに、初めて日本結核対策があると思う。しかもそれらの三つの機関が有機的に動いて行くためには、それと並行的に社会保険というものが整備をされて来なければならぬと思う。ところがこれらの機関が現実に有機的な連絡をもつて動いていないところに私は結核対策の根本的な誤りがあつたと思う。たとえば現在政府の保健所に対する対策を見てみると、常に政府が出した当初の原案においては保健所の保健婦の補助を削つたり、あるいはいろいろな補助金を削つて行く。三党修正でようやくそれがどうにか気息えんえんたる状態ながら元にふつ返しておる。ところがそれが現実においても動いていない。保健所は現在——私がある有力な温泉マークを経営しておる人に、現在あなたは日本の官庁で一番恐しいのは何ですかと、こういう質問をしました。私はおそらくその人が税務署であるということを第一に言うであろうと期待しておつた。ところが彼は税務署と言わなかつた。まず第一に日本の官庁で何が一番恐しいかというと、労働基準局、第二番目が消防署、第三番目が保健所、四番目が税務署だ。私はこれを聞いて驚いた。日本の保健所というものは、われわれは少くともこれが発足の当時においては、結核予防の中心の機関としてこれを発足せしめたはずなんです。ところが現在保健所というものは監督機関になつておる。料理屋のABCをきめたりなんかするような、そういう監督機関になつて、これは国民のサービス機関になつていない、こういうところに根本的な日本結核対策の大きな誤りがあり、大きな認識の不足が私はあつたと思う。あるいは結核療養所においても十七万のベツドがあるということを期待しておつたが、今の答弁では十一万しか回転をしていない、しかも予算はおそらく十七万のものを基礎にして計算しておるだろうと思われる。アフター・ケアの必要なことはもう衆目の見るところなんです。ところがそのアフター・ケアの予算というものは今年度においてもわずかに二千四百八十六万円で、二箇所分だ。そうしますとこれは明らかにもはや出てもいいのだという人ができて来ても、これは労働にはつけないのですから、当然軽作業か何かをやつて、社会に出て就職をする準備をしなければならぬが、そういうものを何もやつていない、従つて莫大な百三十何億という結核対策の金を使われていながら、この国民の膏血というものは何ら効果的に使われていない。こういうところにいくら機関をつくつて、この実態調査に法いて計画したところで、これはもう役に立たないと私は思う。たとえば療養所の問題が出ましたが、私も先日福岡において療養所行つて調べてみましたが、現在療養所に入つておる者は社会保険関係の者がほとんど全部だ、社会保険関係といつたら健康保険と生活保護関係あるいは共済組合の関係の者が全部だ。国民健康保険の患者というものは結核療養所に入れない。なぜ入れないかというと、半額負担があるから入れない。あるいは自費患者に至つてはほとんど一割以下だ。しかもその自費患者はほとんど全部滞納しておる、こういう実態です。そうしますと社会保険の恩恵を受けない者は三千万以上おる。国民健康保険の関係者が二千四百万、合せると五千万以上の者が結核対策からまつたく盲点になつてオミツトされておる。そうすると八千万国民の中に五百万以上の患者と要療養者がおるということになれば、現在二百万以上の者がほつぼり出されて菌をばらまいておるという実態なんです。従つて私はまず第一線の予防の中心としての保健所の確立から始めたければならぬ。いかに療養所をつくつたつてこれは同じなんです。まず予防が徹底しなければならぬ。ところがしからば現在保健所が予防の機能を持つておるか、私は持つていないと思うが、大臣はこれをどうお考えになりますか。
  38. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 保健所の活動あるいは運営につきましては、これを決して万全とはまだ考えておりません。今後大いに御意見等を拝承いたしましてその機能を発揮するように努力をいたしたいと考えております。現在七百八十二箇所の保健所がそれぞれ全力を尽してはおりまするが、しかし今後におきましてもつと活動するように指導もし、また機構そのものも充実して参りたいと考えております。そこでいろいろ御意見のありました点から、一方は社会保険の充実強化をはかり、また結核対策その他に対しまする予防あるいは治療、相まちまして保健所の活動の機能を充実いたすよう今後一層進めて参りたいと考えております。
  39. 滝井義高

    ○滝井委員 どうもきわめて抽象的に保健所の充実をはかり、社会保険の充実をはかると言われるが、その通りなのです。しからば保健所の充実を具体的にどうやつてはかつて行くかということが問題の焦点でなければならないと思います。現在都道府県でやつているわけですが、具体的にどういうふうにやつておるか、地方財政はまつたく赤字です。現在三百六十億の赤字をかかえて気息えんえんたる状態です。再建整備法も地方行政委員会でやつておるが、これはなかなか大蔵当局が許さないという状態で、こういう力の弱い保健所に、出す金が現在の地方の状態ではない。問題は金のない中で、どういうぐあいに考えて行くかということなのです。保健所というものは手足を持たない。保健所に集まつて来る統計はみな開業医の統計だ。開業医が自分で見たトラコーマの患者結核患者を保健所に届ける。それを集計して、厚生省に持つて行く、こういうことなのです。問題は現在の厚生行政の中における公的医療機関と私的医療機関、そういう二本建で行く、こういう考えを持つておられるわけですが、こういう私的医療機関を活用していない。届出はいろいろ出すが、問題は具体的に現実に患者に接触しておるところの私的医療機関を、厚生行政の末端の保健所にどういうふうに結びつけて行くかという考慮が、今までの県の行政においても、厚生省の行政においてもちつとも考えられておらないところに、保健所がサービス機関から監督機関に移る根本的なところがあるのです。だからこれは保健所がサービス機関である元の姿に返すためには、やはり手足を動かさなければならない。手足を動かすためには現在の私的医療機関というものを保健所のもとに、きれいに組織をつくつて行く形をつくらなければならないと私は思うのですが、そういう点について大臣はどうお考えになるか。
  40. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 まことにごもつともな御意見と拝承いたす次第であります。保健所はもつと数も増し、内容も増して行く方針のもとに出ておりますが、それにいたしましても現実の問題といたしましては、いわゆる医療機関、なかんずく個人開業その他の私設医療機関と申しますか、そういう方々の協力を十分得て参りませんと、目的を十分に達し得ないと存じます。これらの点について不十分か点を今後十分連絡をし、ともどもに協力してやり得るような方法も検討して参りたいと存じます。
  41. 滝井義高

    ○滝井委員 療養所についてもそういうことが言えると私は思います。現在少くとも二百ベツド療養所をつくるためには一億の金がかかります。これは私実際に療養所の建設に参画したことがありますが、少しモダンな施設の整つた療養所を建てるとすれば、土地代その他で二百ベツド、一億は優にかかります。そうすると問題は現在の日本の客観的な情勢の中から療養所に一億の金を出して、各県ともどんどん建てる情勢にあるかといえば、これはなかなかないことは、十九万床五箇年計画というものが遅々として進まないことからも言える。現在わずかに十七万床である。そして入院しなければならない患者が百三十七万もおるのであつて、ようやく十分の一をちよつと越えるベツドしかない。こういう情勢を見てもわかります。従つて私はさいぜん申しましたいわゆる私的医療機関を、結核療養に動員することを考えなければならない時期が来たと思います。どういうぐあいに動員をして行くかというと、現在私が調べたところによりますと、生活保護法の患者が一人で大体三十万から五十万を使うと、失礼な話ですが命か切れて来る。現在結核患者には大体一万四、五千円くらい生活保護が出ております。そういうことから考えて行くと、現在長谷川さんも御指摘なつたように、もはや次にベツドの明くのを待つておる人々が百万以上もおるわけなんです。従つて問題はここにあると思う。自分の家に宅地を持つてつたり、経済的な余裕のある人の方が、むしろ結核療養所に入る率は多いのです。健康保険証を持つてつても、家族で半額負担ができない者は入ろうと思つても入れない。経済的に半額負担のできる者の方が先に入つて行く情勢にある。あるいは全然自分の金で負担をしない生活保護法の者が入つて行く情勢なのです。従つて一家の支柱の働き手などは、療養所に行かなくても、家に何か個室で家族感染しないような隔離の部屋があれば、そこにおりたい人も相当にあるのです。たとえばお父さんなりお母さんが療養所入院しないで、寝ていてもいいから、家で採配を振つてくれれば家がうまく行くという人は相当ある。そこでたとえば一億円で二百ベツドしかできないとすれば、そういう宅地を持つておる結核患者には、国が病気のお見舞として、一人に五万円ずつで二坪住宅をつくつてやる、そうして自分の家の軒を伸ばして、四畳半くらいの離れをつくつてやる、そしてそこに寝かせておいて今度はさいぜん申しました開業医をこれに結びつけて行くわけです。そうしますと一億円あれば二千ベツドできるのです。二千の家屋ができるのです。現在はこういう形でもとらなければ、もはや日本結核はどうにもならない。そこでどうしても病院入院しなければならない空洞を持つてどんどん菌を出して、外科的な手術を必要とする者を優先的に入れて行く。そうして外科の手術が終つて、ある程度菌を出さぬようになつて、助けるようになれば、家に帰して、家で療養する、五万円の家をつくつてやるという、そういう何か画期的な結核対策を立てなければならない。これは今後医薬分業をやれば当然技術料その他が問題になつて来るし、結核指導の面に結びついて行くと思う。現在の資本主義の社会においては、患者がなくては医者が食えないという状態である。従つてそういう患者がなくても、予防的な面でどんどん医者が食えるような姿を国みずからがつくつてやらなければ、現在の国の乏しい財政の中からは、百三十七万人のベツドをつくることはもはや不可能だということは断言できると思うのです。大臣はこういう点を考えて、もつと日本の開業医を結核療養所にタイアツプせしめてやるような御意思があるかどうか、これをお伺いしたい。
  42. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 御意見ことに謹聴し、拝承いたしましたが、今後の結核対策といたしましては、いわゆる開業医制度と結びついていろいろ検討して行かないと、なかなか現在の国の財政事情では国立のベツドによる対策だけではまかない得ないことは、これは一般的にわかることであります。従いまして各地に散在いたしております開業医の方々の協力によつてつて行くことが何よりも大事だと考えるのであります。従いまして今回の結核調査に基きます対策をつくる上におきましても、この点は十分頭に置いて計画を立てて行きたいと考えております。
  43. 滝井義高

    ○滝井委員 後保護施設の問題ですが、現在後保護施設は非常に進展が鈍い。各県ともこれをなかなかやりたがらない。いろいろ私も調査したが、この後保護施設をつくることに、一つの思想的な問題がからまつておるようであります。というのは、結核になるとだんだん思想が赤くなるのだという恐怖感を持つておるところがあるようであります。それからいま一つの問題は、身体障害者との競合の問題です。結核にかかりまして、いよいよ後保護施設に入つて軽作業ができる段階になつて参りますと、やれる仕事というのは、筆耕とか、あるいは洋裁とか時計、ラジオの修理というように仕事が限られて来る。ところがこれらのものは、身体障害者もやはりやるわけです。ところが身体障害者の精神的な気力と、結核患者の精神的な気力を比較してみますと、結核患者は少し働けば熱が出るかもしれぬという恐怖感があつて、積極的な働きがなかなかできない。ところが身体障害者は手か足が切れておるだけで、働いても熱が出る心配はないから非常に積極性がある。従つて保護施設でやつておる諸君が社会に出た場合の職業は、ラジオや時計の修理、あるいは判を彫る、あるいは筆写をやるという限られた部面になつてしまうが、それには健康な人もおるし、身体障害者もおる。こういう人と結核患者が競争して行くことは非常な困難があるわけです。こういう点で、もちろん財政上の問題が大きく影響しますが、と同時に思想上の問題、身体障害者との競合の問題、こういう点が後保護施設の発展を妨げておると考えられるのですが、何か厚生省の方で後保護施設を少くとも各県に一つずつぐらいはつくつて行くという方策をお持ちでございましようか。
  44. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 後保護施設結核対策としてはどうしても必要と存じまして、本年度は僅少ではありますが御承知のように増設をいたした次第であります。今後におきましても、予算とにらみ合せましてできるだけ増設して参りたいと存じております。ただ直接国が後保護施設を増しますやり方、あるいはまたその他ただいまお話のありましたように、開業医制度との結びつき等におきまして、これと匹敵するような方策考える余地がないかどうかというような問題等も十分検討いたして参りたいと存じております。総体的に考えますと、後保護施設は今後も進めて参りたいと考えております。
  45. 滝井義高

    ○滝井委員 この実態調査の結果によりますと、空洞のある者が五十四万で、空洞の疑いある者が百五十万、合計二百四万であります。私いつか専門家の書物を読んだことがありますが、少くとも日本では外科療法を必要とする者は三十万おるんだ、その三十万の患者に対して、日本の胸郭成形術をやる外科手術の能力は年々せいぜい一万しかないということでありますが、現在日本結核療養所において、外科手術の能力は一年間にどの程度ありますか。
  46. 曽田長宗

    ○曽田政府委員 結核患者の外科手術をいたす能力は、ちよつと正確に申し上げるわけには行かないと思いますが、今日におきましては遺憾ながらそう高いものではない、きわめて限られたものであるという事実は、ただいま御指摘になりました通りだと思います。
  47. 滝井義高

    ○滝井委員 問題はやはりこういうところにあるわけです。すでに菌を出しておる者が二百四万もおる。この人たちから社会に菌を散布しないようにこれを隔離する以外には現在の結核対策は手がないということは、古くからいわれておる結核対策のイロハなんです。ところが実際に入院するベツドは十七万、回転しているのは十一万、そして外科手術能力は今言つたように一万そこそこということになれば、現在の結核対策日本においてはまつたく無力な状態にあることははつきりして来たわけです。従つて大臣もよほど努力して——再軍備費を削れとは言いませんが、相当予算をとる決意をしなければ、これはできないことは、今の答弁ではつきりしたわけです。  そこで今度はその対策面についての社会保険との関連をお尋ねしたい。社会保険は現在の日本においては御存じのように短期給付です。ところが結核は長期療養を必要とするのであります。長きは五年——私の知つておる福岡の古賀の療養所では、ここの療養所を創立したときから入院して、まだ入院している患者がおる。こういうように非常に長期のものです。私の友人で結核療養所の院長をしておる者がおりますが、その院長いわく、現在健康保険で結核の傷病手当金は二年です。療養は三年に延長されたわけであります。ところが一年半になりますと、もはや傷病手当金があと半年で切れるというので患者療養できない。院長は結核病気の相談よりは、自分の健康保険が切れたときにどうして家族を養つて行くか、あるいは自分の療養費を獲得して行くかという、経済問題の相談が今院長の仕事になつているそうです。そうして院長は、その健康保険の患者に言い得ることは、いかにして厚生年金を五千円か六千円とつてやるかという、これ以外にはないんだということです。そうしますと、三年の療養期間が切れたころは——いわゆる健康保険の切れ目が命の切れ目でみんな死んでしまうのが現在の実情で、これはヒユーマニズムの見地からいつても重大問題です。現在の社会保険というものは短期給付を目的として相互扶助の彩でできておる。ところが、結核は長期で、しかも健康保険の中の四割は結核で占められておる。こういう実体から考えると、今単価の問題も出ましたが、結核対策を論ずる上において、単価の問題を論ずると同時に、結核を現在の短期の社会保険でやることがよいか悪いかということまで検討しなければならぬ段階が来たと私は思うのです。それとも関連しますが、広い意味の社会保険——生活保護法の適用を受ける患者が最近療養所からぐんぐん減つているのです。これは社会局長も御存じだと思いますが、入院患者のここ数箇月の状態をお調べになりますと、結核患者生活保護の適用を受けておる者がぐつと急激に減つて来ておるということは、何を意味するかというと、生活保護の方の財政が非常に窮迫して来たために患者入院させることかできない、福祉事務所医療券を切つておるということを意味するのです。こういう状態で、これはやはり結核というものが長期の療養を必要とするのに、それを短期の社会保険でまかなつておるところに一つの矛盾が出て来ておると思うのです。こういう点、やはり社会保険の点数の単価の問題あるいは医薬分業の問題とも関連をして、日本結核対策を推進する裏づけとしての社会保険における結核問題を根本的に取上げる時期が私は来たと思うのですが、大臣はその点について、結核国民病で、何もわれわれが不養生したから結核にかかるわけではないのです、社会的な疾患なんですから、それだけは社会保険から切り離して国でやるというような何か具体的なお考でもあるのかどうか、その点をひとつ御答弁願いたい。
  48. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 お話のように、あるいは社会保険の立場から、あるいは生活保護立場からいろいろな問題の中心が結核対策にあるという結果になつて来る、またなつておると思います。それから生活保護あるいは社会保険に加入しておらない方々の問題があります。現在世帯で申しますと全国で大体二七%くらいが生活保護世帯、保険加入が五八、一%、その他何にもこれらに関係ないのが三九、二%、従つて、この三九、二%に社会保険をずつと浸透させるという問題が一つ根本的に出て来る。それと同時に、お話のように社会保険そのものの中における結核対策はどうして行くべきものか、年限が限られておるから、結核対策としては不十分ではないかという点、あるいは結核予防法との関係というような点を考えますと、御指摘のように結核対策の全体から考えて立法的に検討すべき余地のありますことも十分検討して参らねばならないと考えております。これらの点も総合して、今回の結核調査の結果から検討して参りたいと考えております。
  49. 滝井義高

    ○滝井委員 これで終ります。現在全国の療養所国民保険関係入院患者結核は非常に少い。これは国民保険が農村あるいは中小商工業にまだ浸透していないという点もあるでしよう。あるいはその半額負担の経費の捻出ができないために、療養所に入れないという人もあると思いますが、次善の策として、こういう全国的な社会的疾患である結核をなくするためには、国民保険を農村と中小商工業に普及せしめることが、まず第一の段階としてはやらなければならぬ問題だと思う。ところが最近市町村当局状態を見てみますと、今まで政府の二割給付費負担の補助がない前は、どうにか無理をしてでも一般会計から国民保険特別会計に市費を一般の市町村費をもつて出しておつた。ところが二割の補助が出たところから、次第に一般会計から特別会計に繰入れる状態が少くなつて来つつあるわけです。これは結局プラス、マイナス何でもないことを意味するわけで、こういう点についてやはり衛生行政というものが貧弱なのです。末端においては。市は衛生課というようなものがあつてつておりますが、町村の役場に行つてごらんなさい。衛生課というものはほかの係の兼任です。従つてつたくいなかの町や村に行けば、まだ結核というものは伝染病だとは考えずに、遺伝病だというくらいに考えておる。結核患者が死にますと、かめの中に結核菌が入つておるから、かめを割らなければならぬといつてかめをたたき割るような、そんな未開なところがまだ日本の中にあるのです。だからこういう点を考えますと、国民保険を急速にそれらの草深きいたかにも普及する方策厚生省はとらねばならぬと思うのです。ところが運営の主体というものは市町村であつて、県は機関に委任事務としてそれを取次ぐだけなんだ、こういうところにやはり制度としての大きな欠陥がある。しかも危険の分散のためには国民保険を少くとも県を運営の主体にすることが必要じやないかと思うが、この結核対策と関連して、社会保険の重大な一環をなす国民保険の普及の方策についても厚生省検討しなければならぬ段階に来ておると思うのですが、この点についての大臣のお考えを承りたい。
  50. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 国民健康保険は一時ずいぶん発展して参りましたが、戦争その他の関係で、その後一時衰えたような状態になつて、最近再び認識を新たにいたしまして相当な率をもつて普及しかかつておると思います。それに即応しまして、政府におきましても全国的に普及するように努力をいたして参りたいと存じております。そこでその場合にいろいろ検討の余地がありはしないかという御指摘でございますが、これらの点につきましては十分検討して、普及を十分にしたいと存じております。
  51. 滝井義高

    ○滝井委員 そこでさいぜんの質問に帰るわけですが、いつごろからこういう結核実態調査の全貌に基いて結核対策を総合的に立てるような機関をおつくりになるのか、しかもその人的構成その他について、大臣の個人的構想でかまわないのですが、持つておられるのですか、そういう点を最後に大臣より御説明願いたい。
  52. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 あれは三月でありましたか、発表いたしますと同時に、事務当局検討を命じまして現在一、二案が出ましたが、さらに検討し直しております。国家といたしましてはたいへん大きい問題であり、従つていろいろな立場から検討を要する問題と存じまして、なるべく早くこの対策機関をつくつて参りたい、できるだけ早くと存じております。     —————————————
  53. 小島徹三

    小島委員長 食生活改善に関する小委員長松永仏骨君より発言を求められておりますので、これを許可いたします。小委員長松永君。
  54. 松永佛骨

    ○松永(佛)委員 先般この委員会におきまして、文部委員会に提案されておる学校給食法に対する厚生面からの申入れをすべきであるということが発議されまして、委員長より連合審査の件を要求していただきました。その後文部委員会との連合審査が行われまして、食生活改善に関する小委員のほとんど全員が出席をいたしまして、文部当局並びに各関係当局と、きわめて活発な、そうして慎重なる質疑応答が行われたのでありますが、その際にもこちらの要望事項を数多く述べておいたのでございます。その後文部委員長並びに文部委員理事の方々と折衝を行いました結果、こちらの希望しておりますうちで、保育所を学校給食法の中に入れるという件につきましては、文部省令によつて開設されておる幼稚園に学校給食が適用されない今日の段階におきまして、保育所を取入れるということは困難であるから、これは厚生委員会において児童福祉法に基く保育所の扱い方というものを、必要とすれば単独立法でもやつてもらつたらどうだろうということで、これを給食法に入れることは困難であるという点でございます。  そこで修正案等によつてこちらの希望を入れるということになりますと、現在の学校給食法案を、あのまま原案を上げたいという多数の文部委員会の意向というものから、修正をするということになると、多少困難である、早生委員会の要望を了とする附帯決議その他によつて、こちらの申入れを了としたいということでございますので、二、三日前文部委員の人々とも折衝しまして、当委員会としましては食生活改善と栄養補給の充実をはかるため、給食内容の基準を設け、栄養士を置く方針を明示すること、これが第一。第二に学校給食に基因する伝染病、食中毒等の事故を防止するため必要な衛生施設を設けること並びに専従職員の健康診断を行うこと、大体この二点はぜひとも附帯決議その他によつて、学校給食法案の中に織り込んでほしいという希望を述べました結果、これを了とされ、十分当委員会の気持をしんしやくした決議を付して、明二十六日の委員会において可決をする方針であるということを、先ほど文部委員長からごあいさつを受けたのであります。  大体連合審査会の状況は当時の速記録によつて承知を賜わりまして、その後の経過並びに現段階を御報告を申し上げます。
  55. 小島徹三

    小島委員長 お諮りいたします。ただいまの松永小委員長の報告は、先刻の理事会においてこれを了承することにいたしたのでございますが、委員会としてもこれを了承することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そようにいたします。  次会は明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会