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滝井委員 詳細な御答弁をいただきましたが、千丈の堤もありの一穴からという言葉がございます。やはりこれは客観的な全般の情勢から考えて、日本の社会保障
制度が急激に進展して行く情勢には私はないと思います。だれがあるとい
つてもないと思う。さいぜん岡さんが四
原則をあげましたが、
医療費が上らずに、診療の
内容は低下せずに、患者の
負担が増加せず、しかも担当者の
所得が現実よりも下らない。現在のままで行けばこの四つのうちのどこかにしわが寄る、あるいはどこか二つぐらいにしわが寄る以外には、私は
社会保険の状態というものは打開できない状態まで来ておるのではないかと思うのです。そこでそういうところを質問するために大蔵省に来ていただいたんですが、具体的に行き詰まりつつある状態を申し上げますと、現在すでに府県においては、結核予防法ができました。これは重要な
社会保険の一環をなしております。すでに患者は半額を公費で負損してもらうことによ
つて免除されることになるわけなんですが、現在すでに府県において予算がない、従
つて患者に支払
つてくださいという事態が起
つておるのです。これは現実に起
つておる。それから
国民保険においても
健康保険においても受診率が非常に増加しておることは、今
局長の御答弁の
通りでございます。増加することによ
つて国民保険にどういう状態が現われて来たかというと、いわゆる二割の
国庫負担の増加によ
つて今まで一般会計から特別会計に繰入れておつたものを、地方財政の窮迫につれて一般会計から特別会計に繰入れることをやめつつある、こういうことによ
つて保険経済というものは、いわゆる二割の
国庫負担が実現をしたけれ
ども、一般会計から特別会計に繰入れることを地方財政の窮迫のために切られたために、表面的には
国民保険の財政はよく
なつた形を呈しておるが、受診率の増加によ
つてプラス、マイナスされて、依然として
医師に対する支払いの遅延という状態が起
つて来る、
医師に対する支払いの遅延はいわゆる
医療内容の低下かあるいは
医師の診療による
所得の減退が、どちらかを結果することにな
つて来る、あるいは生活保護法というものは、現在
医療保護法だ、こういわれる状態が出て来ております。これはすでに予算の面においても私は
厚生省は大きな見当違いをしておると思う。すでに現実において期限に支払いを切りかえることによ
つて、これは一時的な増加の現象だといつたけれ
ども、まだ現実にその増加の状態が続いておる。私は最近二、三の福祉事務所を調べてみましたが、福祉事務所の仕事というものはもはや生活保護の仕事よりも
医療保護の仕事の方が多くな
つて来ている、
医療保護の希望者が福祉事務所には殺到しておるという現状です。そうしてしかも県の民生部の社会課は、何とかしてそれを切
つてもらわなければとても支払いができない。現在福岡県のごときは一月までしか支払われていないという状態です。これならば貧しい弱い階級というものは
医療も満足に受けられないということになる。しかも現在社会局が長い結核患者には今度は熱計までつけて、いわゆる審査の対象にしなければならぬのでお出しなさい、今度はこういう具体的な個々の診療の面まで立ち入
つて、そうしてその審査の参考にするという事態まで起
つて来ているわけなんです。まつたく
医療の自主性というものが予算というものできめられてしまう形が現実に出て来て、
医療内容は急激に低下を見ようとする情勢が出て来ておる。それから今の二十四年九月に
決定した
単価というものが不合理であることは万人の認めるところで、すでに賃金ベースその他においても二十四年は人事院の勧告は七千八百七十七円、現在はその倍以上の一万五千四百八十円にな
つている、こういうようにこれは明らかに
単価というものについても大きな改訂を加えなければならぬ、ところがこれをこのままにほう
つておるとすれば、これはやはり
健康保険や
国民保険の経済を保つために人間の生命が犠牲になるという現実に出て来ている。すでに生活保護の予算を守るために、解放性の結核患者、喀血の結核患者がどんどん療養所からおつぽり出されている現実です。こういうまつたくヒユーマニズムというものが没却された政治の姿が出て来ておる一方、現状の問題は、これは十一円五十銭の
単価の問題というよりか、むしろあの
単価かけるの点数の中における技術料をどうするかという問題にな
つて来ておるというように、何一つ見ても現在の
社会保険というものに明るい面というものはない、しかも厚生年金でわれわれが見たように、
保険者側も、いわゆる事業主側も勤労者の側も、もう保険料というものは
負担できませんと
言つている、あるいは
国民保険においても保険料の
単価を引上げるの問題が起るとこぞ
つて反対する、現在地方税がとても多くてあるいは国税が多くて、われわれのさいふは口は一つである、国に払う税金、地方公共団体に払う税金、
国民保険料、すなわち保険料として払うものもわれわれの一つの口から出るのであ
つて同じであるからとてもできないと
言つておる。そうすると分業問題について
言つてみると、これはサムスも一%ないし三%上るということは当時のあらゆる日本の
資料を
基礎にして
結論をつけている。そうすると一%ないし三%でも現在の
国民医療費の状態からいうと四十五億ないし五十億なのです。そうすると何ら明るい面がないということで、
局長さんは現在
社会保険は経済的に行き詰ま
つていないと言うけれ
ども、私は現実に行き詰ま
つている状態が現われていると思うのです。問題はそういう状態を打開をして行くためには日本の総予算の中における社会保障費のわくの問題に結局帰着できると思うのです。これは大蔵省と保険局に同時にお伺いしなければならぬですが、一切の
社会保険の
基礎というものは、昨年いわゆる
昭和二十八年の七百三十六億のわく、今年の当初予算のわく七百七十四億、三党協定の修正による七百九十九億、いわゆる日本の総予算の中の七%ないし八%というのが、大体日本の社会保障費のひとつのコンクリートしたような観念として現在われわれの前に絶えず提起せられておる問題なのです。これをイギリスみたいに二〇%にするということは、現在の日本の再軍備強行の保守勢力の強い状態のもとにおいてはこれはなかなか困難です。ほとんど不可能とい
つていい状態なのです。大体保険局あるいは大蔵省はこういう状態のもとにおいてこの社会保障費のわくというものを破ることができるかということなのです。この点が今後こまかい
単価の問題よりも何よりも一番の根本問題だと私は思う。もし保険局の中で、現在の
社会保険というものは非常な危機にあ
つていけないということで、大蔵省の良心的な人たちと——保険局だけでは
単価問題はどうにもならない、これは一内閣の問題として論議しなければならぬと
局長さんは絶えず言われておるんだが、まず一内閣の問題として持ち込むためには、大蔵省の良心と
厚生省保険局の力以外で打破ることはなかなか困難な情勢にある。もちろんわれわれもこれを打破るために努力しますが、内閣の内部における原動力がそういうところにあると思いますので、これに対する大蔵省と保険局の基本的な見解を承りたいと思うのです。ほんとうは大臣に出ていただかなければならぬのですが、一応そういう案をこしらえる事務当局の
意見を承りたいと思います。