○
曽田政府委員 あとの御
質問の方からさきに
お答えいたしますが、龍田寮の中には従来から黒髪校の分林がございました。恵楓園側といたしましては、この分教場をつく
つてもらうことを非常にきら
つておりまして、本校に入れてもらいたいということを、かねがねすでに十年ほどの間、毎年のようにお願いしておつたようであります。その御許可がなくて、そのかわり龍田寮の中に分教場をつく
つてやるから、そこで勉強してくれというふうに言われて、建坪は広くございませんが、その建物自身は相当りつぱなものができておるのですが、それにもかかわらず
患者側といたしましては、むしろそういうものをつく
つていただいたことは非常に迷惑なことだ、むしろそういうものなしに本校に入れてもらいたいというふうにかねがね申しておつたものなのであります。その分教場がございます。
患者の要求は、今
先生もおつしやいましたように新しい入学生だけではなしに、二年生以上の生徒も二十一人ばかりおるのでありますが、これもみな許可してもらいたいというのが
患者の要求なのであります。
ところがとにかくほかの者はもう少し待て、それでは今度入る新入生だけについて許可をしようというようなことで、それに対しても園側としては非常に不服であつたのでありますが、私
どもも一挙に問題を解決するとい
つても、こういうものはむずかしいのでありますから、一応新入生四人だけ入れていただけるというならそれだけをまず通わせまして、あとの問題はまた相談するというふうにしたらよかろうと申しておつたのであります。二年生以上の生徒は分教場で今の
ところ勉強しておるのであります。
それから最初にお尋ねになりました問題は、これは多少観察を要すると言われましたこの児童につきましては、ある場所に神経の肥厚らしきものが認められるというような点が一応
指摘されておるわけであります。これに対しましてはまたいろいろ専門家の
意見のわかれる
ところでありまして、これは必ずしも癩でなくとも、普通の子供においても数パーセントはさような
状況が認められるというようなこと、それからそのほかいろいろ子供につきましての知覚の異常の
検査の仕方というようなことですとか、何かを鑑定いたしましたお医者さん方の所見に多少の食い違いがございます。しかしながらいずれにおいてもこれは今癩とは診定はできない、また感染の危険があるものとはどちらも認めてはいないわけであります。ただその所見において
——所見といいますか、所見もほとんど合致しておりましても、その解釈において多少の
意見の食い違いがあるというような点でございます。そういう意味からしばらく観察しなければその病名の診断はできないというふうに一方は言
つております。一方の方はとにかく癩病ではない、だから通学させていいという見解でございます。
従つて熊本大学の診定にいたしましても、この児童を通学さすべきではないという
言葉は全然ないのでございます。これはしばらく観察の要ありということを教育
委員会が判断してそのようにきめられたのであります。しかしこの観察ということは通学させても観察はできないとは言えないわけであります。
従つて熊本大の診断書に基きましてもただちに通学を拒否するという結論は出て来ない、それからもう
一つ、これは私
どもの
考えなのでありますが、かりに多少将来癩
患者に変ずる人じやないか、癩が生じて来るんじやないかという疑いがあつたといたしましても、それではその
患者を龍田寮の分教場に通わせろと言われましたことは私
どもとしては少し合点が行かない。龍田寮の分教場というものは、これは癩の軽症
患者を通わせているのではないのでありまして、親は
患者ではございますけれ
ども、その子供たちは完全な健康児であるのであります。その健康児と一緒に遊ばせてよろしいという限りにおいては本校でいけないという理由はりくつとしてはどうしても立たないと思います。私
ども今の
ところさらにいろいろと実情を詳細に
検討してみなければならぬと思いますけれ
ども、私
ども大体は園長の
考えております
考え方を基本的には正しいと信じておるわけであります。ただ理論的にはさようといたしましても、今申し上げましたようにこれは
一つの社会的な問題でございますから、その辺でなるべくりくつだけでは割切れない
ところはいろいろ情味を加えてしかるべく解決法を講じたいというふうに
考えております。