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1954-04-28 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十八日(水曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川 俊思君    理事 中川源一郎君 理事 松永 佛骨君    理事 岡  良一君       越智  茂君    助川 良平君       田子 一民君    降旗 徳弥君       山下 春江君    滝井 義高君       柳田 秀一君    杉山元治郎君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ――――――――――――― 四月二十三日  元満州開拓犠牲者遺族援護強化に関する請願  (増田甲子七君紹介)(第四五四三号)  三陸海岸等一帯国立公園に指定の請願(只野  直三郎君紹介)(第四五五八号)  戦傷病者援護強化に関する請願松永東君紹  介)(第四五五九号)  同(竹谷源太郎紹介)(第四五六五号)  同(中井徳次郎紹介)(第四五六六号)  同(川島金次紹介)(第四五六七号)  同(加藤鐐造君紹介)(第四五六八号)  同(土倉宗明紹介)(第四五六九号)  同(大橋忠一紹介)(第四五七〇号)  同(田渕光一紹介)(第四五七一号)  同(大上司紹介)(第四五七二号)  同(鍛冶良作紹介)(第四五七三号)  同(岡村利右衞門紹介)(第四五七四号)  同(野田卯一紹介)(第四五七五号)  同(平野三郎紹介)(第四五七六号)  同(庄司一郎紹介)(第四五七七号)  同(松山義雄紹介)(第四五七八号)  同(松崎朝治紹介)(第四五七九号)  同(福田一紹介)(第四五八〇号)  同(細迫兼光紹介)(第四五九二号)  同(山崎猛君外一名紹介)(第四五九三号)  同(福田繁芳紹介)(第四六一九号)  同(大平正芳紹介)(第四六二〇号)  国立療養所給食費増額に関する請願中澤茂  一君紹介)(第四五九一号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十四日  覚せい剤対策に関する陳情書  (第二九〇四  号)  医薬分業法撤廃に関する陳情書  (第二九〇号)  同  (第二九〇六号)  同(第  二九〇七号)  同  (第二九〇八号)  同  (第二九〇九号)  同  (第二九一〇号)  同  (第二九一一号)  同  (第二九一三号)  同(第  二九二二号)  同  (第二九一四号)  同  (第二九一五号)  同  (第二九一六号)  同  (第二九一七号)  同  (第二九一八号)  同  (第二九一九号)  同  (第二九二〇号)  同  (第二九二一号)  同  (第二九二二号)  同(第  二九二三号)  同  (第二九二四号)  同  (第二九二五号)  同  (第二九二六号)  同  (第二九二七号)  同  (第二九二八号)  同  (第二九二九号)  同  (第二九三〇号)  同  (第二九三一号)  同  (第二九三二号)  同  (第二九三三号)  同  (第二九三四号)  同  (第二九三五号)  同  (第二九三六号)  同  (第二九三七号)  同  (第二九三八号)  社会保障費増額に関する陳情書  (第二九六四号)  同(第二九六五  号)  国民健康保険医療給付費二割国庫負担の法制  化に関する陳情書  (第二九七四号)  同  (第二九七五号)  医薬分業法撤廃に関する陳情書  (第二  九七六号)  覚せい剤対策に関する陳情書  (第  二九七七号)  傷い軍人に対する単独立法制定陳情書  (第二九  七八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会申入の件  厚生省関係法令整理に関する法律案内閣提  出第一五九号)  厚生行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず厚生省関係法令整理に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。岡良一君。
  3. 岡良一

    岡委員 簡単に一、二点お伺いをいたしたいと思いますが、この法律御提出の中で、たとえば国民体力法を廃止するということに相なつておるのであります。   〔委員長退席青柳委員長代理着席〕 確かにこの国民体力法は、立法趣旨としては、健兵政策であり、強兵政策であるという趣旨については、私どもももちろん否定的な態度ではありませんけれども、実際私ども体力法の運営にあたつて全国の、また自分たちの受持つた地域青少年について体力テストをやるということは、やはり国民体力指導の上で、かなりプラス面があつたと思うのです。これが廃止されることは廃止されるとしても、現在ああいうような形で国民体力の実態を把握し、またそれに対して適切な指導を与えるというようなことが、体力法にかわるものとして何かあるのかどうか、その点をまずお伺いしたい。
  4. 楠本正康

    楠本政府委員 御指摘の点につきましては、できますればさような全然趣旨の違うもので、しかも国民保健衛生動向をつかみ得るようなものがあることは、きわめて便利でもございます。しかしながら、今ただちにどういうものがあるかということになりますと、ただちに国民全体の保健動向を察知し得られるような、いわば体力検査に準ずるような制度は、現在は何もございません。ただ二、三の府県によりましては、府県事業といたしまして、健康調査というような名目で特定年齢階層等にこれを実施いたして、かなりの成績を上げておるところもございます。一方現在におきましては、一応全国調査の形で、ただサンプリングによりまして国民栄養調査実施いたしております。この際食内容と同時に、一応の体力検査等実施をいたしております。あるいは現在は結核予防法におきまして、健康診断の義務が大幅に青少年階層に課せられておりますので、かような点で、国民主要疾病その他保健衛生現状というものは、おおむねの察知ができると存じております。しかしながら、ただいま御指摘のような趣旨のもとに全国的の調査をするような制度は何もございません。
  5. 岡良一

    岡委員 保健所あたりでも、マントー氏反応をやられたり、その結果に基いて結核に重点を置いてBCGなどをやられるだけなのですが、そういう意味で、やはりわれわれの次の世代若者たちの走力も握力もあるいは飛躍力も、全部総合的に調査しながら、その保健の向上に当つて行くというような仕事は、保健所あたりがそこまで手を広げて、もつと法律規定に基いて、予算を持つてやるというくらいにやるべきものではないかと思うのであります。そういう点はどうでありますか。
  6. 楠本正康

    楠本政府委員 かような点は、私見になるきらいがございますが、要はやり方の問題であります、法律等によりまして、画一的に一律にこれを検査するということは、もちろん見方によればかなり効果があることは承知いたしておりますが、やり方その他につきましては、かえつて時代に即さない点もあるのじやないかという感じもいたされます。そこでむしろ現在のところはそれぞれの地方実情に応じまして、できるだけ保健所等が、御指摘のように、その地域実情から現在課せられております結核検査あるいは寄生虫の検査あるいは栄養調査というようなものを総合して判断し、さらに府県、国の立場においても、その他いろいろな検査、たとえば学校身体検査等も行われておりますので、かようなものを総合いたしまして判断をする。さらに判断をいたします場合に不明な点等がありますれば、その点を明らかに刑する意味実施をして行く方が、むしろ現状に即するのではないかという感じがいたしております。
  7. 岡良一

    岡委員 私は体力法実施を担当した自分経験から思うのですが、やはり昔から言うように、健全なる精神は健全なる肉体にありという言葉は非常に真理だと思うのです。従つて若者たちのヘルスを守つて行くことは、若者たちのモラルと離しがたいものだと思うのです。そういうことが今の日本には空白になつておる。その結果がせつな的な享楽、そしてヒロポン中毒ということになつていると思う。そういう点を引締めて行くという意味では、軍隊もないから徴兵検査もないし、成人の日はあるが、これもまつたく形式的なお祝いである、もつと内容のあるものにして行くということは、何も法律で強制するということでなく、それこそ若き世代に対する一つの愛情としてやつて行くことが必要ではないかということを痛感しておりますので、今後厚生省の方でお考え願いたいと思うのです。  それからこの法律案に出ておる中で、ヒロポン覚醒剤取締法の問題でありますが、この覚醒剤取締りについては、この前も私は何とか政府の方でこの際予防的にも、また現在の中毒患者に対しても、適切な方策を講じていただきたいということを繰返し申し上げておるわけです。この整理等に関する法律案の中では、きわめて形式的に麻薬取締法に右へならえをするというまつたく技術的な修正しかないわけなんですが、当然政府としてもヒロポン患者に対して、何らか覚醒剤取締法に関する法律改正をなさつて、適当な、積極的な手を打たるべきだと思つておるのでありますが、そういうような御意図があるかどうかということをまず伺つておきたい。
  8. 小山進次郎

    小山説明員 覚醒剤の問題につきましては、前会岡先生からいろいろ御意見がございまして、これに大臣から御趣旨に全然御賛成の旨をお答えしておつたのでございますが、爾来そういつた方向について槌計を進めておりまして、今日までのところでは、大体において現在の覚醒剤取締法に相当根本的な改正を加える必要がある。改正方向といたしましてはいろいろございますけれども、第一に覚醒剤の範囲というものをもう少し広げて考える必要がある。言いかえますならば、最終の製品だけではなくして、中間の原料になるべきものについてまで覚醒剤取締法の適用を及ぼすという方法で研究する必要があるということ。第二には、覚醒剤取締法における違法に対する罰則がやや軽きに過ぎるので、この際もう少し重くする必要があるということ。第三には、覚醒剤中毒患者を特殊な収容施設に入れまして、これに適当な医療に加えまして精神的な訓育、あるいは社会的な適応性をつけるための訓練というようなものを施す必要がある。大体こういう三つの点を中心にいたしまして、目下検討しているところでございますが、これはお話のように何とかして早く結論をまとめまして、できるだけ今国会中に適当な方法でこれの立法化をはかつて行きたい、こういう考え方で現在準備を進めておる状況でございます。今回出しておりますのは、法令整理観点から見まして、当然やつてさしつかえないというものだけをやつておりますので、覚醒剤取締法の根本的な改正ということと一応切り離したものだけが載つているわけであります。
  9. 岡良一

    岡委員 繰返しこの委員会でも申し上げますように、私はどう考えてみても覚醒剤というものは必要じやないと思う。だから取締りなんというなまやさしいものでなく、禁止するというくういの腹構えでやるべきものだと思う。ぜひこの際覚醒剤取締法を根本的に改正をされる、それくらいな積極的な対策を講じてもらいたいということを強く希望いたす次第であります。同時にこの問題は非常に大きな問題で、このままに放任しておくと、ほんとうに社会悪の源泉がますます拡大して行くようなかつこうになりますから、本国会中にその修正案をお出しになつたらどうかと思うが、その点重ねてお伺いしておきます。
  10. 小山進次郎

    小山説明員 本日は大臣並びに政府委員が出席しておりませんので、意見を申し上げることは差控えさせていただきたいと存じますが、厚生省としては先ほど申し上げましたような準備で現在進んでおりますので、私ども事務に当つております者の準備進行状況としては何とか間に合せるようになるだろう、こういうような状況で進んでおります。
  11. 岡良一

    岡委員 まあひとつ小山さんは将来厚生省を背負つて立つ優秀なわれわれの信頼する人物なのだから、別に卑下されることなく、ぜひとも今国会中に根本的に禁止するというくらいな腹構えで、そして同時に、現在の中毒患者については適当なところに収容するなりして、それをなおしてやるという点をはつきりとうたわれたものを、今国会中に出してもらいたいと思います。これはわれわれの方で出せというならいつでも出しますが、ぜひとも政府の方で善処方をお願いいたします。
  12. 滝井義高

    滝井委員 三ページの「都道府県ハ市町村ニシ市町村が前項ノ規定ニ依リ行フ鼠族昆虫等駆除ニ関シ計画ノ樹立、実地ノ指導其ノ他必要ナル措置ヲ講ジ及政令ノ定ムルトコロニ依リ之ニ必要ナル人員置クベシ」という、これの必要な人員を置かなければならぬということに対する補助金は、現在どうなつておりままか。
  13. 楠本正康

    楠本政府委員 現在鼠族昆虫駆除に従事いたします職員は、すべて平衡交付金によつて算定されております。
  14. 滝井義高

    滝井委員 これは平衡交付金でなくて、法律では補助金でやることになつておるのじやないですか。この前の環境衛生監視員のあれと同類のような状態じやないですか。私は二十八年度補助金の大蔵省の資料をちよつと見てみたけれども、どうも載つていないように思われるのですがどうなんですか。
  15. 楠本正康

    楠本政府委員 なるほどこの経費は二十七年度まで補助金支出をいたしております。しかしながらこれは別に法律の根拠があるわけではなく、実際の行政措置として支出をいたしておるわけであります。でこの経費規定伝染病予防法の中に入つておりますが、しかしながら伝染病予防法補助対象にはなつておらない事業でございます。
  16. 滝井義高

    滝井委員 それではその次ですが、このトラホーム患者を医師が診察した場合には「二十四時間以内ニ患者所在地保健所長ニ届出ベシ」ということですが、現在この届出というものが非常に多いのです。でこれは楠本さんも医者ですから御存じのように、現在の医者はみな社会保険事務屋なつておるのです。これは、私いつか予算委員会で一々大臣に、社会保険患者を見たときの書類を全部持つて来て見せたことがあるのですが、これにに大臣も驚いておつた。ところがそのほかに、トラホーム患者まで今度は二十四時間以内に届け出なければならぬというと、医者はますます事務に追われて、診療と医術の勉強というものはまつたくできなくなる。これはたとえば学校医になんかなつたとしますと、生徒はいなかの学校に行くと五〇%から六〇%のものがトラホーム患者なんです、そうすると、そういう身体検査をしてみた場合にも、普通の患者を診察したときと同じようにやはり届出をするわけですか。
  17. 楠本正康

    楠本政府委員 御指摘のように今回、今後新たにトラホーム法律によつて届出をお願いすることに相なつたわけでありまして、従来はこれはこの届出規則によりまして実施をいたしておつたわけであります。ところが一応事務届出の煩瑣な点から申しますと、何が一番届出が煩瑣になるかと申しますと、結局肺炎あるいは産褥熱というようなものが従来届出規則によつて届出なければならぬことになつております。これらの疾病は大体伝染力もなし対策の点から見ましても必ずしも届出の必要はなかろうと存じましてこれをやめたわけであります。そういたしますと、これをやめたことにおいて届出が全体として約二五%程度減少いたすわけであります。そこでトラコーマの方は残そうといたしたわけでございますが、これは現在局地的にはかなり重要な疾病でありまして、しかも最近はテラマイシン等によりますところの徹底した治療ができるように相なつております。かような点からも今後対策を一層徹底させて行く必要があるだろう、さようなことになりますとどうしても届出基礎にして行かなければならぬ。かような観点から、私ども——従来も若干はやつておりましたが、今後は新たにこのトラコーマ問題に力を入れたいというような関係でこれを残したわけでございます。なるほど診察される方にはたいへんな御負担にはなりますが、無料郵便制も確立いたしております。のみならず現在眼科医届出責任を負つておるのはトラコーマだけでございますので、この辺は今後トラコーマ問題を根本的に解決して行く一つ基礎として、ひとつぜひお願いしたい、かような気持でこれを残した次第でございます。
  18. 滝井義高

    滝井委員 事務が非常に繁雑な点から私は言つておるのでございますが、今の学校医が児童の検査に当つてみた場合には届出をしなければならぬのかどうか、その点をお伺いしたい。
  19. 楠本正康

    楠本政府委員 これはおつしやるように学校医責任を負つております。しかしながら学校医身体検査等は、集団的に実施されます関係で一括して届出ができるので、数に比例して事務がさして煩瑣になるというようなこともあるまい、かつてながらかように考えておる次第でございます。
  20. 滝井義高

    滝井委員 どうも私にはそういう点は、実際に第一線診療をやつた経験がありますので——とにかく最近は事務が非常に多いのです。あなた方は官庁の立場でただ一片の法律でやるわけでありますが、現地の医者は現在まつた事務屋です。小さな医者でも事務員を置かなければやつていけないという状態が出て来ているということと、それからこういうトラコーマその他を届出をするということになると、むしろ逆な効果が出て来る。たとえば現在赤痢日本で爆発的に各地に起つているということは、私はむしろあれが伝染病の中に入つておるというところに問題があると思う。私はむしろチブスや赤痢伝染病からはずすという主張さえ持つておる。そういうわれわれと同じ主張を持つておる専門的な医者が相当おるのです。なぜならば、現在血便ちよつと出ているくらいの患者は、医者のところに行くと隔離せられるかもしれないということで薬局行つてサルゾールクロロマイセチンを買つて飲んでしまう。そうすると血便はとまつてしまう。それでその人はもう普通の人として生活をやつて行くわけであります。こういうことが赤痢がぱあつと一時に爆発する形をつくり、あるいは豆の伝染病であつたものが、現実には冬にも爆発的に起るということはそういう点にあるわけであります。それともう一つは、社会保険において赤痢クロロマイセチン等を自由に使つておれば、これは伝染病届出をしなければならぬ。伝染病届出をすれば隔離に入れなければならぬということになる。この隔離に入れられるということをみんなきらつて、まず医者行つて赤痢診断を受けることを極度に恐れる。みんな薬局行つて自家療法をやるという形が出て来る。現在の日本赤痢はそういうところから起つておるところがむしろ多い。これは労働組合あたり意見を聞いても、むしろ赤痢はもう自由に健康保険診断してもらう形をつくつてもらいたいという要望が非常に強い。そうすれば軽い大腸カタルのときでも医者に行つてしまう。そういう点から私はむしろ今までの日本伝染病予防法における伝染病疾患対象——これをまたふやすような傾向があるのでありますが、そういう点を再検討する必要があると思う。そういうのにまたトラホーム届出をするということになれば、これは問題をますます複雑にして行くと思うのです。そういう根本的な検討について何かお考えなつたことがあるのかどうか、お伺いしたい。
  21. 楠本正康

    楠本政府委員 これは新たにトラコーマ等を入れるものではなく、これは従来届出伝染病として別な体系で義務づけられておつたわけでありまして、これらのものを法令整理観点から伝染病予防法によるところの届出として規定をいたしたにすぎないのであります。  なおただいま赤痢その他の問題で、届出るとかえつてこれを蔓延させる点との関連について御指摘がございましたが、私個人的に若干意見を加えますれば、御指摘のように、赤痢のようなものがはたして急性伝染病として届出ることが妥当であるかどうかということについては、見方によれば研究の余地のあることにつきましては、これは一応考えられます。しかしながら御指摘のように、届出制度がかえつて流行の原因になる。たとえば患者を隠蔽する、医者に行きたがらずに、自宅でちよこちよこ治療をするというようなことから、かえつて支障が多くなるということでございますが、なるほどさような例はございます。ことに現在薬品が発達いたしましてからは、そのきらいがかなり強く出ておるかに思われますが、しかしこれらは、そこを解決しなければならぬ問題でありまして、むしろかような点を思想啓発あるいは国民衛生思想を高めまして解決すべき問題でありまして、御指摘の点はちよつと賛意を表しかねるのであります。  なお、私どもとしましては、従来隔離病舎等がきわめて辺鄙な、しかもはなはだ陰鬱な場所に多かつた関係で、届出がきらわれたような事実もありますので、最近はできるだけ施設の完備した居心地のいい隔離病舎にするように努力いたしておりますのも、さような趣旨にほかならぬのであります。従つて今後かような点につきましては、一層国民の協力を求め、私どもも誠意をもつて施設改善をし、あるいは取扱いの改善等をいたしまして、喜んで伝染病届出治療を受けてもらうような体系に早くいたしたいと考えておる次第であります。
  22. 滝井義高

    滝井委員 トラホーム届出は、事務的に非常に煩雑になつて、現在治療に当つておる第一線医者が本来の治療ができないという観点から申し上げておるのです。  次の赤痢の問題は、私は届出からはずせというのではなくて、現在の伝染病十種を今度十一種に改めるようになるのですが、私はむしろ十一種からのけた方がいいのではないかという観点から申したのです。そうして届出は励行するけれども——伝染病ということでこれを隔離に入れるために、隔離病棟に行くということは、まだ日本では姥捨山に行くような観念をみんな持つておる。従つて医者もできるだけうんと血便でもしない限り入れないようにしてやろうという親心を出す。患者も、あそこに行けば近所に顔向けができぬというので隠れて消毒その他をやるということになつてしまう。はなはなだしいのは、押込みの中にこえだめを持つて行つて便所には行かないという患者なんか出て来ている。そうすると届出さえしておれば大びらに堂々と消毒もやれるわけなんです。こういう観点から、むしろみんなにこの病気というものを認識させるために、姥捨山に行くのではない、みんな協力してやりなさい、こういう形をつくつた方が、今の観念から考えて、かえつて啓蒙になるのじやないかということなんです。そういう点をどう考えるかということを言つたわけです。  いま一つ考え方は、伝染病の話が出たから言いますが、伝染病隔離病棟自体結核病棟に利用することの可否なんです。これは最近厚生当局の非常なお骨折り等で伝染病棟りつぱになりました。ところがこれがかんこ鳥が鳴いて、りつぱにつくつたものがあまり使わぬで古くなりつつある。そこで予備に、たとえば三十のベツドのあるものについて、その中の半分くらいは結核病棟使つてもいいというようなことにすれば、現在の結核病棟の解決にも相当役立つわけなんです。われわれそういう点でずいぶん県の衛生部長とも相談をいたして、ある程度衛生部長もそういう考えもいいのだということで弾力的な解釈は持つてくれておりますけれども厚生当局がそういう特例を認めるという考えを持たないと、なかなか地方衛生部長あたりは進んでそういうことをやれないという情勢にあるわけです。そういう点をどうお考えになるのか。これは日本施設をできるだけ最大限に利用するという意味で、これは伝染病とも関係があるわすなんですが、その二点こついてお伺いいたします。
  23. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま御指摘の点はまつたくごもつともでございまして、私どもといたしましても、隔離病舎を場合によつて結核病棟に利用し得る点につきましては幅を持つて考えております。従つて絶対に禁止するという意思は毛頭ございません。ただ条件が一つございます。それは伝染病の発生状況等から考えまして、いざ伝染病が発生したというときに支障のない程度ということを前提といたしまして、ただいま御指摘のような趣旨指導をいたしております。
  24. 青柳一郎

    青柳委員長代理 他に本法案について御質疑はありませんか。——別にないようであります。  次に水道に関する件について発言を求められておりますのでこれを許可いたします。柳田秀一君。
  25. 柳田秀一

    ○柳田委員 私はこの機会に水道行政に関して、少し厚生省意見を聞いておきます。水道行政は御存じのように、排水道に関しては厚生省が主管しておりますが、一般水道に関しましては、なお古色蒼然たる法律によつて、従来内務省が主管しておりました関係上、現在でもなお建設省と厚生省でこれを所管しておるわけであります。これに関しましても前からこれの一元化を言つておるわけですが、聞くところによりますと、最近建設委員会でしかも議員立法で水道に対する立法措置が考えられておるやに聞き及ぶのであります。厚生当局はこれに対して何らか御相談にあずかられたのかどうか。御相談にあずかられたとするならば、建設省との所管関係等においても何らか建設当局とお話合いになつたかどうか、この点ちよつと承りたい。
  26. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま御指摘のように、私どもも実はうすうす建設委員会等が中心になりまして水道法案の成立を急いでおるということを聞いております。しかしながらこれは毛頭私ども相談にもあずかつておりませんし、内容をよく存じておりませんが、さようなことを聞いてたいへん心配いたしておる次第であります。ただ私どもといたしましては、目下内閣法制局におきまして、建設省並びに厚生省が相談いなしまして水道法案の改正を進めておる次第でありますが、これと別個に建設委員会側がかような手段をとつておるのではなかろうか、私はかように考えております。
  27. 柳田秀一

    ○柳田委員 まことに意外な御答弁で驚き入つておる次第であります。重ねてお尋ねしますが、これは所管外のことでありますから、あるいは御答弁できない質問かもしれませんが、今建設委員会において立法措置が講じられておることに対して、厚生当局は何ら御相談を受けておらぬ。これははなはだ奇妙なことでありますが、建設省当局がその議員立法に対して御相談に応じられて、そのお手伝いをしておるという事実はあるのかないのか、この点お聞き及びでありますか。
  28. 楠本正康

    楠本政府委員 この点に関しましては、次官会議におきまして建設次官から、現在衆議院の方において水道法案を研究しておるが、これについては建設省は何ら関与しておらぬということの発言があつたそうであります。しかしながら、これを私見たわけでございませんが、資料その他を要求され、また係官等の意見を数されて、その基礎の上に立つて衆議院の方においては法案を作成中だということを聞いております。
  29. 柳田秀一

    ○柳田委員 いよいよわれわれとしては了解に苦しむようなお答えでありますが、大体水道行政に関してだけでなしに、環境衛生に関して、あるいは大きく都市計画というか、そういう面に関しては、最近のいわゆる文化国家としての行き方は、漸次これを厚生当局と申しますか、内務省、建設省式のお役所でなくて、公衆衛生を担当しておる省が担当するというのが新しい行き方でなかろうかと思います。学問の分野におきましても、従来医学の分野には工学面がなかつたのであります。最近は衛生工学と申しますか、工学そのものが自然科学の分野において応用化学でありますが、土木工学があるごとく、衛生工学という分野が開けて参つて来ております。そうして都市計画そのものがやはり住民の生活をより文化的にする、環境衛生をより合理化するというような面からも、その衛生工学の最近の発達と相呼応いたしまして、そういう観点から今後進めて参るのが新しい行き方であろう、私はさように了承しております。従いましてわが国に起きまして、むしろあの古い水道立法をこの際一元化して、そういう意味から厚生当局で所管されて何らさしつかえない。これはセクシヨナリズムでも何でもない。あるいはわれわれ厚生委員会の委員として我田引水論をしておるわけではないと思うのでありますが、そういうような理論はともかくといたしまして、現在水道行政に関して厚生省と建設省とどちらも関与しておるのである。しかしながらこれが建設委員会で、しかも内閣提出でなしに議員立法で出て来ておるところに、私は多分の疑点を持つのであります。ことに水道行政に関してはあるいは、それに対する配管工事あるいは設計工事等においていわゆる土建屋との結びつきも考えられないわけではありませんので、最近問題になつておりますところの——建設委員会における動きが利権とは何ら関係ないことを信じたいのでありますけれども、とかく最近の議員立法というものが世間の批判を浴びているところには、議員立法が利権に結びついおるところにわれわれは議会人として当然反省しなければならぬ幾多の問題を持つておるのにかんがみまして、こういう動きが建設委員会だけで取上げられることは私は非常に遺憾であると思います。もしもそういう動きがあるとするならば、当然こういうような立法に関しては建設委員会と厚生委員会とが合同審査をする、あるいはその立法に対しても、こういうことを議員立法にすること自体が問題もありますが、かりにそういう事態があるならば合同審査するというのが筋道であろう。私は議員立法自体に問題があることを指摘しておきます。そこでういうような動きがあるから委員長にお願いいたしておきますが、現在建設委員会において、建設委員会独自によつてこういうような立法がされておることが事実かどうか。どの段階までこの作業が進んでおるのかということは、厚生委員長として建設委員長にお申入れをしていただきたい。さらにこういう立法によるところの行政措置は当然内閣がやるのでありますから、私は内閣に対しましてこれに対するお申入れを願いたい。さらに厚生委員会に建設省の事務当局をお呼び願つて、これに対するところの所見を聞く機会をおつくり願いたい。これだけを申入れいたしておきます。
  30. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ただいまの御発言は承知いたしました。委員長ともよく相談いたしまして善処いたします。他に何らか御発言ございませんか。
  31. 松永佛骨

    松永(佛)委員 今内閣提出の学校給食法案が文部委員会において審査されておることは御承知だと思います。これは同時に参議院におきましても、議員立法学校給食法案が出ておりますが、これは参議院で審議中であつて、衆議院文部委員会は予備審査だと思いますが、内閣提出の学校給食法案につきましても、参議院議員提出のものにしましても、最も厚生関係とはかかわりの深いところがありますし、ことに栄養士法というものもすでに立法化されて実施されております際、また最近の学校給食の集団中毒の状況、なお給食病の発生、その他諸般の点を勘案いたしまして、これは文部委員会にのみまかしておくべきものではない、一応厚生関係の者とも合同審査の結果同法の成立に対しては万遺憾なきを期さなければならない、かように思いますので、本委員会より文部委員会に対して合同審査の申入れをしていただきたい、こう存じますが、一度委員会の諸子にお諮り願いたいと思います。
  32. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ただいまの松永委員よりの御発言は、学校給食法案について連合審査会開会の申入れをすべきであるという御発言と存じますが、ただいまの御発言の通り申入れを行うことに御異議、ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 柳田秀一

    ○柳田委員 異議はございませんが、いれに対しては学校給食法の制定が遅れることのないようにということを申し入れて、われわれは早急に合同審査をして、学校給食が一日も早く軌道に乗り、また国庫の補助等をこれに与える。そうして学校給食を大いに促進する、こういう意味におきまして私は賛成いたします。
  34. 山下春江

    ○山下(春)委員 私はこれは草葉厚生大臣が御就任の当初に申し上げたことでありまして、学校給食法案がすでに文部委員会に御提案になつたのならしかたがありませんけれども、文部委員会ではなく主体は厚生委員会に置くべきである。これはいろいろな事情があります。たとえば今回のMSAによる小麦の用途なども、そういう方面に使うことが、国内情勢ばかりでなく、国際関係としてもその方がいいという観点から、こういうものが出た場合には厚生委員会に提案さるべきであるということは、厚生大臣に御就任当初も申し上げておいたことであります。遅れることは好ましくないのですけれども、大体提案の仕方が気に食わない。食わないと言つても提案になつたのでいたし方がありませんけれども、合同審査などということでは主客転倒だと私は思うのでありまして、その点に関しては、厚生大臣はさようにいたしたいと言つておられたのに、ぼんやりして文部委員会にかけられたことははなはだけしからぬと思います。けしかつてもけしからなくてもかかつたものはしかたがありません。むろん合同審査はしなければならないし、そうして栄養の推移その他の衛生上の観点から、この学校給食というものはただ食べさせればいいということじやないのです。それは非常に厚生行政と密接不可分な関係にあるものでございますから、それを文部委員会に御提案になつたことに対しては非常に不満を持つものでありますから、むろん合同審査などというものは当然なさるべきでありまして、将来はやはりこういうことは厚生省が主体になつてやられなければいけない。本質的にそういうものであります。その点に対して非常に不満の意を表すると同時に、松永委員の合同審査についてはむろん賛成であります。  それから先ほど柳田先生からの御質疑の水道の問題でありますが、これは楠本境衛生部長にも私は再三申し上げてあるし、厚生当局に対しても御献言しておいたことでありますが、水道行政というものが建設省と妙ににらみつこになつておるということは根本から間違いであります。水道がどのような工事がされてどのようなふうにでき上りましても、しよせんあとの始末は厚生省がしなければなりません。そういうことであれば建設そのものにもやはり厚生省がタツチして、計画その他に対して遺憾なきを期せなければならない性質のものであります。建設委員会で、特に議員立法などでそういうものを提案されるということ自体、厚生省は人のなわ張りに頭をつつ込むことを控えておられるのでありましようが、役人の方は代議士のように始終選挙の洗礼などでおびやかされるものではありませんから、もう少し毅然たる態度をもつて、信念に立つてこういう行政はやつていただきたいと思うのであります。
  35. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ただいま松永委員より御発言の学校給食法に関して連合審査会を行うことにつきましては御異議がないようでございます。従いましてさよう決定いたします。  なおその連合審査会開会の日時の決定に関しましては、文部、厚生両委員長に御一任願うことといたしますから、さよう御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。次会は明後三十日、金曜日、午前十時より開会いたします。    午後零時八分散会