○降旗
委員 私はどうもその辺が非常に弱いと思うのです。やはり
委員諸君が言われるように、癩
患者というものは非常に気の毒な境遇にあるものなのだから、国家がこれに対して救済の道を講ずることについてはやぶさかであ
つてはならぬと思う。これは当然であると思う。しかしながら一方において先般示されたような無遠慮な、しかも横車的な癩
患者の集団のデモンストレーシヨンをそのままにしておくということは、これは癩
患者自体の立場から言
つてもとらないところだと私は思うのです。ただいま局長の言われた
罰則というものは、何も厳格な
罰則でないわけです。当然な
罰則なのです。
従つてこの前の事情をつぶさに
考えてみますると、
厚生省側あるいは取締りの都知事の場合におきましても警察の場合におきましても、非常に弱いところがある。それでああいうぶざまなデモンストレーシヨンをやらせるということは、
療養という
意味だけでなしに、国の政治に及ぼすところの影響が非常に大きいと思う。それからもう
一つは、ああいうぶざまなことが行われたのは、病気の伝染にさしつかえるということにならなければ
罰則を受けないことになるのですが、しかし私
どものしろうと常識から言
つても、ああいう程度の
患者が集団的に都心に、しかも人の
出入りするそのちまたにああいう示威運動をするということが、決して病気の伝染にならぬとは言えないと思う。ですから癩の予防あるいはその治療に関することについて、国家が積極的にいろいろの施策を講ずるということについては、私は同意せざるを得ないのですけれ
ども、ああいうような問題について断固たるところの処置をとり得ないような状態で今後過して行く、しかも先ほどの局長の御答弁によりますると、
患者が
外出する場合には何らの
トラブルがない、そんなような
考えでは、公衆衛生の立場あるいはそれはひいて社会の
秩序に及ぼす問題ですが、これをほんとうに維持して行くということはおぼつかないと断言せざるを得ない。でありますから、私はこの際いろいろこまかい質問を申し上げることは差控えますけれ
ども、ああいうぶざまなことが再び繰返されないようにするためには、どうしたらいいかということをひとつお
考え願いたい。この問題は
療養所の所長の責任に帰すべき単純な問題じやない。これは天下の政治に関連するところの大きな問題なのです。でありますから
厚生省一つの手で及び得ないとするならば、これは他の省とも協議して他の立場からこれを批判、検討いたしまして、かくのごとき不祥事の起らないようにするということに万全の処置をとられたい。これだけをお願いしておきます。