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高田政府委員 補助金を出さぬとこれはやみに流れやせぬか、こういう御
質問でございます。採取いたしましたあへんはすべて
政府が収納するのでございますが、そのときの収納価格の問題にな
つて来ると思うのであります。それで収納価格左幾らに定めるか、どういうふうに定めるかということにつきましては、
法律案の三十一条にございますが、これは耕作者が十分に採算が合うということを、やはりこの収納価格をきめまする際の重要なる要素の
一つとして
考えて参るわけであります。従いましてその補助金を出さぬからやみに流れるではないかという点につきましては、さほど御心配はいらないんじやないかと思
つております。ただいくら十分採算が合い、また相当な他の裏作をやりますよりは、たとえば例をあげて申しますならば、麦を耕作いたしますよりは、相当な収益があ
つても、これをやみにあへんとして流した場合には、より莫大な収入になるという
ような事情、それからただいま御
指摘の国民道義の問題、現在の
状況というふうなものからいたしまして、やみに流れるおそれが多分にありはせぬかという御
意見であります。この点につきましては、私は先ほど申し上げました
ように、私
どもといたしましても十分に心配をいたしまして、この
法律案の全体をお読みいただきますとわかるのでございますが、非常にやかましい規制を加えております。しかも先ほど申し上げました
ように、栽培をいたしたいという申請がかりにたくさんあ
つたといたしましても、われわれが
取締りをいたし得る能力の限度というものとにらみ合せながら、その
範囲を広げて参りたい、か
ように
考えておることは、先ほど申し上げた
通りでございます。しからばそれだけ危険を冒して、一体国内でけしの栽培をする必要がないんじやないか、全部輸入したらよい、こういう御
意見は確かに一応もつともの御
意見でありまして、私
どもとしましても、この
法律案を起草いたします際には、その点を一番問題にいたして検討をいたしたわけでございます。しかしながら
戦前日本は、けしの品種で一貫種と称しておりますが、多年改良に改良を加えて、りつぱな品種もつく
つておる。そうしてそれを栽培し、そこであへんを採取しておりました
人々も、だんだんと年をと
つて参りまして、しばらくほ
つておきますと、そういうふうな技術というものがなくな
つてしまいやせぬだろうか。さ
ような品種というものも非常に失われて
しまつて、心配なことにな
つてしまいやせぬ、だろうか。そういうふうなことも十分に想像されるところであります。またやりたいという希望も相当出て来ております。さ
ような点をあわせ
考え、また輸入々々と申していかなる場合にも輸入をすることだけにたよ
つておることも、外貨事情のこの際にどうだろうか。か
ようないろいろな諸般の事情を総合判断いたしまして、この際けしの栽培を全然してはいけないんだという今日の体制は、これは改めてできることにしておいて、しかしながら実際に耕作をいたす
範囲というものは、
取締りの面と十分にらみ合せてだんだんと広くして行
つたらどうだろうか。さ
ような
考えからこの
法律案を実は御
提案申し上げた次第でございます。