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1953-12-11 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月十一日(金曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君    理事 松永 佛骨君 理事 古屋 菊男君    理事 長谷川 保君    堤 ツルヨ君       越智  茂君    寺島隆太郎君       降旗 徳弥君    亘  四郎君       中野 四郎君    山下 春江君       萩元たけ子君    柳田 秀一君       岡  良一君    杉山元治郎君  出席政府委員         厚生政務次官  中山 マサ君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁次         長)      大野木克彦君         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局援護課長) 大崎  康君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ————————————— 十二月十一日  委員平野力三君辞任につき、その補欠として岡  良一君が議長の指名で委員選任された。     ————————————— 十二月十日  昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年  八月及び九月の風水害被害地域において行う  母子福祉資金貸付に関する特別措置法の一部  を改正する法律案吉川久衛君外十三名提出、  第十七回国会衆法第五号)昭和二十八年六月及  び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水  害の被害地域に行われる国民健康保険事業に対  する資金貸付及び補助に関する特別措置法の  一部を改正する法律案吉川久衛君外十三名提  出、第十七回国会衆法第七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任  参考人招致の件  国政調査承認要求に関する件  厚生行政に関する件     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。今会期委員会の運営を円滑ならしめるため、公衆衛生医療制度社会保障、婦人・児童保護に関する事項について、実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会設置関係方面より説明聴取、資料の要求等方法により調査をすべく、国政調査承認要求をすることとし、文書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  4. 小島徹三

    小島委員長 次に小委員会設置及び小委員、小委員長選任についてお諮りいたします。今会期においても医療金融に関する諸問題の検討のため、小委員会設置し、小委員及び小委員長選任を行いたいと存じますが、国政調査承認になりました際には小委員十名よりなる医療金融に関する小委員会設置することとし、小委員及び小委員長委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なお小委員及び小委員長は、追つて公報において指名いたしますから、御了承願います。     —————————————
  6. 小島徹三

    小島委員長 次に厚生省行政機構改革の問題について発言を求められておりますので、これを許可いたします。堤君。
  7. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 行革本部次長おいででございますので、この際ひとつはつきりとお伺いをいたしたいのでございますが、政府はこのたび行政部門全般にわたつて行政機構改革をお考えのようで、いろいろとその案なるものを私たちの方もいろいろな機会に仄聞し、また拝見し、いろいろと研究をしておるのでございます。特にこの厚生委員会におきしては、厚生省においていかなる改正考えられておるか。部制廃止とか、あるいは一部、局の廃止統合などもあるやに聞き及んでおるのでございますが、そうした面につきまして、一度次長からその構想並びにそういうお考えをお持ちになつた理由などにつきまして、御説明を承つておきたいと存じます。
  8. 大野木克彦

    大野木説明員 ただいまお尋ねのございました行政機構の問題につきましては、御承知のように行政簡素化するという建前から去る八月以来政府の部内に行政改革本部というものが設けられまして、そこで案を練つておつたのでございますが、そこの案が一応とりまとめができたという段階でございます。その後この改革のやり方につきまして、党の方で中心になつてつておられるということになりましたので、目下その案を自由党に御説明申し上げまして、そうして今度は、党の方で、各省からいろいろ聴取されておられる段階でございます。従いましてまだその案が検討中の段階でございまして、こういうふうにきまつたということをまだ申し上げる段階にはなつていないのでございますけれども、一応今まで考えました線につきまして大体のところを申し上げまして、またいろいろお教え願いたいと思う次第でございます。  それで構想といたしましては、何分全体の機構簡素化するという方針でございますので、なるべく部局も減らしたいということで考えております。それで厚生省に対しまして従来考えましたところを一応申し上げてみますと、こまかい点は省きまして、一番初めに問題になりましたのは統計調査部でございますか、この点につきましては実は統計の、ことに集計部門につきまして各省にそれぞれ今相当機械をつくつて集計をいたしておりますので、それを能率的に使うという意味で、ことに機械使つた集計部門を一括してそこですべての集計をやるということにすると、非常に経費も節約されるし、能率も上るのではないかという一つ考えがございまして、そういう方向各省にわかれております少くとも機械に関する集計を集めたらどうかという考えでございます。それで各省にあります統計部門従つて人数相当減りますし、もちろん手集計部門は残ると思いますけれども、主として統計の解析であるとか、あるいはまた計画であるとかいう点をやつていただくということで、もともと行政管理庁建前として、官房や局の部は廃止するという建前になつておりますので、従つてその点に部制をやめたらどうかということを考えております。ただしかし統計のような問題につきましては、専門的な知識を持たれた指導者がいることは、ぜひ必要でございますので、その統計の部を廃すればもちろん課になりますので、課長は一応統計官ということを考えておりますが、相当高い地位の方になつていただいたらどうかということを考えております。それから国立公園につきましては、同様に今部制廃止したらどうかという考えがございますが、国立公園部は現在二課で、人数も少いのでございますが、やはりそういう意味簡素化されてはどうかということでございます。  次に問題になりますのは、衛生関係の局でございまして、一応このうちで環境衛生部は、部を廃しまして、全体として公衆衛生局内の課の整理統合をやつていただきまして、局にまとめたらどうかということを考えております。  それから次に医務局薬務局でございますが、御承知のようにこの両局は以前は医務局として一局でやつておられましたので、仕事の内容も、病院療養所等、国の施設の管理、経営というふうな面、それから薬務局の方では医薬機械用具等に関する生産行政の面という違つた面もございますが、一方においてまた、片方医師歯科医師等指導監督をされ、片方薬剤師の方のそういうことをやられるというふうに似た面もございますので、これを統合してはどうかということを考えておりまするが、ただこの面につきましては、薬務行政が最近薬の生産としても非常に大きな高になつておりますので、この衛生三局につきましては、また別な観点から簡素化考えてもいいのじやないかというように考えられておりますが、一応医務薬務をあわせまして医薬局ということを考えております。  内局につきましては、そういうことでございますが、引揚援護庁につきましては、すでに法律でもつて来年四月からは内局ということになつておりますので、その線をそのまま出して行きたいということを考えております。  次に地方支分部局でございますが、これにつきましては、医務出張所は、簡素化建前からやめまして、もしか必要があれば駐在員程度組織で、主として本省がやられるということでいいのではなかろうかということを考えております。  それから麻薬取締りにつきましては、今警察制度のことが別に研究されておりますので、それとのにらみ合せであるいは警察と一本にしてはどうかということも考えられております。  次に附属機関といたしまして、やはり簡素化建前から検疫所税関統合して、そうして船とか何とかいうようなものを一緒にしまして、厚生大臣税関長を指揮されるという線で、今日非常に複雑になつております港湾行政簡素化の一助たらしめてはどうかということが考えられております。  大体厚生省に関しておもな点はそういう点でございますが、先ほども申し上げますように、まだこれはきわめて素案でございまして、今後十分厚生省御当局の御意見も、おそらく党を通してということになると思いますが伺いまして、最後に決定される運びになると存ずる次第でございます。
  9. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 この案を与党であるところの自由党にお示しになつて自由党の方で御検討になり、政府としての案が御同調の上に出るというようなお話を承りましたので、これは厚生省の案として、一応私たちは承らせていただいたわけでございますが、こうした構想をお持ちになつて、たとえば行政費の面において、厚生省から幾ら出て来るか、簡素化によつて人数が幾ら削減されるか、これを承らなかつたようでございますが、大体大わくでよろしゆうございますから……。
  10. 大野木克彦

    大野木説明員 その点につきましては、今まだ実は計算中でございまして、まだそのわくも決定いたしませんので、はつきりしたことを今申し上げかねる状態でございます。
  11. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 次長は非常に大切な方でございますので承りたいのでございますが、簡素化という意味でございますね。ほんとうに冗費があり、いらざる人員があつて、何ら国家利益にならない。国民の税金をここにこれだけつぎ込んでみても、国民にはそれだけの利益がないという場合には、もちろん簡素化ということはいわれていいと思うのでありますけれども、私たち厚生行政ととつ組んで参りました者から申しますれば、将来社会保障制度を確立する、そうして先進国に負けないところの民生安定国家を築くという意味におきましては、私は戦後に生れました弱い、若い、力を持たないこの厚生省機構というものが、将来の社会保障制度への前進としてより充実されなければならない。もちろんこれは文部省、労働省などとともに消費専門の省でございまするから、また他の方々に言わせればいろいろの意見もあるであろうと思い、また党によりいろいろの意見があるだろうと思うのでありますけれども、しかし、ほんとう国民に明日の生活を約束させ、そうして幸福な、揺籃から墓場までの民生安定国家を築いて、そうして働いてもらうという国の基盤自衛力が問題になつておりますけれども、それよりも私たちはもつと国内の充実ということがなされなければならない。それを考えたときには、やはりこれは厚生省行政中心であるということを考えるわけでございます。そういう面から考えましたときに、私は昨夜も吉原と鳩の街、山谷の一帯を見て参りましたけれども、たとえば環境衛生を御負担になつておると申しますか、国立公園部とも関係があるでありましようが、今廃止対象になつておる部が御担当になつておる環境衛生の面から見まして、あの山谷に並び温泉マーク旅館のごときは、社会バチルスの観を呈しておる。鳩の街や吉原では、おりて視察ができて、女の子の部屋も見られますけれども、あの山谷旅館街にはこわくて命があぶなくて上れないという状態である。基本的人権に触れるから警察も触れない、しかも厚生省環境衛生では、これが十分でない法律であるために環境衛生の面から守られておらない。性病の一番大きな温床があそこであるというような観を呈しておりまして、まことにぞつとしておるのでございまして、何とかして旅館法改正をしなければならぬ。基本的人権云々につきましても、警察が踏み込めないという今の状態は、国際的な恥辱ではないかというような点を考えますと、社会バチルスとなるところの国民の、権利も主張するけれども、義務も守らなければならないところの国民の臨検はもつと旅館の中になされていいのではないか、こういうことを真剣に考えられていない。こういう面を数え上げますと、私はたつた一つ旅館の例をあげましたけれども、浴場しかり、映画館しかり、いろいろな面を考えますときに、私は一番大事な金をつぎ込まなければならない国民の健康のために、精神肉体の両面に非常に欠けておる厚生省対象の矢面にいつもまつり上げられて——私は次長によく知つていただきたいのですが、六大都市を見てみましても、きたない話ですけれども、糞尿始末のできている都市というものは名古屋がかろうじて全市民の半分ぐらいの糞尿始末ができているくらいで、東京や京都はその辺に捨てておる。こうした至らない厚生省の部や局を考えますときに、私たちは、ただ簡素化ということは、人員を減らして行政費厚生省からひねり出してもらう簡素化であるというふうに御解釈になられると非常に困るのでありますが、真に国民のためならば、もつとぶち込んで、もつと充実しなければならない点も簡素化と同時に出て来るのじやないかと私は思うのですが、こうしたお考え本部では根本的に厚生省に持つておいでになるかどうか、こういう点、簡素化の定義と申しますか、人によつていろいろ違いますけれども承つて厚生省に対する御認識も少々見直していただきたいと思うのですが……。
  12. 大野木克彦

    大野木説明員 簡素化につきましては、お話通りいろいろ考え方があると存じますが、一応今日わが国の国情なり国力から見まして、行政機構なり人員なりにつきましていろいろ批判もございますので、できるだけこれを引締めまして、しかも大事な方面十分実効を上げて行きたいというふうに考えます。今日と以前とは憲法もかわりまして、根本的にかわつている面があるわけでございますけれども、しかしながら一方におきまして、職階制関係であるとかその他の面から、どうも今日の行政組織が少し複雑になり過ぎているのではないかという感じもいたしますので、もう少し機構を整備いたしまして、そして一つの課、局というようなものの権威をより高めまして、そして統一してそこで仕事がやつて行けるような形にせしめてはどうかというのが本部のねらいでございます。しかし一方厚生行政と申しますか、民生の安定と申しますか、その点が今日最も重大な点であるということは、本部におきましても十分認識いたしておるつもりでありまして、従いまして、他からいろいろ言われる面もございますけれども、厚生行政の面につきましては、なるべく実際にあたりまして、仕事支障がないようにやつて行きたいということを考えておる次第でございます。
  13. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 簡素化合理化能率化されなければならないということは、もう常識でございますから、決して私は反対するのじやございません。しかしいたずらに簡単化をお願いになつて、そして国民を殺すようなことがあつてはならぬ、こういう点をひとつ慎重に考えていただきたいということをくれぐれも申し上げたいのであります。たとえば産業部門につきましても、日本の貿易というものを考えてみましたときに、コストが高くて、世界の物価水準よりはるかに高いところに日本生産品はあるが、これをどうして国際水準に持つて行くかということを考えたときに、いろいろな面から検討しましたときに、やはり技術面というようなものが浮んで来ます。そういたしますと、産業部面におきますところの技術指導、これが政府のやられるところの機構でございます。こういうものなどは、簡素化合理化能率化をなさなければならない日本行政部門の中にあつて、さらにこれは拡大強化されなければならない一つのいい例だと思います。産業部門ではありませんけれども、非常に生活水準の低い日本国民、そして今日厚生省にわずかつきました道をふさがれてしまつたならば、まつたく元の貧乏な姿に農民は返りますし、うんと低い生活水準に返つて行くと思うのであります、たとえば私たち女性の立場から大いに申し上げたいのでありますが、農村簡易水道つて一体何ぼできておりますか。いくら女性解放を口で言うてみたつて、実際に生活の面、衣食住の面の負担を軽くしてもらわなければ、女性解放はあり得ない。そういたしますと、環境衛生負担されるところの簡易水道一つをとつてみましても、農村生活水準を守り、あすの生産を約束され、育児の面に女性が力を生み出す根源になるという面を考えましても、これは断じて簡素化してもらつてはならないのでありまして、これはむしろ能率化合理化され、国民生活能率化合理化する意味において、簡素化が逆でなければならぬ。それから医薬統合もあなたはお考えになつておりますけれども、私たち医務局を拝見いたしておりましても、次長おいでになつててんやわんやです。実際医務局次長局長が今日おいでにならぬのにこういうことを申し上げるのは、たいへん失礼でありますが、国立病院六十幾つの地方委譲の問題さえももてあまし、いろいろな問題で手が足りかねている。これは腕の問題もありましようし、もちろん能率化されなければならぬ面もありましようけれども、しかしここで薬を持つて行つてどうなる、薬務局というのは、中小企業中心とするところの産業部門と深く連なるたつた一つ厚生省の局である。しかも薬は国民生活に欠くべからざるものであつて、いいかげんなものが巷に横行してくれてはとてもたまりません。そういう面から、薬務局行政というものも、医薬と並べられてしまつては割切れないものがあるのではないか、かように存じます。この点は医者と薬剤師とは切つても切れない、病気と薬とは切つても切れないから、ここにくつつけて、少し行政費をひねり出して、そうして幾人かの人間を削つて簡素化するのだとおつしやいますけれども、私は医薬を御統合になろうというところの本部の御認識は少しおかしいのじやないか、かように思いますので、御忠告をかねて申し上げておきたいと思います。  もう一つの点は引揚援護庁でございますが、これはもちろん恩給法が復活いたしまして、ほとんどの問題が恩給局に参りますけれども、しかし引揚援護庁の中にまだ残された問題はたくさんある。これはよその党ではどうお考えになつておるか知りませんけれども、浮かばれない二、三十万の援護法対象にならない未裁定の英霊の問題や、それからソ連、中共を中心とするところの、いまだ終らざる未復員の方方の留守家族の問題が、来年の四月にこれを内局に入れてしまつて簡素化して、恩給権を持つた人を恩給局に送つたとしても、そう簡単に片づくかどうか、これははなはだ疑問だと思う。こういう点も、そういう見通しははつきりとお立ちになつて、来年の四月から内局に入れてもさしつかえないとお考えになつておるのか。私は御忠告申し上げておきますが、わからない二十数万の未復員者、浮かばれない戦病死、国家のために殉じた英霊三十万がまだ宙に浮いておる、これをどうなさるつもりでありますか。四月を目途として内局にしようとお考えになつておるが、そういう点の見通しがあるのかどうかお聞かせ願いたいと思います。
  14. 大野木克彦

    大野木説明員 医薬局等の問題につきましては、なおよく検討させていただきたいと思います。  それから引揚援護庁の問題は、実は引揚援護庁外局でございますが、その仕事特殊性にかんがみまして、非常に形をずつと以前からそのまま存続しておるのでございます。御承知のように外局であれば、外局がありまして、その下に部があつて課があるというのが普通の形でございますが、援護庁につきましては、いまだに局がそのまま残つております、その下に部があり課がありという非常に複雑な形が、以前引揚げ最盛期のときのまま残つているわけでございます。今後引揚げの方は、もちろんまだ残つている方もありますが、大部分が片づいているときでもございますし、軍人恩給それから遺家族の援護等仕事が大体軌道に乗りますれば、これを廃止するわけではなくて、相当の局になるわけでございますから、予定通り内局とされましても支障はないのじやないかというふうに考えております。
  15. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は行政機構改革本部の案に対しましては、まだたとえば出先機関の問題であるとか、付属機関の問題とか、たとえば検疫所税関統合させることについては、私自身検討させていただいてからまた問答いたしたいと思いますが、どうか行政機構改革が角をためて牛を殺すのたぐいにならないように、ことに厚生省においては考えていただきたい。この問題は非常に重大な問題でございますから、各党の委員方々も御質問がたくさんあろうと存じますので、私はこれで御遠慮申し上げておきます。
  16. 小島徹三

  17. 岡良一

    岡委員 ただいま堤委員から厚生省機構の縮小に対する政府方針をいろいろ御質問されたので、それに関連してお尋ねをしたいのですが、たまたま伝えられるところによれば、労働省厚生省が一本になるというふうなことも新聞紙上などでは承つておるのでありますが、大体行政改革本部の方ではそういう御構想でいらつしやるのでしようか。
  18. 大野木克彦

    大野木説明員 少くともただいまの段階ではそのことは考えておりません。以前にそういうことが問題になつたこともございますけれども、しかし現在の本部におきましてはその方向では考えておりません。
  19. 岡良一

    岡委員 さらにそれに関連して承りたいのですが、私どもの年来主張しておる一つとして、社会保険統合ということを考えておるのです。御存じのように現在の社会保険保険料負担においても、その支払いの窓口においても、その他いろいろの点で一本にまとめた方が、払う者も受取る者も万事好都合であるというのが、一般の輿論になつております。ところが労災保険なり失業保険関係労働省所管になつておる、他の方面厚生省所管になつておる、こういうことはそれこそ行政機構改革の上では当然な、非常に大事なポイントではないかと考えておるのでありますが、こういう点について行政機構改革本部の方で何か御構想をおまとめになつたでしようか。
  20. 大野木克彦

    大野木説明員 その問題につきましては、実は類似業務の統一ということで本部でも考えまして、実はまだ本格的にはペンディングな状態にあるわけでございますが、前々からもただいまお示しになりましたように、労働省厚生省が合併する場合の最もよい点の一つとして、社会保険関係一緒になり得るという問題があるわけでございます。この点、省の統合のことは別といたしましても、何か社会保険関係統合する方法はないかということをいろいろ考えまして、案も立てたのでございますが、実行にあたりましてなかなか困難な面もございまして、ただいまのところでは、できれば少くとも第一線の窓口だけでも一緒にするようにくふうをしたいということで、研究をいたしている段階でございます。
  21. 岡良一

    岡委員 この行政機構改革の場合に、いつもこれに対する一番の抵抗をなすものは、むしろ政府部内にある従来のいわば既得的な権益をあくまでも固守しようということから生じて来るいわゆるセクシヨナリズムがこの行政機構改革、少くとも機構簡素化合理化能率化に対しての大きな抵抗力になつておるというふうに私どもには考えられるわけなので、この際これは日経連も文書をもつて要求しているのであり、労働組合の方も要求しているのであり、われわれといたしましても当然そうあるべきだと思つておる社会保険機構統合、この点は行政機構改革の重大な問題であつて、ペンディングの過程にあるべき問題ではないと私は思うわけであります。そういう点を今後とも十分あなた方の方で御考慮願いたいと思います。  なお堤委員から御指摘があつたように、厚生行政、広くは社会保障行政というものは何といたしましても日本では非常に遅れております。これは各国の予算を見ても、総予算の中において占める社会保障関係の予算というものは相当多額に見込まれておるのでありますが、日本では非常に遅れておる。今日、多くの国では、国家の平和を侵略から守るか、国民生活を貧乏から守るか、この二つは政治の重大な眼目になり、予算面においても対等な権利を主張しておるというのが今日の各国の政治の姿でありまして、この点からいえば遺憾ながら日本は非常に遅れておる。そういうことから、あながち人員をそのままに温存することが社会保障行政を充実せしめるゆえんではないとは思いますけれども、しかしながらこの遅れた機構でありますので、この際厚生関係機構改革については、行政機構改革の衝に当られる政府としても十分にひとつ御勘案を願つて、各国の現実の姿というものも十分に御参考にしていただいて、適当にお進めを願いたいということを希望いたしておきたいと思います。  それから関連してお尋ねをいたしたいのは、ともすれば行政機構改革の名によつて、実質的には各省の天引き行政整理による経費の節約という結論が出ておるのがこれまでの例であります。このたび政府が着手されておる行政機構改革は、従前のようないわゆる天引き行政整理による行政費の節約ということになつておるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  22. 大野木克彦

    大野木説明員 いわゆる一律に天引きで減らすということは考えておりません。ただ整理いたします場合に、やはりある程度各省のバランスというようなことも実際問題といたしまして実行上考えなければならない点でございますので、同一の性質のものにつきましては同一の率をもつて整理をはかるというようなことは、技術的には使うかもしれませんけれども、無差別の天引きということは考えておりません。
  23. 岡良一

    岡委員 実際問題として行政機構改革しようとするときは、実施面に当つて結局各省のいろいろな意向があり、しかも行政機構改革はしなければならないということになると、大わくとして定員の天引き整理ということになり、この天引き整理というわくの中で機構がいじられて来るということに相なろうというような傾向を実は懸念いたしますので、そういうことのないように私どもとしては希望いたしたい。  それからなおこの際お尋ねをいたしたいのは、たとえば特に必要なる部局等にあつて人員をふやさねばならない、定員法による定員をふやさねばならないというようなところについては、定員をふやすということもこれは当然になさるべきと思いまするが、あるいは新規の定員増は認めないというような方針で臨んでおられるのであろうか、その点を承りたいと思います。
  24. 大野木克彦

    大野木説明員 この点実は昨年以来原則として新規増員は認めないという建前で進んでいるのでございますけれども、しかしながらどうしても施設等につきます定員で、施設の増加があればやむを得ないというようなものはあると存じます。それらの点につきましてはよく実情を承りまして、やむを得ない増員は認めなければならないというふうに考えております。
  25. 岡良一

    岡委員 この厚生行政と密接不可分の関係にある社会保障制度審議会があつて、その事務局があります。ここには一名の事務局長のほかに五、六名の課長がおります。ところが社会保障制度審議会は、その法律によつて内閣総理大臣に社会保障制度の勧告をしなければならないという重大な責任を負う。従つて各国の立法例なり、またそれぞれ必要とする対象の実態の調査なり、いろいろな点について相当に大きな仕事をかかえ込んでおるわけであります。ところが今申しましたような陣容では、ほとんど審議会としての機能を尽すことができないような状況に相なつておるのであります。そこで私どもはこの際、やはり社会保障制度のプランニング・センターである審議会の事務機構を充実せしめたいという希望を持つて関係方面のいろいろな方の御尽力を願つておるわけなんです。しかしもし、局部を設けることでもなく、新規増員は認めないということになると、われわれとしても非常に遺憾な結果に相なるのでありまするが、具体的なそういう事例について、やはり実際に必要と思われるならば、その方面についてはそうした考慮を払つて、十分に機能を果さしめるようにするというところはそのように取扱われるのでしようか。
  26. 大野木克彦

    大野木説明員 社会保障制度審議会の事務局につきましては、御承知通りほんとうの定員は五人しかございません。あとは各省の兼務でやつているような実情でございます。それでただいまお話のように別に施設があるわけでもございませんので、ちよつと新たに増員することは困難ではないかと存じますが、できれば配置転換等によりまして、できることならやつていただきたいと考えております。
  27. 岡良一

    岡委員 これはあなたも一度足を運んでいただければよくわかると思いますが、いわばインチキ会社なんです。社長がおつて、重役がおつて、専務がおつて、常務がおつて、監査役がおつて、あとはもう何にもいない、こういうインチキ会社は大いに征伐して、実態の伴うようにしていただかないといかぬと思いますので、これはひとつぜひとも御研究願いたいと思います。行政機構改革については、私はこの程度で、あとはまた別途伺いたいと思います。
  28. 小島徹三

    小島委員長 この問題に関して御質疑の方はございませんか。堤ツルヨ君。
  29. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私ばかりでどうもなんですが、行政本部次長さんは、そう申し上げるとほんとうに失礼ですけれども、厚生省に対してしつかり御理解をしておいでになるかどうか、非常に心配になるのです。私が特にもう一ぺん申し上げておきたいのは、環境衛生厚生省行政の骨にならなければならないものです。これは外国へ行つて来た人はみんな痛感するのですか、私の言葉が少し過ぎるかもしれませんけれども、はなはだしきはしらみ、のみ、ねずみ、そして糞尿、臭い臭い国なのですよ。劇場へ行つてみなさい、きたない。この生活を改善しなくて、どうして国民国際水準、国際社会へ出て行けるのですか。これを解決するのには環境衛生部しかないのです。これをなくさないと因るのです。そういうことがほんとうにおわかりになつているかどうか。簡単に廃止してしまう、こう言われるのでは困るのです。これを外国から来た人は日本人の文化生活のバロメーターとして、ほんとうにおはずかしい限りですが、一番先に言うのです。これは金がないから環境衛生を今日までやつておらない。これをうんと充実してやつたら、もう少し国民生活状態もみじめでなくなるのです。みんな銀座の表を歩いておりますけれども、口から入れるばかりで、出たものの始末ができない。極端に言いますと、毎日あとから出ていますけれども、始末ができていない。これを延長して行けば浴場の問題あり、洗濯の問題あり、水道の問題あり、井戸の問題あり、いつぱいあるのです。私は医薬統合環境衛生部だけはことに婦人の立場から——しかも国民全般の広報活動ができておりませんので、厚生省環境衛生部というのが中心になつて、こうした国民生活水準を上げるために、しかも健康を守るためにここがやつておるのだということを知らぬ者がたくさんある。あなたがなくされますと、知られないままに死んで行くわけです。こういうことはもう少し厚生省方々とよく御研究を願つて、これをぜひ存続してもらわないと猛烈な反対躍動をやりますよと、はつきり申し上げます。これは衆参婦人議員団で超党派的に言つておりますから、大いにやらしてもらいます。御覚悟のほどを願います。
  30. 小島徹三

    小島委員長 ほかに御質疑はありませんか。古屋君。
  31. 古屋菊男

    ○古屋(菊)委員 今度行政改革で公園部を全部運輸省に移すというような意見があるそうですが、それはどういうわけですか、御説明をいただきたいと思います。
  32. 大野木克彦

    大野木説明員 今日までのところ、運輸省へ移すという考えはまだ出ておりませんです。先ほど申し上げましたように部制を廃するということは言つておりますけれども、運輸省へ移すという考えはございません。
  33. 古屋菊男

    ○古屋(菊)委員 そうすると公園部をどこかほかへ移すお考えが今ございますか。
  34. 大野木克彦

    大野木説明員 現在のところでは、他へ移す考えはございません。観光行政につきましては御承知通り方々にわかれておりますので、結局総理府にございます観光事業審議会の方をもう少ししつかりやつていただいて、連絡をとつていただいて進めばいいのではないかと考えております。
  35. 小島徹三

    小島委員長 次に厚生年金保険等に関する諸問題について発言を求められておりますので、これを許します。岡良一君。
  36. 岡良一

    岡委員 最初に社会局長にお伺いしたいのです。けさの読売新聞の三面の記事でありますが、大見出しで「ふえる一方、医療・扶助、師走に三十億足りぬ、厚生省一部打切りも通報」と出ております。そして結論としては、「二十八年度の生保予算は総額二百六十四億円だが、こうした医療扶助の大激増により余すところ三十億円、これにさきの第一次予算でとつた冷害地生活保護費七億円、米価値上げ、入院料値上げなどによる補正予算四億円を加えて年度末までに使える金は四十一億円、第三・四半期の予算はすでに地方へ交付済みだが、東京、大阪を初め東北、四国、九州、近畿などの各県では予算は十二月一ぱいで使い果し、一月分の保護費かないといういう状態。保護費は毎月三十数億円に達しているので、どうやりくりしても二、三十億円の現ナマがなくては、困窮者を師走の寒空へほうり出さなくてはならないというピンチへ追い込まれたわけである。」こういうふうに出ておりますが、この間の事情をいま少し詳しく御説明願いたいと思います。
  37. 安田巌

    ○安田説明員 私もまだ読売の記事をはつきり承知いたしておりませんが、大体今、月に三十億くらいの金が保護費として出ておるわけであります。医療費だけが三十億じやないのでありまして、医療費は大体十五、六億くらいになつておるわけであります。結論から申しますと、年内に支払いができないということはございません。私どもの方でいろいろ操作をいたしまして、年内の医療扶助費につきましても、その他の生活保護費につきましても、払えるだけの金は府県に送るつもりでございます。ただ今の記事に書いてありました、医療扶助費がだんだんふえて来たということは、これは事実でございまして、ことにこの六月に当委員会でも御審議願つたのでありますが、基金払いにいたしました。この基金払いにすると支払いが促進されるということと、それから医師の方が請求される場合に一本で請求すればいいということで、非常に便利になつて来ることをねらつたわけでありますが、私どものねらいが当り適ぎて、非常に支払いが早くなりまして、その上今まで市や県が払つておりましたときに医師に対する支払いのたまつておつたところが相当あつたわけでありますが、そういうものまでもどんどん払われるようになりましたので、医療費が急激にふえたというような事情もあります。これがどの辺におちつくかということはまだわかりませんけれども、大体月額十四億くらいのところにおちつくのじやないだろうかという私ども見通しに立つておるわけであります。それにいたしましても、二十八年度前半を通じて見ますと、医療費が年度の終りには若干足りなくなるであろうという見通しが立つわけでございます。年度末になりましてそういう事態が起ることをおそれまして、現在いろいろ予備費の支出でありますとか、あるいは補正予算等のことにつきまして折衝いたしております。以上でございます。
  38. 岡良一

    岡委員 こういう事態のために「各都道府県知事に対し医療扶助内容の監査を厳格に行い、最低生活費以上の収入のある者で医療扶助を受けている者に対しては、一部自己負担への切りかえや、扶助打切りを励行するよう十日付で通報を急送し」、こう書いてありますが、この通報の文書はどういうふうな文章でお流しになつたのでしようか。
  39. 安田巌

    ○安田説明員 十日と申しますと昨日でございますが、社会局長名の通牒だと思います。これは別にそういうふうに打切れとかどうかということじやなくて、医療の給付というものにつきまして十分内容を審査して、むだのないようにしろということでございます。それでそういうものを出しましたのは、実は基金の方で一本で審査をしていただいておりますけれども、生活保護は今まで医療扶助というものにつきまして、そういう点であまり神経質でなかつたわけでございましてだんだん調べてみますと基金等の支払いにつきましても間違いがあるようなこともございますし、あるいは診療内容等につきましても、健康保険と生活保護法の医療扶助とが一件当りが非常に違うとかということがございますので、ひとつよく内容を審査してくれ、こういうことでございます。
  40. 岡良一

    岡委員 結局こういうふうなことが新聞に出ますと、自分は扶助を打切られるのではなかろうか、こういうような不安が起る、医者も支払いの問題で不安になり、また現に扶助を受けておる患者にしても非常な不安を起すわけであります。そこで今社会局長お話の中に、基金支払いにいたしましたので医療扶助費の支払いは時間の延びもなく行つておる、こういうお話がありましたが、それはいささか事実とは相違いたしておるのです。それは生活保護法の適用をもつて、医療扶助でもつて診療してもらいたい、こう言つて患者がちやんと市町村からあのカードを持つて参ります。そのときにすでに、われわれとすれば医療扶助患者としてもう医療を開始せざるを得ない立場から、そういうふうに申し出て参りますので、このような取扱いを医師は実際やつておるのです。ところが市町村によつて医療扶助を適用すべきかいなかの決定は、なかなか容易に決定しない場合がある。やはり市町村の二割負担ということも響きまして、なかなかこのわくが狭められまして、それに審査の手続等もある関係上でしようか、一月ないし二月延びてやつと医療扶助の許可が来るという場合も少からずあるわけであります。しかも支払いが一月遅れて来るということになりますから、健保や国保の支払いよりも生活保護の医療費の支払いの延びる場合の方が町村によつては多いのです。そういう事情もよく考えられて、今おつしやつたように、基金取扱いで支払われておるから医師への支払いが時間的に非常に迅速になつた、こうは一概には言えない実情にあることをひとつ御理解願いたいと思うのであります。これは医者の立場からの話ですが、そういたしますと、結論は、現在のような形で生活扶助を与え、医療扶助を与えて行くことにおいては、大蔵省との折衝において、来年三月末まではこの生活保護法の完全実施には予算上違算がないという保証が与えられましたか、あるいはまたあなたの見通しとしてやつて行けるという見通しでございますか。
  41. 安田巌

    ○安田説明員 先ほど申し述べましたように、今のまま医療扶助がふえて参りますと、年度末に予算が足りなくなるであろうというおそれがございますので、私どもといたしましては、そういう場合のために現在大蔵省と折衝いたしておるわけであります。
  42. 岡良一

    岡委員 ここでは安田社会局長談として、「予備費かまたは補正予算で」とこう書いてありますが、一体厚生省の方で予備費はどれだけお持ちなんでしようか。
  43. 安田巌

    ○安田説明員 予備費は厚生省で幾らというのではなくて、国全体の予備費でございまして、補正予算でできなければ予備費でもらいたい、予備費がなければ補正予算でいただきたいという話を進めておるわけであります。
  44. 岡良一

    岡委員 補正予算でとおつしやいますけれども、補正予算でということは、二次、三次、四次の補正というようなことは実際問題として非常に困難ではないかと思われるので、やはり応急の措置は政府の予備費をもつてまかなうということにでもして、この急場を切拔けていただきたいという希望を持つておるわけでありますが、その点の見通しはいかがでしようか。
  45. 安田巌

    ○安田説明員 私どもといたしましては、生活保護法の実施というのはこれはほうつておけないことでございますので、ぜひそういうふうにお願いをいたしたいと思つております。
  46. 小島徹三

    小島委員長 次に、戦傷病者遺家族等援護法等に関する諸問題について発言を求められておりますので、これを許します。中野四郎君。
  47. 中野四郎

    ○中野委員 ちよつと中山さんにお聞きをしておくんですが、この間うち山県厚生大臣はしばしば車中談なんかで、公務死以外の人に何とか適当な名前をつけてお手当をしたい、国の予算が許せば五万円ぐらい、もしいけない場合は三万円ぐらい——この委員会でも山県さんと二、三お話のやりとりをしたのですが、当時山県さんの御答弁の裏づけというのですか、その後厚生省の方でも補足を御考慮になつており、従つてこの二十九年度の当初予算に公務死外の人にもまた弔慰の金を五万円ぐらい出し得る予算を計上したいという意思があるように私は伺つております、これは山縣さんの車中談では、年末に対して非常に逼迫しておりまする人々をば何らかの形でお救いしたいというお話でありましたが、これは予算的処置は厚生省に幾らかのしわ寄せがあるのだろうと私は想像しておつたのですが、予算的処置のないものを委員において発言するということは、厚生大臣としても御無理であろうと思う。そこでこの公務死外の人に対する弔慰の金を二十九年度の予算に計上する意思があるかどうか。あるとすれば幾らくらいの金をやるつもりでおるのか、あるいはその人数、予算に計上しようとする金額、こういう面についてひとつ中山さんからお答えをいただきたいと思います。
  48. 中山マサ

    ○中山政府委員 私が厚生省に参りましてから見ました数におきましても、その当初五月でございましたか、五万数千の人たちがまだ裁定を受けていない。そしてその中にはおかげさまでいろいろと事情を調査いたしまして、だんだんといただいた方々が次々出て参つたのでございます。しかしまだ相当な数の人がございまして、まあ私個人の考えでありますが、この場合こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんけれども、一旦軍隊に連れて行かれて、そしていわゆる軍隊の病院で死んだ人に何にもやらないということはどうも相済まぬことである。家族として見れば、わが家で死んだものならば自分の方の責任だが、しかし病院で死んだものはやはり国家の責任だということがしみじみと頭に入つておりまして、私がいろいろいただきました陳情にも、国をうらむというようなお言葉がありまして、私もまことに御同情にたえない。これと同じ気持を大臣がお持ちになりまして、あの車中談で三万円という御発言があつたものと私も新聞紙上で拝見したのであります。そういうわけで三万円かと思つておりましたところが、その省内の関係のお方々は、何とかして五万円は差上げたいという大臣以上の御意向があるということを私は知り全して、非常な満足を持つていたのであります。五万円くらいではまことに相済まないと思つておるのでございますが、しかしこういう国情にありまするので、まあ五万円なりともと思つております。それでいろいろと予算の調整もございまして、これくらいのお金は出し得るという見込みを関係の方で立てていらつしやるということを私は伺つております。予算の計上の方は係りの方から詳しく申し上げたいと思います。
  49. 大崎康

    ○大崎説明員 公務死没者の数といたしまして、現在厚生省で推定いたしております数は約七万であります。従いましてもし五万円の国債を支給するといたしますれば、国債総額は三十五億円、初年度の利子が二億一千万円、平年度の元利の償還が約五億円になる見込みであります。
  50. 中野四郎

    ○中野委員 そこで中山さんはたいへんこの道に対して御努力をなさつた人ですから、さらに伺つておきたいのですが、どうも裁定をするにあたりまして、私が直接衝に当つていますと、審査の感覚といいますか、そういうものが近ごろは大いに幅を持つて来たわけであります。最初の間却下したものは非常にきびしい審査を受けておるといつても過言でないと思える節が多々ある。特に近ごろ痛切に感ずることは呉の海軍関係、これは書類が残つておるせいでありましようが、非常に却下が多い。そうして私が取扱つたものだけでも、そのうち約四〇%くらいは海軍関係の方はみな却下になつて来ておる。今あなたのお説のように、また山縣厚生大臣のお気持のように、いやしくも一旦国家のために召集されて、民族、国家のために戦地におもむかれて、そして病を得てなくなられたとか、あるいは不慮の死をなすつた方に対しては、当然国家、民族の気持の上からいつても、これに対するところのお手当をするのはあたりまえなことです。これは論をまたぬところではありますが、しかし却下になつた人たちは満足しておるのではないのです。腹の中は大不平なんです。異議の申請あるいは申立てをする人たちはきわめてまれなんです。というのは出先の窓口である町村役場、あるいは福祉事務所というものは、まあ却下になつたものはお出しにたつてもだめでしよう、何かよほど新しい事実、新しい理由がなければだめでしよう、そういう一言で異議の申請をしていない。考え方によれば、そういう事務的な処理はできるかもしれませんけれども、実は国家のために召集を受けて病を得て死んだ者が、これが一番大きな不服の理由、これ以上大きな不服の理由はありません。こまかい事実を申し立てるということは一つの基礎の上に立つただけのもの、この却下になつた人たちに対しても、これを取扱いの範囲に入れるのか、あるいはまた端的に、いまだ裁定の済まないだけを対象にするのか。あるいは公務死外の人たちではその取扱いでどういう範囲に入れられるのか、これをひとつ聞いておかぬと、一方は異議の申請をした者は未裁定として取扱いを受ける、却下を受けたが、いまだに異議の申請をする機会を失つておる、あるいは年限が切れてしまうというような人々がその恩恵に浴さぬということになると、これまた不公平なわけです。こういう場合の取扱いは、この七万の中に入つておるのかどうか、これをひとつ伺つておきたい。
  51. 中山マサ

    ○中山政府委員 末端におけるところのお世話をなさる方々の熱意ということが、私は非常に重要な点になつておると思うのであります。この間青森県でございましたが、千島の方に行つた人で、青森に着いてから死んだというようなことがありましたのですけれども、遺族には骨も何も来ていない。ただ戦病死だということになつておる。どういうふうになつたのかわからない。ところがそこの村長さんという人が非常に熱心な人でありまして、青森県から三度も出て来ました。そして次々とたどつて行きまして、とうとう証拠を出しまして、これはつい前の週の事件でありましたが、この人がかかることになつたのであります。千島という所はいわゆる戦場に指定されております関係上、その第一線で死んだということがわかつたのです。初めは証拠がわからなかつた。当時七万七千であつたと思いますが、私も厚生省に参りましてから、何とか早くこういう問題を処理してあげなくては、もう八年になるのに済まぬではありませんかといつてやかましく申し立てたのでございます。そういうわけで早くしていただきたいというと、証拠が出て来るまで待つてあげることが当人に対する親切だ、早く処理してしまえば却下してしまつたらお気の毒だという、長引いた裏にはそういう関係の官吏の方々の親切心があつたということを、ひとつここでお認め願いたいと思うのであります。そういう意味でこれが遅れて来ておるのであります。それで証拠が出さえいたしますれば、即刻これにかかつて行くということになつておりますので、今のお尋ねの却下された者、あるいは審理未了になつた者にかかるかどうか、これは当然先ほど私が申しました前提からいたしますれば、かけなければならないものであろうかと思うのであります。不平をなくす政治こそ真の政治であろうという観点からいたしますれば、当然かかるものであろうと私は考えます。
  52. 中野四郎

    ○中野委員 中山さんのたいへんよいお気持もわかります。従つて事務当局はむろん政務次官の意を継いで、異議の申立てをしておる者も却下になつた者も、あるいは未裁定の者も、すべてを含めて七万人と見ておられるのですか、どうですか、もう一回伺つておきたいと思います。
  53. 大崎康

    ○大崎説明員 お答えいたします。七万件といたしまして推定した根拠でございますが、現在私どもが行つております却下の数、それから現在未裁定の件数が約六万程度ございます。そのうちで却下になるであろうと予想せられる数、それからこれから将来申達せられるもののうち死因によつて却下せられるであろうと予想せられる数、それからあるいは遺族によつては裁定庁まで全然書類を送ることなく取下げた方もおられると考えまして、そのような方方の数も考え合せまして、約七万件と推定をいたしておる次第でございます。
  54. 中野四郎

    ○中野委員 もう一点伺つておきたいのですが、そこでこれは未裁定の人たちはむろん、今後の審査にまつ以外にはないのですが、この五万円の金をかりにおやりになるとして、それで一切処理済みとお考えになるのではないでしようね。当然これは全般に向つてどういうお名前でやるかしらぬが、弔慰の意を表して五万円なら五万円の国債をお出しになるとしますると、もうこれで済んだのだという考え方じやないのでしようね。審査中のものはさらに審査を続けて行つて、当然わくの中に入れば、これに対しては法律できめられておる新たなる処置をとるというお考えでしようね。そうでなくてはならぬと思うのですが、この点はいかかでしようか。
  55. 中山マサ

    ○中山政府委員 それはお言葉の通り、当然しかるべきことであろうと思います。かかるべき理由がわかりましたならば、必ずそれは相当の処置がとられると事務当局におきましても今おつしやつておる通りでありますから、どうぞ御安心ください。
  56. 中野四郎

    ○中野委員 そこで今大蔵省と予算の交渉中のように私は思うのですが、この見通しは、大蔵省の方の予算の計上については、異議のないところでございましようか。そしてもしそれが大蔵省の方で通るとすれば、これは二十九年度の予算にかけられるのですが、いつごろこの金をやることができるかという問題です。問題の焦点がここに一つあるのです。つまり山県さんの言われた車中談は、年末に際してできるだけ早くこれを差上げたい、この裏づけになるものは、おそらく厚生省の方に幾らかしわ寄せの金があるのではないかと思う。金がなくても、国債ですからある程度の処置はできるものと思う。そういう政治的考慮を入れての談話ではなかつたかと思うのですが、大蔵省との交渉の結果はどうなつておるか。それからいつごろこれをば明らかにして、民族のために犠牲になられた人たちに対して報いるの気持があるのか。もしそういうような意思があるならば、もう少しはつきり厚生省の方で、新聞とか報道機関を通じて御発表になれば、政治的にも効果が大きいと思う。遠慮することはないので、いいことですから、中山さんにしても山県さんにしても、そういう方面に御理解の深い方なんですから、こういう面こそ大蔵省との交渉結果が可なりということになれば、すみやかに政治的に発表をなさる意思があつてもいいと思う。また係から大蔵省との交渉の経緯について聞いて、いつごろこれを明らかになさるかということを中山さんからお聞きいたしたい。
  57. 中山マサ

    ○中山政府委員 今年度はまことに苦しいお台所でございまして、冷害、風水害と四拍手もそろつておりまして、非常に苦しいお台所の工面でございますが、二十九年度の予算にこれを要求しおります。厚生省もなかなか苦しい家計をやつておりますので、しわ寄せの金というほどのものもないようでございますが、いろいろ御親切に、広報活動によつて発表したらいいじやないかとおつしやる点は、目途がつきましたら、さつそくそういうことをさせていただきたいと思うのでございます。大蔵省とも昨日あたりから大びらに二十九年度の予算の組立てが始まつているように今ちよつと聞いておりますが、ぜひものにしたいということを考えております。
  58. 中野四郎

    ○中野委員 見通しはいかがですか。
  59. 中山マサ

    ○中山政府委員 見通しをはつきりここで申し上げる段階までは来ておりませんことをまことに残念に思つておりますが、一生懸命やりますから、どうぞひとつ……。
  60. 中野四郎

    ○中野委員 大体内交渉に成功しているのじやないですか。金額からいつてもわずかなものですし、それから、当然これはしわ寄せの結果、政治的処理をしなければならぬ問題なんです。何といつたつて国家のためにこういう犠牲を払われた人々に対して、御遺族の方々に対して、政治処理をしなければならぬことは当然のことなんです。今の国際情勢から見ても国内情勢から見ても、当然これはなさねばならぬ一つの課題であつて、金額からいえばごくわずかなものなんです。それによつて一応政治的効果があがるとなれば、大蔵省もこれを否定する根拠は何もないと思う。だからひとつせいぜい政務次官の政治的手腕を発揮されて、大蔵省の方で予算の獲得に成功されるよう国家のために御健闘を心からお祈りし、御成功を祈つておきます。
  61. 中山マサ

    ○中山政府委員 御激励まことにありがとうございます。
  62. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 関連してちよつと……。ただいまの御質問について、七万を予定しておるという政府の御答弁でございますが、御存じの通り数日前に第六回の遺族大会が行われまして、全国の遺族の代表が集まられたのであります。そして各都道府県市町村において熱心に末端の遺族をお世話しており、宙に浮いておる英霊などの数についてもよく御存じの方が、いろいろと御討議をなすつたのでありますが、その席上において、今政府から御答弁になつた、処置を願わなければならない対象は最低大体二十万、こういう見方をいたしております。二百万英霊の一割二十万、私も実は前国会で、この浮ばれない英霊のために、せめて苦情処理機関でも設けて、何とかしたらどうかということを提案したのでありますが、御同調を得ないで今日に至つておりますが、そのときの私の党の推定では二十万ないし三十万ということになつております。従つてせつかくそうしたあたたかいお心持がありますのに、七万と踏まれて御処置をなされると、また紛々たる不満が起つて来る危険があることは、はつきり数の上でわかつておるのでありますが、どの辺で未裁定、未決済、却下、異議の申立というものを取上げて、どの辺で捨てるかという線は非常にむずかしいと思うのです。あすこがもらつているのに、うちがもらえないのなら、といつて国を恨む人が非常にたくさん出て来ると思うのでありますが、そういう場合どうなさいますか、七万だけの計画を立てて……。
  63. 大崎康

    ○大崎説明員 先ほど七万と私申し上げましたが、現在における裁定状況から見ますと、大体七万程度が正しいのではないかと私どもは考えておる次第でございます。御承知でもございましようが、御参考のために申し上げますと、現在におきまして受付件数は約百九十一万に達しております。そのうちで却下数が二万六千件ございます。二万六千件のうち死因によつて却下したものは、それをはるかに下まわる数字になつておりますから、そのようなことから考えましても、大体七万件という程度ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  64. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 政府もある数字の上に立つておつしやつておるのでありまするから、決して私は政府のおつしやつておることを根拠がないとは申しませんけれども、沖繩の遺族の問題も出て参りますし、それからもう一つ御考慮に入れていただきたいのは、法律を知らない弱い人々が非常に多い。たとえば老人で字が書けない、人にごやつかいになつて役場の窓口に行つたという人が非常に多いのです。未亡人と子供、孤児、そういうものが非常に多いのです。そういたしますと、役場の窓口でけられたけれども、もう一度やつてもらえば県の世話課へ書類がやつてもらえる。役場の窓口ではねられたものと、その役場からやつと県までやつてもらえたけれども中央ではねられたもの、私が今言うのはその間にいかほどの開きがあるかということです。これは役場の窓口ではねられておるけれども、その線にかからない英霊で、今度あなたが七万と勘定していらつしやるのと同じような種類のものが市町村にはたくさんある。私が言うのは役場の窓口さえも問題にしておらないけれども、これはこうした扱いをしてもらわなければ片がつかないというのがたくさんあります。それを知つておるのは市町村の遺族会の役員なんです。そういう実際の面を考えて参りますときに、七万という数は必ずや将来問題が起るであろうということを私は申し上げて、七万の範囲をさらに広げる場合にどうするかというところの心構えと、同時に、せつかく御親切な心構えであるのですから、ぜひそう願いたいということを特に私は申し上げたいと思います。
  65. 中川源一郎

    ○中川(源)委員 関連して。今堤さんから詳しくお尋ねがございましたが、数字の問題でございます。私は今御発表の数字はいつの数字か承りたいのです。先月の数字では申請の分が百九十一万、裁定は百八十五万、却可の分が一万四百、こういうふうに心得ております。それで未裁定が六万三千というように私は記憶しておるのであります。そういたしますと却可が一万四百からにわかに二万六千に一箇月たたぬうちにふえたのかどうかという問題と、それから私は、この戦争によつて、また大東亜戦争以前から調べますと、二百三万人請求権を持つておると思うのです。恩給にいたしましても、援護法による請求権を持つておると思いますが、十二万人の人が請求をしておらぬのです。なぜ請求していないかという問題でございますが、これは、あなたの方はこの病気では該当いたしませんから取扱つてもだめですからというので、最初から受付られないのが相当ある。それから病気の種類もいろいろ取扱うところによつて違いまして、たとえば精神病です。しかし精神病でも爆弾が炸裂して頭がへんになつて、そうして精神分裂によつて精神病になつた。これは戦争によつてなつたものです。こんなものは当然該当すべきものであると思うのでございます。また自殺者——これは一律に自殺者と申しましても、戦争に負けて生きがいがない、責任を感じて腹をかき切つて死んだ人もあります。刺し違うてお互いに死んで行こうじやないか。敵のたまに撃たれて死ぬよりもお互いに死んで行こう、たまがなくなつたから刺し違えようという悲壮な決意を持つてなくなつている人もあります。いろいろ自分の責任上間違いを起して部下をたくさん殺したためにピストル自殺した人もあります。そういう責任を感じて死んだ人を、すべて自殺者として扱つて、弔慰金も何も出さないのはどうか。また逃げまわつていて帰つた人が、十二年以上になつているからというので恩給をもらう人がたくさんある。いろいろ不公平がたくさんある。いやしくも軍服を着せてもらつて出された者は、たとえば肺結核でも、出ましたときには甲種合格のりつぱな方で出て行つた。いまだかつて肺病になつたことのない方が、あるいは南方とか湿地のひどいところに参りまして、そして肺病にうつつてつて来る。そしてその病気が重いからあなたは家で養生しなさいというので、家に帰つてから半年、三月でなくなつておる。これは自分の家でなくなつておりますからもうあきらめております。しかしこれは戦争によつてわずらつた病気である、こういうものは当然取扱うべきものであると思うのです。さつき中山先生のおつしやつたように、これは末端の取扱いが親切であるかいなかという点に非常にかかつて参ります。もう頭から取扱つておらぬということがある。先ほど中野先生が言われましたように、海軍のは大体不親切です。いまだにほつたらかしてあるのがたくさんございます。私は非常に心外にたえぬものがありますが、今ここで発表いたすことを見合せますけれども、どうぞひとつ役人の方々も親切に取扱つてやろうという考えを持つていただいておるのでございますから、それがひとりみなに届きますように——病気も証明書などをつけまして、すべて該当者となつて要求すべきものは要求するという考えを役人の方々は持つてつていただいておるのでございますから、それをひとつ実際において末端の方で取扱いができますようにお願いしたい。何分戦歿者の家庭の方では、どうして死んだやらどこで死んだやら詳しくはわからぬのです。政府の御報告をまつより方法がないものが多うございます。またさつきのような青森からわざわざ三回も来られるような力のある人ならよろしゆうございますが、年老いたお姿さんとか子供とかいう家族が多うございますので、役所からあなたの方は却下だと言われれば、却下もやむを得ない、もうだめである、こう信じておる者が多いのです。却下という分を見ましても、これは脳溢血であるから当然あなたは却下である、肺結核であるから却下である、これでは気の毒でございます。どうぞひとつ却下のものをもう一ぺん検討していただきたい。却下は一箇年以内に請求しなかつたら請求権はなくなります。まだ申請していないものは七年間の請求権はありますが、却下の分は一箇年以内に請求しないと請求権はなくなるというわけでございますが、そんなことを知らない人が多いのです。却下された分をやむを得ないというので捨てておく人が多うございますので、もう一度却下の分を再検討していただきたいと思うのでございます。
  66. 中山マサ

    ○中山政府委員 今却下の分のお話がございましたが、不服申立てをしておいていただきたいのでございます。結論として申し上げれば、今堤先生のおつしやいましたように、地方におけるよく御関係のわかつていらつしやる方方にもう一ぺんお世話を願つて、地方の出先機関にとにかくその地方でもつてつてに処理しないように、本省まで送れということをぜひひとつ請求していただきたいと思います。そういたしますれば、地方において捨てられて本省まで届いていないものの数がはつきりとなると思うのでございます。そういうこともひとつこれは相互援助と申しますか、お互いに地方のそういう御熱意のある万々の御援助によりまして、出先機関をひとつ督励していただきたいと思います。本省にそういう事情が判明するようにしていただきませんと、まことに雲をつかむような話でございまして、あきらめて出さない人、字が読めないで出さない人というようなことになりますと、これは実に申訳のないことにたるのではないかと、その点私は非常に憂えますので、私もまたそういう人に出会いましたら督励をいたしますが、どうぞひとつ国会議員の名において漏れのないようにすべきではなかろうかと思つております。どうぞ御援助をお願いいたします。
  67. 小島徹三

    小島委員長 次に再び厚生省行政機構改革の問題に関する調査を進めることにいたします。柳田君。
  68. 柳田秀一

    ○柳田委員 政務次官にお尋ねいたしますが、聞くところによりますと、今回の行政整理で厚生省厚生省内部において機構簡素化と申しますか、あるいは簡素化に名をかりての圧縮のようなことを御計画なさつておられるように思うのです。そこで私のお尋ねしたいのは、今の厚生省というものが独立した意義、昔内務省の中にささやかであつた厚生省が独立した意義、そういう意義から思いをいたしまして、今の厚生省の内部機構を見ておりますと、私は私なりにこういうふうに考えるのです。たとえば医務局薬務局とかいうものがございますが、これは平面的な行政機構であると思うのです。いわばスタチックな行政機構、ところが環境衛生なんかつかさどつているのは、これは表現はおかしゆうございますが、立体的なダイナミックな行政機構である。厚生省というものは、独立したしかも新しい日本が文化国家を目ざしているというような今の行き方から見ると、そういう平面的な、静態的な医務局薬務局という行政と、今後の日本の新しい文化国家を建設して行こうというところの、環境衛生ということにさらに手を伸ばして行こうという立体的な厚生省機構と、将来厚生省ほんとうに活動する部面はどこにあるかということを考えると、当然私はこういうところになければならない、かように思つておるわけであります。そういう意味で、現在環境衛生部というものがございますが、私から言わしめれば、こういうものはすでに局であるべきであつて厚生省ほんとうの活動部面というものは、そういうところにどんどん行つているのが私は当然であると思う。今のところは部というものがありまするか、予算総額の中で、一億円あるかないかのものと同様に扱われまして、今度の機構改革のときにはそれはまた廃止しよう、これは普通の一般的なお役所式な考え方です。ところが、日本ほんとうに新しい文化国家を建設して行く上においては、むしろこれは拡充をして行かなければならぬと考えているわけであります。そこで、今問題になつております行政機構改革というものは、とかくこれに手をつけると、大臣の命取りになるというので、また各省々々のうるさいセクシヨナリズムのなわ張りをやつて行くと、当然これははちの巣をつつついたようなことになるというので、お前のところは局は局、裸は裸でやれということで、お茶を濁すらしい、そういうことになつて参りますと、厚生省においては、環境衛生部廃止しようというようなお考えがあるやに聞いているのでありますが、これは事実でありますか。また政務次官もさようにお考えになつておりますか。
  69. 中山マサ

    ○中山政府委員 私個人の考えといたしましては、厚生省というものが各省の中で一番よけいに予算をもらう、そして一番りつぱな省になるというそのことが事実に現われた日が、日本の政治が一番よくなる日であるということは、私個人の信念でございます。そういう意味合いにおきましても、厚生省というものは非常に民生と密接なる関係を持つておるところでございますから、その発展をこそ願え、その弱体化することには、省の中におります方々としてもむろんみな反対であろうかと思いまして、私は環境衛生部にあまりに身を入れ過ぎているくらいに、これには興味を持つて、今日まで八箇月の間歩いて参つたのであります。今のところそういううわさは立つておりますけれども、実質的にはそういうことは考えていないのではないか。とかく何かちよつと打出しますると、非常に世間が騒ぎまして、また現実でもないものを現実のように宣伝される向きも、今までいろいろの面でございましたから、今のところそういうことになつていないんじやないかと私は考えておりま。
  70. 柳田秀一

    ○柳田委員 ただいま個人という前置きでしたが、その個人の中山マサ女史が政務次官という要職にあられる限りにおいては、ただいまのお言葉のように処置していただけるものとわれわれも期待いたします。先ほどにもどりまするが、たとえば社会局の扱つている生活保護なんかにしても、これは民生安定である。しかしながらこれは消極的な民生安定だ。厚生省のもうちの環境衛生なんかは、そういう民生安定とはやや違いますが、新しい日本国家を築いて行くという意味の積極性があると私は思う。そこでたとえば最近のヒットであると、私はこの前山県さんに讃辞を呈したのですが、簡易水道一つをとつてみても、どれくらい農村の家庭が喜んでいるか。私がずつと見てまわつたところでは、ある農村の主婦に開いたのですが、その主婦たちは豆ランプが電燈になつたとき以上にありがたかつた、こんなことをしてもらおうとは今まで思わなかつたという。そうして、あなたのところはそういう仕事をやられてけつこうだといつて、主婦の会の連合会でもありますと、そこで聞いてみな視察に来て、その視察のお世話をするのにたいへんだといつて悲鳴をあげておる。また山県さんが北九州の水害を見て来られて、一例を水道にとりますが、これほど簡易水道の威力を発揮したことはないと言つておられた。こういうものの予算は、今年は一億、来年は四億、さらにまた災害地は多少ふえましたが、聞くところによると、本年はさらに大蔵省に予算を多く折衝されておる、まことにさもあるべきである。そういうような仕事をやるものは拡充こそすれ、廃止するとかあるいは縮小するということは、日本の文化国家の名においてもつてのほかだと思う。従来厚生省は内務省に入つておつた、建設省も内務省に入つておつたというような、歴史的過程を経て来ておりますので、現在でもなお、おかしな面があります。たとえば建設省になりますと、計画局というのがあります。そこに水道課というところがあつて相当の定員を持つている。これは何をやつているか、実際にはこれは何もやつていない。そうしてなわ張りだけはやかましく言つている。あるいはまた建設省の計画局の中に施設課というものがありまして、相当予算もとつており、定員も多い。その中でやつていることは屠畜場、火葬場それから塵埃焼却場、清掃、これはまつたく厚生省仕事なんです。これは従来旧内務省の遺物であるために、いまだに名前だけ置いて実質は何もないところで人間だけごろごろ遊んでいる。あるいはまた都市建設課というところがある。市の水利事業というのをやりまして、下水工事をやる。先般私は青柳先生と古屋先生と北海道を見て来たのですが、岩見沢なんかにおいて下水なんかたいへんなんです。あの泥炭地には、ほとんど勾配かありません。どうにも下水の吐け場所がない。下にも沈まない。こういうような下水工事が一番大事な仕事だ。ところが、下水工事をやるからには、都市の中においては暗渠にする、そうして都市を出ると、工事や何かの関係で開渠にする。開渠になつて来るとこれは建設省の都市建設課だ。こういうようなことになつて、まことに国家経済として不経済きわまるのです。むしろこういう実体のないようなものは全部集めて、厚生省に持つて来て、大きく環境衛生局をつくられるぐらいの意図は、当然あつてしかるべきである。そこで先進国の例なんかを見てみますと、都市計画というものは、主として医者がやつております。従つてこれは当然衛生局あるいは厚生省がやつている。シンガポールなんかのあのイギリスの統治が成功したのは、あの瘴癘の地を都市計画で、うんと大きな長期計画を立てた、その都市計画はだれが行つたか。医者がやつている。衛生長官がやつている。都市計画というものはもともとそういう環境衛生から出て来たものです。そういうような点に今後厚生省というものは真に力を入れませんと、単に行政事務をやつているというだけの省になつてしまう。医学におきましても、従来は工学部に土木工学というものがあつたが、当然衛生工学というものがなければならぬ、こういう段階にまで先進国は来ているのです。そういうような観点に立つて、私は厚生省が目に見えてどんどん農村の方にも文化国家建設をやつている、その中心であるところの環境衛生部というものは、決して縮小したり、廃止すべきものでない。むしろこういうものこそ拡充して行くということが、私はほんとうの行き方であると思います。これは大臣にもお尋ねしたいのですか、ただいまの段階においては、それではこういうような縮小したり廃止したりするということには、省の意見としてはなつておらぬというように了解してよろしゆうございますか。またそういうような私の意見に御賛成願つたのでありますから、そういうように努力していただけると理解をしてよろしゆうございますか。
  71. 中山マサ

    ○中山政府委員 今御造詣の深い先生からいろいろと承りまして、まことにごもつともであり私も満腔の敬意を表するのでありますが、厚生省といたしましては、これの廃止は全然考えておりません。行革の方からいかなる運動をして見えるかわかりませんけれども、私どもの力の及ぶ限り、これの存続を見て行こうということを省として考えておりますことをここに申し上げておきます。
  72. 柳田秀一

    ○柳田委員 もとより厚生省としてはそういう考えはない——これは別に厚生省でなくても、各省ともこういうときには、各省は自分の現在の段階を縮小されるのには反対するものであります。どこでもその通りであります。またそれは当然でなければならぬ。今うしろからだれか入れ知恵されましたが、そういうようなことはどこの省でも同じであつて、あえて何も入知恵する必要はない。そんなことではなくて、もつと進んで、厚生省はこの際縮小運動をやるよりは、これくらい大きくするのだというくらいの意図で、大臣なり政務次官は、閣議並びに塚田長官の方にこういうことをやられるかどうか、ということを聞いておるのです。そういうような積極的な意欲を私は聞いておるので、その点ひとつ……。
  73. 中山マサ

    ○中山政府委員 私どもは積極的な意欲は百パーセント持つておるということをここに申し上げておきます。
  74. 柳田秀一

    ○柳田委員 この問題に関しては、私は非常に重要視しております。私は厚生委員であるということにおいて、私自身が他の常任委員をしている以上に私自身が自負をもつて、この問題は非常に重要視しておりますから、また大臣にもお尋ねいたしますが、ただいまの意見はしかと頭の中に記憶にとどめておきますから、結果においてそれを裏切ることのないように、この上とも御尽力を願います。
  75. 小島徹三

    小島委員長 柳田君に申し上げます。行政管理庁次長はさしつかえがございまするし、政務次官はどこかちよつと他出しておるそうで、少し遅れるそうでありますから、来るまで質問を留保していただきたい。
  76. 岡良一

    岡委員 今の行政機構の問題に関連して、これは厚生省の政務次官なり環境衛生部の方にお伺いしたいのですが、まだ本ぎまりになつたわけではありませんが、きよう十一時から予算委員会の提案で、各党が合同で食生活の改善運動についての協議を進めることになつておるのです。これはおそらく本ぎまりになろうという見通しを私ども持つております。現在の凶作、これを禍を転じて福となすという意味において、食生活の徹底的改善をやろう、百六十万トンの米の輸入は百万トン以下で押える、それによつて六百億の国費を浮かして、小中学校は義務的に学校給食をやる、一食は必ずパン食にして牛乳を与える、それによつて浮いた六百億の金のうち、百億はこれを優秀な乳牛の導入をやつて、有畜農業なり、酪農経営に生かしながら、一方においては子供たちの栄養の改善をはかり、ひいては子供たちの間にこうした粉食を中心とする合理的な栄養生活というものになれを与えよう、こういうような一石二鳥の策として、実は各党の御協力を得て話を進めておるわけであります。こういう運動は当然環境衛生の重大な問題ではないかと思う。住の生活中心とした、またそれに衛生的な顧慮を加えられて、いろいろと環境衛生の方でも御配慮願つておりますが、最も物質的な生活の内容となつておる食生活の改善というものは、これは環境衛生の中でも広い意味においては中心課題である。ところがこういう問題については、多少の予算をとつてはあるようでありますが、厚生省の力こぶの入れ方が足りない。むしろ農林省には生活改善課というものがあつて農村生活改善にはもつと大きな予算をもつてつておるようであります。こういうことは、私どもとしては非常に遺憾に思つておるのですが、こうしてせつかく国会が超党的に、食生活の改善運動とか、合理化運動、これをこの機会に取上げようとして盛り上つて来ておるというのが、今日の姿でありますが、こういう問題はどうでしよう。厚生省あたりがやはり国民運動として展開すべきだと思いますが、それにいたしましても、やはり官民一体の姿でこの運動というものは進められなければならないと思いますので、こういう場合、こういう問題について、よほどこれは厚生省として力こぶを入れてもらわなければならぬ。そういう点について、まだ本ぎまりの問題ではありませんが、ひとつお心組みを承つておきたいと思います。
  77. 中山マサ

    ○中山政府委員 仰せの通り、ことしは非常に食糧の不自由な結果になつておるのでございます。私ども考えまするに、今まで若い世代には給食によりまして、パン食も普及を見たようでございますが、ことしこそ一生懸命にこの問題を押して行つて、そうして食糧問題に実を入れなければならぬと思つておることは、先生の仰せの通りでございます。これは私自身の考えといたしましても、日本があまりにお米に依存しておるということで、さつき堤先生からも屎尿の処理ができていないじやないかというおしかりをちようだいいたしましたが、日本人はお米をあまりに食べます関係上、その屎尿の量が非常に多くなると、私は信じておるのでございます。これは確かでございます。たとえば外国人でございますれば、よそに行つている間絶対にお手洗いを拝借いたしません。日本人はそれをするのはどこから来るのかと、私考えておりましたが、結局やはりこれは主食の及ぼすところであろうと、私は結論を自分で出しておるのでございますが、そういう関係で食糧の改善、すなわちその結果におきまする屎尿の問題にも、私は大いに影響して来ると思います。いろいろな意味合いにおきまして、ぜひ国民としてことしは力を入れて、人造米ということもございますが、駒場の方の栄養学校の校長先生のお話を聞きますと、どうしてもパン食はいやだ、米でなければならぬという人には、人造米で満足してもらう、そして若い世代には、パン食を普及すべきであるということを懸命に力説していらつしやるのでございます。私もそういうことは確かに今やらなければならぬ、それで各党が超党的にこの問題をお取上げいただいておりますことには、厚生省としても満腔の感謝をいたしておりまして、厚生省におきましてもその用意があるということを申し上げておきます。
  78. 岡良一

    岡委員 私どもとすれば、環境衛生部あたりは、のみやはえや糞尿始末もさることながら、やはり本質的にはこういう問題を取上げて、生活保護法の適用というふうなことではなく、もつと積極的に、建設的な新しい国民生活を築く大きな中心となる企画の部門ともなり、執行の部門ともなるくらいの形のものは、機構的にどうしても必要である、そうなればそういう目的を持つた生活局ぐらいを持つて環境衛生部を含めた形で、大いにこの問題ととつ組んで行くということは、厚生省の使命というよりも、国の大きな仕事と私は思うのです。そういう点で、格段にこの点を認識を新たにし、また努力をお願いしたいと思います。  それから厚生年金法の改正についてお願いしたいのですが、時間もありませんので、この点は久下さんとは多少個人的にもお話合いをいたした機会もありましたが、簡単でありますから、なおこの際委員会としてはつきりさしておきたい点がありますので、二、三点お尋ねしておきたい。昭和二十八年十二月九日付の日本経済新聞に、厚生年金法の改正という大見出しで、厚生省の具体案まとまる、八日の定例会見で記者団の質問に答え山県厚相が明かにした当局側の構想とは次のようなものである、こういう前書きをもつて、標準報酬の改訂、保険料の給付内容の改訂、支給開始年齢の引上げ、保険給付国庫負担分の改訂、脱退手当金、保険料率、被保険者期間の改訂などという具体的細目にわたつての発表がありますが、このように報道されたごとく、当局側の構想はこのように数字の上に明らかになつたものであり、こういうものとして山県厚生大臣は、記者団会見において御発表になつたものであるかどうか、厚生年金法については、われわれも数次にわたつて当局の方針を承つておりますので、重大関心事でありますから、この点をお伺いしたい。
  79. 久下勝次

    ○久下説明員 山県厚生大臣が、記者団会見におきまして、記者団の質問に答えて若干の内容を話したことは事実であります。ただ新聞によりまして内容等が異なつておりますように、大臣が話をしました内容を必らずしもそれぞれが正確に伝えておるものとは考えておらないのでございます。  なお大臣も十分御承知の上であり、私どもとも毎日のようにお話合いをいたしておるのでありますが、政府の案としてはまだ細目的な決定を見ておりません現状でございます。そこでただ各重要な項目につきましての厚生省としての考え方がある程度きまつておりまするが、細目の点につきましてはなお今計算をいたしておるような状況でございます。大臣が記者団の質問に対して答えましたのは、おそらくはそれと前後いたしまして、社会保障制度審議会で非公式に大綱の説明をしてほしいという御要望がかねてからございましたので、その辺との符節を合わすような意味でお出しになつたのではないかと私は推察いたしておるのでございます。そういう事情でございまして、今お尋ね通り——お尋ねのそのままではございません。大体の大筋は各新聞か伝えておる通りでございますが、いろいろ数字などあげております点につきましては、大分まだ間違いがございます。これらの点の細部につきましては、ただいままだ一般に公表する段階に至つておりませんことを御了承願いたいと思います。
  80. 岡良一

    岡委員 しかしそうだとすると、私もちよつと納得できないのは、これは保険局長もよく御存じのはずだと思いますが、この年金制度の改革整備については、社会保障制度審議会の当面の課題として過去二箇年の間十数回も委員会を開いて検討しておる。このときには当然厚生年金法の改正が予定されておつたので、厚生年金法の改正方針なりとも承つて、これを社会保障制度審議会の年金の改革整備に関する方針の勧告の中に十分取入れたいという希望を持つておつたことは、これは委員長を通じて厚生省当局にもお伝えをしてあつたことなのであります。今のお話によれば、厚生年金法の改正についての大臣の記者団会見における発表なるものは、社会保障制度審議会が年金法の改革整備に手をつけておる、そのことと符節を合するというふうな意図をもつてされたというふうなお話でありまするが、これは何も符節を合致していたさるべきものではなく、保障制度審議会に、この厚生年金法の改正についての具体的な数字ではなくても、せめて御方針なりとも私の方に直接お伝えをいただくべきが、保障制度審議会と厚生省といういわば兄弟分の仲でありまするし、私どもの方からもその意思表示をしておるので、当然そのようにお手配があつてしかるべきものではないかと思う。大臣がもし審議会が年金の整備改革に手をつけておるからこの際というので、審議会に何らの構想をお示しになることなく、新聞紙にこれを発表されるということでは、非常にその取扱い上私どもとしては筋が通らない、こう思うわけなんですが、その点は局長はどう思われましようか。
  81. 久下勝次

    ○久下説明員 私が申し上げましたのは、社会保障制度審議会が一昨日第一委員会をお開きになるということはかねてからきまつておりました。それがしかも年金制度に関する勧告の最終的な集まりになるであろうということも、かねてから承つておつたのでございす。一方前々から、ただいまお話のように、厚生省におきましても昨年末年金制度の全面的な改正につきまして検討を進めておりましたのであります。ところが先ほど申し上げました通り、また社会保障制度審議会におきまして私が申し上げました通り、実は細部の点につきまして、政府としての最終的な案が今日ただいままだまとまつておりません実情でございます。但し大綱的な部分につきましては、少くとも厚生省では腹をきめておるというような段階に立ち至つておつたのでございます。そこで社会保障制度審議会の審議の状況が、先ほど申し上げたような段階に立ち至つていることを承知いたしておりまするし、また私どもの立場からも、御勧告をいただく以上は、私どもが昨年来検討しておりますその結論についても、一応説明の御聴取を願いたいということをお願いしたいきさつもありますので、それやこれや考えまして、最終の段階社会保障制度審議会の集まりに対して、なおかつ何らの御説明ができないようではたいへん申訳ないというふうに考えまして、実は数日前から政府部内におきまして、どの程度の御説明を申し上げるべきかということで打合せをしておつたわけでございます。その結果、各項目の大綱についてはお話をしてもいいであろうというような了解に達しましたので、大臣にもそのことのお話をし、了解を得まして、私は一昨日の社会保障制度審議会第一委員会におきまして御説明をいたしたような次第であります。その説明をいたすべき内容につきましては、両三日前に大臣と打合せを済みましたので、そういう関連上大臣が内容を承知しておつたので、記者団の質問にやむなくというような立場でお話なつたのではないかと私は推察いたしておるのでございます。このために社会保障制度審議会の御審議を左右するとか、あるいは妨害するとかいうような意図は毛頭ないのでございます。その辺若干私と大臣との事前の連絡に欠けるところはございましたが、実は大臣が記者団会見におきまして御説明をなさつたということは、大臣も最初からその意図で記者団会見をしたのではなく、全然別の意味で会見しておりましたうちに、だんだん最終段階に達しておるということをある程度記者団も空気を察知しておりましたので、その質問が出ました関係上御説明をしたという程度の軽い意味であると私了承しておるのでございます。
  82. 岡良一

    岡委員 それでは内容についてはいずれ改正案が出れば、当委員会中心となつて審議をいたすはずでありますから、この際内容に立ち入つたり、あるいはまた社会保障制度審議会の勧告案との関連性などはきようは問題外にいたしたいと思いますが、ここにちよつと聞捨てがたい点があるのです。これははたして厚生省意見であるのかどうか、大臣の定例会見における意向だつたのけどうか、保険局長も十分御存じだろうと思いますから、お尋ねしておきたいと思うのですが、標準報酬の改訂に関し、案としては二万六千円までも考えられたが、日経連の反対でここにおちついたものということが書いてある。日経連の反対によつてここにおちついたものである。こういうことを厚生行政をあずかる、しかも労働者の老後の生活保障の任に当るべき厚生大臣が公言したということは、私どもとしては聞き捨てがならないのであるが、一体日経連はどういう点で反対をしておつたのか、はたして日経連が反対をしたからここにおちついたのであるか、内部事情は局長も十分詳しいと思うので、この点ひとつ巨細に腹を割つてぶちまけていただきたい。
  83. 久下勝次

    ○久下説明員 ただいまの新聞発表につきましては、事後私も大臣に念を押してみたのでありますが、大臣はさような発言をいたしたことは絶対にないと言つておられます。ただ改正経過の実情についてのお尋ねでございますから、その点について申し上げてみたいと思いますが、御承知のように、昨年秋厚生省試案として発表いたしました年金保険法の改正案の中には、標準報酬の最高額を三万六千円にするという考えを外部に出したのであります。しかしながらその後私どもとしては、制度全般の改正につきまして、その当時の社会保険審議会の各界の御意見も出ておりますし、その後における、各方面の御意向も出ておりますので、問題の焦点を社会的にあるいは経済的にあまり急激な変化を来すことは、日本の現在の実情から思わしくないことであろうというような考え方のもとに、昨年の秋示しました三万六千円まで引上げるということは、あまりにも経済的な打撃を労使双方にかける結果になるように考えられますので、現在の考え方は、このわく相当な幅で縮少するということを考えておる次第でございます。このことは決して単に日経連の圧力とか何とかいうことはございません。ただ御参考に申し上げますると、日経連はその後厚生年金保険の改正の大綱につきまして所見を発表しておりまして、印刷物も各方面に配付いたしておるのですが、それによりますと、年金の給付は二千円の定額で出すべきであり、従つてそれに伴つて標準報酬のわくは現行通り三千円から八千円までにとどめるべきであるという意向を発表しておりますことは事実でございます。しかしながら私どもは事前に決して日経連との間に、最終的な案に到達するまでに打合せをいたした事実もございませんし、そのためにどうこうしたというあれはないのであります。
  84. 岡良一

    岡委員 最後に一点だけ申し上げておきたいのですが、こういうことでまず日経連の反対で、標準報酬の改訂はこの三万六千円という考え方が二万四千円程度に引下げることになつたのだとかいうことになると、あと保険料の給付内容の改訂、その他各項目別に全体として日経連の反対というものが、これはだれしも読む者の意識に来る。そうすると家族を含めて一千万を越えるその被保険者ないしその扶養家族にとつて、老後の重要な利害の問題であるところのものが、こういうふうな発表になつて来ておるということになつて、しかもその内容の数字に至つては、まだ発表しなかつたものである。新聞の発表には責任を持たないとおつしやればそれまでですが、しかし何といつてもそこまでのところはだれも知らないから、これを読めば厚生省考えはこれだとみんなが納得しちやうんです。生活保護法の危機の問題にしたつて、大新聞である朝日新聞が、補助打切りということを発表した、こうなれば三十万人の患者なりあるいは医者にしたつて、これは不払いになるのじやないかというようなことで一大恐慌を来す。これでは年末年始というような年の瀬を控えて物入りのかさむときに、こういう政治的に拙劣なことをやられるということは、特に厚生省のような微妙な国民生活にタッチしておる人はまことに聰明ではないと思う。どうかこういう点は十分お気づきをしていただきたいということをお願いして、私の質問を終ります。
  85. 小島徹三

    小島委員長 次に、再び生活保護問題に関する調査を進めることにいたします。堤ツルヨ君。
  86. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 議会が自然休会になつて年末になりますときに、いつも政府は、代議士諸公が郷里に帰つたすきをねらつて予算を組んでしまうくせがある。今年も決定は大みそかの三十一日だということを漏れ承つておる。なかなか巧妙な策でありまして、それにしばしば厚生省なんかはひつかかつてしまう今までの実績がある。そこで私は社会局長に、生活保護法について三点、あなたの方で確かに予算が獲得できるかどうかということをお聞きしておきたい。  一つは、今度冷害水害によるところの新たな生活保護法の対象ができたはずであります。これの予算は打切ることなく、二十九年度に継続して実行し得るかどうか。  それから第二に承りたいのは、この間柳田委員から御質問がありました住民の数に比例して生活保護法の適用者の割当をしておる現在の制度、これはたとえば鎌倉が東京の貧民窟と同じ割で割当られておる。関西でいえば芦屋の別荘地帯も野口の工場地帯も一緒である。こういうような点に対して、当然良識を働かせて、あらためてお考えになつて予算を御要求になると、私は厚生省を信頼しておるのですが、そういうふうにお考えになつておるかどうか。  それからもう一つは、等級の問題であります。御存じのように地域給は多くの矛盾があつて、非常な陳情にあつて、この一月一日から改められるのであります。一級地、二級地、三級地の等級差によるところの不平というものは非常に大きい。これは今日の社会情勢にマッチしないことは、地域給の例が物語るごとく、生活保護の場合もこれは並行して考えられなければならない問題でありますが、これについていつそのこと等級差をなくしてしまうような躍進的なお考えを持たれなければならないような世論であると私は思うのでありますが、これに対して改正をも含めて予算の獲得をお考えになつておるかどうか、この三点を御答弁願いたい。
  87. 安田巌

    ○安田説明員 第一点の冷水害の予算を明年組むかということでございますが、これは御承知のように本年七億ばかり組んであります。冷水害の起きましたためにふえた生活保護というものがそのまま二十九年度に全部持ち越されるとは考えられぬのでありまして、やはりその間に立ち上る方もたくさんある。そういうことも考慮に入れまして予算は要求いたしますけれども、しかし本年の冷水害を受けたために生活保護を受けた人員を全部はじき出しまして、それだけのものを明年度予算に要求するというようなやり方ではないのであります。それから第二の人口割がけしからぬというお話でありますが、予算では実はそういうことは考えていないのでありまして、予算は見積りでございますので、今までの実績を見まして、それに人口がどれだけふえるだろうかという程度のものを考えておるわけです。今のお話はおそらく平衡交付金の問題じやないか、つまり生活保護費の二割を府県や市が負担いたしますその場合の財源としての平衡交付金の問題でございます。これは元は被保護者の数で計算をいたしておつたわけであります。しかし平衡交付金は御承知のように非常に漠然とした性格のものでございますし、それを人口割にいたしましても、生活保護の割にいたしましても、それほど大局には影響がないというような観点から、自治庁の方でそういうふうに改めたわけでございます。私どもそういう説明を聞きますと、なるほどそんなものだろうというような点もございますので、先生のおつしやるようにすぐにそれが非常に財政上響くというほどの問題ではないのじやないかという気持もいたしております。  それから第三の地域差の問題でございますが、これは現在御承知のように五つにわかれておりまして、その上に特別地域が加わつておる。私どもの実態調査などをいたしました結果によりますと、農山村の水準よりはどうしても大きい都市の生活水準というのが高くかかるわけです。都市の方がはつきり足りないというのが出ている。そうして農山村の方に行きますと、場合によりますと今の水準でも現金収入その他の方面から考えますると、村の中では割にいいというのが出て来るわけです。昨年実は東京、大阪等を特別地域にしたわけでございますが、現在の地域給のわけ方が今のところではまあまあ考え得るいい方法じやないかと思つておりますが、なお御質問の点もございますので、研究いたしてみたいと思います。
  88. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 それで今度の生活保護の改正点なり、それから二十九年度あらためて考慮すべき点の中にそれらの点を入れておいでにならない局長の頭というものは、大体こちらでわかつた。それで冷水害によるところの生活保護法の対象というものは、あなたの今のお口ぶりによると、立ち上れる者もあるのだからしぼれるだけしぼつて、そうして七億を厚生省の手柄としてできるだけ減らさなければいかぬというようなお気持があるのじやないかと思う。この気持が、いつも私が申します通り、地方に参りますと非常にみじめな結末になつて、要保護者が打切られておるような例が非常に多いのであります。で、どれだけの額を御要求になつておるか、立ち上れる率というものをどれくらいに見ておいでになるかというようなことにつきましてもう少し承りたいのですが、もしわからなければあとから係官から私の方に出していただきたい。  もう一つは、あなたがおつしやいます富裕市町村と、それから貧乏でやりくりに困つて生活保護者をたくさんかかえておるような貧乏市町村などへ行きましたときに、私たちが視察をして、市町村長から受ける陳情の中で非常に問題になつておるのはこの点です。たとえば函館であるとか、貧乏な要生活保護者を一ぱいかかえておる京都府の舞鶴であるとか、私たちの町の滋賀県八日市というようなものも日本一貧乏町でありますが、そういうところに限つて非常に要保護者が多くて、市町村長の頭痛の種になつておる。もつとかまつてやらなければいけないのだけれども、鎌倉、芦屋並にしかもらつていないからどうにもならない。そうすると鎌倉、芦屋はそれが残つておる。そういうところの地ならしを私はそう大してやつていないと思う。不公平やら問題を起しておらないとお考えになることは局長認識不足だと思います。一応この点は要保護者をたくさんかかえておる貧乏市町村の例を少しおつかみになつて統計を出していただきたい。そうしてこれを富裕市町村と比べてどれだけの違いがあるかということをひとつ出していただきたい。それから等級の問題でありますけれども、私どもの選挙区の滋賀県などは、日本一のいなか県だといわれておりますけれども、要保護者がもらつておるところの山村、漁村の生活保護法のあの金が、農村の人たちほんとう生活水準と比べてみじめではないかといえば、決してそうではありません。都市といなかと差がつくのはあたりまえのことであるというお考えを持つておいでになるようでございますけれども、物によつては都市よりも高い物がいなかにはたくさんあるのであります。運賃をつけ加えてまで、いなかの人たちはどうしてもこれを求めなければならぬという場合も生れて来ております。都市と農村とに大きな開きがあると考えられておるということは、私は農山村県としては耐えがたいことであろうと思いますから、実地についてさらにひとつ御検討を願いたい。これらの点についてできるだけ予算を獲得していただきたいということをお願いしておきます。     —————————————
  89. 小島徹三

    小島委員長 次に参考人選定の件についてお諮りいたします。  国政調査承認になりました際の、医療金融に関する小委員会における調査関係上、参考人より意見を聴取する必要があると存じますが、この参考人選定の件に関しましては、すべて委員長に御一任願つておきたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  本日はこれをもつて散会いたします。    午後零時五十四分散会