○中川(源)
委員 関連して。今堤さんから詳しく
お尋ねがございましたが、数字の問題でございます。私は今御発表の数字はいつの数字か承りたいのです。先月の数字では申請の分が百九十一万、裁定は百八十五万、却可の分が一万四百、こういうふうに心得ております。それで未裁定が六万三千というように私は記憶しておるのであります。そういたしますと却可が一万四百からにわかに二万六千に一箇月たたぬうちにふえたのかどうかという問題と、それから私は、この戦争によ
つて、また大東亜戦争以前から調べますと、二百三万人請求権を持
つておると思うのです。恩給にいたしましても、
援護法による請求権を持
つておると思いますが、十二万人の人が請求をしておらぬのです。なぜ請求していないかという問題でございますが、これは、あなたの方はこの病気では該当いたしませんから取扱
つてもだめですからというので、最初から受付られないのが
相当ある。それから病気の種類もいろいろ取扱うところによ
つて違いまして、たとえば精神病です。しかし精神病でも爆弾が炸裂して頭がへんにな
つて、そうして精神分裂によ
つて精神病に
なつた。これは戦争によ
つてなつたものです。こんなものは当然該当すべきものであると思うのでございます。また自殺者——これは一律に自殺者と申しましても、戦争に負けて生きがいがない、責任を感じて腹をかき
切つて死んだ人もあります。刺し違うてお互いに死んで行こうじやないか。敵のたまに撃たれて死ぬよりもお互いに死んで行こう、たまがなく
なつたから刺し違えようという悲壮な決意を持
つてなくな
つている人もあります。いろいろ自分の責任上間違いを起して部下をたくさん殺したためにピストル自殺した人もあります。そういう責任を感じて死んだ人を、すべて自殺者として扱
つて、弔慰金も何も出さないのはどうか。また逃げまわ
つていて帰つた人が、十二年以上にな
つているからというので恩給をもらう人がたくさんある。いろいろ不公平がたくさんある。いやしくも軍服を着せてもら
つて出された者は、たとえば肺結核でも、出ましたときには甲種合格のりつぱな方で出て行つた。いまだか
つて肺病に
なつたことのない方が、あるいは南方とか湿地のひどいところに参りまして、そして肺病にうつ
つて帰
つて来る。そしてその病気が重いからあなたは家で養生しなさいというので、家に帰
つてから半年、三月でなくな
つておる。これは自分の家でなくな
つておりますからもうあきらめております。しかしこれは戦争によ
つてわずらつた病気である、こういうものは当然取扱うべきものであると思うのです。さつき中山先生のおつしやつたように、これは末端の取扱いが親切であるかいなかという点に非常にかか
つて参ります。もう頭から取扱
つておらぬということがある。先ほど中野先生が言われましたように、海軍のは大体不親切です。いまだにほつたらかしてあるのがたくさんございます。私は非常に心外にたえぬものがありますが、今ここで発表いたすことを見合せますけれども、どうぞひとつ役人の
方々も親切に取扱
つてやろうという
考えを持
つていただいておるのでございますから、それがひとりみなに届きますように——病気も証明書などをつけまして、すべて該当者とな
つて要求すべきものは要求するという
考えを役人の
方々は持
つてお
つていただいておるのでございますから、それをひとつ実際において末端の方で取扱いができますようにお願いしたい。何分戦歿者の家庭の方では、どうして死んだやらどこで死んだやら詳しくはわからぬのです。
政府の御報告をまつより
方法がないものが多うございます。またさつきのような青森からわざわざ三回も来られるような力のある人ならよろしゆうございますが、年老いたお姿さんとか子供とかいう家族が多うございますので、役所からあなたの方は却下だと言われれば、却下もやむを得ない、もうだめである、こう信じておる者が多いのです。却下という分を見ましても、これは脳溢血であるから当然あなたは却下である、肺結核であるから却下である、これでは気の毒でございます。どうぞひとつ却下のものをもう一ぺん
検討していただきたい。却下は一箇年以内に請求しなかつたら請求権はなくなります。まだ申請していないものは七年間の請求権はありますが、却下の分は一箇年以内に請求しないと請求権はなくなるというわけでございますが、そんなことを知らない人が多いのです。却下された分をやむを得ないというので捨てておく人が多うございますので、もう一度却下の分を再
検討していただきたいと思うのでございます。