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鈴木(俊)
政府委員 ただいま大村委員からのお話でございますが、御
指摘のございましたように、
政府といたしましては、
民法上の
住所も、また
公職選挙法上の
住所も、あるいは地方自治法上の
住所も、これを通じて
一つのものというふうな
根本の
考え方を持
つている点は従来とかわらないのであります。ただ、その
住所を、
選挙法の
関係において、
推定をいたすという
一つの方法を今回とろうということでございます。これは、多数の
学生あるいは保安官、警備官につきまして
選挙法上の
原則は、職権調査によりましてその真実を発見をいたして、
住所をきめ、名簿に登録するということでございますが、しかしながら、多くのケースにおきましては、引続き三箇月以来
修学のため
同一の市町村の区域内に
居住しておる、こういう事実がございまするならば、これは
民法上の
生活の
本拠ということにもなる、そういう場合が最も大多数のケースであるという前提に立ちまして、
推定規定を設けたわけであります。従いまして、この
原則から申しますならば、これをくつがえすに足るような反証、あるいは職権調査によりましてそれとま
つたく違うような客観的事実が発見された場合においては、これはもちろん四項の注意
規定もございまするが、当然
住所は留学地にないということになり、
推定規定の適用を受けないことになるのでございますが、そうでない限りは、一応他の顕著なる客観的事実がなければ、たとえば
選挙管理委員会が調査カードを配付いたしまして、その結果、所要の
事項を記入してもらうようにな
つております者につきまして、特別のしさいがなく、引続き三箇月以来その地に
修学のため
居住しておるという事実を報告して参りまするならば、それに基いてこの
推定規定によ
つて一応
推定するという実際上の
手続をとろうということでございます。この
選挙管理委員会といたしましては、もちろん職権による調査はできるのでございますが、今申し上げましたような
程度の職権による調査をいたしまして名簿に登録するということは、この第二項の
規定の適用の結果、
法律上も許される、こういうことになるわけであります。ただ、これが裁判上の実際の問題になりまして、八〇%、九〇%のケースがかような第二項のような事例と思いますが、そうでないような事実が具体的の裁判の証拠において明らかになりましたならば、もちろんこの
推定の
規定はその場合にはくつがえされるということになるわけであります。
従つて今回の
改正をいたそうとする
趣旨は、
一つには
選挙管理委員会の名簿調製上の
手続を簡易にいたしますとともに、最近の
社会生活、ことに
学生の
生活あるいは保安官等の
生活の
実態から
考えまして三箇月以来一定の地に
居住しているという事実をある
程度重く見よう、こういう
実態を
考えておるわけであります。しかし、そのことは決して
生活の
本拠が
住所であるという
一般原則をくつがえすものではない。三箇月以来一定の地に
居住しておるということが、
生活の
本拠を今日の
社会生活において端的に表わす
一つの方法であり、それがことに
学生あるいは保安官、警備官については、かような
一般的な
推定規定を設けてもさしつかえないという
結論に立ち至りましたので、かような
改正案を提案いたした次第であります。