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1954-09-25 第19回国会 衆議院 建設委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十五日(土曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 内海 安吉君 理事 瀬戸山三男君    理事 佐藤虎次郎君 理事 志村 茂治君       逢澤  寛君   岡村利右衞門君       丹羽喬四郎君    堀川 恭平君       山田 彌一君    赤澤 正道君       村瀬 宣親君    三鍋 義三君       矢尾喜三郎君    山下 榮二君       只野直三郎君  委員外出席者         通商産業技官         (公益事業局         開発業務課長) 市浦  繁君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  澁江 操一君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 九月二十五日  委員西村力弥君及び佐竹新市君辞任につさ、そ  の補欠として田中稔男君及び矢尾喜三郎君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  第十二号台風及び第十四号台風による災害状況  に関する件ダム用地等公共工事用地取得に関す  る件     —————————————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  第十二号台風及び第十四号台風による災害状況について前会に引続き調査を進めます。     —————————————
  3. 久野忠治

    久野委員長 この際日程を追加してダム用地等公共工事用地取得に関する件につき調査を進めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  発言の申出があります。これを許します。内海安吉君。
  5. 内海安吉

    内海委員 ダム建設等補償問題につきましては、先般来しばしば当局折衝を重ねて来たのであります。河川に関する小委員会等においても、これが実際問題として三十二団体の代表人々意見も承つたような次第なのであります。ところが、御承知通り田子倉ダム補償問題が一たび世の中に公表せられて以来、すべてのダム建設に関連したる補償問題が、この田子倉ダム補償基準として、全国ダム建設がほとんど停止されてしまうような状態になつて、しかもこれが妥結の上に困難に次ぐ困難を重ねておるのであります。田子倉ダム補償問題の解決いかんということが、ひとしく全日本注視の的となつております。この解決方法について通産省がいろいろな面から折衝せられたやに承つておるのでありまするが、今日までの経過について一応御説明を願いたいと思うのであります。
  6. 市浦繁

    市浦説明員 ただいま内海委員からの御質問によりまして、田子倉ダム補償経過についてごく概略を御説明いたします。  田子倉ダム補償関係につきましては、日にちは忘れましたが、今春、福島県知事地元並びに電源開発株式会社平井田子倉建設所長との間をあつせんいたしまして、三者の話合いのもとにあつせん案を出したわけであります。これにつきましては、その間いろいろの事情もございましたが、田子倉建設所長としましては、電源開発株式会社本社の委託を受けて、ある程度一任されているというような形で、電源開発株式会社田子倉建設所長という資格で調印をしたというふうに言われておりますが、地元としましては地元賛成者代表、すなわち地元の約五十戸未満の水没者の中には一部絶対反対者がございます。従いましてその者は入つておりません賛成者代表福島県知事平井建設所長、この三者の話合いによりまして、福島県知事のあつせん案というものが出たわけであります。  ところで建設省当局並びに通産省としましても、その内容につきましていろいろ説明を聞き、検討を加えましたた。また電力会社本社としましてもその内容につきまして、単価数量につきまして詳しい調査をいたしました結果、本社の方からの意見としましては、このあつせん案はいれがたいという意思表示をしたわけであります。その前に、建設次官から通商産業次官あて、この田子倉補償につきましては補償要綱——これは昨年の四月に閣議了解の線できまりました要綱でございますが、その要綱にはなはだしく違つたものではないか。従つて合理的な要綱沿つた線妥結するような処置をしてもらいたいという意味通牒が来ておりました。その通牒に対する考慮もあつたと思われますが、電源開発会社本社としましては、福島県知事のあつせん案に対して、これはそのままのめないというような意見表示をしたわけであります。通産省としましても、この金額は別といたしまして、内容につきまして、数量の問題あるいは明細の内訳につきまして種々検討の結果、これは必ずしも基準の線に沿つていない点も見受けられるという非公式の意思表示もございまして、その後電源開発会社としましては一応これをたな上げして、さらに細部現地調査をいたしまして、その結果、もう少し具体的に合理的な結果に基いた補償を行いたいという意思表示をいたしまして、平島理事補償対策本部長というような形の部長にいたしまして現地に派遣し、本社からも相当の係官を派遣し、また現地で実際に当る臨時調査員というものをこれに加えまして、一番多いときには百五十人くらいの人数になつたというふうに聞いておりますが、先月の下旬にこの現地調査が全部終つたわけであります。その数量的な問題につきましては今会社本社で詳しく調べておりまして、集計その他もやつております。  一方福島県知事等も、この問題の早期解決を熱望する関係上いろいろあつせん案等も出しておられました。また地元賛成者側代表におきましても、事業としてはどうしてもダム工事をやらなくてはならないのだということについては、深く認識がございまして、ただこれは時間の問題であつて補償金額、特に条件がきまれば近き将来には当然開発しなくてはならないのだという認識をいたしておる関係上、一部の者は移転先用地買収、あるいは耕地の買収あるいは家屋の移転というものに対する準備をしておつたわけであります。そのために若干の資金が必要であるということで、電源開発株式会社補償によりまして、ある程度の金を地元融資を受けましてやつてつたのでございますが、あつせん解決が長引きます関係上、その融資が枯渇いたしまして、さらに追加融資がほしいというような希望が出て来たのであります。最近この関係話合いが済みまして、約二億円を目標をもつて福島県知事のあつせんにより、地元融資をしてやろうという話合いがついたわけであります。そのうち約一億円というものを、すでに地元の銀行から融資を受けまして、実際に金を使つてつたのでありまして、結局あと追加の一億円という金額が、さらに今後も移転先準備等に使われる金額になるわけであります。その条件としましては、工事の着手はしてもよろしい、細部補償条件については、地元としては福島県知事に一任するという線を出しております。また開発会社側県知事との折衝によつて最後的な単価その他をきめるという線が出ております。従いまして現在としましては、賛成者側の意向としましては工事をしてもよろしい。その補償細部単価その他の条件については、福島県知事に一任する、会社側としましては福島県知事となお現地調査の詳しい数量等折衝しまして、あらためて折衝して早くにきめるということで現在進行しております。但し、このうち約五名の絶対反対者がございまして、この反対者は、いろいろ調べてみますと、狂信的といいますか、信念的に反対しておるらしいのでございまして、とうてい普通の手段では説得さすことができない。従来福島県知事並びに会社側等が手を尽して説得いたしましたが、これが困難であるという状態でございまして、あるいは場合によつて土地収用法等法的手段によらざるを得ないのではないかというふうに考えられます。工事の遅延を防ぐ関係上、法的手段も並行して今すでにとつております。われわれとしましては、できるだけ法的手段によらないで、地元の各人の納得のもとにこの補償問題が解決することを望んでおりますけれども最後にやむを得ない場合には、土地収用法の適用によらなくてはならぬのではないかという場合も予想されると思います。現場の工事につきましては、補償問題に関係のないところにつきましてはある程度進めております。  ただ問題は、田子倉につきましては、村の共有地というものがございまして、これは全部落の共有地になつておりますので、たとい一名でも反対があれば、その共有地については手がつけられないというような事情がございますので、今回の二億円融資調印いたしましても、共有地関係がございますので、あまり実質的な工事は、今すぐ進めるというわけには参りませんが、大体今年の十一月くらいまでには、話合いをつけるか、あるいは法的手段を適用いたしまして工事の進捗をはかりたいと考えております。
  7. 内海安吉

    内海委員 建設省補償要綱として、閣議申し合わせ事項がこれだということを提示せられて、そうしてこれによつてこの問題の解決を進めてもらいたいという意思表示をされておつたにもかかわらず、通産省がいかなる考えをもつてこの申合せを受けるわけに行かないのか。絶対にこれをのむわけに行かないというような強い主張であつたとしたならば、相当つつ込んだあつせんなり奔走なりをすべきではないかと思うのですが、この閣議申合せ事項をのめないという一点張りでもつて、そうしてこれが妥結の方向に進めるというようなことは、これは通産省としてはどんなものかと考えられますが、この点どう思われますか。
  8. 市浦繁

    市浦説明員 先ほど申しましたのは、のめないと言つたのではないのでありまして、のめないと申しましたのは、現地知事建設所長地元賛成者と、これの問で調印しましたあつせん案が、これがのめないという意味でありまして、基準要綱に基くものがのめないというのではございません。この基準補償要綱につきましても、これは現在のところでは法的強制力というものがないのでありまして、これでなくては給付ができないというような性格は持つておらないのであります。これがこの要綱の最大の欠陥であると言われておりまして、これを補正するために、現在省といたしましては、これに法的な力を持たせるというような準備をいたしております。この田子倉の場合に、要綱で計算いたしましたものは、知事のあつせん案に比べまして、総額で約半分程度のものになるという線が一応出ましたので、この線につきましても、電源開発会社に、われわれの計算ではこうなるということは示してあります。しかしながら、これでやらなければ絶対にいかぬというような強制力というものは、現在この要綱にはございませんので、それを慫慂いたしております。しかしながら、絶対にこれでなくてはこの補償というものはいかぬのだということは、現在残念ながら言えないというところに、この問題の困難さが存在しているというわけでございます。
  9. 内海安吉

    内海委員 地元民との間に土地買収調印が行われた二億円の内払い云々ということがきまつたというのですが、この二億円の内払いについての内容を、もつとこまかく説明してもらいたい。
  10. 市浦繁

    市浦説明員 実は本日田子倉の問題が出るということがはつきりわかつておりますれば、資料を準備いたして参つたのですが、私の知つている限りでは、二億円というものは将来支払われる総金額内金であるというふうに言つておりまして、私の記憶では内訳というものはないのでありまして、ただ総額として支払われる全補償金額内金であるというふうに聞いております。この内訳というものは、おそらくないのではないかと考えられます。
  11. 内海安吉

    内海委員 それからもう一つこの際承つておきたい。その五名の絶対信念に基いてということをおつしやつておられたようですが、その五名が絶対にこの買収に応ずることはできないという。これに対して、最後には土地収用法で断行するという決心はついているのですか。
  12. 市浦繁

    市浦説明員 従来この問題につきましては、福島県知事が非常に熱心にあつせんされているという面もありまして、福島県等の御意見では、この問題では土地収用法の発動が必要であるということがいわれております。また会社側もその手続については、やはり並行して法的処置を適用するという線で準備を進めております。通産省としましては、これを土地収用にかけるとかなんとかいう処置は、現在のところはまだその段階ではないのではないかと考えております。但し、土地収用にかけるという考え方については、何ら反対しておりませんけれども希望といたしましては、できるだけ話合いで行けるところまで持つて行きまして、どうしてもそれがつかないという最後の線において初めて土地収用法処置が適用されるのだという考え方のもとに指導はしております。
  13. 逢澤寛

    逢澤委員 関連して。田子倉ダム補償のことについて、ただいま大体の意見はわかつたのですが、私は根本的のことについて、あるいは答弁ができないかと思いますが、一切の事務を管理しておられる方だから一応聞きたいと思う。ただいま話題になつた五人の人は絶対に反対だというような話があつた。これに対して強制的に収用法でも適用せねはならぬというような意見つた。その収用法を適用するという信念は、相当強いものを持つているかどうか。私ども考えているのは、こうした事業はいわゆる公益事業であつて従つて国家的見地から、しかしてその地方においても相当大多数の人がこれに協力してやらねばならぬということで、これは出発している。その場合に、ごく少数の人が、信念的にというようなお話があつたが、これでがんばるために事業が停滞するということに対して、こうした公益事業としての性格から考えて、そこに断固とした処置をとるべきである。それは、もとより所有権を侵すのだから、だれが見ても適正な補償をしなければいかぬが、それがためにこうした公共事業が非常に停滞するということは、これは国家的の大きな損失であるということを確認して、こういうような解決をはかるような処置をとつた実例があるかどうか。私どもが今までの経験から考えてみると、どうも少し手ぬるいというようなおそれがある。それは各官庁などの建前からみると、繰返すようだが、所有権に関する問題に軽々に手をつけるということ、これは考えものである。考えねばいかぬが、そこはよくその辺の事情を参酌して、そうして大多数の意見がこうであり、その事業性格公共性格を多分に含んでいるものに対して、ごく少数の人の意見を尊重する余り、いろいろ弊害がそこに出て来る。先ほどのお話質問の要旨も、私どもそこにあるのではないかと思う。そこでこれが影響するところ田子倉一箇所にとどまらず、全国のこうした企業体にまで影響して来るのだが、そういう点に対して、通産省は現在のお立場においてどのくらい決心を持つているか、また将来こういうような問題の解決にあたつて、何らかのお考え方があるかないかということをお伺いしておきたい。
  14. 市浦繁

    市浦説明員 ただいまの御意見は、まことに同感でございまして、私の方で電源開発の行政をやつております上において、補償問題のために非常に遅延するという面で困難を感じております。従来のやり方は、あくまで事業者地元補償者との間に話合いをつけて解決するという線を出しておりましたが、最近は、これだけにたよつてつたのでは、いたずらに工事が遅れて、また補償費も不当に高くなるというような心配が出て参りましたので、特に困る部面については法的措置をとつております。しかしながら実際の現在の土地収用法手続というものは、時間的に非常に長くかかりまして、これを待つてつたのでは、とうてい予定の工期に間に合わないという関係もございまして、事業者工事をあせるの余り、心ならずも不当とは思いながら解決をしてしまうという面もございました。また実際に法的処置準備をいたしますと、被補償者もその会社決心に押されまして急速に話がつくという実例も二、三ございまして、実際に収用法をかけたという例はほとんどないと思われますが、収用法をかける手続をしたために促進された例はたくさんございます。通産省としましては、この補償問題、これは電源開発のみに限らず、一般の治水、灌漑あるいは多目的ダムというような公共事業工事に非常に大きな影響を及ぼしますこともございまして、補償問題を解決するための臨時措置法案というようなものを実は準備いたしておるのであります。これは実は経済審議庁の方から、各省は一体この問題をどう考えるか、この際何か根本的な方策を立てなければ、この問題はますます困難を増すばかりで、一般公共事業あるいは公益事業の遂行上非常な支障を来すので、どういうものであるかという示唆を受けまして始めたのでございますが、建設省あるいは農林省におかれても同様な趣旨のもとに法的な準備をされているというふうに聞いております。従いまして、この法的の案というようなものも、近く審議庁が中心になつて各省意見を持ち寄つて、何らかのまとまつたものができはせぬかと期待しておるのでありますが、通産省としましては、別途新しい立法措置によつてこの問題を解決するのが最もいいのだという線で準備いたしております。
  15. 逢澤寛

    逢澤委員 ただいまお話になりましたように、土地収用法をかけるぞというところまで行くと解決しておるのが二、三あるという話です。そういうようなこともあるでしようが、また一つ、今お話の中にありましたように、土地を収用される、あるいはそこに事業を興して買収されるという被買収者の方から言うと、なるたけ高い値がいいということ、これは了承できるが、それが常識を逸脱した——これが十割とか二十割時価より高いというのはわかるが、それが五十割も七十割もということが出るらしい。ところが物価と同じように、そういうような事例が全国に一箇所でもできると、それがすぐどこにでも影響して来る。そうすると、全国的に大きなそうした公共企業公益事業に対して支障が起る。その場合、あなたの方ではこれに対していろいろの注意を与えたことがあるかないか。先ほどあなたのお言葉の中にあつたように、もし会社事業を急ぐがために、今まで固定しているいろいろの投資財やいろいろのことを考えると、むしろこの場合わずか一億や二億なら、高くても早くやつた方が、この一箇所に対しては利益だというような打算的な買収価格——今申し上げたようなむちやくちやな買収価格を出してやる。そうすると、その会社はただ一箇所で二億や三億の金で済むのだからそれでいい。しかし及ぼす影響は数十箇所、数百箇所にもなつて、その買収価格が非常なことになるおそれが出て来る。こういうような場合、今までの例においては、注意をしてそういうことはやつてはいかぬというような処置をとつたことがあるかないか、ちよつと参考のために聞かしていただきたい。   〔委員長退席瀬戸山委員長代理   着席〕
  16. 市浦繁

    市浦説明員 ただいま御質問通りでございまして、ごくわずかでございますが、非常に高い単価買収しておるという例が二、三ございます。ところが現在のこの補償につきましては、許可認可ということではございませんので、これをわれわれの方で一々しらみつぶしに調書を提出させない限りはわからないわけでございます。従いまして、電力会社がやつておりますようなごく一部の特殊なものにつきましては、そういうものがあつたということはあとでわかるような事情でございまして、すでに買収が終り、契約が締結され、金を支払つたあとであるというのが実情であります。従いまして、これを規制するためには、やはり許可あるいは認可制にしなければ、あらかじめ防げないというのが実情でありまして、今度の法的な改正もこの点に意を注いで、こういう不当な価格で、会社だけの都合でやるというようなことができないようにいたしております。しかしながら、電源開発会社がやつておりますような大規模なものについては、補償金額総額につきましても、またそれが電力単価に及ぼす影響が非常に大きい、しかも資金が全部国家資金によつてまかなわれておるという立場から、単価数量等についても詳しい調書を出させております。その都度通産省としていろいろ意見を申しておるのでございますが、何分補償要綱というものに法的な強制力がないために、監督指導の面でこれを持つて行くということ以上のことは現在の法律ではできない、縛り得ないというような実情であります。これもまた今度の新しい規則によつてできるように解決したいというように考えております。     —————————————
  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 第十二号台風及び第十四号台風による災害状況について、前会に引続き調査を進めます。志村君。
  18. 志村茂治

    志村委員 災害応急対策について、二点ばかりお尋ねしたいと思います。第十二号、第十四号台風災害に対する応急対策として、地方人たち災害地人々が、一刻も早くこの災害復旧に着手したいという希望はわかります。われわれも一刻も早くそうしたいというふうに考えでおる次第でありますが、実際を聞きますと、県からの災害についての申出も遅れており、また建設省なり、さらにその上に屋上屋を重ねて大蔵省の査定があるということになつて、その結果として復旧工事が遅れろというような状態考えられておるのでありますけれども、そういうような場合に、災害復旧工事の半分以上に達する市町村担当工事は、これは県が最終の責任者とするような簡単な方法考えられないものかどうかということを一点お尋ねしたい。  それからもう一つは、この査定の方式については、一つのきまつた形のものをとるようなお考えはないか、この点をお尋ねいたします。
  19. 米田正文

    米田説明員 応急対策としての措置は、実は事務的にいろいろこまかい内規がございまして、その御説明を一応しておきたいと思つておりますので、それもあとで申し上げたいと思いますが、さしあたり今のお話でございます市町村債を県にもまかせてやつたらどうかという御意見だと思います。これは、農林省は一部そういう方法をとることに今度はなりましたが、建設省としましては、その点いろいろ研究しましたが、現在のところまだ市町村災害というものが、市町村技術力という問題もありまして十分な計画設計が困難だという実情にありますので、まだ当分本省として査定をし、その設計指導して行く方が適当であろう。というのは、従来から問題になつているのは市町村債でございまして、監察なりあるいは会計検査院なりでいつも問題になりますのは、ほとんど最近は市町村債でございます。まだこの点は十分安心の行く程度にまでなつておりませんので、本省として査定をする方が現在としては適当だという考え方でやつております。いずれ市町村がそういう技術的にも十分な力を持つて安心の行ける程度になれば、われわれとしてはできるだけ簡素化したいという考え方はありますが、現状としてはやはり現状のまま、今まで通り建設省として査定をし、指導をして行く、こう考えております。  それから査定基準というお話でございましたが、実は査定基準には、これまたこまかい項目がずらりと掲示してありまして、査定方針というものがこまかい点まできまつております。しかし御承知のように災害の種類も非常に多いし、その程度も違うので、すべての場合を網羅するほどこまかい規定になつておりませんけれども、大体今までの実績でこまかい規定ができておりますので、その規定従つて査定もし、災害復旧計画も立てる方針でおります。実は先ほどちよつと申し上げましたが、災害応急工事という点についてちよつと御説明を申し上げますと、これは実は今年の七月十四日に各都道府県の知事に対して通知を出しておる趣旨のものですが、それは応急工事というものはこういう内容のものであるということを示しておるのであります。第一は、応急工事を建設大臣が承認をした場合には、これは応急工事として処置もするし、つなぎ融資もする。そういう場合は県から今でも連絡がございまして、こういう問題を応急工事でやりたいという連絡があれば、建設省として現地に出かけまして現地で打合せをすることになつております。それからその次は応急の仮工事でございます。昨日もちよつと質問がございましたが、本工事でなくて仮りの工事、たとえば谷合いの川に沿つてある道路が決壊した。その道路の復旧で、本復旧をするのには時間がかかる、とてもそれを待つておられない。さしあたり仮橋をかけて一応交通杜絶を再開しないと、奥地におる人たちに食糧その他の輸送もできないというような実情の場合に、仮橋、仮山道というようなものをつくる。これは災害として災害補助の対象にする。それから橋梁等でも、それが唯一の橋梁であつて、コンクリートである。そういうコンクリートの橋をまた復旧するにはまだ一年も二年もかかるという場合には、さしあたり仮橋をかけてやるというようなものも、これは応急仮工事として補助の対象にする。それから次は海岸の堤防の場合、あるいは河川の堤防の場合ですが、こういうものも災害を受けて、爾後海水が常時一日に二回も入つたり、あるいは河川の河水が破壊箇所から堤外に流れ出たりしておるようなところは、仮工事として認めるというような措置をすることになつております。これらがつなぎ資金融資の対象になるというふうになつております。昔は、応急工事というのは非常に厳格でございまして、これほどわくは広げておりませんでしたけれども、特に去年あたりの災害からわくを大分広げて応急工事がとれるようになつたのであります。そういうふうにしてそれに対するつなぎ融資をするのですが、これは今までは大蔵省が直接各県あるいは市町村折衝をしてつなぎ融資をいたしておりました。建設省はそれをごく一般的な面から側面から多少援助はしておりましたけれども、本来は大蔵省が直接やるのが筋になつておりますが、最近特に今年から、大蔵省もそういう内容査定が十分できないために、それぞれの各省内容査定私一ぺんやつてもらいたい。そうして各省を通じて大蔵省につなぎ融資の申入れをしてくれという約束が今年大蔵省とできまして、大蔵省に対して今各省を通じてやる手続になつております。もちろんわれわれの方は、関係のものについて大蔵省と今それの折衝をいたしておることは昨日申し上げた次第でございます。
  20. 志村茂治

    志村委員 もう一点お尋ねしたいのですが、それは最近におきまして災害が非常に大きいということからの思いつきであります。以前は、大正、昭和の時代は、改修費の方が応急費よりも上まわつてつたというようなことは、河川が割合に安定した状態にあつたのですが、その後軍事費が増加して、昭和十六年でしたか、あれから大体改修費と災害復旧費は同額程度なつた。その後は災害復旧費の方が大きくなつたということで、非常に不安定な河川状態なつたということは聞いておりますが、終戦後におきまして、われわれは非常に多くの災害復旧費というものを見ておるのですが、改修費と復旧費との割合が逆になつておるのではないかというふうに見られております。もしそれが軍事費なんかの影響で逆になつておるとすれば、今後ますます悲観しなければならない状態にあると思うのですが、日本のほんとうの治山治水対策を講ずるためには、建設省はどういうふうなお考えを持つておられるか、その点をひとつ……。
  21. 米田正文

    米田説明員 お話通り治水事業は明治の中葉から始まつておりまして、以前はそういう治水費の方が災害復旧費よりもずつと多額の予算を計上するというのが通例でございましたが、今のお話のように、戦争の初めごろからだんだんその傾向が逆になつて来て、もう戦争の苛烈なころは、まつたく逆になつて来たのでございます。要するに予防措置を全然しないで、災害を受けたところだけを復旧して行くという最小限の方法をとらざるを得なかつた。終戦後は、その傾向が終戦直後においてはやはりございましたが、だんだん一般の予防対策費としての治水費がふえて参りました。本年二十九年度の予算の例で申し上げますと、北海道を除きまして内地の災害復旧費とそれから一般治水費、その他予防対策費としてのものを全部合せますと大体半々になつて来ております。しかし今後の行き方としては、予防対策費が上まわつて何倍かになるというのがもちろん理想でございます。しかしこの戦争を中にはさみまして、特に戦争前国土保全の問題をほとんどやらなかつた期間の影響というものが今非常に現われて来ておりますので、早急にこの状態を脱して予防対策の時代に入りたいというのがわれわれの念願でございます。
  22. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 次は逢澤寛君。
  23. 逢澤寛

    逢澤委員 ちよつと河川局長にお伺いいたしたいのですが、昨日お話の中に、十二号台風については今集まつておるものだけを集計しておるというお言葉があつたので、おそらくこれは——局地的なことを申し上げるが、岡山県などの報告はまだ来ていないのだと思いますが、実は私ども地元におつたからよくわかるのだが、局地的の風の玉が来たと言つた。局地的被害は相当なものがあつたことを私三、四箇所見て来ております。あるいは笹ケ瀬川の堤防なんか決壊して、六百町歩もあの美田に潮が入つてしまつた。大分大きな騒動が起きておる。六百町歩も潮が入つて、一粒もとれぬというようなところがある。それから吉井川の下流では、吉井川の下流の決壊は幸いにして免れたのたか、決壊直前のところまで行つておる。特にこれは小澤大臣がおつたら、私は小澤大臣にも敬意を表そうと思つたのだが、幸いに防水のことが伝えられて、あの大暴風のとき人堤をもつて防風をして、堤防決壊を免れた。もしそこが決壊したとすれば、千二、三百町歩のところがやられる、それを人垣で、水防団の二百人くらいの人がだんごになつて、その間に土俵をもつてせいで、決壊をとめた、こういうような事態が出ておりますので、おそらくこれから後に相当岡山県下の十二号台風による被害は出て来ると思いますので、そのつもりでひとつ計画をやつていただきたいと思います。これが一点。  それからいま一つは、私も現地をよく見て、市長によく話をしておきましたが、それは今の決壊の寸前になつておるところ、二百人からの水防団が出て行つて、それが人垣になつて決壊せんとする堤防をせきとめておいて、その人垣によつてとめておる間に土俵をつくつて中を直した。これは結局先般建設省全国各府県に指令して、水防対策に対しては万全を期してくれといつたことの何べん目の実現か知らぬが、その実現をやつております。いずれまた河川局からもごらんになると思いますが、それらの実態もあることでありますから、この機会に私はそれらの特殊の努力によつて難を免れたというような場合に対しては、いずれ表彰規定どもあることと思いますが、そのことをやつていただいて、今後の対策にして、もつて水防の完璧を期したいと思うことについて、一言だけ申し上げておきます。
  24. 瀬戸山三男

  25. 内海安吉

    内海委員 この機会に、ダム用地など公共用地取得の方法について、先ほど逢沢委員質問に対して、通産当局の答弁によりますと、経済審議庁の下相談によつて、すでに通産省あるいはその他の関係官庁等においてこれが立法措置を講じておるという答弁であつたようであります。河川法の河川に関する小委員会におきましても、先般来この問題についていろいろ質疑などもあり、希望どもつたようでありますが、その後建設省においては、この立法についてどこまで審議をお進めになつておるか。また来るべき国会に提出する意図があるかどうか。この点、ひとつ確固たる方針をこの機会に示しておかれることが最も必要ではないか。ちようどこの田子倉ダムの問題に端を発して、土地収用法などをやらなければならぬというような強硬な考え通産省あたりでは持つておられるようでありますが、土地収用法というようなまつたく民主的でなく、旧法時代の法律によつてやるというようなことは万々避くべきものだと思う。この際建設省当局において、せつかく立法を急がれておるならば、来国会あたりにぜひとも提出してもらいたいという考えを持つておるのでありますが、この点に対して納得の行く御説明を願つておきたいと思います。
  26. 澁江操一

    ○澁江説明員 この公共事業のための用地取得並びにこれに関連します補償措置につきましては、前々から本委員会で、ことに河川委員会の御審議によりまして、いろいろ御意見を拝聴しておつたわけでありますが、前々会でございましたか、これに対する一応要綱案なるものをお示し申し上げて建設省考え方を申し上げたわけでございます。その後これをさらに立法措置という具体的な方法においていかなる手段をとるべきかということを検討いたしまして、一案をつくりまして、これによつて次の国会にはぜひ提案をいたしたいというふうな考え方で進んでおります。この問題について利害関係を持つておる官庁としては通産省あり、あるいは経済審議庁ありというわけでありますが、しかしいずれにいたしましても、これは電源開発の起業のための一つの便法としてどうしてもやりたいという考え方が基礎になつております。しかし、事は電源開発だけに極限したものではございませんで、これは公共事業に直接つながる問題でございます。従つて建設省としてはその公共事業を円滑に遂行して行く、国の政策を執行する建前から、どうしてもこれは電源開発問題のみならず、公共事業一般に通ずる問題として、この問題の解決をはかりたいという考え方に立つております。  もう一つは、土地収用法のことにつきましては、これまたこの委員会でごやつかいになつたわけでありますが、御承知のように土地収用法自体が起業者の利益と、それから補償をされる側、つまり土地所有者、犠牲者の側との両方の調整をはかるという建前を根本精神として立法せられたわけでありまして、やはりこの考え方というものは、ただいま問題になつておるダム補償についても、同様に適用せられるわけでありますから、この精神を敷衍することによつて問題の解決をはかるべきであるという考え方が基礎になつております。そういう考え方に立ちまして、建設省としてはぜひ立法措置をとりたい、かように考えております。  それではどういう内容立法措置考えているかという点を簡単に申し上げますと、大体三段に考えております。一つは、収用法上の手続なりあるいはこれの補償審査に当る機構の点についての改正でございます。御承知のように現在の収用手続につきましては、かなり時間がかかるということがやはり事業を執行する側からいいますと、いろいろ問題にされておりまして、どうしてもせつかくの法律ではあるけれども、これは裁判手続と同じようにあまり時間がかかるのでは、非常に事急を要する事業執行の建前からいうと困るということがございます。そういう点からいいまして、手続その他についても、できるだけ、関係権利者の意見を反映するという点については手続を省略するわけには参りませんけれども、その他の部面において簡素化し得る余地もまだございます。そういう点を簡素化したいというのが一つでございます。  それからもう一つは、補償の審査に当る機関でございますが、これは御承知のように地方単位にできております。しかし、大規模な電源開発あるいは大規模なダムの開発等になりますと、これは地方的な利害関係だけで処理することが、はたして適当かどうかという点に問題がございます。地方委員会は、委員会自体の性格としては、必ずしもそういう立場に立ちませんけれども、えてして地方の利害関係というものは、委員会自体の審査の上にも反映するということが必ずしもないとは言えない、こういうことがございますので、この補償審査にあたりましては、中央委員会というものを設けまして、地方委員会の補償審査の第二審的な業務を扱わせる、こういう権限を持たせることにしたい。  それからもう一つは、この地方委員会自体についても、委員の構成についてあまり地方の局限された利害にこだわるような委員の構成は好ましくないのでありまして、そういう点につきまして、建設大臣の承認を受けた上での委員構成をはかる方法をとつたらばどうか。こういうことは収用法の改正手続、それから補償の審査に当ります機構についての改正点でございます。  第二は、損失補償内容でございます。損失補償内容についての改正をいたしたいという考え方、これは現在の法規の上では、やはり収用法の中に損失補償一つ規定が抽象的には立てられております。しかし現在の補償の実態というのは、この抽象的な規定の運用だけでは不十分でございまして、従つてこれを敷衍いたしました例の電源開発に伴う損失補償基準要綱というものを、昨年政府部内としては閣議決定をいたしました。建設省公共事業についても、同様の措置を訓令でとるごとにいたしたのでありますが、これらを法律化したい、法律によつて確認された基準にいたしまして、これをぜひあらゆる場合の公共事業用地取得の場合に適用することにいたしたい、こういう考え方でございます。損失補償の、ことに問題になります点は、換地の取得についての収用権を持たせる換地現物補償の主義は、現在の土地収用法でも認められておりますけれども、しかしその換地の取得については、また一つの問題にぶつかるわけであります。この換地の取得についても、やはり一定の場合に収用権を持たせるということにいたしたいと考えております。あくまでこの現物補償主義をもう少し徹底させようという考え方の改正でございます。  それからもう一つは、慰藉料とかあるいは特別の生業補償あるいは少数残存者補償といつたようなことが、現実に補償の際に行われております。これは通常受ける損失の補償ということだけでは必ずしも解決しておりません。こういう点はやはり法律にはつきりした根拠を明示することが必要であるというふうに考えておりますので、これらについての規定を整備いたしたいと考えております。  なお国、公共団体が用地取得をする場合と、ただいま申し上げました損失補償基準との関係との関係でありますが、これは一般用地取得、国、公共団体が用地取得する場合においては、これはやはりお互いの税金を使つて用地を確保するということでありますから、法外な高い用地取得の補償を払うということは、これ自体は許されないないわけでありまして、それがために補償基準も必要になつて参るわけでありますが、これと他の地方公共団体等が、やはり用地を取得する場合に、この基準をいかに当てはめるか。これは実は強化したいわけでありますが、これらの取扱いにつきましては、会計法上との関係もございますので、それらとの関係をにらみ合せながら、これの立法措置をはかりたいというふうに考えております、なおこれにつきましては、会計法規あるいは地方財政法規、これらとの関係においての立法的な検討をいたす余地があろうかと思いますが、そういう点を考えております。  それから第三の部門といたしましては、被補償者の生活再建の援助に関する規定を、実は立法化したいということであります。ただいま申し上げましたように、補償措置についての足らざる点を補う、あるいは補償基準を立てるということを一方には考えておりますが、しかしこの被補償者の一部につきましては、転業をやむなくせられるという事態が当然出て参ります。ことに電源開発、大規模なダムの開発等につきましては、当然そういう結果が出て来ると思いますが、それらの場合におきましては、生業資金融資方法、これをぜひ確立する必要があるかと考えております。さような意味におきまして生業資金の貸付、これを経理いたすための特別会計の設定、かようなことを規定いたしまして、この融資措置とあわせて営農の指導、あるいは先ほど申し上げました現物補償一つの建前として土地の造成をする必要がある場合が出て参ります。さような土地造成をするための資金の貸付、こういつたようなことを、この生業資金の貸付のための援助方式とあわせまして規定することにいたしております。なおこれは融資のほかに、国有地、国有財産あるいは国有林野、こういつたようなものを優先的にさような被補償者の生活再建援助のために貸与する、あるいは払下げをする、こういつたようなことをあわせて規定をいたすべきではないかというふうに考えております。  以上が大体の将来改正をいたしたいと考えております立法上の内容でございます。  大体かような関係検討いたしておりますが、なお今後の問題としましては、先ほど通産省からも御意見が出たようでございますが、経済審議庁との連絡あるいはこの問題に深い関係を持つておられる治山、治水、あるいは当委員会との十分なる御審議御連絡をいただきまして、この立法化を至急進めて参りたい、かように考えております。
  27. 内海安吉

    内海委員 ただいまの御説明で満足でございます。ぜひとも来るべき国会に率先して建設省より提出していただきたいことを希望いたします。
  28. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会