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1954-08-11 第19回国会 衆議院 建設委員会 第39号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年八月十一日(水曜日) 午前十時四十七分
開議
出席委員
委員長
久野
忠治君
理事
内海 安吉君
理事
佐藤虎次郎
君
理事
志村 茂治君 逢澤 寛君
岡村利右衞門
君
瀬戸山三男
君
高木
松吉
君 堀川 恭平君 松崎 朝治君 山田 彌一君
五十嵐吉藏
君 西村
力弥
君 三鍋 義三君 安平 鹿一君
細野三千雄
君 山下 榮二君
只野直三郎
君
出席国務大臣
建 設 大 臣
小澤佐重喜
君
委員外
の
出席者
防衛庁課長
(
経理局工務課
長) 大森
頼雄
君
大蔵事務官
(
主計官
) 鹿野 義夫君
通商産業事務官
(
公益事業局次
長) 小出 榮一君
建設政務次官
荒舩清十郎
君
建設事務次官
稻浦
鹿藏
君
建設事務官
(
大臣官房長
) 石破 二朗君
建設事務官
(
計画局長
) 澁江 操一君
建設事務官
(
住宅局長
)
師岡健四郎
君 建 設 技 官 (
河川局長
) 米田 正文君 建 設 技 官 (
道路局長
) 富樫 凱一君 専 門 員 西畑 正倫君 専 門 員
田中
義一君
—————————————
六月三日
委員井手以誠君辞任
につき、その
補欠
として和
田博雄
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月四日
委員高木松吉
君
辞任
につき、その
補欠
として、
山本友一
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員山本友一
君
辞任
につき、その
補欠
して
高木
松吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月七日
委員瀬戸山三男
君、
高木松吉
君及び
田中角榮
君
辞任
につき、その
補欠
として
小坂善太郎
君、水
田三喜男
君及び
益谷秀次
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十三日
委員小坂善太郎
君、
益谷秀次
君及び
水田三喜男
君
辞任
につき、その
補欠
として
瀬戸山三男
君、
田中角榮
君及び
高木松吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 七月二十二日
委員和田博雄
君
辞任
につき、その
補欠
として井
手以誠君
が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十七日
委員細野三千雄
君
辞任
につき、その
補欠
として
木下郁
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 八月七日
委員木下郁
君
辞任
につき、その
補欠
として
細野
三千雄
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十一日
委員井手以誠君辞任
につき、その
補欠
として西
村力弥
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
六月三日
国土計画
、
地方計画
、
都市計画
、
件宅
、建築、
道路
、
河川
、
調達庁
の業務並びに
運営
に関する 件 の
閉会
中審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
参考人招致
に関する件
派遣委員
より
調査報告聴取
道路
に関する件
—————————————
久野忠治
1
○
久野委員長
これより
会議
を開きます。
会議
を開く前に
小澤建設大臣
よりご
あいさつ
がございます。
小澤佐重喜
2
○
小澤国務大臣
すでに皆さん御
承知
の
通り
でございまするが、去る六月十六日突然
建設大臣
を拝命いたしたのであります。御
承知
のように、私は
建設行政
に対しては、ほんとうの
しろうと
でございまして、目下熱心に研究中でございます。御
承知
の
通り
のきわめて粗雑な人間でございますので、何分よろしくお願いいたします。
久野忠治
3
○
久野委員長
続いて
荒舩新政務次官
よりご
あいさつ
がございます。
荒舩清十郎
4
○
荒舩説明員
今回
建設政務次官
を拝命いたしまして、
浅学短才
、しかも
建設行政
に対しましては、まことに
しろうと
でございまして、足らざる点が多いと考えておりますので、どうぞよろしく御
指導
、御鞭撻をお願い申し上げます。
久野忠治
5
○
久野委員長
次に、本
委員会
におきましては、
閉会
中、北海道、
東北
、四国及び九州の各
地方
へ
委員
を派遣いたして、
河川
、
道路
、
住宅
の
災害復旧状況
の
調査
をいたしたのでありますが、ただいまより
派遣委員
からその
調査
の
報告
を聴取いたすことといたします。
東北班
、
岡村利右衛門
君。
岡村利右衞門
6
○
岡村委員
今般、去る六月二十三日より七日間にわたり、
衆議院規則
第五十五条に基きまして、
宮城
、岩手、秋田、山形、福島の各県下における
建設省関係公共事業
を
調査
いたし、特に
北上川水系
及び
只見川水系
における
水没地
補償
問題に重点を置いて
調査
いたして参りました。ここにその大要を御報告申し上げ、あわせて
関係当局
の所見と対策を承りたいと存じておるのであります。 なお本
調査
に際しましては、
専門員室
より
井上調査員
、
建設省開発課
より
細田技官
が同行いたしたのであります。 まず
北上川水系
について申し上げます。
昭和
二十八年二月六日
閣議決定
となりました
北上川特定地域総合開発計画
は、
北上川本支流
の
洪水防禦対策
並びにこれに関連して行われる
各種資源
の
有機的利用開発
をなさんとするものでありますが、なかんずくその重点がその
洪水防禦対策
にあることは申すまでもないのであります。本川は明治十三年その
改修
に着手されて以来、
下流部
すなわち
宮城
県側はすでにその大部分を
完成
、現在その維持に重点が置かれて来たのでありますが、近時における異常なる
出水量
の増加は、その
改修計画
の再検討を余儀なくせしめるに至り、
計画洪水流量
を、
昭和
二十二年九月における供水を基準として
弧弾寺
において毎秒九千立方メートルに変更するに
至つたの
であります。しかしながら、すでに毎秒六千立方メートルの
計画
にて、
下流部
の
改修
のほとんどを
完成
している今日、単に
工費
の点のみならず、ことにその流域がすでに
開発
され土地たであるだけに、これに根本的な改訂を加えることはとうてい困難なことであり、さらには
一関下流
より
宮城県境
に致る約十八キロの間に存在する
狭窄部
を流下し得る
最大流量
は、毎秒六千三百方立メートルがその限度でありますため、
上流部
における
堰堤
並びに
遊水池
の設置により、
下流
に対する
洪水
の
調節
をはかるべく
計画
を改訂するに
至つたの
であります。すなわち、これがため
上流部
において、
北上川本流
に四十四田、雫石川に御所、猿ケ石川に
田瀬
、和賀川に湯田、胆沢川に石渕の各
多目的堰堤
を築造することにより毎秒二千立方メートルを、さらに
一関付近舞川
に
遊水池
を設置することにより毎秒七百立方メートルを、計毎秒二千七百立方メートルの
調節
を行わんとするのであります。 一方旧北上川については、
計画洪水流量
を石巻湾に注ぐ
河口部
において毎秒二千立方メートルとし、このため迫川においては
上流花山
に
多目的堰堤
を築造するほか、
遊水池
の
設置等
により、
下流
における
計画洪水流量
を毎秒一千立方メートルとすることとし、また
江合川
においては
鳴子
に
多目的堰堤
を築造し、これにより毎秒七百立方メートルを
調節
するとともに、さらに毎秒三百立方メートルを鳴瀬川に分流すべく
計画
いたしておるのであります。 以上の各
堰堤
のうち、
石渕堰堤
は昨年度において総
工費
約十三億円余をもつて既に
完成
いたし、四十四田及び御所の
堰堤
は未
着工
でありますが、四十四田は三十三年度より約十三億円、御は三十五
所年度
より約二十一億円をもつておのおの
着工
の予定でありまして、目下、
田瀬
、湯田、
鳴子
、
花山
の各
堰堤
が
工事
中であります。 以下
工事
中の各
堰堤
につきまして、その概要を御説明申上げることといたします。 最初に、
田瀬堰堤
は戦時中、
発電用堰堤
として
計画
され、総
工費
一千二百万円をもつて
昭和
十六年七月に
着工
、
堰堤本体
全容積の約一〇パーセントに当る約四万
平方立法
メートルの
コンクリート
を施工したのでありますが、戦争苛烈となるに及び、同十九年八月、
工事中止
のやむなきに至つたものでありますが、その後
カザリン
、
アイオン
の両台風を初め年々の水禍にかんが八み、本
工事再開
の
緊急性
が取上げられるに至り、これを
多目的堰堤
として堤高を五メートルかさ上げして八十一・五メートルとし、
昭和
二十五年十月より
工事再開
の
運びとなつたものであります
。その後
発電所
二箇所を含む
水没
の
補償
問題に難航を重ねる等のこともあ
つたの
でありますが、これもようやく解決を見、すでに
堰堤本体
の
工事
も完了して、今や
貯水開始
の時期を待つのみの
状態
であります。 本
堰堤
による
計画洪水調節量
は毎秒二千二百
立方メールト
に及び、この
調節能力
は
北上川水系
各
堰堤
中最も大なるものであります。またその
最大発電力
は二万七千
キロワツト
でありまして、
新規開田
二千七百
町歩
、旧
田用水補給
三千六百
町歩
に及ぶ
灌漑能力
とともに、その効果はまことに大なるものがあるのであります。しかして本
堰堤築造
に要した総
工費
は約三十一億円余でありますが、戦前においてすでに約一〇%の
コンクリート
を施行いたしておつたこと、及び当時の
附帯設備
がそのまま活用せられたこと等の
好条件
のため、比較的経済的にでき上つたものであります。 次に
湯田堰堤
についてでありますが、本
堰堤
は
北上川支川和賀川
に
建設
せられるものでありまして、同川の
計画洪水量
毎秒二千二百立方メートルに対し毎秒千八百立方メートルを
調節
することにより、すでに
完成
せる石渕、
目下施工
中の
田瀬
、
調査
中の四十四田、御所の各
堰堤
と相まつて、
舞川遊水池上流点
において
計画洪水量
を毎秒九千立方メートルより七千立方メートルに減少せしめるに不可欠のものであるのみならず、その
最大発電力
五万四千
キロワツト
及び
農業利水
による
増産見込額
約一億円余等、その効果もはなはだ大なるものがあるのであります。しかして本
工事
は、本現場より比較的近い距離にある
猿ヶ石川田瀬堰堤
の竣工に伴い、それらの
機械設備等
をそのまま利用できる等の利点を有し、
昭和
三十二年度における
完成
をその目途といたしておるのでありますが、これが総
工費
約五十七億円余に対し、現在までに、二十八年度において三千六百万円、二十九年度において四千二百万円、計七千八百万円が支出されたにすぎず、いまだその緒についたばかりの
状態
であります。従いまして、本
堰堤築造
による
水没地域
約六百六十五
町歩
内における鉄道約十七キロ、国道約十六キロのつけかえ、及び、銅山を主とする
鉱山等
に対する
補償額推定
約七十億円を初め、
水没戸数
四百八十戸、
人口役
二千六百人余に対する
補償等
、今後に解決すべき幾多の問題が残されているのでありますが、本
地域
に対しましては、
堰堤建設
に対する岩手県
当局
の
地元民
への啓蒙がよくなされており、往々にして他の
水没地域
において見られるがごとき空気はまつたく感ぜられないのであります。しかしながら本
地域住民
の大半は半農半
鉱山従業
をその生計といたしておりますだけに、単に
土地住居
の
移転
による生活への
影響
のみならず、
鉱山水没
による今後の生計の
問題等
、それら
住民
によりましては相当深刻な問題が残されているのでありまして、従来のいわゆる
金銭補償
のみならず、さらに一歩を進めてこれら
住民
の
再起更生
に対の国庫の積極的なる措置を特に要望いたしておるのであります。一方
村当局
といたしましては、
村内残地
の
開発
による
牧畜等
により、これら
水没住民
の更生を一応は考慮いたしておるのではありますが、
村有公共建物
の
水没
のみにても九十六棟に及び、さらには
鉱山資源
、
山林資源
の
水没等
による
村財政収入
の激減は、とうてい
村当局
として、それらの措置を講ずることを不可能ならしめるのみならず、今後の
村財政
の
運営自体
が憂慮すべき事態に陥らんとしている
状態
でありまして、
水没地域自治体
を
自体
に対する何らかの国庫の援助の道を鶴首いたしているのであります。 次に、
鳴子堰堤
について申し上げます。本
堰堤
は
北上川水系江合川
に築造されるものでありまして、すでに
昭和
十六年
宮城
県
当局
により、
江合川河水統制事業
として
計画
立案されたものでありますが、
カザリン
、
アイオン
両台風による
江合川改修計画改訂
の三珠として、
建設省直轄
のもとに、
昭和
二十七年度より
着工
の
運びとなつたものであります
。本
堰堤
の
建設
は、一応
江合川総合開発
を
目的
とするものではありますが、その主
目的
はあくまでも
洪水調節
にあり、副次的に
灌漑及び発電
をなさんとするものであります。すなわち、
上流鳴子
町地内に高さ九十三・五メートルの
堰堤
を築造し、総
貯水量
五千万立方メートルの
貯水池
を設けることによりまして、新
江合川分流点
における
計画流量
毎秒二千立方メートルに
調節
するとともに、
最大発電量
二万
キロワツト
、及び
下流
の沃野一万
町歩
の灌漑に利せんとするものであります。 本
堰堤地点
は、両岸屹立し、ほぼ
V字形
の断面は、堅硬なる
花嵐岩
を露呈し、ダムサイトとしてきわめて
好条件
を有しておりますため、
建設省直轄工事
といたしましては、わが国初めての
アーチ式コンクリート堰堤
の形式が採用されているのでありますが、これにより、従来の
重力式コンクリート堰堤
に比し、
コンクリート量
のみにても約四五%の節約がなされるのでありまして、これが成果は各方面の注目いたしておるところであります。なお本
堰堤
は総
工費
約三十億円をもつて
昭和
三十二年度における
完成
を目途といたしておるのでありまして、現在まで
工事費
にして十一億四千万円、約三八%が進捗いたしているものであります。 最後に
花山堰堤
について申し上げます。本
堰堤
は、
北上川水系迫川支川一迫川
に築造せられるものでありまして、同川の
計画洪水流量
毎秒千四百四十立方メートル中、毎秒九百八十立方メートルを
調節
するとともに、
最大発電力
一万四千
キロワツト
を初め、水道、
灌漑水用等
、その
利用範囲
はきわめて広いものがあるのであります。本
堰堤
は、
昭和
二十七年に
着工
、総
工費
約十四億円をもつて三十一年度における
完成
を目途といたし、現在までに約六億円余をもつて
工事
を進めて参つているのでありますが、
補償
問題の解決がつかず、
堰堤本体等
、いわゆる本
工事
の着手に困難を来している
状況
であります。すなわち本
堰堤
による
水没家屋
は百六十五戸に及ぶのでありますが、これらは役場、学校を初めとし、
花山
村の
中心部
を占める部分でありまして、これら全部の
村外移転
は、
花山
村
自体
の存続を危うくするものでありますため、
宮城
県
当局
といたしましても、百六十五戸中約三分の一の
村外移転
はやむを得ないといたしましても、残り三分の二に対しましては
同村内荻
ノ
原地区
に
代替地
を造成、ここに
本村中心部
を
移転
する等、これが対策と
地元民
との折衝に最大の努力が払われたのであります。その結果、
地元民
との間に、
移転補償
が完全に終了すまでは
本体工事
には一切着手しないこと、但し、
附帯工事
についてはその限りでないとの協定に達するに至り、その後二十八戸の
移転
も終了し、本問題も順調に軌道に乗つたと思われたのでありますが、たまたま
田子倉地区
の
補償
に関する
福島県知事
の
勧告
が公表されるに及び、
地元民
は再び硬化を示し、
代表者
が
田子倉地区
の視察におもむく等、これが再折衝はまつたく暗礁に乗り上げるに至つているのであります。しかしながら、
当局
といたしましては、
工事
の
進捗等
の点も考慮いたし、とりあえず
機械設備等
のすえつけのみにても二十九年度内において完了すべく、
地元民
との間に了解を得んとして努力いたしている
状況
であります。 次に、
只見川
田子倉地区
の
補償
問題について申し上げます。
只見川
はその豊富なる
流量
に加え、地形、
地質とも
に
水力開発
に適し、標高千四百メートルにもる尾瀬原
貯水池
以下の落差を余すところなく利用することにより、その
包蔵水力
は
全国
の約一割、百九十万
キロワツト
に及ぶ
本邦唯一無二
の
水力包蔵河川
であります。しかして、これが
開発方式
につきましては、
只見川本流
に沿つて
開発
する
本流案
と、
奥只見地点
より信濃川に流域変更する
分水案
とが対立し、その論争六箇年に及んだのでありますが、これらの経緯並びに
開発計画
の詳細につきましては、
委員各位
におかれてはすでに御熟知のことでありますので、この際重複を避け、今回の
調査
の主
目的
でありました
田子倉地区
に対する
補償
問題の経緯について申し述べることといたします。 同
地点
の用地問題につきましては、自発が同
地点
の
調査
に着手しようとしたときに端を発し、当時
流量調査
、
堰堤地点
の
地質調査
にすら
地元民
の猛烈なる反対を受け、その後の
調査
といたしましては、
下流
において
流量調査
のみしか行い得ない
状態
で、ありまして、戦後OCIの
調査
を基礎として、辛うじて
開発地点
の
地質調査
らしきものを作成いたし、この程度の資料が同
地点開発
のための最も貴重なものとなつているほどであります。従いまして、現在に至るまで同
地区
に対する測量を初め、
工事
に必要なる具体的な
実施調査
は、ことごとく
部落民
の拒否にあい、同
地点
に対する
計画
は、ほとんど
図上計画
の域を脱していない
状態
であります。 一方、同
地点
の
開発
は、
昭和
二十七年十月、東北電力より
電源開発株式会社
に引継がれることとなり、
開発会社
としては同
地点開発
の
重要性
にかんがみ、これら用地問題を解決すべく
交渉
を開始したのでありますが、以下
福島県知事
の
勧告
に至るまでの経過を順を追つて申し述べることといたします。 すなわち、
昭和
二十八年九月、
会社側
は
部落民
に対し、田反
当り
二十七万円、畑反
当り
二十一万六千円、
山林
・原野反
当り
一万八千円、
家屋移転補償坪当り
二万上五千円の
補償基準
を提示して了承を求めたのでありますが、これに対し、翌十月
部落民
より提示された
補償要求単価
は、次のごときものであ
つたの
であります。すなわち、田反
当り
七十五万円、畑反
当り
五十二万旧、
山林
・原野反
当り
二十万円、
家屋移転補償坪当り
六万円、これに加うるに
慰藉料
一
世帯当り
一千万円、別に家族一人につき五十万円という厖大なるものであ
つたの
であります。以上の
補償単価
の要求を受けた
会社側
といたしましては、さらに
交渉
を継続し、
昭和
二十九年一月に至り、
会社側
の許容し得る
単価
といたしまして、田反
当り
三十万円、畑反
当り
二十四万円、
山林
・原野反
当り
一万五千円、
家屋移転補償坪当り
三万五千円、
慰藉料
一戸
当り
四十万円を提示したのでありますが、翌二月、
部落共有地所有者
二十九名から、
部落有志
として、再び次のことき
補償単価
が提示されたのであります。すなわち田反
当り
五十万円、畑反
当り
四十万円、
山林
反
当り
四万円、原野反
当り
三万円、
家屋移転補償坪当り
五万円、
慰藉料
一戸
当り
百万円別に一人
当り
五万円、さらに、わらび、
ぜんまい等
の
天恵物補償
一戸
当り
百万円であ
つたの
であります。以上の
交渉経過
に見られるごとく、両者間の主張する
単価
には相当の開きがあり、
交渉
の妥結はとうてい望み得ない
状態
とな
つたの
でありますが、その間に
会社側用地交渉責任者
が病に倒れる等のこともあり、三月末
部落民
は遂に
福島県知事
に対し、調定の
申立て
を行うに
至つたの
であります。その結果四月中旬に至り、
福島県知事
の
勧告書
が提示されるに
至つたの
でありますが、その
単価
及び
数量等
につきましては、お手元にお配りいたしました
参考資料
を御参照願いたいのであります。 これに対し
会社側
といたしましては、
一般公共事業
と
企業会社
の行う場合において、その
単価
にはおのずから多少の差はあるにせよ、
勧告書
に基く内容は、従来の他の
開発地点
の例に比し、著しく高額であるのみならず、その
数量
につきましても、
部落
への立入りが拒否されているため、十分なる
調査
が行われていない現在、かくのごとき
補償単価
並びに
数量
に基いて算出された
補償総額
をそのまま了承することには無理があるとし、現地に
推進本部
を設置し、
補償単価
並びに
数量
について
実態調査
を行うべく、
部落民
との折衡に努力いたしておるのであります。 以上
田子倉地区
の
補償
問題につきまして、経過的にその
状況
を御説明申し上げたのでありますが、何といたしましても
補償
の対象となるべき財産の
数量
あるいは近傍における
類似財産
の
取引価格等
についての十分なる
調査
が行われていない現状におきましては、これが実態を正確に把握するには、なお相当の困難があろうと思われるのであります。しかしながら、本問題の他
地区
に及ぼす
影響
はまことに甚大なるものがあるのでありまして、これが公正にして早急なる解決はまさに国家的な急務といわざるを得ないのであります。 以上をもちまして概況の説明を終るのでありますが、次に今回の
調査
にあたり、
東北班
といたしましての所見を申し述べ、
関係当局
より、それぞれ明確なる御答弁を得たいと存ずるのであります。 まず
通産省当局
にお尋ねいたしたいのでありますが、
田子倉地区
の
補償
に関する
福島県知事
の
勧告
が公表されて以来、
全国
各
水没地点住民
は著しく動揺するところとなり、
田子倉地区
の
補償
を見きわめた上で、これと同等以上の
補償
でない限り、絶対に
交渉
に応じないという強硬な態度が各所に見られるようになりましたことは、すでに御
承知
のことと思うのであります。しかして
田子倉地区
の
補償
が
福島知事
の
勧告
のごとく決定するといたしますれば、
全国
において現在実施中の
堰堤
二十八箇
地点
に及ぼす
影響
は実に甚大なるものがあり、その
補償額
の増高は
建設省当局
の推定によりますと、おおむね百五十億円と計算されているのであります。従いまして、
通産省当局
におかれても、これら
全国
に及ぼす
影響
を考慮され、昨年四月十四日
閣議了解
となりました
電源開発
に伴う
水没
その他による
損失補償要綱
が、たとい
法的拘束力
のないものとはいえ、
電源開発株式会社
はその九〇%以上を
政府出資
に仰いでいるいわば
国策会社
にもひとしいものでありまするがゆえに、あくまで本要綱に根拠を置いた公正なる
補償
を行うよう、御指導あらんことを希望いたしまして、以下二、三の点につきまして
当局
の御意向を伺いたいと思うのであります。 第一点といたしましては、
福島県知事
の
勧告書
によりますと、
山林
の買収につきまして、
水没地
以外の残地約千二百
町歩
をも、
水没
するものと同様に買収することになつている点であります。すなわち
地元側
といたしましては、一、これらの
山林
は
部落
の
共有林
で、
部落民
の
共同管理
を行うことにより、初めてその
経済価値
が維持されるものであつて、他
地区
に
移転
した後、
管理人
を雇用してまで採算のとれるほど組織的に植林されたものではない。二、
従つて
この
地区
より
移転
すること
自体
が、すでにそれらの
山林
をして
水没山林
と同じくその価値を消滅せしめることであるとの理由で、これら
水没地
以外の
山林
の買収をも主張いたしているのでありますが、一面これを
山林買収
に対する
単価
の点より見ますとき、それほど採算のとれにくい
山林
に対し、
天恵特補償
を別として、反
当り
三万二千円の他
地区
に比し、著しく高額の
補償単価
を要求いたしておるのでありまして、この間の矛盾の了解に苦しむのであります。しかしながら、一方
会社側
といたしましては、これらの主張に対し、一応
水源涵養林
という名目でこれら
水没地
以外の
山林
をも買収せんとする意向があるやに仄聞いたすのでありますが、この点に関し、
通産省当局
の御見解並びに今後の
指導方針
をお伺いいたしたいのであります。 第二点といたしましては、
公共施設
の
補償
につきましても、各個人に行うこととなつている点であります。これに対する
地元側
の主張といたしましては、当
地区
における
公共施設
については、県道を初め国あるいは
県方面
よりの援助を受けたものはほとんどなく、
部落民
各自がお互いに資金を出し合つて設けたものであり、当然各自が
補償
を受けるべきであると称しているので、あります。しかしながら、
公共施設
に、つきましては、それぞれ
代替施設
の設置により
補償
すれば足りるべき性質のものではないかと思うのであります。 さらに第三点といたしましては、
生業変更補償
についてであります。すでに
休業補償
一戸
当り
二十四万円が計上されているにもかかわらず、さらに
生業変更補償
十万円が計上されているのでありますが、これらはまつたく同様の性質のものであり、重複するものではないかと考えられるのであります。 以上三点につきましては、さきに
閣議了解
となりました
電源開発
に伴う
水没
その他による
損失補償要綱
に基く
補償基準
に徴しましても、著しく相違するものと思われるのでありますが、これらに対する
通産省当局
の御見解並びに今後の御処置について承りたいのであります。 次に、公共事業の施行に伴う
補償
の公正化に関する立法措置について申し述べたいと思うのであります。現在公共事業を施行するにあたり、各省所管によりまして、土地及び物件等に対する買収並びに
補償
がそれぞれ異なつた取扱い方法を行つているのでありますが、これがため現地におきましてはその事業遂行上重大なる障害となつているのであります。特に目下重要国策として推進途上にある
電源開発
に伴う
水没
補償
ないしは
建設
省所管にかかわる
多目的堰堤
建設
に伴う
水没
補償
につきましては、それぞれ昨年四月
閣議了解
に基く
補償
要綱及び本年五月
建設
省訓令第九号の
補償基準
に
従つて
補償
を行うよう指示されているのでありますが、これらはいずれも
法的拘束力
がなきため、その運営の実状は危殆に瀕している
状態
であります。従いまして、これが対策といたしまして、紛争時における審判ないし調停機関の
設置等
を含む総合統一的な
補償
法的なものの立法化の必要性が痛感されるのであります。但し、この際考慮いたさねばならぬ点は、現在実施中の
堰堤
水没
補償
は、概して物件
補償
の思想に基いているのであります。しかるに、一方被
補償
者の
水没
前における生活の立地条件は、単に現行の
補償基準
等において規定されております物件的な
補償
対象以外の自然的、社会的な立地条件に依存している場合が多いのであります。換言いたしますならば、
補償
は究極において
補償
後における生活
補償
であるべきでありまするがゆえに、生活
補償
的項目をも考慮いたし、適正な
補償
を実施し得るよう措置すべきであると思うのであります。 以上の点につきましては、特に通産、
建設
同素局よりの御見解を伺いたいのであります。 最後に最上川についてでありますが、本川は日本三急流
河川
の一つであり、その流域面積六千五百平方キロメートル余は、山形県の面積九千三百平方キロメートル余の約七割を占めるものでありまして、同県に与える有形、無形の
影響
は実に大なるものがあるのであります。本川の
改修
につきましては上中
下流
の三区に分割いたし、
上流部
及び
下流部
に対しては直轄施工を行つております。すなわち
下流部
清川村より河口に至る間の
改修
につきましては、
昭和
二十八年度をもつてほとんどその
改修
を終り、今後若干未竣工箇所の整備と災害復旧
工事
並びに維持修繕等、年額約一億円程度の経営費を必要としているのでありますが、
上流部
すなわち白川合流点より大石田町間につきましては、
昭和
八年度より二十八年度までに総計五億三千万円余をもつて
改修
が行われたにもかかわらず、その進捗率はいまだ四八・五%にすぎず、本年度事業費一億四千万円余程度をもつてしては、これが
改修
完了にはなおほど遠いものがあるのであります。 一方中流部すなわち大石田町より清川村に至る間につきましては、従来まつたくの原始
河川
のままに放置せられ、
洪水
氾濫をほしいままにしている結果、その被害は甚大なるものがあり、
地元民
といたしましては、多年にわたり本
地区
の
改修
方を熱望いたしているのであります。しかして県
当局
といたしましても、
昭和
二十七年度より三箇年
計画
により、本
地区
の
調査
を実施いたし、現在その結果の集計を急いでいる過程にありまして、ほぼ
改修
全体
計画
の立案も可能の
状態
となつている模様であります。しかしながら何といたしましても、本
地区
の
改修
は、直轄施工にて行われている上、
下流部
の
改修
と密接不可分の関係にあるものであり、上、
下流部
と並行して当然国直轄にて早急に
計画
し施工する必要があると思われるのであります。これに対しましての
建設省当局
の今後の御方針を承りまして、今回の
調査
報告にかえる次第であります。
久野忠治
7
○
久野委員長
次に四国班内海安吉君。
内海安吉
8
○内海
委員
私はきわめて簡単に御
報告
申し上げますけれども、幸い本日は
建設
省も通産省も担当官がお見えに
なつ
ておりますから、率直な御答弁をお願いいたします。 さきにわれわれ
委員
は、国政
調査
の委嘱を受けまして、村瀬、
細野
、三鍋、内海四
委員
とさらに
井上調査員
が加わりまして、七月の五日に東京を出発して十三日まで九日間、和歌山並びに四国
地方
を視察して参
つたの
であります。和歌山県及び四国
地方
を一巡いたしましたが、主として同
地方
における災害復旧、地盤沈下及び総合
開発
の
実施
状況
等を
調査
して参りました。この機会においてその
調査
の概要を御
報告
申し上げ、あわせて
建設
当局
の責任ある御答弁を得たいと存ずるものでございます。 まず第一に和歌山県でありますが、御
承知
の
通り
、本県は昨年の七月、山間部を中心といたしまして県下一帯を襲つた四百ミリ以上の豪雨によりまして、未曽有の大被害を受けたのであります。特に有田川、日高川及び貴志川筋の災害は甚大でありまして凄惨をきわめたのであります。今回は特に被害の多かつた有田川筋の
災害復旧状況
を視察して参
つたの
でありますが、本
河川
の災害復旧
工事
は、その後着々進捗いたしまして、
地元民
の異常な協力と熱意によりまして、
工事
の出来高が六月末現在におきまして実に八〇%以上に達しているということは、
全国
の災害復旧から見ましても、一つの記録であるとい
つて
もよろしいと思うのでございます。 しかるに、本年の六月、紀北を中心とした和歌山県一帯にわたる大水害がまた起
つて
来たのでありまして、最高の降雨量は三百八ミリ、和歌山市においても二百ミリに達するという豪雨であ
つたの
であります。これがために各
河川
の氾濫、増水、堤防の決壊など莫大なる被害をこうむ
つたの
であります。その被害の総額は、実に全県を通じまして、六十六億円と称されております。このうち土木関係の被害を見ますと、十四億円と唱えられておるのであります。かくのごとく連年打続く災害のために、和歌山県及び市町村は財政的に極度に疲弊しておるのでありまして、これが応急
対策
並びに原状回復につきましては、緊急関係
方面
の
対策
を要望されておるのでありまして、特にこの問題については、小沢
建設大臣
もはるばるこの和歌山県においでになりまして、実地
調査
されて来たのでありまするから、およそ
建設
省におきましても、それぞれ
対策
を練
つて
おられることと存ずるのでございます。 以下数項をあげまして、
建設
御
当局
の御意見を承りたいと思うのであります。 第一は、公共土木施設災害復旧事業費
国庫
負担法適用
基準
の引上げをどういうように考えておられるか、これは
河川
局にお尋ねいたします。 第二点は、災害復旧に関する仮
工事
の
国庫
負担を全面的に認めることはどうであろうか。これも多年の問題と
なつ
て、ひとり和歌山県だけでなく、これまた日本
全国
の問題として、目下研発されておる問題でありますが、この機会において、この問題に対して責任ある御答弁をお願いしたいと存ずるのであります。 第三は、
国庫
負担金のすみやかなる概算交付、いわば災害が起りましたならば、ただちにこれに対して、ちようど電話なりあるいは電報によ
つて
この情報を得ましたならば、とりあえずその予備金なり何なりから
国庫
において負担するところの金額をすみやかに交付するというような手を打つことについて何かお考えがあるかどうか、この点も重大な問題でありまするから、この際ぜひとも責任ある御答弁を願
つて
おきたい。 第四は、大幅な起債を許すごと。今日は国家財政から見ましても、すみやかに予備金をも
つて
負担するとか、あるいは大蔵省の財政
当局
の手によ
つて
どうこうというようなこともなかなか困難である。こういう応急な場合においては、すみやかに起債の面において何とか考慮することができないだろうか。この点についても、やはり同じくそれぞれの担当官から御説明を願いたいと思うのであります。 第五は、人夫賃の適正なる評価であります。最近労働賃金の変化というものは、実に著しい。
東北
やあるいは関東あるいは中国、四国
地方
の
状況
を見ましても、一律ではなかなか間に合わぬことが多いのでございまして、これらの
地方
の事情あるいは経済の関係から見まして、適正なる人夫賃というものを定めることが必要ではないか。これらに対して便宜の処置を講ずる方法はないか、この点についても責任ある御答弁を願いたいのであります。 これらはいずれも
地方
財政の窮迫に起因するところの要望でありますが、さらにまた公営
住宅
の使用範囲の緩和等についても切実なる要望があ
つたの
であります。これらの使用範囲の緩和という問題はなかなかこれは容易な問題ではありません。もちろん
住宅
問題は
住宅
法の定めるところによ
つて
、それぞれ基本法があ
つて
や
つて
おるのでありまするから、これらの問題を情実によ
つて
運営
することはなかなか困難でありましようけれども、しかしながらときに例外があ
つて
もよろしいと思うのであります。これらの点について、いわゆるこの公営
住宅
の使用範囲について何かいい策がありましたならば、行政的の手段方法としてとお考えがあつたならば、この機会に御説明を願いたいと思うのであります。 以上は和歌山県下の災害復旧に関する問題でありますが、これが根本的な再検討を要することと存ずるのでありまして、この六点について政府
当局
の根本的の
対策
、意見その他について、この機会において御説明を願いたいと思うのであります。 なお四国
地方
の関係につきましては、愛媛県出身の村瀬君は、われわれ同僚
委員
でありまして、この方も一緒に
調査
されたのでありますので、この方の上京を待
つて
追
つて
この意見もまとめて御
報告
申し上げたいと思うのでありますが、本日は和歌山県を切り離して御
報告
申し上げ、かつ政府
当局
の御意見を承りたいのでございます。 以上簡単ではありますが、私の和歌山県における
報告
はこれをも
つて
終りといたします。 なおこの機会に、ちようど
岡村委員
の
報告
の中には、一にも、二にも北上川を中心としたるところの御質問、及び
只見川
を中心としたるところの御質問がありましたが、その要点は、帰するところ
補償
問題の
基準
法がはつきりできていない。現在のいわゆる行政機関がまちくに
なつ
ている点もあるのでありますけれども、われわれの信頼する小澤大臣におかれては、すでに国土省というようなお考えもあるやに聞いておるのでございまして、この機会において何かこの
補償
問題に対して立法方法についてお考えがありましたならば、この機会に大臣の
御所
見を承りたい。同時に、こういうような問題について、何か立法のお考えがあつたならばさらに聞いておきたいと思うのでございますが、ぜひともひとつこの機会に大臣のお考えを御表明願いたいと存ずるのでございます。 以上でございます。
久野忠治
9
○
久野委員長
次に北海道班堀川恭平君。
堀川恭平
10
○堀川
委員
今般去る六月二十六日より八日間にわたり、
衆議院規則
第五十五条に基きまして、北海道
地方
における今次災害を
重点
として
調査
いたして参りましたので、この際
関係当局
の
御所
見と
対策
を承りたいと存ずるのでございます。 まず大蔵
当局
にお尋ねいたしたいのでありますが、御
承知
のごとく北海道における特殊事情といたしまして、十月末よりの積雪寒冷期におきましては、土木
工事
の施行は困難をきわめるのみならず、その寒冷期の終る三、四月におきましては、例年のごとく融雪による災害の発生を見ているのであります。従いまして、特に災害の復旧等に関しましては、少くとも寒冷期に入る十月末までには、何といたしましても一応の復旧を完了いたさねばならないという実情にあるのでありまして、これらに対する早急なる予備費の支出、起債の承認等が特に要望されるのも当然のことと思うのであります。 〔
委員長
退席、内海
委員長
代理着席〕 特に今次災害の約四〇%を占める
開発
庁関係の災害につきましては、国の事業でありますため、起債等の処置は講ぜられないのでありまして、二、三月の後に寒冷期を控え、予備費支出の時期を焦慮いたしているのであります。一方
建設省当局
におきましては、すでに査定を終り、大蔵省
当局
と
折衝
の段階にある模様でありますが、これら予備費の支出等に関する大蔵
当局
の見通し並びに御見解について、特に明確なるお答えを承りたいと存するのであります。 次に、北海道防寒
住宅
建設
等促進法の運用についてでありますが、去る第十六国会におきまして成立を見ました本法は、国策による総合
開発
途上にある北海道
住宅
対策
の基本方針が、法的に確立されたことに、画期的な意義があると思うのであります。しかして、本法の運用にあた
つて
最も基本となるべき点は、法第三条及び第四条にかかる防寒
住宅
に関する試験研究並びに普及
指導
事業等に関する規定であろうと思うのであります。従来道
当局
においても極力この点につきまして意を払
つて
参りました結果、
昭和
二十八年度におきまして、これらの
目的
に対し約二百九十万日余の補助が認められたのでありますが、本年度におきましては、本法成立第一年度であるにもかかわらず、遂に本法に基く
国庫
補助の実現を見るに至らなか
つたの
であります。もちろん本年度一兆円の超均衡予算の
影響
によるものとは思うのでありますが、
道路
整備費の財源等に関する臨時
措置
法といい、また本法といたしましても、道民渇望の法律に対し、その
実施
第一年度におきましてすでにその根本をくつがえすがごとき
措置
をとりますことは、国民の法に対する不信、国の行政に対する不信を招くものであります。のめならず、北海道における寒地
住宅
の促進につきましては、これを時期的に見ましても、目下特に防寒
住宅
に関する試験研究並びに啓蒙
指導
に力を尽さねばならぬ段階にあるのでありまして、来年度におきましては何といたしましてもこれらに対する予算
措置
を講ずる必要があると思うのであります。 最後に
道路
の凍上破損に対する路盤改良及び鋪装
工事
の促進について申し上げます。 本道におきましては、積雪寒冷の特殊気象による路盤の凍上及び融雪期における融盤のため交通が随所で杜絶いたし、四月——六月中旬までこれが復旧に道道約五千キロに一億円、国道市町村道を合せて約二億円以上の修理費を必要とするのでありまして、連年これを繰返していたのであります。特に自動車台数の増加に伴いまして、これら凍上破損はますます増大いたし、これが
対策
は本道としましては最も苦慮いたしいたのでありますが、二十八年度以来
国庫
補助による特殊改良
工事
、
道路
鋪装
工事
が認められ、事業費一億円程度の
工事
を
実施
いたしておるのでありますが、この結果はきわめて良好の模様であります。このためには特殊改良
工事
一キロ
当り
三百万円、
道路
鋪装
工事
一キロ
当り
二千万円程度の多額の
工費
を必要とするものではありますが、連年多額の修理費を要すること、及び四月六——月間の交通困難または杜絶による産業経済への
影響
を考えますとき、これに対する
国庫
補助を大幅に増額いたし、この事業の施行を急速に進行せしめますことは、きわめて
効果
の大なる事業と思うのであります。このことは単に北海道のみならず、青森県を初め内地寒冷地についても同様でありますが、本事業推進に関する
当局
の御見解並びに見通しについてお伺いいたしたいのであります。 以上、
所見
を申し述べ、
関係当局
よりの明瞭なる御答弁を期待いたします。 また視察に行きましているく陳情も聞きましたが、なるほどと思うことも相当ありましたから、また別に御質問申し上げることにいたしまして、本日はこの程度で終ります。
内海安吉
11
○内海
委員長
代理 それでは九州班の視察
報告
について
久野
忠治君。
久野忠治
12
○
久野
委員
今般去る六月二十五日より一週間にわたり、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の各県下における去る二十八年度の大災害の一年後における復旧
状況
をつぶさに視察して参りましたので、ここにその大要を
報告
し、あわせて関係政府
当局
の
所見
と
対策
を承りたいと存ずるのであります。 まず福岡県について申し上げます。本県
最大
の悩みは、昨年の大水害に対する復旧費の不足問題であります。二十八年度土木災害の復旧費総額は、町村災害も合せて約八十五億円の巨額でありまして、これに対し二十八年中に二十一億円すなわち全体の約二四・六%を施行いたしました。二十九年度は雨量二百ミリを対象として、最も危険な箇所を選定して約二十六億三千万円の
工事
を
計画
し、本年の雨期までに、すでに仕越し
工事
として約十三億一千万円の
工事
を完了したのであります。しかるに、これに対し二十九年度の
国庫
補助の対象として決定した事業費はわずかに十五億四千万円にすぎず、仕越し
工事
の十三億円を差引くと、二十九年度は新規
工事
はほとんど着手できない
状態
であります。すなわち二十九年度の予算はほとんど仕越し
工事
に向けられるものとすれば、今後の
工事
は三十年度予算を対象とするつなぎ資金融資を期待するほかなく、これとあわせて一時借入金に対する利子
補償
問題が、各県各市町村の圧倒的要望でありました。 たとえば全村大災害をこうむりました大福村の実例について申し上げますと、本村の災害復旧費は約八千万円でありまして、これに対する
国庫
補助金は僅々九百七十二万円、起債八百六十万円、一時借入金が実に六千万円に達したのであります。この借入金は
地方
銀行あるいは農協等より借用したものでありまして、年利一割以上に達するものでありまして、これらの金利を補助金より差引きますと、実質上の補助率は四割ぐらいになると称しています。補助金が数箇年にわた
つて
細分して交付されれば、その大半は金利に充当される結果となり、表面上補助金は全額交付されても、実質上の
工事
は
完成
しないという結果となるから、つなぎ融資と利子補給は本村の死活問題であると申しています。この点に関し政府の
対策
を承りたいと存じます。 次に、本県においては、本年の雨期に備え、最も危険箇所と考える
部分
について約二千五百万円の仮
工事
を施行し、多大の
効果
が期待されているが、かかる種類の応急
工事
を年々繰返すことは、いかにも国費の浪費と考えられるのであります。また各省及び会計検査院の数回の
調査
、再査定等により、事業費は逐次削減され、補助率は公称九割から実質的には七割ぐらいになると申しています。 門司市におきましては、総復旧費二十二億円に対し、二十八年度はわずかに一五%の進捗率で、水害続発の危険は去らず、市民は一雨ごとに戦々きようきようとしている
状態
であります。これがため水防資材を準備して水防態勢を確立していますが、本来の
河川
砂防
工事
の促進を熱望しています。また門司市より小倉、戸畑、若松に至る臨港
道路
もその整備促進を強く要望しています。小倉市におきましては昨年特に大氾濫を惹起しました板櫃川と合馬川の浚渫並びに復旧
工事
の促進を要望しています。若松、戸畑両市におきましては、
昭和
十二年来の懸案である若戸橋の架設を、関門墜道の
完成
と同時に
完成
したいと希望しております。事実洞海湾ののど首で、毎日数万の人員と数百台の自動車を渡船をも
つて
渡航せしめることは、すでにその極限に達していると考えられ、有料
道路
として一も最も有利な事業と考えられます。 次に、佐賀県におきましては、二十八年度土木災害の査定額約三十八億円に対し、二十八年度の
国庫
負担
工事
額はその約一七%六億五千万円でありまして、そのほかに約六億円の仕越し
工事
があります。この仕越し
工事
六億円が貧弱な佐賀県財政をさらに困窮に陥れ、遂に
全国
初の公務員給料分割払いの先端を切つた主因と
なつ
たことは、去る二月の参議院における同県知事の陳情にも明かな
通り
であります。この仕越し
工事
六億円に対しましては、とりあえず二十八年度末のつなぎ融資二億円と、二十九年度の
国庫
補助金を充当しますので、二十九年度新規の資金は約一億円にすぎないのであります。しかるに二十九年度は、雨期前の緊急
実施
額六億七千万円と、引続き施工希望額一億八千万円と合せて約八億五千万円の資金を必要とする次第でありまして、差引き七億五千万円の資金不足と
なつ
ておるのであります。この不足額に対しましては、二十九年度の補正予算か、つなぎ資金によるほかはなく、災害の続発する限り、県財政はますます窮迫の一途をたどるのであります。 次に、熊本県について申し上げます。本県の二十八年度土木災害査定総額七十四億円に対し、二十八年度は
国庫
補助
工事
十二億八千万円でありまして、さらに約六億円の仕越し
工事
があります。これを二十九年度の十二億円より差引くと、二十八年度末の融資七億四千万円を返済することは不可能となるのみならず、新規
工事
は一切不能となるのであります。 最後に大分県におきましては、二十八年度土木災害査定総額三十九億円に対し、二十八年の
国庫
補助
工事費
は六億二千七百万で、総額の一六%であります。二十九年度の
国庫
補助
工事費
は約七億一千万円でありまして、二十八年度の仕越し
工事費
約二億九千万円を差引きますと、殊余は四億二千万円となるのであります。しかるに二十九年度の
実施
計画
は約十五億でありますので、その差額はつなぎ資金によるほかなく、実現は至難と考えます。 以上が今次災害地
調査
の概要でありますが、これを要するに
地元民
一同の要望は次の諸点であります。 一、政府は災害復旧
工事
は、三・五・二の比率をも
つて
三箇年をも
つて
完了すると幾たびか明言しているが、はたして二十八年災を三箇年間に完了する意思があるか。 二、初年度たる二十八年に三〇%の
国庫
補助があるものとして、あらゆる手段を講じて資金を調達し、三〇%の復旧
工事
を施工したにもかかわらず、二十八年度は約一五%、二十九年度は約三二%程度の補助
工事
しか認証されず、二十九年度はほとんど新規事業は着手できないが、このままでは今後の災害
対策
に自信が持てない。 三、特に町村の二十八年の仕越し
工事
に対しては、利子補給の道を講じてもらわなければ、町村の財政が破綻に瀕するところが多い。 四、今回は中央各官庁よりたびく
調査
々定に来られ、その都度査定額は減少され、さりとて危険箇所の
工事
は簡略にするわけにも行かず、特別立法による高率補助も従来の補助率以下となる結果と
なつ
た場合が多い。 以上の諸点に対し、政府
当局
の誠意のある御見解と施策の方針を承り、わが国が一日も早く災害亡国の危険より立ち直らんことを切望する次第であります。 以上簡単に御
報告
申し上げます。
内海安吉
13
○内海
委員長
代理 以上各
委員
の
報告
につきまして、政府
当局
より意見を聴取いたしたいと存じます。まず
小澤建設大臣
。 〔内海
委員長
代理退席、
久野委員長
着席〕
小澤佐重喜
14
○
小澤国務大臣
大体におきまして、根本的な治山治水をどうするかという問題に
なつ
て来ると思うのでありますが、この問題につきましては、皆さんすでに御
承知
の
通り
、政府は、昨年の大災害にかんがみまして、政府部内にいわゆる治山治水協議会というものを設けまして、緒方副総理が
委員長
、また
建設大臣
、農林大臣、大蔵大臣等が各
委員
になりまして、いろいろ検討いたしたのであります。この検討の結果は、大体結論がついておるのでありますが、その結論から申し上げますと、日本を災害のない国にするのには、大体一兆八千億という厖大な金がなければ、完全な治山治水ができないという結論に
なつ
ておるのであります。そこで、この一兆八千億というものを、かりに十年継続事業でやるといたしますれば、年々一千八百億ずつこのための予算を盛らなければならぬというような
状態
に
なつ
ておるところに、御
承知
の日本の経済の現状が一兆円予算の余儀ないようなことに
なつ
ておるわけであります。 それから災害復旧の問題については、ただいま
委員
の各位から御
報告
のあつた
通り
、昨年の臨時国会におきまして、二十八年災は三・五・二の割合で復旧をするということに政府も了承せられ、国会もこれを
主張
したのであります。ところが、いよいよ二十九年の予算編成にあたりましては、つまり査定金額が補正予算当時よりは政府部内で大分見解の相違があ
つたの
であります。具体的に申し上げますと、昨年の補正予算の際の臨時国会においては、大体政府の補助あるいは直轄
工事
をする目標の金額は一千五百数十億というのが当時の意見であつた。
従つて
これに対する二というものが原案で出されまして、さらに一というものを修正いたしまして、三・五・二を実行しようということに
なつ
ておりましたが、
昭和
二十九年度の予算の編成に際しましては、大蔵省と現場であります私の方あるいは農林省との見方におきまして、非常な食い違いを生じております。すなわち、大蔵省では、今申し上げました一千五百数十億は、再査定の結果、一千百億程度のものであるというような議論になりまして、それはもちろん現場の省であります私の方も農林直の方も認めておりませんで、いまだ結論を得るに至
つて
おりませんが、とにかく政府部内の見解が、大蔵省は一千百億程度に査定することが適当だという意見を有し、私どもは最初の予定
通り
、再査定の余地はないというような意味で、その結論に達していなか
つたの
でありますが、この結論がない間に二十九年度の予算が編成されまして、この新しい査定、すなわち大蔵省の見解に基いて三・五・二というようなものが組まれたわけであります。
従つて
、基礎になる数字が片一方は一千五百億、片一方は一千百億というのでありますから、同じ五といいましても、基礎が違いますから、予算の数字に大きな食い違いが来ることは当然でございます。しかしこの問題は少くとも私どもが今後すみやかに政府部内の意見を統一して、根本的な
解決
をしなければならぬと思うのでありますが、いずれにいたしましても、
昭和
二十九年度の予算はすでに確定いたしておりますので、問題は、この二十九年度の予算、二十八年度の補正予算で組んだ事業が完遂されまして、なおそれ以上事業が進んだ場合にはどうするかというような問題が、現実的には一番大きな議論になると思うのであります。 こういうような
状態
に置かれまして、私が今回
建設大臣
に
なつ
て今日一番悩み続けておるのは、根本的な治山治水は先ほど申した
通り
、災害復旧はこの
通り
、それで一体出水期を控えてどうして災害に対処するか、この問題が私の一番悩みの種であります。いまだ十分には決定しておりませんが、この隘路、すなわち予算の隘路を現状やむを得ず認めてお
つて
、それで、どうすることによ
つて
たとい幾分なりとも災害から免れるか、災害を防止することができるということについて悩んでおるのであります。そこで私といたしましては、とにかく私が就任のときには、大体二十九年度の予算はすでに各府県に配賦されておりましたが、まず各都道府県の土木部長
会議
を臨時に開きまして、いまや出水期を控えて、災害復旧の十分でない場所、あるいは
河川
の
改修
等のすみやかにしなければならぬ場所等が、おのおの各府県にあるわけである、そのある
部分
のうちの最も危険な
部分
だけを何とか応急的に
工事
を進行させて、そうして災害から幾分なりとも免れるような態勢をとろうではないか。そうした具体的
措置
をどうするかといいますと、大体災害において破堤する堤防というようなものは、各県から見て、
建設
省でも大体わか
つて
おりまするが、各県でこことここが一番危険だという箇所があるのでありまして、そのうちの最も危険な一、二箇所というものを取上げて、そうして諸君の方で現在の予算のやりくりでできなければ、つなぎ融資とかなんとかで相談をするから本省の方へ持
つて
来い。本省の方で一生懸命諸君の方と相談して、なお大蔵省との間で話がつかなかつた場合には、余裕のある県は自分の県で立てかえてその
工事
だけはや
つて
おいてくれ、もし立てかえてや
つて
くれれば、来年度の予算には優先的に見てやるというような
措置
を講じまして、最も重要な点だけは、この乏しい財政の中にも善処をいたしまして、そうして災害から幾分なりとも——比較的の問題に、なりますが、幾分なりとも免れたいという方針をとりつつあります。 これは積極的な面でありますが、さらに消極的な面に対しましては、まず水防を強化すること、現在までもございましたが、やはり水防団の勇敢な働きによ
つて
、本来ならば、放置したならば破れるというものが破れずに済んだために、非常な災害から免れたという例がたくさんあるのがございます。しかしこれは消極的な面でありまするから、世間にもわからずに、こうした働いた人々は、縁の下の力持ちをしているような現状でございますけれども、これは非常に大事な問題であるから、まず水防団を強化しよう、また水防団だけではいけないのでありまして、水防資材というものをもう少したくさんやろうというので、せんだ
つて
、今まで前例はないのでありますが、予備金から一億数百万円というものを特に閣議で
主張
をして出してもらいまして、これはすでに各都道府県に配賦済みであります。しかもこれは三分の一の補助でございますから、実際の備蓄量というものはこれの三倍になりまして、三値一千万円程度のものが二十九年度の予算にプラスして水防資材の備蓄ということが可能に
なつ
ておるような次第でございます。 しかしまたもう一点疑問のあることは、かりに水防団が満を持して水防に備えており、また資材がありましても、どうもやはり水防団の常として、いよいよ堤防なら堤防がくずれそうになりますと、自分の家の方が心配になりまするから、堤防の備えをあとにしまして、自分の家に逃げてしまうおそれが多分にあります。これは人情から言いまして当然のことであります。これはやはり水防団だけではいけないのでありまして、ここで自衛隊の応援を事前に連絡をとりまして、そうして堤防をできるだけ守るという行き方が大事であるというので、これも閣議で発言をしまして、木村保安庁長官にも
了解
を得、同時に、先般御審議を願いました自衛隊法も、前の保安庁法と比較をいたしますと、きわめて簡単に公共の事業に出動できるような規定に
なつ
ておりますので、これとあわせまして防衛庁と私の方と相談をして、こういうような場合に簡単に出動できるような打合せをして、その打合せ事項を各府県に流して、消極的ではありますが、何とか水防に万全を期そう、この二つの線をねら
つて
今までや
つて
来たのであります。昨日ちようど——今まで開いたことがございませんでしたが、
全国
の水防団の団長
会議
を開きまして、同時に私の気持をつぶさに団員諸君に申し上げて、そうして日本の現状からして、何とかこの日本の経済の降路を打開する一
部分
としてもそういう方法をや
つて
くれないかということを懇請しましたところ、水防団の諸君が数百人集まりましたが、みな私どもの気持を
了解
しまして昨日おわかれしたような次第であります。こういうようなことはきわめて消極的なことで、どれだけの
効果
があがるかわかりませんが、私としましては、与えられた険路の中で全力を尽して災害からのがれようというようないろいろなこまかい手を打
つて
おります。また水防団に対しましても、現在では、かりに水防団員が水禍のために犠牲に
なつ
たような場合におきましても、政府は一文の
補償
もしないという姿でありましたが、これも何とか——大蔵省とまだ話はつきませんけれども、犠牲者が出た場合には三十万円、五十万円というものを国家が出してやり、そうして安んじて水防に働いてもらうような制度も必要だというので今
交渉
をいたしております。いたしておりますが、まだ結論は出ませんから、ここで具体的なことは申し上げられませんけれども、そういうような方法を講じて、この年々の大きな災害を、できるならば一〇〇%、できなければその半分でも三分の一でも防ぐことが、私の大きな任務だと考えてや
つて
おるような次第であります。 以上が、大体各
委員
から御指摘のあつた災害復旧額が不足なものに対する今後の
対策
のあらましの考え方であります。 それから共通の問題でもありました立ちのき者の
補償
の問題でありまするが、これは各
委員
からも御
報告
があつた
通り
、公共事業を遂行する上におきましては、非常に重大な問題であります。それでは一体この問題に対してお前はどう考えておるかということを申し上げますならば、私といたしましては、これは専門的に研究したのではない、私のほんとうの常識から申し上げるのでありまするが、まず
補償
問題における被
補償
者というものは、国策の犠牲になるのでありまするから、この犠牲者になる人のためには、でき得る限りの
援助
すなわち
補償
というものをやらなくちやならないと思う。すなわちこういう被
補償
者が他に
移転
をいたしましても、再生活に不自由がない程度の
補償
はしてやるべきだという信念を持
つて
おります。しかしながら反対に、これは公共の犠牲になるのでありまして、被
補償
者がこの
移転
によ
つて
金もうけをするという姿は認むべきじやない。つまり
移転
しなかつたよりも
移転
したことによ
つて
大きな
財産
家に
なつ
たというようなことは、公共事業という建前からこれは認めないのが至当であろうというふうに考えておるのであります。それが額を決定する抽象的
基準
にならなければならぬと思うのであります。 もう一つの考えは
水没
者あるいは被
補償
者に対する扱い方が、
全国
平等、公平でなければならぬと思います。ある堤防の犠牲者は非常にもうかつたが、ある者は非常に損して犠牲を払つたという姿では、将来こういう公共事業の遂行はできません。そこで私どもはどこまでも、かりに省が違いましても、いやしくも公共事業のために犠牲になる人の受くべき
補償
というものは均等であり平等であらねばならぬと思うのであります。たとえば通産省が電気事業のためにやつたから少しはもうけてもいいのだ、
建設
省の方は予算がないから少くともいいのだという姿では、この公共事業というものは完全に遂行できないと思うのであります。そういう意味から私どもはその所管がどこであろうと、公共事業である以上は、少くとも均等なる
補償
を与えるという原則を打立てなければならぬと思うのであります。そうした意味から、大体現在では法律も完全なものがございませんので、昨年の四月の
閣議了解
というものを標準として、私どもはこの
補償
者に当るべきだという信念を持
つて
おります。しかしながら、いかにいたしましても
土地
収用法という法律が一本あるたけでありまして、きわめて近代に沿わない法律だと私は考えております。やはりこの法律を改正いたしまして、また制度等も検討いたしまして、そうして時代に適した、しかもただいま私が三つの原則を申し上げましたが、この三つの原則が織り込まれて、しかもその執行にあた
つて
も、公正にこの三つの原則が貫くことができるような制度に改正することが適当であると考えまして、目下事務
当局
とともに研究中でございます。そうして研究の内容については、それぞれの主管局長なり担当者から御答弁申し上げまするが、来るべき国会ではこの問題については皆さんの御審議を仰ぎたいと思うのでありまして、また国会が開会される前にも、でき得ることでしたら小
委員会
等も設けまして、皆さんの御意見を承りながら立法化されることがなお望ましいと私は考えておるような次第であります。 その他の点につきましてはそれぞれの主管局長から御答弁いたします。
石破二朗
15
○石破説明員 ダムのために
水没
する立退者の
補償
その他一般の公共
工事
用地の取得に関しましては、先ほど大臣から申し上げました
通り
の方針によりまして、目下省全体としての問題として検討いたしております。まだ省としての意見がきまつたわけではありませんが、ただいまお手元に御配付に
なつ
ておりますような線で考えておる次第であります。一項から六項まで書きわけておりますが、いずれにつきましても部内におきましてはまだ相当の意見があり、まとまつたものではございませんが、これを起案した者の気持を御説明申し上げて御参考に供したいと思います。 第一番目は、国、
地方
公共団体等が
土地
等の収用を認められている事業を行う場合におきましては、用地の取得は原則として
土地
収用の手続による、こう書いております。この意味は、従来の例は、大体
土地
収用法というものは伝家の宝刀であ
つて
、これはめつたに抜くべきものではない、なるべく協議して任意
買収
でや
つて
行こう、こういう方針で参
つたの
でありまして、これはまことにけつこうな方法ではありますが、最近の例覚ますと、なかなか任意
買収
ということでは時間もかかりますし、また
土地
を手放す方にいたしましても、いろいろ役人が御説明いたしましても、何かうそをついておるのじやなかろうかというような御心配がある場合もあると見えまして、話がなかなか簡単にきまらぬというような事例もあり、いよいよ問題がこじれてから
委員会
に持
つて
来ましても、かえ
つて
これは非常な摩擦を生ずるというような結果に
なつ
ておりますので、ひとつこれは国が用地を取得する場合には、あたかも
工事
を請負いに出す場合には競争入札にしなければならぬという法律があるように、原則として
土地
収用の手続によつたらどうかと考えたわけであります。もちろんこれには前提をなす条件がたくさんあるわけでございまして、以下にそれを書いておる次第でございます。 二番目と三番目は、現在の
土地
収用制度をもう少し強化して、
土地
所有者が安心してそういう
委員会
の裁定に服するような制度をつくつたらどうだろうということで考えたのでありますが、二番目は、
土地
収用
委員会
の決定を公正かつ権威あるものたらしめるための所要の
措置
を講ずる。たとえば
委員
の選任については、現在は知事限りでありますが、大臣の承認を要するようなことにしたらどうであろうかとか、あるいは給与についても相当の給与を差上げても専心こういう仕事をや
つて
いただくようにしたらどうであろうか。また身分保障というようなことも、ある程度は考えなければならぬかとも思いますが、その点を考えて
委員会
そのものを強化して、国民がこの裁定に信頼を置くような制度にしたらどうだろうか。 第三番目には、中央に中央
土地
収用
委員会
のようなものを設けて、地・万の
委員会
の決定に不服な方は、いきなり裁判所に行くような現在の制度よりか、中央にもう一ぺん持
つて
きて、権威のある中央
委員会
の裁決を求めるという道を開けば、
土地
所有者は相当納得されるんじやなかろうか、こういう点を考えた次第でございます。 二、三は機構の問題でありますが、四番目は、「
委員会
が収用対価を決定するに当
つて
の規準となるべき事項を法定する(現に
閣議決定
されている
要綱
を出来得る限り詳細にしてこれを法律化する)。」これは裁判でいいますと実体法に当るわけでございまして、
委員会
が裁決されるものさしを法定したらどうか。現在は
閣議決定
なり
建設大臣
の訓令でしておりますが、やはりこれは国会の議決を経て、国民の納得のもとに一つのものさしをつく
つて
もらつたらどうか。これで機構も強化され、ものさしもはつきり国民が納得したということならば、いきなり
土地
収用という方法をと
つて
も、国民はそう異論はないんじやなかろうかと考えたわけであります。もちろんこの
基準
をつくりますその
基準
の
補償
の考え方につきましては、ここには書いておりませんけれども、先ほど大臣がお話になりました
通り
の、
土地
収用されたがために
土地
所有者が不利益をこうむるということのないような
基準
を当然考えなきやいかぬものだと考えておるのであります。 それから五番目には、「
土地
収用法の規定による斡旋が不調に終つたときは関係当事者は直ちに
土地
収用手続を取ることができるように
土地
収用法を改正すること。」これは非常に事務的なことでありますが、昨年
土地
収用法の改正を御審議願いました際に、斡旋
委員
という制度をつく
つて
いただいたのでありますが、これが正式の
土地
収用手続の一部に
なつ
ておりません関係もありまして、活用されておらぬ実情でございます。これはもう少し活用するという意味で斡旋
委員
のあつせんを正式の
土地
収用手続の一部にしたらどうかという意味でございます。 それから第六番目には、これは
補償
の一つの方法として「起業者に
代替地
供給についての責任を出来得る限り負担せしめるよう法規を改める。右責任を果すための一助として
代替地
の収用をも認めることとする。」これは現在
金銭補償
というのが一応の原則に
なつ
ておりますが、最近はなかなか
代替地
を取得するのが困難だというようなことからこういうことを考えたのでありますが、
補償
の方法といたしましては、ひとりこれだけで
解決
する問題ではありませんので、まだたくさん考えなければならぬことがあると考えております。 それからこれらの
措置
は遅くも来年の四月から
実施
に移したいというところで、
建設
省といたしましては準備いたしておる次第でございます。
久野忠治
16
○
久野委員長
次に通商産業省
公益事業局次
長小出榮一君。
鹿野義夫
17
○小出説明員 通産省に対する御質問の趣旨は、
岡村委員
からの田子倉に対する
補償
問題に関する質問のように承
つて
おります。要点は、一つは
水没地
以外の、いわゆる
残地
に関してもこれに
補償
することが適当であるかどうかという問題。それからもう一つは、
公共施設
補償
というような関係のものが入
つて
おりますが、これを認めることが適当であるかどうかというような二点が、大体中心であつたように承
つて
おります。 田子倉の
電源開発
会社が
開発
いたしております田子倉
地点
の
補償
問題の
経過
につきましては、皆様十分御
承知
だと思いますので、繰返して詳細な
経過
は御
報告
申し上げたくないと思いますが、通産省といたしまして、この田子倉
補償
問題に関しまして、今日までに取扱
つて
参りました立場と申しますか、
経過
につきまして一応御
了解
を得ておきたいと思います。
電源開発
会社の行
つて
おります
開発
で、現在一番大きな
開発地点
は、天龍川の佐久間でございますが、これは着々進行いたしておりまして、これに次ぎまして最の重要な
地点
は
只見川水系
でございます。従いまして、田子倉の
電源開発
というものが急速に
完成
されるということは、これは
電源開発
全体の立場から申しましても、非常に大切なことでございまして、
補償
問題につきましても、できるだけすみやかに、かつ円満に
解決
するということを、かねてから念願いたしてお
つたの
であります。会社といたしましては、昨年の八月に、会社としての最初の原案を提示いたしたのでありますが、これに対しまして地元の方からは、
単価
にいたしまして約その十倍近くの
要求
が出て参りました。従いまして、この間非常な開きがございましたので、長い間相当の
折衝
を重ねました。
福島県知事
その他地元の各位の非常なごあつせんを得まして、だんだん話が進んで参
つたの
でありますが、たまたま本年の四月十四日になりまして、
福島県知事
から一応の裁定案といたしまして、
勧告書
が
会社側
及び田子倉の
部落民
各位に提示さたのでございます。この
勧告
案に対しましては、
部落民
はごく一部の反対者を除きまして一応了承いたしまして、
会社側
も現地の
建設
所長の名前において仮調印をいたしたのでございますが、その内容を見ますと、御
承知
の
通り
総額九億一千六百万でありました。
水没戸数
は五十一ということでございますが、一戸
当り
平均千八百万円を越えるというものでございました。中には最高は九千万円もらうとか、それから間借りと申しますか、下宿しているような人でありましても三百二十万円くらいもらえる、こういうようなものが出たのでございます。これは御
承知
の
通り
、田子倉は非常に立地条件のよろしい、天恵物の非常に豊富な、一般の
地域
に比べますと非常に特殊な
部落
ではございますけれども、それらの特殊事情をいかに織り込みましても、これは何としても高過ぎる。従いましてこの
勧告
案が発表されました結果、先ほどからも問題に
なつ
ておりますように、単に
電源開発
の
地点
のみならず、
建設
省関係あるいは農林省関係の一般の公共の
開発
に非常な支障を来しておりまして、せつかく補助問題で話がつきかか
つて
おる
地点
が、この問題が起きたために一頓挫を来しまして、話が逆もどりするというような事例が相当出て参りました。 従いまして通産省といたしましても、この問題を非常に重大視いたしまして、会社に対して警告を発し、会社といたしましては、実は従来この田子倉
地点
の
開発
というものは、当初の出発が、御
承知
の
通り
事実上は
東北
電力が担当してあの水系の
開発
を進めて来ておつたという関係もございます。従いまして現地の
建設
所長も
東北
電力におられた方が兼ねておる、こういうようなかつこうに
なつ
ておりましたために、必ずしも現地と本社との連絡も十分でなかつたというような関係もございまして、
従つて
本社といたしましては、この
福島県知事
と現地の
建設
所長との間に一応の仮調印のできました
勧告書
なるものは認めないということを正式に決定いたしまして、その旨を関係者に通知をいたしたのでございます。 そこでその後の処置といたしまして、この問題を直接本社において取上げるということになりまして、至急田子倉
補償
推進本部
というものを本社に置きまして、
電源開発
会社の平島
理事
を本部長にいたしまして、現地と中央とが一体と
なつ
てこの問題を進めるということにいたしたのでございます。従いまして
福島県知事
の御
了解
を得まして、この問題の至急かつ合理的な
解決
に、ただいまこれを進めているのでございますが、その場合の考え方といたしまして、実は最初の
勧告
案をつくります際に、正確な実地
調査
と申しますか
実態調査
が、詳細に行われていなかつたという事実が明らかにな
つたの
でございます。そこで、まず
実態
をつかまなくちやならぬ。たとえば
水没地
がどのくらいの面積であるか、
山林
なり畑などがどのくらいの面積であるかということを正確につかめていないといううらみがございますので、まず
実態調査
を現地に入り込んで、中央からも参りましてやるということを前提にいたしまして、ただいま
実態調査
を着着進めております。そういたしまして、まず
補償
の対象物件の範囲を正確に把握しなくちやならぬ。どういうものを
補償
、物件の対象として取上げるという、その範囲なり内容、種類というものをまず確定しなければ、
補償
金額というものは算定できないわけでありますから、それをまずつかむ。そういたしまして、同時にそれぞれの
補償
物件についての
単価
を、先ほど
建設大臣
からお話のございましたような
閣議決定
の線に従いまして、
全国
的な一つの統一された標準、それに現地の特殊事情というものを合理的な範囲において織り込みまして、合理的な
単価
をはじき出して行こう、こういうような方針で進めております。従いまして、大体の考え方として、ただいま進めておりますのは、第一には、
部落
で持
つて
おります
山林
の
水没
する
地域
以外のいわゆる
水没
残地
、この問題は全然
水没地
と切り離しまして、そうして別の方途で研究する。従いまして、岡村先生から御指摘のありました
水源涵養林
というような形で、その
残地
までもあわせて
買収
するかどうかということにつきましては、会社としても実はまだ原案ができていないわけでございます。私どもも正式にはそういう
報告
を受けておりません。従いまして、従来先ほど申しましたような非常に高い金額に
なつ
た一つの原因は、考え方といたしまして、すべてを金で
解決
しようというきらいが多少あ
つたの
であります。ところが現地の
部落民
の気持は、どちらかと申すと、あの
部落
が非常に
全国
的に見ても天恵物の豊富ないい
地点
である。
従つて
その場所からできるだけ離れたくないという、あの
地点
に対する愛着が非常に強いということ、従いまして金をもらうよりはむしろあの近くに新しい
代替地
をもら
つて
、そうしてあすこの天恵物を依然として採取できるような範囲のところにとどまりたいということが、一番大きな希望であつたということが明らかになりました。従いまして大体そういうような考え方で行きたいということでございます。
従つて
、あと具体的な
補償
項目を実情に即しまして加除訂正し、あるいは細分いたしまして、そうして
補償額
の算出の株拠を明確にするという作業を、ただいまいたしております。 それから、先ほどお話がございました県道、林道あるいは
部落
道ないしは学校というふうな
公共施設
補償
、これはやはり
公共施設
補償
というものの考え方からいたしまして、これが会社の
補償
と重複するというような結果になることは、必ずして望ましくないと思います。従いまして、前の
勧告
案の内容を見ますと、公共
補償
というような形、あるいは慰労金というような形、あるいは
休業補償
というようないろいろな形において、同一の
補償
が重複して計算されているきらいがございました。それらのものを整理いたしまして単一の形のものに統一いたしたい、かような予定でただいま
調査
を進めておるわけでございます。従いまして、ただいまの目標から申しますれば、大体十月までには
補償
の問題を
解決
いたしまして、ただちに
着工
にかかりたい、かように考えております。ただ最悪の場合におきまして、あるいはごく少数、おそらく三名内外じやないかと思いますが、どうしても
補償
に応じない方が出て来るということも考えられます。その場合には、現在の行政手段としましては、
土地
収用法というようなものしかないわけでございますが、一応
土地
収用法の適用もできるような態勢だけはつく
つて
行こうということで事業認定の手続きはただいまや
つて
おるような
状態
であります。 大体田子倉に関する通産省の考え方なり立場は以上の
通り
でございますが、なお、この問題に関連しまして、ただいまも問題に
なつ
ております
補償
問題に関して、もつと根本的に何か
解決
するような法的な手段はないかということでございます。これにつきましては、
建設
省でもお考えに
なつ
ておるようでございますが、実は私どもも同様の必要性を痛感いたしまして、一応そういつた法的な手段に関する案もただいま事務的にはつく
つて
おるような次第でございます。いずれこれは各種の
開発
全般に関連する問題に
なつ
て来ると思いますので、最後的にはどういう形で——あるいは経済審議庁あたりで取上げることになるかどうか、その辺のことはわかりませんが、私どもも同じようなことを考えまして、事務的には一応立案をいたしておる次第でございます。 以上であります。
久野忠治
18
○
久野委員長
次に米田
河川局長
。
米田正文
19
○米田説明員
岡村委員
の御
報告
の中にありました最上川の
改修
の問題でありますが、最上川の
下流
は、先ほどお話がございましたように、実は現在施工いたしておる直轄
河川
七十八本のうちから申しますと、非常に進捗いたしておる部に属しております。なお、今後最上川の
下流
については、約十億の経費を要するのでございまして、今日の予算の現状から
推定
すれば、まだ今後十数年かかるような実情でございまして、中流を含んでの上流側の
改修
工事
は、なお今後約三十億の経費を要するのでございます。これもなお今後今このような
状態
で続きますと、二十数年かかるというような現況でございます。しかし先ほど大臣からお話がございましたように、治山治水十箇年
計画
というのを今協議会で審議中でございますが、その十箇年
計画
で行きますと、われわれの原案では今後四、五年
完成
をするという
計画
に
なつ
ております。あの十箇年
計画
がどの程度で決定いたしますかによ
つて
、今後の進捗がきま
つて
来ると思いますが、現状ではまだ相当に長くかかるという
状態
でございます。ぜひ治山治水の根本
対策
の確立を推進いたしたいと思
つて
おります。 それから和歌山県の災害復旧についての御
報告
の中に、いろいろと問題がございました。六項目ございましたが、そのうちの五項目についてお答えいたします。 第一の、現在の
国庫
負担法の補助率を今年度についても上げる意思はないか、こういう御趣旨だと思いますが、昨年は御
承知
のように最低補助率を八割にしました。従来は三分の二でございます。財政的に見ましても、昨年の災害復旧が非常に進捗しないで困
つて
おる現状でありまして、われわれとしてできるだけ早くこれを片づけたいという趣旨から見ますと、今年の災害は従前の補助率によ
つて
進めて行きたい、二十八年度災というものは何とい
つて
も最近の大災害でございますから、この
解決
に全力を尽したい、こういう考え方をいたしております。 それから仮
工事
の全面的採択の問題でございますが、これも従前から各府県、市町村から非常な要望を受けております。ことに和歌山のように昨年も今年も続けて災害を受けておるところでは、そういう要望の出るのはもつともだと思います。けれども、災害復旧の今の考え方は、
工事
を中心にいたしておるので、従前はほとんど仮
工事
というものを採択いたしておりませんでした。しかし昨年は特殊のケースとして仮
工事
を一部採択することにいたしたのでありますが、今年度についても、大体従前の方針に帰りたいと思いますけれども、特に
工事
の一部と見られるような仮
工事
についてはそれを認めて行く、採択をして行くというような考え方にしたいということで、非常にしぼつた考え方のもとに仮
工事
を採択して行く方針でございます。 災害の概算交付については、大蔵省からもお見えでございますから、あとで大蔵省からもお答えを願いたいのでございますが、災害は御
承知
のように、起きてすぐに応急
工事
にかかり、復旧にかかる場合がございますが、これも大体県の場合については、一週間、二週間のうちに金をすぐ国からもらはなければならぬという実情でもないようにわれわれは考えております。これは県の中の手持のものでさしあたりの処置はとれる。できるだけ早く国の予算を流すという行き方にしたい。この問題については常時大蔵省と
折衝
いたしており、大蔵省も査定のできたものについては、極力早く出すという趣旨でありますし、その点われわれとも意見は合
つて
おりますので、この査定の方法をどうするかということが、技術的な問題として残
つて
おります。実は当該年度に起きた災害を全都査定するということになると、その設計をつくるのにも、査定をするのにも非常に時間がかかるので、そのうちの緊急なものだけを査定をして、それで一部の予算配賦をするというような
措置
を講じたいということで、大体大蔵省とも話合いができておりますので、そういう便法で、今後は早く予算が行くように
措置
をいたしたい。 起債の大幅の許可という問題は、われわれといたしましては、ただいまもお話がございましたように、県としては仕越しをいたしておつたりして、現実に金詰まりを来しておりますので、ぜひ災害復旧の起債が許可になるように、われわれとしても大蔵省と均衡中でございます。実は二十八年度の分については、災害がひどかつた県について、総額五十億になりますものを、今つなぎ資金として大蔵省と
折衝
中でございます。それから二十九年度の分につきましては、十五億円をさしあたり今までに起きた今年度の災害のつなぎ融資として
要求
中でございます。愛知、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、福岡、熊本、宮崎、鹿児島という県について、総額十五億に対するつなぎ融資を、本年度の災害復旧事業費として今大蔵省と
折衝
をいたしております。二十八年度のものにつきましては、主として仕越し
工事
に対するつなぎ融資として岐阜、愛知、三重、福井、滋賀、京都、奈良、和歌山、福岡、佐賀、熊本、大分という各県について、五十億の金額で
折衝
中であります。これも大蔵省ではことしの資金難で、なかなか困
つて
おるようではありますけれども、ぜひこの程度のものは早急に
措置
するようにというので、今
折衝
中であります。できるだけ早く結論に達したいと考えております。 それから適正賃金を認めるようにというお話でございますが、これは災害復旧の
計画
書では、現在のところ一応労働省独自の労働者賃金で計上いたしておりますので、設計書としてばその標準で行きたい。実は他に適当の方法があれば、御趣旨のような点を考慮すべきだとは思いますが、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、和歌山とかあるいは福岡とかいうように、去年非常に災害の多かつたところは、どうしても労働賃金が一般のところより相当に上るということが現実に起
つて
参ります。できるだけそういう現実の姿を取入れたいのですけれども、事務的には非常に困難な問題でございますので、われわれとしては労働省独自の賃金で行くという方針をと
つて
おります。 堀川
委員
の北海道に関する災害復旧の起債及び予算の
問題等
につきましては、ただいまお話を申し上げました趣旨と同様でございますから、省略をさせていただきます。一応この程度で……。
久野忠治
20
○
久野委員長
つなぎ融資のお話が今出ましたので、大蔵省側からこの点について御説明を願いたい。
鹿野義夫
21
○鹿野説明員 本日主計局長が大蔵
委員会
の方に出ておられて御都合が悪いので、私が公共事業と災害関係を担当しております
主計官
でございますから、失礼ながらかわ
つて
御説明を申し上げたいと思います。 つなぎのお話の前に、一、二申し上げたいことがあるのであります。特に堀川先生の北海道について至急予備費を出すといいというお話がありましたけれども、ちようど
建設
省からも大体の査定が済みまして、大体の数字をまとめて待ち込んでおられるところでございます。目下審議中でありますが、北海道には特殊性ということがございますから、一刻も早く出せるように、われわれの方も努力いたしたいと思
つて
おります。 そのほかに概算緊急交付をしてほしいというお話がございましたが、今まで補助金は、補助金対象の金額が確定いたしませんと、なかなか出すわけには参りませんので、やはりその点は今も
河川局長
が申し上げましたまうに、なるたけ早く被害の査定を済ませるような方法を考え、また大体の成案を得ておりますので、その方法によ
つて
一日も早く査定の金額を固め、全部についてというと困難でございましようが、緊急交付しなければならないようなものについては固めて、それに応じて出して行くような方法を講じたいと思
つて
おります。 それからつなぎの問題でございますが、非常に申しにくいことで、また私主計局の者でございますから、主として理財局の所管にかかることでございまして、はなはだ申しにくいことですが、確かに現地からは、いろいろ二十八年度の災害復旧費の出方が少いというおしかりを非常に受けております。現在各省と去年の災害についていろいろ再
調査
をや
つて
おりますが、やはり相当水増しと言うとおかしいかと思いますが、再
調査
の結果落ちる
部分
がございまして、たとえば農業の関係の災害の方ば、再
調査
の結果、もとの査定額の半分くらいに縮小しているような実績が現在出て来ております。その他の極端な例は、たとえば都市災害などにつきましても、三、四割くらいに減少しているような実績も出て来ておりまして、全般的に相当減
つて
参ります。そうしますと、私らの方で去年予算のときに大体六割ぐらいは二十八年度、二十九年度を通じて復旧できるのではないかと申し上げたわけでございますが、その
通り
行く、行かないということは、今後全体の
調査
を進めませんとわかりませんが、ある種の事業によ
つて
は、進捗度は地元でおつしやる点とは相当食い違いが出て来るのじやないか。ただ公共土木の
建設
省の関係につきましては、まだ再
調査
の段階で、今これからということでございます。また今までもずつと長い伝統を持
つて
御査定に
なつ
ていらつしやることですから、それほどの食い違いはないとは思いますが、この点もやはり若干の変化の要素が出て来るのじやないか。それから同時に、やはり出した資金について、ほんとうに堤防の破堤した箇所というか、護岸のくずれた箇所等の緊急のところに使
つて
いただくということでいろいろお願いしておるわけです。しかし、やはり去年大災害を受けました北九州並びに愛知、三重、京都、福井、和歌山等につきましても、いろいろ非常に強い御陳情がございまして、先般来理財局の方とも
会議
を重ねつつあるところでございます。ただ
地方
財政全般の赤字の問題が、非常に大きくクローズ・アツプされまして、それについて全体の調整をどうするかということを研究しておる最中でございますものですから、今つなぎの問題について簡単に結論が出ないといつたような
状態
に
なつ
ているかと思います、ただ担当の者でこざいませんから、その点は帰りまして理財局長の方にもよくお伝えいたしまして、研究の上お答えすることができればいたしたいと思います。 はなはだ不十分でございますが、一応お答え申し上げます。
久野忠治
22
○
久野委員長
次に富樫
道路局長
。
富樫凱一
23
○富樫説明員 堀川
委員
から、北海道の凍上
対策
についてお尋ねがありました凍上
対策
といたしましては、われわれの方では特殊改良といたしまして、路盤改良の仕事をや
つて
おります。これは特に凍上のひどいところの
道路
の路盤を、ある厚さを全部やりかえてしまう、またその付近の地下水を下げるということをや
つて
おりますが、お話のようにこの仕事は割に成績もよろしいので、五箇年
計画
にも入れておりますし、当分の聞この仕事は
実施
して行きたいと考えております。凍上
対策
といたしましては、根本的には鋪装をいたさなければならないわけでございますが、鋪装を進めて行きますにも、予算の関係がありますので、当分路盤改良という仕事をや
つて
行きたいと考えております。 それから
久野
先生からお話のありました若戸橋でありますが、この若戸橋につきましては、われわれも有効な事業であると考えておりますし、実現させたいと考えておるわけでございます。二十九年度の新規事業としましても、若戸橋を
要求
したわけでございますが、実はこの若戸橋につきましては、橋をかける位置はきま
つて
おりますが、どういう橋をかけるか、まだ具体的な設計はこれからで、二十九年度の新規として
要求
いたしましたのは、その橋につながる取付
道路
の用地
買収
その他を
要求
したわけでございますが、これから具体的な設計を進めまして、
実施
計画
を立てたいと考えております。
久野忠治
24
○
久野委員長
次に師岡
住宅局長
。
師岡健四郎
25
○師岡説明員 内海先生から、公営
住宅
の使用範囲についてお話がありましたが、御
承知
のように、公営
住宅
は一般公営
住宅
と災害公営
住宅
とございまして、一般公営
住宅
は一般的な
住宅
困窮者を入れるために
建設
されております。災害公営
住宅
は、災害にあいました罹災者の、
住宅
困窮者を入れるために
建設
されております。この使用範囲の基本的な点につきましては、大体これでいいのではないかと現在考えておりますが、実情に沿わない点がございますれば、この基本的な線の範囲内でさらに検討いたして参りたいと考えております。 それから堀川先生の北海道防寒
住宅
促進に関する件のお話がございましたが、この法律ができました趣旨からいたしまして、試験研究の整備充実とい験研究を進めるための設備等につきまして補助をいたしたのであります。二十九年度予算におきましても、これは引続いてさらに整備いたしたいと考えたわけでありますが、遺憾ながら一兆円予算のためにその実現を見なかつたわけであります。ただ
建設
省にあります試験研究費のうちから、このために若干金をさきまして、この方で処理いたしまして、研究は続けられておるわけでございます。さらに明年度に関しましては、北海道側といたしましてはなおやりたいということもございますようで、現在予算編成中でありますので、目下検討いたしておる次第でございます。
久野忠治
26
○
久野委員長
まだ
委員
の皆さんより質疑もあろうかと存じます。なお巷間伝えられております防衛
道路
計画
等につきましても、一応政府側の所信を伺いたいと存じますので、午後二時から再開することといたしまして、この際暫時休憩いたします。 午後零時五十五分休憩 ————◇————— 午後二時四十五分
開議
久野忠治
27
○
久野委員長
休憩前に引続き
会議
を開きます。
道路
に関しまして
調査
を進めます。まず政府より防衛
道路
に関する今日までの
経過
につきまして説明を聴取した後、質疑を行いたいと存じます。大森工務課長。
大森頼雄
28
○大森説明員 防衛
道路
と申しまして、ただいま防衛庁が
建設
省と連絡をとりまして技術的に研究を進めております。この防衛
道路
は、御
承知
のように、自衛隊が自分の任務を遂行いたしますために、その機械化された部隊の機動力と補給力とを十分に満たさせようといたしまして、まず第一に必要であります
道路
の整備を考えたのであります。これは考えてみますと、非常に広い範囲にも狭い範囲にもいろいろ考えられるのでありますけれども、いろいろの事情から考えまして、私たちが部隊の機動力と補給力の点から見まして、それを発揮させるために最も必要でありますところの、たとえて申しますならば動脈とでも申しますか、そういつた一番大事な路線だけを考えまして、その路線網を、仮の名でございますけれども、一応防衛
道路
などと申しまして、この
道路
は一番の幹線
道路
として常時整備して行きたい、こういうふうに考えて
計画
を進めておるのでございます。 それで、そうは申しましても、防衛
道路
と申しまして別に新たな
道路
を
計画
したのではございませんで、大体現在存在しております重要な路線の中で、特に今申しましたような
目的
から見まして、常時整備しておくことが一番大事だと考えられる路線だけを選びまして、それを一つの
道路
網としたいと考えて
計画
しておるものでございます。そしてできますならば、この防衛の面から見まして、この路線の必要となすところの
道路
網、これを一応の
目途
としましては五箇年くらいの間に緩急の一番上のものから逐次ずつと整備できたらよい、こういうふうに考えて一応五箇年に
実施
しようという
計画
で進めておるわけであります。しかし、これは非常にいろいろな要素が入
つて
おりますので、この
道路
網の決定までには相当時間がかかると思うのでございます。 ただいま進めております段階は、今言われております防衛
道路
と申しますこれの一番もとになりますその防衛
道路
網の決定と、それからそういう
道路
網をやる場合に、どのくらいな
工費
がいるかというその
工費
の決定と、それをまず第一段階として研究するようにということで、防衛庁がいろいろな条件を考えまして、その路線の決定を研究しておるわけであります。その間、
工費
その他いろいろな面もございますので、
建設
省とは密接な連絡をとり、また米軍側のおきましても、その防衛
道路
網というような点に対しても、自分の方にもいろいろな考え方もあるというふうなことでありましたので、米軍側の意見、助言なども聞きながら、いろいろ
計画
をかえたりいたしまして、今研究を進めておる途上でございますが、技術面から見ましたところの一案というものは近くまとめたい、こういうふうに考えておる現状であります。まだ経済的な面については何もきま
つて
おらない
状況
でございます。
久野忠治
29
○
久野委員長
質疑の通告がございます。よ
つて
これを許します。
瀬戸山三男
君。
瀬戸山三男
30
○瀬戸山
委員
今防衛庁の方から御説明を聞いたのでありますが、何かぴんと来ないような感じがするのであります。私は防衛
道路
ということが新聞にたびたび出ておりますので、これは今の日本の国民の感じにぴつたり来ないような気がしております。しかし、それはどうでもよろしいのでありますが、今
建設
省や、あるいはアメリカ駐留軍の意見などを参照して
道路
網を決定したい——防衛という名前がついておりますので、すぐ軍事的なことを考える、いやな気持であります。私どもそういう軍事的な専門知識は全然ございませんが、
道路
網の決定にあた
つて
、一体どういうことが防衛上必要であるかということはよくわかります。ただそこでどういう
道路
網を今決定されるかはしりませんが、しかもそれは現在ある
道路
だけで、特に新設をするということはない、こういうふうな御説明であります。私どもがいつも
道路
について考え、おることは、防衛のための
道路
ということも考えられないじやないのでありますけれども、日本が長い間戦争を続けてお
つて
、その間にいわゆる国土防衛上の
道路
も新設をしたり、あるいは途中で戦争に負けて挫折をしたりいろいろや
つて
おります。しかし、これは一旦緩急の場合にはもちろん防衛になる、そうでない場合には、これはすべての産業経済のルートになるわけでありますから、それをひとつ十分お考えに置いて、ただ戦車を走らせるとか、トラツクが走るとかいうことでなしに考えてもらいたいというのが、国民としての希望であ
つて
、その点についてどういうお考えを持
つて
おられるか。軍事と経済とは、これは切
つて
も切り離すことのできないもので、その点をどういうふうに考えておられるか。案が近くできそうだというお話でありますが、できてからでは始まらないのでありまして、その点をどういうふうにお考えに
なつ
ておるか、もう一度御説明を願いたいと思います。
大森頼雄
31
○大森説明員 今申されました御意見の
通り
でございまして、日本の国は非常に狭いのでございますので、
道路
と申しましても、北海道から九州までというような縦断
道路
を除きますと、その他の
道路
は非常に距離的に見ましても短かい
道路
でありまして、少しまわり道をするとか何か考えますと、特に先ほど申しましたように、新しい路線を設けずとも、現在ございまして、なおかつそれが相当産業の面にも活用できるという
道路
、そういう
道路
を現在のままでは、私の方で考えております部隊の移動などということは、
道路
の構造上不可能でございますけれども、それが一定の標準によ
つて
整備されておりますと、その
道路
で十分間に合い得る、そういうことが考えられますので、単に防衛だけというような点から考えるのではなくして、防衛ということを考えて
計画
しましても、今申されましたような産業上の点を十分考えまして、同じ路線でその防衛という
目的
が十分達せられるように
計画
ができると考えておりますし、また今まで
計画
しておるのも、大体そういうふうにして重複しておりますので、先ほど申しましたように、防御
道路
と申しましても、特に新しい路線を
計画
しておるわけではないと申し上げたのであります。
瀬戸山三男
32
○瀬戸山
委員
大体私が考えておることとほとんど同じような御意見のようで、私としては喜んでおるのでありますが、聞くところによると、アメリカ軍の強い意見もあるというふうに聞いております。もちろん、日米防衛協定に基きまして、日本の防衛を担当いたしておりますアメリカ軍としては、
道路
の面について強い発言権を持つということも、あながち悪いとは私は申さないのでありますけれども、しかし日本の国は、やはり日本人がしつかり建て直さなくちやならぬ、これは申し上げるまでもないことです。しかも先ほどお話にありました
通り
に、日本の国土はほんとうに一握りの小さな領土でありまして、ここに特別に防衛
道路
という名前をつけなくちや、その国土の防衛ができないというふうにだだつぴろいところでないのは、さつきのお話の
通り
である。そこで産業と軍事とは、特に近代戦においては一致いたしているのでありまして、こういう狭いところでは、どれが防衛
道路
であ
つて
、だからこれは整備しなければならぬというようなことは、そう強くは出ないのじやないかと私は思
つて
おる。狭い国の
道路
網でありますから、どこでもこれは防衛上、神経だけだというやせた日本の国土でありますから、そういう気持で
計画
を進められんことをお願いいたしておきます。 それはそれでよろしゆうございますが、さてこういうことを考え出されるについては、この
委員会
でもどなたからもありましたが、日本の
道路
はきわめて貧弱であるために、これが産業上も経済上も、あるいは全部の産業構造の合理化から言うても、これが一番がんに
なつ
ておる基本的な問題だということを、今日まで私どもは
主張
して参りまして、特に御存じの
通り
に、非常な反対がありましたけれども、ガソリン税を全部
道路
にまわすべしという強硬手段まで講じて、
道路
整備の五箇年
計画
を立てておるわけです。そこにとたんにまたこういう防衛
道路
の
計画
というのが出ております。私どもはどんな名前でもけつこうであります、整備して、国民の交通運輸の便をはかることは、いかなる名前でもけつこうでありますが、そういう名前を特に取立てて別に
計画
を立てられるということについて、どういう意味があるのか。 それともう一つ、その
計画
を立てられて
実施
をされるお考えでなければ、
計画
はいらないことになりますが、現在でも先ほど申し上げたように、国の財政が貧乏であるので、しかも
道路
の
建設
は必要だということで、繰返して申し上げますが、
道路
の経費については特別なわくをつけたというような強硬手段までも講じて、それで、なおかつまだまだその五箇年
計画
でも満足な仕事ができないというような実情であります。そこに新たな先ほど御説明の防衛
道路
五箇年
計画
を立てられるについては、いかなる資金をも
つて
これを
建設
されるか。あるいは新設の
道路
でないということであれば、この防衛
道路
は鋪装ということに
なつ
て来ると思うのでありますが、日本の
道路
が不完全だというのは、鋪装がないから不完全なのであります。もちろん
道路
の幅を拡張しなければならぬこともありますが、そういう費用は一体どういうようにお考えに
なつ
て今
計画
を進められておるか。これは防衛庁の方でもけつこうであります、あるいは
建設大臣
が見えましたから、どちらでもけつこうでありますから、御説明願いたいと思います。
小澤佐重喜
33
○
小澤国務大臣
最近新聞で防衛
道路
という問題が盛んに議論されておりますが、この問題は、端的に申し上げますと、つまり行政協定やその他の場合に、進駐されておる軍隊と日本の要人との間で、どうも日本の
道路
が悪いというようなことが盛んにアメリカの側から申されつつあ
つたの
です。それは悪いはずだ、日本では大体二十トン級の自動車を標準にして
道路
が鋪装せられ、また拡充されて来たのでありますが、進駐軍が来てから五十トンとかそれ以上のものや戦車等がどんどん来て走らしているのだから、悪くなるのはあたりまえだ。であるから、これについてはもう少し考えなくちやならないのじやないかという端的な話合いがだんだん進んで参りまして、それではこの防衛に必要な
道路
というような意味で研究してみようじやないかというようなことが、この防衛
道路
が起つた原因でありまして、金のことは別問題にして、どういう線を引くことが防衛上よろしいかということを今検討中で、それがまだ結論に
なつ
ておらぬのであります。これだけでは少しも答弁にならぬのであ
つて
、またそれはどういうねらいかと言えば、やはり今私が申し上げた話の端緒がそこから出て来ているのでありますから、アメリカの駐留軍が来て、自分の便宜のために日本の
道路
をこわしたために、そういうものに対して、ある程度アメリカ軍の方でも負担する気持で、両方で相談し合
つて
いるのじやないか。しかしながら、じや負担はどうするのか、あるいは半分負担をするとか、全部するとか、あるいはしないとかいう問題には、まだ入
つて
いないのであ
つて
、ほんとうの序の口であ
つて
、今路線を研究して、こういう路線がアメリカ軍側で必要だということに
なつ
て、日本もはい、それならばよかろうということに
なつ
たら、一体この費用はどうしようか、これと五箇年
計画
をどう
調節
をと
つて
行くかということは今後の問題でありまして、今費用をどうするというような問題もきま
つて
いなければ、またその負担がどうなるかということも全然きま
つて
いないのであります。われわれの考えとしては、この非常なきゆうくつな日本の経済で、なるほど瀬戸山君も言つたように、皆さんのお力が、揮発油税のことき税金で五箇年
計画
が立ちましたが、この
道路
にさらにプラスするごとの何らかの費用によ
つて
拡充されて行くのならば、日本の産業、経済のためにはよくないのじやないかという意味で、まだ結論はつきませんし、目標もはつきりつきませんが、プラス・アルフアーということは、なおベターであろうということで、今相談をしておる段階であります。
瀬戸山三男
34
○瀬戸山
委員
今大臣の御答弁を承
つて
、現在のところはその程度であろうと想像されるわけであります。ただ全然目当てかないのに、非常に苦心して今
建設
省やあるいは防衛庁の係の人たちが一生懸命や
つて
おられるらしいのであります。それが全然目当てなしにこの暑いのに仕事をしてもらうのもたいへんなことだと、よけいなことかもしれませんが考えるわけであります。−しかも、これはこうや
つて
私が笑いながらお話をいたしまするが、真剣なる問題だろうとも思いまするし、今大臣から例のガソリン税の二千六百億にプラス・アルフアーになればベターではないかというような含蓄のあるお話がありましたが、それでなければ、私どもはこういう暑い盛りに一生懸命研究してもらう必要はないと思う。私どもは、防衛
道路
の名のもとに御苦心を願いました
道路
整備の五箇年
計画
のあの経費を、いわゆる防衛
道路
重点
にやられるということについては絶対反対をいたす考えでありますので、これ以上は申し上げませんが、大臣が今お話になりましたそれにプラス・アルフアーだ。アルフアーが小さなアルフアーじやアメリカから干渉を受けるだけで、大して意味はないと思いますが、ひとつ大きなアルフアーになるようにぜひ御尽力をお願いいたすということで、私の質問を終ります。
久野忠治
35
○
久野委員長
次に志村茂治君。
西村力弥
36
○西村
委員
ただいまお話を承りますと、防衛
道路
なるものは、まだスタートしたばかりで、内容はきわめて漠然としたものである、具体的なものはさま
つて
おらないというお話でございますので、三者の聞の協議等の内容につきましてお聞きしたいのでありますけれども、はたして私が期待しておるような御回答を得られるかどうか、それにつきましては、私はむしろ
建設
省でこれからの
折衝
の腹構えとしてどういうふうな態度をと
つて
おられるかということについて、お聞きしたいと思
つて
おります。 まず第一にお聞きしたいことは、この防衛
道路
というものは、いわゆる弾丸
道路
であるとか、あるいは行政協定
道路
というようなものがそのまま内容に入
つて
来るものかどうかということを、まずお聞きしたいと思います。
小澤佐重喜
37
○
小澤国務大臣
今、志村君御指摘の弾丸
道路
という言葉は、いろいろな意味で解釈されておりますが、私どもの弾丸
道路
の意味は、大体に弾丸のようなスピードを出し得るという意味で、実はたまということがあるから軍隊に関係あるものというふうには解釈していないのであります。もし弾丸
道路
という中に、たまという意味の字を含んでおるから日本の防衛に関係があるんだ、つまり軍事に関係があるんだという意味でありますならば、私の答弁は違
つて
来ることになります。私はそういう意味じやなく解釈しております。
従つて
、この弾丸
道路
の問題は、要するに日本の将来のために大都市と大都市とをつなぐ、東京−神戸間なり、東京−大阪間なりを
最大
のスピードを出し得るような
道路
がほしいじやないかという意味で考えられたのが弾丸
道路
であります。この問題には二つございまして、一つは、
建設
省として大体測量
調査
の済んでおる線と、もう一つは現在審議会でいろいろ研究をしておりまするいわゆる
田中
案と、この二つの問題を、私はどつちも弾丸
道路
だと考えております。それでは、このうちのいずれをするかというような問題に
なつ
て来ますが、この問題はどつちも決定いたしておりません。ただ財源その他経済
効果
等をにらみ合せまして、どちらでも行けるのだが、こちらでやればこれだけの費用がかかる、あるいは農耕地なり宅地はこれだけ犠牲になる、こちらで行けば農耕地は犠牲にならない、そのかわり費用が非常にかかる、しかし利用は少いというような点をすつかり
調査
しておりまして、やがて財源的
措置
をとつた場合に、この線のうちの二つつけることになるか、そのうちの一つを選んで一つをつけることになるか、
調査
をしておる段階で、これが現在二つの
道路
に関する考え方でありまして、これは防衛
道路
とは何も関係ありません。 それから今の防衛
道路
の問題ですが、これは行政協定にも関係するのでもなんでもなくて、先ほど端的に話したようなことから、日本の
道路
をよくしようという話が出まして、そうして先方でもある意味でじようだんまじりに言つた。日本の
道路
が悪いというのはお前の方でこわしたことも手伝
つて
おるんじやないか、向うでもなるほどというような気持で相談に乗
つて
来ておりまして、私どもは、それをやはり向うが関心を持
つて
いる以上は、それに沿うて
道路
が拡充されることはいいじやないかということで、その
道路
がいわゆる防衛
道路
といわれておるのであ
つて
、お示しのように行政協定にも関係がありませんし、その他の軍事問題にも一切関係がないのであります。
志村茂治
38
○志村
委員
ただいまの大臣の御答弁ですが、弾丸
道路
も行政協定
道路
も、今度の防衛
道路
とは全然縁がないと言われました。先ほどの係官のお話によりますと、日本の
道路
をよくする、軍事用にも使える
道路
にしたい、しかしこれは軍事用の
道路
プロパーのものではない。産業
開発
のための
道路
の方に、軍事用の
道路
をあわせ行うのだというようなお話であつた。そうしますと、いわゆる弾丸
道路
、大都市間をつなぐ、急速度の車を走らせることのできる
道路
、また行政協定によ
つて
鋪装されておる
道路
も、同じく私は防衛
道路
というものに入
つて
来るのじやないかというふうに考えておる。それは考え方ですが、次に防衛
道路
というようなものをつくることになりますと、経済
開発
のための
道路
とは相当性格的に違つた点が出て来るんじやないか。まず鋪装の厚さもかえなければならないし、それから橋梁などでも重さに耐え得る力をかえて来なければならない。そうしますと、
基準
はどつちに置くかというと、軍事用のものをつくれば産業用にも使えるのだが、産業用の程度でも
つて
弱い通路をつくり、橋梁をつく
つたの
では、軍事用には使えないということになれば、当然に
基準
は軍事用のところに持
つて
来なければならないということになると私は思うのです。
従つて
産業
道路
をつくると、それだけでそれがそのままこの防衛
道路
になり得るということは、私は考え得られないと思います。それからまた別に産業用の
道路
の
計画
、それは
道路
の形ではなく、
道路
をどうひつぱ
つて
行くかというようなことと、それから軍事用のものとは相当違う場面が出て来ると思うのですが、そういうような産業と経済と一体にして一本の形でやるということは、簡単に言われましても、内容的には非常に違つた点が出て来るだろうと思います。そういうこと等につきまして、
建設
省では将来の
折衝
にどういうふうにお考えに
なつ
ておるか、その点をお聞きいたしたいと思います。
小澤佐重喜
39
○
小澤国務大臣
先ほども話した
通り
、今
道路
をどことどこと防衛
道路
にするかということもきま
つて
いのないであります。きま
つて
いないのでありますが、私の考えている線は、大体において従来の五箇年
計画
とそう違つたものではないのであります。
従つて
、ただその
道路
の鋪装の仕方であります。お話にもありましたが、これはすでに
建設
省では、たとえば産業
道路
だから駐留軍が通つちやいかぬということはないのでありますから、結局駐留軍が通れば、薄い鋪装をしてあればこわれてしまうのです。でありますから、鋪装に対する考え方を今年度から加えているのであります。つまり、
道路
が産業
道路
と名前がつこうが防衛
道路
と名前がつこうが、五箇年計図にしようが、五十トン以上のものにも耐え得るような鋪装をする。これはもうすでに鋪装には着手しております。これは防衛
道路
に限らず、五箇年
計画
の
道路
も、今度やる
道路
も、そういうように鋪装の硬度をかえておるのであります。こまかいことは私は技術家でないからわかりませんが、とにかくそういうことで進んでおるのであります。
従つて
、お示しのように、これは防衛
道路
であるからよけいに厚くするのだとか、あるいは鋪装を硬度の高いものにするのだとか、こつちは産業
道路
だから薄くするのだというような考え方は、今申し上げた意味から必要なく
なつ
て来ている。でありますから、ただ問題は——それは全然ないということは言えますまい。もし費用の幾分でも負担することになりますれば、向うの意見も入れなければそういうことになりませんから、そういうことはないということは言えませんけれども、私らの考えているものは、大体において五箇年
道路
のうちのおもだつた
道路
に、ある程度の幅員が要請されたり、あるいは橋の広さが要請されたりして来て、結局五箇年
道路
というものが非常にやりよくなるのではないかというような気持をも
つて
おります。しかし、それはまだ
交渉
の途中でありまして、具体的にこの線が違うのじやないかという場合も出て来るかもしれませんけれども、今われわれの考えている線はそういうふうにして、名前はなるほど防衛
道路
、五箇年
計画
とは違いますけれども、実体的にはそう違つたものが結果においては出て来ないという考え方を持
つて
おります。
志村茂治
40
○志村
委員
私も技術屋ではありませんから、
道路
が、どれだけの鋪装をし、橋梁がどれだけの重さに耐えなければならない、現在の産業上どの程度が必要であるかということについては、詳しい知識は持
つて
おりません。けれども常識としまして軍事用に使うということになれば非常に堅固な鋪装もしなければならない、堅固な橋梁もつくらなければならないということは考えられますが、産業上それだけのものが必要かどうかということを私は一応考えたいと思います。そういたしますと、一応日本の産業
道路
というものが軍事用にも使い得るというふうな堅固なものをつくらなければならないということになると、一定のキロ数内の経費が非常にかさんで来る。その結果日本国内の
道路
網というものが、不完全なものになる危険があるんじやないかということを私は考えております。その点はどうですか。
小澤佐重喜
41
○
小澤国務大臣
この問題は、たとえば今お話の例としまして駐留軍の戦車とか大きいトラツクだけを例にしましたが、最近日本のトラツクは非常に大型になり、バスなんかもいまだか
つて
ないような重トンのものがたくさん入
つて
来ております。これは余談でありますが、どうも
道路
が細いのに、大きな自動車がどんどん出て来て、交換もできないようなところを通
つて
行く、橋が狭いところに板ばさみに
なつ
て人が死ぬというようなことを放置していいか、研究をしておる最中であります。それほどまでに現在の日本の
道路
にはふさわしくない重さあるいは容積を持つた自動車がふえて来ております。従いまして、先ほど申し上げましたように、従来の鋪装は十五センチであ
つたの
を二十四センチにし、アメリカ並にしております。というのは、防衛
道路
だからそうするのではなくて、一般にトラツクが大きくなり、あるいはバスが大きく
なつ
て、従来の鋪装では予定の年限ももたなく
なつ
て来ております。でありますから、これは産業
道路
でも今いう防衛
道路
でも、その厚さにおいてはかわりないという建前で、
建設
省としても今後は進んでおるわけであります。従いまして、志村さんの御心配のように、日本ではいらぬのに防衛
道路
によけい金をかけるのではないか。これが産業
道路
ならば、もつと安くできるのに、防衛
道路
だからよけいかかるという問題ではなくして、駐留軍の駐留のあるなしにかかわらず、日本の現在の自動車の荷重と申しましようかあるいは容積と申しましようか、大体においてアメリカ式の程度の鋪装をしなければ、たとえば二十年もつのが十年ももたないということになりますから、経済上から考えても、みな二十四センチにするということで、現在それもすでに着手しております。これからやる
道路
は、すべてそういうふうにやる方針であります。
志村茂治
42
○志村
委員
お話でいろいろの点がわか
つて
参りましたけれども、大体日本みたいに経済力の弱い国でも、
道路
が丈夫なものができればいい、橋梁も重さに耐え得るものがあればいいということは、初めからわか
つて
おる。それを今までやらなかつたということは、日本の経済力が低かつたということだろうと思います。しからは、日本の経済力が急速に大きく
なつ
たかどうかということになりますと、日本の
道路
でも、最低限の費用でつくりたい、少くともキロ数だけふやして行こうというように考えることは当然じやないかと思います。もちろん、今のお話のように、トラツクやバスが大きく
なつ
たことは私も知
つて
おります。けれども、とれをただちに、たとえば私たち——私は神奈川県の三浦半島におる者ですが、あすこには駐留軍がたくさんおります。そうしてほとんどあの辺の道をこわすのは、駐留軍の上陸用戦車を持
つて
来る、戦車で大砲をひつぱ
つて
来るというようなことで、日本の車の三倍も五倍もの大きなものをひつぱ
つて
来るので、こわしておるような
状態
であります。それをこわれないような
道路
をつく
つて
も、日本の産業上、日本の経済から見合
つて
、最低限の経費でも
つて
しんぼうして行かなければならない国情に会うかどうかということを非常に心配するものですが、その点をもう一ぺん伺いたい。
小澤佐重喜
43
○
小澤国務大臣
志村さんの考え方も、理論的には必ずしも否定する議論ではないと思うのですけれども、要するに耐久力の問題なんですね。十三センチで二十年なり三十年なりもつものが、十年で終
つて
しまえば、むしろ二十五年もつのをやつた力がかえ
つて
得だというような計算にもなると思うのです。しかしながら、お話のような議論が成り立たぬわけではないのですが、まず役所全般といたしましては、これからつくるのはとにかくどういう荷重にも耐え得るということを目標にして——今までや
つて
おるのをみな直すというわけじやありません。新しく鋪装するのは、もうどういう重いものが来ても予定
通り
の年限は保てるものという方針でや
つて
行きますから、それに対して、お話のような点もございましよう、県道や何かに
なつ
て来ますと、そういう点も考えられて来ると思います。それからそういう国道的な大きな全般的の基幹
道路
に関しては、やはり私が現在申したようにや
つて
行く方が、むしろいいのじやないか。県道でごく利用
価値
の少いものに、たくさんの金をかけて鋪装だけすることは、御意見のようにすることがいいのだ、こう考えております。
志村茂治
44
○志村
委員
もちろん鋪装を堅固にすれば、経費はよけいかかると思
つて
、おります。それだけの予算がはたして
道路
予算としてとれるかどうかということを考えますときに、五箇年
計画
の
道路
綱をつくるということは、ますます大きな予算を必要とするし、そしてそれが予算の獲得にはますます困難が加わ
つて
来るのではないかということなんです。そのときに、例のほかの方からのプラス・アルフアは正体がわからない。
従つて
額が幾らになるかわからないのですが、プラス・アルフアがあることによ
つて
、よりいい
道路
ができればけつこうなんですけれども、その間に
建設
省としては何ら御心配はないかどうか、多少あるのじやないかと私は思いますが、その点を伺いたい。
富樫凱一
45
○富樫説明員
道路
整備五箇年
計画
は、ただいま技術的に申し上げますと、トラツクの二十トンを対象といたしまして
計画
したものでございます。それから今の防衛
道路
と申しますのは、まだこれは結論には行
つて
おりませんが、大体見ますと一級、二級国道に
なつ
ておるようでございます、これはまたかわるかもしれませんが……。それが
道路
整備五箇年
計画
の中には含まれておるものもあり、おらぬものもありますが、いずれも
道路
整備の観点からは対象にしなければならぬものでございます。これが、先ほど軍事用のものと産業
道路
とでは規格が違うではないかというお話がございましたが、今
道路
整備五箇年
計画
で考えておりますような荷重を考えますと、八十トンとか百トンという戦車はむろん
通り
ません。しかし防衛庁がお用いに
なつ
ておるような重い車はこれで通るわけでございます。
従つて
二十トンの荷重によりまして鋪装の厚さをきめ、また橋梁を設計いたしますと、防衛庁のお使いになるような車は通るということになるわけであります。むろんわれわれといたしましても、
道路
整備五箇年
計画
に含まれておるものより以上のものが、防衛
道路
として必要であるということになれば、これは五箇年
計画
の金ではやれないわけでございまして、ほかの金を持
つて
来なければならぬことになるわけでございます。
西村力弥
46
○西村
委員
防衛庁あるいはアメリカ軍との間の話合いがちつとも進んでおらないで、内容について御質問申し上げる余地はありませんが、私どもはぜひとも五箇年
計画
で
完成
させたいという考えを持
つて
おります。防衛
道路
なるものが新たに入
つて
来たということによ
つて
、それが遅れるというようなことは、私としては絶対避けなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。 そこで、もう一つお聞きしたいのは、防衛
道路
というのはどこから出て来たか、新聞紙上に盛んに現われて参りましたが、これは官庁等においても防衛楢路という名前を使
つて
おるかどうか。
小澤佐重喜
47
○
小澤国務大臣
これは
建設
省としても防衛庁としても、おそらくそういう名前をつけていないと思うのであります。名前をつけていないと思うのですが、たとえど駐留軍が関係して、自分の方の費用をも
つて
道路
をこしらえるということになると、そういう名前の方が——そうでなければ関係できないのじやないかと思います。そういうことはだんだん常識に
なつ
て出てあるのであ
つて
、防衛
道路
とかいう名前が新聞には出ておりますけれども、別にどこにもうた
つて
いないのであります。
従つて
、防衛
道路
という名前はどこから出て来たかというと、防衛に関する関係と相談してや
つて
おるから防衛だというわけであります。書面にも何にも出ていないのです。
久野忠治
48
○
久野委員長
山下榮二君。
山下榮二
49
○山下(榮)
委員
大体防衛
道路
については言い尽されたような感じもあると思うのです。私はこの機会に
道路
五箇年
計画
と、さらに過日小澤さんが
建設大臣
に就任されて、
田中
清一君の中央
開発
道路
というのですか、それに相当関心々持
つて
おられるという新聞記事等も拝承いたしましたので、この機会に一、二伺
つて
おきたいと思うのであります。 防衛
道路
については、今保安庁の方からも説明があつたようでありますが、また何ら具体的なものはないかのように拝承いたしたのですけれども、新聞には、今
道路局長
も言われましたように、一級
道路
で七メートル半だとか、二級
道路
で六メートル以上にするというようなことが、すでに報道されておるのであります。これは新設するのか。今までの御説明を伺うと、従来の
計画
のものを相当幅員を広げたりいろいろするところもあるというようなことでありますけれども、その辺が明確に
なつ
ていない。 さらにもう一つ伺いたいと思うのは、防衛
道路
については、
建設
省が責任を持
つて
いろいろ行うものであるが、あるいは保安庁の方でやるものであるのか、その辺も今のところまだ明確を欠いておるかのように思われるのであります。その辺の見通しがついておるなら、この機会にお聞かせ願いたいと思うのであります。あるいは防衛
道路
という名前のように解釈すると、これは保安庁の方で立案やいろいろおやりになるのじやなかろうかということも考えるのですけれども、やはり日本で、これは防衙
道路
だ、これは産業
開発
道路
だということで区別をすることも、この狭い日本でどうかと思われる節もあるようであります。その辺をこの機会にもう少し明確にしていただきたいと思うのであります。 それから次に伺いたいのは、冒頭に申し上げましたように、従来政府は東京——神戸間を結ぶ、俗にいう弾丸
道路
の
計画
があるのであります。この弾丸
道路
の
計画
に対して、今申し上げましたように、
田中
清一君は国土
開発
中央道というものの
計画
を世に発表いたしておるのであります。当
委員会
でも
田中
君の出席を求めて、この案の構想について話を伺つたこともあるのでありますけれども、二つともやや似たような感じがいたすのであります。政府の俗にいう弾丸
道路
は、南のいわゆる海岸ばたを通
つて
平坦地々通る。
田中
君の案は山岳地帯を貫ぬこゆというところに開きがあるように思われます。
しろうと
的にわれわれが考えますときには、どうも
田中
君の案の方が日本の産業あるいは
山林資源
、森林の
開発
等等を考えてみますと、いかにも理相的な感じもいたすのであります。
従つて
大臣もこのことに相当関心を深めておられるという新聞記事を見たのでありますが、一体この二つの
道路
のうち、いずれをとることが正しいと今のところお考えに
なつ
ておるのか、これの将来の実現への見通し等について、私はこの機会に伺
つて
おきたいと思うのであります。 もう二つは、
道路
整備五箇年
計画
等が、発表に
なつ
て、すでに
建設
省の方では、一級国道についてはこれこれの鋪装をするとか、あるいは木橋は全部なくするとか、いろいろ
計画
があるようでございますけれども、なかなか
計画
は遅々として進んでおりません。私は四、五日前に、地元の神戸から姫路まで自動車で参
つたの
でありますが、明石から姫名間というものは、実に自動車に乗れた
道路
じやありません。これが日本の国道かと思
つて
、しかも日本の表玄関ともいわれる南の方の
道路
かと思
つて
、唖然とせざるを得なか
つたの
であります。鋪装のコンクリは割れてしま
つて
、割れたら割れたままでありまして、所要時間一時間で済むものが二時間もかかるというような始末でありまして、これではとうてい一級国道と言えた
道路
ではない、こう私は思
つて
おるのであります。もつと
建設
省が国道の、ああいう目抜きの場所だけぐらいは、早急に補修をされる必要があるのじやないか、私はこう考えたのであります。先ほど局長と私語をかわしてみますと、それぞれ予算はと
つて
おるけれども、地元府県の財政貧弱のために、実現できていないということもちよつと伺
つたの
でありますけれども、県の財源が貧弱であればそれでほ
つて
おくというやり方でなくて、もつと何らかの
措置
をと
つて
補修しなければ、わが国の産業
開発
振興のために、きわめてゆゆしき問題だ、こう思うのであり、こういうこと等に対して、新しく大臣になられた
小澤建設大臣
の、こういう
方面
に対する所信をこの機会に伺
つて
おきたいと思います。
小澤佐重喜
50
○
小澤国務大臣
第一の問題は、防衛
道路
が新しい路線で進めるのか、あるいは従来の路線を
改修
するのかという点でありますが、これは先ほど志村君にもお答えした
通り
、原則としては従来の線を行くのが本筋であります。しかし詳細ば決定しておりませんから、結果を見なければはつきり申し上げられませんが、多少は違
つて
も、原則としては従来の
道路
の上を行く方針であります。 それから、この話がついた場合においては、一体防衛庁がやるのか、
建設
省がやるのかというお話ですが、その話も実際はついておりません。ただ現在防衛庁の技師と私の方の技師とが行きまして
交渉
はしておりますが、私の考えでは、防衛庁ではそれだけの受入れ態勢がないのでありますから、実際の
工事
は、きまれば当然私の方でやるようになるのではないかと考えております。 それから第三の、すでに
建設
省で省で議決定した弾丸
道路
と、いわゆる
田中
案といずれがいいのか、こういう御質問でありますが、これはこの
道路
の
目的
を主として研究してみなくてはならぬと思います。単純に、いわゆる弾丸
道路
で五時間で神戸・大阪まで着けばいいのだ、こういう目標でありますならば、むしろ
工事
の簡単な場所を選べばいいでしようが、しかし
田中
君が、すでに山下君も聞かれた
通り
の構想で、いわゆる大きな日本の国土に対することを
重点
に置いて開くのだということになりますれば、やはり
田中
案の方がよいのじやないか。しかしながら、この問題を比較研究する場合においては、かりにこの
道路
ができた場合には、費用がどれだけかかるのか、それから
工事
上の難点が、どうなのか、それからこれによ
つて
敷地等の
買収
にどれだけの犠牲があるのか、たとえば年年食糧増産で五百億以上の金をかけておりますが、そういう五百億もかけているところへ、一方に持
つて
来て何千
町歩
というような良質の田畑をつぶすというようなことが、はたして日本の経済上いいのか悪いのかというようなことを、すべて総合して判断するので、今もし
田中
案というものも、違つた構想において、大きく国を開くのだというような見地でこの
道路
に着手するという場合に、比較するのには
調査
をしておかなければなりませんから、克明な、あらゆる角度からの
調査
を今進めておるのであります。
従つて
、今どちらをやるということを決定するまでのまだ
調査
が進んでおりませんから、結論は出しておりませんけれども、やがてこの両方の
調査
が、ただいま申した
通り
の結論を得ますれば、そのときの国情に応じて、最も国民の要望する線につけるつもりであります。 それからただいまの神戸等の鋪装
道路
の問題でありますが、これは山下君からもすでにお話があつたように、予算がついているのであります。問題は、県費が少いので
工事
が遅れているという実情だと思いますが、もしそうであるとするならば、やはり県の話を具体的に聞きまして、一体どういう金がどう足らぬのか、そうしてどうしても出せないのかというようなことをつつ込んで相談した上に、もしできないというような場合には、別な方法を考えることもやぶさかではないのでありますから、すぐに県の方を呼んで相談して、その結果一番いい方法を選ぶことにいたします。
山下榮二
51
○山下(榮)
委員
大体大臣の御答弁で了承いたしたのでありますが、もう一つ伺
つて
おきたいと思うのは、もし防衛
道路
が実現するものといたしますならば、先ほど大臣は、防衛
道路
という名前がつく限り、これは米軍の幾分かの費用が予想される。いわゆる
建設
費のアルフアーというものを想像するというお話があ
つたの
であります。これはただ単なるアルフアーであるのか、大体アメリカの防衛
道路
ということに
なつ
て参りますならば、
道路
によ
つて
は全額負担するというのか、その辺がなかなか明確でないのであります。たとえば、それが一部負担されるということにいたしましても、どんな割合で負担が決定されましても、後日その負担分というのを返済しなければならぬというかつこうに
なつ
て来るのであるかどうか。そういう点がおわかりに
なつ
ているなら、この機会にお開かせ願
つて
おきたいと思います。
小澤佐重喜
52
○
小澤国務大臣
私は、大体こんなことを秘密にしておくことはきらいなたちでありまして、率直に話したいのでありますが、実際に今のところわかりません。わかりませんが、希望といたしましては、日本の現在の財政
状態
を見るならば、何らかの方法で他の財源でやりたい。しかも失業救済というような問題もあるのでありまして、もうすでに予算が編成されております、失業救済もしなくてはならない。失業救済などには
道路
など非常によい。そういう意味で、今年度中でも、そういうことが話がまとまれば、そうした一石二鳥のねらいを持ちながら実現したいと思
つて
おりますが、内容については、隠すのではなくて、今何も話が出ておりませんし、進んでおりませんが、希望するところは、できるだけ多くというような考えを持
つて
おります。
久野忠治
53
○
久野委員長
ただいまの山下君の御質問に関連して、私ちよつとお聞きしたいのですが、詳しいことはさま
つて
いないということでありますから、十分な答弁は得られないと思いますけれども、外資導入の形で入るのか、あるいは防衛費の分担金のような形で、向うが一部日本へ資金を供与するというような形で入るのかどうかわかりませんけれども、かりに入るにいたしましても、それは一部だろうと思う。そうすると
一般公共事業
費か何らかの形において円資金というものは、こちらでくめんしなければならぬと思うのでありますが、そうだとすれば、話合いがある程度進むとすれば、来年度予算の編成にもかか
つて
おられるわけですから、こういうような資金面については、ある程度大蔵省とも
折衝
をなさ
つて
おるのでございましようか、どうでございましようか。 いま一つ、路線についても相当お話合いがつつ込んで進められておるようでございますが、路線の総延長はどれくらいの御
計画
であるか、あるいは資金の総額はどれくらいになるかというような点について、おさしつかえなかつたら、ひとつお伺いしたいと思います。
小澤佐重喜
54
○
小澤国務大臣
これは先ほどから話しております
通り
、まだ、たとえばどういう路線が必要だということさえも結論がつかぬ、また幅員がどうなるかということさえも結論がつかぬのでありまして、あと二、三日にまた会合することに
なつ
ておるのでありますが、そういつたようなまつたくの初歩であ
つて
、どういう形で日本へ金が入るのかとか、あるいはその場合に円資金はどうするのかといつたような問題は、もつともつと先のことであります。現在ではいろいろ想像した点はございますけれども、想像を申し上げてかえ
つて
誤解を招いてはいけませんから、想像だけは申し上げたくないと思うのであります。では、お前はこれに対して何も予測していないのかということを言われますれば、それは私だけの予測はして、こう出た場合にはこう、ああ出た場合にはあるということを考えておりますけれども、私だけの想像をやたらと申し上げると、かえ
つて
誤解を招きますので、今山下君にお答え申し上げた以上のことは、実際今見通しはついていないのでございます。
山下榮二
55
○山下(榮)
委員
大体それでわかりましたから、最後に一つだけお願いをいたしておきたいと思うのであります。もし防衛
道路
等で相当額の米国の
援助
があつたといたしまして、今までの例によりますと、ガリオアやあるいはイロアの資金等は債務だということで、お返ししなければならぬという結果に
なつ
ておるのでありますが、
道路
をつく
つて
もら
つて
、これもまたあとで返せと言われぬようにして、今から万般の心構えで
折衝
していただきたいということだけを、お願いを申し上げておきたいと思います。
—————————————
久野忠治
56
○
久野委員長
建設行政
一般に関しまして
調査
を進めます。御質疑はございませんか。 質疑がなければお諮りいたすことがあります。すなわち
河川
に関する小
委員長
より、小
委員会
において参考人を招致し、ダム
水没地域
の
補償
に関して参考意見を聴取いたしたいとの申出があります。参考人の氏名は、
田瀬
更生
会
委員
朝倉剛介君、御母衣ダム反対期成死守会会長建石福蔵君、笹生川ダム
建設
対策
協議会
委員長
安間市太郎君、三峰川
対策
協議会
委員長
伊藤修二君、長安口ダム
水没
補償
対策
連合会代表下内憲君、藤原ダム
対策
期成同盟
委員長
林賢二君、目屋ダム
対策
委員会
委員長
工藤榮太郎君、
花山
ダム
対策
委員会
委員長
千葉盛君でありますが、これを許すに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久野忠治
57
○
久野委員長
御異議なしと認めてさよう決しました。本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十四分散会