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1954-08-11 第19回国会 衆議院 建設委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十一日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 内海 安吉君 理事 佐藤虎次郎君    理事 志村 茂治君       逢澤  寛君   岡村利右衞門君       瀬戸山三男君    高木 松吉君       堀川 恭平君    松崎 朝治君       山田 彌一君    五十嵐吉藏君       西村 力弥君    三鍋 義三君       安平 鹿一君    細野三千雄君       山下 榮二君    只野直三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小澤佐重喜君  委員外出席者         防衛庁課長         (経理局工務課         長)      大森 頼雄君         大蔵事務官         (主計官)   鹿野 義夫君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      小出 榮一君         建設政務次官  荒舩清十郎君         建設事務次官  稻浦 鹿藏君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  澁江 操一君         建設事務官         (住宅局長)  師岡健四郎君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 六月三日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として和  田博雄君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員高木松吉辞任につき、その補欠として、  山本友一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本友一辞任につき、その補欠して高木  松吉君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員瀬戸山三男君、高木松吉君及び田中角榮君  辞任につき、その補欠として小坂善太郎君、水  田三喜男君及び益谷秀次君が議長指名委員  に選任された。 同月二十三日  委員小坂善太郎君、益谷秀次君及び水田三喜男  君辞任につき、その補欠として瀬戸山三男君、  田中角榮君及び高木松吉君が議長指名委員  に選任された。 七月二十二日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員細野三千雄辞任につき、その補欠として  木下郁君が議長指名委員に選任された。 八月七日  委員木下郁辞任につき、その補欠として細野  三千雄君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月三日  国土計画地方計画都市計画件宅、建築、  道路河川調達庁の業務並びに運営に関する  件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  派遣委員より調査報告聴取  道路に関する件     —————————————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  会議を開く前に小澤建設大臣よりごあいさつがございます。
  3. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 すでに皆さん御承知通りでございまするが、去る六月十六日突然建設大臣を拝命いたしたのであります。御承知のように、私は建設行政に対しては、ほんとうのしろうとでございまして、目下熱心に研究中でございます。御承知通りのきわめて粗雑な人間でございますので、何分よろしくお願いいたします。
  4. 久野忠治

    久野委員長 続いて荒舩新政務次官よりごあいさつがございます。
  5. 荒舩清十郎

    荒舩説明員 今回建設政務次官を拝命いたしまして、浅学短才、しかも建設行政に対しましては、まことにしろうとでございまして、足らざる点が多いと考えておりますので、どうぞよろしく御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  6. 久野忠治

    久野委員長 次に、本委員会におきましては、閉会中、北海道、東北、四国及び九州の各地方委員を派遣いたして、河川道路住宅災害復旧状況調査をいたしたのでありますが、ただいまより派遣委員からその調査報告を聴取いたすことといたします。  東北班岡村利右衛門君。
  7. 岡村利右衞門

    岡村委員 今般、去る六月二十三日より七日間にわたり、衆議院規則第五十五条に基きまして、宮城、岩手、秋田、山形、福島の各県下における建設省関係公共事業調査いたし、特に北上川水系及び只見川水系における水没地補償問題に重点を置いて調査いたして参りました。ここにその大要を御報告申し上げ、あわせて関係当局の所見と対策を承りたいと存じておるのであります。  なお本調査に際しましては、専門員室より井上調査員建設省開発課より細田技官が同行いたしたのであります。  まず北上川水系について申し上げます。昭和二十八年二月六日閣議決定となりました北上川特定地域総合開発計画は、北上川本支流洪水防禦対策並びにこれに関連して行われる各種資源有機的利用開発をなさんとするものでありますが、なかんずくその重点がその洪水防禦対策にあることは申すまでもないのであります。本川は明治十三年その改修に着手されて以来、下流部すなわち宮城県側はすでにその大部分を完成、現在その維持に重点が置かれて来たのでありますが、近時における異常なる出水量の増加は、その改修計画の再検討を余儀なくせしめるに至り、計画洪水流量を、昭和二十二年九月における供水を基準として弧弾寺において毎秒九千立方メートルに変更するに至つたのであります。しかしながら、すでに毎秒六千立方メートルの計画にて、下流部改修のほとんどを完成している今日、単に工費の点のみならず、ことにその流域がすでに開発され土地たであるだけに、これに根本的な改訂を加えることはとうてい困難なことであり、さらには一関下流より宮城県境に致る約十八キロの間に存在する狭窄部を流下し得る最大流量は、毎秒六千三百方立メートルがその限度でありますため、上流部における堰堤並びに遊水池の設置により、下流に対する洪水調節をはかるべく計画を改訂するに至つたのであります。すなわち、これがため上流部において、北上川本流に四十四田、雫石川に御所、猿ケ石川に田瀬、和賀川に湯田、胆沢川に石渕の各多目的堰堤を築造することにより毎秒二千立方メートルを、さらに一関付近舞川遊水池を設置することにより毎秒七百立方メートルを、計毎秒二千七百立方メートルの調節を行わんとするのであります。  一方旧北上川については、計画洪水流量を石巻湾に注ぐ河口部において毎秒二千立方メートルとし、このため迫川においては上流花山多目的堰堤を築造するほか、遊水池設置等により、下流における計画洪水流量を毎秒一千立方メートルとすることとし、また江合川においては鳴子多目的堰堤を築造し、これにより毎秒七百立方メートルを調節するとともに、さらに毎秒三百立方メートルを鳴瀬川に分流すべく計画いたしておるのであります。  以上の各堰堤のうち、石渕堰堤は昨年度において総工費約十三億円余をもつて既に完成いたし、四十四田及び御所の堰堤は未着工でありますが、四十四田は三十三年度より約十三億円、御は三十五所年度より約二十一億円をもつておのおの着工の予定でありまして、目下、田瀬、湯田、鳴子花山の各堰堤工事中であります。  以下工事中の各堰堤につきまして、その概要を御説明申上げることといたします。  最初に、田瀬堰堤は戦時中、発電用堰堤として計画され、総工費一千二百万円をもつて昭和十六年七月に着工堰堤本体全容積の約一〇パーセントに当る約四万平方立法メートルのコンクリートを施工したのでありますが、戦争苛烈となるに及び、同十九年八月、工事中止のやむなきに至つたものでありますが、その後カザリンアイオンの両台風を初め年々の水禍にかんが八み、本工事再開緊急性が取上げられるに至り、これを多目的堰堤として堤高を五メートルかさ上げして八十一・五メートルとし、昭和二十五年十月より工事再開運びとなつたものであります。その後発電所二箇所を含む水没補償問題に難航を重ねる等のこともあつたのでありますが、これもようやく解決を見、すでに堰堤本体工事も完了して、今や貯水開始の時期を待つのみの状態であります。  本堰堤による計画洪水調節量は毎秒二千二百立方メールトに及び、この調節能力北上川水系堰堤中最も大なるものであります。またその最大発電力は二万七千キロワツトでありまして、新規開田二千七百町歩、旧田用水補給三千六百町歩に及ぶ灌漑能力とともに、その効果はまことに大なるものがあるのであります。しかして本堰堤築造に要した総工費は約三十一億円余でありますが、戦前においてすでに約一〇%のコンクリートを施行いたしておつたこと、及び当時の附帯設備がそのまま活用せられたこと等の好条件のため、比較的経済的にでき上つたものであります。  次に湯田堰堤についてでありますが、本堰堤北上川支川和賀川建設せられるものでありまして、同川の計画洪水量毎秒二千二百立方メートルに対し毎秒千八百立方メートルを調節することにより、すでに完成せる石渕、目下施工中の田瀬調査中の四十四田、御所の各堰堤と相まつて、舞川遊水池上流点において計画洪水量を毎秒九千立方メートルより七千立方メートルに減少せしめるに不可欠のものであるのみならず、その最大発電力五万四千キロワツト及び農業利水による増産見込額約一億円余等、その効果もはなはだ大なるものがあるのであります。しかして本工事は、本現場より比較的近い距離にある猿ヶ石川田瀬堰堤の竣工に伴い、それらの機械設備等をそのまま利用できる等の利点を有し、昭和三十二年度における完成をその目途といたしておるのでありますが、これが総工費約五十七億円余に対し、現在までに、二十八年度において三千六百万円、二十九年度において四千二百万円、計七千八百万円が支出されたにすぎず、いまだその緒についたばかりの状態であります。従いまして、本堰堤築造による水没地域約六百六十五町歩内における鉄道約十七キロ、国道約十六キロのつけかえ、及び、銅山を主とする鉱山等に対する補償額推定約七十億円を初め、水没戸数四百八十戸、人口役二千六百人余に対する補償等、今後に解決すべき幾多の問題が残されているのでありますが、本地域に対しましては、堰堤建設に対する岩手県当局地元民への啓蒙がよくなされており、往々にして他の水没地域において見られるがごとき空気はまつたく感ぜられないのであります。しかしながら本地域住民の大半は半農半鉱山従業をその生計といたしておりますだけに、単に土地住居移転による生活への影響のみならず、鉱山水没による今後の生計の問題等、それら住民によりましては相当深刻な問題が残されているのでありまして、従来のいわゆる金銭補償のみならず、さらに一歩を進めてこれら住民再起更生に対の国庫の積極的なる措置を特に要望いたしておるのであります。一方村当局といたしましては、村内残地開発による牧畜等により、これら水没住民の更生を一応は考慮いたしておるのではありますが、村有公共建物水没のみにても九十六棟に及び、さらには鉱山資源山林資源水没等による村財政収入の激減は、とうてい村当局として、それらの措置を講ずることを不可能ならしめるのみならず、今後の村財政運営自体が憂慮すべき事態に陥らんとしている状態でありまして、水没地域自治体自体に対する何らかの国庫の援助の道を鶴首いたしているのであります。  次に、鳴子堰堤について申し上げます。本堰堤北上川水系江合川に築造されるものでありまして、すでに昭和十六年宮城当局により、江合川河水統制事業として計画立案されたものでありますが、カザリンアイオン両台風による江合川改修計画改訂の三珠として、建設省直轄のもとに、昭和二十七年度より着工運びとなつたものであります。本堰堤建設は、一応江合川総合開発目的とするものではありますが、その主目的はあくまでも洪水調節にあり、副次的に灌漑及び発電をなさんとするものであります。すなわち、上流鳴子町地内に高さ九十三・五メートルの堰堤を築造し、総貯水量五千万立方メートルの貯水池を設けることによりまして、新江合川分流点における計画流量毎秒二千立方メートルに調節するとともに、最大発電量二万キロワツト、及び下流の沃野一万町歩の灌漑に利せんとするものであります。  本堰堤地点は、両岸屹立し、ほぼV字形の断面は、堅硬なる花嵐岩を露呈し、ダムサイトとしてきわめて好条件を有しておりますため、建設省直轄工事といたしましては、わが国初めてのアーチ式コンクリート堰堤の形式が採用されているのでありますが、これにより、従来の重力式コンクリート堰堤に比し、コンクリート量のみにても約四五%の節約がなされるのでありまして、これが成果は各方面の注目いたしておるところであります。なお本堰堤は総工費約三十億円をもつて昭和三十二年度における完成を目途といたしておるのでありまして、現在まで工事費にして十一億四千万円、約三八%が進捗いたしているものであります。  最後に花山堰堤について申し上げます。本堰堤は、北上川水系迫川支川一迫川に築造せられるものでありまして、同川の計画洪水流量毎秒千四百四十立方メートル中、毎秒九百八十立方メートルを調節するとともに、最大発電力一万四千キロワツトを初め、水道、灌漑水用等、その利用範囲はきわめて広いものがあるのであります。本堰堤は、昭和二十七年に着工、総工費約十四億円をもつて三十一年度における完成を目途といたし、現在までに約六億円余をもつて工事を進めて参つているのでありますが、補償問題の解決がつかず、堰堤本体等、いわゆる本工事の着手に困難を来している状況であります。すなわち本堰堤による水没家屋は百六十五戸に及ぶのでありますが、これらは役場、学校を初めとし、花山村の中心部を占める部分でありまして、これら全部の村外移転は、花山自体の存続を危うくするものでありますため、宮城当局といたしましても、百六十五戸中約三分の一の村外移転はやむを得ないといたしましても、残り三分の二に対しましては同村内荻原地区代替地を造成、ここに本村中心部移転する等、これが対策と地元民との折衝に最大の努力が払われたのであります。その結果、地元民との間に、移転補償が完全に終了すまでは本体工事には一切着手しないこと、但し、附帯工事についてはその限りでないとの協定に達するに至り、その後二十八戸の移転も終了し、本問題も順調に軌道に乗つたと思われたのでありますが、たまたま田子倉地区補償に関する福島県知事勧告が公表されるに及び、地元民は再び硬化を示し、代表者田子倉地区の視察におもむく等、これが再折衝はまつたく暗礁に乗り上げるに至つているのであります。しかしながら、当局といたしましては、工事進捗等の点も考慮いたし、とりあえず機械設備等のすえつけのみにても二十九年度内において完了すべく、地元民との間に了解を得んとして努力いたしている状況であります。  次に、只見川田子倉地区補償問題について申し上げます。只見川はその豊富なる流量に加え、地形、地質とも水力開発に適し、標高千四百メートルにもる尾瀬原貯水池以下の落差を余すところなく利用することにより、その包蔵水力全国の約一割、百九十万キロワツトに及ぶ本邦唯一無二水力包蔵河川であります。しかして、これが開発方式につきましては、只見川本流に沿つて開発する本流案と、奥只見地点より信濃川に流域変更する分水案とが対立し、その論争六箇年に及んだのでありますが、これらの経緯並びに開発計画の詳細につきましては、委員各位におかれてはすでに御熟知のことでありますので、この際重複を避け、今回の調査の主目的でありました田子倉地区に対する補償問題の経緯について申し述べることといたします。  同地点の用地問題につきましては、自発が同地点調査に着手しようとしたときに端を発し、当時流量調査堰堤地点地質調査にすら地元民の猛烈なる反対を受け、その後の調査といたしましては、下流において流量調査のみしか行い得ない状態で、ありまして、戦後OCIの調査を基礎として、辛うじて開発地点地質調査らしきものを作成いたし、この程度の資料が同地点開発のための最も貴重なものとなつているほどであります。従いまして、現在に至るまで同地区に対する測量を初め、工事に必要なる具体的な実施調査は、ことごとく部落民の拒否にあい、同地点に対する計画は、ほとんど図上計画の域を脱していない状態であります。   一方、同地点開発は、昭和二十七年十月、東北電力より電源開発株式会社に引継がれることとなり、開発会社としては同地点開発重要性にかんがみ、これら用地問題を解決すべく交渉を開始したのでありますが、以下福島県知事勧告に至るまでの経過を順を追つて申し述べることといたします。  すなわち、昭和二十八年九月、会社側部落民に対し、田反当り二十七万円、畑反当り二十一万六千円、山林・原野反当り一万八千円、家屋移転補償坪当り二万上五千円の補償基準を提示して了承を求めたのでありますが、これに対し、翌十月部落民より提示された補償要求単価は、次のごときものであつたのであります。すなわち、田反当り七十五万円、畑反当り五十二万旧、山林・原野反当り二十万円、家屋移転補償坪当り六万円、これに加うるに慰藉料世帯当り一千万円、別に家族一人につき五十万円という厖大なるものであつたのであります。以上の補償単価の要求を受けた会社側といたしましては、さらに交渉を継続し、昭和二十九年一月に至り、会社側の許容し得る単価といたしまして、田反当り三十万円、畑反当り二十四万円、山林・原野反当り一万五千円、家屋移転補償坪当り三万五千円、慰藉料一戸当り四十万円を提示したのでありますが、翌二月、部落共有地所有者二十九名から、部落有志として、再び次のことき補償単価が提示されたのであります。すなわち田反当り五十万円、畑反当り四十万円、山林当り四万円、原野反当り三万円、家屋移転補償坪当り五万円、慰藉料一戸当り百万円別に一人当り五万円、さらに、わらび、ぜんまい等天恵物補償一戸当り百万円であつたのであります。以上の交渉経過に見られるごとく、両者間の主張する単価には相当の開きがあり、交渉の妥結はとうてい望み得ない状態となつたのでありますが、その間に会社側用地交渉責任者が病に倒れる等のこともあり、三月末部落民は遂に福島県知事に対し、調定の申立てを行うに至つたのであります。その結果四月中旬に至り、福島県知事勧告書が提示されるに至つたのでありますが、その単価及び数量等につきましては、お手元にお配りいたしました参考資料を御参照願いたいのであります。  これに対し会社側といたしましては、一般公共事業企業会社の行う場合において、その単価にはおのずから多少の差はあるにせよ、勧告書に基く内容は、従来の他の開発地点の例に比し、著しく高額であるのみならず、その数量につきましても、部落への立入りが拒否されているため、十分なる調査が行われていない現在、かくのごとき補償単価並びに数量に基いて算出された補償総額をそのまま了承することには無理があるとし、現地に推進本部を設置し、補償単価並びに数量について実態調査を行うべく、部落民との折衡に努力いたしておるのであります。  以上田子倉地区補償問題につきまして、経過的にその状況を御説明申し上げたのでありますが、何といたしましても補償の対象となるべき財産の数量あるいは近傍における類似財産取引価格等についての十分なる調査が行われていない現状におきましては、これが実態を正確に把握するには、なお相当の困難があろうと思われるのであります。しかしながら、本問題の他地区に及ぼす影響はまことに甚大なるものがあるのでありまして、これが公正にして早急なる解決はまさに国家的な急務といわざるを得ないのであります。  以上をもちまして概況の説明を終るのでありますが、次に今回の調査にあたり、東北班といたしましての所見を申し述べ、関係当局より、それぞれ明確なる御答弁を得たいと存ずるのであります。  まず通産省当局にお尋ねいたしたいのでありますが、田子倉地区補償に関する福島県知事勧告が公表されて以来、全国水没地点住民は著しく動揺するところとなり、田子倉地区補償を見きわめた上で、これと同等以上の補償でない限り、絶対に交渉に応じないという強硬な態度が各所に見られるようになりましたことは、すでに御承知のことと思うのであります。しかして田子倉地区補償福島知事勧告のごとく決定するといたしますれば、全国において現在実施中の堰堤二十八箇地点に及ぼす影響は実に甚大なるものがあり、その補償額の増高は建設省当局の推定によりますと、おおむね百五十億円と計算されているのであります。従いまして、通産省当局におかれても、これら全国に及ぼす影響を考慮され、昨年四月十四日閣議了解となりました電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱が、たとい法的拘束力のないものとはいえ、電源開発株式会社はその九〇%以上を政府出資に仰いでいるいわば国策会社にもひとしいものでありまするがゆえに、あくまで本要綱に根拠を置いた公正なる補償を行うよう、御指導あらんことを希望いたしまして、以下二、三の点につきまして当局の御意向を伺いたいと思うのであります。  第一点といたしましては、福島県知事勧告書によりますと、山林の買収につきまして、水没地以外の残地約千二百町歩をも、水没するものと同様に買収することになつている点であります。すなわち地元側といたしましては、一、これらの山林部落共有林で、部落民共同管理を行うことにより、初めてその経済価値が維持されるものであつて、他地区移転した後、管理人を雇用してまで採算のとれるほど組織的に植林されたものではない。二、従つてこの地区より移転すること自体が、すでにそれらの山林をして水没山林と同じくその価値を消滅せしめることであるとの理由で、これら水没地以外の山林の買収をも主張いたしているのでありますが、一面これを山林買収に対する単価の点より見ますとき、それほど採算のとれにくい山林に対し、天恵特補償を別として、反当り三万二千円の他地区に比し、著しく高額の補償単価を要求いたしておるのでありまして、この間の矛盾の了解に苦しむのであります。しかしながら、一方会社側といたしましては、これらの主張に対し、一応水源涵養林という名目でこれら水没地以外の山林をも買収せんとする意向があるやに仄聞いたすのでありますが、この点に関し、通産省当局の御見解並びに今後の指導方針をお伺いいたしたいのであります。  第二点といたしましては、公共施設補償につきましても、各個人に行うこととなつている点であります。これに対する地元側の主張といたしましては、当地区における公共施設については、県道を初め国あるいは県方面よりの援助を受けたものはほとんどなく、部落民各自がお互いに資金を出し合つて設けたものであり、当然各自が補償を受けるべきであると称しているので、あります。しかしながら、公共施設に、つきましては、それぞれ代替施設の設置により補償すれば足りるべき性質のものではないかと思うのであります。  さらに第三点といたしましては、生業変更補償についてであります。すでに休業補償一戸当り二十四万円が計上されているにもかかわらず、さらに生業変更補償十万円が計上されているのでありますが、これらはまつたく同様の性質のものであり、重複するものではないかと考えられるのであります。  以上三点につきましては、さきに閣議了解となりました電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱に基く補償基準に徴しましても、著しく相違するものと思われるのでありますが、これらに対する通産省当局の御見解並びに今後の御処置について承りたいのであります。  次に、公共事業の施行に伴う補償の公正化に関する立法措置について申し述べたいと思うのであります。現在公共事業を施行するにあたり、各省所管によりまして、土地及び物件等に対する買収並びに補償がそれぞれ異なつた取扱い方法を行つているのでありますが、これがため現地におきましてはその事業遂行上重大なる障害となつているのであります。特に目下重要国策として推進途上にある電源開発に伴う水没補償ないしは建設省所管にかかわる多目的堰堤建設に伴う水没補償につきましては、それぞれ昨年四月閣議了解に基く補償要綱及び本年五月建設省訓令第九号の補償基準従つて補償を行うよう指示されているのでありますが、これらはいずれも法的拘束力がなきため、その運営の実状は危殆に瀕している状態であります。従いまして、これが対策といたしまして、紛争時における審判ないし調停機関の設置等を含む総合統一的な補償法的なものの立法化の必要性が痛感されるのであります。但し、この際考慮いたさねばならぬ点は、現在実施中の堰堤水没補償は、概して物件補償の思想に基いているのであります。しかるに、一方被補償者の水没前における生活の立地条件は、単に現行の補償基準等において規定されております物件的な補償対象以外の自然的、社会的な立地条件に依存している場合が多いのであります。換言いたしますならば、補償は究極において補償後における生活補償であるべきでありまするがゆえに、生活補償的項目をも考慮いたし、適正な補償を実施し得るよう措置すべきであると思うのであります。  以上の点につきましては、特に通産、建設同素局よりの御見解を伺いたいのであります。  最後に最上川についてでありますが、本川は日本三急流河川の一つであり、その流域面積六千五百平方キロメートル余は、山形県の面積九千三百平方キロメートル余の約七割を占めるものでありまして、同県に与える有形、無形の影響は実に大なるものがあるのであります。本川の改修につきましては上中下流の三区に分割いたし、上流部及び下流部に対しては直轄施工を行つております。すなわち下流部清川村より河口に至る間の改修につきましては、昭和二十八年度をもつてほとんどその改修を終り、今後若干未竣工箇所の整備と災害復旧工事並びに維持修繕等、年額約一億円程度の経営費を必要としているのでありますが、上流部すなわち白川合流点より大石田町間につきましては、昭和八年度より二十八年度までに総計五億三千万円余をもつて改修が行われたにもかかわらず、その進捗率はいまだ四八・五%にすぎず、本年度事業費一億四千万円余程度をもつてしては、これが改修完了にはなおほど遠いものがあるのであります。  一方中流部すなわち大石田町より清川村に至る間につきましては、従来まつたくの原始河川のままに放置せられ、洪水氾濫をほしいままにしている結果、その被害は甚大なるものがあり、地元民といたしましては、多年にわたり本地区改修方を熱望いたしているのであります。しかして県当局といたしましても、昭和二十七年度より三箇年計画により、本地区調査を実施いたし、現在その結果の集計を急いでいる過程にありまして、ほぼ改修全体計画の立案も可能の状態となつている模様であります。しかしながら何といたしましても、本地区改修は、直轄施工にて行われている上、下流部改修と密接不可分の関係にあるものであり、上、下流部と並行して当然国直轄にて早急に計画し施工する必要があると思われるのであります。これに対しましての建設省当局の今後の御方針を承りまして、今回の調査報告にかえる次第であります。
  8. 久野忠治

    久野委員長 次に四国班内海安吉君。
  9. 内海安吉

    ○内海委員 私はきわめて簡単に御報告申し上げますけれども、幸い本日は建設省も通産省も担当官がお見えになつておりますから、率直な御答弁をお願いいたします。  さきにわれわれ委員は、国政調査の委嘱を受けまして、村瀬、細野、三鍋、内海四委員とさらに井上調査員が加わりまして、七月の五日に東京を出発して十三日まで九日間、和歌山並びに四国地方を視察して参つたのであります。和歌山県及び四国地方を一巡いたしましたが、主として同地方における災害復旧、地盤沈下及び総合開発実施状況等を調査して参りました。この機会においてその調査の概要を御報告申し上げ、あわせて建設当局の責任ある御答弁を得たいと存ずるものでございます。  まず第一に和歌山県でありますが、御承知通り、本県は昨年の七月、山間部を中心といたしまして県下一帯を襲つた四百ミリ以上の豪雨によりまして、未曽有の大被害を受けたのであります。特に有田川、日高川及び貴志川筋の災害は甚大でありまして凄惨をきわめたのであります。今回は特に被害の多かつた有田川筋の災害復旧状況を視察して参つたのでありますが、本河川の災害復旧工事は、その後着々進捗いたしまして、地元民の異常な協力と熱意によりまして、工事の出来高が六月末現在におきまして実に八〇%以上に達しているということは、全国の災害復旧から見ましても、一つの記録であるといつてもよろしいと思うのでございます。  しかるに、本年の六月、紀北を中心とした和歌山県一帯にわたる大水害がまた起つて来たのでありまして、最高の降雨量は三百八ミリ、和歌山市においても二百ミリに達するという豪雨であつたのであります。これがために各河川の氾濫、増水、堤防の決壊など莫大なる被害をこうむつたのであります。その被害の総額は、実に全県を通じまして、六十六億円と称されております。このうち土木関係の被害を見ますと、十四億円と唱えられておるのであります。かくのごとく連年打続く災害のために、和歌山県及び市町村は財政的に極度に疲弊しておるのでありまして、これが応急対策並びに原状回復につきましては、緊急関係方面対策を要望されておるのでありまして、特にこの問題については、小沢建設大臣もはるばるこの和歌山県においでになりまして、実地調査されて来たのでありまするから、およそ建設省におきましても、それぞれ対策を練つておられることと存ずるのでございます。  以下数項をあげまして、建設当局の御意見を承りたいと思うのであります。  第一は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法適用基準の引上げをどういうように考えておられるか、これは河川局にお尋ねいたします。  第二点は、災害復旧に関する仮工事国庫負担を全面的に認めることはどうであろうか。これも多年の問題となつて、ひとり和歌山県だけでなく、これまた日本全国の問題として、目下研発されておる問題でありますが、この機会において、この問題に対して責任ある御答弁をお願いしたいと存ずるのであります。  第三は、国庫負担金のすみやかなる概算交付、いわば災害が起りましたならば、ただちにこれに対して、ちようど電話なりあるいは電報によつてこの情報を得ましたならば、とりあえずその予備金なり何なりから国庫において負担するところの金額をすみやかに交付するというような手を打つことについて何かお考えがあるかどうか、この点も重大な問題でありまするから、この際ぜひとも責任ある御答弁を願つておきたい。  第四は、大幅な起債を許すごと。今日は国家財政から見ましても、すみやかに予備金をもつて負担するとか、あるいは大蔵省の財政当局の手によつてどうこうというようなこともなかなか困難である。こういう応急な場合においては、すみやかに起債の面において何とか考慮することができないだろうか。この点についても、やはり同じくそれぞれの担当官から御説明を願いたいと思うのであります。  第五は、人夫賃の適正なる評価であります。最近労働賃金の変化というものは、実に著しい。東北やあるいは関東あるいは中国、四国地方状況を見ましても、一律ではなかなか間に合わぬことが多いのでございまして、これらの地方の事情あるいは経済の関係から見まして、適正なる人夫賃というものを定めることが必要ではないか。これらに対して便宜の処置を講ずる方法はないか、この点についても責任ある御答弁を願いたいのであります。  これらはいずれも地方財政の窮迫に起因するところの要望でありますが、さらにまた公営住宅の使用範囲の緩和等についても切実なる要望があつたのであります。これらの使用範囲の緩和という問題はなかなかこれは容易な問題ではありません。もちろん住宅問題は住宅法の定めるところによつて、それぞれ基本法があつてつておるのでありまするから、これらの問題を情実によつて運営することはなかなか困難でありましようけれども、しかしながらときに例外があつてもよろしいと思うのであります。これらの点について、いわゆるこの公営住宅の使用範囲について何かいい策がありましたならば、行政的の手段方法としてとお考えがあつたならば、この機会に御説明を願いたいと思うのであります。  以上は和歌山県下の災害復旧に関する問題でありますが、これが根本的な再検討を要することと存ずるのでありまして、この六点について政府当局の根本的の対策、意見その他について、この機会において御説明を願いたいと思うのであります。  なお四国地方の関係につきましては、愛媛県出身の村瀬君は、われわれ同僚委員でありまして、この方も一緒に調査されたのでありますので、この方の上京を待つてつてこの意見もまとめて御報告申し上げたいと思うのでありますが、本日は和歌山県を切り離して御報告申し上げ、かつ政府当局の御意見を承りたいのでございます。  以上簡単ではありますが、私の和歌山県における報告はこれをもつて終りといたします。  なおこの機会に、ちようど岡村委員報告の中には、一にも、二にも北上川を中心としたるところの御質問、及び只見川を中心としたるところの御質問がありましたが、その要点は、帰するところ補償問題の基準法がはつきりできていない。現在のいわゆる行政機関がまちくになつている点もあるのでありますけれども、われわれの信頼する小澤大臣におかれては、すでに国土省というようなお考えもあるやに聞いておるのでございまして、この機会において何かこの補償問題に対して立法方法についてお考えがありましたならば、この機会に大臣の御所見を承りたい。同時に、こういうような問題について、何か立法のお考えがあつたならばさらに聞いておきたいと思うのでございますが、ぜひともひとつこの機会に大臣のお考えを御表明願いたいと存ずるのでございます。  以上でございます。
  10. 久野忠治

    久野委員長 次に北海道班堀川恭平君。
  11. 堀川恭平

    ○堀川委員 今般去る六月二十六日より八日間にわたり、衆議院規則第五十五条に基きまして、北海道地方における今次災害を重点として調査いたして参りましたので、この際関係当局御所見と対策を承りたいと存ずるのでございます。  まず大蔵当局にお尋ねいたしたいのでありますが、御承知のごとく北海道における特殊事情といたしまして、十月末よりの積雪寒冷期におきましては、土木工事の施行は困難をきわめるのみならず、その寒冷期の終る三、四月におきましては、例年のごとく融雪による災害の発生を見ているのであります。従いまして、特に災害の復旧等に関しましては、少くとも寒冷期に入る十月末までには、何といたしましても一応の復旧を完了いたさねばならないという実情にあるのでありまして、これらに対する早急なる予備費の支出、起債の承認等が特に要望されるのも当然のことと思うのであります。   〔委員長退席、内海委員長代理着席〕  特に今次災害の約四〇%を占める開発庁関係の災害につきましては、国の事業でありますため、起債等の処置は講ぜられないのでありまして、二、三月の後に寒冷期を控え、予備費支出の時期を焦慮いたしているのであります。一方建設省当局におきましては、すでに査定を終り、大蔵省当局折衝の段階にある模様でありますが、これら予備費の支出等に関する大蔵当局の見通し並びに御見解について、特に明確なるお答えを承りたいと存するのであります。  次に、北海道防寒住宅建設等促進法の運用についてでありますが、去る第十六国会におきまして成立を見ました本法は、国策による総合開発途上にある北海道住宅対策の基本方針が、法的に確立されたことに、画期的な意義があると思うのであります。しかして、本法の運用にあたつて最も基本となるべき点は、法第三条及び第四条にかかる防寒住宅に関する試験研究並びに普及指導事業等に関する規定であろうと思うのであります。従来道当局においても極力この点につきまして意を払つて参りました結果、昭和二十八年度におきまして、これらの目的に対し約二百九十万日余の補助が認められたのでありますが、本年度におきましては、本法成立第一年度であるにもかかわらず、遂に本法に基く国庫補助の実現を見るに至らなかつたのであります。もちろん本年度一兆円の超均衡予算の影響によるものとは思うのでありますが、道路整備費の財源等に関する臨時措置法といい、また本法といたしましても、道民渇望の法律に対し、その実施第一年度におきましてすでにその根本をくつがえすがごとき措置をとりますことは、国民の法に対する不信、国の行政に対する不信を招くものであります。のめならず、北海道における寒地住宅の促進につきましては、これを時期的に見ましても、目下特に防寒住宅に関する試験研究並びに啓蒙指導に力を尽さねばならぬ段階にあるのでありまして、来年度におきましては何といたしましてもこれらに対する予算措置を講ずる必要があると思うのであります。  最後に道路の凍上破損に対する路盤改良及び鋪装工事の促進について申し上げます。  本道におきましては、積雪寒冷の特殊気象による路盤の凍上及び融雪期における融盤のため交通が随所で杜絶いたし、四月——六月中旬までこれが復旧に道道約五千キロに一億円、国道市町村道を合せて約二億円以上の修理費を必要とするのでありまして、連年これを繰返していたのであります。特に自動車台数の増加に伴いまして、これら凍上破損はますます増大いたし、これが対策は本道としましては最も苦慮いたしいたのでありますが、二十八年度以来国庫補助による特殊改良工事道路鋪装工事が認められ、事業費一億円程度の工事実施いたしておるのでありますが、この結果はきわめて良好の模様であります。このためには特殊改良工事一キロ当り三百万円、道路鋪装工事一キロ当り二千万円程度の多額の工費を必要とするものではありますが、連年多額の修理費を要すること、及び四月六——月間の交通困難または杜絶による産業経済への影響を考えますとき、これに対する国庫補助を大幅に増額いたし、この事業の施行を急速に進行せしめますことは、きわめて効果の大なる事業と思うのであります。このことは単に北海道のみならず、青森県を初め内地寒冷地についても同様でありますが、本事業推進に関する当局の御見解並びに見通しについてお伺いいたしたいのであります。  以上、所見を申し述べ、関係当局よりの明瞭なる御答弁を期待いたします。  また視察に行きましているく陳情も聞きましたが、なるほどと思うことも相当ありましたから、また別に御質問申し上げることにいたしまして、本日はこの程度で終ります。
  12. 内海安吉

    ○内海委員長代理 それでは九州班の視察報告について久野忠治君。
  13. 久野忠治

    久野委員 今般去る六月二十五日より一週間にわたり、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の各県下における去る二十八年度の大災害の一年後における復旧状況をつぶさに視察して参りましたので、ここにその大要を報告し、あわせて関係政府当局所見対策を承りたいと存ずるのであります。  まず福岡県について申し上げます。本県最大の悩みは、昨年の大水害に対する復旧費の不足問題であります。二十八年度土木災害の復旧費総額は、町村災害も合せて約八十五億円の巨額でありまして、これに対し二十八年中に二十一億円すなわち全体の約二四・六%を施行いたしました。二十九年度は雨量二百ミリを対象として、最も危険な箇所を選定して約二十六億三千万円の工事計画し、本年の雨期までに、すでに仕越し工事として約十三億一千万円の工事を完了したのであります。しかるに、これに対し二十九年度の国庫補助の対象として決定した事業費はわずかに十五億四千万円にすぎず、仕越し工事の十三億円を差引くと、二十九年度は新規工事はほとんど着手できない状態であります。すなわち二十九年度の予算はほとんど仕越し工事に向けられるものとすれば、今後の工事は三十年度予算を対象とするつなぎ資金融資を期待するほかなく、これとあわせて一時借入金に対する利子補償問題が、各県各市町村の圧倒的要望でありました。  たとえば全村大災害をこうむりました大福村の実例について申し上げますと、本村の災害復旧費は約八千万円でありまして、これに対する国庫補助金は僅々九百七十二万円、起債八百六十万円、一時借入金が実に六千万円に達したのであります。この借入金は地方銀行あるいは農協等より借用したものでありまして、年利一割以上に達するものでありまして、これらの金利を補助金より差引きますと、実質上の補助率は四割ぐらいになると称しています。補助金が数箇年にわたつて細分して交付されれば、その大半は金利に充当される結果となり、表面上補助金は全額交付されても、実質上の工事完成しないという結果となるから、つなぎ融資と利子補給は本村の死活問題であると申しています。この点に関し政府の対策を承りたいと存じます。  次に、本県においては、本年の雨期に備え、最も危険箇所と考える部分について約二千五百万円の仮工事を施行し、多大の効果が期待されているが、かかる種類の応急工事を年々繰返すことは、いかにも国費の浪費と考えられるのであります。また各省及び会計検査院の数回の調査、再査定等により、事業費は逐次削減され、補助率は公称九割から実質的には七割ぐらいになると申しています。  門司市におきましては、総復旧費二十二億円に対し、二十八年度はわずかに一五%の進捗率で、水害続発の危険は去らず、市民は一雨ごとに戦々きようきようとしている状態であります。これがため水防資材を準備して水防態勢を確立していますが、本来の河川砂防工事の促進を熱望しています。また門司市より小倉、戸畑、若松に至る臨港道路もその整備促進を強く要望しています。小倉市におきましては昨年特に大氾濫を惹起しました板櫃川と合馬川の浚渫並びに復旧工事の促進を要望しています。若松、戸畑両市におきましては、昭和十二年来の懸案である若戸橋の架設を、関門墜道の完成と同時に完成したいと希望しております。事実洞海湾ののど首で、毎日数万の人員と数百台の自動車を渡船をもつて渡航せしめることは、すでにその極限に達していると考えられ、有料道路として一も最も有利な事業と考えられます。  次に、佐賀県におきましては、二十八年度土木災害の査定額約三十八億円に対し、二十八年度の国庫負担工事額はその約一七%六億五千万円でありまして、そのほかに約六億円の仕越し工事があります。この仕越し工事六億円が貧弱な佐賀県財政をさらに困窮に陥れ、遂に全国初の公務員給料分割払いの先端を切つた主因となつたことは、去る二月の参議院における同県知事の陳情にも明かな通りであります。この仕越し工事六億円に対しましては、とりあえず二十八年度末のつなぎ融資二億円と、二十九年度の国庫補助金を充当しますので、二十九年度新規の資金は約一億円にすぎないのであります。しかるに二十九年度は、雨期前の緊急実施額六億七千万円と、引続き施工希望額一億八千万円と合せて約八億五千万円の資金を必要とする次第でありまして、差引き七億五千万円の資金不足となつておるのであります。この不足額に対しましては、二十九年度の補正予算か、つなぎ資金によるほかはなく、災害の続発する限り、県財政はますます窮迫の一途をたどるのであります。  次に、熊本県について申し上げます。本県の二十八年度土木災害査定総額七十四億円に対し、二十八年度は国庫補助工事十二億八千万円でありまして、さらに約六億円の仕越し工事があります。これを二十九年度の十二億円より差引くと、二十八年度末の融資七億四千万円を返済することは不可能となるのみならず、新規工事は一切不能となるのであります。  最後に大分県におきましては、二十八年度土木災害査定総額三十九億円に対し、二十八年の国庫補助工事費は六億二千七百万で、総額の一六%であります。二十九年度の国庫補助工事費は約七億一千万円でありまして、二十八年度の仕越し工事費約二億九千万円を差引きますと、殊余は四億二千万円となるのであります。しかるに二十九年度の実施計画は約十五億でありますので、その差額はつなぎ資金によるほかなく、実現は至難と考えます。  以上が今次災害地調査の概要でありますが、これを要するに地元民一同の要望は次の諸点であります。   一、政府は災害復旧工事は、三・五・二の比率をもつて三箇年をもつて完了すると幾たびか明言しているが、はたして二十八年災を三箇年間に完了する意思があるか。  二、初年度たる二十八年に三〇%の国庫補助があるものとして、あらゆる手段を講じて資金を調達し、三〇%の復旧工事を施工したにもかかわらず、二十八年度は約一五%、二十九年度は約三二%程度の補助工事しか認証されず、二十九年度はほとんど新規事業は着手できないが、このままでは今後の災害対策に自信が持てない。  三、特に町村の二十八年の仕越し工事に対しては、利子補給の道を講じてもらわなければ、町村の財政が破綻に瀕するところが多い。  四、今回は中央各官庁よりたびく調査々定に来られ、その都度査定額は減少され、さりとて危険箇所の工事は簡略にするわけにも行かず、特別立法による高率補助も従来の補助率以下となる結果となつた場合が多い。  以上の諸点に対し、政府当局の誠意のある御見解と施策の方針を承り、わが国が一日も早く災害亡国の危険より立ち直らんことを切望する次第であります。  以上簡単に御報告申し上げます。
  14. 内海安吉

    ○内海委員長代理 以上各委員報告につきまして、政府当局より意見を聴取いたしたいと存じます。まず小澤建設大臣。   〔内海委員長代理退席、久野委員長着席〕
  15. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 大体におきまして、根本的な治山治水をどうするかという問題になつて来ると思うのでありますが、この問題につきましては、皆さんすでに御承知通り、政府は、昨年の大災害にかんがみまして、政府部内にいわゆる治山治水協議会というものを設けまして、緒方副総理が委員長、また建設大臣、農林大臣、大蔵大臣等が各委員になりまして、いろいろ検討いたしたのであります。この検討の結果は、大体結論がついておるのでありますが、その結論から申し上げますと、日本を災害のない国にするのには、大体一兆八千億という厖大な金がなければ、完全な治山治水ができないという結論になつておるのであります。そこで、この一兆八千億というものを、かりに十年継続事業でやるといたしますれば、年々一千八百億ずつこのための予算を盛らなければならぬというような状態なつておるところに、御承知の日本の経済の現状が一兆円予算の余儀ないようなことになつておるわけであります。  それから災害復旧の問題については、ただいま委員の各位から御報告のあつた通り、昨年の臨時国会におきまして、二十八年災は三・五・二の割合で復旧をするということに政府も了承せられ、国会もこれを主張したのであります。ところが、いよいよ二十九年の予算編成にあたりましては、つまり査定金額が補正予算当時よりは政府部内で大分見解の相違があつたのであります。具体的に申し上げますと、昨年の補正予算の際の臨時国会においては、大体政府の補助あるいは直轄工事をする目標の金額は一千五百数十億というのが当時の意見であつた。従つてこれに対する二というものが原案で出されまして、さらに一というものを修正いたしまして、三・五・二を実行しようということになつておりましたが、昭和二十九年度の予算の編成に際しましては、大蔵省と現場であります私の方あるいは農林省との見方におきまして、非常な食い違いを生じております。すなわち、大蔵省では、今申し上げました一千五百数十億は、再査定の結果、一千百億程度のものであるというような議論になりまして、それはもちろん現場の省であります私の方も農林直の方も認めておりませんで、いまだ結論を得るに至つておりませんが、とにかく政府部内の見解が、大蔵省は一千百億程度に査定することが適当だという意見を有し、私どもは最初の予定通り、再査定の余地はないというような意味で、その結論に達していなかつたのでありますが、この結論がない間に二十九年度の予算が編成されまして、この新しい査定、すなわち大蔵省の見解に基いて三・五・二というようなものが組まれたわけであります。従つて、基礎になる数字が片一方は一千五百億、片一方は一千百億というのでありますから、同じ五といいましても、基礎が違いますから、予算の数字に大きな食い違いが来ることは当然でございます。しかしこの問題は少くとも私どもが今後すみやかに政府部内の意見を統一して、根本的な解決をしなければならぬと思うのでありますが、いずれにいたしましても、昭和二十九年度の予算はすでに確定いたしておりますので、問題は、この二十九年度の予算、二十八年度の補正予算で組んだ事業が完遂されまして、なおそれ以上事業が進んだ場合にはどうするかというような問題が、現実的には一番大きな議論になると思うのであります。  こういうような状態に置かれまして、私が今回建設大臣なつて今日一番悩み続けておるのは、根本的な治山治水は先ほど申した通り、災害復旧はこの通り、それで一体出水期を控えてどうして災害に対処するか、この問題が私の一番悩みの種であります。いまだ十分には決定しておりませんが、この隘路、すなわち予算の隘路を現状やむを得ず認めておつて、それで、どうすることによつてたとい幾分なりとも災害から免れるか、災害を防止することができるということについて悩んでおるのであります。そこで私といたしましては、とにかく私が就任のときには、大体二十九年度の予算はすでに各府県に配賦されておりましたが、まず各都道府県の土木部長会議を臨時に開きまして、いまや出水期を控えて、災害復旧の十分でない場所、あるいは河川改修等のすみやかにしなければならぬ場所等が、おのおの各府県にあるわけである、そのある部分のうちの最も危険な部分だけを何とか応急的に工事を進行させて、そうして災害から幾分なりとも免れるような態勢をとろうではないか。そうした具体的措置をどうするかといいますと、大体災害において破堤する堤防というようなものは、各県から見て、建設省でも大体わかつておりまするが、各県でこことここが一番危険だという箇所があるのでありまして、そのうちの最も危険な一、二箇所というものを取上げて、そうして諸君の方で現在の予算のやりくりでできなければ、つなぎ融資とかなんとかで相談をするから本省の方へ持つて来い。本省の方で一生懸命諸君の方と相談して、なお大蔵省との間で話がつかなかつた場合には、余裕のある県は自分の県で立てかえてその工事だけはやつておいてくれ、もし立てかえてやつてくれれば、来年度の予算には優先的に見てやるというような措置を講じまして、最も重要な点だけは、この乏しい財政の中にも善処をいたしまして、そうして災害から幾分なりとも——比較的の問題に、なりますが、幾分なりとも免れたいという方針をとりつつあります。  これは積極的な面でありますが、さらに消極的な面に対しましては、まず水防を強化すること、現在までもございましたが、やはり水防団の勇敢な働きによつて、本来ならば、放置したならば破れるというものが破れずに済んだために、非常な災害から免れたという例がたくさんあるのがございます。しかしこれは消極的な面でありまするから、世間にもわからずに、こうした働いた人々は、縁の下の力持ちをしているような現状でございますけれども、これは非常に大事な問題であるから、まず水防団を強化しよう、また水防団だけではいけないのでありまして、水防資材というものをもう少したくさんやろうというので、せんだつて、今まで前例はないのでありますが、予備金から一億数百万円というものを特に閣議で主張をして出してもらいまして、これはすでに各都道府県に配賦済みであります。しかもこれは三分の一の補助でございますから、実際の備蓄量というものはこれの三倍になりまして、三値一千万円程度のものが二十九年度の予算にプラスして水防資材の備蓄ということが可能になつておるような次第でございます。  しかしまたもう一点疑問のあることは、かりに水防団が満を持して水防に備えており、また資材がありましても、どうもやはり水防団の常として、いよいよ堤防なら堤防がくずれそうになりますと、自分の家の方が心配になりまするから、堤防の備えをあとにしまして、自分の家に逃げてしまうおそれが多分にあります。これは人情から言いまして当然のことであります。これはやはり水防団だけではいけないのでありまして、ここで自衛隊の応援を事前に連絡をとりまして、そうして堤防をできるだけ守るという行き方が大事であるというので、これも閣議で発言をしまして、木村保安庁長官にも了解を得、同時に、先般御審議を願いました自衛隊法も、前の保安庁法と比較をいたしますと、きわめて簡単に公共の事業に出動できるような規定になつておりますので、これとあわせまして防衛庁と私の方と相談をして、こういうような場合に簡単に出動できるような打合せをして、その打合せ事項を各府県に流して、消極的ではありますが、何とか水防に万全を期そう、この二つの線をねらつて今までやつて来たのであります。昨日ちようど——今まで開いたことがございませんでしたが、全国の水防団の団長会議を開きまして、同時に私の気持をつぶさに団員諸君に申し上げて、そうして日本の現状からして、何とかこの日本の経済の降路を打開する一部分としてもそういう方法をやつてくれないかということを懇請しましたところ、水防団の諸君が数百人集まりましたが、みな私どもの気持を了解しまして昨日おわかれしたような次第であります。こういうようなことはきわめて消極的なことで、どれだけの効果があがるかわかりませんが、私としましては、与えられた険路の中で全力を尽して災害からのがれようというようないろいろなこまかい手を打つております。また水防団に対しましても、現在では、かりに水防団員が水禍のために犠牲になつたような場合におきましても、政府は一文の補償もしないという姿でありましたが、これも何とか——大蔵省とまだ話はつきませんけれども、犠牲者が出た場合には三十万円、五十万円というものを国家が出してやり、そうして安んじて水防に働いてもらうような制度も必要だというので今交渉をいたしております。いたしておりますが、まだ結論は出ませんから、ここで具体的なことは申し上げられませんけれども、そういうような方法を講じて、この年々の大きな災害を、できるならば一〇〇%、できなければその半分でも三分の一でも防ぐことが、私の大きな任務だと考えてやつておるような次第であります。  以上が、大体各委員から御指摘のあつた災害復旧額が不足なものに対する今後の対策のあらましの考え方であります。  それから共通の問題でもありました立ちのき者の補償の問題でありまするが、これは各委員からも御報告があつた通り、公共事業を遂行する上におきましては、非常に重大な問題であります。それでは一体この問題に対してお前はどう考えておるかということを申し上げますならば、私といたしましては、これは専門的に研究したのではない、私のほんとうの常識から申し上げるのでありまするが、まず補償問題における被補償者というものは、国策の犠牲になるのでありまするから、この犠牲者になる人のためには、でき得る限りの援助すなわち補償というものをやらなくちやならないと思う。すなわちこういう被補償者が他に移転をいたしましても、再生活に不自由がない程度の補償はしてやるべきだという信念を持つております。しかしながら反対に、これは公共の犠牲になるのでありまして、被補償者がこの移転によつて金もうけをするという姿は認むべきじやない。つまり移転しなかつたよりも移転したことによつて大きな財産家になつたというようなことは、公共事業という建前からこれは認めないのが至当であろうというふうに考えておるのであります。それが額を決定する抽象的基準にならなければならぬと思うのであります。  もう一つの考えは水没者あるいは被補償者に対する扱い方が、全国平等、公平でなければならぬと思います。ある堤防の犠牲者は非常にもうかつたが、ある者は非常に損して犠牲を払つたという姿では、将来こういう公共事業の遂行はできません。そこで私どもはどこまでも、かりに省が違いましても、いやしくも公共事業のために犠牲になる人の受くべき補償というものは均等であり平等であらねばならぬと思うのであります。たとえば通産省が電気事業のためにやつたから少しはもうけてもいいのだ、建設省の方は予算がないから少くともいいのだという姿では、この公共事業というものは完全に遂行できないと思うのであります。そういう意味から私どもはその所管がどこであろうと、公共事業である以上は、少くとも均等なる補償を与えるという原則を打立てなければならぬと思うのであります。そうした意味から、大体現在では法律も完全なものがございませんので、昨年の四月の閣議了解というものを標準として、私どもはこの補償者に当るべきだという信念を持つております。しかしながら、いかにいたしましても土地収用法という法律が一本あるたけでありまして、きわめて近代に沿わない法律だと私は考えております。やはりこの法律を改正いたしまして、また制度等も検討いたしまして、そうして時代に適した、しかもただいま私が三つの原則を申し上げましたが、この三つの原則が織り込まれて、しかもその執行にあたつても、公正にこの三つの原則が貫くことができるような制度に改正することが適当であると考えまして、目下事務当局とともに研究中でございます。そうして研究の内容については、それぞれの主管局長なり担当者から御答弁申し上げまするが、来るべき国会ではこの問題については皆さんの御審議を仰ぎたいと思うのでありまして、また国会が開会される前にも、でき得ることでしたら小委員会等も設けまして、皆さんの御意見を承りながら立法化されることがなお望ましいと私は考えておるような次第であります。  その他の点につきましてはそれぞれの主管局長から御答弁いたします。
  16. 石破二朗

    ○石破説明員 ダムのために水没する立退者の補償その他一般の公共工事用地の取得に関しましては、先ほど大臣から申し上げました通りの方針によりまして、目下省全体としての問題として検討いたしております。まだ省としての意見がきまつたわけではありませんが、ただいまお手元に御配付になつておりますような線で考えておる次第であります。一項から六項まで書きわけておりますが、いずれにつきましても部内におきましてはまだ相当の意見があり、まとまつたものではございませんが、これを起案した者の気持を御説明申し上げて御参考に供したいと思います。  第一番目は、国、地方公共団体等が土地等の収用を認められている事業を行う場合におきましては、用地の取得は原則として土地収用の手続による、こう書いております。この意味は、従来の例は、大体土地収用法というものは伝家の宝刀であつて、これはめつたに抜くべきものではない、なるべく協議して任意買収でやつて行こう、こういう方針で参つたのでありまして、これはまことにけつこうな方法ではありますが、最近の例覚ますと、なかなか任意買収ということでは時間もかかりますし、また土地を手放す方にいたしましても、いろいろ役人が御説明いたしましても、何かうそをついておるのじやなかろうかというような御心配がある場合もあると見えまして、話がなかなか簡単にきまらぬというような事例もあり、いよいよ問題がこじれてから委員会に持つて来ましても、かえつてこれは非常な摩擦を生ずるというような結果になつておりますので、ひとつこれは国が用地を取得する場合には、あたかも工事を請負いに出す場合には競争入札にしなければならぬという法律があるように、原則として土地収用の手続によつたらどうかと考えたわけであります。もちろんこれには前提をなす条件がたくさんあるわけでございまして、以下にそれを書いておる次第でございます。  二番目と三番目は、現在の土地収用制度をもう少し強化して、土地所有者が安心してそういう委員会の裁定に服するような制度をつくつたらどうだろうということで考えたのでありますが、二番目は、土地収用委員会の決定を公正かつ権威あるものたらしめるための所要の措置を講ずる。たとえば委員の選任については、現在は知事限りでありますが、大臣の承認を要するようなことにしたらどうであろうかとか、あるいは給与についても相当の給与を差上げても専心こういう仕事をやつていただくようにしたらどうであろうか。また身分保障というようなことも、ある程度は考えなければならぬかとも思いますが、その点を考えて委員会そのものを強化して、国民がこの裁定に信頼を置くような制度にしたらどうだろうか。  第三番目には、中央に中央土地収用委員会のようなものを設けて、地・万の委員会の決定に不服な方は、いきなり裁判所に行くような現在の制度よりか、中央にもう一ぺん持つてきて、権威のある中央委員会の裁決を求めるという道を開けば、土地所有者は相当納得されるんじやなかろうか、こういう点を考えた次第でございます。  二、三は機構の問題でありますが、四番目は、「委員会が収用対価を決定するに当つての規準となるべき事項を法定する(現に閣議決定されている要綱を出来得る限り詳細にしてこれを法律化する)。」これは裁判でいいますと実体法に当るわけでございまして、委員会が裁決されるものさしを法定したらどうか。現在は閣議決定なり建設大臣の訓令でしておりますが、やはりこれは国会の議決を経て、国民の納得のもとに一つのものさしをつくつてもらつたらどうか。これで機構も強化され、ものさしもはつきり国民が納得したということならば、いきなり土地収用という方法をとつても、国民はそう異論はないんじやなかろうかと考えたわけであります。もちろんこの基準をつくりますその基準補償の考え方につきましては、ここには書いておりませんけれども、先ほど大臣がお話になりました通りの、土地収用されたがために土地所有者が不利益をこうむるということのないような基準を当然考えなきやいかぬものだと考えておるのであります。  それから五番目には、「土地収用法の規定による斡旋が不調に終つたときは関係当事者は直ちに土地収用手続を取ることができるように土地収用法を改正すること。」これは非常に事務的なことでありますが、昨年土地収用法の改正を御審議願いました際に、斡旋委員という制度をつくつていただいたのでありますが、これが正式の土地収用手続の一部になつておりません関係もありまして、活用されておらぬ実情でございます。これはもう少し活用するという意味で斡旋委員のあつせんを正式の土地収用手続の一部にしたらどうかという意味でございます。  それから第六番目には、これは補償の一つの方法として「起業者に代替地供給についての責任を出来得る限り負担せしめるよう法規を改める。右責任を果すための一助として代替地の収用をも認めることとする。」これは現在金銭補償というのが一応の原則になつておりますが、最近はなかなか代替地を取得するのが困難だというようなことからこういうことを考えたのでありますが、補償の方法といたしましては、ひとりこれだけで解決する問題ではありませんので、まだたくさん考えなければならぬことがあると考えております。  それからこれらの措置は遅くも来年の四月から実施に移したいというところで、建設省といたしましては準備いたしておる次第でございます。
  17. 久野忠治

    久野委員長 次に通商産業省公益事業局次長小出榮一君。
  18. 鹿野義夫

    ○小出説明員 通産省に対する御質問の趣旨は、岡村委員からの田子倉に対する補償問題に関する質問のように承つております。要点は、一つは水没地以外の、いわゆる残地に関してもこれに補償することが適当であるかどうかという問題。それからもう一つは、公共施設補償というような関係のものが入つておりますが、これを認めることが適当であるかどうかというような二点が、大体中心であつたように承つております。  田子倉の電源開発会社が開発いたしております田子倉地点補償問題の経過につきましては、皆様十分御承知だと思いますので、繰返して詳細な経過は御報告申し上げたくないと思いますが、通産省といたしまして、この田子倉補償問題に関しまして、今日までに取扱つて参りました立場と申しますか、経過につきまして一応御了解を得ておきたいと思います。  電源開発会社の行つております開発で、現在一番大きな開発地点は、天龍川の佐久間でございますが、これは着々進行いたしておりまして、これに次ぎまして最の重要な地点只見川水系でございます。従いまして、田子倉の電源開発というものが急速に完成されるということは、これは電源開発全体の立場から申しましても、非常に大切なことでございまして、補償問題につきましても、できるだけすみやかに、かつ円満に解決するということを、かねてから念願いたしておつたのであります。会社といたしましては、昨年の八月に、会社としての最初の原案を提示いたしたのでありますが、これに対しまして地元の方からは、単価にいたしまして約その十倍近くの要求が出て参りました。従いまして、この間非常な開きがございましたので、長い間相当の折衝を重ねました。福島県知事その他地元の各位の非常なごあつせんを得まして、だんだん話が進んで参つたのでありますが、たまたま本年の四月十四日になりまして、福島県知事から一応の裁定案といたしまして、勧告書会社側及び田子倉の部落民各位に提示さたのでございます。この勧告案に対しましては、部落民はごく一部の反対者を除きまして一応了承いたしまして、会社側も現地の建設所長の名前において仮調印をいたしたのでございますが、その内容を見ますと、御承知通り総額九億一千六百万でありました。水没戸数は五十一ということでございますが、一戸当り平均千八百万円を越えるというものでございました。中には最高は九千万円もらうとか、それから間借りと申しますか、下宿しているような人でありましても三百二十万円くらいもらえる、こういうようなものが出たのでございます。これは御承知通り、田子倉は非常に立地条件のよろしい、天恵物の非常に豊富な、一般の地域に比べますと非常に特殊な部落ではございますけれども、それらの特殊事情をいかに織り込みましても、これは何としても高過ぎる。従いましてこの勧告案が発表されました結果、先ほどからも問題になつておりますように、単に電源開発地点のみならず、建設省関係あるいは農林省関係の一般の公共の開発に非常な支障を来しておりまして、せつかく補助問題で話がつきかかつておる地点が、この問題が起きたために一頓挫を来しまして、話が逆もどりするというような事例が相当出て参りました。  従いまして通産省といたしましても、この問題を非常に重大視いたしまして、会社に対して警告を発し、会社といたしましては、実は従来この田子倉地点開発というものは、当初の出発が、御承知通り事実上は東北電力が担当してあの水系の開発を進めて来ておつたという関係もございます。従いまして現地の建設所長も東北電力におられた方が兼ねておる、こういうようなかつこうになつておりましたために、必ずしも現地と本社との連絡も十分でなかつたというような関係もございまして、従つて本社といたしましては、この福島県知事と現地の建設所長との間に一応の仮調印のできました勧告書なるものは認めないということを正式に決定いたしまして、その旨を関係者に通知をいたしたのでございます。  そこでその後の処置といたしまして、この問題を直接本社において取上げるということになりまして、至急田子倉補償推進本部というものを本社に置きまして、電源開発会社の平島理事を本部長にいたしまして、現地と中央とが一体となつてこの問題を進めるということにいたしたのでございます。従いまして福島県知事の御了解を得まして、この問題の至急かつ合理的な解決に、ただいまこれを進めているのでございますが、その場合の考え方といたしまして、実は最初の勧告案をつくります際に、正確な実地調査と申しますか実態調査が、詳細に行われていなかつたという事実が明らかになつたのでございます。そこで、まず実態をつかまなくちやならぬ。たとえば水没地がどのくらいの面積であるか、山林なり畑などがどのくらいの面積であるかということを正確につかめていないといううらみがございますので、まず実態調査を現地に入り込んで、中央からも参りましてやるということを前提にいたしまして、ただいま実態調査を着着進めております。そういたしまして、まず補償の対象物件の範囲を正確に把握しなくちやならぬ。どういうものを補償、物件の対象として取上げるという、その範囲なり内容、種類というものをまず確定しなければ、補償金額というものは算定できないわけでありますから、それをまずつかむ。そういたしまして、同時にそれぞれの補償物件についての単価を、先ほど建設大臣からお話のございましたような閣議決定の線に従いまして、全国的な一つの統一された標準、それに現地の特殊事情というものを合理的な範囲において織り込みまして、合理的な単価をはじき出して行こう、こういうような方針で進めております。従いまして、大体の考え方として、ただいま進めておりますのは、第一には、部落で持つております山林水没する地域以外のいわゆる水没残地、この問題は全然水没地と切り離しまして、そうして別の方途で研究する。従いまして、岡村先生から御指摘のありました水源涵養林というような形で、その残地までもあわせて買収するかどうかということにつきましては、会社としても実はまだ原案ができていないわけでございます。私どもも正式にはそういう報告を受けておりません。従いまして、従来先ほど申しましたような非常に高い金額になつた一つの原因は、考え方といたしまして、すべてを金で解決しようというきらいが多少あつたのであります。ところが現地の部落民の気持は、どちらかと申すと、あの部落が非常に全国的に見ても天恵物の豊富ないい地点である。従つてその場所からできるだけ離れたくないという、あの地点に対する愛着が非常に強いということ、従いまして金をもらうよりはむしろあの近くに新しい代替地をもらつて、そうしてあすこの天恵物を依然として採取できるような範囲のところにとどまりたいということが、一番大きな希望であつたということが明らかになりました。従いまして大体そういうような考え方で行きたいということでございます。従つて、あと具体的な補償項目を実情に即しまして加除訂正し、あるいは細分いたしまして、そうして補償額の算出の株拠を明確にするという作業を、ただいまいたしております。  それから、先ほどお話がございました県道、林道あるいは部落道ないしは学校というふうな公共施設補償、これはやはり公共施設補償というものの考え方からいたしまして、これが会社の補償と重複するというような結果になることは、必ずして望ましくないと思います。従いまして、前の勧告案の内容を見ますと、公共補償というような形、あるいは慰労金というような形、あるいは休業補償というようないろいろな形において、同一の補償が重複して計算されているきらいがございました。それらのものを整理いたしまして単一の形のものに統一いたしたい、かような予定でただいま調査を進めておるわけでございます。従いまして、ただいまの目標から申しますれば、大体十月までには補償の問題を解決いたしまして、ただちに着工にかかりたい、かように考えております。ただ最悪の場合におきまして、あるいはごく少数、おそらく三名内外じやないかと思いますが、どうしても補償に応じない方が出て来るということも考えられます。その場合には、現在の行政手段としましては、土地収用法というようなものしかないわけでございますが、一応土地収用法の適用もできるような態勢だけはつくつて行こうということで事業認定の手続きはただいまやつておるような状態であります。  大体田子倉に関する通産省の考え方なり立場は以上の通りでございますが、なお、この問題に関連しまして、ただいまも問題になつております補償問題に関して、もつと根本的に何か解決するような法的な手段はないかということでございます。これにつきましては、建設省でもお考えになつておるようでございますが、実は私どもも同様の必要性を痛感いたしまして、一応そういつた法的な手段に関する案もただいま事務的にはつくつておるような次第でございます。いずれこれは各種の開発全般に関連する問題になつて来ると思いますので、最後的にはどういう形で——あるいは経済審議庁あたりで取上げることになるかどうか、その辺のことはわかりませんが、私どもも同じようなことを考えまして、事務的には一応立案をいたしておる次第でございます。  以上であります。
  19. 久野忠治

    久野委員長 次に米田河川局長
  20. 米田正文

    ○米田説明員 岡村委員の御報告の中にありました最上川の改修の問題でありますが、最上川の下流は、先ほどお話がございましたように、実は現在施工いたしておる直轄河川七十八本のうちから申しますと、非常に進捗いたしておる部に属しております。なお、今後最上川の下流については、約十億の経費を要するのでございまして、今日の予算の現状から推定すれば、まだ今後十数年かかるような実情でございまして、中流を含んでの上流側の改修工事は、なお今後約三十億の経費を要するのでございます。これもなお今後今このような状態で続きますと、二十数年かかるというような現況でございます。しかし先ほど大臣からお話がございましたように、治山治水十箇年計画というのを今協議会で審議中でございますが、その十箇年計画で行きますと、われわれの原案では今後四、五年完成をするという計画なつております。あの十箇年計画がどの程度で決定いたしますかによつて、今後の進捗がきまつて来ると思いますが、現状ではまだ相当に長くかかるという状態でございます。ぜひ治山治水の根本対策の確立を推進いたしたいと思つております。  それから和歌山県の災害復旧についての御報告の中に、いろいろと問題がございました。六項目ございましたが、そのうちの五項目についてお答えいたします。  第一の、現在の国庫負担法の補助率を今年度についても上げる意思はないか、こういう御趣旨だと思いますが、昨年は御承知のように最低補助率を八割にしました。従来は三分の二でございます。財政的に見ましても、昨年の災害復旧が非常に進捗しないで困つておる現状でありまして、われわれとしてできるだけ早くこれを片づけたいという趣旨から見ますと、今年の災害は従前の補助率によつて進めて行きたい、二十八年度災というものは何といつても最近の大災害でございますから、この解決に全力を尽したい、こういう考え方をいたしております。  それから仮工事の全面的採択の問題でございますが、これも従前から各府県、市町村から非常な要望を受けております。ことに和歌山のように昨年も今年も続けて災害を受けておるところでは、そういう要望の出るのはもつともだと思います。けれども、災害復旧の今の考え方は、工事を中心にいたしておるので、従前はほとんど仮工事というものを採択いたしておりませんでした。しかし昨年は特殊のケースとして仮工事を一部採択することにいたしたのでありますが、今年度についても、大体従前の方針に帰りたいと思いますけれども、特に工事の一部と見られるような仮工事についてはそれを認めて行く、採択をして行くというような考え方にしたいということで、非常にしぼつた考え方のもとに仮工事を採択して行く方針でございます。  災害の概算交付については、大蔵省からもお見えでございますから、あとで大蔵省からもお答えを願いたいのでございますが、災害は御承知のように、起きてすぐに応急工事にかかり、復旧にかかる場合がございますが、これも大体県の場合については、一週間、二週間のうちに金をすぐ国からもらはなければならぬという実情でもないようにわれわれは考えております。これは県の中の手持のものでさしあたりの処置はとれる。できるだけ早く国の予算を流すという行き方にしたい。この問題については常時大蔵省と折衝いたしており、大蔵省も査定のできたものについては、極力早く出すという趣旨でありますし、その点われわれとも意見は合つておりますので、この査定の方法をどうするかということが、技術的な問題として残つております。実は当該年度に起きた災害を全都査定するということになると、その設計をつくるのにも、査定をするのにも非常に時間がかかるので、そのうちの緊急なものだけを査定をして、それで一部の予算配賦をするというような措置を講じたいということで、大体大蔵省とも話合いができておりますので、そういう便法で、今後は早く予算が行くように措置をいたしたい。  起債の大幅の許可という問題は、われわれといたしましては、ただいまもお話がございましたように、県としては仕越しをいたしておつたりして、現実に金詰まりを来しておりますので、ぜひ災害復旧の起債が許可になるように、われわれとしても大蔵省と均衡中でございます。実は二十八年度の分については、災害がひどかつた県について、総額五十億になりますものを、今つなぎ資金として大蔵省と折衝中でございます。それから二十九年度の分につきましては、十五億円をさしあたり今までに起きた今年度の災害のつなぎ融資として要求中でございます。愛知、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、福岡、熊本、宮崎、鹿児島という県について、総額十五億に対するつなぎ融資を、本年度の災害復旧事業費として今大蔵省と折衝をいたしております。二十八年度のものにつきましては、主として仕越し工事に対するつなぎ融資として岐阜、愛知、三重、福井、滋賀、京都、奈良、和歌山、福岡、佐賀、熊本、大分という各県について、五十億の金額で折衝中であります。これも大蔵省ではことしの資金難で、なかなか困つておるようではありますけれども、ぜひこの程度のものは早急に措置するようにというので、今折衝中であります。できるだけ早く結論に達したいと考えております。  それから適正賃金を認めるようにというお話でございますが、これは災害復旧の計画書では、現在のところ一応労働省独自の労働者賃金で計上いたしておりますので、設計書としてばその標準で行きたい。実は他に適当の方法があれば、御趣旨のような点を考慮すべきだとは思いますが、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、和歌山とかあるいは福岡とかいうように、去年非常に災害の多かつたところは、どうしても労働賃金が一般のところより相当に上るということが現実に起つて参ります。できるだけそういう現実の姿を取入れたいのですけれども、事務的には非常に困難な問題でございますので、われわれとしては労働省独自の賃金で行くという方針をとつております。  堀川委員の北海道に関する災害復旧の起債及び予算の問題等につきましては、ただいまお話を申し上げました趣旨と同様でございますから、省略をさせていただきます。一応この程度で……。
  21. 久野忠治

    久野委員長 つなぎ融資のお話が今出ましたので、大蔵省側からこの点について御説明を願いたい。
  22. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 本日主計局長が大蔵委員会の方に出ておられて御都合が悪いので、私が公共事業と災害関係を担当しております主計官でございますから、失礼ながらかわつて御説明を申し上げたいと思います。  つなぎのお話の前に、一、二申し上げたいことがあるのであります。特に堀川先生の北海道について至急予備費を出すといいというお話がありましたけれども、ちようど建設省からも大体の査定が済みまして、大体の数字をまとめて待ち込んでおられるところでございます。目下審議中でありますが、北海道には特殊性ということがございますから、一刻も早く出せるように、われわれの方も努力いたしたいと思つております。  そのほかに概算緊急交付をしてほしいというお話がございましたが、今まで補助金は、補助金対象の金額が確定いたしませんと、なかなか出すわけには参りませんので、やはりその点は今も河川局長が申し上げましたまうに、なるたけ早く被害の査定を済ませるような方法を考え、また大体の成案を得ておりますので、その方法によつて一日も早く査定の金額を固め、全部についてというと困難でございましようが、緊急交付しなければならないようなものについては固めて、それに応じて出して行くような方法を講じたいと思つております。  それからつなぎの問題でございますが、非常に申しにくいことで、また私主計局の者でございますから、主として理財局の所管にかかることでございまして、はなはだ申しにくいことですが、確かに現地からは、いろいろ二十八年度の災害復旧費の出方が少いというおしかりを非常に受けております。現在各省と去年の災害についていろいろ再調査をやつておりますが、やはり相当水増しと言うとおかしいかと思いますが、再調査の結果落ちる部分がございまして、たとえば農業の関係の災害の方ば、再調査の結果、もとの査定額の半分くらいに縮小しているような実績が現在出て来ております。その他の極端な例は、たとえば都市災害などにつきましても、三、四割くらいに減少しているような実績も出て来ておりまして、全般的に相当減つて参ります。そうしますと、私らの方で去年予算のときに大体六割ぐらいは二十八年度、二十九年度を通じて復旧できるのではないかと申し上げたわけでございますが、その通り行く、行かないということは、今後全体の調査を進めませんとわかりませんが、ある種の事業によつては、進捗度は地元でおつしやる点とは相当食い違いが出て来るのじやないか。ただ公共土木の建設省の関係につきましては、まだ再調査の段階で、今これからということでございます。また今までもずつと長い伝統を持つて御査定になつていらつしやることですから、それほどの食い違いはないとは思いますが、この点もやはり若干の変化の要素が出て来るのじやないか。それから同時に、やはり出した資金について、ほんとうに堤防の破堤した箇所というか、護岸のくずれた箇所等の緊急のところに使つていただくということでいろいろお願いしておるわけです。しかし、やはり去年大災害を受けました北九州並びに愛知、三重、京都、福井、和歌山等につきましても、いろいろ非常に強い御陳情がございまして、先般来理財局の方とも会議を重ねつつあるところでございます。ただ地方財政全般の赤字の問題が、非常に大きくクローズ・アツプされまして、それについて全体の調整をどうするかということを研究しておる最中でございますものですから、今つなぎの問題について簡単に結論が出ないといつたような状態なつているかと思います、ただ担当の者でこざいませんから、その点は帰りまして理財局長の方にもよくお伝えいたしまして、研究の上お答えすることができればいたしたいと思います。  はなはだ不十分でございますが、一応お答え申し上げます。
  23. 久野忠治

    久野委員長 次に富樫道路局長
  24. 富樫凱一

    ○富樫説明員 堀川委員から、北海道の凍上対策についてお尋ねがありました凍上対策といたしましては、われわれの方では特殊改良といたしまして、路盤改良の仕事をやつております。これは特に凍上のひどいところの道路の路盤を、ある厚さを全部やりかえてしまう、またその付近の地下水を下げるということをやつておりますが、お話のようにこの仕事は割に成績もよろしいので、五箇年計画にも入れておりますし、当分の聞この仕事は実施して行きたいと考えております。凍上対策といたしましては、根本的には鋪装をいたさなければならないわけでございますが、鋪装を進めて行きますにも、予算の関係がありますので、当分路盤改良という仕事をやつて行きたいと考えております。  それから久野先生からお話のありました若戸橋でありますが、この若戸橋につきましては、われわれも有効な事業であると考えておりますし、実現させたいと考えておるわけでございます。二十九年度の新規事業としましても、若戸橋を要求したわけでございますが、実はこの若戸橋につきましては、橋をかける位置はきまつておりますが、どういう橋をかけるか、まだ具体的な設計はこれからで、二十九年度の新規として要求いたしましたのは、その橋につながる取付道路の用地買収その他を要求したわけでございますが、これから具体的な設計を進めまして、実施計画を立てたいと考えております。
  25. 久野忠治

    久野委員長 次に師岡住宅局長
  26. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 内海先生から、公営住宅の使用範囲についてお話がありましたが、御承知のように、公営住宅は一般公営住宅と災害公営住宅とございまして、一般公営住宅は一般的な住宅困窮者を入れるために建設されております。災害公営住宅は、災害にあいました罹災者の、住宅困窮者を入れるために建設されております。この使用範囲の基本的な点につきましては、大体これでいいのではないかと現在考えておりますが、実情に沿わない点がございますれば、この基本的な線の範囲内でさらに検討いたして参りたいと考えております。  それから堀川先生の北海道防寒住宅促進に関する件のお話がございましたが、この法律ができました趣旨からいたしまして、試験研究の整備充実とい験研究を進めるための設備等につきまして補助をいたしたのであります。二十九年度予算におきましても、これは引続いてさらに整備いたしたいと考えたわけでありますが、遺憾ながら一兆円予算のためにその実現を見なかつたわけであります。ただ建設省にあります試験研究費のうちから、このために若干金をさきまして、この方で処理いたしまして、研究は続けられておるわけでございます。さらに明年度に関しましては、北海道側といたしましてはなおやりたいということもございますようで、現在予算編成中でありますので、目下検討いたしておる次第でございます。
  27. 久野忠治

    久野委員長 まだ委員の皆さんより質疑もあろうかと存じます。なお巷間伝えられております防衛道路計画等につきましても、一応政府側の所信を伺いたいと存じますので、午後二時から再開することといたしまして、この際暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後二時四十五分開議
  28. 久野忠治

    久野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  道路に関しまして調査を進めます。まず政府より防衛道路に関する今日までの経過につきまして説明を聴取した後、質疑を行いたいと存じます。大森工務課長。
  29. 大森頼雄

    ○大森説明員 防衛道路と申しまして、ただいま防衛庁が建設省と連絡をとりまして技術的に研究を進めております。この防衛道路は、御承知のように、自衛隊が自分の任務を遂行いたしますために、その機械化された部隊の機動力と補給力とを十分に満たさせようといたしまして、まず第一に必要であります道路の整備を考えたのであります。これは考えてみますと、非常に広い範囲にも狭い範囲にもいろいろ考えられるのでありますけれども、いろいろの事情から考えまして、私たちが部隊の機動力と補給力の点から見まして、それを発揮させるために最も必要でありますところの、たとえて申しますならば動脈とでも申しますか、そういつた一番大事な路線だけを考えまして、その路線網を、仮の名でございますけれども、一応防衛道路などと申しまして、この道路は一番の幹線道路として常時整備して行きたい、こういうふうに考えて計画を進めておるのでございます。  それで、そうは申しましても、防衛道路と申しまして別に新たな道路計画したのではございませんで、大体現在存在しております重要な路線の中で、特に今申しましたような目的から見まして、常時整備しておくことが一番大事だと考えられる路線だけを選びまして、それを一つの道路網としたいと考えて計画しておるものでございます。そしてできますならば、この防衛の面から見まして、この路線の必要となすところの道路網、これを一応の目途としましては五箇年くらいの間に緩急の一番上のものから逐次ずつと整備できたらよい、こういうふうに考えて一応五箇年に実施しようという計画で進めておるわけであります。しかし、これは非常にいろいろな要素が入つておりますので、この道路網の決定までには相当時間がかかると思うのでございます。  ただいま進めております段階は、今言われております防衛道路と申しますこれの一番もとになりますその防衛道路網の決定と、それからそういう道路網をやる場合に、どのくらいな工費がいるかというその工費の決定と、それをまず第一段階として研究するようにということで、防衛庁がいろいろな条件を考えまして、その路線の決定を研究しておるわけであります。その間、工費その他いろいろな面もございますので、建設省とは密接な連絡をとり、また米軍側のおきましても、その防衛道路網というような点に対しても、自分の方にもいろいろな考え方もあるというふうなことでありましたので、米軍側の意見、助言なども聞きながら、いろいろ計画をかえたりいたしまして、今研究を進めておる途上でございますが、技術面から見ましたところの一案というものは近くまとめたい、こういうふうに考えておる現状であります。まだ経済的な面については何もきまつておらない状況でございます。
  30. 久野忠治

    久野委員長 質疑の通告がございます。よつてこれを許します。瀬戸山三男君。
  31. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今防衛庁の方から御説明を聞いたのでありますが、何かぴんと来ないような感じがするのであります。私は防衛道路ということが新聞にたびたび出ておりますので、これは今の日本の国民の感じにぴつたり来ないような気がしております。しかし、それはどうでもよろしいのでありますが、今建設省や、あるいはアメリカ駐留軍の意見などを参照して道路網を決定したい——防衛という名前がついておりますので、すぐ軍事的なことを考える、いやな気持であります。私どもそういう軍事的な専門知識は全然ございませんが、道路網の決定にあたつて、一体どういうことが防衛上必要であるかということはよくわかります。ただそこでどういう道路網を今決定されるかはしりませんが、しかもそれは現在ある道路だけで、特に新設をするということはない、こういうふうな御説明であります。私どもがいつも道路について考え、おることは、防衛のための道路ということも考えられないじやないのでありますけれども、日本が長い間戦争を続けておつて、その間にいわゆる国土防衛上の道路も新設をしたり、あるいは途中で戦争に負けて挫折をしたりいろいろやつております。しかし、これは一旦緩急の場合にはもちろん防衛になる、そうでない場合には、これはすべての産業経済のルートになるわけでありますから、それをひとつ十分お考えに置いて、ただ戦車を走らせるとか、トラツクが走るとかいうことでなしに考えてもらいたいというのが、国民としての希望であつて、その点についてどういうお考えを持つておられるか。軍事と経済とは、これは切つても切り離すことのできないもので、その点をどういうふうに考えておられるか。案が近くできそうだというお話でありますが、できてからでは始まらないのでありまして、その点をどういうふうにお考えになつておるか、もう一度御説明を願いたいと思います。
  32. 大森頼雄

    ○大森説明員 今申されました御意見の通りでございまして、日本の国は非常に狭いのでございますので、道路と申しましても、北海道から九州までというような縦断道路を除きますと、その他の道路は非常に距離的に見ましても短かい道路でありまして、少しまわり道をするとか何か考えますと、特に先ほど申しましたように、新しい路線を設けずとも、現在ございまして、なおかつそれが相当産業の面にも活用できるという道路、そういう道路を現在のままでは、私の方で考えております部隊の移動などということは、道路の構造上不可能でございますけれども、それが一定の標準によつて整備されておりますと、その道路で十分間に合い得る、そういうことが考えられますので、単に防衛だけというような点から考えるのではなくして、防衛ということを考えて計画しましても、今申されましたような産業上の点を十分考えまして、同じ路線でその防衛という目的が十分達せられるように計画ができると考えておりますし、また今まで計画しておるのも、大体そういうふうにして重複しておりますので、先ほど申しましたように、防御道路と申しましても、特に新しい路線を計画しておるわけではないと申し上げたのであります。
  33. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 大体私が考えておることとほとんど同じような御意見のようで、私としては喜んでおるのでありますが、聞くところによると、アメリカ軍の強い意見もあるというふうに聞いております。もちろん、日米防衛協定に基きまして、日本の防衛を担当いたしておりますアメリカ軍としては、道路の面について強い発言権を持つということも、あながち悪いとは私は申さないのでありますけれども、しかし日本の国は、やはり日本人がしつかり建て直さなくちやならぬ、これは申し上げるまでもないことです。しかも先ほどお話にありました通りに、日本の国土はほんとうに一握りの小さな領土でありまして、ここに特別に防衛道路という名前をつけなくちや、その国土の防衛ができないというふうにだだつぴろいところでないのは、さつきのお話の通りである。そこで産業と軍事とは、特に近代戦においては一致いたしているのでありまして、こういう狭いところでは、どれが防衛道路であつて、だからこれは整備しなければならぬというようなことは、そう強くは出ないのじやないかと私は思つておる。狭い国の道路網でありますから、どこでもこれは防衛上、神経だけだというやせた日本の国土でありますから、そういう気持で計画を進められんことをお願いいたしておきます。  それはそれでよろしゆうございますが、さてこういうことを考え出されるについては、この委員会でもどなたからもありましたが、日本の道路はきわめて貧弱であるために、これが産業上も経済上も、あるいは全部の産業構造の合理化から言うても、これが一番がんになつておる基本的な問題だということを、今日まで私どもは主張して参りまして、特に御存じの通りに、非常な反対がありましたけれども、ガソリン税を全部道路にまわすべしという強硬手段まで講じて、道路整備の五箇年計画を立てておるわけです。そこにとたんにまたこういう防衛道路計画というのが出ております。私どもはどんな名前でもけつこうであります、整備して、国民の交通運輸の便をはかることは、いかなる名前でもけつこうでありますが、そういう名前を特に取立てて別に計画を立てられるということについて、どういう意味があるのか。  それともう一つ、その計画を立てられて実施をされるお考えでなければ、計画はいらないことになりますが、現在でも先ほど申し上げたように、国の財政が貧乏であるので、しかも道路建設は必要だということで、繰返して申し上げますが、道路の経費については特別なわくをつけたというような強硬手段までも講じて、それで、なおかつまだまだその五箇年計画でも満足な仕事ができないというような実情であります。そこに新たな先ほど御説明の防衛道路五箇年計画を立てられるについては、いかなる資金をもつてこれを建設されるか。あるいは新設の道路でないということであれば、この防衛道路は鋪装ということになつて来ると思うのでありますが、日本の道路が不完全だというのは、鋪装がないから不完全なのであります。もちろん道路の幅を拡張しなければならぬこともありますが、そういう費用は一体どういうようにお考えになつて今計画を進められておるか。これは防衛庁の方でもけつこうであります、あるいは建設大臣が見えましたから、どちらでもけつこうでありますから、御説明願いたいと思います。
  34. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 最近新聞で防衛道路という問題が盛んに議論されておりますが、この問題は、端的に申し上げますと、つまり行政協定やその他の場合に、進駐されておる軍隊と日本の要人との間で、どうも日本の道路が悪いというようなことが盛んにアメリカの側から申されつつあつたのです。それは悪いはずだ、日本では大体二十トン級の自動車を標準にして道路が鋪装せられ、また拡充されて来たのでありますが、進駐軍が来てから五十トンとかそれ以上のものや戦車等がどんどん来て走らしているのだから、悪くなるのはあたりまえだ。であるから、これについてはもう少し考えなくちやならないのじやないかという端的な話合いがだんだん進んで参りまして、それではこの防衛に必要な道路というような意味で研究してみようじやないかというようなことが、この防衛道路が起つた原因でありまして、金のことは別問題にして、どういう線を引くことが防衛上よろしいかということを今検討中で、それがまだ結論になつておらぬのであります。これだけでは少しも答弁にならぬのであつて、またそれはどういうねらいかと言えば、やはり今私が申し上げた話の端緒がそこから出て来ているのでありますから、アメリカの駐留軍が来て、自分の便宜のために日本の道路をこわしたために、そういうものに対して、ある程度アメリカ軍の方でも負担する気持で、両方で相談し合つているのじやないか。しかしながら、じや負担はどうするのか、あるいは半分負担をするとか、全部するとか、あるいはしないとかいう問題には、まだ入つていないのであつて、ほんとうの序の口であつて、今路線を研究して、こういう路線がアメリカ軍側で必要だということになつて、日本もはい、それならばよかろうということになつたら、一体この費用はどうしようか、これと五箇年計画をどう調節をとつて行くかということは今後の問題でありまして、今費用をどうするというような問題もきまつていなければ、またその負担がどうなるかということも全然きまつていないのであります。われわれの考えとしては、この非常なきゆうくつな日本の経済で、なるほど瀬戸山君も言つたように、皆さんのお力が、揮発油税のことき税金で五箇年計画が立ちましたが、この道路にさらにプラスするごとの何らかの費用によつて拡充されて行くのならば、日本の産業、経済のためにはよくないのじやないかという意味で、まだ結論はつきませんし、目標もはつきりつきませんが、プラス・アルフアーということは、なおベターであろうということで、今相談をしておる段階であります。
  35. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今大臣の御答弁を承つて、現在のところはその程度であろうと想像されるわけであります。ただ全然目当てかないのに、非常に苦心して今建設省やあるいは防衛庁の係の人たちが一生懸命やつておられるらしいのであります。それが全然目当てなしにこの暑いのに仕事をしてもらうのもたいへんなことだと、よけいなことかもしれませんが考えるわけであります。−しかも、これはこうやつて私が笑いながらお話をいたしまするが、真剣なる問題だろうとも思いまするし、今大臣から例のガソリン税の二千六百億にプラス・アルフアーになればベターではないかというような含蓄のあるお話がありましたが、それでなければ、私どもはこういう暑い盛りに一生懸命研究してもらう必要はないと思う。私どもは、防衛道路の名のもとに御苦心を願いました道路整備の五箇年計画のあの経費を、いわゆる防衛道路重点にやられるということについては絶対反対をいたす考えでありますので、これ以上は申し上げませんが、大臣が今お話になりましたそれにプラス・アルフアーだ。アルフアーが小さなアルフアーじやアメリカから干渉を受けるだけで、大して意味はないと思いますが、ひとつ大きなアルフアーになるようにぜひ御尽力をお願いいたすということで、私の質問を終ります。
  36. 久野忠治

    久野委員長 次に志村茂治君。
  37. 西村力弥

    ○西村委員 ただいまお話を承りますと、防衛道路なるものは、まだスタートしたばかりで、内容はきわめて漠然としたものである、具体的なものはさまつておらないというお話でございますので、三者の聞の協議等の内容につきましてお聞きしたいのでありますけれども、はたして私が期待しておるような御回答を得られるかどうか、それにつきましては、私はむしろ建設省でこれからの折衝の腹構えとしてどういうふうな態度をとつておられるかということについて、お聞きしたいと思つております。  まず第一にお聞きしたいことは、この防衛道路というものは、いわゆる弾丸道路であるとか、あるいは行政協定道路というようなものがそのまま内容に入つて来るものかどうかということを、まずお聞きしたいと思います。
  38. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 今、志村君御指摘の弾丸道路という言葉は、いろいろな意味で解釈されておりますが、私どもの弾丸道路の意味は、大体に弾丸のようなスピードを出し得るという意味で、実はたまということがあるから軍隊に関係あるものというふうには解釈していないのであります。もし弾丸道路という中に、たまという意味の字を含んでおるから日本の防衛に関係があるんだ、つまり軍事に関係があるんだという意味でありますならば、私の答弁は違つて来ることになります。私はそういう意味じやなく解釈しております。従つて、この弾丸道路の問題は、要するに日本の将来のために大都市と大都市とをつなぐ、東京−神戸間なり、東京−大阪間なりを最大のスピードを出し得るような道路がほしいじやないかという意味で考えられたのが弾丸道路であります。この問題には二つございまして、一つは、建設省として大体測量調査の済んでおる線と、もう一つは現在審議会でいろいろ研究をしておりまするいわゆる田中案と、この二つの問題を、私はどつちも弾丸道路だと考えております。それでは、このうちのいずれをするかというような問題になつて来ますが、この問題はどつちも決定いたしておりません。ただ財源その他経済効果等をにらみ合せまして、どちらでも行けるのだが、こちらでやればこれだけの費用がかかる、あるいは農耕地なり宅地はこれだけ犠牲になる、こちらで行けば農耕地は犠牲にならない、そのかわり費用が非常にかかる、しかし利用は少いというような点をすつかり調査しておりまして、やがて財源的措置をとつた場合に、この線のうちの二つつけることになるか、そのうちの一つを選んで一つをつけることになるか、調査をしておる段階で、これが現在二つの道路に関する考え方でありまして、これは防衛道路とは何も関係ありません。  それから今の防衛道路の問題ですが、これは行政協定にも関係するのでもなんでもなくて、先ほど端的に話したようなことから、日本の道路をよくしようという話が出まして、そうして先方でもある意味でじようだんまじりに言つた。日本の道路が悪いというのはお前の方でこわしたことも手伝つておるんじやないか、向うでもなるほどというような気持で相談に乗つて来ておりまして、私どもは、それをやはり向うが関心を持つている以上は、それに沿うて道路が拡充されることはいいじやないかということで、その道路がいわゆる防衛道路といわれておるのであつて、お示しのように行政協定にも関係がありませんし、その他の軍事問題にも一切関係がないのであります。
  39. 志村茂治

    ○志村委員 ただいまの大臣の御答弁ですが、弾丸道路も行政協定道路も、今度の防衛道路とは全然縁がないと言われました。先ほどの係官のお話によりますと、日本の道路をよくする、軍事用にも使える道路にしたい、しかしこれは軍事用の道路プロパーのものではない。産業開発のための道路の方に、軍事用の道路をあわせ行うのだというようなお話であつた。そうしますと、いわゆる弾丸道路、大都市間をつなぐ、急速度の車を走らせることのできる道路、また行政協定によつて鋪装されておる道路も、同じく私は防衛道路というものに入つて来るのじやないかというふうに考えておる。それは考え方ですが、次に防衛道路というようなものをつくることになりますと、経済開発のための道路とは相当性格的に違つた点が出て来るんじやないか。まず鋪装の厚さもかえなければならないし、それから橋梁などでも重さに耐え得る力をかえて来なければならない。そうしますと、基準はどつちに置くかというと、軍事用のものをつくれば産業用にも使えるのだが、産業用の程度でもつて弱い通路をつくり、橋梁をつくつたのでは、軍事用には使えないということになれば、当然に基準は軍事用のところに持つて来なければならないということになると私は思うのです。従つて産業道路をつくると、それだけでそれがそのままこの防衛道路になり得るということは、私は考え得られないと思います。それからまた別に産業用の道路計画、それは道路の形ではなく、道路をどうひつぱつて行くかというようなことと、それから軍事用のものとは相当違う場面が出て来ると思うのですが、そういうような産業と経済と一体にして一本の形でやるということは、簡単に言われましても、内容的には非常に違つた点が出て来るだろうと思います。そういうこと等につきまして、建設省では将来の折衝にどういうふうにお考えになつておるか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  40. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 先ほども話した通り、今道路をどことどこと防衛道路にするかということもきまつていのないであります。きまつていないのでありますが、私の考えている線は、大体において従来の五箇年計画とそう違つたものではないのであります。従つて、ただその道路の鋪装の仕方であります。お話にもありましたが、これはすでに建設省では、たとえば産業道路だから駐留軍が通つちやいかぬということはないのでありますから、結局駐留軍が通れば、薄い鋪装をしてあればこわれてしまうのです。でありますから、鋪装に対する考え方を今年度から加えているのであります。つまり、道路が産業道路と名前がつこうが防衛道路と名前がつこうが、五箇年計図にしようが、五十トン以上のものにも耐え得るような鋪装をする。これはもうすでに鋪装には着手しております。これは防衛道路に限らず、五箇年計画道路も、今度やる道路も、そういうように鋪装の硬度をかえておるのであります。こまかいことは私は技術家でないからわかりませんが、とにかくそういうことで進んでおるのであります。従つて、お示しのように、これは防衛道路であるからよけいに厚くするのだとか、あるいは鋪装を硬度の高いものにするのだとか、こつちは産業道路だから薄くするのだというような考え方は、今申し上げた意味から必要なくなつて来ている。でありますから、ただ問題は——それは全然ないということは言えますまい。もし費用の幾分でも負担することになりますれば、向うの意見も入れなければそういうことになりませんから、そういうことはないということは言えませんけれども、私らの考えているものは、大体において五箇年道路のうちのおもだつた道路に、ある程度の幅員が要請されたり、あるいは橋の広さが要請されたりして来て、結局五箇年道路というものが非常にやりよくなるのではないかというような気持をもつております。しかし、それはまだ交渉の途中でありまして、具体的にこの線が違うのじやないかという場合も出て来るかもしれませんけれども、今われわれの考えている線はそういうふうにして、名前はなるほど防衛道路、五箇年計画とは違いますけれども、実体的にはそう違つたものが結果においては出て来ないという考え方を持つております。
  41. 志村茂治

    ○志村委員 私も技術屋ではありませんから、道路が、どれだけの鋪装をし、橋梁がどれだけの重さに耐えなければならない、現在の産業上どの程度が必要であるかということについては、詳しい知識は持つておりません。けれども常識としまして軍事用に使うということになれば非常に堅固な鋪装もしなければならない、堅固な橋梁もつくらなければならないということは考えられますが、産業上それだけのものが必要かどうかということを私は一応考えたいと思います。そういたしますと、一応日本の産業道路というものが軍事用にも使い得るというふうな堅固なものをつくらなければならないということになると、一定のキロ数内の経費が非常にかさんで来る。その結果日本国内の道路網というものが、不完全なものになる危険があるんじやないかということを私は考えております。その点はどうですか。
  42. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この問題は、たとえば今お話の例としまして駐留軍の戦車とか大きいトラツクだけを例にしましたが、最近日本のトラツクは非常に大型になり、バスなんかもいまだかつてないような重トンのものがたくさん入つて来ております。これは余談でありますが、どうも道路が細いのに、大きな自動車がどんどん出て来て、交換もできないようなところを通つて行く、橋が狭いところに板ばさみになつて人が死ぬというようなことを放置していいか、研究をしておる最中であります。それほどまでに現在の日本の道路にはふさわしくない重さあるいは容積を持つた自動車がふえて来ております。従いまして、先ほど申し上げましたように、従来の鋪装は十五センチであつたのを二十四センチにし、アメリカ並にしております。というのは、防衛道路だからそうするのではなくて、一般にトラツクが大きくなり、あるいはバスが大きくなつて、従来の鋪装では予定の年限ももたなくなつて来ております。でありますから、これは産業道路でも今いう防衛道路でも、その厚さにおいてはかわりないという建前で、建設省としても今後は進んでおるわけであります。従いまして、志村さんの御心配のように、日本ではいらぬのに防衛道路によけい金をかけるのではないか。これが産業道路ならば、もつと安くできるのに、防衛道路だからよけいかかるという問題ではなくして、駐留軍の駐留のあるなしにかかわらず、日本の現在の自動車の荷重と申しましようかあるいは容積と申しましようか、大体においてアメリカ式の程度の鋪装をしなければ、たとえば二十年もつのが十年ももたないということになりますから、経済上から考えても、みな二十四センチにするということで、現在それもすでに着手しております。これからやる道路は、すべてそういうふうにやる方針であります。
  43. 志村茂治

    ○志村委員 お話でいろいろの点がわかつて参りましたけれども、大体日本みたいに経済力の弱い国でも、道路が丈夫なものができればいい、橋梁も重さに耐え得るものがあればいいということは、初めからわかつておる。それを今までやらなかつたということは、日本の経済力が低かつたということだろうと思います。しからは、日本の経済力が急速に大きくなつたかどうかということになりますと、日本の道路でも、最低限の費用でつくりたい、少くともキロ数だけふやして行こうというように考えることは当然じやないかと思います。もちろん、今のお話のように、トラツクやバスが大きくなつたことは私も知つております。けれども、とれをただちに、たとえば私たち——私は神奈川県の三浦半島におる者ですが、あすこには駐留軍がたくさんおります。そうしてほとんどあの辺の道をこわすのは、駐留軍の上陸用戦車を持つて来る、戦車で大砲をひつぱつて来るというようなことで、日本の車の三倍も五倍もの大きなものをひつぱつて来るので、こわしておるような状態であります。それをこわれないような道路をつくつても、日本の産業上、日本の経済から見合つて、最低限の経費でもつてしんぼうして行かなければならない国情に会うかどうかということを非常に心配するものですが、その点をもう一ぺん伺いたい。
  44. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 志村さんの考え方も、理論的には必ずしも否定する議論ではないと思うのですけれども、要するに耐久力の問題なんですね。十三センチで二十年なり三十年なりもつものが、十年で終つてしまえば、むしろ二十五年もつのをやつた力がかえつて得だというような計算にもなると思うのです。しかしながら、お話のような議論が成り立たぬわけではないのですが、まず役所全般といたしましては、これからつくるのはとにかくどういう荷重にも耐え得るということを目標にして——今までやつておるのをみな直すというわけじやありません。新しく鋪装するのは、もうどういう重いものが来ても予定通りの年限は保てるものという方針でやつて行きますから、それに対して、お話のような点もございましよう、県道や何かになつて来ますと、そういう点も考えられて来ると思います。それからそういう国道的な大きな全般的の基幹道路に関しては、やはり私が現在申したようにやつて行く方が、むしろいいのじやないか。県道でごく利用価値の少いものに、たくさんの金をかけて鋪装だけすることは、御意見のようにすることがいいのだ、こう考えております。
  45. 志村茂治

    ○志村委員 もちろん鋪装を堅固にすれば、経費はよけいかかると思つて、おります。それだけの予算がはたして道路予算としてとれるかどうかということを考えますときに、五箇年計画道路綱をつくるということは、ますます大きな予算を必要とするし、そしてそれが予算の獲得にはますます困難が加わつて来るのではないかということなんです。そのときに、例のほかの方からのプラス・アルフアは正体がわからない。従つて額が幾らになるかわからないのですが、プラス・アルフアがあることによつて、よりいい道路ができればけつこうなんですけれども、その間に建設省としては何ら御心配はないかどうか、多少あるのじやないかと私は思いますが、その点を伺いたい。
  46. 富樫凱一

    ○富樫説明員 道路整備五箇年計画は、ただいま技術的に申し上げますと、トラツクの二十トンを対象といたしまして計画したものでございます。それから今の防衛道路と申しますのは、まだこれは結論には行つておりませんが、大体見ますと一級、二級国道になつておるようでございます、これはまたかわるかもしれませんが……。それが道路整備五箇年計画の中には含まれておるものもあり、おらぬものもありますが、いずれも道路整備の観点からは対象にしなければならぬものでございます。これが、先ほど軍事用のものと産業道路とでは規格が違うではないかというお話がございましたが、今道路整備五箇年計画で考えておりますような荷重を考えますと、八十トンとか百トンという戦車はむろん通りません。しかし防衛庁がお用いになつておるような重い車はこれで通るわけでございます。従つて二十トンの荷重によりまして鋪装の厚さをきめ、また橋梁を設計いたしますと、防衛庁のお使いになるような車は通るということになるわけであります。むろんわれわれといたしましても、道路整備五箇年計画に含まれておるものより以上のものが、防衛道路として必要であるということになれば、これは五箇年計画の金ではやれないわけでございまして、ほかの金を持つて来なければならぬことになるわけでございます。
  47. 西村力弥

    ○西村委員 防衛庁あるいはアメリカ軍との間の話合いがちつとも進んでおらないで、内容について御質問申し上げる余地はありませんが、私どもはぜひとも五箇年計画完成させたいという考えを持つております。防衛道路なるものが新たに入つて来たということによつて、それが遅れるというようなことは、私としては絶対避けなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。  そこで、もう一つお聞きしたいのは、防衛道路というのはどこから出て来たか、新聞紙上に盛んに現われて参りましたが、これは官庁等においても防衛楢路という名前を使つておるかどうか。
  48. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 これは建設省としても防衛庁としても、おそらくそういう名前をつけていないと思うのであります。名前をつけていないと思うのですが、たとえど駐留軍が関係して、自分の方の費用をもつて道路をこしらえるということになると、そういう名前の方が——そうでなければ関係できないのじやないかと思います。そういうことはだんだん常識になつて出てあるのであつて、防衛道路とかいう名前が新聞には出ておりますけれども、別にどこにもうたつていないのであります。従つて、防衛道路という名前はどこから出て来たかというと、防衛に関する関係と相談してやつておるから防衛だというわけであります。書面にも何にも出ていないのです。
  49. 久野忠治

    久野委員長 山下榮二君。
  50. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 大体防衛道路については言い尽されたような感じもあると思うのです。私はこの機会に道路五箇年計画と、さらに過日小澤さんが建設大臣に就任されて、田中清一君の中央開発道路というのですか、それに相当関心々持つておられるという新聞記事等も拝承いたしましたので、この機会に一、二伺つておきたいと思うのであります。  防衛道路については、今保安庁の方からも説明があつたようでありますが、また何ら具体的なものはないかのように拝承いたしたのですけれども、新聞には、今道路局長も言われましたように、一級道路で七メートル半だとか、二級道路で六メートル以上にするというようなことが、すでに報道されておるのであります。これは新設するのか。今までの御説明を伺うと、従来の計画のものを相当幅員を広げたりいろいろするところもあるというようなことでありますけれども、その辺が明確になつていない。  さらにもう一つ伺いたいと思うのは、防衛道路については、建設省が責任を持つていろいろ行うものであるが、あるいは保安庁の方でやるものであるのか、その辺も今のところまだ明確を欠いておるかのように思われるのであります。その辺の見通しがついておるなら、この機会にお聞かせ願いたいと思うのであります。あるいは防衛道路という名前のように解釈すると、これは保安庁の方で立案やいろいろおやりになるのじやなかろうかということも考えるのですけれども、やはり日本で、これは防衙道路だ、これは産業開発道路だということで区別をすることも、この狭い日本でどうかと思われる節もあるようであります。その辺をこの機会にもう少し明確にしていただきたいと思うのであります。  それから次に伺いたいのは、冒頭に申し上げましたように、従来政府は東京——神戸間を結ぶ、俗にいう弾丸道路計画があるのであります。この弾丸道路計画に対して、今申し上げましたように、田中清一君は国土開発中央道というものの計画を世に発表いたしておるのであります。当委員会でも田中君の出席を求めて、この案の構想について話を伺つたこともあるのでありますけれども、二つともやや似たような感じがいたすのであります。政府の俗にいう弾丸道路は、南のいわゆる海岸ばたを通つて平坦地々通る。田中君の案は山岳地帯を貫ぬこゆというところに開きがあるように思われます。しろうと的にわれわれが考えますときには、どうも田中君の案の方が日本の産業あるいは山林資源、森林の開発等等を考えてみますと、いかにも理相的な感じもいたすのであります。従つて大臣もこのことに相当関心を深めておられるという新聞記事を見たのでありますが、一体この二つの道路のうち、いずれをとることが正しいと今のところお考えになつておるのか、これの将来の実現への見通し等について、私はこの機会に伺つておきたいと思うのであります。  もう二つは、道路整備五箇年計画等が、発表になつて、すでに建設省の方では、一級国道についてはこれこれの鋪装をするとか、あるいは木橋は全部なくするとか、いろいろ計画があるようでございますけれども、なかなか計画は遅々として進んでおりません。私は四、五日前に、地元の神戸から姫路まで自動車で参つたのでありますが、明石から姫名間というものは、実に自動車に乗れた道路じやありません。これが日本の国道かと思つて、しかも日本の表玄関ともいわれる南の方の道路かと思つて、唖然とせざるを得なかつたのであります。鋪装のコンクリは割れてしまつて、割れたら割れたままでありまして、所要時間一時間で済むものが二時間もかかるというような始末でありまして、これではとうてい一級国道と言えた道路ではない、こう私は思つておるのであります。もつと建設省が国道の、ああいう目抜きの場所だけぐらいは、早急に補修をされる必要があるのじやないか、私はこう考えたのであります。先ほど局長と私語をかわしてみますと、それぞれ予算はとつておるけれども、地元府県の財政貧弱のために、実現できていないということもちよつと伺つたのでありますけれども、県の財源が貧弱であればそれでほつておくというやり方でなくて、もつと何らかの措置をとつて補修しなければ、わが国の産業開発振興のために、きわめてゆゆしき問題だ、こう思うのであり、こういうこと等に対して、新しく大臣になられた小澤建設大臣の、こういう方面に対する所信をこの機会に伺つておきたいと思います。
  51. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 第一の問題は、防衛道路が新しい路線で進めるのか、あるいは従来の路線を改修するのかという点でありますが、これは先ほど志村君にもお答えした通り、原則としては従来の線を行くのが本筋であります。しかし詳細ば決定しておりませんから、結果を見なければはつきり申し上げられませんが、多少は違つても、原則としては従来の道路の上を行く方針であります。  それから、この話がついた場合においては、一体防衛庁がやるのか、建設省がやるのかというお話ですが、その話も実際はついておりません。ただ現在防衛庁の技師と私の方の技師とが行きまして交渉はしておりますが、私の考えでは、防衛庁ではそれだけの受入れ態勢がないのでありますから、実際の工事は、きまれば当然私の方でやるようになるのではないかと考えております。  それから第三の、すでに建設省で省で議決定した弾丸道路と、いわゆる田中案といずれがいいのか、こういう御質問でありますが、これはこの道路目的を主として研究してみなくてはならぬと思います。単純に、いわゆる弾丸道路で五時間で神戸・大阪まで着けばいいのだ、こういう目標でありますならば、むしろ工事の簡単な場所を選べばいいでしようが、しかし田中君が、すでに山下君も聞かれた通りの構想で、いわゆる大きな日本の国土に対することを重点に置いて開くのだということになりますれば、やはり田中案の方がよいのじやないか。しかしながら、この問題を比較研究する場合においては、かりにこの道路ができた場合には、費用がどれだけかかるのか、それから工事上の難点が、どうなのか、それからこれによつて敷地等の買収にどれだけの犠牲があるのか、たとえば年年食糧増産で五百億以上の金をかけておりますが、そういう五百億もかけているところへ、一方に持つて来て何千町歩というような良質の田畑をつぶすというようなことが、はたして日本の経済上いいのか悪いのかというようなことを、すべて総合して判断するので、今もし田中案というものも、違つた構想において、大きく国を開くのだというような見地でこの道路に着手するという場合に、比較するのには調査をしておかなければなりませんから、克明な、あらゆる角度からの調査を今進めておるのであります。従つて、今どちらをやるということを決定するまでのまだ調査が進んでおりませんから、結論は出しておりませんけれども、やがてこの両方の調査が、ただいま申した通りの結論を得ますれば、そのときの国情に応じて、最も国民の要望する線につけるつもりであります。  それからただいまの神戸等の鋪装道路の問題でありますが、これは山下君からもすでにお話があつたように、予算がついているのであります。問題は、県費が少いので工事が遅れているという実情だと思いますが、もしそうであるとするならば、やはり県の話を具体的に聞きまして、一体どういう金がどう足らぬのか、そうしてどうしても出せないのかというようなことをつつ込んで相談した上に、もしできないというような場合には、別な方法を考えることもやぶさかではないのでありますから、すぐに県の方を呼んで相談して、その結果一番いい方法を選ぶことにいたします。
  52. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 大体大臣の御答弁で了承いたしたのでありますが、もう一つ伺つておきたいと思うのは、もし防衛道路が実現するものといたしますならば、先ほど大臣は、防衛道路という名前がつく限り、これは米軍の幾分かの費用が予想される。いわゆる建設費のアルフアーというものを想像するというお話があつたのであります。これはただ単なるアルフアーであるのか、大体アメリカの防衛道路ということになつて参りますならば、道路によつては全額負担するというのか、その辺がなかなか明確でないのであります。たとえば、それが一部負担されるということにいたしましても、どんな割合で負担が決定されましても、後日その負担分というのを返済しなければならぬというかつこうになつて来るのであるかどうか。そういう点がおわかりになつているなら、この機会にお開かせ願つておきたいと思います。
  53. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 私は、大体こんなことを秘密にしておくことはきらいなたちでありまして、率直に話したいのでありますが、実際に今のところわかりません。わかりませんが、希望といたしましては、日本の現在の財政状態を見るならば、何らかの方法で他の財源でやりたい。しかも失業救済というような問題もあるのでありまして、もうすでに予算が編成されております、失業救済もしなくてはならない。失業救済などには道路など非常によい。そういう意味で、今年度中でも、そういうことが話がまとまれば、そうした一石二鳥のねらいを持ちながら実現したいと思つておりますが、内容については、隠すのではなくて、今何も話が出ておりませんし、進んでおりませんが、希望するところは、できるだけ多くというような考えを持つております。
  54. 久野忠治

    久野委員長 ただいまの山下君の御質問に関連して、私ちよつとお聞きしたいのですが、詳しいことはさまつていないということでありますから、十分な答弁は得られないと思いますけれども、外資導入の形で入るのか、あるいは防衛費の分担金のような形で、向うが一部日本へ資金を供与するというような形で入るのかどうかわかりませんけれども、かりに入るにいたしましても、それは一部だろうと思う。そうすると一般公共事業費か何らかの形において円資金というものは、こちらでくめんしなければならぬと思うのでありますが、そうだとすれば、話合いがある程度進むとすれば、来年度予算の編成にもかかつておられるわけですから、こういうような資金面については、ある程度大蔵省とも折衝をなさつておるのでございましようか、どうでございましようか。  いま一つ、路線についても相当お話合いがつつ込んで進められておるようでございますが、路線の総延長はどれくらいの御計画であるか、あるいは資金の総額はどれくらいになるかというような点について、おさしつかえなかつたら、ひとつお伺いしたいと思います。
  55. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 これは先ほどから話しております通り、まだ、たとえばどういう路線が必要だということさえも結論がつかぬ、また幅員がどうなるかということさえも結論がつかぬのでありまして、あと二、三日にまた会合することになつておるのでありますが、そういつたようなまつたくの初歩であつて、どういう形で日本へ金が入るのかとか、あるいはその場合に円資金はどうするのかといつたような問題は、もつともつと先のことであります。現在ではいろいろ想像した点はございますけれども、想像を申し上げてかえつて誤解を招いてはいけませんから、想像だけは申し上げたくないと思うのであります。では、お前はこれに対して何も予測していないのかということを言われますれば、それは私だけの予測はして、こう出た場合にはこう、ああ出た場合にはあるということを考えておりますけれども、私だけの想像をやたらと申し上げると、かえつて誤解を招きますので、今山下君にお答え申し上げた以上のことは、実際今見通しはついていないのでございます。
  56. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 大体それでわかりましたから、最後に一つだけお願いをいたしておきたいと思うのであります。もし防衛道路等で相当額の米国の援助があつたといたしまして、今までの例によりますと、ガリオアやあるいはイロアの資金等は債務だということで、お返ししなければならぬという結果になつておるのでありますが、道路をつくつてもらつて、これもまたあとで返せと言われぬようにして、今から万般の心構えで折衝していただきたいということだけを、お願いを申し上げておきたいと思います。     —————————————
  57. 久野忠治

    久野委員長 建設行政一般に関しまして調査を進めます。御質疑はございませんか。  質疑がなければお諮りいたすことがあります。すなわち河川に関する小委員長より、小委員会において参考人を招致し、ダム水没地域補償に関して参考意見を聴取いたしたいとの申出があります。参考人の氏名は、田瀬更生委員朝倉剛介君、御母衣ダム反対期成死守会会長建石福蔵君、笹生川ダム建設対策協議会委員長安間市太郎君、三峰川対策協議会委員長伊藤修二君、長安口ダム水没補償対策連合会代表下内憲君、藤原ダム対策期成同盟委員長林賢二君、目屋ダム対策委員会委員長工藤榮太郎君、花山ダム対策委員会委員長千葉盛君でありますが、これを許すに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めてさよう決しました。本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会