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1954-05-24 第19回国会 衆議院 建設委員会 第32号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十四日(月曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 瀬戸山三男君 理事 志村 茂治君    理事 細野三千雄君       逢澤  寛君   岡村利右衞門君       仲川房次郎君    堀川 恭平君       村瀬 宜親君    三鍋 義三君       安平 鹿一君    山田 長司君       只野直三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     山中 一郎君  委員外出席者         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 五月二十二日  委員大村清一辞任につき、その補欠として逢  澤寛君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として山  田長司君が議長指名で員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国における国際連合軍隊地位に関する  協定実施に伴う土地等使用及び漁船操業  制限等に関する法律案内閣提出第一七九号)     —————————————
  2. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 これより会議を開きます。  日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用及び漁船操業制限等に関する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑の申出があります。よつてこれを許します。瀬戸山三男君。
  3. 瀬戸山委員(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員 この前の委員会で、私の不勉強に基くのでありますが、当局にお尋ねしたところ、その当時は、直接の外務関係でたいからというお話でありましたが、こういうふうに国際連合に加盟を許されておらない国で、しかも国際連合軍駐留をして、そうして国民にある程度の制約を加えなければならないという事態を起している国が、世界にどのくらいあるか、こういうことをお尋ねしておいたのですが、きようはそれはどうですか。
  4. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 お答えいたします。瀬戸山委員から先般御質問がありましたが、われわれの方では、そういう国際関係のことはよくわからないというので、外務省に一応問い合せてみたのです。その際に向うで、今までのところでは、お話のような国は一つもないのじやないかということの——これはほんとの電話の話のついでに聞いたわけでございますけれども、そういうことを申しておりました。
  5. 瀬戸山委員(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員 私どもは、いわゆる政府与党で、アメリカ軍との関係においては、特に条約をつくり、さらに進んで国連軍との間においては、事態やむを得ないという考えで、こういう協定をつくつて、それに基いて今ここにある意味において国民権利義務制限する法律審議いたしておるのでありますから、あえてこれに反対だという立場で私は言うのではないのです。ただ、こういう例はあまりいい例ではないと思いますが、今の日本現状においてはやむを得ない、こういう立場をとつておるのでありまして、そういう国が世界にあるかないかということが、ほとんど明確でないということは、ちよつとおかしいですね。電話のついでだというお話がありましたが、外務省でも自信のないような答えです。ないとははつきり言われないが、ないのじやないかというようなことです。これは小さな法律でありますけれども独立国として、はあまり名誉な法律ではない。しかも、それはやむを得ない今の日本現状国際関係からやつておるのであります。御承知のように、アメリカ軍隊は、趣旨として日本の防衛をするという建前で来ておりますので、アメリカ軍駐留するために、日本国内の各地にいろいろな施設をしたり、あるいは演習をしたりしてある程度国民権利義務制限するということも、一応首肯できるのでありますが、国際連合軍は何のために日本におるんだということで、今、国民はそう納得しておらないのじやないかと私は思う。しかも朝鮮事変その他の関係で、こうやつておるのでありましようが、ほんとうにそんなところは世界にないのですか。哀れなというとおかしいが、こういう妙な状態は、日本だけですか。
  6. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 ただいまのお話、確かに日本駐留する軍隊といたしましては、米駐留軍国連軍とは、性質上相当違いがあることは御指摘通りだと思います。この問題につきましては、ただいま申し上げましたように、われわれとしては、こういう御質問があつた、その点について十分調査していただきたいと言つたときの、外務省の方の話では、現在までのところはないということでありまして、この点につきましては、さらに私の方なり、あるいはまた委員長を通じまして、外務省の方から、はつきり回答をとるようにいたしたいと思つております。
  7. 瀬戸山委員(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員 先ほど申し上げたように、私ども立場としてはあえてこれに反対する考えはありません。しかしこういう法律をつくるについては、世界にこういう例があるかないかぐらい知つて、それでもこうやりたいという気持を表わしたいと思うのであります。西ドイツの場合はどういうふうになつておるか、御存じございませんか。
  8. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 西ドイツの問題につきましては、私の方で今はつきりした資料手元に持つておりません。
  9. 瀬戸山委員(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員 この問題は、私はきようでもこの次でもけつこうでありますが、外務省関係者を呼んでもらつて事態はつきりしてから審議したいのです。何のことかわからぬ、そんなものあるかどうかわからぬということでは、私は承服いたしませんから、委員長においてその点を御考慮願います。
  10. 久野委員長(久野忠治)

    久野委員長 承知いたしました。
  11. 瀬戸山委員(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員 次に、これはこの前の水産委員会との連合審査の場合に、水産委員鈴木善幸君から質疑があつたのであります。そのときは調達庁長官のお答えでありましたけれども、あまり明確でなかつたので、私はさらにはつきりさしたいという気持からお尋ねするのでありますが、御承知のようにこの法律案附則の第二項で、現在のいわゆる特損法でありますか、これの第一条をこの際改正しようという案が出ております。「日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国陸軍海軍又は空軍」とあるのを、いわゆる「日本国」ということに限定する、こういうふうになつておるようでありますが、この前の当局の御説明では、その周辺とか附近とかいうことは非常に明確でないから、この際日本国というふうに明確化したというか、限定したということである。それに対して鈴木委員は、しかし周辺ということは明確でないかもしれぬけれども、たとえば沖繩におけるアメリカ軍演習その他の関係で、特に漁業が問題になつておるわけでありますが、漁業について日本漁業を実質上制限したりあるいは損害を加えたりする、そういう場合にはどうするのだ——鈴木君の言をかりれば距岸三海里、いわゆる領海説をとつてやるのかという質疑に対して、当局の方では、漁業に関しては、必ずしも三海里の領海説をとらない、いわゆる公海においても、そういう事態が起つたときには、この補償の問題が考えられるというような御説明でありまして、非常に不明確であります。それならば、なぜこの第一条の現行法をかように狭くするような改正をされるかというところが明確を欠く。そうやつて議論がわかれるように、いわゆる領海説で行くと距岸三海里、そういうふうに解釈されるように今回ここに改正案を出されておつて、しかし御説明では、公海においても、そういう事態が起れば、さらに本法によつて補償の問題を考えるのだということであれば、何もことさらに「その附近」ということが明確でないから、この際附近という文句を取除くということは必要ないじやないか、こう私は考えるのです。何かそれをそうしなければならないというはつきりした御意見があれば、聞かせてもらいたい。
  12. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 ただいま御質問附則の、日本国駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律改正といたしまして提案しております「日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国陸軍海軍又は空軍」を「日本国駐留するアメリカ合衆国軍隊又は日本国における国際連合軍隊地位に関する協定に基き日本国内にある国際連合軍隊」こういうふうに改めまして、「附近」を特別損失補償法では取除いておるのはどういうわけかという御質疑でございますが、御承知のように漁船操業制限法につきましては、この「附近」という言葉をそのまま存置しておるわけであります。特別損失補償法だけが、このたびこれを削除した方がいいのではないかということで出しました理由は、日本国駐留する軍隊と申しましても、あるいは日本国内及びその附近に配備された陸軍海軍空軍というように規定いたしましても、特別損失補償法特別損失としての当事者の軍隊範囲は、実質的には何ら差異がない。従いまして、軍隊範囲を縮小する意味ではないという意味においででありまして、現在までにおいてわれわれが取扱いました、あるいは将来いろいろ施設関係につきまして提供する施設その他によりましても、日本国附近に配備された軍隊行為によつて損失が起ることはない、また将来も予見できないという観点に立つておるわけであります。と申しますのは、御承知のように、特別損失補償法は、施設に伴いまして間接的に無過失で起きた被害を救済するのを趣旨としておるわけであります。われわれ日本国駐留軍との間におきますところの合意によつて提供する施設は、もつぱら国内施設であり、その上において軍隊行為を行うわけでありまして、本件においては特に附近を入れることは必要ないじやないか。逆に日本行政権の及ばないところにおいて——と申しますのは、大体沖繩とか小笠原諸島でありますが、こういうところにおきまして、いろいろと米軍占領行政から起る問題が、特損法であたかも救済されるような誤解を現在招いておる。従つて、この点をむしろはつきりした方がいいのじやないかというようなことで、削除したいとして提案しているわけであります。また、ただいまの公海上の問題につきましては、これはもつぱら漁船操業制限関係法律が適用されるのでありまして、現在におきましても、領海以外の公海、俗にわれわれがアルフアベツト地区と申しておりますが、こういうところにおきましても、現在は日本国民相当経済的に活動している範囲内であるということにおきまして、その地区制限措置を講じまして、そこで現在その被害の起つたものにつきましては補償しておる。従いまして、考えられることは、もつばら公海上において被害の起るのは、漁船操業制限関係のことでありますので、漁船操業制限については「その附近」を存置しまして、軍隊行為によるところの被害を救済したい、こういうように考えておるわけであります。
  13. 瀬戸山委員(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員 それでは、改正しようといわれる現行のいわゆる特損法でありますか、これに「附近に配備された」という条項を入れられたのは、どういう趣旨で前に入れておられたか。
  14. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 当初の入れましたのは、漁船操業制限にもありますし、また行政協定におきましても、本文に「イン・アンド・アバウト・ジヤパン」というようになつておりましたので、その文句をそのままとつた方がいいのではないかということで、その当時は「国内並びにその附近」ということを入れて法律案をつくつたわけであります。
  15. 瀬戸山委員(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員 法律文句というものは、まあどつちでもいいという場合も相当にありますが、しかし、日本国内におる軍隊、あるいは日本国外附近の、先ほどいわれたような沖繩であるとかあるいは小笠原であるとか南洋諸島、こういうところにおるものも含めるかどうかということは、これは字句の使い方というような簡単な問題じやないと私は思う。そこで、アメリカの何とかにアメリカ語で書いてあるから簡単にしたというようなことで法律の条文を書かれては、これはたいへんなことじやないかと私は思う。さつき申し上げたように、単に文句使い方というよりも、軍隊のおる範囲に関する問題は、法律としてはきわめて重要なものであろうと思うのですが、   〔委員長退席細野委員長代理着席〕 ただ意味もなしに附近を入れたということで聞いてよろしゆうございますか。
  16. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 ただいま申し上げましたように、意味もなくというのじやないのでありまして、配備の問題につきましては、附近がいろいろ問題になると思うのでありますが、特損法に行われる行為というものは、大体国内で起るという関係で、現在まで、われわれから見ましても、一応この附近に配備された軍隊によるところの問題が、特損関係において事例として一件もありませんし、また施設特別委員会なり合同委員会を通じて提供する日本施設につきましての行為は、大体におきまして、将来も、統治権と申しますか行政権範囲内に限られるという考え方で、そこで起つた損害日本国内で全部救済できるという見通しが完全についたので、削除したわけであります。
  17. 瀬戸山委員(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員 そういう確信があられればけつこうであります。けつこうでありますが、そうすると、たとえば小笠原であるとか沖繩駐留いたしておりますアメリカ軍隊航空隊——軍隊といえば航空隊も入るでしようが、そういうものが、場合によつて爆撃演習をする、あるいは誤つて爆弾を落す、日本漁船その他に損害を及ぼす、こういう事態が起つたとすれば、この法律でなくて、国際私法その他の一般の損害賠償規定によつてこれを解決するというふうなお考えですね。
  18. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 ただいまの御質問通り、これは、別途十八条関係において、そういう問題は救済できる考えております。   〔細野委員長代理退席瀬戸山委員長代理着席
  19. 細野委員(細野三千雄)

    細野委員 これはアメリカとの間の協定実施に伴う法律に右へならえしている法案でありますから、この法律自体につきましても、いろいろ問題はありますが、このアメリカとの協定実施に伴う土地等使用等に関する法案審議、採決の際に、両院でそれぞれ希望条件を付していることが、その当時の記録に明らかになつている。その希望条件は、衆議院におきましても参議院におきましても、この被害者損失補償を請求するについての手続をもつと簡素化しろ、そうして、かつ損害補償額決定したならば、その支払いを迅速にせよという条件が付されておつたのであります。これについて、調達庁の方では、何らか特別の措置をあるいは政令等においておとりになりましたかどうか、その点をまずお尋ねいたします。
  20. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 ただいまの、特別措置法に基きますところのいろいろな措置についての手続簡素化について、どういう措置をとつているかという御質問でございますが、われわれといたしましては、できるだけ措置法によらずに、相なるべくは両方の協議によつて合意の上に措置をとりたいというように思つてつております。やむを得ず措置法によつて土地を収用する場合につきましての支払い関係でございますが、現在のところ、措置法にかけまして支払い関係の起つたものは、数件ありますが、特に法的な措置を講じているわけではありませんが、その裁定条件双方において大体了解された場合には、支払いをそう遅らしているというケースは、現在まで聞いておりません。ただ、裁定条件について不服の方があつて受領拒否の方が相当ありますが、こういうものは、遺憾ながら供託などをやつているケースがあると思います。御質問の点につきましては、法律的な、あるいは政令その他によりまするところの措置は、現在具体的には何もやつておりません。
  21. 細野委員(細野三千雄)

    細野委員 そうしますと、実際の場合には、双方協議によつてこの補償額決定される事例の方が多いのですか。法律に基いてとことんまでやつて行く、異議の申立てまでして争つて行く、そういう事案は少くて、大体話合いでまとまつて行くというのが大多数なんですか、どんなふうな実情になつておりますか。
  22. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 現地まで処置しました件数から申しますと、ほとんど大部分は両者協議によつて成り立つております。また非常に問題が進行しにくくて、ある程度まで事件特別措置法によつて解決しなければならないという件数も、昭和二十七年には六十二件ほどございました。それから二十八年には十六件ぐらいございました。この中でもさらに両者話合いと、一方において裁定事務を進めつつありまして、相手方の御承諾を得まして、六十二件中、協議が四十一件成立しまして、その残りの二十一件が裁定にかかつて条件をきめられたわけであります。それから二十八年は十六件と、前の持越しが三件ありまして、十九件中三件が協議成立が行われておるような状態であります。
  23. 細野委員(細野三千雄)

    細野委員 その協議の場合、最後にまとまる額というものは、その被害者に通常生ずべき損害が、ほんとうに十分に補填せられる額において協議がままとるのか。実際はもつと少い、実際生じた金額よりも相当下まわる額で話がきまるのが多いのじやないでしようか。というのは、この法律規定によりますと、一応損害額決定は、調達庁長官が自己の見積りにおいてまず金額決定するのであります。しかも、平年収入とその年の収入との差額の八割とかなんとかいうことをどこかで見たようでありますが。どうしても、内輪に見積つて話を持ちかけることになつておるので、従つて、まとまる額というのも、結局実際生じた損害を補填するに足りないところで話がまとまるのが多いのじやないでしようか実情はどうなんですか。
  24. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 補償額決定でございますが、これは非常にいろいろと問題があることは御承知通りでございます。特にわれわれのいたしますところの契約が、一応合同委員会の線を通じて確定したものについて、賃貸料なり売買価格決定をいたすわけでありまして、国としてもそうべらぼうな金は出せないのでありますが、相手方もきまつて、マークされたものをぜひ政府として買わなくちやならないということで、平凡な言葉でいえば、つり上げた価格で言つておられるというような場合がありまして、なかなかわれわれが一応算定した基準で容易に承諾されない場合があります。従いまして、そういう場合には、近傍類似建物をとり、あらゆる面から勘案しまして、さらに事実上の裁定者として府県知事なりあるいは市町村長あたりのいろいろな好意的なあつせんによりまして、そういう場合物事を解決しておる。従いまして、話合いできめておるときの方が、収用委員会にかけたときよりも、比較的代金の受領あたりにつきましては、事故なく進んでおるような感じでわれわれは現在進んでおります。
  25. 細野委員(細野三千雄)

    細野委員 それから特損法対象になる行為でありますが、特損法の第一条では、防潜網その他水中工作物施設云々とか、あるいは防風、防砂施設その他の除却損壊等列挙主義をとつておりますから、この法律を適用する場合には、どうしてもこの特損法対象になる行為というものを狭く解釈するようになる。この列挙されておるものだけで、駐留軍なり国連軍なりの軍隊行為がすべて網羅されておるとは思えないのでありまして、この前のこの法案審議のときにも、対象行為はこういう列挙主義によらないで、軍隊の行動によるすべての行為対象にせよというふうな意見も出たように記録に見えておつたのでありますが、この法の列挙主義措置されておりますか、実情はどうなつておりますか。
  26. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 お答えいたします。ただいま御指摘通り特別損失補償法は大体過去にあつた被害をそれぞれつかみまして、列挙主義で救済して行くというのを建前といたしております。従いまして、予見せられるものは入つておらないわけであります。法律で大体列挙しておるものと、法律から政令に譲つて列挙しておるものと、二段にわかれております。その当時も法律に全面的に列挙すべきではないかという御意見もありましたのですが、衆参両院最後のお話合いは、かえつてそうすることが将来のいろいろな被害の救済に不便であろう。従つて部分的には政令に入れた方がよいのではないかということになりまして、法律にはこれだけのものを列挙し、その他に政令に譲るということで、政令相当入れております。さらにこういう行為によりますところの間接的被害が起りました際には、起つたことの事態を認めまして政令に追加して行く、こういう措置を現在とつております。
  27. 細野委員(細野三千雄)

    細野委員 次に前回水産委員会との連合審査会において問題になりました、この条約効力発生の日以後の損失のことは一応よろしゆうございますが、それ以前の損失につきましては、行政的な措置において適当にその損失はカバーしておるというふうな御答弁がございました。そういう場合の金の支出というものは、法律根拠のない支出になるわけでありますが、またもらう方も権利としてもらえるのじやないというふうなお話であります。大体そういつたものの支払いに充てる財源は幾らぐらいであるか、また今まで実際どのくらい払つて参つたのでありますか、金額の点について御説明を願いたいと思います。
  28. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 ただいまの、平和条約発効本法実施されました今までの間の事実上の損害についての補償が、法律上の規定がない場合には国民権利として請求できないのじやないかという御質問につきましては、われわれといたしましては、確かに法的な根拠はございませんが、事実行為として行われた歴然たる事実がある、こういうことに対しまして、従来も補償あるいは見舞金の制度で運営はいたして来ておるわけでありまして、その間に何らの逕庭がないという気持で、われわれは措置して来ておるわけであります。  それからその金額が現在どういうふうな状態であるかということでございますが、国連関係の現在その約二箇年に及ぶ制限によるところの補償額が、今までわれわれの局における調査その他によりますと、比較的制限区域が狭い結果ですか、これははつきりこうであるというところまでは現在行つておりませんが、大体われわれの手元現地から来ておる資料は、約一千百万ないし二百万程度補償額が出ております。これをさらに制限区域陸水面あるいは漁業の実態から念査しなければならないわけでありますが、一応手元にラフに来ておる数字はその通りであります。
  29. 細野委員(細野三千雄)

    細野委員 それからもう一つ、この損失補償が支払われた後に、末端において地主小作人との間にその分配について、あるいは船主漁掛従業員との間に、労働者資本家の間に、何か分配について紛争の起つたような事例がありますかどうか。
  30. 山中政府委員(山中一郎)

    山中政府委員 ただいまの御質問につきましては、二つにわけて私の方から答弁さしていただきたいと思いますが、漁業関係補償について、網元あるいは船主と労務者の関係は、そのこと自体について紛争はあまり起つておるようには聞いていません。と申しますのは、補償の内訳で労働費と営業の利益の補償が一応截然と区別されておるわけであります。ただ地域的な組合間において、バランスが失するとか、お互いに金額の多少について甲論乙駁はあるように聞いております。  それから土地使用料の問題でありますが、地主小作人関係につきましては、現在でも飛行場の敷地になつておるところあたりで、小作権が、地主側ではないと言い、小作人側ではあると言い、そういうトラブルが起つておるのは二、三聞いております。これは農地開放のときの、あるいはさらにさかのぼりまして、旧日本陸海軍が買収したときの条件その他が非常に明確を欠いておる結果起つておるのではないかと存ずるのでありますが、地主小作人の間において若干問題になり、あるいはまた建物所有者とそのたな子の間において若干問題が起きておるということを、われわれも聞いております。
  31. 細野委員(細野三千雄)

    細野委員 そういう末端紛争ができますることは、はなはだ遺憾なことで、これは支払われるときに、そういうような紛争の起らぬように調達庁の方で適切な措置をとつていただいたらどうかと思います。そういう希望を申し上げまして、私の質疑をこの程度で終ります。
  32. 瀬戸山委員長代理(瀬戸山三男)

    瀬戸山委員長代理 本案に関しまする残金の質疑は、次会に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十五分散会