○川俣清音君 私先般の当
委員会において、農林
委員会を代表しまして二、三
質疑をいたしておるのでありますが、続いてお尋ねいたしたいと思います。
本法の
目的でありますいわゆる
土地区画整理事業というものが、
都市計画区域内の
土地について、
公共施設の整備改善並びに宅地の利用の増進をはかるためにこの
法律が設けられたその
趣旨については、何ら反対するものではございませんが、この
法律で定めるところに
従つて行われる
土地の区画並びにその形質の変更及び
公共施設の新設または変更に関する
事業と、農地法との衝突の面について、二、三点お尋ねいたしたいと思うのであります。
農地法は、御
承知の
通り、食糧増産並びに健全な農業経営の維持に必要な
法律としてできておりますことは、私が申し上げ上げるまでもないところであります。これが日本の大きな
土地改革を遂行し、国の
予算から見まして、また個人の
権利から見まして、大きな
土地改革が行われたゆえんのものは、日本の食糧増産並びに健全な農業経営の維持のために必要であるという観点に立ちまして、大きな犠牲を
国民にしい、しかも農地法というものによ
つて食糧増産をはかろうといたしたのであります。ところが、これだけ大きな犠牲を払
つてでき上
つた農地改革と本法の衝突面について、この法案が比較的
考慮されていないのではないかという観点から、四、五点お尋ねいたしたいと思うのであります。なるほどいわゆる密集市街地形成の上から、こういう
法律が出て来ることは私は必然だと思うのです。しかしながら、一方において、最近町村合併によ
つて都市計画が推進されて参ります。食糧増産と健全た農業経営の上から、一番障害になるものは何かと申しますと、農民が
せつかく
土地改革によ
つて得た
土地を、その
目的の農地に利用しないで、これを宅地に変更して行こうということが、この大きな
目的を一番はずしておるところのものであります。
せつかくこれだけの大きな犠牲を払
つて、また個人にも犠牲を払わせて、国も犠牲を払
つた上に、しかもそれが農地でなく、単に宅地に転用されるということになりますと、この農地改革の根本的
趣旨が失われるということが
一つであります。
もう
一つは、そのように農地が他の経済価値の高い宅地に
なつて参りますと、その宅地以外のそれに付属している、隣接している農地がまた
土地の高騰をいたします。
土地が高騰いたしますと、農業の経営が割安に
なつて来るというとこから、また農地を他の
目的に利用しようとする向きが出て参ります。とうてい隣接の宅地と経済競争の行われるような状態のものではありません。宅地と競争できるような農業経営は、現在日本の農業経営の中において営み得ない。米価は公定せられ、その他の農産物も、
国民食糧確保の上から、また価格形式の上から、どうしても押えられなければならぬ問題であります。隣接宅地がだんだん高騰して参りますと、その農地を手放して宅地にかえようという経済的な活動が行われて参ります。そしてそれがだんだん拡大されて、いわゆる農地の壊廃と
なつて来るのではないかと思うのであります。先般農林
委員会におきまして、自由党の降旗徳彌君は、最近の農地改革はま
つたく
目的を逸脱して、だんだん宅地に
なつて行くんじやないかということを指摘しております。私はこの降旗君の、いわゆる宅地に
なつたものを元の地主の所有権にまでもどせというような暴論については必ずしも賛成できませんけれ
ども、確かに農地改革の
目的を逸脱する面積がだんだん拡大されて行くことは、恐るべきことではないか。こういうことが国の全体の上からはたして許されてしかるべきかどうかということについて、建設省並びに農林
当局は検討せられたかどうか、この点お尋ねいたします。