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1954-04-21 第19回国会 衆議院 建設委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十一日(水曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長代理 理事 内海 安吉君    理事 瀬戸山三男君 理事 田中 角榮君    理事 佐藤虎次郎君 理事 中島 茂喜君    理事 細野三千雄君       逢澤  寛君   岡村利右衞門君       仲川房次郎君    松崎 朝治君       赤澤 正道君    村瀬 宣親君       志村 茂治君    三鍋 義三君       菊川 忠雄君    只野直三郎君  出席政府委員         建設政務次官  南  好雄君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君  委員外出席者         検     事 石井敬二郎君         建設事務官         (大臣官房建設         業課長)    宮内 潤一君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 四月十七日  委員志村茂治辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員岡村利右衞門辞任につき、その補欠とし  て大久保武雄君が議長指名委員に選任され  た。 同月二十日  委員大久保武雄辞任につき、その補欠として  尾関義一君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員堀川恭平君、尾関義一君、佐竹新市君及び  勝間田清一辞任につき、その補欠として有田  二郎君、岡村利右衞門君、長正路君及び志村茂  治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十日  建設省関係法令整理に関する法律案内閣提  出第一六〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  浅野川改修国庫補助事業施行に関する陳情書  (第二八一〇号)  北海道における国費事業予算早期令達並びに  繰越使用特例設定に関する陳情書  (第二八一一号)  国連軍土地施設収用に伴う特別損失立法化  に関する陳情書(第二  八一二号)  河川法改正に関する陳情書  (第二八三五号)  同  (第二八六八号)  同(第二八六九号)  桂川直轄河川区域編入等に関する陳情書  (第二八七〇号)  厚別川の改修工事施行に関する陳情書  (第二八九四号)  淀川水系桂川国直轄河川管理区域への編入等  に関する陳情書(  第二八九五号)  公営住宅建設費補助基本額の改訂に関する陳情  書(第二八九六  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一四二号)  建設機械抵当法案内閣提出第一四六号)  建設省関係法令整理に関する法律案内閣提  出第一六〇号)     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が不在でありますので、理事である私がかわつて委員長の職務を代行いたします。  建設省関係法令整理に関する法律案議題といたし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。南政務次官
  3. 南好雄

    南政府委員 建設省関係法令整理に関する法律案提案理由及びその概要について御説明申し上げます。  本法律案は、建設省関係法令のうち実効性のなくなつたもの及び事務簡素化すべきものについて、所要の改廃を行うことを目的とするものであります。すなわち、すでに実効性のないもの、または存在意義がないものについて、廃止の措置をとるとともに、水防法及び建築基準法の二法律について必要な改正を行い、事務簡素化を行うことにいたしたのであります。  この法律案概要を申し述べますと、第一に、三件の法令を廃止することにいたしておりまするが、これらの法令は、すべてすでに死文化しているもの、または存在意義が消滅しているものでありまして、廃止いたしましても、まつた支障のないものでございます。  次に事務簡素化のための法律改正として、水防法建築基準法改正がありますが、水防法改正では、現行法によると、都道府県知事の樹立するすべての水防計画について、建設大臣の承認と国家消防本部長への報告を要するのでありますが、二以上の都府県に関係する水防計画についてのみこれらの手続を要することにいたしました。  建築基準法改正では、都市計画区域内における建築物に関し、都道府県知事が指定する区域内のものについて、建築主事の確認を不要とし、建築主工事着工または除却の場合の届出義務を、建築主から工事施工者等届出義務に切りかえまして、事務簡素化をはかつたものであります。  以上、建設省関係法令整理に関する法律案提案理由及びその概要について御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第でございます。
  4. 内海安吉

    内海委員長代理 本案に関しまする質疑次会に譲りたいと存じます。     —————————————
  5. 内海安吉

    内海委員長代理 次に公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案及び建設機械抵当法案議題といたします。前会に引続き質疑をいたします。質疑の通告があります。順次これを許します。仲川房次郎君。
  6. 仲川房次郎

    仲川委員 この機会にお尋ねをしてみたいと思いますのは、自動車抵当法施行の件でございますが、今日までおやりになりました方面において、どういうふうな程度になつておりますか。たとえば、自家用営業用自動車区別いたしまして、自家用であると破損が少いけれども営業用であつた破損が大きい。こうした自動車抵当にとつて金を貸すときに、早くいたむということを予期したものと、あるいは相当丁寧に使うので、いたまないというようなものとは、その貸す金においていろいろ区別がなければならない。また新車と旧車との区別によつて新車ならばどういう程度の金を出すか、旧車ならばどういう程度の金を出すか、こういうような点について一応お尋ねします。
  7. 石破二朗

    石破政府委員 ただいま御質疑がありました自動車抵当法施行状況について、今日までの概況を御説明いたしましてお答えにかえたいと思います。  御承知通り自動車抵当法は、昭和二十六年に初めて設けられた制度でありまして、いわゆる動産抵当の一種であり、今回の提案になつております建設機械抵当法も、大体これと同じような趣旨でつくられておるわけでありますが、これは昭和二十六年度に法律施行になりまして、二十七年度中の状況を申し上げますと、抵当権設定になりました車両の数は、自家用車新車が一万一千百三十五台、旧車が四千四百八十四台、営業用新車が四千百八十六台、旧車が二万二千六百三十四台、合計四万二千四百三十九台の車について、昭和二十七年度中に抵当権が設定されております。これの債権額は約百四十七億程度になつております。  なお、車両の新旧についてみますと、自家用車においては、新車の方が、旧車よりか多くなつておるわけでございます。これはおもに自動車販売業者から車両を購入する際に、抵当権を設定する場合が多いためでありますし、また営業車につきましては、旧車の方が新車より多くなつておるのでございますが、これは営業用のための運転資金などを確保する必要から生じたものと考えられております。
  8. 仲川房次郎

    仲川委員 私のお尋ねいたします要件は、こうした自動車というものは、日々使用するのでございますから、非常に破損が多いと見えるときと、破損が少いと見るときと、金の貸し方区別なされるのか。それとも一様にお貸しになるとすると、破損が非常に大きいと、その抵当権で貸した金に足らなくなるのではないか、さようなときはどういう方法をなさるのか、それをお尋ねしたいと思います。
  9. 南好雄

    南政府委員 大体仲川さんの御質問通り自動車消耗品でございまして、非常に破損の多いものでありますが、取引の実態を見ますと、自動車は御承知通り事故保険がかかつております。結局、その保険で、事故が起きたり——普通の自然消耗につきましては、そういうことはありませんが、主として自動車の問題は、事故で急に価額減つたというのが大部分なのでありまして、そういう場合は、保険をかけてございますので、保険金額を車にかわる抵当権のかわりに使つて参りますために、百五十億に近い債権がすみやかに普及したのである、こういうふうに考えております。
  10. 仲川房次郎

    仲川委員 今政務次官から拝聴しましたが、むろん保険をかけなければ金を貸さない。これは金を貸す常識からいつて当然のことでありますが、自家用であれば使う量が少いというので、破損の量が少い、だんだん減つて行く量が少いけれども営業用でどんどんやると、相当大きな破損をいたします。保険が入るけれども、自然に使い、あるいは荷物をよけい積む、かようなものは保険がついておりませんから、どういう貸し方をしておるかということと、同時に、もし抵当権が足らないというときに、金を貸さないということについて、どういう始末をこれに加えて行くか、それを聞きたい。
  11. 南好雄

    南政府委員 大体自動車のような消耗品につきましては、これは運輸省所管であり、詳しいことは私も存じておりませんが、こういう消耗品についての統計ができておるのであります。自然消耗による車の減耗率と申しますものが、大体統計上推定できる。従つて普通の自動車を普通の状態に運転して参りますと、一年でどの税度価額が減損して行くか、こういうこともちやんと統計上出ておりますので、担保に提供する際において、どの程度金を貸していいものかの見通しも、それと勘案いたしますと、そうきめにくいものでないように聞いております。  なお、自家用営業用につきましては、今申しますように、大体自然消耗率といいますものが、統計上推定できまする関係から、御質問のように、具体的にこれに融通する際における支障はないように聞いておりますし、またそれが大してマイナスにならぬと考えられますので、こういうようにわずか一、二年の間に四万も五万もという大きな普及になつたものと考えております。
  12. 仲川房次郎

    仲川委員 それでは今日までの結果を見て、回収不能に陥つたというような実例はありませんか。
  13. 石破二朗

    石破政府委員 ここに詳しい資料を持つておりませんけれども、大体のところでは、やはり一割程度の回収不能というようことが起つておるのじやないかと聞いております。
  14. 仲川房次郎

    仲川委員 もつとも、運輸省の取扱いでありますから、これ以上追究することを控えまして、次に今度の機械抵当にして貸すというこの建設機械範囲の問題についてお尋ねしたいと思いますが、どういうような機械について金を貸すかということについて、一応承りたい。
  15. 石破二朗

    石破政府委員 今度の法案によりますと、第二条の第二項にありますように、この法律でいう建設機械範囲は、政令で定めるということにいたしたいと考えておるのでございまして、まだ具体的にこの政令内容をきめておるわけではございませんけれども、大体の考え方といたしましては、動産抵当を技術的に設定し得る最小限度まで引下げまして、なるべく機械種類は多くしたい、かように考えております。具体的にそれがどの程度金額になるような機械を指定するつもりか、こういう点が問題になるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、まだきめてもおりませんし、どの範囲のものが技術的に登記して抵当権を確保できるかというようなことは、はつきりしておりませんけれども、大体一件当りにしまして、大ざつぱに申しまして百万円というようなところを目安において、それ以上の機械を、この抵当権目的にするように考えたらどうかと考えておりますが、ただこの登記事務は、法務省の各地方の法務局で扱うことになるものでございまして、初めからそう一挙にやつて行くか、それとももう少し上の方から始めて行つて、徐々に範囲を広げて行くかというような点について、まだしつかりした打合せができておりません。考え方としては、技術的に可能な限り、なるべく広くやりたい、かように考えております。
  16. 仲川房次郎

    仲川委員 今御答弁を得ましたが、法律としてせつかく御提案になりましたが、貸す内容についてまだ確定しておらないのは遺憾であります。今日までのこういう法律を調べてみますと、主として大きな営業者に対して有利な法律が出て来るように思います。今日、敗戦後、所々に相当多くの請負師がたくさんできております。こうした小さい請負師に対しても、この法の恩典に浴するように、百万円でなくもつと引下げたらどうか、こう考えます。しかし、今官房長が申されるのでありますから、その点は了承しますが、もう少し下げて、大衆がこの法の恩典に浴するようにしたいということを質問したい。
  17. 南好雄

    南政府委員 お答え申し上げます。仲川さんの御質問ごもつともでありまして、前回の委員会におきましても、その点を、逢澤さんでございましたでしようか、強く御要望になり、またおしかりも受けたのであります。しかし、これは決して私たちが大業主保護するという趣旨で、こういう法律をつくつたのではなくして、考え方といたしましては、すでに持つているものに抵当権を設定して金融を受けて行くというような場合におきましては、この範囲を非常に高めることは、比較的に大業主機械をよけい持つておりますから、担保能力があるという議論にもなるのでありますが、これとうらはらをなしております公共工事前払金保証事業に関する法律の一部改正がございまして、今後機械を買う際におきましても、保証事業会社金融を仰がれ得るという道を開きました関係上、彼此一本になりまして、中小建設業者も、新しく機械を買う際におきまして、買つた機械について、抵当権を設定して資金のいわゆる担保にする。こういうこともでき得ますので、私は、一概に大きな連中ばかりを保護する法律であるとは断言できないものである、こういうふうに考えております。なお問題は、今官房長から百万円見当、こういう答弁がございましたが、私たちも、日本建設業実態に触れまして、どの程度まで機械担保目的に供し得るようになし得るかは、慎重に研究してみなければならぬ。結局これを広げ過ぎまして、抵当権をいざ行使をしようという際に、債権が確保できないというようなことが起きましては、この法律をつくりました本来の趣旨も失われて行くことになりますので、ほんとうに金を貸してくれるようにして行かなければならぬ。こういうことを考えて参りますと、この制限をむやみに広げて低くして行くこともどうかとも思われます。いずれにいたしましても、こういう種類法律は、最初手がたくやつて漸次広げる方法と、それから最初ルーズにやつて、弊害に従つて直して行く方法と、二つ考えられると思います。いずれにしても、この種法律は初めてでないのでありまして、自動車抵当法等の先例もございますので、そういう法律実施状況をよく勘案いたしまして、御質問趣旨を尊重するように、この政令範囲をきめて行きたい、かように考えておる次第でございます。
  18. 仲川房次郎

    仲川委員 現在大分建設業も、時代が変化いたしまして、鋪装なんかもミキサーを持つていない者はできない。あるいはまた隧道もコンプレッサーを持つていない者はできない。コンプレッサーも三十万か五十万円、ミキサーも小さいもので三、四十万円ということに相なります。百万円以上ということになると、中小請負者は、どうしても機械を持てないということになりますので、その点実情を考慮されて、中小企業もこの法の恩典をこうむるように、特に希望するのであります。
  19. 田中角榮

    田中(角)委員 二、三政府意見をただしておきたい。公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案も、同時にあわせ提案せられておるのでありますが、この法律改正することによつて、なお建設機械抵当法と同時に法律として施行することによりまして、大体何箇年間にどの程度機械量を新しく整備をするという計画があるか、ちよつと伺いたいと思います。
  20. 石破二朗

    石破政府委員 実は今後の建設工事出ぐあいというものにつきましては、今後数箇年間にわたる建設工事発注状況というものにつきまして、この通りであるというほどはつきりした見通しもつけがたい状況でございますが、大体の考え方といたしましては、実は去年の十二月に建設業法に基きまして設けられております中央建設業審議会から答申建設大臣あてにあつたのです。これによりますと、昭和二十九年度、三十年度、三十一年度、三十二年度、これらの四箇年間に、建設機械購入のために用する金額が、総計といたしましては七十億見当の金がいるであろうというふうな答申が出ております。大体私どももその程度のものじやなかろうかと考えております。これは建設機械整備ぐあいの関係がありまして、毎年平均というわけには行きませんが、総計年間に七十億見当であります。二十九年度に、はたしてそれではどのくらいかということにつきましては、三十億ないし三十五億、こういうふうに審議会では答申して参つております。私どもも大体その程度ではなかろうかと思つております。
  21. 田中角榮

    田中(角)委員 数字を聞いて、あまり小さいのにびつくりしたわけであります。四、五年間に七、八十億であれば、こんな法律をつくらなくてもやれるのではないかという気持が私はいたします。どうも立案の当局は、現在ある業者手持ち機械に対して抵当法をつくつて、いわゆる一般資金の中から建設機械を買つて行かなければならないという業者実情に対して、幾らかプラスをすればいいじやないかというような目標だけお考えになつておるようであります。私は、少くとも日本の将来を考えて、その十倍程度建設機械の充実というものに目標を置かなければいけないんじやないかという考えを持つております。これに対してはまたひとつ、この法律はまだ上らないのでありますから、十分検討していただきたい。その程度機械整備をやるためにだけというような目的でお考えになつてつては、非常にスケールが小さなものになる。電源開発で新しい機械を入れるということになれば、只見川水系千億の事業量に対して、十億の機械力がただちにいるのでありますから、この問題は、十箇所もやれば数百億になるのであつて、どうもちよつとポイントが違うんじやないかと考えております。これはいずれ御答弁を煩わすことにいたしましよう。  そういうふうに、現在の建設機械だけを考えておられるということになりますと、さつき仲川君が言われた通り、どうも大業者偏重になりやすいというふうに一応考えられるわけであります。特に百万円以上といいますと、相当大規模な機械であります。現在日本中小企業が多いのでありますから、自動車等におきましても、御承知通りオート三輪車というようなものでやつているのが非常に多い現状であります。これを普通のものにしなければならないのでありますが、建設機械に対しても大体そういう実情であります。一件百万円以上の機械を使い得る大業者は、中央の七社から二十社で、各府県におけるところの一箇年一億以上の施工量を持つというものは大体一県二社か三社、全国合せて百社ぐらいの企業者が使えるくらいのものということになるのであります。一件百万円以上の特殊な機械を使うということになると、これは例外なく大企業者だけということに実際はなります。いわゆる建設業法によつて登録をしておる土木業者は、登録にはたくさん事業をやつておるようになつておりますが、その反面、税務署に出す書類を見ると、非常に小さく書いてあります。この中間をとつてみても、大体年間一億以上やる業者というのは中堅業者以上で、まずそうないのであります。これは昭和十八年における企業整備の、年間施工量五十万円というのは、日本の大体の平均以上の業者でありまして、そうしますと、現在大体一億の事業をやるのは一箇月千万円程度でありますから、百万円以上の機械はなかなか使えないと思われる。どんなものでも三十万円ほかかるし、破砕ミキサーは四十万円であります。この程度対象にならなければいけないのでありますが、これを対象にすると、非常に事業量対象になり、金額が多くなるわけです。しかもこれを貸し付けるという場合に問題が起きて来ますが、特に建設業法による登録業者は、一応組合の対象になるということでありますから、これは一面非常にあぶない貸付にもなります。特に今は前払金保証法によつて前払いをしてやつても、その前払いは、造船がリベートをやつたように、どつかに使つてしまつて工事が全然できなくて投げ出しておるという例が、たくさん直轄工事においてもあるのであります。こういう現状から見ますと、その貸した金も回収できないのですから、そういう業者自体対象にして金を貸したら、収拾できなくなるということも出ます。しかしそういうものにはしないというのは、あまりに大業者保護するので、にわかに貸せないじやないかという意見も出て来て、この法律の適用はむずかしいものになると思うのであります。さつき南君が言われたようにして、一応大きなものからだんだんと幅を広げて行くか、もしくは全部拾うことにしておいて、実際面において縛るか、二つの方法があると言われましたが、大体その通りであります。しかし、やはりこういう法律が出ると、どうも目的日本建設事業機械化能率化という命題は、非常にいいのでありますが、実際の運営上、ある種のものだけを整備をし、保護をするということで、俗にいう企業全体の保護立法であればまだいいのでありますが、部分的な業者保護立法になるんじやないかという意見が出ることは、この法律のために惜しむものであります。そういう意味で、政令でもつてきめられるということでありますから、今ただちにこれが内容に対して御答弁もできないと思いますが、その間の事情について、これをきめるときには、審議会なり建設委員会にでも十分御相談になつていた、だいて、社会的に最も喜ばれ、またこの法律目的?達成せしめられるように政令をきめていただきたい。前に建設関係基本法であるところの建築基準法を通したのでありますが、建築基準法実態というものは、政令でもつて定められるものできまるわけであります。ところがこれはブロック建築等に対して、二階で打切る、四階から出る、五階から出る、こういう問題になると、これの及ぼす影響は非常に大きいのであります。特にこの問題は、対象になる業種業種でありますから、これはなかなかむずかしいことが起きると思うのでありまして、特に起案せられた建設当局としては、十分これが実施にあたつては慎重を期していただきたい、こう考えるわけであります。  もう一つ伺つておきたいのは、こういう建設機械抵当法案を出されることは、この種の法律案がたくさんあるのでありますから、ことさら新しいものではない。こんなものを出すのは、おそかつたという理論にはまつた賛成であります。賛成ではありますが、これをつくるには、この次になおまた大きなものをつくる、こういうお考えがあるかないか。それは農林省農林省でもつて建設機械一般会計から買つております。建設省建設省で買つております。運輸省運輸省で買つております。ところがこういう機械は、大体一割しか稼働しておりません。実際今持つておる機械がフルに運転しますと、まず三千億はやれるのを、超均衡予算が一兆円というようなわけでもつて、ほとんどこま切れ実施をやつておりますので、機械は返したくないというので、現地に小屋をかけて温存をしておる。別な新しい工事が出ると、またそこでもつて新しい機械を買う。だから、四十五億も五十億も建設機械を要求しても、これはただでよかろうというふうに大蔵省になめられるわけであります。シートパイルにおいても同じであります。このまつたくせつない乏しい財政の中で、三百トンのシートパイル関東地建に眠つておる。信濃川で百五十トンほしいという場合に、ちようど一箇月半かかる江戸川が始まるし、信濃川は三箇月かかるから、信濃川の方は百五十トンまた別に買おう、こういうふうに非常にめんどうなものになるのです。私の地域にはもつとひどいものもあります。港湾と河川の問題でも、船の問題がある。浚渫船などは今二千万も三千万もかかります。ドレツジヤー船においてもそうでありますが、こういうものに対しては、省が違うために、その前に遊んでおるものも、なかなか貸してもくれないし、また借りに行くのはこけんにかかわるというので、なかなか行かないのです。こういう大きなものに一つの——私は砂利工事なんというものよりも、こういう建設機械などは、こうするというような大きな考えをもつて統一すべきだと思う。その場合に、私は十億、十五億というような個々でやるよりも、実際、年間百億、五箇年間で五百億ということで機械設備を行う、この程度考えでいいのではないか、こう私は考えておるわけであります。だから、この委員会にかかつておりました国土総合開発法による国土開発会社ができましても、これも調達庁の機械を受継ぎながら、さつぱり運転資金もなく——まあこのごろようやくうまく行つているようでありますが、この実態を見ておりますと、各個ばらばらでやつておるので、今度この種の法律を出した第二の段階においては、これは建設省がちやんとまとめて、機械管理省になるというくらいなお気持であれば、これはもうわが国の公共事業進展のために、非常に意義あることだと考えております。これは夢ではなく、こんなことをやらなければ、こま切れ予算でどうにもならなくなるのであります。特に機械はそうであります。そういう問題に対して立案の準備があるのかどうなのか、こういうことだけは当然お考えになつておると思いますし、私は建設省においては建設機械課でなく、機械局にしてもいい時期だ、こういうことを前からこの委員会でも申しておるのでありますから、この種の法律を立法せられる階段にある建設省としては、将来当然国でまかなつて行く国有の機械等をどういうふうにされるおつもりか、関連的に伺つておきたい。
  22. 石破二朗

    石破政府委員 近い将来の建設機械需要量の見込みが少な過ぎるじやないかというお話でございました。総体的にはそういうことが、あるいは間違つておるかもしれませんが、ただ私がさつき御説明しました中に申し落しておつたことがありました。それは私がさつき七十億見当と申し上げましたのは、発注者側で買つて、それを請負契約の条件として貸し付けるというような機械については入つておりません。その点を御了解願いたい。発注者側で準備して出します機械は、請負業者側で新たに買い入れる機械までは行きませんけれども、それの六割とか七割、そういう程度機械をやはり発注者側で準備して、それを貸与するのではなかろうか、かように考えております。  それから政令で指定します建設機械範囲につきましては、私どもの気持といたしましては、なるべく多くの機械政令で指定しまして、金融の道を開きたいという強い希望は持つております。ただ、先ほど申し上げましたように、技術的に、登記ということから、動産抵当として適当かどうかというような点で制約を受けますのと、制度発足早々からそういうことをするのはどうかというような点がありますので、気持としてはなるべく広げるという気持でひとつ努力いたしたいというところで御了解願いたいと思います。  それから建設機械でありますが、私は農林省運輸省機械の稼働状況については承知いたしておりませんが、建設省の所管の建設機械の稼働成績が悪いとおつしやいますのは、御指摘の通りでございます。実は私どもといたしましては、各省所管の機械を統合するというところまでは、いろいろ研究はしますけれども、具体的にそこまではまだ考えておりません。しかし建設省所管の機械だけでも、せめて能率よく動かしたいということに関しましては、すでに一両年来研究はいたしております。その一つの方法といたしましては、原因はいろいろありますけれども、どうもそれぞれの担当者が機械をほんとうに活用しようという熱意もくふうも足らぬのじやなかろうかというような点も考えられるし、さらに機械種類がいろいろのバランスがとれておらないというようなところにも関係があり、原因があるであろうというようなことも考えられますので、まず機械の機種のバランスをとるということを十分、二十九年度から考えて行きたい、こういうふうに考えております。なお私は技術者でありませんので、これ以上詳しい点は御答弁できません。さらに稼働成績を上げるように、みな一生懸命にやらせるという方法につきましては、いろいろありますけれども、一つの方法としては、せめて建設省所管の機械だけでも、特別会計のようなものを設定いたしまして、この機械を遊ばしておつたら、建設機械の特別会計の勘定がすぐ赤字になつて来るので、やむを得ずこれを一生懸命に働かさざるを得ぬというような仕組みにして、少しでも稼働成績を上げるようなことを考えたらどうかということで、できれば三十年度からでも、こういうしつかりした制度をつくつて、眠つておる機械がないように、機械の稼働成績が一目瞭然に上るようにしたい、かように考えておるわけであります。
  23. 田中角榮

    田中(角)委員 この問題は非常にむずかしい問題ですが、簡単な面だけをただしておきましよう。今あなたは、技術屋でないからという前程でもつて話されておるから、ぼくはもう何にも言うことはない。こういう法案審議するには、技術面の局長にも全部出てもらい、土木建築の研究者にも出てもらいたい。この法律審議に関連して言いたいこともたくさんあるのですが、言つておれば時間もかかりますし、早く通してもらいたいというお気持もあるようですから、それは申し上げないことにいたしましよう。ただ、あなたが言われたように、建設機械の稼働成績が悪いから、これを稼働させなければならぬと思つておりますというぐあいでもつて、表面上は非常に率がいいようになつておりますが、実質的には金がかかる人間のいる直営工事を、みんな機械を遊ばせぬためにやらなければいかぬということが起きてはたまらぬのであります。まあこんなことは申し上げないことにいたしましよう。  ただ私は、こういう法律をつくるのは、今の一建設業者のためではなく、建設事業の円満遂行ということが、日本の国の超均衡予算のうちの大半を占める大きな予算の執行面を円滑にするかしないか、経済再建がうまく行くか行かぬかという問題でありますから、あながちこの種の法律が出されることに対しては、異議もなく、賛成であります。しかし、こういうものをやる以上は、やはり次に来るものは何かという一連の計画を持たなければならぬと思います。その意味で、今あなたが言われた通り、さなきだに多種多様——日本の技術屋は偏狭でありますから、一つの画一的な機械を買おうとはいたしません。アメリカから買う人があると、私はドイツから買おう、ドイツから買う人があると、イギリスから買おう、こういうので、まつたく違うのであります。これを統一しないところに、えらい問題が起きておるのであります。特に私たちは、委員会で欧州諸国家を見て来ましたときには、日本で現在まだ使つておりませんが、移動式型わくというようなものを盛んに使つておる。これが機械に入るかどうか、日本事業では架設材料ということになつておりますが、今のように十年杉、十五年杉の足場丸太をばらばらに切つて使用しておることは、治山治水面から見ましてもたいへんな問題であります、そういう場合に移動式型わくというようなものが、新しい観念において機械に入るか入らぬかというような問題も、やはりいろいろ考えなければいかぬ問題だと思う。しかもこういう新しい機械力を使うために、日本は三階建を一年間もかかつて——一年どころじやない、ひどいところは、悪い業者にかかれば三年くらいかかつて、やつたことにはなつておりますが、これは実際できておらぬ。三月三十一日現在では基礎だけぶち上げておる。それを会計検査院に特に延ばしてもらつて、何とかしてもらうというものもたくさんあります。ところが、ハンブルグにおいては十四階建を十四日間で打ち上げておる。こういう面もございますけれども機械整備考えるときには、やはり機械種類の規格統一をするということを前提にして、統一機械を買う場合には、その上でこうしてやるということにすると、これは将来非常な飛躍だと思います。しかもこちらは鉄筋コンクリートをワン・スパン三十メートルぐらいにしておるのに、向うでは来年七百メートルのつり橋をやるというのですが、それについて、鉄筋コンクリートでも、ワン・スパン百メートル以下では問題になりませんよと言つておる。こういう状況をあなた方も見ておられるでしよう。特に私は、電源開発などを考えておるのですが、各省がかつてに新しい機械を一台ぐらい買うのに、外国に見に行つております。この機械の統一ということに対しては、特に政府自体が、民間を含めた将来の機械規格をどうしようかということを前提にして考えないと、そうでなくとも百の業者が寄れば百種類ミキサーを使うので、またその上機械を買うのに便利な法律ができますと、とんでもない機械ばかり買うおそれがある。私はかつての経験もありますが、確かにそうです。そういう意味でこの機械抵当法をおつくりにつて、これを実施せられようとするならば、目先のことだけを考えないで、将来の大きな目的を達せしめられるという大前提のもとに立案をしていただきたい。これは建設業法をつくつたときと同じことです。目の前には非常にいいのですが、これは悪用するといいますか、なかなか善用という面では相当問題があります。今よりもいいだろうというが、悪い業者にかかりますと、とんでもないことになる。これについては、私はあとから質問をしようと思つておりますが、一般抵当法と同じく、いわゆる税金徴収法によつて税は優先する、こういうものであり、最後には最高裁判所の決定をまたなければいかぬ。こんなことですと、金を借りて機械を売り払つてしまうような業者が実際において出て来るのですよ。だから、そういうおそれのある中小業者には適用しないで大業者に集中する、こういう悪循環が来るわけであります。だから、この種の法律の立案に対しては、長いことの目標ではありましたが、適用に対しては、相当問題があることを十分御承知になつて、善処していただきたい。  なお仮差押えもしくは仮処分の目的になつておる機械についての税金徴収法上の権利という問題でありますが、これは公共工事前払金保証事業に関する法律の規定に基いて貸し付けたところのものに対しては、特別優先するような措置がとれないものでしようか。そうでないと、こういうことがあるのです。
  24. 内海安吉

    内海委員長代理 田中君、お話中ですけれども、すでに法務省から民事局の石井検事がお見えになつておりまして、この抵当権等について御説明したいということですから、十分に御質問願いたい。
  25. 田中角榮

    田中(角)委員 それでは一つだけ聞いておきます。これは実際問題としてどんな法律にもあるのですが、特に業者が——これは今の建設業者は非常にいいのですが、こういうものとうらはらになる建設業者というものは、届出制でありますから、昔のように二枚看板というほどではありませんが、確かに脆弱な業者がたくさんあります。こういうものは、当然工事を行う機械が必要である。前払い金を借りると同じように建設機械を買う、そうしてその工事は損をする、損をするから抵当に入つておる機械でもなんでも現場では強引に——社会通念よりももつと強い力で機械を持つて行つてしまう、倉庫に入れてくぎづげにしてしまう、こういう問題が特に起きる業種なんです。賃金を払わないとミキサーを持つて行つてしまう、足場でもなんでもはずして持つて行つてしまうのです。こういう問題が起きるのですから、特に優先するというような規定がないと、こういう回収がむずかしくなると考えるのですが、その問題はどういうふうになるのか、特にそういう不良業者に対する建設業法上の処分が明らかになつておるのか、そういうことをした業者は、永久に認めないのか。今までではそうじやないのです。建設業法が不徹底でありますから、悪いことをして会社をぶつつぶした者が、会社を解散し、別の会社の取締役に就任して、新しい看板をまた掲げ、建設省農林省はそれにまた指名権を付与して、指名入札をさせる、こういう実際があるのですが、その処罰規定はどうなつておるのですか、この二点を伺いたい。
  26. 石井敬二郎

    ○石井説明員 税金と前払い金の問題でございますが、税金に優先するようにという問題は、この建設機械抵当法に関連するだけではなく、ほかの分野にも、そういう問題は考えられるであろうと思いますが、税金とそのような債権との関連という問題は、非常に困難な問題でありまして、十分検討してみたいと考えております。しかし、今ただちに優先する効力を与えるということは、ちよつと困難ではないかというふうに考える次第でございます。
  27. 石破二朗

    石破政府委員 建設業法上の機械抵当に入れて金を借りて、その金を払わないで機械を売り払つてしまつたというのを処分する制度につきましては、建設業法の方では、建設業法による監督処分としては、別に制度的には考えておらぬわけであります。
  28. 田中角榮

    田中(角)委員 今、法務省から御答弁があつたように、これは普通でもみんな同じですからというのですが、私たちもかつて業者でありましたけれども、これはなかなかきつい業者なんです。使う人はなおきついのですが、ほんとうに不良な貸金のために、百万円の機械でもなんでも持つて行つてしまう、こういうのがあるのです。ものによつては、これは非常に多いのです。そうしますと、これは今のこの種の法律通り、やはり徴税等に優先しないということは、常識的にいつてそうでしよう。そういう場合には、そういうことを行つた業者に対しては、建設業法上の処分を明らかにする、普通よりももう少し強くする。建設業法上の営業を取消す、取消した者は三十年やれないとか、選挙違反に対すると同じくらいに、公民権を十年間停止するというくらいなものをつくらないと、これは逆用せられるおそれが十分ある。そういうふうにはつきりしておきますと、あなた方の言うように、資金さえ間に合えば、中小企業者に貸してもいいのですが、そうしないと、この法律はどこかにつつかれて、大業者集中じやないかということになるのです。そういう穴だけはやはり封じておかなければならぬと思うのです。そういう意味で申し上げておるのですが、何か適切なる措置を講ぜられる御意思があるかどうかを伺いたい。
  29. 石破二朗

    石破政府委員 先ほど申し上げました通り、現在の建設業法では、それを処罰する規定がないのでございます。制裁する規定がないわけでございますが、御指摘の通り、そういう不心得の者が出て来ますと、建設機械抵当一般の信用も落し、金の貸し手もなくなり、この法律を制定した目的に沿わぬことになります。御指摘のように、今度同時に御審議つております前払い保証の方でも、再保証と申しますか、銀行から機械抵当に入れて金を借りる場合に、それをまた再保証するという形の制度になつておりますし、運用といたしましては、そうむちやなものに銀行が金を貸してばかを見たというようなことが起らぬようになるのじやなかろうか。また御指摘の通り大業者はそういう不心得のことをしないけれども中小業者の方では、そういうことをやるのが多いのではないかというような点でございます。これも、あるいはそうかもしれませんが、必ずしも中小業者はそういう不心得の者が多くて、大業者はそういう者がないというふうには考えられません。少くとも一律に大業者保護する法律とも見ておらぬのであります。
  30. 中島茂喜

    ○中島(茂)委員 端的に一、二点お伺いをしたいと思います。第一点は、公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。この第二条の条文を読んでみますと、この条文から見て、これは公共団体、国、国有鉄道、日本専売公社、日本電信電話公社等が発注する土木建築の工事の用に供することを目的とする機械類の製造を含む、こういう条文になつておりますが、これから言うと、いわゆる建設請負業者にはこの法律を適用するのかしないのか、この点を端的に伺いたいのであります。
  31. 石破二朗

    石破政府委員 この建設機械購入に要する第二条の改正は、従来は公共工事施工に要する金の一部を政府前払いする、それを保証することになつてつたわけでございますが、今度は政府及び地方公共団体等が建設機械を発注する際に、その契約金額の一部を前払いするという制度を新たに開きまして、これについてもこの保証会社が保証する、そういう意味でありまして、民間の建設業者はこれには関係ないわけであります。
  32. 中島茂喜

    ○中島(茂)委員 そうすると、民間の建築業者機械を発注する場合に、この法律の適用を受けることはできないわけですか。
  33. 石破二朗

    石破政府委員 これにつきましては、この法律それ自体には直接はございませんが、われわれの考えといたしましては、民間の業者建設機械や発注する際には、一つの方法としては、既存の建設機械抵当に入れて金を借りる、民間の建設業者建設機械を購入する際に、前金払いがいるとかなんとかいう場合におきまして、その金を調達するについては、既存の、自分が前から持つている機械抵当に入れて金をつくる、そして購入資金を前渡しするという制度もできるわけでございますし、さらに月賦販売というような制度も、こういうものができたことによつて促進されるのではなかろうか。建設機械の月賦販売、つまり品物を先に渡し、それに抵当権を設定してというようなことで、月賦販売制度もこの法律によつて促進されるのではなかろうか、かように考えております。
  34. 中島茂喜

    ○中島(茂)委員 どうも私は少し頭が悪いので、この法案をそのまま読んでみますと、一般建設業者にもこの法案が適用されるのではないかというような感じを受けたので、質問をしたわけですが、この点をもう少しはつきり法文の上で表わす字句を御考慮願つた方がいいんじやないか、こういうことを考えましたのが一点。それからもう一つは、前渡金というものは、現在工事費の三割ないし四割は、民間の業者にも融資ができておると思うのであります。しからばこの建設機械を購入する場合にも、民間の業者に前渡金を保証会社が保証し得るような方途を講じてもいいんじやないか、こういうふうに考えますが、その点をさらに御答弁を願いたいと思います。
  35. 石破二朗

    石破政府委員 お答えいたします。実は工事を発注します際に、三割ないし四割という前渡しをいたします制度と同様に、予算決算会計令の改正をいたしまして、こういう保証会社の保証がある場合については、建設機械の購入費につきましても三割ないし四割を前渡しできるというような改正をいたすつもりでございます。
  36. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの中島委員のお尋ねに続いて、関連をしてお尋ねをいたすのでありますが、ここに謄写刷りで、建設機械抵当法案参考資料というものの中に、昭和二十九年度における建設機械購入資金についてといつて、一通りの御説明があるようでございます。すなわち、昭和二十九年度における建設機械を必要とする建設工事費は千八十四億円であつて、そのうち請負工事として発注される見込みは五百二十二億だというふうにありまして、結局請負業者における機械購入資金に二十一億円を必要とするが、そのうち自己資金等の六億円等を加えて、結局開発銀行の融資を希望するものが五億円というふうにあるのでありまするが、それではこの公共工事前払金保証法の一部を改正いたしましても、結局二十九年度は五億円の問題だ、こういうことになるのであります。今中島委員のお尋ねによりますと、一般の請負業者も、ちようど公共工事の前払金と同様に、この抵当法実施できるならば、機械にも貸すのだ、こういう御答弁であつたと思うのでありますが、それは結局五億円だけの限度という意味でございますか。
  37. 石破二朗

    石破政府委員 ただいま村瀬委員の御指摘になりました五億円というのは、実はまだきまつておらぬ開発銀行の資金計画じやないかと思うのであります。建設機械購入資金を借り入れますのは、もちろん開発銀行も、できればそれを希望いたす次第でございますけれども、開発銀行の資金計画の内訳もまだきまつておらぬと聞いておりますし、これにそう多くを期待するわけには参るまいと思います。従いまして、われわれの考えといたしましては、できれば開発銀行からも借りるようにしたい、さらに興銀その他からも借りたい、一般市中銀行からも建設機械購入資金は借りるようにしたい、このためにこういう建設機械抵当制度をつくりたい、かように考えたのであります。
  38. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 どうも私の質問がはつきり御了解いただけなかつたようでありますが、さらにさかのぼつて申しますならば、ある一億円の工事を請負つた場合に、機械を五千万円買う。それをその一億円の工事では、必ずしも一度に償還してしまう必要はないのであります。一億円の工事に五千万円の機械を買つても、その翌年もその翌年もまた使えるわけであります。しかし、その場合にどれだけこの前払金保証法によつて保証をなさるのでありますか。その場合の保証というものは、あくまでも億円の工事に限定をするというのならば、何も建設機械抵当法をつくつてもつくらぬでも同様ということになります。その工事範囲内で、機械を買おうが工事をやろうが、ともかく三割ぐらいを保証会社の保証がある限りは前渡しをしてやろうというのならば、これをつくつてもつくらぬでも、請負業者としては同様な結果になります。でありますから、せつかく建設機械抵当法案をつくり、さらに公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する以上は、一体請負者がどれだけの利益があるのであるか、どれだけの恩典を受けるのであるか。従来、たとえば昨年で言うならば、二百六、七十億を対象としておつた。ところが、三百億ほど保証をしたものだから、非常に利益が上つたという、この前の御答弁であつたわけであります。そこで、この二つの法律を通すことによつて——通らなければ幾らであるけれども、通れば大体幾らの利益がある、恩典があるのだ、その数字をお示し願いたいと思います。
  39. 石破二朗

    石破政府委員 御指摘の通り、この制度ができましても、政府が一億の工事を発注します際には、その請負業者が一億の中で何千万円の機械を買おうと、前渡しする範囲は四割ということに制限されておりまして、機械を購入する多寡によつて左右されるわけではございません。ただ、この制度を新たに開きますと、それとは別に、建設業者建設機械抵当に入れて銀行等から融資を受ける道が開けるというだけでございます。
  40. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そうしますと、従来はいわゆる国の予算を対象として前払金をもらつたわけであります。これは会計法によつて、鉄道以外は前払金の制度はなかつたものを、一昨年この公共工事前払金保証事業に関する法律ができまして、そういう方法ができたというのでありますが、今回の改正によりますと、対象は、そうすると国の予算とかなんとかいうことは除外して、さらに言いかえますならば、国の予算に関する限り、今度の二つの法律が通ろうが通るまいが、それは工事費の、たとえば一億ならば一億の限度であるから、さらに何らの影響はない、何らの恩典もないのだ、ただ国の予算以外から、この抵当法と保証法とによつて、たとえば開発銀行その他から借りられる道が開かれるのだ、恩典はその一点にあるのだ、こういう意味でございますか。
  41. 石破二朗

    石破政府委員 私の答弁がたいへんまずうございまして、おわかりにくかつたと思いますが、この二つの法律を含めて、今度新しくどういうことを考えておるかということを簡単に御説明申し上げますと、まず政府が発注する場合のことについて先に申し上げます。従来は政府機械を買つたり、工事を請負に出したり、いろいろしておるのでございますが、従来前渡しいたしましたのは、建設工事の請負金額の四割までを前渡しする、その四割について保証会社が保証するというだけの制度であつたのを、今度は政府が、建設機械を買います際に、工事を請負に出すと同様に四割の前渡しをしよう。そのかわり今度の法律でそれを保証させる、その条件に機械購入費を四割だけを前渡ししようというのが一つと、それから一方これとは別に、建設機械抵当制度をつくりまして、そうして建設業者建設機械購入資金を銀行などから借り入れられる際の担保力をつける、増加する制度をひとつ開こう。さらに、こういう制度をつくつても、銀行は建設機械担保にとつただけでは安心しないかもしれぬから、もう一つ念を入れて、そういう場合に保証会社に再保証のようなものをさせよう、こういうわけであります。それでは政府建設機械発注に際して、本年二十九年度に建設機械購入費への前渡しを総額どのくらい見込んでおるかという点でございますが、正確にはお答え申し上げられませんけれども、大体年間建設機械購入費の前渡分として渡しますのは二十億見当じやなかろうか、かように考えておるわけであります。
  42. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの御説明で、ほとんど明らかになつたわけでありますが、最初の提案理由の説明の当時のお話では、その点はなはだ判然としないものがあつたのであります。そういたしますと、結局請負業者にとりましては、今度の公共工事前払金保証事業に関する法律改正は、何らの恩典はないのだ。今度は、恩典というよりも異同はないのだ、従来通りであつて対象は結局建設機械を製造しておるところ、あるいは外国の機械等を取次ぐ販売をしておる業者が、初めてこの改正によつて一つの恩典というか、保証をしてもらえる道が開けたにすぎない、かように解釈していいのでございますか。  それから、ついででございますから申しておきますが、そういたしますと、建設業者機械を購入して能率を上げたいという場合には、もつぱら建設機械抵当法によつてのみその道を開いておるのであつて、保証法の方については、ただ請負工事費としての保証をしてもらうだけであるから、こういう改正があろうとなからうと関係がないということになると思うのであります。もし違えば御答弁いただきたいのであります。そういたしますと、建設機械抵当法というもののみによつて建設業者は——請負業者は、機械化を促進しようということになるわけであります。もつともその場合、念のためにもう一度保証会社に二重の保証の登記をし、さらに保証料を払つて保証会社に保証をしてもらうという道はあるかもしれませんが、それは保証をしてくれと銀行の方が言わねば、抵当だけでいいのかもしれないのであります。ただ念を入れてみるというだけの話で、どつちでもいいわけなんで、金を貸してくれる方が、そんなことは必要ない、抵当権を、一つの国家機関による厳重な刻印を打つて抵当原簿に登記するのであるから、まあそれでけつこうだといえば、それでいい話であるのでありまして、何も公共工事前払金保証会社に保証料まで払つてやる必要はない、こういうことになるのでありますが、政府がお考えになつておる、これら二法案趣旨並びに建設工事機械化というものに対するお考えは、単にその程度にとどまつておるのであるかどうか、もう一度はつきりしていただきたい。
  43. 石破二朗

    石破政府委員 この二つの法律改正なり制定の結果、建設業者がどういう恩典を受けるかという点について、お答えをいたしたいと思いますが、お話の通り建設機械のメーカーの方は、今度は発注を受ける際に四割の前渡金をもらえるという恩典を受けることは確かでございますが、従来建設業者の方につきましては、先ほども御説明しました通り建設機械購入資金等の調達に非常に困難をしておる。従いまして、建設業者は今度の法律ができました結果、従来担保能力のなかつた自己既存の、すでに自分が持つておる建設機械抵当に入れて金を借りるという道が開けるという意味において、建設業者に対しても、相当の恩典といえば何でございますけれども、利益があるであろうと私は考えております。さらに、それでこの抵当に入れただけで銀行が金を貸してくれるのだから保証会社が保証料を払つて保証しても大した恩典にならぬじやないかという御指摘でございます。あるいはそういうことが言われるかもしれませんけれども、実は先ほど来建設機械抵当担保能力にも限界があるというような御指摘がありました通り建設機械抵当に入れただけで、はたして十分の金を貸してくれるかどうか、そういう点につきましても、的確には申せませんけれども、相当な疑問があるのであります。保証会社が保証することによりまして、やはり金融機関は担保としてはどうも怪しいかもしれぬけれども、まあ保証会社が保証するなら貸そうというのも相当出て来る。そういう点につきまして、私は建設業者にとりましても、資金繰りの上においてこの両制度ができますことは、相当効果があるもの、かように考えております。
  44. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 時間が非常におそいようでありますから、簡潔に打切りますが、工事前払いは、ただで貸してくれるわけであります。ただで貸すというか、前払いしてくれるわけであります。保証料一銭払えば、かりに一億円に対して四千万円前払いしてくれるわけであります。ところが、この建設機械抵当法によつて借りるというのは、そのときに日歩二銭なり、三銭の利子がちやんととられて、その上に保証料を払わなければならない、こういうことになるのであつて公共工事前払いをしてもらう場合とは非常に性質が違うわけであります。でありますから、高い金利の上に、さらに保証料を払うということになるのであつて、大して私はほんとうの恩典というものにはならないと思うのであります。むろん、いろいろ金融面に苦労しておる時代でありますから、高い利子を払つて、さらに保証料を払つても、その道が開ければ、それは幾分か喜ぶには違いないでありましようが、公共工事前払いというものは、保証料を払えば何千万円をただ前払いしてくれた、無利子で前払いしてくれたのであります。その恩典というものは非常なものでありまして、建設工事の合理化、コスト低下によつて、はなはだしく役立つたと思うのでありますが、今度は、ただ鬼面人を驚かすようなもので、大して内容はそうありがたくないというふうにもとれるわけであります。そういうことで、時間がありませんからこの次に譲りますけれども、また一つここにお尋ねをいたしたいと思いますのは、建設機械抵当法案の十六条「抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となつた最後の二年分についてのみその抵当権を行使することができる。」——二年分とおきめになつ理由をお聞きしたい。と申しますのは、先ほども申しました通り公共工事前払いというものであります限り、期限がありまして、そうのんべんだらりといつまでも工事をしておるわけではありません。従つて、一億円の工事を四千万円前払いを受けましても、それは着々と工事のできると同時に、その前払いというものはなしくずされて行くのでありますから、そんなにいつまでも保証料を払う必要もなければ、もう保証基金もすぐ払わずに済むことになるのであります。ところが、一方今度の建設機械抵当法による分は、これは三年かかろうが四年かかろうが、いつまでもかかるわけであります。そうして、いつまでも保証料を払わなければならぬ。でありますから、見方によれば、これに二十億を充てておるとおつしやるが、この二十億によつて公共工事建設業保証会社は実はもうかるかもしれない。同じ二十億といつても、年限はずつと続くのであります。前払いの二十億であれば、三箇月か四箇月かたてば、それはなしくずしで、工事の進展と同時に保証する必要はなくなる。この方は、二十億借りたらずつと二十億、機械を注文した場合は、機械ができると同時に、これは工事と同じでありましようけれども抵当法によつた場合は、ずつといつまでも続く。その間非常に性質がよく似たようであるけれども、分析をしてみますと、はなはだしく異なつておる。そこで二年分についてのみその抵当権を行使することができるというようなことが出て来たのでないかと思うのでありますが、この二年分というもうは、何から割出されたのでありましようか、この点をお伺いしたいのであります。
  45. 石井敬二郎

    ○石井説明員 建設機械抵当法案の第十六条の二年分でございますが、これは民法の抵当権に関する規定と、まつたく同様な規定を置いたものにすぎないのでございまして、この二年分という規定が、なぜ民法に置かれておるかということになりますと、結局第三者が登記簿を見た場合に、その利息が何年間支払われておるかどうかということはわからないわけでありまして、第三者から見た場合に、利息が全然払われておらないという事態が生ずることもあるのでございます。その場合に、利息が全部とれるということになりますと、それが登記されておらない関係上、第三者が不測の損害、たとえば第二抵当権者というようなものが不測の損害を受けるというようなことも考えられるおけであります。それで抵当権者とその抵当権に関して利害関係に立つ第三者との関係を調節するために、この二年分というふうな規定が置かれたわけでございますが、この建設機械抵当法案におきましても、そのような関係はまつたく同じであるというように考えられるものですから、民法と同じような規定を置いたわけでございます。
  46. 石破二朗

    石破政府委員 この第十六条を規定いたしました趣旨は、先ほど法務省の担当の方から御説明がありました通り、民法と同じ趣旨でつくつて、法順位の抵当権者を保護する、その他は第三者に不測の損害を起さぬように最終の二年分の利息についてしか行使できないというような規定をつくつたわけでございます。  そこで、その二十億云々の件でございますけれども、実は私の説明が不十分でございまして、おわかりにくかつたかと思いますが、二十億と申しましたのは、政府が、この抵当法には関係なしに建設機械を発注します際に、昭和二十九年度中に前渡しする個々のケースについて四割ずつ前渡しするつもりでございますが、その総金額が大体二十億見当じやなかろうか、こう考えられますということを申し上げたのでございまして、実はそれと抵当法との関係はないわけであります。
  47. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そういたしますと、また先ほどの中島委員質問に関連をして参るわけでありますが、政府工事を、特に建設工事を発注する場合には、明らかにこれによつて、たとえば二十億なら二十億の工事に対する前渡金が出るわけでありますが、その他どこへ建設機械を発注いたしましようと、あるいは電源開発その他いろいろ公共工事となりますと、どの範囲に広がつてもいいわけでありましようが、とにかく建設機械の発注を受ける場合に、その発注を受けた会社または個人でもいいわけでありますが、発注を受けたものが建設業保証会社へ行つて保証をしてもらうならば、相手が政府であろうと県であろうと、だれから発注を受けた場合でも、保証会社さえいいと言えば、保証料を払つて、そしてその相手の民間なら民間が、保証会社で保証するならば前渡金を渡してやろうということの——これは私的な話合いでありますが、話合いがあつた場合には、どの場合でも適用ができるのかどうか。先ほど中島委員に対して、いろいろ御答弁があつたようでありますが、別にできないという条文でもないようであります。その点ひとつ、もう今日で質疑を打切りたいということでありますから、なお明らかに御答弁をいただきたいのであります。
  48. 石破二朗

    石破政府委員 お話の通り、立法論といたしましては、保証会社が保証する、建設機械の購入資金を前渡しするその前渡金について、保証会社をして保証させる場合には、必ずしも政府、公共団体等でなしに、その他一般のものでも保証させたらいいじやないかということにつきましては、立法論としましては、そういうことも考えられないことはないと思います。しかしながら、現在の公共工事前払いの保証会社の建前が、政府その他これに準ずべき機関から発注するときに前渡金を出す、その前渡金についてだけ保証するというような考え方に立つておりますので、建設機械の場合でも、政府その他これに準ずべき機関が発注する際、その前渡金を出す際に、それだけについて保証させるというのが、この保証会社の現在の建前でございまして、一般民間の方が建設機械を購入する際に前渡金を渡す、それを保証させるというようなことについては、今のところは考えておりませんが、将来の問題としては十分検討いたしたい、かように考えております。
  49. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 これは一昨年公共工事前払金保証法審議されますときに議論を尽したことでありまして、その当時の政府側の答弁並びに理由といたしましては、会計法によつて鉄道以外は前渡金ができない。だから、こういう制度でも設けるならば、政府も手数百億という災害復旧費であろうが何であろうが出せるわけで、これは政府も損をすることでもないし、銀行から金を借りるわけでもないし、業者は良心的な工事ができる、こういう御答弁であつたわけであります。こうせねばほかに金を出す方法がないから、公共事業だけほこうしようというのであつて法律の起りはそこにあるわけであります。ところが、今度建設機械抵当法をせつかくつくつたのも、これが目的とするところは、日本建設関係機械の促進にあるわでありますが、そういたしますと、この範囲を広げましても、別に民間業者を圧迫するわけでもありません。こういう保証をやつておる保険会社のようなものがあるわけではないのであります。また保証し得るとしても、どれもこれも保証せいという命令規定ではないのであつて、この会社は保証したらあぶないと思えば、保証せねばいいわけでありますし、またこの発注をした政府以外の民間団体でも、必ずしも保証会社が保証するから前渡金を出さねばならないという命令規定でもないのであつて、保証しますといつても、いや、あんなところで保証したつて、うちの方では前渡金をやらないぞといえば、それまでの話であります。問題は私的契約でありまして、保証会社が保証すれば前渡金をしてやろうという会社がたまたまあるならば、それを保証さしてやつても、何ら社会的な弊害もなければ害悪もないのでありまして、また他の民間会社を圧迫するという理由もない、そこには何ら顧慮する必要の場面はないかと思うのであります。それを、特に一般には範囲を広げない、ただこれは政府が発注する場合にのみ限るのだ、こう限定なさる理由が私はないと思うのでありますが、その点どのようにお考えでありますか。またこの法律の第二条でありますかによりますと、そう限定してあるとも思えないのでありますが、このままでも範囲を広げての運用はできましようか。
  50. 石破二朗

    石破政府委員 お答えいたします。村瀬委員の御意見は、立法論としては、われわれも大いに傾聴しなければならぬと思います。これは単に建設機械だけでなしに、工事についても、実は同様のことが言えるわけでありまして、たとえて申しますと、日活国際会館を、日活がどこに請負わせたか知りませんが、あれを請負わせるについても、あるいは発注者側から前渡金を渡しておるかもしれません。そういうような場合でも、保証会社をして保証させるというようなことも、考え方としてはあるいは成立するかと思います。同様に機械についても、民間会社が民間のメーカーに発注する際に前渡金を渡す、それも保証会社に保証させたらいいじやないかというような点につきましても、同様なことでございます。幸いに現在公共工事前払い保証会社の成績もよいようでありますが、ただそうなりますと、あの保証会社の性格というものを根本的に考え直さなければいけないかと思いますので、将来の問題として研究させていただきたいと思います。  なお、現行法のままでもう少し範囲を広くしたらどうかという御意見でありますが、これはできると思います。ただ、やはり法律公共工事というわくがほめられておりますから、その範囲内に限られるのはもちろんでありますが、これは公共工事から逸脱しない限りは、政令で規定し得る、さように考えて研究いたしたいと思います。
  51. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は、この公共工事前払金保証事業て関する法律だけの改正が出て参つたのならば、政府の御答弁でも了解ができるのでありますが、特に建設機械抵当法案というような今までなかつたものを出すということは、これは建設機械というものに対する重要性を認めたからなのでありまして、必ずしも日活会館の請負工事に対する新たな法律というものは出て来ておらない。それは普通の請負工事です。普通の請負工事は普通の請負工事で、今まで通りであるが、建設機械については、こういう新たな法律が出て来た。そうすると、新たな観点で、一般の請負工事などよりも、建設機械についてはひとつ何らかの法的の援護措置といいますか、助長措置を必要とするという観点に立つてこういう抵当法が出て来た。そうであれば、一般建設機械とは区分をしても、何ら筋道が通らないことはないのでありまして、その意味において一般の、たとえば日活会館の請負工事の保証は、保証会社ではやらせないけれども建設機械を購入するときにほそれを保証させてやつても何ら障害はないと考える。のみならず、国策としてこういう一つの法律が出て参つた以上は、その線に沿うて他の民間から発注に対しても保証会社の機能を働かせてやるというのが、これが同じ方向に進む国策の線であろう、かように私は考えておるものでありますが、それはひとつよく御研究を願うことにいたします。  その次には、この第二十五条に質権の設定の禁止が掲げてございます。これはきわめて一行にも足らぬ簡単なものでありますが、抵当権と質権との紛淆といいますか、いろいろ法的な決定は、この二十五条一箇条をもつて足るのでありますか、一応説明をいただきたいと思います。
  52. 石井敬二郎

    ○石井説明員 二十五条の規定でございますが、「既登記の建設機械」というふうになつておりまして「既登記の」という意味は、この法案の第三条に所有権保存の登記の規定があるのでありますが、この第三条の規定に基きまして有効に登記がなされた場合が、既登記の建設機械ということになるのでございます。この所有権保存の登記をいたしますのは、抵当権目的とするためにこういう制度が考えられたわけでございますが、抵当権と質権というものが、同じく物を換価して、それから優先弁済を受けるという機能を同じくしているのでありまして、これを両立させるということにいたしますと、質権と抵当権の順位をいかように規定するかという非常にめんどうな関係になつて来るのでございます。それで、それを避けますために、このような規定が置かれたわけでございます。この規定がございますれば、既登記の建設機械については、たとい質権を設定したとしましても、その質権は無効であるという解釈が出て来るのでございますし、また第三条の二項に「質権又は差押」云々の「建設機械について所有権保存の登記がされたときは、その登記は、質権者」云々「に対しては効力を生じない。」というふうに規定されているのでございまして、もしこれが打刻の段階におきまして質権が設定されるということが明らかでありますれば、打刻はなされないことになるわけでございますが、その事情が明かでないために打刻がなされまして、そのような質権の目的となつている建設機械に対して所有権保存登記がなされたという場合におきましては、質権者に対しましては、所有権保存の意味におきましては効力を生じないということになるのでありまして、その効力を生じない所有権について抵当権が設定されましても、もともと質権者に対抗できない所有権の上に成立した抵当権でございますから、その抵当権も質権者に対しては効力を生じない。つまりその場合には、質権者と抵当権者との関係におきましては、抵当権は無効ということになるわけでございます。この第三条第二項の規定と、それから第二十五条の規定とによりまして、この建設機械に関します質権と抵当権との問題は、解決することができると考えておる次第でございます。
  53. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 法律的には御答弁通りに解決がつくのでありますが、実際の運用は、このくらいの簡単な規定で、紛淆を生じないで行くかどうかを聞いておるのであります。すなわち、第二十五条の方によりますと、質権があとからできることはないということなのでありますけれども、しかし、刻印を打つたかどうか、あるいは抵当登記簿に載つておるかどうかということをただして質権を設定すべきだといえばそれまででありますが、その場合も、何かうつかり善人が惑わされるおそれもある。またその逆の場合に、質権が先に設定してあつて、あやまつて刻印が打たれるということもあり得るのでありまして、そういう場合に質権者がその登記は無効なんだということを言つてみても、社会の流通制度として、あるいは損害賠償というような、いろいろ刑事上の問題も起るかもしれませんが、その点は法律をつくるときに親切に規定をしておかなければならぬと思うのであります。この第三条の二項と二十五条の簡単な記載で、法律上はなるほど今御答弁通り処理ができましようが、実際に機械を持つておる業者、あるいは機械を購入する場合の一般の国民として、何らの誤りなく安心して日常の業務が行つて行けるかどうかをお聞きしておるのであります。
  54. 石破二朗

    石破政府委員 御疑念の点、まことにごもつともでありまして、この質権と今度新しい抵当権を設定しようと考えておりますこの抵当権との関係は、民間の一般取引にも非常に重要な影響があり、われわれがこの制度をつくります際に、実は最後まで研究した次第でございます。国会に提案が非常に遅れましたのも、ただいま御指摘になりました点に一抹の不安があつたために、十分検討した結果遅れた次第でございます。質権に入つておるものを、うつかり抵当権を設定してしまいますと、その間の両者の関係が非常にあいまいにもなり、抵当権を設定して金を貸した者が、えらいばかを見たということになりかねないのでありまして、そのために、実はこの四条に建設大臣が記号の打刻をし、あるいは検認するというような制度を開いたのでありますが、この第四条の運用いかんこそが、実は建設機械抵当制度が世間に信用を受け、また一般社会に悪影響なしに済ませるかどうかというキイ・ポイントだろうと思います。従いましてわれわれといたしましては、この四条の打刻なり検認ということにつきましては、慎重の上にも慎重を期して、手落ちのないようにしたいと思います。なお、打刻の記号を毀損したというものにつきましても、相当の処罰規定を設け、一般取引の安全を害しないようにやつて行きたい、かように考えるわけであります。
  55. 石井敬二郎

    ○石井説明員 ただいまの御質疑に対しまして、若干補足して説明いたしたいと存ずるのでございますが、第九条に「この法律に定めるもののほか、建設機械の登記に関し必要な事項は、政令で定める。」という規定がございまして、登記に関しては政令に委任する趣旨が規定されているのでございますが、所有権の保存登記がなされました場合に、そのなされた旨を建設大臣の方に通知するということを考えているわけでございます。従いまして、打刻をしますときに、建設大臣のところに、どういうような機械に対し、だれのために打刻がなされたかという控えがございます。登記所から通知しますと、どういうような建設機械について登記がなされているかということがわかるわけでございまして、結局このような制度を採用しますと、政令で定めました建設機械範囲に入つております機械につきまして、まず打刻の制度が採用されておりますということを周知させることが必要になるわけでございますが、その結果、そのような機械につきまして打刻がありますれば、これは登記されている可能性が——ある大部分登記されるわけでありますが、それに基きまして建設大臣に問い合せるなりしまして、その機械につきましての権利関係がどのようになつているかということを知り得る、つまり建設大臣においてこの機械の権利関係を把握する道しるべといいますか、そのようなものが準用されているというようなことを考えているわけでございます。
  56. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 最後に一点伺いますが、第二十条について、また同様の心配を私は持つのであります。第二十七条は「第二条第二項の規定に基く政令改正により新たに建設機械なつたもので、その改正の際現に道路運送車両法により所有権の登録を受けているものは、その登録がある間は、同条に規定する建設機械でないものとみなす。」というのでありますが、これまた先ほど私がお尋ねしたと同様な、運用上のいろいろな紛淆はないかどうかという点であります。この内容並びに運営について明らかにしていただきたい。  それから続いて、今度は第二十八条でございますが、「この法律政令又は最高裁判所の定めるところに委任するものを除くほか」とあるのであります。政令はよいといたしまして、最高裁判所の定めるところによりというのは、具体例はどういうことになりますか。この二点についてお答えを願いたいのであります。
  57. 宮内潤一

    ○宮内説明員 まず第一の問題の、二十七条のことをお答えいたします。これは御承知通り、第二条の政令機械範囲をきめますものですから、将来いろいろな新しい機械ができ、あるいはある種の機械類が政令のわくからはずれて行くといつたようないろいろな関係が起るのではないか。その場合における道路運送車両法との関係を調節するのでありまして、その具体的な調節の仕方の細目を、今問題になりました二十八条できめる、こうなつているのであります。そこで実際の問題としてというお尋ねでありますが、この建設機械抵当法と道路運送車両法との関係は、現在ある種の機械、たとえばブルトーザーのごときものについて、すでに問題が発生しておるわけであります。従いまして、この法律の附則に第三項以下、四項、五項それから六項、七項、ここまで設けまして、ブルトーザ一等については、現在道路運送車両法等によつて、所有権の登録を受けているものは今まで通りだ。そこで陸運局長は、この法律施行の日から十五日以内に、そういう機械自動車登録原簿に載つてつたならば、建設大臣にその謄本を送つてくれ。それから現在自動車登録原簿に登録を受けておる建設機械類が、将来この道路運送車両法の十五条また十六条の規定によつて抹消登録をしてしまつたという場合にも、同じく通知をしてもらう、そうしてそういう通知を受けるまでは、そういうような打刻をしないようにする。こういう詳細な規定があるわけでございまして、将来この二十七条が発動と言いますか、動きますような場合には、当然二十八条の、いろいろな政令で定める以外の手続その他その執行について必要な細則は、政令で定めるという政令によつて、今御説明申し上げました附則四項以下と同じような規定が規定される。それによつて、二つの法律にまたがつて二重の登録あるいは二重の登記がなされないようにしておこう、こういう趣旨であります。  それから第二の御質問の、最高裁判所の定めるところとは何かということでございますが、それは二十六条にございます。つまり二十六条では、強制執行に関する細則とそれから競売に関する細則は、最高裁判所規則が定める、こういうふうにしているのであります。  なおつけ加えますと、最高裁判所が定めるという法形式は、自動車抵当法あるいは航空機抵当法というような、戦後と言いますか、新憲法下における立法が、いずれも踏襲しておる方式でございます。
  58. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 政令と最高裁判所の定めるものとを対等に置くということは、他にも例があるかわかりませんが、必ずしも悪い例は踏襲する必要はないのであつて、第二十六条の二項は、それでは、まだどうやるかわからぬというわけですか。将来最高裁判所が、事件が起つたときにきめるというのか、事前にはきめるわけに行かないということなのか、具体的にいえばどういうことなのでありますか。  それから、第二十七条の道路運送車両法により所有権の登録を受けているものは、建設機械でないものとするということになりますと、それでは抵当権も設定できないという意味と存ずるのであります。道路運送車両法の第十五条、第十六条で、それを除外したという通知を遅滞なくもらうのだというお話でありますけれども、そういうことになりますと、その間一般国民は、第三者としてはそれをどうやつて知るかということになりまして、せつかくこういう一般的な建設機械抵当法があるにもかかわらず、その中の道路運送車両法に所有権の登録をしておるものはこの法律建設機械でない、なぜ除外せねばならないのか。その点をもう少し明らかにしていただきたいのであります。
  59. 宮内潤一

    ○宮内説明員 第一の、最高裁判所の規則で定めるということについて、大分誤解があるのではないかと存じますので、御説明申し上げます。御承知通り民法からこの抵当法というものの考え方が出て来ておりますが、民法においては何ら強制執行に関する規定というものはない、これをすべて民事訴訟法に譲つておる、民事訴訟法の第六編で強制執行規定を全部設けておる、こうなつておるわけであります。そこで、この建設機械につきましては、その民法の強制執行法によるわけにも参らない。なぜならば、民法で規定するものは不動産抵当だけであつて動産抵当の特質を考えておらない。そこで相当広範囲の民事訴訟法に規定するようなこまかい一つの規則がいる。その法形式を憲法七十七条に定めるところの最高裁判所規則という形式でそれを規定して行こう、こういう考え方であります。  それから第二の点は、建設機械でないとしたのは、むしろ抵当権者あるいは第三者を保護するために規定したのであります。というのは、現在道路運送車両法の規定によると、登録を受けておる車両類は、自動車抵当法の適用を受けることになります。従いまして現在、たとえばブルトーザーのごときものの一部分が道路運送車両法によつて登録を受け、その登録をもととして自動車抵当法によつて抵当権が設定されておるものが相当あるわけであります。従いまして、もしこの法律施行されたときに、こつちにも入れるのだということにしておきますと、今度こつちの方のものは、もう一度自動車抵当法関係も全部洗つてみなければ、これに対する抵当権が設定されておるかどうかということがわからないのであります。そこで、そうじやないのだ、この法律施行の過渡期においては、今まで自動車であつたものについては、運輸省令その他が出ておりまして、どういうものだということがはつきりしておりますから、そのものについては当然ナンバーをとつておるのだから、自動車抵当法の方は洗つてもらう。そうして、この建設機械によつてまた二重に抵当権が設定され、あとで抵当権相互のおれが第一順位だ、おれが第二順位だというような争いをなくそうという趣旨でできておるのであります。もちろん立法論といたしましては、実際こういうものができたのだから、現在自動車抵当法の適用を受けておるものを持つて来てしまつて、その施行の日で適用法律を截然と区画したらいいじやないかという考えもあるかと存じますが、特殊自動車が主として適用されるので、この特殊自動車範囲等も相当ございますし、それから向うの方は陸運局でございまして、大体各府県に一箇所ぐらいずつでやつておりますので、その点建設省あるいは法務省において、一定の日にすぱつと区切るような事務処理がうまく行くかどうか、その間に少しでも間隙を生じたならば、第三者、特に抵当権者を非常に害する結果にならぬとも限らぬ、こういうような配慮からこの附則に規定するようなきめ方をするのが最も妥当であり、何人の権利も害さずに済むのではないかという点で規定した次第でございます。
  60. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 最高裁判所の定めるところによりという第二十八条に対する私の質問は、何か誤解に基くのでないかという御答弁でありますが、これは私は、あなたの考えが根本的に立法府の権能を理解なさつておらないと思う。つまり昔の役人式の、何でも役人がしてやるのだという観念に私は立つておると思う。もともと政令というものでも、立法府は何もあなたたちにきめてもらう必要はないので、われわれが全部きめるべきものなのです。一つの法律技術の煩を省くというような意味、たまたま役人というか、いわゆる行政府にまかすだけの話で、主体はこちらにある。そうでありますから一つの行政執行に関し必要な事項は、立法府ならば私はできると思うのであります。もつとも、憲法第七十六条と紛淆することがあるならば、どうかわからないが、とにかく法律でできないはずはないのであります。なるべく法律ではつきりした方がよいのであります。あなた方におまかせすると、前会瀬戸山委員がお尋ねいたしました通り、二分の一の補助と、ちやんと都市計画に書いてあつても、さらにそれを四割とか三割とかしか実施していないというようなことも起るのでありまして、うつかりあなた方にまかせられない。そういうところからいいますならば、私は何も最高裁判所にまかさねばならないということはないと思うのであつて、明らかにそういう場合に必要な事項も、法律でならば私はできるはずだと思う。ことさらにそれを政令と同等な意味で最高裁判所の定めるところにまかさなければならない理由はどこにあるか、その根拠法があるならばお示しを願いたい。われわれは、憲法に反しない限り、どのような法律でもできるわけであります。その法律の中には、どのような規定でも規定することができる、それが立法府の使命なのであります。しかし、それがことさらに最高裁判所などにまかさねばならないという原因はどこにあるか、それを一つ伺いたいのであります。  もう一つは第二十七条でありますが、これは「政令改正により」とあるのでありますから、将来第二条第二項の規定に基く政令改正があつた場合に、こういうことになるというのであるか、その二点をお尋ねします。
  61. 石破二朗

    石破政府委員 第一の御質問でございますが、御指摘の通り法律できめますれば、もちろんできる事項でございまして、私もよくわかりませんけれども、現に民事訴訟法に、不動産抵当についての差押え等の手続を規定しているのも、まさに村瀬委員の御見解の通りの見地から民事訴訟法の規定があるのであろうと思います。ただ私どもといたしましては、先ほど建設業課長から御答弁いたしました通り、前例もあることでございまするし、また最高裁判所の規則で定めます内容につきましても、いろいろの手続等を規定いたしたものでありますので、さしつかえなかろう、かように考えただけのことでございます。御了承いただきたいと思います。  第二の点でございますが、御指摘の通り、将来この政令改正せられる場合においてはと、こういうつもりで規定いたしておるわけでございます。
  62. 内海安吉

    内海委員長代理 それではほかに御質問ございませんか。——御質問がありませんければ、公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案並びに建設機械抵当法案、右二案に関しまする質疑はこれにて終了いたします。  なお次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会