○村瀬
委員 私は川を埋める御方針かどうかを
お尋ねしたのではないのでありまして、川の上をかような形で
東京都は先例をつく
つたのであるから、そういう御方針にな
つたのかどうかという
お尋ねをいたしたのであります。ところが、ただいまの御
答弁で、今回の一キロ余りのところは、かりに川をふさいでしま
つても、何らの支障がないというような御
答弁であ
つたと思うのでありますが、私はこれはゆゆしき問題であると思うのであります。人間の力で自然を征服するというような
考えを持
つておりますならば、それはいつかの時期には、必ず手ひどい失敗に終るのであります。高知に野中兼山という、学者もあり建築家でもあ
つた人ですが、これが兼山のあほう堀というので有名でありましたが、後世の人がこんなものはと
つておくのはばからしいというので、埋めてしま
つて、畑にして作物をつくりますと、爾来大雨があるたびに、とんでもないところが山くずれがいたし、氾濫をし、ひどい目にあ
つたのであります。野中兼山は、いろいろ水脈その他調べて、そこに
一つの遊水池をつく
つてお
つたのが、いわゆる兼山のあほう堀である。平素はからであるものでありますから、みんなが、あほう堀と言
つてお
つたのでありますが、あの現在問題にな
つておるところも、いつどういう雨が降るかわか
つたものではないのであります。それをただ、ふさいでしま
つても支障かないという
計算は、どこから出たのでありましようか。私はそういう簡単な
方法で、こういう基本的な問題に対しておりますと、あるいは五十年に一ぺんか六十年に一ぺんか、どういう
事態が起るかわからないと思うのであります。現に事情はいささか違いますけれども、神戸、か
つて生田川をふさいだことがあります。これは山くずれのために、そのふさいだ入口に土砂が積
つたというのでありますけれども、ともかくも、ふさいだために非常な大災害をこうむ
つた。そうしてせつかくあれだけ工費をかけたものを、また莫大な
費用であけてしま
つたのは御存じの
通りであります。そこで、私は最初の
質問とはそれて来たわではありますけれども、ただあの区間一キロ
幾らは、ふさいでもさしつかえないという簡単な御
答弁には、私ははなはだ疑問を持つのであります。これは先ほど
山下委員の
お尋ねのときにも、雨水、
汚水の処理ができれば、ふさいで木を植えて適当な
道路にしてもよいというような御
答弁があ
つたのでありますが、そうなりますと、もし周囲が木でも植えてりつぱになりますならば、この
道路の下になります二階の家の価値というものは、これは非常なものにな
つて参ります。その権利といいますか、その金銭的な価値というものは暴騰するわけでありまして、そういうことを予想し得るならば、この
会社にはプレミアムもつき、株式も何倍もの値が上るでありましようし、またその一部屋の価格も、実にこれは厖大な価値が生ずると思うのであります。そういう
関係もありますから、ただいまの御
答弁は、聞き捨てならぬ基本的な線に触れると思いますので、どういう御
計算からそういうお
考えが出て来るのでありましようか、
伺つておきたいのであります。