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馬場参考人 まず前後の
事情から簡単に申し上げます。
二十四日の夜秘書官から
電話がありまして、
総理が少しぐあいが悪いから、
かぜだろうと思うが明日
衆議院の
決算委員会に
出席されてもよいだろうかということでありました。
体温はと尋ねると三十七度二分ぐらいという話で、
自分は御旅行の疲労もあるのだろうと思うし御老体でもあるから、明日の
出席はお見合せ願いたい、明日
診察の上で
診断書がいる
ようなら差上げますけれ
ども、とにかく療養の
手続をしてもらいたいと答えておきました。
総理が
外遊から帰られましてから初めて拝見したのが十一月十九日でありました。そのときの御
容態は、別に
病気というほどのことは見えませんでした。
お話を聞きますと、ホノルルで
戦没者の墓に参詣して無帽で炎天に照らされたために気持が悪くな
つて嘔吐を起した、そのために寝込んで
しまつて予定の出発の時間が少し遅れたという話でありました。これが日本時間の十六日に当ると思います。それでドイツのボンというところで同じ
ようなことがありまして、お吐きに
なつたそうです。それから
英国に行かれてから時候が冷えるので
神経痛を起して、
神経系統の
病気の大家といわれる
ドクトル・
コープマンという人に
診察を受けられまして、その人の紹介で
整形外科の
ドクトル・カージナルという人にエツクス・レイの検査をや
つてもらつた。それから腰の骨が少し曲
つておるという
診断で、
コルセツトをはめてくれたそうです。今でもその
コルセツトをはめておられます。
話は本筋にもどりまして、二十五日の朝
大磯に参りました。拝見しますと
体温は三十七度五分、つばをのみ込むと
のどが少し痛いと言
つておられる。
のどを拝見しますと
扁桃腺が少し充血してはれておりますという
状態で、き
ようは
神経痛の方も少し痛いと言
つておられました。これは
英国で痛かつた
神経痛と同様なもので、ことしの二月から三月にかけて歩行困難に苦しまれたときの
神経痛とは別ものと見るべきものであります。あれは性質が違うと思います。
神経痛は冷え込んだり熱が出たりしますと、少し増悪するのが普通であります。
自分が
静養を勧めたのは上述の
ような
容態によ
つてであります。
それから二十七日に
診察しましたときの
容態は、
体温は三十七度二分に下
つておりました。充血は、少し
程度は
減つてお
つても場所は広がりまして
のど全体が赤くな
つておりました。またときどき
くしやみが出ております。これは
かぜの普通の
経過であります。気分は大いに軽快で来客などと話しておられました。まだ
扁桃腺の痛みが少し残
つております。
これを要するに大した御
病気ではありませんけれ
ども、まあ
注意を要するという御
容態であります。そういう御
容態でありました。