○杉村
委員 私は稲永さんに
総理にお伝えが願いたい。やはり
委員長と同じなんであります。本日あなたにここにおいでを願
つて各
委員がいろいろとお尋ねしたのでありますが、私はこの
吉田茂という人があなたの意思ぐらいで左右でぎる人であ
つたなれば、これはきわめて簡単であろうと思
つております。その点は重々
承知いたしております。ただいかに
吉田さんが
国会を軽視しておるか、ことに昨年来
日本におきまして非常にいろいろな事件が起りました。この
決算委員会におきましては、国鉄の経
理事件におきまして鉄道会館事件、あるいは食糧問題につきましては黄変米事件、あるいは麻袋事件、このたびの造船汚職事件、こういうように実に
日本の財政経理の紊乱をこの
決算委員会が取上げて昨年来調査して参
つたのでありまするが、
吉田総理が昨年第十六
国会以来今日まで一回といえ
どもこの
決算委員会に出て参らないのであります。これは私は決してうそ偽りを申し上げるのではございません。速記録をごらんくださるとよくわかるのであります。予算
委員会におきまして、
総理やその他の各大臣が出られてそれぞれ御答弁をなさ
つて、その欲するところの予算の編成については全力をあげられる、これはごもつともな話であります。当然そうなくてはなりませんが、私はより以上に、かくのごとくして全力をあげて編成したところの予算の執行について、みずから執行したこれについては十二分にみずからが責任を負うて、これを
国会に承認を求めておるのでありますから、この承認を求めることにつきまして、
決算委員会には予算
委員会以上の責任をも
つて総理大臣が
出席なさるべきが当然なことであるのでありますが、昨年の第十六
国会以来幾たびか
吉田総理の
出席を求めたのでありますが、一度も出ておりません。た
つた一度
決算委員会の部屋にひよいと来たけれ
ども、一言半句も言わずに帰
つてしま
つたのであります。それで
委員長も満足してお
つたのであります。(笑声)さながらわれわれ代議士を見ること、われわれのところに来るのは、掃きだめにつるでもおりたような
気持でおいでに
なつたかしれませんが、これは非常な
国会の軽視であるとともに、
日本の財政経理がかくのごとく紊乱をしているということは、由来
決算委員会に対しまして、歴代の
総理と言
つてはたいへん語弊にな
つてしまいますが、
吉田さんが六年、七年にわたり
総理のいすにすわ
つてお
つて——私は昨年来からの体験にすぎませんが、おそらく過去においてもそうであ
つたのではあるまいかと思う。今日のこの財政経理の紊乱を来したゆえんのものは、これは
政府がこの
決算委員会を軽視してお
つたがゆえであろうと私は思うのであります。官界あるいは役人の不正をためて行くこと、出家の財政を経理を厳粛にや
つて、予算の編成をするときに、
総理大臣以下これを一生懸命
説明をしてその予算をとるというそのことを考えて、その
通りに確実に行わせるというためには、ほんとうにこの
決算委員会に出て、予算の執行の状態をつぶさにわれわれの
質問に応じて答え、みずから進んで見るべきであ
つて、初めてそこに財政経理の紊乱を是正することができるであろうと思うのでありますが、遺憾ながら第十六
国会以来一度も出ておりません。これは決して私はうそ偽りを言うのではございません。それが、今日のこの汚職事件を起したゆえんでありますから、これだけを申し上げて、しかも今日
証人に呼ばれても、先ほどからの
お話を伺
つていると、遂にもう出られないのではあるまいかと思うのでありまして、あの
吉田総理はなかなか言うことを聞く人でないから、われわれもそれくらいのことは十二分に
承知しておりますが、たた私が申し上げましたごとく、あなたがいかに
国会を軽視なさ
つているか、今日のこの財政経理の紊乱というものは、あなたが昨年以来今日まで一度もこの
決算委員会に出ないということも、その大いなる原因ではありますまいかということも、進言をしていただきたいと思う次第であります。決してよけいなことは申し上げません。私はこれで終ります。