○
河野(一)
委員 これはお調べになるのは、あなた方の
職務であ
つて、私たちはここに
証人として出て来ていただいて調べなければ、調べる手足もない。調べる
職務を持
つておられるあなた方だから、そこで私は先ほど来声を大にして、しかもその
責任者である、指導者であるあなたにおかれてはもつと厳粛な
気持でお
つてもらわなければ困る、こう申し上げたのです。所見が違うとか、私は決して間違
つたことを
言つていないと思う。わが日本
国民全体がこう考えていると思う。これに対してあなたは無条件で私の意見に
賛成されて、そうして今後全権察当局を
指揮する
立場におられる人は、身命を賭して威信保持のためにやる、ただちに録音を聞いて、今からでもおそくありませんから、もう一ぺん調べます、やりますというくらいになされば、
第一線の
検事諸君は満足されると思う。それをなさらずに、あなたが便々としてそういう地位におられるということは、私は妥当でないと思う。私はこの際
事件にあまり
関係いたさぬことで
証言をちようだいしては恐縮でございますけれ
ども、由来わが国の
検察当局の中には派閥があ
つて、それでとかく人事に対して、だれの推薦、かれの推薦というようなことが近時多い。そのために
事件が
やみから
やみにな
つてみたり、民間との連絡があると
言つてみたり、もみ消しがあるというてみたりするうわさが出て来る。これはあなたも思い当る点があるだろうと思う。たとえば今の
検事総長はたれの推薦でどういうふうにしてな
つたか。
佐藤博君が大体なるようにきま
つてお
つたものが、横合いから今の
検事総長がなぜぽんとな
つたか、どういう推薦でどういう経緯でな
つたかというようなことを、さらに順次下の
検察首脳部にまでそういうことはわれわれみな知悉するところであります。しかし一旦なられた以上は公正な態度でや
つていただけばそれでけつこうなんであります。しかしそれがとかく不公正であ
つたり、当然なすべきことをなさらなか
つたりすると、そこにわれわれとしては意見をさしはさまなければならぬことが起
つて来る。でありますから私はあえて申し上げる。決して任命の当時においてどういう経緯にあろうがそういうことは意図されるに足りない。あくまでも厳正、公正な
立場でや
つていただきたい。
吉田総理の暴言があ
つたら、これに対しては敢然としてその
真相を糾明して、全
検事のいやしくも士気の沮喪しないように敢闘していただきたい。十四条の発効があ
つたら、あなた方の法的御解釈はけつこうであります、けつこうであるが、その法的解釈だけでしたならば、日本の国は一体どうなるかということを考えていただきたい。たまたまあなたがその
立場にある。そうしてこれだけの国費を
使つて、これだけの
事件があなた方以外にたれもできないことだ。私たちがや
つていいことなら私たちがやる。
検事でなければできない、その
検事の
立場をあなたが持
つておられるんだから、持
つておられるあなた方がやらなければほかの八千万
国民にはこれができない。であるから申し上げる。であるかりあなた方は日本
国民の一人としてこういう乱暴なことを
——あなたが先ほど十四条はどういうわけでつく
つたか、こんなでたらめなときにあるはずとはなか
つた、たとえば、
検察当局が行き過ぎがあ
つたり、もしくは議会に対する
責任をとたりするために、いいところだけ考えて十四条はつく
つたんだ。それをたまたま悪用する男ができて来た。できて来たときには、どうしてその正当防衛をなさらぬのか。
法律にも正当防衛というものはあるだろうと思う。あなた方の中にはただ一人この悪用した者に対して、これを正当に
国家の威信を保持するために立ち上る
検事はいないのかどうか。ただどういう乱暴者が出て来ても、どういうむちや者が出て来ても、フアツシヨ的な
性格の男が出て来ても、言われれば何でも日本の
検事は十四条の
発動によ
つて法律の解釈でしかたがないのだとい
つて、言われるままに将来動かれるのかどうか。それではわれわれは不満にたえません。そういうことをされたのでは心配にたえません。これがしかも占領中ならやむを得ません。そうでないじやございませんか。占領中にはずいぶんあなた方も乱暴なす
つた、ずいぶんむちやをなす
つた、しかし占領中にはしかたがない。しかし今日これから立ち上ろうというこの際にこういうことでどうなさいますか。あなた方が公正でなくしてどうして日本の
国民が遵法の
精神が起
つて来ます。遵法の
精神は一体どこから起
つて来るか。
検事が真に殉国的な
精神によ
つて活躍され、公正な
立場でも
つて検事が法を運用されるというところに日本
国民の遵法
精神が起
つて来るのじやないでしようか。それをただ
吉田がこう
言つたあとの解釈はそちらまかせだというようなことで、何のためにあなた方はしておられるのだと私は考えたい。そこに非常に不満を持
つております。なぜ一体
検事総長でも
馬場検事正でも職を賭して、そうしてこれでは間違いた、これでは日本の遵法の思想は保持できない、と立上
つていただけなか
つたのだということが、私の
ほんとうに残念なことだ。この
吉田の暴力に対して一人も
検事諸君の中に立ち上る者がなか
つたか。これでは日本の
検察の威信は保てぬじやないか。これでは遵法の
精神は日本
国民に保持はできないじやないか。こういう
吉田のやることは乱暴だということで、なぜ一人も
検事諸君の中から立ち上る人がなか
つたのだ。これさえあれば初めてそこに八千万
国民が立ち上る。それをあなた方がまるで進駐軍の命令のように黙
つておられるから、
国民は一体何だかわからない。わからないからそのまま黙
つている。はなはだ心外なんですが、あなたはこれだけ申し上げてもなおかつ先ほど来の御意見にかわりありませんか。全国の
検事諸君に聞いていただく意味合いにおいて、あなたの所見をここで明確にお聞かせ願いたいと思うのであります、いかがでしようか。