○
田中(角)
委員 検事総長が
国会の国政
調査の
要求のために
国会においでになられて、捜査の範囲内で証言を求められるというようなことは初めてであります。私たちは
原則的に申し上げて、国政
調査権というものに対しては、おのずからの範囲があるのであ
つて、少くとも行政、司法に対して
権限干犯を行
つてはいかぬという
考えを持
つているのでありますが、戦後新しい憲法をつくり、
国会の機能が非常に大きくなりましたために、ややともすると国政
調査権の発動いかんによりましては行政府に対する干犯になり、特に司法権に対してこれも非常に大きな干渉を行うというようなこともあり得るわけであります。その
意味におきましてきようの
検事総長の、
国会の
決算委員会に対する
証人としての出頭は非常に大きな意義があり、また将来の
国会運営に対する
一つのケースとなるものと
考えるわけであります。私はこの
委員会が非常に良識的に運用せられておりますし、特に
検事総長も法律に基いて証言をしておられますので、今までの証言の状況におきましては、特にわれわれが
考えなければならないというような重大な
事件にぶつか
つて参らないよのでありますが、明日、明後日といううなこの種の
証人喚問につきまして、私は非常に大きな
事件的な立場に
国会自体が立
つていると
考えているわけであります。その
意味におきまして私は具体的な事例をあげて総長の証言を請いたい、こういうふうに
考えているわけであります。ただ総長に
証人としておいで願い、この
委員会が究明したいというものに対してのみ個々のケースによ
つて証言を求めんとするものではなく、この状態にいわゆる
国会と行政府、
国会と検察権、司法権との問題に対しても明確な
結論を得ておきたいという、
国会議員としては当然尽さなければならない職責に対してただしたいと
考えるわけであります。総長はただいままでの各
委員の
質問に対して職務上知り得た事実に対しては、基本人権の尊重その他憲法の命ずる大権にのつとられて、なおかつ
国会の証言及び新刑事訴訟法の真意も十分くまれて証言のできがたい点をある程度明確にせられたわけであります。
先ほど総長の証言にもあ
つた通りこれは
一つの
事件事件でどこまでが職務上の秘密であり、どこまでが秘密でないかという問題に対してはいろいろその人、その時によ
つて違うということを言われているのでありまして、もちろんこの解釈は非常にデリケートであると思います。私は
国会の運営が将来どうあるべきか、しかも国政
調査権というものが、少くとも
国民から支持せられなければならないという
原則を打立てるためにも、ひとつお聞きしておきたいと思うのは、このような国政
調査権の発動によ
つて、各事犯の内容がもし大臣の承諾が得られて、全部御証言ができ得るという場合に、
一つのケースがここにはつきり打立てられるわけでありますから、将来この種の案件に対しては起訴、不起訴をされた事犯以外に、現在捜査
進行中の事犯に対しても、これは当然証言をしなければならないというふうになると私は思います。私は、その
意味においては、少くとも
国会の
委員会は良識を持
つておるのでありますから、そのような極端なことまで
要求はしないのでありますが、特に私は、
先ほどから
委員の一人としてこの
委員会を静かに聞いておりますと、この
事件が非常に
国民の耳目を聳動しております。そうして
国会法とか、憲法とか、刑事訴訟法とか、いわゆる証言法とかのいろいろな面から制約を受けているにもかかわらず、
国民の前にすべてを明らかにしなければいけない、よいとか悪いとかは将来の問題であ
つて、
国民が聞きたいことは、国政
調査権の発動によ
つて明らかにしなければならないということだけが優先しておるように思えてならないのであります。
少くとも現在の日本において新しい憲法をつくり、戦後メモランダム・ケースによ
つていろいろな、ま
つたく日本に向かない法律がたくさんつくられております。そしてまた直訳的な法律もつくられており、たくさんの盲点があります。盲点がありますが、少くとも法治
国民である日本人は、ただ大衆に阿談迎合するような気持だけで、法律を無視しても飛躍的な証言をしなければならないとか、また
国会が国政
調査権の発動範囲をそこまで伸ばしてもよろしいということは許されないと私は
考えておるのであります。私はそういう
意味において、特にこの問題が、この
事件の解明とか
国民の聞きたいことを教えるとかいうことではなくて、将来の新しいケースとして非常に慎重に、特にまたこれらの問題に対しても
一つの指針を明確に出さなければならない、それで漁船、陸連、日殖、保全というような一連のこの問題に対しては
国民も聞きたが
つておりますし、私自身も聞きたいと思
つております。許されるならば私ははつきり総長からこの
事件の内容に対して全部お聞きをしたいのであります。
まず総長がいわゆる証言法により証言をできるかできないかということに対しまして、
先ほど個々のケースによらなければどうもわからないというようなお話がありましたが、私はその
意味でこんなことは、この程度まではお漏らし願えますかということだけ、総長にお聞きしたいのであります。
造船、陸運の両
事件につきましては特に政府
融資をめぐる案件でありまして、これは
国会の国政
調査権という
意味から非常に大きな問題で、その金銭が一部リベートとなり業者間に渡り、また政界官界に贈賄されたのでありますから、それが真相の究明は
国民の一大関心事であります。金がどういうふうに
融資され、どういう条件でだれに、いつ、どこで、何ほど渡されたか、または渡された金について個々の案件について証言ができるかどうか。なおこれと同じく世上耳目を聳動した日殖、保全の問題も、当然別の
委員会で
事件にな
つておるわけでありますが、もちろんこれは立法の問題が中にからんでおります。特に両件に対しましては上手に立ちまわ
つたいわゆる詐欺事犯ではないかとさえ、一部には説をなしておる者があります。しかもその中に
国会議員が関与しておると言われておるのでありますから、これは今の
国会議員の立場からすると、当然明確にできるものならば総長の証言を求めたいのであります。しかも零細なる
国民の金を引上げて、その金が大半政界、官界に散布をされたというのであります。特に社会党関係がどうだとか、改進党関係に別の名前でも
つて献金をせられておるとか、自由覧の幹事長、政調会長が関係し、別の名前をも
つて献金を受けておるとか、いろいろ世上流布をせられておるのでありますが、この問題の解決というものは、総長もしくは係検察官
——一線の検察官の証言を求めなければ、この事実の公表はできないのである。特に私は個人的な名前を申し上げることははばかりますが、たくさんの顧問の
諸君の顧問料というものと、
国会に対する立法権という問題と請託収賄という問題がどう
なつたかというようないろいろの問題も当然究明をしたいのであります。特に改進党及び
自由党の幹部の名が、
新聞紙上に堂堂と発表せられておることは、私が言わなくともおわかりの
通りであります。これらの人たちをどこで何回
調べたのかというようなことは
——ある人は
調べられたとも言うし、ある人は
調べられないと本人は打消しております。このようなことが世上流布せられるここによ
つて、政党政治、民主政治の発達というものに対して、これが永久に解明せられないということになりますと、これはなかなかむずかしい問題を残しておるわけであります。私はその結果、だれがどこでどういう金をもら
つたか、どういうわけで起訴できないのだ、それは公訴維持の見込みがないのか、そういう個々のケースによ
つて この人たちはまず起訴ができたから発表したけれども、この人たちは起訴ができない、特に政治資金規正法違反というようなある
意味においては刑事事犯とも言われる事犯に対しまして、まず最初は百万円以上、五十万円以上、二十万円以上、十万円以上というようないろいろの説が流布せられておるのでありますが、中には二十万円で逮捕請求をされ、現在起訴せられておる人があります。にもかかわらずただその金というものが公訴維持ができるかどうかというような専門的論拠は別として、二十万円でも起訴を受けておるのに、二百万円でも起訴をしないのだというような世間一般のしろうと論が大半を制するために、どうもそこが不明朗になる。大物は逮捕せられずして、小さなものだけをや
つているのだ、私たちはそういうふうには
考えません。もちろん証拠の明白なものはたとい十万円であ
つても公訴提起ができるのであ
つて、二百万円、千万円といえどもこれについて公訴維持ができないというような問題、なおお
取調べに
なつた結果、法律的に違反をしないという場合には、当然その事実を公表されなければ、われわれのこの思いは解明せらないのであります。