運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-08-09 第19回国会 衆議院 決算委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月九日(月曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長代理理事 大上  司君    理事 天野 公義君 理事 安井 大吉君    理事 藤田 義光君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       越智  茂君    徳安 實藏君       牧野 寛索君    三和 精一君       山田 長司君    大矢 省三君       吉田 賢一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  委員外出席者         農林事務次官  東畑 四郎君         食糧庁長官   前谷 重夫君         農 林 技 官         (食糧研究所醗         酵微生物研究室         長)      角田  廣君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 八月九日  理事河野金昇君の補欠として藤田義光君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  前会に引続き理事の私が委員長の委嘱を受けましてその職務を代行いたしますからよろしく御了承願います。  審議に入るに先立ちまして、理事補欠選任をお諮りしたいと思います。去る七月二十七日理事河野金昇君が委員を辞任いたされましたので、その補欠選挙を行いたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大上司

    大上委員長代理 御異議なしと認めます。よつて藤田義光君を理事に指名いたします。  それでは前会に引続きまして昭和二十六、七年度決算中、農林省所管食糧庁関係、特に黄変米問題を議題として審議を進めます。  ただちに質疑に入るのでございますが、限られた時間を有効に利用したいと考えますので、質疑通告順に行うとともに、その持時間も午前中はおおむね十五分程度に制限いたしたいと思います。残余は午後十分審議を尽したいと思いますので、さよう御協力をお願いする次第でございます。  なお本日出席者予定緒方総理農林大臣保利君、食糧庁長官前谷君、同監査課長岡村君、食糧研究所技官角田君、会計検査院検査第三局長小峰君、東畑農林事務次官、なお食糧庁現業担任官として新澤総務部長桑原業務第二部長羽場輸入計画課長出席されております。それでは質疑を許します。質疑通告順によつて許したいと思います。
  4. 杉村沖治郎

    杉村委員 議事進行について。……本件につきまして本日の政府出席者のお名前を今伺つたところによりますと、この間本件はわが国の食糧政策に最も大きな影響があるので緒方総理出席を求めてその点をただしたい、こういうことで全会一致緒方総理出席を求めたのでありますが、本日緒方総理が見えません。どういうわけで見えないのであるか、委員長はこの点について何か御連絡でもあつたかどうか、その点を一応伺つておきたいと思います。
  5. 大上司

    大上委員長代理 お答えいたします。一昨々日の理事会で本委員会に御出席願うお方を大体選考いたしました結果、ただいま杉村君のおつしやる通り緒方竹虎君の御出席を願つておるのであります。従つて委員長といたしましては国会法に基く法的な手続を経まして現在連絡中でございまするから、おそらく御出席になるのじやなかろうかと思いますので、審議を始めながらなお調査をいたすということをお約束いたします。
  6. 杉村沖治郎

    杉村委員 これは非常に重大問題でありまして、この米が配給されるかどうかということについても国民保健上重大問題であるので、これについてなお十分とりはからうというのであるが、明日は必ず緒方総理出席してもらうようにひとつ強く要望してもらいたいと思います。
  7. 大上司

    大上委員長代理 承知いたしました。  それではさいぜん申し上げました通り質疑通告順によつて行います。天野公義君。
  8. 天野公義

    天野委員 昨今黄変米の問題が新聞紙上で取上げられて非常に各方面でいろいろな影響を及ぼしておるわけでございますが、本委員会においても昨年度からいろいろと黄変米のことについては調査研究をいたしておつたわけであります。しかしながら昨年われわれが本委員会を通じて調査研究をいたしておつた当時の黄変米に対する考え方と、今日の黄変米に対する考え方というものは、ちよつと質的に異なつておるように見えるわけであります。というのは昨年までは大体黄変米名前のように、いわゆる目に見える黄色有毒米が何パーセントあるかというような点がおもに論議をされておつたのでありますが、昨年の後半からは科学の進歩といいますか、食糧毒性研究進歩というか、そういう面から白い米でも有毒米とされるものが出て来たわけであります。そういたしますと、この黄変米に対するいろいろの研究なり調査方法が質的にかわつて来ておる、このように考えられるのでありますが、この黄変米処理について、こういうような黄色いものから白いものまでもあるというふうにかわつた経緯と、それから黄変米検査については、黄色いものでありますと目で見れはすぐわかるわけですが、白いものは必ず培養検査をしてみなければわからない。従つて黄変米検査に非常に日数を要するということが、外来の処理について非常ながんになつてつて来たわけであります。従つて黄変米検査に非常に日数を要するが、これを短縮する方法が事実上ないかどうか、また黄変米処理について、白米にも毒性があるということがわかつてからの配給基準は別としても、こういうような基準の変更について農林省としてはどういうふうにお考えになつておられるか、まずこの二点をお尋ねしたいと思います。
  9. 保利茂

    保利国務大臣 昨今いわゆる黄変米問題について世上の非常な関心を呼び起し、特に当委員会におかれましては、前国会以来この問題の究明に御審議を費しておられるわけであります。私は昨年就任いたしました当時、すでにいわゆる黄変米の問題が食糧行政上の一つの重要な問題になつている事実にかんがみまして、日本食糧事情からいたしまして相当多量の外米に依存しなければならないという実際上の要請、その中にあつて一体黄変米が混入して来ることを防ぐ手段はないかということについて、食糧庁当局の特別の注意研究を願いました結果、あるいは大量に買いつけておりますビルマとの政府協定タイとの政府協定で、当時学者間と申しますか、専門家の間で一パーセント以内であれば保健上憂慮すべきことはないというその限界をとらえまして、爾今一パーセント以上の黄変米の混入いたしている外米は買いつけないという協定もできて「この間幸いに輸入関係業者協力を得まして、御承知のようにいわゆる肉眼で発見し得る黄変米は、絶無とは申しませんけれども、過去一年間におきます十一月からの実績は一トン内外ということで、実は私は愁眉を開いておつたわけであります。従来黄変米といつて関心を払われましたものは、いわゆる黄色と申しますか、色の黄色くかわつて来ているもの、従つてこれは肉眼で発見もできるし、また保健当局はそれをもつて諸種の実験をやつておる。ところが色のかわつたものは、ただいま申し上げますように、ほとんど入つて来ない。今度白い米を昨年の十一月ごろから入つて来ておるものについて培養実験をしてみると、いろいろのデータがそこに出て来るわけであります。従いまして、それじやその白いのは去年からつき出しておるのか、外国米はかなり戦後長く入れて来ておるが、ただ実験をしていなかつたということになると私は思う。むろん保健当局にも手のまわるところ、手のまわらぬところもあるわけでしようから……、通常、黄変米という文字が現わしておりますように、白い米が問題になるなどということは、私どもも正直考えたこともございません。私はそうでした。しかるに、白い米でも培養実験をすれば何パーセントか入つているものがある、そしてそれは実験済むまでそのままにしてもらわなければならぬということで、次々入つて来ます白い到着米培養実験いたしますと、数万トンに及ぶかなり大量の米が今日倉庫に積荷をして動かせないという事情になつておるわけでございます。さてこれをどういうふうに扱うかということは、ためにどういう派生的な大きな結果を起す、起さないは別といたしまして、食糧当局といたしましては、保健当局指示なくしてこれを処理するというわけには参らぬわけであります。従いまして、農林省といたしましては——今後もこの外米を輸入して行くということになれば、しかも顕微鏡等で見ても見わけがつかないというような実際上の問題になりますれば、買いつけます以上はだれが買いつけましても、入つているものを排除するということは事実問題としてできないじやないか、むろん絶対的に有害ということに相なりますれば、しかも保健上のプラス、マイナスをして有害だということになりますれば、そして実際のこれを避け得る方法がないとしますれば、どんなに食糧事情が苦しくても、私ども国民としてもう一ぺん考え直さなければいかぬじやないか、すなわち外米それ自体をもう買うか買わないかというところに立ち至るのではなかろうかというふうにも考えますが、それにつきまして培養実験をいたし、いろいろの実験をせられておる保健当局機関がどういうふうな指示をされるか、私どもとしてはかなり大量に、しかも長い期間待つて指示を早くしてもらいたいという要請をしておつたのであります。そこで配給をいたす場合に心得るべき一つ厚生省基準が示されて来ておるわけでございます。紋切型で申しますればもうその通り——それ以上のこともできませんし、またそれ以下のことをする必要もない、私どもとしては専門が違いますから、厚生省許容限度内において配給を続けて行くということが、私は一番正しいと存じますけれども、しかしながらこれは食糧操作の問題にも関連いたしますし、今世間を騒がしているようなものを使わなくても、そういう心配の全然いらないものを相当つておるとすれば、食糧操作でさしあたつてそれをまず配給しておいて、その間——私は全然しろうとでございますけれども培養菌を一〇〇パーセント用いた場合の実験、五〇パーセント用いた場合の実験、さようなものは現実としてはありませんから、現実、通常起り得る三パーセントでございますか、五パーセントでございますか、そういう形で実験をしていただいて、それがわれわれの保健上どういう影響を与えるかというデータは、当然必要じやないか。そういうこともお願いをしなければならぬ、要求しなければならぬと私は考えておるわけでございます。従いまして通常いわれております買付協定の一パーセント以下の混入率ということを取上げました当時の専門家の御意見等も、一パーセント以下であれば色のかわるような菌でもさしつかえないということでございますから、それがさしつかえがあるということになればまた別問題でございますけれども、私どもはどの限度がさしつかえがあるとかないとかいうことは、専門が違いますから、農林当局では申し上げられることではございません。従つて専門当局指示範囲内におきまして、一パーセント以下であればこれは問題がない、それは今後も配給上別に手心を加えることは私はなかろうかと思います。一パーセント以上、二パーセント半以内という厚生省許容限度が示されておりますけれども、これにつきましても食糧当局としましては、再搗精等をやつて、どこまで一体有菌率を減らし得るかどうか、そういう実験検査もしまして、尽すだけの手を尽しましてできるだけ、許容限度が二パーセント半だから、二パーセントまでは、無理々々でも配給するという態度でなしに、二パーセント半のものでありましても、再搗精等でどこまでそれが下げ得るか、むろん経費上の損失もあろうかと存じますけれども、さような措置を講じまして、あせらずに、さらに厚生省研究も重ねていただく、私どもも尽すだけの手を尽しまして、消費者に御迷惑のかからないようにこれを処理していただかなければならぬ、こういう考えでおるわけであります。
  10. 天野公義

    天野委員 ただいまの大臣お話でありますと、今後いろいろ研究するというお話でありますが、今まで黄変米の入港してからの調査の結果、その結論が出たというのを、資料によりますと、大体船が入つてから最短所要日数で二十八日、最長所要日数で百五十五日、平均八十七日でありますから、約三箇月も倉に入れておいて、厚生省検査の結果が三箇月後に出て来て、これは配給してもよろしい、これには何パーセントの有毒黄変米が入つておるということでありますと、食糧配給計画も立たなければ、また倉敷料その他においての国損も非常に多いと思うのであります。この黄変米の問題が出ましてから、もう数年をけみしておるわけでありまして、その数年を経た今日においても、このような現状であるといたしますると、厚生省当局における検査の技術的な改良ということも大いに要望しなければならないし、たくさんの黄変米を抱えておつてそれをどうすることもできないという農林省当局の方においても非常に苦しい立場があると思うのであります。従つてこの検査日数を短縮してすみやかに結論を出すという方法については、農林当局ではどういう考えを持つておられるかということが一つと、もう一つは、今大臣お話になりましたけれども、現在の黄変米有毒性についての研究でありますが、従来黄変米として有毒とされておつたものの中で、黄色いけれども無害であつたという結論の下された菌も出ておるわけです。従つてそういう点を考え合せまして、有毒米といわれるものの中で一体どういうものがほんとうに有毒であつて、どういうものがどの程度人体影響を及ぼすものかという点について今までわかつておる結果があると思うのでありますが、それも技術当局からこの際御説明を願いたいと思います。
  11. 保利茂

    保利国務大臣 日本食糧相当余裕があつて、どういう操作もできるという事情でございますとよろしゆうございますけれども、とにかく長きは百五十五日も倉庫の中に入つて厚生省検査の結果を待つておらなければならぬ。しかし、そういう現在の制度下における外米処理操作というものは、実は私どもとしても農林省検査をして、農林省基準判断してやるということでございますと、私としては私としてのとり得る考えがあろうと思いますけれども、他の全然、別の保健、衛生上の関係から私どもと別個の機関によつて行われておるわけでございますから、実際の事情を申し上げますれば、農林省としても実はまことに音をあげておるということが実情でございます。足りないものを、とにかくかなりの量を、厚生省検査の結果を待たなければ、動かせないということで、需給操作上にも——そう大げさに言うほどでもございませんけれども、たとえば倉敷金利にいたしましても、相当負担になつて来るわけでございますし、もう少し敏速に実験が行われるならば実験行つていただいて、早く結果を出していただかなければ、よつてつて生じまする損失も少くはないと考えるわけでございます。厚生当局にどれだけの具体的な改善案をお持ちでございますか、私としては強くそれを要望せざるを得ないのでございます。  なお菌の種類等につきましては、これは専門的な問題でございます。その実験過程等につきましては、事務当局からもし知つておれば御説明をいたします。いずれにいたしましても、これは農林省の方で、大したことはないのだ——大したことはないのたと言いますと言い訳のように、何か配給するために無理やりにそういうことを言うようでございますし、私としてはできるだけ専門当局研究判断にまかせるということで、それが有害であるか無害であるかということについては私としては申し上げない方がよろしかろう、かように考えておるわけであります。
  12. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの菌の問題、これは私もしろうとでございますが、ただいままでに聞いております点を申し上げますと、大体白色系が二種類ございまして、これは毒性がないように聞いております。黄色系といたしましては九種類ございますが、この中で二種類毒性があるというふうに承知いたしております。それからあめ色系のものにつきましては三種類ございますが、そのうち一種類毒性がある。大体十四種類のうちで三種類毒性があるというふうにわれわれとしては話を承知いたしている次第でございます。
  13. 天野公義

    天野委員 毒性の本質については厚生省当局専門家にお聞きすることにいたしまして、どんなものにも毒性はある程度あるでしようし、その許容限度が問題になると思うわけです。昨今の新聞の記事によると、人体に有害のものの配給を強行するというような印象を農林当局が非常に強く受けられておるようでございますが、どんな有毒物質にいたしましても、有毒物質許容限度があるわけでございまして、この有毒物資とそれから許容限度という点がはつきりされなかつたために、非常な誤解を招いておるように考えられるわけであります。従つてそういう点についての許容限度はつきりさせて、これを無害という形で国民配給する場合には大体問題ないと思うのでございますが、そういう点について厚生省当局と、どの程度お話合いをされて、どの程度結論を出されて配給しようとされたのか。それから今後に対してはこの黄変米処理について大体どういう方針で進まれるか。この二点をお伺いして、大分時間もたつておりますので、ほかの同僚に譲りたいと思います。
  14. 保利茂

    保利国務大臣 何か閣議あたりで今問題の米の配給を強行するんだというような誤り伝わつた報道が出たために、非常に迷惑をいたしておるわけでございますけれども、実際は先ほど申し上げましたように、農林省としてはとにかくできる限りの注意をして買つて来ております。そしてそれは今日の苦しい配給を何とか続けて行きたとというために、多くの外貨を費して買つて来ていることでございますけれども、しかし有害であれ無害であれ、とにかく世上に大きな心配をかけておる黄変米というのはどんなものであるかということで、実は私が閣議に見本を持つて行つて、これが何にもないもの、これが不適格だといわれているものだということを、座談的に御報告いたしたわけでございます。そういうものを無理やり配給を強行するとかしないとか——これは純然たる食糧業務上の問題でございますから、政治的にかようなものを判断をしてどうするというような考えは、私は毛頭ございません。ただ食糧業務責任者としましては、かりに厚生省許容限度が二パーセント半でありましても、それをもつと引下げて、再搗精等によつて引下げることが可能であれば、多少の経費負担はやむを得ないからそういうこともして、できるだけ安心の行くような措置をとりたい、こういうことで食糧庁も今若労いたしておるわけであります。厚生省研究の結果にまたなければなりませんけれどもも、この外米——これは全体と申し上げてよかろうと思うのですが、外米全体の輸入対策と申しますか、外米を含めての食糧政策現状でよろしいかどうかということは、この問題もあわせて真剣に考えてみたいと考えておりますけれども、今どうするということは実際問題としてはお答えするところへ至つていないということを御了承願いたいと思います。
  15. 大上司

  16. 藤田義光

    藤田委員 先ほど来の問答を拝聴いたしまして、実はどうも私によくわからぬのであります。これは頭が悪い関係だろうと思いますが、申すまでもなく保利さんは農林大臣であると同時に、国務大臣である、釈迦に説法でありますが、国務大臣は憲法の規定に従つて国会に対しては連帯責任があります。ところが先ほど来の御答弁を聞いておりますと、何か厚生省関係がどうのこうのと言う。国務大臣にあらずして単なる行政長官みたいな御答弁がありましたが、これは私は大臣の失言じやないかと思いますがどうでございますか。これは連帯して厚生行政であろうが食糧行政であろうが、当然国務大臣内閣を組織されておる、その内閣は連帯して国会に対して責任を持つております。そういうふうに解釈してよろしゆうございますかどうですか。
  17. 保利茂

    保利国務大臣 それはどういう意味か存じませんけれども、私は農林大臣として、食糧行政の当の責任者としてお答えをいたしておるわけでございます。国会に対して責任内閣の一員として持つことは当然でございます。そんなことを回避する気持は毛頭ございません。
  18. 藤田義光

    藤田委員 しからばお聞きしますが、厚生省検査にあたりどうも何箇月もかかるとか何とかいうことを言われる。これは当然国務大臣としてあなたも責任があるわけであります。その問題に関して従来何か手を打たれましたかどうですかお伺いしておきます。
  19. 保利茂

    保利国務大臣 手を打たれたかと言えば、早く結果を出してくれ、出してもらわなければ困るのだということを再々催促をして、やつとこの間その結果が出されておる。これが実際の実情であります。
  20. 藤田義光

    藤田委員 この間結果が出たというのは、七月二十四日付の次官覚書でございますか何でございますか、お示し願いたい。
  21. 保利茂

    保利国務大臣 その通りでございます。
  22. 藤田義光

    藤田委員 そういたしますと、この両次官覚書は、大臣の全面的な了承を得ているというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  23. 保利茂

    保利国務大臣 私は藤田さんに誤解があるんじやないかと思いますが、(藤田委員誤解しておらぬ」と呼ぶ)かような問題は、専門的な技術的な問題でございますから、政治的に圧力を加えてどうこうすべき問題では私はないと思います。従つて専門的、技術的の研究の結果が出なければ、それはいかんともいたし方のない問題ではないかと考えております。
  24. 藤田義光

    藤田委員 専門的な技術的な結論が出なければどうにもならぬという口の下から許容限度二・五羽亜パーセント以内ということを言われる。それはどういう根拠でございますか。学界の結論はまだ出ていないというふうにわれわれも拝聴いたしております。ところが先ほど来再三、二・五パーセント許容限度ということを言われる。この数字的根拠はどういう根拠で言われておりますか、お伺いいたします。——許容限度ということをあなたが答弁したでしよう。あなたが答弁してください。
  25. 保利茂

    保利国務大臣 食糧庁長官から詳細にお答えいたさせます。
  26. 前谷重夫

    前谷説明員 お答えいたします。許容限度については、従来それぞれ菌の性質によつて異りますが、タイ国黄変米については一パーセント、イスランデイア黄変米につきましてはいろいろ明確にならない点がございましたが、大体一パーセントの許容限度ということになつてつたわけでございます。その後いろいろ検討の結果、原則といたしまして厚生省におきましては〇・三パーセントの場合は一月間配給してもさしつかえない。従来の一パーセントの範囲内ならば一月間配給してもよろしい。今回は〇・三パーセントのものは一月間配給してさしつかいない。〇・三パーセントから一パーセント、一パーセントから一・五パーセント、一・五パーセントから二・五パーセントかような段階におきましては、日数を限定して配給してもさしつかえない、こういう見解に接したわけでございまして、この学問的根拠につきましては、これはしろうとのわれわれが申し上げるよりも、厚生省から具体的にお聞き願つた方が適当かと思います。
  27. 藤田義光

    藤田委員 新聞報道によれば、いわゆる黄変米配給する予定であつたところ、これを延期することになつたというふうに報道されている。この点の真相をひとつお伺いしておきたい。配給はするつもりであるか、配給するならばいつころから配給する予定であるか。
  28. 保利茂

    保利国務大臣 私はどの限度がどうだということについての専門的な知識もございませんし、また実際配給責任の当局にいる者として、そういうことはあまり申さぬ方がいいのだろうと私は考えております。ただ厚生省当局から指示せられている限界の専門的学問的技術的保健的な基礎はどういうものであるかということは、これはそこを信ずるほかは私どもとしてはないわけでございます。むろん私しろうととして言いたいことはございます。通常いいずれにしましても、一〇パーセントも有菌米を含んでいるということは、これは実際問題としてあり得ないようでございます。多く入つていて五%かそこらじやなかろうか。そうすると五パーセントなり六パーセントなりというものが入つておれば入つておるんじやないか。しからばそういう通常起り得る形において、それが実験せられた場合に、一体どういう結果が出て来るかというようなことは、しろうととしてはひとつそういう実験をしてもらいたいということを、私は厚生大臣にもそれは要求しておりますけれども、それはおそらくしろうと論でございましよう。しかしながらいずれにいたしましても、専門当局から指示せられている範囲の中において、私どもは業務をとつて行かなければならぬわけでございますから、従つてその業務をとるにあたりましては、これを厳守して行かなければならぬのは、当然でございます。しかし先ほど天野さんにお答えいたしましたように、厚生省許容限度だからこれでいいんだと強弁するつもりはございません。それにいたしましても、とにかく高い含有率のものは多少経費負担をかけましても、再搗精等をいたしまして、どこまでそれを減らし得るか。そういうことにも手を尽すだけのことを尽しまして処理して行きたいということを考えておるわけでございます。従つてただいま配給を延期するとか、配給をするとかいう具体的な考えは持つておりません。これは業務操作上の問題でございますから、業務操作上の問題として、とにかくそういう問題にならぬものがあればそういうものを先にやつて、そうしてやりつつ、さらによく消費者各位の御理解を深めることに努力もし、また減らし得ることができるならば減らすことに努力もして、そして処理方法をきめるようにいたしたい。しかしわくはきまつておりますけれども、そのわく内においてさような処置を講じて行きたい、かように考えております。
  29. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの大臣の御答弁、大部分私もそういう方針であるべきだと賛成であります。そこでお聞きしたいのは、食管法第一条、これは国民食糧の確保と国民経済の安定を目ざした法律であります。それから食品衛生法の第一条によれば、公衆衛生の向上と増進、これが目的に立案されておる。それでただいま大臣が言われた通り、私はこの両法律の矛盾を黄変米で解決する方法はないか。具体的に言えば、農林大臣の所管には食糧研究所がございます。ここにはりつぱな技術者がおられます。しかし現地調査したところによれば、予算は少いし人員が非常に不足しております。先ほど大臣答弁の矛盾を私はこの際一擲させるために、この科学的に相当な権威を持つた研究所がありますから、少くとも外米輸入という当分続くであろう国家的な大問題に関しましては、厚生省は食品衛生の立場もありましようが、食糧研究所を飛躍的に拡充いたしまして、食糧行政事務の迅速化をはかる、こういうことをこの機会に考えることが、一つの有力な方法ではないか、かように考えております。そうすれば厚生省検査の矛盾とか、あるいは名古屋で調べましたところによると、厚生省の若い駐在官によつて名古屋の老練なる食糧事務所長が完全に押えられた、食糧事務所長は食品衛生の責任者でないために、自信がないかもしれませんが、何十年の体験によつて配給しても大丈夫だという自信を持つておられる、ところがそれが二十五、六歳の厚生省の駐在員の横やりによつてそれもできない、こういう矛盾した現実をわれわれは見て参つておるのであります。そうした観点からいたしまして、この際農林大臣の特に外米の食品衛生研究に関しましては、現在の食糧研究所を強化して、こういう矛盾を一刻も早く打開するということが一つの大きな政治的結論であつてよいのではないかと考えておりますが、御所見を伺います。
  30. 保利茂

    保利国務大臣 ただいま藤田さんの御意見は私は一つの大きな課題であるとは存じます。しかしただ先ほどから私ちよつと申し上げておりますように、現在はわれわれは黄変米を抱えて処理しなければならない立場に立たされておるものでございますし、しかもそれについていろいろの実験研究を主としてやられておるのは、お話のように食品衛生法の機関なんでございます。その機関の意見は私は柔順に承るべきである、従うべきである、ひとしく国の機関でありまする以上は、よし不備でありましても、どうでありましても、とにかくその国の機関の法律によつてつております権能に従うほかはないと私は考えております。根本的にはこれは単なる黄変米の問題のみならず、食糧研究所の任務というものは私は別に大きなものがあると存じておりますし、これを拡大強化して行くということにつきましては異存は持ちませんけれども、今この問題とからめましていたしますと、何か農林省専門当局にたてついて、有害だというようなものをむりやりに配給しようとする口実だというふうに言われるおそれもあろうかと存じますし、これはもう私どもは一切専門当局の御判断にまかせるほかはなかろう、今日はそう考えております。
  31. 藤田義光

    藤田委員 たとえば二十八年度には、約百五十万トンの外米が輸入されております。国民生活、特に食糧生活上、この外米の行政ということは食糧行政の重要な一環であります。私は今日のごとく、ただいまも大臣が言われましたのでありますが、もし厚生省の純然たる科学的あるいは専門的な立場だけを重視いたしまして、この外米問題を処理して参りますると、食管法第一条の意図するところの、国家財政上あるいは食糧確保の建前から、ゆゆしき事態が起きて来はしないか、そういう観点からいたしましても、私はこの際何か思い切つた行政措置も必要ではないか、機構的あるいは運用上、これを考えずんば、年々歳々同様な問題が起きて来るのではないかと思うのであります。ただいまの大臣の御答弁で、厚生省の立場を尊重するような御趣旨の発言がありましたが、いずれ明日厚生省の立場をお聞きしたいと思います。  ほかの質問者もありますから、最後にお伺いしたいことは、この外米日本の港に入つた以後の問題を言論機関等が取上げて、非常に駆いでおります。われわれはこの際注意すべきは、日本の港に入る前のいわゆる契約あるいは輸送の問題、これをもう一度再検討する必要があるんじやないか、たとえばビルマに対しましては商社三つ、あるいはタイに関しましては商社八つが大体担当いたしておるようであります。しかも契約の表面を見ますと、御存じの通りこれは船渡しになつております。従いまして、船の上に外米が乗るまでは検査できない。現実には食糧庁の配慮でまだ船積みする前倉庫内で、非公開で秘密裡に検査はいたしておるようであります。それから船に積む途中にやり、最後には本船上でやるというように三段構えをやつておられるようでございますが、何が黄変米の問題に関連しまして、商社と農林省の契約上あるいは商社にあまり強大な権限を与えておるがために、その外米を輸出する先と商社との契約の実態、あるいは輸送問題等に対しましてこの際検討すべき点はないかどうか、ひとつお伺いいたしまして私の質問を終りたいと思います。
  32. 保利茂

    保利国務大臣 この外米の買付に関しましては、当委員会でも従来しばしば御意見も承つております。特に昨年一昨年末の黄変米の問題から買付改善方につきましては食糧当局でもかなり苦心を払つて来ております。先ほど申し上げますように、色のかわつた米はほとんど入つて来ていないというようなことも、その改善の現われだと私は思つておるわけでございますけれども、しかし一面また全体の問題といたしましては、通商関係におきまして輸出を増進して行かなければならぬ、そのために脆弱な商社を整理して商社の強化をはかつて行かなければならぬという統合整理の面も一面行われておるようでありますから、あわせて検討して参りたいと考えておるわけであります。
  33. 大上司

    大上委員長代理 柴田義男君。
  34. 柴田義男

    ○柴田委員 農林大臣に承りますが、先ほど同僚天野委員に対するお答えの場合に、閣議では決定したものではない、こういうお答えのように承りました。今までわれわれは各新聞紙上等で拝見いたしておりますと、七月三十日の閣議で二・五パーセントまでは厚生省も許容された範囲であるから配給するのだ、こういうように発表されたように承つておりましたが、七月三十日の閣議ではそういうことは全然問題にならなかつたのでございましようか。もう一つは、しからば七月三十日にどういう問題を、この食糧問題に関しまして閣議で御相談があつたのか、この点をあらためて承りたいと思います。
  35. 保利茂

    保利国務大臣 先ほども申し上げますように、新聞等に出ておることがみんなほんとうでございますれば、正直私はたいへんなことだと思つております。今朝あたり新聞を見ましても、ずいぶんそれはどうかと思うようなことが出ておるわけでございます。従つてそれについては私は責任を持ちません。閣議で問題になつたというのは、新聞で大きく騒がれるものですから、ほかの閣僚諸公も黄変米というのはあれだけ騒いでいたんだが、どうしたのだという御疑念もあろうし、だから実際はこういうものでございますという見本を閣議へ持つて行つて、そしてこれをどういうふうにするかということは、厚生省国立衛生試験所かで実験研究をされておるわけであります。その許容限度以上のものは配給するようなことはいたさないわけでございます。決して消費者に実際上の御迷惑をかけるということはございませんという話を私からいたしただけでございます。
  36. 柴田義男

    ○柴田委員 ただ一投的な新聞報道には多少誤りもございましようが、今日本食糧が足りないということは常識上だれしも知つておるわけであります。それでたとえば四十万トンからある外米の中から六万数千トンという黄変米が現在倉庫に保管されておる。この問題は国の経済の面から見ましても、非常な大問題でもあるというので、決算委員会におきましても、六月の末から七月の初めにかけまして現物を見て参つたわけであります。そういうようにわれわれも非常に心配をいたしまして、しからばその黄変米として食用にたえない場合はどういう処理をすべきか、こういうことで決算委員会を開いて結論をつくろう、こういうことであつたやさきに、食糧庁厚生省次官との会合によつて許容率が二・五パーセントまではいいから配給をするのだということが発表されたから、一般大衆はびつくりいたしまして大きな輿論となつて現われたのであります。新聞紙等は決して何もないところからああいう問題を大きく取上げたものではない。やはり配給しようという計画が立てられたから、この問題が世論となつて大きく反撃を食つたことである、こうわれわれは考えておるのですが、そういたしますと、新聞紙等が今日まで発表しております一切は、農林大臣は否定されるのでございましようか。
  37. 保利茂

    保利国務大臣 否定するとか肯定するとかいうことでなしに、先ほどから私申し上げて来ておりますが、そういう問題は専門技術当局にまかせるほかはない。政治的にどうこうすべき問題じやない。ただしかし、そうでありましても国民専門技術を信頼しない、それでもやはり新聞があぶないというからあぶないのだ、こういう形では困るじやないか。それは私は専門当局責任があると思う。こういうわけですから、国民保健上少しも心配はいらないのだということに対してもつと理解をつけてもらわなければ困るじやないか。私どもがそれを言うと、配給したいからそう言つているのだと言われますから、私は申し上げません。従つてそれは少くともここまではよろしい、ここからは危険であるということを言われるならば、その専門当局国民に対して納得を得させるだけの努力を払つてもらわなければならぬ。それが実際の政治じやないか。それまでの間私どもとしては再搗精をしたり、いろいろの手段を尽しましよう。操作上もまだきようあす配給しなければ、それを食べてもらわなければ立ち行かぬという状態ではございませぬから、今ちつとも心配のない安全なものを配給しつつ、同時に専門当局からもつと理解をつけてもらい、国民の不安を解消していただき、われわれをしては二・五パーセントでございますからそれはそれでよろしゆうございます、しかしそうでありましてもそれはやはりもつとパーセンテージが下れば下るに越したことはないとしろうとでも思いますから、その点は手段は十分尽してやろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  38. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと許容率が二・五パーセントだということが決定されても、まだ許容率の範囲においても国民大衆が納得しない間は、配給の御意思がございませんか。
  39. 保利茂

    保利国務大臣 これは納得しないからというて——どうしても納得しない方もありましよう、私はそう思います。しかしまた納得していただく方もございましよう。いずれにいたしましても、私どもは、専門当局が見まして保健上有害だということでありますれば、量の問題はともかくとしまして——量の問題に影響することがありましても、量の問題に影響するからそれをしやにむに配給するというようなことはいたしません。
  40. 柴田義男

    ○柴田委員 その許容率というのは、厚生省の楠本部長が発表いたしましたあの限度を許容率とされておるようであります。ただこの問題が一番大きな問題だと思うのですが、厚生省の楠本部長が発表いたしました許容率に対しまして他のあらゆる学者が反対を表明しておる。これも事実なんです。こういうような場合に、非常に毒素が多い、算術ではいけない、こういうことを発表しておりますその他の学者の意見は、農林省は全然お聞きになる御意思がございませんか、ありましようか、その点を承りたいと思います。
  41. 保利茂

    保利国務大臣 問題になつておりますのは、食品衛生上の運用の問題だと思つております。従つて食品衛生上の運用から来ておる問題でございますから、それを運用いたしております機関指示を私どもは守つて行くほかはなかろうと考えておるわけでございます。
  42. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと、いろいろな角度から見て、国民大衆はあげて反対をいたしておりますような場合は、相当それに対しましては別個な考慮を払わなければならぬ。一般の主食としての配給というルートにはまだまだ研究の余地があるとわれわれは考えておりまするが、これに対しまして農林大臣はいかようにお考えでございますか。
  43. 保利茂

    保利国務大臣 私は政治的にこの問題を考えることは避けたいと考えております。
  44. 柴田義男

    ○柴田委員 政治的ということでなしに、実際問題として日本現実に即して考えました場合には、非常に食糧は足りません。もう端境期を控えて遅配、欠配が行われはすまいかというような懸念すらもあり、われわれは非常に心配しておるのです。こういう現実の場合に到達いたしまして、しかも黄変米の問題は今始まつたことではない。昭和二十六年度、二十七、八年度と経由をいたしまして、最近には非常にその量が多くなつて来ておる。しかも二十七年度、二十八年度の黄変米、あの黄色くなつた黄変米とは非常に形は異なつております。しかもいわゆる検査方法というものも当時の肉眼検査でなしに、顕微鏡検査をやる、あるいは培養検査をやる、こういうようにだんだんに検査方法というものも科学的に進歩いたしまして、非常に綿密を期しておる、その結果といたしまして現在六万数千トンというものが黄変米として配給がとめられ、去年の十二月から今日まで倉庫に眠つておる、この現実を見ました場合に、政治問題だとかあるいは何とかというようななまやさしい問題では解決がつかない。どういうようなことをやつて、今後この黄変米の問題に関しまして処理をしなければならぬか。日本の大きな食糧政策の上にも十分考えなければならぬ問題であるとわれわれは考えまするが、これに対しまして、将来もございましようから、農林大臣黄変米の問題を大局から判断されてどう処理なさろうとなされるか。
  45. 保利茂

    保利国務大臣 御名案があればまたいろいろお伺いもいたしたいのですが、私としましては先どほ来申し上げておりまするように、二・五パーセントという専門当局基準限界でございますか、これは大事に大事をとつたところで、むろん幾らか危険があるからということでやつたものとは私は考えておりません。よほど大事をふんでそこへ持つて来ておると思います。従つてその限度内においては私どもはこれは——私がまた無害だとかどうかと言うとやれるかもしれませんが、私はそれでよかろうと思つております。それでよかろうとすれば、そう大した問題はなしに操作ができるのじやないかと考えているわけでございますが、いろいろ御意見もあろうかと思います。よく伺つて、いずれにしても食べもののことでございますから、これはやはり消費者の納得が行かなければ、なかなか実際問題としては解決が困難だと思います。そういう点で努力をしなければならぬと思つております。
  46. 柴田義男

    ○柴田委員 これは明日から厚生省専門的な御意見も承つて最後的な結論が出ると思いますが、ただ実際今の日本食糧問題といたしまして、しかも三十九年度の食管の計画をわれわれは見ますると、百十四万トンかの外国食糧の輸入の計画がなされておる。しかし現実に転落農家がどんどんと出て参つておりまするし、あるいはまた人口も急速度に増加しておる、あるいは奄美大島が日本に返つて来た、こういうことで、実際この日本の全体の食糧計画を見ましたならば——二十九年度はしかも冷害等も各地に見受けられます。しかし政府が予想せられました二千二百七十万石でございましたか、そう当初計画をなされた内地米を農民がほんとうに喜んで出してくだすつたと仮定いたしましても、百七十万トンから足りぬというようにそろばんの上でははじかれる。けれども食管計画には百十四万トンの計画をされておる。だから足らない分は小麦に仰いだり大麦に仰ぐことはやるでありましようけれども現実にもう百何十万トンというものが足りない。外米の輸入にあたつてことしの二月かと記憶しておりますが、商社を介在せしめた問題に黄変米というものが多くありはしまいか。しかも農林省当局から外地に対して派遣している人員が足りない。予算をとつても、やはり農林省当局から外地に派遣する人員をふやすべきであるということをしばしば申し上げおつたはずであります。それらに対しまして何か改善をされておるのかどうか。それから現に最近入つておるものを見ますると、ビルマ、タイ、仏印あるいはアメリカ、台湾等がおもなようでありまするが、その他の外地からの輸入の計画というものをなされておるのかどうか。こういう点を承りたいと思います。
  47. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。ただいまの柴田さんのお話のように二十九会計年度におきましては、米の輸入は百十四万五千トン、こういうことに相なつております。これは御承知のように米の年度は会計年度にまたがりまして、二十九米穀年度つまり二十八年産米を中心といたしましたものは本年の十月で終るわけでございます。それ以降は、三月までのものは二十九年産米によつてこれをまかなつて参る、こういう形になつておりますので、会計年度といたしましては両方にまたがるわけでございます。ただいま問題になりますのは、昨年度の状態におきまして二十九米穀年度つまり本年の十月末までにおいて配給上支障がないということに対しましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、この点につきましては十分支障がないというふうに考えておるわけでございます。ただ三十米穀年度つまり後半期につきましては、内地の作柄の状態及び消費者の安食に対する需要の状態その他全般的な主食として検討いたすわけでございますので、具体的な計画は今後に検討をいたしたい。当時におきましては大体人口増も考えまして、平年作のもとにおきましてはこの程度でもつて十分まかない得る、こういう見当を立てたわけでございます。  第二点の外地に派遣する問題につきましては、タイ、ビルマにつきましては大使館員として農林省から人を派遣いたしておりまするし、同時にまた御指摘もございましたので、買付最盛期につきましては、出張の形で一月とか二月とかそれぞれタイ、ビルマ等に派遣をいたしておるわけでございまして、経費の許す範囲においてできるだけ買付を慎重にいたすという趣旨でもつてこれを進めて参つておるわけでございます。
  48. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますると、従来とつておるタイ、ビルマあるいは仏印、台湾、アメリカ、アルゼンチンというような国以外からの輸入計画というものは、さらにお立てになつておらぬようでありますが、私ども考えまするのに、戦前大きく外米として仰ぎましたのは中国でございますが、この中国は気候風土から考えましても、今のような黄変米というふうなものはおそらくないであろうとわれわれは想像されるのです。これはしろうとで、中国米にも黄変米があるのかどうか、あるいは内地米も培養検査をやつたならば黴菌かあるかどうかは知りませんけれども、気候風土から考えましても中国米なんかというものは従来非常に日本人は喜んで食べておつた。だから中国からの米の輸入というようなことをお考えになつておるのかどうか、これを承つておきたいと思います。
  49. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げますが、米の輸入につきましては御承知のようにタイ、ビルマ、イタリア等のように通商協定によりまして輸入計画の定まつておるものがございますが、その他の通商協定によりまして輸入計画の定まつておらないものにつきましては、食糧庁といたしましては品質のいいもの、安いものをいずれの地域からでも買いたい、こういう考え方で進んでおるわけでございます。ただもちろん為替の関係でドル、ポンドというような区別は、為替のそのときの状態によつてその地域を変更する場合がございまするが、そういう考え方で進めております。従いまして御指摘の中共米につきましても、先般五千五百トンの買入れをいたしました。これは北支米でございます。品質は、従来北支米は内地米を植えつけましたので、ほぼ内地米に準ずるような品物が入つておりまするが、現在の情勢におきましては、北支米はこれ以上は困難なように聞いております。なお中支米はどの程度にあるかということもございまするが、同時に中共との貿易につきましては決済手段の問題、つまりバーターによりまして、何を持つて行くかという問題と関連いたしますので、関係当局とも協議をいたしております。
  50. 大上司

  51. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は保利農林大臣にいろいろ伺いたいのでありまするが、まず先に保利農林大臣はこのたびの黄変米事件について、どんな責任をお感じになつておられるかという問題であります。先ほど大臣の他の質問者に対するお答えを伺つておりますると、新聞が大騒ぎをしておるとか、世間が大騒ぎをしておるとか申されるのでありますけれども、私ははなはだこれは無責任な言葉じやないかと思うのです。なぜなれば昭和二十六年度、二十七年度の黄変米につきまして、国に与えた損失が八億四千二百万円である。これにつきまして前決算委員会におきまして、当時の直接の責任者でありました東畑農林次官、現前谷長官等に質問いたしたところが、まことに悪かつた、申訳なかつたと言うて率直にあやまられおる。そこでわれわれも、良心的に悪かつたということを披瀝されておるならば、これ以上責めるということもどうかと思うから、将来二度と再びこういうことのないようにしてもらいたいという警告を発しておいたのであります。ところがこのたび実に驚くべきことに、今までの黄変米の数量とはけたの違つたところの五万六千トンであります。こういうような黄変米がたくさん入つて来て、今国民が大騒ぎをしておる。大騒ぎをするのは当然ではありませんか。昨年一パーセント以下はよろしい、それ以上であつたならば、二百五十度以上の熱度を加えなかつたならば、いわゆる飯米として食することはいけない、こういうことを当決算委員会において政府委員答弁いたしておるのであります。それにもかかわらず、このたびかような莫大なるところの黄変米を輸入すれば、それは国民が大騒ぎをする。新聞、ラジオその他の報道機関がこれを報道しなかつたならば、政府はほおかぶりしてこれを国民配給してしまうのじやなかろうかと私は思う。新聞、ラジオの報道機関報道しておればこそ、今日それが配給もされないで済んでおるのじやあるまいかと思うのでありますが、いずれにしましても日本の経済の根本問題——日本食糧の二割を輸入しなければならない、鉱工業用品の原料は三割も輸入しなければならない日本経済の根本的観念に立ちましても、この食糧の輸入問題はきわめて重大問題であります。しかるにもかかわらず、この食糧のうちに国民が食えば毒になるというようなものを輸入しておつて、それで輸入してから後のパーセンテージが三パーセントであればどうとか、いや二・五パーセントであればどうとか、そんなことの論議をしておるどころではなく、農林大臣はこの点についていかなる責任考えておられるか、まずそれを伺いたい。
  52. 保利茂

    保利国務大臣 責任を感ずるということは、そもそも外米を輸入しているのは、いかにして困難な食糧事情の中に立ちまして、せめて十五日の配給を続けて行きたいということでありますが、しかしながら日本食糧事情がいつまでも外米にたよれない。どうしても食生活の転換をしなければならない運命に立たされているということもよく御理解を願わなければならないと思いますけれども、ともあれ急激にそれを要請するとしましてもそれは困難なことであるし、またしかしすでに当委員会でも取上げられましたように、黄変米というような問題がございますので、外米を輸入いたすにいたしましても、さような国民に不安を与えるようなものを入れないようにということで、私どもとしては最善の努力を払つて来ているわけでございます。しかし実際問題として、私も自分が業務を直接指揮しているわけではございませんけれども、当然最終責任は私でございますから、これはもう責任としてはいかなる責任も回避するものではございませんけれども、実際問題として外米を買わざるを得ない。その場合、理論的には避け得る手段があつても、実際的に避け得る手段があるかどうかということは、これは私は杉村さんも御承知だろうと存じます。しかしそれでありますからかりに避けられない——どもは一応そういうふうに報告を受けておりますけれども、避けられないことで入つて来たものを、いかにして消費者に御迷惑のかからないように、国民保健上有害にならないように処置をして行くかということが、私の責任だろうと思つております。従いまして先ほど来そういうことで、私はともかくこの責任を尽したいという考えでおるわけでございます。私としてはとにかく消費者に非常な打撃を与えるようなことなく、外米輸入自体の目的に沿うて、消費者にプラスになつて行くようにやつて行かなければならね、そういうふうに処置して行かなければならぬ、こういうふうに考えておりますけれども、いろいろ杉村さんも実際をごらんいただいて事情は御承知のことでございますから、こういう処置があるじやないかということでございますれば、またそれは伺うにやぶさかではございません。
  53. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は黄変米の処置を伺つているのではございません。少くともこういうような、日本国民があげて毒を食わなければならぬというようなことに立ち至つたことにつきましての責在——責任ということにはいろいろありましようけれども、あなたは少くとも農林大臣として、国務大臣として、まことに国民に対して相済まないということをお考えにはなつたおられませんか。
  54. 保利茂

    保利国務大臣 私は毒を食わせるというような考え外米を輸入しているわけではございません。だからそれが毒であるか毒でないかは、技術的に専門的に御判断を願うほかはないわけでございます。私どもしろうとでございますから、従つてこの限界ならば毒ではない、有害ではないということでございますれば、それ以上に心配だということは、むしろ私は科学に対する冒涜じやないかというようにすら感ずるわけでございまして、その点は杉村さんすでに毒を国民に食わせるんだということを前提として御議論を立てていらつしやるけれども、私はそういう考えは毛頭ございません。
  55. 杉村沖治郎

    杉村委員 毒を食わせるということを私は言つているのではない。いま少しよく聞いてくれなければいけない。少くとも厚生省も毒素を含んでいるという、国民もそういうふうに考えてる。こういうような結果をしでかしたことについては、少くともあなたは責仕がある。それだからこういうような結果になつたことについては、少くとも日本食糧政策責任者として、まことに相済まないというだけの考えはあつてしかるべきだと思うがどうか、こういうのです。
  56. 保利茂

    保利国務大臣 先ほど来申し上げておるところによつて判断を願いたいと思います。
  57. 杉村沖治郎

    杉村委員 しからば重ねて質問いたしますが、あなたはこれが絶対に避けられないというような、今お答えをなさつたのであります。そうして日本食糧政策については、どうしても外米をこれだけ輸入せなければならぬというようなことに論及されておるのでありまするが、まず日本のいわゆる食糧政策については、他日私も意見を述べたいと思つておりまするが、現在の内閣のいわゆる食糧政策なんというものはきわめて貧困であります。何でもかでも外米をこれだけ輸入しなければならぬということは私は考えておらない。それはまず第二といたしまして、しからば私は重ねて伺うのであるが、この黄変米昭和二十六年から日本で発見されて。二十七年も続いて輸入されておる。それにもかかわらず、いまだかつて一度も現地について調査したことがない。それであなたは絶対避けられないとかなんとか言いますけれども、はたしてしからばこのビルマやタイや、これを輸入したところの国々の米は全部黄変米でありますか。黄変米でない米もあるのでありますか、その点お調べになつたことがありますか、農林大臣にその点を伺いたい。
  58. 保利茂

    保利国務大臣 それは全部黄変米だということは私はないと思います。たとえば今問題になつおりますのも一パーセントあるかないか、あるいは二パーセントあるかないか、ということは、結局百粒の中で一粒あるかないか、二粒あるないかということでございますから、ちよつと何とも言えないのじやないかと思うのであります。ただ私が理論上は避け得られると申しますことは、現在国立衛生試験所で培養実験をやつておるあの手段を買付先の現地についてやつて、そうしてそこでパスしたものを買つて来るということであれば……、私、が理論的に避け得るということはそれを申しております。しかしさようなことは実際問題として可能であかどうかということは、実際問題としては不可能ではないか。こう申しておるわけなのであります。
  59. 杉村沖治郎

    杉村委員 私はこの米の輸出する国の米が全部黄変米であるというこであつて、他から輸入する道がないということであれば、あるいは不可能ということになるかもしれませんけれども、われわれの聞くところによりますれば、このビルマあたりの黄変米として日本が今輸入しておるものに、五等米であるということを聞いておるのであります。この黄変米の問題が新聞、ラジオ等で報道されるようになりましたので、私のところへわざわざ人が来まして。杉村さん、あの黄変米をビルマあたりから買つておるけれども、あれはビルマの五等米である、こういうことを言つておる人があります。しかしそれもはたして真実であるかどうかは私はわかりません。しかしながら、私としては当委員会にその人に出てもらつてひとつ聞いてみたいと思うておるのでありまするが。それは別といたしても、いやしくも二十六年以来黄変米がこんなに問題となつておるのにもかわらず、何ゆえに政府は現地に人を派遣して調査をしないのか、昨年まで二十六、七年度のこの国に与えた損失の八億四千二百万円の中の一部でもその費用に充てたなれば幾らでも調査ができるではありませんか。せんだつて国立衛生試験所に行つて私は非常に真剣な試験をせられておるところを見て、その席におきまして。皆さんはこのビルマ、タイ等においでになつてこの国の米を御研究になつたことがありますかと申したところが、いや、実際に向うに行つてどういう実情であるか調べてみたいのであるけれども、何分にも予算がなくて行くことができない、こういうよらなことを言われておるのでありまするが八億も国に損害を与えておくようなことをしないで、こういうところへはよろしく費用を惜しまず出して調査をしまするなれば、こんな騒ぎは起らないで済むのではあるまいかと私は考えるのありまするが、これについてはなはだ農林大臣手抜かりではないかと私は思うが、あなたはそれで十分打つべき手を打つたというお気持になつておれらますか、良心的にいかがでありますか。
  60. 保利茂

    保利国務大臣 食糧輸入の問題は、とにかくあれだけの黄変米という騒ぎで、しかし国に対しても損失をかけており、消費者に対しても多大の不安をかけましたわけでございますから、私でも農林当局としては、良心的に尽せるだけの手段を尽してこれをやつて来ておるわけでございますけれども、ただいまの問題になつおとます問題は、実質はさような経過になつておるといおうことを申し上げてるわけでございます。むろん現地と申しましても、相手国も独立国であるわけですし、それに日本機関がそういうところに行つてそういう調査をさしてくれるものかさしてくれないものか、そういう点は研究すべき問題だろうと思います。私どもとしましては、とにかくこれだけの大事な米を大事な金で買つて来るわけでございますから、そこで一粒たりとも消費者に受付けられないというような米の入ることに対しては、何としても私ども責任は避けられるものでもございませんし、責任がどうこうというよりも、国家全体の上から言つて、さようなことはできるだけ最善を尽して対処して行かなければならぬという考えは、私も杉村さんに劣らず持つておるわけであります。具体的にはなお食糧庁長官からお答えいたします。
  61. 杉村沖治郎

    杉村委員 この毒素の問題につきましては、いずれ厚生省の方から伺いたいと思つておるのでありますが、多分保利農林大臣もそういう食糧行政の最高責任者として国立衛生試験所にさだめしおいでになられて、あの実験実情をごらんになつておることと私は思う。そこであの実験の状況と、さらに厚生省の楠本氏の意見その他国立衛生試験所等の試験官の意見等を総合して、あなたのこの黄変米の毒素に対する考えはいかがでありますか。すなわち昨年は一パーセント以下、こういうことを言つておる。ところが本年は国立衛生試験所に行けば三パーセントと言い、楠本氏は二・五パーセントというようなことも言つておるのであります。また毒素の関係におきましても、昨年は前谷長官あたりも堂々と答えられておる。前谷長官が答えたのだ。二百五十度以上の熱を加えなければならぬ、こういうことを言われておつたが、本年の毒素に対するところの楠本氏の意見等は、この毒素は蓄積毒素であつて、決してこれか解放にならないのである。それから熱度の関係で左右されるものではないというようなことを述べられておるのであります。これらのことを農林大臣はさだめし食糧関係の最高責任者として十分にお聞きになつておるだろうと思うのでありますが、あなたのお考えはいかがでありますか。
  62. 保利茂

    保利国務大臣 私は先ほどから申し上げておりまするように、これはしろうとがかれこれ言うべきじやない、専門当局研究判断にまかせるよりしようがないとそう思つております。従いましてその問題について私が国立衛生試験所の見学をしたり、楠本衛生部長の話をじきじき聞いたりして、私が判断すべきものではない、当然研究の成果判断事務当局から上つて来るわけでございますし、それによつて疑いがなければそれで私はやつて行くつもりでおります。
  63. 杉村沖治郎

    杉村委員 これは専門家にまかせるということの御意思はけつこうでありますが、ただあなたのお考えを聞いたのですが、お答えがなければその点はいたし方がありません。あなたはその専門家にまかせるのゆえをもつて、自分は国立衛生試験所へ行つて見学をするとが、あるいは専門家について話を聞くとか、そういう必要がないというがごとき口吻でございますが、はなはだ遺憾千万だ。あなたは国立試験所へおいでになられて、あの黄変米の毒素が腎臓、肝臓に及ぼしておるあの状態をごらんになられましたか、なられませんか、それを伺いたい。
  64. 保利茂

    保利国務大臣 私は拝見いたしておりません。
  65. 杉村沖治郎

    杉村委員 今伺えばこれを見ておらないというが、実に遺憾至極である。いやしくも日本食糧政策の最高責任者であつて、国をあげて国民がこれを食えばどうであるというような、これだけの大騒ぎをしておるときに、農林大臣ともあろう者が、あの国立衛生試験所に行つて、腎臓、肝臓に及ぼしておるところのあの細胞の変化がちやんと幻燈で現われる。それをいまだにごらんになつておらないとうに至つては、まつたくあなたは農林大臣としてその職責怠慢なりと私はいわなければならぬと思うが、それでもあなたはよろしいと思つておるか。
  66. 保利茂

    保利国務大臣 これはどうも、それで御判断されれば、あなたがそう思われることをけしからぬと言うわけに私は参りませんので……。ただ私としましては、できるだけひとつ専門当局事務当局研究判断の結果、これに政治的考慮を加えないことが私は正しい解決の道である、かように考えておるわけでございます。
  67. 杉村沖治郎

    杉村委員 まだたくさん質問したいことがありますが、私の時間は過ぎましたから、いま一点だけにしておきますが、前谷食糧庁長官に伺います。まずこの配給するということについては、いろいろ問題がありますが、第一、三パーセントであるとかあるいは一パーセントであるとか、二・五パーセントであるとかというようなことは、これは科学上、机の上の話でありますけれども、あの五万六千トンの米のうちにどれだけが毒素を含んでおるものであるか、おらないものであるかということを、どうして区別するか。昨年私が問うたときには、さしを俵の中につつ込んで出して見て、それで一パーセント以下というようなことをお答えになつてつたので、私が、そんなばかなことがあるか、毒が入つておるというのに、さしで目で見て一パーセント以下というようなことで配給されたのでは国民がたまつたものでないということを言つたのです。今の三パーセントであるとか、二・五パーセントであるとかいうことは、これは医学上それだけの量のものを食べればということであるが、あの五万六千トンの米にどれだけ毒素を含んでおつて、どれだけ毒素を含んでおらないという、あの米の区わけを何によつてされるお考えであるか、あなたのお考えを伺いたい。
  68. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。これはよく御了承おきになつておることと思いますが、昨年度におきましては毒素がありますものは変色をいたしておる、黄色になつておる、こういう研究の結果でございますので、これを肉眼でもつて検査するという方法をとつておるわけであります。その方法といたしまして、サンプルをとる場合においてさしをとる、これは通常の場合でありまして、一定の量に対して一定のサンプルをとつて、そのサンプルの中から黄変粒があるかどうかということを判断するわけでございますが、現在におきましてはこれは変色をいたしておらないわけであります。これは肉眼では見わけがつかないわけであります。従つてサンプルをとりましてこれを衛生試験所にまわして、その試験結果によりましてこのものが何パーセントあるかということを判定いたしておるわけであります。
  69. 杉村沖治郎

    杉村委員 先ほど保利農林大臣は、専門家の判定にまかせるということをおつしやられた。私はここで一つつておきたい。専門家はどこの専門家にまかせるのか。つまり国立衛生試験所の検定にまつのか、それとも厚生省にまかせるのか、どこの決定に基いてやるのであるかということをひとつ伺つておきたい。
  70. 保利茂

    保利国務大臣 先ほど藤田さんにお答えいたしておりますように、この件は食品衛生法の運用管理から起きておる問題でございます。従つて食品衛生法の運用管理をやつておられる厚生大臣の御意見に私は従うほかありません。
  71. 大上司

    大上委員長代理 各委員にお諮りいたします。時間も相当経過いたしておりますから、一時休憩いたし、さらに午後一時三十分から再開することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 議事進行について。これは重要な問題でありますから、十二時は若干過ぎておりますけれども、いましばらく質問させていただきたい。
  73. 大上司

    大上委員長代理 ただいま杉村君の発言中であつたのですが、各点の理事に話して、大体各党が一通り済みましたら、第二陣として質問者が相当ありますから、ここでひとつ息を入れてやる方がいいじやないかということになりましたので御了承願います。  午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時四十九分開議
  74. 大上司

    大上委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。徳安實藏君。
  75. 徳安實藏

    徳安委員 まず大臣に先に伺いますが、日本食糧の需給計画から考えましても、どんなに努力されても五年や十年で外米輸入をやめるなんということは不可能なことだと思うのです。従つてその外米輸入ということが続く限りは、ただいまの黄変米の問題も続くと思うのです。この黄変米を輸入しなくても済む抜本塞源的な方法に対して、大臣は何かお考えがございましようか。先ほどちよつと片鱗を伺いましたけれども、この際重ねてこの問題についてこうすればいいのではないかという点がございましたら御構想を承りたいと存じます。
  76. 保利茂

    保利国務大臣 お答えいたしますが、今日の食糧事情からいたしまして、また実際の国民の生活の実態からいたしまして、外米にある程度依存しなければならぬということは、損得を離れて現実に認めざるを得ないと私は考えております。しかしながら政策の方向といたしましては、できる限り外米を節約して行く。だんだん都市消費者におかれても私どものこいねがつております麦と申しますか、粉食への食生活というものは著しい勢いで増大して参つていると私は思うわけであります。そういうことで外米の輸入節約は一面は保健栄養の上からいたしましても、節約して行くのが筋であろうと存じますし、また一面通商貿易の国際収支の上から見ましても、今後外米に大きく依存して行くということはできない実情に相なつておるということも深く考えなければならぬと存じます。しからば外米一つも入れないで行くというような方向を強く打出して行くべき筋合いも考えられますけれども、同時にまた考えてみなければなりませんのは、日本の今後の発展策をいわゆる東南アジア諸国との強い結びつきにおいて、経済的にも日本の発展をはかつて行かなければならないという情勢も、この問題を考える場合に考えなければならぬ。そうしますと、たとえばタイでありますとか、ビルマでありますとかというような、そういう主要な国々は何によつて経済を営んでおるかといえば、やはり米というものが大きくウエートを占めておると思うわけであります。そこで日本外米は一切保健衛生の上からいつても、また貿易の上からいつても、かような割の悪いものは入れないんだということで行くことは、その面から見れば私は相当の障害があるのじやないかと存じております。しかしながら私どもとしましては、終局ねらうところは、そこらとの東南アジア各国との経済提携の線ぎりぎりのところくらいで、外米の輸入を節約して行かなければならぬじやないか。そうすることが少くとも今日としては妥当な考え方ではないかというように考えておるわけであります。そういうことで進めて行きたいと思います。
  77. 徳安實藏

    徳安委員 外米を買わなければならぬことは今大臣のお説の通りでありますが、その買うにあたりまして、黄変米でない外米を買い入れる。こういう方策、これに対しましてかりにビルマでありましても、タイにいたしましても、全部が全部黄変米になつておるわけじやない。そうでないものもあるわけでありますから、そうでない、いいものだけを買い入れるということに対する方策があるかどうか。それから先ほど杉村委員の質問にあつたかと思いますが、現地におけるあるいは厚生省の出店と申しますか、あるいは農林省にじかに検査する機関を設けさせるかどうかということについても、現地が承知するかどうかわからないというような問題がありましたが、そういうような点につきまして、大臣として何か御構想があれば承りたいと思います。
  78. 保利茂

    保利国務大臣 私どもといたしましては、とにかく国民食糧を確保して行きます上に手段を尽しておるわけでございますけれども、せつかく確保したと思つていたものに、今問題のようなものを到着後に取上げられる、しかも着後長きは五箇月もたたなければそれがよいのか悪いのかわからぬということで、まことに当惑をいたしておるわけでございます。これが午前中も申し上げましたように、理論的には私はそういうものを避け得る、すなわち買付地において培養実験等をいたします。それは少くとも三十日とか五十日とかかからなければそれも発見ができないという実際の実情からいたしまして、また現地にさような完全した機構を持ち得るかどうかということにも私は問題があろうと思いますけれども、そういうわけで、とにかく昨年まで問題になつておりました、いわゆる黄変米の入つて来ることにつきましては、現地国もあるいは輸入業者も非常な努力を払つてくれまして問題になるようなものは入つて来ていないわけであります。ただだれが見ましても見わけがつかないもの、顕徴鏡等で見ましても見わけがつかないようなもの、これを一体どう入つて来ないようにするかということは、言うべくして実は実際問題としては、これは現地で培養実験でもする以外にない、そういうことで、しからば実際の米の買付なり取引きができるかどうか、これは全然別個の問題になつて来ると思います。従いまして理論上は避け得る手はあろうと思いますけれども、実際問題としては私は外米を輸入している限りにおいては、今日のような状態で、何とかこの改善の方策はないかということで研究いたしておりますけれども、ただいまのところまだこういたしますということは申し上げられぬわけであります。
  79. 徳安實藏

    徳安委員 今ビルマやタイから買入れております買付方法を長官から伺いたいと思います。どういう方法で買いつけておりますか。
  80. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。御承知のようにまずビルマの例をとりますと、政府間におきまして三十万トンの買付契約をいたしております。これにつきましてはビルマの政府と規格の問題、それから価格の問題、それから積出し時期の問題を協定いたすわけでございます。先ほど杉村さんからもビルマ米について五等米を買つているではないか、こういうような御指摘もございましたが、御承知のようにビルマ米につきましては、大体ナツセンSMS、これが一つの標準になつておるわけであります。これ以上のものをわれわれとしては買つておるのでございまして、下級品を買つておるということではないわけであります。ただそういう形で政府間が価格、規格、それから積む時期を交渉するわけであります。その協定のもとに具体的に商社が代行をいたすわけであります。ただ検査の場合におきましては、はしけから本船に行くものにつきまして、米袋にさしを入れまして黄変粒が混入しておるかどうかということを検査いたしまして、この検査いたした結果黄変粒が入つておるものについてはこれを拒絶する、こういうやり方をいたしておるわけでありまして、ビルマ政府との間におきましても、一般的な国際的な取引とは別に、黄色粒一パーセント以内ということを、日本の場合においては特別の契約をとりかわしまして、その契約によりまして排除いたしております。先ほど大臣が申し上げましたように、肉眼でもつて見えない、全然普通のものとかわらないが、細菌培養の結果菌が見られるということは、現在としてはいたし方ない、こういう形になつております。  第二といたしましては、タイには原則といたしまして、政府間貿易と民間貿易と二つあるわけでありますが、本年度におきましては、二万トンを除きまして、全部政府間の取引になつておるわけでございます。これは協定によりまして、協定の付属文書としてとりかわしをいたしておるわけでございます。この場合におきましても、品質におきましてはブロークン十五以上ということにわれわれは限定いたしておるわけであります。ただいまの規格におきましては、ブロークン二十五まであるわけでございます。その十五以上のものをとつておるわけでございまして、これはほかの国との関係から見ましても、決して下等品をとつておる、こういうことではないわけでございます。タイにつきましては、さらに検査の場合におきましても、大体売却される倉庫がきまりますと、そこで予備検査をいたしますし、さらに今度は本船受渡しの場合におきましてタイ国側の機関、こちらの商社、大使館、それからいわゆる国際的な検定機関、こういうものが立ち会つて品質検査を、その契約したものに合つておるかどうかということをやつておるわけでございます。
  81. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、今の大臣の御説明、長官のお話を聞きますれば、結局現在の状態では、黄変米も色のついたものは防げるけれども、そうでないものは防ぎようがない、こういう結論になりますか。
  82. 前谷重夫

    前谷説明員 現在の研究段階においてはそういう結果に相なつておりますので、実はわれわれは何か科学的な研究で、たとえばリトマス試験をすればすぐに菌があるかどうかわかるというような、何か簡易な科学的な方法検査する方法はないか、こういうことの研究方について厚生省にもお願いしておるわけであります。
  83. 徳安實藏

    徳安委員 黄変米ができました原因についていろいろ説があるようでありますから長官に伺いますが、はつきりわかつたことでもありましたら、その真相をお教え願いたい。
  84. 前谷重夫

    前谷説明員 まず黄変米につきましてもみの時代から発生するかどうか、こういう疑問があるでございますが、これは現地の状態においては判明いたしておりません。黄変米は、学者間の研究でございますが、地域について申しますと、菌の所在は米作地帯全体にある。ただこれが繁殖する場合におきましては、水分が一五パーセント以上の場合において繁殖する。ある一定の水準以上に達すると繁殖しないということだそうであります。それから温度につきましても、繁殖の温度があるわけでございますが、外米の場合の例をとりますと、現在大体水分は一四パーセント以下でございます。従いまして、引取つてから保管する場合におきます水分状態から見ますと、繁殖するということは考えられないのじやないか、ただ御承知のように、現地の倉庫設備なり、そういう点につきまして発生する可能性があるのじやないかろうかと思まして、食糧庁が出かけて参りましても意味がないことでありますので、ぜひ現地に厚生省専門家行つて、どういう経路で発生するかということをお調べ願いたいというふうにわれわれ厚生省にお願いておるわけであります。
  85. 徳安實藏

    徳安委員 ただいまの御説明ではその真相等についてもはつきり防ぎようがないようなお話でございます。そこで大臣に伺いますが、どうせタイやビルマから買うとすれば防ぎようがないのだということでありますならば、もちろん貿易との関係もございましようが、先ほど長官からのお話に、北支等からも最近少し買い入れたということでありますが、中共とか、あるいは朝鮮、台湾等に対して、これにかわる程度の量はいかがかと思います。少くともそうした方面に買入れのために相当の努力や交渉等でも政府行つておられましようか、そういう点がありましたら伺いたいと思います。
  86. 保利茂

    保利国務大臣 問題は、その場合に南方の方の米をできるだけやめて、中共とか韓国の米を考えたらどうかということでございますが、これは非常に考えておるわけでございます。実は昨年大量の外国米の輸入をしなければならぬ、するほかに処置なしと結論をつけましたときに、幸いに朝鮮には十万トンくらいの余剰米が出るじやないかというような情報もございましたものですかう、かなりの手を尽して努力をいたしましたけれども、とうていそれはわれわれ国民が承知をし得る価格では成り立たないというようなことで、今日までその方は全然問題になつていないわけでございます。最近また、これもいろいろな筋の人がおられますからわかりまんけれども、少し値段のところは考えてもいいからというような話は耳にいたしておりますけれども、どこまで信用が置けるか、問題はなかなかそう簡単には考えられないように思います。私どもとしましては、とにかく戦前は千万石以上朝鮮の米に依存をして来ておつたわけでございますから、やはり将来の日韓間の親善関係を尽して行くためには、そこらに改善打開の道がはかられなければならぬと思いますけれども現状ではとうてい問題になり得ない。量も、昨年南鮮は非常な豊作だといつて、余剰米がどのくらいかといえば十万トン、十万トンといえば六、七十万石でございます。その程度のものではこれも問題になければ。しからば中共の方はどうか。昔から南京米の相場はきまつておる。ただしかし日本がいろいろ支那を開発しておつた当時に、内地米を移植して、あそこに相当の植栽をしておつた。それが今日まで続いておる。どのくらいそこに通常に日本あるいは外に出し得る力があるか、これは私どもには皆目見当がつきませんけれども、二万トンがどう、だ、一万五千トンがどうだ、三万トンがどうだというくらいのところで話題が出る程度でございまして、今日の百万トン以上の問題からいえば微々たるものでございますがしかしながら、何といつても北支米は準内地米として扱えるわけでございますし、私どもとしてはこれらが入つて来ることを非常に希望いたしております。しかし今の話にしましても、中共との取引関係がバーターとなる。そうすると米を入れれば肥料、硫安、硫安の方は国内の需要はどうだ、国内の保留分はどうだ、輸出余力はこれだけしかない、だから簡単に、それでは米を買いたいから肥料を持つて行くという直線的な解決ができません。それらを勘案しつつ、しかしながら私どもとしてはできるだけ近いところから手に入れることができれば幸いだという考えで、その点は別に中共だからどう、朝鮮だからどうというような考えは持つておらないのであります。
  87. 徳安實藏

    徳安委員 農林と厚生両次官覚書によります配給基準ですか、これによつて配給されます場合に、非常にパーセンテージの高いものと、それから純白のものと混合して配給されるというぐあいになるのですか。あるいは非常にパーセンテージの高いものはもう全然配給しないということになるのですか。長官からちよと聞きたいと思います。
  88. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。この厚生省のおきめになつた限度内で配給するわけでありますが、御承知のように現在の配給は内地米何日、外米何日、準内地米何日、こういうことで配給計画を立てておるわけであります。外米の場合におきましても何日は外米を幾ら配給する、こういうふうに小わけしております。見方によりますと、これをもとからまぜるというふうなしろうと考えも行われるわけでありますが、これは厚生省からわけないで別個にしてほしい、こういうお話がございますので、そういう形でやつて参りたい、かように考えております。
  89. 大上司

    大上委員長代理 徳安君にお願いいたします。持ち時間の十五分がもうすぐ参りますので、簡潔に願います。
  90. 徳安實藏

    徳安委員 もう二、三点ですから。そうしますと、二・五パーセント以上の黄変米を含んでおるものは全体の配給から除く、それは配給しない、そういうことですか。もしそうだとすれば、きよう参考として示されたところによりますと、その量が現在四万トンくらいあるようでありますが、その四万トンくらいの仕入れ金額と、それからそれが今度あるいはみそとかしようゆとか菓子とかいうものにつくられます場合とを比較いたしましたときのその差額、これは一体およそどのくらいの金額になりますか。
  91. 前谷重夫

    前谷説明員 その前に申し上げておきますが、われわれとしましてはこの対象の米につきましては再搗精を実施いたしまして、再搗精後にどういう含有量になるかということをさらに試験いたしたいと思います。その結果許容限度以上のものにつきましてはもちろん配給はいたしません。従いましてこれを他の用途に向けるわけでございます。たとえば米の価格から申しますと、みその場合にとりますと、大体六万一千円程度になります。昨年度みそ用等に売却いたしましたのが五万五千円程度でございす。五、六千円程度の差があるわけでございます。しかしこれは大量のものでございますし、またみそ、しようゆその他の用途の関係によりますので、どの程度損失になるかということは、これは具体的な売却計画を立て、そうしてやらなければ明確にならない思います。われわれとしましてももちろんこの売却にあたりましては入札なりその他公正な方法をもつて、そうして損失の少くなるようにこの計画を立てたい、かように考えております。
  92. 徳安實藏

    徳安委員 長官にもう一つ伺いますが、赤字を生じました場合に、赤字が一般消費者に転嫁されるのではないかというようなうわさが盛んに飛んでおるようでありますが、まさかそんなようなことはないと思いますけれども、この点ひとつ承りたいと思います。
  93. 前谷重夫

    前谷説明員 御承知のように米の場合につきましては統制をいたしておりまして消費者価格をきめまする場合にはそれに要した、たとえば保管料でございますとか、輸送賃、それから金利、事務費そういうものを石当りに検討してきまるわけでございます。赤字をこの要素に入れるということは考ておりません。麦につきましても同様にコスト計算をいたしまするが、そういう場合の赤字を消費者価格に転嫁するという方式にはなつておりません。われわれといたしましては他の面において赤字を解消するように努力することは当然でございます。
  94. 徳安實藏

    徳安委員 最後に大臣にもう一言伺つておきたいと思いますが、有害であるとかないという点については専門家にまかせるということはこれはお説の通りであります。しかし一般の国民は害があるとかないとかいうことよりは、今輿論が何でもかんでも毒を食わせられるのだ、さつき杉村君も言いましたが、そんなような気分で非常に恐れているようです。従つてりくつで言つて聞かしても、今のような新聞の書き方で見ますと、あるいはどこの県会が配給を拒否したとか、あるいは米の配給機関が取扱いを拒否したということが新聞に出ますと、一般の国民というものはほとんど恐れをなしているような現状でありますから、かりに厚生省でこれは害がないのだということを言いましても、おそらく今のままでは、ただそういうことだけでは配給すると言つたつて受け手がないようなことになるのではないかというふうに考えられるのですが、食糧事情は非常に逼迫もするし、足りないときにはそういうことはあり得ないかもしれませんが、しかしこわいこわいと思つておりますと、一切がこわいので、一ぺん子供に何か食べさして中毒でも起すと、あとはもう決して毒がないのだからと教えてやつてもなかなか食わないというように、国民が非常に恐れてしまつて新聞に書き立てますと、配給してこれは間違いないのだ、厚生省で見て、あるいは農林省と協議してこういうぐあいになつたのだから決して間違いない、毒がないのだから食べろと言つても、今の情勢ではあるいは配給を拒否したり、何かするのじやないか、そういうような場合にはよほど政府としては、万全の策と申しますか、手を打たなければならぬのではないか、いわゆる啓蒙運動も必要だと思います。そうではないのだ、安心して食べていいのだというようなことに対して何らかの手を打たれないと、この配給拒否ということは全国的に行き渡るのじやないかというように考えられますが、消費者のこういう気持に対して大臣はどういうふうにお考えになりますか、御所見を伺いたいと思います。     〔大上委員長代理退席、天野委員長代理着席〕
  95. 保利茂

    保利国務大臣 私も同様な点を懸念をいたしておるわけでございます。そこでこれは配給当局は私どもでございますし、私どもが啓蒙的なことを言いましても、それはお前は配給したいからそう言うと一言で片づけられればこれは意味をなさないわけなんです。そこで、先ほど私は申しましたけれども、とにかく公衆衛生、保健衛生のために食品衛生法がある。そうしてこれが厳正に行われておる。その発動によつていろいろな試験研究が行われる。いわゆる外米騒ぎについても、その科学的な研究の結果、ここまではいいのだという、これは科学者としての研究判断に基いておる。それに私どもとしては従つて参りますが、今お話のように何かたいへんなものを食わされるように思わせられている側からいえば、いや大丈夫だと言つてみたところで、それでは新聞がこんなに騒ぐわけはなかろうというようなことで、なかなか当局が理解を得るのに困難じやないか。それで私は、これは専門的な、技術者な、学問的な問題でありまする以上は、しかもその立場からこの問題が出ておりまする以上は、当局者に真に国民大衆に対して安心の行く解明努力を払つてもらわなければならぬと思うのです。そこで私どもとしましては、さらに今食糧長官も申しまするように、そうではありましても、再搗精その他によつてできるだけ引下げる努力を払つて、幸いにここ一、二箇月配給に困るというような実情ではございませんから、その間に右の点につきまして努力を払つていただきますならば、やがて私は消費者の方々の行き過ぎた不安は解消することができるのではないか、またぜひそうあつてほしいと考えておるわけです。そういう方向で努力したい。
  96. 徳安實藏

    徳安委員 これで質問を打切りますが、最後にもう一つ長官に伺つておきたいと思いますのは、先月ころまでは各区の米の配給所へ判と帳面だけ持つて行けば、外米は五升でも八升でも売つてくれたそうですが、今月になつてからぱたつとやんだということです。どこかに米を隠したのかあるいはそういうものをもぐりで売つてつたのか、国民は非常にふしぎがつておるようです。東京ではどこの配給所に行きましても、判を持つて行つて何か証明書を持つて行きますと、外米をどんどん売つてくれたそうです。今月からぴたつとそれがとまつちやつて、何と言つてもとめたそうです。そういう点はいかがでございますか。やみの問題解決、あるいは大体そういうことになつてつたのだが、こういう事情で今度やめたのか、事情があればひとつこの際承つておきたい。
  97. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。今回のために特別の措置をとつたわけではございません。従来から一定の配給日数従つて配給いたしておつた、ただ端境期の近づくにつけまして、やみ米等の取扱いによつて正常の配給が乱されることのないようにということで、従来から注意をいたしておつたわけでございまして、それは御承知のようにそういう点につきましてルーズな点があつたかと思いますが、従来からそういうことのないようにということは、配給団体に注意いたして参りました。しかし今回特にそういう措置をとつたという事実はございません。
  98. 徳安實藏

    徳安委員 それではこれでけつこうです。
  99. 天野公義

    天野委員長代理 吉田賢一君。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 だんだんこの問答を伺つてみますると、政府においては新聞とか輿論が少し神経過敏に、誇大に事実を宣伝しているかのような御説明が基本的になつておるように思うのです。これは私はもつてのほかだと思いますので、以下御質問しますから、ひとつあなたの方も率直に端的に、なるべく簡明に述べてもらいたいのです。  第一は、黄変米の数量を非常に誤つて政府は把握しておる、この事実を指摘したいのであります。本年の五月末現在における六月上旬の本委員会に対する政府資料によると、在庫黄変米が五万六千九百五トンであります。ところが一昨日提出した政府資料によると、昨年十一月三日から本年七月末現在までの黄変米の発見数量が十一万四千四百七十四トン、同期間における七月末現在の在庫黄変米数量が八万一千四百九十三トン、但しこれは県外搬出の在庫を含んでおるのであります。こういうように数字が非常に飛躍的に訂正されて来ている、こういう点から見ましても私はまだまだ大きな数量が黄変米として残存しているじやないか、こういうことを推測するのでありますが、いかがでありますか。
  101. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申します。これはただいまお話がございましたように、五月末において五万六千トンは間違いございません。ただ御承知のように、毎月相当数量が入港いたしております。たとえば六月中におきましても相当数量が入港いたしまして、その入港したものから検査にまわつてしばらくとめておいているというふうなものが、今二万八千七百トンあるわけであります。七月中におきましても同様なものがあるわけでございまして、これは現在入港いたしておりますので、時点によりましてだんだんに数字がかわつております。また同時にすでに検査の結果大丈夫ということでもつて配給いたしましたものもございます。つまり三パーセント以下のようなものは問題ないわけでございます。しかしこれも一応対象として試験にまわつている間におきましてはこれはとめてあるわけであります。
  102. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 長官にはつきり申し上げますが、七月になつてから入港したものが黄変米として指摘せられたといいますが、われわれの調査したところによれば、厚生省の出先機関の駐在員がサンプルをとつて、国立衛生試験所へ出して、しかる上に最終的に判定するのに、そんな七月に入つたものを七月に厚生省から食糧事務所の倉庫へ通知することは絶対ありません。あなたは何か間違つておるか、うそを言つているかどちらかです。
  103. 前谷重夫

    前谷説明員 七月の入港というのは間違いでございます。六月から七月に厚生省から通知があつたものでありまして、入港というのは私の間違いであります。つまりお話のように、厚生省の結果の通知が参りまするのが、五月までにはこれだけであつた、六月まではこれだけである、こういうことでございますので、入港という言葉じやございませんで、通知があつたということでございます。
  104. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはやはり聞違いなら間違いだといつてもらわなければ困るのです。あなたはそんなに強いことをおつしやるけれども、前の国会、つまり十九国会の最終における当委員会においてあなたへの質疑がいろいろありましたけれども、たとえば加州米についての黄変米は全然出ていない。ところがこの間私どもが名古屋に行つて調査したところによりますと、加州米が名古屋へ一月二十八日に三千四百何トンか入つておるけれども、全量黄変米という認定を厚生省からしておるのであります。ところがあなたの方は加州米というものは全然黄変米として指摘しなかつた。こちらに対する資料には出ておらぬのであります。そういうものが新たに発見されておる。私どもは資料をちやんと持つているので、資料に基いてこれを申し上げているのです。だからもしあなたの方の資料がずざんであつて、間違いであつたなら間違いであるということをひとつはつきりとお認め願いたい。
  105. 前谷重夫

    前谷説明員 加州米につきまして申し上げますと、一月の二十八日に入港をいたしました。しかしこれの決定があつたのがたしか六月の八日か九日かその時分でございました。従いまして、先般申し上げましたときには、まだ通知が来ておらないわけであります。
  106. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は加州米を例に申し上げたにすぎないのであつて、その他たとえば神戸、大阪における在庫の黄変米の通知は出ておらぬのです。あなたの方で本日この委員会に提出した資料の中には出ておらないのですが、それは現地に行つて調査をいたして来まして、厚生省の通知を見ているのです。厚生省の国立衛生試験所の最終の検定も見ておるのであります。でありまするから、要するに全体をもつと詮鑿すれば、数量がなおふえる可能性がある、出しておられる数字は相当これは問題である、こういうことは言い得ると思うのです。不正確であるということは言い得ると思うのです。あなたはほんとうに正確だと言いきれますか。
  107. 前谷重夫

    前谷説明員 これはひとつ御了解願わなければいけませんのは、現地でお調べになりますときにおきまして、現地においては現地の監視員がしばらく配給停止を……。
  108. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 手続の順序は知つておりますから、省略してください。
  109. 前谷重夫

    前谷説明員 しかし現実には厚生省検査の結果、通知して最終的に確定いたすわけであります。ただ日時の関係で数字の変動はございます。これはもう御指摘の通りに日時の関係における変動はございます。しかしこの前申し上げました数字は、そのときにおける通知の数字、それからただいま申し上げましたのは、その全部の数字ということで、変動はございますし、その後において解除になつたものもあるわけでございます。
  110. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはあなたと今短時間においていろいろな資料に基いて問答しますと、時間をとりますから、なおひとつあなたの方の出しておられる資料によつて検討してみてください。私がこれを聞くゆえんは、かくのごとくに正確な数字が把握できない、結局ずさんなことになるというゆえんを言いたいからであります。たとえば第一にサンプルが非常に不正確です。なぜかといいますと、たとえて申しますれば名古屋ですが、名古屋は大体一月から五月十八日まで六万一千六百トン入港しておる。ところがそのうちで二万九千トン、つまり約五割が黄変米という通知を受けておる。半分です。ところが大阪においては、同期間におきまして十八万六千トン入港しておるが、そのうちで十二トンしか黄変米がない。十八万六千トンの入港の輸入米のうち十二トンですよ。名古屋は六万一千トンのうち二万九千トン、五割、こういうことになるわけです。でありますから、これは要するにサンプルのとり方が、厚生省の駐在員の恣意によつてなされておると思うのです。何も正確に全部やつておるのではないのです。こういうところから来ておるのです。神戸のごときも同様です。八万四千トンの仏印米が入港しておるのですが、そのうちで黄変米が七百八十三トン、こういうことになつておる。これも名古屋とは非常な相違であります。こういう点から私ども推定すると、昨年の会計年度における外国輸入米全部で百四十五万余トンになつておりますが、そういたしますと、もし精密に名古屋のごとくこれを検査いたしましたならば、七十万トン以上は出るのではないか、こういう推定すらできるのです。たいへんなことです。大臣の御所見はいかがですか。
  111. 前谷重夫

    前谷説明員 ちよつと事務的に申し上げますが、確かにサンプルの問題の点については検討を要すべき点があると思います。これは厚生省におきましても、どういうサンプルをとるかということの検討はなされておるはずであります。ただ、現在の技術的な段階における最善のサンプルをとつておるわけでございます。
  112. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣答弁をなお重ねてお聞きしたいのですが、今長官の答弁がありましたので重ねて申しますが、現在の技術的な段階における最善のサンプルをとつておるということはもつてのほかであります。なぜならば、たとえば大阪と神戸で、大阪は十八万六千トン、神戸は八万四千トン入港しておる。ところが厚生省の駐在員、つまりサンプルをとる人が大阪にはいないのです。神戸の人が兼任しておる。これは御承知かどうかしりませんが、かくのごとき状態の場合に、現在の段階において最善を尽しておるというそんなことは、食糧管理の主管庁としては言えません。サンプルをとる問題はともかくとして、食糧管理の主管庁の大臣であるあなたはいかがですか。こういうような非常にずさんなサンプルのとり方が行われておりますので、ところによりましては五割の黄変米が出ており、ところによりましては大阪のごとく十八万六千トンに対して十二トンしか出ていない、こういうふうに非常にむらになつております。これはどうしたことですか。そこで、たとえば名古屋のごとく厳密に船ごとに、倉庫ごとにどんどんとサンプルをとりましたならば、こういうような数字が出るのではないか。はたしてそうであるならば、日本全体の輸入量と比べまして、たいへんな黄変米ということも想像することができますが、これに対する御所見はいかがですか。
  113. 保利茂

    保利国務大臣 私がないと申しましても、あり得るということになればあり得るわけであります。
  114. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ですから、二つ答弁してくださればわかります。
  115. 保利茂

    保利国務大臣 私は思いますけれども、終戦後年々外米の大量輸入をして来ておる、色のかわつた黄変米というのはだれでも見ればすぐわかりますから問題がはげしかつた、その色のかわつたものを黄変米といつて騒いだわけですから、それは先ほど申しましたように、何とか入らないように、いろいろ協定上困難なこともございましたけれども、入らないように、また輸入管理の上からも入らないようにいたしたわけでございます。白い米に菌がついておるというのは、私は去年からついたものでもなかろうと思うのです。ただお話のように、今までは黄色い米を探すのに血眼になつてつた。今度は黄色い米がなくなつたから、白い米をやり出した。しかし入つてくるものの全部一袋々々調べておるわけじやございませんから、おそらくいかに食品衛生が厳重だといつても、それだけの力はないわけですから、しからば百四十五万トン入つた中にどれだけあるかということは、何人も良心的にお答えはできないと思います。ただしかし、私どもとしては、その南方な米が日本だけに入つて来ているのじやない、世界中の国に流れて行つておる。また従来も入つて来ておつた。ただ日本のそういう研究が進んでいて発見をされたということになるのじやないかと思うわけですが、しかしそれもまだ研究が、十分積まれていない。一体どこまでが人体に障害があるのかないのか、しかしぎりぎり大事を踏んで、こういうところであれば心配はないであろうというのが、専門家研究判断によつて示されたところであろうと思うわけでございまして、これには私どもは十分に従つて行かなければならぬ、尊重して行かなければならぬということで、今の御質問は、私は吉田さん自身でもおそらく困難だろうと思う。いわんや百四十五万トンのうちに現実に幾らあつたか。今の抜き取り検査にしても、聞くところによれば、一船入つて来て何千トンかの船が積んで来て、そして三百粒か千粒を抜き取つて行つて培養実験をして、これを類推してこれはこうだと言つておるし、たまたまその抜き取つたのに菌がない場合もあるでしようし、ある場合もあるでしようし、これはどうも現状をもつてしては的確に幾ら幾らということを答え得る者は私はどこにもないというように思うわけでございます。それだけにむずかしい問題じやなかろうかと考えております。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私が大臣に伺いますのは、食糧庁及び厚生省におきましては、何トン黄変米があつたという報告を調べ、配給停止の措置をとられております。しかしながら、検定の手段、方法、過程におきまして非常に不正確なものが多いのであります。たくさん含まれておりますと、もつとたくさん出るのじやないか、出る可能性をわれわれは推定いたしますので、申し上げておるのであります。  そこで問題を転じて聞きますが、黄変米なりと厚生省所管当局が最終的に判定いたしまして、現地に通知すると、現地で配給をとめる、そのときすでに物全部が配給済みである、こういう事件も多数にあるのです。これは一体どうしたものでしよう。さつき申しました加州米がその一例です。本年の一月二十八日に入りました加州米は、名古屋では三千四十五トン受取つた。通知が来たときにはすでに全部配給済みなんです。同日またシャム米が千二百九十二トン、これも五月の中ごろには現品がないのです。言いかえますと、このように相当の期間検定に時間をとつておりまするので、入つて来てじつと持つておるわけに行かない。通知を受けて、とめようとしたら現物がない、こういう実例がずいぶんあるのです。言いかえますと、無検定の外米を、実は黄変米であるにかかわらず、国民に普通の適格米として配給した、うしろから見ればこういう事実なんです。これは一体どうしたものでしよう。
  117. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘の名古屋の場合のような事実があります。と申しますのは、これは弁解になるかもしれませんが、菌検定と入港との間には、先ほど申しましたように数箇月の差があるわけであります。しかも御通知いただきますのは、この船はだめだという通知だけでございます。従いまして時間的に見ましても相当時間がたちますと——つまりこの船は大丈夫だということではなくて、この船はだめだという通知だけでございまして、時間的に相当の時日がたちますと、これは大丈夫だろうということで配給をする場合が多いわけでありまして、これにつきましては、検定の迅速化が必要で、細菌培養をし、そうしてその培養の結果によつてでなければ判定ができないような方法ではなくて、他の迅速な検定方法をぜひひとつ研究していただきたいということを従来からもお願いいたしておる次第であります。
  118. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今の問題で大臣は、食糧の主管大臣といたしまして、国民に対したいへん申訳ないとお思いにならないのでしようか。すでに有毒米として同じ政府が最高の検定機関で判定いたしましたのに、実物はすでに胃袋に入つてしまつた、こういう事実でありますので、これはやはり食糧管理上、配給上重大な問題だと思います。大臣としてはどういう所感をお持ちにりますか。
  119. 保利茂

    保利国務大臣 事態をよく究明した上でないと私にもよくわからないわけですが、ただこれは、弁解に聞えてもはなはだどうかと思いますが、私の卒直な感じでは、従来白い米は問題にしていなかつた。それがたまたまその黄色い米のあまり入らない白い米を去年の十一月ごろから取上げてたわけで、実際の業務当局者も白い米についてはあまり心配しておらなかつたと思います。少くともこの三、四月ごろまではかような問題を心配する気配はなかつたわけであります。その間においておそらく御非難を受けるようなことがあつたのだろうと思います。その点もしあつたといたしますならばまことに申訳ないと考えますが、そういう事情であつたろうかと思います。その点については、これは率直に申訳なかつたと思います。今後は白い米にしても、とにかく国にそういう検定機関が検定をしておるわけでございますから、さようなことのないように十分気をつけて参りたいと思います。
  120. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣は、白い米であつたのでその間十分に手を尽されなかつたというようなお話でありますが、たとえば白い米にいたしましても、われわれの調査したところによりますと、本年一月十八日に、黄変米委員会におきまして、京都大学の井上教授がすでに報告しておるのであります。これはビルマ米であります。名古屋に入つたビルマ米によつて人体実験しまして、肝臓障害を起すという事実をすでに報告しておるのであります。公に浩酷な報告書が出ております。でありますから一月からわかつておるであります。ところが今問題になつておりますたとえば最後の八万一千トンは一月から後のものばかりであります。でありますから白いもので最近知つたということはちよつと逃げ答弁になつてしまう。やはり一月から学界の耆宿におきまして公表しておるのでありますから、こういうものを尊重して、食管の所管庁は最善を尽さなければいけない思いますが、どうですか大臣
  121. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの点でありますが、もちろんわれわれ十分注意いたさなければならないわけでありますが、ただいまの点の中で井上博士に御研究願いましたのは、やはり黄変した米について研究を願つたわけであります。その点は誤解のないよう御了承いただきたいと思います。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから本年新たに発見されました黄変米と現在貯蔵しておるものとの間に三万三千トンの差が出ております。一月から七月までに約十一万トンの黄変米を発見し、現在貯蔵のものが八万一千トン、それで三万三千トンの差が出ております。これ配給済みです。この配給済みというのは黄変米として配給したのか、普通の健康米として配給したのか、その処理はどうなつておりますか。
  123. 前谷重夫

    前谷説明員 先ほども申し上げましたように、検定の結果につきまして、相当の時日がかかつている。しかも検定につきまして、これがいいということでなく、悪い船の名前だけの通知がございますので、従来の配給計画に従いまして配給いたしました。その中には具体的にその当時といたしましては、厚生省許容限度内、つまり吉田さんのお手元にございまするように、そのパーセンテージはいろいろあるわけでございまして、範囲内のものを配給したということもございまするし、検定が事実問題として非常に遅れたために配給が済んでしまつたという事実もあるわけでございます。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 配給基準の変更の問題で少し聞きますけれども、十九国会の当委員会におきまして——これは去年から引続いておるのですが、去年の六月十六日の基準によりますと、輸入黄変米処理基準といたしまして、タイ国黄変米のみについて一パーセント以下を飯米として配給を認めておる。イスランデイア黄変米につきましては、痕跡の存在もやむを得ないが、しかしこれは配給しない、こういうことであつた。ところが今度厚生省農林省次官同士の覚書を見ると——大臣も承認されているそうでありますが、これによりますと、イスランデイアの黄変米も、要するにタイ国黄変米と同じように扱われているのです。あなた万のだんだんの御説明をお聞きしますと、学者の専門的意見に聴従するというような根本的態度であることをおつしやつておられる。学者の意見を聞くと、イスランデイア黄変米毒性研究過程にあります。まだ化学構成なんかも明らかにされておらぬ。こういう段階において、何を好んで、これをタイ国黄変米と同じような基準に混合してしまつて、そうしてそれが何パーセントなら配給さしかえなしというようなことを大胆になさるのでしようか。はたしてそういうことであるならば、もう少し学者の意見に聴従して、そういう意見を出さずに——角田さんおいでになつておりますから、角田さんにお聞きしたい。あなたの学者的良心で答弁してもらいたいのですが、あなたは前年度から御研究になつているが、イスランデイア黄変米は、今のような研究段階におきまして、漫然とタイ国米と同じ基準に扱われることになつておりますが、こういうことにつきましてあなたは御満足なさいますか。
  125. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘のように、一昨年におきましては、タイ国黄変米イスランデイア黄変米との間に差がある、イスランデイア黄変米の方が程度が高い、こういうことでございました。実はその経過を申し上げますと、その前の場合におきましては、むしろタイ国黄変米の方がきつくて、イスランデイアの方が毒性が弱い、こういうのが通説でございましたが、だんだん研究されましてそういうことになりましたが、同時に、本年度におきましての学者間の通説では、毒性程度というものは、タイ国黄変米とイスランデイアとは同様であるというふうに、同じ程度のものであるということを私は聞いております。
  126. 角田廣

    角田説明員 去年の春には、タイ国黄変米は一パーセント、イスランデイアは痕跡、こういうきめ方をやつたわけであります。今年の五月にまた研究している者が全部集まりまして、そうしてどのくらいにしたらよいかということをきめたのであります。それで各所のレポートを持寄つて、大体両方とも同じ線で行つていいんではないかということになりまして、それでは大きな差をつけておくのも不便であるから両方とも一パーセントにしよう、そういつてこの五月に両方とも一パーセントを配給限界にする、こういうふうにきめたわけであります。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 毒性については厚生省の方に聞きましてからあらためて聞きます。  それで聞きますが、最近きめた覚書に基いて、配給するのは再搗精して皮をむいて、なるべく毒性を少くするというような御説明も実はあつたわけであります。しかしながらそれとても、幾らか皮をむくというようなことではどの程度安定度が高くなるか疑問であります。またあなたの方も学者とか専門家にたよるという態度でありますが、これとてもそんな正確なケースに基くものではない、こう見るのです。そこでそういうふうに考えて参りますと、今貯蔵しております八万一千トンのうち、政府の資料によりますと、このうち二・五パーセント以上毒を含有しているものは四万トンを越えております。だから約半分になつております。そうしますと、大体国民は月に一回こういう危険米を食わなければならないというような危険にさらされていると思うのであります。これは端的に申しますと、幾らか搗精するということによつて、学問的、専門的にははつきりしないけれども、とにかく常識的に少しはよくなるであろう、こういう見込で、国民八千五百万を一種の人体実験をするというような結果になるのでありますが、こういうようなところに置かれているのであります。私は言いますが、そういうような危険なことを進んでなさらずに、東京におきましても今年一ぱい外米配給量があり、大阪もあるのでありますから、当分の間今の黄変米配給しない。九月まで冷却期間を待つて配給するというようなことが新聞報道されておりますが、四万トンからのそういうひどい有毒米配給しないようにすることが、政府として責任のあるほんとうに良心的な態度ではないかと思います。国会に対しまして農林大臣がとやかくの弁解をするよりも、過去の面子にとらわれず、最も国民の健康を守る方向に進まなければならぬので、こういう危険な人体実験をするようなことはしないで、配給しないという態度をとつてはいかがでしようか。
  128. 保利茂

    保利国務大臣 私は配給当局者として、人体実験をするなんというような、そういう考えで事を処理しようという考えは毛頭ございません。お話のように、だんだん事情を明かにいたしましても、まだ実際問題として黄変米の問題は、学問的にも専門的にも研究の過程に置かれていると思います。しかし、だからと申してわれわれは、研究が済まないうちはというようなことで、不遜な考えで事を処理しようというような考えは持ちません。研究の段階で許容限度を逸脱して問題を処理するというような考えは毛頭持たないわけであります。従いまして、二・五パーセント以上のものを、かりにいかに大量入つて参りましても、その分を配給いたすというようなことは断じていたしません。それはなすべからざることであると存じます。ただしかしながら、再搗精をやつて、どれだけ含有量を減らすことができるかというようなことも、それはまた事実やつてみなければわからぬことでございますから、それがあるいはちつとも減らないかもしれませんし、あるいは減るかもしれませんので、そこらをこの一、二箇月の間十分手を尽しまして、とれるだけの手段を尽しまして、現在の研究過程の中においてさしつかえないという専門機関指示によつて事を処理して参りたい、かように考えておるわけでございます。
  129. 天野公義

    天野委員長代理 吉田さん、三十五分たつております。あとに質問者がおりますから、簡単に願います。
  130. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もう一、二点させてください。今あなたの方で終始一貫するところは、専門家にたよるというように見えたのでありますが、同じ専門家におたよりになるなら——やはり京都あたりで人体実験をしまして、すでに肝臓の機能障害を起しているというような顕著な報告もあり、学界にも報告されているのであります。そして今度次官覚書によつて見ましても、次官覚書を作成する前提としまして、政府は学者の意見を聞いたこともないらしい。あとでいろいろと協議やつたらしいけれども、意見を徴するだけであります。こういう態度でありましたなら、やはり既成事実を合理化いたしまして、そうして配給にとやかくりくつをつけて、国民を瞞着するというような印象を受けます。大臣は高級役人でありますから、食糧問題についてはそんなにお困りにならぬかもしれません。しかしながらもしこれがそんなこまかい。パーセンテージなんかでかりに配給するといたしましても、搗精したのだから大丈夫だといつてなさつても、やはり国民の受けております心理的影響のために、配給する米はおそらくはやみで特殊な階級と特殊な地域に流れてしまうと私は思う。それは普通の生活能力がない人々が、モルモットのような被害者になるのじやないかとおそれるのであります。だからそういうところにほんとうに心を置いていただかぬと、私は政治がないと思う。あなたのお気持は、何も人体実験するつもりはない、国民をモルモットにするつもりはない、それはごもつともです。大臣はそういう人とは思いませんが、結果において社会はそうなるのであります。でありますので、そういう点につきましては、やはりほんとうに学者の意見なんか尊重されるということであるならば、事前にしなければいかぬ。済んでしまつてからするとかいうことではいかぬ。あるいは京都で人間が顕著な肝臓障害を起しておる。岡山の医大なんかでも発表しておる。そういう事実がありますから、そういう事実を尊重しなければいかぬ。角田氏はここで良心を偽つたようなお言葉があつた。そういうことではいかぬ。学者というものはそんなものかもしれませんが、私ども国民の健康をほんとうに守るということであるならば、学者の意見を尊重するなら尊重するで、ほんとうに尊重してもらいたい。そうして可能な範囲はつきりするまで待つようにしてほしいと思う。  なお続いて聞いておきますが、これによります国損は莫大なものとなると思うが、一体長官はそういう計算をしたことがありましようか。今学者の意見の尊重ということで大臣の所見を伺うのですが、徹底的に尊重されるなら、そういう悪い信号の出ておる例もあります。学者は一斉に反対しております。でありますから、そういうことをほんとうに尊重なさつて、再搗精というような常識の手を打たずにおやりになつたらいかがか、こう思うのであります。
  131. 保利茂

    保利国務大臣 角田君が良心的に答弁ができないかどうか、私は先ほど角田君に聞くのですけれども、一体この実験がどういう方法によつて行われるか。私は先ほども、しろうとだから、そんなできもしないことを言うべきじやないだろうと遠慮したわけですけれども、一体五〇パーセントとか一〇〇パーセントとかいうような黄変米がどこにあるか、実際大量にあつたとして、通常入つて来ている中で五パーセントとか六パーセントが一番多いところじやないか。(「ノーノー」)そうすると、かりに一パーセントで入つている場合、実験をした場合にどれだけの障害、影響を与えるか、二パーセントの場合はどうか、三パーセントの場合はどうか、しこうして二・五パーセントならばかくかくであるから安全であるということが出されて来ておれば、私はこれは何も問題ないと思う。ただしかし上の方で、最も危険なところで実験が行われて、安全率を見越して二・五パーセントでよかろう、一体こういう取り方がいいかどうか、これは私は専門家でございませんからわかりませんけれども、しかし実際現在とめられているところの黄変有菌米の処理をするにあたつては、そのとめられている米が通常一体どういう含有量を持つているか、それを食べた場合に、人体にどれだけの影響を与えるかという実験研究をどうしてもやつてもらわなければならぬ、またやる必要が科学者にある、責任があると私は思うわけです。しかしそういうことはそう急にはすぐにできそうもない。できそうにもなければ、一体何をよりどころとしてわれわれは有害無害を境として行くか。それは研究の現段階において一応指示せられておるあの基準を守つて行くということが、私どもとしてはとにかく大事なことじやないか。ある場合においてはこれは国際的な研究にもまたなければならぬかと思うわけでございますけれども、そういうわけで二・五パーセントはどこでそれを押えたかというようなことについても、まあまあ安全率をはかればこんなところというような程度で、研究がまだ十分積んでいるとは思われませんけれども、それではそういう形で消費者配給をして——私が何か配給米を食べないようなお話でございますけれども、私も実は配給によつて食べておるのでありますから、そんなことは言うまでもないことでございます。とにかくこれは全体の国民食糧保健を守つて行く目的で入れているものでありますから、それの目的をはずれて、国民食糧あるいは保健に有害的な措置をとるというような考えは、私には毛頭ございませんことを申し上げておきます。
  132. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に伺つておきますが、これは何といたしましても、食糧行政の主管庁の大臣といたしましては、絶対に黄変米は入らぬという最善の措置をとらなければいかぬと思う。それは学問的にいろいろな異論があるかもしれませんけれども、私は食糧行政の主管庁といたしましては、絶対にその責任があると思いますから、これに対しては、私自身は案がありませんけれども、あなたの方はいろいろとなさねばならぬと思います。たとえばそれにつきましても、輸入制度なんか根本的にかえる必要があると思います。今の現状なら百年河清を待つようなものだろうと思う。ことにこういう状態で行きますと、これは経済的にも、健康の面からもだんだん脅威が増して行くんじやないかとさえ心配します。でありますので、今のような商社輸入制度につきましても、独占の過程にありますから、再検討する必要がないだろうか、あるいはまた今のような無力な輸入機構というものも根本から改正いたしまして、監督をもつと徹底さす必要があるんじやないだろうか、こういうことも考えられますし、もちろん検査研究機関の充実とか、あるいは外交折衝をもつとやらなければいかぬと思います。外交と食糧行政とは出先において一本になつておりません。時間がないから言いませんけれども、そういう例もあるのであります。また綱紀をもつと粛正しなければいけません。信賞必罰ということをよく言われるのでありますけれども、口だけでなく、はつきりしなければいかぬと思います。あるいは厚生省農林省と両方研究所を持つているけれども、先般来質問の問題にもなつておりましたが、いろいろな機関が不統一になつている点も、国家全面から見てこんな大きな問題と取組んで行く面から実に遺憾だと思います。要するにこの黄変米を輸入しないということ、これを抜本塞源的に解決することをあなたは全責任をもつてやる責任があると思う。今日までの問題につきましては、最善を尽したかどうか知りませんけれども、不可抗力でもなく、天災でも台風でもないのですから、やはり人為的ないろいろな欠陥、制度上の欠陥もあつたと思う。そういう点につきましても、やはりこの際は謙虚に国民にわびる態度をもつて臨まなければいかぬと思う。厚生省責任を転嫁したり、あるいは学者の方に怒つたり、あるいは新聞や輿論がけしからぬというようなことを言つたり、そうして私の方は最善を尽していますという態度に終始しております。私はもつと時間があつたら責めたい。国民はあなたのようなこまかいことを考えていません。素朴です。率直です。有毒米を食わされるというような、そういう恐怖です。この間あつちこつち歩いてみましたが、外米の売行が激減しております。それは恐怖感から来ている。国民に恐怖感を与えて何の食糧行政がありますか。こんな点に対しまして主管大臣としてはほんとうに責任をお感じにならないといかぬと思います。それだけ御所見を聞いて質問を打切ります。
  133. 保利茂

    保利国務大臣 弁解をいたしますことは、決してこの問題を改善するものでないと思いますから、弁解はいたしません。最善を尽して参りたいと思います。
  134. 天野公義

    天野委員長代理 安井大吉君。
  135. 安井大吉

    ○安井委員 私は簡単にお伺いいたしたいと思います。それは二十七年の一月から十月までにビルマから入つたもののうち、一一パーセント平均の黄変米が輸入をされております。さらに二十七年十二月から二十八年三月においてはビルマより二〇・二五パーセントという高度の毒素を持つた黄変米が輸入されております。かような毒素のものがまだ細菌の検査も行き届かないで、もつぱら都会へ向つて配給されておるというようなことを、ちまたに聞くのであります。これは今の保利農林大臣の時代ではなかつたかもしれぬ、当時の検査がいまだ行われない、あるいは未熟であつてわからなかつた。遂にそれが配給されたというのであるがその真相はどうであるか。さらにはこの配給は国税をよけい負担しておる都会がたくさんの税を出して米を買う、買つた米は生命を虫ばまれるような毒素である、すなわち担税力の多いところほど黄変米を食わなければならないというような矛盾した結果を招来しておるということがある。この配給のルートに対して一体どういう心持を持つてつておるかという点であります。とにかくも吉田内閣黄変米配給しておるという声が、何としても新聞、ラジオによつて天下に報道されたような形であります。この場合において、なるほどだんだんと買い方もうまくなつたでしよう、監督もよくなつたでしよう、商社に対する監督も行き届いたでしようが、なおかつこういう状態を依然として続けるということは、日本の国税を負担する国民がまた再びこれを食べなければならぬという点から考えて、何としてもこれははつきりいたさなければならぬ問題であることは申すまでもなく、さいぜんから委員の諸君からたいへん熱心な御質問があつたのでありますが、とにもかくにも国民が幼稚であつて、これは毒になるかならぬかまだ知らない、つまり未知の間に、ただ黄変米といえば、幾らの毒であろうと、黄変米と名のつくものは排除しなければならないという観念が国民の頭を支配しておると思うのであります。従いまして食糧配給する政府農林大臣は、これに対して適当な——こういうルートで安全である、また諸君からとつた税金はこれだけの損害があるが、黄変米はどういうような処分方法行つておるから、国に対しての損害はこうしてやつておるといつたような、この取扱いに関するてんまつを世間に発表して、国民の安心を買う方策は何としてもこの際とらなければ、乗ぜられて、いわゆる内閣黄変米を配つておる内閣であるといわれるところにはなはだ遺憾の点があるのであります。従つてそれは厚生省であろうと、農林省であろうと、両省であろうとも、共同して国民が安心して食膳に上せ得るような方針をとつて政府が蒙を啓発する必要があると思う。こういう点についてひとつ大臣はすみやかに声明を出して国民に御心配はない、この程度であるということを発表して安心させる御意思があるかどうか。またこの米の配給に対してはどういう配給にして、税をよけい出す都会だけが生命を虫ばまれるというようなことは全然ないという事実を明瞭にしていただきたい、こう思うのであります。
  136. 保利茂

    保利国務大臣 前年来問題になつておりました黄変米処理に関しましては、食糧庁長官からいさい申し上げるようにいたしますが、ただいま問題になつております滞貨中の黄変米の取扱いにつきましては、私も同様に考えております。ただ私といたしましては、国会でかように申し上げておりますことは、良心的に申し上げておりますから、あらためて私の考えを別の方法によつて出すという考えはただいまのところはございませんけれども、ただ私が何か毒であると学者が言つても、毒ではないとさからつておるようにお耳ざわりの方もあるようでありますけれども、有害なりや、無害なりやという判断専門的、学問的でなければできないのではないか、そのことは国の機関として国民保健衛生を守る食品衛生法の管理当局である厚生省が、どう判断基準をつくられるかということにかかつておるわけでありますし、今日考え得る最善の処置といたましましては、この国の研究判断機関である厚生当局の意見を十分に聞いて行くというほかに、私としては実はとりようがないわけであります。ただしかしそうでありましても、なお今日滞貨いたしております分を再搗精等によつて、さらに有菌率を引下げて行くことができるとすれば、多少の国の経費は払つても、私は尽すだけの処置を尽して、しかる上に処置すべきものであるというように考えているわけでございます。実際お説のようにほとうにその害があるならある、害がないならないということを、私どもとして申すにいたしましても、その基準というものは結局厚生当局から示されたものを申し上げるほかないわけでございますし、その点につきましては、さらにまた今後当委員会の御審議もあるようでありますから、あわせてひとつ御協力をお願いいたしたいと思います。
  137. 安井大吉

    ○安井委員 大臣お話はよくわかりましたが、厚生省に委嘱するという点について絶対悪いと申すのではないのであります。ただその検査が長きは百五十日に及ぶということで毒素米をかかえてさらに毒を国で養うという結果を招来する。従つてこの検査厚生省に委嘱するならば、もつと力のある、もつと組織を拡大して、もつとすみやかに是非善悪をきめるだけの組織をつくつて行くということが必要である。この間農林省行つてみますと、一年にわずかに十万円の研究費だ。費用が十万円で技術者が二人しかいないで、こういうような検査をし、また厚生省もやつている。これは一貫した政府の政策としてははなはだ遺憾であると思う。このときこういうような問題に当面して、厚生省検査がほんとうに金科玉条である、こういうことにまで国民が納得するような組織を、農林省厚生省とが相寄つてやるのが政府の施策である。そのことが必要である。これが国民を安心せしめるゆえんであると思うので、こういう米を買つて損をするよりも、そういう研究費をすみやかにやつてこうするとか、将来の米に対してはこうするとか、とにかく今持つている黄変米をこういう処置をしたい、将来はこうしたい、買い方はこうしたい、商社はこうしたいといつたような、将来に対する何か明るい見通しがなければ、ただ黄変米は毒だ、二パーセントはいい、一パーセントはいいといつたような争いに終つてはほんとうの解決ではない。国民食糧政策としてはまことに隔靴掻痒の感があると思う。従つて農林省があげて厚生省に依存するならば、十万円をあげて、食糧については厚生省に一任する大試験場をもつて、ひとつ権威ある組織をもつてつてもらいたい、こういうことを希望せざるを得ないのであります。かくすることによつて国民は、ああ黄変米というものは別に心配ないのだという安心を得るものであるから、大臣としてはどうか金をとつて研究費を——厚生省なり農林省なりどつちでもいい、ほんとうに真剣な組織をもつて国民の納得するような試験機関を完成してほしい。そうして黄変米をどんどん配給してもさしつかえないようにしていただきたい。一つ農林省がたくさんの金を出すけれども、来た船が五五パーセントも黄変米であれば全部黄変米だといつても、米が足りぬから食糧政策として買う。検査厚生省でぼくらは知らない。それは毒であるというからやめましたでは、政府の政策としては国民に対して発表できないことであると思うのであります。ことに時局柄いろいろな宣伝、デマがあつて黄変米はもう拒絶しようとか、これを食う者はみな肝臓、腎臓病に冒されるとかいう宣伝がある、こういうような際であるから特にひとつ大臣は。この際根本的な一つの方策なり発表をして。国民に安心させるようにしていただきたいことを希望しておきます、
  138. 保利茂

    保利国務大臣 御所論はごもつともでございます、ただ安井さんにあるいは誤解があるかと思いますが、農林省が衛生試験所に検査を委嘱しておるというものではごごいません、そこは誤解もございませんでしようけれども。御承知の通り食品衛生法の発動で。当然法の運用によつて職能的にやつておるのでございますから。従つてまた私はそういう食品衛生という国の機関はこれは別としまして。農林省研究所でこれをやつたらどうか。これも根本的にはあろうかと思います。ただ当面のわく内で研究をし、そうしてそれを心配ございませんと申してみたところで。それは私は抜本的に誤解を解く処置にはならぬと思つております。食糧研究所はいかにして国民食糧困難な場合に、どういうものを食糧として利用し得るか、あるいわ食糧の能率的な利用というようなことについて、もつと大々的に研究を積まなければならない、研研究機関として整備して行かなければならぬじやないか。今日の食品衛生法の研究機関というものは、おのずから今日ある形を強化して行くということで行くべきではなかろうかと考えておるわけでございます。私どもとしましては、それが実際に合つておろうと合つておるまいと、とにかくいずれにしても消費者に非常な不安をかもし出しておるわけでございますから、あらゆる努力を払つて消費者の御不安のないような措置をとらなければならぬということにつきましては、全然同感に考えておるわけでございます。さように努力をいたしたいと思います。
  139. 安井大吉

    ○安井委員 今御質問申し上げましたうちの配給の点ですが、東京なんかよけい食べなければならぬ、大阪はよけい食べなければならぬというような点で、都会人だけが脅威を強く受ける不安、これはどういうふうにお考えであるか。
  140. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げますが、昨年の状態でございますと、御承知のように、外米配給するのは消費県、こういう形になつておりまして、いわゆる生産県に対しては内地米だけ配給するということになつてつたわけでございます。これが二十八年度産米の不作にかんがみまして、生産県にも外米を食べていただく、こういうことを六月から実施いたしました。その余分の内地米は消費県にふやす、こういう措置をとつているわけでございまして、われわれ食糧配給の者といたしましては、全国的な視野において考えて行く、特に一定地域にだけあるからそこにだけ食べさせることのないように、配給計画としては十分細心の注意を払つてまべんなくやろうと思つております。
  141. 天野公義

    天野委員長代理 山田長司君。
  142. 山田長司

    ○山田(長)委員 二、三伺いますが、最初の問題につきましては、大臣でなくて係の者でけつこうでございます。  まず黄変米の前の払下げについては、昨年十月ごろ国会の本委員会において言われたと思うのですが、そのときに日本糧穀会社に払い下げた黄変米が、買つて来た価格は一石一万四百円であつたが、それを四千六百円で払い下げた。それで東洋醸造に払い下げた黄変米が和歌山、大阪、京都、神戸、広島愛媛、この二府四県に黄変米で、しかもしようちゆうをつくるということで払い下げられたものが食糧として配給をされて、これが和歌山で配給ルートに乗せておるうちに、違反にひつかかつて裁判事件が起つた。この当時この問題の結論は、一応一人の犠牲者を出して、その仲買人的役割をした有働一夫という人間はひつかからなかつた事件があるのです。このときに私が質問いたしましたら、どなたか今記憶はないのですが、今のところこの黄変米についての病的被害者はないという答弁つたのですが、その後も病気にかかつた者がないかどうか、その後の様子を知つていたら教えてもらいたいと思います。
  143. 前谷重夫

    前谷説明員 この点につきましては、先般のは、二十六年に入りまして二十七年に処分いたしましたものですが、この際はわれわれの承知いたしておりますところでは、それによつて病気を起したということはないように聞いております。二十七年度に入りまして二十八年度に処分いたしたものにつきましては、当委員会の御意見もございましたので、実需者に対しまして府県を通じまして正確に配給いたしたわけであります。これにつきましては、他に横流れをしたというようなことは承知いたしておりません。またこれによる被害というものは、われわれといたしましては厚生省に聞きましたが、具体的な被害があつたということは承知いたしておりません。
  144. 山田長司

    ○山田(長)委員 もし大臣が知つておりましたらこのことについて一応御答弁願いたいのです。実は本年の一月二十八日の本会議でわが党の高津君が、この黄変米調査をしておる東京地検の検事が次々とかわつておるということについて質問したときに、これには全然関係なくて転勤をさせられているんだ、こういう答弁を犬養さんはしたと思うのですが、しかし犬養さんでなくてあなたがもし御承知ならば御答弁願いたいと思うのです。実は東京地検の木村治という検事は、この黄変米の横流し事件について取調べをしておつた。実は私は去年の六月木村という検事に会つたのです。その後九月になつたら富田という検事にすぐかわつてしまつた。さらに十一月になつたら検事がかわるということで、半年もたたないうちに三人も検事がかわつておる。これは検事のことですから、あなたにあまり関係はないことになりますが、とにかく取調べていたことは黄変米のことなんです。ですからもし何かその後あなたにこれに関連のある情報が入つてつたならば、一応ここで知らせてもらいたいと思うのです。
  145. 保利茂

    保利国務大臣 私も高津さんと犬養法務大臣との問答は聞いておりましたけれども、それだけでございまして、その後そのことに関して何も耳にいたしたことはございません。
  146. 山田長司

    ○山田(長)委員 実はその問題はいまだに結論が出ていないのです。しかし私はそのことをさらにあなたに尋ねようとはしません。  次にお尋ねしたいことは商社の問題です。輸入商社はビルマにおいて三社、タイにおいて八社というふうに限定されて、これらの人が米の買付をやつているようですが、どうもしろうとのわれわれにはどうしてこの三社及び八社にだけ米の買付をやらせておるのか。それから話を聞いておると何か農林省が商社にばかにされているんじやないかという印象を非常に私は強く受けるのです。こういう点について農林省はもつと商社に強く、三社や八社にだけたよるのではなくて、何か案がないものかどうか、大臣これについて何か知つておるところがありましたら……。
  147. 保利茂

    保利国務大臣 実は私は商社の問題につきましては、自分で直接会つたりなんかしておりませんからよくわかりません。ただしかし聞き及んでおりますのは、商社が多過ぎてかなり買付競争をやつて、必要以上に値段をつり上げる、それは結局弱い商社が多くて、ためにそういう結果が出る。そこで合理的な買付をするには、どうしても経験のある商社を選んでやるようにしなければいかぬじやないかということで、一両年前にかなり大幅の整理をして、ただいまお話のように、おそらくタイ八社、ビルマ三社ということになつておるだろうと思います。私の承知しておりますところでは、タイよりもビルマが非常に少いのは、ビルマとの関係はほとんど政府協定の買付になつておるし、タイには相当自由買付の分もあるからということで、商社の数がそういうふうに違う、また従来の商社の取技いの実績からもおそらくそうなつておるだろうと思います。ただ、これが輸入をいたしておる上にいろいろな不利益をもたらして来ているのじやないかということは、昨年来当委員会でもかなり御意見が出ておりますわけですから、私どもとしましては、できるだけ合理的に買付をして行かなければなりませんし、従つて商社の整理後ある期間経過を見まして、かえなければならないというものについては、躊躇なくかえて行くという態度をとつて研究するようにということで、食糧庁でも現に内部に委員会等も設けて、この合理改善の方途について研究もいたしておるわけであります。たまたま最近輸出増進策から、日本の商社が全体として脆弱過ぎる、どうしても貿易商社の強化をはかつて行かなければ、輸出の増進ということは期待できないという観点から、商社の整理統合も漸次行われつつあるようでございますから、彼此勘案をいたしまして、商社問題については対処いたしたいと考えておるわけでございます。ただ、米の取扱いをおれたちがやればもつと有利にやるのだということで、二、三お見えになつた方はございます。第三国筋あたりから特にそういうことがあるわけでありますけれども、これはどうもそう無条件で信頼していいものかどうか、私どもとしてはなかなか躊躇する場合がありまして、そういうことを一切聞き流しております。なお具体的には食糧庁長官からお答えを申し上げます。
  148. 山田長司

    ○山田(長)委員 契約についてちよつと伺いたいと思うのです。去年の十月ごろの当決算委員会つたと思うのですが、もし契約をして米を積んで来た場合に、それが内容的に非常に悪い品質のものであつた場合には返すのだということを言われた記憶が、今私は残つておるのです。このことについて、何が何でも、たとえば黄変菌のたくさんあるようなものも国内で消費しなければならぬということは、常識で考えてみても考えられないと思うのですが、契約の内容及びそういう場合における昨年申されたことなどについて、何かもつと具体的に明らかに表明できるものがあるならば表明願いたいと思います。
  149. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。契約につきましては、昨年申し上げましたように、従来は黄変粒につきましては全然契約がなかつたわけでございますが、昨年の十月から黄変粒一パーセント以上のものは拒絶する、こういう形に政府間におきまして契約ができたわけであります。それに基きまして商社との契約もいたしております。その黄変粒につきましては、入つて参りますともちろん賠償をとりますし、先方の政府に対しましても積取り拒否ができるわけであります。ただ現在問題になつておりますのは、全然そういう外見的な形ではわからない、菌の培養の結果が出ないとわからない、つまり穀物取引上の通常の常識をもつてしてはこれを区別することができない、こういう状態になつておりますので、今後いずれタイなりビルマとの政府協定も起るわけでございますが、これをいかなる形において相手方に納得せしめるか、またその具体的な方法をいかにすればいいかという点について検討いたしております。事実問題として簡単に、たとえば化学試験のような形で、一定の液をたらせばすぐに結果が出て来るとかなんとか、大量取引に相応した形が発見されないと、単なる検査でもつてやるということは困難じやないか。あるいはまた日本と同じように現地における菌培養の施設を持つてやるか、いずれかの方法でないとその点は困難じやなかろうか。これをいかにするかということについて検討いたしておる次第であります。
  150. 天野公義

    天野委員長代理 大矢省三君。
  151. 大矢省三

    ○大矢委員 私は簡潔に二、三お尋ねしたいのですが、午前、午後を通じて応答を聞いておりますけれども、入つて来た米をどうするとか、あるいは初めて今度黄色でない有毒な米が入つて来るということの説明ですか、弁明ですか、そういうものがありました。私はこれらの米が入つて来て喜ぶ者と困る者との二通りがあると思う。三分の一の値段で払い下げて、アルコールなりまたみそ、しようゆその他お菓子の原料にする、それはそういう人は、むしろあれは食べられないのだ、食べられないのだといつて宣伝した方が得かもしれない。喜んでいる。しかもそういう取扱う会社が、食糧庁長官の何か監督になつておるという。むしろそういうことを予期して、計画的なんじやないか、悪い考え方かもしれませんが、世間ではみなそういつている。それで、前からしばしばこの問題が起きたときに、これは人間わざでどうすることもできない不可抗力なのか、あるいは商社の出先の監督か、あるいは最終の管理の農林省か、直接それを取扱つておる食糧庁長官か、どこに一体責任があるのか、どうすればこれを少くできるか、それを尋ねておる。出て来てからの始末をどうやつたつてしかたがない。それを、いろいろ努力しますと言つて、今日でもそのことをしきりに言つておられますが、その商社に対して賠償だとか損害だとかとることを昨年の十月に初めて契約でとりかわした、実にマンマンデーなんです。そこで私は、そういう適格でないものを多く入れて喜ぶ者がある間はどうしたつてつて来る、それを何か禁止しなければならないと思う。あるいは絶対売らないとか、それを農林省が管理して農林省自身の手でやるとかしなければ、民間に三分の一で払い下げれば喜びますよ。ことにアルコールなんて喜んで買い入れる。またその競争がある。一方ではやかましくそれは配給してはいかぬといい、また、これは多少毒があつて人体に絶対に障害がなければよいのだという。私ども現に聞いたところでは、酒だつてメチールが入つているじやないか、分量によつて問題になる。タバコだつてニコチンという大きな毒が入つている。米に多少そんなものが入つたつて何だということを平気で言つている。そういうものの考え方で取扱つておれは、そのままで進めば——先ほど来同僚吉田さんからも話があつたように、国民は恐怖感を持つているから、それには、絶対に入らぬ、入つて来てもそれは売らない、政府で始末するというような、何か根本的な対策を立て、しかももう一ぺんさかのぼつて、そういうものを入れて来た者に対してもつと厳重に責任を明らかにすれば、入れて来ないようになるし、あるいは量が少くなる。今まで黄色であつてわかつて来たが、白くなるとわからなくなる。今度はどういうことになるかわかりませんが、そういうことで、だんだん量がふえて来る。まず第一に私の聞きたいことは、こういうものは年々量がふえて来て何らの対策もない、そしてその責任はどこにあるのか、責任の所在をこの機会に明らかにしてもらいたい。最終責任農林省にあるかもしれない。しかしただ責任があるということだけでは済まぬ。それを少くするにはどうすればよいかという具体案が今日ないはずはないと思う。先ほど来聞いていると、何か朝鮮にも中国にもあるけれども値段が引き合わぬ。値段どころじやない。三分の一で払い下げるなら、数倍高くたつて食えるものならけつこうじやないか。高いといつて買わないが、食えないものを入れて、食えないといつて三分の一で払い下げてしまつてはしようがない。そういうことでなしに、毒でないものは多少高くてもどんどん買うという腹をきめるなり、もつと国民のためにそろばん持つて計算してもらわねばならぬ。どうしたらこういうものが入らなくて済むか。その具体策ですが、きようは言い訳と不可抗力のことばかり言つておる。量がふえて来たのは、厚生省がやかましく言うからとか、学者は黄色いのは目で見えるけれども、今度は白いからわからぬと言う。われわれは結局国民としてどうしたらよいかわからぬ。そこで責任の所在がどこにあるか明らかになつて、どうすれば入つて来なくなるのか、それも不可抗力なのか、ひとつこの機会に明らかにしていただきたい。
  152. 保利茂

    保利国務大臣 これは大矢さんも事情は御承知でございますから、繰返しくどくは申し上げませんけれども、ただそういうものが入ると喜ぶ者があるうちは入つて来るという、これは少し私は——結果はあるいはそういう表現も成り立つかも存じませんが、私はそういうふうには考えておらぬわけです。ただ国会黄変米についての非常な御心配をいただいて、今後こういうことのないように気をつけろということでございまして、それに行政当局者としても細心の注意を払い、従つて輸入関係の当事者も同様に細心の注意を払つて、昨年まで問題になつてつたものは入つて来ていないわけなんです。ただ私は、今後これが学問の進歩によつて、われわれが今日無害だと思うものが、あるいは有害を発見せられるかもしれませんし、それはわかりませんけれども、とにかく先ほど来くどく申し上げておりますように、何か特殊な大がかりな実験措置を、買い付ける前にしなければ、普通の取引状態をもつてして、今後入つて来ないようにということは、むろん責任当局者として注意の上にも注意をして行かなければなりませんけれども、良心的に申し上げまして、私はさようなことのないようにいたしますということは、ちよつとできないんじやないかと考えておるわけでございます。むろんこれだけの問題でございますから、私どもとしてさらに今後できる限りはくふうをして参りたい、かように考えております。
  153. 大矢省三

    ○大矢委員 二十六年以降においていわゆる不的確米として払い下げた量、それから買い入れた値段とその差額の損失、これは前に資料が出たかもしれませんが、私見ておりませんので、これは今できなければあとでけつこうです。  それから最後に一点だけお尋ねしますが、保利さんはこういうことを考えられないか。自由党は、これほど問題になる米すらも入れなければ日本食糧事情が許さない現状をよく知りながら、四年、五年前から米の自由販売をするということを国民に公約して来た。自由販売にするほど米が日本の国内にあるのに、なぜ一体食べられない米を入れるかという国民の感情的反撥というのも私は相当にあるんじやないかと思う。もしそうだとするならば、国民にそういう感情を起さした責任は大いに政府にあると思う。実際こういう米までも入れなければならぬ日本食糧事情にありながら、それを自給自足できるような説明をして、自由販売にして統制を解くのだと言つて来た自由党の国民に対する不信といいますか、あるいは実際を曲げた公約をして来たことに対する反感が、こういうふうな特に黄変米を通じて、こういうことになつたんではないかと思います。が、その点いかにお考えですか。
  154. 保利茂

    保利国務大臣 私は、ただいま問題になつておりますものは、国民消費大衆がこれを食つたらからだにさわるのじやないかという心配から出ておると思います。自由党が自由販売にしたいから、その報いがここに来ておるというふうには考えておりません。ただ私は大矢さんに申し上げますが——これは答弁として申し上げるわけじやございませんが、八千七百万の大人口を擁して、完全な食糧統制を行うといつても、これは事実無理だと思つております。できないと思つております。それできわめて不完全な形において統制をいたしておるわけです。しからばお話のように、食糧の供給力が不足するから統制を続けなければならぬじやないかということは、私はそうは考えておりません。おそらく今世界中で。食糧をかような高度の統制をとつておるのは日本だけだと思います。世界中の国で余つておるところもあれば足りないところもある。イギリスのごときは自給率は五〇パーセントである。それでなおかつ最近食糧の統制を撤廃しておるということから見ますと、これはまた別個の考え方である。ただ日本の場合に非常に困難を感じますのは、イギリスはなるほど五〇パーセントの自給率でありましても、国内で供給する食糧と外国から入れる食糧が同じ性質のものである。大体主食でございましようから小麦である。ところが日本は悲しいかな日本でつくつている米と外国から輸入している食糧とが非常な品質上の相違がある。そこに非常に困難があるのじやないかと考えておるわけでございます。ただ供給力が不足するから統制は撤廃できないという考え方は私はとつておりません。とにかくかような不完全な、しかも問題を起しやすい食糧統制というものはできるだけ早くはずす方が本筋だと私は考えております。
  155. 大矢省三

    ○大矢委員 私は最後にお尋ねしますが、こういう問題が起きて、しかも委員会でこれが問題になつておる。そこできようの応答の中にありましたように、これこれまでは学者は大丈夫だ、それまではやらない、従つて今完全に検査の済んでいないものも相当ある。そこで二・五パーセントの範囲内ならば断じて害がないということを説明して、これを国民が納得するというふうに現に考えていられるかどうか。この点は信用するかせぬかである。しかしながら今までの政府のやり方あるいは経験から見て、なかなかこれを得心しまいと思う。私がそういう場合を心配するのはなぜかというと、現にあなたが出ていられる佐賀県において、——私はきのう大阪でラジオで聞いたのですが、農林省が普通の米だといつて配給したのが黄変米つた。だまして配給したと言つて食糧庁に押しかけた。米の問題は御存じの米騒動などもつてなかなか神経過敏である。そこで二・五パーセント以上のものは配給しない。これならば大丈夫だということを非常に権威ある——米が足りなくて配給する立場に立つ農林省でなくて、もつと権威ある機関でそういう確証を得て、国民がほんとうに心から信頼するような機関研究の結果を得て、発表するような対策でも持つておられるか。先ほど来聞いておりますと、厚生省研究結果なり、学者、専門家研究に依存するとばかり言つているが、何かそういう具体的な方策を考えておられるかどうか。漫然と二・五パーセント以上は配給せぬと言つて、それで大丈夫だという研究でもおありかどうか。何かもつと国民が安心するような具体的方策を考えているかどうかを承りたい。
  156. 保利茂

    保利国務大臣 私が何も二・五パーセントで大丈夫だと申しておるわけではございませんので、国の責任を持つております研究調査機関厚生省、その厚生省以上に信用する機関というものは私は政府内にはないと思つております。従つてまた当然の責任と義務を持つておるわけでございます。また権利を持つておる厚生省でございますから、その厚生省内におけるいろいろな専門研究の集積である結論に従う、また尊重するということは、国民各位も御納得が行くんじやないか。配給当局者が、いやこれは大丈夫でございますからということでは、御信頼にならない場合が多かろうと思いますけれども、そういうような全然農林省と離れましたさような国の機関のきめます基準については、国民諸君も御安心をいただくほか一体どこを信頼するのか。それはずいぶん学者もいらつしやるでしようから、必ずしも千人の学者が一つの意見になられるということはないと思います。いろいろあると思いますけれどもその研究を集積した結論というものは、保健衛生の当局者が出されるものであるというふうに私は考えておるわけであります。従つてその御意見はどこまでも尊重して行かなければならないと思つております。
  157. 大矢省三

    ○大矢委員 大臣は同じ政府機関のことでありますから、それは信用するかもしれないが、国民は信用しない。そこが不安なんです。これは話は非常に違うけれども、今度の検察庁を押えた例のごときもそうである。保利さんは信用しているかもしれないが、国民厚生省を信用しません。現に今までもだんだん基準がかわつて来ておる。ですから私は民間の——もちろん厚生省も入れてよろしい、別な機関国民が安心して信用するもつと広範囲機関を設けてやるような御意思があるかないかということを、私は聞いておるのであります。
  158. 保利茂

    保利国務大臣 私としましては、厚生省の御意見を尊重し、信頼するということは当然の筋ではないかと考えておるわけであります。しかしそういうような具体的な方途について国民の不安を解消して行くために考慮を要するとあれば考慮いたしますけれども、ただいま私の方といたしましては、私どもがかれこれ申しますことは、何か弁解のために申すようでございますから、私はやはり農林省に拘束せられざるところの機関、それは当然国の法律運用の責任を持つておる機関判断基準従つて処理して行く、それに対してはひとつぜひ御信頼いただいて、国民各位にその基準については御安心をいただくようにひとつお力添えを願いたい、かように考えております。
  159. 天野公義

    天野委員長代理 本日はこの程度にし、次会は八月十日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十六分散会