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保利国務大臣 昨今いわゆる
黄変米問題について
世上の非常な
関心を呼び起し、特に当
委員会におかれましては、前
国会以来この問題の究明に御
審議を費しておられるわけであります。私は昨年就任いたしました当時、すでにいわゆる
黄変米の問題が
食糧行政上の
一つの重要な問題にな
つている事実にかんがみまして、
日本の
食糧事情からいたしまして
相当多量の
外米に依存しなければならないという実際上の
要請、その中にあ
つて一体黄変米が混入して来ることを防ぐ手段はないかということについて、
食糧庁当局の特別の
注意と
研究を願いました結果、あるいは大量に買いつけておりますビルマとの
政府協定、
タイとの
政府協定で、当時学者間と申しますか、
専門家の間で一パーセント以内であれば
保健上憂慮すべきことはないというその限界をとらえまして、爾今一パーセント以上の
黄変米の混入いたしている
外米は買いつけないという
協定もできて「この間幸いに
輸入関係業者の
協力を得まして、御承知のようにいわゆる
肉眼で発見し得る
黄変米は、絶無とは申しませんけれ
ども、過去一年間におきます十一月からの実績は一トン内外ということで、実は私は愁眉を開いてお
つたわけであります。従来
黄変米とい
つて関心を払われましたものは、いわゆる
黄色と申しますか、色の
黄色くかわ
つて来ているもの、
従つてこれは
肉眼で発見もできるし、また
保健当局はそれをも
つて諸種の
実験をや
つておる。ところが色のかわ
つたものは、ただいま申し上げますように、ほとんど入
つて来ない。今度白い米を昨年の十一月ごろから入
つて来ておるものについて
培養実験をしてみると、いろいろの
データがそこに出て来るわけであります。従いまして、それじやその白いのは去年からつき出しておるのか、
外国米はかなり戦後長く入れて来ておるが、ただ
実験をしていなか
つたということになると私は思う。むろん
保健当局にも手のまわるところ、手のまわらぬところもあるわけでしようから……、通常、
黄変米という文字が現わしておりますように、白い米が問題になるなどということは、私
どもも正直
考えたこともございません。私はそうでした。しかるに、白い米でも
培養実験をすれば何パーセントか入
つているものがある、そしてそれは
実験が
済むまでそのままにしてもらわなければならぬということで、次々入
つて来ます白い
到着米を
培養実験いたしますと、数万トンに及ぶかなり大量の米が今日
倉庫に積荷をして動かせないという
事情にな
つておるわけでございます。さてこれをどういうふうに扱うかということは、ためにどういう派生的な大きな結果を起す、起さないは別といたしまして、
食糧当局といたしましては、
保健当局の
指示なくしてこれを
処理するというわけには参らぬわけであります。従いまして、
農林省といたしましては
——今後もこの
外米を輸入して行くということになれば、しかも
顕微鏡等で見ても見わけがつかないというような実際上の問題になりますれば、買いつけます以上はだれが買いつけましても、入
つているものを排除するということは事実問題としてできないじやないか、むろん絶対的に有害ということに相なりますれば、しかも
保健上のプラス、マイナスをして有害だということになりますれば、そして実際のこれを避け得る
方法がないとしますれば、どんなに
食糧事情が苦しくても、私
ども国民としてもう一ぺん
考え直さなければいかぬじやないか、すなわち
外米それ自体をもう買うか買わないかというところに立ち至るのではなかろうかというふうにも
考えますが、それにつきまして
培養実験をいたし、いろいろの
実験をせられておる
保健当局の
機関がどういうふうな
指示をされるか、私
どもとしてはかなり大量に、しかも長い期間待
つて、
指示を早くしてもらいたいという
要請をしてお
つたのであります。そこで
配給をいたす場合に心得るべき
一つの
厚生省の
基準が示されて来ておるわけでございます。
紋切型で申しますればもうその
通りに
——それ以上のこともできませんし、またそれ以下のことをする必要もない、私
どもとしては
専門が違いますから、
厚生省の
許容限度内において
配給を続けて行くということが、私は一番正しいと存じますけれ
ども、しかしながらこれは
食糧操作の問題にも関連いたしますし、今世間を騒がしているようなものを使わなくても、そういう
心配の全然いらないものを
相当持
つておるとすれば、
食糧操作でさしあた
つてそれをまず
配給しておいて、その間
——私は全然
しろうとでございますけれ
ども、
培養菌を一〇〇パーセント用いた場合の
実験、五〇パーセント用いた場合の
実験、さようなものは
現実としてはありませんから、
現実、通常起り得る三パーセントでございますか、五パーセントでございますか、そういう形で
実験をしていただいて、それがわれわれの
保健上どういう
影響を与えるかという
データは、当然必要じやないか。そういうこともお願いをしなければならぬ、要求しなければならぬと私は
考えておるわけでございます。従いまして通常いわれております
買付協定の一パーセント以下の
混入率ということを取上げました当時の
専門家の御
意見等も、一パーセント以下であれば色のかわるような菌でもさしつかえないということでございますから、それがさしつかえがあるということになればまた別問題でございますけれ
ども、私
どもはどの
限度がさしつかえがあるとかないとかいうことは、
専門が違いますから、
農林当局では申し上げられることではございません。
従つて専門当局の
指示範囲内におきまして、一パーセント以下であればこれは問題がない、それは今後も
配給上別に手心を加えることは私はなかろうかと思います。一パーセント以上、二パーセント半以内という
厚生省の
許容限度が示されておりますけれ
ども、これにつきましても
食糧当局としましては、再
搗精等をや
つて、どこまで一体有
菌率を減らし得るかどうか、そういう
実験検査もしまして、尽すだけの手を尽しましてできるだけ、
許容限度が二パーセント半だから、二パーセントまでは、無理々々でも
配給するという態度でなしに、二パーセント半のものでありましても、再
搗精等でどこまでそれが下げ得るか、むろん
経費上の
損失もあろうかと存じますけれ
ども、さような
措置を講じまして、あせらずに、さらに
厚生省の
研究も重ねていただく、私
どもも尽すだけの手を尽しまして、
消費者に御迷惑のかからないようにこれを
処理していただかなければならぬ、こういう
考えでおるわけであります。