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1954-05-24 第19回国会 衆議院 決算委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十四日(月曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長代理理事 大上 司君    理事 天野 公義君 理事 安井 大吉君    理事 柴田 義男君 理事 杉村沖治郎君       越智  茂君    徳安 實藏君       村瀬 宣親君    片島  港君       吉田 賢一君  出席政府委員         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長代理  これより決算委員会を開会いたします。  本日は委員長がやむを得ない事情のため出席できかねますので、理事の私が委員長の委嘱を受けまして、その職務を代行いたしますから、よろしく御了承を願います。  それでは昭和二十六年及び二十七年両年度決算中、農林省所管のうち食糧庁関係事項について審議を行います。  まず昭和二十六年度決算報告百九十八ページ、番号七七二から八〇五及び昭和二十七年度検査報告二七七ページ、番号一四九五から二百九十二ページ、番号一五〇六に至る問題を便宜一括議題とし、そのうち二十六年度においては番号七七三ないし七七四及び七七五ないし七七八、昭和二十七年度においては番号一四九七ないし一五〇一及び一五〇三につき会計検査院から詳細な説明を求めますが、特に本事案につきましては、前国会以来当委員会が休会中といえども審査をやつて来た関係上、会計検査院からでき得る限り詳細なる御説明を求めます。小峰説明員
  3. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 二十六年、二十七年両年度検査報告に掲げました食糧庁関係事案を、今お示しの案について御説明申し上げます。  その前に一言お断りしておきたいのでありますが、食糧会計は、私どもほかのものもずいぶん検査をしておりますが、これから御説明する通り非常に問題が多いのであります。私ども食糧管理主要食糧の獲得ということは、非常に当局のお骨折もあることとは思いますが、その経理がいかにも荒い面が多いという感想を持つのであります。特に外国食糧につきましては御承知のように莫大な外貨を使うと同時に、一般会計から最近は約四百億円以上の補給金をしておるわけであります。それだけ赤字を出しておるのでありますが、こういう際でございますから、できるだけ経済的に取得をするなり、いいものを安く買つてもらう、そして赤字をあまり出さないで国民全般に迷惑をかけるのを少くしてもらいたいのでありますが、どうもそういう希望に反するような事案相当数見受けられるのでありまして、まことに遺憾に思つておる次第であります。  まず二十六年度七七三号であります。これはゴルヶツトの購入に関する案件であります。ゴルケツトと申しますのは子供用のビスケツトの一種であります。これは公団で食糧の統制をやつておりました当時も、あまり売れ行きがかんばしくないというものであつたのでありますが、公団の廃止に伴いまして食糧庁でやるようになりましてからは、非常に売れ行きの思わしくない品物であります。これを業者を救済する必要があるということで多量に買いまして、非常な損失をこうむつた、こういう案件であります。まず全国栄養食工業協同組合から五百四十二トン、代金にいたしまして八千三百万円買つたのであります、これは今申し上げましたように、公団時代でも売れ行きが悪うございまして、二十五年度の末に百六十七トンという相当の量を裏に書いてございますが、相当の量を手持ちしておりまして、それが大部分品いたみをしてまともな値段では売れないという状態にあつたのであります。ところがそういう事情を十分に知つていながら、加工業者を救済するためということで、業者手持ちの砂糖に見合うだけの小麦粉を特に配給いたしまして、それをつくらせて一こり千二百円余り買つたわけであります。そして八千三百万円という金を払つてしまつたのでありますが、これが先ほど申し上げましたように初めから売れ行きが非常に悪い。その当時はもうすでに統制が緩和されまして、お菓子屋の店頭にきれいなおいしそうなものがだんだんと出て来た時代であります。統制時代ですと米屋の店先からビスケットなんかも買つてくれますが、もういわばいいものがどんどんと出始めて来た時代に、こういうものを米屋に並べましても、なかなか買手がないということは当然のことでございますが、なかなか売れ行きが悪い。結局この二十九年の一月末現在で、八千三百万円の購入価格に対しまして三千九百九十五万円ほど差引損を来した、こういう案件であります。  それから七七四号、不急の麻袋でありますが、この案件についてはこの委員会ですでに相当詳細に御審議のありました案件でありますので、簡単に御説明するにとどめます。昭和二十六年度それから二十七年度、後ほど御説明いたしますが、両年度に……(「省略してくださいませんか」と呼ぶ者あり)それでは二十六年度、二十七年度も省略いたしますが、いまだに消化し切れないで、たしか百九十万枚ほど、ちよつと数字はあとで申し上げますが、相当数残つておるということだけ申し上げます。  それから七七五から七七八の案件でありますが、これはここにございますように、ばれいしよ澱粉とか小麦粉、こういうような原料を交付しまして乾めんをつくつた冷むぎをつくつたりという加工を業者にさせたわけであります。そうしますと業者政府から預かりましたその原料を横流ししまつた、監督不行届きだ、こういう案件であります。四件にまとめてございますが、いずれもその種のものであります。検査報告をつくりました当時は、弁償金額が合計千百五十一万円に対しまして、金がさつぱり入らないで、千三十万円収納未済があつた、こういうのであります。この千三十万円が少し減りまして二十九年二月現在で九百六十八万円なお弁償金がとれない。横流しをして業者がかつてに売つてしまつたわけでございますが、それの弁償金額が千百五十一万円に対しまして九百六十八万円まだとれない、これはどうも将来もあまりとれる見込がなさそうであります。二十六年度はそれくらいにいたします。  それから二十七年度の、まず一四九七、ビルマ米でありますが、このビルマ黄変米につきましては、この委員会相当詳しく御論議があつた案件であります。会計検査院批難が出ます前にいろいろ御意見がかわされたのでありますが、会計検査院批難は一と二にわけまして、二段の批難がしてあります。一の方は、これはもう皆さん御承知の通り、二十六年度に……。(「黄変米も省略してどうですか」と呼ぶ者あり)よろしゆうございますか。ただ一つお断りしておきます。二十七年度に買いました黄変米を二十八年度になつて処分しておるのであります。検査報告ではこの二十八年度に処分いたしましたものにつきましては批難いたしておりません。これは少し時期が遅れますが、二十八年度検査報告として検討する予定であります。非常に値が安くなつたのでありますが、その点につきましては二十七年度では触れておりません。  一四九八のイラク大麦でありますが、これは黄変米とよく似たような非常に大きな買物でありますが、たいへん損してしまつたという案件であります。まず二十七年の四月に日綿実業外七会社から、イラク大麦八万五千トン余り金額にして三十四億八千万円という大きな買物をしたわけであります。ところが値が非常に高いばかりでなくして品質が悪いために主食用として売れたものが思いのほか少い、二十八年三月末現在においてなお在庫が、八万五千トンのうち、一年経過いたしまして六万六千トンも残つていたという案件であります。このイラク大麦は他国産の大麦、アメリカとかカナダとか濠州とかいうところから大麦輸入しておりますが、これが今トン当り平均三万一千円から三万八千円くらいの価格なのでありますが、イラク産の大麦は三万八千八百円から四万二千円余りというので、値段も高くあります。ところが値が高くても物がよければいいわけでありますが、かえつて品質が悪い。そこでほかの安く買つた他国産の大麦よりも安い値で配給売渡しをしたわけでありますが、それでも売行きが不良だ、年度内主食用として売つたものは、八万五千トンのうち、八千四十四トン、これが相当程度値引きをしております。それから動物のえさとして千五百九十三トン、これもうんと値引きしております。それから輸出用精麦の原料、これは主として朝鮮でありますが、五千三百トン、こういうような売り方をしたわけであります。結局年度末に六万六千トン余つている。これが最近の調べでは二十八年四月末在庫がなお七千二百八十トン、一割近いものがまだ残つている。そしてこの売りましたものの価格を試みに計算してみますと、売りましたものが全部で六万八千九百一トンであります。これが十六億九千五百万円で売れたのであります。トン当り平均しますと二万四千六百六円、先ほど申し上げたように、四万円で買つたものを二万四千円平均でしか売れなかつた。そこで十六億九千五百万円の代金を回収したわけでありますが、その損失額が十億九千九百万円、大体十一億円ということになります。これ以外に保管料が一億円以上くらい入つております。結局十六億九千五百万円に売れたもので十一億以上の損をしたというふうになつております。外国食糧を買うのはなかなかむずかしいのでありましようが、イラク大麦は実はこういうふうに損をしたのは最初ではないのであります。二十六年度買つてこれでも失敗したわけでありますが、二十六年度に二万九千七百トン買つたわけであります。これも品質が悪いためにほとんど年度内には処分できない。そこで二十七年度に持ち越してようやく主食用として三千八百トン余り、それからえさに二万一千四百五十七トン、二万九千トン買いました中で二万一千トン余りがえさになつてしまつたわけであります。それで年度末までにはまだ全部売り切れていない。一般にブラック・バーレー——黒粒と訳しておりますが、これが非常に多い。主食用としてはあまり適当な品物ではないというのは、二十六年度の実績に徴して二十七年度は初めからわかつていたのじやないだろうか、買うについてもう少し慎重な態度でこんな大きな損をしないようにしてもらいたかつた、こういう趣旨であります。  それから一四九九号、これはパキスタン米輸入でありますが、二十七年の十月から二十八年の六月寸での間に、これも先ほどの日綿実業などから三十九億円、これもずいぶん大きな金目であります。三十九億円で購入しましたカナダ小麦、これは十万六千トンであります。日本カナダ小麦を十万トン余り買いまして、パキスタンカラチの港まで日本が持つて来て、そして。パキスタン米を交換に、十万六千トンに対してちようど半分の五万三千トン余りパキスタン米カラチで受取り、日米へ持つて来たわけであります。最初小麦十万トンに対してパキスタン米五万トンこちらがもらうという協定だつたのでありますが、それよりちよつと数量が多くなりましたが、受取つて日本へ持つて来て結局運賃なんかを合せて四十二億七千八百万円という金を政府使つたのであります。ところがこれがまた米の品質が悪いというので、著しく不経済の結果になつている、こういう案件でありすす。これは最初パキスタン政府の方から申出がありまして、パキスタン小麦がほしいが、ドルがないからドル地域からの小麦輸入ができない、日本側ドルを持つているから、日本小麦買つてつて来てくれ、そうすれば米を渡す、こういう協定がパキスタン側から出たのであります。この結果、小麦と米穀の相互取引契約、これが両国政府間にできたわけであります。結局これは、日本側としてはポンドは当時非常にたくさん持つていたわけでありますが、前のイラク大麦などはポンドを消化するという意向も入つていたのですけれどもパキスタン米ポンドをたくさん持つているのにポンド使つたことにならないで、ドル使つてパキスタン米買つた、こういう結果になるわけであります。それで五万三千トンのパキスタン米受取つてカナダから日本が買い付けました小麦を十万六千トン向うに渡したわけであります。その渡した小麦一等品と二等品で品質がいいものであります。もらつた米はどうかといいますと、五万三千トンのうち一万七千トンばかり、三割以上は四等品であつたのであります。カングニィの搗精度が悪いので、砕米、被害粒が多い。大体契約では四等品のカングニィは砕米などは三〇%以内、こういうことになつておるのであります。カラチの港の発地検定人検査証によつても、三〇%以上三一%、三三%というのが少し入つておるのでありますが、非常に品質が悪い。こちらへ着いてから検査しますと、中には五〇%砕米なんかの入つておるのがある。こういうふうに品質が悪かつたのでありますが、そのまままともな値段払つてこれも受取つてしまつたわけであります。それからバスマテイ、これは一等品でありますが、五万トン余りのうち三千六百トン、これももみの混入が多いのにそのまま受入れておる、こんなようなことになつたわけであります。それで結局のところずいぶん高い金を払つたのでありますが、最初当局者ビルマ米買つた場合と大体同じくらいの採算だということで、パキスタン米を五万トンということにしたわけでありますが、この引合いに出したビルマ米というのは、この間も黄変米のときに話が出たと思いますが、ビルマ米価格は二重になつております。いわゆる国際入札による分と政府間の取引による分と二重になつておるわけでありますが、高い方の国際入札による分とパキスタン米を比較しておりわけであります。高い方の値段で比較しますと、大体ビルマ米輸入価格と同じくらいになるのでありますが、国際入札の高い方だけ比較するのもちよつとどうかと思うのであります。当局者最初トン当り七万八千円と予想したのでありますが、これが実際には八万円以上になつた、この辺にも若干見込み違いがあつたようであります。ところが臭い米というので一時いろいろなところで有名になつたという話でありますが、臭くてそのままでは配給ができない、こういうふうなものが相当数入れていたわけであります。売れ行き相当悪い。再搗精のための値引きも全体で三千七、八百万円になつておりますが、値引きをして売つたがなおかつ売れ行きが悪い。年度末には当時米が相当逼迫していたわけでありますが、一万二千三百七十六トン売れなかつた。これが最近では一部売れないで、四千九百トン余りこの三月末現在で残つております。御承知のように昨年は米が非常に逼迫したわけでありますが、この逼迫した時代でもなおかつ売れない。品質が非常に悪いそうでありまして、はたして売れるかどうか、ちよつと疑問に思うわけであります。  それから一五〇〇号でございますが、輸入小麦輸入港を変更して割増運賃を払つた。これはここにもございますように、輸入小麦の九千四百四十九トンを表日本の横浜と大阪、神戸に輸入いたさせる契約を結んだのであります。ところが裏日本新潟県と富山県から船を少しこちらへまわしてくれ、こういう陳情があつたわけであります。それをいれまして、契約変更いたしまして、トン当り千六十二円を加算をいたしまして、一部新潟港に五千八百十トン、伏木港に三千六百十一トンを陸揚げをしたわけであります。わざわざ運賃を加算してまわすというようなこともどうかと思うのでありますが、これが無事に新潟県なり富山県内で消化されればまだ問題はないのでありますが、新潟とか富山というところはあまり小麦をたくさん需要する県ではありません。米産地でございますから、従来からあまり小麦がたくさん売れないところでありますが、たまたまそういう関係でありますから、いわゆる大きな製粉工場というようなものも県内にはないのであります。この五千八百トンなり三千六百トンなりは一体どうなつたかといいますと、新潟に揚げた分は五千八百十トンのうち、わずか八十二トンが県内で売れたにすぎない。そして残りの四千五百トンはこれは原麦のまままた茨城県とか栃木県など関東地方の各県に逆送している。こういうことになつてしまつたわけであります。横浜に揚げておけば何のことはなかつたのでありますが、わざわざ割増し運賃払つて新潟に運んで、その大部分というものはまた関東地方へ逆送している、こういう結果になつたわけであります。伏木についても大体同じような結果を来しております。こういうことでございます。  それから一五〇一号の不急の麻袋を購入したもの、これは省略いたします。先ほど申しました、最近まだ残つているというのは小型百三十二万枚であります。それから大型が二十六万九千枚まだ残つている。これだけ申し上げておきます。  それから最後でありますが、一五〇三号の集荷奨励金の支払にあたり処置当を得ないもの、これであります。これは二十七年産米特別集荷制度、それから超過供出を促進するために二十八年の三月から十月までの間に集荷累進奨励金というのを全販連に三億九千五百万円、それからそのほかの集荷団体に対しまして三千三百万円、合計四億二千八百万円という金を払つたわけであります。これから私の申し上げますことは主として全販連を対象にいたしますが、大体この名前を見ましても、集荷累進奨励金、結局これは多量の超過供出を促進するために、超過供出に一番骨をおつた集荷単位業者と申しますか、これは主として農業協同組合でありますが、農民組合にこの金が行くのが予算の性質上当然の筋だと思います。最初予算のつくり方を見ますと、単位集荷業者——農業協同組合でありますが、全国農協約一万五千というものを対象にしてそれぞれの集荷数量に応じまして累進交付する、こういうことで予算はつくつたようであります。名前から言いましても、たくさん出した人には超過供出奨励金をよけいに交付するという建前で予算はできたというふうに見えるのであります。ところが実際に交付するときには一体どうしたかと言いますと、今のような趣旨と違いまして、全販連にまとめて交付したわけであります。次に表がついておりますが、三百俵までは超過供出奨励金を出さぬ、三百一俵以上だんだん累進いたしまして、最後は五十万俵以上のものは一俵について三十五円出す、こういうことになつていたわけであります。ところが全販連の各農協の分は全国一本にしてしまつたわけであります。農協単位で見ますと、三百俵のところもございますし、千俵のところもあるし、一万俵のところもありますが、これに対して農協ごとに当然この奨励金の表が適用されるのがこの奨励金の性質上当然なわけなんでありますが、実際は全販連全国の分を一本にしまして、千百四十三万俵農協関係が出たわけであります。検査報告の二百八十八ページから九ページにかけてのところに書いてありますが、全国で非常に成績がよかつたわけでありますが、千百四十三万俵出て来ている。ところがその千百四十三万俵を全国一つにまとめまして、この表を適用したわけであります。従いまして、五十万俵までは一儀について十五円、二十円、三十円というように適用するわけでありますが、五十万俵を引いたこの千九十三万俵というものに対しては、その全部の最高の三十五円というのを適用してしまつたわけであります。従いまして、全販連以外のところのものは一俵当りが十八円くらいについたのでございますが、全販連の扱いました千百万俵というのは一俵当りが三十四円六十銭についちやつたわけであります。ほかの全販連以外のものと非常に差ができましたが、これもせめて末端農民なり単位農協なりにこのまま流されておつたのでありましたら、これはまた見方が違つて来ると思うのであります。実際に米を超過供出した人にたくさんの奨励金が行く。三百俵供出した人も一万俵供出した人も同じにはなりますが、ともかくも末端農民まで全部行つておればこの問題は見方が違つて来ると思うのであります。ところが一俵当り三十四円六十銭金は支出したにかかわらず、これが末端まで届いていないのであります。ここにこの案件の問題のポイントがあるわけでありますが、私どもとしてはこの集荷累進奨励金末端までこの形で行つたんだつたらこれは当然批難にならぬ、こう思うのでありますが、ところが実際にその配分の状況を見ますと、国から全販連に交付したところの三十四円六十銭——わかりやすいですから一俵当りで申し上げますが、金版連から各県連合会に流れましたのが三十四円六十銭のうち三十円七十九銭であります。三円八十銭ばかり全販連にとまつてしまつたわけであります。それから県連合会から県内の実際に米を出しました各農協行つたのは十七円四十銭、こういう金額であります。国から全版連に交付した額の約半分。国から全版連に交付したのは三十四円六十銭でありますが、末端農民組合に届いたのは十七円四十銭。大体半分しか届かない。半分は途中でとまつてしまつた。こういうことになるわけであります。そうして一体何だつて版連なり県連では——もしも経費がかかればその経費を別に考えていただけばよいわけで、こういう累進奨励金の一部を中間で留保させるという理由はどうも私どもはないと思うのでありますが、これは全版連では、非常に経費がかかつたと言つておられるのでありますが、その経費も私どもが見たところではどうもよくわからない。どういう事業をおやりになつたかという点になるとまことにわからないものが多い。こういう状態であります。全版連は今申しましたような中間の累進奨励金の一部を留保しているばかりでなく、裏の方の二百九十ページの「なお、」以下にありますが、これ以外にこの集荷累進奨励金のほかに、全販連には集荷促進奨励金ということで五千九百万円という大金が行つております。私どもあまりこれはどうもへんだというので、昨年の十月全販連検査行つたのでありますが、当時まだこの金は使わないで全版連残つてつた状況であります。その後にこれは使つたという御報告を受けておりますが、相当たくさんの金を全版連使つたということになつておりますが、どういうものにそういう金が一体いつたのか、私ども実はわかりかねるのであります。この二十七年度超過供出のために全版連がどういうことをされたか、どういう経費がはたしてそのために必要だつたかという点はまだちよつとわかりかねている状態であります。  たいへん長くなりましたが、御質問がありましたらこれ以上のことはお答えすることにいたします。
  4. 大上司

    大上委員長代理 ただいまの説明に対する農林当局補足的説明は時間の都合上これを省略いたしまして、詳細は質疑応答において検討したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大上司

    大上委員長代理 御異議なしと認めます。よつてただちに質疑を許します。まず質疑通告順によつて行います。柴田義男君。
  6. 柴田義男

    柴田委員 この問題に入ります前に、まだ結論に到達しておりません補助の問題につきまして会計検査院小峰局長さんに伺いたいと思いますが、昭和二十六年の災害復旧事業に対しまして国庫補助の支出が——山口県の実地検査の結果についての問題でありますが、災害補助金の申請の通りが確かに過大であつたということをお認めになるのかどうか。これが一点でございます。  その次には、法令による地元負担金は全額負担していたのであつたかどうか、全然負担しなければしないと御検査の結果をもう一度あらためて伺いたいのであります。それからなお工事は全部設計の通り行われておつたのかどうか、今までの質疑応答の中から感じますところによりますると、何か工事も正確に行われていないものが大分あつたように考えられますので、概括的でけつこうでございまするから……。そのほかに委員長の要求によつて会計検査院から小峰局長のお名前で四月二十四日付かで概略の御報告が出ておりましたのを拝見いたしましたが、これは間違いございませんでしようか、これらの諸点についてもう一度伺いたいと思います。
  7. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 山口県の佐波川の沿岸の災害復旧に関してお答えいたします。まず査定が過大ではなかつたかという点であります。この査定は私どもも過大ということで、その後農地事務局に掛け合いまして大分減らしてもらつております。今後もまだ減るものが出るはずであります。と申しますのは、私どもは交付された補助金というものを中心に検査を進めて行くわけであります。その交付されました対象なつた工事を見ますと、そういうことが認められますので、もうすでに出雲村で約一億円くらい減らしてもらつております。今後もこれは支出補助金対象にいたしまして検査を進めて参りますが、まだ減るのじやないだろうか、こう考えております。それから地元負担をしたかどうかという点、さらに工事が設計通りできていたかどうか、こういう点でありますが、補助金の交付の対象になりました工事につきましてはすでに検査報告にも各批難事項として取上げているものが相当にございます。それで十分な自己負担もしておらぬ、それから設計通りできていない面が相当に多い。それで私ども検査報告にあげました工事で、最近の水害でこわれているというようなものもございます。来年あたりはさらに検査報告批難事項としてあげられるのが相当にあるのじやないだろうか、こういうふうに申し上げられるわけであります。  それからこの前計数をずつと並べまして、先ほど申し上げましたように出雲村で申しますと二回にわけて三千三百万円余り、それから六千六百万円余り、こういうのを減らした、検査の結果査定をそれだけどんどん減らして行つたという経過を詳細に計数で御説明したわけでありますが、これは現在といえども間違つている面はない、私はこう思つております。
  8. 柴田義男

    柴田委員 この問題について一応ピリオッドを打ちたいと思いますので、以下のような書類をお願いしたいと思いますが、農林当局にはきようは御出席がございませんから、委員部から文書で御要求願いたいと思います。二十六年度の農地の災害に対する災害復旧費の国庫補助金の概括表、これはたとえば一般補助金と高率補助金とわけた分でございます。なお各該当都道府県別の農地の流失埋没面積の数、いわゆる災害復旧に関する分の各県別の埋没あるいは流失の面積数と、農家の戸数、それから復旧工事に対する査定額、たとえばこれは農地がどのくらいで、施設関係がどのくらい、これは二つにわけない、こういうことでありますが、補助一般農地に対する補助と、それから施設に対する補助とは比率が相当違いますので、これは二つにわけていただきたい。それからこれらに関しまする国庫補助金が二十六年度どのくらい出ておつたか、こういう数字を御要求願いたいと思います。以上でございます。
  9. 大上司

    大上委員長代理 お諮りいたします。ただいまの柴田委員の資料要求には御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大上司

    大上委員長代理 そのようにはからいます。
  11. 柴田義男

    柴田委員 本日の食糧問題に入りたいと思いますが、私どもは農林省の食糧問題を討議いたします場合に、今会計検査院の御報告を一通りつたのでありますが、まつたくどういうわけでこういう問題が次から次と出て来るのか、われわれのこの乏しい頭では判断がつかない、こういう点が非常に強く言えると思いまするが、食糧関係は特別会計を持つて、莫大な国費を持つておるのだが、その食糧庁の特別会計というものは日本の国内食糧が足りない結果といたしまして輸入食糧を仰がなければならないということは十分わかつておりまするが、その特別会計という金は食糧庁の長官を中心といたしまして慎重を期してお使いにならなければならぬわけなんですが、こういう問題が次々と発生いたします何か根本的な理由があるのかどうか、こういう点をまず一点承りたいと思います。  もう一つは、今具体的な問題となりましたこの麦の問題にいたしましても、あるいはパキスタンの米の問題にいたしましても、カルケツトの問題にいたしましても、何か特別な理由がございましたかどうか、これらをやはりごく簡単でよろしゆうございますから、一応会計検査院から指摘されたんだが実際はこういう事情であつたということを一通り前谷長官から承つて審議に入つて行きたいと思います。
  12. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの柴田委員の御指摘ごもつともでございます。実は食糧庁食糧特別会計は本来の成立ちからいたしまして、数量調整、需給調整からスタートいたしたのでございます。従いまして米穀需給特別会計から食糧需給特別会計に移りかわつたわけでございますが、物の需給調整を主眼として出発いたした関係上、特にそのときどきの食糧事情に影響されまして、物の需給調整という面が非常に中心的に考えられておつたように考えます。従いましてその裏づけとなりまする価格あるいは経費の面に対する十分なる注意か欠けておる点かあつたのではなかろうかというふうに考えまして、今後の問題といたしまとて、われわれの方におきましても他日契約合同審査会というふうな特別に重要な案件についての契約の合同審査でございまするとか、あるいは決算に対する事業査察というような意味におきまして、決算室、合同審査会を設けまして、そういう点についての是正をいたして参りたいというふうに考えておるわけでございます。御指摘の輸入の点につきましては、ちようど二十七年度は六月から従来長く続いておりました麦の直接統制を撤廃するということが政府の方針として決定いたしましたので、それに応じまして麦類の需給あるいは消費動向というものが過去の統制中の経験では律しがたい事情があつたように考えます。同時にそういう統制撤廃に備えまして麦の保有を持つというふうな行政的な需給操作の面、それと統制後におきまする麦の需給の関係、消費形態の動向等の予想の違つた点があつたわけでございます。御承知のように麦の統制撤廃と同時に米の統制撤廃論も相当熾烈でございまして、当時の二十七年産米が非常に豊作でございまして、六千六百万石の予想があつたわけでございますけれども、実際の供出割当は二千二百九十万石というふうな非常に少い割当になりましたものでございますので、この配給量を維持するために各種の超過供出等に対する制度を考えるというふうな、その当時におきまする諸般の事情があつたのでございますが、会計検査院の御指摘のようにあのような結果となりましたので、われわれといたしましてもその根本的な食糧需給操作と経理の面というものとの密接な連繋をはかつて参らなければならないということを痛感いたしておる次第でございます。
  13. 柴田義男

    柴田委員 そういう御方針というものは十分われわれもわかるのでありまするけれども、そういう御方針でやつておるとして、今の麦の問題に多少入りたいと思いますが、イラク大麦購入状況検査院の御報告を承つておりますると、たとえば具体的にはこのイラクから買つたものが、トン当り三万八千七百七十三円から四万二千七百二十三円、平均価格が四万七百二十六円で購入している。だけれども、この当時の相場として指摘せられておりまする他国の大麦は三万一千円から三万八千円であつた。そうしてこれが現実にトン当り二千円から三千円ぐらい高いものを購入されておる。三万一千円と三万八千円の他国の平均はわかりませんが、まあ五千円ぐらいの開きがここに出ておるかもしれません。こういうような問題の場合は、具体的に他国でこういう安いものがあつて、そうしてたとえば日綿実業というような商社を介在せしめて購入されたものである、高いイラク大麦を買われてしかも品質はよくない、そうして二十六年度にも相当数食い込んでおつたものを事好んでこういう麦を買い入れたということは、何かわれわれは個々の表面的な理由だけでは納得しがたいのであります。そういう点、具体的な問題といたしましてイラク大麦購入という問題を一つ取上げて具体的な御所見を承りたいと思います。
  14. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 イラク大麦事情でございますが、これは会計検査院の御指摘のような事情になりましたことはまことに申訳ないと思つておりますが、その当時の事情といたしましては、先ほど申し上げましたように七月に統制撤廃をする、その際に麦の価格の高騰を抑制するために政府相当量の麦を持たなければならぬという考え方に立つてつたわけでございます。ただ当時の事情としまして、御承知のように、食糧の外貨は全体の外貨の相当大きな部分を占めますので、全体の通商政策なり外貨政策の影響を受けるところも非常に大きな点があつたわけであります。当時といたしましては前年の状態に比べますると、政府ポンドの所有量が六千百万ドルぐらいありましたのが大体一億ドル程度にふえたわけでございます。従いまして、全体の通商の傾向といたしまして、ドルからポンドヘの転換、ポンド地域からの購入ということが通商政策全般として各物資についても非常に強く言われたわけでございます。ポンドが一億ドルに増加いたしました関係上、その当時の事情といたしましてポンドの実勢が実はドルのレートとの関係において非常に弱かつたということは御承知通りであります。その当時の通商政策といたしましては、ドル地域からポンド地域への転換ということが非常に強く言われた。食糧は全体の外貨事情の大きな部分を占める関係上、もう政府買つておる関係上、この政策の方向に通産、外務、為替の方面からの強い要請があつたわけでございます。そういう事情と同時に、食管特別会計自体としましては、一定の割当てられましたドルが実は米麦一緒になつて割当を受けておつたのでございますが、それがタイ、ビルマの米が十分買えなかつたということのために、アメリカでございますとか、あるいは中南米、イタリアというふうな他地域の米を買わざるを得なくなつた、そこで食糧として予定されておりましたドル資金の食い込みをいたして、麦の方のもののドル資金の割当を、米の方で買わざるを得なくなつた、食糧に割当てられましたドル資金が減つて参りましたというその状態からいたしまして、ポンド地域またはオープン・アカウント地域から麦を買うということで考えたわけでございます。従いまして、ポンド地域といたしますと、まずわれわれ考えましたのは、オーストラリアが一番ポンド地域としていいものであるということになるわけでございますが、このオーストラリアにおきましては、大体イギリスとの関係におきまして輸出余力があまりなかつたわけでございます。同時に日本側におきまして五万トンの買付をいたしたわけでございますが、それ以上日本側に対してこれは濠州の小麦局が統制いたしておりまして、それ以上の割当の見込みがなかつたという点がありますので、ポンド地域を探しまして、イラクから買うということにいたしたわけでございまして、この買付は当初外務省方面からも、南方貿易という面からいたしまして、南方地域からの買付、ポンド資金の利用という面からいたしまして要請があつたわけでございます。われわれといたしましても、会計検査院の御指摘のように、大体前年度状態からいたしまして、異物混入率あるいは異種穀類の混入率が従来五%でございましたものを三%に下げて契約をいたしたわけでございます。それで価格の点でございますが、確かに一般カナダなりアメリカのものに比べますと、当時アメリカものが三万六千円程度、カナダものは三万四千円程度で、ございましたので、割高になつておるわけでございますが、これは当時のポンドの為替の弱勢からいたしまして、自然為替の関係からポンド地域のものは高くなる傾向になつてつたわけでございます。ただ全体の外貨政策からいたしまして、過剰のポンドを利用するという意味においてポンド地域ということになつて参りますと、レートの関係でどうしてもそういう傾向の見られるということは、これは否定し得ないと思います。ただそういう大きな根本的な条件のもとにおきまして、われわれとしてもう少し適切な買付をすべきでなかつたかという点は御指摘の通りでございます。異種混入率その他の条件をできるだけ契約においては前年度よりは下げるようにいたしたわけでございますが、歩どまり関係がついておりましたものが、当時の統制時代におきましては配給でございましたので、歩どまりというものを政府が一律に一方的にきめ得たわけでございますが、しかるに統制を撤廃いたしますと、消費者の嗜好に応じまして歩どまりがだんだん下つて参る、そうすると従来内地麦あるいはひきなれておりますカナダ、アメリカの麦でありますと、技術的にもうまく参るわけでございますが、なれないもの、特に固いふんどしのとりにくいようなものについては、歩どまり関係からいたしまして非常に売れ残りを生じたというふうに考えておるわけでございます。これは当時そういう事情でございまして、われわれといたしましてできるだけその国庫負担の状態を下げるように努力すべきである、その努力について十全であつたかどうかという点については十分反省しておる次第でございます。
  15. 柴田義男

    柴田委員 どうも長官の御答弁を承つておりますとわれわれは納得ができないのですが、たとえば食管特別会計で食糧全体の予算を盛つた。そういたしまして、たとえば今の為替の相手はドルが中心でございまするので、外貨の問題の場合も、ドルを持つておることはわれわれも知つおります。ドルだけ持つてつてドルが不足であるからポンド地域から物を買わなければならぬ、こういう理由も十分わかるのであります。そうであつたと仮定いたしましても、たとえば二十六年度にこの種の麦が二万九千七百トン購入されたが、品質が悪かつたということは、現実にこのものをお仕入れになるときは十分御承知のはずであつたのです。二十六年度に買い入れたものが品質が粗悪で、しかも加工が困難であつたということはおわかりであつたはずなんです。そういう現実を目の前に置いたその結果、なおまたこういうものをもう一度買わなければならぬのか。価格の面におきましても、今、われわれも考えまするが、ポンドドルとの関係が非常に悪くて、ポンドが弱体であつた。今の日本の現実の状況も、ドル日本の金を計算いたしまする場合に、レートは三百六十円になつておりまするけれども、現実には三百六十円の価値は日本の金にない、実際四百円以上でなければドルに対抗はできないという常識論は経済的にわかるのでございまするけれども、そういう判断だけで、これだ莫大な高いものをなぜ買わなければならなかつたか。その理由といたしまして、今長官の御説明によりますると、七月から統制撤廃に伴つて、あるいは米までも統制解除しようというような政府の意図が多少あつて、そういう思惑ということも多少含まれておるようでありまするけれども統制撤廃によつてただちに大きな食糧の値上りが来るというような問題も考えられまするならば、日本食糧の大元締めである食糧庁は、こういう姑息な手段以外にもつととるべき手段があつたのではなかつたか。単に多少の大麦あるいはその他の食糧輸入まつということだけがそれに対する唯一の対策ではなかつたと私どもは考えるのであります。イラクからこれだけの大麦購入したことによつて日本食糧価格というものの調整をとるというような考え方は、これはあまりにも甘過ぎます。そういう考え方であつては、根本的に甘過ぎるのだし、そういうことは理由にならぬと思うのです。現実にわれわれがこれを見て率直に考えますことは、日綿実業その他の商社との取引において、どういう形における取引が行われたのか。契約の上では、たとえば不良品が五%以上あつた場合には、その損失を相手に負わせようという御契約のようであります。契約書の写しも何も拝見しておりませんけれども、今の御説明によるとそういうふうに承つたのでありますが、こういう莫大な不良品が入り、しかも現実に他国の相場から見まして、二割も三割も高いというようなことをなぜ計算の基礎に置かないで仕入れたのか。もう一つは、前年度のものが二万九千トン余り輸入の中から、三千八百五十三トン売り渡したにすぎない。その他二万何千トンというものが現実に残されておつて、しかもそれが人間の食うものではなくて、小鳥やその他の飼料として処分されておるという現実がここにあるのであります。こういう状態のままに、なぜ高いものを、しかも好んでお買いになつたのか、この点をもう少し具体的に、商社との取引関係状況等もあわせて承りたいと思います。
  16. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、当時の価格といたしましては、アメリカ、カナダよりは高くなつておりますが、同じポンド地域のオーストラリやその他の地域と比較いたしますると、たとえばトン当り四万円は大体百十三ドル程度になろうかと思いますが、その当時オーストラリア産の大麦は百九十七ドルで、非常に高かつたのであります。もちろんこれは品質との関係もございますが、ポンド地域としては、価格それ自体は安かつたわけでございます。契約の形といたしましては、われわれの方で一定の条件を示しまして、異物の混入率は三%、異種穀粒の混入率は三%、それから歩どまりは、いわゆる国際的な検定機関でありますミドル・スーパーインテンダンスを指定いたしまして検定をいたし、その検定結果によつて取引をするという形において、入札でもつてその数量をとつてつたわけでございます。この検定の場合におきましても、当時の検定書にはその契約の範囲内の検定結果になつておるわけでございますが、現実にこれを売り渡す場合におきまして、先ほど申し上げましたように、当時は大麦の歩どまりは相当高かつたわけでございます。初めたしか八十五、六の歩どまりで考えておりましたものが、統制解除後におきましては、数パーセント下つて取引されておる、こういうふうな事情がございましたので、かような結果に相なつたわけでございます。その取引の方法といたしましては、一定の条件を示しまして、入札制度をとつておるわけでございます。検査は検定機関の検査による。かような方法をとつておるわけでございます。
  17. 柴田義男

    柴田委員 今問題を一つに集約して伺つたのでありますが、しからばこれを検査いたします場合には現地で検査をされるのか。こちらに入りましてから検査をされるのか。もう一つは品質の非常に悪い物が入つた場合には、ひとり食糧庁だけがその責任を負わなければならぬという契約になつてつたのか。私ども常識で判断いたしますと、商社にも十分責任があると思いますが、それらに関しましてもう一度承りたいと思います。
  18. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 検査の点につきましては、これは輸出港におきまする積出しの場合において、検査機関つまり国内の検査機関ではございませんで、国際的ないろいろの穀物を各国ともに取扱わせておりますミドル・スーパーインテンダンスという検査機関を指定いたしまして、その検査報告がこちらの契約条件の範囲内であればこれを受入れる、かような形になつておるわけでございます。ただ私考えますのに、この検定結果が契約条件の範囲内で、ございましても、これを消費いたします場合の国内の需要の動向というものが、その当時の歩どまりその他から考えて、はたしてその通りに行くであろうかという点についての、見通しの問題があつたのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。御指摘の商社の関係におきましては、条件を示して、その条件の範囲内において、入札制度で実施いたしております。従いまして検査の結果が条件に反したものを入れました場合におきましては、これは拒絶し、あるいはまた賠償をとるという形になつておりますが、発地におきます検査機関の検査が条件の範囲内でございますと、これを拒絶するというふうなことにはなし得ないようになつております。
  19. 片島港

    ○片島委員 ちよつと関連して。その検査の問題ですが、現地において検査をやつた結果、基準に合つておるというても、その品物が国内に来た場合には、実際には非常に粗悪なもので、基準には合つておらぬという場合に、だれが責任をとるのか。商社の方では現地の方で基準をパスして来ておるからわれわれは持つて来たんだ、こう言えばそれで責任をのがれるということになれば、食糧庁だけが責任をとるのか。やはりそういう粗悪な品物であつたならば、こちらでも立ち会つて検査したものならば文句は言いませんけれども、立ち会わないで向うだけで検査をして、これでいいんだといつてつて来たところが、あにはからんや粗悪品であつたという場合には、当然この値段をうんと負けさせるとか、あるいは向うの責任において品物をとりかえてもらう、こういう措置を講じなければ、いつまでたつてもこういうものが改善できないのではないか。商社としては、当然向うで検査に通らないようなものをこちらに持つて来るはずはないので、形式的に国際機関において検査し、合格したものを持つて来る。それをいつも食糧庁がその穴埋めをして行かなければならないということは、どうも不合理だと思います。それは何か、値段を値切るとか、あるいは向うの責任でとりかえてもらうというような方法はないのですか。
  20. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 契約をいたしまして、契約の範囲内でいろいろ条件をきめるわけでございます。この条件が発地におきまして満たされておりまする場合には、これに対してクレームをつけ得ないことになつておるわけでございます。ただわれわれといたしましては、契約をする場合の条件というものを、サンプルで見本輸入をして試験搗精をいたしますとか、いろいろな方法によつてできるだけの正確を期すということがこういう事態を発生せしめない原因じやなかろうか。と申しますのは、国際的な小麦取引は、それぞれ各国ともに国際的な検定機関の検定結果による、あるいはまたその国の国営の検定結果によるということが取引の一つの基準になつております。この検定機関の検査に一応品物が合つておるという場合におきましては、これは普通の取引としてクレームをつけ得ないのです。ただこれに付加するに、いろいろな検定の条件と申しますか、そういうふうなこまかい条件をつけて契約をするということにして、その条件に反します場合にはクレームをつけ得られる、こういう形にいたさなければならないのではないか。ただ当時は、日本といたしましても、貿易が始まりましてから年限がたたない、人も向うへ十分には出ていない、取引の実態も非常な断層があつた。そこで国際検定機関で、各国が利用しておりまする検定機関を選んだわけであります。
  21. 片島港

    ○片島委員 いろいろと厳格なこまかい条件をつけ、あるいはサンプルを見ましても、現実にその条件に合わないし、またサンプルはよかつたけれども実際入つて来た品物が悪いという場合には、私は結論を聞いておるのですが、それは何とも抗議のしようのないものかどうか。食糧庁が黙つてその赤字を埋めるより方法がないのか。商社に手落ちとか、何か責任が多少あるのか。あるいは発地の方で非常に無責任なことをやつておるのでありますか。サンプルにも合わない、基準にも合わないというものを向うから送つて来ておるわけでありますから、その値段をうんと引下げるとか、あるいは向うの責任において品物をとりかえるとか、何らかのこちらで抗議をする方法がないのかどうか。ただ、来たものはしようがないから、今後はいろいろなサンプルを見たり条件をつけたりして努力しようということで泣寝入りになるのか。その結論を聞いているのです。
  22. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 今までの条件でございますと、契約の条件はすべて発地フアイナルということになつておるわけでございます。従いましてその場合におきましては、これに対する契約条件で別に条項がなければ、クレームは立て得ない。従いましてこの問題といたしましては、検査というものは着地フアイナルで、こちらが主で検査をして、それが検査契約条件の照合の対象になる、つまり着地フアイナルにする必要がある。これは実はわれわれも痛感いたしておるわけでございます。これは従来でございますと、国の状態によりまして着地フアイナルであり、発地フアイナルであるということがいろいろあるわけでありますが、われわれといたしましても、貿易が強く、商社が相当熟練しておりまして、そうしてまた相手国とのいろいろな通商関係におきまして優位に立ち得る場合におきましては、この着地フアイナルというものを主張できるのではないか、これが食糧事情の根本的な需給の関係がゆるみますと、いわゆる買手市場になりますと、この着地フアイナルの考え方というものは相当強く主張できるのではないか、今実は着地フアイナルを主張する方がわれわれとしては非常に有利であるというようなことで、そういう考えでもつて検討をし、契約の場合に交渉いたしておる次第であります。
  23. 片島港

    ○片島委員 今までのところはそれじや仕方がなかつた。これからはそういうふうに着いてから後に検査をして、そこで基準に合わないものははねる、こういうようなことになるというわけでありますか。
  24. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これは相手国との交渉でございます。交渉が妥結いたしまして、着地フアイナルの主張が認められますと、そういう形になるわけであります。われわれといたしましては、こういう着地フアイナルの方に持つて行くように努力いたしたいと思います。
  25. 片島港

    ○片島委員 そうするとこれは食糧庁としては当然相当大きな赤字を持つわけですが。ちよつと私計算いたしてみましても、ここに出ているこの食糧関係で二十数億円の赤字が現実に出ております。そうすると食糧庁関係で今度大分お騒ぎになつた行政整理でも、何千人首になさつたか知りませんけれども、二十数億円というと、今の国家公務員のベースからして一万人以上の人間を年間使用するだけの欠損の食糧会計をやつているわけであります。現在の公務員ベースが約一万六千円べースといたしまして二十億円といたしますと、一万人を年間養うだけの欠損をしている。こういう欠損というのは、ほかの食糧等に当然これは影響して来ると思うのでありますが、たとえば内地の産米とか何かに影響して来るのか、あるいはその予算というものはまた別途に、一般会計の方から補填してもらうとか、赤字なつたものは結局どこかにしわ寄せになるのか、穴埋めをしてもらうのか、どういうことによつてこれを処理しておられるか。
  26. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この場合におきましては、この赤字は従来食糧特別会計におきまして決算上繰越益が出ておつたわけでございますので、その繰越益が減少するという形において処理されるわけでございます。この価格のきめ方につきましては、売渡し価格につきましては、大麦の場合でございますと、内麦の買入れ価格から算定いたしまして内地大麦の売渡し価格をきめて参ります。この内地大麦の売渡し価格に対しまして、その原麦からできて参ります製品の歩どまりがどれくらいあるかということから、それぞれの歩どまりによりまして価格を決定いたして参る。こういう形にいたしておるわけでございます。
  27. 片島港

    ○片島委員 今売渡し価格のことを言われたので、私も実はお尋ねしようかと思つたのですが、そういうような計算で売渡し価格をきめるため、悪いものは悪いようにきめられるわけです。しかしながらこれを見ましても、売れなければだんだんと値を下げて行つておられるのです。しかもどうも売れないで残つているものもある。売れなければどの程度まで値段を下げることができるのであるか、それが一つ。それからどうしても売れないものはこれをどういうふうに処分せられるのであるか、この二点をお伺いしたい。
  28. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この大麦、これは内地の裸麦も同様でございますが、この原麦の価格はその当時に行われております市中の、いわゆる製品の歩どまり価格でございます。たとえば現在でございますと、大麦が七〇から六七%程度の歩どまりになつております。そうすると、製品価格は同一でございますので、その原麦の歩どまりが六〇にとまるか七〇にとまるかということから逆算的に価格を算定いたして参るわけでございます。ただこれを損害をできるだけ少くするという意味におきまして、この残つたものの売却につきましては入札の方法による、具体的には現在の飼料の状態からいたしまして相当の高値になつておりますので、飼料用にまわして参るということも考えて参りたい、この場合には入札の方法でもつてやりたいと思つております。
  29. 片島港

    ○片島委員 そういうふうにしてやつおられるが、同じ品物でもだんだん売れなくなつて残つて来ると、値段を下げて行つておられる。だんだん安くしておられる。だから歩どまりがとうとか、製品の値段はどうかとかいうのではなくて、だんだん製品は安くして行つておられると思う。売れるものはだんだん安くして行つているが、いいのかどうか、その点が第一点。それからその限度、どこまで安くするのであるか、それから先売れないものはどうするのか。売れないで残つておるのが現在あるわけですか。その二つを聞いておるのです。
  30. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 その限度といたしましては、精麦にする場合と、これを他の用途といたしまして代替する場合、大麦の場合でありますと、その用途は飼料用ということが一つの限界になろうと思います。従いましてその限界の飼料用よりも高く売れる範囲においては、歩どまりを考えてやつて行く、売れぬ場合においては、それは食糧として処置できない、残つておりますものは食糧として売れないということになりますと、飼料用としてそれを売却するという形になるわけでございます。食糧と飼料とは、大麦につきましては、大体そこに一つの限界があるわけであります。飼料用にも高く売れ、食糧用としても高く売れる範囲内で歩どまりを下げて参る、こういうわけであります。
  31. 柴田義男

    柴田委員 大分関連が続きましたが、私ども聞くことを大分聞いていただきまして、たいへんけつこうでございます。結局今問題になつておるイラクの麦の問題は、核心にまだ触れていないと思いますが、二十六年度に多量のものが残つてつて、そうしてなぜこれを買つたかという問題は、単に統制が撤廃になるということで、手持ちのものを持つていなければ、値を上げてはならぬ、こういうことでお買いになつたというふうにしか聞えないのですが、そういうことだけが理由であつたのかどうか。もう一つは、今片島委員からも質問されておりますが、莫大な損失食糧特別会計にでき上つておるのだが、この莫大な食糧特別会計の損失というものは、すべてが国民の損失になるわけであります。食糧庁のこの問題、その他の問題に御関係の方々は、ほんとうに国の予算、いわゆる血税でもつてこういう食糧関係を扱つておるんだという御認識があるのかどうか。われわれはまつたくこの議論を越えて義憤を感ぜざるを得ないのです。今はイラク大麦が問題になつておりますけれども、次のパキスタンの米の輸入問題にいたしましても、あるいは小麦輸入問題にいたしましても、随所に大きなミスを重ねておるんだが、はたして食糧庁の前谷さん以下の方々は、ほんとうに熱情を持つてつておるのかどうか。商社等との結託によつて、だれか第三者に大きな利益をもたらすようにやつておるとしか見えない面もたくさんあるんだが、そういうことがもしもあつたとするならば、それらに対する責任をだれに負わしたのか、この点を承りたいと思います。
  32. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの柴田委員の御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、食糧会計に対する感覚と申しますか、考え方が、従来の物の面での需給を合す、こういう考え方ではいけないということは私も痛感いたしております。従来食糧が逼迫いたしておりまして、物の面でつじつまが合えば、食糧管理の面は何とか目的を達したという考え方でなく、物の面の需給のつじつまを合せ、そうして物の価格が上らないようにする、あるいは生産者買入れで計画的な配給ができる。こういうことはもちろんでございます。同時にまたその買上げ資金でございますが、食糧特別会計としましては莫大な外貨を使つて買い入れて、それを消費者に売り渡すということによつてバランスをとつておりますし、外米等につきましては、輸入補給金を国民の租税によつてまかなつておる。こういうわけでありますので、その取扱いについては、いやしくもルーズな考え方を持ち、ルーズな扱い方をするということは、許されないことだというように考えておるのであります。御指摘の商社と云々ということは、われわれとしては絶対にそういうことはない。ただ当時の需給事情なり、いろいろな点の考え方が経理面との関連において、どの程度にそれが十分に検討されたかという点について、私としては十分反省しなければならない、こう思つております。
  33. 大上司

    大上委員長代理 吉田賢一君。
  34. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 イラクの外麦の問題についてなお二、三の点をはつきりしておきたいのであります。これは一つは法律問題であろうと思います。そこで政府が買主であり、売主が日綿実業株式会社外七社、こうなつております。そういたしますと、これは、国際的の慣例によりまして適当に検査さす、こういう契約条項があるということもわかりますが、しかし問題は法律的に危険負担は売主にあり、こういうふうに考えることが私は当然でないかと思います。政府が受渡しするのは着港でするはずであります。でありますから、着港で受渡ししますまでに発生いたしましたその損害は、荷積み以前に検査が行われておるにかかわらず、その後どういう原因のために損害が発生したかもわからない、従つて危険負担が売主にありということが私はこの契約性質だろうと思います。そうであるとするならば、売主、日綿実業外七社が当然この損害の責任を負うべきであると考えますが、いかがでありましようか。
  35. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 御指摘のように、この件は買主に責任があるか、売主に責任があるかということは、契約条項によるわけでございますが、その契約条項として、当時の貿易の形態といたしましては、その検査が、先ほども申し上げましたように、国際的の検定機関の発地が基準になるという形になつておるわけであります。従つてその発地におきまする検査機関の基準が合つておりますと、これは契約条項としては義務の履行になろうかと思います。この大麦の問題は、品質の問題といたしましては異物の混入率等の問題、そのイラク大麦からできて参ります製品、つまり精麦歩どまりが何ぼであるかということに、価格関係としては重要な影響があるわけであります。
  36. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なるほど国際的検定機関であるミドル・スーパーインテンダンス会社、これの検定の結果によつて受渡しする、その検定の結果が現われておる、こういうことになつておるのだろうと思いますけれども、しかしながらやはり内地で検査をした場合に、かなり想像以上の粗悪な事実が現われておるのでありますから、そんならばこれは検定いたしました検定会社が義務を履行しなかつた結果によるかもしれませんし、あるいはそこに過失があつたかもわかりませんし等々ありますので、私は概括してかような場合には、一種のクレームがありとして商社との間に相当なる交渉が進められねばならぬと思います。今新しい制度によつてこれを改革するということをお述べになつておりましたが、それは別問題であります。また当時の国際市場が売手市場か、買手市場であつたか、これも一応別にしなければなりません。やはり法律的には、そこは厳格に責任関係を明確にするというので、一応このイランの大麦の問題は、商社との間に最高の厳格な交渉が進められねばならなかつたと思います。その点十分に尽しておられないものならば、まだ時期は過ぎ去つておりません。たとえばそこに一種の法律上の不法行為があるならば、まだ時効にもなつておりませんし、あるいは契約違反があるならば、債務履行関係もまだ法律上の有効期間でありますので、この点については食糧庁といたしまして、やはりきわめて重大な食糧会計上の問題として、あらためて法律的な検討をなさつてもおそくないと思います。手続としてはいろいろと御処理の後かもしれませんけれども、しかし今後の問題もあり、またそもそもこの商社の実態も、日綿実業会社というのは有名な会社でありますが、外七社という会社はどんな会社かわかりませんので、資力があるかないかについても簡単に御説明なさつてそうして政府といたしましては、法律的な再検討をなさつてはいかがでしようか。その御意思がおありでしようか。これは不可能なことではないと思います。
  37. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの吉田委員のお話でございますが、実はこの問題につきましては、法律的に契約条項に違反するかどうかということを検討いたしたわけでございます。その契約条項の不備という問題は別にいたしまして契約条項から申しますとクレームを出し得ないというふうな考え方で処理されたわけでございます。  なお七社の……。
  38. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは書類をいただくことでよろしゆうございますから、一言だけ、他の七社は相当資力、信用等があるかどうかだけを伺つておきます。あとで書面を出してください。
  39. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 食糧輸入につきましては、登録をいたしまして、その登録商社の中から買つておりますので、これは貿易商といたしましても、一般の貿易商のものでございますから、貿易商としては決して資力がないというふうなものではないのであります。
  40. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは現地におきまして検査をしたのでありましようけれども、これは政府の出張員もおつたかどうか、もしくは今日本の外務省の経済的な能力がある人がおるのかどうか。政府契約の違反にならぬような法律的な結論に達したようなお説でありますけれども、どうも少し合点が行きにくいのであります。でありますので、これは現地において検査が適正に行われたかどうかということを御研究になつたのでしようか。またそういうことについて政府は監督をする機関でも持つてつたかどうか。また漫然と言うと語弊がありますけれども、異物混入の事実上高いもので、粗悪品であつたことが暴露しておりますので、日本人の食用にたえないのであります。食糧の適格性を相当数量欠いておるのでありますから、こういうようなものについて法律上看過するということは、私は将来のためによくないと思うのです。これは何かほかに原因がないかというようなさつき同僚の御質問もあつたのでありますが、これが不正であるかどうかということは一応別にいたしまして、国際信用の立場からいたしましても、日本政府食糧として買い入れておるのでありまして、えさを買い入れておるのではないのであります。しかるに食糧の不適格品が多量に出たというようなことは、まつたくこれは法律契約の信義の原則からいたしましても、私はそういうものは破棄できると思うのです。これは国内における民事上の取引として、また政府がかりに食糧として国内においてある穀物をお買取りになつてその際に事実上食糧の適格性を欠いておるものが多量に出ましたならば、それでも契約に書いてあるのだからやむを得ずということで泣き寝入りをするということはあり得ません。やはりその目的を達することができない物品を受取るということは、契約趣旨に合いませんので、これは解約もできますし、また中間に何かの事情があれば、それについて責任の追究もできるのでありますから、さきに述べたことくに、おそしといえどもまだ失効の期間ではございませんので、いかがでしようか、御勧告申しますが、まだきよう済んでしまうのではありませんし、あなたの方でも法律の御専門の人もあると思いますので、なおひとつ御検討になつて、もつと広い視野から、高いあらゆる角度から検討してみるということにせられてはいかがかと思いますが、いかがでございましようか。
  41. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの吉田さんの第一の御質問でございますが、当時現地におきましては、食糧庁の駐在員はおらなかつたのであります。これが検査の内容が適正に行われたかどうかという問題になりますと、現地の立会いもございませんので的確にでき得ないかと思いますが、われわれといたしましては、この穀物取引について世界的にいろいろ検査をやつおる機関がございますので、その当時としてはこの機関を信用して検査を委任する、その検査の合格品をとるという形にならざるを得なかつたのであります。検査が的確に参りますためには、現在タイ米等につきましてはその検査機関に日本人、つまり食糧庁におきまして国内検査にも熟達した人を採用してもらうというふうなこと、及びタィにつきましては、検査の場合の仲裁機関というふうなものも提議をいたしております。そういう形で検査につきましてもわれわれが関与し得るような体制に持つて行くことが必要であろうかと思います。
  42. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の重点的に伺いますことは、やはりまだ問題はあると思いますので、的確に検査ができたかどうか、よしんば的確性を欠いておらなかつたといたしましても、いろいろとその他の条件を欠くことがあつたかどうか、あるいは検査をさすことは、政府関係においては私は売り主に責任、義務があると思う。でありますから売主がそういうことについて最善の義務を尽し、管理をなし、または政府に対しまして責任を負うという関係にありまするので、こういう粗悪品を受取つたということは、何らか売主に責任がなくてはならぬと思います。そこでもうすでに法律的な御検討もあつたというお話でありますけれども、あなたの御説明なつたごとくに、食糧庁はやはり物の需給について、非常に良心的にお考えになりまするけれども、しかし会計の面においていささか不十分であつたごとくに、もう一つ法律的関係においても私は十分でなかつたと思うのであります。でありますから、これはやはり法律的に明らかにしまして、国際取引の信義の徹底という面から見ましても、こういう問題はもつとはつきり解決しておかなければいかぬと思います。やはりお互いに重要な食糧を、今後におきましてもアメリカとの取引もせなければなりますまいし、進んで今別に伺おうとしておりますけれども小麦輸入の問題もありますし、粗悪品を漫然と受取るということで次々に問題を起すということは、私は一つの侮辱ではないかと思います。でありまするから、法律問題といたしましては、契約関係が履行されたかどうか、それからその検査関係とかあるいは立合い関係等々につきまして、さらに再検討なさる御意思があるかどうか。した方がいいと思いますので、勧告的な意味におきまして御質問申したい、こういう趣旨なんであります。
  43. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。その当時の契約関係等におきまして、その当時といたしましては、これにつきまして契約条項から照した法律的な立場からいたしますると、クレームが立ち得ないという結論に達したわけでありますが、お説のように、さらに契約条項につきまして専門家に考究してもらうということは、私たちも考えたいと思います。
  44. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういうふうになさることは、私はたいへんけつこうだと思います。何しろ代金合計三十四億八千余万円も支払つておるというような案件でございますし、また検査院の三局長の御説明によりますと、代金の損害額として十億九千九百余万円さらに保管料が一億円ということになりますと、約十二億円がその二つによる損害になつておるように思われまするので、こういうような莫大なものを漫然と背負い込んでおることはいかがかと思いまするから、ひとつ速急にそれこそ厳密に法律的に再検討を進められて、どうぞ適当な機会に当委員会に御報告あらんことを希望しておきます。  もう一つ残つておりまするのでお聞きしておきたいと思いますが、この問題の一つといたしまして、日本食糧として主食の用に供するために買おうということでありまするが、ヨーロッパではえさとして使い、日本と朝鮮だけが食糧にするというような実物らしいのでありますから、えさのつもりで管理適切でなかつたということも、管理の仕方の責任とかいうものの考え方に違いがあつたからではないかと思いまするので、それもちよつと簡単に述べておいていただきたい。  もう一つ、朝鮮の方へ五千三百トンですか、売つておるのでありますが、朝鮮へ売るということは、内地で売れなかつたということになるのでしようか。これは粗悪であつたので、極端に想像するならば、朝鮮が買うてもくれなかつたら、内地でさらに持ちあぐんでしまうのではなかつたであろうか。現在におきましてもなお八千トンほど残品が倉庫に寝ておるらしいのでありまするから、それほど粗悪なものであつたのか、こういうことも考えるが、現在の八千トンというものは、日本人は麦を食うのでありますが、食えないので寝ておるのでありますか、一体どうでありますか。この二点をひとつはつきりしておきたい。
  45. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。第一点の朝鮮の関係でございますが、われわれ食糧の管理をいたしておりまする面からいたしますると、食糧の輸出については許可制をとつておるわけでございます。その当時の事情といたしましては、これを輸出する場合に政府原料から輸出するというのが当時の状態といたしまして通例でございますので、朝鮮との間に精麦の売買契約ができましたものに対して原料払下げをいたしておつたわけであります。その際におきましては、大体イラク麦とか特殊のものについて限定をして払下げをしておつた、こういう事情であります。それからもう一つの点の、大麦取引は国際的に飼料として取引をされているのではないかというお話でありますが、大勢としては取引相当部分は飼料用として取引をされておるわけでございます。これにつきましてはわれわれとしましても、食糧を買うという面からいたしまして、そのグレードにつきましは十分注意をいたしておつたわけでございますが、結局この食糧用で価格が安いか高いかというふうな問題は、その歩どまり関係が非常に影響するのであります。歩どまり関係におきまして、内麦との関係におきまして、商社と申しますか、精麦工場がいずれが有利であるかというふうな形でもつて買い進みまするので、こういうふうな売れ残りになつたという結果を見たのであります。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結局イラク大麦購入によりまして、政府といたしましては経理上何ほど国の損害が発生したということになつておるのですか。
  47. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 今までの会計検査院の御指摘のほかに、その後に売却をいたしましたもの、それから現在手持ちしております七千トン余のものにつきましては、今後の売却がどの程度できるかということできまつて参りますが、概算を申しますと約十三、四億じやなかろうかと考えております。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからこの残品の処理は、今のところ見通しはつかぬのでしようか、どうでしようか。やはりこれは倉敷料が依然として相当つて行くだろうと思うのですが……。
  49. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これにつきましては歩どまり関係を考えまして、できるだけ精麦の用途に充てたいと考えておりまするが、現在ふすまが非常に高騰いたしております。また飼料全体といたしましても相当高騰いたしておりますので、政府といたしましても飼料用の関係に売るということが、御指摘のように、将来金利、保管料がかさむというふうな点から考えて、そういうことも一つの方法であろうということで、その採算関係を十分検討いたしております。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 パキスタンの米について少し伺いますが、この日綿実業ほか七社というのは、今のイラク大麦の七社と同会社になるのでしようか。
  51. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 今調べておりますから、調べましてあとで御報告いたします。
  52. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 イラク大麦の買入れについて関連して伺いますが、日綿実業株式会社というのはどこにあるのでありますか。
  53. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これは本社が大阪だと思います。
  54. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私は今おらなかつたのですが、柴田委員が多分尋ねたのでありましようが、受渡しの場所はあちらだ、こういう話だそうですが、受渡しの場所はどこであろうとも、この売買の物件に瑕疵がある場合において、日本政府はこの瑕疵をいつ発見されたか。そうしてその発見された瑕疵をこの日綿実業株式会社に対して通告されたかどうか。それから契約書はわれわれは知らないからわからないけれども、この政府の釈明によりますと、三%以下の異物の混入を条件としておる、こういうことを述べられておるのでありまするが、三%以下ということが条件になつておるとするなれば、ここに会計検査院が指摘しておる通りでありますから、すでにこの大麦は三%以上であることは明らかでありましよう。それであるとするならば、これについて当然日綿実業株式会社に抗議をなさなければならなかつたのでありますが、これらはいかがでございますか。
  55. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これはただいま吉田委員からもお話があつたわけでございますが、われわれのその当時におきまする契約条項から照しました場合におきましては、この契約条項に対する違反はないというふうに考えておるのでありますが、ただいまお話のように、さらにそれをもう少し広い見地から研究する必要があるではないか、こういうお話でございましたので、その点についてはわれわれでなく、さらにその道の専門家に研究してもらいたいというふうに考えております。
  56. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私の尋ねておることと答えが違うのです。契約条項に違反があるかないかということを私は伺つておるのではありません。国民の食糧として買い入れたものにこのような瑕疵があつたのでありまするが、この瑕疵をいつ食糧庁は発見したかということなのです。すでに政府が三%以下の条件を付して購入したものである、こういうことを言つておるのだから、三%以下であれば、それはよろしいということは当然なのでありましよう。三%以下であれば契約違反じやないのでありましよう。しかしその異物というのはいかなるものを意味しておるのか、その異物が土であるかあるいはもみであるか、それは別個の問題としまして、三%以上であつたなれば何も第三者に研究してもらわぬでも、契約違反をしておるのじやありませんか。異物の混入が多くて食べられないということになつたなれば三%以上である。人に研究してもらわぬでも、見ただけで明らかにいけないとわかるじやありませんか。だから会計検査院がここに指摘しておるような事実をいつ発見されたか、そうしてこの会社に、こういうことではいけないじやないかという抗議をなさつたかなさらないか、こういうことです。
  57. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 このいつ発見したかという点につきましては、売却の際にこれについてそういう事情が明確になつたわけでありますが、もちろんその当時におきまして契約条項を検討したわけでありますが、商社に対するクレームの問題としてはなり得ないというふうに考えましたので、今後の取引にあたりまして十分注意を与えたわけであります。
  58. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうもはつきりしないのですが、売却のときにわかつたというのは、民間へこれを食糧として配給しようとして売却するときにわかつたのですか。この会計検査院の指摘で行くと、ほとんど食糧としては使用できないのでこれを処分しておるというようにあるのですが、今のあなたの売却の際に発見されたというのは、どういう売却をするときでしようか。朝鮮に売却したということも言われておるが、いつの売却の際に発見したのか。
  59. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げますが、この大麦の売却につきましては、一般の麦の売却と同様に、アメリカ産のものあるいはイラク産のもの、カナダ産のものというふうに国産を指定いたしまして、政府の売却価格に従いまして売却いたすわけでございますが、結局この問題は麦の歩どまり関係になりまして、歩どまりが低くなりますと、民間のものがとりにくい、こういう事情であります。一般民間に売却する際にイラクのものは品質が悪い、ということは歩どまりが非常に低い、こういう事情になりますので、売れ残つたわけであります。
  60. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうも私が伺つておることと答えが違うのです、私の問い方が悪いのかもしれませんが……。食糧庁品物買つた品物が条件通り品物であるかどうかということをいつ検査なさるのでしよう。
  61. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これは二十七年四月に購入したのですから、入着と同時に受入れ検査をするわけであります。
  62. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 わけではない、したのですか。しないのですか。
  63. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これはしておるわけであります。
  64. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それでは入着と同時に検査をしたのですね。検査をしたとなればこのときのこういうことが発見されたのですか、発見されなかつたのですか。
  65. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 異物の混入その他につきましては発地におきまする検定機関の検査によるわけでございますので、それによつて受入れるわけでありますから、問題はその歩どまりが予定通りのものかどうかという点におきまして、民間の方では、歩どまりが低いとその価格ではとれないという歩どまり関係になるわけであります。従つてその歩どまり関係は売却の際に民間から歩どまりが出ないからこれでは一般のもの並みにはとれない、こういう形になります。
  66. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうもおかしいですね、発地の方でどうとかこうとかいうのではない、そうするとあなたの方で二十七年四月入着のときに検査したのはどういうことを検査したのですか。
  67. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この検査の場合におきましては、数量の問題も検査いたしますし、発地の検定機関の検定書にもとづきましてその異物の混入量その他も検査するわけでありますが、その検査の結果が契約内容に定めました許容率以下でありますので、これを受入れたわけであります。
  68. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そうすると、その検査をしたときにここに会計検査院が指摘しておるような事項がわかつたのですか、わからないのですか。こういうような事項がわかつたなれば、当然にこれは契約に反しておるではありませんか。私が検査をしたかしないかと尋ねたのは、少くとも人間が食う品物として買い入れておるのですから、発地の方で検査したとかしないとかいうことは別個の問題です。そんな発地の方に責任を負わせるとか負わせないとかいう問題ではない。食糧が内地に上つて来たならば、食糧庁は実際に人間の食うものに適するか適しないかということを当然調べなければなりません。それですから、そのときに会計検査院の指摘しておるようなことがわかつたのかわからなかつたのかということなんです。
  69. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 具体的な異物の混入その他につきましては契約の範囲内でございますし、もし範囲外でございますれば、これはもちろん賠償をとつておるわけでございます。ただ会計検査院の御指摘は、一般的にほかの国のものと比べて品質が悪かつたということでございまして、これは御指摘の通りであります。その品質の問題は、カナダなりアメリカなりのものと比べまして、精麦歩どまりがどの程度のものになるかという点が主たる点になるのだろうと考えるのでありまして、この精麦歩どまりの点につきましては、一応売却の場合におきまして現実に採算が合わないから、工場はその後引取らない、こういう形になつて参るわけであります。
  70. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 会計検査院の御指摘は、よその国のものと比較して悪い、そういうことじやないのです。値段の点については、他国にはもつと安いものがあるのに、ということが最初の方に書いてあります。そのことは、あなたの方のお答えにも、それはスターリング地域からの買付がポンド関係から強く要請されていた、こういうことで、あるいは値段のことはそういうことになるかもしれませんけれども品質が粗悪であつて食糧として人間の食うものに適しないということがここに言われておるのですが、それはどうなんですか。異物の混入とかなんとかいうこともさることながら、異物の混入についても著しく多くてという、この著しく多くてということは、少くとも契約条項よりも多いのじやないかと思う。異物の混入は第二段としましても、品質が粗悪で人間が食うに適しないということになつているのですが、これはそういうことはなかつたのですか。いかがなんですか。
  71. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これは人間の食うのに適しないというのではないのでありまして、すでに食糧用として売却をいたしておるのでございますが、歩どまりの関係から売行きが不良であるという形になつたわけであります。
  72. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大麦の問題はいろいろなおございますけれども、きようは。パキスタンの米についてお伺いしようと思います。この中の日綿実業ほか七社の御調査が手元におありだろうと思いますが、これはどういう会社なんですか。そして一口に申せば、これは輸入商社として指定されたものには違いないだろうと思いますけれどもちよつと概況だけでも述べてもらえませんか。
  73. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 詳細にはいずれ会社の名前を調べまして資料を差上げたいと思いますが、大体食糧の貿易に当つておりまするものは、日本におきまする貿易商社としても有力なものがこれに当つているわけでございまして、特に食糧のみにというようなものでなく、一般的な会社でございます。(「名前を言つてください」と呼ぶ者あり)名前を申し上げますと、大体日綿実業株式会社、江商それから東棉でございます。ただいま申し上げましたのは、パキスタン米のものにつきまして……。
  74. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二百八十二ページに「日綿実業株式会社ほか七社」となつておりますね。
  75. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この七社と申しますのは、われわれの取扱いでございますと、一ぱい一社という形で取扱つているわけでございまして、ダブるわけでございます。でございますから、商社といたしましては、東棉、江商、日綿ということになるのでございます。なお今の手元の資料が間違つてつてはいけませんから、正確に取調べまして御報告いたしたいと思います。
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは貸借対表照なり財務諸表もお出し願いまして会社の状況を一応知りたいと思いますから、おはからい願いたいと思います。  ついでになおこのパキスタン米並びにイラク大麦等の輸入につきましては商社と売買契約をしておりますので、輸入とは別に契約書があろうと思いますからお出し願いたいと思います。  そこでこのパキスタン米の問題でございますが、これもイラク大麦と同じような問題を内蔵いたしております。その重要な一つは、やはり品質が非常に悪かつた、たとえば砕米が五〇%も包含されている、こういう事実でございます。なお検査報告によりますと、「二十八年十月末現在において、一六、八三〇トンはそのまでは主食用として配給することができず、」ということになつております。そういうわけでありますので、やはり主食の適格品でないものがずいぶん多量に含有されているわけであります。     〔大上委員長代理退席、安井委員長代理着席〕 そこでこの契約につきましても、日本人の食糧に適する米をパキスタンから買い入れるという趣旨で、小麦と米穀の相互取引契約なるものが日本パキスタン間に結ばれたはずであります。右のように、こういう正常な食糧米に適しないものが多量にあるという以上は、まず売主の三社の商社に向つて契約上の法律的な責任を問うという道が講ぜられなければならぬと思うのであります。この点、さきのイラク大麦と類似の問題でありますので、ひとつはつきりと御説明つておきたいと思います。
  77. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 パキスタン米小麦の問題につきましては、小麦と米穀の相互取引契約日本政府パキスタン政府とでいたしたわけでございます。さらに別に日本政府としましては、商社からの代行という形におきましてこれを取扱わせたわけでございまして、その別途の契約はもちろんあるわけでございますが、その契約条項を検討いたしました場合におきまして、たとえば砕米の混入という場合におきましても、許容限度三五%以内になつております場合にはこれは賠償をとり得ないわけでありますが、それ以上のものについてはもちろん賠償をとつているわけでございます。
  78. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいま日綿実業ほか二社でありますね、東洋棉花と江商株式会社、これを輸入について代行せしめたような御説明でありますが、検査院のそれは二百八十二ページの終りから三行目の日綿実業株式会社外七社から三十九億六千六百余万円で購入したということになつておりますが、これはこれらの会社から政府購入買受けをしたのではないでしようか。輸入代行という実ではあつたかもしれませんけれども、法律的契約の形はこれらの会社と政府が振りかえの契約をしたということに契約書は取結ばれているんではないでしようか。
  79. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 パキスタン米とそれから小麦との交換につきましては、日本政府とパスキタン政府との間の契約によりまして、その内容が決定されたわけでございまして、日本から持つて行きます場合、それから向うから引取る場合におきましては、それを実質的には代行という形にいたしているわけであります。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 他の資料が参つているようでありますけれども、私ちよつと熟読の機会がなかつたのでありますけれども検査院の方のお調べではパキスタン米の買入れは政府と日綿実業ほか七社の売買ということに判定なさるような資料があつたのではないでしようか。検査院でもよろしゆうございます。
  81. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 パキスタン米イラク大麦などと違いまして、これは購入したのは小麦であります。これは日綿実業株式会社外七会社から購入いたしましてそれをカラチに持つて行きまして、向うで米を受取つたわけであります。この検査報告にもこれを東洋棉花株式会社外二会社に運賃これこれで東京外三港に運送させ、こうなりましてほかのイラク大麦とはその点違うようであります。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちよつと私が誤読しておりましたので失礼いたしました。政府政府との間の相互取引契約によつて政府は相手国政府から受取るべき米を日綿実業等に代行させた、こういう関係らしゆうございまするが、代行の関係になるといたしましても、代行者におきまして、しからば品質の粗悪なものを受取つてそして渡すという、そういうときにそこに何らか責任の関係というものが相当発生しておつたのではないでしようか。たとえば先方のパキスタンから受取るときに、こちらの一定の契約による規格品であつたかどうかを検定する義務はその代行者においてあつたのではないでしようか。もつともこれは代行さした契約書をただいま見ておりませんので、どの程度の契約で、どの程度の義務を負担せしめておつたか、それを聞かずして質問することは、少し考え方が疎漏と思いますけれども、それはいかがなものでしようか。代行者といたしましてこれらの商社が受取る際に、政府契約上の規格品を受取るという責任があつたのではないのでしようか。そこに何らかの責任関係を追究すべき」事情があつたのかいなや。
  83. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 取引関係におきましては日本政府パキスタン政府とにおいて一定の条件をきめましてその条件の検査におきましては、この場合でございますと、この検定機関の検定によることにいたしているわけでございます。従つて契約面からいたしますとその商社には責任はないわけでありますが、われわれとしては現地に人を派遣しておらないわけですから、その検定書にあるものと実際引渡されましたものとの引取り関係につきましては事実上そういう代行を委託いたしている、こういう関係になつているわけであります。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、パキスタンといたしましては検定の実はあつたといたしましても、品物自体がどんなに厳密な検定が行われたかいなやは知りませんが、不可抗力で粗悪品がわからなかつたという場合は別といたしまして、たかが米でありますから、これはおそらくは日本に持つてつて想像外の粗悪な実情であつたと思うのですが、この米について相手の政府に対しまして相当なクレームもしくはその他の交渉をなさつたのでしようか、いかがでしようか。
  85. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの御質問でございますが、もちろん政府間におきましてもたとえば砕米あるいは來雑物、事故粒というようなものにつきましての許容限界を越えておりますものにつきましてはクレームを申し出ることが当然でございます。その許容限界内のものにつきましてはこれはクレームが申し立てられない、こういう形になるわけでございまして、その範囲内でございますので、クレームの申出はいたしておらないわけであります。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは着地の検査の結果、平均五〇%の被害粒の混入でありますが、また一等品におきましても混入は相当つたようでありますが、こういうことが許されている契約趣旨になつていたかどうか。
  87. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 被害粒につきましてはバスマティ、カングニィそれぞれ品種によりまして条件が違うわけでございますが、六%の許容限界内でありまして、それにつきましてはクレームをつけることは契約上といたしましては困難な点があつたろうと思います。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはやはり委員長、ひとつ契約書を委員会に御提出願いまして、そうして契約書によりまして私ども再検討してみたいと思います。どうぞお諮り願いたいと思います。  それからもう一つ聞いておきますが、価格が当初考えておりましたものから相当上まわつているようなこういう検査院の報告になつておりますが、こういう関係は事実あつたんでしようか、どうでしようか。その辺は何か食違いを生ずべき原因が後に発生でもしたのでしようか。
  89. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 価格関係におきましては、米につきましてはそれを買いまする場合の他の米との比較、及び小麦につきましては小麦を買いまする場合の他のものとの比較をいたしまして、そのもとにおきまする規格をきめたものでございまして、実質上の品質問題、あるいはその後におきまする国内での嗜好の問題等からいたしまして、売却の問題につきましては、その当時考えました場合におきましては大体均衡をとれておるのではなかろうかというふうに考えたのでございますが、小麦値段等はやはりそれぞれ変動もございまして、そういう事情もあろうかと思います。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 パキスタン米輸入につきましては、少しこの契約書を検討いたしまして、私は御質問したいと思いますから御了承願いたいと思います。  それからもら一つ聞きまするが、集荷奨励金の問題でございます。報告番号昭和二十士年度決算報告の一〇五三号、二百八十八ページ、集荷奨励金の問題でございまするが、二十十年度の決定計算書によりますと、特別会計の管理費歳出として二百六十四億三千七百九十九万六升円ということになつておるようであります。この管理費の中の集荷委託費というのが支出済歳出額といたしまして十五億八百三十三万余円、こういうことになつておりまして、その次の七、集荷奨励金、これでありますが、この集荷奨励金の支出済歳出額が三億三千十百八十二万余円と、こういうことになつておりまするが、ただいま一〇五三号で問題になつておりまするのは、この集荷奨励金に該当することになるのでしようか、ちよつとお伺いします。
  91. 安井大吉

    ○安井委員長代理 吉田委員、今のパキスタン米契約というのはパキスタンとの契約書ですか。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 政府間の契約書です。
  93. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 集荷奨励金の数字が四億五千六百万円の分でございますか。——これがそれに該当するわけでございます。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちよつと聞きのがしましたが、ただいま私が指摘しましたことに該当するのですか。
  95. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 数字がちよつと違いますので……。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それではもう一ぺん申し上げます。要するにこの管理費が二百六十四億何がしということになつておりますが、これで集荷奨励金に該当するもの、要するにもつと広い意味におきまして集荷のための奨励の経費、これはさらに他の名目になつておるかわかりませんけれども、どのくらいの予算、決算になつておりましようか、ちよつとその概略を二十七年、二十八年を通じて御説明つておきたい、こう思います。
  97. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 集荷奨励金は、食糧管理特別会計としては歳出の面におきましては、その米穀年度におきまする奨励金の総額はそこまでになるわけでございますが、年度間といたしますると、米の集荷が翌年度に延びまする場合がございますので、その場合におきましては支出未済として繰越し明許という形になつて参るわけでございます。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二十七年と二十八年にわたりましてもう少し内容の御説明を願いたいのですが……。
  99. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの御質問は予算面でございましようか、それとも……。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は予算と決算を両方言つてもらえばなおいいと思いますが、これは指摘したのと数字の違うような御説明でありましたので、一応二十七年度特別会計決定計算書、これによりまして私はちよつと指摘したのでありますけれども、百二十九ページ、食管会計の管理費というものの歳出予算額というのが二百六十四億三千七百九十九万六千円、この中には運搬費とか集荷手数料とか米麦加工費とか保管料等々いろいろありますが、6、7というところに集荷委託費、集荷奨励金、こういうものがございますので、ただいま二十七年決算報告の一五〇三、これの集荷奨励金の問題は、要するにこの費目に該当するのであるかどうか、こう思いまして指摘したのですが、数字が違つておるような御説明でありましたのであなたの方から御説明願いたい。
  101. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げますが、ここにございます百二十九ページでございますが、これの管理費のうちの集荷手数料と申しますのは、これに該当するものではないわけでございまして、これは普通の場合におきます一俵幾らという一般の取扱いの問題でございます。
  102. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その次のページ……。
  103. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 次のページにございます集荷奨励金がこれに該当するものでございます。
  104. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、二十七年度では四億五千六百二十五万九千円の予算、それから前年度繰越しなし、それから支出済歳出額は三億三千七百八十二万一千七百四十五円、翌年度への繰越しが一億一千八百四十三万七千二百五十五円、こういうことになるようでありますが、そうでありますか。
  105. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 その通りでございます。
  106. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで実はきよう終るわけに行きませんので、やはり全販連という公共の大きな団体に対しましてこの集荷奨励金が渡されまして、そうして農協へ、従つて末端の農家へ割れて流れて行くその金額、その割合というものは一応決算委員会において検討する必要があろうと思いますので、私は次会に全販連の責任者、それから全販連における二十七、八年の財務諸表、特に集荷奨励金に関する決算書類、そういつたものの提出をあらかじめしてもらいまして、この間の問題を検討したい、こう思いますので、委員長においてぜひおはからいを願いたいのであります。  そこでそれの前提といたしましてきようは少しく食糧庁当局に伺つておきたいと思うのであります。さきに会計検査院当局説明のありました事実でございますが、全販連以外のものへは一俵について十八円、全販連に対しましては三十四円六十銭、これが県連へは三十円七十九銭、末端農協へは十七円四十銭、しかるときにはこの数字の比較だけで見ると、末端には少くなつて、全販連の受けたものが多過ぎる、こういうような関係になつております。そこで奨励金の累進の表というようなものも出ておるのでありますが、これらの表面上の数字を少し比較してみましても相当これは、少くとも公正でないように感ぜられるのでありますが、食糧庁当局としてはどういうふうにこの問題をごらんになつておるのであるか、一応御説明を願つておきたい。
  107. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この問題につきましては、御承知のように二十七年度におきまする米の集荷にあたりまして特別指定集荷制度というものを設けまして、集荷業者の努力によりまして米の集荷を促進しよう、こういう考え方でこの制度を立てたわけでございます。従いましてこれはいわゆる買入れ代金というので農民の手に渡るものではございませんで、集荷を担当する者に対する奨励金といたしまして累進的な方法をとつたわけでございます。その当時におきまする考え方といたしましては、農業協同組合系統におきましては一つの系統組織一本となつて集荷を督励してもらうことが必要であろうということで、こういう制度をとつたわけでございますが、本年度におきましては会計検査院の御指摘もございますので、その制度を改めまして御指摘のように末端集荷に対してこれに奨励金を交付して参るということが適当であろう、ただそれぞれの段階に応じまして協力が必要でございますので、政府におきましてその限度をきめまして、そうして末端におきまする一般の単協が最もその点について努力しておりますので、末端単協の集荷単位によりまして奨励金を交付する、こういう形に改正をいたしたわけでございます。
  108. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さつき私は農家へと言いましたが、これは間違いでありましたので訂正しておきたいと思います。ところでこのたびは、本年からですか、さように制度をおかえになりましたのであればそれはいいといたしまして、さかのぼりましてやはり一応検討はぜひしておかなければなりません。末端の単協へは十七円四十銭、県の指導連に対しましては三十円七十九銭ですか、これは何か費用、手数料というものが必要なものであろうかどうか、それは改正されたのでありますから、これが適当でないというので改正になつたかと思いますけれども、なぜ一体この中間にこういうような大きな金額が減つて行くのであろうか、これが少額の金の問題ならばさることでありますけれども、やはりここにあげられましたのによりましても、三億円以上のものが支出されておるのでありますから、こういうような莫大なものが支出される中間におきまして、どうして最上部とそれから中間との間にこんなに大きな金額が途中で減つて行くのでありましようか、ここをひとつはつきりと御説明つておきたいのであります。
  109. 安井大吉

    ○安井委員長代理 ちよつと私も伺いたい。全販連へ三十四円、県が三十円、農協が今吉田委員の言う十七円四十浅、この三億幾らの金を全販連へ渡すときには、どういう標準とどういう予算の計算で行つているか、また全販連がかつてに下級の農協へやる場合には、全販連の意思によつてその額をきめるのか、農林省の承認を経て行くのか、今の問題は吉田委員と同じように、かような等差をつけ得る法令と根拠、予算令達の執行の適否、こういう点において、何の根拠があつてかような階段がつくか、予算の三億九千五百万円を令達する場合の指定の内容あるいはその規則あるいはかくのごとき段階をつけることをここに承認する事実ありやなしや、このいきさつを明瞭に御答弁をしてください。
  110. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この集荷奨励金につきましては、その規則といたしましては、この予算の執行といたしまして内部決裁によりまして、ただいまお手元に差上げてございまする一俵以上何円、五十万俵以上三十五円、こういうふうな形で集荷の数量別にこれを交付するということにいたしているわけでございまして、その基礎は予算執行の行政上の取扱いによつて内部決定をいたしているわけでございます。この決定に基きまして農業協同組合関係におきましては、農業協同組合関係において集荷いたしました数量をこれは政府が買い入れておりますので明確になつております。この数量を調べまして、その数量によりまして定めました基準に従いまして、交付いたしたわけでございますが、この交付は農業協同組合の一体的な立場からいたしまして、全国販売組合連合会を通じて末端に流れるという仕組みにいたしているわけでございます。ただ集荷の奨励につきましては、系統農業協同組合一本となつておりますので、その各段階におきまする割振りにつきましては、直接個々にこれを政府が承認するという方法はとつておらないわけでございます。系統団体といたしましてはそれぞれ役員会、あるいはその下級団体との協議によつて決定する仕組みになつております。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしながら奨励金はあくまでも末端単位農協が現場の一番重要な仕事を担当していると私は思うのであります。そこで最も公平に流されねばならぬということは当然でありまして全販連で一本に流して団体内部の協議で適当にというようなことは、これは一種の補助金の制度でありますから、補助金の流れ方としましては、政府相当厳格にこれは監視し、見守らなければいかぬと私は思う。もし極端に言うならば、上の方でほとんど九割までとつてしまつて末端の方にはほとんどやらないような協議ができてもやむを得ないということになつたら、これはもつてのほかであります。私は決してそういう趣旨でこういう奨励金予算として国会が認めたものではないと思うのであります。でありますからいかにして集荷するかということについて、もつとも苦労の伴うところの末端ができるだけゆたかにもらえるということが本来の趣旨でなければならぬが、どうも数字の実際を見てみると、末端へ行つてしまうとだんだん少くなつてしまうということになつておるのであります。そういう点は厳重に干渉はできぬということは私はふしぎだと思うのです。農林省といたしまして、食糧庁といたしまして、これは何も、一本でとは言いながらも、一種の委託をしたのと同じような趣旨で、元来がほんとうに集荷をしてくれる方面へ流して行くような趣旨で委託とすれば委託したわけでありますから、どういう分配でもかまわぬということはもつてのほかだと思うのであります。なぜもつと厳重に分配に介入して、それはいかぬ——検査院が指摘するまでもなく政府としては当然わかつてつたのでありましようから、そこはひとつ端的に農林省として干渉することはできなかつたものでしようか、知つてつてそのまま見のがしておいたのかいなや、こういう辺についてはつきりとしておきたいと思うのであります。
  112. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この制度につきましては、当初供出割当をいたします際におきましての奨励金の取扱い方法は、こういう方法でこういう段階を置いて行うということは、供出割当の際にも府県当局に申し上げておりましたし、またこれを同時に公表しておつたわけでございます。ただ農業協同組合に関しては、その系統組織として一本化して全国集計によつてこの基準に当てはめるということも、この制度を実施いたします場合に明らかにしておつたわけであります。われわれといたしましては、農業協同組合内部におきまして、それぞれその適正な活動に準じて、相互の協議によつて適正が期し得られるものと期待いたしておつたわけでございますが、先ほどの会計検査院の御指摘にございましたように、その配分につきまして御指摘のような結果になりましたので、今年度から直接単協が取扱う場合の累進制度というふうに制度を改めたわけであります。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 改めた結果は、単協へはどういう割合でこの奨励金を与えられることになつたのでしようか。
  114. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この制度といたしましては、単協単位にその集荷量に応じて累進をするということにいたしまして、県連、全販連に対しましては、協力をするであろうという予定のもとこ、これは別個奨励金として累進をしないで交付して参るという形に、御指摘のように政府が関与して、その間の配分をきめてしまうという形にいたしたのであります。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その制度はまだ実行していないのですか。
  116. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 現在実施中でございます。これは超過供出の集荷が遅れて参りましたので、二十九年度にも越して実施しておるわけでございます。
  117. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、結局は金額にしてどのくらいの割合で配分になりつつあるのでありましようか、その数字を御説明願いたいと思います。
  118. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいま正確な数字を持つておりませんので、正確な数字は後刻申し上げますが、現在承知しております範囲では、全販連は全体で大体二千万円程度になろうかと思います。それから県連につきましては、その県連におきます供出数量の割合によつて、もちろん各県連ごとに違つて参りますが、総額といたしまして、たしか三、四千万円じやないかと考えております。あとは全部累進に従つた単協に交付するという形にいたしておるわけであります。
  119. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、改正前と比較いたしまして、単協の実入りはどういうことにかわつて参りつつあるのでしようか。
  120. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 大体この四億五千万円のうち三億七、八千万円あるいはそれ以上かと思います。その程度のものは単協に参る予定になつております。
  121. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は単協の実際の実入りの改正前との比較をしてもらいたいのです。
  122. 安井大吉

    ○安井委員長代理 ちよつとついでに会計検査院に伺いますが、ここで非違として掲げられた「本件奨励金の交付は適切であつたとは認められない。」ということは、下級ほど安いということで今吉田委員の御指摘の通りだと思うが、この予算の令達が適当でないとお認めになつたのは、予算の令達の内容から見て不適当であるとお認めになつたのか、何かよるべきものがあつたのにその基準を踏み破つてつたことが認められないのか、またどうすることが適当であるかということがなければならぬと思う。従つて、今度の改正による二千万円、四千万円、三億九千万円というものは、会計検査院は協議にあずかつて適当なりと大体御判断になつておるのか、あわせてそれを伺いたい。
  123. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 お答えをいたします。二十七年度の分でありますが、予算は、先ほども申し上げましたし、ここにも書いてございますが、二百八十八ページの全国単協約一万五千というものを予定いたしまして、そして累進的に交付するというような積算になつているのであります。それで、名前もごらんの通りにこれは集荷累進奨励金でありまして、全国一本でやるという趣旨のものではないのであります。予算にただそういう計算だけでありますが、説明書を見ましてもなかなかこれははつきり書いてない、ぼかしてあるようにも見えるのであります。しかし、私どもとしては、筋道から参りまして、二百八十九ページの「しかし、」以下に書いてあるのですが、集荷累進奨励金は米穀の特別集荷及び超過供出の促進に最も尽力したと認められる単協にやるのが予算性質として当然じやないだろうか、こういう趣旨であつたわけであります。三十四円余りのものがだんだんに細くなりまして、全販連から県に交付するときには県ごとにまとめた数字でこの累進表を適用しているのであります。それに一俵五円でしたかのボーナス的なものは載せてはおります。それから各県連では、各単協ごとにこの累進表を適用してやつているわけであります。そういうように、単協に対してはその小さい数量で渡す、県連に対しては県全体でまとめたもので渡す、全販連に対しては全国一本にして渡すということをやりますれば当然金が残つてしまうわけであります。そういう交付の方法はおもしろくないのじやないか、こういう趣旨批難したわけでございまして、先ほども申し上げました通り全国で一本にまとめて三十四円なんぼというのがかりにそのまま単協に流れて参りますれば、それはまた考えようが違つて来ると思うのであります。これもいいか悪いかは別といたしまして、ともかくも国の出しました予算がそつくり末端まで届いているという事態になるのでありまして、これは本件のような批難は私はできないと思うのでありますが、今のように途中で、たつた一本の累進額表、これは一本の表なのでありますが、その適用の範囲をだんだん狭めて参りまして、自然に差が出て来るというようなやり方をしたのはおもしろくない。それから、全販連が独断でやつたのか農林省の指示によつてつたのかという点は、私どもも繰返し伺つておるのでありますが、これははつきりいたしません。しかし考えましても、全販連がかつてにこういうことをやれるものでは、私はないと思うのでありますが、この点は明瞭になつておりません。  それから二十八年度の分でありますが、これは大体交付を終りましたが、御参考までに申上げておきますが、全販連のとりました金は二千六百三十八万円であります。それから県連は四千百十万円であります。これは一俵当り全坂連は二円、県連は三円という割合でやつておるのであります。それから末端の単協に行きました金は二億千五百万円であります。三億円にはなつておりません。県連がとりましたのは四千百万円、全販連がとりましたのは二千六百万円、この率も見方でありますが、相当高い率ではあります。私どもはこれについて、別にあらかじめ御相談を受けたということはございません。それから二十七年度は、全販連がとりました金は、前の段階でも四千三百万円ほどとつております。それからあとの方をごらんになりますと、なお書きで、集荷促進奨励金として全販連が五千九百円万とつておるのでありまして、両方合せますと相当な領であります。これに比べますと、二十八年度の方はうんと減つておりますが、今申し上げました通り、二十八年度の配分につきましては、私どもまだ十分研究しなければならぬと考えておるのであります。
  124. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 関連して。そこで会計検査院は、今度の新しいものについて、全販連と県販連がとつておる金に対して適当であると思いますか、思いませんか。関与したとかしないとかは、行政庁がかつてにやることですからよろしいとして、全販連、県販連が金をとつておることが、この金の性質からいつて適当であるかどうか。
  125. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 これは昨年度の分についても同じことが言えるのでありますけれども、私どもは、単協は超過供出を集めるのに非常に骨を折つているだろうと思いますが、どうも県連の労苦と申しますか、県連の努力というものがどの程度なのかわからないのであります。全販連になりますとなおわからない。金がございますから、いろいろ会議とか何かは相当頻繁にやつておられますが、これもはたしてどうしてもやらなければならない性質の会議なのか、旅費なのか、こういう点がどうも私どもわからないのであります。今年の分につきましても、一俵二円、あるいは県連の三円というものが一体妥当かどうかということは、どういうサービスをしたかということできまるのではないか、こう思うのでありますが、今いいとか悪いとか言うことは、ちよつとまだサービスの内容もわかりませんし、申し上げかねるのであります。
  126. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 この点はきわめて重大なことでありまして、実はこれは先般来から私が問題にして、本日は吉田委員から全販連の責任者を呼ぶように言われましたが、さらにこれを改正されたといたしましても、今会計検査院が言うようなわけで、一俵について二円とか三円とかいうそういう金をとる必要があるかないかです。ぜひ会計検査院も会計の面について、こういうことについて幾ら費用がかかつた、なるほどこれはこうだと、こういうことは数字的にほかの金と違うのです。集荷業者にまかせて集荷する金を政府から渡すのですから、その金を全販連が二円、県販連が三円と、こうとることが、はたしてその金の性質上妥当であるかどうかということを、会計検査院におかれてもひとつさらに御研究願いたいと思う。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 集荷奨励金につきましては、その後また集荷推進の奨励金ですか五千九百万円受取つたりしているものもございます。これは各府県にわければ大したことでないかもしれませんが、とかく明瞭を欠いた数字が相当検討を要すべき性質をもつて現われておりますので、やはり次会にいろいろな資料によつて明確にいたしまして、制度が改まつているかいなやにかかわりませず、私どもはやはりこれは検討したいと思います。本日はこの程度にいたします。
  128. 安井大吉

    ○安井委員長代理 徳安實藏君。
  129. 徳安實藏

    徳安委員 あとさきになりますけれどもちようど今問題になつておりますから、一五〇三の集荷奨励金の点について、各委員からいろいろ御質問がございましたが、なお私からも二、三ただしてみたいと思います。会計検査院の方から御指摘になりましたように、この金は大体単位集荷業者すなわち農協等に対しその集荷した数量に応じて交付するのが最も正しいと思うということがここに書いてございますが、私ども常識から考えまして、やはりその考え方が何人にも共通する考え方でないか、何ゆえに一本にして高い料率でお払いになつたか、これは政府の方針として、こういう一本にしようという命令でもしたのでしようか。あるいは食糧庁だけの考えでお出しになつたのか、その点をひとつ明瞭にしていただきたい。
  130. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。少し余談にわたるかもしれませんが、その当時の考え方といたしまして特別集荷制度を設けまして、特別集荷制度は登録されております商人の集荷業者、それから農業協同組合の系統と、大体二つになつております。その当時の考え方といたしましては、集荷業者の競争による一つの集荷促進が、当時における集荷のための一つの対策というふうに考えたわけでございます。そういたしましてこの累進額表を定めましてこれはこういう表によつてやる。ただ系統組織につきましては、これは考え方の問題でございますが、協同組合といたしましては協同組合系統組織として一本というふうな考え方があるわけでございます。これは協同組合の考え方から来るわけでございますが、そういう協同組合の一本というふうな考え方に基きまして、協同組合につきましては、その組織全体として一本にするということを明らかに当初からいたしておるわけでございます。
  131. 徳安實藏

    徳安委員 そうすると、今の説明を聞きますと、会計検査院から指摘されているような意味は否定なさることでもあり、また私どもが常識上そうあるべきでないかということも、あるいは食糧庁から見ればそうでないのだというようにお考えでございましようか。
  132. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 会計検査院の御指摘のありますように、その配分につきまして適切でございませんので、本年度において改正いたしたわけでございます。これは系統内部におきます適正な配分が行われるというような前提のもとに考えたわけでございます。
  133. 徳安實藏

    徳安委員 えてこういう問題は、ボスという言葉が昔からありますが、下の方には適正でなくて、上の方だけで話し合つて上の方の気持と下の方の実際と非常に矛盾するものが多い。おそらくこの問題もそうだろうと思いますが、私どもからそういうことについてはあまり掘り下げて悪くは考えたくありませんけれども、常識として考えて、三百俵までは幾ら、それからこうだというように小刻みであります以上は、もちろん農協以外のものもこれに加わつておりますから、そういうものに適用するだけにこういう小刻みにしたというのなら別問題でありますが、しかし全国一本になさるならば、三百俵や五百俵の範囲のものをお考えになることはないと私は思います。これをきめました当初の政府の精神というものは、やはり農協単位に小刻みに計算してやるのだという考え方ではなかつたかと考えるのです。しかし食糧庁政府の一つですから、食糧庁でそうきめられたといえば別問題ですけれども、当時この金を出すという気持の上からいいますと、これは出される食糧庁が誤つた考えでお出しになつたのではないか、そこに行き違いがあるのではないか。おそらくその当時の農林大臣がこういうことを考えて食糧庁に指示したかどうか、この点は私どもは疑わざるを得ないのです。そういう点につきましていかがでありますか。
  134. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 三百俵までとか、三百一俵以上、あるいは一万俵というように段階を置いておりますのは、実は集荷の登録業者は、大体九割以上を農協系統が占めておりますが、やはり個人の集荷業者がおるわけでございまして大体全国的な集荷業者平均数というふうなものからいたしましてこの範囲をきめたわけでございます。従いまして、上と下との間に開きがあるのではないかという御指摘ごもつともでございますが、農業協同組合の系統組織と、それから商人の場合は個人ということが主でございますので、その点があるわけでございます。この問題につきまして、当初の考え方を大臣の意見によつてかえたというふうな事実はないと私らは聞いております。
  135. 徳安實藏

    徳安委員 大臣の意見によつてかえたのではなくて、要するに、大臣並びに政府の考え方を曲げて食糧庁がそういうことにしたのではないかというように考えるのです。今度は改正されたといいますから、おそらく今後はよくなりましようが、改正されたあの行き方でもまだ私どはちよつとふに落ちない点がございますけれども、そういうぐあいにすでに初めからわかつているようなことを、なぜ一本化して多額の金を払われたか。しかも先ほど会計検査院からもしばしば御指摘がありますように、二百九十ページの最後の方にあるように、集荷促進奨励金というものは全販連には約六千万円も出ている。そういうものから考えまして、これは当然もし一本で考える場合があつたといたしましても、それはほんとうの書類上の計算を一本でする、その事務を扱うのだ、その費用として六千万円を政府の方がやるのだ。来た奨励金はあげて府県に流し、府県もいろいろな手続もございましようが、県連から申しますれば、別にえらい手数がかかるわけでない。各町村の単位農協から報告が来たものを集計して報告するだけですから、それに事務員が十人も二十人もいらない。だからそういう金をとるのは不自然なことであつて、そういう金はあげて単位農協に流すべきだというふうに私どもは考えるわけです。もし今の御説明のように全国一本にして全販に流すことが妥当なんだということでありますならば、ああいう金をとることを大体初めから御了承の上でおやりになつたのでしようか。もしそうだとするなら、この六千万円という金は一体どういう意味なんでしようか、それをひとつお聞かせ願いたい。
  136. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この集荷奨励金のバツクになつておりますのは、いわゆる特別集荷制度と自由供出という問題とは多少違つて来るかと思いますが、従来の供出制度のほかに、一定の幅を持つて集荷業者の努力によつて集荷を進めたいわゆる特別集荷制度、これは二十八年産米については廃止したわけでございますが、そういう集荷業者の努力の範囲を認めて参るという考え方でスタートしたわけでありますが、御承知のように食糧政府の管理でございます。自由収買という形には行い得ないわけでございますので、奨励金をもつてそういう制度を達せしめよう、こういう考え方で出発いたしたわけでございます。ただ全国的に一本にするということは当初からの考え方でございますが、その配分につきましては、御指摘のように当然に末端の方に多く行くべきであるということは、われわれも考えているわけでございますし、そう考えておつたのでございますが、この普通の政府統制しておらないものの一つの割合、各系統機関におきまして販売する場合の割合というふうなものは、系統内部としていろいろ協議してきめているわけでございますが、われわれといたしましては、その間系統内部において十分その配分について適正が期し得られるものというふうに考えているわけでございます。
  137. 徳安實藏

    徳安委員 そういたしますと、この六千万円近い集荷促進奨励金というものと、それから一五〇三に指摘してあります集荷関係のものとは全然別個なものでございますか。
  138. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 やはり集荷を促進するという意味におきましては、その目的は同一でございますが、交付の方法といたしましては別の立て方をいたしております。
  139. 徳安實藏

    徳安委員 どうもそういう点について私どもは納得し得ない点がありますので、私どもはやはりこういう制度があるという点から考えますならば、やはりこの特別集荷奨励金農協単位にやるべきものであつて、そうしてそういう上級団体はこうした別な奨励金を六千万円もらつているのでありますから、事務の負担をそれによつて支弁すべきだというふうなぐあいに考えるわけですが、これは考え違いだとすれば、しかたありません。  そこで次にお伺いいたしますが、こういう半分も行つていない、これは相談の上でやつたのだろうから、別にこちらの方で干渉することはない、またこういうばからしいわけ方をするものじやなかつたと思つてつたというような御意思のようでありますが、こういうことに対しましては、一体食糧庁は、相手方が全販であるから、どういうぐあいにわけようと、話合いでわけたのだろうと思うから、たといそれに三分の一行こうと、五分の一行こうと、これは何も監督権はないのだ、またそんなばかなことはないじやないかといつて説諭もできないのだ、だたやればやりつぱなしだ、そういう意味なんでございますか。
  140. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 決してこれがやりつぱなしで、どうなつてもいいというふうな考え方をいたしているわけではないのでございます。ただ集荷の促進につきましては、これは物理的な面におきまして取扱いを単協でいたしております。その当時といたしましては六千六百万石の生産がありながら、供出割当は二千二百九十万石しかできなかつた、こういう事情がありますので、上級団体あるいは県当局の督励が必要であろうというふうに考えたわけでございます。ただ算定の考え方といたしましては、全国段階で適用する場合、府県段階で適用する場合、それから町村段階で適用する場合、その適用が累進になつておりますので、そこの場合におきましては差が出て参ろうかと思いますが、この系統組織全体を通じての供出の督励促進は、組織全体を活用するという意味におきましてこういう考え方をいたしたのであります。
  141. 徳安實藏

    徳安委員 次に伺いますが、こういう金のわけ方をしたということは、これは会計検査院から指摘されて初めて発見されましたか、あるいは発見されない前から、すでにこういうわけ方をしたということが食糧庁にわかつておりましたでしようか、ちよつとその点をお知らせ願いたいと思います。
  142. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 食糧庁といたしましては、全体的な集計からいたしまして、総額はきまるわけでございます。個別の県別の形としてはいろいろまとめておつたわけでございますが、この制度自体は、すでに末端まで全国集計でもつて行うということは、知らしておつたわけでございます。従いまして、当然に累進表からしまして、農協全体といたしましてはどの程度の額に当るということは、それぞれ各県、全国の供出数量が出て参りますので、当然おのずから見当がつくわけでございます。従いまして会計検査院から御指摘がございまして、具体的な数字がわれわれとしても明確になつたわけでございますが、この制度自体につきましては、そういうふうな考え方であらかじめこういう制度を公表するということを明らかにいたしまして、そしてそのもとにおきまする各団体の努力をしてもらう。そこでその団体間の配分については、団体別の協議が行われるというふうに考えておつたわけでございます。
  143. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、食糧庁は初めから全国の全販があれだけの頭をとり、それから県連があれだけの頭をとるということがおわかりの上で、ああいう金をおやりになつたというぐあいに解釈してよろしゆうございましようか。かりに今の話のように、農協単位で一俵当り幾ら、三百俵の集めたものは十五円だ、あるいは五百俵集めたものは二十円だというようなぐあいに、小刻みの料金で県は払えばいいのだ、しかし一本の払いには全体を集めた金額でやるのだというような御説明に考えられるのですが、初めからそういうような考えで、全販やあるいは県連に対して、そういう大きな中間搾取といいますか、不当な金をとつてもいいのだ、またそれは余徳なんだ、世話料だというようにお考えになつておられたのでございましようか。
  144. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 あるいは私の申し上げ方が悪かつたかと思いますが、私が申し上げたかつたのは、制度全体として、全国的な数量でもつてこの表による奨励金を適用するかどうかという点について、当初は県段階あるいは町村段階でこれは考えておつて、途中でかえたのじやないかという先刻の御質に対して、それはそうじやございません、当初から全国段階で集計して奨励金を適用することを考えておつたということを申し上げたのであります。ただ具体的にその三段階におきましてどういう配分をするかということは、実はわれわれも予定がなかつたわけでございますが、従来の共販事業状態からいたしまして、各単協、県連、全販が共同販売をやる場合におきまする手数料の配分率が、それはものによつて違うのですが、おのずからきまつてつたわけであります。そういう事情からいたしまして、系統内部におきまして、それぞれこういう場合におきまする配分については協議があり、しかも末端に対しては秘密でなく、こういう金が行くということをはつきりさしておれば、そこにおのずから系統内部としての適正な配分が行われるだろう、かように考えておつたわけです。
  145. 徳安實藏

    徳安委員 またいずれ機会もございましようから、その機会にこの点は譲りますが、いずれにいたしましても、単位農協は非常に疲弊困憊して、赤字をうんと持つてよたよたしております。もちろん県連も赤字をたくさん持つておるところもあるようでありますが、願わくはそうした集荷奨励金等はあげてできるだけ多く農協にやつて、それを強化させることこそ必要であつて中間が非常な多額な金を搾取するというようなことは、これはどういう考えからしましても妥当でないと思います。私も与党ですけれども、もし当時の政府当局がそうした考え方で出したとしますならば、これはほんとうに大きな失敗です。しかし今度は改めたそうですから、けつこうなことでありますが、どうかそうした失敗を再び繰返さないようにしていただきたい。  次に会計検査院の局長さんにちよつとお伺いいたしますが、県連について——この問題ばかりではございませんが、ほかの問題に関連して、会計検査院がその経理状態を監査する権限はないのでございますか。
  146. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 県連は会計検査院で直接検査するということは、ちよつと今のところはむずかしいのじやないだろうか、こう考えております。この調べも、私どもその前からほかのことはいろいろ聞いておりましたが、こういうふうに全国一本にしてしまつて、だんだん先に行くに従つて細くなるというようなことは、昨年十月に初めて検査で知つて驚いたわけであります。県連に幾ら全販連から渡して、その県連が幾ら末端に流したというようなことは、昨年検査報告をつくる直前にわかつたような次第でありまして、私どもとしては、今のところ、県連を検査対象として取上げるということはちよつと考えていないわけであります。
  147. 徳安實藏

    徳安委員 それではさらに伺いますが、この問題以外にやはり国の金が流れておるような点もあるのじやないかと思いますが、そうした点からは検査はできないのでございますか。
  148. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 県連に行きます金は、食糧庁関係ではほかにないと思います。一般補助でも、県連が事業主体になるという場合は非常に少いのであります。林野なんかにちよつと例がございますが、それ以外にはちよつと思い当るところもございません。単位農協にはたくさん補助金が参つております。災害復旧とかなんとかで単位農協事業主体になるという例は相当に多いのでありまして県連はあまりそういうことはないのじやないかと思います。
  149. 徳安實藏

    徳安委員 それではその点は私は研究してあとからただすことにいたしましてこの問題はこの程度にいたしておきます。  米の輸入問題について、一口伺いセいと思います。これは商社に買付をさして、それから政府が買うというようなことでなく、政府みずから買うという方法はつかぬものでございましようか。かつて私は詳しいことは知りませんが、大正七、八年の米騒動の時分に、農林省に行つておりまして、外米事件のときは担当記者であつたのでございますが、当時は事務官が相当ビルマその他に参りまして、政府みずから買付したこともあつたのじやないかと記憶しております。これだけの大きな金を使い、またこれだけの大きな損失を見ながら、どういう契約であるかわかりませんが、着いてみたら悪いものがたくさんあつた、その責任の追究はできないのだというような考え方は、これは少し不親切な行き方ではないか。もし政府がほんとうに誠心誠意やるならば、みずからの力によつて買上げる方法はないものだろうか、こういう点についてひとつ長官から伺いたいと思います。
  150. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 御指摘のように、従前におきましては、政府がFOBで買つたという事実もあるわけでございます。現在におきましては、外務省の派遣員といたしまして、外務省に籍を置きましてタイ、ビルマ食糧庁から一名大使館員として派遣しておるというような実情でございますので、現在の海外の在外公館の状態からいたしまして、また食糧庁が直接FOBで買うという点については、まだその段階に至つておらないわけでございまして、われわれといたしましても、大体におきまして米等につきましては、政府間の契約でもつて内容をきめて参る、そうして具体的な輸送その他の代行を商社にやらす、こういうふうな方向で進んでおるわけでございますが、御指摘のように、政府が買うということも従来やつたわけでございますので、できないことはないと思いますが、ただこれには在外公館の人員の問題等いろいろ他の点もございますので、検討しなければならないと思います。
  151. 徳安實藏

    徳安委員 この代行につきましても、先ほどパキスタン米のことについていろいろお話がございましたが、これは代行さしたのだということですが、輸送だけの面のことならば別にこういう商社を入れなくて、むしろ輸送専門の船会社その他に輸送を依頼すればいいので、どういうわけで代行が必要なのか、それをちよつと承りたいと思います。
  152. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 現地の実態といたしましては、たとえばタイの場合におきましては、はしけ業者の監督、はしけ輸送その他具体的な実務が相当あるわけでございますが、食糧庁から一人行つて、それでもつてその業務をなし得るということは、これは不可能でございますので、根本的な点については、政府価格その他をきめまして、そうして実務を代行せしめておるわけでございます。あるいはまた先ほどのお話のように、また私が申し上げたように、今後の方向として、完全な商社の自由買付によつて、そうして政府がシフで着地渡しで買うということも、相手国の市場その他のことから十分検討を必要とするのではないかと考えております。
  153. 徳安實藏

    徳安委員 代行でない場合においては、商社が買いつけました相場というものは、一々政府にわかつておりますか。
  154. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 買付の代行でない場合におきましては、外貨予算の範囲内におきまして数量をきめまして、ポンド地域、ドル地域、あるいはその地域内のどこの国というふうな国と金額をきめまして商社のテンダーによつてこれを実施して参る。そのテンダーの場合におきまして、いろいろなテンダーの買付条件をこちらから示しまして、その買付条件によつてテンダーをいたしまして、そのテンダーの価格で買いつける。そのテンダーの場合におきまして、予定価格をきめます場合は、もちろん各国のそれぞれの価格というものを調べまして予定価格にいたしております。
  155. 徳安實藏

    徳安委員 大分時間も来ましたし、お急ぎのようでありますから、次の機会に譲りまして、もう一点伺つておきたいと思います。  先ほどお示しになりました会社の中にも、なるほど資産内容等についてもりつぱなものもございましようが、中には天下に名をなした大きな商社でも、借金をたな上げしなければやつて行けなかつたものもあります。こういうものを政府がほんとうにたよりにして、こうした大きな取引をなさることが妥当であるかどうかということを考えてみますると、今はそういう非国民はないでしようけれども、昔はずいぶん悪いことをするものが外国商社には多かつたのであります。輸出入業者には相当悪いことをする者がありました。これは犯罪が起きていないのですから、この間にはおそらくそういうことはないと思いますけれども、必ずしも先ほどおあげになつたようなものだけを相手になさるようなことでなくて、こうした大きな買付、並びにこれは一年や二年で済むものでなくて相当長い期間、自給自足のつくまで買付しなければならぬ米、あるいは麦でありますから、長官でもよくお考え願つて、そうして抜本塞源的にこうした疑いや、あるいはまた正しからざることではないかと思われるようなことが起きぬように、買付の制度等についてお考えを願つて、こうした、われわれが審議するにあたりましても、何か奥歯に物のはさまつたような、どこか不審な点があるじやないだろうかというような、疑心暗鬼を生むことのないような制度の確立をしていただきたい。さらに買付等につきましても、人手が足らぬと言えばそれまでですし、あるいは外交関係等もございましようが、内地商社が行つて買いつけるものが、政府みずから買いつけられないはずはないと思います。それから輸送関係につきましては、はしけ関係や何かのことだとか、あるいは船の関係等は、今おあげになつておる会社等よりか、もつと専門的な実力を持ち、またそうした面に堪能な技術を持つている者が日本にはほかにあると思います。ですから売買は政府関係でやるのだ、その輸送をするのだというならば、これは何人か現地に行かれて、そしてほんとうにそうした輸送をする責任者、専門家と話合いをしていただけば、こういう中間的な、責任がはたしてあるかないかわからぬような代行社にやらせる必要はないじやないか、こういう点については、さらに再検討される必要があるじやないかというふうに考えます。  委員長も時間をお急ぎのようでありますから、この程度にいたしまして、次に留保したいと思います。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次会の審議のために資料を、要求いたしたいと思います。その関連がありますので、ちよつと尋ねておきたいと思います。  MSAの関係の農産物購入協定とか経済的措置協定というものができたようであります。これによつてアメリカから小麦とか大麦などを輸入することになつて、すでに到着したと聞きますが、これの現実に買い取る数量とか代金、それから円の支払いにつきまして、これは日銀へ払い込んで積み立てておくとか聞き及んでおりますが、この会計は一体どこの会計に属するか。やはり食管会計のうちですることになるか、そうでなくて別になつておるかどうか。それからこれについて何か他の民間におきまして、粗悪品がまた入つていたとかということで物議をかもしていたように聞知するのですが、どうも粗悪品というものが問題になつておる折柄でありますので、この点につきましても、私どもよく検討しておきたいと思います。そこでこれらにつきまして、何か資料によつて、次会に伺えるようなものを出していただけるならばぜひお願いしたい。たとえばただいまのところどこから何港へ何トン入つているか、あるいはそれの価格関係はどうなつておるか、会計面、あるいは輸入面等々につきましての資料をお出し願えばけつこうであります。それに先だちまして、何らか御説明をきよう願つておきましたらなおけつこうだと思います。  それからもう一つ資料といたしまして、さつきの集荷奨励金の件に関しまして、二十八年度の食管会計の決算見込み——まだ決算ができておらぬと思いますが、できておれば決算報告、できておらなければ見込みでよろしいが、特に集荷奨励金につきましては、若干説明を記していただきたい。この焦点はただいまの奨励金に関して質疑するためであります。これを資料としてお願いしたいと思います。
  157. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 MSAの問題は、御承知のように、大体小麦五十万トン、大麦十万トンということで予定いたしております。価格につきましては、そのときの市価によつて買つて参る、こういう形にいたしております。食糧特別会計とこの関係は、食糧特別会計におきましては通常の輸入と手続的には何らかわりはございません。つまり食糧庁がMSA分として普通輸入すると同じように公表いたしましてテンダーをやつて買入れをする。これの外貨につきましては、一応外貨予算に計上いたしまして、商社が通産省から外貨の許可を得まして、それを自己または借入れました円で輸入をするわけでございます。そうしましてそれを食糧庁が買いました場合に、輸入業者に円を支払う。ただそのあとレジスターされますると、それに相当する外貨がアメリカ側から日本銀行に参るわけでございまして、日本銀行にいわゆるアメリカ勘定としてアメリカ側の円資金が積まれるわけでございまするし、二割のグラントにつきましては、大蔵省の所管にありまする特別会計によつてそこに積立てが行われる、こういう形になるわけでございます。  あとの二十八年度の決算の見込みその他については、資料をお届けいたします。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ついでに規格、大麦小麦など、それはきめてあるのですか。
  159. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 売買の規格につきましては、アメリカ物は、通常と同じようにアメリカ側におきまして国営の検査機関がございましてその規格に合致したものにつきましてグレードの価格が発表されるわけであります。輸出価格というものは、アメリカの検定機関のグレードによりましてきめられておるわけでございまして、その輸出価格によつてわれわれは買付をいたすわけであります。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 売買当事者は政府間ですか。
  161. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 売買当事者といたしましては、輸入業者と輸出業者という形になるわけであります。政府間ではございません。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 資料で当事者関係を明らかにしていただきたいと思います。
  163. 安井大吉

    ○安井委員長代理 今吉田さんもお話ですが、私もこういうことを考えているのです。全販連を農林省は検査したことがあるか。全販連検査して、不当と認めて注意した事項があればそれと、今年改めた内容、条件、前の全販連に三十四円、県に三十円、農協へ十七円、この階段に基く二十七年度の集荷俵数と、比較がすぐわかるような計算を出してもらいた。そうして、できれば全販連の最近の決算を出してもらい、その結果によつて会計の責任の人を呼んで尋ねる、こういうことにしたらどうかと思います。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 全販連も呼んだらよいですよ。
  165. 安井大吉

    ○安井委員長代理 それでは本日はこの程度とし、次会は明後二十六日午後一時から本件につき引続き審議いたす予定であります。  これで散会いたします。     午後四時五十五分散会