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1954-05-21 第19回国会 衆議院 決算委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十一日(金曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 大上  司君    理事 松山 義雄君 理事 安井 大吉君    理事 河野 金昇君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       徳安 實藏君    片島  港君       吉田 賢一君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君  委員外出席者         農林漁業金融公         庫理事     伊藤  博君         農林中央金庫理         事長      湯河 元威君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大沢  実君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣調査報告書に関する件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報昭和二十七  年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  まず委員派遣による調査報告書についておはかりいたします。先日印旛沼、手賀沼、並びに銚子、外川港へ委員派遣により実地調査いたしたのでありますが、これが議長に対する報告書は、資料等がまとまり次第、委員長において作成の上、提出することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、委員長に御一任願います。     —————————————
  4. 田中彰治

    田中委員長 それでは前会に引続き農林省所管事項昭和二十七年度決算検査報告、二百九十八ページ、農林漁業資金融通特別会計報告番号一五一三を議題として検討いたします。本件は農林中央金庫にも関連がありますので、特に同金庫理事出席を求めましたから御了承願います。  それではただちに質疑を許します。柴田義男君。
  5. 柴田義男

    柴田委員 この指摘されておりまする一五一三号にかかわらず、検査院当局に伺いたいと思います。農林漁業金庫金融の方途をわれわれが一応見ますると、単に規定上に定められた貸付が行われないというようなことが随所に見受けられるのでありますが、検査院でどの程度にわたつて調査したか。それから具体的には一五一三のごとくに指摘されておるもの、こういう金融に対する検査院の御調査方法はどういう角度からなさつておるのか、一度承りたいと思います。
  6. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 農林漁業資金融通特別会計は、御承知の通り二十八年度からは農林漁業金融公庫にその業務が引継がれたのでありますが、会計検査院が二十八年度中に検査を施行いたしました概況を一応申し上げますと、この貸付件数は、二十八年度の十月末までに全部で一万八千九百五十八件でございます。そのうち会計検査院が実地の検査をいたしましたのが九百二十四箇所、パーセンテージにしますと五%未満という数字になつております。そうしてこの九百二十四件の検査を施行しました結果、疑問があつていろいろ調査しました件数が二百三十一件ございます。そのうちこの一五一三号に掲げられておりますのが、件数をまとめますとこれが百二十五件になります。あとの、同じような事態ではありますが、やや程度の軽いと思われるもので、農林漁業金融公庫の方へ将来の注意をうながした件数が八十七件あります。  実施いたします方法としましては、大体まず最も融資件数の多い都道府県を選びまして、二十八年度中には全部で二十三都道府県を一応選びました。そうして選びました箇所においては、なるべく金額の多いものを現場において検査するという方法をとりまして、最も金額の多い工事箇所の近所に小さなものがありますれば、それを含めて検査をいたして来たような次第でございます。  一応検査の概要を申し上げます。
  7. 柴田義男

    柴田委員 そういう検査は比率からいうと五%しかなさらない、そういうことから現実には二百二十一件の批難されるような事件が勃発しているというのは、何か大きな原因があると思うのですが、農林漁業金融公庫責任者の方に伺いたいと思いますが、当初単に机の上だけの審査をして融資をなさつておられるのかどうか。たとえば中金なりあるいは地方銀行なりの申請書と申しますか、審査状況だけで判断なされて融資を決定されているかどうか、この点を承りたいと思います。
  8. 伊藤博

    伊藤説明員 公庫になりましてからのやり方は、現在五十三の銀行農林中央金庫業務委託をいたしまして、その金融機関で大体下調べをいたしまして、これならば大丈夫であろうというものをあげて来るわけであります。それに添付書類を私の方できめておりますが、添付されている書類で私の方で審査いたします。なお疑問があればさらに照会をいたすこともございます。大体において中央では書類審査だけでございます。
  9. 柴田義男

    柴田委員 その取扱う金融機関がそういう書類を作成するに至るまでに、たとえば地元の、林道資金の場合はそういう団体が基礎になつて計画を立て、あるいは県当局のそういう森林に関係のある部課長審査をするというようなことをわれわれは聞いているのですが、そういういろいろな種類の添付書類ができ上つて、そうして取扱い金融機関を経由して申請される。農林漁業金融公庫の方では、単にその書類審査だけで決定する。その後に、今度は決定いたしましたあとに、貸し出しました金領がどういう用途に使われているのかというような、事後調査等というものはおやりにならぬでしようか、その点を承りたい。
  10. 伊藤博

    伊藤説明員 公庫になりましてから事後調査もいたしております。それは県知事意見書というものを求めております。今度その制度ちよつとかえましたけれども、要するに県知事意見書というものを求めまして、県庁として見てこの事業が必要であるかどうか、あるいはその設計がいいかどうか、およそそのくらいかかるかどうかという意見を求めております。金を貸し出しましてからの措置としては、実際にその事業に使われるように、県知事がごらんになつて、それだけの仕事ができているという証明書を求める場合もございますし、請負人からの受取りをとる場合もございますし、何かそういう資料によつて実際使われたという確信を得てから払い出すようにしてもらいたいということを銀行に申しているわけであります。
  11. 柴田義男

    柴田委員 今一般的な金融というものは非常に極寒されておりまして、調査等も厳重であるように見受けられるのですが、その反面農林漁業金融公庫貸付方法は、何か取扱い金融機関あるいはその地元の県その他の団体だけにたよつて、さらに金融公庫として責任を負うというような態度が見受けられないのですが、そういう根本的な態度というものを理事長はいかようにお考えでございましようか。理事長さんから責任のあるお答えを願いたいと思います。
  12. 田中彰治

    田中委員長 理事長は今洋行しておられるので、伊藤理事から……。
  13. 伊藤博

    伊藤説明員 貸出しを決定いたしました以上は、下審査が疎漏であろうが、それを認めた公庫責任でございます。ただ各取扱い金融機関といたしましては、もし損失が起りますとその金融機関も二割の損失負担をいたすことになつておりますので、そうむちやなものはあげて来ないであろうと考えております。県庁意見をとりますことは、単にその貸付がいいか悪いかということだけでなく、その県の方針に合うか合わないかというところに重点を置いておるわけであります。
  14. 柴田義男

    柴田委員 取扱い金融機関は二〇%の責任で、あと八〇%というのはやはり農林漁業金庫責任でございましよう。——そういうことであれば、たとえばわれわれがこの五百万円以上の貸付一覧表を拝見いたしましても、われわれの選挙区のものに目を通してみます場合に、現実にわれわれが全然見たことも聞いたこともない業者に、やはり九百八十万あるいは五百万という借出しをやつておるのです。こういう現実をわれわれ見ました場合に、地元銀行調査をして、どういう角度でこれが審査をパスしたものかわからぬが、悪意にこれを解釈いたしますならば、地元銀行の方でこの業者焦げつきの貸出しがあつて自分のところの焦げつきの貸出し回収せんがために漁業金庫の金を利用して、そして二〇%の損をすることを覚悟の上で貸し付けていやしないかというふうにも疑いたくなるのです。こういう現実状況をわれわれ見ました場合に、この一五一三のような批難事項は、これは農業協同組合でございますからこれとは性質が違うでございましようが、一般的にそういう疑いを持たざるを得ない、こういうことが考えられるのです。回収の時期にはまだ到達しておらぬでしようから、現実回収の時期に到達いたしました場合に、はたして回収ができるかどうかということを疑わざるを得ないのですが、こういう状況というものをお考えなつたことはございませんでしようか。
  15. 伊藤博

    伊藤説明員 今おつしやつたようなものがこの中にございますかどうか、ちよつと具体的な事実を存じませんけれども、そういう自分の方の悪い資金肩がわりというものが全然ないとは断言できないと存じます。私ども公庫になりましてから特にその点気を使いまして、特に林道のようなものは公庫内部におきましても一件ずつ特別に詳しく調べるようにいたしております。従来の貸付やり方では、どうも今おつしやつたようなこと、あるいはあまりしつかりしない業者に貸し付けるということが起り得ると思いましたので、審査方法をかなり改めまして、権利を確かに持つておるかどうか、事業能力が確かにあるかどうかということをよく調べまして、林道つきましては特に必要があれば現地調査もいたさせております。
  16. 柴田義男

    柴田委員 ただ疑いだけで議論してもなんでございますが、この一五一三の一に指摘されておるのは、愛知県の富田農業協同組合外箇所潅漑排水工事外二件の資金として六千九百六十万円を貸し付けておる。しかるに会計検査院検査をいたしました結果を見ますると、工事のほんの一部に着手したにすぎない。未着手の貸付金のうち六千七百三十万円が金庫の中に預金されておる。そうしますと二百三十万円しか現実仕事をやつておらぬ。こういう現実がここに指摘されておるのですが、この問題のその後の経過はどうなつておりましようか。承りたいと思います。
  17. 伊藤博

    伊藤説明員 これは御指摘を受けまして調べてみましたところ、計画過大という御指摘でありましたが、私どもの方でこの御指摘を受けましてから、広島県の糸井土地改良区の分は、昨年の十一月六日、全額繰上げ償還を受けました。それから富田農業協同組合外箇所の分六千万円は、事業計画を変更してもらいまして、適当な計画に変更した上で、不用額については返してもらうという手続を進めております。  そういうことになる原因は、工事設計概算設計で、このくらいかかるということを申請して来まして、いよいよ借りられるということにきまつてから精細な設計をする、そういう場合にどうもこういうことが起るようであります。
  18. 柴田義男

    柴田委員 そうすると今のような金融が非常に逼迫しておる場合は、こういう計画を立てても金を貸してくださるということであるならば、利ざやをかせぐために別な金貸しもできるのではないかと思います。そうしますと農林漁業金庫がつくられた精神はまつたく没却されてしまつて、単に計画書だけを出して、潅漑排水工事をするのだ、林道をつくるのだ、こういつて低利の金を借りてそれを別な方面に浮貸ししてももうかるということになる。これでは金融公庫の本来の使命は果し得ないとわれわれは考えるのです。こういうまつたくばかげた話なんですが、それでも単に計画が完全に直れば、その金はやはりそのまま貸し付けて、十箇年償還なり、十五箇年償還というものを、当初契約された通り方法によつてやられるのか。こういうふうな、どうしてもいけないという点がはつきりとわかりました場合には、いかなる手段をもつて回収に努力されるのか、この点を承りたいと思います。
  19. 伊藤博

    伊藤説明員 貸した金を運用しまして浮貸しになるということを避けますために、私どもの方では金融機関から貸出しをいたしまして貸付金になりましても、その金が確かに工事に使われたかどうかという確信を得て払い出してもらいたいというやり方をやつております。その確信を得た資料が詐欺みたいににせのものでありましては、間違いがないとも限りませんが、金融機関ではほかのことに使われないように注意をして払出しをいたしております。  それから過去のもので今御指摘を受けておるのでありますが、こういうものは今おつしやいましたように、不当な部分は必ず返してもらうということで、いろいろ手を打つておる次第でございます。
  20. 田中彰治

  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農林中金理事長に伺います。あなたの方は最大の農林金融中央機関でありますが、全体の貸付状況つきまして資料を要求しておつたのですけれども、それは昨年の三月末現在のものしか実は来ておらぬのであります。そこで最近の状況について伺つてみたいのでありますが、あなたの方の最も近いときの貸付残額の現状及び農林漁業金融公庫受託貸付残額状況、この数字を御説明願いたいと思うのです。
  22. 湯河元威

    湯河説明員 農林中央金庫の五月十七日現在で手元にございます貸付金を申し上げますと、一般貸付金が七百十八億でございます。それから農林漁業金融公庫受託貸付金が四百九十七億でございます。これは七百十八億と別でございます。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはちよつと内部事情を調べればわかるのでありましようが、ちよつと知つておきたいのですけれども、あなたの方で農林漁業金融公庫受託金を貸し付けます場合には、これはやはり短期に貸すことのみになるのでしようか。大体農林漁業金融公庫長期貸付を主として、法律の一条を調べてみますと、中金貸付について行き渡つていない面を補充するかのような一面の性質があるようにも見受けるのでありますが、あるいはまた、その他農林漁業生産力維持増進、かつ長期低利ということが規定してあるのでありますが、この点はどうなるのでしよう。あなたの方へ入るときは常に短期になつてしまうのかあるいは、元来受託金を貸し付けるという場合には金融公庫の金でやるから、それは長期にまわすというのが趣旨になるのか、それはどつちなんですか。
  24. 湯河元威

    湯河説明員 公庫から委託を受けましたお仕事つきましては、公庫法規定に基きまして全部法律規定通り貸付をいたすのでありまして、それは長期資金にまわるわけであります。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一般貸付と、それから公庫受託分についての貸付状況が大要わかるのですが、最近他の会計を本委員会において調査いたしておりますと、ずいぶんとこげつきがあちらこちらに見受けられるのです。そこで概括的に、中金のお扱いになります中金みずからの貸付分、あるいは受託貸付分でもいいのですが、不良貸付状況はどういうふうになつておるであろうか。大体の金額及び大体の貸付の先、あるいは個々の名前はなくてもいいと思いますが、たとえば農業共済組合連合会関係などはどうなつておりましよう。不良貸付と目すべきものについてひとつ御説明願いたいと思うのです。
  26. 湯河元威

    湯河説明員 実は、ただいまの御質問でございますが、手元に材料を持つておりませんのです。私実は長い間中金に勤めておりますが、一般金融機関と比べて特別に悪いような資産状況にはなつておりませんので、どのくらいこげつきがあるかということはちよつと御説明申し上げかねのでございますが、私お預りいたしておりまして、特に出資者諸君等に御心配いただくような事態は何もない、こう申し上げさしていただきたいのでございます。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は中金資産状況が悪いことを指摘しようという意図じやないのであります。ただ、全体の農林漁業についての資金需要はずいぶんございます。そこで、適切に需要が満たされるか、もしくは、需要を満たす資金が不足している場合には比較的公平にこれが行き渡つておるかということに関心があるのであります。一方、金融機関は、農林中金農林漁業金融公庫、大体この二つしかないわけであります。もつとも地方の、信連とかあるいは協同組合とか等々がございますけれども、全国的な規模において貸し付けるというのは農林中金金融公庫であろうと存ずるのであります。でありまするので、この二つ金融機関貸付のあり方というものは、よい意味においても悪い意味においても、最も関心を持たなければいかぬと思うのであります。そこで、農林中金資産状態ないしは貸付状況が悪いからけしからぬじやないかと、そんな前提で今ものを言つているのではないのでありますから、そこはできるだけ率直に述べていただきたい。おとといも実は農業共済関係つきまして少し質疑をいたしたのでありますが、農林省からもらつた資料等によりますと、農業共済連合会が約五十億の焦げつきの不足を持つております。これはもちろん基金会計貸付が相当ございますけれども、また一方農林中金も相当貸し付けているだろうと思うのであります。そこで、金利の支払いなどかりにありといたしましても、農業共済制度自体の検討の面からいたしますると、中核的機関が赤字のために機能を麻ましているという観測が実はされるのであります。そういうことになつて来ますと、勢い、そこの資産状態とか、あるいは融資状態とか、どこから借りてどうなつているのだろうかということをどうしてもわれわれは知りたいのであります。きようは元来そこへ触れるのが主ではなかつたのでありますけれども、おとといからの続きでありますので言うのでありますが、あなたの方の貸付先の一端としまして、やはり国の農業共済事業の大事な役割を持つている地方連合会に対する農林中金貸付焦げつき状態であるのではないか。これは必ずしも農林中金を責める意味ではないのでありますが、そうではないのであろうか、償還見込みがあるのかどうか、なぜそうなるのか、こういうことを検討してみたいのであります。そういう趣旨で、全部の御説明はこの際なくていいといたしまして、具体的にここで問題が取上げられておりますので、連合会に対する貸付とその見通し等つきまして御説明願いたいのであります。
  28. 湯河元威

    湯河説明員 御質問趣旨を若干取違えておりましたので失礼なお答えを申し上げましたが、ただいま仰せのようなことにつきましては喜んで御説明いたします。私ども農林中金は、農林漁業金融公庫とともにほんとうに全国的な農林関係金融機関でございます。ことに農林中央金庫組合または連合会に対する融資をお扱いしておるのでございます。しかし、協同組合または農業共済組合連合会の方に対する関係は、主として共済基金に対する御融資になつておるのでございます。県の連合会にまま資金が足りないときに御融資する短期のものはございますけれども、その面におきましては、私の方から拝見いたしておりますと、焦げつき等のことは全然ございません。それから一般農林漁業協同組合または連合会に対する金融でございます。これにつきましては、実はこの数年来協同組合経営事業がいろいろ難航いたしまして、当時国会の皆様方にもいろいろ御心配をいただきまして、再建整備法を御制定いただき、政府から助成金をいただいて再建整備に着手いたしました。これは二十六年でございます。その後二十八年からは農林漁業組合連合会再建整備法でもなお立ち直らない点がございましたので、昨年農林漁業組合連合会整備促進法というものをおつくりいただきまして、再建整備促進に当つておるのでございますが、この段階におきまして、組合または連合会に対する貸付は、実は金融面から申しましても、いささが懸念されるものがございましたことは事実でございます。そういう状態でございまして、組合または連合会事業それ自身も、農山漁村人たちのためにいろいろうまくない面もあつたようでございますので、総がかり建直しをしようというようにかかつて来ておるのであります。そういう形におきまして、私たちの今日の感想を申し上げますれば、せつかくおきめいただきましたあの法律趣旨に従いまして、組合または連合会関係者が一致努力いたして参りますれば、今まで事業がいろいろ故障を起しましたために、いわゆる組合金融というのでございますか、信連中金の系統の金融におきまして若干心配されておりましたものも、計画的に返済してもらい得る見通しが立つという確信を持つております。中金は主として信連と取引をしております親銀行でございますが、金融機関として信連及び中金貸付金についての懸念がその努力によつてなくなる、こう思つております。それからわれわれの長い経験からいたしまして——私ではありませんが、私の職場の長い経験からいたしまして、農山漁村組合というものは、普通の会社、個人と違いまして、非常に悪くなるときがございましても、少し長い目でそれを建て直すようにして参りますといつかは健全化して参ります。消えてしまうようなことはございませんので、私たちはその長い過去の経験からいたしまして、整備促進法とか再建整備法とか、ああいう法律の御援助を得るならば大丈夫だ、こう思つております。  それから先ほどお話の当初に、何か今日の事態公庫資金なり、中金の金繰りなりで、農山漁村にまんべんなく資金需要を満たしておるか、十分であるかということをちよつとお触れになりましたが、私たちといたしましては、今日の事態で決して資金が十分だとは申せないのでございます。従いまして、特に長期低利資金が不足しておりますので、公庫の方の資金をできるだけ充実していただきたいということを、私は個人的にも考えております。それから組合金融と申しますか、農林中央金庫の方におきましてもまだまだ資金需要がございます。貯蓄を増強し、また農林債券中金が発行いたしまして集めます資金で、必ずしも十分とは私思つておらないのであります。しかしこういう金融が逼迫した時代でございますので、他から借り入れて参りますこともなかなか容易ではございません。過去におきまして、農業手形、その他何とかして資金を導入する道を開きたいと思つてつて参りましたが、今後も大いに努力しなければ相ならぬと考えております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最初にお伺いしました点、すなわち農業共済組合府県連合会貸付になつている残高は結局どのくらいあるでしようか。これは率直に述べていただきたいのです。実際は他の何らか救済措置でもとらなければ償還を得ることができないというのがほんとう実情じやないだろうか。これは多くの御説明はいりません。そうでなくても償還を受ける見込みがあるというならば、それでもよろしい。あるいはそうでなくて困難な実情だというなら、それもわかるのであります。これはひとつ簡単に述べていただきたいと思いますが、いかがでございましようか。
  30. 湯河元威

    湯河説明員 先ほど申し上げましたように、基金ができましたので、私の方は基金にお貸しをしております。それでそれまでの期間に共済組合連合会にお貸ししていたものが——これは間違つていたら、あとで別の機会に訂正させていただきますが、基金とお取引いただきまして、私の方はただいま基金に二十三億の御融資をいたしております。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その二十三億円が基金から連合会へ全部行つているわけであります。でありますから、結局連合会が何らかの措置をとらなければ救済ができないというのは、これは常識になつております。ですから、あなたの方としては、それは結局返つて来るという見込みがおありなのかどうかということを聞きたい。
  32. 湯河元威

    湯河説明員 農業共済基金は、政府と県の連合会との出資でおつくりになりまして——法律的の関係は私よく記憶しておりませんが……。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 全額出資しているのは政府だけですよ。
  34. 湯河元威

    湯河説明員 そこで政府がそこまで立ち入つていらつしやる基金でございますので、私の方は、政府なり国会なりのおきめになりました基金というものを信用いたしまして必要なる御融資をいたしておるのでございます。これがもしも基金の欠陥でございますれば、これは金融機関にそのまましわ寄せをせらるべき筋ではないと思います。しかし今のお答えが違つておりましたら、あとで訂正いたします。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは農林行政農林金融についてずいぶん古い練達の方でありますから、こういう問答をすることはお互いにむだを避けて、端的なところへ行きたいので私は露骨に申し上げますが、これは政府が半分出資している基金だから当然守つてもらつて、あなたの方の損失になるようなことはなかろうというような形式論は全部抜いて、またあなたの方の大切な資金が流れて行つた究極の使い先におきまして、将来償還見通しが困難であるというときは——基金に対する政府としての責任法律上の義務というような問題は抜いて、金融機関といたしましては、最後の使い主が払わないようなときには大いに心配するということは当然だろうと思います。そこで、きようは農林委員会があつて経済局長も見えておらぬのですけれども農業共済連合会が大きな借金をしよい込んでおることは公知の事実であります。そうしてその大部分が基金の金を食つてしまつておるし、それからあなたの方の金も出ておるということであれば、これは少くとも日本の農林行政上重大な問題だとわれわれは見ておるのであります。それで政府農林中金へ損害をかけることはなかろうというような御確信はけつこうでありますけれども、さらに進んで農業共済組合連合会の方では償還が可能であろうか、なかろうかという点を確認をされるということがもつと私は大事な点だろうと思う。そんなことをあなたに申上げるのは失礼ですけれども、おそらく重々おわかりのことだろうと思いますので、その見通しだけをもつと述べていただいたらたいへんけつこうだと思います。
  36. 湯河元威

    湯河説明員 だんだんのお話で御趣旨もわかりました。私も自分金庫の再建の問題を申し上げておきましたが、そのつながり先が今日の農業共済組合または連合会のいろいろお苦しい御事情、従いましてお取引しております基金の御融資先等につきましては、私はただいま御質問趣旨と同感でございます。何とかこれが立ち直りませんことには、基金にもよくない影響を与えて参りますので、私たちの方も心配しております。
  37. 柴田義男

    柴田委員 関連して、これはコール・ローンが二十七年三月三十一日現在でございますが四十四億五千三百万円、これは何か金の非常に余つた場合にこういうコール・ローンをお出しになるのですか。これは年々こういう方途を講じられておられるかどうか。この決算報告だけに限らぬで、何か資金が非常に余つた場合こういう方途を講ぜられるかどうかということを承りたい。
  38. 湯河元威

    湯河説明員 コールは資金が余つたときに放出をいたしております。ただいまお読み上げの数字は非常に大きいようでありますが、お手元にございます最近の数字は十五億、やはり秋から春先にかけましては預金が非常にふえて参りまして、それをいわゆる余裕金運用といたしまして、組合系統以外の方面に政府の御認可を得て融通いたすのであります。これは春先までに必ず回収してしまいまして、そうして系統の資金が春から夏にかけまして不足いたしますのに全部充てるように運用しております。ただいま御指摘の部分はちようどその部分の余裕金がごく短期間であつて、新しく貸付をなし得ないということであります。コールになつたのであります。
  39. 柴田義男

    柴田委員 それに関連いたしまして、このコール・ローンは、そういう金が遊ぶ場合は、どこの金融機関でもおやりになることが通例でございましようが、ただここで見ますると四十五億ある。そうすると農林中金の金というものは農村から引揚げて来まして、そうしてこういう莫大な資金をコールでお出しになるというようなことは、決していい運営だとは私ども見受けられませんが、これに対して理事長はどういうふうにお考えでしようか。
  40. 湯河元威

    湯河説明員 まことに御指摘通りでございますが、ただこういうことだけはひとつ御理解いただきたいのでございます。秋口から夏にかけまして、供出代金が非常に入つて参りましてそれをきわめて短期に運用しなければならないということであります。と申しますのは、春先から肥料の手当その他でどんどん蓄積された資金が流れ出すのであります。そこでそのピークが非常に急カーブをとつて来る。そのときにできるだけ有利な運用を考えたいと存じまして、それこそベストを尽して有利な運用を考える。でございますけれども、今御指摘の期日等は、金がどんどん減つて来るときでございまして、回収されたものをちよつと持つていて、どんどん今度は農村の方に貸付をかえて行かなければならないという段階ですから、心ならずもコールに出るのでございます。本来でございますれば期間を予定いたしまして、たとえば四月なら四月一ぱいはよろしい、あるいは三月一ぱいはよろしい、こういうことになりますれば、コール等の運用ではなくて、手形割引等の形でできるだけ事業会社等にも出しまして、私は有利な運用をはかりたい、こう思つております。けれども、もう一つ申し上げますことは、そういうふうな余裕金というものを農林漁業の方に使えないのかという点がございます。しかしその点はどうも秋口から冬にかけましてはもう借り手がないわけです。みんな貯金で一ぱいになつております。借りたものを返すという時期になつておりますので、心ならずもコールに出るということになつております。
  41. 柴田義男

    柴田委員 コール・ローンというのは、性質から行きますと、二日間とか三日間とかあるいは半日とかいうことでございましようが、ここに掲げたコール・ローンというのは最大の期日がどのくらいでございますか。
  42. 湯河元威

    湯河説明員 大部分が無条件ものでございます。こちらの必要のとき呼びもどすというものでございます。
  43. 柴田義男

    柴田委員 もちろんコール・ローンはそうでございますが、ただ農林中金の場合、こういう莫大な金額であるから私はそれを伺うのですが、一番長いもので何日なんですか。
  44. 湯河元威

    湯河説明員 金が入つて来るものをコールに出します。そうしてまたそれをもとしておりますので、そう長く寝ることはないのであります。
  45. 柴田義男

    柴田委員 コールでお出しになる場合でも、やはり農林大臣の指定した方面に限つて出しになつておりましようか、それとも金融に携わつておる考え方で、余つておる場合には御自由にどこかの金融機関にぽつぽつとお出しになるのでございましようか、その点を承つておきます。
  46. 湯河元威

    湯河説明員 政府の認可を受けました方面に対して出します。そうして一々の金額つきましてはたしか認可の必要はないのであります。証券会社につきましては、認可を受けず随時にやつております。
  47. 田中彰治

    田中委員長 コールのことをちよつと聞いておきたいのですが、しかし期日はあるでしよう。最長期はどのくらい、最短期はどのくらいということはあるでしよう。
  48. 湯河元威

    湯河説明員 貸付にまわすことのできないものをやむを得ずコールに出す、しかもそれをある期間私の方で縛つて出しまして有利にまわす、そういうケースもございます。しかし全部がそうではございません。
  49. 柴田義男

    柴田委員 このコールの場合は、常識では大体市場の要求があつて、たとえばどこそこの金融機関あるいは証券会社からということで毎日のように申込みがあるでしようが、そういうものであつて、しかも農林省が常に認可を与えておるものと選んでお出しになる、こういうことでしようか。
  50. 湯河元威

    湯河説明員 その通りでございます。
  51. 田中彰治

    田中委員長 しかしそれでも期間はどのくらい貸すとかいうことはないのですか。いつでも要求されたら返すのだけれども農林中金としてこういうものはどのくらいが最長期、どのくらいがいいんだということはあるでしよう。
  52. 湯河元威

    湯河説明員 その時の情勢によりまして、私ども先ほど申し上げましたように、ゆつくりしておるときと縛るときがございます。それ以外におきましては無条件で貸しております。
  53. 田中彰治

    田中委員長 縛るときはどのくらいですか。
  54. 湯河元威

    湯河説明員 一週間か二週間。
  55. 田中彰治

    田中委員長 長期でどのくらいですか。
  56. 湯河元威

    湯河説明員 私具体的によく存じませんけれども、一、二週間でございます。一月以上になりますれば手形の割引等によりまして……。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十七年度の会計検査院の決算報告書の二百九十八、二百九十九、三百ページの一五一三号に列記してある事実は御承知ですか。
  58. 湯河元威

    湯河説明員 承知しております。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはことごとく中金の扱いになつておるのです。そこで私どももこの報告を受けまして、いろいろと憂慮されますので、こういう中金農林漁業金融公庫資金を扱う方針について少し聞いておかなければならぬ、こう思うのであります。まずそれを聞きたいのでありますが、一体こういう貸付をなさるときには、さきにも府県知事の報告のようなものに相当信用を置かれるというようなことで、事実上机上調査というような説明公庫の方からせられておつたのでありますが、あなたの方は公庫の方の受託金融機関でありますから、原資はどこであるにかかわらずやはりあなたの方の責任調査しなければならぬ問題だと思います。調査すればあるいはこの数倍、数十倍の類似の事実があがるかもしれないと思いますが、調査方針というものは、たとえばこういう面はどうなるのでしようか。第一、資金需要はどれほどあるのかというようなことを御調査になつておるのかどうか。そのうち何パーセントが事実あなたの方に受理されておるという関係になるのか、現実資金需要の諸般の必要な計画についてはどの程度に実態をつかんでおられるか、こういうことについて、あなたの方はどういう方針を持つておられるか、まずこれを聞いておきたい。
  60. 湯河元威

    湯河説明員 ただいまの御質問つきまして、資金需要と申しますものは、実は申込み等の現実のものとなつて参りますので、仮空なこととしてある県内のこういう仕事にどれだけの資金需要があるかという調査は実はいたしておりません。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 つまり資金需要というものは一般的、客観的にはどういうものが何ほどあるかということはつかめない。但しいろいろな事業計画あるいは運転資金等の必要によつてそれぞれ相当の生の需要計画あるいは申込書の作成、あつせんという関係が相当あるだろうと思うのであります。その段階はおつかみになつておかねばいかぬだろうと私は思います。絶対的な必要なんということはこの際議論の余地はないのであります。そこでそれが整理され、しぼられ、だんだんと上に来て、あなたの方の受理件数というものがずつと減つてしまう。そこで元になる生の計数はどれくらいあつて、結局あなたの方に受理するというものはどれくらいの割合いになるか、これを聞くのです。この点はあらゆる公庫の需給関係についてどこでもみなあることなのです。これはひとり農林中金だけではありません。商工中金におきましても、あるいはまた住宅の資金におきましても、すべてそれはあるのでありますから、そこの数字というものは相当はつきりとおつかみになつておるのが当然と思いますので、それをまず聞くのです。
  62. 湯河元威

    湯河説明員 公庫資金つきましては、ただいまの他の公庫も御同様かとも存じまするが、資金計画資金需要と申しますか、資金のわくと申しますものが、大体政府の方から各府県にお示しがございまして、どの事業にはどれくらいというふうなことがむしろ先にきまるのであります。それを見て、そしてわれ勝ちに申し込んで来るわけであります。むしろ資金需要情勢は、資金のわくを御決定になる政府あるいは公庫の方のお感じから先にきまつて来るのでございまして、それに対応いたしました資金需要というものが、申込み、あるいは御相談という形でわれわれの方に出て参るのでございます。それで全般的に申しますならば、そういうものが先に出て、現われて来る以上のものが当然ひそんでいると思います。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はそういうふうなことを知ろうとしておるのではないのであります。もちろんそれは各府県とも、それぞれ需給関係も違い、また需要の度合いもそれぞれ違うかと思いますが、しかしこれはやはり動いておるのは事実でございますから、そこで当然府県においてどれくらいの需要があるということは、わくのいかんにかかわらずつかめないものでありましようか。それをつかむことなくしては、ほんとう資金需要というものが、あなたの方、もしくは政府においてもつかめておらぬということになるのではないかと思うのです。天降り的にただわくをきめて、そしてあてがい扶持にするということに、結果はなるのではないかと思うのです。そういうことを私はおそれるのです。でありますから、そうでなしに、需要関係需要の趨勢といいますか、そういうものはつかめないのですか。その何パーセントが事実受理され、貸付が実現するということは、計数的には言えないものでしようか。
  64. 湯河元威

    湯河説明員 ちよつと他のことに触れて恐れ入りますが、農林中央金庫自体の組合金融つきましては、ただいま仰せのような、様子を察知しないで、盲めつぽうに金融することはできませんので、私の方では各地方信連、その他と連絡をとりまして、大体どのくらいの資金需要見込みがあるだろうということを、かなり注意深く取扱つてつております。ところで農林漁業金融公庫の方は、大体予算から先にきまつてしまうのです。つまりむしろ予算をおきめになる方で、公共的なお立場から、資金需要がこれくらいあるだろうと御測定になるものと私は信じております。でありますから中金といたしましては、そのわくを政府からいただきましたものの範囲内におきましては、どのくらいなお申込みがあるだろうかということをお待ちしておるのであります。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとちよつと聞いておきますが、あなた方のお出しになりました去年の三月末現在の貸借対照表によりますと、借方の科目におきまして、融資特別会計受託貸付八十七億九百十六万何がし、この融資というものは農林漁業金融公庫の特別会計の分じやなかつたのですか。
  66. 湯河元威

    湯河説明員 さようであります。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでその次に貸方の方におきまして、融資特別会計受託金が十六億七千九百七十三万七千余円、融資特別会計貸付資金が八十七億九百十六万何がし、こういうことになつておりまして、この計算が若干ですけれども、借方の方が多いようにも思うのであります。これは多いとなりましたならば、農林漁業金融公庫の方の金じやなくして、お立てかえ分でもあるということになるんじやないだろうか。私が聞きたい点はかなりそういつた立てかえてでも貸し付けて行くというような関係にこの公庫中金との間があるのじやないか、こういう点を知りたいのです。一方公庫から資金を、先にお述べになつておりました受託貸付というものが本年五月十七日現在で四百九十七億何がしとおつしやつておりましたが、これはきちつと公庫資金受託金のみによらずして、あなたの方で若干でも立てかえ的な関係にもなつておるのではないだろうか、なぜならばこれによると貸付の方が少し数字が多くなつているかと思いますので、その辺もちよつと聞いておきたい。
  68. 湯河元威

    湯河説明員 これは逆になつております。公庫の方から私の方に今お読み上げになりました貸方の方の受託金十六億円と申しますか、公庫貸付を私の方で実行するまでまだ時間があります間公庫からお渡しいただいておる金です。私の方から立てかえてはおりません。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 逆になつておりますれば、あなたの方がこの貸付資金を余分に預かつているという関係にありますから、それならそれでいいと思います。  そこで続いて聞きたいのでありますが、あなたの方で貸付というのは、この場合ならば農林漁業資金融通特別会計の場合であります。今ならば公庫受託機関としての貸付であります。これはどこが中心になつて審査決定をすることになるのでしようか。その審査決定の貸付ということを実行するその前提の審査、その決定の中枢的なのはどこになつておりましようか。
  70. 湯河元威

    湯河説明員 これは実質的には農林中央金庫であります。農林中央金庫調査を十分いたしまして、大丈夫だと見ましたときに公庫の方に御申達をするわけであります。しかし形式的には公庫が最後の御決定をあそばすわけでございますが、私の方は第一線の支持もございまするし、本所に特融部を設けておりましてその貸付審査に当つております。審査まで受託されておるのでございまして、決定は公庫がいたします。公庫は私の方の下審査の済みましたものをよく御審査になりまして、最後の御決定をあそばします。ですから相当農林中央金庫は実質的に審査の決定権を持つておるわけであります。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると農林中金において審査をして、そうして農林漁業金融公庫において貸し付けるかいなやの最終決定をする、こういうことに理解していいのですか。
  72. 湯河元威

    湯河説明員 さようでございます。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、これは先ほど類別して五つのグループにわけて例示されましたが、これらにつきまして農林中金審査が十分でなかつたので、数千万円の金を使いもせずに寝かしておいたような事態を生じたのでしようが、どこにこういう事態を生じました原因があるのでしようか。あなたの方の御判断はどういうふうになつておりましようか。
  74. 湯河元威

    湯河説明員 会計検査院から御指摘いただきましたものに対しまして、実はまことに行き届かなかつたという点を相当感ずるのでございます。ただ一つ一つの案件につきましては、いろいろの事情があるかも存じませんが、たとえばこの第一の問題のごとき金が相当残つているということなどにつきましては、実は貸付決定は審査いたしまして後、公庫でなさいます。そうすれば私の方ですぐ貸付をするのでございますが、しかし金は一どきに渡してしまつて取返しのつかぬことになつてはならぬ、従いまして工事の施行の状態を見て、それからむだのないようにというふうに払出しをして参る、そういう態度をとつております。この点は実はその他のものにも通ずる問題でございますが、何分にも案件が相当多数でございまして、しかもある時期に集中して申込みが殺到いたします。そういうときには決定をする前に十分調査等はいたしますが、まだ見残しもあろうかと思われますものは、貸付決定を今度は借手の方にお送りいたしますときに、いろいろ厳重な条件をつけてあやまちなきを期するようにいたしておるのでございます。そうすると予想した通り仕事をお運びになりませんと、私の方では心ならずも払出しをとめております。さような事態もあるのでございます。当初御相談をいただきましたときには大丈夫だと存じましたものが、こちらの見違いか、あるいは相手方のやむにやまれぬ御事情か、あるいは何かの意図があつたのか、そういうことからいたしまして、予定通りになるならば条件等をつけましても、どんどん払出しができ、事業が進むはずのものが、うまく行かぬというときには、私の方では貸出しはいたしておりますが、払出しはしないという形におきまして保留しておる等のものがございます。そのほか御指摘の中には県庁あるいは農林省等との連絡が十分でなかつたために、補助事業を補助事業としないで貸し付けた、これはまつたく手落ちでございます。それから非補助事業が後に補助事業になりましたときに十分気をつけておりますが、その上にもよく関係官庁とも御連絡をとりまして、そうして補助金交付の事実をつかんだならば、必ず償還させる等の措置をとります必要のあるものが、多くの案件を取扱います当初でございまして、心ならずも指摘していただくような様相を呈したことと存ずるのでございます。私この点につきましては、実は非常に案件が多く、今日ではすでに三万余件に達しております。しかもこれが予算の関係がございまして、この当時におきましては予算年度に縛られておりまして、また地方でもおなれになりませんものでございますから、ある時期に集中的に出て参る等のことがございますと、心ならずも十分な審査の時間がないというようなことがございまして起つた問題であります。私は今後におきましては信連は今度公庫業務委託されることにもなりますので、それだけ中金の手もあいて参ります。あいて参りますというよりも、貸付審査の方は綿密にできるようになりますし、ことに事後の管理等につきまして、われわれとしては今までぬかつておつた点を十分厳密にやりまして、大事な公庫資金、国民の資金を扱いますのに疎漏のないようにいたしたい、こういうように考えております。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明のうちに、二点なお私は納得しがたい点があるのです。一つは、ずいぶんとたくさんに、たとえば三万数千件になつておるというような御説明がありましたが、ずいぶんたくさんにあるので、若干こういう問題も出るのは、これはまあやむを得ざる数字だというようなお考えが伏在するのではないかということが一つ。それから公庫出発——特別会計は二十二年だと思いますが、終戦直後の混乱時代ならいざ知らず、これはすでに二十七年でありますから、おととしであります。もうすでに一切が治まりまして、融資その他も平常に復しまして、審査等も実質的に十分なし得るときに来ておると私は思う。でありまするので、ふなれというのは、機関がふなれであつたのか、それは存じませんけれども、補助金を受けながら返さない、あるいはこれらの一つ一つにつきましては、さらに詳しいいろいろな事情があると思いますけれども、類別いたしますと、非補助事業が補助事業にかわつたようなことは、これは金利もとるのだろうし、あるいはまたしよつちゆう連絡なんかがあるのでしようから、機関間の連絡不十分という程度じやなしに、もつと大きな欠陥があつたんだろうと思う。でないと、もしこれが非常に厳密な銀行業務などでありましたならば、当該責任者たちまち私は首だろうと思う。またこういうようなことで、金を扱われましたら、これは扱つてもらう方はたまつたものじやないと思う。でありますから、機関間の、もしくは省内における連絡の不十分とか、あるいは地方公共団体との間の連絡の不十分とか、そういう問題じやなしに、やはりちやんときめておくべきことをきめておらず、打つておくべきことを打つておらず、どつか一本くぎが抜けておるようなことがあつたのではないか。そういうことは、あなたのお立場からしましては、爾後綿密に検査せられまして、原因を確認する、こういうふうな手が当然打たれなければならぬ、こう思うのでありますが、今御説明を聞くと、ずいぶんだくさんの中の少数という感じを受けるのが一つと、出店早々ふなれのためにということを聞きますので、それは金融業務といたしましては受取れません。こういうふうに私は感じるのです。
  76. 湯河元威

    湯河説明員 私の申し方が悪かつたかもしれませんが、決して多数であるから疎漏になつたというふうにのみ申し上げたつもりでもございません。私は公庫資金のお扱いは、その前の特別会計時代よりずいぶん厳重にいたして来たつもりであります。そうして疎漏のないようにということを申しつけて、出先の方にも出るたびに申しておつたのでございます。それにもかかわりませず、御指摘いただきましたようなことになりましたことにつきましては、まことに私としては相済まぬと思つております。ただいま御指摘のございましたどつかにくぎが抜けておつたのでないかということにつきましては、私どもといたしましては、今後十分気をつけて参らなければ相済まぬと思います。実はそう申し上げてはまことに相済まぬのでございますが、先ほども申し上げましたように、相当多数の件数が一時に殺到して参りまして、それをある期間中に処理しなければならないという拘束がございましたために、実は延ばして、相手がノーと言えば、出さぬというようなものも貸付決定になりまして、しかもそれは資金を払い出す条件で押えて行こうという予定のものもございました。それが払い出しのときの条件が計画通り行かなければ金を払わぬ。しかしこれは公庫資金にとどまつておるというような形のものがございましたし、先ほど公庫伊藤理事が仰せのように、そういうようなもので不都合なものは全部償還命令を出してしまうという事後処理をして参つておるのでございます。しかし私たちといたしましては、今のお言葉では二十七年はもう事情が安定したのではないかということでございますが、実は一時に比べますれば確かに安定して来たのでございますが、この新しい特別融資仕事を始めますときには、御想像以上にわれわれの方の手が張りまして、なれません仕事——大体ただいままでは手形取引のような短期貸付金をしておつた機関が、長期資金を相当扱うようになりました。そういう点には多少ふなれの点がございましたので、全力をあげまして習熟するように努力いたしたのであります。それだけではお答えにならぬと思いますが、私自身の気持からいたしますと、今後は審査も今までよりは綿密に手を加え得るようになり、事後の管理もできるようになつたのでございます。この上われわれとしては努力してみたい、さようなことを申し上げたようなわけであります。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは根本の問題になりますので、ひとつあなたの御所見を端的に、簡単に伺つておきたいのでありますが、今日本の農林、漁業一般融資機関といたしましては、申すまでもなく中金公庫との二本になつております。地方におきまして信連とかあるいは農協を通しまして個々の農家へ渡つておるようでありますが、しかしまた他面から見まして、こういう欠陥がなお今日補填されないであるということをよく聞くのでありますが、これについての御所見を伺いたいのです。それは農地解放後、農家はほとんど土地を所有しております。解放農地でありますので、担保処分ということには相当制約を受けますけれども、百姓は他の何人よりも確実な資産をみな持つておると私は思います。偶然に農地解放の結果、法律によつて処分を禁じられておるというようなことはあるといたしましても、ともかく実質的には確実な資産を全国の農家は持つておる。そうしてその農家は、個人的には農協から五万円、十万円という昔の貨幣価値と比較しましたら問題にならぬほどの、十万円する牛一頭買えない程度以下の資金しか借り得ない実情にあります。一体これで百姓はいいのだろうか。そうしますと、借り得ないから、借り得る他のいろいろな手段が用いられるということになるので、根本的にこれらの担保力を何とか生かして、可能な方法を講じて、日本の全農業に、たとえば昔地方にございました農工銀行、不動産銀行、これの復活とは申しませんけれども、とにかく百姓の担保力を生かすということによつて中金公庫とのほかにさらにもう一本金融機関を設けるか、さもなくんばこの担保を生かすという趣旨金融方法を講ずるという制度を拡充するか、何かここに手を打つて行くということが、私はいろいろな問題を解決する一つの手でないか、こう考えておるのでありますが、ひとつあなたの御所見を簡単に伺いたい。これはきようの主題ではございませんので、多く時間をとりたくございませんが、御所見いかがですか。     〔委員長退席、安井委員長代理着席〕
  78. 湯河元威

    湯河説明員 たいへんむずかしいことでございますが、私もまつたく今のお言葉のような欠陥を感じております。農地解放後の不動産担保金融がどこに一番支障があるかということにつきましては、やはり政府の買収価格が経済価格に比して非常に低過ぎる。従いまして、もしも今の農地を担保にとつて金融機関が経済的にさしつかえないといたしましても、それを処分いたしますときたは、どうしても買手の制限がございまして、最悪の事態には政府に買いとつてもらわなければならぬ。そのときは非常に価格が低い。そういたしますと、農家の経済需要をまかなうのに、あまりに流通相場の高い土地を抵当に入れるということになるところにどうも問題があるように存じます。そこでこれを土地価格の公定価格のような、政府の土地価格をどうするかというのが一つの問題ではないかと思います。農地制度との調和をいかにとるか、むしろ特別機関をおつくりになりますよりも、今仰せの、最後の何か制度的に方法考えたらどうかというふうな感想を持つております。政府ともときどき折りに触れて御相談をいたしております。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の買収価格ですが、農地解放によつて政府への買収価格が非常に低位である、そこで処分の場合にもそれによる支障が生ずるであろうという問題は、私は技術的に考えようがあると存じます。何となれば、買収価格は安くはありましたけれども、実質的にその土地の生産力というものは、米二石とる、米三石とる、米の実質的の価格というものは石一万円するというようなことにもなるのでありますから、これは技術約にそこの調整は不可能ではない、私はこう考えるのであります。要は、実際に社会生活の常識におきまして、非常に大切な資産を擁しておる農家が、その資産を利用することができないというようなことは、やはり農家の農業経営の安定とか発達とかいう面から見ましても実に惜しいことだ、こう考えておるのであります。ここへ触れて行くということが、金融国策の打開の一面ではないかというふうに思つておりますので、幸い理事長はいろいろ政府との間においてもそういうお話をなさつておるということであれば、これはひとつ積極的に大胆な試案でも発表いたしまして世論に問う、こういうことにしなけば行くまいと思つております。私どもも過日来農林関係の補助金をずつと扱つて来ておるのであります。片つぱしからどこを見ても、やはり究極するところ、財政難だとか、金融難だとかいうようなことのもつれが補助金を食いつぶしたということを随所に見るというようなこともございますので、この点に一応触れてみたのでございます。  そこで先の問題にもどりまして、金融公庫理事の方に伺いたいのでありますが、今中金の方の御説明によりまして、金融についての最終決定はやはり公庫がなさるということでございます。そこでいろいろと当初の約束に反し、あるいは当初の計画に違つたような実情がある、あるいは目的外の資金流用ということになつておるというようなことになるのであります。でありますが、最終決定を公庫がする限りは、公庫に重大な責任があると考える。あげられておるのは五つの県にすぎない。近畿、四国、九州は触れておらぬ。これは私はこの間も触れておいた。北海道も触れておらぬ、こういうことになつている。一体こういうことは、推測をたくましゆうしたら、根本におきまして公庫の金が——当時は特別会計の金が、万遍なく公平に行きわたつているんじやなしに、何か片寄つているんじやないだろうかということも実は想像するのであります。そこでまず聞きたいことは、全国的に客観的な需要数量というものがあるはずでありますから、そこに適切に公庫の金が流れて行くということになつているのだろうかどうか。そうでなくして、ある地方へは厚く、ある地方へは薄い、こういうことになつているのかどうか、こういう点もまず開いておきたいのです。
  80. 伊藤博

    伊藤説明員 これは資金の種類によりまして多少扱いが違うのでございますが、土地改良の資金等につきましては、各県別に割当をいたしております。それで各県庁が指導いたしまして、大体そのわくの中で県庁の方で緊急と思うもの、早くやりたいと思うものを選定して申請を出させるような扱いになつております。その県別の割当の基礎は農林省と御相談いたしまして、こまかい技術的なことは私もよくわかりませんけれども、本省の御意向を参酌しつつ割当をきめておるのでございます。それから漁船とか、共同利用施設というものは割当をいたしておりません。公庫に申請のありましたものを事務的に審査いたしまして、必要と思うものから貸付を決定するという態度をとつております。
  81. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どういう順序、形式をふんで割当てたかということはこの際は問いません。また何の基準で府県に割つたかということも問いません。結論的に、一地方には相当多い、ある県は比較的少い、こういうふうにはなつておりませんかということです。
  82. 伊藤博

    伊藤説明員 各府県とも十分御満足なさるような、それほどの資金を割当できないと思いますので、各県御不満はございましようが、私どもの見たところでは、大体公平に行つているのではなかろうかというふうに考えております。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は形式が妥当であつたかどうかということについて、この際深くあなたを追究するのではないのでございます。ただあなたの実感といたしまして、公平に各府県に行つておるというふうにお思いになつておるならば、これはよろしゆうございます。そうでなくして、やはり何らかの事情で——それはどちらの事情で、どこに原因があるかは別といたしまして、ある地方では割に多く、ある地方では割に少いということはございませんか。たとえばずいぶんと需要があつたらしいけれども、割当が少なかつたので、そこにはほとんど資金が流れておらぬとか——これは私が全国を調査して、その事実に基いてあなたに質疑すれば簡単なんですけれども、いろいろとうわさを聞いたり、地方のものから話を聞くだけで、全体をつかんでおらなかつたから聞くのであります。
  84. 伊藤博

    伊藤説明員 私もその点は多少心配いたしまして、地方へ参りましたときは、大体様子を聞いているのでありますけれども、みなどうももつとほしいということは申されますが、隣の県に比べて少い、不公平だというような意見を直接聞いたことはございませんので、大体公平に行つているんじやないかという感覚を持つておるのでございます。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この間土地改良のことで当委員会で問題になりまして、専門室の調査員が山口県に派遣されて行つた事実があります。調査員の報告によりますと、山口県の比率が——土地改良の補助費の交付の割合であります——ずいぶん多いのであります。どうして多いのだろうかという原因は、この間からいろいろ究明されておつたのであります。これはあなた方との関係は多くないといたしましても、こういう面から私どもは今これをつつ込んで行つたら、何ぼでも質問資料があるのですけれども、きようは触れません。触れませんけれども、率直にこういう補助金が流れておる面を見ても、ある県にはこんなに率が大きいということが出ております。過日の委員会である委員が、数字をあげて他の委員説明されておりました。だからこれは繰返しませんけれども、あなたとしてそこに切実に感じなさる事実がないのならそれはよろしいが、もう一度聞いておきたい。
  86. 伊藤博

    伊藤説明員 先ほど申し上げましたように、私自身そういう批評を受けたことはございませんで、大体公平に行つておると思いますけれども、私もその点は気にしておる点で、ございまして、今後もそういうことのないようによく注意するつもりでございます。
  87. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きようは総裁が不在で、あなたは金融公庫を代表して、衆議院で御答弁になつておるのであります。ないということであれば、また別の機会に資料をもつて質問するかもわかりません。ないということでいいのでありましようか。
  88. 伊藤博

    伊藤説明員 ただいま申した通りでございまして、今後も十分注意いたします。どうぞ御了承願います。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 金融公庫から各府県への各種貸付についての、一番高いときの状況説明したものを、資料として提出方をおとりはからい願いたいと思います。お願い申し上げます。
  90. 安井大吉

    ○安井委員長代理 伊藤説明員、いい  ですか。
  91. 伊藤博

    伊藤説明員 各県別、それから事業別に貸付の実績ができております。それでよろしゆうございますれば差上げます。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで問題は元へもどりますが、ここに出ております検査院指摘の事実は少数でございます。これはあなたの方におきまして、貸付実行の最終決定をすることになつております。そこで後日いろいろな不都合が続出しておるのでありますが、これはどこにどういう欠陥があつて、こういう結果が生じたというふうに、公庫は認定をしたのでありましようか。
  93. 伊藤博

    伊藤説明員 いろいろ会計検査院から御指摘をいただきまして私どももいろいろ反省をしたのでございますが、この中で一つ、補助金かないとして貸し付けたものに、後ほど補助金が出た、それが繰上げ償還になつておらぬということにつきましては、これはある一県をサンプルにいたしまして、原因を調べてみたのでございます。そういう場合には取扱いしたのを県庁に対して知らせてくださいということをお願いしてあるが、現実に知らせてなかつた。なぜ知らせがないかということをさらに調べてみますと、金融公庫が連絡をとつておる県庁の係と、補助金を出す係とが実は違つてつて金融をあつせんする方の係はよく承知しておるけれども、補助金を出す方の係はそれを承知していなかつたという原因が一番多いということがわかりました。今度金融機関の方は両方の係へ連絡をとりなさい、それから県庁の方並びにこれを監督しておられます農地事務局の方へ、こういう事情で補助金がうまく繰上げ償還になつておらぬ、その間の連絡をよくしていただきたいということをお願いいたしましてすでに三月ごろから相当改善されたと見ておるのでございます。これも連絡の問題でございますので、今後もやはり注意して行かなければならぬと考えております。  それから指摘されました中で、金の貸付をいたしましてからあとのその貸し付けた金の使用方法が、貸付の目的と違つておるという場合はどうしたらよかろうか、これもいろいろ考えてみたのでございますが、従来までやつて来ましたような留保金、つまり貸付はしましたけれども、その金は金融機関で預かつておりまして、ほんとう事業に使つておるかどうかということを見ながら出して行くというのが第一段階、それからさらに建築について、実際そういう工事をやつたかどうかということをしよつちゆう見てもらわなければならない。これは金融機関の知識だけではどうも足りませんので、その点は金融機関自身が見なければならぬが、県庁にもお願いして見てもらうということにいたしました。県庁に対してお願いするための費用も差上げて、見てくださいということをお願いいたしました。それから公庫自体の中でそういうふうにやつておるかどうかということを監査する方法というのが従来ございません。この点は会計検査院から御注意をいただいたのでありますが、二十九年度の予算におきましてそういう監査の係を設けたいということを要求いたしまして、幸いに承認を受けましたので、監査の係を、まだ初めでございますから、少数でございますけれども、三つの班をこさえまして、全国の各金融機関を大体一年一回は見てまわるという措置をとりまして、金融機関の手落ちのないように督励をする、こういうふうに考えております。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 近ごろ世相が非常に悪くなりまして汚職だとか、疑獄だとかいうことが流行しておるのであります。一面世上金融機関と借手との間に、たとえば飲食の提供とかあるいはみやげものとか、その他あれこれの費用がなければ金は借りられない。そんなめんどくさい手続やいろいろなことをするよりも、いつそ高利でもよい、こういつて嘆いておる者も世間にはあるのであります。むろんこれは市中の関係の事実から申すのであります。そこでこういうような世相でありますので、いかがでしよう、そういうような公庫なり中金なりの関係におきましても、かなり憂うべき傾向をあなた方は看取されるでありましようか。やはりそういう面における道徳といいますか、法律といいますか、これが守られる線が低くなつておるのが世相であります。だからある程度まで行つても、それは別に法律の上でも、道徳の上でも悪くないのだというようなことを考えるような世相でありますから、こういう世相におきましては、やはりその種の問題は起りがちなのであります。そこで率直にこれらの点について聞いておきたいのであります。公庫におきましても、また金庫の方におきましても、そういうような憂うべき傾向はお感じにならぬでしようか。その点金融のお話をしたり、あつせんしたり、五分手数料がもらえるのだとか、一割の運動費がとれるのだということまで世上伝えられておる。これはまことに憂うべきものであります。どの程度までが真実で、どの程度までがうそかわかりませんけれども、しかしわれわれが常識から考えましてこのように濁つた、乱れた世相でありますから、なしとは私は断言することは大胆だと思います。そこでこれもよりよく物事を改めるという資料にするだけでありますから、そういうようなことが絶無だという認識と、あるだろう、実に遺憾だというような見方とはよほど違つて来ますが、率直にそういう点について、金庫公庫もお述べ願いたいと思います。
  95. 伊藤博

    伊藤説明員 ただいまの御心配の点は、私どもも一番心配しておる点でございまして、平素部下にも綱紀を正しくしてもらいたいということをしよつちゆう要求しておるのでございますし、私どもしよつちゆう気にかけておるところでございます。身びいきでございますが、今までのところそういうことはなかつたようでございますが、もしございましたら、厳重な処分をいたしますとともに、そういうことの今後起らないように十分注意いたします。皆さんの中でもしも公庫にそういう疑いがあるということをお感じになりましたならば、どうぞお知らせを願います。
  96. 湯河元威

    湯河説明員 ただいまの問題は、私もふだん気にかけておる点でございまして、ないだろうと存じております。この上とも気をつけるつもりでございます。もしもあつたら厳重に処分し、十分に戒告いたします。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一つ、監督規定の問題であります。この点は検査院におきましても、二十七年の検査報告三百ページの終りから五行目には、監査機構の整備がないということを指摘せられておるようであります。今また公庫理事の御説明も、その点に触れておられるのであります。そこで私はこういうふうな点についての御所見を聞きたいのですが、一体監督規定というものは、もつと強い、すつきりした、一貫して監督かできるというようなものにせねばだめなんであります。たとえば今もお述べになつておりましたように、金融機関においてあつせんする者と支出するものとが違うし、また農地関係なら農地事務局もあり、審査するのには、中金があり、最終決定するには公庫があり、こういうような場合に一体どこをどこが押えておるのかということになると、ばらばらです。おとといもこの問題が起つたのであります。林野庁の関係におきまして、林野庁の補助金事業——補助金とは限りませんが、事業の執行責任法律によつて知事にある。そして主管庁はどこかというと、農林大臣と林野庁長官である。そうするとどこに一体原因があつたのだろうか、このいろいろな不当な事項が起る原因はどこにあつたのだろうかということを突きつめて行くと、どうも事業執行機関のその辺にあるということも、相当明らかになる面があるのです。そうすると、知事に対してだれが監督するのか。知事は国家機関の一環として仕事をしておつたのじやない。農林大臣は当然知事に対して、かくかくの不都合な数百件の事件を起しておる、知事、どうしてくれるのだということを、しかるべく農林大臣は追究すべきが当然でないかということを質疑したのでありますけれども農林省の系統と府県知事とは、行政機構、行政組織上の関係で、直接に命令し得ないような関係にもあるかのような認識だつたらしいのです。そういうようなことで、何か紙をばらつと全国に流して、そうして紙上にものを書いて、今後しかるべくそういうことのないようにしてもらわなければ困るというようなことを、流す程度にしか行われておらぬという事実も発見されておる。そこでここにあげられてあるものは五つ六つにすぎません。けれどももし検査院が全国を歩きなさつたら、また事実公庫なり金庫の人が全国を調査なさつたら、あるいはこれの何倍、何十倍、何百倍の事実があつたかわからないということも、実は考えるのです。そういたしましたときに、監督の制度というものは相当重視せねばならぬ。機構の腐敗とかいう面もございますけれども、監督ということについては、やはり首尾一貫したものがなければならぬと私は思う。その際におきまして、一体これはどうすればいいのか。それなら公庫の方といたしましては、受託金融機関の市中銀行中金等々は一体どうするのか、あるいは農地事務局との関係は一体どういうことになるのか、監督とか言いながらも、ばらばらになるのじやないか。監督というものは、ぴしやつとほんとうに厳正粛然としてそれぞれの職務を行つて行き得るような、そういう監督であつてこそ、監督の実が上ると思う。そういうふうに考えますると、この監督というものは意味を失つている。あつてもないような監督なら、まつたくなくしちまつた方がいい。あつて実効が上らぬということは、まことに憂うべきことであります。そこでこの法律規定によりまして——これは特別会計時代でありますけれども公庫の監督というものも、どうも大して充実したものでないように思うのです。五章に監督の規定が出ておりますが、二十九条ただ一項だけらしいのであります。どうして一体監督するのであるか。こういうような違つたそれぞれの世界、違つた行政組織あるいは民間金融機関等に対する監督というものは、監督という太い線で打出さなければならぬと思うのです。これは御研究になつておらなければ、後日でもいいですけれども公庫の代表の意味でひとつ述べてもらいたい。同時に検査院の四局長も見えておりますので、監督機構はいかに整備充実することが、この種の監督の目的を達するゆえんであるかということについての御所見を伺いたい、なお金融関係でもありますので、経済局長が見えておりませんので、しようがありませんから、中金理事長にもその点についての御意見伺つておきたいと思います。
  98. 伊藤博

    伊藤説明員 たいへんごもつともな御意見でございますが、そのおつしやつたような全部を通して一貫しての監督機構というものを実は研究しておりませんので、考えさせていただきたいと存じます。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと途中ですが、やはりこれは広汎に全体を貫くという監督でないと、監督の実は上らないと思うのです。一つ一つというのではばらばらになつて責任の所在がみんなばらばらになる。それならばこれを極端に言うならば、一々金融機関にここに来てもらうというわけにも行きません。やはり監督の元締めが一本あつて、元締めで、どんな監督をしていたのか、八方に流れていた監督が、ここでわかるというふうにしてもらいませんと、これは政府関係機関の資金を流す上における監督の制度としては満足でない、こう私は思います。
  100. 伊藤博

    伊藤説明員 たいへん簡単に申し上げましたが、公庫として監督し得る面は、公庫責任をもつてそういう体制を考えなければいけないのでございますが、この仕事性質県庁に相当御意見をお伺いすることがございます。県庁はお役所でございますので、私の方で監督するというわけには参りませんので、それを県庁金融機関も債務者も一貫した監督機構を、実は考えたことがございませんでしたので、今おつしやるように、一貫して監督しなければ実が土らないということについては、私はよほど研究して行かなければならないということを申し上げたのでございます。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が聞きますのは、その金が株主の出した株式会社の金だつたら、国家が言う筋じやないのですが、政府出資金融機関です。政府出資金融機関が、官庁である、お役所でございますというようなことで、へつぴり腰で応待するようなことは、大切な金を扱つて行く上において実に遺憾であると思います。でありますから、国の金を預かつて、国の金を使つて行くという立場におきまして、国全体の財政の一環としてこの金を見て行かなければならぬ、こういう角度から申し上げておるのであります。その趣旨においての監督でありますが、一定の監督を受ける、ほかと一緒に受けるというふうにしたのかもしれませんが、いずれにしてもこの監督を総合的に一貫し、体系づけなければいかぬという意味です。
  102. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 吉田委員の御質問でございますが、会計検査院といたしましては、この監督、監査ということに対して、二つあるいは三つの見解を持つております。一つは金融公庫金融面に対する監査、これは先ほど伊藤理事から御説明がありましたが、公庫の中に監査機構を設けて、そして受託金融機関を監査し、それから繰上げ償還をさせるものはどしどし償還させるというように、金融面の監査は部内における監査機構が拡充すれば相当これで趣旨は徹底するであろうと思います。ただそこで漏れますのは、先ほどもちよつとお話がありましたが、その融資をするまでの段階において、実質的に介在しているところの府県に対する問題でありますが、これは全然組織も違いますし、公庫がこれを監督されるということは、実際上困難であろうと思います。補助金の問題も同じでありますが、地方公共団体が過去の旧憲法下におけるような、国家行政組織の一部でありますれば監督できるのでありますが、自治体として発足しております今日では、なかなか形式上府県に対する監督は困難であります。何かこうした府県のいわば行政の一部の補助工事、こうした融資に対する干与ということに対しては、何か特別立法を設けて、府県知事あるいは府県吏員に対する監督規定——内閣総理大臣が監督するかあるいは主管大臣が監督するか、その点は別といたしまして、何か必要でなかろうかと思います。なお全般的にこの金融融資の面に関しましては、微力ではありますが、会計検査院としても総括的な面から監督しておるつもりでございます。
  103. 安井大吉

    ○安井委員長代理 それでは本日の本会議で採決がありますから、本委員会は暫時休憩いたします。     午後三時三十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕