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1954-04-19 第19回国会 衆議院 決算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十九日(月曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 大上  司君    理事 松山 義雄君 理事 安井 大吉君    理事 柴田 義男君       越智  茂君    徳安 實藏君       村瀬 宣親君    吉田 賢一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  安田善一郎君         会計検査院長  佐藤  基君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         農林漁業金融公         庫検査役    真板 栄一君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。前会に引続きまして昭和二十六、七の両年度決算中、農林省所管のうち食糧庁関係を除いた他の指摘事項について審議いたします。前会において会計検査院検査第三局長から、そのおもなるもの、すなわち昭和二十六年度分におきとましては、報告番号五〇四ないし五一三、五二四、五四一、五四二、五五〇、六一四、六九〇、六九一及び七八八、昭和二十七年度分においては、報告者号六七九ないし六八一、九六八、九六九、一〇〇六、一四一二、一四三○、一四六九、一五〇三、一五〇八につき、順次説明を聴取いたしたのでありますが、問題がかなり重大であるにかんがみ、責任大臣出席を求めた上、詳細検討いたすこととし、審議を留保いたした次第であります。従いまして本日は農林大蔵大臣出席要求をいたしてありますので、間もなく出席されることと思いますが、時間の関係もありますので、政府側補足的説明を省略いたしまして、まず事務的検討を行うこととし、ただちに質疑に移りたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。それでは質疑を許します。柴田義男君。
  4. 柴田義男

    柴田委員 大体私ども二十六年度、二十七年度、両年度にわたつて農林省関係を一通り目を通したのでありますが一番大きな問題は農林省直轄工事で、非常にわれわれの納得しがたいものが相当件数現われております。まず会計検査院に承つておきたいと思いますが、会計検査院は、農林省のこうした検査は、大体農林省全体の直轄工事の分といたしまして、全体の工事状況を何パーセントくらい御調査の結果、ここに批難事項として指摘されておるのでありましようか。その点を承りたいと思います。
  5. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 金額的に比率はつきり申し上げるのにはちよつとお時間を拝借したいのでありますが、二十六年度はおもなところは一通り全国にわたつて大体拝見しております。それで印旛、手賀沼が一番大きかつたわけでありますが、それ以外でも全国的に批難事項もぼつぼつ出ておるわけでありまして、大体二十六年度は私ども検査したいと思うところは、必ずしも深くではありませんが一通り拝見しておるわけであります。二十七年度になりますと、これは補助の方に全力をあげました関係で、直轄工事の方が比較的検査が薄かつたのでありまして、ことに歴年で申しますと、二十八年の夏あたり全力補助の方に傾けまして、直轄工事は相当手薄な検査をするのやむなきに至つた、こういうことを申し上げるわけであります。ことしはそれではぐあいが悪いものでありますから、二十九年は直轄工事も旧に復しまして、二十六年と同じ程度検査をするつもりで、現在のところ進行しております。
  6. 柴田義男

    柴田委員 非常に広範囲にわたつて調査は大体おやりになつた、こういうことであります。もう一つ重ねて承りますが、他の省に対しましても農林省調査と同一の比率くらいで御調査でございましようか。
  7. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 農林省と同じような仕事を担当いたしております建設省運輸省等が比較になるかと思うのであります。これはいずれも私の局で検査しておりますが、大体同じような種類の仕事工事関係を主としてやつておるわけでありますが、建設省などは直轄工事につきまして申し上げますと、農林省よりもはるかに広い検査をしております。運輸省港湾関係直轄工事も、農林省よりもむしろ深い検査を現在の力でやれるわけであります。二十七年度などは、農林省直轄工事といいますと、非常に——はなはた申訳ない次第でありますが、手を抜かざるを得ないというような結果になつた。そういうことは申し上げられます。
  8. 柴田義男

    柴田委員 今の会計検査院小峰さんの説明を承りましても、特段に農林省の分だけを徹底的にやり、他の諸官庁調査の手がまわらぬというようなわけではないようでございますが、そうなると、この批難事項を総括的に見ましても、昭和二十七年度が千八百十三件があるようでございます。この中も農林省指摘されておるものだけで八百九十七件の多きに達しておる。こういう現実の状況をまずわれわれは驚くほかはないのであります。そのほか具体的な問題に入りますと、たとえば統計調査事務所架空調査手当等名義で資金を捻出しておるような問題が取上げられておりますが、その調査事務所以外でも、工事、たとえば干拓工事にいたしましても、架空名義の支出が厖大にここに現われておる。こいうことでございますが、これは何か架空名義を使用するというところの根本的の理由があるのであろうか、きようの問題は農地局関係が多いといたしますならば、農地局長からお答え願いたいと思います。
  9. 平川守

    平川政府委員 架空名義仕事をするほどの必要性というようなものは全然ございません。ただ従来往々にして実際上実態においては請負とかわりないものであるにかかわらず、それ直営のような形をとるということがすぐ行われまして、これが形式的な規則の関係から申しますと、直営でありせんから、従つて自分がほんとうに雇つてした工事でない、それを雇つたことにして、実際は請負師請負わして同じ仕事一定金額でさしておる。こういうのがたとえば印旛の場合出ておりますが、そういうようなことが行われましてこれは明らかに会計法規に選反いたしますので、私どもの方としても厳重にこれを取締つております。ただ従来そういうことがありまして、ここに若干の例が出ておりますことはまことに残念であります。今後こういうことは絶対ないようにいたしたい、かように考えます。
  10. 柴田義男

    柴田委員 これは食糧庁の方に関係があるのですが、この統計調査事務というようなことは、これはどちらの管轄でしよう。
  11. 安田善一郎

    安田説明員 統計調査部及び地方にあります事務所は、食糧庁とは別であります。一般会計であります。
  12. 柴田義男

    柴田委員 この統計事務というようなものは、われわれは地方で実際働いておる人々の状況を見ておるのですが、非常に予算が足りなくて、しかも人員の非常なきゆうくつな配置を受けおつて仕事はそれ以上に非常に多い。それで臨時雇いのような形において職員を使つておるというようなこともあり得るようでございますが、今もそういう状態になつておるのでありましようかどうか承つておきたい。
  13. 安田善一郎

    安田説明員 二点お聞きくださつたと思うのであります。予算不足はないかということと、臨時職員を使つておるかということでありますが、調査実態、特に農作物調査時期がありましたり、被害予定を越えて参りましたときなどに徴しますれば、予算は少な目でございますが、与えられた定員とその他の定員外労力予算範囲内で仕事をするのが、また関係法規の条章に照しまして仕事をするのが私どもの役目でありますので、その間をできるだけ間違いのないようにいたしておるのであります。  第二点の非常勤職員は、この当時におきまして主として水産関係統計非常勤職員が千六名、年の単価四万円でございます。現在はこれを常勤労務者に移しまして七百五十五名で十九年度におきましては十万円を越える待遇改善をいたしております。その他におきましては食糧庁、林野庁ほどの非常勤職員はございません。ただ芦れ以外に村の方々調査に協力を願いまして、ごく少額の謝金、たとえば農作物調査で二十万人、部落に一人ぐらいお瀕するお方に対しまして、この当時では年二百円の手当のものでございましたが、ただいまは百八十円になつておりますが、そういう調査報告員のほかには、人夫賃をもつて支払います職員が坪刈とか面積調査などいたします際、あるいは数字の集計をいたします際のそろばんを入れる者など、人夫賃として予算的に計上されておる定員外職員がございます。
  14. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、たとえば今度の行政整理というような問題に関しましても、一面行政整理が何パーセントか行われておる、こういうことでありまして、たとえば非常にパーセンテージの低い行政整理が行われて、その半面に臨時職員というような形において雇う、こういうような場合がございませんでしようか。
  15. 安田善一郎

    安田説明員 今般の政府案によります行政整理は、私どもにおきましては、本省及び地方を通じまして、現定員の九・九%、千二百六十八名でございます。これを二箇年でいたす予定でございまして、初年度は七百六十名になつておりますが、その分につきましても食糧制度農業保険制度食糧増産制度にかんがみまして、おのおのどの程度調査を必要とするかということにつきまして、調査内容従つて予算定員の数において関係がございますが、私どもは事務的には必ずしも定員において十分と思つておりませんが、国会の御審議もあり、政府の案が決定されました上でもありましたならば、その範囲内においてできるだけくふうを加えまして、能率を上げまして、そうして行政目的に沿うように努力をしたいと思つておるわけでありまして、整理は全農林統計機構の上位の機構、言いかえますと本省と各地方にあります事務所の本所において行われまして、末端の現場業務を行います出張所におきましては、程度を低めまして八%程度の基準においての整理率になつておるわけであります。従来の仕事継続するのみならず、国会の御要請、たとえば被害調査農業共済制度の改正の問題でありますとか食糧増産食糧制度との関係等からいたしまして、新規の調査事項が出て参るわけであります。二十九年度予算におきましては、ただいま申し上げましたような定員整理案が出ておりますが、予算においては同様に現われておるわけでありますが、被害調査の面におきましては、従来ある常勤労務者待遇改善をはかるほか、農業共済等関係しまして、一万名を従来より増加した被害報告員というものを予定するように予算が組まれまして、本国会の御審議を経て通過したことになつております。それ以外は大差はございません。
  16. 柴田義男

    柴田委員 大体一応伺つたのでありますが、金額にいたしましては大したことじやないが、指摘されております五〇七号の山梨兵庫和歌山各紙事務所で、二十六年七月から十二月までの間に架空調査手当名義で四十四万三千七百六十四円を支払つて食糧費旅費等に使用しておる、こういうのが指摘されておりますが、これらのよつてつた原因というものは、今の部長説明によると、人員もどうやら間に合つておる、それから臨時雇いというようなものもそうない、そういたしましてここに現われた問題は、食糧費旅費等で使用されておるというのが指摘されておるのだが、これはどういうことによつてこういうことができるのでございますか。
  17. 安田善一郎

    安田説明員 二十六年度決算報告の五〇七号につきましては、この批難事項として会計検査院から御指摘を受けまして、ただいまもおしかりを受けております事態が生じましたことは、まことに恐縮に存じております。事後の指導制裁改善措置等について、できる限りの努力を加えておりますが、お尋ねに応じまして、若干小峰局長説明を私どももあわせて調査をいたしましたところに従いまして、簡単に事情を申し述べさしていただきますると、さきに私が御説明を申し上げました点につきましては、定員予算が足りなくはないとは申しておりませんが、きまつた以上は、きあられた範囲内で行政目的に沿うように調査やり方などにもくふうを加えてやつて参りたい、こう思いながらここ数年間、また今後もやつて参ろうと思つておることを申し上げたのでありまして、簡単に申し上げますれば、ある意味では労力不足予算不足でありました。あわせて予算におきましては、不足する項目不足しない項目が、まま経費を使います時期よりうんと早く、計画を持つて予算を組みますので、合わない点が生じて来た結果だというふうに私は見ております。山梨におきましては、二十六年でございますので、このときは二千百二十名の定員整理が実はございました。調査やり方定員整理とがマツチをいたしませんで、あわせて御承知のように、当時は今よりも一層農作物統計等の世間における、農民間あるいは市町村間などにおきまする意思の疏通、理解が足りませんでしたので、事務所所長におきまして、三月と七月、二回に少い予算のうちでもやむを得ず、市町村長勧業主任作物調査員報告員をもつてする統計研修会をやつた費用でございまして、これを直接研修会には支出しませんで、降雪被害調査、または稲の推定実収高を町村の人も入れて確かめてみる調査研修として、雑費用から五万四千六百円支払つたものでありまして、会計法予算を組んでおる建前から、流用禁止のものを使つた点につきましては、まさに批難に値いしまして、事後厳重なる注意をいたしておりますが、そういう趣旨のものでございます。  兵庫事務所におきましては、二十万円のものではございまするが、これは自転車修理費夜間作業、特にジェーン台風和歌山から兵庫にその秋には来まして、予算不足を来しましたので、調査上のトラツク、自動車の借上料調査上の自転車修理関係といたしまして、役務費から払つたものでございます。これはどうしてもこの当時いるという事情にあつたようでございまして、四半期別に配分された予算範囲では間に合いませんので、所長が他から急遽個人名義で借りて、それぞれ費用に充てたものを、あとで補完したものでありまして、その後制裁をいたしましたが、使途においては情状酌量すべきものがあるかと私は考えております。  第三の和歌山統計事務所十八万八千九百六十四円につきましては、ジェーン台風が来ました中心地でありまして、これにおきましては、稲の時期になりますと、月に大体一回ずつ定期調査をやることになつておりますが、それでは間に合いかれますので、たとえば昨年のような場合には、予備金補正予算もいただきましたが、このときはそういうわけには行きませんでしたので、通信費旅費などの臨時調査費用雑給与から払つたものでございます。また職員食糧供出制度等によく間に合うように、夏作の特に稲の台風後の被害状況を調べる際に、深夜まで作業をいたして報告時期に間に合うように努力した結果、所長が夜食を提供したのが七千円ばかり実はあるのを、おしかりを受けたわけでございます。  もう一件は、山梨県と同様に、特に兵庫県は、地元方々作報調査方法理解が徹底していないために、多少のいざこざもございましたので、その趣旨をよく御了解願うために、展示会を開きまして、その経費雑給与から支払つたものでございます。  いずれもこの三件につきましては、統計調査事務所終戦後の機構であることにかんがみまして、職員訓練も足りませんので、その後よく訓練をし、本省からは会計経理指導指針も明確におろしまして、訓練を続けております。この三件につきましては、責任者所長庶務課長をおのおの訓戒を加えまして、あわせてごく最近まで加えますと、御報告申し上げました書類には載つておりませんが、ほとんど全部転勤をいたさせまして、その中の庶務課長の二課長経理を取扱わざる職に配置転換をいたしました。まことに遺憾でございますが、二十七年度におきましては会計検査院からの御指導も多分にいただきまして、なお今後努力するところがございましようが、一応批難事項として指摘されることは出ませんでした。今後もなお一属厳重に監督と運営の適正をきするように努力いたしておる次第でございます。
  18. 柴田義男

    柴田委員 今の統計事務関係は、部長の非常な良心的なお答えがございますし、私ども統計事務所必要性がことに日本の食糧行政の上に重要な任務を持つておるということは、十分認識しておるものであります。それで劈頭に私が伺つたところは、予算が実際問題としてどうか、もう一つ人員状況はどうかということを伺つたのでありますが昨年のような風水害、あるいは東北、北海道を襲いました冷害に関係をいたしましても、地方の諸官庁調査統計事務所調査では、非常な開きがあつた食糧事務所統計調査が非常に正確なものであつたということは、昨年度のあの実態によつて明らかに証明されておるのであります。そういう関係から、供出の点につきましても、非常に危惧いたしましたよりも、スムーズに供出ができ上つた統計事務所仕事の非常に重要であることと、食糧事務所がいかに真剣になつて調査をされておるかということを、われわれは十分に知つておるのでありますので、こういう面で多少架空名義で支出いたしましたことは、会計法規上からはいけないのでございましようけれども、こうしたことは二十七年度にはもうないのでありますから、この問題は今後も十分お仕事に精進されまして、こういう事例が起きないことを念願いたしまして、この問題は私は質問を打切ります。  次に農地局関係印旛沼関係がここに七、八件同じような問題が並べられておりますが、これを具体的に承りたいと思います。印旛沼総体工事予算というものはどれだけございましようか。そうして何年間の継続でございましようか。それをまず承りたいと思います。
  19. 平川守

    平川政府委員 印旛沼計画は非常に大きい計画でございまして、当初出発しましたときは、全体の計画というものを必ずしもはつきりしないで第一次的な計画で出発をいたしたのでありますが、ただいまの単価にそれを見直しますと、大体六十数億かかるという見通しでございます。但しこれに対しまする予算継続費になつておりませんで、年々の予算でその都度支出しておるわけであります。たとえば本年で申しますと、大体三億近くの事業費になつておる状態であります。従いまして非常に長年かかることになりますので、われわれとしてはできるだけ部分的に効果を発生いたしますような工事の段取りを考えておりますが、事業全体の分量から申しますと相当長年月を要する工事でございます。
  20. 柴田義男

    柴田委員 今農地局長から承りますと、全体は大体六十数億かかるであろう。そうしましてただ年々予算をもらつている範囲仕事をやつて行くのだというように承るのでありますが、農林省のこういう場合の干拓であるとか開墾事業であるとかあるいは地方の今度もたくさん指摘されております補助関係等を、いつでもこういうような漠然とした考え方でお進めになつておるのでしようか、これを承りたいと思います。
  21. 平川守

    平川政府委員 もちろん工事に着手いたします場合には、およそこの工事は何年くらいで仕上げるのが適当であるということは一応の計画には乗つておるわけであります。ところが実際問だいといたしまして、御承知のように、予算がいろいろその年の状況によつて削減されたりいたしますので、なかなかその計画通りには進まない。それから特に御承知のように、地元からはやはり新しい仕事をいろいろ手をつけてもらいたいという希望が非常に熾烈であるわけであります。ことに災害のようなものになりますと、向うからこちらの好むと好まざるとにかかわらず一定費用が必要になつて来る。しかもそれが年によつて非常に違いまして、昨年のごときは私どもの査定では少くとも五、六百億の事業をやらなければならないという災害が一ぺんに起つて来たという状況のために、やむを得ず年次計画というものがその通りの形に行われない。災害等で申しますと三年くらいで大体片をつけたいというのが希望でございますけれども、実際問題としては予算等関係でこれが五年くらいに延びておるという実情であるわけでございます。
  22. 柴田義男

    柴田委員 そういうことはわかるのですが、ただ私が承つておりますのは、印旛沼のこの干拓工事というものは、総体で幾らかかつて、どれだけの事業を完成するのだという当初の目標がなければならないと思うのです。そういたしまして、その目標の上に立つて仕事が始められるというのが常識であるとわれわれは考えるのでずが、この印旛沼の問題があまりにもたくさん批難事項があるということは、今農地局長のお話のように総体予算はつきりしない。それから経済情勢の変化によつて変更されるということはわかるのですが、そのほかに何か特別な欠陥があつたために、こういう批難事項が生じておるのかどうか、こういうことです。農林省がやつておる仕事は、どの仕事を見ても批難事項が多過ぎる。概括いたしましてそう見受けられるのですが、その一つとして今具体的に現われておるのは印旛沼干拓工事状態である。だから印旛沼干拓工事というものは、当初どのくらいの予算で年々どれだけの予算をこれに投入しようという御計画であつたのか、これを承つたわけですが、もう一度私どもに了解のできるような御説明を願いたいと思います。
  23. 平川守

    平川政府委員 印旛沼事業というのは、終戦後間もないころに食糧緊急増産を必要とするということから、かなり急いで手をつけられたような実情にございましたために、一応現在新しく着手する場合よりも粗漏の点がございまして、そのために現在事業計画そのものについても精密に検討を加えつつ、仕事をしておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、現在の単価に見積りますと、六十数億の事業になるのであります。これに対しまして私ども希望的な年次計画を申しますならば、まず五、六年くらいで仕上げたいというのが希望でございますけれども、とうていそれだけの大きな事業費をつける全体の予算になつておりませんので、やむを得ず大体三億くらいずつの仕事をやつておるわけであります。それからなお批難事項がこの印旛沼について非常に出ておりますが、これはまことに申訳のないことでありますが、印旛沼計画そのものというよりも職員の不心得がございまして、実は刑事問題も引起しましたような関係で、たまたまこの事業所経理内容が紊乱をしておりまして、そのために特に多いかと思うのですが、その後もちろん関係職員はそれぞれ退きまして、現在ではこういう意味批難を受けまするような事柄はないと思つております。
  24. 柴田義男

    柴田委員 大蔵政務次官もお見えでありますが一般的に農林省事業予算は粗漏なような気持をわれわれ抱くのですが、そういうような例は今までにありませんでしたか。この点を承りたいと思います。
  25. 植木庚子郎

    植木政府委員 私、古いことはあまり存じませんが、農林省所管のこうした決算上の不当、不正行為について、特に農林省が従来多かつたというようなことは聞いておりません。今般のこの二十七年度決算に際しまして、相当多数な事件指摘を受けておるようであります。またこの前年度相当数つたように聞きましたけれども農林省だから特にそういうことが多いというふうには聞いていないのですが、何しろ今回のこれを見てみますと、私もまつたくその指摘事項が少し他の省に比べて多いのは、やや意外の感を持つておる次第であります。ただ内容を見てみますと、詳細にはわかりませんが、何しろ災害復旧関係のものがたくさんありまして、それで指摘を受けておるものが多いようであります。災害復旧の仕事となりますと、御承知のように、災害は思わざるときに来るものでありまして、常時からこれに備える多数の職員を擁しておるわけでもありませんし、そのためについ査定の上でも念が届きかねるといつた場合も起り、従つてこうしたことが起るのではないかというふうに感じておりますので、今後ともこうした問題について、どうすればこうした不正な工事が少くなるかということについて、農林省ともよく打合せて、なるべくこうしたまずい事態が少くなるように、大蔵省としても協力いたさなければならない、かように考えておる次第でございます。
  26. 柴田義男

    柴田委員 これは全体を私だけで伺うわけにも行きませんので、具体的に一つ、二つ伺いたいと思います。五〇八から五一三の中にありまする印旛沼手賀沼干拓建設事業所で、六千七百八十余万円に上る多額の資金を保有しておつて、いろいろな諸払いをやつてつた、こういうのが、指摘されておりますが、六千七百八十余万円というものを保有しなければならないという何か特別な問題がこの場合にあつたのでしようか。その前に局長から、経理関係のあるもので刑事的な問題も起きたのでと、こういうお話もございましたが、やはりその係のものの関連においてこういう問題が起きたのでございましようか、それを承りたいと思います。
  27. 平川守

    平川政府委員 これは先ほどもちよつと申し上げましたが、いわゆる実質上は請負仕事であるにかかわらず、それを直営の形で行つて、それによつて一方においては若干の経費を捻出するようなことをやつておるということでございまして、これ自体は明らかに規則違反の不当な行為でございますから、かようなことのないように現在は十分指導をいたしておるつもりでございますが、当時、六千七百万円という非常に巨額でございますが、今申し上げましたように実質上は請負工事をいたし、そこで五千百万円というものは請負の金に配当されておるわけでありますが、そのほかに実際上直営労力等を雇いまして支払いましたものが九百万円ということで、大部分の金は、もちろんその事業に使われていることは使われておるのでございます。ただそういう形式をとりまして、そして正規のいわゆる設計に載つておる計画以外にいろいろなことをしたいというときに、それをこれによつて若干浮かしました金でやるということが行われておりまして、これは明らかに不当なことでございますので、現在ではかようなことは厳重に取締つております。実質上におきましては、大部分がその事業に使われておるということは、この数字であわかりくださると思います。
  28. 柴田義男

    柴田委員 それでまた前にちよつともどりますが、こういう批難事項をたくさん出してまでも、印旛沼干拓工事は当初の目標通り進めなければならぬ、こういうお考えなのかどうか。もう一つは今の貨幣に換算いたしまして六十数億投じなければあれが全部完成しない、こういうことでありますが、六十数億を投じてどれだけの水田や畑地が完成されるのでありましようか、御計画を承りたいと思います。そうしてその計画によれば、水田一反歩当りどれだけの費用がかかるか、あるいは畑地でございましたならば、畑地一反歩当りどれだけの費用がかかるという計画であるのか、これを承りたいと思います。
  29. 平川守

    平川政府委員 印旛沼計画は、この費用によりまして干拓田の造成されますものが約二千町歩でございます。それから既耕地が現在では雨期に非常に水害を受けておる、これを干拓いたしますことによつて、それの水害を防ぐということがあわせての大きな目的になつております。この水害を防ぎます面積が、約四千七百町歩くらいございます。それによりまして両者合せましての増産見込み量は、米にいたしまして約十三万石でございます。この程度の増産効果を上げることができますので、この仕事そのものについては、私どもといたしましては、相当効果のある事業であると思つております。ただその工事の実施の段階におきまして、こういう非常に遺憾な事柄が起つて参りました。しかしこれはこの関係者をすつかり整理をいたしまして、新しい所長のもとにおいて厳密に実施するようにいたしておりますので、今後かような批難を受けるような事態は起らないというふうに思つております。
  30. 柴田義男

    柴田委員 五〇八の問題でございます。この場合もたとえば前の和歌山兵庫山梨等における統計調査事務所架空の名儀という、言葉は同じ架空の名儀ということでございますけれども、あまりにも金額的に相違する架空の名儀の支払いがあるのであります。この五〇八に指摘されておりますものは六千五百十七万二千九十六円、こういう架空支払いが人夫賃において行われておりますが、これは会計検査院に承りますが、六千五百万も架空の名儀で支払うというのでありますと、何万人か、何十万人かの人夫の架空をつくらなければならぬと思いますが、そういうこまかい方法において架空人夫賃というものをつくつてつたのでございましようか、その点を承りたいと思います。
  31. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 これは金額がたいへん大きいのでございますが期間も相当長うございます。二十四年二月から二十六年十月までの間でありまして人夫賃のほかに材料費も入つておりまして金額が非常にかさんだわけであります。それから今の架空人夫賃あるいは材料購入費以外にも相当金額がございましてわずかではありますが寄付というようなものもここに入つておるわけであります。
  32. 柴田義男

    柴田委員 こういう架空名儀で人夫賃あるいは諸材料の購入というようなことで、なるほど二十四年二月から二十六年十月の二箇年半にわたる問題でありますが、こういう書類の整え方は、やはり材料購入等の場合はどこかりか受領証がなければならぬわけでありますが、そういう受領証は整つているものでございましようか、その点を承りたいと思います。
  33. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 証拠書頻として形式的には整つたものがついているわけであります。その点私ども書面だけ見ておりますとわかりかねるのでありますが、一応は領収証が形式的にはついております。
  34. 柴田義男

    柴田委員 そういう場合の領収証というものは、最後的に架空の名儀で支払つたということが決定されますには、おそらく十分御調査を遂げなければならぬと思うのですが、何か業者等から印鑑を借りて利用しているものが多いのでありましようか。それともまつた架空のもので、俗に言います三文判でも使つているのが多いのでありましようか。その点を承りたいと思います。
  35. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 一般の架空名儀の場合の御質問と承知いたしましたが、人夫賃は実際は三文判をたくさん持つておりまして、架空の出づらをつくりましてやるのが一般の行き方であります。本件の場合も人夫賃については同様であります。それから材料の購入の場合には、これは業者に頼みまして領収証をつくつてもらう場合もございますし、またまるつきり架空の購入代価ということで、形式だけを整えるという例もございます。
  36. 柴田義男

    柴田委員 そうすると、所管庁みずからがそういうことをやるということであつたならば、まつたく国民的信頼というものはなくなつてしまうのではないか、われわれもその点を非常に憂慮するのでありますが、今伺つてますますそういう気持を深くするのであります。ことに内容をだんだん見て参りますと、この五〇八の中には請負人から寄付を受けた二十二万円も含めて、今度は六千七百八十万六千余円を保有しおつて、いろいろな材料等の購入に当つておる、こういう問題が指摘されておりますが、この工事請負人から何か農林省が寄付を強要しておるような事実がございましようか、それを承りたいと思います。     〔委員長退席、安井委員長代理着席〕 これは会計検査院からではなく、農地局長から承りたいと思います。
  37. 平川守

    平川政府委員 もちろん請負人との関係は私ども厳正でなければならぬことを戒めておるような状態でございますし、請負人から寄付をとるというようなことは、ことにそれを強制するというようなことは問題にならないことでございまして、私どもとしてもこれは厳重にそういうことのないように戒めておる問題であります。
  38. 柴田義男

    柴田委員 戒めておるということでありますが、この問題は現実にどういう形において二十二万円の寄付を受けたのでございましようか、この二十二万円に対する具体的なお答えを願いたいと思います。
  39. 平川守

    平川政府委員 これはあまり正確に記憶いたしませんが、当時事業所職員の宿舎か何かを修理するということであつたと思います。それが御承知のように、営繕関係予算というものが十分行きませんような状態で、職員が実際問題として住居に困つておるというようなことから、たしかそれの修理であつたと思いますが、そういう事柄のように記憶しております。
  40. 柴田義男

    柴田委員 こういう業者からの寄付行為があるという反面に、たとえば今度は五〇九号で指摘されておりますような、三幸建設株式会社に五百五十三万四千円で請負わせた問題がございますが、こういう問題でもただちに会計検査院から指摘をされておるという問題が、しかもこの五〇九で指摘されましたことと同じような問題が五一一、五一二等にもたくさん見受けられるのです。こういう問題が、寄付行為がある反面に、こういう建設関係仕事が順調に行かないというようなことが、現実に現われて来るのではないかとわれわれは思うのですが、こういうことからいいましても、業者から寄付行為を受けるというようなことは絶対にいけないのじやないか、こう思うのですが、局長のお考えを承りたいと思います。
  41. 平川守

    平川政府委員 まつたくお説の通りだと思います。少くともそういう疑いを持たれることだけでもいかぬわけでありますし、事実その間に業者との関係があつてはならぬわけでありますし、またそういう寄付を受けてすべき事柄ではないわけでありまして、その点はまつたくお説の通りと思いますので、繰返して申しますように、かようなことの絶対にないようにということを特に厳重に申しておるわけであります。
  42. 柴田義男

    柴田委員 この印旛沼工事だけを中心といたしましても、農林大臣の御出席を願つてもう少し責任のある点を承りたいと思いますが、まだお見えになりませんので私の質問を留保いたしまして、吉田さんにひとつお譲りしたいと思います。
  43. 安井大吉

    ○安井委員長代理 吉田賢一君。
  44. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はきようは二十六年度、七年度決算報告を通じまして、主として農林省の食管特別会計を除いた補助金の問題について質疑をしたいのであります。  検査報告によりますると、二十七年度補助金の総額は相当多額に上つておりまして、いわゆる補助金あるいは国庫負担金などとして地方公共団体とか組合に交付した金の総額は、一般、特別会計を通じまして、地方財政平衡交付金を除いてなお二千二百四十八億余万円に上つております。二十六年度は同様にこれは千三百五十六億四千四百余万円に上つております。さらにそれをもし義務教育の国庫負担に関する交付金を総計いたしますると、これは六百五十億円であつたかと思いまするから、おそらくは四千億円近いものが二十六年及び二十七年はあるのじやないかと思うのであります。かような大きな金額になつておりまするので、この補助金の浪費とか、補助金の交付を受ける事業について検査院の不当事項として指摘するような事実の発生というようなことは、これはやはり財政の運用の上から見まして相当比重の大きな問題として考えられるものだろうと存じます。つきまして私は前会検査院の三局長から御説明になつておりましたうち、具体的に農業施設の問題に入りたいと思うのであります。     〔安井委員長代理退席、委員長着席〕  まず百六十七ページ、農業施設等に関する総論的な記載であります。そのうちの特に、たとえば山口県佐波郡出雲村、この村においては七億八千四百余万円、同じく同郡の八坂村においては五億三千五百余万円、大阪府泉南郡東鳥取村は二億七千二百余万円、愛知県幡豆郡福地村一億九千九百余万円、同郡の三和村は一億九千百余万円、こういうようにおそらくは小さい村であろうと思うにかかわらず、極端に多額な工事費が査定されておるのであります。これを一つ例にあげまして、農業施設の予備費問題を質疑して行きたい、こう思うのであります。平川農地局長に伺いたいのですが、この山口県の出雲村及び八坂村についてまず伺いますが、この村はどのくらいの戸数があつてどのくらいな財政能力があり、またどういうような村の構成になつておるのでしようか、七億八千四百余万円及び五億三千五百余万円の工事計画をいたしておりまするので、まず財政状態の基本的な状態をひとつ伺つてみたいと思います。
  45. 平川守

    平川政府委員 ただいま具体的の村の状態を正確に何した資料を持つておりませんのですが、おそらく通常の四、五百町歩程度の農地を持つたものであろうというふうに考えますが、もし必要でございましたらその資料を……。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこの問題は、検査院も指摘されておるごとく、村においてはたしてそれほどの財政負担能力があるかないかということが重要な基本的事項になつておるのです。また農林省に対しましていろいろと勧告もされておる重要な事項になつておる。今この村における財政の状態、能力がわからずして、この問題について質疑ができるのでしようか。七億円の事業計画する村はどのくらいの財政能力があるのかということを尋ねるのは、私は当然だと思う。あとで資料を準備なさるというようなことでは、この質疑に入れぬじやありませんか。愛知県の福地村、三和村、大阪の東鳥取村、同様でありますが、その方もそういつた資材は御提出願えないでしようか。
  47. 田中彰治

    田中委員長 農林大臣がもうじき来ますがね。しかし農地局長、これだけの大きな補助金を与えているのに、あなた方は答弁をするのに資料を持つて来ないでどうしてやれますか、そう簡単に見ておつてはいかぬ。実地検証しますよ。私の方の決算委員会で出かけますよ。——吉田君、検査院ならあるそうだが、どうです。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは検査院から一応御説明願いたいと存じます。
  49. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 ここに掲げました山口県の出雲村以下の財政的資料を御参考に申し上げます。まず出雲村でありますが、これは七億八千四百万円の査定のついた村であります。人口が五千八百余り、農地が五百四十町歩の農村であります。村税が、これは二十七年度と記憶とておりますが、五百五十万円で、小さい村であります。御参考までに人口一人当りで七億八千万というのを割つてみますと、——これは年寄りも赤ん坊もみな入つた人口でありますが、十三万五千円になります。農地反当りでやつてみますと、災害復旧費が反当り十四万五千円、こういうことになります。  それから八坂村でありますが、これは五億三千五百万円の災害復旧費のついた村であります。これも出雲村と同じ程度の農村であります。人口が五千百、農地が五百十四町歩、人口一人当りで割りますと、十万五千円、農地反当で行きますと十万四千円、こういうことになります。  それから大阪の泉南郡の東鳥取村でありますが、これは二億七千二百万円の査定がついております。人口が五千五百九十八、これは農家戸数がわかつておるので申し上げますが、農家戸数六百二戸、農業人口が三千百六十五名、農地面積がちようど五百町歩であります。これを今度は農家戸数で割つてみますと、農家二戸当りで約四十五万円、農家人口一人当り八万六千円、農地反当は五万四千円であります。それから税収は今資料がございませんが、村としての全財政は、歳入七千五百万円であります。税は大体三分の一以下ではないかと思います。  それから愛知県の幡豆郡の福地村、三和村でありますが、福地村は人口が七千百八十六名、農地が九百五十五町歩、これを先ほどと同じように割つてみますと、全人口一人当りが二万七千七百万円、反当が二万八千円であります。これは村税が一千九十八万円になつております。歳入総額は二千六百万円であります。  最後に三和村でありますが、ここは人口が五千七百八十六人、農地が七百六十二町歩、一人当りが三万三千円、反当二万五千円、村税は千二百四万円、歳入総額が四千四百万円、こういうことになつております。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それを基礎にして農地局長に伺いたいのでありますが、山口県の出雲村におきましては、七億八千四百万円の事業費が査定されて人口一人当りが十三万五千円の負担になつております。たんぼは一反当りが十四万五千円の負担になり、人数が五千八百人というような小さな村で——他は大同小異らしいのでありますが、こういう小さい村でこういう事業計画することに対して一体あなたのお考えはどうなんでしようか、それをまず聞いてみたいと思います。
  51. 平川守

    平川政府委員 ただいまの金額は結局事業費でございまして、つまりそれだけの災害復旧を要する大きな災害を小さい村が受けたという状況であるわけでありますから、これに対して法律の定めるところに従つて相当高率な助成をするということをいたしておるわけで、これはやむを得ない事柄であろうと思います。
  52. 田中彰治

    田中委員長 会計検査院説明員の小峰さんにお願いしたいのですが、今おつしやつたのを材料にして印刷したものを出してください。吉田さんどうですか。
  53. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうぞお願いいたします。  この小さい村で“この大きな仕事計画するというときには、災害が大きかつたからやむを得ない、法律によつて相当の補助をするのだからやむを得ないとおつしやるのだけれども、たとえば赤ん坊は一人立ちしておる人に比べて傷等に対する抵抗力が非常に弱い、そういうものが何らかの傷を受けたときには、国といたしまして傷が大きいのだから大きい手当をしたならばよいのじやないか、薬をよけいやるのだからお前の方の経費は使わぬでもできるのじやないかというような簡単なことで一体済ませるでしようか。そういうようなお考えであるからこういう批難事項が私は起つて来るのだろうと思います。そういうような貧弱な寒村におきまして大被害を受けたというときには、一体何を検討し、何を調査し、何を準備しなければならぬのであるか、財政負担能力があるのだろうかないのだろうか、ないとすれば一体どうすればよいのだろうかというようなことについては、政府として深甚なる調査検討がされなければならぬと私は思います。大きな被害を受けたので、たくさんの補助をやるのだから、貧寒村であつてもそれはやむを得ないのじやないかというような簡単な言葉では私は済まされぬ問題だと思いますが、どうですか。
  54. 平川守

    平川政府委員 御趣旨を必ずしもよく了解しないかもしれませんが、われわれの建前といたしましては、ともかくそれだけの被害があつたものに対しては、これを復旧することをぜひやらなければならない。そうしてそれに対しては、その負担力に比べて非常に被害の大きい場合は高率の補助をしなければならないという考え方で出ておるわけであります。ただ最近それにつきましてもなお検討いたしておりますのは、かような非常に局部的に大きな被害が起りまして、大きな復旧工事をやらなければならない場合においては、工事自体を、たとえば県営でやりますことが必要じやなかろうかということを考え、ある程度最近は実施しておるのでありますが、その工事の方法につきましてはそういう検討を要すると思います。またその負担につきましても高単の補助をし、さらにその自己負担分に対しては、たとえば農林漁業金融公庫の国家資金を融資いたしまして長期低利のものによつてこれの償還に充てるというような、要するにいろいろな国家的援助を手厚くすることによつて災害の復旧をはかる、こういう考え方でおるわけであります。
  55. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはひとつ誤解のないようにしていただきたいと思うのです。私の質疑趣旨は、平面的な大きな災害がある場合には法律によつて大きな補助をする、あるいは個々の負担能力いかんによつては別に考慮して、これをほかの団体にさす、そういう方法があるかないかをお尋ねするんじやないのであります。指摘されております批難事項内容は、これは御承知だろうと思うのでありまするが、きわめて粗漏な工事が行われ、あるいは過大な設計が行われておつて、こういつたことの原因を探究するならば、そこにやはり政府としてとるべき処置をとらなかつたという幾多の不手ぎわが指摘せられるということを前提として、批難事項の真相の究明ということが私の質疑の要点になるのであります。こういう貧弱村が非常な被害を受けて、数億円の事業費を査定される、そういうような仕事をせなければならぬときには、一体政府は何を考え、何を調査して、何を検査すべきかという点を私は指摘しようとするのであります。そういうような点について政府の考慮はどうなのかということを聞かんとするのであります。そういう趣旨であります。  それではもう少し進んで伺います。ともかくその村としては莫大な負担をして仕事を始めなくてはなりませんが、あなたの方といたしましては、こういうときには何を調査するように指示しておるのですか、あるいは事業費と査定し、事業計画検討をどこにさしておるのでしようか。その点をひとつ具体的に聞いてみましよう。
  56. 平川守

    平川政府委員 こういう大きな災害につきましては、農地局の出先機関であります農地事務局の係官が現地に出向きまして、まず損害の実態調査するわけでございます。そしてそれに対して復旧工事計画をいたし、それに要する国庫の助成金を査定し、そうして、後に必要がありますれば、さらに自己負担分に対する融資の手続をとる。まず第一に現地における損害の査定、それに対する復旧の計画ということを農地局の出先の農地事務局の係官が行うわけであります。
  57. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今の出雲村及び八坂村でありますが、この場合の具体的実情をついでに重ねて第三局長に伺つてみましよう。どういう状況でありましたか。
  58. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 私ども検査に参りまして、山口県のこの二つの村に非常に大きな査定がついておりましたので、実は驚いたのであります。それで内容検査いたしますと、相当に水増しと思われるようなものも見受けられたので、当局に対しましてもう一ぺん査定をし直したらどうだろうかという照会をしたわけであります。それによつて当局も再び査定をされたのでありますが、すでにやつてしまつた工事はそのままになつたのであります。その後まだ残つておる分につきまして査定をやり直したところが、相当程度の差額が出て減額されたのであります。八坂村の例で申し上げますと、最初の査定が五億三千万円であります。これに対して五千九百万円余不当にふくらんでおる、こういうことで減らすような結果になつております。それから出雲村は二千百万円、東鳥取村は四千七百八十九万円、三和村、福地村合計いたしまして三千九百万円、こういう金額がその後の分から減らされたようなわけであります。先ほど来お話があります通り、五千か六千のこういう小さな村へ何億というような災害復旧費がつくことは、今まであまり例がなかつたわけであります。災害が大きければたくさんの事業費のつくのは今の制度からいつてあたりまえかもしれませんが、この八坂村などは、私ども検査に参りましたときはもう相当工事ができ上つたことになつていたわけであります。書類上は、二十六年と二十七年の両年度で、七億八千万円のうち二億七千五百万円の工事がもうすでにできておつた。それに対して、これは災害が大きかつたので村の自己負担分が少く、逆に国庫負担が大きいのでありますが、それでも二十六、二十七両年度で六千三百万円の自己負担をしたということになつていたのであります。村税がわずか年に五百五十万円程度の村で、二箇年間に六千数百万円の自己負担をしたということは、私どもとしてどうしても納得できなかつたわけであります。現金ではもちろん出せません。労力提供にいたしましても、先ほど申し上げましたように人口が五千八百人であります。農家の人口は、正確には覚えておりませんが、たしか三千台ではなかつたかと思います。戸数にいたしまして千戸以下だつたように記憶しております。そういうところで二箇年間に六千万円もの自己負担、労力を出したところでそうはできるものでございません。そういう点から、私どもとしてはこれを深く掘り下げて検査をしたような次第であります。
  59. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 平川局長に伺います。この出雲村及び八坂村で事業を完成する場合、補助を受けた総額は何ほどになつたでありましようか。
  60. 平川守

    平川政府委員 この村についての正確な数字をただいま持合せておりませんが、補助の基礎から申しますと、これは高率の補助を適用されますので、八割ないし九割の間の金額が国庫補助になると考えます。
  61. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 八割としますならば七、八—五億六千万円、約六億円近いもの、九割としますならば七億円余り、出雲村におきまして。八坂村におきましても、五億近いものが補助されるのでありますが、全国的に見まして、このような寒村で五億とか七億とかいう国庫補助が交付される実例はございますでしようか。その辺いかがですか。
  62. 平川守

    平川政府委員 これは山口県下の稀有の実例でございまして、かような例はほとんど今までもございませんし、ほとんど例のない非常な巨額の災害であります。
  63. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、さつきお述べになつておりました地方の農地事務局の当局が、現地調査をし計画を調べて事業費の査定、決定をするらしいのでありますが、今検査院の方から聞けば水増しが発見せられたということであります。あるいはまた一方から見れば、この出雲村におきましても二年間に六千四百万円の負担をしておるが、こういうような事情農林省でもお調べになつたのでしようか。また農地事務局長の方からも検査院の方からも指摘され、中間において注意も受け、勧告も受けたらしいのでありますが、今お説によりますと、全国にほとんど類例のない莫大な補助が与えられることになつ事業でありますから、非常にこれは重大な異例な案件だと見るのであります。さような場合に地方の農地事務局は——どこの所管に属するのか存じませんが、その方におきまして、何を調査し、どういうふうな検討を加えて、こういう事業費を決定をしたのかということ、事業の遂行をして行つたのだろうかということ、その辺について農林省としては十分お調べになつたでしようか。
  64. 田中彰治

    田中委員長 局長にちよつと聞きますが、ぼくたちもやはり農民の代表だからいろいろなことを願いに行くのだが、こんな何億なんということを今まで簡単に許可したことはないのに、こればかりは許可した。だれか政治家が何か運動してやつたのじやないですか。
  65. 平川守

    平川政府委員 そういうことは全然ありません。
  66. 田中彰治

    田中委員長 おかしいじやないか。われわれのところもたくさん秘書がおつて、あなたのところにいろいろ頼みに行く。ここにも代議士がいる。そうしていろいろ陳情に行くだろうが、その十分の一もしてもらつたことはおそらくないだろうと思う。(「査定だから」と呼ぶ者あり)査定にしてもおかしいじやないか。だれか頼みに行つたのじやないか。それをひとつあなたは正直に言つてくれたらどうか。
  67. 平川守

    平川政府委員 これは農地事務局におきまして、まつたく純技術的に査定をいたしておるのであります。ただ御承知のように、こういう山地帯の水害というのは、土砂くずれ等による被害は非常に激甚なんでありまして、ことに復旧に非常に金を要するような状態になるわけであります。平野部と違いまして、大きな石が谷に一ぱい入つてしまうとか、あるいは農地がすつかり洗い流されてしまうとか、その被害に対する復旧の費用というものは、平野部に比べて非常によけいかかる状態災害が多いわけであります。昨年度災害等におきましても、そういう種類の山地帯の災害というのは、非常に復旧費がよけいかかるという場合が多いのでありまして、これは非常に異例ではございますけれども、その間に私どもとしましては、技術者が出向きまして、純粋に技術的に査定をいたしておるのであります。ただ地元といたしましては、率直に申しまして、やはりいろいろ欲がございますから、災害の際に、原形復旧を原則といたしますけれども、やむを得ざる場合には若干の改良工事を含めることを認め——そのこと自体が非常に今後の災害を防ぎ、あるいは非常に経済的である等の場合には、例外的に若干の改良面を一緒に工事の際に行うということは認められておるような事情もございまして、現地の方におきましては、あれもやりたい、これもやりたいという希望がどうせ出るわけでありますが、農地事務局の技術官としては、むしろ現地から非常に憎まれながら査定をいたしておるわけであります。しかし一面また会計検査院の立場等から見ますれば、まだそれも削れるじやないかという場合も相当あろうかと思います。それから事実中にはわれわれの方にももちろん見落しもあることでありましよう。従つて指摘せられるようなことが一部分ないとは決して申しません。しかし農地事務局の技術官の査定はあくまでも純技術的にやつておるわけでありまして、その間に特に何か他のことをもつて査定をするとかいうようなことはないと考えております。
  68. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはやはり平川局長は一般論的にこれをお扱いになろうとする傾向が私には感じられる。これは出雲村、八坂村をかりに数百件のうちの一つの例として取上げられておるのでありますから、この問題についてはもつと具体的に、なぜこうなつたかということについて率直に述べてもらわなければいかぬと思います。技術官が調査したことは間違いなかつただろうと思うというようなことじやなしに、一体これはだれが責任者なんですか。農地事務局長事業費を決定するについての出先の責任者ではないのでしようか。
  69. 平川守

    平川政府委員 農地事務局において査定をいたしまして、それをまた本省で認めて助成をしておるわけであります。
  70. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 全国でまつたく異例に属する寒村で五億、七億というような莫大な補助金を受取るべき事業計画であります。二十六年度来すでに補助金の問題についてしばしば指摘をせられておつたごとくに、あなたには申し上げるまでもなく、平衡交付金を除いて二十七年度は二千二百余億円の厖大な補助金というものが国の予算から出ておるわけでありますから、この種の問題については、もつと真剣な検討をなされて、あるいはその後の現地再調査とか、あるいは担当した人間について調べるとか、あるいは材料について検討するとか、当初の方針について調べるとか、こういうケースが起りましたならば、あらゆる角度から御調査つてしかるべきだと思うのですが、そういうことは一体なされたのですか、なさらないのですか、それはどうなんでしようか。
  71. 田中彰治

    田中委員長 局長、あなたに言つておくが、これはよく調べますけれども、これは佐藤榮作の選挙区だね。だれか中に入つてつたのじやないか。こんなことはやれつこないじやないか。われわれの新潟県に行つてごらん、もつとひどいところがたくさんあるが、千万ももらつたことはない。ほんとうのことを言え。ほんとうのことを言わなければ調べるぞ。
  72. 平川守

    平川政府委員 これにつきましては会計検査院から御指摘もあり、現在もなお詳細に再査定をいたしております。一応災害当時の復旧計画としての事務局からの査定は済んでおります。さらに再査定をいたしまして、不当のところがあれば是正をいたしたいということを現在もいたしておるところであります。
  73. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると、この山口県の出雲村、八坂村の事業はさらに継続してやることになつているのですか、あるいはストツプしたのでしようか。最初の査定があつたのであるから、続いて補助を出すということになつておるのだろうか、その辺のことはどうなつておりますか。
  74. 平川守

    平川政府委員 補助は引続き出すことにいたしております。ただそれと並行いたして今再査定をいたしております。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、再査定をいたしておるとかしたとかおつしやるのだが、愛知県の幡豆郡の福地村の問題も、また三和村の問題も、大阪泉南郡の東鳥取村の問題も、これらはやはりその後具体的に調査をなさつたのですか、どうなんです。
  76. 平川守

    平川政府委員 具体的な調査をいたしておりまして、一部設計変更等をいたした部分もございます。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まずあなたのお考えを聞いておきたいんですが会計検査院がこういうように大きな文字を用いて、総論として具体的に指摘いたしておることは、かなり注視すべき事柄であろうと私は思うのであります。しかるときには、主管庁といたしましては、この案件を特別に調査して、今後の防止対策にも資すべき幾多の資料をこういうところからも得るくらいの心構えで臨んでしかるべきだと私は思いますが、そういうことはあるのですかないのですか。
  78. 平川守

    平川政府委員 これらの地区につきましては、そういう意味で特に非常な注意を要する地区でございますから、ただいま申しましたように、引続き再査定の調査もいたしておるわけであります。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きようは農林大臣は見えぬのですか。この問題は農林大臣が見えなければ……。
  80. 田中彰治

    田中委員長 今参議院の秘密会で何か答弁しておられるようです。
  81. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは後ほど伺うことにいたします。
  82. 柴田義男

    柴田委員 きようせつかく御出席を願つておるようですので、農林漁業資金関係のことをひとつ承りたいと思いますが、農林中金からどなたかお見えでしようか。
  83. 田中彰治

    田中委員長 真板さんという人が来ております。
  84. 柴田義男

    柴田委員 指摘事項千五百十三号に、「農林漁業資金の貸付けにあたり審査または管理不十分なもの」ということで、一、二、三、四、五まで指摘されております。私どもも、農林中金がこういう不徹底な貸付をやつているのは、ここに指摘された問題だけでなしにたくさん知つておるのですが、こういうふうに指摘されるような問題は審査が不徹底なのであるか、農林漁業資金等を融資いたします場合に、やはり何か政治的な関係で簡単に融資をされておるのか、そういう点を承りたいと思います。
  85. 真板栄一

    ○真板説明員 ただいま農林漁業金融公庫といたしましては、申込みの受付審査、貸付資金の交付管理、回収等につきまして、農林中央金庫ほか地方銀行五十数行に業務を委託してやつております。その委託金融機関につきましては、年に数回監督に出向きまして、貸付の状況等も審査しておりますが、政治的に左右されたということは、監査の結果からは推測できないのであります。
  86. 柴田義男

    柴田委員 簡単に、あるというようなことは、お答えがないであろうとは思いますが、実際具体的な問題を見ますると、たとえばこの漁業金融公庫の予算等も、われわれはやはり農林漁業に対しまして何とか改善をはかつてもらいたいということで、予算を組みます場合には相当多額の予算をとつて差上げようということに、常に大蔵委員会等でも努力を払つておる。しかるに実態は、出て行つた金の貸付の状況を見ると、今ここに指摘されております問題等も、たとえば昭和二十七年の八月から十月までの間に農林中金の取扱いで、愛知県の海部郡富田町農業協同組合ほか二箇所の潅漑排水工事に対しましての資金として、六千九百六十万円を貸し付けておる。農村における農業協同組合三箇所に対しまして六千九百万の貸付を行つてつて、いずれも審査が不十分だということを指摘されておる。ことに次の二十七年四月から九月までの間の、これはやはり農林中金の扱いで福島県の岩瀬郡の四農協に対しまして、一千八百余万円の貸付を行つおる。われわれが地方におつて農業関係や中小企業関係を見ますると、百万か五十万の融資を受けるのにも相当骨が折れておるわけです。骨が折れるばかりでなく、担保の能力であるとかいろいろなことを考慮に入れなければ、正当な貸付というものはほとんど行われていない。それにもかかわらず、政府から出ておる資金であるから、回収がどうなろうと、あるいは貸し付けた先がどういう状態になつてもかまわぬというような放漫な貸付の状況が見受けられるのであります。これに対しまして、きよう御出席の方は監査役さんのようでありますが、どういうふうな監査をおやりでありますか。
  87. 真板栄一

    ○真板説明員 貸付につきましては事業内容、その事業に対します資金の使用状況等につきまして監査をいたしますが、その資金の払出しについては、県庁からの出来高証明、あるいは請負業者からの請求書等によりまして資金が払い出されておるのであります。  それからただいま御質問にありました農地等の問題につきましては、農地事務局あるいは県の耕地課等の指導を受けまして、設計の正しいものを取上げておる。こういうことになつておりますので、御質問のようなことは、検査の面からはちよつと受取れないのであります。
  88. 柴田義男

    柴田委員 そうすると検査の上からは受取れないで、会計検査院から指摘されると、なるほどさようでございますかという結果になるのでございますか。
  89. 真板栄一

    ○真板説明員 たまたま会計検査院検査につきましては、具体的に貸付先等について御調査をいただいたのでありますが、私どもただいま監査機構が十分に整つておりませんので、受託金融機関について調べたのであります。この受託金融機関につきまして、借入申込書の審査、私どもが交付いたしました資金の支払い方法、そういうことにつきまして主として検査をいたしましたので、今後実際に借入者について審査をしなければならぬということで、本年からは監督部あるいは監査室等を設けまして検査院のなされると同じようなふうに、借入者につきまして検査をしたい、さように考えております。
  90. 柴田義男

    柴田委員 今年度の一兆円予算ということで、あらゆる面で、ことに地方の農業関係予算等が莫大な犠牲を払わせられておるにもかかわらず、漁業金融公庫に対しましては、今年度予算から九十五億、なお政府資金として百五億かと記憶しておりますが、そういうものを出して、約二百億というものを金融公庫にまわしておる。非常な忍びがたき状況からでも、漁業金融公庫に対しましては政府も考慮を払つておるのです。そういう苦労いたしまして出した金が、こういうでたらめな貸付をやつておるということでは断じて許されないと思う。農林中金におきまして扱いました場合には、その責任は農林中金が一切負いますか。その点を承りたいと思います。
  91. 真板栄一

    ○真板説明員 ただいまの御質問でありますが、特に貸付につきまして、善良なる管理者の注意を欠く場合におきましては、農林中央金庫その他の受託金融機関が、全面的に責任を負う、こういうことになつております。
  92. 柴田義男

    柴田委員 なおこの指摘事項の一五十三号の中の(3)のごときは、補助金をもらえば返還することは当然なんだが、二十七年度中にすでに補助金八百二十九万五千八百円の交付を受けていながら、償還の処理をとらないでそのままになつておる。こういうことまで指摘されておりますが、一体農林漁業金融公庫等の考え方は、やはり、政府から出ている金なんで、どうでもいいという観念がどこか底に流れていはすまいかとわれわれは考える。そう書けれぱ期間が来ておるのであろうし、これに対しまして四千三百八十六万円を貸し付けておる。そうして八百二十九万五千八百円というものは補助金の交付を受けても、それをまだ回収していなかつた、こういうことが指摘されている。会計検査院から指摘を受けるまでもなく、当然こういう事務的な処理が、前の審査が不十分であつたということとはまた別個に、あまりにも緩漫過ぎるのじやないか、こう思われますが、検査役としてのお考えはいかがですか。
  93. 真板栄一

    ○真板説明員 補助金があとでつくという場合は、非補助事業で融資をいたしましたものにつきまして、それが後に補助事業にかわる、こういうようなケースなのであります。農林中央金庫が取扱いまして融資をする際には、それは非補助であつた。その後にそれが補助金がつくというときには、県の出納と農林中央金庫との間に、補助金の代理受領の委任をすることになつております。しかし県庁におきまして実際に事業指導する面と、補助金を流す係とはおのずとかわつておるのであります。その間に十分な連絡がとれずに、補助金を交付する係から工事者に補助金が流れて行つた、その補助金を受けた者が、補助金を受けたとして契約の面では繰上げ償還をしなければならぬのですが、それを黙つてつたというような場合でありまして、そういう点につきましても、受託者はなお十分監督しなければならぬのでありますが、事務が多忙なためにあるいは粗漏な点もあろうかと思います。それでこれからは農地事務局並びに県の耕地関係の方となお十分な連絡をとりまして、補助金を交付された場合には、ただちにそれが繰上げ償還の手続をとるようにということを、最近でも通牒を出しております。また二十九年度からは、都道府県に相当の調査委託費を交付いたしまして、補助金の点ばかりではなく、工事状況、設計等につきまして、十分調査をしていただくように考えております。
  94. 柴田義男

    柴田委員 今のお答えは、この指摘事項をごらんにならないお答えのようにしか聞えないのです。あまりにも不熱心なお答えで、われわれは心外にたえないのですが、指摘されている問題は非補助の問題じやない。補助を受けてその補助金を返還するという約束が成立した貸付なんです。よくごらんになつてください。そういう問題をわれわれは指摘しておる。補助金の相当額を期日前に償還することを条件として貸し付けられたものである。だから今のお答えでは、県の機構補助金の方の係と工事の方の係と違う、これはわれわれは知つております。だけれども、少くも金融機関であるならば、補助金をもらつてそこに返して来るべき性質のものであつたならば、みずからその間に積極的に十分の連絡をはからなければならぬはずである、こういう点の管理が不十分だということを会計検査院から指摘されておる問題だと思うのです。今のお答えのようなことはまつたくお答えにならぬ。国の金というものは国民の税金によつてできておる金なんだ、それを貸し付けておる、その当の責任者というものはもう少し責任を感ぜられませんか。ひとつ良心的なお答えを願いたい。
  95. 真板栄一

    ○真板説明員 ただいま私の説明が足りなかつたと思いますが、融資の場合に、非補助事業の融資とそれから補助事業であるが補助金がつかないで非補助として取扱うという場合と二通りあるわけであります。その場合に、補助金が出たならばそれを繰上げ償還しますというようなことになつて、一応非補助として取扱われたというような場合におきましては、これは当然……。
  96. 柴田義男

    柴田委員 場合におきましてというような例ではなくて、私は(3)の問題を聞いておるのです。私は(3)を聞いておるのだから、(3)を答えてもらいたい。例証、よそのことを聞いておるのじやない。
  97. 真板栄一

    ○真板説明員 ただいま御質問の事項は、やはり当初非補助事業として貸し付けられたものなのであります。その非補助事業なつたものが、あとで補助にかわりましたために補助金が出たのであります。ですからそれは私の御説明でいいのではなかろうかと思いますが……。
  98. 柴田義男

    柴田委員 あとで補助事業にかわつた。そうして補助をもらつたならば、そのかわつたとたんから当然これが回収に向わなければならぬものでしよう。それを怠つてつたということを指摘されておる分なんです。何でこう怠つてつたのか。事務的な機構というものは、農林中金に扱わせたのだから、末端の責任は農林中金にあるのだろうが、最終的な責任というのは、やはりあなたの方にあるのじやないでしようか。
  99. 真板栄一

    ○真板説明員 御質問の通りでありますが、重ねて申し上げて恐縮ですが、県の方から補助金が出たというその連絡が不十分だということで、せつかく出た補助金が金庫の手もとまで返つて来ないということがしばしばあるのであります。かようなわけで、今後特に非補助事業補助事業にかわつたというようなときたは、この補助金につきましても、ただちにこの繰上げ償還ができるように十分注意をいたしたいと思います。
  100. 柴田義男

    柴田委員 たとえば県や国の請負業者が中間に融資を受ける場合でもみな委任状を金融機関はとります。そしてその工事が完了いたしましてできた検査が行われると、その交付金に対する受領は金融機関が直接やつておる、こういう問題をわれわれ知つておるのです。そういうことと今度は別個に、こういうようにかつてにその団体が、補助金が来れば御返済しますというお約束をやつておりながら、黙つてつておるというようなことは、もしも今後も行われて、しかも金融が非常に逼迫して行きます今後におきまして、返せる能力があとになつてまだあれば幸いなのでありますが、返せる能力がなくなつてしまつたならば完全な損失がここに生れる。漁業金融公庫の損失即国の損失が生れるわけです。こういうことに対しまして何かもつと確実な方途というものを公庫がとつておらないのでしようか。
  101. 真板栄一

    ○真板説明員 ただいまの御質問に対しまして、公庫といたしましては農地事務局並びに県と連絡いたしまして、すでに交付されました補助金を各事業ごとにリストをつくつております。従いましてそのリストのうちで繰上げ償還をしないものについては、県の耕地課を督励いたしまして繰上げ償還をさせるようにしております。実際にこの補助金が出たといたしましても、その補助金が融資の対象事業に出たかどうかということについては、県と十分連絡をとりませんと、事業所が同じ村でも幾つにもわかれておりますので、補助金が出たからすぐ繰上げ償還をさせるというわけには参りません。従つて県の耕地課と十分連絡をとるようにして、現在それは各農地事務局ことにこの補助金の出たりスト等ができておりますので、今後はその点も改善される、さように存じております。
  102. 柴田義男

    柴田委員 最後に伺いますが、この指摘されましたあとに(ア)、(イ)、(ウ)とかなで特別に指摘されております問題が、今のお答えのような問題だと思うのですが、農林省との部内連絡が不十分だと見られる点が指摘されておる。「国庫補助指令を受けているものを国庫補助金を受けない事業として貸付決定をしたり、貸付後に補助事業となつて、国庫補助金の交付を受けたものを償還させないままとなつている傾向がある。」ということを指摘されておるのです。その次の指摘事項は、「監査機構が整備されていないため、受託金融機関に対する指導監査が十分でない傾向がある。」その他もう一項目指摘されておりますが、こういうような状態は、総括的に考えると、これはどうしても一般の金融機関よりもどこか考え方が甘過ぎはしまいか、こうわれわれは考えるわけですが、これに対して今後どういうような監査の状況を進めて行かれるお考えかを承つておきたいと思います。
  103. 真板栄一

    ○真板説明員 今後の監査といたしましては、受託者につきまして内部事務を十分に監査するとともに、貸付先まで参りまして会計検査院の方がやつておりますように、なるべく多数の貸付者を監査したいと存じております。従いまして現在予算範囲内で大体三班編成いたしまして、受託者は信連を入れまして大体百三十ぐらいになりますが、一箇年に一ぺん検査をしたいと存じております。また各ブロツクに一回二十ないし三十ぐらいの貸付先も検査をしたいと存じておりますので、それが年に一班で百五十ないし二百ということになりますと、六百ぐらいの貸付先を検査したいと思つております。しかし先ほど御質問の中にもありましたように、二百数十億の貸付が出ますと、少くとも件数は一万件を越すのであります。かようなわけで、なかなか六百件、七百件程度ではまことに隔靴掻痒の感がありますが、会計検査院の御検査をいただいたり、または私どもがさように検査をいたしますと、それが勢い借入者の心理的な面にも非常に影響をいたしまして、引締めた、まじめな借入れが行われるようになるのじやないか、また受託者もまじめに貸すようになるのじやないかと考えております。
  104. 柴田義男

    柴田委員 それでは最後に伺いますが、たとえば林道をつくるというような場合もこの金融機関から出ておると思いますが、こういう場合には漁業金融公庫の金は必ずしも農林中金が取扱い機関ではない、地方の一般の銀行が取扱い機関になるようなこともわれわれは聞いておるのですが、そういうような場合でも地方の銀行に一切の責任がございますか、そうではないようにわれわれは聞いておるのですが、その点を承りたいと思います。
  105. 真板栄一

    ○真板説明員 説明のときに申し上げましたが、責任の全部はとにかく農林漁業金融公庫が負わなければなるぬのでありますが、貸付にあたりまして、善良な管理者の注意を怠つた場合には、農林中央金庫あるいは受託銀行が負担をするようになつております。そのほかに貸付金の未償還分の二割につきまして受託金融機関が負担をする、これだけの責任になつております。
  106. 柴田義男

    柴田委員 そうするとずつと前のお答えとまた違つて来るのですが、農林中金が扱つた場合には全額を農林中金が負担をする、そうして地方銀行が扱つた場合には二十%だけその機関が責任を負うというのですか。
  107. 真板栄一

    ○真板説明員 私の説明がへただつたかもしれませんが、農林中金が扱つた場合におきましても、地方銀行が扱つた場合におきましても同様にこれを総括して受託金融機関と言つておりますが、その受託金融機関の責任は未償還元利金の二〇%というのが普通の責任であります。そのほかに善良なる管理者の注意を怠つた場合には、これは全額でもその点におきまして負担をしなければならぬということになつております。
  108. 柴田義男

    柴田委員 大体わかつて参りましたが、そういたしますと、まず何か事業をやる、林道をつくるという計画を進めて、その進めたものは各地方の県の林業なら林業の方の係の決裁等を経て参つて、そうして農林漁業金融公庫に申込みが来るでしよう。そうしまして、それを検査をいたしましてこれに刻する貸付が決定されるというのは、当初末端における取扱い金融機関でなしに金融公庫が、貸付をする、いやこれは貸さぬということを決定するのでしようか。その貸し付ける一番当初の決定権はどこにあるのですか、これを承つておきたい。
  109. 真板栄一

    ○真板説明員 貸付の決定権は農林漁業金融公庫にあるわけです。まず順序を申し上げますと、受託金融機関に借入れ申込書が参ります。その借入れ申込書が参りますと、その内容を審査いたしますが、その審査にあたりまして県の証明が必要であり、あるいはその計画書が必要である場合には、県の方へ照会いたします。たとえばただいま林道のお話が出ましたが、林道の審査にあたりまして、その林道が県の林道の計画の一環であるかどうかということは、県の証明をもらいます。従いましてその林道が経営上支障がないということと、県の林産行政から見まして適当であるという証明をもらつてから、実際に今度は技術的な審査を始めるのであります。かようにいたしまして、この林道が事業もできるし、またその事業から切り出された木材等によりまして償還が支障ないという認定を得たときに、公庫に意見書を添えて申達されるのであります。公庫もやはりその林道はその方の専門家がおりまして、一応技術的な審査をして決定する、かようになつております。
  110. 柴田義男

    柴田委員 御説明を承つて通りわれわれも了解したのですが、具体的な問題として納得の行かない点がたくさん残されておりますので、委員長におはからい願いたいと思います。林道に対する融資が——昭和二十七年度、二十八年度のここ二年度ぐらいでいいんです。それ以上古いものまでいりませんが、二十七、二十八両年度にわたつてどういうふうなものが行われているか。金額はあまり少額なものは何ですから、五百万ぐらいを中心といたしましてそれ以上の融資の一覧表を資料として御提出方をひとつおはからい願いたい。
  111. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。——吉田賢一君。
  112. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 農林大臣に伺いたいのですが、きようはあなたの方の補助金に関する会計検査院批難事項食糧管理特別会計を除いた分について全般に質疑する、実はこういうことになつております。御承知と思いますけれども、ただいま申し上げました範囲における検査院の検査の結果の報告によりますと、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律などの根拠法によりまして、全国で工事している現場の六万五千九百余りのうち、ただ五・八%だけを検査院が全国的に実地検査をした様子であります。しかもそのうち千七百五十七という工事と、当然国庫補助から除外しなければいかぬという金額が決定されたものが六億八千七百余万円に実は上つているのであります。五%、六%に足りない工事場の検査の結果、六億八千七百余万円、このような補助金から除外しなければならぬという報告書が出ておりますので、まさにこれは補助金の問題といたしましては最も重視すべき現象であると考えるのであります。そこでさらに続いて具体的な例があげられているのでありますが、実は今農地局長との間にだんだん問答しておりましたうちに五つの例が出て来たのであります。二つは山口県の出雲村と八坂村というところで、人口五千ないし六千ほどの寒村であります。こういうところで災害復旧事業費が出雲村は七億八千四百万円、一方八坂村は五億三千五百万円、実に厖大な事業計画がせられているのであります。その他愛知県、大阪府に三箇所、同種類の同じ事情のものが一つの適例としてあげられているのであります。そこで私どもはつきりさしたい点は、およそ天災による被害でありますから、完全にその復旧とか応急的ないろいろな措置が必要であるということは申すまでもないと思いますけれども、しかし一方人口が五千ないし五千五百の小さな村で、七億円、五億円というような大きな予算を組んで、八割、九割は国庫補助を受けることが当てでありますけれども、いずれにしましても村の財政能力がきわめて貧弱なものでありますので、こういうようなところに補助金を交付する事業費を査定するときには、相当根本的にいろいろな角度から検討しなければいくまいと思うのであります。  そこで大臣に伺いたいのは、村の財政能力あるいはその他のあらゆる負担能力のいかんを問わず、ともかく八割、九割まで国庫が補助してやるのではないかというので、七億円、五億円というような大きな予算を組ますということがいいのでしようか。こういうようなことは基本的な方針としまして、相当考えねばならぬのではないだろうか。そんなことはどこでもあるのかと聞けば、きわめて稀有の例だということであります。そこであなたとしてはどういうふうにこれをお考えになるでしようか。具体的な詳細な事情はあるいは御承知でないかもわかりませんが、今申したのがその概要であります。まず大臣の御所見を伺いたい。
  113. 保利茂

    ○保利国務大臣 両年度にわたりまして、農林省経費支出に関しまして、数多くの批難事項をいただいておりますことは、まことに重要な農林行政の施策を担当いたす者として責任を痛感しているわけであります。ただ最もよく各方面で御議論になり、また御批難をいただいております災害復旧の補助金につきまして、特に批難事項が集中的に上げられるということにつきましては、私も前々から深く心配をいたしております。実を申しまして、今日の制度のもとで農地、農業用施設に対する災害復旧は、国で災害復旧助成をいたすべき全体を政府自体で直接責任をとらなければならないことになつているわけでございますが、しかし昨年の例をとりましても、災害を受けました件数は本数万件にも達している。現場の査定から実施、監督まで、今日の農林機構をもつて一々隅から隅まで現場の査定をして、また工事の実施、監督に当るということは事実不可能になつている。すなわち結局責任は持つているけれども、目は届かない、手は届かないという状態に——これは災害がなければよろしゆうございますけれども災害が年々頻発するこの国情のもとにおいては、制度上私はそこに非常な矛盾を感じておるわけでございます。そこでできるだけ農林関係の諸君の御活動を得て、できるだけ数多くの現場査定と実施監督をいたしておりますけれども、それはほとんど申すに足りない数になるわけであります。そこで根本的には私としましては、こういうことを、すなわち国民の負担において災害復旧をしなければなつない、しかもその一番大きい責任をとるものに、それだけの力がないというところに——、私は決して責任を回避するというようなことで申し上げるわけではございませんけれども、制度上ここに考えなければならない点があるのじやないか。私率直に申しますれば、ある規模以上のものは農林省で直接責任を持ちます。ある規模以下の小規模なものについては、ひとつ府県で責任を持つてもらう、そして国が間接的な監督上の責任を持つて行くようなふうに持つてつたらどうかということで、先般来政府部内において、その点については研究を進めておりますけれども、まだ結論を持つて審議を願う段階に至つていないことを非常に遺憾に存じております。  もう一つは、これは決して私は弁解申し上げるわけではございませんけれども農林省なりで災害直後に査定に参りました、すなわちさんたんたる状況を呈しているときに査定をいたすわけでございますから、その査定をいたしたときの状況と、ある程度工事が進み、災害後相当月日がたつてから現場に行つた人の感覚というものは私は全然違うと思います。私どもの小さい見聞におきましても、こんなことに政府補助金を出すというのはおかしいじやないかというように、あとから行つた人はひややかに見られる。しかし災害の起きた直後に行つて、現場の査定に当る場合には、当然これは何とかしなければならぬというようなことで、これが私は一つの原因になつておるのじやないかというような感じもいたすわけでございます。個々の事例につきましては、私もこれだけの批難事項をいただいておけるわけですから、できるだけひとつ巨細に点検いたしたいと存じておりますけれども、まだ巨細に点検することをいたしておりません。個々の事案については、ひとつ事務当局からお聞きとりをいただきたいと思います。基本的には私はそういうふうに考えております。
  114. 柴田義男

    柴田委員 今農林大臣に吉田委員からも御質問がございましたが、ただ私ども補助金額があまりに莫大であるので、どうも納得しない、たとえばわれわれも各県におきまして、農林省関係に対する補助に対しましては、いろいろと御援助を願おうということで県も大わらわになつてつておるのですが、なかなかそう簡単には農林省はやつてくれていない、なかなか厳重な査定をやつておる、しかしその反面非常に今指摘されておりまする山口県の出雲村のごときは七億八千四百余万円ございまするし、大阪の東鳥取村でございますか、これは二億七千二百万円ある、愛知県の問題が一億九千九百余万円、その同じ愛知県でまた別の村へ行きますと、一億九千百余万円だ、こういう莫大な補助金額を見ますると、何かその裏には大きな政党的な他府県と違つた政治力があるのじやないかと思う。こういうことをまつたくまじめに考えてもそう考えざるを得ないのです。たとえば山口県ではどういう政治力を発揮したのかと思つて選挙区から人をながめてみると、山口県には佐藤榮作さんあり、岸信介氏が出ておる、こういうことは選挙区を拾つて見れば出て来る、大阪を見ると西村榮一氏あり、小西氏あり、愛知県を見れば小笠原三九郎大蔵大臣あり、小林さんが出て来ておる。そうすると何か政治力を発揮してこういう莫大な補助をぶんどつてつたんではないかというふうに疑いを持たざるを得ない。まつたくどうも率直に了解ができないのですが、これに対して農林大臣はその当時に農林大臣でないから事情をお知りにならないかもしれないが、平川局長は十分御調査を願いたい、少くも徹底的な御調査をわれわれは要請いたします。
  115. 保利茂

    ○保利国務大臣 個々のことにつきまして、そういう点には私は建前としましても、先ほど申しましたように、この災害復旧の事案に対する批難事項に対して、決してそれを反発する気は毛頭ありませんけれども農林省としても決してそういう批難事項を受けておるが、それに対して農林省として、もう一ぺん見直すべきであるというような考えを持つておるわけでございます。そういうふうにいたしたいと思います。  そこで今お話のように、だれだれの出身のところにどえらいものが行つた、これはしかし私もここ数箇月農林省におりますけれども、しかも昨年のごとき災害に次ぐ災害を受けておりますが、しかし先の先のことまでどうこうは申しませんけれども、少くもただいまお話になりましたような御懸念、疑いを受けるような扱いは絶対にいたしておりません。のみならず、一村でなるほど七億、五億というような、村の負担能力も何もないところにこんな予算をくつけてという、ごもつともだと思いますけれども、さればとて村に負担能力がないからといつて、国が出すべきあるいはやらなければならない災害復旧を放置するということは、むろんこれはできないわけであります。村の足らざるところをどう処置すべきかということは、これはほかの手段によつて考えるべき問題であろう、災害復旧自体はそういう村ほど私はよけいに災害復旧を急がなければならぬと思います。昨年の災害で山口県の云々というお話もございますが、おそらく一村五億、六億あるいは三億、五億というような村が和歌山県あるいは三重県、この地点も全村埋没といつたような大きな山くずれ等によつて出て来ているところでございましようが、昨年の災害におきましても、こういうところが相当数あるということからいたしまして、村に負担能力がないから、その点に対しては別途の措置が欠けておるということを指摘を受ける分には、私はあえて何しませんけれども、そういう村ほど私は災害復旧というものを大事にしなければならぬのではないかと思います。
  116. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと農林大臣、あなたはちよつと考え違いをしていらつしやいますが、山口県のここへ七億八千四百余万円の金が出ておるのですが、それは村に能力がなくてもかまわぬ、災害復旧ですから……。しかしこの村一人当りになると赤ん坊にまで十一万円くらいのものが行つておるのです。行つたのはよいとしても、八千万円からの村が負担したというのは、村が負担しないでそういう金がやはり消えて、村が八千万円もその補助費から負担しなければならぬものを負担しておらないのですよ。そうして国家の補助金を使つておる、こういう不正が行われておつて、その選挙区からやはり自由党の大物が二人も出ておるものだとすると、やはりあやしく思いますよ。あなたは常識がないからそんなことを言うりですよ。これは国民の税金じやないですか。大臣つたらもつと常識のある答弁をしなさい。
  117. 柴田義男

    柴田委員 それに続いて一つの例を申し上げたいと思うのですが、農林大臣はわれわれに対しては良心的に答えておられるつもりでしよう。この前われわれが麻袋の問題を追究いたしました場合も、もう使い残しが幾らもないはずだ、使う予定がちやんとできておるのだ、こういうお答えをいただいたが、現実はまつたく逆です。三百万袋がよけいで、それがストツクで三百万袋の金庫料を払つて、けしからぬと追究しているさ中に、また翌る日の十九日に五百万袋を買つておる。そうしてその買つた分をわれわれが調査しおる間に、今度は別のものを安い価格でどんどんと何千枚という払下げをやつておる。これはあとから食糧庁の問題が出ましたときにわれわれは徹底的に追究しよう思つておるのですが、どうも農林大臣は下の局長部長の御報告があれば、それをさらに御調査をお進めにならないで、部長局長の調べて持つて来られるものをそのまま正面にこうなんだという無責任きわまるお答えだけなのです。だからわれわれはこの問題に対しましては——あなたのお心は確かにそういうことはない、少くとも政府はそういうことによつて左右されないというお考えではございましようが、どうしても納得ができないのです。こういう具体的な問題に入りますと、われわれはさようでございましようかといつて農林大臣のお答えで満足ができないのです。今造船疑獄で大わらわになつておるが、農林省からよくもリベートや何かの関係で役人が五人や十人つかまらないのがふしぎだとすらわれわれ思つておる。こういう点はもう少しほんとうに真相を把握した上でお答えをお願いたいと思います。
  118. 田中彰治

    田中委員長 八千万円もごまかしておるのです。補助金が多いとか何とか言つておるのではないのです。
  119. 保利茂

    ○保利国務大臣 委員長の御発言でございますが、先ほど申し上げておりますように、個々の問題について、災害復旧補助金について決して不当な支出がないということを弁解するとか強弁するとかいうことは毛頭ございません。責任は十分痛感いたしておりますから、かような問題につきましてはできる限り農林省としてももう一度見直して、そうして今後の施策の誤りなきを期するようにいたさなければならない。ただいまお話の個々の問題につきましては、そういうふうな措置をとりたいと考えておる次第でございます。
  120. 柴田義男

    柴田委員 これで私は農林大臣に対する質問を一応終りますが、この問題と別個に、今度は私は先ほど来中心的に伺いたいと思つておりましたのは、千葉県の印旛沼干拓工事なのであります。これも今指摘されておりますのは、五〇八号から五十三号まで数件に上つておりますが、この指摘されておりますことは別といたしまして、先ほど農地局長から承りますと、昭和二十三年から工事に着手されて、実際今の金に見積りますと六十数億かかるであろう、だけれども六十牧億という予算で何年計画という画然とした計画はないのだ、そして今の財政の許す範囲において、たとえば今年度は三億、来年度は二億、こういうような形において事業を進めておるというようなことでございますが、こういう干拓工事とかあるいはダム建設というような場合に、それに対する農耕地がどういう状態になるかということはあらかじめ御計画はあると思うのですが、この印旛沼工事に対しまして農林省としての根本的な御方針はどういうことでございましようか、承りたいと思います。
  121. 保利茂

    ○保利国務大臣 農林省としまして食糧増産事業を新規に計画いたしますときには、むろんできるだけ早くという考えをもちまして計画は立てますけれども、しかしながら、それが財政上の理由によりまして農林省計画通りに進んでいないということは、率直に申し上げざるを得ないわけでございます。ここに多くのむだが生ずるではないかという点につきましても、責任を感じておるわけでございます。どの事業所につきましても、農林省としましては綿密な計画を立てて、それによるところの改良田地から上るところの増産効果を何年内に仕上げるという計画、そういう方針でこの印旛沼の問題に手をつけておるわけでございますけれども、お話のように農林省が考えているようなぐあいにはなかなか進んでいないということは、申し上げるまでもないことだと存じております。
  122. 柴田義男

    柴田委員 これは今までに十億お使いになつたと思いますが、今までどのくらいかかつておるかということはあとで伺いますけれども、そういたしましても十億以上は何としてもいつておると思うのです。それは十億以上でありましても、十億以下であつても、やむを得ないのですが、これがはんぱに干拓工事をやつたといたしますれば、どろ沼に金を投げたのと同じだと思う。こういうことで当初の計画と、それから工事が進まぬというような理由と、もう一つは当初の計画というものがあまりずざんな結果、大蔵省からひもを締められて、もう金は出ない、こういう形になつておるのかどうか、承りたいと思います。
  123. 平川守

    平川政府委員 これは先ほどちよつと申し上げましたように、当時としては非常な緊急の食糧増産の要請がありましたので、全体の事業計画としては、現在の価格で六十億ほどの大きな事業計画であり、それがはたして数年間でできるかどうかというしつかりした見通しまでは立つておらなかつたと思います。しかしできるだけ急いでやろうということで着手をいたしまして、現在までにこれは生の使つた費用でございますが、約十五億ほど投資しております。しかし計画といたしましては、そういうわけでできるだけ急いでというのでおりますけれども予算関係でそれが延び延びになつております。そこで私どもとしても、資金をできるだけ有効化するために、事業の段取りをできるだけ——一部分でも効果が上りますように、つまり印旛沼仕事の中でも、いろいろ局部々々の仕事によつて一部分の干拓ができるといつたようなこともございますので、そういうことを心がけていたしております。ただ全体の計画といたしましては、まだ十五億ほどの仕事でございますから、まだ大分残つておるわけであります。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さつきの貧弱町村に数億の予算を組んで事業をするということに対する認識の問題で大臣に一言しなければならぬのであります。それはあなたは個々の事件を御承知でないということはごもつともでありますけれども、この批難事項に現われました事実は、農林行政全般の根底をゆるがすくらいな影響のある問題だと思うのであります。それほどでありますから、全部はお知りになる必要はない、しかし代表的なものはやはり農林行政上のきわめて重要な問題としてお知りにならなければならぬ。ことに私が今指摘しました山口県の二つの村のごときは、これは貧弱村であつて、五億、七億円の金を投じて工事費を査定されて災害復旧をする、それはなるほどわかる。貧弱村であろうと五億、七億円であろうと、国がうんと補助金を出してしてやらなければならぬということはわかるのです。またそうしなくちやなりますまい。けれどもその中身たるや多額の水ぶくれの予算が計上せられておる。まつた災害のない箇所をあるごとくに計画がせられておる。工事をして金が余つておる。一方村民はどうかといえば、五千八百、五千五百というような貧弱な小さな村で、そして二年に六千万円も七千万円も無理な負担をしておる。こういうようなきわめて乱脈が暴露しておるのであります。一方農林省の出先である農地事務局当局は現地調査しました、技術者は実際を見た、そうして事業費を査定したというのが局長の御答弁なんです。そういうようなことでありまするので、この中身といい、この大きな額といい、負担の能力のない場所といい、いろいろな面から考えまして、こんな貧弱村に大きな事業費を決定するようなときには、負担能力の有無あるいは技術その他いろいろな角度から実態を把握するということに最善の努力をしなくちやならぬ。そういうことをしていないから、こんな問題が起つて来るのであります。これはたまたまあげた例にすぎません。一つ一つ事件を全部あなたに知つてもらおうというのじやないけれども指摘せられておるような重要な模範的な案件につきましては、やはり農林行政の根本問題としてお考えを願わなくちやいかぬと思うのです。そこで私はその点はぜひ御注意を申し上げておきます。  少し進んでこの門答をしたいのですが、一体どうしてこういうことが起るのだろう。今局長のお話によると、根つからこういうことの起るべき筋がなさそうに思われる。何となれば技術者を信頼しておる、現地調査をしておる、いろいろと計画をせられて事業費を決定しておる、こういうようなお言葉であるから、どういうわけだろうということを私ども考えてみたいのであります。そこで大臣に伺いたいのでありますが、一体この種の災害復旧につきまして、あなたの方といたしましては、地方の農地事務局の局長が相当の責任をもつて事業費を決定するらしいのですが、農地事務局長は、その後の事業の実施について何らかの責任を感じ、何らかの措置をとることになつておるんでしようか、どうでしようか。初めに金をきめるだけで、そのまま追いやつてつたらかしておるのではないか、事業費決定ということでもつてあとは野放しにしておるのではないかということを伺いたいのですが、いかがですか。
  125. 保利茂

    ○保利国務大臣 御注意の点は一々ごもつともでございまして、私といたしましても、たとえばここに列挙してございます先ほどから御指摘のような大きな事案につきましては、その成果をこれとは別個に事務当局で再調をしてそうしておそまきであつてももう一度見直すべきである。そういう報告を求めておりますけれども、まだその報告は参つておりません。  今後段にお話になつた点は、査定から実施完了に至るまで当然農林省で責任を持つべきものでありますから、従つてこれも全部が全部というわけにはむろん参りませんけれども、そういうふうな非常にひどい災害を受けたところは、災害のためにも、また国の経費支出を厳格にいたします上からも、常時指導をするようにいたすべきものでございますから、こういう大事業につきましては、相当の指導をいたして来たと思うわけでございますけれども、結果においてかような批難をいただいておることに対しましては、重ねて遺憾の意を表する次第であります。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 農林省においてこの災害復旧の事業費を決定して、その後の事業の進展についても相当責任を持つておられるようなお話でありますが、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の第六条を見ますと、都道府県知事は、農地等の災害復旧事業につき、この法律により補助を受けて工事を行う者に対しては、事業を適正に実施させるために、あるいは調査を行つたり、報告を求めたり、または事業の施行に関して必要な指示をすることができるとあります。言いかえますと、都道府県知事においてその災害復旧の実施事業指導監督権があるかのような法律の趣旨になつております。今あなたのお話によりますと、農林大臣において事業費の決定から進行に至る最終までの事業の監督をするかのようなお話でありますが、この法律によれば、都道府県知事がその後の実施についての指導監督権があるようです。その間に食い違いがあるのではないですか。知事の方で指導監督ということをしておるので、農林省経費をきめて査定したら、それでもうたこが飛んで行つたかのように、そのまま離れてしまつているというのが実際ではないでしようか。それはどうでしようか。
  127. 保利茂

    ○保利国務大臣 実際問題といたしましては、お話のように実施監督の委託が行われておるのでございますから、これは国が当然やることを府県知事に委託をしておる。ところが委託を受けておる県には、腹は痛まないという点において、制度上欠けるところがあると私どもは考えておる。従いまして大災害を受けているところは、できるだけ委託は委託としても、農林省農林省としても、監督の必要があると私は考えておる次第であります。
  128. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは農林大臣が委託するというのではなくて、この法律の第六条によつて、知事はそういう権限を持つておるということになるのではないだろうか。そういたしますと、最初農地事務局長は自分の部下をやつて実地調査をさすけれども、その後の仕事について事実上の何らかの責任を感じないというので、かなり机上の査定とか、決定とかいうふうに陥りがちではないだろうか。そこに大きな一つの欠陥があるのではないだろうかということを感ずるのであります。あなたは知事に委任しておるとおつしやつておるけれども、委任、委託ということであるならば、あなたの方で直接知事を督励して事業の実施についてかくのごとき無数の批難事項の起つた原因については、受任者である知事に対してさらに厳重な何らかの指示をしたり、あるいはこれに対して監督権の発動をするということをしなくちやならぬ。そうでなくてこの法律によると、知事自身が一つの権限を持つておるように書いてある。あなたの御答弁は食い違つておるんじやないかと思うのですが、どうですか。
  129. 保利茂

    ○保利国務大臣 訂正をいたします。吉田委員のお話の通りでございますが、しかしながら農林省において責任を持つ点においてはかわりがございませんから、先ほどのようなことを申しておつたような次第でございます。
  130. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると最初に災害復旧事業事業計画もなし、事業費の決定は農地事務局長がなす、その後事業の執行等について知事が監督権や指揮権を持つてつておる。一体この補助金を実際に交付するという、いわゆる国庫債務の負担行為という面についてはどうなんですか。その面については農林大臣はどういう関係にあるか。これは根本に対する問題でありますから、もし大臣がおわかりにならなかつたらもう少し御説明いたしますけれども、私の伺いますのは、最初の計画をなして事業費を決定して、農地事務局長が判を押した。次の事業の執行の段階に入つた。そうするとこれを知事が指揮監督して行く。次にある期間ある時期にそれぞれ補助金を交付しなければならぬ。具体的に補助金を交付するという国の債務の負担行為をするという段階であります。この方面につきましては、農林大臣との間にはどういう関係があるのですか。農林大臣は、予算を一本で、農林省その他を合計いたしますと、二十七年度二千二百億円の補助金をとつておる。そのうちの大部分は農林省なんです。農林大臣予算をとりまして持つておる。その予算の執行でありますが、補助金の具体的な交付契約でありますが、この国の債務を負担するという行為の段階につきましては、農林大臣はどういう関係があるのかということを聞いておるのです。
  131. 保利茂

    ○保利国務大臣 実際の実務は、農地局から各県の農地部長に伝達いたしておるわけでありますけれども、その法律上の手続関係につきましては、農地局長から御説明申し上げます。
  132. 平川守

    平川政府委員 各県の農地部長及び出納長、これを支出負担行為の担当官にいたしまして、それに補助金は交付さしておるわけであります。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 補助金を交付さしておる。そういたしますと少しさかのぼつて聞きますが、批難事項がここにたくさん出ておりますが、この種の問題が起りまして、国の農林行政の根幹に影響するような重大な問題になつておるのだが、この場合に補助金をめぐつて農林大臣は終局的に、もしくは最初の大きな農林行政一般の主管庁の長官としての責任はあるといたしましても、具体的に災害復旧の補助金をめぐりまして、一体どこに行政上の中心かなめがあるのか。農林大臣にあるのだろうか、地方の農地事務局長にあるのだろうか。総括して農林大臣にあるということはわかりますけれども、具体的に補助金を与えるという、災害復旧事業についての行政の中心、中核、かなめは一体どこにあるのでしようか。農地事務局長にあるのか、知事にあるのか、それとも支出負担行為、補助金を渡すという契約をするところの、国家の別の意味における代理人である農地部長にあるのだろうか、どこにあるのですか。
  134. 保利茂

    ○保利国務大臣 実務上最も重大な責任を持つておりますのは各県の農地部長及び農林省の農地事務局長、私はその二者に最も大きい現実の実務上の責任があると思うのであります。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところがこの数百の案件をずつと見ますと、当初の工事費の決定、査定において、過大な見積りをそのままのんだという誤りがある。工事の進行の途中におきまして、幽霊人夫やあるいはうそのずいぶんだくさんの工事が行われておる。また最終におきましては注意を受けていろいろ是正したものもあるけれども、厖大な金が過大に受渡しせられておる、こういうことになるわけであります。ところが法律の規定によつても、また大臣の今の御説明によりましても、事業主体に対する事業上の監督権の中心は知事にあるらしい。それならば知事が自分の部下の農地部長、水産部長などでなしに、知事自身にこういうような全般の行政上の問題について中心的な何らかの責任あるいは職責がなければならない。現に指揮監督をして行く権限を持つておるから、しなければならぬと思うが、一体どういうわけでしよう。下つ端の部長に責任がある。そうしてまた横手の査定だけしておるような農地事務局長に中心がある。そういうようなことではこの種の避難事項は幾らでも起つて来るだろう。これはどうなんでしようか。もう一つ認識を確かめておきたい。
  136. 保利茂

    ○保利国務大臣 そういう点を明確にいたさなければ、あなたのお話のように今後といえどもあとを引くおそれがあるからということで、先ほど申し上げましたような考えを持つて研究を進めておるわけでございます。無論総括的の農林災害に関する責任は、最終的には農林大臣にあることは申すまでもない。また県においては県知事でありますけれども、実際実務にだれが一番深くタツチをして、実務上の責任はだれかということでございましたから、その面において知事をお助けしておる農地部長、これはまた農林省との関係においてもその通りでありますし、農地部長、農地事務局長が実務上は一番深い関係を持つという意味で申し上げておるわけであります。責任は無論農林大臣であり、各府県知事である、こういうふうに御了解願います。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 農地部長なり、あるいは水産部長なりがそういうふうに最終的に末端の債務負担行為をすることになつておるということはわかりますが、それならば国費を支弁し、国費を交付する重大なる約束をしなければならぬ立場にあるわけですから、これらのものがなぜこの実態を把握しなかつただろうか。工事が疎漏か、できておるか、できてないか。一番その県の隅から隅まで知つておるはずなんです。それをうその工事ができておるようなものになぜ金を払わなければならぬだろうか。一体そういう面は見なくてもいいのか。工事がほんとうにできたのかどうか、やつておるかやつてないか、ほんとうに設計通り仕事をしておつたかどうか、計画通り予算を使おうとし、あるいは農地事務局が査定決定いたした通りに実際の工事が行われ、工事費が使われておるかどうかというようなことをつかむということをしておらぬから、この問題が起るのではないだろうか。また最終の完成にしても、私は別の委員会であなたにちよつと伺つたことがある。最終の完成にしても、たとえば仕事はしておる、金は借りた、利息は払つておる。かりに二百万円なら二百万円にしましても、そういつたもので地方災害復旧工事をやつてしまつたけれども、完成についてだれも検査に来てくれない。完成の認定をしてくれない。そのゆえに補助金も交付されないというような村も無数にある。言いかえますと、末端の責任のあるかのような農地部長といえども補助金を渡すだけの仕事じやないのでしよう。そんなことでは、全国の災害復旧事業というものは支離滅裂になります。今ごろ研究しているというようなそんな問題じやないと私は思う。この状態で行きましたならば、全国的に災害復旧の実は上らず、再び災害が起きます。食糧増産の実上らず、食糧増産をしようといたしましても、末端においてめちやくちやになつてしまうという結果を私は招来すると思う。だから今申しましたように、最初の事業費を決定するという段階の仕事、それは農地事務局長がやつておるらしい。指導監督事業の実際は知事が監督しているらしい。末端の金を渡すことは農地部長がやつているらしい。みんなてんでんばらばらである。こんなことでは、災害復旧事業というものが国の関与しておる事業として、国の補助金を渡す対象としての事業としまして何の統一もないと考えざるを得ません。もちろんこれは制度の面から私は論じておるが、あなたが今研究しておるということであるならば、それはせざるよりもましです。ましですけれども、研究の要点についてはこれは質疑をすれば明瞭だと思います。だからどこをどうついて行きなさるか知らぬけれども、もつと統一的にやるのでないと、貧寒村へ五億円も七億円もというばかばかしい状態になつてしまつて、村民はおそらく泣いておるだろうと思います。そうして国は、数百、数千億円がほんとうに法律的に使われたかどうかわからぬ。ちよつとこの点もどなたかの御意見を伺つておきます。
  138. 保利茂

    ○保利国務大臣 制度上の矛盾と申しますか、不備は私も痛感をいたしておるわけでございまして、従つて……。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちよつと、御発言中ですけれども、御研究中であり、もしくは制度上の欠陥を痛感なさつておる様子でありますから、大体のアウトラインでもいいですから、どこをどうしようかということに今方向を示して行かれようとするのか、それをここで明確にしておいてもらいたいと思います。
  140. 保利茂

    ○保利国務大臣 そういう趣意で申し上げたいと存じておつたわけでございますが、私の申し上げようということが、政府部内でまだ達成できていないわけでございます。非常に残念に存じておりますけれども、私はどうしてもこれは必要だというように考えております線は、大規模災害に対しては農林省が直接責任をとるべし。従つて農地事務局が査定から完成に至るまでの実質上の責任を名実ともにとつて行くようにすべきである。ただ農地事務局の陣容を持つて手の及ばないと思われるものについては、明確に都道府県知事の責任においてやつていただく、そうしてそれは、やはり自分の腹が痛まないということになれば、どうしても水増しとかなんとかいう弊害が生じて参りますから、いろいろ他の関連において非常に困難があるようでございますけれども、でき得べくんば、やはり府県においても災害復旧のある部分は負担をして、そうして府県知事において最終的な責任をとるという、その責任の所在を明確にした制度を打立てて行く必要があるのじやないかというように私は考えておるわけであります。大規模な災害については国が直接責任をとつて行く。小規模のものについては府県でやつて、間接的に国が助成補助をやつて行く。それにはむろん府県においても一定の負担を持つということが考え得る一番妥当な、適正なところではないか、そういう線で研究を進めておるわけでございます。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは今省議で決定しておるのでしようか。もつともこういうとなんですが、命旦夕に迫つておる内閣であれば、こういうことはほんとうに力を入れておやりになるかどうかわかりませんけれども、省議で御決定になるところまで具体化しつつあるのでしようか、その辺聞かせておいてもらいたいのです。
  142. 保利茂

    ○保利国務大臣 次官及び当該局長にはこの方針で進めを願つておるわけでございます。省議といえば省議と申し上げてもよろしゆうございます。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは制度の面からでございまして、私はこの種の補助金が濫用されましたり、もしくは法律的に使われなんだりしまして、こう問題を起しておりますことについては、原因についてもつと深い考察がないといけないと思つております。制度でくくつて行く、制度は勢い法律化しますので法律の制度ということにあるいは大部分はなつて来ると思います。法律が末端へ行きますと非常に内訌する面が生じて来やしないかと思うのです。それをひとつあなたと問答してみたいのです。  これは二十六年の検査報告の総論に指摘しております。これによりますと、十三ページから十四ページにわたりまして地方災害復旧についての事業計画をします組合とか、あるいは市町村の公共団体などがそれを実現するためには多大の運動がいる。第一、東京へ陳情しなくてはならぬ。地元の農地事務局へ陳情しなくてはならぬ。あるいは県の了解も得なくてはならぬ。農林省へお百度を踏まなくてはならぬ。あなたも政治家だから御承知と思いますが、国会開会中、国会への陳情団というものは全国から毎日のごとくに見えます。この陳情というものがいかに弊害があるかということはいまさら私が論議するまでもありません。そこで一方この貧弱な地方事業主体の団体が陳情によつて失う経費というものは、莫大なものであります。それからまた陳情にはやはり飲食が伴つております。あるいはまた地方におきましても、あなたも地方をおまわりになつたら御承知だと思いますけれども一つ事業をしようとするならば、最初に、途中に、竣工のあかつきに、あるいはまたその他の機会に、あらゆる機会に飲食が伴つておる。こういつたものにおよそ何パーセント、あるいは総経費の一割もこれに使うのではないかと私ども見ております。  それからもう一つ検査院が資料として本日当委員会に提出されましたこの中に指摘してありますが、第七に、県が国庫補助の一部を寄付させているものについて。  会計検査の結果によると農地及び山林関係国庫補助事業に関し、県が工事費の最高一割すなわち国庫補助の約一割五分に相当する金額を設計監督費と称して不当に寄付させている事例があるが、このようなことをすると、結局事業主体の工事費を減少させ不正工事を誘うこととなるものと認められ、厳重に取締る必要がある。  こういうことですが、これはおそらく全国を調査した結果、こういう事例に幾つかぶつかつたのであろう。こういうような陳情とか運動とかそれから饗応するとか、あるいは県が寄付をさすとかいうようなことが、実は水ぶくれなり仮空経費なり仮空工事なりうそ偽りの工事なり、要するに批難事項を起すようなことになる大きな原因でないだろうか。もつともことごとく道徳的だけじやありませんよ。私は法律上の犯罪であると思う。これについてひとつ大臣から率直に御答弁願いたい。この点を十分に究明することなくしては——あなたは今いろいろとこれの抜本的な防止対策を制度によつて講じようとなさつておりますけれども、制度はさらに事をゆがめますよ。この根本をつかなければ、この根本をほんとうに芟除してしまうのでなければ、法律をたくさんにつくればつくるほど世の中はゆがめられます。御答弁願います。
  144. 保利茂

    ○保利国務大臣 制度上の不備も先ほど申しますように痛感をいたしております。しかしお話の陳情の大騒ぎによる弊風というものは、これはもう万人の認めているところであろうと存じます。政府といたしましてもしばしば、もうその出頭陳情と申しますか、訪問陳情と申しますか、出頭陳情して来ても、陳情があるならば書面で陳情してもらいたい、そうして書面陳情の方を優先的に取扱うようにするというような閣議決定も一、二度いたして、徹底をはかるように、何とか陳情の弊害を除去する方法はないかということで、苦心をいたしておるわけでございますが、これは御承知のように、この陳情が非常に大きくなりましたのは——吉田委員のお話のように、人が動けば経費もいる、食べ物もいるということからして、経費なしの陳情ということは実際問題としてはなかなかむずかしいだろう。そこでどうしてこのいわゆる陳情政治というような弊害を除去するかということにつきましては、政府としては先ほども申しますような考え得る措置はとつておりますけれども、まだ十分ではございません。はなはだその点は同様に遺憾に存じておるわけでございます。制度上の不備を除きますとともに、この弊風を矯正しなくてはお話のような目的を達するということは非常に困難じやないかということは、私も全然同感に存じております。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それなら私はもつとつつ込んで、これは端的に申して失礼でありますが、こういうことはどうでございます。あなたも陳情に経費が伴い、陳情の弊にたえぬということについてはしごく同感のようであります。これは政治に携わつておる者のおそらくは異議のないところだろうと思いますが、それならあなたに伺うのでありますが、この補助金の伴う事業をするに際しまして、すべての役人が事業主体から饗応を受けるという事実がありましたならば、それをあなたは依然として許しますか、これは禁止しますか。それは、法律上の犯罪になる、ならぬは別といたしまして、その原因の最も大きな分量をなすかもわからない。饗応を受けるということは正しいと思いますか不当と思いますか。道徳的に法律的にきわめて悪いことと思いますか。そういうことについてのあなたの率直な御所見を聞きたい。
  146. 保利茂

    ○保利国務大臣 特に災害地におきましては、さなきだにその住人の不幸、災禍というものは同情に値いするわけでございますから、従つてそういうところで饗応を受けるというがごときことは、これはもうどういう任務に携わつておる者といえども私は断じてあるべきことではない。昨年の災害にあたりましてもそういう措置を、私としては十分部内に注意いたして参つたつもりでございます。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 部内に十分に御注意になつたことけつこう。それから災害に苦しんでおるところで饗応を受けることのよくないことを戒めなさることもけつこうと思います。私はもつと具体的に——災害地といわず、東京において一日万金を投ずるようなことがなきにしもあらずであります。これは御承知かどうか存じませんけれども……。従つて、そういうことも厳禁するというぐらいに出なければ、この問題は解決しません。また災害最中において災害地に行つて、因つておるのに酒食を伴う饗応を受けるというだけではない。済んだのちに、お礼のためにあいさつに来るとかいわれております。あるいはまた地方によりまして、何か個人的な恩恵を与えてやつたごとき感じを与えておりますので——和歌山県の何とか村のごときは、あなたの方じやありませんけれども、どこか九州に行つた帰りにもわざわざ和歌山に寄つたということが話題になつております。というふうに、補助金をもらうならば補助金の一割——二割とかいう説もあるのです。補助金の二割は饗応費に充てておかなければならぬという説がある。真偽は存じません。それは何かというと、酒食の饗応です。あなた、いなかでもそうですよ。いなかでも、三人とか五人本省から見えたならば、地方事務局も来るだろう、あるいは県の関係者も来るだろう、あるいは地元関係者も寄るだろう、県会議員も一緒に来るとしましたならば、十人やそこらになるでしよう。十人でも料理屋に呼んでこらんなさい。三万や四万では足りません。そんなことが五回も八回も重なつて、そうして東京に来る。東京においてはまた飲ませなければならぬ、食わせなくちやならぬというようなことになりましたならば、それはほんとうに貧弱な農村は、うそ偽わりの水ぶくれの予算でも組まなければやつて行けません。これがこの問題を生んでいる大きな原因だろうと思つております。実に悪いことです。この弊風をわれわれは見るにたえません。ですからあなたがそういうふうに戒めて行くのはけつこうだけれども、私が言うがごとき事例は厳乎としてここに断ち切るだけの勇気がないと、農林行政はできません。法律や制度をいくらつくつたつてだめですよ。制度をつくればつくるほど、貧弱農村はいよいよ困るでしよう。なぜならば、それは制度だけでは行かぬ面が今の面です。それを断ち切るだけの勇気を持つて断固として実行するということでなければ、私はこの問題の原因を芟除してしまうことはできないと認めますがどうでしようか。そういうことをなさるでしようか。そういうことをたさるならば、私は保利さんを見上げます。こういうことができなければ、どんなに、何千億の農林予算を組みましても、食糧増産の実はあがつて来ません。心ある農民はほんとうに泣いておりますよ。
  148. 保利茂

    ○保利国務大臣 基本的には吉田委員と同じ考えを持つております。ただ、なるほど個人的な恩恵を感ずるというようなことが、やはり人間の扱うものでございますから、感情的にそういうような動きや印象を持つという場合もなきにしもあらずだろうと存じます。また私は、実際問題としては、去年の災害にあたりましても、酒を伴うような食事は一切やつてはいかぬ。ただしかしそうかといつて、弁当もともに食べないというようなことは、これまたどうもあまり理に落ち過ぎることであろうから、弁当くらいは一緒に食べることは、もう当然人間社会のことであるから、それはいいじやないか。しかしいやしくも酒を伴うような食事を共にしてくれてはならぬということ、これは厳に部内ではやつてくれたと私は思つておりますが、ただお話の一切まかりならぬということを、行政措置だけでやれるか、その御趣意を十分達成するためには立法措置を要するかということは、相当研究の余地のある問題だろうと思いますけれども、私としてはそういう方針で行きたいと思います。
  149. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしながらあなたもやはり農林省の首長であらせられるのでありますから、あらゆる角度からこの種の問題について御検討にならなくちやいけません。一体農林省といわず、すべての官庁同様でありまするが、厖大な経費を使つて料亭に呼ぶから罪になる、そしてそうでないから犯罪にならぬというような考え方が、今の官庁と民間との間を腐らして行く一番大きな原因なのであります。弁当を一緒に食うのはいかぬ、そういうようなことをわれわれは言うておるのじやありません。おのずからそこに節度があります。おのずから引かるべき線があります。ありまするが、今日政界がこんなに腐敗いたしまして、国民の批判の中心になつておりまするゆえんのものも、やはり大小問わず、饗応関係がいろいろな形にかわつて行くのでありまするから、そこで補助金をいただいて仕事をするという立場の者は一つの弱味があるんですよ。どうかしてみやげも持つて行きたい、どうかして宴会に呼びたい飲んでももらいたいというのは人情です。だからそれにつけ込むということになつておるのが、各省の実情であります。私どもは今こうやつて農林省のことを討議しておりまするけれども建設省に移つて行きますと、建設省におきましてもやはり同種の議論はしなくちやならぬと思つております。私ども決算委員会におきまして、政界の粛正ということについて、ほんとうに一つの使命を感じておるのでございます。でありまするので申し上げるのです。あなたがほんとうに補助金によるこの種の不当事項をなくするというためには、制度をほんとうに整備するということも大事ですけれども、この原因の大きなものが、陳情に伴う飲食、酒食、そしてまた饗応に伴うところのいろいろな出費はあり、そういうむだなものが何割もあるということに目をおつけになつて、これを断ち切ることは、厳としてあなたの全部下に対しまして、そういう席にははべつたらいかぬということにしなければだめなんです。それを言つて、しかも行く人は全部首切つちまいなさい。それくらいな勇気がなければ、この行政はやれませんぞ。あなたは来年からはこの冊数がずつと薄くなることを心から希望しておられるでしよう。農林省のためにこれだけあるのです。半分以上が農林省です。その農林省のうちの大部分のものが、あまり数が多いものだから、虫めがねで見なければわからぬような小さな字で入れ込んであるが、みな補助金です。これを思いますと、問題は簡単なところにありますから、その原因を断ち切るために、酒食の饗応を断じて受けないという態度をあなたの全部下にただちに示すという勇気がなければだめです。いかがでしよう。もう一ぺん重ねて御答弁願いたいと思います。
  150. 保利茂

    ○保利国務大臣 むろん御趣意には私も全然同感でございますが、物事にはおのずから程度もあろうと存じます。しかしながら農林補助金に対してこれだけの批難をいただいておりまする以上は、農林省職員一同としましても深く反省しなければならぬことで、十分御趣意に沿うて措置をいたして参りたいと考えます。
  151. 田中彰治

    田中委員長 本日はこの程度といたし、次会は四月二十一日午後一時から、農林省所管につき審議をいたします。  本日はこれで散会いたします。     午後四時五十五分散会