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1954-04-14 第19回国会 衆議院 決算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十四日(水曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 大上  司君    理事 松山 義雄君 理事 安井 大吉君       高橋 英吉君    徳安 實藏君       村瀬 宣親君    片島  港君       柴田 義男君  出席政府委員         文部政務次官  福井  勇君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君         厚生政務次官  中山 マサ君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     堀岡 吉次君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         厚生事務官         (社会局保護課         長)      黒木 利克君         厚生事務官         (社会局更生課         長)      松本 征二君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 四月十二日  委員阿部五郎辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員柴田義男君及び杉村沖治郎辞任につき、  その補欠として井手以誠君及び長正路君が議長  の指名委員に選任された。 同月十四日  委員井手以誠君及び長正路辞任につき、その  補欠として柴田義男君及び杉村沖治郎君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     ―――――――――――――
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会開会いたします。  審議に入るに先だちまして一言申し述べさせていただきます。すなわち病気とはいえ長期にわたりまして委員長の職責を怠り、各位に多大の御迷惑をおかけいたしましたことはまことに恐縮にたえません。このたびようやく回復いたしましたので、本日から本委員会に出席いたしまして、各位の御協力のもとに従前に増した努力をいたしたいと思いますので、一層の御鞭撻をお願いいたす次第であります。  次に昨日開きました理事会において協議いたしました事項を御報告申し上げます。すなわち本委員会に付託されております昭和二十六年及び二十七年度決算及びその他国政調査事案等々その件数がきわめて多く、目下の状態といたしましては本会期におきまして審議未了となる懸念もありますから、従来の開会日数を増しまして毎週火、水、木、金の四日間とし、毎日午後一時から四時五十分まで連続開会いたすこととし、開会時間を厳守するとともに、各位発言におきましても審議促進上その持時間を三十分以内に制限し、同一問題については重ねて質疑を繰返さず、関連質問をもつて処理し審議を進めたい、かように協議決定いたしましたから、その趣旨を了とせられ、これに御協力を願う次第であります。  それではまず昭和二十六年度決算検査報告百二十四ページから百二十八ページ、及び昭和二十七年度決算検査報告百四十一ページから百四十七ページに至る文部省所管各項一括議題とし、審議促進上特に昭和二十六年度においては番号四五九及び四六一ないし四六四につき詳細な説明会計検査院当局から求めます。
  3. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 二十六年度の四五九号について申し上げます。本件は長崎大学における船の購入に関し、経理措置が適当でなかつたという案件でございます。第一点は、およそ支出負担行為をする場合には、支払い計画示達がなければならぬということになつておるわけでありますが、その支払い計画示達がないのに、長崎大学練習船としまして、才川某から二十六年八月に第六豊洋丸を千二百万円で購入する契約をされたという点がおもしろくないと考えておるのであります。しかもその船は抵当権が三千八百万円ほどついておりまして、これにつきましては抵当権がついておると同時に、国税局の方から国税滞納によりまして差押えられておつたわけでありまして、これに対して会計課長名義市中銀行から八百万円を借入れられまして、第一回の支払いといたしまして才川某支払つておるのであります。これは会計課長が役所のこととしてされたか、あるいは個人としてされたかという点についていろいろ問題はあろうと思いますが、いずれにしましても、会計課長名借入金をして支払うという事態は、経理の混乱を起すというようなことから妥当でない、こういうふうに考えておるのであります。ところがこの船はその後行方不明になりまして、借入金に対する支払い長崎大学期成同盟会から返還されるというふうな成行きになつたわけであります。なおそういう関係上、さらに予算示達がありましてから別の練習船を買うということになりまして、千二百万円で別個の契約をされたわけであります。これに対しましては全部完成しておらないのに、年度内にできたということで支払われておりますが、実際は八二%程度しかできていなかつた、こういう事態があるわけであります。代金を払います場合には、特に民間のような場合におきましては、全部できておらないのに全額払うというようなことをいたしますと、将来いろいろの問題が起るわけでありまして、こういう点は差控えるべきだと考えております。幸いにこの船につきましては、あとからできまして引渡しができておるわけでございます。  それから四六一から四六四号の補助金交付の問題でありますが、補助金は適当な時期に適当な補助金交付するということが建前なつておるわけであります。しかもここに計算してありますものは、年度内工事に着手しておらない事態のものに対しまして補助金支払われたという案件でございまして、その金額は約三千万円に上つております。これは年々こういう事態検査報告に掲記しておりますが、二十七年度からは予算上繰越し明許ということになりまして、こういう事態もある程度少くなつたことと思います。絶無だとまでは断定いたしかねますが、相当少くなつて来ておるのではないか、こういうふうに考えます。  二十七年度の方に移りまして、五〇七号から五三二号まででありますが、ここに取上げておりますのは災害復旧補助金に関する事項であります。災害復旧補助金につきましては、二十七年度までは法律基礎がございませんで、予算的に、補助金予算に計上してこれを文部省事業主体交付される、こういう建前なつておつたわけであります。二十七年度におきましては、補助する建前は、災害がありました場合にその災害復旧被害全壊半壊大破あるいは中破というふうにわけられまして、大破以上のものについて補助する、こういう建前がとられておつたわけであります。そうして全壊半壊大破区分に応じまして補助基本額をきめられまして、それに対する補助金交付される、こういうことであつたわけであります。ところが実際見てみますといろいろのケースが起つておりまして、まず第一は五 ○七号から五二五号の十九件に関するものでありますが、これは結局補助金申請します場合に、実際には全壊と認められない、あるいは半壊とは認められない、大破とも認められない、こういうふうな事態に、全壊あるいは半壊大破というふうな申請をいたしまして補助金を国からもらつた、こういうふうな事態でありまして、その補助金を出されます場合に、補助対象工事といたしましては、どれだけの坪数の学校をつくるというようなことに対しましては、もとになりまする申請の事実は間違つておりますが、うその申請に基いて本省から幾ら幾ら補助をやるということに対しましては、工事そのものはできておる、こういうふうな事態であります。こういう事態が起りましたのは、結局災害区分等の明確でなかつたということ、あるいは事業主体におきまして幾分でも金を国から受取つて老朽校舎その他を新しいものにして行こうという考え方から、こういう事態が起つたのだと思うわけであります。  それから次のケースは、五二六号から五三二号でございます。これは実際補助金をもらいました場合に、補助基本なりました金額以下で補助工事ができ上つた、こういう事態でございます。これはおそらく被害区分に応じまして一応の単価がきまつておりますから、そういう関係上具体的の場合にはそれ以下で済む、こういう事態が起つたものと思います。その場合に、残つた金につきましては対象外工事事業主体において行われ、あるいは将来対象外工事をする、本年度における対象なつていない工事をする、大体こういうふうなことになつております。  以上要しまするに、結局こういう事態が起きましたのは、事業主体からの報告間違つておるということに対しまして、十分な実地査定なり、そういうことが行われなかつたことから来ておると思います。それからもう一つは、被害区分が必ずしも明確でなかつたというようなことがあるわけであります。さらには、老朽校舎あるいは危険校舎を、これに便乗してやつたというようなことがございますが、それらの点に関しましては、二十八年度に法律が制定されまして、相当明確になつては来ておるわけでありますが、残るところは結局実地の調査をどういうふうにして、基礎事実が間違いがあるかないかというようなことを十分調査するということが、今後の補助金交付にあたりましては十分考慮されなければならぬことではなかろうか、こういうふうに考えております。  その他の点につきましては、御質問その他によつてお答えしたいと思います。
  4. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に対し、文部当局において特に説明を加える点があれば発言を許します。
  5. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ただいま会計検査院の御説明のうち、まず昭和二十六年度の分につきまして文部省の見解を申し上げたいと思います。  まず長崎大学の船の問題でありますが、これは御指摘のように、抵当権が設定されておりまして、しかも滞納処分にかかつているような、そういう船を買つたということは非常によくない。ただ長崎大学としては、どうしても二十八年に卒業生が出ますので、その期間中に一定の期間実習をしませんと、船員の免許状がもらえないというので、船を手に入れることを非常にあせつてつたのであります。この船はもともと今お話がありましたように、そういう面から非常に不適当でありますが、練習船としては非常に適当である、こういうことでありまして、何とか早くその船を手に入れたかつた。ところがその船を手に入れるためには、その船会社滞納処分にかかつておりましたので、八百万円ほど融資をしないと、その船が手に入らなかつた。こういう実情であります。そこで大学といたしましては、期成同盟会から金を借りまして、会計課長名義で貸したわけであります。会計課長名義使つたのは、これは期成同盟会と十分話し合つて会計課長個人と申しますか、私どもとしては会計課長の名前を便宜使用したと考えております。ところがその船が必要でなくなつてしまつた。こういうことで、この点については支出負担行為なりあるいは支払い計画示達のないのにそういう売買契約を結んだということは、これは明らかに会計法違反であつて、はなはだ遺憾なことでありますが、あとの、便宜会計課長個人名義を出したという点、この点については私どもの方では融資と考えておりますので、しかも借入金期成同盟会の金を使つた、かように考えているのであります。いずれにいたしましても、この事件を起しましたことは、大学当局としても非常に遺憾なことでありまして、関係者一同学長初め事務局長会計課長全員職を去りまして遺憾の意を表しているのであります。  それから次の補助金の件でございますが、これは四六一号から四六四号までございますが、これも御指摘通り年度内工事が完成しないのに補助金交付したという点についてはまつたく遺憾なことであります。しかしお話にもございましたように、二十六年までは繰越し明許制度がなかつたのである程度やむを得なかつた。二十七年から繰越し明許制度ができましたのでこういう事態の起きないように十分の注意をいたしたい、かように考えております。二十七年にはこの批難事項の中にはこういう事例は出ておりません。  それから二十七年度の分でございますが、二十七年度は補助金に伴う分が二つございまして、一つは、特に災害関係補助金でございますが、災害につきまして、どうも多少便乗のけはいが、遺憾ながらあつたと思うのであります。特に老朽校舎などは、災害が起きるたびに一番被害が大きいので、多少そこに問題がある。もう一つは、お話のように全壊半壊大破というような区分の仕方にも、あるいはその基準にも明確を欠いておりましたので、かかる事態が発生いたしましたことは、はなはだ申訳ないと思つております。ただこれは昨年成立しました公立学校施設費国庫負担法によりまして、災害の場合は、実際かかつたものの三分の二を負担するということにはつきり法律できまつておりますので、この点から来る弊害は除去できるかと思うのであります。それからいま一つの場合は、当時は老朽校舎補助金というものが認められなかつた。しかし幸い二十八年度から老朽校舎補助金というものが新しく認められまして、それに伴う法律も整備されましたので、老朽校舎のために災害に便乗して来るという危険もなくなるかと思うのであります。  それから第二番目の超過補助でございますが、これは三件が北海道ですが、非常に貧乏な村でございまして、十分に一ぺんに出せなかつた。これはいろいろな災害が起きて来まして、学校だけじやございませんので、道路もあるし、いろいろありまして、どこかに重点を置いたせいか、やむを得ず学校の分は多少犠牲にしたという点もあるようであります。その後において昭和二十八年三月末には、補助超過にならないように、不足額については全部完了したという報告を、私の方は受けておるのであります。  以上であります。
  6. 田中彰治

    田中委員長 それでは質疑を許します。天野公義君。
  7. 天野公義

    天野委員 二十六年度の長崎大学のところで一点お伺いしたいのですが、さつき検査院お話では、船が行方不明になつちやつたというお話なんですが、どういうわけで行方不明になつちやつたんですか、その点ひとつ御説明願いたいと思います。
  8. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私の方には原因その他一切不明でございます。
  9. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 どうもそのときは占領下にあつた事情でありまして、非常につかむのが困難であります。ともかくなくなつたことは事実なんです。その原因につきましては、才川某から長崎大学が船を買つたわけですが、その期間中にどうも才川某が船をチヤーターして、どこかに持つて行つたといわれております。当時占領下にありまして、どうもいろいろと説がわかれておりました。私の方も至急に国警の方に頼みまして、船の行方を探したのですが、遺憾ながら見当らない。説によりますと、中共の方に行つたとか、あるいは朝鮮の方に流れたとか、どうもこの関係がはつきりしないのです。
  10. 天野公義

    天野委員 そうすると、その船は一ぺんも使つたことがないのですか。
  11. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ございません。
  12. 天野公義

    天野委員 そうすると、市中銀行から八百万円も借り入れて、一回分として支払つておいて、船は一ぺんも使わないで、どこかに持つて行かれて、行方不明になつちやつた、こういうことなんですね。
  13. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 さようでございます。
  14. 天野公義

    天野委員 どうもこういうことはあまりばかばかしくて、何とも言えないようなことなんですが、その後文部当局としては、それではどういうぐあいになつたということを真剣になつてお調べになつたことがあるかどうか、それからその責任者に対して一体どういう処分をしたか、お伺いしたい。
  15. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 文部省は、その船は八月十五日に売買契約を一応したわけでありまして、ところが八月の終りには船がいなくなつてしまつた国警その他関係方面にいろいろ手配して探したけれども、その行方がわからなかつた。非常に努力したのですが、その点は何ともいたし方がなかつた。それから責任者については、学長事務局長会計課長、それぞれ退職しております。
  16. 天野公義

    天野委員 では次に、二十七年度に出ております災害関係の問題でお伺いいたします。五〇七号からずつといろいろな事例会計検査院から批難を受けておるわけでありますが、こういう事例はおそらく昨年の災害にも当然起つておる問題じやないかと思います。昨年の災害に対する復旧のいろいろな事業は今行われつつあるのじやないかと考えられるのでありますが、そういう点とからんでひとつお伺いしますが、災害復旧要求する場合には、事業主体と申しますか、所管の村なりなり、そういうところから災害復旧要求を出して来る場合には、大体どういうようなことを算定して災害復旧要求して来るか、算定の基礎、そういう点を御説明願いたい。
  17. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それぞれ事業主体から文部省の方に被害程度区分によつて報告されて来ますので、その報告に基きまして、大体ある程度査定をするわけであります。その査定をいたしまして、大蔵省要求をいたします。従来は二割程度査定をしております。それからそれに対して大蔵省では事務局に命じて現実に査定をして行く。その場合に、全部の査定ができませんから、あるサンプル調査をいたしまして、被害率査定をいたしまして、それを大蔵省に持つて行く。私の方も単に報告をうのみにしておるわけではございませんので、文部省としても現地調査いたしまして、どうも全部の調査はできかねますので、サンプル調査をいたしまして、大体八割なり七割なり見込みまして、現地査定をなしたものを要求しておるのであります。それと大蔵省事務局査定とで、そこで大蔵省文部省とで予算折衝をしておるのであります。
  18. 田中彰治

  19. 柴田義男

    柴田委員 先ほどの長崎の船の問題でございますが、これはわれわれ常識で判断のできないようなことをここに見受けるのであります。たとえば三千八百七十六万五千四百七十円という抵当権が設定されておることを知つていながら、千二百万円で買入れを契約された。そういたしますと、この三千八百七十六万五千四百七十円にプラス千二百万ですから、五千万以上の価値が――行方不明になつたのはまたあとの問題といたしまして、この豊洋丸というのがそれだけの価値があつたのかどうか、これを伺いたいと思います。
  20. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは他にまだ三隻か四隻あつたのです。今問題になつているのはそのうちの一隻なんでございます。ですからこれはどう見積つても千二百万なら非常に安い。当時の価格から考えて、また船がなくならなければ非常に安い価格で適当なものだ、こういうことであります。
  21. 柴田義男

    柴田委員 三千八百余万円の借入れをやつて、なおかつ千二百万という価値があるということになりますと、六千万なり七千万なり価値がなければならないわけなんです。その点を私は伺つておるのであります。それが今のお答えでは一隻だけではないというお話でございますけれども、一千二百万をもつて契約なすつたの豊洋丸一隻でしよう。そんなでたらめな御答弁で、しかも文部省関係で――われわれは文部省こそがこういう誤りが最も少いことを念願しておるものなんですが、もう少しはつきりした御答弁を願いたいのです。
  22. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは会計検査院批難事項には、「長崎大学で、昭和二十六年八月才川某から水産学部練習用船として、第六豊洋丸を、これに他の物件とともに三八、七六五、四七〇円の抵当権」とありますが、その「他の物件」というのに船がたしか三隻か四隻あつたわけです。それを含めまして、この船と一緒に三千八百万の抵当権が設定された、こういう意味でありまして、そのうち第六豊洋丸としては、これを長崎大学がほしい、それを千二百万で買いたい、こういうことなんでございます。
  23. 柴田義男

    柴田委員 それはわかつていますけれども、しからばこの第六豊洋丸というものの価値がどのくらいのものであつたのか。そうして他の物件とともに三千八百余万円の抵当権が設定されておりまするが、この第六豊洋丸に対してはどれだけの債務があつたのか、それらを伺つておるのです。たとえば豊洋丸が二千万の価値があつた、そうして他の物件とともに三千八百余万円の借金がついているのだが、それじや豊洋丸に対してどれだけ借金があつたのか、こういうのです。それがわからなければこの価値がわからない。
  24. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは才川某船会社全部を一括して抵当権を設定したわけなんです。ですから第六豊洋丸に対して幾らというふうではないのです。船が何隻か第三、第四というふうにありまして、その全部に抵当権を設定したわけであります。
  25. 安井大吉

    安井委員 関連して。今の船の問題は文部省のおとぎ話みたいな課題だと考えられます。一体文部省はこの学校に対して予算令達をして幾らの船を買わせるつもりであつたか。それからこの契約を見ますれば、八月の十四日に契約をしておる。その船の引継ぎは、八百万円支払いの当時においてもうこちらへ占有すべきものである。しかるに九月一日になつて検査行つたところが長崎港に船が見えないという、実に奇々怪々な、もう質問するだに愚かなようなこんなつまらないことが白昼公然と行われているということは、笑止千万である。非常にこれは不始末な点だと思う。文部省が一体こんなばかなことをするのか。予算はいつ令達して、幾らで買うべきものであつたのか。なぜ契約の当時にこれを引継がなかつたのか。そういうことの監督は一体どうしていたのか、そういうことを伺いたい。
  26. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 まことにごもつともな御意見だと私も思いますが、その当時長崎大学水産学部ができましたので、どうしても練習船を手に入れなければならないという必要性にかられまして、やむを得ずとつた措置と考えるのであります。文部省といたしましては一文も令達していないのですが、予算としてはたしか千二百万円計上しておつたはずであります。学校はぜひその船を手に入れたかつた。それは抵当権を解除した後に正規に手に入れたかつたのですが、競売に付せられるということでございましたので、競売に付されてしまうとこの第六豊洋丸も手に入らない。しかたがないからとりあえず会計課長名義使つて銀行から借りたが、その借りた銀行にすぐに期成同盟会から金をお返ししたわけで、国の方はこれに対して令達していないわけです。ですから国の令達がないのに売買契約をするのは、お話のようにおかしな話であります。会計課長個人であろうとも、いかなる理由によつてもそういうことをすべきものではないのであります。これは御指摘通りはなはだ遺憾に思つております。ただそういう事情でございまして、これに対する監督をどうしたかということでございますが、期成同盟会の金で一時立てかえておいた、そして国の予算令達があつたら正式に売買契約をするということになつておつたと思うのであります。
  27. 安井大吉

    安井委員 そういたしますと、この契約書をちよつとごらん願いたい。第四項に「代金支払は二回払とし、第一回の支払船体引継受後金八百万円也を支払い」とある。だから八百万円を支払わないうちに船はこつちに来ているはずじやないか。第四項はそれを明示して、あと四百万円はあとで登記のときに払うと書いてある。これによつてみても、もう契約においてだまされており、ぺテンにかかつているということは一目瞭然である。  もう一つ会計検査院に伺いたいのは、この債権といいますか、今は八百万円は一体だれが負担すべき性質のものであるか。国はこれを買う予算令達をしていないという。そうすると長崎学校がかつてに自分でその金を出したことになるが、これはその某団体の損害に帰するのか。国はこれに対して債務はないか、その損害はないか。こういうことについて会計検査院からお伺いしたい。
  28. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 八百万円につきましては、才川は破産しまして破産財団に国として加入しております。一応債権としては国が確保する形になつて表面上はいるわけですが、実際問題としてはこれは最終的に期成同盟会が負担すべきものか、国がそれをとるべきものかということになりますと、期成同盟会長崎大学との間の関係がどうなつておつたかということを究明して行かなければ、はつきりしない面があるわけですが、その点が実は遺憾ながらはつきりいたしませんので、前段の国が加入しておるというところまでで、その後どういうふうになつたということを現在のところちよつと申し上げかねるわけであります。
  29. 安井大吉

    安井委員 今のような会計検査院のお答えであるとすれば、文部省は買うべき予算令達していない、買う命令はないのだから、校長としてもそういう執行はできないはずだ。予算令達にならない前に独断専行はできない。そうすると国はこれに対する債務はないじやないか、損害負担の義務はないじやないかと思うが、その点はどう考えますか。
  30. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 お話のように国は債務は負つていないし、負担の義務はないと思います。
  31. 安井大吉

    安井委員 そうすると、今会計検査院の、そのいきさつはどうなつておるかわからぬ、両方にある、こういうお話と食い違うじやありませんか。
  32. 田中彰治

    田中委員長 上村説明員に聞きますが、この金は払つたのでしよう。
  33. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 八百万円ほど借入れをして払つた……。
  34. 田中彰治

    田中委員長 国が払つたのでしよう。
  35. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 国といいますか、そこのところが期成同盟会関係かあつて、とにかく国の名前で払つたことは確かです。
  36. 田中彰治

    田中委員長 三千八百万ばかりの金はどうしたのですか。
  37. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 三千八百万円はその船について債権があつて……。
  38. 田中彰治

    田中委員長 その債権はどうしたのですか、払つたのですか。
  39. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 これは結局第三者がやつているわけです。
  40. 田中彰治

    田中委員長 それは第三者がやつてつても国が買つたら払うでしよう。たとえば三千八百万円の債権のついた船を買つたのです。その船はどこかへ行つてしまつた。そうして八百万たてかえて払つたのはどこへ払つたのですか。
  41. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 その三千八百万円については抵当権が設定されておるわけでありますが、これは才川某が結局抵当権を抹消して国に引継ぐということでありまして、国は直接その抵当権を抹消するという債務を負担しておらぬわけであります。
  42. 安井大吉

    安井委員 そうするとこの八百万円というのは、学校長が国の名において、国の委任事務として買う契約をして借りたのか、あるいはただ単にここにある期成同盟会が自己の自由意思によつて、困つているなら助けてあげよう、たてかえておげよう――国では買う意思はない、予算令達してない、借りたものを国から支払う場合は返還してもらうという考え方のもとで一時の融資をしたとこうあるのです。これがわからぬのです。その関係はどうなつておりますか。
  43. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは予算で千二百万円は国の方から将来は出すつもりでおつた。けれども国の方ではまだ令達してなかつた。そこで学校としてはその船がほしいので、しかも金はないという点から期成同盟会から融資してもらつて、とりあえず八百万円を払つた、こういうことであります。
  44. 安井大吉

    安井委員 実情はよくわかる。法律的に長崎の校長は国家機関の意味において金を借りたのか、あるいは期成同盟会会計課長が私的に話をして借りたのか、それによつて国家が負担するかしないかのわかれ目になる。予算令達していない、もらえるだろうという予想のもとに私にやつたのなら、国家はその責を負う必要はないじやないか。その点はどうお考えになるか。
  45. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それは便宜会計課長という名前を使つたのですが、個人でやつた、ですから国は責任はないと考えております。
  46. 安井大吉

    安井委員 それでは会計検査院は、これは国の損害ではないとおきめになつておるのですか。
  47. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 会計課長名義で借りられたのが国であるか個人であるかということは、実は私の方も判定に苦しむわけでありますが、損害の点になりますと、一応八百万円融資しまして、それについては期成同盟会銀行借入金を返済しておるわけでありますから、一応そこの穴埋めは済んでおるわけであります。問題は期成同盟会が最終的には八百万円を出したということが残つておるわけであります。国の方から言いますと、結局才川某に八百万円を渡しましたから、それに対しては破産財団に国の名前でとにかく払つておる、それをとつた場合に期成同盟会が八百万円出しておるものと結局金の面では関係があるわけでありますが、これをどうするかという問題が残るわけだと思います。それについては先ほど申し上げましたように、期成同盟会学校との実質的の関係が私の方に明瞭になつていないわけでありまして、そこの点はちよつと申し上げかねます。
  48. 安井大吉

    安井委員 そうすると才川某は国に売つたと考えておる、金の出道は団体から出ておる、国家ではない、そうしてみると一方的に才川自体が国に売つたと考えておるが、これは国に関係ないのですか。
  49. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 買つたのは国が買つたというように考えております。これは国のそういう仕事をする人が国が買うということでやつたわけでありまして、それに対して結局国税庁の差押えがありますから、それを免かれしめるためにとにかく何とかしなければならぬということで、私の方としてはこれは第一回の支払いとして国が渡したのだというふうに考えますが、ただその金の最終的の負担をどこでするかということになると、期成同盟会と国との関係がどういうふうな契約であるかということが文書その他で明瞭になつておらないものですから、先ほど申し上げたように言つておるわけです。
  50. 安井大吉

    安井委員 これは会計課長会計課長の名において買つたけれども、国の事務ではない、国の買つたものではない、この損害も国が負担すべきものではない、彼らがただ予備行為でそうしておる。もし令達があつたならば、初めて国の機関として執行しようというこれは一つの予備事務であつて、国家がこれの損害を負うような必要はないと考えますが、文部省はどうお考えになりますか。
  51. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私はそういうように考えております。
  52. 柴田義男

    柴田委員 最初からもう少しこの状態をはつきりさせたいと思います。たとえば共同で物件はたくさん担保に入つておる、それで三千八百余万円借り入れたのだが、この船に対する債権というものは債権者も聞いてみれば当然わかるわけなんです。豊洋丸に対しては五百万貸しておるとか一千万貸しておるというのは必ずわからなければならぬ。共同担保で三千八百余万円借りておることはよいのですが、その内容も究明しないでこの契約をしたということであれば、これはあまりにも疎漏な契約であつたと思いますが、豊洋丸に対してはどれだけの債務がくつついておつたかということはおわかりにならなかつたのですか。なおわからないといたしましたならばその後にも調査が完了していなかつたのでしようか。
  53. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 抵当権があるのにこの船に対して融資したということは、私どもも非常に遺憾に思つております。ただ今お話のように、船がほかにもございますので、その船と一緒になつておりまして、この分で幾らというふうな抵当権の設定はなかつたように聞いております。その辺の事情は私ども調査しておりません。
  54. 柴田義男

    柴田委員 そういう調査が疎漏であることは非常に落度であると思います。たとえば抵当権の全部の中でこの船だけが一番価値のあるもので、三千八百余万円の大部分というものはこの船についておつたと仮定したら、どうでしようか。この船が行方不明になつたら別個の問題が生じますが、これが完全に長崎大学に入つた、負債というものは、この船を対象として借りておつたならば、三千八百余万円という債務をまた負担しなければならぬという結果が生じて来る。こういうことについて経理的な考え方のない人だけが文部省におるわけではないと思うが、そういう点の御監督があまりにも疎漏じやないかと考えます。問題がたくさんあるでございましようが、この問題をまず解明するためにも、文部省の会計的なお考えを根本的に伺つておきたいと思います。
  55. 安井大吉

    安井委員 関連して……。今文部省では国ではないつもりだと言われるが、契約の買主をごらんいただくと、支出負担行為担当官長崎大学事務局長福井澄と書いてある。これを見ればこの契約は明らかに国の執行として買主は必ず学校に持つて来る船だからそう思う。これでも免れ得ますか。免れ得るとするならば、個人の福井がやつたのだとこう言い切れますか。その点はどうでしよう。
  56. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 こういう契約を結んだこと自体が私ども会計法違反である。実はこの点については、会計検査院の御指摘通り遺憾であると思います。
  57. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと内藤政府委員に聞きますが、船はなかつたのじやないの。
  58. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 そうじやないのです。
  59. 田中彰治

    田中委員長 調べたんですか。
  60. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 船は非常にいい船なんです。
  61. 田中彰治

    田中委員長 見たんですか。
  62. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それは文部省の係官が行つて見たわけじやないのですが、船は確かに非常にいい船で、千二百万では非常に安い。それは水産庁の方から価額の点については問い合せてもおりますし。
  63. 田中彰治

    田中委員長 いや、船自体を見たのですか。機械はどうだとか、この船はどうだとか、検査したのですか。
  64. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 大学検査をやつたんです。
  65. 田中彰治

    田中委員長 ところがおかしいことには、今柴田委員が言う通り、三千八百万円借金を背負つている。ほかの担保で幾ら、この船で幾ら借金をしている。その船を千二百万円で買つている。それを聞かぬで、この船を買つた。三千八百万円という担保を幾ら除いてくれと言つても、どの担保は幾らということはわからないわけです。もしこの船にそれだけの値打があれば、この船に三千八百万を払わなければならぬ。それから金を払つて船を引渡すことになつて、船がないということになれば、これは船を見たのでなくて、書類の上で買つたのでしよう。それは明らかにした方がいいのです。
  66. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは書類じやなく、長崎大学に……。
  67. 田中彰治

    田中委員長 いや、長崎大学で書類上で買つたわけじやないですか。
  68. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 そうではありません。
  69. 田中彰治

    田中委員長 それではどうして引渡ししないのですか。引渡しを受けに行つたらないじやないですか。登記はしないでもいいけれども、船だけは引いて来なければならぬ。
  70. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それは長崎の港に繋留中であつたのです。
  71. 田中彰治

    田中委員長 それはどうも納得できません。
  72. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今のお話の三千八百万というのは、私の記憶ではたしか四隻だと思うのですが、この第六豊洋丸一隻だけで三千八百万もするというふうなものでないということははつきりしているつもりです。
  73. 柴田義男

    柴田委員 今のお答えを承つておると、この船の千二百万は安いと言うが、それは負債がない場合の御議論でございましよう。負債がない、まつたくきれいなもので、いつでも登記してこつちに所有権を移せるというものであつたなら、あるいは千五百万なり千六百万の価値があつた、これはそういうお答えだというふうにわれわれは聞かれるのですが、三千八百七十六万五千四百七十円という抵当権が、何かこの第六豊洋丸と一緒になつて五そうか六そうか担保がついておる。五そうでも六そうでもいいのですが、担保がついておつても、この第六豊津丸に対しては幾ら借金があるのだということは、債権者に行つて調べればすぐわかる。この船をもらうのに、担保を抹消してもらつて登記を移すのだが、その場合、幾らそちらに債務を払えば、この船をきれいなものとしてこちらへ渡してくれるかということは、電話ででも交渉すればすぐわかる。そういう処置をおとりにならなかつたかどうかということです。
  74. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 そういう措置はとらなかつたようでありまして、今申し上げましたように、この抵当権がどういうふうにわかれておるとか、あるいは一括で――私どもの記憶では一括になつておつたように聞いておるのですが、要するに区分がなかつたように聞いておるのです。
  75. 柴田義男

    柴田委員 どうもそういう抵当権なんかに対してお考えが非常に不注意なようでございます。われわれ経済的に考える者には、実際常識では判断できない。これはだれが聞いてもばからしい話ですが、結局この根本には、長崎大学契約の衝に当つた者と才川某とぐるになつての詐欺的行為がここになかつたでしようか。こういう点がわれわれには疑われるのです。常識では判断がつかない。どこかへ船を持つてつて隠れてしまうことが最初からわかつてつて、国から八百万円出させて払つてやろう、こういう最初からの計画はここになかつたのかどうか。
  76. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それは全然ないと思うのです。この事件が非常に複雑になつておりますのは、まず第一に、長崎大学では水産学部の第一回の卒業生が二十八年三月に出ますが、それまでに半年なり一年なり期間がなければ、海員免状がもらえないというので、どうしても手に入れたい、この機会を逸しては他に適当な船がないというふうに非常に追い詰められておつたことが一つ事情であります。それに対して、才川某大学をひつかけたようなかつこうになつた才川某大学にこれを手放してしまう前に、その後にかあるいはそのときか知りませんが、他にチヤーターしたことは間違いないのであります、その間一回でも二回でも船を貸して、そこで船賃をもうけようというふうな考えがあつたようであります。それからさらに才川某自体がまたひつかけられた。その船はまるごとどこかへ売られてしまつたらしい。それは日本の国内ではないらしい。ですから関係者もずいぶん苦労して探したのですが、国内にはなくて、どうも話によると、密輸に使つて、船ごと全部朝鮮の港かどこかに行つてしまつたらしい。ですから才川某自体もひつかけられたことになる。私らも非常に遺憾に思うのですが、大学関係者がぐるになつたということだけはないと思うのです。才川自体もあとでひつかけられているのですから、この点はないと思います。
  77. 柴田義男

    柴田委員 大学関係者にそういう意図がない、これは、あなたのおつしやることを全面的にはとても信用できませんけれども、多少信用すると仮定してもいいのですが、そうしましたら、今度は、その才川某なる者は単に債務者として破産宣告を受けるとか、破産申請を今受けているという形だけでなしに、このやつた行為そのものが詐欺だと思いますが、これに対して、いわゆる告訴等を長崎大学はやつていましようか、それを承りたい。
  78. 安井大吉

    安井委員 ついでに、八月二十四日に検査行つた物品と船とはばらばらになつている。一週間日に船をとりに行くからと言つて、一週間後行つてみたら、船がない。こんなばかなことは、これは計画的である、こう見られる、これが一つ。  もう一つは、会計検査院に伺いますが、この契約の状態を見れば、どうしても才川としては国と契約しておる。明らかに担当官何々、局長何々と契約しているが、それでも国の損害は免れ得るかどうか、御見解を伺いたい。
  79. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 国との契約であるということは、先ほど申し上げた通りであります。こういう契約をしました場合に、抵当権がありますれば、それをそのまま引取れば、その船の価値幾らであろうが、これはたしか全体に抵当権が三千八百万円ついておるはずですから、その三千八百万円の分だけはとられてしまうことはもちろん間違いのないことであります。そうした意味からいいますれば、こうした契約をすれば、いろいろな問題が起るのは当然のことであります。ただ現在におきましてはこれを引取つておりませんし、八百万円をとにかく期成同盟会が払つたという形でありまして、国との関係における現実の損害という面では、現在は必ずしも起つておるとは言えませんが、起り得る事態であつたということだけは言えるわけであります。
  80. 柴田義男

    柴田委員 先ほどの質問にまだお答えがないようですが、契約面から見ましても、債務がくつついているということを何も明示しておりません。船舶購入契約のどの条を見ましても、第六豊洋丸がどれだけの借金をしているということは全然明示していない。どこから見ましても、この才川という者は計画的に詐欺をしたとしか受けられない。その場合に、ぐるになつてやつたことでなかつたら、何で長崎大学事務局長が才川を詐欺として告訴しなかつたか、こう思うのですが、その点を伺つておきたい。
  81. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この点につきましては、お話のように私どもも才川の行為は詐欺的行為だと思うのであります。そこで当時詐欺で告訴するということになつておりましたところ、これは二十七年の九月の二日に才川が破産を宣告されておりますので、これは実現できなかつたのであります。
  82. 柴田義男

    柴田委員 破産と詐欺とは別個だと思います。破産宣告を受けようと受けまいと、そういうことは別です。破産は民事問題でしよう。現実に詐欺をやつたことは明らかだと思います。こういう場合はこれでは社会的に見せしめにもならぬし、ことに学校の教育者をごまかして八百万も横領するような者に対しては、仮借なく徹底的にやるべきだと思います。これはやれないということであつたら、これは長崎大学のこの問題を取上げた方々にくさい関係があるんじやないかと想像されるのは無理ではないと思います。これに対して御見解はいかがでしよう。
  83. 田中彰治

    田中委員長 内藤政府委員、ちよつとあなたの見解はぼくらにはわからないのです。この契約書代金支払いは二回払い、第一回の払いは船体を引継いで、その後八百万払うことになつている。それをとらないで八百万やつて、それで二箇月も三箇月もほつたらかして、一週間目にとりに行つたら船がないと言う。契約は非常に簡単なんだ。保険なんかもついておらない。船を買うときは必ず役所で保険をつけなければならない。それであなたが、才川某被害者だとか何とか言つておりますが、そのような考えで文部省の会計ができるのかと思うのですが、ちよつと常識的に考えられないんだが、どう思われるのですか。
  84. 安井大吉

    安井委員 今の答弁のついでに、その後になりまして文部省が買うという意思を向うへ伝えたのですか。そのままになつておりますか。それもあわせて答弁してください。
  85. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 まず最初に委員長の御質問についてお答えいたしますが、確かにこれは私どもも非常に長崎大学に手落ちがあつたということは率直に認めるのですが、しかし船があつたことは事実で……。
  86. 田中彰治

    田中委員長 保険はしたのですか。
  87. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ですからこの契約書は私どもは違法な契約だと思つているのであります。どうも支出負担行為をしていないのにかつてにこういう……。
  88. 田中彰治

    田中委員長 かつてにしたことはいいが、船に八百万も金が払つてあるのです。保険証もなかれば、契約書の引継ぎもしないで渡して、一週間後に行つたら船がありませんでした。それではどうもちよつとぼくはおかしいと思うのだがね。済んだことだからいいんだが、常識的に何とか、あれで倒れたとか、これで被害をこうむつたとかいうことならいいんだけれども、ぼくは今まで決算委員長なつて調べた中でこんなのは初めてだよ。
  89. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 委員長さんのおつしやるのはごもつともだと思いますけれども、これは私も昨年の八月に会計課長なつてこの話を伺つたときに、ほんとうにこういうばかなことがあり得るかと思つたくらいで、委員長さんのおつしやるのはほんとうにごもつともだと思います。ただどうもこういうことになつてしまつたということは、ほんとに申訳ないと思います。
  90. 安井大吉

    安井委員 その後に示達したのですか。
  91. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それからその後に示達いたしました。千二百万円……。
  92. 柴田義男

    柴田委員 この問題はまことに奇怪しごくな問題ですが、これからでもおそくはないと思うのです。これははつきりと才川を徹底的に追究する、こういう態度が望ましいと思うのです。  なお次の問題は同じく千二百万の予算示達をされまして、川南工業ですか、これから練習用船長崎丸を契約された。この千二百万で御契約なさつて、船舶引受けを受けたこととして金額を払つた。そうしまして実際は出来高が八二%しがなかつた。こういう報告ですが、その後どのくらい遅れてこれが完成して引継ぎになつているのか、これを承りたい。
  93. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 船籍登記の年月日が五月二十七日になつておりまして、航海をしたのが六月十五日になつております。ただこれは会計検査院の御指摘もありますが、実は初め千二百万出して翌年度さらに六百万追加している。こう二つにわかれておりまして、一応船体の分をやつてあと機関分その他の改装もやつて残りの六百万を出しました。予算が十分でありますれば千八百万出せばよかつたのですが、なかつたので初年度千二百万で一応船を買いまして、必要な最小限度のことをやりまして、その後にさらに改装いたしまして船ができ上つたわけであります。とにかく六月七日には試運転をしておりますから、そう遅れてないと思います。
  94. 天野公義

    天野委員 さつきの災害の点にもどりますが、災害復旧のいろいろな御答弁がありましたけれども、私のお伺いしたいのは、事業主体災害報告をする場合に一体どういう点を考慮して災害復旧を出すのか。もう少し詳しく言いますと、災害を受けた直後の状態から復旧をするということを前提にして災害復旧をして来るのか。それからもう少し進むと、たとえば校庭がいたんだ、それを学校の生徒が直す、その直された状態から災害復旧が出て来るのか。校舎に被害を受けた場合でも、ある程度学校内部で直せるものは勤労奉仕のような形でこれを直すという場合も当然考えられる。そうするとそういうものが終つてしまつたあとから今度災害の算定をするのか。その時点のとり方によつて相当違いが出て来る。そうした場合に事業主体から出て来る災害要求というものは、どの時点を基準にして出して来るのか。それについて査定はどういうぐあいに査定をいたしているか。
  95. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今お話の前の点でありますが、災害当時の状況を出発点にいたしまして復旧の見積額をとるわけであります。この場合にあくまでも原形復旧建前にしておりますので、現状は特に改良復旧の面が相当出て来るわけですが、改良復旧の点については私どもは認めない方針で査定しております。一番食い違うのは、改良復旧したいという点と、こちらの方はあくまでも原形復旧というこの線が査定の違いになつて来るわけであります。
  96. 天野公義

    天野委員 ここで相当災害復旧予算に問題が出て来るのじやないか。というのは、たとえば昨年の熊本県における非常な泥の災害があつた。その例をとつてみれば、校庭に泥が一ぱい溜つている、これをとり払うのにおそらく事業主体の方では一日何人がどれだけの泥をトラック何台運んで、そうしてこれを除去して元の状態に直すのには大体推定で幾らかかつた。こういうようなことを被害の算定基礎にするだろうと思う。ところが実情は生徒やPTAの人たちが出て来てこれを全部勤労奉仕で直してしまつた。そうした場合に一応その人たちの勤労奉仕によつて災害はその部分においてはなくなつたのだけれども災害要求はあくまでも生きておる、こういう事態があると思うのです。そうした場合には一体どういうような処置をされるのですか。
  97. 近藤直人

    ○近藤政府委員 熊本の排土でありますが、当初の積算の基礎なりますのは、ただいまお話なりましたように、これを人夫を使つてどける、その人夫賃は幾らかということで、災害の直後と申しますか、災害のあつたあとで、それを復旧するのに要する経費を算定いたしまして、現実には立てかえ払いをもつて県ないし金融機関から借りまして、支払つた金額を基準にいたしまして、あとで政府の方で、補助して行く、そういうような考え方をとつて参るのであります。  それから被害額の算定の時点の問題でありますが、これは先ほどから繰反しお話のありましたように、なかなかむずかしい問題でありまして、原則といたしましては災害直後を基準にいたしまして、それを原形に復旧するという建前で積算するわけでありますが、その後文部省が直接抜き検査をする意味において、現地に参りまして調査する、あるいは大蔵省の財務当局が参りまして調査するということで、だんだんその額が通常は減つて参ります。そこで、これはいつも問題になるのでありますが、一応文部省報告があります災害復旧の額は、非常に厖大な額になります。先ほどお話がありましたように、文部省は大体八割程度にこれを査定しておりますが、さらにそれを再調査いたしますと、それが七割になるというようなこともあるわけであります。しかしながらそういうような場合におましても、現地といろいろ話合いまして、了解をつけておりますので、格別その額の問題につきまして問題はないようであります。
  98. 天野公義

    天野委員 今一つの例で熊本県の排土の例をとつたのですが、これは大なりなり被害校に付随する問題だと思います。それで今のお話ですと、金融機関から金を借りてどうのこうの、それでそのあと政府がどうこうというようなお話がありましたけれども、勤労奉仕その他で、ある程度復旧をした場合に、災害はあくまでも生きておる。それに対して金融措置を講ずるというのは、勤労奉仕をした人たちにある程度金がまわるというふうに了解していいのですか。そういう場合はあまり聞いたことがないのですが、そういう話は一体どうなんですか。
  99. 近藤直人

    ○近藤政府委員 勤労奉仕でそれを全部片づけたという場合には、やはり財政負担がそこにないわけでありますので、国としてそれに対しての補助を出すということはないわけであります。
  100. 天野公義

    天野委員 そうすると熊本の学校で非常にどろが詰まつたのを、学校の生徒たちが一生懸命どろをなくすのに努力してやつた。そういうようなところには勤労奉仕で財政負担がないから、みなただでやる。ところが人夫を雇つて学校の人は遊んでいて人夫が車や何かを使つてどろをどけたところには、財政負担があるから金を出す、こういう結論になるのですか。
  101. 近藤直人

    ○近藤政府委員 その問題はほかの例をとつて申しますと、たとえば六・三の校舎の補助金でございますが、新制中学等をつくるのに、〇・七坪に不足するものは国がこれに対して二分の一の補助をするわけであります。その二分の一の補助をもらうまでに、すでにその町村が金融機関から借りて、あるいは自己資金でつくつてしまつたというものに対して、あとでおれたちはもうつくつてしまつたのだから、国からそれに対しての補助金を出せという話があるわけでありますが、それは現実にはお宅の方でつくられたものを国があとで追いかけて補助をやるというわけには行かないものですから、そういうものに対しては、事情はまことに了といたしますけれども補助金は出ませんということで、今まで来ております。この問題は非常に大きな問題でありまして、いわゆる認証外方式と申しますか、自己資金あるいは借受金ですでに工事をやつたものと、あとから補助金をもらつてつたものとアンバランスじやないか、不公平が生ずるじやないか、正直者がばかを見るのではないかという話があつたのでありますが、これにつきましては今のところ何とも手がないのであります。一時別の意味においてでも助成する道はないか、いろいろ検討いたしましたが、具体的にはどうもいい案がありませんのでそのままになつております。今の勤労奉仕の場合も、ややそれに類似しておるのではないかと思いますが、確かに御指摘のように、少しアンバランスのような感じはいたしますが、ただいまのところはそのような扱いで参つております。
  102. 天野公義

    天野委員 これらの点は補助金交付について非常に問題になる点だと思います。学校それ自体が半壊というような被害を受けたとしましても、これまたPTAその他で一生懸命やつて、ある程度直してしまえば、会計検査院指摘されておるように、一応半壊であつた場合でも半壊とは認められないで、一年もその後も使用できるという状態にまで持つて行くこともできないわけでしよう。そうするとここにいろいろな面からして非常に矛盾が出て来る。こういう点について文部省としては公正妥当な災害復旧査定並びに予算の執行ができるようなことを御研究だと思うのですが、そういう点については一体どうでありましようか。
  103. 近藤直人

    ○近藤政府委員 確かに補助金の配分の問題につきましては、御指摘のように不公平があることははなはだ遺憾なことであります。私どもとしては常に公正適正に配分するということに苦心いたしておるのでありますが、問題は私どもの意図が市町村まで徹底しないということも一つあります。今回公立学校施設国庫負担法という法律ができまして、災害あるいは戦災の場合、あるいは六・三の場合に国が補助をするという基礎ができ、かつそれに対する手続はこうであるということもよく周知させました上で、市町村から申請書をとりまして、それを私どもの方で県当局の意向をも十分参酌いたしまして、公平な配分をいたしたいと考えております。問題は実態調査が一番根本になりますので、毎年五月一日を期しまして全国的に老朽校舎は何坪、あるいは六・三の〇・七坪に不足する坪数は全国で何坪あるか、学校ごとに全部調査を遂げ、あるいは戦災学校は何坪という調査をとりまして、それをさらに一つ学校ごとに県の報告が来まして、具体的に不足坪数を出しまして、それと予算の坪数をかみ合わせて、公平に配分いたしたい。要求の坪数に対して予算の坪数がマツチしておりますれば問題ございませんが、これも予算が十分ございませんので、従つて十の要求に対して六しか配分できないということになりますので、一層この配分の適正ということが困難な問題になつておりますが、私どもの力の及ぶ限り適正公平に配分するように努力いたしております。
  104. 天野公義

    天野委員 昨年度の災害もおそらく今復旧しておる最中で、その査定もまたいろいろやり直したり何かしておると思うのですが、昨年度の災害について、文部省としては今どういうことをやつておられますか。
  105. 近藤直人

    ○近藤政府委員 西日本十三号各地の台風に対する災害につきまして、すでに配分を終りまして、公立学校につきましては、六割は二十八年度に予算をつけまして、四割を二十九年度に持ち越しておるわけであります。具体的には文部省調査並びに現地からの報告、それから大蔵省の財務局の調査、そういう調査をかみ合せまして、適正な配分を決定いたしまして、すでに金額の通達をいたしております。しかしながら私どもがいくら公平適正な配分に努力いたしましてやりましても、やはり漏れるものがございますので、それらの点につきましては先方からの要求によりまして、私どもの方で再調査をいたし、これに追加配分をするという措置をとつております。
  106. 天野公義

    天野委員 会計検査院の方に伺いますが、二十七年度で今批難事項なつているこういうような事態が、おそらく二十八年度でもたくさん出て来るのではないか、それで今御質問したところにも矛盾を感ずるような点が多々あるわけであります。そういうものをなくして公平に、そうして批難事項をできるだけ少くするようにするためには一体どうしたらいいか、そういう点お考えだと思うのですが、検査院の意見をお伺いしたい。
  107. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 昨年の災害の分については、実は私の方も検査がまだそこまで伸びておりませんので、今後やることになつておりますが、お話のように公平に行かなければならぬという点は確かにそうだと思います。それで根本になるものは実地査定が十分できておるかできていないかということによると思いますが、先ほどお話のようにいわゆる勤労奉仕でやつたような場合、これは文部省の方はお話がございましたけれども、これに対しましても例をあげて言いますと、災害があるという場合に勤労奉仕で未然に防いだ、そうして幸いにして災害がなかつたというようなこともございますし、あるいは勤労奉仕に出る場合に、ほんとうの勤労奉仕の場合もありますし、それから税金をとるかわりに無理に言いつけてやらせる場合もあるわけであります。それらを、これは本省の方針にもよることでありますが、均衡がとれるように本省ともよく打合せて検査の方もやりたい、こういうふうに考えております。
  108. 天野公義

    天野委員 私は、勤労奉仕で自分の学校の危機を救い、自分の学校のこわれたところを直して行くというような精神を、今後はうんと発揮させていただきたいと思います。それで人夫を使つて校庭を直したり、若干の被害を過大に報告をして、国の予算をむだに使用するとか、いろいろ水増しの要求をしてみたり、自分たちで直せるところをほかのものに直させて、自分の学校のこわれておるのをわれ関せず焉というような状態を見のがしておるというような考え方は非常にいけないと思う。このように考えるので、そういうような点にむだのないように査定を厳重にしていただきたいというのが私の方の要求なのです。でありますから、査定を厳重にして、いやしくも国の費用をむだにしないように、そうして自分の学校なり自分の郷土というものは自分たちで守つて行くのだ、自分たちで建設して行くのだという強い意欲を払わせるような、そういう指導をぜひ文部省にしていただきたい、こういう観点からお伺いしたのでありまして、今後こういう点についてなお一層学校当局、地方自治体についてよろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。
  109. 福井勇

    ○福井政府委員 先ほどお答えしておかなければいけなかつたと思いましたが、長崎の船の問題につきまして柴田委員安井委員天野委員の各決算委員から、それぞれ文部省の至らなかつた点についての御指摘がございました。本件は、会計課長も申しておりました通り、当時まだ会計課長も赴任しておらなかつた関係もあり、その後の処置が十分できなかつたというようなことについても非常に残念でございます。会計課長自身も今後はよく注意するというように申しておりますが、文部省といたしましても今後はこういうことのないように十分な注意をいたしたいと思いますし、また才川某の問題についても可能なる処置を十分いたしたい、こう存じております。  なお学校の今後の処置につきましても、天野委員の御指摘のような点についてはよく留意して対処して行きたいと考えております。
  110. 田中彰治

    田中委員長 文部省の方はこれで終えたのですが、きようはみな出て来ておらないのと、あなたも来たしこんなことで済んだのだが、普通の決算委員会ならこれだけで済まないですよ。もつといろいろな材料を持つて来て勉強してやつてもらわないと、こんなことで決算委員会はあなた方の思つている通り済まないですよ。よく注意してください。
  111. 柴田義男

    柴田委員 次官からも非常に率直な良心的な御答弁があつたのでこれ以上申し上げたくないと思つておりますが、ただ決算委員会にお出しになつた資料をずつと拝見いたしましても、実際今議論された問題とあまりにもちぐはぐな資料が出ておる。たとえば今の船舶の問題を見ましても、説明書は非常に簡単で何か決算委員会に出さなければならぬから書けというような考え方で書かれているとしか見受けられません、これはこの結論では才川某に対しては融資であるのだ、こう結んでおります。ところが融資はなかつたのです。現実は売買契約をやつて第一回の支払いをやつておるのです。だけれどもこの説明書は単なる融資であると書いてある、こういうように非常にあつさりとお考えになつている。これはもし自分の金であつたならば八百万を支払うのにこんなかつこうで支払うわけはないと思うのです。だから文部省監督ももう少し厳重にされたい。われわれも学校の先生という方々は悪い人はいないし、日本の教育に対して非常に努力を払つてくれておるということは常日ごろ知つております。しかし事務におられる方々はやはり一般経済常識もなければならぬでしようし、どういう予算があつてその予算の範囲でどういう仕事をしなければならぬということは十分考えてくださつていなければ、とても国の予算なんというものは出されないわけなのですが、そういうことを十分おわかりだと思いますので監督ももう少し厳重に今後やつていただきたい。件数から見ますると文部省の件数は非常に少いのです。内容をずつと検討して参りましても会計検査院指摘された事態が、これくらいのことならまあいいじやないかと思われるものも多少これに載つております。こういうところから全面的に見ますると、非常に少い指摘件数でございまするが、この説明書をいただきますと、どうも何かわれわれも言いたくなつて来るのです。かえつてこういう説明書をやつたりしない方がいい、たとえば劈頭には、大学の病院において社会保険制度が決定されて、患者数が非常に増加して来たのだということを理由にされておりますが、国民健康保険というような角度から、今町の医者でも一点が非常に安い価格で健康保険に応じております。たとえば物価指数からいいましても、あまりにもかけ離れた安い価格で町の医者が奉仕しておるような状態なのです。いわんや大学の病院におきましては、これくらいのことはあたりまえだという考え方を持つていただかなければならぬし、それに対しまして光熱費とか水の料金まで年々高くなつて来るというのも、これは社会常識なのですから、こういうことを予期いたしまして予算ももちろん組んでいただかなければならぬでございましようし、そういうことは十分考えていただかなければならぬことを、理由のように並べておりますが、こういう理由じやなく、間違つたことがあつたら率直に間違つたと、その事後処理に対してどうするかという問題が残されていると思うのです。文部省の問題はこの程度にしたいと思います。
  112. 田中彰治

    田中委員長 それでは文部省は終りました。     ―――――――――――――
  113. 田中彰治

    田中委員長 次に厚生省に移ります。すなわち昭和二十六年度決算検査報告百二十八ページから百四十五ページ、及び昭和二十七年度決算検査報告百四十七ページから百六十ページに至る厚生省所管各号を便宜上一括議題として、そのうち特に、昭和二十六年度においては、番号四七一及び四七六ないし四八四、四八五、昭和二十七年度においては、番号五三五ないし五八一を重点的に会計検査院当局説明を求めます。上村説明員。
  114. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 二十六年度の四七一号の問題でありますが、これは厚生省の保険局で社会保険広島病院の新築工事を請負わせる場合に、最低入札者を排除して二番札と契約を結ばれた、こういう案件でございます。これは指名競争でございまして、予定価格を二千八百万円とせられて、最低制限価格をその十分の九と定め、これ以下のものはいかない、こういうことで入札せられた結果、一番札であります間組の二千四百八十万円に対しまして、契約されたのは二千六百万円でございます。御承知のように、指名競争で相手方も選択してございますし、それから実際入札しました一番札も間組でございます。かたがた会計法の精神から申し上げましてもこういう措置は適当でないということでございます。  次は四七六から四八四の九件ございますが、病院収入の経理が当を得ない、こういう事態でございます。これは一括御説明いたしますと、病院で収入をとります場合には、直接日本銀行に納める、あるいは収入官吏が受取りまして日本銀行に納める、こういうことが建前であるべきはずであるのに、社会保険報酬支払基金から病院あるいは療養所が診療収入を受取られる場合に、市中銀行にひとまず預託されておいて、それから順次調定して行つて日本銀行に払い込む、こういうふうな扱いが従来とられておつたわけであります。言いかえますれば、やみの金が一応あつたわけであります。そういうものに関連しまして、そのほかの収入につきましても同じような扱いが起つた、そうしてその金を直接国庫に納めないで、その間病院の経費に充てるとか、あるいは修繕費に充てる、こういうことが行われました。あるいは貸付金に使う、あるいはこういうふうな事態が行われました結果、その間に取扱い者が横領するというような事態も発生しておるわけであります。先ほど申し上げましたように、こういう事態が起りましたのは、結局市中銀行に預託するという取扱いがとられたために主として起つたわけでありまして、これに対しましては、二十五年の六月、検査院から厚生省に対しましてその取扱いの改善方を要求いたしまして、その後におきましては厚生省からその取扱いの改善をはかられたわけでありますが、厚生省の示達を出されました以後におきまする案件もこの中に含んでおりますが、惰性としてそういうものが行われた事態でありまして、現在におきましては、病院収入の取扱いはおおむね正規に行われるようになつておると考えております。  それから四八五号の津病院の経理紊乱の問題でありますが、これはいろいろ事態が複雑しておりますが、第一点は、庶務課長の山口某が、予算外に二十五年一月ごろから二十六年十二月ごろまでに、白井及び笠井某に病院の修繕その他の工事を請負わせました、ところが予算外でありますので、別途に物品の購入代金等として振り出した小切手百一万円ばかりをあるいは工事代金に充てるというようなことが行われまして、その後正規の修繕費等の予算示達がありましてこれを白井某に払い、あるいはそれから前に白井あるいは笠井に物品費等から支払いました金を回収する等の措置が講ぜられまして、後に結局物品費の穴が二十二万円ばかり明いている。これについてはその後支払いができたわけでありますが、そういうふうな不当経理が行われておつたということがまず第一点であります。  次は、予算示達は受けておりますが、白井某にB病棟改築工事というものを百六十万円で請負わせまして、その工事をいたします際に、白井某が工事費等のために高士某から借入金をしておつたわけであります。この返済については、支出負担行為担当官の名義で高士某に支払うという支払証を出しておつたわけであります。ところがこれを高士某の方に支払わないで白井某に払つた、こういう事態が起りましたので、結局国は和解によりまして高士に対して九十二万五千円を支払わなければならぬという債務を負担する事態が起つたわけであります。さらに第三点は、いろいろの工事を白井某あるいは笠井某に請負わせておられますが、その実態が必ずしも明確でございません。厚生省におきまして、その工事費を三百余万円と認定をされまして支払われたわけでありますが、その際、さきに第二に申し上げました支払い債務を負担しておる分につきましては、白井某に支払つた分からこれを充当して支払つていた、こういう事態が起つておるわけであります。要するに予算示達がなく、しかも明確な形に予算経理が行われなかつたためにいろいろの事態が起り、しかも検査院におきまして、後にはたしてそういつた工事が行われたかどうかという点につきましては、必ずしも確かであるというふうな認定ができがたい状況であります。  次は二十七年度の五三五から五一八でございますが、いずれも補助金等の経理に関する問題でございます。  まず第一は五三五から五七〇号の結核、性病、伝染病予防事業等に対する国庫補助の問題であります。これは補助金を出されまして、事業主体からいずれも精算書が出て来ておるわけでありますが、検査院におきまして実地検査しました結果、その精算書に誤りがある、こういう事態でございます。その誤りを生じている原因は、経費に含めてはならない経費を含めたり、あるいは経費を使いました場合に、収入金を控除して補助金の精算をするということになつておりますのにその収入金が控除してなかつた、こういうふうなことから補助金の精算の誤りが起つておる事態でございまして、二十万円以上のもので三十六件、返納を要するものが二千七百余万円、こういうふうになつております。  それから五七一から五七七は、国民健康保険事業に対する補助金でございますが、そのうち五七一と五七二は事務費の補助金でございます。これも補助金対象にならない職員の経費を含んでおるとか、あるいは実際補助金を出しておりますが、事業を休止しておつて対象になるものがない、そのために返納を要する事態が起つておる。あるいはその次の五七三号は、直営診療所設置費補助金でありますが、これも補助金額に入つておりまする建物、医療機械を見ますと、実際は設備してない、こういう事態でございまして、補助超過なつておる、こういうものでございます。五七四から五七七は振興奨励交付金及び再建整備資金貸付金でございますが、これにつきましては条件が必要でありまして、収納割合が七〇%以上のものでなければ出せない、こういう事態でありますのに、実際を見て見ますれば、それ以下のもの、あるいは交付金、貸付金の金額を決定する場合の基礎となる数字において間違いがあつたために金額の誤りが生じておる事態でございます。これらはいずれも精算に関する処置が適当でなかつたものでございまして、精算につきましては事業主体から、府県につきましては直接、市町村その他につきましては府県を経由して出て来る、こういうふうになつておるわけでありますが、その間責任を持つて精算がどうなつておるかということを十分明確に見ておられないので、なお一層精算について検討すべきだ、こういうふうに考えております。  五七八から五八一は水道の補助に関する問題であります。水道につきましては単年度事業として予算が組まれておりまして、当該年度にどの事業をやるから幾ら補助をしてくれということで補助が出されておるわけでありますが、その工事の実態を見てみますと、補助工事として指定されたものが、行われていなかつたり、あるいは補助工事費の基本から除くべきものが除かれてなかつたり、こういうことのために補助超過と認められますものが約一千万円ほどに上つておるわけであります。そのおもなるものをここに掲げてございますが、これにつきましては、現在単年度事業として補助している以上、単年度に結末をつけて行くべきものだと考えているわけでございます、ところが従来の厚生省の考え方は、惰性といいますか、水道事業は一体として大きいものをやつていて、補助金対象なつているものは一部分であるから、最後に補助金水道事業が完成するまでのやりくりは幾らつてもよろしいというふううな考え方で、相当ルーズになつている面があるように考えるのであります。水道は建設省と厚生省の共管になつており、竣工認定は建設省が当つておられるのでありまして、竣工認定と申しますか、望ましいことは、実態がどうなつておるか、当該年度に補助したものの実態がほぼ指令通りできているかどうかということを見きわめて精算すべきものと考えるのでありますが、この点が従来の惰性がある関係もありまして、建設、厚生の関係の事務の連絡が必ずしも十分とれていなくてこういう事態が起つたのではないかと思うのであります。現在といたしましては、先ほど申上げましたように、単年度事業として補助している以上単年度以内に仕事を片づけて行く、そうして設計変更その他を認める必要がある場合でも当該年度内に設計変更の申請受取つて、その当該年度内に固めて行く、それ以外のものは補助対象として認めない方針でやられることが望ましいではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  115. 田中彰治

    田中委員長 以上の説明について、厚生当局において補足する必要があれば発言を許します。
  116. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 ただいま御説明がありましたうちの二十六年度の四七一号でございますが、広島の社会保険病院新築の場合、最低制限価格を定めて入札をしたか、一番札を排除して二番札に落札したというのでありまして、会計検査院の御指摘通りであります。これは将来の相当大きな計画を抱いておりましたので、予定価格の算出に特に注意をいたしました。それより一割を下まわるものについては配慮をいたしたのでありますが、その処置当を得なかつたことにつきましてははなはだ遺憾に存じております。今後かようなことのないように十分注意いたしたいと思います。  それから次は四七六号ないし四八四号でございますが、本件も検査院御指摘通りでありまして、検査院御当局からただいま御説明ありましたように、当時国立病院等におきまする社会保険の診療報酬支払い基金から日本銀行に払い込ませて納入すべきものを、それらの指示にもとりまして、一部病院等において、別途口座を設けましてそれを使うということのために、いろいろ御指摘のような事態が生じたのであります。本件につきましては爾後直接それぞれの国立病院が日本銀行の口座に払い込ませることにいたしておりますので、その後はかような事態を生じていないのでございますが、かような不当の事態を生じましたことにつきましてはまことに申訳ない次第と存じております。今後かようなことのないように厳重注意いたします。  次は四八五号でございますが、これも会計検査院の御指摘通りであります。これはちよつと入り組んでおりまして、明治四十五年に衛戌病院としてできた古い病院を引継いでおりましたので、特に戦時中つくりましたバラツクが非常にいたんでおるというふうなことから、これを修繕しなければならないという病院地元当局の考えは、日夜その現状を目の前に見ておりますので当然のことでございますが、これを十分行うに足るだけの予算的措置を講じなかつたということから、当時の病院の庶務課長山口某がいろいろとやりくりいたしましたのでかような結果に相なつたのでございます。そこで病院では本省の承認を得ないままに、とりあえず白井及び笠井両人にこの工事を請負わせまして、それからなおまた大公自動車という会社に自動車を修理せしめる、これも事前に承認を得ないで、事前にこの申請をとるというようなことでありましたが、それも早急に実現しなかつたので、そこで薬品とか石炭あるいは医療薬品、医療機械というふうなものの購入代金として振り出した小切手を正当の債権者に交付しないで現金化してそれを他に流用する、それから工事資金として白井某に対しまして一時融資しました四十九万何がしかの金額はこれまた返還されましたが、それをさらにまた先ほど申しました薬品とか石炭というようなものの代金を別途に流しているというふうなことでやりくりをやつておりましたのが、検査院御当局の実地検査の当日には、別のものが残つておるということで、完全な支払いは了してないというようなことで問題が発見されたのでございます。  こういうふうな状況のうちに、昭和二十六年の一月に至りまして、病棟の改修工事費として三百二万円の予算示達がありましたので、白井某との間に第一次工事費百六十万円、第二次工事費百四十二万円、それぞれ請負契約をいたしたのであります。ところがさつき申し上げましたように、未承認工事に多額の未払金がありましたので、請負いました白井某が工事資金に窮乏いたしまして、建築資材の入手も困難であつたというような状況でありましたので、工事代金を担保として農業協同組合の理事長の高士某という者から運転資金を受けまして、この運転資金の借入金の返済について、白井某の頼みによりまして、その病院の庶務課長の山口某が単独で高士某に右工事代金支払う旨の支出負担行為担当官名義支払証明書を交付したのであります。こういうところに大きな間違いの原因かあつたのでありますが、工事は遅々として進まない状況にある、一方白井某からはさきに交付した支払証明書は近日中に高士某の了解を得てとりもどすから、それで今までやつた工事代金の六十九万円はぜひとも自分に支払つてもらいたいという申出がありましたので、山口庶務課長工事が至急でき上ることを念願するのあまり、遂に工事の竣工を待たないで昭和二十六年二月この工事代金を白井某に対して直接支払つたのであります。ところが負担行為担当官名義支払証明書を受けました金額融資しました高士某はこの事実を全然知つていないのみならず、再三再四請求したにもかかわらず返済を否認いたしましたので、国を相手としての請負代金支払い請求の訴訟を提起いたしました。その結果和解になりまして、和解の結果国は高士某に対しまして九十二万五千円の支払い債務を負担することになつたのであります。  以上のようにこの病院は白井某及び笠井某に請負わしておりました未承認の工事がありましたので、厚生省はその後これを三百十一万千八百八十円と認定いたしまして二十七年度第一・四半期に予算配賦を行つたのであります。その病院は前後処理としてこの支払済みとなつている百三十三万千三百四十八円を差引きました百七十八万四百六十円の中から百四十七万四千三百六十円については白井某に支払うべきところを、実際は昭和二十七年五月白井某に対して五十四万九千三百六十円、高士某に対してほ和解による債務負担となつた九十二万五千円をそれぞれ支払う、残額の三十万六千百円については笠井某に対して支払いを了しました。ようやく本件も先ほど申しましたごたぞたした未払い金の解決をいたしたのであります。なおこの工事の事実認定につきましては、その後厚生省におきまして詳細調べまして大体間違いないというふうに確信いたしておるのであります。当時の監督者に対しましては訓告を与え、なお庶務課長山口某は別途事件がありまして、その関係で国家公務員法により失職いたしました。その点つけ加えておきます。まことに申訳ないと存じております。  次は昭和二十七年度の五三五号ないし五七〇号でございますが、これはいずれも当省所管の国庫補助金のうち結核予防事業その他各種疾病予防事業、それから生活保護事業、それらのそれぞれの経理当を得ないものとしてただいま御指摘を受けましたので、御指摘通りでありましてまことに遺憾に存じておるのであります。  概括的に申し上げますと、要するにその精算にあたりまして十分なる審査をしない、あるいは弁解がましくなりますが、書類上の審査だけでは十分わかりかねるというふうな点もありましたので、かような結果になりましたことをまことに申訳なく存じております。今後これらの手続等につきましては十分に適正なる審査をいたしましてかようなことのないようにいたしたいと思います。  五三五号ないし五七〇号は結核予防費の補助金でございますが、各都道府県が行つた健康診断及び予防接種の事業に対して国が補助金交付することになつておりますが、これは予防法の施行令の第五条によつて収入を控除しなければならぬことになつておるのであります。ところが昭和二十六年度に北海道外十四府県に対して交付した際におきますその精算にあたりまして、府県からの書面を見ますと、それによる事業収入が過少に計上されておりました。実地検査の結果、もつと多くの収入があるということがわかりましたので、その収入を差引きました。従いまして補助基本額からその分を減額いたすという次第であります。  それから五五一ないし五五六の方は、療養所の運営費並びに設置費補助金であります。これも結核予防法に基くものでありますが、補助対象外の経費を見ておつたということで、後ほど精算の場合に補助基本額の中からその分を差引くということになる問題でございます。  それから五五七から五六二は性病予防費の補助金でございます。これは強制検診とそれから性病病院の費用、それから診療所の費用、委託入院費、府県が行いますこれらに対して補助金を出すのでありますが、これも前段申しましたと同様に、性病予防法施行令第四条の規定によりまして事業収入を差引きました残りの金額補助基本額対象として行くというにもかかわらず、その収入を過少に見積りまして、実際に調べたところがより以上の収入を生じておる。それで補助基本額からそれを差引いてよけいに補助金を受けたものを返さなければならないという事案でございます。  それから五六三号ないし五六五号は法定伝染病予防補助金それから寄生虫病予防補助金でございます。これは伝染病予防法並びに寄生虫予防法に基きまして、前段申しましたと同様なる法で行うべき補助金でありまして、なお歳入を差引くことも先ほどの性病並びに伝染病と同様でございます。事案はいずれもその精算にあたつて基本額に補助対象外の金額を見積つたということでございます。  それから五六六は保健所の費用でございますが、保健所法に基きまして補助金交付する。その場合にはその収益は差引く、これもまた本法施行令第九条の規定によつてきめてあることでございます。補助基本額から差引く事業収入を過少に計算いたしておりましたので、かような結果に相なつたのでございます。  それから五六七は防疫業務の委託費でありますが、これは純粋に防疫業務に関する費用としての委託費用でありますのに、防疫業務以外の一般業務の執行に要した経費を含めて精算いたしたのでかような結果に相なつたのでございます。あるいは先ほど来申し上げましたと同様、補助対象外とすべきものが経費精算の際補助基本額の中に積算されておつたということからかような結果を生じたものでございます。  それから五六八ないし五六九の問題は、生活保護費補助金及び生活保護法施行事務費の補助金でございます。これも生活保護法に基きまして地方庁が支弁いたしましたところの費用について国が負担するものでございますが、精算の際に補助基本額補助対象とならない経費を含めておりまして、事実と相違するにもかかわらず、その金額を直さないで、そのまま精算をいたしたというようなことのためにかような結果を生じた次第でございます。いずれも今後かようなことのないように厳重に注意いたしたいと存じます。  次には五七一から五七七の国民健康保険事業に対する国庫補助金でございます。これも検査院の御指摘通りでありまして、まことに遺憾に存じております。超過補助とか超過交付あるいは超過貸付等につきましてはすみやかに国庫に返納して、今後かようなことのないように十分注意いたしたいと存じます。  簡単に御説明いたしますと、五七一号から五七三号は事務費、それから公共団体が設置しますところの直営診療所に対しますところの補助金であります。これは事務費の中に入りますところの、あるいは入らざるものを補助対象としておつた、それから事業休止中にもかかわらず補助金申請があつたの調査不十分のために補助金交付した、それから直営診療所の分は、これは精算にあたつて補助対象となつた建物とか医療機械の買収が年度内に完了していなければならぬのがしてないのに完了したものとして精算しておる、その結果かようなよけいな補助をしたというふうな結果になつたのでございます。  それから五七四ないし五七七号でございますが、これは振興奨励交付金並びに再建整備資金貸付金でございます。     〔委員長退席、安井委員長代理着席〕 これはそれぞれの一定の要件がありまして、その要件に基きまして振興奨励交付金または再建整備資金貸付金の交付または貸付を行うものでございますが、振興奨励交付金の方は交付対象とならない経費を含めておつたあるいは交付要件に達しなかつた、それから再建整備資金貸付金は貸付要件に達していなかつた、それから申請書に誤算があるのを調べないで、かような結果に相なつたのでございます。いずれもまことに申訳ないのであります。かようなことのないように今後十分注意いたしたいと存じます。
  117. 柴田義男

    柴田委員 議事進行について……。詳細な御説明けつこうなんですが、質疑応答の中で入つていただいた方がいいと思います。あまり時間もかかるようですから……。
  118. 安井大吉

    安井委員長代理 それでは簡単に願います。
  119. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 五七八ないし五八一は水道事業でありますが、これはいずれも検査院の御指摘通りでございます。これにつきましては特に検査院からただいま御指摘がありましたように、単年度補助であるところのものが在来の慣習と申しますか、そう申しましても別に弁解にはならないのでございますが、そういう過去の慣習みたいなものから継続事業的に扱つておることのために、設計変更等の問題におきましても、早く年度内申請をすべきものが遅れておつた、あるいは当局におきましても、年度を過ぎてからでも認可をしたということがこの問題を生じたのでありまして、詳細な事実などについては御説明を省略させていただきますが、さような次第でありまして、まことに申訳ないと思います。今後につきましてはかようなことのないように十分注意いたしたいと思います。簡単ではありますが、これで説明を終ります。
  120. 安井大吉

    安井委員長代理 それではこれより質疑を許します。徳安君。
  121. 徳安實藏

    徳安委員 批難事項については各委員質問に譲りまして、私は簡単に二、三批難事項以外のことについて伺つてみたいと思います。  第一に生活保護費の問題でありますが、これを各府県にお渡しになる決定方法はどういう方法によつてお出しになつておるか、ちよつと承りたいと思います。
  122. 黒木利克

    ○黒木説明員 生活保護法による予算配付は各県各市の被保護者の数と被保護者の一人当りの単価と申しますか、これを基礎にして計算した総額に対して出すのでありますが、それは実績に基きまして、たとえば二十七年度の第一・四半期におきましては、二十六年度の実績から算定をいたしました扶助人員なり、あるいは一人当りの被保護者の単価、こういうものを各県各市別に計算したものがございますから、それを元にしてやります。それから第二・四半期になりますと、第一・四半期の実績でそのときにおいてわかる範囲の被保護人員なり、単価に基いてやるのであります。そこで各四半期ごとに各県やはりでこぼこがあるものでありますから、その調整を第二・四半期以後においてはやりながら、最後の第四・四半期で全体の調整をして行く、こういうことでやつております。
  123. 徳安實藏

    徳安委員 この過不足を生じました場合には、第二・四半期以後でおやりになるということでありますが、私たちがちよつとうわさで聞くところによりますと、国の方からは金が来たけれども、県が赤字で県負担の方の金ができないために払えないのだというような県があるやに聞くのでありますけれども、これは国家的な大きな事業でありますから、そういうようなものに対しては本省としてはどういうような御勧告をなさつておりますか、伺いたい。
  124. 黒木利克

    ○黒木説明員 実は医療扶助につきましては御指摘のようなことが従来ございましたので、医療扶助について各県各市の支払いの遅延を防止するために昨年六月から医療扶助につきましては社会保険診療報酬支払基金というのがございますが、ここで一元的に支払う。そこで県なり市と支払契約をさせまして、一月前に医療費の概算額を支払うようにする。それに対して国が八割負担するということで、支払い遅延が起きないようにその防止手段を講じておりますので、今後はかかることはないものと信じております。
  125. 徳安實藏

    徳安委員 医療負担の方はわかりましたけれども、生活保護の方はかりに一億円国の方から来た、これに対する二割は府県の負担だという場合、この二割の金がないために払えない県があるとかいう話も聞くのですが、そういうような報告は全然ございませんか。
  126. 黒木利克

    ○黒木説明員 生活保護費につきましては、これは一月遅れたらたいへんなことになるものですから、いまだそういう事実は聞いておりません。ただ医療扶助は従来お話のようなことがありますので、昨年改正したわけであります。
  127. 徳安實藏

    徳安委員 要保護者の費用についてはかけ値はないと思いますけれども、こうしたことについて厚生省ははつきりした御監査なり、実態の調査はなさつておりましようか。
  128. 黒木利克

    ○黒木説明員 これは御案内のように生活保護法の実施機関は福祉事務所が全国に八百二十ございますが、県の保護課ないし厚生課に監査機構がございまして、実際の状況を常時監査をいたしております。それから私の方の社会局に監査室というのがございまして、福祉事務を常時監査いたしております。それから毎年十月に全国一斉調査というものをやりまして、被保護者の実態調査に当りまして、濫給付がなかつたかどうかというような調査をいたします。従来の調査によりますと、大体三分から四分程度の濫給付と申しますか、そういう事実がありまして、その都度是正をさせております。
  129. 徳安實藏

    徳安委員 あるいは本省にはわかつてないかもしれません、あるいは私どもの聞き違いがあるかもしれませんが、ほのかに聞くところによりますと、県の方で赤字財政のためにどうしても金のやりくりがつかない。国の方からは来ておるが、県負担のものは間に合わないということで、相当遅れて困つているところもあるやに聞いておりますが、そういうことのないように、この問題だけはほんとうに明日の生活の保障されていない方々の非常に困つている問題なのでございますから、どうかそういうだらしのないことのないように御注意願いたいと思うのであります。
  130. 安井大吉

    安井委員長代理 天野公義君。
  131. 天野公義

    天野委員 生活保護に関連して二、三お伺いしたいのですが、今のお話ですと、十月に一年に一ぺん全国一斉調査をするというお話でありますが、一体全国一斉調査というと、厚生省としてはどの程度調査なさるのか。全部が全部おそらく見切れないと思うのですが。
  132. 黒木利克

    ○黒木説明員 この一斉調査の方法は福祉事務所ごとに福祉主事というのが担当しておりますが、それが大体八十世帯ないし百世帯担当しております。その担当所帯を交代いたしまして、たとえばある世帯につきましてはAという福祉主事が従来担当しておつた。それを調査のときはBという別の福祉主事が一応見まして、お互いに監査し合うといいますか、そういうことを建前にいたしまして、それを適正にやつているかどうかを県の監査の方でやりまして、またそれについてのいろいろ監査指導を本省でやるというような方法でやつております。
  133. 天野公義

    天野委員 昨今いろいろ聞くところによりますと、この生活保護を受けている人たちはほんとうに困つておる方もあるでしようが、中には生活保護を受けておる状態からある程度脱出しているにもかかわらず、既得権のごとくこれを受けておるという状態が一つと、それからいつまでたつてもその状態から脱け出ようとする意欲なしに、生活保護を受けながら最低の生活に甘んじて徒食をしておるというような事態も各所に見受けられるのであります。こういう人たちが一応わくにはまつておりますから、今度新しく生活保護を受けるような段階に落ち込んだ人たちが、この中に入れないで非常な悲惨な目にあつているという状況も、多多聞いておるのでありますが、こういう点については一体どういう処置をとられましようか。
  134. 黒木利克

    ○黒木説明員 御指摘のように生活保護法の適用を受けておる人たちが惰民になると申しますか、あるいは職業化と申しましようか、いわゆる惰民なり、職業化するというような弊害が確かにございまして、これは日本においてのみならず、各国の社会保障につきまとう宿命だというふうにいわれておりますが、それを解決するためにいろいろ方法はありますが、生活保護法でも法律の規定に自立更生の援助をするという事項がございまして、方法として福祉主事という、われわれケース・ワーカーと申しておりますが、そういう新たに専門家の制度を置きまして、これに自立更生のためのいろいろな技能を訓練いたしまして、そういうふうな弊害を除去するようにやつておるのであります。御指摘のように、なかなか効果をすぐ上げるわけに参りませんので、遺憾な事態がときにはあるのでありますが、ただ私の方に福祉統計というのがございまして、これによりまして被保護者の開始、それから廃停止というものの調査をいたしております。それによりますと、大体七割程度が改廃止等、つまり異動しておるのでありまして、あと残りの二割程度の人、これは主として老人世帯並びに特に長期の病人、そういう人たちがいわば沈澱をしておる。こういうようなことがありますが、これは本来的な救恤を要する人たちで、ある程度はやむを得ないと思いますが、労働力があり自立の可能性がある者についてはできるだけ御指摘のようなことのないように今後も善処して参りたいと思います。
  135. 天野公義

    天野委員 そういうような点について十分御注意願いたい。  もう一点は第三国人に対してどれくらい支給されておりますか。
  136. 黒木利克

    ○黒木説明員 主として朝鮮人関係でありますが、現在六万人でございます。保護費にいたしますと、年間約十億円程度でございます。
  137. 天野公義

    天野委員 その第三国人は、生活保護を受けながらどういう状態にありますか。たとえば生活保護を受けて、ただ無為徒食をしている状態であるか、  さもなければ何か生業について働こうとしているけれども、それがいろいろな状況で生活保護を受けられない状況にあるのか、さもなければ東京の下町の方に行くと見られますように、生活保護を受けながらヒロポンをつくつたり、酒の密造をやつている。そうして何かあると暴力ざたを起す、こういうような状態が非常に多いように見受けられますが、こういう点についてはどういう御調査なつていますか。
  138. 黒木利克

    ○黒木説明員 在日第三国人の一割程度の者が保護を受けております。日本人で保護を受けている者が、人口の比率で大体二分二厘でございます。従つて相当な率になつておりまして、むしろ異常な率であるということで、われわれは真剣に調査をし、対策を練つております。ただ彼らの実情をいろいろ調査いたしてみますと、職場がない、特に雇つてくれない、あるいはたとえばどぶろくをつくるにいたしましても、すぐ手入れがある、それでただちに生活に困り、私の方に被保護者の申請に来る。私の方は、警察が治安の整理をした地区におきましては、十分な実体調査をいたしまして収入、資産あるいは扶養義務等を調べた上で、認定をしておりますが、ただ残念ながら、治安の及ばないあるいは十分でないような地帯におきまして、御指摘のような濫給という事態もあり得ると思います。しかしこれも治安の整理と相まちまして、法の厳正実施をやるということで、私の方だけで、いわば福祉主事だけでこういうような地区に対しまして、的確に実体を把握した上に実施をするという段階にまで至つていない点は確かにありまして、遺憾に存じておりますが、逐次改善されつつあると思  います。
  139. 天野公義

    天野委員 この問題は重大な問題でわりますので、ちよつと政務次官にお伺いしたいと思うのであります。日本人ですら二分二厘きり生活保護を受けておらない状況であるのに、第三国人でありながら一割も生活保護を受けている。しかも今のお話によると、的確に生活状態その他が把握されておらない状態で生活保護を受けている者がたくさんあるという。私どもの知つている範囲では、酒の密造をやつたり、ヒロポンをやつたり、置引をやつたり日本の社会に対していろいろ悪い影響を及ぼしている場面が非常に多い。特に犯罪を起しておるような場面も非常に多いわけであります。そういう者をわれわれ日本人の国税において、むろん向うの人たちもわれわれも税金を納めているというかもしれぬけれども、比率から言えばてんで問題にならないのでありまして、そういうような人たちをわれわれの方で扶養しなければならないのか、それに対する法的根拠はどうなのか、それからこういう問題に対して政府は一体どういうお考えを持つておいでになるのか、ひとつ明快なる御答弁をお願いいたしたい。
  140. 中山マサ

    ○中山政府委員 それは私もまことに憂えている問題の一つでございます。と申しますのは、今年の初めでございましたか、昨年の終りでございましたか、全国の朝鮮人の人たちが東京で大会をいたしております。そうして一部の人たちは文部省に行き、他の一隊は、ちようど五十人ばかりであつたかと存じますが、私の部屋に押しかけて参りました。その第一線に立つている人は、まるでフアツシヨン・ブツクから抜け出したようなすばらしいかつこうをした朝鮮の人たちでございました。私が記憶いたしますることをたどりますと、外務委員会で外人登録をやる当時でございましたが、そのときも、たしか林百郎さんであつたかと記憶いたしますが、共産党の人の紹介によりまして前の方に傍聴に来ておりました者の一人が、登録をするということに決定したことについて、委員会が終りましてから、非常に罵言讒謗をしたことを私は覚えております。その人たちの中におつた一人が、五十人ばかりの人、学生もございました、朝鮮人の学校の先生と称しておる人もおりました、子供もおりました、いろいろの階層の人を引連れて、私の室に押しかけて来たのであります。その言うところを聞きますと、日本人に対する生活扶助と、自分たち第三国人に対する生活の扶助とに差別待遇をしておるのじやないかといつて非常な意気込みでございます。決して差別待遇はしていないのだと私がしきりに説明をいたしましたけれども、これを聞き入れませず、あげくの果てにはわれわれは税金を納めておる。それにもかかわらずわれわれには投票権がないじやないか。まことに何と申しましようか、とんでもないことまで言い出して騒ぎ立てたのであります。私は、外人登録をした以上は、その国において投票権がないのは当然のことである。ハワイにおけるわが第二世が、朝鮮へ行つてまで命を捧げたにもかかわらず、いまだにアメリカの大統領選挙においてはその投票権がないのであるから、日本においてもまた外国人である場合には、投票権のないことは当然であるということを説明いたしましても聞きませずに、非常に騒いだのであります。一時間もそういうふうなことを言い立てておりました。こういう状態でございまして、考えてみますと、これだけのことを、しかもこの国のよくない経済、底の浅い経済状態におつてして行かなければならないということは、まことに遺憾と申しましようか、残念と申しましようか――李ラインの事柄が外務委員会においていろいろと問題になつたことを私は外務委員として記憶しております。そしてこういう朝鮮人に対する生活保障は打ち切るべきでないというような話のあつたことも記憶をいたしております。しかし外務大臣は日韓の会談についても、何とかして再開をして行かなければならないのだから、そういうことをすべきではないという発言をなすつたことを私は記憶をいたしておりますが、これは何とかして早急に外務省関係で、日韓会談を開催していただきまして、何とかそこで妥結策を講じていただいて、引取るべき人は引取つてもらう、そうしてお互いに親善の道を講じて行かなければならぬ。厚生省といたしましては、現在日本におります以上は、生活に困つております者を放置しておきますれば、結局はこれを監獄で養わなければならないということでございますから、生活補助費を与えるか、あるいは監獄で養うかという問題になるのじやなかろうかと私は考えるのでございます。でございますから厚生省としては、打つべき手は今ないのでございます。結局これは外交問題として解決の日を急いでもらうよりはかにないのではなかろうか、こう考えておる次第でございます。
  141. 天野公義

    天野委員 これはきわめて重大な問題でありまして、おそらく厚生省の方々はよく御存じだろうと思うのでありますが、昨今青少年が非常にヒロポンを打つて、ヒロポンによる中毒患者がふえておる、これが青少年の精神に及ぼす影響、また犯罪化に及ぼす影響というものは、きわめて重大なものがあると思うのです。ところが私の知つておる範囲においては、ヒロポンの製造業者というものはほとんど第三国人の朝鮮人であると言つても過言ではない状況にあるように承つております。ところがそのヒロポン製造業者は、一体どういうところで製造しておるかといいますと、これまた非常に恐るべきことで、御承知でありましようけれども、三畳なり四畳なりの小さなところで、アンプルを買つて来て、そうしてヒロポンをちよこちよことつくつて、これをまた同じ朝鮮人がかついで行つて、方々の裏の、やみの問屋に持つて行くというのが実情であります。従つてこういう生活保護を受けているような者たちが、おそらくヒロポンなどをつくつておる、そうして生活保護を受けながらあのヒロポンでまた金をもうけて、そうして日本の青少年の精神、肉体をだんだんと磨滅させて行くというような状況が各所に露呈されておるわけであります。従つてこの生活保護の監査というものを、ヒロポンの検査と同時に厳重におやりになるならば、ここに非常な実効が上るものであると私は確信をいたしておる次第でありますが、この第三国人の生活保護の問題は、ヒロポンの問題ともおそらくつながる問題でありますので、両々相まつて十分に厳重な監督をせられたい。また将来の問題としては、外交問題でありましようけれども、生活保護を受けるような第三国人は、すみやかに本国に帰つてもらうように、今のうちから十分腹をきめて御研究くださるようにお願いいたしたいのでありますが、この点について御所見を承りたいと思います。
  142. 中山マサ

    ○中山政府委員 私が週末に大阪に帰つておりましたところが、まだ東京の新聞では見ないようでありますが、十億円だけのものを――大阪の三つの薬品会社でございましたか、そこからヒロポンの原料十億円、恐ろしいお金でございますが、こういうものが全日本に流れたということを朝日新聞でしたか、毎日新聞でしたかが、月曜日の新聞であつたと思いますが、報道しておりました。これは実に恐るべきことでございまして、各方面から私のところに何とかしてヒロポンの問題を解決しろという声が、非常に高く参つておるのでございます。何とかして厚生省といたしましても、これを解決しなければならぬということで、非常に苦心をいたしておるのでございますが、何しろヒロポンというようなものは外から見ても、一升びんに入れて持ち運べば、水とほとんどかわらない状態をしているので、それがヒロポンであるかどうかわからない。仰せの通り朝鮮の人たちによりまして、これが運ばれておる。恐ろしいことには、喫茶店などにはそれを一つのお客を引くところの道具に使つておる喫茶店もある。そこに参りますと結局ヒロポンが打てるということで、そういうものを喫茶店の客引きの材料に使つておるようなものもあるということを私は聞きまして、これは非常に憂えておるのであります。私も日本の警察がもう少し何してもらいたいと思います。それで今後私どもといたしましても、この問題はしつかり考えまして、何とか手を打つて行きたいと思つております。ことに第三国人によりましてこういう害毒が流されるということは、民族として憂えなければならないことだと思つております。
  143. 安井大吉

    安井委員長代理 中山政務次官は、予算委員会で四時ちよつと過ぎから待つておりますので、なるべく次官に対する質問をお願いいたします。
  144. 徳安實藏

    徳安委員 私は実は政務次官にお伺いしたいと思うのですが、時間がないから適当なときに譲ることにいたします。  それではきわめて簡単にもう一つ伺いたいのですが、国民健康保険助成に関する費用の問題でありますが、これに対する保険者の事業所の補助、それから保健婦の人件費、こういうもの等の算定基礎をひとつ承りたいと思います。――政務次官に御質問がある方があれば、そちらを先にやつていただいて、私に対する答弁あとでけつこうです。
  145. 安井大吉

    安井委員長代理 それじや答弁の方をしつかりするようにしておいてください。それでは片島君。
  146. 片島港

    ○片島委員 大臣がお見えになつたら大臣にお聞きしたいと思つたのですが、次官に御所見を承つておきたいと思います。  厚生省の予算というのは、言うまでもなく社会保障的な行政支出が非常に多いのでありまして、一項目についての金額はほかの省からいたしますと少額でありますが、不当批難事項の数がほかの省に比べて非常に多いように見受けるのであります。一項目についての金額は少くても、社会保障的な経費は、その恩恵を受ける対象というものが非常に困つた階層に多いのであります。それがこのように非常に多くの不当批難事項を出しているということは、この予算の支出にあたつて、そのときの政府の方針で、予算の額が多いほどいいにはいいけれども、またしぼればいいくらでもしぼれるというような性質であるために、どうも支出についての監査が少し不十分であるのではないか。ここに経理の紊乱について指摘がされているのでありますが、むしろ私はこの監査についても非常に紊乱しているのじやなかろうかと思うのであります。こういう重要な、中山政務次官が職を賭してまで闘つて非常に復活されている厚生省の予算でありますが、それがこういうふうな不当事項が多くの項目にわかれて出て来るということは、これはまことに遺憾なことであると思うのであります。厚生省の予算の性質からいつて、部内としてもう少し会計検査院から指摘をされる前に何らかの方法を講じて、事前にこういうふうな批難事項が起らないような方法を講ずべきであると思うのでありますが、中山政務次官はその点についてどういうふうにお考えになつておられるか、お伺いしたい。
  147. 中山マサ

    ○中山政府委員 お説まことにごもつともなことでございます。いつぞやは、まるで蚊の涙ほどの予算をもらつて厚生省は配分しているじやないかというような御同情あるお言葉を、私の記憶が正しければ奈良の左派の先生に私は伺つたように思つているのであります。何とかして予算をとりたいということだけで努力して参つたのでございますが、こういうふうな哀れな人たちに対して出すべき金が、それを処置されるお方々によりましてこういう不当なことになつているということはまことに残念で、大臣初め私どもまことに不行届きを残念に存じておる次第でございます。これは聞きますと厚生省だけではございませんで、約二千七百件くらい各省にわたりましてこういうふうなことがある、そのお金も全体で約百三十二億のものがこういうふうな紊乱状態、横領したとかいうようなことも私は聞いているのでございます。それで私はこういうお尋ねがあるのではなかろうかと思つて、心づもりで参つたのでございますが、これは私からひとつ議員の皆様にお願いを申したいのでございますが、会計検査院法というのは、こういうものが出て参りました場合にはこれを法務省でございますか、どこかに通告し放しだそうです。それでこの法律は事足りることになつているそうでございますが、私は願わくはこういう法をひとつ改正していただきまして、これを厳罰に処する。ことに哀れな人に行くべき金をごまかしたり――私もゆうべ読んだのでございますが、相当な数に上つているのでございます。こういう人はほかの者よりも特に刑罰を重くして、こういうことがまたと再び起らないような法律の改正にひとつ持つて行くべきではなかろうかと私は考えておるような次第でございます。もちろん監督不行届きもございますが、やはり法律にも一つの欠陥があるのではなかろうかということを聞かされておりまして、これは何とかしなければならぬ、国会の動きによりましてこういう法律の改正をぜひ実現していただきたいということを、これは私の方から希望をいたしておく次第でございます。まことに残念に存じます。
  148. 片島港

    ○片島委員 私の希望を申し上げておきますが、予算を獲得するときにだけ真剣になる。厚生省は毎年予算査定が非常にきびしいので、大臣以下非常な御苦労をなすつて確保せられておる。橋本大臣のごとき、予算がうまく行かないのでみずから職を賭した前例まであるのであります。そうして一方決算になるとこのようなことが出て来る。これは厚生省自体としては、取るだけでなく使うときの方法をもう少し検討していただきますように、大臣がおいでにならぬので特に政務次官にお願いを申し上げます。
  149. 安井大吉

    安井委員長代理 柴田君。
  150. 柴田義男

    柴田委員 次官にお尋ねします。昭和二十六年の四百八十六号に、国立大阪病院及び長野分院で入院患者から入院料の前納金をとつておるという例が指摘されておりますが、こういう例は全国的にあるのでございましようか。
  151. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 二件か三件だけでございます。
  152. 柴田義男

    柴田委員 このような例が特定なものといたしますならば、今後是正していただきたいと思います。なおこういうことから生じた問題として、これを普通の市中銀行に預金をしておつて、かつてにこれを利用しておつたことが指摘されておるのです。こういうことが今後絶対にないように御処断を願いたいと思いますが、次官の御所見を承つておきます。
  153. 中山マサ

    ○中山政府委員 人間というものはまことにかつてなものでございまして、病気のひどいときには非常に苦しいので、治つてから納めるということが当然でございましようけれども、この病気が少し治ると中途でかつてに出て行つてしまつてそのお礼をしないといつた例が相当ございました関係上、先金をとつたということになるのでございます。これはほかの商売でもよくあることでございまして、たとえば弁護士でしたら着手金を十分とつておかないと、その報酬を与えないで逃げる人がたくさんあるのでございます。そういうことがございましたために、この大阪の病院では先金をとるという一つの変態の状態を呈したのではなかろうかと思いますが、これが正常なやり方ではないということは御指摘通りだと存じますので、こういうことがないように以後注意させていただきたいと思つております。
  154. 安井大吉

    安井委員長代理 私からも……。私は今の片島さんの質問と同じように、厚生省の予算というのはきちきちに使われて、むだがないと思つてつた。ところが非常に多い。なかんずくその一例として水道工事、下水工事補助金の超が千万円、返納すべきものが百八十万とか書いてある。聞くところによれば、厚生省の水道管轄事業は、今は共管になつているが、これは建設省へ移すべきだというので、小委員会を開いてやつているそうですが、何ゆえに厚生省はそういうふうにとろうとしておるのか。厚生省には水道に関する権威者がいるのかいないのか、人が足りぬのか。今の不当事項として列挙されたのを見ると、なるほど一本やられる点がある。現在の次官としては、あるいは清掃法案あるいは厚生年金と新しい法律をたくさんお出しになり予算もおとりになつて、たいへんお骨折りになつておりますが、不当の事項とからんで水道の問題をどうお考えになつているか、伺いたい。
  155. 中山マサ

    ○中山政府委員 この水道の問題は、建設省と厚生省とでわかれわかれになつておりまして、地方から陳情に見える方でも二箇所に行かなければならないというようなこともありまして、陳情者に太しても御迷惑をおかけしておることが再々あるのであります。建設省に持つて行くべきではないかとか、あるいは厚生省でとるべきではないかというような問題も起りまして、建設委員会ではこの問題で小委員会もおできになつておるようでありますが、建設省というところは建設としたらいいのではなかろうか。学校なんか建てるについても、いろいろな問題についても、建設省がみなとつてしまわなければならぬという結果になるのではなかろうかと思うのであります。厚生省が水道などの問題につきましては企画をし、そうして建設省が建設をなすつたらいいのではないかと私見として考えておるのでございますが、いろいろ今御指摘なりましたような件が出ておりましておしかりを受けておりますが、これは建設省でやつたらいいのではなかろうか。しかしまた建設省の方にまかせましても、こういうことがないという断言はできないのではなかろうか。そこで私といたしましては、建設省は厚生省の水道部で企画したことの建設だけをなすつたらいい。それでこういう欠点があります場合には私どもが反省をいたしまして、監督を厳にいたしまして、こういうことがないように努力して行つたらそれでいい。これがあるから建設省へ渡せという議論は、少し了承いたしかねる。こう考えております。
  156. 安井大吉

    安井委員長代理 それでは元にもどります。徳安君。
  157. 徳安實藏

    徳安委員 先ほどお尋ねいたしましたのはわかりましたか。
  158. 久下勝次

    ○久下政府委員 私からお答え申し上げます。手元に精細な牧字を持つて来ておりませんでしたので、ちよつと手間がかかりまして恐縮でございますが、国民健康保険に対します事務費の補助は、予算上は被保険者一人当り六十二円七十銭ということになつております。これは前年度と同額であります。これを被保険者予定の総数二千七百余万人に乗じました十七億一千万円というのが予算総額になつております。なお六十二円七十銭の内部の構成でありますが、そのうちおもなものは人件費でありまして、その中に約八円五十銭ほどの事務上必要な物件費を含んでおります。実際の補助金の配分にあたりましては、保険を実施しております各市町村その他から申請をとりまして、予算の範囲で許す限りは、これは予算上の単価でありますが、実績でそれよりも単価が上まわりましても、必要と認めましたものは極力出すようにいたしております。  それからもう一つの保健婦の補助金でありますが、保健婦一人当りの給与年額を八万三千六百円と見ます。それに一人当りの旅費、年額五千円を加えまして、その総額八万八千六百円の三分の一相当額を補助するということになつておる次第でございます。
  159. 徳安實藏

    徳安委員 これは大阪とか、東京とか、あるいは青森県とか、山形県とかいう地域によつての差はないのでありますか。
  160. 久下勝次

    ○久下政府委員 先ほども申し上げましたように、地域的な差は特別につけておらないのであります。実際の補助金交付にあたりましては、保険をやつております主として市町村でございまするが、そういうところから事務に要すべき費用の申請をとりまして、そうして予算総額の許す範囲内におきまして、必要と認めまする金額を出しておりまするから、地域的な差等を特に設けておるわけではございませんが、結果におきまして地域的の差が出て来るということに相なつております。
  161. 徳安實藏

    徳安委員 それでこの各市町村に対するわけ方がきまるわけなんですが、それは県だけにわかりまして、市町村にもわかるようになつておりますか。
  162. 久下勝次

    ○久下政府委員 県は経由だけでございますので、補助金支払いは全部県を通じて直接市町村に参りますから、わかるわけでございます。
  163. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、金も国の方で決定いたしました金額は、まるまる各市町村に参るということになりますね。
  164. 久下勝次

    ○久下政府委員 今申しましたように佃助金は府県を通して直接市町村あてに参ります。保健所あてに参ります。その通り参ることになつております。
  165. 徳安實藏

    徳安委員 そうだとすればまことにけつこうだと思いますが、私どもちよいちよい聞きますと、保健婦等に対する一人当りの算定の基礎というものが非常に安いので、あるいは全額もらえると思つてつたものが全額もらつていないから、県の方で少しピンはねしているのではないかということを考える人もあるのじやないか、こう実は今想像するわけでありますが、これは県で一まとめにやられて、そうして連合会とか何とかいうものがこれに関与して、幾分その中からこの連合会などが費用を使つておるというようなうわさもありまするが、そういうことは絶対にございませんか。
  166. 久下勝次

    ○久下政府委員 指令のやり方が、先ほど申しましたように、個々の市町村に対しましてあらかじめ補助予定額を内示いたしまして、さらに精細に調べました結果、具体的に指令書を出しております。これは個々の保健所あてに出しておりまするので、途中でピンはねをするというようなことはできないはずでございます。
  167. 徳安實藏

    徳安委員 それではまことにけつこうだと思いますが、私どもがちよつと聞きますと、そういうようなうわさもちよいちよい聞くのでありますから、そういうような方法をちよつとお聞きしたわけなんです。そうしますとこの金は市町村にじかに国の方から参るのでありますか。
  168. 久下勝次

    ○久下政府委員 県を通じてやることにしております。ただ県を通じますが、県あてに一括して出すのではございませんで、内容は個々の市町村にあてたものを県を通じてやつております。
  169. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、くどいようですが、かりに青森県には金を交付する対象の町村が幾つある、それを総計したものを一億円なら一億円として内訳をしてやるのですか。あるいは各町村にちやんと名あてにして、そうしてもうこちらの方で送金する取次を頼んだだけで、小切手なとばみな町村あての小切手にでもなつておるのでずか。
  170. 久下勝次

    ○久下政府委員 先ほど申し上げましたように、個々の市町村ごとに内訳をつくりましたものを、個々の市町村にあてた指令の形で出しておるわけであります。おそらくそういうふうなお尋ねのような問題が出ますのは、過去におきまして各県が市町村あての補助金を一応予算に受入れまして、そうして自分の県で補助金をつけ加えて出すというようなことをやつてつたところが一、二ございます。現に実は最近でございますが、北海道庁からぜひそういうふうなことを認めてくれというような書面が参つたことがございますが、これは会計法上許されることでもございませんので――北海道庁としましては、自分の方で個々の保健所に対しまして補助金をつけ加えてやるのに便宜であるから、一応自分たちの方の道の予算に受入れることを認めてくれという伺いを出したことがございますが、これも制度上許されることではございませんので、私どもとしてはそういうこともいかぬというふうにして、予算に受入れることなしに、直接その金を市町村に交付するようにさせておるのでございます。
  171. 徳安實藏

    徳安委員 この療養給付費の二〇%、これの最後のしめは生活保護法によつて出された金と同様の方法によつてお出しになつておるのでございますか。これもやはり増減があると思いますが……。
  172. 久下勝次

    ○久下政府委員 療養給付費の二割補助につきましては、実は全国的な必要療養給付費を積算いたしまして、その二割相当額を予算にとつておるわけでございます。ところが実際に配分をいたします場合には、各保険者の使いました療養給付費そのままをとりまして、その二割相当額をやるということでなしに、保険料の徴収成績でございまするとか、あるいは各市町村の財政の状態によりまする部分とか、あるいは各市町村の個々の被保険者に対する保険料負担の高下によりましてやりまして、最後に療養給付費に対して、そのものずばりで一定の率で出すというような四つの要素を加味いたしまして、これは結局結果におきまして、非常に努力をいたしましてもその地方の財政状態が悪いために国民保険としては成績の上つていないところもあるわけでございます。そういうようなところに公平に参りますように配分をいたしております。従いまして結果におきましては二割とは言つておりますが、一割程度のものから、多いところには、療養給付費だけで見ますると、三割程度つておる部分もあるように思います。そういうふうに内容的には実質的な公平を期待いたしまして配分をいたしておるわけであります。配分をいたしました金を必ず療養給付費に使え、ほかのものに使つてはならないというような、頭としつぽの方は療養給付費というように確実にいたしておりますが、配分の基準をきめまする場合には、ただいま申し上げました四つの要素を考慮いたしまして、一応実質的に公平な配分をするという建前をとつておるわけでございます。
  173. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、一割のもあれば二割越えるものもあるというようなことですが、そうしたものについての各府県別の資料は御提出願えますか。
  174. 久下勝次

    ○久下政府委員 全体のものになりますと非常に厖大になりまするが、何分にも五千幾つという市町村から個々に出て参りまする資料でございますので、二、三の資料でよろしゆうございましたならば、提出いたしたいと思いますが、その程度でいかがでございましようか。
  175. 徳安實藏

    徳安委員 それでは各府県に個々の市町村の別がありましようが、府県の総体的なものの資料はできまずか。それをひとつ資料としていただけますか。
  176. 久下勝次

    ○久下政府委員 昭和二十八年度に配分した補助金について、府県別にそれぞれの総額を記載したものを提出いたします。
  177. 徳安實藏

    徳安委員 それを、できますれば何割というパーセンテージを提示していただればけつこうだと思います。と申しますことは、結局国の方から非常に出ておりましても、批難事項のほかの役所のところにもありますが、末端に行きますと涙の出るようなところがあるのです。農林省あたりのものを見ますと、上の方ではうんと補助を出しておいて、下の方のほんとうの単位組合に行くと非常にだらしがなく、ほんとうに一生懸命やつたところはほんのわずかもらつて、中間のものがうんと金をもらつておるというようなところもございますし、今お話のように、一割のものもあれば、二割のものもあり、三割のものもあるということになりますと、その間に非常に揣摩臆測が行われまして、少い方は、二割出ておるはずなのに一割しかもらわないと言うでしようし、たくさんもらつた者は黙つておるというようなことになりますので、不平不満があるわけでありますから、そういう点について納得が行くように御説明が願えれば非常に幸いであります。  もう一つ伺いたいと思いますが、身体障害者の補助費でありますが、これは県のこうした事業を助成するために、身体障害者の数等に応じて幾ばくかの金をやるというふうな方法もこの金額に加わつておりますでしようか、全然そういう金というものは県には参つておりませんか、伺いたいと思います。
  178. 松本征二

    ○松本説明員 お答え申します。身体障害者に関しまする装具でありますとか、あるいは更生医療とかいうようなものにつきましては、県あるいは市というものを通しましてそれぞれ配付いたします。国から八割補助をいたしまして、地方で二割を負担しておる。そのほか県及び市で活動いたしまする事務費というものが出ておるわけであります。大体そういうような仕組みになつております。
  179. 徳安實藏

    徳安委員 国の方から出されました金の使途に対しては、国の会計検査院も調べておられるでしようが、厚生省の方でも現地の監査というものをおやりになつておられますか。
  180. 松本征二

    ○松本説明員 監査費をとつておりますので、十分とは参りませんけれども、極力監査をいたしております。
  181. 徳安實藏

    徳安委員 これも私どもも的確なものを持つておるわけではありませんが、やはり国からは二百万円も来たのに、身体障害者の方の関係にはそれを全額使わなくて、とんでもない方にその金が使われておるというようなことを身体障害者の組合、あるいは連合会等からちよいちよい聞くことがあるのであります。これもおそらく根拠のないことだろうと思います。ひがみ根性だろうと思いますが、やはりこうした点については、こうした世の中の不幸な人に与えるものでありますから、不平、不満のないように十分監督をなさいまして、その金がかりそめにも横道に流れましたり、他の方に流用されることのないように、県によりましては、ずるい県はそういうことをするのではないかということも、ほかの案件を通じまして考えるものでありますから、特にお願いするわけであります。こうした金はもらう方から見ると、ほんとうに涙を流していただいておるが、そうしたことによつて受ける恩恵でありますから、どうぞ厚生省の方においても間違いのないように十分ひとつ監査していただいて、今後県でわがままかつてなことをしないように御注意を願いたいと思います。
  182. 安井大吉

    安井委員長代理 片島港君。
  183. 片島港

    ○片島委員 二、三さきに引続いてお尋ねしたいと思いますが、四七一の「建築工事を請け負わせるに当り処置当を得ないもの」というのでありまするが、会計検査院では「会計法規の趣旨に反するばかりでなく指名競争契約の実を失したものである。」という程度で結んでおるのであります。会計検査院にお尋ねしますけれども、こういうことをやつてこれは実を失したものだという程度で放置しておいてよろしいものであるかどうか、実はまた今後もこういうことで指名競争入札ということになる場合には、当然その指名を受ける競争者はそれぞれ相当の資格を持ち、実績を持つた人ばかりを選んで競争させるのでありますから、おそらく同じくらいの信用、あるいは同じくらいの実績を持つた人々がこの競争に参加するのでありまして、競争をした結果、やはり安い方に落札するというのが当然であると思います。そうしますと、わざわざこの二千八百万円という予定価格、それに十分の九という最低制限価格をきめて、かつてに二千四百八十万円で落札した間組に落さないで、自分たちが最低限を引いた、その線に近いからといつて百二十一万円も高い方に落札するということは、この趣旨に反し、競争契約の実を失したという、その程度でこれは放任しておいていいものであるかどうか、会計法規上から私はお伺いしたい。それからこの責任者は厚生省の方としては遺憾であるという御説明があつたのでありますが、遺憾のままにしてあるものでありますか。あるいは何か処分をせられたものでありますか。両当局にお伺いをいたします。
  184. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 会計法規からは、最低制限価格をつけてよいか悪いか書いてはありませんけれども、当然競争入札でありますから制限をつけるのはよろしくない。こういうふうに一応考えたのであります。ここに書いてあります指名競争契約の実を失したというのは、競争契約をやるのに特定契約をするようなことであるならば意味がないじやないかということで、私の方としてはどこまでも最低入札者と契約すべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。ところがそれに反してやられた場合に、その契約ははたして有効か無効か、こういうことになつて参りますと、やはり支払い関係その他は、支払わなければならないものだろうと思いますが、今後についてはこういうことの絶対にないように厚生省にやつていただくほかにしかたがないと考えております。
  185. 片島港

    ○片島委員 あなたの方からはそういうふうにやつていただくよりしかたがないというお話でありますが、これは何も厚生省だけに限らぬ問題だと思う。他の省にもあるかもしれませんが、そういう場合にあなたの方はただそういう指摘をするだけの権限でどうにもならぬ、それだけのことでありますか。
  186. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 指摘するだけで、この契約がすぐ無効だというわけには参りません。そういう意味からすれば指摘するだけ、こういうことになりますが、おそらくこういうふうに指摘いたしますれば、厚生省としては今後についてはこういうやり方はやられないという方向で進んで行かれるであろう、こういうふうに考えます。
  187. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 当時の責任者はそれぞれ大臣から厳重な注意をいたしました。なおただいまおあげになりました点には、厚生省としては会計検査院の御指摘もございましたし、かようなことは今後はもちろんいたさないつもりであります。
  188. 片島港

    ○片島委員 いろいろな説明書を見ますと、たいがい厳重に注意した、厳重に注意したとずつとなつておるのでありますが、これはやはり何らか相当の行政的な措置を講じなければ、ただ注意するだけでは厳重であつたか、軽かつたか、どの程度でやつたかわからぬ。ただ注意でありますから、今後注意せよ、はい注意しますというような程度では済まされぬことではないかと思うのです。  そこで次の病院収入の取扱い等の経理当を得ないもの、あるいは経理の紊乱しておるもの等が指摘をせられておるのでありますが、一体国立病院の経理というものはどういうふうな経理をやつておられるのであるか。またそれに対して厚生省としてはどういうふうな会計監督をやつておられるか。会計検査院が措摘をして初めてわかるのではなくして、当然内部において国立病院の経理状況というものは把握しておられるであろうし、また把握する行政上の組織がちやんとできておるのであろうと思いますが、それはときどき厚生省本省の方から出かけて帳簿を見るという程度のものであるか、あるいは日報でなくしても、旬報か月報か、そういうふうな形においてか、各病院の経理状態がいつでも把握できるようなことになつておるのかどうか。ここに指摘せられておりますのは相当長い期間にわたつて取扱い当を得ぬままに放置せられておつたのでありますし、それから経理の紊乱しておるものの場合でも一、二、三と非常に手の混んだ、ややこしいやり方を、よく計算はしておりませんが、相当の期間というものやつておるのにかかわらず、厚生省としては会計検査院から指摘せられるまでわからないという状態であつた、こういうことになつておりますか、その点を御説明願いたい。
  189. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 長期間にわたつてわかりませんでしたことは、まことに遺憾千万に存じております。一般的に申しますと、全国にありますところの医務出張所が各病院の監督に当つております。それから本省からももちろん参ります。回数は何回ぐらいになるかちよつとはつきり見当がつきませんが、実際に参りまして経理帳簿を当ることはもちろん、請求書その他あらゆる角度から、できるだけのことをついて参るわけであります。ただその間監査に参りました者の能力なりなりのいかんによりまして、十分つくべきところをついていなかつたというふうな問題がありますことは、ただいまお話通りまことに遺憾でありますが、病院等につきましては必ずしも会計検査院が御指摘なりまして初めて全部が発見されておるというものだけではございませんで、われわれの方で発見いたしました事例ももちろんありました。それらはそれぞれ検査しております。全部の事例につきまして言つた場合に、この種のものにつきましてすべてその場ですぐわかるというふうな、いわば眼光紙背に徹するとでも申しますか、それだけの力があればよろしゆうございますが、事柄によりましてはなかなかわからないというものもありまして、ただいま仰せのような事態なつておりますことはまことに申訳ないと思います。
  190. 片島港

    ○片島委員 そういたしますと、各国立病院における会計というのはその病院ごとに会計をやつておるのであつて、たまたま医務出張所あるいは本省から行つたときに検査をする程度で、国立病院の方から医務出張所なりあるいは本省の方に、会計上の経理状況がわかるような報告とかいつたようなことはやつておられないのかどうか。
  191. 高田浩運

    ○高田説明員 ただいま会計課長から御説明がありましたように、極力出張所を通じあるいは本省が直接監査をやつておりますが、同時に各病院、療養所から定期的に経理報告をとりまして、これについて適正に行われているかどうかということを検討をいたして適宜必要な指示をする、そういうふうな建前をとつております。先ほどお話のようにあまたの事項批難事項としてあがつて来ておりますことは、われわれとして非常に残念であり、かつ遺憾に思つておる次第でございます。会計検査院の御注意等もありまして、鋭意今申し上げましたような監査に努力をいたしまして、二十六年度におきましてはこれだけの数があがつておりますけれども、二十七年度におきましてはごらんの通り、幸いにしてそういうような好ましからざることがあがつていないようなことでもございますし、着々向上の実績を示しておるものと確信いたしておる次第でございます。
  192. 片島港

    ○片島委員 時間がありませんので、もう一つだけ補助金の問題についてお伺いしたいのでありますが、厚生省関係補助しておられる補助金が不当に使用されておる、あるいは各府県における予算が少いために補助金が超過になつておるという事例が相当あるのでありますが、これは当然返納すべきものというふうにここに指摘をされておりますが、こういういわゆる補助金で返納をすべきものは着々返納をせられておるものでありますか、また返納しないものに対してはどういうような措置を講じておられるものでありますか、その点を伺います。
  193. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 検査院から御指摘がありますれば当然詳細に調べまして、正確な金額が出ますから、補助返還指令を出します。着々返還いたしております。それからお話のように返還が遅れておるものもございます。これらにつきましては数回督促をやつておりますし、主管部局、厚生省で申しますならばあるいは府県の民生部でございますとか、衛生部でございますとか、そこを通じましてまずやつております。そこで民生部なり衛生部は府県の出納長といいますか、財務当局に盛んに言うわけでありますが、ざつくばらんに申しますと、返還の金を府県の予算に組まなければ府県としても実は支出ができないわけでございます。そこでそれを組みますのは府県の議会で執行当局が非常に怒られるわけでございます。そこで遅れておるというのが実情らしゆうございます。そこでわれわれの方としてはやむを得ぬものですから、そういう場合には強硬に概算払いをせぬ、今まで普通の補助金につきましては一応概算払いをやつておりますが、それをよこさぬなら概算払いをしないということで、ただいま強力に進めております。なお今回出ます補助金の執行の適正に関する法律等も相当厳格なる内容をもつて臨むことになつておりますので、間もなくこれは解決する、こう存じております。主管部局等におきましては当然その点はわかつておりますので、返還すべきものと心得て、府県内部におきましても十分その点は財務当局と折衝しておるというふうな、ざつくばらんな実情でございます。
  194. 安井大吉

    安井委員長代理 柴田君。
  195. 柴田義男

    柴田委員 最後の三分くらいしかなくなつたので簡単に一つだけ伺つておきますが、昭和二十六年度の健康保険と厚生年金の保険料が徴収ができなかつたというのが指摘されておりますが、その場合に二十六年度は一事項五万円以上のものの府県をここに列挙しておりまするし、二十七年度の場合は十万円以上をここに列挙しておる、これが五万円以上の場合で、たとえば二十六年度は一千二百九十八万六千円余でございます。それから二十七年度は十万円以上を集計いたしまして三千三百二十六万二千余円でございます。そういたしますると二十七年度の五万円以上を集計いたしまするならば、おそらくこの金額から大分上まわるであろうということが想像されますが、現実に保険料が未収になつておるのが現在二十六年、七年あるいは二十五年度もございましようが、全体の金額でどのくらいあるのか。もう一つはこの問題で会計検査院から指摘をされているところを拝見いたしますると、保険料の算定の基礎がはつきりしないというようなことと、それから事業主等の調査またはその他の関係機関との連絡が不十分であつたことも指摘されておりますが、こういう事務的な能率というのは各府県への厚生省からの支所と申しましようか、どういう形において各府県にこれを配置してこれらの徴収に当つておるのか、こういう点を承りたい。
  196. 久下勝次

    ○久下政府委員 まず保険料の徴収未済のものにつきまして御指摘を受けておりますことを御説明申し上げます。この問題は実は健康保険、厚生年金保険、船員保険というような私の方で取扱つておりまする保険につきましては、それぞれ実質賃金を標準報酬というような事務上の便宜のために設けました基準的な等級にわけております。これは建前といたしましては、法律に基きましてこの適用のある事業所の事業主が、自分の使つておりますところの被用者の給与を届け出るとか、その届出に基きまして何級に属するというような標準報酬を決定いたしておるわけであります。本来ならこれは個々について給与簿等を実地を調べるのがほんとうでございますけれども、実際問題といたしましては厚生年金保険七百五十万、事業所の数にいたしましても二十三万ほどになつております。政府官署の健康保険が約四百万の被保険者をかかえている、船員保険が十五万の被保険者をかかえておる、これらの多数の被保険者、またそれをかかえておる事業所につきまして、全国で保険関係職員一切を含めましても五千人でございます。五千人の者はそうした保険料の徴収の面を担当いたしておりまするし、また保険の給付の仕事もやつておりますし、国民健康保険の指導等にも関係をしておるわけでありますので、今正確に申し上げられませんが、その徴収関係の者はごく一部分でございます。そこで打明けて申し上げますと、給与の実額の調査ということが、個々の場合に実地について調べるということは現在の事務能力をもつていたしましては不可能でございます。その結果会計検査院が実際に事業所についてお調べになつていただきますると、実質賃金とそれを現わす標準というものによつて保険料を徴収すべきものについては、実質賃金に合つている標準報酬がきまらないというようなことによつて、保険料の徴収が未済になつているというような結果になつておるわけでございます。問題はそういうところがあるのでありまして、私どももこの点は何とか是正をいたしたいと思いまして、従来から毎年八月には標準報酬適確化月間というものを設けまして、そのときにはほかの仕事を放棄しましても、標準報酬の適正化に努力をさせております。相当の実績をあげているつもりでございます。なお報酬のかわります都度、あるいは被用者を雇い入れたり解雇したりする都度、事業主が届出をすることになつていますが、その点必ずしも十分に参つていないことは申訳ないと思います。それらのものが御指摘を受けましたように、相当多額の保険料の未収になつております。私どもは御指摘を受けましたものにつきましては、もちろんでありますが、私どもが実調をいたしまして明らかになりましたものにつきましては、保険料の追徴をいたしております。十分厳重にやつておるつもりでございまするが、事務能力の点から必ずしも完全に参つていないのは遺憾に存じます。なお保険料の徴収未済の額につきましては、二十六年度分が現在のところ全部徴収済みでございます。その後のものにつきましては、大体保険料調定額の九三%程度は年度末決算期に年度分の徴収をいたしております。その後まだ徴収を続けておりますので、終局的に全然徴収ができなくなるようなものは、総額の一、二パーセントにすぎないものと考えております。これも時が参りまして、不納欠損に落しますもの以外は法令に基きまして督促をし、徴収を続けて参るつもりでございます。
  197. 柴田義男

    柴田委員 もう一点。そうしますと二十六年度は五万円以上で計算をされ、二十七年度は十万円以上と見たのでございますが、実際の総体の未徴収の額というものは大体どのくらいあるのでしようか。私は今の中小企業の行き詰まりの状況を知つているのですから、何も厳重にこれを徴収すべきだということを申し上げるのでなしに、大体どのくらいの標準で未徴収のものがあるのか、金額を承つておくだけです。
  198. 久下勝次

    ○久下政府委員 私どもの方で、普通の場合に調定をいたしましたものにつきましては、先ほど申しましたように、保険料総額が大体最近の数字では三百五十億ぐらいになつております。これは健康保険だけの例でございます。そうするとそのうちの九三%余が大体年度末決算期に徴収済みになる、その後徴収を続けまして、その三百五十億の一、二パーセントがまだその一年ぐらいでは残つておる、だんだん徴収いたし督促もして参りますから、先ほど申し上げたように二十六年度の分につきましては、今徴収未済のものはないという数字になつておるわけでございます。二十七年度はまだ徴収を続けておりますから、若干は残つておると思いますが、今日現在の徴収分は正確にわかつておりません。  なお御指摘の二十七年度の会計検査院指摘分の三千三百万円の金額につきましては、そのうち二千六、七百万円は現在徴収済みになつております。二月末現在でそういう数字でございます。
  199. 安井大吉

    安井委員長代理 本日はこの程度とし、次会は明十五日午後一時から農林省所管のうち、食糧庁関係について審議いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十四分散会