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平田政府委員 まず最初に申し上げておきますが、重ねてになりますが、やはり
税務署がまず信用をとりもどさなければいかぬ、従いましてみずからの
内部の不正をなくするのが何よりも一番大事である、こういう意味で、
架空経理を絶対なくするように努めております。それから
内部の使込み等の不正に対しましては監察官という制度がございますが、この監察官をどしどし今お話になりましたような
方針で働かせまして、不正があれば摘発する、できるだけ不正がないような事務のやり方をやりまして対処する。それで
徴収によく不正が多いのでございますが、これにつきまして昨年度から
内部事務に関する
一つの組織事務規程という厳重なものをつくりまして、それを厳正に守らせることでや
つております。そうしますと非常に容易にチエツクできる。しかしそれでも
ほんとうに悪いことをしようという者はなかなか防げません。そういう者に対しましては監察宜を大いに活用いたしまして、不正は何としても早く払拭しなければならぬということを
考えておりますので、その点非常にかたい決意でや
つておるということを、この機会に重ねて申し上げておきたいと思います。
それからその次は
課税漏れの点でありますが、率直に申し上げましてこれも非常に多いので、御
指摘の
通りまことにどうも恐縮に思
つておるわけでありますが、その際にただいまのお話では、小さいものばかりいじめていやしないかというようなことでありましたが、この点はやはり
国税庁の
方針といたしましては、まず大きなものから何事も力を人れてやるということは、すべてに通じまして
原則にしておるわけでございます。ただしかし大きなものだけや
つて、あとそのまま適当にや
つておくというわけにも行きませんので、その方面におきましてもそれぞれ必要な
調査をいたしまして必要な措置をとる。全体としてできるだけ実効の行くものを中心にいたしまして、全体として税務行政の能率が上
つて行くように実はや
つておるわけでございまして、この点は大体におきましてお話のような
気持で行くように努めておるわけであります。なお今どこかの
事件を御
指摘でございましたが、たしかあの
ケースは徴税の方ではなか
つたかと思
つております。私
ども少し
注意して調べてみたのでございますが、幸いにしまして、そういう
ケースは私の方の
税務署ではなか
つたようでございます。
それから今
会計検査院が御
指摘にな
つております事項は、ま
つたくその
通りでございまして、
指摘を受けて直しております。これはこの前も私
どもも非常に重大問題として取上げまして、ことしは特にこの問題を大きく取上げまして、監察官を中心に、この問題をどううまく解決して行くか取上げてみたいというので、先般会議を開きまして、この問題だけを取上げまして特別
議題にして、会議をしてみたわけでございます。そういたしますと、やはり
内部の
仕事のやり方にいろいろ
改善しなければならぬ点がある。と申しますのは、会社との
関係と
所得税との
関係と係が違
つておりますが、会社の
関係でわかりました法人
関係の
資料を個人の係に十分引継がないで、それが
課税漏れになる、こういう
ケースが相当あるようでございます。ことに
仕事に追われています
関係上、そういうのが非常に遅れがちになる。へたしますとそのままほ
つたらかしておく、こういうことになりますから、この
関係の
仕事のやり方にまず
改善を加えるようにしなければならぬというので、その点本年度は特に
注意をして参りたい。それからもう
一つは、今御
指摘の大口なものが抜けているのはまことに恐縮でございましたが、たしか今の銀行の
ケースは、私も実は二、三日前に大きな
ケースだけは個別的に検討してみたのでございますが、二十五年度の税制改正の際の取扱いの変更に関しまして、相当技術的であります
関係上、税務
職員にどうも十分認識がなくて、つい
不注意の結果そう
なつた。繰越し欠損の控除はその前は一年しかできていなか
つた。改正後は五箇年できるようにな
つたのを、前のものにつきましても五年できるものと誤認いたしまして、つい会社の計算を認めてしま
つていた。それが少し前のものにつきましては、やはり一年限りでありまして、二十五年以後のものが五箇年繰越し欠損を認めることにな
つたのでありますが、その取扱いにつきまして、
職員に対する徹底方と、それに応じまする事務の処理の
注意の仕方が不十分であ
つたために、さつき申しましたように、某銀行の相当大きな
課税漏れが出て来た、こういう点でございます。相当技術的な問題から出て来ているものもございますが、こういう点につきましては、一方では私
ども内部におきましても、大きな会社等の
調査につきましては、相当多くのものにつきまして、国税局で調べたものにつきましては
国税庁で一種の自己監査をや
つております。調べたのを出させまして、それを書面の上で全部チエツクいたしまして、間違いがないかどうかを監査する組織にな
つております。
税務署のものにつきましては、やはり国税局である
程度のものにつきましては監査する組織にな
つております。ところがそういう
関係がなお十分徹底しないために、こういう御
指摘を受けるようなことにな
つているのじやないかと思いますが、そのような点につきましてはさらに今後一段と
注意を加えまして、なるべくこういう大きな
課税漏れのないように努めたいというふうに
考えておるわけであります。ただ御承知の
通り何しろ
納税者の数が非常に多くて、しかも時期と申しますか、やはり常に
仕事に追われ追われて税務が来ておりまして、その結果やはりどうも
注意が十分至らないでつい片づけて行くという点がございますので、その点はやはり
一つは
職員の訓練の問題が一番大事じやないかと思いましてそういう問題も今後さらに一層勉強いたしまして、あらゆる方策を通じましてこれらのことはできるだけ少くするよう努めたい。なかんずく最初に申しましたように、
税務署内部あるいは局と
税務署相互間におきます
資料の有効な活用、連絡という点が、率直に申しまして遺憾ながら今まで欠けておりまして、その点が
会計検査院から始終おしかりを受けている非常に大きな要素にな
つておるのでありますが、その点につきましてひとつ二十九年度はしつかりや
つてみようじやないかということで、今具体計画もいろいろつくりまして、実は目下一部は実行に移しておりますが、今後実行に移したい。そうな
つて来るとよほど減
つて来るのではないか。ただ数が多いので、率直に申し上げましてこの方の絶無を期するということには遺憾ながら、なかなか行かないのじやないかと思いますが、少くとも大きな漏れにつきましては、できるだけ少くするように努めてみたいというふうに
考えておりますことを申し上げます。
それからもう一点税理士の
関係につきましてお尋ねがございましたが、これは率直に申し上げまして、やはり御
指摘のような人もいる、しかしそうじやない人もいる、まあいろいろだろうと思います。しかしこれはやはり本質から申しますと、税がこんなに重くなり、税法が複雑になり、技術的になり、ことに会社の税金などは、所得の計算自体が、税法をごらんになればわかりますように、相当技術的になりましてこういう方面には民間にもやはり専門家がいる。専門家があ
つた方が税務行政としてもどつちかと申しますと円滑に行く場合が多いのじやないか。アメリカやイギリスの例を見てみましてもそのようにな
つておりまするし、
建前としましてはやはりできるだけ素質の向上をはか
つてもらいまして、こういう人々が民間の専門家としまして税の問題に関与されるということは、これはやはり今後の行くべき道として当然のことじやなかろうか。これは税に関する弁護士さんの役目をこういう人々が果しているということではなかろうかと思います。従いまして問題は税理士の人にありと申しますか、
納税者からも役所の方からも両方から信用を得るような税理士をどうして育て上げて行くか、この問題がむしろ今後における一番大きな問題じやないかと思いますが、率直に申しまして、いろいろ
課税に関与した
ケースの中にも、こういう職業税理士等の人がいかがわしいことをや
つている者があるようでありますが、非常に質の悪い、
たちの悪いやり方をや
つている場合におきましては、やはり納入と同時に必要な措置をとる、また免許取消し等の規定もございますが、そういう規定も、情状によりまして活用をはかりまして、そして全体としまして、税理士の信用を維持し、質を高めて行く、そして税理士本来の使命を達成して行く、こういう方向に導くのが、役所としましては妥当な道ではなかろうか、現在のところはそういうふうに
考えている次第であります。