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1954-04-02 第19回国会 衆議院 決算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二日(金曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 大上  司君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 安井 大吉君 理事 河野 金昇君    理事 柴田 義男君 理事 杉村沖治郎君       越智  茂君    徳安 實藏君       山田 長司君    横路 節雄君       吉田 賢一君    池田正之輔君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂二君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      大月  高君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大沢  実君         日本開発銀行理         事       松田 太郎君         日本開発銀行総         務部長     正宗猪早夫君         日本開発銀行審         査部長     竹俣 高敏君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 四月二日  委員片島港君辞任につき、その補欠として山田  長司君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  政府関係機関収支日本開発銀行造船融  資)に関する件     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  前会に引続き、理事の私が委員長の委嘱を受けまして、その職務を代行いたしますから御了承願います。  本日は、さき審議保留になつておりました政府関係機関収支のうち、日本開発銀行造船融資に関する問題について調査を進めます。調査審議につきましては、その促進をはかるため、質疑応答は簡潔に重点主義をもつてなされるよう、特に要望いたす次第でございます。  それでは、これより質疑を許します。先般の本委員会において質問を留保せられておりました関係上、まず杉村沖治郎君に質疑を許します。
  3. 杉村沖治郎

    杉村委員 本日、昭和二十九年二月末日現在の「第五次以降計画造船融資残高調」こういう資料をいただいたのですが、これによりますと、当初の償還条件による期限の到来したのが二十三億八千六百九十八万五千二百八十九円、こういうことになつておりまして、さらに期限延長を認めた額が十七億五千百四十万三千八百四十六円、認めない額が六億三千五百五十八万一千四百四十三円、こうなつておるのですが、昭和二十九年三月一日の当決算委員会におきまするところの政府当局の答弁によりますと、二十三億八千万余り開銀に返つておる、こういう供述があるのであります。もちろんこれは岡田海運局長の答えでありますが、そうするとここに掲げられました第五次以降というと、さきに言われましたところの二十三億八千万というものは、これ以外の額で償還期の来ておるものがあつて償還された額ということになるのでありましようか、その点をまず伺いたい。
  4. 松田太郎

    松田説明員 ちよつとその点につきまして数字があるいは運輸省の方でお話になつたのと違つておるかもしれませんが、私の方で調べました点を申し上げさせていただきます。計画造船という関係で第一次から第九次までに償還のありました金額が十四億六千七百九十三万一千円、それからこのほかに計画造船でないもの、復金承継債権口としましてたとえば続行船というのがあります。これは御承知のように戦時中船をつくり始めておりまして、従つて戦後になつてもその船をつくり上げるということだけは許された、これが十一億六千九百六十四万七千円というものが償還されております。それから見返り資金承継口としましては、これはA型の戦標船改造といつたようなものが対象になつておりますが、この関係で一億二千七百七十四万三千円というのが回収になつております。それから開銀資金として出した分について、たとえば買船肩がわりとか三B型の戦標船改造といつたような関係で四億三千八百九十一万七千円というものが回収になつております。従つて今申し上げました復金承継債権口見返り資金承継品と今申しました意味の開銀資金の分、この三つを加えると十七億三千六百三十万七千円、それに最初申し上げました計画造船十四億六千七百九十三万一千円を加えますと、総計で三十二億四百二十三万八千円という数字回収になつております。こういうことでございます。
  5. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういうようなことがわれわれにすぐ疑問が起つて来るので、そういつたようなことはこのいただいた文書の上では少しもわからない。そこでさらに伺いますが、昭和二十九年二月二十二日にあなたの方から大蔵委員会日本開発銀行計画造船融資について、こういう資料をお出しになつたのですが、この資料のほかに融資を受けておる会社はあるかないか。
  6. 松田太郎

    松田説明員 ございます。
  7. 杉村沖治郎

    杉村委員 あつたらその会社は何という会社でありますか、それを伺いたい。
  8. 松田太郎

    松田説明員 実はこの前お配りいたしました資料は、外交船舶建造融資利子補給及び損失補償法対象分だけを申し上げたのでありまして、そのほか私の方といたしましては、今申し上げましたような続行船関係とか……。
  9. 杉村沖治郎

    杉村委員 発言中でありますが、そういうことをあまり具体的におつしやつていただかないで、他にあるというのだから何という会社だ、こう言つていただけばいいのです。あまりそういうことを長々と言われますと時間がかかる、他に貸付けた会社があれば何々汽船、何々海運ということを言つてもらえばいいのです。もしあなたの方でわからなければ私の方から聞きましよう。——それでは私の方で伺いますか、旭海運という会社に対してあまぞん丸というのを建造するために昭和二十五年三月二十四日に融資いたしておりますが、この関係はどうなつておりますか。それから日之出汽船という会社に対して日枝丸という船をつくることについて昭和二十五年二月十六日に貸付をしておりますが、この関係はどうなつておりますか。それから飯野海運に対しまして栄邦丸というのをつくるために貸付をしております。これは昭和二十五年一月二十八日。同じく飯野海運に対して若島丸、これが昭和二五年の二月十六日、同じく飯野海運に対しまして隆邦丸、これが昭和二十四年十一月十日貸付であります。それから協立汽船に対してやはり昭和二十五年二月十六日、協和丸、これに貸付ております。三菱海運に対してさんどろ丸という油槽船でありますが、これに対して昭和二十五年一月十四日に貸付をしておる。それから三井船舶対して吾妻山丸という船をつくるたに昭和二十四年十二月二十九日に貸付をいたしております。それから三井船舶に対して天城山丸というのに対しまして二十四年十二月二十九日に貸付をいたしておりますが、この関係がどうなつておるか。名村汽船に対しまして、南海丸、これのためには昭和二十年の三月十五日に貸付をいたしておりますが、この関係はどうなつておるか。それから日本海汽船に対して、神戸丸、これをつくるために昭和二十四年の十二月二十九日に貸付をいたしております。それから日本水産松島丸を建造するために、昭和二十五年三月十五日に貸付をいたしておるが、どうなつておるか。日本郵船平安丸を建造するために、昭和二十四年十二月二十九日に貸付をしております。同じく平洋丸をつくるために、昭和二十四年十二月二十九日に貸付をしておりますが、この関係がどうなつておるか。さらに日本油槽船に対して、あらびあ丸をつくるために、昭和二十五年三月十六日に貸付をしております。日産汽船に対して、日令丸をつくるために、昭和二十五年二月十六日に貸付をしております。それから日東商船に対して、日栄丸をつくるために、昭和二十五年一月二十八日に貸付をしております。それから岡田商船に対して、祥雲丸をつくるために、昭和二十五年二月十六日に貸付をしております。ところがこれは造船所が変なことになつてしまつて川南造船がだめになつて三菱日本肩がわりをしておるのでありますが、この関係がどうなつておるか。それから新日本海運に対して、第二満鉄丸をつくるために、昭和二十五年三月二十四日に貸付をしております。それから照国海運に対して、照国丸をつくるために、昭和二十五年二月二十七日に貸付をしております。それから東邦海運に対して、東鳳丸をつくるために、昭和二十四年十二月二十九日に貸付をしております。それから東洋海運に対して、冨士川丸をつくるために、昭和二十五年の二月十六日に貸付をしております。それから東洋汽船に対して、昌洋丸をつくるために、昭和二十五年二月十六日に貸付をしております。それから山下汽船に対して、山下丸をつくるために、昭和二十四年十二月二十九日に貸付をしております。同じく山下汽船に対して、山彦丸をつくるために、昭和二十五年三月六日に貸付をしております。次は大阪商船に対して、あめりか丸をつくるために、昭和二十五年三月十六日に貸付をしております。次は同じく大阪商船のあふりか丸をつくるために、昭和二十五年三月二十五日に貸付をしております。それから大同海運に対して、高昌丸をつくるために、昭和二十五年一月二十八日に貸付をしております。同じく大同海運に対して、高明丸をつくるために、昭和二十五年三月六日に貸付をしております。新日本汽船に対して、冨士春丸をつくるために、昭和二十五年一月三十日に貸付をしております。川崎汽船に対して、和川丸をつくるために、昭和二十五年二月十七日に貸付をしておる。三光汽船に対して、月光丸をつくるために、昭和二十五年二月二十七日に貸付をしております。太洋海運に対して、大文丸をつくるために、昭和二十五年二月二十七日に貸付をしております。次は明治海運に対して、明光丸をつくるために、昭和二十四年十二月二十九日に貸付をしております。沢山汽船に対して、長崎丸をつくるために、昭和二十四年十二月二十九日に貸付をしております。中央汽船に対して、中央丸をつくるために、昭和二十五年二月十七日に貸付をしております。浜根汽船に対して、たるしま丸をつくるために、昭和二十五年三月二十二日に貸付をしております。甲南汽船に対して、清光丸をつくるために、昭和二十五年三月十七日に貸付をしております。松岡汽船に対して、松隆丸をつくるために、昭和二十五年三月二十五日に貸付をしております。中村汽船に対して、朝霧丸をつくるために、昭和二十五年二月十六日に貸付をしてしております。日本汽船に対して、春光丸をつくるために、昭和二十五年二月二十七日に貸付をしております。隆昌海運に対して、那岐山丸をつくるために、昭和二十六年七月十一日に貸付をしております。それから菅谷汽船に対して、宝隆丸をつくるために、昭和二十五年三月十五日に貸付をしております。  以上私が読み上げた会社のうち償還期が来ても、償還されない会社が三十二社あります。その会社の名前を申しますと、岡田商船、新日本海運東邦海運東洋海運東洋汽船山下汽船大阪商船大同海運、新日本汽船川崎汽船旭海運日之出汽船飯野海運三井船舶日本海汽船日本水産日本郵船日本油槽船日産汽船。以上は償還期が来ても償還されないで、その支払い期日延期を申し出たもの、そうしてこれに承諾を与えたものであるとなつておりますが、その事実はいかがでありますか。  なお金額等のことはたいへんこまかくなりますから、あなたの方からあと出していただけばけつこうです。その支払い延期を求めた日やその承諾の日も書いてありますが、お認めにならなければ、さらに申し上げてもいいが、それらの事実はどうですか。
  10. 松田太郎

    松田説明員 ただいまお話になりましたのは、大体第五次の……。
  11. 杉村沖治郎

    杉村委員 発言中ですが、あまりこまかい説明はいらぬのです。あるかないか、ないならない、そのうちのどれとどれがないということでけつこうです。第五次とか第六次とかいう必要はありません。
  12. 松田太郎

    松田説明員 第五次計画造船に関するものでありまして、ただいま会計検査院の方からお出しになつております期限延長を認めた額、期限延長を認めない額、これにみな該当しておると思います。なお個々のお話につきましては、よくお調べになつてお話いただいておると思いますので、大体私はそれで間違いないと思います。  なお各社別船会社の延滞の額その他を説明しろという御要求かと思います。この点については先般来私どもの方としては、金融機関として各社別のをお話申し上げることがいかがかということを申し上げたのであります。それについてはぜひ示すようにというお話、これも私はごもつともと思います。その点については私どもの方としては監督官庁大蔵当局の方に全部資料を提出いたしまして、大蔵当局の方からその御判断でお願いをするということにきまつておりますので、その点この機会を借りて御了承願つておきたいと思います。
  13. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は先般来再々このことをし申上げたが、あなたの方であまりにこれを言うことがどうだとかこうだとかおつしやられるから、私は自分で調べた範囲において申し上げたのですが、こういうことではわれわれ決算委員の任務というものは達成できないのですよ。なぜならば、ここに出ておるあなたの方の開発銀行定款の第三条の4にも次のように書いてあります。「債権回收又は当該保証に係る債務履行が確実であると認められる場合に限り行う。」こういうことになつておるでしよう。こういうように国民血税を貸すのであるから、これはやかましく規定しておる。日本開発銀行法第十八条の第二項にもそのことを明らかにされておるのです。「債務履行が確実であると認められる場合に限り、行うことができる。」つまり融資することができる、こういうふうに日本開発銀行法にも開発銀行定款にも掲げられてあります。それにもかかわらず、こういうように償還期が来ても償還できない会社が三十二社もめる。それに対してさらに続いて融資をして行くということが、はたしてこの開発銀行法並び開発銀行定款からいつてどうか、こういうことをわれわれは言いたくなる。こういうふうにわれわれが言うと、あなた方は日本の現状で船会社がどうとか、こうとか言うけれども国民を枯らしても船会社が栄えればよいという論はわれわれはとうてい納得することはできないのであります。でありますから、われわれは今までにどの会社が借りた金を払わないかということをどうしても確かめたかつた。それでさらに、開発銀行にこの決算委員会から資料要求したことについて、大蔵当局出してあるということを、今もお聞きの通りなんだが、この決算委員会から正式な請求をしておつたにもかかわらず、なぜ今までお出しにならなかつたのか、その理由を聞かしていただきたい。
  14. 河野通一

    河野政府委員 開発銀行融資の源は租税その他によつて納められた政府資金でありますので、これが公正に運用され、公正に管理されることがきわめて必要であることはもちろんであります。従つてその融資実情と申しますか、管理実情につきましては、できるだけ国会に十分詳細に御説明申し上げて、御審議をいただくことは当然だと私どもも考えております。ただ他面におきまして、日本開発銀行は御承知のようにこれはやはり金融機関としてできておる。従つてその融資あるいは管理の場合における相手方、つまり借手の側の信用という問題にも関係をして来る場合が非常に多いと思います。従つてそれが公に公表されることが好ましくないというような事態も私はあるのではないかと考えております。だからといつて、そういつた場合において委員会の御審議に妨げとなるようなことをなすべきではないと私どもは考えておりますので、そういつた事項につきましては、たとえばこれは一例として申し上げますが、秘密会等をお開きくださいまして、そこで詳細に御説明を申し上げて、そして委員各位の御審議に支障を来さないようにして行くというようなことでお許しをいただけるならば、そういう形でこの問題の処理に当つて行くことが、開発銀行というものの銀行としての性格からいつて一番適当ではないかというふうに考えておる次第であります。さようなおとりはからいが願えれば、私どもは非常に幸いと考えておる次第であります。
  15. 杉村沖治郎

    杉村委員 あなたはそういうことをおつしやるけれども、それであつたらなぜ今までそういう手続を決算委員会へとらなかつたのか。この問題について決算委員会たびごとにわれわれは要求しておつた。先般来ここで秘密会云々ということを松田さんでしたかがおつしやつたときに、当委員会秘密会の必要なし、こういうことを言つてその公表方を要望したのです。あなたのところに来ておるのであつたなら、決算委員会の御意向はそうであろうけれども、とにかくこれを秘密会でも開いて、こういうような趣旨に基いてごらんが願いたい、納得ができるようにしていただきたいということを申し出ないで、なぜ今日までわれわれをてこずらしたのですか。市中銀行においてすら現在の海運界状態では融資をすることは危険で、とうていできないということを言つておる。それは市中銀行がみな海運会社状態知つておるからであります。市中銀行人たちは、貸してとれなければすぐに自分たち営利会社として損をするから、それがためにみな集まつて協議をする。われわれがここで調べておる金は、開発銀行営利会社のために国民出しておるのではありませんよ。国民税金を取上げて、それを開発銀行を通じて貸しておるのですよ。市中銀行海運会社の状況から見て貸さなければ、それで済むかもしれない。あなた方が海運会社内容をこの決算委員会に全部逐一報告をして、その報告に基いてわれわれ決算委員会調査した結果、この開発銀行法に基いて、こんなあやふやなところへ融資をするということは政府としてできないじやないかということをわれわれが考えるならば、この決算委員会においてもこういうような不安定な船会社国民血税を将来融資することは不当であるからという決議をわれわれはしなければならない。そういうようなことをやるのがわれわれ決算委員会の役目なんだ。その決算委員会に対して、あなたの方がほんとうに大事なことを幾度要求されても、しかも開発銀行から大蔵省へ出されておつても、そのことについて私の方へ、開発銀行からかようかようの書類が出ておりますが、これはこういうわけですからかような取扱いでひとつ御納得が願いたいというようなことを、あなたは言つて出ることを知らないのか、それで今日こちらから切り込まれて初めて今のようなことを言つて済むと思うのですか、国会をどう考えておるのですか。この決算書の中には、開発銀行関係決算承認を求めてくれということをここへ出しておるでしよう。この中に書いてある数字を見ただけでわかると思いますか。ここに書いてあるこの数字は、これはどういう結果からこういう数字が生れて来たかということをわれわれは調べなくてはならない。それを調べなくて、ただここに書いてあるこんな数字を見てわかるはずがないではありませんか。その調べるところの資料をいやしくも開発銀行から出されておるにかかわらず、大蔵省は今日まで出さないでおいて、今日になつて市中銀行信用をどうのこうのと言われる。町の銀行船会社営利を考えて、国民血税はどうなつてもいいと考えておるか。これに対してあなたの意見を伺いたい。
  16. 河野通一

    河野政府委員 この問題につきましては、実は私は他の委員会に出ておりまして、爾来当委員会出席できなくて、はなはだ申訳ないのですが、この問題が委員会で公にされるとかいう御要求がありました際に、ただちに私は開発銀行から相談を受けたのであります。その直後であつたと私は思うのであります。ちようど私他の委員会に出ておりまして総務課長大月からこのことはたしかそのときは委員長代理をしておられたと思うのですか、大上委員にそういつたことでおとりはからい願いたいということを申し上げたと私は記憶いたしております。それから先般の当委員会でもその間のことにつきましては総務課から皆さんに御了解を得るようにお話申し上げたと私は記憶いたしております。実はそういうことで私が直接皆さん方にこの問題に対する私の見解を申し上げる機会がありませんでしたことを非常に申訳なく存じておりますけれども、今までの経過はそういうことで、大蔵省といたしましてこの問題について誠意なく放置をいたして置いたということではないのでありまして、この点は御了承いただきたいと思います。
  17. 杉村沖治郎

    杉村委員 実はこの問題はあなた方でなく、今日大蔵大臣に聞きたかつたのです。あなた方のような下つぱの役人に聞いたのでは、われわれは納得できないのだ。(「言葉が過ぎるぞ」とぶ者あり)大蔵大臣に聞きたかつたのです。それで大蔵大臣出席を求めておつたのですけれども出て来ない。あなた方個人意見を承つておるのではありません。あなた方は市中銀行信用とか何とか言つておりますけれども、この決算委員会決議しても、それでもあなたの方では出さないというそんな権限があるのかないのか、それを伺いたい。
  18. 河野通一

    河野政府委員 私どもは今申し上げたようなことで、銀行としての性格から見て、今私がお願い申し上げましたようなことでおとりはからい……。
  19. 杉村沖治郎

    杉村委員 発言中ですが、そういうりくつはいらない。あなた方は市中銀行信用がどうだとかこうだとか言つておるが、この決算委員会がきめたものをこの決算委員会に出さないでおいていいという権限があるかないかということです。イエースノーでいいのです。
  20. 河野通一

    河野政府委員 国会法に基いて正式に御要求がありましたならば、これは私どもは拒むべき権限を持つておりません。ただ私が…。
  21. 杉村沖治郎

    杉村委員 そんなあとのことはたくさんです、拒む権限かなかつたらなぜ出さなかつたのです。われわれは女の泣きごとみたようなことは聞きたくない。イエースノーでいい。これは何も杉村個人が聞いておるのではない。国民全体を代表して、自己の納めた税金がどうなつておるかということを調べておるのです。これが決算委員会の仕事なんです。その決算委員会にあなたの方からこれの承認を求めて来ておのです。その承認を求めておる事項内容について、これこれのものを出せということが決議されたら、あなたの方に拒否する権能のないことは私が説明するまでもない。それを知つてつてなぜ出さないのか。大蔵大臣の命令によつて出さないのか。あなた個人考えで出さないのか。その点はどうですか。
  22. 河野通一

    河野政府委員 この問題について私大蔵大臣相談をいたしておりません。大蔵省として今私が申し上げましようなおとりはからいを願えれば非常に幸いであるということを私どもは考えておるわけであります。
  23. 杉村沖治郎

    杉村委員 大蔵省というのは、大蔵省のたれなんです。大蔵大臣がそういう希望なんですか。法律的には大蔵省代表者大蔵大臣だが、今あなたは大蔵大臣とは相談したわけではないと言つた大蔵大臣相談しなくて、大蔵省希望だというのは、大蔵省のたれの希望なんですか。
  24. 河野通一

    河野政府委員 私ももちろんそうでありますが、事務当局と申しますか、事務次官以下相談をいたした結果であります。
  25. 大上司

    大上委員長代理 杉村君に御相談申し上げますが、非常に時間がかかりますので……。
  26. 杉村沖治郎

    杉村委員 ちよつと……。それでは今の事務次官等決議でここへ出さなかつた、こういうことなんですか。私はこれだけ聞いて、あと大蔵大臣に聞きます。
  27. 河野通一

    河野政府委員 出さないことは先ほど来申し上げましたように私どもは一応その当時の委員長代理をしておりました大上さんの御了解を得たように思つております。ただ一方的にしたわけではありません。事務当局の間では十分相談をいたして、そういうふうなおとりはからいを願いたいということを申し上げたのであります。
  28. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは委員長に伺いますが、今大蔵当局大上委員長代理了解を得ておつたということですが、大上委員長代理はそういうことを言つていないのだが……。
  29. 大上司

    大上委員長代理 お答え申します。昨日の委員会におきまして、本資料の出ておらないという問題については、特に私が発言を求めて、委員の諸君はその筋道はよくわかつておられると思つておりますが……。(杉村委員資料出していない」と呼ぶ)それではもう一回説明しましよう。本問題については、特に資料要求と同時に審議を早く促進させなければならないというわれわれの委員側の意向もある。そこでたまたまこの問題が出たのですが、田中委員長が病気で休まれて、その間私が代理を相勤め、従つてその期間は会計検査院の批難事項たる昭和二十六年、七年度の約二千件あまりのものをやつて行こう。資料要求はもちろん相談を受けましたが、田中委員長が出るまで待つてくれといつて私がとめた。従つて田中委員長が来てあらためて理事会等に諮つて、そして委員長の決済によつて早急にやつて行くということをきのうよく御説明申し上げたはずであります。
  30. 杉村沖治郎

    杉村委員 私はこの問題については、大蔵大臣に質問をすることを留保して、これで私の質問を終ります。
  31. 柴田義男

    ○柴田委員 今の問題で大分議論されておりますが、ほかの委員会には完全に資料が提出されておるのです。ひとり決算委員会にのみ大蔵省のお考えでもつて出て来ない。現に予算委員会には完全な資料が出ておる。決算委員会にだけそういうように大蔵省が介在してめんどうにしてしまつたという責任は、少くとも河野銀行局長にあると思う。よその委員会出して当委員会に出さないという理由は、どこにあるのか。
  32. 河野通一

    河野政府委員 私の記憶いたしておりまするところでは、他の委員会にお出しして、当委員会にお出ししないような資料はございません。ただ私が開発銀行から聞いたところによりますと、そういつた内容についてお話をしたことが非公式にあるやに聞いておりますが、資料として正式にお出ししたものは、よその委員会に提出して、決算委員会の方へ提出しないということは絶対にないはずであります。
  33. 横路節雄

    ○横路委員 最初に私は銀行局長海運局長にお尋ねするのですが、新聞等を見ましても、利子補給法、利子補給対象船舶につきまして、契約が全部完了して、それぞれ支払いができるような態勢になつておるというお話なんですが、総額の三十五億七千五百十四万九千八百二十五円の内訳につきまして私は一億以上の点だけを申し上げまして、この資料に問題があるかどうかだけお尋ねをいたしたいと思うのであります。日本郵船のいわゆる利子補給額は二億五千八百八十二万八千百三円、大阪商船は一億七千四百八十二万三百七十八円、川崎汽船は一億四千三百二万三千五百八十一円、三井船舶は一億三千九百二十八万一千七百二十五円、大同海運は一億三千九百六十六万二千八百二十八円、日産汽船は一億二千九百八十七万四千百八十九円、三菱海運は一億五千五百八十六万三千八百九円、飯野海運は一億二千二百二十六万三千七百六十一円、山下汽船は一億五千百十三万六百三十七円、東邦海運は一億四千百二十一万一千二百四十五円、新日本汽船は一億三千九百三十五万五百九十一円、以上が一億円以上昭和二十九年度に利子補給として払う会社です。実は私は他の会社についてもこまかな計算についての数字を持つておりますが、私が今申し上げました数に誤りがあるかどうか。もしこの数字に誤りがないということならば、他の会社についてこまかに規定している点についても誤りがないと推測できると思いますので、私が今読み上げました一億以上の会社金額に誤りがあるどうか、お尋ねしたいのであります。
  34. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 実は私手元に最後に締めた資料を持つておりませんので、今お読上げの数字が最後に締めたそのものであるかどうかわかりかねます。しかし多少今までに締めた数字よりは、最後のものは少し違つているかと思いますが、そう大きな開きはない、かように考えます。
  35. 横路節雄

    ○横路委員 どうせきようの決算委員会は、開発銀行につきまして五時ないし六時まで相当かかるだろうと思いますので、恐縮ですが委員長の方から海運局長の方に——この表はできているはずなんです。新聞等によりましてもこまかな定款ができまして、それぞれ契約ができ、金を払う段取りになつているというのでありますから、できますればぜひきようの委員会が開かれている間にこの点については詳細に御発表いただきたい、こういうように考えております。委員長どうでしよう。
  36. 大上司

    大上委員長代理 岡田政府委員に申し上げます。ただいま横路委員からお聞きの通りの発言が出ておりますので、本委員会はこれを早く審議を進めたいという趣旨のもとから、早急に御手配を願います。
  37. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 早急にというのは、いつまでということを限定してもらつた方がいいと思います。横路氏はきよう中にということでありますが…
  38. 大上司

    大上委員長代理 お答え申します。ただいま横路委員発言岡田政府委員もよくお聞きの通りでありますから、当然あすあさつてをさしておるのではありませんから、そう御心配願わぬでも、皆さんお聞きの通りでありますから、きよう中にお手配願えると思います。
  39. 杉村沖治郎

    杉村委員 私がさつき言つたやつももうわかつておるのだから、それもやはりすぐ出してもらいたいと思います。
  40. 横路節雄

    ○横路委員 次に私は開銀の理事の松出さんにお尋ねしますが、今私が海運局長に申し上げましたように、利子補給対象船舶につきまして、総額三十五億幾らかについては、もうこまかな計算ができて支払いが開始できるようになつている。そこでどうやら開発銀行としても、いわゆる三分五厘にしたいわゆる利息の延納について、一体どの船会社があなたの方で年三分の利息延納の額になつておるか。これは前の予算委員会では、海運局長からは総額二十一億になる、こういうのであります。私は実はこの点については私なりに各海運会社について、あなたの方で大蔵委員会出しましたいわゆる第六次船以降の開銀の点に関しまして、私はそれぞれ三分について計算をしてみたわけなんですが、もしもあなたの方で今具体的にお持ちでございましたならば、私が今ここで申し上げました利補給法によつて一億円以上の対象になつている日本郵船大阪商船川崎汽船三井船舶大同海運日産汽船三菱海運、飯野海連、山下汽船、新日本汽船東邦海運とこれだけは利子補給法で一億円以上やることになつている。あなたの方の三分の利息の延納も相当だろうと思うので、他の会社についても聞きたいけれども、時間がありませんから、この点だけはできますならばここでお答えをいただきたいと思います。この点についてはまだ計算ができていないなんていうことは私はないと思うのであります。     〔大上委員長代理退席、天野委員長代理着席〕
  41. 松田太郎

    松田説明員 率直に申し上げます。総額は一応わかつておりますが、各社別のものは今調べておますがすぐわかりますかどうか、ちよつと何ですが、総額だけ申し上げますと、昭和二十八年度の猶予分として十三億三千百万円、それから昭和二十九年度の利子猶予額といたしましては二十二億五千五百万円程度だと思います。
  42. 横路節雄

    ○横路委員 この二十八年度の十三億三千百万円についてはもうあなたの方で計算ができておるはずです。もしこの計算ができておらないということになれば、私ははなはだもつてふしぎにたえないと思いますことは、二月十五日私は予算委員会でこの点について、大蔵大臣にも、運輸大臣にも質問をしましたところ、ただいま運輸省と大蔵省で協議中ですという答弁であつた。もう一昨日、三月三十一日で終つたわけですから、この十三億三千百万円、二十九年度の二十二億五千五百万円に相当する分の、利息の延納については、開発銀行はそれぞれの会社との間に利子補給法によるところの契約を、別個に明確にしておるはずなのです。この点銀行局長として、どうなつておるのですか。二月十五日には運輸大臣からそういう答弁がありましたが、その点はどういうふうになつておるのですか。
  43. 河野通一

    河野政府委員 この点は機械的に計算が出わけでありまして、開発銀行の方で今資料を持つておられるかどうかは存じませんが、おそらく十三億の計算をなさるそのもとは、各会社ごとに出ておるはずだと思います。内訳を今手元に持つて来ておられないだけだと思います。
  44. 横路節雄

    ○横路委員 私があなたにお尋ねしておるのは、この十三億三千百万円の利息延納についての開発銀行とそれぞれの会社との契約といいますか、それについてあなたの方はどうなつておりますかということを聞いておるのです。
  45. 河野通一

    河野政府委員 この点は開発銀行及び市中銀行と相手方の会社との間に、契約を結ぶべく、従来から案を練つてつておるのであります。その契約がいかなることになつておるか、私はそこまで詳しくは存じておりません。
  46. 横路節雄

    ○横路委員 松田さんにお尋ねいたしますが、今の十三億三千百万円と二十九年度の二十二億円の利息延納は、開発銀行市中銀行と、相手の海運会社とそれぞれやるのですか、どこと契約するのですか。今銀行局長はそういう答弁をしておりますが、これはどうなんですか。
  47. 松田太郎

    松田説明員 これは船会社の方から申入れをして参りまして、開発銀行船会社の間で契約をするのです。
  48. 横路節雄

    ○横路委員 その通りですね、すると今までの御答弁では、この点について銀行局長は別に開発銀行と協議をしなくてもよいわけですね。その点はどうなんですか。
  49. 河野通一

    河野政府委員 個々に具体的な協議は必要としておりません。ただ、今私が市中銀行と申しましたのは、市中銀行についてもやはり金利を延納することをある程度認めておりますので、その分については、市中銀行船会社との間で契約をする、こういうことを申し上げたのであります。
  50. 横路節雄

    ○横路委員 松田さん、これはどうですか。十三億三千百万円については、今海運局長岡田さんの方は、きよう五時かそこらまでには数字出していただけるのですが、あなたの方も十三億三千百万円について、まだ計算ができてないとは言われないと思うのです。この点はどなたかにちよつと電話をかけていただいて、今の利子補給法の三十何億とあわせて——あなたたちも、毎日来てくれるならいいんですが、そうも行かぬでしようから、きようこの点は発表してもらいたい。
  51. 松田太郎

    松田説明員 さつそく開銀の方に連絡をとりまして。
  52. 横路節雄

    ○横路委員 それではそういうようにしていただきます。  次に私は銀行局長にお尋ねしますが、これは予算委員会大蔵大臣から私たちに資料として出されましたもので、二月十八日、大蔵省、衆議院予算委員会要求資料、外航船舶建造融資利子負担軽減額調の中の説明で、大蔵大臣からこの通り読んでいるのであります。その最後に、今の利息延納の猶予期間としてはこう書いてあります。「その徴收猶予の期間としては、海運業者の経理状況が好転して外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の規定に基き利子補給相当額を国に納付すべきこととなる程度に收益が挙がるまでの期間を予定している。」こういうように私たちに説明書も出され、大蔵大臣自身のお言葉で答弁されて、速記に載つておるのであります。ところが一昨日開銀の方に聞いたら、こう言わない。これは收支がとんとんになつたら利息をもらうのだ。ところが、この外航船舶利子補給法の方は、一割利益があがるまではとらないというのです。この点はどうなんです。收支がとんとんということと、一割利益があがるまではそれはとらない、利子補給及び損失補償法の規定に基いた利子補給相当額を国に納付すべきこととなる程度に収益があがるまでの期間を予定しておるということとは、明らかに大きな食い違いだと思う。この点は銀行局長どうですか。
  53. 河野通一

    河野政府委員 この説明の文章が若干適当でなかつたかと思いますが、大体国から補給された利子を国に納付しなければならないという事態が起つて来るような場合、これに準じて支払いを延ばした利子分についての支払いをさせる。その場合につきましては、具体的にいろいろ研究をいたしました結果、現在のところでは、政府が利子補給をいたしましたものを取上げるという場合と違いまして、本来とるべき利子を延期をしたということでありますから、その間に若干性質が違う。もちろん準じては取扱いますが、これは俗な言葉で申しますれば、一種の出世払いであることについては間違いないのでありますが、補給されたものを納付させる場合よりも、この利子の延納を認めた場合のその延納を認めなくするといつた方が、やや出世の程度が低くても、何と申しますか、その支払いをさせてよいのではないか。こういう考え方から、正確に申し上げますと、それぞれの海運会社の繰越し欠損等がきれいに償却されて、しかもある程度の償却不足分がたまつておる場合において、ある程度の償却をしてなおかつ利益が出て来た場合においては、その利益の存する範囲内においてその延納した利子は払わせる、こういうことにいたしたいと思います。従いまして利子補給がされたものについて国家が納付金をとる場合のように、その資本金に対して一割であるとか、あるいは二割であるとか、そういつた利益があがらなければその納付をさせない、こういうふうには考えておらない次第でございます。
  54. 横路節雄

    ○横路委員 開銀の松田さんにお尋ねしますが、昨日御説明収支とんとんに行くというのと、今のお話では償却まで行つてある程度の利益があがつたら、利息の延納はやめるんだということで、大分話が違うようですが、この点はどうなんです。
  55. 松田太郎

    松田説明員 昨日どういうぐあいに申し上げたかわかりませんが、趣旨は、今銀行局長の言われたと同じようく、私どもの方といたしましては、本来であれば当然三分五厘というものをお認めしなくちやならぬ以上は、現在の六分五厘と三分五厘の開きは利子補給をしていただきたい。しかしいろいろ政府の御事情によりましてそれができない。従いましてその差額については何とか開銀の方で利子の徴収を延期するような、先ほどお話のような出世払い式の方法を考えてもらいたいというお話がありましたので、私の方でもいろいろ検討をいたしましたが、しかし、これは先ほどもお話のように、利子補給に対する償還の問題とは相当性質が違うと思います。従つていずれの時期に私の方の延滞を認めております利子を返していただくかについていろいろ検討したのでありますが、ただいま大蔵当局からお話がございましたような線で、いわゆる普通償却をいたしたあとで、利益があがれば返していただくというように大蔵当局お話をしたわけであります。
  56. 横路節雄

    ○横路委員 銀行局長にお尋ねをしますが、昨日あなたが欠席をなさいまして、あなたから御答弁をいただくことになつておるわけですが、それは昭和二十七年の五月一日に、いわゆる第八次の貨物船並びにタンカーについて船主を決定しましたときに、タンカーについては自己資金並びに市中銀行の金でやる、いわゆる政府資金は一銭も使わないのだということを条件にして四隻を割当てた。これは三隻だけ割当てて一隻だけ残つてしまつたのですが、秋の選挙か終つてしまつてから、どういう都合か知りませんが、これは閣議でもつて開銀に肩がわりをすることになつた。この点は岡田海運局長からもここで御答弁があつたのですが、さらにあなたにお尋ねして確認しておきたいのは、いつの閣議かということです。私の承知しているところでは昭和二十七年の十月十日の閣議ではないかと思う。海運局長からも当時の運輸大臣は村上さんであつたと思うと言つておりますので、その点をぜひあなたからも明確にしていただきたい。これは海運局長からも、どうも日にちその他はつきりしないので、銀行局長から御答弁願いたいというので、この点は非常に重大なので、あなたからひとつはつきりお話をしていただきたいと思うのであります。
  57. 河野通一

    河野政府委員 私は正確に日は記憶いたしておりませんが、二十七年の十月十日の閣議であつたというふうに確信をいたします。
  58. 横路節雄

    ○横路委員 その点はそのように確認していいわけですが、次に開銀の松田さんにお尋ねするのですが、実は第九次の割当について記録を読んでみましたが、開銀が決定権を持つてつたと思うのです。これは運輸省からいただきました海運造船合理化審議会の議事録ですから、人のうわさとかなんとかではないのであります。ここに載つている第九次前期以降につきましては、あなたの方でおきめになる、非常に重要なものであります。そこでこれをあなたの方でおきめになるには、資産、信用力、それからもう一つは第五次以降の計画造船償還期に来ているものが順調に償還されているということが条件であつたろうと思う。ところがはなはだふに落ちない点は、山下汽船に対して第九次の前期に山春、第九次の後期に山国と、九次の前期後期に当つているのです。その会議録によりますと、第九次前期に関して一番最初の会議は昭和二十八年の一月二十九日の午後三時から運輸省の局長会議室で開かれた第一回の小委員会でこのことが問題になつているわけなのであります。そこで私は昭和二十八年一月二十九日の会議の前に、ちようど刑事局長もいらつしやるから御一緒に聞いていただきたいのです。これはあと刑事局長にお尋ねしたい点ですが、昭和二十七年八月にはすでに日本特殊産業の森脇、猪俣両氏をめぐつていわゆる浮貸し事件があり、山下汽船がこのときすでに相当の金を浮貸ししておることは明らかなんです。この点は刑事局長御存じのように、今年の一月八日に山下汽船の常務取締と常務監査が、一億数千万円を日本特殊産業に浮貸ししたという理由で逮捕されたのです。だから二十八年一月二十九日の第九次前期のときの第一回の会合で、あなたの方で責任を負わされたときにすでに山下汽船が浮貸しをしておるということは明らかなのだ、こういう浮貸しをして、さらに償還が順調に行つていないような山下汽般に対して、あなたの方で責任を持つて必ず資産、信用力の調査に基いておきめになるのに、なぜ一体山下汽般に第九次前期後期合せて二隻をおきめになつたのか、山下汽般のどこに一体あなたの方で考えておる信用があるというのか、それともその当時日本特殊産業に浮貸ししている事実をあなたの方で調べていないとすれば、あなたの方が疎漏だつたということになる、この事情は一体どういうのです。
  59. 松田太郎

    松田説明員 詳しいことはなお審査部長が参つておりますが、今の点につきましては疎漏とおつしやればまことにいたしかたがないのでありますが、その点は私の方で気づいておりません。
  60. 横路節雄

    ○横路委員 それでは海運局長ちよつとお尋ねいたしますが、第九次前期の船主が最終的に決定された日にちと、第九次後期の船主が最後的に決定した日にちについて御答弁を願いたい。これは非常に重要な点なんです。
  61. 松田太郎

    松田説明員 私からでよろしいですか。
  62. 横路節雄

    ○横路委員 いいです。
  63. 松田太郎

    松田説明員 たしか第九次前期が正式に決定いたしまして、運輸省から御発表になつたのは三月二十四日ごろであつたかと思います。それから九次の後期は九月十五日と記憶いたします。
  64. 横路節雄

    ○横路委員 それでは審査部長にお尋ねしますが、今松田さんからの御答弁で九次前期の三月二十四日についてはわかりましたが、私はこのことでもおかしいと思う。あなたは今私から疎漏だと言われればやむを得ないと言うが、すでに二十七年八月何日かに森脇氏は詐欺の疑いをもつて警視庁で取調べを受けておる。そうしてこの問題はそのときすでに山下汽船からいわゆる担保が入つて新聞にたたかれている問題なんです。もしもこのときにあなたが知らないとしても、九次後期の九月十五日といえば、森脇の問題が世間にどんどん出まして昨年八月には決定的に出ている。この山下汽船に対して開銀だけでも私の計算によれば八千三百四十六万円も利子の延納をしている、これほどあなたの方で金を貸しておる、これは一年間の利息の延納ですよ。この金を貸すのに山下汽船が浮貸しをしておるということを全然知らないでおつたということは、松田さんは知らないかもしれないが、審査部長が知らないというはずはない。その点は審査部長はどうなんです。
  65. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 残念ながら存じませんでしたが、なお御説明申し上げますと、ただいま横路委員の御質問は特に財産状態のことでございますね。
  66. 横路節雄

    ○横路委員 資産信用……。
  67. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 大きく申しますと、実は経営者とそれからその船会社のよさ悪さ、言いかえますと、私どもは事業の素質と申しておりますが、そういつた現況を、と申しますのは、その船会社が一体何ばいの船を持ち、何トン持つておるか、かりに非常に素質がよくとも、数が少いと——結局国際チヤンピオンを育て上げようということでありますから、役に立ちませんので、その現況をまず考えなければならない。それから直接に資産信用的な問題になりまする財政状態がどうであるか、最後に償還能力いかんと今申し上げました大体五つの点を大きなポイントとして調べて参ります。今の御質問では特に浮貸し云々のことがあつて従つてその財政状態は悪かつたであろう、にもかかわらずそれを知らないのははなはだ手落ちであろうというお話で、ごもつともな御質問だと思うのでございます。しかし私ども率直に申し上げまして、そういう浮貸しが具体的に現実どういうふうに行われておつたかということを実は存じませんでした。しかし大観的に申しますると、山下汽船の財政状態日本における船会社の今度選に入りました幾つかの財政状態の中で特に悪い方ではないのでございます。もつと悪いものもあるのでございます。かりにそういう罪を構成するよりなまずさ、浮貸し的なあるいは帳簿をはずれたようなことのからくりがあつたのかも存じませんけれども、それか結局選に入らないような決定的な問題にはなつておらなかつたと思いまするし、なお私ども船会社の審査をいたしておりまする調べ方は、これはある意味では残念なことだと思いまするが、金融機関が審査をいたしております中では一番念を入れてやつておるわけでございます。これはこの委員会でもかつて長期信用銀行の頭取がお見えになられまして、開発銀行と同じような審査をやつてつたかというような御質問がどなたかから出たときにも、いやそれほどのことはやつておらぬというようなお話でもございまするし、私といたしましては国の大切な金をどうせつけるならば最もいいところから順次につけて行きたいという気持で、またかりにもそういう気持になりまして一生懸命やりましたので、その点からいえばむしろ皆様からおほめいだたいてもいいのじやないかというふうにも考えておるのでございますが、残念なことには人力そこまで至りませんで、浮貸しその他の事実を見のがしておつたということは、この際おわび申上げておきたいと思います。
  68. 横路節雄

    ○横路委員 私は審査部長からの開銀は市中銀行よりも審査が非常に厳重で、市中銀行の方からおほめをいただいておるのだという言葉はちよつと当らないと思う。なぜならばなるほど二十七年秋の森脇氏のいわゆる警視庁に留置されての取調べはあなたの方でわからなかつたにしろ、少くともこの九次後期の九月十五日に最終決定をする前の八月は新聞にどんどん書かれている、あなたの方は朝日とか読売とか毎日とかばかりでなしに、一般の経済関係の新聞だつて細大漏らさず注意をされてそうして審査をされなければならぬ。明らかになつているじやないですか。なるほど一億五千万円の浮貸しという総額はわからなかつたにしろ、その間山下汽船が相当額、何千万か浮貸しをしているということをあなたがわからなかつたということは、私はこれは開銀として重大な責任だと思う。あなたは今山下汽船は非常に信用があるというが、私はおかしいと思う。これは五次の船の償還期の来ているもので、金が払えない、しばらく待つてくれといつて延長措置をした中に山下汽船は入つているじやありませんか。二千六百九十七万四十二円については山下汽船は払つていないじやありませんか。そうしたらおかしいじやございませんか。いわゆる五次、六次の償還の来ているものが順調に行われていない、いやどの船会社もみんな返す金はないのです。だから五次も六次も返さなくてもとにかくやるのですというならば話がわかるが、これは明らかにあなたの方からぼくにくれた資料です、正確に日本開発銀行という罫紙がある、これによると二千六百九十七万四十二円払つていない。こういうことを明らかに認めていながらなぜ一体山下汽船に九次の前期と後期と二はいとも割当をしたか、そこに非常な疑義があるのです。だから山下汽船の横田メモなんという問題が出て来る、あなたの方は一体やつたのか。私はあなたの方はおそらくやつたのでないと思うのです。この問題は少くとも市中銀行より以上に審査が厳重である開発銀行であるならばやるわけがないのだ。これはあなたの方でやつたとすればあなたの方はおかしいぞ、あなたの方でやつたというならば私はあなたの方の責任を追究する。
  69. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 私どもの方でやつたわけでございますが、その資産、特に財政状態のどういうふうなまずさがあつたかということだけできめておるわけではございませんで、先ほど申し上げましたような五つのポイントについて、結局金融の判断というものは総合判断でございますので、それを全体調和させて考えております。その場合に特にお考えいただかなければならないのは、海運会社というのは世界をまたにかけて歩いておりますので、世界的な名声といいますか、別の言葉で言えば、のれんというものが非常にものを言うのでございます。かりにどこかに非常にりつぱなものが、たとえばこの前も出ましたが、資産、信用力のあります三越あたりが船を持つてつたといたしましても、世界的に相手にされないのでございます。それでは結局船をつくつたことの効果が十分現われませんのでやはり世界が相手にするような山下ラインというようなものに多分の魅力を感じておりますし、そういうところかがをつくつてまわせば世界の荷がとれるということであれば、それをそういう意味でその限りにおいて、プラスにして考えなければならぬといつたような配慮を多分に加えてございます。従いまして、ただいま御指摘にありましたような浮貸し云々だけで、実は否定するということにはなつておりませんでしたし、これは私どもの方のほんとうの手落ちかも存じませんが、実はその事実を十分に承知しておらなかつたわけであります。
  70. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私はあなたにお尋ねいたしますが、第九次の前期、後期で割当をした船会社は、日本郵船大阪商船川崎汽船三井船舶大同海運、それから再逮捕になつた俣野さんの飯野海運山下汽船、それであなたは今開銀の審査部長として何かの反省はあるはずだ。私はあなたの話を聞いて非常におかしいと思うのは、のれんが古いから、少しぐらい中身はどうでもいいじやないかというように話が聞える。あなたの話はそうですよ。山下汽船はのれんが古いから、世界の海運界で名前が通つているから当てたのだ。おかしいと思う。現にここで問題になつており、明らかに今日検察当局で問題にしておるのは飯野海運山下汽船である。あなたがのれんだと言うなら、日本郵船大阪商船三井船舶、なるほどその通りでしよう。しかしこの二つの、今非常に造船汚職の中心になつておる飯野海運山下汽船、しかも飯野海運は、この間私が指摘した通り、二十七年十月十日の閣議で——いわゆる五月一日には市中銀行で全額やつたが、政府資金を二割肩がわりした、この問題と、この飯野海運を中心とするタンカー協会から現に金が国会の方に流れたということは、今日明々白々なんだ。それからこの点はあなたの方は閣議決定だからしかたがないと言えば、私はこの点はこれ以上聞きませんが、山下汽船については開銀が審査の責任者だ。しかも浮貸し事件だ。それをあなたは今のれんが古いからやりましたということは、国会では通りませんよ。これは海運界の会合に行つて他の船会社からつつ込まれたときに、お前の方は新しい、こちらの方はのれんが古いからやつたのだということは筋が通るかもしれませんが、あなたから私に渡された資料では、山下汽船が二千六百九十七万、これはいわゆる第五次でもつて返すことになつておるのに延期をしておるという事実は無視できないでしよう。この点は、あなたの方であげた五つの条件が全部そろつておるから、あなたの方はやつたというのであるが、私は開銀の審査はおかしいと思う。おかしければこそ、私は松田さんにこの前ちよつとお尋ねしたが、あなたは清廉潔白であつたから、何ともなかつた。三月八日の朝日新聞の報道によれば、あなたは三月七日東京地検の特捜部に呼ばれて、名村造船のみならず、東西汽船まで割当てたのはあなたの特段のお骨折だといつて、自由党の有田君が五十万円の金をあなたのところに持つてつたが、あなたはけつたという。しかし有田君が持つてつたということは事実である。このことは、開銀がいかにこの決定に重大な要件をなしているかということを明白に物語つている。一体山下汽船についてこれはまつたく知らなかつたのですか。それなら今の五次の内入れ延期をした措置はどうなんですか。
  71. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 内入れをいたしましたのがかりに山下汽船だけであつて、その限りにおいて、山下汽船が非常なマイナスを持つているにかかわらず、選に入つたというのでございますれば、これは御指摘のような疑問がお起りになるのも無理ないと思うのでありますが、実はそうでなくて、ほかのもつと大きなといいますか、世間的により大きく考えられております会社でもなお同じような措置がとられております。こられたこと自身は好ましいことではざいませんけれども、やむを得ない情勢だつたというふうにわれわれは考えておるわけであります。
  72. 横路節雄

    ○横路委員 開銀の方にお尋ねいたしますが、そうすると、開銀としては、今の御答弁では、山下汽船だけが返さないものに対して割当てたのであるはらば不当だが、ほかの汽船もみな返さないから、それは何でもないのだ、そういうふうに聞える。この点は、この会議録を読んでみましても、海運会社というものは、開発銀行から金を借りたら返さなくてもいいという観念が終始一貫かれらの頭の中にこびりついて離れない。現に私は前にも問題にしたことがございますが、昭和二十六年八月二十七日午後三時半、運輸省八階会議室の第一回造船業合理化審議会議事録でも、議長の石川さんが、第七次の船をつくるに船主は全部借りるつもりかと言うと浅尾さんが、今までの借金は全部返さないで、そうして第七次のものを借りると答弁している。これは海運界に一貫した方針なんです。この点は開発銀行というものは、一般市中銀行と違つて、国の財政資金を預かつておる。ほかの会社についても払わないところがあつたら、どんどん落して、私はあなたと逆に、新しい船会社であつて償還が順調に行われている船会社に当てるべきではありませんか。のれんが古いからといつて当てるのですか。その点はどうなんですか。そうすると、第九次前期、後期に当つたもの全部が、それなら第五次、第六次の償還期の来ているものでも払わないでいいのですか。払つてないといつていいんですね。その点はどうですか。
  73. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 われわれは金融機関を預かつておりますので、償還の最も確実なものというところに固着いたしますのは、これはほつておいてもそうなんでございますが、国策によつて三十万総トンをつくらなければならないということでございますならば、そのつくられましたものがいかに国の役に立つように運営されるかということ、先その中で申しますならば、事業の素質、別の言葉で言いますれば、育成価値がありやなしやということ、結局償還がいかに安定であるかということとある程度乖離いたしますけれども国民経済にいかに役立つかということ、そういう育成価値のありなしという方面の要素を全然無視して考えますと、いかにもこれは金貸し根性であるといつて業界から笑われる。結局事業金融というものからは笑われてしまいますので、そういう点を十分考えましてその一つが世界的な信用云々、のれん云云ということになつたわけであります、そういつた点を十分に考えました末、なりましたので、三十万総トンをつくるということが前提である限り、われわれとしては全力を尽してやつたわけでございます。
  74. 横路節雄

    ○横路委員 それじや私はあなたにお尋ねいたしますが、そういうふうにいわゆる古いのれん、世間的信用ということになれば、私はあなたにお尋ねしたいことがある。それは栃木汽船である。それならば栃木汽船は一体世界的にどういうふうに有名なんですか。栃木汽船につきましては私はこれははなはだおかしいと思うのは、あなたの方からいただいた海運会社の保証についての一覧表の中に、九次で保証人を定めたのは、栃木汽船三井船舶、乾汽船三井船舶、問題になつた東西汽船大阪商船、この三つだけが保証人を別の会社に求めている。しかもこの栃木汽船は店としては古くない。大阪商船日本郵船山下汽船と同じように有名でございますか。しかもわざわざ三井船舶に保証を頼まなければならない。そうしてこの栃木汽船は現に償還がどうなつているか。第六次でふしぎなことに乾汽船も千三百七十八万六千三百六十八円、これは第六次で内入れ延期、栃木汽船については千五百九万九千三百八十九円の延期なんです。どうもこうやつてみると、おかしいですな。この点はどうなんです。栃木汽船にわざわざ連帯保証を求めてまで割当をした理由は何ですか。     〔天野委員長代理退席、大上委員長代理着席〕
  75. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 栃木汽船お話でございますが、かなり古い会社でございまして、一般には知られていないというふうなお話がございましたが、業界ではかなりよく知られておりまするし、これは確か一番目か二番目くらいにはしけの非常に多い会社でございます。従いまして、そういう関連で信用力もあるということでございます。
  76. 横路節雄

    ○横路委員 そこで私はあなたにお尋ねしますが、栃木汽船は第六次で、うめ丸というのが計画造船で割当つただけで、九次の後期まで当つていない。もしも栃木汽船があなたの言うように信用があつて、古い店だというならば、なぜ六次に一回当つたきり、七次前期後期、八次もなくて、九次後期にやつと当つている。あなたの言うほど非常に評判がいいものなら、なぜ当てないのです。
  77. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 実はその前のは私どもは関連いたしておりませんので何とも申し上げられませんが、私ちよつと説明漏れをいたしましたが、栃木汽船はオーナーでございまして、三井船舶に用船に出すということでございます。そういう意味で世界的なものにつながつて来るのです。
  78. 横路節雄

    ○横路委員 私は今の審査部長のお話はおかしいと思うのです。それでは私はここで海運局長に、第十次計画造船に触れてお伺いしておきたいのですが、あなたの方では今、市中銀行からの融資がなかなか困難で、開銀で全部やつてもらいたい、そして市銀としても業界の再編成をしてもらわなければならぬ、こういう意向です。そのときにあなたのおつしやつたように、たとえば栃木汽船ならば、三井船舶に、それを用船として貸し、金は一銭も銀行に返さない。そうして船は十億でつくつた、その船をたとえば三井なら三井に、年間のチヤーター料を払わせておる。国の金で船をただでつくつて、利子は払わない、金は返さない、そうして船会社に船を貸してチヤーター料をとつて店を張つている、こういうばかな例はあり得ないと思う。今日の海運界はこんなおかしいことをやつている。栃木汽船は、そうすると、あなたたの言う山下汽船日本郵船大阪商船等がのれんの古いというのとは違うのですな、どうなんです。海運局長ちよつと待つてください。どうも話が一貫しない。そう政治的に答弁されては困る。
  79. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 海運業界のことはかなり専門的のようでございますが、私自身も今度大分勉強したのでございます。オペレーターとオーナーとがございまして、オーナーは当然オペレーターに出すわけでございます。その場合に、それならば何もオーナーに船をつくらせないで、オペレーターにつくらせればいいではないかという御疑問がすぐお起りになるし、おそらくそれによつて今の御質問もあつたのではないかと思うのでございますが、オーナーはオペレーターに比べれば、比較的小さな船会社でございます。従いまして、その中の船員あるいは諸経費その他がやはり郵船、商船といつたような大きな会社よりは当然倹約できるのでございます。従つてそういうところからオペレーターが借入れて運営することが、結局全体的に経費の節約をし得るというのが現状でございます。本来のオーナーであるならば、みずからの金でもつて船をつくつて、そいつをオペレターに運営させるということであつたかと存じますけれども、その船自身が戦争によつてすべて犠牲になつてしまつた従つてそれを補うというような意味で、国の政策といたしましてもオーナーを全然除外するという方式はおとりにならないで、やはりオペレーターに次いで、あるいはオペレターに並んで、オーナーにもある程度の船をつくらせて行くことが最も公平であるというお考えがあるわけで、それにわれわれは金融の許す限りのつとろうということでやつて来たわけでございます。
  80. 横路節雄

    ○横路委員 岡田さんにはあとでお尋ねしますけれども刑事局長に私はお尋ねしたいのでありますが、実は山下汽船については、非常に私ども疑問にたえないのです。実際に開発銀行としてなぜこういう措置をしたかということが、どうしても了解できない。開発銀行は少くとも市中銀行より慎重で、もつと詳しいということを市中銀行がほめているというのですから、そうすれば日本特殊産業に対する浮貸がいわゆる一億五千万ということは最後にわかつたにしろ、昨年の九月の十五日、後期を割当する前にわからなかつたわけはないと思う。それで私が刑事局長にお尋ねしたい点は、この間新聞を見ておりますと、山下汽船の社長横田氏が、横田メモなる中で、犬養法務大臣に三十万円を渡したということで、犬養さんの談話として横田社長が自分に、選挙のときでしたか持つて来たが、自分はいらない、お断りしますと言つたら、そばにいる人——選挙に出ようとする候補者で、これは当選しているのじやないかと思いますが、その人に金を渡した。こういうように新聞に出ておるのです。山下汽船の横田社長が、三十万円を犬養さんに持つてつたが犬養さんが受取らなかつた、たまたま同席している、そのときに選挙に出た人か、おれがもらつておくからというのでもらつた、こういうように新聞に出ているのです。この点は私は非常に大事な点だと思いますので、この点についておさしつかえなければ、私の言つたことが間違いかどうか、もしもあなた刑事局長としておさしつかえなければ犬養さんだつて事重大なんですから、そのとき同席している人に渡したという、もしも相手の人がわかつてつたらお知らせいただけるとたいへんいいです。
  81. 井本台吉

    ○井本政府委員 横田メモの関係は、新聞紙の伝えるところによりますと、相当多数名前が出ております。これらにつきましては、ある程度東京地検で調べておるのでございますが、ただいままでここで御発表申し上げる段階にはなつておりませんので、一切のことは全部一括して適当な段階に至れば、発表し得べきものは発表したいということでございますので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  82. 横路節雄

    ○横路委員 それではこれは刑事局長もいろいろあなたのそれぞれの職責もありましようから、適当な段階に横田メモについて取調べの結果の全貌を明らかにされるというのですから、それを期待して待つております。それで問題は、私どもこのごろこういうことを次第に聞くのであります。この造船汚職の問題がずつと出て来ますと、おれは実は金はもらつた、もらつたが、選挙に使つたんだから何でもないよ君、こういう話を聞くのであります。なるほど選挙にもらつたことは、これはさしつかえないかもしれませんが、もらつて選挙に使つたとしても、昨年の四月十九日の選挙のときに、本人が何々海運会社、何々造船所、船主協会、タンカー協会、造船工業会からもらつたということを届出なければ、これは政治資金規正法違反、公職選挙法違反で罰せられますね。この点だけは私はあなたに法的な根拠をはつきりしておいていただきたい。
  83. 井本台吉

    ○井本政府委員 個人の場合でありますれば、公聴選挙法百八十四条以下ですか、あの罰条に該当すれば——それぞれ百八十四条以下の事項に該当すれば、公職選挙法に罰則の適用の規定がありますから、事案といたしましては公職選挙法違反ということになる場合があると思います。
  84. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると今の点は、相手の会社から金を受けた、選挙に使つてくれ、陣中見舞だ、そうしてこれをいわゆる公職選挙法の定めによつて、届けていれば、これは何でもないですね。もしも届けていなければ当然これは該当するという今の御答弁でございますね。その法律的な点をもう一ぺん。
  85. 井本台吉

    ○井本政府委員 あなた個人的によく御勉強になつておられると思いますが、百八十四条以下に該当する事由があれば、それぞれ罰条の規定に該当いたしますから、そうなれば公職選挙法違反ということになります。さよう御了承願います。
  86. 横路節雄

    ○横路委員 銀行局長はお帰りになつたのですか。
  87. 大上司

    大上委員長代理 ちよつと帰しました。
  88. 横路節雄

    ○横路委員 それでは総務課長に、実は開発銀行から、貸代資金返済一覧表の中で六次の肩がわり、七次前期の肩がわりについてそれぞれ詳細に資料が出ているわけです。六次の肩がわりについては市中銀行の二割を肩がわりして、二十一億六千六百万円を肩がわりしているわけですね。この点については私はこの会議録で相当詳細に調べましたところ、大蔵省側としては肩がわりは絶対に反対をしているわけです。ところが開銀の総裁の小林さんは、小林個人としても二十億程度は肩がわりすることができるというような答弁をしているのでございますが、この六次の肩がわりと七次の肩がわりをしたのはいつでございますか。私は一括して肩がわりをしているのじやないかと思うのですが、大月さん、ひとつ御答弁を願いたい。
  89. 大月高

    大月説明員 ただいまの問題、私詳細承知いたしません。必要がございましたら資料をもつて御答弁いたします。
  90. 横路節雄

    ○横路委員 松田さんにお尋ねいたしますが、昭和二十七年十月三十一日、運輸省の局長会議室でこの市中の融資分についての肩がわり相談しておるわけです。そうして相談している中で非常に重要な点は、開銀の方を先に返すか、市中銀行の方を先に返すかという論議、つまり担保についてどちらの方が優先するかということと、もう一つは今の六次と七次の肩がわりについて二割方肩がわりをするようになつているのですが、これが最終的に決定されたのはいつでございますか。
  91. 松田太郎

    松田説明員 今調べております。
  92. 横路節雄

    ○横路委員 調査をいただく間岡田さんに伺います。第十次計画造船について審査部長からお話のあつたことは、極端に言つたら、ああいう社会通念が今日の多くの造船汚職を生んだと言うと悪いけれども、いわゆる政府の財政資金で利子も払わない、元金も払わない、船だけつくつておいて、どこかの会社へ貸してやつてしまうということでは、これは当然業界再編成の問題に来ていると思います。この第十次計画造船に対して、市中銀行では今のままでは貸さないと言つているのですが、あなたの方ではいわゆる業界の再編成についてどういうお見通しなのか、ひとつ簡潔に的確なところをお答えいただきたい。
  93. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今のお尋ねのポイントは、オーナーに船を持たすべきであるか、オペレーターに持たせたらどうか、こういう点が第一だろうと思います。オーナーに船を持たすのがいいかどうか、これはいろいろ議論のわかれる点でございまして、私ども計画造船をやりました当初からこの点を議論して来たのでございますが、船をつくる場合に、もしこれをオペレーターだけに持たすといたしますと、戦前のオペレーターと違いまして、今日の日本郵船にしても、大阪商船にしても、ほとんど持船を失つて担保余力というものもそうたくさんない。従つてこれにいくらたくさん持たそうとしても限度がある。だから毎年二隻ないし三隻ずつ程度持たせて行つてずつと長く続ける以外にしようがない。そうした場合に三十万トンなら三十万トンの船をつくるといたしますと、あらゆる船会社の手を通じて市中資金を集めて来る。できるだけ触手を多くして財政資金以外の金を集める、こういう方法をとるべきである。もう一つは、はなはだ遺憾なことは、私どもの考えと現実はやや反対になつておりますけれども、私どもはオーナーに船を持たすということは海運景気の一つの緩衝地帯としたい、こういうふうに考える。オーナーに船を持たせて、それをオペレーターが用船をいたします場合には、普通はいかに運賃が下つても、その運賃から割出した用船料というものがある。これをチヤーターベースと言つていますが、このチヤーターベースで船を雇わなければならない。そうするとオペレーターは少くとも雇い上げた船については損をしない。しかも荷主からの輸送需要に応じられる。そうすると非常に低い運賃から算出した用船料で雇い上げられますと、オーナーというものは非常に苦しい。ところがオーナーはたいていの場合はほかに資産を持つている。中には苦しいときにはその船員の給料を払うために、昭和六、七年ごろの例ですが、自分の奥さんの着物を質に入れて給料を払うということまでした。従つて景気の緩衝帯としてオーナーを使うということは、こういう不景気になつてもオペレーターが何とかやつて行ける一つの道である。こういうのでオーナー船を持たせて行つた。実際は最近のオペレーターの方の意気込みが少し足りませんので、オーナーに押されて高い用船料を払つておる。従つてオペレーターの経理が苦しくなつておるという状況です。それに対して私どもは郵、商、三井あたりの大手筋を集めまして、お前たち何をやつておるのか、もつと用船料をたたいて、ほんとうにオーナーに船を持たせた意義を発揮すべきであるということを再々申しておるのでありますが、現実にはそういう状態であります。今後船について、それではオペレーターだけに持たせればよいじやないかということですが、もう郵船にしても商船にしても、せいぜい多く考えても二隻つくる余力があるかどうか、従いまして今後はやはり船をつくります場合は、担保の点からいたしましてその船をつくり得るだけの信用力を持つておるところをかき集めなければならない。それからもう一つ今問題になつておりますのは、オーナーの数が多いということよりは、オペレーターは自分で経営する者が多くて、お互いの間に苛烈な競争を展開しておる。業界の再編成が問題になつておりますが、むしろオペレーターの数を減らして競争を緩和したらどうか、こういう点であります。開銀の総裁あたりが盛んに言つておる。しかしオペレーターにしてもそれぞれの看板といいますか、昔からののれんをもつて売り込んだ名前がありますので、そう簡単には行かない。しかしこれは、やはり今後の造船計画の上において、各航路ごとに、この航路においてはどういう船会社を重点にして行くか、こちらの航路はどの会社というふうに、一つの中心点をきめてそれに経営を移してしまう、あるいはその傘下に入れて経営させる、こういうふうな航路の調整等、こういう面には何とか強力に進めたい。  それから、ちよつと長くなりましたが、先ほど仰せの、開銀側か期限が来てそれを繰延べをしておるような会社に貸すのはけしからぬじやないかということでありますが、これは先日もここで御答弁申し上げましたように、十次造船をやるのにどうしたらよいかというポイントになるわけであります。今横路先生初め各先生方から、開銀の融資の方法がルーズで困る、端的に言うとこういう意味のお話がありましたが、市中銀行の側から言うと、開銀の融資条件はきつくてきつくて、ああいう開銀の融資条件であるなら市中銀行はとうていついて行けないということです。それて郵、商、三井外全部が担保能力がなくて期限が来ても全部返せない。しからば、それでは船をつくらないでよいかということになると、船をつくらなければ大きな社会問題、労働問題が起る。ですからそれを解決する道は何かと言いますと、開発銀行が、銀行性格からもうこれ以上の融資をすることはできないというならば、別の機関をこしらえて、そうしてその機関で船を持つなり、あるいは国家の金を貸すようなかつこうで出すか、しかしそれにしても少くとも今年一ぱいは、そういうようなものを待つていてはできない。それでは、今のままで推移するならば開発銀行融資条件を相当ゆるめてもらつて、そうして市中銀行融資し得る余力をつくり出して行く、これ以外に道はないわけであります。その点が第十次造船までの非常な悩みで、先生の御説明になつておる点と反対のことを申し上げましたが、この点は十分御考慮願いたいと思います。
  94. 横路節雄

    ○横路委員 開銀の松田さんにお答えいただきたいのですが、森田汽船ですか、第九次のタンカーとして第三雄洋に割当をしておりますが、この点は、第六次以降全然割当てをしておらなかつたのに、初めて割当をしておりますので、ちよつと疑義を感じますからここで御答弁いただきたいと思います。  それから井本刑事局長にお尋ねいたしますが、先ほどの横田メモについて、犬養法務大臣は私の質問については別に否定も肯定もされないで、適当な機会に御発表なさるというお話でございましたが、国会の会期は大体五月八日までなんですが、六月にも七月にもなるという意味でございましようか。それとも今月一ぱいくらいまでに御発表なさるというのですか。大体そこら辺のお見通しはどうでございましようか。
  95. 井本台吉

    ○井本政府委員 捜査がいつ終るかわかりませんので、今何月ころということの予想を申し上げることはとうていできません。いつごろになるか的確に言えと言われても、われわれとしてはあやふやなことを申し上げても何にもなりませんので、いましばらく状況を待つていただきまして、その上で考慮いたしたいと思います。
  96. 横路節雄

    ○横路委員 私の先ほどの点については否定も肯定もなさらないわけですね。横田メモによると犬養法務大臣に三十万円持つてつたが、それはお断りしてはたの人に渡したという。それはだれかと聞いたのですが、その点は否定も肯定もされないというふうに受取つてよろしゆうございますか。
  97. 井本台吉

    ○井本政府委員 さようなことについては、全部一括して適当な機会に、適当と認める方法でお答えいたしたいと思います。
  98. 松田太郎

    松田説明員 先ほどの御質問の第六次の分が二十七年二月です。それから第七次の分が二十八年の三月、こうなつております。
  99. 横路節雄

    ○横路委員 それから森田汽船の第三雄洋丸の割当はどういう理由でやつたのか。
  100. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 詳しい数字を記憶しておりませんが、一般的に申しまして、タンカー会社は貨物船会社よりも数段成績がよろしかつたわけでございます。従いまして、貨物船会社に対して貸すよりも、タンカー会社の方により多く貸したいという気持が当時あつたわけでございます。ただ先ほど申しました育成価値云々という問題から申しますと、荷の上げ下げといつたようなことに相当の技術あるいは信用を持つているところに、どうしても重点を置かなければならないということで、その限りにおいてはタンカーを少し減点いたしてわれわれは採点いたしおります。
  101. 大上司

  102. 杉村沖治郎

    杉村委員 今横路委員からたくさんお聞きになつた。私も実はさつき聞きたかつたのですが、ほかの委員の御質問もあろうと思つて遠慮しておつたのですが、山下汽船の問題なんです。山下汽船は、先ほどからの説明によりますと、いい古いのれんでどうとかこうとかいう話なんです。私は山下汽船の営業報告書及び決算書等をここに持つているのですが、山下汽船は資本金は八億円ですか、それでたくさんの金を開銀から借りて、今船をつくつております。昭和二十八年の四月一日から昭和二十八年の九月三十日までの間の欠損が四億八千五百五十一万四千三百八十七円となつておる。これは山下汽船の営業報告書なんですが、こういうような状態会社に金をたくさん貸しておいて、これが償還期にはたして償還でき得るというようなお見通しでありますか。開発銀行松田さん並びに海運局長からちよつと御意見を伺つておきたいと思います。
  103. 松田太郎

    松田説明員 率直に申し上げまして、海運界の事情が最近のような事情が続いておりますものですから、船会社決算の状況がいずれもよくないことは事実なんであります。ただ問題は、いかにして今日の海運政策という点から船をつくらなければならぬかという点からいたしまして、私どもといたしましては、やはり長期資金を貸します以上は、船会社がこういう不況にどの程度耐えて行けるかという点が一つの大きなポイントだと思うのであります。そういう意味で私どもといたしましては、その船会社の担保力と申しますか、そういう点がどの程度にあるかということを、特に償還とかいうような点につきましては考えて参つたのであります。従つて今申しましたような点については、担保力に相当重点を置いて、その会社の維持力といいますか、耐久力がどういうぐあいにあるかというような点を考慮もいたしております。そういうようなぐあいにいろいろな観点から、先ほど審査部長から申しましたように、約五つばかりの観点からいろいろ検討いたしまして結論を出しているわけであります。なお私の申し足りない点は審査部長から補足いたさせます。
  104. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま開銀から御答弁のあつた通りであります。私どもはむしろ先生方が言つていらつしやることと反対に、何とか十次造船の目鼻をつけたい。ところが開銀はこのごろ非常に態度をかたくされまして、開銀の今のような態度では全然進められないのじやないか。国会で少しやかましく言われたつて、もう少し開銀は造船の見地から大局的に考えていただきたい。開銀がほんとうに開銀としての性格からできないものなら、ここで政府としては別の見地から考えなければならぬ、そういうふうにして話しておる次第であります。たいへん申訳ありません。
  105. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういうことであれば別の方途を国会に求めるべきであつて、この日本開発銀行法定款には、先ほど申しましたように、償還の可能なること、確実なる限りにおいてと明らかに書かれているのです。国民の金を貸し出すということは、日本開発銀行法という国会でできた法律によつて貸すことになつておる。それをただ皆さんは船の総トン数をつくるためにというお答えであつて、私が今尋ねたことには答えていない。そのお答えは、あんなにたくさんのことを言わぬでも、回収償還の見込み可能なりやいなやということを聞いているので、造船の必要性の有無を問うているわけじやない。だからこの開発銀行法並び日本開発銀行定款に基くところのいわゆる償還を確実なるものと見て貸しておるのか、また現在の状態においても償却可能なりと見ておるのかどうか、要するにイエスかノーかなんですよ。あまりそういう船の必要性ということはあなた方から伺わなくてもいいのです。私は要するに国民の金を開発銀行法に基いて償還できることを可能と見てあなた方がお貸しになつているのだと思う。また開発銀行定款もそうだと思う。そんなことをいいかげんにして貸されていたのでは、国民はたまつたものじやないのだから、あなた方のお貸しになつているのは、少くとも日本開発銀行法並びに日本開発銀行定款に基いて貸しておるのだと思うが、今日のごとき船会社の造船疑獄が起つておるという状態において、私が先ほど申しましたように、ここに現実に山下汽船定款、損益計算書まで出して申し上げているのですが、これでも償還が可能なりやいなや、これだけを聞くのです。船をつくることの必要の有無を皆さんから伺わなくてもいい。あなた方は開発銀行として金を貸したのだから、貸した金が返るか返らないか、そのことなんだ。船をつくることの必要性ということは国家が考えることだ。国会が考えてさらにやるならやることになる。政府も考えることなんだ。あなた方が銀行として定款並びに開発銀法に基いて貸した金が、とれる見込みがあるかないかということを聞いている。船をつくるにどうのこうのということでなくて、もう少し簡明に、回収できることが可能なりや、当面困難なりや、どちらでもいいのです。あまりよけいなことを言わぬでください。
  106. 松田太郎

    松田説明員 その点につきましては、私の方といたしましては、先ほど申しましたように、担保力という点について見まして、そうして償還できるかどうかというところにおちつかざるを得ないのです。
  107. 杉村沖治郎

    杉村委員 可能か不能かということを聞いているのです。見通しがあるかないかということを聞いているのです。担保力があるかないかということはどうでもいい。要するに貸した金が返ることが可能な見込みがあるかどうか、これだけなんですよ。
  108. 松田太郎

    松田説明員 担保によつて可能と認めます。
  109. 杉村沖治郎

    杉村委員 海運局長はどうですか。
  110. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 杉村委員のお尋ねは最終的に返るかどうかということですか、あるいは貸付の条件に基いてなのでしようか。それはもちろん開発銀行からお答えがあつたように、貸付期間中といいますか、相当長期になつておりますが、決して御迷惑をかけることのないものだ、かように考えております。
  111. 大上司

    大上委員長代理 吉田賢一君。
  112. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はきようはリベートの問題について刑事局長を中心に、できるだけ本委員会の審査の資料になる事柄を御説明願いたいと思うのであります。  申し上げるまでもなく、開発銀行が約八百億円に近いものを五次造船以降融資を実行しておりまするし、また数億円に近い市中融資も行われております。特に、復金見返り資金、開発資金等貫しまして国家資金が流れておりまするその行方につきましては、当委員会は相当厳重にその行方を調べて行く責任を持つております。一面、今検察庁におきましては、別のお立場から犯罪捜査をしておられる、あるいはもうすでに幾多の起訴事件もあつたように聞いております。こういうようなさ中でありまするので、全部が全部いろいろと伺うということはさしさわりのある事柄もあろうかと存じますけれども、そういう趣旨におきまして、われわれはいわゆるリベートなるものの実態をほんとうにつかむのでないと、財政資金の行方が適正であつたかどうかの終局の判断が困難になると見まするので、そういうような意味におきまして、ひとつ協力してもらうために、そのリベートの生態の御説明を願いたいと思うのであります。  そこで逐次伺つて行きたいと思うのでありまするが、まず第一に、一体リベートというものは、当委員会におきましても、第一回以来、断続的に質疑が行われたのですけれども、はつきりしないのでります。そもそも、今検察当局並びに法務省におきまして把握しておられる、この計画造船融資をめぐりましてのリベートというものは、どういうものであるのでしようか。その概況をひとつ御説明願いたいと思います。
  113. 井本台吉

    ○井本政府委員 これは吉田さんにお願い申し上げるのでございますけれども、リベートの問題は商慣習があるとかないとかいうようなうわさもありまするし、一体どういうのがリベートであるかということが、口にはされておりまするが、それではその内容はどうかということになると非常にむずかしい問題でございます。私どもリベートを一応かように定義しております。通常、割引、値引、割もどし、歩もどし、割返しなどというのが、これが結果的に見ると外国で言うリベートである。代金額が弁済されているという点で、普通行われている割引または値引に似ておるが、代金額の弁済ではなくして、恩恵またはサービスとして代金の一部に相当する金員を割もどすという点が割引とは本質的に違つておる、かようなものがリベートであると、こう見ております。ところで、今問題の造船関係の事件におきまして、これをどう扱つておるかという点は、今たくさんの事件を検挙して研究中でございますので、詳細の点につきましては捜査の便宜を御考慮くださいまして、しばらく発表の点は御猶予いただきたいと存じますが、すでに起訴になつておる事件が一件ございますので、この点を申し上げます。それは本年の三月十二日に山下汽船の社長の横田氏と吉田氏両名を商法違反ということで起訴しております。簡単でございますから読み上げます。両名は共謀の上、第一に昭和二十四年十二月末ごろ浦賀船婆株式会社と新造船の建造請負契約を締結するに際し、リベートを含めて建造請負代金を四億二千万円と定めた上、浦賀船渠株式会社支配人小田千馬木氏より昭和二十五年一月下旬ごろより同工十七年十二月末ごろまでの間合計千三百万円を受領し、第二、さらに昭和二十五年三月初旬ごろより同二十八年九月末ごろまでの間、日立造船株式会社と新造船七隻の建造請負契約を締結するに際し、リベートを含めて建造請負代金を合計七十二億六百万円と定めた上、日立造船株式会社常務取締役金子喜三郎氏より昭和二十五年三月末ごろから同二十八年十月上旬ごろまでの間合計九千万円をそれぞれ受領し、これらを任務に反して費消し、山下汽船株式会社に対してリベート受領相当額の財産上の損害を加えた、こういう事実について公判の請求をして東京地方裁判所の審判を求めております、これがリベートの一つの典型的な型態でございます。そのほかにもたくさんいろいろな型態がございますが、先ほど申し上げましたように、これは今調べ中でございますから、発表の点はしばらく御猶予いただきたいと存じます。
  114. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この点もおわかりでございましたら御説明願いたいと思うのですが、いろいろと御調査になりました過程におきまして、リベートはおよそ第何次ごろから行われておるものでしようか、あるいはこれは商慣習で昔からずつとあり、各種の産業において行われておるということも世上伝えられておるのでありまするが、これは犯罪性があるとかないとかは別といたしまして、終戦後ずつと引続いてということになつておるのでしようか。五次以後はずつと行われておつたのでしようか、その辺はどうしたものでしようか。最近の苛烈な競争ができるようになつてから発生したものでしようか、それはいかがでございましようか。
  115. 井本台吉

    ○井本政府委員 私調べの結果に基いて正確な御答弁ができないのでその点御了承の上お聞取り願いたいと存じますが、造船関係では私ども関係では第五次以後に行われておるのではないかという考えを持つております。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これもただいま前置きしました趣旨を御了承の上でけつこうでありますが、今の日立の七十二億六百万円に対して九千万円、それから四億二千万円に対して千三百万円、こういうことになりまするので大体このくらいの率——伝えられるところによると、もつと大きく三%、五%というものもあるとかいうふうに聞くのでありますが、これも犯罪の嫌疑ありということのいかんにかかわらず、そうでない場合もあろうかと存じまするが、かなり高率な五%とか七%とかいうようなものもあるわけなんでしようか、あるいは大体こういう程度のものが普通のリベートということになつておりましようか、その辺はどうでしようか。
  117. 井本台吉

    ○井本政府委員 まことに恐縮ですが、実態は今起訴した点だけがわかつておるので、そのほかの実際の商慣習とか実情とかはよくわかつておりません。その点だけは起訴したものでございますから、相当確信を持つておりますが、そのほかの点は、今はつきりしておりません。
  118. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今御説明になりましたところによりますと、契約船価に含まれておるようになつております。そうしましたら、これは当初開発銀行あるいは市中などへの融資の申込みをいたしましたその船価に当然入つておる、こういうふうになるのでしようか。海運局長ははたでお聞きになつておりましたでしようが、融資の申込みの船価というものは、当然最後の造船会社との契約船価になつておるかと思いまするが、やはり最初からリベートを含んで融資を受ける、こういうような申込みが行われて来ておるという実情にあるわけなんでしようか。これは海運局長にお答え願いたい。
  119. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもは、最初に船舶を建造する場合の融資申込みの中に、さようなリベートの額を積算の中に入れておるとは考えません。
  120. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今知らないとおつしやつておりまするので、あとで伺うことにいたします。  そこで、刑事局長になお生態を伺いたいのですが、そうしますと、このリベートというものは、一応は契約船価に含まれておつて、それで返されておる。返された場合に、これが船会社の経理に入つておれば、船会社は何も損失はないように思われます。船会社の会計に記入され、経理されることがないので、犯罪性を帯びる、こういうことになるわけなんでしようか。
  121. 井本台吉

    ○井本政府委員 大体はお話の通りと存じます。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうでない場合、つまり船会社の正式な帳簿あるいは会計経理に繰入れられておるという事例も相当あるわけでございましようか。このくらいのことは、御説明くださつても、格別どこにも支障がないと思います。
  123. 井本台吉

    ○井本政府委員 先ほど申し上げましたように建造の際にすでに水増しをはつきりさせまして、銀行から金を詐取したとまで言い得る状況のものも中にはあります。それからリベートを受けまして、そのリベートを別途に積み立てて、その金が正式には会社の経理には入つておりませんが、会社の必要な交際費等に支出されておるというような事案もございます。それから全然さような会社のためには使われないので、その関係者の個人のふところに入つてしまつておるというようなものもございます。生態がいろいろありますので、一概にリベートであるというので、それがただちにどれに該当するかということは申し上げられない次第でございます。     〔大上委員長代理退席、天野委員長代理着席〕
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今、刑事局長の御説明によりますると、リベートが契約船価の中に入つてつたということであります。あなたの方では、最初審査なさるときには、契約船価を構成する内容については逐一いろいろな角度から御調査になつておると思う。そうしますると、九千万円というものは穴になる。その穴は仕事の上で手抜きをするか、材料を粗悪にするか、何かするか、それとも当初から九千万円というものを水で割つて大きく計算しておつたか。そのどちらになるのでしようか。あなたの方の御判断を聞きたい。
  125. 松田太郎

    松田説明員 私の方でも船価の点につきましては、できるだけ十分注意して調べました。今のお話のように、その中にリベートに当るようなものが入つているということは考えません。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 開銀の方と岡田海運局長になお私からも申し上げますが、あなた方らが具体的事実を当初から知つておられたのではないかということを前提にして、私は申し上げるのではないのであります。現実の事実として、すでに起訴されておるのであります。  そうして今のごとく契約船価の中に含まれておるという判断もあるのでございます。そういたしましたら、その事実から顧みて何らかの御意見が生れて来なくちやならぬと思う。あなたの方で最初からそれを知つておられたというふうに前提して聞いているのではないので、やはりそれは借主の申込みに不正な内容があつたかどうか、それとも仕事の上で適当にごまかされて済まされてしまつたのであるか、その辺を明らかにしたいので、金をお貸しなさつた、審査の決定をしたあなたの方にこれについての御意見を聞くのでありますから、そのつもりで御答弁願いたい。
  127. 松田太郎

    松田説明員 その点は審査部長から御説明申し上げます。
  128. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 お答え申し上げます。私ども第九次船の建造につきましてリベートなるものは存じておりませんが、船価についてはなるべく安い方が融資をいたすに都合がいいわけでございますので、船価の内訳につきましてはそれぞれ検討いたしております。私リベートなるものについての実体はよく存じませんけれども、私どもの常識で考えますのは、おそらく一%か二%くらいのものではないか、もしあつたとすれば、そんなふうに考えております。かりに一%か二%程度のものでありますると、第三者が外から見ました場合に、かりに行われておるとしても発見がなかなか困難であります。一つの例を申し上げますと、最も簡単な築造物としてのわれわれの住宅がかりに坪五万円としますと、一%違います。と、四万九千五百円ということになるわけでありますが、これは四万九千五百円がほんとうで、五万円がうそだということは、なかなか言い切れない。それ以上に船価というものは、トン数あるいは速力、機関のいかん、あるいはシーク・ルームがあるかないか、いろいろ重なりますと、非常に複雑になりますので、第三者として外からなかなか判断しにくいわけであります。  それから本来リベートというのは、私ども承知しております限りでは、船にかけるのはおかしいので、利益のうちを一部さいて行くというのが、ほんとうのリベートであろうかと思います。もし、造船会社が何パーセントかの利益を上げるような原価計算が出ておるようでありますが、そのうちの一%をリベートにまわしたといたしますれば、その場合に船価に何ら影響がないということも出て参りますので、そうなると非常にありがたいのでありますが、実際はなかなかわからない、こういうふうに申し上げるわけでございます。しかしそのために貸金がよけいになり、あるいは補給金等がかさんで、国民に迷惑をかけてはいけないということで……。
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それはあとで聞きます。刑事局長に伺いますが、これはそもそもどこから、たとえば時間的に申しますれば、最初からそういうことを前提として、一般にこういうことが商慣習で行われておるということが真でありまするならば、もう最初から両方とも了解し合つて、そしておよその率までもあるいはきまつておるかもしれない、しかしそうでなくして、やはりはげしい競争をしなくちやならぬために金が必要だというので行われるのか、そうでなくしてもつとのちにこれが企画される、あるいは行われるに至る、またそういうような場合であれば、どちらが主であるかという違いも生じて来ると思います。一番最初に私が申しましたような場合には、お互いにわかり切つておるから、公然渡してしまうということになるのでしようが、その辺は一体このリベートというものは、どこに最初の発意が行われて来ることになるのでしようか、どこにこういう事実を発生せしむる主たる原因があるのでしようか。くどい質問でありますので、お答えが御困難かわかりませんが、私はどこに主があつてこういうものが起つて来たかという、その真相を知りたいので聞くのであります。
  130. 井本台吉

    ○井本政府委員 私は、やはり業者というか、造船会社の競争がはげしいために、多少のリベートを出しても注文をとりたいというような点が、そもそもこういうものが発生したものではないかと臆測するのでありますが、実際にいつごろからかような慣習というか、行為が行われたかということについては、まだ明確な実態をつかんでおりませんので、はつきりしたことは申し上げかねる次第ごでざいます。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 船のことについては命がけで御努力になつておる岡田局長、あなたはこれは底の底までいろいろと御承知と思いますが、一体これはどこに主たる力があつてこういうものが生れて来たのでありましようか、それをひとつ御解明願いまして、参考にいたしたいと思います。
  132. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 このリベートですが、戦前におきましても、これは慣習というほど行われてはいなかつたのではないか、船会社の中でも郵船とか商船のような会社は、全然そういうことをやつてなかつた、しかし山下のような個人会社はある程度やつた、こういうふうに聞いております。従つてこれを慣習と言つていいかどうか、ちよつとわかりかねると思いますが、会社によつて違います。従つてそういうふうなことを耳にしておりましたので、計画造船をやりましてから、絶対そういうことがあつてはならぬということを言明して来た。従つてどもはそういうものがないものと信じてあつた。それで計画造船になつてからそういうリベートのようなものが、今度の事件が起つて初めて知つたのですが、なぜそういうことをやつたのだろうという点については、今、刑事局長からお話のように、あるいは造船所が長く船会社の注文をつなぐためにやるというふうな見方があるわけであります。しかし同じ造船所でつくつた会社でも、そういうリベートをもらつてないところもある。従つてやはり船会社の社長なり重役連中がそういう余分の金をもつていろいろな目的に使いたいというような気持のところが、そういうことをしたということじやないかと思います。これも推察でございまして、的確なことはお答えいたしかねるのでございます。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今刑事局長が答えてくだすつたのですが、日立とか浦賀、これは相当大きな造船所であります。造船所自分が主になつてリベートを出す、そうして仕事がほしい、そういうような関係に事柄があつたといたしますと、大きな造船所が必ずしも経営がいいとは思いませんけれども、しかしそうたくさんにない日本造船所におきまして、こういう有数なところでリベートが行われておるということでありますと、こういうものはかなり広く一般的に、普通に行われておるのではないでしようか。その辺は、それがただちに犯罪性を帯びるとか何とかいうことになつて来ると、えらい問答かけわしくなるのですけれども、そうでなく平易に考えまして、私どもはこういう有数な工場におきまして、リベートが行われておるということになれば、いわんやいろいろかき探して仕事をとつて来ようという小さいところは、もちろんこれは一般的に行われておるというくらいのものではないでしようか。その辺はこれもお答えが願えなければやむを得ないことでありますけれども、ひとつ伺つてみたいと思います。
  134. 井本台吉

    ○井本政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの調べでは、まだそこまで進んでおりませんので、今結論的なことは申し上げかねる次第でございます。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、刑事局では商慣習のリベートというものはお認めになつてるのでしようか。
  136. 井本台吉

    ○井本政府委員 冒頭にも申し上げました通り、リベートにもいろいろな形態がございます。たとえばブローカーが仕事をとつて来れば、ブローカーに注文のある高を、パーセンテージをきめて渡すというようなのは、初めから 犯罪にはならない事案でございまして、さようなものは往々あるとも存じますが、今度問題になつたようなリベートが、ずつと商慣習として行われて来たかどうかというようなことは、今私の方で断定的に結論を出すことは困難な事情でございます。しかも同じ金が返つて来ましても、きちんと会社の帳簿に載つて経営の方にまわつておれば、何ら犯罪にならないわけでありまして、会社の経理に載つていない、隠れたやみの金になつておりますので問題が起きて来るというようなことと存じます。さような事情でございますから、断定的の点は申し上げられないことを御了承願いたいと思います。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 リベートというものが明らかになつて参りますと、これは松田さんに伺いますか、利子補給の対象である融資残額に相当に影響すべきものではないかと思うのでありますが、山下と日立との関係、これは一ぱいの船ではなさそうだと思いますけれども、今現われておるものでも九千万円ということになつておりますが、そうすると融資残高の中に含まれるべきリベートというものは、利子補給の関係においてはあらかじめ控除することにするか、もしくはその疑いがあるようなものは、やはり貸主の開発銀行におきまして、これは刑事犯罪的な見方でなしに、融資及び借り貸しの関係、もしくは適正に数額を申告しておらなんだという事情も、中には性質として帯びておるものもあると思いますので、あなたの方は融資の主であつたお立場から、これは検討して、利子補給の対象から適当に数字をどうにか処理しなければならぬ案件であろう、こう思うのであります。すでに捜査中のもの、起訴されたものなどがずいぶんたくさんあるわけであります。全体といたしましてあなたの方の御関係の分は、裁判の終局をまつというのではなしに、適当に処理することが可能でもあるし、しなければならぬのではないかと考えるのですが、その点はどうでございますか。
  138. 松田太郎

    松田説明員 もちろんその点がはつきりいたしますれば、船価の中にそれだけ含めるとすれば、船価がそれだけ下るわけであります。またお話のように、それによつて利子補給額もかわつて来る。またそういうことをした場合には、場合によつて償還期限の利益を失わせるということもできるのではないかと私は思つておりますが、ただ今お話の、そういう点がまだ司直の手ではつきりしないうちに幾らかということがはつきりするものかどうか、それが多少問題がありはせぬかと思います。その点については、運輸省の方におかれましても例の監査室をおつくりになり、いろいろ御検討になつております。私の方も、できるだけ運輸省の方の御協力を願い、これを調べまして、司直の結論が出なくても、その点がはつきりすれば、それはしなければならぬと思います。その辺は、私個人として、今どの段階に来たらそれができるかということをちよつと申し上げられませんが、お話の根本の筋は当然のことだと思つております。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはどの段階に来て処理するという問題もありますけれども、そうではなしに——あなたこのの段階ということは、おそらくは裁判の終局的な結果というようなときをねらつていなさるのかもしれませんが、それ以外に、すでにリベートして動かされた金があるとするならば、その金額が開発融資の中に何ほど含むかということをつかみました以上は、しかして、それは本来融資の趣旨に反する金の性質を帯びます。なぜならば、船会社に何らかの趣旨でリベートするということであれば、開発も貸しておらぬはずであります。そうではなしに、船を建造しますというので、かくくの計算に基いて貸した、その趣旨に反しますので、そういうものは償還期云々というのではなしに、むしろ契約の趣旨に反するから、とにかく返還を要求する、こういうふうな措置に出るべき筋でないかと思うのでありますが、それはいかがです。
  140. 松田太郎

    松田説明員 お話の通りの筋だと思います。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 開発銀行といたしましては、やはりずつとさかのぼりまして、よく御研究になつてこれを把握して、そうして返還を求めるという措置に出ることが、開発銀行の責任また職務としても当然のことであろうと思いますが、そういうふうに措置をせられるでしようか、もしくは今そういうふうな措置をするように研究になつているのでしようか、またそうしなければならぬことであると思いますが、いかがでしようか。
  142. 松田太郎

    松田説明員 先ほど申し上げましたように、筋はお話の通りでございますので、その方法につきましても十分研究しまして、なお今日のお話の点は十分総裁その他にも伝えて開発銀行として十分検討させていただきたいと思います。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいまの問題につきまして大蔵省銀行局の総務課長に伺つておきますが、これはやはり国家資金の融資の行方の問題でありますので、かりに八百億円の一%としても八億円、二%にすれば十六億円、十億円以上のものが動いておるといたしましたならば、これは相当大きな国家財政の問題であろうと思いますので、大蔵省としても開発銀行等を監督するお立場上リベートなりと判定し得るものがつかみ得る以上は、そのような犯罪性の有無にかかわらず、これは適当に返還せしめるという処置に出なければならない。その能力があるとかないとかいうことは、また別個の問題であります。その点は大蔵省としての御見解を——あなたが大蔵省を代表して意見をお述べになることができないならば、あとでもいいですけれども、これはわかり切つたことでありますから、ぜひ御見解を述べて置いていただきたいと思います。
  144. 大月高

    大月説明員 リベートの問題がやかましくなりましてから、さつそく開発銀行の方に命じまして実情をできるだけ調査するように申しております。開発銀行としてもそれぞれ調査し、善処するつもりであると思いますが、そのリベートの結果がかりにわかりましたときには、先ほど松田理事からもお答え申し上げました通り、回收をするということにいたすべきものだと存じます。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからなお市中の関係について大蔵当局に同じ趣旨のことを伺つておかねばならぬのでありますが、これはやはり市中銀行におきましても預金者の預金その他株主の利害におきましてこれを貸し付けた銀行代表者一個の問題ではないのでありますから、いわんや今日のごとくある範囲のものが犯罪性まで帯びまして、経済界の混乱その他法律秩序の紊乱等幾多の罪悪をかもし出した問題でありますから、従つて純金融的な立場以外の要素を持つておるものと思いますので、市中銀行融資の問題におきましても、リベートにつきましては、やはり貸し付けた銀行に対しては適当な措置をとることを、大蔵省といたしましてさように何らかの措置に出ることが、今後このようなことをなくならしめる一つの手でなかろうかと思いますので、その点についても御意見を承つておきたい。
  146. 大月高

    大月説明員 市中銀行関係開発銀行とは若干異なると思います。一般の商業ベースにのつとりましてそれぞれの契約によつて考えているわけでございますので、純金融的な立場から申しますれば、リベートがあつたからすぐに取返せという趣旨のものではないと思います。ただこういう問題につきましては、一般の市中銀行としても十分に一般の善良な国民という立場におきまして考えるべぎことだと存じますので、十分上司とも相談いたしまして、善処いたしたいと思います。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題は第十次造船計画にも関連いたしまして、少くとも造船、海運、金融界一般を通じましての大きな道義問題であろうと思いますので、運輸省におきましても、その犯罪性の有無ということの前に、リベート対策というものについて確固とした方針がなければならぬと思うのですが、いかがでしようか。
  148. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 お尋ねの趣旨はリベートをやつたような会社を十次造船でつくらすかどうかという点で……。
  149. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いや、そういうふうに限定しておりません。もう一ぺん簡単に申しますが、今開発の立場からこれは返還せしめるということをお述べになり、また一般市中に対しましては大蔵省として何らかの措置もお考えになるようでありますので、第一次的な監督のお立場になつてつた、またおる運輸省の、特に利子補給について、これを実施する職責権限を持つておられるあなた方でありますから、犯罪性の有無にかかわらずやはりリベート問題につきましては相当具体的な方針がなければならぬと思います。それを伺うのです。
  150. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 利子補給につきましては先ほど開銀の方で財政資金についてお話がありましたと同様に、もしリベートが確認されれば、その額だけ、その額に対する利子補給は返還せしめる、こういうことが利子補給契約に掲げてございまして、従つてリベート分に対して利子補給をするということはございません。それから十次船の場合にはこれは船価の内容を十分監査いたしまして、いやしくもリベートの余地のないような方策を講じたい、かように考えております。
  151. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは運輸省の一つの方針になりますので、あなたの御説明ではどうかと思いますけれども、たとえば今後の計画造船につきまして、十次計画等につきまして多大のリベートで幾多の疑惑を生んでおります造船所船会社に対しましては、これは他の資産信用等の経済条件とは別の角度から相当再検討いたしまして、これに対しまして、たとえば国家資金が融資されるというようなことにつきましても、開発は開発の立場もあろうが、運輸省は運輸省のお立場から、これは相当厳格に臨むべきだろうと思います。ただちに拒否するのが適当であるというような、そういう確信は私も持つておりませんけれども、相当厳格な態度で臨むという基本的な方針がなければいかぬと思います。この点についてもし省議といいますか、そこまで熟しておらないかもしれませんけれども、ひとつ海運局長としての御意見を伺つておきたいと思います。
  152. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船主の適格性を審査する場合の一つの重要な項目として取上げねばならないだろう、かように考えます。
  153. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで刑事局長に伺つておきます。このリベート問題がかなり各般の刑事的な犯罪性を帯びつつあるようでございますが、これは法務省のお立場といたしまして、検察の検挙ということとは別に、やはりリベートに対しまして何らかこれを取締るとか、あるいは監督するとか何とか、法務省の職責権限の範囲におきまして、何らかリベート問題について具体的にお考えになつておりませんでしようか、またそういうことは必要でないでしようか、この点はいかがでございましよう。
  154. 井本台吉

    ○井本政府委員 先ほど申し上げましたように、リベートにも全然犯罪とはいえないリベートもございます。現在の犯罪性を持つておりますものは、それぞれ該当法令を適用いたして処置することになると存ずるのでございます。ただ調べをいたしました結果によりまして、道義的にも非常に不都合なものであり、しかも犯罪として処理のできないという事案がはつきりいたしますれば、私どもといたしましては立法についてもまた考えたいと存じます。
  155. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはあなたの方ではなくしてあるいは検察庁の立場になるかもわかりませんけれども、リベートが犯罪性があり、商慣習としては問題ではないというものは、幾多そういう種類のものがある。それにもかかわらずこのリベートがかなり広汎に行われているということは、今は大体一般も常識的に知りつつあると思うのであります。そこでこのリベートをめぐりまして全国の造船所あるいは船会社に対しましてさらに犯罪の捜査の手が延びて行くということになるのでしようか。あるいはそういうことになつて行くということが、同時に十次計画とのにらみ合せということも一応考えてみるべきだと思うのですが、今後の十次計画ということは全然念頭になしに、リベートはさらに全国的に追究されて行く分野がずつとまだ残つておる、こういうことになつておるのでしようか。その辺は検察当局の仕事の領域になつてあなたの方では適当でないかと思いますが、私の問題としたい点は、商慣習もありあるいは犯罪性もあり、いろいろごつちやになつているといいますが、しからば全国的にすべての造船所、五次計画以後の二百隻に近いもの一切のもののリベートの有無を検討して行くということにさらに進んで行くのであろうかどうだろうかということを、今後の造船計画との関連について一応の見通しを持つておきたいので伺うのですが、その辺はいかがでしようか。  それとなお時間の関係がありますので、もう一点監督の問題で検査院に伺つておきますが、リベートの監督について現在及び今後何らかのお考えがあるか、財政監督の一環といたしまして検査院においてのこの御意見を伺いたい。この二点につきまして刑事局長と検査院から伺つて、これで終ります。
  156. 井本台吉

    ○井本政府委員 リベートは全部犯罪であるということで全般的にやろうという計画を立てておるというような報告は私受けておりません。ただこのリベートの事件の最も犯罪性を持つておる、先ごろ起訴いたしました事案については、これからももしそういう事案が発覚いたしますれば、捜査検挙を続けるというふうになろうかと存じます。
  157. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 全般にあらかじめの対策ということになりますると、ちよつとわれわれとしてもそういうことが全般的にあるかどうかという問題が先決問題になりまして、またわれわれの立場といたしまして対策ということは困難かと思いますが、もしも確認された場合の処置といたしまして、会計検査院が考えておりますことを申し上げますれば、まず第一に、たとえば十億の造船融資をした、ところがそのうちに五千万円なら五千万円のリベートがあつたということが確認されますれば、これが開発銀行融資であれば、その五千万円に相当する融資はいわば目的外の融資であるから至急繰上げ償還すべきである、こういう点において開発銀行の方に繰上げ償還を要請したいと思つております。なおまたそれに伴う利子、それの補給額が——開発銀行はもう停止されることになりましたが、市中銀行に出ておりますこの方の利子相当額はいわゆるリベートと確認された分の利子相当額、これがもしも支給したあとであるならば、さかのぼつて追徴すべきである。追徴が困難ならばその後の正当なる補給額からそれを控除して補給すべきだ、こう考えておるのでありまして、その線に沿つて検査を進めて行きたいと存じております。
  158. 杉村沖治郎

    杉村委員 関連して……。井本さんにちよつと伺いたい。先ほどの説明によればリベートにはいろいろの性質がある、商慣習というリベートがあるというふうな御意見のように伺つたのです。私どもの考えとすると、開発銀行海運局もほとんどリベートということについて——私どもは先般来運輸大臣にも、大蔵大臣にも、それぞれみな関係当局に伺つたのですが、最初はみなそういうことは知らない、こういうような御答弁であつたのですが、少くとも船会社に対して貸付をする最も有力なる開発銀行その他これに関係する当局者が知らないということを、商慣習として認めることができるかどうかにいささか私疑問があるのですけれども、井本さんのおつしやられる商慣習というのはどういうふうな点からそういうことが出るのでありましようか、ちよつと伺いたいと思う。
  159. 井本台吉

    ○井本政府委員 私はリベート一般について申し上げた際もさようなことを申し上げたと存じますが、問題の造船 融資のリベートという点について商慣習があつたということをはつきり申し上げたのではございません。
  160. 杉村沖治郎

    杉村委員 わかりました。
  161. 天野公義

    ○天野委員長代理 柴田義男君。
  162. 柴田義男

    ○柴田委員 開銀に伺います。私どもの手元に大分前に御配付をいただきました資料でございまするが、資本金千百五十二億二千万円、二十八年三月三十一日現在の、二十七年度末貸借対照表が配付をされておりますが、この資本金の金額が今もかわつておらないのかどうか。  もう一つは、政府の借入金が、この資料では千五百六十五億三千八百三十九万九千五百四十一円四十九銭となつておりますが、これに異同がないか、この二点を承りたいと思います。
  163. 松田太郎

    松田説明員 資本金はただいまは、ちよつと端数は忘れましたが千四百五十億程度になつておりますが、借入金につきましては、ちよつと今ここでわかりません。たいへん申訳ございません。
  164. 柴田義男

    ○柴田委員 私はおそらくそういう異同があるであろうということは想像してはおつたのであります。それで、こういう古くさい資料を不親切にもわれわれに、しかも謄写版で刷つたものを配付されるということは、開銀に誠意かまつたくないということをわれわれは感ぜざるを得ない。この資料配付をされたのが二月の十二日でございます。そして開銀というような大銀行が、去年の九月末の業態なりあるいは十二月末日の業態というものは、毎日わかつておらなければならぬはずであります。それを事好んで昨年の三月三一日現在を、しかもそまつな謄写版刷りでわれわれに配付するにおいては、あまりにも誠意がなさ過ぎるのではないか、こういうように感じます。が、その辺の松田理事の率直な御意見を承りたいと思います。
  165. 松田太郎

    松田説明員 今の二千四百五十億になりましたのは、実は昨年の四月一日からなのであります。三月三十一日現在で出していますから、あるいはそういうものを出したかしりません。四月一日からかわつておるものを、そういうような一日前の数字出しましたのは、どういう経緯であつたか私存じませんが、その点は四月一日からそうなつておりますので、まことに申訳ございません。
  166. 柴田義男

    ○柴田委員 これは三月三十一日現在ということでございますが、ただ私が申し上げておりますのは、少くも開銀では毎日の資料があるはずだ。そういたしまするならば、りつぱな——決算報告というものは、九月末現在が銀行の常識で、九月末日が決算期になつておると思います。昨年の九月の末日の決算報告を私どもに配付されてもいいのではないか、こう思つたから申し上げたのです。  もう一つは、資料も非常にまちまちだ。決算委員会要求いたしました資料を見て、山下汽船なら山下汽船の問題を論議しようと思つて、予算委員会における資料を見ますと、山下汽船一社を対照してみましても、三十六億一千九百五十三万六千円という十二月末日の貸高残額になつております。われわれが受けておる資料では、二十七億八千二百三十六万八千七百二十四円となつておる。おそらく八億三千七百余万円の相違というのは、われわれに配付されたのは利子補給の対象になつておるものである、あるいは利子補給の対象外のものも加えたものが予算委員会には資料として配付になつておる。こういう御答弁があるかもしれません。だが少くも国会資料を配付なさるのに、なぜ統一された資料を配付なさらないのか、これをわれわれ非常に疑問視するものであります。国会議員などというものには、真実はわからぬから、いいかげんのものをあつちこつちやろうというお考えならば別でございますが、ほんとうに誠意をもつて資料を配付なさるのであれば、なぜ統一した資料を配付なさらぬのか、こう思うのですが、不統一の資料を各委員会要求ごとにばらばらに出される根拠はどこにあつたのか、これを承りたいと思います。
  167. 松田太郎

    松田説明員 その点はまことに恐縮に存じますが、どこそこの委員会ではこういう内容資料出してもらいたい、こちらの委員会ではこういう内容、たとえば利子補給の対象だけのものを出してもらいたいとか、船の問題については外航船が五次以降でございますが、五次以降の分について出してもらいたいとか、こういうことになりますが、利子補給の関係ですと六次以降になるものですから、それが食い違つておるというようなことはあるかと思います。今後は十分注意をいたしまして、あるいは御要求がなくても他の委員会にお出ししました資料は、こちらにもお出しするというようなはからいをいたして、その辺のつじつまが合はないことにならぬように注意いたしたいと存じます。
  168. 柴田義男

    ○柴田委員 今後それを御注意くださるならば、その点で了承いたしますが、私どもは開銀が今後どういう立場で、日本の開発事業に対して、いかなる金融政策をとらなければならぬかということも大きな問題です。従つて船会社貸付けた金の回収がどうか、船の将来がどうかというような問題だけを今論議しておるのではなくて、今私ども決算委員会に開銀の皆さんの御出席を願つて、開銀の内容を検討いたしますことは、将来日本の大きな開発事業に関係を持つ重大問題である、しかも開銀の運営に対して、われわれは大きな関心を払つて行かなければならぬという考えから御出席つているのです。小林総裁に対しましても苦言を呈さなければならぬ問題は、どんどんと申し上げなければならぬ。去る何日かの保安庁関係の審査にあたつても、保安協会に対する責任者には小林さんがなつておられる。そうして小林さんが、保安庁へいろいろな物資を納める人々を糾合して、保安協会というものをつくつて、それが保安庁の外郭団体となつて、世の疑惑を招いておる方では開発銀行の総裁として、開発銀行の運営に当つておられる、こういう問題についてもいろいろ議論が残つておるのであります。そういう場合にわれわれが議論いたします資料として、それが古いものであつたら、一向資料にならぬ。たとえば山下汽船回収見込みが立つておるという先ほど来の御答弁であつたけれども、数学的に考えた場合には、いつこれが回収できるのかという不安が非常に多いのであります。たとえば今資本金がかわつたのでございますが、二千四百五十億という資本金で、政府の借入金もおそらく二千億そこそこでありましよう。このわれわれの資料によりますと、千五百六十五億三千八百余万円です。おそらく二千億の政府の借入金を加えて、四千五百億前後の総資本の中で、船関係に対する融資が九百何十億です。四分の一近くいうものは船の関係にだけ入つておる。しかも山下汽船一つ拾つてみますと、たとえば開発銀行が貸し付けておるのは、われわれの資本によると三十六億一千九百余万円です。またそのほかに別な貸付があるかもしれませんが、こういう貸付があるのであります。山下汽船の今度の考課状を拝見いたしますると、長期負債が六十一億六千四百余万円ございます。この六十一億六千四百余万円のうちの半額以上は開銀が背負つておるのです。そうして今度は山下汽船の所有船舶を見ますると、六十五億五千百万円でございます。これも考課状に現われておる。いわゆる所有船舶の全部が負債でつくられておるということがわかるのです。そうして今度は、先ほど来担保の状況、信用の状況ということが盛んに議論されましたが、担保とかりに仮定いたしました場合に、おそらく担保の大部分は船舶でございましよう。そういたしますと、船舶の担保権の権利というものは、開銀だけが第一位じやないはずなんです。市中銀行もやはり同じ権利を持つて担保をとつてつたとわれわれは記憶しておるのです。同じ資格において担保をとつておるとわれわれは考えていますが、それが間違いでございましようか。その点を承りたいと思います。
  169. 松田太郎

    松田説明員 過去におきましてはどうなつておりますか、たとえば見返り資金当時あるいは復金当時でございますが、私どもの方が第一順位になり、あるいは市中が第二順位になり、あるいはその逆もあるかと思いますが、開発銀行になりましてからは同順位でとつております。
  170. 柴田義男

    ○柴田委員 そういうことでありますると、山下汽船一つを検討を加えてみました場合には、同順位で担保をとつておりますると、所有船舶の全額が負債で成り立つておるということは明らかな状況である。そういう場合にでも、回収の見通しがあるとおつしやるのでございますか、これをもう一度承りたいと思います。
  171. 松田太郎

    松田説明員 この点につきましては、先ほど来申し上げましたように、長期融資になつておりますものですから、その間にどういう措置を講じなければならぬかという問題がおのずから出て参るわけです。そうしてわれわれといたしましては、いろいろな手を講じましても、どうしても回収ができないというような場合には、これはせつかく貴重な金でつくつた船ではありますけれども、その船を処分する、あるいは場合によつては建物を処分するというようなこともあるかと思いますが、そういう方法を講じて回収に当らなければならぬというような事態が起つて来るかと思うのであります。つまりそういうような方法まで講じても回収ということは考えなければならぬのじやないかということを考えておるのであります。
  172. 柴田義男

    ○柴田委員 これは整理とかそういう場合はおのずと違うでございましようが、ただ考課状の表面から見た場合には、相当不安を感ぜられるということは、われわれも感じられるのです。そういうことで申し上げておるので、船会社は破産してもいいから元金を回収してしまつた方がいいという結論ではないのです。ただ実際問題として、なかなか回収が困難であるように見受けられる。こういうことに対しての今後の融資の方法というものは、単に市中銀行が考えておるような考え方であつてはいけない。これは岡田海運局長がわれわれとそういう点で反対の御意見でございまするが、これは単に船の総トン数をふやさなければ、国際の船舶関係と伍して行けないという建前からのお考えでございましようし、私ども国民大衆の税金をもつてまかなう開発銀行という考え方から、ひとり船にだけそういう大きな投資をしなくても、まだ別個な開発をしなければならぬ事業が国内にはたくさんある。たとえば総合開発の問題もあるでありましようし、鉄鋼の問題もあるでありましよう。あらゆる面において公平な立場で、開発銀行というものは融資しなければならぬ、こう私どもは考えております。ひとり特別な扱いをもつて船会社にだけ精根を打込んで、回収がならぬでも、政府の方針は船をつくることが方針なんだから、まず貸してやれ、こういうような考え方ではいけないということを申すのです。山下汽船の問題にまたもどりまするが、たとえば二十七年度の九月末決算におきましては、一億七十二万六千余円の欠損をやつておる。二十八年三月には二億一千十七万七千余円の欠損を重ねました。二十八年九月決算では一億九千四百七十三万余円の欠損を重ねまして、九月末決算において総計五億五百六十二万九千余円の欠損になります。三期間にわたつて欠損を続けておる。ことしの三月の決算はまだ資料をいただきませんから、わかりませんが、おそらくやはり何億かの欠損がこれにプラスしておるでありましよう。そうしましたならば、山下汽船の欠損というものは六、七億に達しておると想像されます。こういう現状を見まして、やはり開発銀行はほんとうに船に対する融資に対しては再検討を加えてもらいたい、こう思うのですが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  173. 松田太郎

    松田説明員 今お話の点は、私もまことにごもつともと思うのであります。特に第十次船につきましては、一番われわれとして唯一のたよりにしておりますのは、担保の余力がもうほとんど船会社においてはなくなつておるのじやないかということを憂えております。それでかねて私どもの総裁も申し上げておるのでありますが、やはりどうしても船をつくつて行かなければならぬということであれば、やはりこの際海運政策をはつきりしていただく必要があるのじやないか。いつも総裁が申すのでありますが、この際思い切つて船会社の整理統合をしていただく必要があるのじやないか。そしてできるだけお互いに並存するためにかかるむだな費用を整理することによつて単純化する。それからまた国際競争に立つわけでございますが、そういう意味で外国の船と競争するのならばまだこれはやむを得ませんけれども、国内船同士で競争をして運賃が下つて行くというようなことでは、どうしてもその収益が上つて行かない。何かその辺今申しましたような線で、少しでも海運会社の資産内容と申しますか、そういうことが堅実化されて行つて、初めて造船融資というもがほんとうに大きな意味で生かされるという線に行くべきではないかということで、私どもの総裁も運輸御当局の責任者にはお話になつておるようであります。またそういう意味で運輸省の方としてもいろいろ御検討願つておると思うのであります。私も率直に申しまして、その感を深くするのであります。
  174. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一つついでに伺つておきますが、この古い資料によると、株の所有が五十億ございますが、こういう株というものはどういう種類の株を所有されておるのでございましようか。
  175. 松田太郎

    松田説明員 この点につきましては、電源開発会社の当初資本金の中の五十億を私の方が——要するに政府から通過するだけでございますが、持つようになつておりましたものですから、持つておるわけでございます。
  176. 柴田義男

    ○柴田委員 最後に岡田海運局長にお尋ねいたしますが、二、三日前の新聞紙で拝見したのですが、あなたの部下の海運局の何かの課の課長補佐が、六階か十階から下へ落ちて自殺されたという新聞を拝見いたしましたが、ああいう事実がございましたか。
  177. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 その通りでございます。死にましたのは、今取調べを受けております国安海運調整部長の秘書役でございます。
  178. 柴田義男

    ○柴田委員 その国安さんの秘書役の方の自殺ということを見まして、私どもつたく涙がこぼれるような気持を持つた者の一人であります。こういう事件が起きましたことはまつたく不幸の至りでありますが、これに対しまして局長である岡田さんに何か責任をお感じになつておられるでしようか。あの方の遺書のようなものを新聞で報じてありましたが、子供さんあたりに非常に済まないと言つて死んだようでありますが、こういう状態が船の問題を中心として起きたわけであります。これに対しまして岡田局長は何かお考えがございましようか。責任を感じておられるのかどうか、承りたいと思います。
  179. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私は深く深く責任を感じております。いかなる責任をもとる考えでおります。
  180. 柴田義男

    ○柴田委員 よろしゆうございます。
  181. 天野公義

    ○天野委員長代理 徳安實藏君。
  182. 徳安實藏

    徳安委員 私は簡単に二、三お伺いしたいのでありますが、まず海運局長にお尋ねいたします。造船界汚職事件は、まつたく全国民をあげて非常に大きな衝撃を受けている問題であります。今後の計画について、運輸省は第一次造船計画についても、委員会等でお話を聞くと、しやにむに決行するというような御気分のようでありますが、しかし翻つて考えてみますと、前途に見通しがなくてまつ暗だ、利子も払えねば元金も払えないという現状、しかもそれがいつ払えるのか、それもわからない。十年に一ぺんか二へん景気が来ればそれで払えるのではないかというようなことを予定しても、それだけではたして国民が次の造船計画に協力するかどうかということについては、私ども非常に疑問があると思うのであります。私ども与党の立場から言いましても、今運輸省の言われることにそう簡単に同意するわけに参らぬこともあると思うのですが、しかしもちろん小乗的なことを考えずに、大局的な見地からもこれは考えて行かなければなりませんが、それには政府ももう少し大胆率直に国民納得させて、こういう見通しだから、たとい多少の犠牲を払つても、税金はそれに使われても、この際は忍んでやらなくちやいけ沸いて来るような方策をとられることが必要ではないか。もし見通しもなくて、十年に一ぺんか二へんの景気が来れば何とかなるのじやないかというような、ほんとうにお先まつ暗なら、これはもう一ぺん考え直さるべきものではなかろうか、こう思うのです。しかも金融界方面の人々もちよちよい新聞に掲載せられるところによりますと、違つた考え方を持つている方も相当あつたやに考えるのであります。こういう点につきまして、運輸省はほんとうにただしやにむにやるつもりなのか。これはもちろん専門家という立場からいえば、国民はわからないのだ、議員はわからないのだ、こんなことがわからないのかとおつしやるかもしれませんが、しかしそれは決して政治じやないと思う。やはり国民全部が当然とれはなすべきだ、こういう犠牲を忍んでなさねばならないのだ、これは国家百年の大計としてやらなくちやならないのだという、ほうはいとして起きる輿論を背景にする政治でなければいけないと思うのです。今のお話ではしやにむにやるというようですが、こういうやり方は運輸省の方だけがお考えになつておるだけで、国民大部分というものは背中を向けておるのではないかと思うのですが、そういう点に対する見解を承りたいと思います。
  183. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 海運会社の経理だけをごらんになつて、船をつくる必要がある、必要がないというふうにお行えになるのは間違いじやないかと思います。むしろ日本の経済に海運というものがどういうふうに貢献しているかという考え方から、船をつくる、つくらぬをご検討願いたい。そしてその次には、それではどうすれば国の金を一番少く使つて船をつくり得るかということになるだろうと思います。先ほど開銀からお話があつて船会社の経営を安定し、先の見通しをよくするために海運政策を立てろ、これは開発銀行の小林総裁が言つていらつしやる。この考え方は、三つか四つの船会社にして、その船会社が償却できる限度の国の助成政策を確立するということで、これはとんでもない金がいる。三つか四つに統合できるということは非常にいいことですが、これが償却可能な限度に助成しろということは、国内の電気事業とかなんとかですと料金を上げて見えざる国民の負担において採算がとれる。ところが海運はいくら船会社を少くしても外国との競争があるわけです。外国がただみたいな運賃でやれば、船会社の数がいくら少くなつてもだめで、それを採算のとれる、償却のできる限度まで補助しようということになると、厖大な金がかかる。海運日本経済に対する貢献、これは外貨の獲得という点もありますし、それから船会社が——そういう理論が受取られるかどうかわかりませんが、船会社が非常に損をしておるということは、それだけほかの日本の経済が得しておるということです。安い運賃で運んでおるということは安い原料を入れておるということです。それから輸出品がそれだけ恩恵を受けておる。現にアメリカのニユヨーク航路が非常に競争しておる、今までの運賃が五ドル程度であつたの船会社が話合いまして九ドルに上げようということにしたが、輸出が伸びなくなる、今まで五ドルでやつてつたのが九ドルにされてしまつては困る、ところが船会社は九ドルにしても非常に大きな赤字で、積上げの費用が償えるかどうかという状況です。それから日本船会社が非常に苦しんでおるのは、為替レートの関係です。これはこの前もここで申し上げたと思います。  それから先ほど柴田委員からお話のあつた、全部借入金でまかなつておるじやないか、こういうものに金を貸すのはけしからぬじやないかということでございますが、これはその通りでございます。これは戦時補償で補償金としてもらつた金を積立てておつた、それで新たな船をつくつたときは別の銀行から借入金で借りておつた、ところが積み立てたのは打切られ、借入金だけが残つた。戦前は日本船会社は八〇%を自分の金でやり二〇%を人から借りたが、現在では二〇%が自分の金で八〇%をほかから借りておる、こういうことで日本海運会社の経理は悪くなつておるのです。これは私企業です。とにかく船を持つということは私企業的には採算がとれないけれども日本の経済としてどういうふうに貢献しておるのか、ここを十分お考え願いたいと思います。私ども船をつくる場合に経済審議庁、大蔵省にそういう点を言つて、それじや船以外にこれだけの円をつぎ込んでもつと効果のある産業にどういうものがあるか、そういうものがあれば示してもらいたい、船の方は引込める、こういうことをいつでも言つておるわけであります。ですから私は、私企業的観点から採算がとれないから船をつくらないでもよいということは、もう少し掘り下げて御議論を願う必要があるのではないかと思います。
  184. 徳安實藏

    徳安委員 運輸大臣や海運局長の御意見を私どもはしばしば聞いておるのです。非常に自信満々たる話は私どももよくわかりますが、しかしそうだからといつて委員諸君や国民がその説に納得しておるかといえば、今日は背中を向けておると私は思います。ですからこういう点についてもう一ぺん考え直される必要があるのではないか。国民の輿論に背馳し、委員や議員の気持も全然買わずして、ただ自分らの考え方はまつすぐだ、これ以外の何ものでもないのだ、これは国策であり、これを卑下する者は非国民だというような気持で何でもかんでも自分らのことをしやにむにやろうということは、私は政治じやないと思うのです。ですからもう一ぺん考え直されたらどうかということを私は考えるわけなんです。
  185. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御説の通りでございます。私どうも先ほどたいへん言い過しましたが、御説の通りにもつと国民に御理解を願い——これは国民全般じやなしに、政府部内にも私どもの考えに非常な批判があるわけですので、少くとも政府部内だけでも船をなぜつくらなければならぬかということについて御理解を願うように、私ども一層の努力をしなければならぬ、これはおしかりを受けた通りだと思います。
  186. 徳安實藏

    徳安委員 運輸省の方はその程度にしておきまして、次に開発銀行松田さんにちよつと伺いたいと思います。先般の委員会における審査部長のお話によりますと、計画造船に対する融資に対しては大体審査部で決定したものを理事会に報告して、そしてそれがひつくり返されたものは一つもない、審査部で決定したものがそのまま通つたというお話でございますが、これは間違いございませんか。
  187. 松田太郎

    松田説明員 審査部で十分調べて参りまして、それについて開発銀行の役員会で決定をいたすのでありますが、もちろん審査部としてはこれとこれでなくちやいかぬということまで言つて来るのじやないのでありまして、大体の資産状態その他の点からいい順に出して参りまして、それについて私どもの方が検討して結論を出すのでありますが、審査部の方と役員会の方とで意見が違つたというものはございません。
  188. 徳安實藏

    徳安委員 先般の速記録を調べればわかりますが、審査部長の御意見を聞いてみますと大体順位があるのかどうか知りませんが、これとこれとには融資すべきだという一つのリストをこしらえて、参考資料を添えて提出してこれを理事会で説明する、そしてわれわれが審査部できめた線が理事会、いわゆる役員会で決定されるので、ひつくり返されたものは一つもない、こういう説明をされたのであります。もしそれがほんとうだとすればまことにけつこうなことでありますけれども、その点をもう一ぺん確認しておきたいと思います。
  189. 松田太郎

    松田説明員 その通りでございます。
  190. 徳安實藏

    徳安委員 それでは今度は松田さんに伺いますが、審査部から出ましたものを一つも変更せずにそのまま御承認 になつて、役員会の決定として運輸省に持つて行かれて、そこでひつくり返されたものはございませんか。
  191. 松田太郎

    松田説明員 その点はかねて運輸省からもお話がございまして、開発銀行がたとえば二十万トンなら二十万トンをつくるぎりぎりの船主をめて、それを運輸省にそのまま押しつけられては困るということでございます。そこで私の方といたしましても、それに対して相当の余裕を持ちましたトン数で運輸省の方と御相談いたしまして——運輸省は先般来お話のように航路計画とか造船所事情という点から御意見がございますので、両者の間で話合いをいたしまして、意見の一致したところを結論としたわけでございます。
  192. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと審査部の方は十つくるものを大体十五くらい予定してこしらえて、それを役員会できめてその十五をもつて今度は運輸省へ行つて話し合つて十にきめて来た、こういうことでございますか。
  193. 松田太郎

    松田説明員 大体におきまして、最後の段階に近づくに応じてそういうここになつたわけであります。
  194. 徳安實藏

    徳安委員 これは掘り下げて行くと限りがございませんから、私はこの程度にいたしますが、さらに重ねて松田さんにお聞きいたします。造船計画ないし融資に関して運輸省の方に相当に陳情に来た、こういうことを運輸大臣も言つております。おそらく開発銀行にも相当に陳情が行つたと思いますが、それは事実でございましようか。
  195. 松田太郎

    松田説明員 相当陳情にお見えになりました。
  196. 徳安實藏

    徳安委員 そこで私はもう一つお聞きしたいと思いますが、今お話されたように審査部できめたものが理事会で通つたのだ、ひつくり返つたものは一つもない、こういうことでありますと、理事や総裁のところに陳情に来ましてもこれはまつたく見当はずれであつて、むしろ審査部の方に陳情すべきがほんとうの的確な的であつたというふうにも考えられるのでございますが、そういうお考えになりませんか。
  197. 松田太郎

    松田説明員 もちろん審査部の方にも陳情に見えた方があるのではないかと思います。しかしどこに陳情に行つたからどうとかこうとかいうことでなしに先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては役員会で決定しておりますので、だれだれに陳情に行つたからそれでいいとかいうものではございません。
  198. 徳安實藏

    徳安委員 もちろんそうあるべきだと思います。  そこでもう一つお伺いいたします。松田さんのところに、あるいはほかの理事の方でもいいのですが、陳情に行きました場合に、何か手みやげを持つて行く方もあるという話を聞きましたが、そうした事実は過去においてもありましたか。
  199. 松田太郎

    松田説明員 手みやげを持つて陳情に見えるというようなことはありません。
  200. 徳安實藏

    徳安委員 ほかの銀行の話を聞きましても、役員等を訪問する場合には何かさげて、少しくらいのみやげを持つてつておる者がある。しかしそういうものは銀行によりましては全部つつ返すのだということでありますが、これは造船計画ばかりでなしに、ほかの一般の融資につきましても、相当開銀にはそうした問題について陳情なりあるいは嘆願に行く者があると思うが、そういう場合には必ずしも不心得者がないとは限らないと思います。何か手みやげみたいなものを持つてつた者があるのではないかと思いますが、そういう場合にはお返しになるのでありますか。あるいは開銀にはそういうものを持つて来た者は一人もないということであるか、お尋ねいたします。
  201. 松田太郎

    松田説明員 もちろん船以外にも陳情にお見えになる方があります。しかし陳情に見える方が手みやげを持つて見えるということはないと思います。
  202. 徳安實藏

    徳安委員 ほかの方のことはあなたにはおわかりになりませんでしようが、あなた自身に——まさか銀行には持つて参らぬと思いますが、しかしお宅を訪問するような陳情もなきにしもあらずと思います。そういう場合に伺うの手みやげも持つて来ないのだ、菓子一箱持つて来た者はない、酒一本持つて来た者はない、こういうふうに解してよろしゆうございますか。
  203. 松田太郎

    松田説明員 どういう意味でおつしやつておるのかわかりませんが、中にはそういう方があつたことも事実であります。そうしてそういうことに対して私がお返ししたことも一、二度あります。
  204. 徳安實藏

    徳安委員 そういう場合にお返しになることはもちろん正しいと思います。そういう場合には中を一応あらためてみて、こういうものをもらつてはならぬからといつてお返しになつてつたのでりますか。もらつたら、こんなものはもらつてはいかぬといつてすぐお返しになりますか、ひとつお伺いいたします。
  205. 松田太郎

    松田説明員 お尋ねの点の真意がどこにおありになるかよくわかりませんが、具体的なケースでお話になつておるとすれば——そう申し上げればおわかりになると思いますが、私はあることを直感いたしましたので、そのままお返しいたしました。その点もしお聞きになりたいことがあれば、ここで私から申し上げていいかどうかかわりませんから、また刑事局長でもお出ましのときにお聞きくださればいいと思います。
  206. 徳安實藏

    徳安委員 ただ私どもが聞きたいと思いますことは、今調査中のものや起訴になつておるものは考えておりません。厳正な司法権の発動によつて厳正な線が保てるわけでありますから、私どもはこれに容喙する限りでないと思います。ただ今後もあろうと考えられます特殊銀行等に対して陳情なりあるいは頼みに行く場合に、あるいは役員等におつかいものを持つて行く場合に、原則としてこれは全部返すのだということであればけつこうだと思います。しかしそういう場合に、まあ菓子だつたらもらつてもいいが、何かおかしなものであつたら一応あけてみて返すのだとおつしやるのか、あるいは初めからそういうものは一切合財近づけなくて、見ずに、そのまま返すのか、こういうことについて参考までにお聞きしたいというだけでありまして、あまり深く追究するわけではございませんので、そういう意味においてひとつつお答え願いたいと思います。
  207. 松田太郎

    松田説明員 どこまでも具体的なケースでお聞きになつておるとすれば、先ほど申し上げた通りであります。
  208. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと先ほどお話なつたことというのは、参つたものはそのまま中身も何も見ずにもらつてはいかぬ、要するに開銀の重役という立場として、そういうものはもらつてはいけないのだというような原則から、一切合財返しておられる、こういうように解釈してよろしゆうございますか。
  209. 松田太郎

    松田説明員 そのときに私は特にちようだいすべきものでないということを直感いたしたからお返ししたのであります。
  210. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、頼みに来たときに普通の物でもらつてもいい物とお思いになる物もございましようか。
  211. 松田太郎

    松田説明員 どうもお話の筋があれいたしますけれども、それはよく知り合つた方で、あるいはお菓子くらいをお持ちになるという場合にはそういうことは考えられるかもしれませんけれども、私は仮定を前提とした御質問に対してはお答えすることはできません。
  212. 徳安實藏

    徳安委員 今は裁判にかかるかあるいは今起訴されるかされぬかという問題もあつて、いろいろデリケートな問題があると思いますから、私はそういう点は深くは掘り下げません。検察当局のほんとうの正しい行き方を望んでおりますから、そうした問題について深く掘り下げようとは思いませんが、願わくばこうした銀行の方々は、将来そういう問題がかりにあろうとも、中身を見るとかなんとかいうことなしに、一切合財受付けないという厳正な態度をとつていただきたい、これを私は望んでおるのであります。  さらにもう一つお聞きしたいことは、銀行界には法王というあだ名をつけられておる方もあるようでありますが、大体この特殊銀行の方は政府の出先機関であり、ほんとうに国民に奉仕する機関でありながらずいぶん威張つて、何か一つの優越感を持つて一般の国民に対しておられるような傾きがあるようであります。総裁、副総裁、理事の職にある者はまさに神様のような気持があるのでありますが、そうした気持でこうした業務にお携わりになるということはほんとうに慎んでいただかなければならぬ。私どもも決して開銀がそうだとは申し上げませんが、往往にして特殊銀行にそういう人が多いのであります。この点につきまして何かお聞きになつて反省される点がございましようか。あるいはそういうことは一つも耳にしない、そういうことはお前方のひがみ根性だ、こうお思いになりましようか松田理事の御所見を伺いたい。
  213. 松田太郎

    松田説明員 私から何とも申し上げられませんが、私個人の心境といたしましては、実は御承知のように私前に役人もしておりましたものですから、あるいはそういうぐあいにおとりになるような方がありはせぬかと思つて、私自身としてはできるだけ慎んで、そういう役人風と申しますか、特殊銀行風というものを吹かせないように努めております。ほかの方も同じような気持でやつていると思います。そのお答えでひとつ御了承願います。
  214. 徳安實藏

    徳安委員 この造船ばかりではなくて、ほかにも開発銀行にいろいろ関係があるものがございましようから、いわゆる政府の出先機関だ、国民の奉仕者だという気分で、たとい身分はどうでありましようとも、親切丁寧に教え導いていただいて、その任務を遂行していただくということにぜひとも御協力を願いたいものだ、こう考えるのであります。私どもはしばしばそうしたことを国民から聞くたびにまことに不都合だ、これはいつかの機会にはあらためていただかなければならぬと考えておりますが、これはひとり開発銀行だけとは申しません。ほかの特殊銀行金融機関は往々にしてこうした気分があるようであります。そこに国民から親しまれないいろいろな問題があろうと思います。  最後に審査部長に伺いますが、先ほどいろいろ審査の条件等について伺いますと、ただ事務的というばかりではなくて、海外への信用ということが相当強く参考といいますか資料になつておるように考えられます。こういう点につきましてはおそらくお間違いはないと思いますけれども、この海外への信用度についての尺度、こういう点について、陳情があればその尺度が少しくらい上つたり伸びたりするような疑いもなきにしもあらずという気がいたしますので、そういう点についてお気つきの点がありましたら伺いたいと思います。
  215. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 ただいまの御質問は船会社の育成価値というものの中に国際信用力をどう考えるかということだろうと思います。国際信用を考えます場合には、船会社を定期船会社とトランパー会社といつたような面にわけて考えます場合に、やはりライナー会社というのは、国際信用力の点において最も重点を置かれるところのものでございますから、あるきまつたところを定期に船をまわします、そのときに各国によつて、たとえば郵船、商船など各会社の戦前からのいろいろな実績によつて、あの会社に頼めばその積荷は間違いなくある指定したところの港へ下してもらえる。ところがある会社に頼んだところがそれがどうも船の中に入つてしまつてなかなか出なかつたがために商機を逸してしまうというような、長年の実績があるわけであります。従つてそういうようなことが特にライナー会社——まあトランパー会社についてもある程度そういつたことが言えますが、そういつたようなことで国際信用力というものが大きく影響して参りますが、それを一つの尺度といたしまして戦前に一体優秀な定期船をどの程度持つておるか、あるいはどういう航路に置いておつたかということはこれは数字的に出て参ります。従つてそういう数字を事こまかに一定の標準によつてはじき出しまして、その育成価値の一部を評価して参るわけでございます。先ほど審査部長のとこへ陳情云々というお話がございましたけれども、実は私どもがきめるのじやなくて、お申込みになられる船会社そのものの実力によつてきめられて行く。先ほどおさとしがありましたように、われわれはもちろん特殊金融機関に籍を置く者といたしまして、不遜な態度があつてはいかぬものでありますが、それに合せるように、結局こちらの鏡を磨いてなるべく正しく映そうということにこれ努めておるわけでありまして、もし不遜な態度があれば大いに勉強いたしたい、こう考えておるわけであります。
  216. 徳安實藏

    徳安委員 そうした御意見は当然なことでございますから、あらためて聞くまでもないと思います。時間も大分過ぎておりまして、他の委員の方にも御迷惑でありますから、与党委員としての私の質問はこの程度にとどめまして、他の委員の方に譲ります。
  217. 天野公義

    ○天野委員長代理 山田長司君。
  218. 山田長司

    山田(長)委員 一、二点伺います。実は今度の計画造船に漏れた会社調査してみたわけです。ですからむろんその言葉の中には必ずしも正確であるかどうかということについては疑わしいものなきにしもあらずでありますが、しかし結果的にそれが正しかつたので私は一応伺うわけです。調査部で落しておつたものが審査でパスして来たその一つの例が日本重工業であります。これを聞いたときに、調査ではだめだと言つてつたのが出て来ておるので、この事情を私は落ちた会社から聞いたときに、なるほどそれかなとふに落ちたわけであります。私はこれらのことを実は伺おうとしておるのじやないのです。ですからこれらのことについての言い訳は私は別に伺わなくてよいです。償還期日がもう来ておる会社かたくさんにあるわけでありますが、先ほどから同僚諸君の話をずつと伺つておりますと、どうも償還期日が来ておつても返せそうもないような会社がたくさんあるような感じがするのですが、開銀としては一体期日が来たものについてどういう処置を講ずるのか、この償還期日の来ておる会社つて償還方法を具体的にお話願いたいと思ます。
  219. 松田太郎

    松田説明員 償還期日の参りましたのは、大体第五次船、第六次船と思いますので、昨年あたりから償還期日が参つております。と申しますのは三年が末でございますから……。もちろん私どもとして償還でき得るものは償還してもらわなければなりませんけれども、しかし最近の海運界の状況から、内容をいろいろかえましても、どうしても無理だというものも相当ございます。従つてそういうものについてはさしあたり半年を切りまして、ケース・バイ・ケースに調べまして、償還期限の延長ということをいたしておるのであります。
  220. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、半年を限つてとるというのですか。延長ですか。
  221. 松田太郎

    松田説明員 半年間の期限延長を認めているということです。
  222. 山田長司

    山田(長)委員 そうすると、主としてとるわけですね。  次に伺いますが、どうもしろうとですからあなたの方からしますと、実に幼稚な質問だと思われるかもしれませんが、計画造船で三井とか三菱とか、大きな資本を擁するいわゆるトラスト化している、あるいはカルテル化している大資本を擁している大会社が、何で開発銀行の力などを借りなければ、船ができないのか。私のしろうと考えでは、大資本を持つている会社ならば、自分のところでできるのではないかとまず思うことが一点、それからこの資本がこういうところにまわらないで、もしほかに有効に使われるならば、もつと日本の造船計画というものが立つのではないかという気がするのですが、この点については、どういう御所見ですか。
  223. 松田太郎

    松田説明員 いずれこの点につきましては、海運局長から詳細御答弁があると思いますが、実は私ども率直に申しますと、本来の海運界の今後の育成という点から見れば、七割、三割という私の方と市中の割合はございますが、一体百パーセント全部まるまる財政資金なり、市中資金をつけてもらつて船をつくることがいいかどうかということは、率直に申しまして、私は非常に問題がある点ではないかと思うのであります。しかしながら現在の段階におきましては、三井といえども、あるいは郵船といえども、商船といえども、経理内容は非常に苦しいということは事実であります。そういう意味で、造船計画というものがございます以上、私の方として、また開発銀行をして融資させます以上、今申しましたような観点から、特に先ほど申しましたように、担保という点に重点を置いていたしておりますから、お話のような点は、今後の海運政策というものを立てて行く上には非常に大きな問題として検討しなくちやならぬ問題と思います。これはむしろ私見かもしれませんが、率直にそう考えますので、お答いいたします。
  224. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 三井、三菱、これみな船会社単独独立のものでございまして、それらの会社ももうほとんど担保力があるかないかのところまで来ております。従いまして、自分の金でできるなんて全然考えられないような状況でございます。
  225. 山田長司

    山田(長)委員 もう一つ伺いますが、三月の三日に第十次造船計画のことが新聞に出ておりまして、市中銀行で今の状態では融資困難だというようなことが出ておりましたが、これについて石井運輸大臣は、金融関係についての業者に力を借りて造船計画の再編成をやるというようなことを言つておりますが、これに関して、岡田局長なり、あるいはまた開銀の方でも相当いりいろな考慮を払われていると思うのですが、何かわかつていることがあつたら、話していただきたい。
  226. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほどもちよつと話が出ましたが、日本船会社が多過ぎる、ことにオペレーターが多過ぎて、その間の競争がはげしい、これが少くなれば非常にけつこうですから、できるだけそういう少くする方向に行こう、こういうことです。その具体策についてはいろいろあるわけですが、十次造船に関連して、三つか四つ、あるいは五つくらいの会社にしなければ、十次造船は着手できない、こういうことになりますと、なかなかそう簡単にそういう再編等に持つて行くことはできない。そこで開発銀行意見を聞き、あるいはさらに市中銀行意見を聞いたわけでありますが、市中銀行は、担保力がないからもうこれ以上貸せない、たとい四つか五つの会社にしても、担保力もないやつが集まつてもやはりないのだから、十次造船に金を出すために再編するということと金を出すということとは別にお考えになつたらどうですか、こういうのが市中銀行の考え方でございます。しからば、市中銀行はほんとうに金を出さないのかどうかということは、今後なお十分折衝しなければならぬ、それには一に開発銀行の貸出し条件あるいは貸出しの方法についてどういうふうにお考え願うかということにかかつて来るわけであります。非常に相反する意見が双方から出ますけれども、これはなおよく話合いをいたしたい、かように考えております。
  227. 松田太郎

    松田説明員 開銀の考え方は先ほども申し上げました通りでありますが、第十次になつて参りますと、率直に言つて、唯一の頼みとする担保の問題も非常にむずかしくなつて参るのであります。先ほど来いろいろ御注意のございます開発銀行がいわゆる金融機関として考える場合にこれでいいのかということが、特に十次造船については問題になつて来ると私は思います。そういう意味で、私の方の総裁を初めといたしまして、そう点については、ただいま非常に苦心をいたしているのであります。市中さんのおつしやることも、われわれ金融機関とすれば御無理ないと思います。従つてこの問題については、政府の大きな政策もあることと思いますので、具体的にはいずれだんだんと運輸当局、大蔵当局、あるいは市中金融機関というようなところとも御相談をいたしまして、何らかの結論を出さなければならぬ問題だと思つております。そういう意味で、今われわれとしましても慎重に考えている段階でございます。
  228. 山田長司

    山田(長)委員 大蔵当局会計検査院に伺いますが、昭和二十五年に通つた法律に低性能船舶買入法というのがあるわけです。それで、この低性能船舶の買入れについて、どうも私の理解できない点があるのであります。たとえば新日本汽船、これは前の山県厚生大臣が関係している会社ですが、辰伊勢丸の六千九百二トンの船、これは共有船でありますから、船会社で四百五十五万六千七百十一円という価格で買い上げたわけですが、さらにそれを船会社から政府が買い上げるときには三千百七十九万五千百七十二円という非常に開きのある価格で買い入れておられるのです。こういう低性能船舶の買入れ価格を一体大蔵省ではどういう査定をしてこんな莫大な開きのあるものを買い入れているのか、これを一応伺いたいと思います。  それから会計検査院は、一体これらについてどういう時価の査定をされたのか。それからこれを検査した場合に、時価の査定を何を基準にしたか。これを伺いたいと思います。
  229. 窪谷直光

    窪谷政府委員 低性能船舶を船主から買い取りますのは、大蔵省の所掌事項ではございません。運輸省において実施をされたのであります。従いまして、大蔵省としてはその辺の評価の方法等については承知をいたしておりませんので、運輸当局の方から伺つていただきたいと思います。
  230. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの共有船の辰伊勢丸の持分を買い取つたのが四百五十五万円、こういうのじやないかと思いますが、これは先般の衆議院の予算総会で横路先生から御質問があつたのですが、この共有分というのは、なるほど政府の持分にはなつておりますが、実質は債権なのであります。従つてほんとうの持分ならば、その船から一文の利益も出なければ金利を払わなくてもいいわけです。ところがその持分の四百五十五万に対しましては、その船で非常に大きな赤字が出ておつても、金利だけは政府に払うということになつておりました。従つてこの辰伊勢丸、これは幾らの簿価かわかりませんが、かりに九百万円の簿価であつて、そのうちの持分が四百五十五万円であつたというと、持分は金の上からいうと、半分になるわけです。ところが辰伊勢の実際の時価は五千万円くらいしておつたかもしれません。そのときに辰伊勢を政府に低性能として買い上げてもらう場合に、その政府の持分の四百五十五万円、これは債権でありますから、その債権を払つてきれいなものにして政府に売り渡す。政府で買い上げた三千百七十九万円というのは、これは低性能の買入法を実施いたしますときに、たとえばE型の船だとトン当り幾ら、D型だと幾ら、辰伊勢はC型くらいでありますが、この船は何千何百万円、こういう一つの評価がある。この評価は、大分前のことですから忘れましたが、たしか大蔵省の主計局と相談いたしまして、そういう型の船の付保価格の半分くらいを標準にしたかと思います。その価格が三千百七十九万円、これで買い上げております。買い上げたものを大蔵省の管財局に渡しまして、管財局はこれをスクラツプとしてお売りになつた、こういうのでございます。ですからこの四百五十五万円というのは、政府の持分だけを買い上げた、そういうことであります。
  231. 横路節雄

    ○横路委員 関連して。管財局長にその点お尋ねします。私は前に質問をして、海運局長から同様の答弁があつたのですが、手続上これは非常に問題があるのですけれども、今お話のように、いわゆる国の債権にしても半分の持分について籍を抜くわけです。今海運局長の言うように、まず半分の籍を抜くために、大蔵省の管財局が相手方に売つて、完全に相手の持分にして、そして今度は海運局で買い上げた。だから手続としては、相手側にまず売つて、きれいに籍を抜いて相手のものにして、今度は政府が買い上げるというのが方法なんです。ところが私が指摘したように、あなた方のやり方はそうではない。たとえば昭和二十五年の十二月何日かにみんな買い上げた。相手方の共有分であるのに国が買う。そして三月ないし四月になつてから初めて籍を抜いたのです。私は会計検査院あとで聞きたいのですが、この手続は何としても不法ですよ。検査院もよく聞いておいてもらいたい。完全に一ぺん籍を抜いてきれいにして買い上げるべきなのに、まだ共有の部分なのに、昭和二十五年十二月十日から二十日までの間に買い上げをしておる。そして二十六年の三月ないし四月になつてから籍を抜いた。これは違法措置ですよ。この点だけは何としても違法です。違法でないというならば違法でないという一つの説明をしてもらいたい。あとで検査院も、何というても共有船舶の分については国の持分に関する処分なんですから、この点は明確にしていただきたい。
  232. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 その点私からお答えいたします。最初先生の御指摘になつたのは、政府へ売る契約をした日だと思います。それで実際に買い上げて政府が金を払いますのは、ずつとそのあとなんです。契約をいたしまして、そのあとで国の持分の抹消いたしまして、きれいにして政府に渡す、そして政府が金を払う。従つて先生の御指摘の最初の年月は契約をしたときで、実際に政府が金を払つて政府のものに買い上げてしまつたのは、ずつとそのあとなんです。そして買い上げて私の方は管財局に渡した。従つて私はその間何ら間違いがない、かように考えております。
  233. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 結論を先に申し上げますが、ただいまお話の低性能船舶は私の局の所管でありませんので、ここでお答えできません。先ほどお話のありましたように、買上げたのは運輸省、売つたの大蔵省であります。運輸省は三局の方で検査しております。大蔵省も一緒に検査しております。私は四局長といたしまして、話だけは聞いておりますが、関与しておりませんので、その点何ともお答えいたしかねます。
  234. 横路節雄

    ○横路委員 もう一つだけ管財局長に重ねて今の点を伺いたい。私も手続上の点ですからよくお聞きしておきたいのです。この点については今海運局長から大体お話がありましたが、大体五割ないし七割が国の持分であると思うのです。この点はなるほど海運局長の言うように、これは債権なんだから——何も辰伊勢丸ばかりじやなしにそのほかの船もそうでございますが、これは債権なんだから、たとえば三百万円でそれをつくつた、半分ずつ国とその船会社の持分であつた。だから相手に百五十万で渡してやれば完全に相手のものになる。そのことは私はそうだと思う。しかしそれを今度買うときに時価で買つておる。時価で買つた金が一千万とか一千五百万円になつておる。これであれば、私は少くとも国の財産に対して不当な損害を与えないためには、ひつくり返して国が相手から買えばいい。完全に国の持分にしてからくず鉄にして払下げをするということも、これは法律的に成り立つじやないかと思うのですが、管財局長、どうでしよう。海運局長の言うようなことも成り立つが、しかし国のものに対して不当ないわゆる評価をさせないためには、辰伊勢丸のときには四百五十五万円で国が買つて、完全に相手の籍を抜いてから国がくず鉄にして三千百万円で売れる、なぜこういう措置がとられなかつたのですか。
  235. 窪谷直光

    窪谷政府委員 いろいろお考えと申しますか御意見のほどもわかるのでありますが、何さま二十五年ですかの低性能船舶買入法という法律がそういう建前にできておりませんので、私どもとしては法律の建前に従つて処理をせざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  236. 山田長司

    山田(長)委員 もう一点だけ伺つて私の質問を終ります。これは海運局長に伺うのです。今度の計画造船従つて固定資産を安くしたり、それから資材を安くしたり、あるいは損害の補助を与えたり、利子補給をしたり、ずいぶん特典が与えられたわけですが、利子補給の場合を除いて今度の三点によつてどのくらい船会社に利益があつたようにお考えになられますか、参考に伺いたいと思うのです。
  237. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 固定資産税の軽減ですが、普通千分の十六でございます。ところが地方自治庁と私どもの間で話合いをいたしまして、実際は千分の六まで下げてもらつていたのです。それを昨年の夏の特別措置で千分の四にしていただきました。千分の四にしていただいた結果、年間約二億程度税金が下つただろう、かように考えます。  それから鋼材の利子補給でございますが、これは輸出船も含めてですが、当初の予定では八月の十五日から四月の十五日までの利子の軽減額が大体九億二千万円くらいでしたが、その後三月の十五日くらいで別品外貨の方が打切りになり、その他で半分くらいに減つておるのではないかと思います。これは船舶局長の所管ですからもう少し詳しい数字がわかると思いますが、しかもそのうちの三分の一は輸出船向けでございますから、国内船に対しましては三億程度の恩典になつておるかと存じます。  損失補償の方は、これはまだ実際に損失が出ておりませんので、損失が出た場合にこの限度まで政府が補償するという額でございます。これは限度額がたしか六〇億でございましたが、国の負担になるかどうか、まだわからないのでございます。
  238. 杉村沖治郎

    杉村委員 開銀にちよつと数字だけ伺うのですが、二十九年の二月十五日にお出しになられました山下汽船の——三十一ページです、一番しまいの欄のこの元加額一億四千四百四十九万三千七百二十四円、これはこれだけ利息を償還するべき額なんでありましよう。
  239. 松田太郎

    松田説明員 もちろん本来でございましたら、その利息を払つてもらわなくてはいかぬものであります。これは見返り資金当時におやりになつたわけなんでございますが、要するに計画造船を始めましたころは大体においていずこもほとんど船が戦災と申しますかやられてございませんでしたものですから、従つて利息をとることが非常にむずかしいだろうというので、たしか二年間を限りまして元加という制度をお認めになつております。その額がこれでございます。
  240. 杉村沖治郎

    杉村委員 そういう詳しい説明はいいんですよ。要するにこれは支払うべき額でありましよう。支払うべき額をつまり元加額としてこういうふうにしたわけなんでしよう。本来は支払うべき額なんでありましよう。
  241. 松田太郎

    松田説明員 利息でございますから利息の性質からお考えいただけばよろしいのですけれども、それを初めから二年間は払わなくてよろしい、元金に加えるという制度であつたわけでございます。
  242. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうするとこれは利息の支払い期日延期したのじやなくして、最初から払わなくてもいいということにしたわけなんですか。
  243. 松田太郎

    松田説明員 そういう建前になつてつたと思います。
  244. 杉村沖治郎

    杉村委員 それは何か法律ででもそうなつているのですか。
  245. 松田太郎

    松田説明員 契約でそうなつているそうであります。
  246. 杉村沖治郎

    杉村委員 たとえばこれの一番上の山照丸というのは貸付年月日が昭和二十五年十二月三十日だから、二十八年には三年間すえ置きをしても支払わなければならない期限になつているのじやないか。
  247. 松田太郎

    松田説明員 その点は三年すえ置きというのは元本の問題でありまして、ここの元加というのは利息の……。
  248. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうなんです。元本の支払い期がすでに昭和二十八年十二月に来ているのですから、当然にここで利息も払わなくちやならぬわけでしよう。それで結局あとの方に山照丸の貸付金に対するところの利息は二千五百六万八千四百九十円、こうなつています。これ利息なんでしよう。
  249. 松田太郎

    松田説明員 こういうことなんです。当初融資をいたしましてから二年間だけは利息は払わないで元本に加えていいということになつておりますから、これがつまり元本になつているわけでございますね。これに対して三年間たちますと、償還をしなければならぬ。こういう関係になるわけであります。
  250. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうするとこの貸付当初月日が昭和二十五年十二月三十日だから、昭和二十八年十二月二十九日はこれは元本の内入期限が来ているのじやないか。そうするとこの二千五百六万八千四百九十円というのは利息だけですか。元本の内入金も包含しているのですか。どういうのですか。
  251. 松田太郎

    松田説明員 非常に詳しい総務部長が参つておりますから総務部長から御説明いたします。
  252. 正宗猪早夫

    ○正宗説明員 この元加額は元加いたしましてからあと元金に入れまして、十五年間の分割返済にいたしております。
  253. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると三年間すえ置きで支払うべき額はこれは幾らだつたのですか。まず一の第六次山照丸の昭和二十五年十二月三十日に貸しつけたものは昭和二十八年十二月二十九日が三年間のすえ置きの期限満了と思いますが、当時の償還金額は幾らに当るべきなんですか。
  254. 正宗猪早夫

    ○正宗説明員 ちよつとこまかい数になるので表を見ますから、時間を……。
  255. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうぞ、数字のことを確かめたいのですから。議論ではありませんから。では調べられる間に松田説明員に伺いますが、元本に組み入れていいんだこいうことを言うけれども、少くとも山照丸の昭和二十五年十二月三十日の貸付の分については昭和二十八年十二月二十九日が期限なんだから、それをもまだそれまでに償還すべきものを元本に組み入れておいていいという理論は私はどうも出て来ないと思うのですよ。それはその前の何が利息であつたかどうか知りませんが、今のようなりくつで言うと、どうもおかしいような気がするのです。これお持ちですか。
  256. 松田太郎

    松田説明員 持つております。つまりこういうことなんですね。二年間の、今申しましたように利息を元金に加えることが認められておりますから、それで今お話のように二十五年のその何月かに融資をいたしましてそうして三年たちました二十八年の何月には、その当初貸しつけました額に、この利息を元金に加えましたから、この利息の加わつたものが三年たつたときの元本になつているわけですね。ですからその加わりました元本については、貨物船であればあと十二年間半年賦償還で返して行かなくちやならぬ、こういうことになるわけです。
  257. 杉村沖治郎

    杉村委員 それだからそれはわかつていますよ。利息をそれまで元本に組み入れて、利息を払わなくてもいいということはわかつていますけれども、もう三年たつたのだからその第一年の支払い期が来ているのじやないのですか。その十二月二十九日が。
  258. 松田太郎

    松田説明員 三年たちますれば第一回の、われわれは内入期限言つておりますが、その内入期限が到来しているわけです。
  259. 杉村沖治郎

    杉村委員 それだから今の内入期限は、山照丸の具体的な例で、これは一億九千百七十万円貸しているわけでございましよう、昭和二十五年十二月三十日に。だからもう満三年経過しているのだから、これに対するところのいわゆる内入金額は幾らであるか、こう言うのです。そしてそれがいつ償還されているか、こう言うのです。そこでここに元加額というものが二千五百六万八千四百九十円と書いてありますが、この元加額というのは利息だけであつて期限の来たいわゆる内入金額をもここに書いて償還しているのかしておらないのか。こういうことを聞くわけです。
  260. 松田太郎

    松田説明員 その元加制度というものはそれで廃し、その後は認めておりませんから、従つてあとは元本と、それからその元本に対する当時であれば七分五厘、最近であれば六分五厘、そういうものを利息として払わなければならぬ、こういうことになります。
  261. 杉村沖治郎

    杉村委員 それはわかつているんですよ。元本を償還しなければならぬ、三年来ているのだから。とにかく三年すえ置きであとは年賦償還というのだから。そうするとあれですか、あなたの方の考えは、三年たつてもまだ元本のいわゆる年賦償還期が来たんだという、ふうには解釈されないのですか。
  262. 松田太郎

    松田説明員 それは先ほど来申し上げておりますように三年たてば第一回の償還期限と申しますか、内入れ期限は参つております。
  263. 杉村沖治郎

    杉村委員 それだからこの山照丸をつくるために貸したところの一億九千百七十万円の幾ばくかは知りませんが、要するに第一回の期限が来ているときの償還金額は幾らなんですか。またそれが支払われておるのかどうかということを聞いておるのです。
  264. 松田太郎

    松田説明員 それを今総務部長が調べておるのだと思います。
  265. 正宗猪早夫

    ○正宗説明員 山照丸の第一回の最初の償還開始期限は、二十九年の二月二十八日でございます。その金額ちよつと手元の表に出ておりませんが、考え方といたしましては……。
  266. 杉村沖治郎

    杉村委員 考え方というのでは困る。私ども数字で押して行くのですから……。
  267. 松田太郎

    松田説明員 たいへん申訳ございませんが、明日必ずお手元にお届けするようにいたします。
  268. 杉村沖治郎

    杉村委員 山照丸の今の貸付期日が昭和二十五年の十二月三十日、三箇年すえ置きとすれば、これは昭和二十八年の十二月二十九日でまる三年になるのですけれども、まる三年たつたなればそこで元金の幾ばくかは償還されなければならないと思うのです。内入金として返さなくてはならない。その返さなくてはならないところの金が、この表では幾らであるかということがわからないでしよう。そこでただしまいの方に元加額として二千五百六万八千四百九十円、こういうふうに出ておりますけれども、これは元加額であつてさきのあなたの説明から行けば、元加額というものを認めて、利息をむしろ元本の中に組み入れて、そうしてここに出たところのものが二億一千六百七十六万八千四百九十円、こういうふうにお考えになるのでしようけれども、これでは今の償還期が来て、三年満期したところの償還額というものがどこに書いてあるのか、こういうわけなんです。それでこの二千五百六万八千四百九十円というものは、利息だけなのか、それともここに書いてないから、あなたの言われるその三年たつた元金の内入額と利息とを含んで二千五百六万八千四百九十円となるのかどうか。もしそうだとするならばそれだけの金を払わなくてはならないものを、払わなくてまた元金に入れて行つた、こういうことでおかしい感じがするでしよう。おわかりですか。これがわからなければ、こんな厚い資料をもらつたつてわからないですよ。
  269. 横路節雄

    ○横路委員 その点についてもつとわかるように開銀の方にお尋ねしますが、こういうことなんでしよう。貨物船については三年すえ置きのそれを入れて十五年ですから残り十二年の償還ですね。そして年二期でしよう。ですから昭和二十九年二月二十八日に償還期に来ておるものは、大まかな計算をすれば昭和二十八年十二月末の残高を貨物船については二十四で割れば一回の償還金額が出るし、タンカーについては二十で割れば出て来るわけでしよ う。
  270. 正宗猪早夫

    ○正宗説明員 そうです。
  271. 杉村沖治郎

    杉村委員 それはわかつておるのだが、その割つた額はどこに入つておるのかと聞くのです。
  272. 正宗猪早夫

    ○正宗説明員 出ておりません。
  273. 杉村沖治郎

    杉村委員 だからその償還しなければならないところの金額というものは、陰に隠れておるということになるわけでしよう。その点をはつきりして、ください。
  274. 正宗猪早夫

    ○正宗説明員 ここには載つておりません。
  275. 杉村沖治郎

    杉村委員 だから私どもはこれを見たつて、どうもおかしい、償還期が来ておるにもかかわらず、その償還がさ れておるのか、されておらぬのか、一つもわからぬということになるのです。そういうことではいかぬ。もう少しわかるようにしてくれなければいかぬです。ちよつと見るとこれは船会社びいきのつくり方だ、船会社は滞りなく納めておるようにできております。しかしどうもおかしいから調べてみたところが、償還金額というものがこれに載つていないのだ。私が調べたところからいけば、滞りがなくちやいかぬのにかかわらず、これがないから調べたところ、あなた方は裏の方にそつと隠しておる。こういうことではいけません。これは明確にしてください。
  276. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちよつと残つている点だけ御質問しておきたいと思います。先ほど横路君がお尋ねになつたようですが、船舶公団の共有船の処分関係についてであります。これはいつぞやの当委員会におきまして、国有財産増減の分について、その総額、並びにこれを国有財産法に基いて登録すべきでないかという点について、相当質疑を繰返しておつたのでありますが、この方は大体の見当が片がついたのであります。そこで今日問題にされておりましたのは、私も資料を持つておりませんので、問答の趣旨から理解するという程度で御質疑するのでありますから、あるいは間違つてつたら御指摘を願いたいと思うのですが、これは低性能船舶買入法によつて買入れをしたのである。従つて法律の手続としては適法せられておるが、その内容たるや、共有分の持分は、岡田局長のお話によれば、実質上は債権であつて、その国の持分を船会社が買つて、そして船会社のものにして処分をした、こういうふうに今聞いたのであります、それで持分は最初から予定せられておつた、たとえば九百万円で持分五割とすれば四百五十万円、その四百五十万円の代金の支払いによつて船会社が所有権を取得する。ところが時価七千数百万円ということであれば七千数百万円の二分の一というのが実質的な国の持分でないか。だからそれは国にそれだけの損失を与えたのではないか。こういうような質疑の趣旨であつたのではないかと思うのであります。ところが管財局長お話では法律上適法な措置であつた。また当初から債権は四百五十万円しかなかつたのだから、実質的に手続としては違法でないという今岡田局長のお話であつた。そこで私はここに一つの根本の問題があると思うのです。これは当委員会において前にも私の指摘した点でありますが、今この船を共有であるという前提——所有権を二人で持つておるのである、従つてその持分は実質的には二分の一であるから、所有権があるという前提に立ちます以上は、それは時価相当の国の資産があるのであるから、処分されてなくなるまで保護するのがあたりまえである。ところが法律によつて保護さるべきものが保護されないような方法で、四百五十万円の持分の譲渡によつてしまうという法律ができたので、法律によつて適法に行われた手続であるから、これは違法措置ではない、こういうので、形式と実質との食い違いがここに生じておるのではないかと思うのであります。そこでなお私は、その手続が違法でありやいなやにつきましては保留しておきまして、かりに法律によつて正当に処分行為が行われたものと仮定いたしましても、なお現に百億円相当の持分があるのでありまするから、それがもし時価三倍といたしましたならば三百億円、五倍といたしましたならば五百億円ということになるのであります。これはもし法律があるから手続は適法であつたというのであるならば、その法律を改正いたしまして国の資産を保護するに適切な措置を講ずべきではないか、もし改正をして時価相当の所有権の内容を保護せなければなならぬ、こういうことにいたしまするならば、何らそういう実質的に経済上大きな損失を来すような処分行為に出る必要はないのであります。もつとも当初の契約によつて船会社の既得権があるという議論があるならば、これは後日にまわしますけれども、私はそういうように端的に考えるのです。これは多くの資料を持たずにきよう議論するようになるので恐縮でありますけれども窪谷局長並びに岡田局長に伺いますが、法律を改正することになれば、国のものが実質的に保護されるようになると思うのですが、それに対する御意見はいかがでしよう。
  277. 窪谷直光

    窪谷政府委員 昭和二十五年にできました低性能船舶の買入法に基いて実施をいたしたいことではございますが、この法律がそういう建前でできましたのは、その前に船舶公団と共有船主との間の共有契約がございまして、その契約によりますと、国の持分は簿価ということに相なつております。従いまして帳簿価格で船主はいつでも買取りができるという権利を持つておるわけであります。従いまして、その建前を尊重いたしまして買入れ法も同様の建前でできておるということに相なつておりますので、低性能船舶買入法によつて特別に初めてそういう処置をしたわけではございません。すでに船舶共有船主がそういう条件で船舶公団と共有関係に入るという、何と申しますか、権利義務がすでにできております。それに従つておるというふうに考えております。
  278. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりましたが、その点はどうもそういう契約がありましても、やはり経済変動の結果物価指数は異常に変動を来しておりますので、これは法律論になりますけれども、その契約に縛られる必要はない。つまり帳簿価格が当初四百何億かりにあるといたしましても、これは事情の激変でありますから、激変に従つてお互いに適当に改訂をすることは、これは法律常識でありますので、その辺はそういうような考慮に立ちましたならば、国の損を少くする可能性は見つかり得ると思います。しかしこの点はまた別の機会に議論をすることにいたしまして、この程度にとどめておきます。  次に開銀の方に一点だけ伺いたいのですが、開発銀行といたしましてはいわゆるリベートなるものをお知りになつたのはいつでございますか。
  279. 松田太郎

    松田説明員 われわれ率直に申しまして、リベートがあるということがわかりましたのは、今度のあの事件が公になりまして、なるほどそういうものがあつたかということを知つたのでございます。
  280. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは審査部から審査の結果を理事会にかけられて、そうしてそれを協議なさつたお一人なんです。そこであなたの下には審査部があり、審査部の中にもまたそれぞれ担当の職員があり、それぞれの末端現場でいろいろ調査をなさつたはずでありまするが、その方面についての調査実情調査の結果、調査についてのあやまちの有無等、もう少し注意したならばリベートのやりとりの存在、内約等は察知し得たであろうというようなこともあつたかなかつたかということについて一体お調べになつたのですか。
  281. 松田太郎

    松田説明員 リベートの点が問題になりましたものですから、そういうことはあらかじめわからなかつただろうかというようなことは、審査部に聞いてみたことがございます。しかし率直に言つてわかりませんでしたということが答えでございます。
  282. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はその程度のことを伺うのではないのであります。あなたの方は今までの質疑応答によりまして他の市中銀行に比して格段の厳密な審査、また調査が事前に行われた上で融資が実現されたようにみずから誇示しておられるのであります。しからばその審査過程におきまして、末端現場の審査担当の職員諸君において、このリベートを発見することができなかつたかということについて、もつとつつ込んであなたの方では調査し、またそれ自身内部的に反省を加えてみねばならぬ職務があると思う。なぜなら目的外の融資が結果において十数億になつておるのでありますから、新聞で知つたとか、世上のうわさによつてつた、お前もそうであつたかというような、そんな程度で済ませるべき問題ではないと思う。末端現場すべての職員に対してそういうことの有無の調査、察知し得たかどうか、調査の方法がいかぬかということは、厳密にさかのぼつて批判を加え、再検討しておられなければならぬと思うのですが、幹部のお一人としてそういうことはしなかつたのですか。
  283. 松田太郎

    松田説明員 その点につきましては今後も私の方として十分調べるだけのことは調べます。
  284. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は今後のことを聞いておるのではないのです。今後していただかなければならぬことはもつともでありますけれども、具体的な事実としてあなたの方はそういう挙にお出になつたかどうか、そういう措置をしなさつたかどうか、調査段階、審査段階でその方に向つて調査をしなすつたかどうか、それを聞いておる。
  285. 松田太郎

    松田説明員 先ほど申し上げましたように、審査部の方にはそういう点がわからなかつたから、またわからないということをこちらも聞きました。審査の方としてもいろいろ検討はしておると思いますが、その当時わかりませんでしたということだけは率直に申し上げます。
  286. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 理事会は相当な人数で構成されておるように思うのですが、あなたお一人の意向としてはあまりに聞きのがしておくことは重大であります。開発銀行理事会、総裁以下の幹部といたしまして、審査過程において、リベートの発見の可能でありやいなや、それについて手続が十分でありやいなやということについて検討を加えねばいかぬというような趣旨の何らかの御協議もしくは方策、そういつた反省批判についての御相談、そういうことがあつたかどうかを聞いておきたい。
  287. 松田太郎

    松田説明員 もちろんその点につきましては、先ほど申しましたように今後こういうことがあつてはいかぬということで、役員一同十分今後の検討については注意をするということにいたしました。
  288. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はこの点ははつきりと述べてもらいたい。あなたはいつも実に明快な答弁をどんどんしておられるのですが、今の私の質疑の趣旨を曲解しないでもらいたい。今後のことを伺つておるのではないのであります。すでに発生しましたのは、われわれの推定によりましてもリベートの総額は十億円を越えると思います。そういうようなものが行われたということは、あなたの方の銀行業務の上におきましても、貸出し業務の上におきましても、将来のことはもちろんであります。けれども、過去の事実を十分に検討することなくしては私は将来の方針は立たぬと思う。過去の事実たるや審査部のやりました一切について再検討しなくてはならない。お前は何を調べたか、契約船価は何だ、船価の構成はどういうふうにしておるのか、お互いにリベートをしたその経緯なり、すでに起訴せられた事件が大分あるのであります。あるいはそれはリベートであるかないか知りませんけれども、官庁にまで金が入つたといつて、起訴せられた事実もあるのであります。でありますから火の粉が飛んでまわつたのです。そういう事実はさかのぼつてあなた方でどういうふうにして十分に審査したのかということを、幹部としては私は検討しなければならぬと思う。あなたの方は審査部の持つて来たものをうのみにしておられる、というと失礼ですけれども、これに対して何ら反対の結論も出すことなくして全部これを承認しておられる、それくらい審査部を信用しておられた。ところが審査部の調べて来たものはリベートを見のがしておるのです。何となればそれが契約船価に入つておるとは刑事局長のさつきの証言によつても明らかだ、だから私はほんとうに紙背に徹するような目をもつて調査しておつたならば、これはどこかで感づいておつただろうと思う。これをすることなくしておつたということには、やはり幾多の批判が開発銀行に対して加えられなくてはならぬことになるのであります。そこで今後のことを聞くのじやないのです。これまでの重大なこのできごとに対しまして、幹部としましては調査反省等についての協議をなさつたか。これまでのことですよ、それを聞いておるのです。はつきりしておいてください。
  289. 松田太郎

    松田説明員 その点は先ほど申し上げましたように……。
  290. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 先ほど言いませんよ、うそ言つちやいけませんよ。
  291. 松田太郎

    松田説明員 リベートに相当する点があればこれは船価がそれだけよけいになつておりますのですから……。
  292. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そんなことを聞いておるのじやないのです。発言中ですけれども、もうだんだん時間も切迫しておりまするので、できるだけ互いに簡明に有効な質疑応答をしてこの審査を適切に進めて行きたいのであります。そこで私はあなたを何も責めようとしておるのじやないのです。けれども事実としまして生じたことがともかくあるのであります。審査部のいろいろやつたこと、みずから理事会にかけられたこと等とありますから、あなたの方はそれを振り返つているくと批判検討をなさつたかどうか、こう聞いておるのです。だから将来に向つてこうしますとか、あるいはリベートが発生いたしまして数字がきまつたならばそれの償還を請求するとかいう、そういうことを聞くのじやない、それの対策を聞くのじやないのです。その以前にあなたの方の一切の行為につきまして、手続につきまして、審査の段階一切を含めてあなたの方みずから批判し再検討することをしたのかどうか、これを聞くのです。そこですよ。それは大事な点ですからおつしやつてください。それでなおあなたはお述べになることができなければこれは保留しておいていいのです。なぜならこれはやはり総裁の責任において聞かなくてはならぬと思いますから……。
  293. 松田太郎

    松田説明員 その点についてはやつております。
  294. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しからばリベートを発見しなかつたということは、これに手続上に何らのあやまちもなかつたということに期するのでしようか。それとも一面、まつたく人力では発見することができないというほど巧妙にでも行われていたということに期するのでしようか。その辺についてはどういう御判断に到達せられたのだろうか。
  295. 松田太郎

    松田説明員 審査部長から申し上げるようでありますが、私率直に申し上げまして融資をいたしました当時は見つけられなかつたことは事実であります。その見つからなかつたことについて私の方に全然不注意も何もなかつたかということにつきましては、そういう事実がございました以上、やはりどこか私の方として抜けておつたところがあるかと思いますが、その点は今後十分注意いたしたいと思いますのでよろしくお願いします。
  296. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵省総務課長に聞きますが、開発の融資が行われたあと、その融資貸付先の融資資金の動き、それから造船所なりその他各関連工業等の支払い等とありましようが、その融資の動きというようなものにつきましては開発銀行は相当注意し監視する必要があるのじやないでしようか。ことに大蔵省といたしましては法律によりまして、開発銀行に対しましていろいろと置接帳簿の検査までする権能を持つておりますのですから、その辺について大蔵省開発銀行を調べましてこのリベートの問題について何らかの注意をすべきではなかつたのでしようか。あるいは大蔵省といたしまして、重大な融資の行く先のことでありますから、ときどき報告を受けるとか、何らかの措置でもなさつたでしようか。あるいはまたさらに転じて開発銀行としましては融資したその後、時期はともかくといたしまして、ある段階等で状況の報告を貸出先へ要求するというような手続をすることが、適当であるというような措置でも大蔵省として指示すべきではなかつたのでしようか。その辺はいかがです。
  297. 大月高

    大月説明員 開発銀行融資先に対しましてどの程度開発銀行が審査しあるいはこれを監視しておる義務がある か、あるいはどの程度まで監視し得るかという点につきましては、現在の建前から申しまして、契約上相手の船会社の経理までは見ることができるということになつておると存じます。従いましてこのリベートの問題につきましても、開発銀行といたしましては、必要があれば船会社の直接の帳簿あたりまでも見る権限はあると思います。このリベートの問題は、率直に申しまして、ただいまようやく検察当局で問題になり始めましたのでわかりますように、あるいは海運局長でもようやく最近そういうことがあつたというようなことがわかつた、それ以前はわからなかつたとおつしやつておりますように、普通の常識といたしましては、私はリベートの問題はわからなかつたのであろうと考えます。しからば最近問題になりましたあとどうしたかと申しますと、大蔵省といたしましては、先ほど申し上げましたように、開発銀行の責任者を大蔵省に呼ひまして、この問題を十分調査するように申してあるわけであります。具体的にどういう方法でもつて調査しろということは、開発銀行としても十分な機構を持つておりますので、当然内部でそれぞれ調査しておられるべきものと承知いたしておるわけであります。
  298. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはやはりあなたに聞くのは無理だと思いますから、またあらためて大蔵大臣に聞きます。それから開発銀行理事は——ちよつと今定款を持つておりませんが、理事はやはり開発銀行を代表する立場、つまり普通の商事会社なら取締役のような立場にある者と私は思います。従つて、そういうお立場の理事として伺うのですが、これは審査段階において、審査当局職員の過失がなかつたといたしましても、しかし開発銀行といたしましては、目的外に金が使われたという点は、これは相当反省をしなければならぬ、金融手続というよりも金融そのものですな。国家資金の金融の上におきまして相当反省をしなければならぬ大きな事件とお考えになつておるのではないでしようか。
  299. 松田太郎

    松田説明員 その点はお説の通りでございまして、私まことに遺憾に存じております。
  300. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういたしますと、リベートの問題の一つの責任問題ですが、私は何もあなたらの責任を追究したいというので質疑するのではありませんけれども、やはりこれは国家の損失に帰するというふうにわれわれは考えるのです。なぜならば、かりに返還を請求するといたしましても、だんだん論議があつたごとく、利息の支払いすらしておらぬ、元本の償還期限は到来しておつても、なお延納の条件変更を嘆願するような状態である、あと融資については担保能力が疑われておるというような実情等々である。しかるに運賃が下つてつておる、いろいろ悪い条件ばかりのお話が出ております。従つて、リベートの返還を求めても、そう急速に完済はできぬと思います。かりに一定期間に完済がされるといたしましても、そんな不当な貸付をいたしたということは、少くとも国の損であります。そんな金が十数億あれば、今大衆が困つておる、中小企業が困つておる、それにばらまいてやるくらいにして貸し付けた方が何ぼいいかわからぬと思うくらいな考え方もできますので、少くとも国の損が生じたということについて、開発銀行は責任をお感じにならぬのでしようか、その点どうでしようか。
  301. 松田太郎

    松田説明員 リベートの事実がある以上、財政資金にそれだけの御迷惑をかけておるということは十分私ども承知しております。
  302. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 岡田局長に伺います。あなたの精神的な、ずいぶん一生懸命になつておいでになるお立場、どういう責任も甘んじて受ける、そういうけなげなお気持は私どもよく了承いたします。しかし、現実の事実といたしましては、まことに悲しむべき多くの問題が発生いたしまして、あらゆる社会の面に被害を今及ぼしつつあるわけでありますので、こういうことにつきまして、やはり帰するところ、突き詰めたらリベート問題というのが相当重大ながんになつておると思いますので、こういうこともまことに言いにくいことでありますけれども、運輸当局といたしましても、リベート問題につきましては、これは国家に対して重大な損害を加えたというふうに御判断になりませんでしようか。
  303. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 さように考えます。まことに申訳ない仕儀だと考えます。
  304. 天野公義

    ○天野委員長代理 本日はこの程度にし、次会の期日及び議題は、後日公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十五分散会