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1954-04-01 第19回国会 衆議院 決算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月一日(木曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 大上  司君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 安井 大吉君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       徳安 實藏君    村瀬 宣親君       吉田 賢一君    池田正之輔君  出席政府委員         調達庁次長   堀井 啓治君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   横山 正臣君         北海道開発政務         次官      玉置 信一君         北海道開発庁次         長       谷口 明三君         外務事務官         (大臣官房長) 松井  明君         大蔵省財務参事         官       鈴木 源吾君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 静夫君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      山内 隆一君         外務事務官         (国際協力局第         三課長)    安川  壮君         建設事務官         (河川局防災課         長)      浅村  廉君         建 設 技 官         (道路局地方道         課長)     具嶋太三郎君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         会計検査院事務         官         (検査第三局建         設検査第一課         長)      保岡  豊君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 四月一日  三宅正一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長代理 これより決算委員長を開会いたします。  本日は委員長がやむを得ない事情のため出席できませんので、理事の私が委員長の委嘱を受けましてその職務を代行いたしますから御了承願います。  それでは昭和二十六年及び二十七年両年度決算議題として、前会に引続いて総理府所管北海道開発庁及び調達庁につき審議をいたします。北海道開発庁については、去る十九日の委員会で当局からすでにその説明を受けた後質疑が保留となつておりますので、この際ただちに質疑を許します。
  3. 柴田義男

    柴田委員 一応今の昭和二十六年度の北海道開発局のうちの農林省関係と、運輸省関係あるいは建設省関係等議題になつておるようでありますが、農林省関係の分を一通り会計検査院から御説明を願いたいと思います。そうでないとただこれは抽象的に書いておるので、具体的にちよつとわからぬことがございますので、お願いしたいと思います。
  4. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 ただいま議題になつております二十六年度の四号以下の案件でありますが、このうち農林省ということでございますので、農林省関係だけざつと申し上げることにいたします。  まず九号、十号、十一号が農林省関係であります。いずれも工事設計通りやつたことにして金を払つておりますが、そのあとで私ども検査に参りましたところ、その設計通りやつたはずの工事出来高不足があつた、こういう案件であります。三件合併いたしますと百八十万円ほどの出来高不足でありますが、この表をごらん願いたいと思います。内容はこの下に摘要として書いてございますが、九号でありますが、これは排水の改修、土を揚げまして捨てる、片づける、それから排水溝を掘る、この両方出来高不足があつた、こういう案件であります。その次はやはり排水改良でありますが、これは切土出来高不足、こういうことになつております。その次も同様であります。農林省関係はここにございますのではこの三件、こういうことになつております。
  5. 柴田義男

    柴田委員 もう一つ、この質疑に入る前に、二十七年度の分もございましたら、農林省関係だけちよつと御説明願いたいと思います。
  6. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 二十七年度はまだ議題にかかつておりませんのでございますが、何号から何号ということで御説明しておりますが……。
  7. 柴田義男

    柴田委員 議題になつておりませんところはあとまわしでけつこうでございます。それでは質問に入ります。この指摘されまする番号の九、一〇、一一、この三つにわたつての問題でありますが、いずれも過払いであつた。それでこういう過払いが何でできるのか、今までのいろいろな調査等を見ますると、結局その工事をやらしておる工事者と、調査された係の方のあまりにも疎漏な調査の結果こういう過払いか出ておる、こういうような表面的な理由のようでございますが、何でこういうことを毎年のように繰返しておるのか、こういう点をひとつもう少しわれわれが了承できるような御説明農林省の係から伺いたいと思います。
  8. 平川守

    平川政府委員 北海道につきましては、もちろんまことに遺憾なことでありまして、十分注意をいたしておるところでございますが、この当時の実情を調べますると、年度内に検査をして、その事業の竣工を確認するわけでございますが、これをちようど三月に行うわけであります。ところが御承知のような事情で、雪が積んでおるというような関係で、どうも調査が十分にできにくいという事情はあるわけでございます。そこでこの工事につきましては、請負金額を全部払うのを一応留保しておくというようなことも多少行われておるようでありますが、会計年度関係からいたしまして、どうも三月に行わざるを得ないような状況になつておりまして、そういう自然の障害等もありまするために、往々にして——しかしそれに籍吊して責任を免れることはできませんので、厳重に注意はいたしておりまするけれども、こういう場合が時たま出て参りますのは、まことに遺憾に思つているわけでございます。いずれもそういう状況のために検査が十分に行い得なかつた。排水路掘鑿事業でありますが、そこに雪が積つて、その出来高を一応検査いたしましたけれども、春になつて現実検査してみると、出来高不足であつたという事案でございます。  これに対する処置といたしましては、いずれもあとからこの不足分量工事を業者に実施させまして、それによつて当初通り仕事あとから完遂はさせておる、そういう措置をしておるわけであります。なお一一につきましては、再々のことでございまするので、この不足金額に対して返還を命ずるという措置をとつております。多少そういう自然条件検査しにくいという事情はあるわけでございますが、しかしこれは、それだから不足であつていいものでは決してございませんので、厳重注意をいたしておるようなわけであります。
  9. 柴田義男

    柴田委員 今の三つの問題は金額にいたしましても、大きな金額ではございませんけれども工事内容から見ました場合には、たとえば九の百九万九千余円の過払いをやつたという問題は、金額は百九万円でも、相当過払いをやつたように見受けられますが、この百九万九千余円の過払いをやりました全体の工事金額はどのくらいで、ありますか。
  10. 平川守

    平川政府委員 ただいまのは二十七年度の事業のようでございますが、これは七百八十万円ほどの事業に対して百万円の出来高不足があつたのでございます。二十六年度の九号は、百三十五万円の仕事に対して十六万円の出来高不足があつた。十号は、七百四十万円の工事に対して百三十七万円。十一号は、二百二十万円の工事に対して三十五万円の出来高不足があつたわけであります。
  11. 柴田義男

    柴田委員 そうしますと、あるものは一五%、あるものは五%というように、比率的にはまちまちでございまするけれども、結局時期的な問題でそういう問題が起きたことは了承されまするが、農林省土木工事に対しては、私どもあらゆる角度から見まして、不審の点がたくさんある。工事でございまするから、調査等もなかなかめんどうでありましようけれども、おのおの技術者もおることであるし、この工事に対してはどういう調査をしなければならぬということは、おのずと方針があるはずだと思います。こういう問題が年々繰返されるようなことであつてはいけないと思いますが、これに対する局長としての根本的なお考えを承つておきたいと思います。
  12. 平川守

    平川政府委員 何分非常に多くの事業をいたしておりまするので、どうも監督の目が届かない事案が出て参りまして、まことに恐縮でございます。もちろん厳密な検査を係の責任者が行いさえすれば、間違いないはずでございますが、従来とかく手不足関係もありまして、たまたま下にまかしたというような場合に、こういうことが出て参つておるように思われます。農地事務局が各ブロツクにもございますので、この検査については少くとも相当責任者自分で出向いてやることにするように、昨年もそういう指令を出しましたが、さらに力を入れて厳重にやるよう指令しております。
  13. 大上司

  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今、農林省農地局長お話によると、二十六年度の三号分工事については雪国で自然的障害があつて調査が十分できなかつたということになつている。そこで私は伺いたいんですが、これは前会から問題になつたのでありまして、一体北海道開発庁というものは何をするのか、これは開発庁に聞かなければいかぬのだが、この間政務次官の御説明によると、開発庁というのは、企画をします、調査をします、立案をします、実施開発局がいたします、しかし仕事指揮監督は私どもはいたしません。こういうことです。そうすると、その十分に調査をしなかつたというのは、開発庁責任があると思うのだが、開発庁の御説明はどうですか。ちよつと申し上げておきますが、私は開発庁機構とか、機能、権限の問題と、それから主務官庁である農林省建設省運輸省などの権限との交錯の面におきましてどうも合点の行かぬ点がありますので、そういう方面を、建設的な意味において質疑を続けて行こう、こう思いますので、そのつもりで、弊害弊害として、欠点欠点として、ひとつ率直に述べていただきたいのであります。この北海道開発庁批難事項審議はそういう観点から私は進めて行きたいと思つておりますので、どうぞその点御了解の上御答弁をお願いしたいと思います。
  15. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 ただいま吉田委員お尋ね開発庁北海道開発に関する権限は、単に調査立案、あるいは調整推進というようなことだけであつて、実際の事業執行にあたつて指揮監督権がないのはどういうわけか。なおかつ先ほどの……。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 指揮監督権がないのはどういうわけか、そういうことは聞いておりませんから……。
  17. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 事業執行について個々調査が疎漏であるが、その調査は、いわゆる開発庁権限のうちの調査には入らぬかという御質問でありました。御承知通り北海道開発庁が持つておりまするところの調査権限と申しまするのは、一般的な基本調査でございまして、御承知通り総合開発をやつておりまするので、どういうぐあいに基本的な調査を進めて、それによつて各種開発事業をどういう方向に持つて行くかというような基本調査をすることが、とりあえず北海道開発法第五条に規定してありますところの開発庁調査権限であります。先ほど農林省政府委員からお話のあつた一部調査が疎漏であつたというこの調査は、具体的に事業執行いたしますときに、個々の箇所につきまして調査するのであります。その調査の疎漏ということが、いろいろ出来高不足あるいは過払い等原因になる一つであろうと思います。なお開発庁の一般的な職務権限関係各省との事柄につきましては、またお尋ねがありますればお答えしますが、今は実情だけを申し上げておきます。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると、開発庁の下に北海道開発局がある、開発局というのは、行政機構上は開発庁下部機関である。その開発局が具体的に第九号案件調査実施した、その調査が疎漏であつた。農地局長は、冬季雪が降つてつて、その下にあるので、雪が解けてから調べたら、十分に調査ができていなかつたと言われたが、北海道冬雪が積るということは、これは三歳の童子もわかることなんで、現地の調査機関である開発局は、具体的にそういうような自然天然を十分に考慮して調査したものと思う。しかしてこれが調査不十分ということが原因になつて、この批難事項による事実が発生している。これは農地局長も、開発庁次長も、開発局調査の不十分ということをお認めになつているらしい。またこの説明書によりましても大体そういうふうな趣旨がうかがわれるのであります。そうしますと、これはそもそも開発局担当者責任であるかもしれませんが、もう一つ上の方へ行きますと、機構関係におきましては、どこの責任になるということに一応考えるべきなんでしようか。両方からひとつ答弁願いたいと思います。
  19. 平川守

    平川政府委員 この事業につきましては、各省大臣がそれぞれの分野に応じて開発局を区処することになつておりまするので、この当該の事業につきまして、開発局の職員が検査が不十分であつたということにつきましては、これは農林省責任があるわけであります。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 開発庁はどうですか。
  21. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 ただいま農林省政府委員がお答えになりました通りであります。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、調査自体が疎漏であり、不十分であつたというときには、調査そのもの開発局がする、その調査自体について何らかの過失、あやまちがあつた場合に、なお農林省農林省として、その上部官庁監督責任を負う、こういういうことに了解していいのでありますか。もう一度重ねてその点を明確にしていただきたいと思います。今事業とおつしやいましたが、その調査そのもの事業に至る前の段階です。
  23. 平川守

    平川政府委員 この調査も含めまして、この事業実施全体を、農業部門につきましては農林大臣責任を負つているわけであります。もつとも、私ここで先ほど調査という言葉を用いたかもしれませんが、申し上げました意味は、この事業実施いたしまして、そして請負がその仕事を完成した、その完成したかどうかを検査するその検査の疎漏なために出来高不足であつたということで、この事案に対しましては、そういう意味で申し上げたわけであります。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、この機構の上におきまして、開発局というものは、北海道開発庁の一応下部機関であるわけでありますが、その開発局仕事をする、活動を開始するということになつて来ると、予算の範囲内で仕事が始まつたときには、農林省がこれを指揮監督して行く——その点は、一方に木がある、そこへもつて行つて竹を継いだ、継いだ瞬間に次の監督関係が発生して行く、本来は木である、木は木で北海道開発庁という上のつながりが別に監督している。予算がとれる、とれた予算各省に配分されて移しかえられる、その予算で、仕事実施して行く、仕事を開始して行くと、たとえば竹でやるとしますと、竹が継がれた、そしてその竹は別の省から監督している、つまりその開発庁仕事は別の省からにらんでいるということになるようでありまするが、そうしますと、一体その人間——たとえば予算を使う、仕事執行する、仕事を完成するといつたところが、人がするのであります。その人は農林省監督しない、そうしたら有能であるか無能であるか、あるいはそこに適当しない技術者であるか、あるいはそういう技術者とかその他の者を含んだものが全体としてまた適当であるかないかというようなことについては、農林省は関与できないという法律の建前であります。そうなりますというと、そこまで一体農林省が目を届かして行くことができないようなことで、農林省が国から預かりました予算執行するのに、真にその必要とする仕事、適正と思われる予算の使い方を実行ができるかできないかということも、農林省としては責任が負えぬということになるのじやないでしようか。なぜならばその予算が来まして仕事が始まつてからでないと、農林省としては事業監督をするのじやない、それまでの方は開発庁がやるのだから、そうなりますと非常に不都合で、私どもは理解しにくい機構上の欠陥がそこに胚胎しておるように思いますが、その点いかがでしよう。
  25. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 ただいま北海道開発の方式、現状につきましては、吉田委員お話通りでありまして、私どもこの現状に対しまして、立法論といたしましては、どうしても事業計画をするものと、これを執行するものとが同一でなければならぬということを考えておるのでありまして、せつかくいろいろの研究をしおります。しかしながら現状はただいま吉田委員の御指摘の通りでありまして、今後十分この点につきましては研究を重ねまして、北海道開発事業が強力に推進されまするように努力いたしたいと考えております。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の点につきましては実施官庁といいますか、指揮監督官庁農林省、本来その仕事成果を見守つて行かれる農林省予算執行責任のある農林省といたしましては、そのもとになりまする機構なりそれから人の関係なり、能力の関係なりその他のもとになりまする関係とはちよつと切り離された立場おいて責任を負つておるということであるから、農林省から北海道開発庁一体——開発庁というのま私も調べてみたら大臣長官になつておられる。国務大臣長官になつておるようなところであるから——私はまだ深く研究しておりませんので、まだ私自身の確信のある意見は申し述べられませんけれども、しかしいずれにしましても予算をとるのは開発庁がとつて、そうして農林省建設省運輸省がこれをわけてもらつて農林省自分の指揮している人間でない開発庁の指揮している人間仕事をまかしてしまう、仕事をし出したら監督するというふうに、実にまわりくどくなつておるように思いますので、どちらにか、これはやはりこういう非常に重大な時局でもありますので、さらにこの北海道開発庁をめぐりまして開発庁予算実行ほんとう成果を上げる意味におきましても、またこういう幾つか出ております批難事項の抜本的な解決の一手段でなければならないと思いますが、やはりここはそういうすつきりした一本に——予算も一本に、あるいは予算とつたところが実施権があり企画調査する、もしくは企画調査したところが実施して行く、実施権限責任を負う、こういうふうにやはりそこは一本にするということに再検討をする必要があるのじやないかということをお考えになりませんでしようか。現状であつてはいつまでたちましても、この種の問題があとを絶たぬ危険があると私は思う。一つ一つつて行きましたならば、いろいろと具体的事情がありますけれども、貫して流れておる原因はやはり今指摘している点にあると結論せざるを得ないので、やはりそこについて再検討することが必要であるとお思いになりませんでしようか、農地局長の御答弁を願います。
  27. 平川守

    平川政府委員 これはお話通り計画をしあるいは予算をとるところが事業執行をするということがもちろん本然の姿であると思います。ただこの事案になつておりますような問題につきまして、そういうことで解決できるかどうかは疑問であると思いまするけれども、姿として本来の姿であるということは私どももそう思います。ただ一方から申しますると、たとえば食糧増産責任を持つ農林省というものが、北海道というものに直接タツチしないというようなことがはたしてその面においていいことであるかどうか、これはまた別問題として起る問題でありまして、そういう利害得失の問題であろうかと思うのであります。現在の制度は実際問題として開発局あるいは開発庁農林省もあるいはその他の各省も人を出しまして、そうして実際問題としての人的つながりを持ち、また予算をとるについても、農林省からも大蔵省に話をし、また開発庁からも話をする、両者が連絡をとりながら、して行くというようなことで、事実上の連絡、それから人の監督につきましても、非常にまずい者がおれば、開発庁の方に連絡をしまして、その人に対する懲戒あるいは人事の入れかえというようなことを請求をする。あるいは逆に開発庁の方から、これはどうもまずいから農林省の方で人をかえてくれ、こういうような話がある場合もございます。現在では北海道というものを一つのまとまつた特に開発を要する未開発地方として、これに一つのまとまつた重点を置くという意味においての開発庁という考え方と、それから各省——まあ私の方で申しますれば食糧増産というものを全国一まとめににらんだ農林大臣仕事、これをある程度折衷的につなぎ合したようなかつこうになつております。お話のように、そのために不適当な面も出ておると思います。しかしそういう両面がございますので、これについては相当検討を要するのじやないか、おのおのの利害得失というものもよく考えてみる必要があるのじやないか、こういうふうに思います。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点は、あなたも永久に農地局長ではおありになりませんので、食糧増産について百年も責任を持つて行かれるのでありませんのですから、やはり農地局長としてのお立場におきまして、その御在職中に、やはり北海道は、私は日本の行政機構予算執行の面において、お互いにもつれ合つておる一つの重要な検討を要すべきケースになるべき案件だろうと思います。私もこれがかかりましたので、過日来北海道開発庁組織法ができるときの速記録も一応調べてみましたが、やはりいろいろ議論が出ております。食糧増産の土地として非常に重大な将来性があること、及び現在の使命、それもよく存じております。であればあるほど、私はここに現われました批難事項一つ一つを、当とか不当とかいうことでさつと上げてしまうのには、あまりにこの問題は惜しいのであります。という意味は、そこにありますところの重大な問題、これにやはり手をつけなければいかぬ時期だと思いまするので、幸いにここの決算委員会は、ここから取上げて行つて、この原因であるものをついて行けば、結局その辺が大きなものであるということを感ぜられますので、これはあなたのお立場からも、ひとつ省議を動かすくらいにしまして、そうしてもとよりそういうことはないでしようが、つまりセクト的な——そういうことはないと思いますけれども、やはりお互い人間ですから、国警自警のけんかみたいなことも日本人はやつておるのですから、そういうこともいろいろとにらみ合せまして、ここはもう一ぺんさらに各省横の協議なりするくらいの決心を持つて、ひとつほんとう食糧増産に努力なさるようにあなたは臨んでもらいたい、農地局の方からもひとつ持ち出してもらいたいと思います。それがあなたの方に一本にするということになるか、あるいはどうなるかはこれは別問題であります。いずれにしてもこのままではいかぬと思います。そこで検査院の方に、検査院もいろいろと批難事項の結論を出しておられますが、原因とするところについての御所見だけ伺つておきたいと思います。私はこれで終ります。
  29. 小峰保栄

    小峰会計検査院説明員 北海道開発局工事につきましては、私ども検査しておりますが、内地の直轄工事——建設省なり農林省の国が直接やつております工事に比べまして、少し程度が落ちるのじやないだろうか、率直に申し上げますと、そういう印象を受けておるわけであります。北海道開発局というものは、御承知のように、二十五年に設置されましてまだ歴史が浅い、そして国の直接工事をやるという段階になりましてからまだ日が浅い。その前は御承知のように、これは北海道庁を通じての補助工事ということでやつていたわけであります。この工事におきまして、内地でも建設者なり農林省が直接やる工事に比べますと、県なりを通じてやる補助工事というものは、どうもレベルが低いという感じを受けるのでありますが、北海道におきましては、まだ内地の直轄工事並びにレベルが上つて来ておらぬ。ただ二十五年に比べますと、二十六年は大分よくなつておりますし、二十七年度もずつと程度がよくなつております。だんだんに内地のレベルというものに近づいて来るのじやないだろうか、またそうあるべきだというふうに考えておる次第であります。
  30. 大上司

    大上委員長代理 安井大吉君。
  31. 安井大吉

    ○安井委員 私も簡単に伺つておきます。この工事はわずかに三件であります。しかも工事内容はいずれも排水改良、この工事請負でありまて、きわめて簡単な工事であります。しかるに三件は三件とも過払いになつておる。しかも総額わずかに千万円足らずのものに二百万円に達する過払いがある。検査する方も簡単であつて請負いする方にしても土量が少い。こんな簡単なものに二割に近い過払いをするという事柄はほとんど検査をしていない、監督をしていない、こう言つていいと思う。一体こういう請負人というものはどういう請負人を選んで、だれが契約の相手方になるか、北海道庁の出先でやるのか、農林省がやるのか、この請負業者のごときものはほかの事件にもやはり過払いをやる。こんな単純な工事で土量が少い、何を検査しておる、こういうことを思わざるを得ない。この請負業者に対する措置、この過払い金額に対する措置、当事者間における請負契約はどういう取扱いをしておるか、まことに遺憾だと思いますので、この点についてひとつ承りたいと思います。
  32. 平川守

    平川政府委員 これらの工事はいずれも北海道開発局にまかせまして、開発局請負業者を選定いたしておるわけです。請負業者の選定はもちろん一定の指名入札という形式をとつておると思います。こういうケースはお話のごくまことにどうも不都合な事柄であり、またはなはだ検査官としても不注意なことであると存じます。これに対しては厳重注意をいたし、またこれらの不測のできごとに対しましては、それぞれ完全な設計通り仕事あとから完成させておる。それからなおこの十番、十一番の場合につきましては、前にこういうことがありましたので、請負もかえまして実施いたしたのでありますが、またこういう事案が起つておる。特にこれに注意を与える意味におきまして、下足額の返還を命じたというような措置をとつておるのであります。
  33. 安井大吉

    ○安井委員 それは当然だと思いますが、農林省の非違事項はほかの省に比べて非常に多い。たとえばまだひつかかつております米の問題あるいは麻袋の問題、その他農林省の件数は非常に多い。額が多いためか、仕事の範囲が多角形であつて広汎であるためかもしれない。しかしこういつた単純なものに会計検査院から発覚されて過払いを知るというようなことであつては、その役人というものはきわめて怠慢だ。制度の問題は別である。制度に籍口して欠陥があるなどと言えないと私は思う。農林省としてはまだ幾らもこのあとに出て来ますけれども、よほど監督をして、単純なこういうものに対してはもつと早く事前に発見する、会計検査院に見つかつたからというようなことでないことを非常に希望するものであります。私はこれで質問を終ります。  議事進行について。今本会議のべルが鳴つておるから、引続いてやることにして一時休憩することを動議として提出いたします。
  34. 大上司

    大上委員長代理 お諮りいたします。安井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 大上司

    大上委員長代理 それではそのように扱います。なお間もなく再開の予定でありますから、政府当局並びに関係者各位には暫時待機せられることを希望いたします。  暫時休憩いたします。     午後二時二十七分休憩      ————◇—————     午後二時五十九分開議
  36. 大上司

    大上委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。杉村君。
  37. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それではさきの農林関係のあれですが、このあと始末はどういうふうになつたか、完全に仕事が終えてないにもかかわらず金を払つたんだが、そのあと始末はどうなりましたか。農林関係おられませんか。開発庁はわからぬですか。
  38. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 わかりません。
  39. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうも政府委員がいないのではこれは始まらない。  そこで会計検査院見えていますか。
  40. 大上司

    大上委員長代理 見えています。
  41. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 では会計検査院に伺いますが、これは会計検査院昭和二十七年の十一月の調査だと思うのですが、この検査をしたときには、まだやはりこれがこういう状態であつたのでしようか。このときには直つておつたのですか。その点いかがですか。
  42. 保岡豊

    ○保岡会計検査院説明員 その当時にはまだ悪い状態であつたわけであります。
  43. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 悪い状態というのは、つまりここに批難事項に掲げるような状態であつた、こういうことですね。
  44. 保岡豊

    ○保岡会計検査院説明員 さようであります。
  45. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そこで農林政府委員に聞かなければならぬのですが、農林政府委員がおりませんので、それでは農林政府委員の来るまで、一六、一七、一八は、やはり北海道開発局に関する事項ですから、これについて議事を進められんことを望みます。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その御決定にあたりましては、一括いたしまして、開発局に関する二十七年度分も全部やつていただきたいと思います。
  47. 大上司

    大上委員長代理 委員長も本議題は冒頭において、二十六、二十七両年度と言つておりますから、吉田委員の発言に間違いないと思いますので、そのように扱います。  お諮り申し上げますが、大体先般二十六、二十七両年度で、会計検査院またはこれに対する政府の答弁もあつたわけなので、質疑の形で持つて行つて何ら議事上支障ないと認めますので、質疑の形で議事をお進め願いたいと思います。
  48. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 開発局に伺いますが、ここに出ておりますところの、この一六、一七、一八の各項目についての始末はどうなりましたのですか、それを伺いたい。
  49. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 お答えいたします。ただいまお述べになりました一六、一七、一八は、いずれも建設省関係のある事案でございまして、私の方からお答えするのは、非常にむずかしい状況でございます。
  50. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 建設省関係があるのだから、建設省から伺つてもいいのですが、ここに批難事項として、北海道開発局ということにみな前提が置かれて、批難事項が掲げられてあるのですから、開発局もそうそうよその方ばかり言わないので、何とか少しは責任を感じて答えてもらいたいと思うが、いかがですか。
  51. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 この問題につきましては、この前の決算委員会におきましても玉置政務次官から機構現状権限等につきまして、いろいろ具体的な説明がございました。また私先ほどの吉田委員お尋ねに対しましても現状を申し上げたのでありまして、実際問題といたしまして、具体的な工事執行につきましては、これをつまびらかにしておりません。間違つたお答えをしては、事重大でありますので、建設省の方からお答え願いたいと思います。
  52. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そういうことであればこれ以上は申し上げませんけれども、それでは開発局の人はここに来て何を言つておるのかわれわれにはわからない。予算をとるときだけのことを知つてつて仕事はその担任の省の方がやるので、あとの方のことはわかりませんというのでは、あなた方ここへ何しにおいでになつておるのかさつぱりわからぬということになるのですが、それはどういうことでしようか。
  53. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 お答えいたします。この会計検査院指摘事項のうち、事人事に関します問題が二つございます。一つ昭和二十六年度検査に関する第二七号、それから二十七年度の第五号、いずれも私の方が直接おしかりを受けなければならぬ案件でございまして、これにつきましては私ども責任をもつて実情を申し上げ、またおわびをしなければならぬと考えております。
  54. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 二七号というのは職員の不正行為ですね。職員の不正行為、こういうことについても、あなたの方である程度まではやはりその責任があるのではないかと私は思うのですが、そんなことの押問答をしておると時間がたつてもつたいないから、それでは建設省に答えていただきましよう。
  55. 浅村廉

    ○浅村説明員 十六番についてお答え申し上げます。十六番は、四種類の工事につきましての事項を一括して書かれておりますために、やや複雑な書き方になつておりますが、結論をまず先に申し上げますと、災害復旧工事を行いますために、玉石の採取であるとか、あるいは盛土運搬であるとかいうような工事が一応必要になつたのであります。それを請負のような形でやらしたのでありますが、実際はこれを直営でやつたような整理をいたしましてその跡始末をした、その支払いをしたというところに大きな問題があるのであります。まず旭川と網走の関係でございまして、いずれも開発局実施した工事でありますが、旭川に美瑛川という川がございますが、美瑛川の関係の災害復旧工事一つございます。これは三百一万円ででき上つた工事でございますが、詳しく申し上げますと、この中に八十三万八千円ほどの、ただいま申しました玉石採取運搬であるとか、盛土の運搬であるとかいつたような仕事の金が含まれておるのであります。その仕事は役所の方でなく、業者にやらしたわけでございます。そこで本来ならばはつきり請負契約を締結いたしましてやるべきものを、手続を簡単にするという考えのないやり方から、直営でやつたという形式に整理をいたしまして、その工事費を労力費として捻出いたしまして、それで支払いに充てておるという関係でございます。その八十三万八千円の金を、全部ただいまの災害復旧工事費の方から今の労力費として捻出できないことがございましたので、一部足りないものをやはり美瑛川の別な箇所の河川の維持工事費からさようなことで捻出いたしまして、そしてその金を災害復旧の方に全部持つて行つて、その金を災害復旧工事の方の、ただいま申しました金の足りない分に加えまして、これを行つておるのであります。  なおほかに二つございます。一つは美瑛川の護岸工事、掘鑿工事でございます。これが六百七十一万円ででき上つておりますが、その中にコンクリート方角材の——これは水制関係でございますが、コンクリート方角材の鉄筋の組立てという仕事がございまして、これを実際は田中という鉄工所にやらしておりますが、これを正式の手続をとると非常に事務的に繁雑であるという考え方で、これはたいへんけしからぬと思いますが、これを直営でやつたという形式にいたしまして、そして労力費として六万四千円ほど捻出いたしておるわけであります。結局それだけの金はかかつておるのでありますが、そういうものを予算上整理する——実際は請負でやらしておるものを直営でやつたというようなうそをつくことは、たいへんよくないわけであります。そういう整理をすることが会計検査院の方からおしかりを受けておるわけでございます。  もう一つ、これは網走の関係でございまして、これはシユコツ川という別な川でありますが、これの築堤工事——堤防をつくる工事でございます。これは全体の工費が五百八十五万円ほどででき上つておりますが、その中に盛土の工事をやります金百八十万円が含まれております。この百八十万円は、業者にこれをやらしておるのでありますが、これもみな同じような論法で、これを労力費といたしまして直営でやつたような整理をいたし、そして捻出をしたという点に問題があるのであります。これはたといその金が工事に使われておつたといたしましても、さような簡単な方法でこういう金を出すということは、非常にこれは予算の使用を乱したものであつてけしからんことでありまして、これに対しては私の方からも厳重に、さようなことの今後ないように注意を喚起したような次第でございます。
  56. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 その三工事の基本的工事費は幾らだつたのですか。
  57. 浅村廉

    ○浅村説明員 工事は四工事ございます。まず旭川の三工事、網走の一工事と四工事でございまして、旭川の一つ工事は災害復旧工事でございます。
  58. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 額を聞いている。よく質問を聞いて簡単に答えてください。つまりこの四工事工事金の中から人夫賃ということにして二百七十一万一千三百四十五円を出して、ほかのことをやつたわけなんでしよう。だからその四工事の基本的工事金というものは幾らであつたかと聞くのです。
  59. 浅村廉

    ○浅村説明員 千三百八十三万七千円でございます。
  60. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私はただいまの答えの通りであれば、実際はこれはよくはないが、悪い方へ使つたのではないということが事実であれば、今後そういうことをやつては相ならぬと十分警告を加えて、それで済ましてよろしいわけなんです。ただここに私どもが非常に疑いを持ちますのは、これは二十六年の五月から二十七年の三月までの工事でありましよう。しかも会計検査院検査昭和二十七年の十一月二十九日、すなわち昭和二十七年の暮れになつて会計検査院検査を受けてこういうことを発見されている。だからこれは、私が悪く解釈すれば、会計検査院から検査を受けて、どうも人夫賃などということで帳面づらを合したもので、まことに悪いことをしている。こういうように汚職に次ぐ汚職というようなこの官界の状態を見ると、ここに二百七十一万一千幾らという金を皆がごまかしている、そのごまかしたのを会計検査院への言訳に、こういうような工事に金を使つたんだと、こういうようなことでもしているようなことがあつたとすれば、これはたいへんなことなんだ。なぜ私どもがそういうことを言うかといえば、実際において国の工事ほんとうにやるのであつたならば何も人夫賃などと、うその名前をくつつけて金をつくつて工事をやらぬでもいいじやないか、正々堂々とこういうことにこういうふうに使うんだといつて、使つたらいいでありましよう。それを何を苦しんで人夫賃などということにしたのか、ここに私どもは、こういうような世相のもとにおいてこれを見たときには、これは会計検査院から見つかつたので、あなた方が頓知をめぐしして、こういう工事のために使つたんじやなかろうかというような疑いを、われわれもまた反面においては持つてみたくなるような気がするのです。あなたのおつしやるようであれば、そういうことがなかつたものだとすれば、もうわれわれはこれ以上決して追究はいたしません。しかしながらいやしくも国の工事をやるのに、何を苦しんで人夫賃などという架空の名前によつて会計検査院から後に指摘されるようなことをするのか、これは厳に戒めなければならぬと私は考えるのであります。それでは、それについては答えはいりませんから、その次をひとつ答えていただきます。その結果はどうでしようか。
  61. 具嶋太三郎

    ○具嶋説明員 本件につきましては、昭和二十七年五月三十日に一応工事設計通りに竣工いたしました。それから二十五年度の工事並びに二十六年度に仕上げなければならない、二十五年度と二十六年度の残額を、そのまま竣工したことにいたしまして、あと北東開発土建がとうとう施工能力をなくしましたので、それを中山組に代行させたということはまことに遺憾なことでございますが、当時すでに三月上旬でありましたので、そういう工事に適当な時期を失しましたので、そういうときに契約を解除しまして新たな業者と契約するということは、また段取りや何かで新たに非常に工事費がかさむということで、結局北東開発土建株式会社を督励しまして、その契約額で事業を完成せしめるように努力したのでありますが、四月中旬になりまして、同社がとうとうどうにもだめだということになりましたので、中山組を代理にしまして仕事をやらせたわけであります。そのときちようどこちらが負担しておりました金は百四十万三千百三十円であり、中山組に請負わせました金は百五十四万七千円でありますので、その差額を補填するためにブルトーザーを無償で貸付したということになりまして、これはまことに遺憾なことでございます。
  62. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 これもあなたの説明でいえば、工事費が非常にかかるので、中山組に工事をやらしたというようなことを言つておるのですけれども昭和二十五年度の工事の未完成部分、昭和二十六年度中もまつたくこれを実施することなく、昭和二十七年五月の検査当時未完成である。このときに、二十五年度の工事未完成分に対する引当ての金、二十六年度の工事云々、この金を保管しておつたというようなことは一体ほかの目的のためにそういう考えがあつてのことかもしれないけれども、先の十六の場合に私が申し上げたように、見つかつたから、こういうようにやつたようにしか思われない。昭和二十七年の十一月ですよ。だからこういうことは、理論的にやつて行くと、どうもこの裏に犯罪があるのじやないかというように思われる。この中山組に無償貸付をやつたというようようなことを言つておるが、これは仕事をするためだから、あるいは悪くないと言えば、悪くないかもしれませんけれども、こういう点から見て行くと、きわめて疑わしいことがある。何も金がかかつても、国の工事です。二十五年の工事費はそれだけ使つて、足りなければ、またそれだけ要求をするなり、二十六年度の工事もその通りにやればいい。あなた方が自分の裁量でそんなよけいなことをして、工事をやらないで未完成で国の費用を黙つて保管しておつたというようなことは、どうもわれわれはおかしな感じがする。こういうようなことが今後絶対にないようにいしなければいかぬと思う。不正がなければそれでいいようなものですけれども……。それでけつこうです。  それでは十八はどういうことになつておりますか。
  63. 浅村廉

    ○浅村説明員 これは北海道開発局の石狩川治水事務所の問題であります。これは幾春別川に桂沢ダムというダム工事をいたしておりまして、そのダム工事に使います索道工事を、日本機械貿易株式会社に四千三百七十二万六千円で請負わせたわけであります。結局これができましたのが大分あとでございましたが、その請負わせた年の十一月に工事が完了したことにいたしまして、翌十二月までに全額出したという、手続的に申しましても非常にけしからぬことであると思います。これは会計検査院検査をいただきました際、その三十一万二千八百七十一円という工事費に当ります安全装置の一基が実施されておらなかつたということであります。これはいろいろ注意もございまして、もちろんこれはやらないつもりではなかつたわけですが、少し遅れまして九月に完成したということになつているのであります。どうしてこういうことが起つたのかということを私どもいろいろ調べたのでございますが、桂橋という橋がこの近所にかかることになつておりまして、この橋をかけませんと、資材の運搬に非常に支障を来すという問題がございました。この橋が計画が遅れまして竣工が遅れましたために、それにつられてだらだらとこの工事が延びてしまつているというようなことで、予算繰越し等の問題もからみますものですから、一応かような整理をして支払いを済ましたということであります、これに対しては当然厳重な注意を喚起いたしまして、かようなことを二度と繰返さないように指示をいたしましたような次第であります。
  64. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 これもやはり同じことだ。これもできもしない、しかも安全装置というのでしよう。安全装置というのは、名前の示すように、これはきわめて重要なものじやないですか。その安全装置の中に一基ができてないのにかかわらず、できたようにして全部金を渡したのでしよう。三十一万二千八百七十一円というものをよけいに渡している。これを会計検査院から見つかつたから、あとで直させます、つくりますということで、会計検査院は五月に検査しているのですけれども、あなたの方では九月にこれを追完して工事をやらせた、こういうことに書いてあるのだけれども、安全装置なんという名前からして、これほど必要なものをつくらないでおいて、そうして金をみな払うなんということは、われわれ常識判断で、それをそうかといつてどうも聞き捨てにならないようなことなんです。それがしかも会計検査院から指摘されて初めて、その後九月にこれをやつたというのだけれども、もし会計検査院検査がなかつたら、これはだれかがふところに入れたんじやないですか。そうでなければ、このごろ使われているリベートだ。金を払つておいて、向うからそれだけだれかの方に割もどしが来たことになつているのじやないか。そういうことがなければいいのですけれども、想像のつかないことでしよう。安全装置というきわめて重要なものをやらせないで、それで全部の金を払つて、そうして会計検査院から指摘されたあとで四箇月もたつてからこれをやつたことにしたということは……。そういうふうに承つておきましよう。これ以上何もあなたを責めて罪人を出そうというのじやないけれども、とうてい普通の人が常識で判断できないことですよ。今日船会社のやつておるリベートとそつくりだ、こういうことは厳に戒めてもらいたいと思います。別に答弁はいりません。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一例をあげますと、二十七年番号九、ページ四十三、これは鉄道工業株式会社に排水改良工事を七百八十六万二千余円で請負わして、検収不十分の結果百九万九千余円の出来高不足なつた。こういうことになつております。そこであちらこちらに出来高不足がありますが、この場合にはこの百九万九千余円という、この金額の損害はどういうことになるのでしようか。なお総じて二十六年、七年に出来高不足のために過払いなつたのは、これはすべて過払金回収もしくはあとこれを完全に工事するために必要な各般の経費を、これらの請負業者などから回収するという措置とつたのかどうか、あわせてひとつ聞いておきたいのですが、まず第九について御説明願います。  それでは農地局長は他の委員会に出席しておるそうでありますから、今の番号は農地局関係でありますので、私はそれを保留して、番号一五、四十六ページ、二十七年度決算報告、これも金額は小さいのでありますけれども、池内某に七百七十万円で請負わせ、検収不十分の結果六十一万二千余万円の出来高不足になつておる、こういうことでありますが、これは出来高不足による過払い措置はどうしましたか。それから池内某というのは、元来資力があつたのかどうか、池内某というのは名前もわからないような業態らしいのだが、これはどういう事情になつておるのか御説明願いたい。
  66. 具嶋太三郎

    ○具嶋説明員 これは本工事出来高不足につきましては、昭和二十八年十一月二十五日に手直しをさせまして設計通りに完了いたさせたのであります。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、その池内某に手直しをさせた、こういうことになるのですか。
  68. 具嶋太三郎

    ○具嶋説明員 請負人にさせたわけであります。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この請負人というのは、これは名前が出ていないのだが、資産、信用、営業能力なんかはどういう状態だつたのですか。そういうことはわかりますか。私はこれを通覧いたしまして、いろいろ建設会社というものは、近ごろ他の地方におきましてもずいぶん施主泣かせの実情を散見いたしますので、そういつた資力不十分な、信用のない者にさしたということが、一つ原因ではないかということを疑うので聞くのですが、その辺は御説明できますか。
  70. 具嶋太三郎

    ○具嶋説明員 ここに請負業者の名前が出ていないので何でございますが、私の方としましては、建設業法によりまして一応大臣登録とかまた知事登録とか、そういうことによつて、それをやりますときには、資産状態とか持つております機具または従事員とか、そういうものを全部調べまして、そうして登録するようになつておりますので、一応そういう業者を選考してやらしておるわけでございます。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方は予算の現地的執行責任があるわけですか。先ほどからだんだん問答していることをお聞きになつていたと思いますが、開発庁が一本になつて予算をとつて、あなたの方にそれぞれ移しかえしているわけであります。だから予算執行の全責任がある。そこで二十七年の六月に請負わせたものが七百七十万円だから、二十八年まで当然かかるべきでないのでありますが、二十八年になつてから手直しをさすということは、相当時間的にずれが来ております。そこでそういうような予算執行が非常に時間がずれたということは、目的を適当に達しなかつたことになるのだが、そういうようなときには、やはり請負人が悪かつたのか、請負人の選考の手続が誤つておつたのか、あるいはその他の条件が加わつてこういう欠陥が生じたのかということは、予算執行省として厳重に調査して、そうして開発庁へこういう状態だつたということを通告するというくらいの責任があると思うのだが、どうですか。
  72. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 お話のように、予算執行責任建設省にございます。それでただいま請負業者のお話が出たのでございますが、請負業者の選定にあたりましては、建設業法によりましてそれぞれ登録されて資格のある者から選ぶように、それぞれやつておるわけでございます。今回のような事件を起しましたにつきましては、はなはだ申訳ないのでございまして、今後厳重に業者の選定等については戒心いたしますように監督するつもりでございます。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 道路局長に申し上げますが、今問答しております趣旨は、私劈頭に他の政府委員にも申し上げておいたのですが、六、七年に数えられております批難事項原因が、やはり制度上の欠陥に胚胎するというふうな観測もできますので、そういう意味におきましていろいろな方面から検討しておるのであります。そこで、でき上つたことについて申訳ないとか将来どうとかいうような従来のありきたりの答弁は実は不要であります。まことに遺憾でありますとか、将来留意するとかいうようなことは実はいらぬのであります。そこで私どもは国会に対しましては、開発庁予算の編成について責任があると思う。しこうして建設省予算執行について責任がある。予算の編成と予算執行と全然別の機関がやつておるということが暴露しております。でありますので、しからば予算執行をなさるあなたの方は、これは金額は小さいけれども一つの例証にしておるに過ぎないのでありますが、予算執行にあたりまして、登録してある、資格のある建設業業者から選んだということだけでは答弁にならない。登録するということは一定の、最低の水準でしたのでしようから、こういうことになつたゆえんは、資格はあるけれども実質はよくない業者であつた。業者は十分な誠意を尽しておつたのだけれども、他の条件が加わつてこういう結果を来した。あるいはその他のこれに関与した業務執行の担当官が悪かつた。あるいはまた監督が適当でなかつた。あるいは無理な予算を組んだとか何かそういう原因の究明がなければならぬと考える。そういうことの御研究があつたかどうか。古いことでありますので、卒然としてあなたは出ておいでになつたのだから、十分御研究になつておらぬかわからぬけれども、しかしやはり決算委員会調査いたしますときには、一つ一つ原因について十分究明して今後それをなからしめるように持つて行きたいと思いますので、そういう意図があることは申し上げるまでもないのでありますけれども、そこで今申しましたようなことについていろいろと御調査なつたのであろうかどうか。ただ登録してあるから選んだということでは答弁になりませんのです。やはりなぜこういう事態が出来したのか、大小とも予算執行の結果において適正でなかつたのであります。適正でないという結果が現われておるのでありますから、その原因がどこにあつたかということの御調査はどういうふうにせられておるのであろうか。こういうことが私のお尋ねの趣旨であります。
  74. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 本件に関しましては監督上の至らなかつた点がございまして、かような結果を生じております。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 監督というのは開発局の建設部の係官に対する監督なのか。それとも業者に対する監督なのか。その辺はどういうことになつておりますか。
  76. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 これは建設部の監督者の業者に対する監督が不十分であつたことに起因いたしております。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 業者の選考ということは、一応開発局がするものと思いますが、事業の結果は建設省において責任を負つて行く。当初の具体的企画、立案開発庁関係においてこれをなすということになつて行きますので、今御答弁になりましたような事実が発見せられました以上は、業者の選考ということは相当重要なことであろうと思うのです。私も時間がありませんから全部聞くことはできませんけれども、たとえば十六には北建設株式会社、十七は葵建設株式会社、十四は北海道建設、十三は熊倉建設等々いずれも何とか建設でありまするが、こういうようなものは、やはり一旦こういう事件が一つでも起りましたら、業者の登録ということに対して相当な反省が加えられなければならぬと思うのであります。これは建設省でなくして開発局だと思うのですが、その辺については何らかの措置をなさつたかどうか。御答弁を願いたい。
  78. 谷口明三

    谷口(明)政府委員 私はこの問題につきまして、こういう考え方をしております。先ほど来吉田委員からいろいろお話がございました通り開発事業執行関係各省において、各省大臣が現地の機関を指揮監督しております。北海道開発法第十二条第二項に明記してございまして、業者の選択並びにそれに対する監督等は、事業執行に関する部面に属するものだとさように考えております。ただこの業者の選定とかあるいは不手ぎわをいたしましたことに対する処分というようなことは、もとよりこれは現地の開発局の職員がやつたのでございますけれども仕事それ自体というものは、事業執行に関する問題だと考えております。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今私が御問答しておりますことは、これはひとつ委員長からお諮り願いたいのですが、開発庁の本来の機能のあり方、開発局の本来の立場、それから事業執行農林省建設省運輸省との関連におきまして、いま少しく検討しなければならない問題があるので、適当な機会に大野国務大臣に出て来ていただきまして、これは何も悪い意味でけしからぬという意味ではなしに、建設的な意味におきまして、国のために再検討する必要があろうと思いますので、ひとつ委員長において皆さんにお諮り願いたいと思うのであります。
  80. 大上司

    大上委員長代理 お諮り申し上げます。ただいま吉田委員の御発言で本会計検査院批難事項の議事の進行上大野長官を、ということでございますが、いかがとりはからいますか。
  81. 柴田義男

    柴田委員 最高の責任者大臣に出席していただきますことは、最も望ましいことでありますが、ただ私ども決算委員会といたしましては、今国会において審議をしなければならないものが、まだ非常にたくさん残されております。ことに世人が最も大きく注目を引いておる造船問題も半ばになつておりますし、今日ただちに御出席ができることであればけつこうでございまするが、また大野国務大臣の御出席を煩わすためにもう一度この決算委員会を持たなければならない、こういうことになりますと、遅れておるのが、ますます遅れて行くのではないかということを非常に憂慮するものであります。本日でもただちに御出席を願われることであれば、大いに望ましいことだと思います。  もう一つ、今論議されておりますのは、農林省関係運輸省あるいは建設省関係三つにわかれておりますが、まだ残されておりますのは運輸省関係でございます。まず運輸省関係を一応調査を進めて行きます過程において、国務大臣の御出席が可能であつたならばそういうおはからいを願いたい、こう思います。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私今お諮り願うべく動議的に意見を申し上げましたが、全体の調査の都合もありますから、今の柴田委員の御発言のようにして、たつてさようにおはからい願わなくてもいいと思います。
  83. 大上司

    大上委員長代理 御了承願います。
  84. 柴田義男

    柴田委員 次に運輸省関係のものが三件残されておりますので、三件に関しまして伺いたいと思います。  昭和二十六年度の一五に指摘されております釧路の開発建設部が行いました港湾工事の五百七十万の予算で、二十六万九千九百七十八円の出来高不足、これは総額から見ますと五%内外でございます。  その次の二十七年度の一〇に指摘されておる、やはり北海道開発局の函館開発建設部の問題であります。これらの問題は、われわれしろうとでよくわかりませんが、非常にめんどうな工事のように見受けますが、めんどうな結果この問題が起きたのであるのか、また指摘されておりますように、不適格な材料を相当使用した結果できたものであるのか。もう一つは、この場合の工事は指名入札であつたのか、随意契約であつたのか、それを一〇の問題に関しまして承りたいと思います。  それから三九の問題でありますが、この工事状況はいかなる結果こういう問題が起きたのであるか、簡単でけつこうでございますから、運輸省の係から御説明を承りたいと思います。
  85. 黒田静夫

    ○黒田政府委員 ただいまの御指摘に対して御説明申し上げます。二十六年度の第一五号の件でございますが、これは釧路の付近の厚岸の港の事件でございまして、厚岸港に土砂が流入いたしますために砂どめの工事を海岸へ施行したのでございます。そのときに木のわくを使いまして、その中に石を詰める工事でございますが、木のわくを詰めて筋違あるいは立成木等の補強をやるのでありますが、これらの木材を、設計いたしておりました寸法のものより多少大き目のものを使つたがために、設計通りの数量より少くでき上つておつたのでございまして、この点は当然設計変更すべきであつたのでございます。と申しますのは、設計の仕様書に指定がありました通りの木材は、現地では入手がなかなか困難なような実情と聞いておりますので、当然設計変更すべきでありましたが、工事をやつてしまつた結果でありまして、これに対しましては、あとから補修の工事をやらせる、また締めつけ金具、ボルト等も補修して数をふやして、請負人にその事業をやらせたのでございまして、まことにこれは御指摘の通りであつて申訳ないと思つておる次第でございます。  次に二十七年度の第一〇号でありますが、これは防波堤に石を使うのでございますが、この石が仕様書に書いてありますものと設計書に記入してあつたものと違つておりまして、設計の方では五百キロになつており、仕様書では三百キロの石を使うことになつておつたのでありますが、この検収のときに三百キロの石で検収をいたした結果、こういうふうに会計検査院の御批難が出たのでありまして、指摘の通りでございましてまことに遺憾に存じます。過払額の三十九万円につきましては、二十八年十二月に国庫に回収させておる次第でございます。  次に二十七年度の第三九号でございますが、これはまつたく設計技術上のステークでございまして、設計して石をすえ、床掘りの計算をするときに計算間違いがあつたのでございまして、量を少く出すべきところを非常に多く出して参つたのでありまして、それに相当する額だけは請負人から返済ごせたのでございます。  この三件いずれも私ども現地で監督して事業をいたしておるのでございますが、最終の責任で指導いたしておるのが私どもの方でございまして、指導なり監督が十分でなかつた点は深くおわびいたす次第でございます。
  86. 柴田義男

    柴田委員 今の二十六年度の一五と二十七年度の一〇の問題に対しましては了承いたしますが、ただこの三九の問題に関しまして、少くとも技術者があつて、いろいろなこういう種類の工事等も運輸省が中心となつて方々でやられておるとわれわれは思つておるのですが、そういう場合にこの計画があまりにもずさんである。しかも二百七十万九千円の請負額から百十四万六千円という見積りの誤りを来しておるということは、あまりにもずさん過ぎはしないかと思われるのですが、ただ検査院から指摘された後においてこれが発見されたのであるかどうか、もう一つは、この契約に限つて随意契約を結ばれておる。あとになつてこの百十四万六千円が請負い業者から返つたからそれでやむを得ぬのじやないかというように見のがすわけには行かない。この問題だけは大きな問題のようにわれわて見受けるのでありますが、こういう間違いはときどきございましようか。
  87. 黒田静夫

    ○黒田政府委員 私ども仕事をやつて参つた者でございますが、この内容は単位を間違つたのでございまして、実に申訳ないのでございますが、これは実際出先の設計計算に当る方の間違いでございまして、このようなけた違いの聞違いは、私の経験では今までにほとんど例がないのでございます。要するにこれは、技術者がふなれであつたことからこういうことが起つたのだろう、普通であれば、経験が積んでありますと、けた間違い等はおおむね見当でわかるのでございます。それがなかつたから、こういう結果になつたのだろうと思います。
  88. 柴田義男

    柴田委員 この問題はいくら論議を重ねてもやむを得ぬことでありますが、今後ことに運輸省が中心になつてやられる工事というものは、港湾を中心としてやられるのだろうと思いますが、こういう問題が再び起きないようにわれわれは大いに警告を発しておきたいと思います。そういう点を申し上げて質疑を終りたいと思います。
  89. 大上司

    大上委員長代理 ほかに御質問はございませんか。——以上で北海道開発局関係審議は終りました。
  90. 柴田義男

    柴田委員 私どもはこの問題は、最終的には北海道開発庁に対しましてもいろいろな希望を申し上げなければならぬので、機会を見てそういうことをやりたいと思いますが、審議といたしましては、開発庁の問題の審議はこれで終了させたいと思います。なおかねがね審議をしておりました造船の問題に関しまして、積極的におとりはからいを願いたいと思います。
  91. 大上司

    大上委員長代理 お答え申し上げます。ただいま柴田委員の御発言通り北海道開発庁審議については、なおさらに吉田委員等の御意見もございますので、いずれこの批難事項に対する本委員会の結論としては、理事会でよく御相談の上結論を出したいと思いますので、御了解願います。     —————————————
  92. 大上司

    大上委員長代理 次に調達庁所管の審議に移ります。  すなわち昭和二十六年度決算検査報告四十六ページないし六十二ページのうち、報告番号三〇ないし四五及び昭和二十七年度決算検査報告三十五ページ以降六十三ページに至る調達庁関係事項を一括議題とし、そのうち二十六年度においては報告番号三二、三六、三七、三八、二十七年度においては報告番号三六に重点を置き、会計検査院当局の説明を求めます。会計検査院第二局長上村説明員。
  93. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 それでは二十六年度の三二号から申し上げます。これは工事の施行にあたり処置当を得なかつたという案件でございまして、この批難の骨子となつておりますのは、この工事は建物のコンクリート床の修復工事が問題になるわけでありまして、これは当初修復するにあたりまして、初めありましたコンクリートをこわしまして、こわしましたコンクリート塊四百立米、それからその上に搬入土を四百二十立米ほど入れまして、その上に六インチ厚さのコンクリート打ちをする、こういうことになつておつたのであります。     〔大上委員長代理退席、天野委員長代理着席〕 しかるにこの設計を変更されて——これは向うの要求によりまして平らにやるということであつたのでありますが、一方を高くして一方を低くするというふうな設計にかえられましたが、その場合に最初の設計をかえまして、コンクリート塊が初めは四百立米でありますが、八十立米使うということに減りまして、それから盛土も四百二十立米というのを三百三十立米ということに設計変更されて、そのために当初の契約よりは四十六万五千円を増額された、こういうことでありますが、実際その工事の施行にあたりまして、工事上から申し上げますれば、コンクリート塊を八十立米でなくて、最初のこわしましたコンクリート塊を使うということは、工事の施行上は一向さしつかえないわけでありますから、これを使いますと搬入土が相当少くなるという関係上、むしろ増額しなくても、かえつて当初に比べますと八十六万円ばかり減額になるというふうな状況でありますのに、そういう措置がとられなかつたということでございます。これは現地の米軍の軍人がこういうふうなさしずをしたかと思いますが、非常に不経済なことでありますから、向うに交渉されて不経済にわたらないような工事を施行されることが適当であつたと考えます。  次は第三六号でございます。これは石炭の購入に関するものでありますが、石炭は購入契約におきまして、納入されたもののカロリーが不足であつた場合には、一定の不足カロリーに対しまして違約金をとる、こういうとりきめになつておるわけであります。ところがまず第一は喜清商事株式会社から買われたものでありまして、これは契約が二回になつておりますが、そのうち一つの方は契約の一万四千九百トンの納入品に対しまして不適格品が約六千トンあつたわけであります。これに対する減額は、契約上で申しますと千五百万円くらいを減額しなければならなかつたわけでありますが、軍の指示によりまして、これにかわる石炭を納入させるということになつたのでありますが、その石炭の納入にかえられる場合には、違約金として代金を減額するに相当する石炭を納入すればよいわけでありますが、違約金にかわるものとして石炭を納入することにしました千三百トン、これは金額にしますと六百七十万円くらいでありまして、千五百万円に対して六百七十万円くらいの石炭を納入すればよろしい、こういうことに取扱いをされたわけであります。従いましてその差額は国の損失となるわけでありまして、しかもかわりの石炭を納入することにされたものも六十九トンくらいしか実際は入つていない、こういうような状況であります。それからもう一つの分は、同じように、一万六千トンの契約に対しまして一万三千トンばかりがカロリー不足で、二千二百万円くらいを減額しなければならない、こういう状態であつたのでありますが、これに対しても石炭を別途納入させそということにかえられたわけであります。この別途納入させられることにしました五千トン、これは金額にしますと、代金減額を要する金額と比べて必ずしも低くはございませんが、この契約しました会社が、当時契約を更改される時期には、契約不適格者として特別調達庁から連絡があつたわけでありますので、こういう者にさらに石炭を納入させるということにしても実際納めるかどうかわからない、こういう事態でありますのに、代金減額をしないで、しかも当時未払分でありました金額を払わせただけであります。その結林石炭の納入されたものはごくわずかで、この二項目を通じまして約三千八百万円くらいの代金の減額を要するのに対しまして、実際は四百九十六万円ばかりの金が入つて参りまして、損失としましては約三千三百万円くらいになつておるわけであります。  それから次に、二十六年の七月に粉炭九千百五十トンを購入されたものにつきましても同じような事態があるわけであります。こういう事態が起りましたのは、軍が代金の減額にかえて石炭を納入することを指示したことによるわけでありますが、他の局におきましては、こういう場合に適正な措置がとられておるわけでありまして、一層軍に強く要求されて適正な処置がとられることが望ましかつた、こういうように考えるわけであります。  次は三七号の氷の購入に関する問題であります。これは二つありまして、名古屋地区納めの分につきましてはその単価をきめられる場合に、納入される三〇%は百五十ポンド塊で供給するということで、これは卸売価格で一応計算されました。残りの七〇%は十五ポンド程度に小割りにして家族住宅に供給するということで、卸売価格の一円四銭五厘に小割り経費を加えまして一円二十七銭。この三〇%と七〇%に対する単価を加重平均しまして一円二十銭ということで予定価格をつくり、一円十九銭で購入されております。ところが十五ポンド程度に小割りして家族住宅に供給するというのは、実際を見ますと百五十ポンドの氷塊を四つから五つに分割するためにのこ目を入れる程度でありますが、前のように予定価格をつくられたのは過大に計算されておることになつておりまして、これを検査院の方で計算いたしますと、その経費は大体二十銭程度で足りる、こういうことになつておりますので、これによりまして計算いたしますと、ポンド当りが大体一円六銭ということになりまして、契約価格の一円十九銭との値開きを総体の契約から計算しますと八十七万円くらいは高価になつておる、こういう状況であります。  もう一つは岐阜地区納めのものであります。これは全部持込渡しということで、小売価格を基準として小売価格の二円十八銭に配達費の二十九銭を足しまして、二円四十七銭という予定価格をつけたのでありますが、契約はそれ以下でありまして、一円七十銭といこうとで契約しておられたわけであります。ところが契約された持込渡しというものが、実際大部分工場渡しであるために、途中におきまして、これは業者の見積りによつておるのでありますが、一円七十銭から配達費に相当する三十五銭を引きまして、一円三十五銭ということに契約を更改されております。ところが実際見てみますと二百ポンドの氷塊でありますので、卸売とほとんど同じであるというふうに見られますが、むしろ小売価格からこういう計算をすべきでなくて、卸売価格から計算して契約すべきだと考えられます。それでこのうち工場渡しの分について計算いたしますと大体二十三万円くらいが高くなつておる、こういうふうな状況であります。  次は三八の接収営業倉庫の借料の問題であります。この借料のきめ方は二十四年六月、当時の地代と家賃と建物自体の火災保険料等に区分されて借料が決定されております。これに一定倍率を乗じて計算された金額で二十六年二月分及び三月分の増額及び二十六年四月から十二月までの借料を今のような計算で決定して支払われておるわけでありますが、その借料の計算の内容の火災保険料の点が問題になるわけであります。二十四年六月当時のその借料の中に織り込んであります火災保険料は、建物評価額千円について鉄筋鉄骨は十円。木造建は十六円五十銭から二十円、こういうふうに計算されておるわけでありますが、この金額はその後二十六年二月以降における特別危険品を収容する倉庫の最高率とほとんど同額になつておるわけであります。二十六年二月ごろになりますと損害保険料率算定会で収容品の等級が不明の場合はB級危険品料率を適用するということになつておるわけであります。二十四年の当時は別といたしまして、本件の借料を決定しておられる当時は、実際にはこの倉庫には食料品とかあるいは被服等が格納してあつた状況でありますから、B級危険品料率の鉄筋三円八十三銭、木造建六円十三銭から八円二十銭、これを基礎にして倍率をかけることが適当ではないか、こういうふうに考えるのであります。借料を構成します地代とか家賃、火災保険料を除きましたこの二つにつきましては、他と比較いたしまして、大体一般と均衡のとれた値段であるわけであります。それで今の火災保険料だけは、やはり実際入つておるものを基準とした保険料率によつて計算する方が適当であると考えます。なおそういうことによつて計算いたしますと、支払われました一億二千四百万円に対して二千二百八十万円が節約できる、こういう計算になります。ただ営業倉庫でありますから、営業上の損失をいかに見るか、そういうものを見れば、これだけ払つてもいいじやないかという考え方も多少あろうかと思いますが、当時におきます借料の支払いは、デパートとか、そういうものにつきましても同じようなやり方でやるわけでありますから、やはりやるならば、国費が乏しくて全部払われないような場合には歩調を合せて均衡をとることが望ましい、こういう趣旨でこの保険料率の問題を取上げておるわけであります。  次は二十七年度の五十九ページの三六号であります。これは仙台調達局で高館地区周辺の土地使用に伴う離作、立毛、立木及び果樹の補償金として三千四百万円を払つておられるわけでありますが、その中に立木補償が七万一千本に対しまして一千百五十七万八千円ばかりございます。このうち検査をいたしましたのが、浜名谷地地区の二十三万六千九百六十三坪に対する五万三千本、補償金額にしまして九百九十万円、これにつきまして調査をしたわけでありますが、立木補償の基礎になつておりまする立木の本数が非常に実際と違つておる、こういう事態であります。ただいま申し上げました五万三千本に対しまして、すでにそのうち六万七千五百三坪につきましては青森県で二十二年当時補償済みでありまして、その他の場所におきましても、調達局立会いの上で調査しましたところが、五万三千本に対しまして実際の被害は六千十四本程度くらいの状況で、被害の対象となる事実に相当の相違がある、こういう事態でありまして、調達庁の計算せられました方法によつて計算いたしますと、約八百万円が支払額と差異を生じておる、こういうような状況でございます。これも、補償というものは非常にむずかしくございまして、はたして幾らの補償が適当かどうかという点はいろいろ議論があろうかと思いますが、一応補償は、同じような建前でやる場合には同じようにやつて行く方がよろしいという考え方でおるわけでございます。
  94. 天野公義

    ○天野委員長代理 ただいまの説明につき、調進庁当局において説明を必要とされるならば、この際発言を許します。総務部長山内説明員。
  95. 山内隆一

    ○山内説明員 それでは私から、ただいま検査院の方からお話のありました問題だけについて、少しく私の方の立場を申し上げさしていただきたいと思います。  二十六年度の三二号の問題でありますが、この問題は会計検査院の御指摘はまことにごもつともなことであると考えております。ただ調達庁は、そういう検査院のお考えのように、言いかえれば、日本式の工法とすれば当然さようにあるべきものであつたと思うのでありますが、当時米軍の監督権が非常に強く入つておりまして、この事件の監督者が、日本の工法と違うアメリカ式の工法を強く主張して、こちらから今のような意味合いのことを申し出てもとうてい聞いてくれませんでした。向うがどんなことをしたかといえば、アメリカさんの考え方では、直下層の密度を不均一にするからどうしても土砂を埋めもどして、そうして小粒の砂利のみを敷いてローラー転圧をしてコンクリート打ちをなすべきだというような、いわば地盤が不均衡になるからよろしくないというような考え方一点ばりで迫られたために、遺憾ながらそういうことをやつたわけでありまして、この点御了承願いたいと思うのであります。  それから三六号の問題でございますが、これは石炭の購入の問題でありまして、いろいろの点において、検査院の御指摘は決して御無理な御主張ではないと私ども考えておりますが、実際問題になりますと、当時、石炭の購入につきましてはほとんど軍の監督権が強力でありまして、調達庁側ではときには事実上立ち会うようなことがありますけれども、これは立ち会う権利があつて立ち会うのではなくて、ただほんとうに見せてもらうだけであつて、従つて、カロリーが不足かどうか、あるいは数量が不足かどうか、その他の品質がどうかとか、あるいはそれに対して補償をどうするか——補償はもちろん、原則として、カロリー低下の場合にはそれによつて換算して金額を補償させるのが建前でありますけれども、その契約条項の中に、減額の場合と、それからそれに相応する無償炭の納入によつて問題を解決する方法もありますわけで、当時石炭の非常に需要されておる時代でありましたから、軍としては、カロリー不足とか、その他罰則に相当するような場合には、むしろ無償炭を命じてそれで解決するという考え方がほとんど全国的であつたわけでありまして、今度の場合も大体その考え方で無償炭を納めようというようなことになつたわけであります。その石炭の数量等も、検査院御指摘の通り、あるいは少な過ぎるのではないかという御批判もあることと存じますが、これも軍の方できめられますので、調達庁としては、一応意見は申し述べても、どこまでも対等の立場で折衝をしてきめるというわけに参りませんのでかような結果になつた次第であります。しかも当時の罰則はきわめて重くなつておりまして、これは後になつてから、あまり重過ぎるからもう少し緩和しようというので、話合いの上でもつと緩和された。結果において緩和されておりますが、そういう状況なつたことも軽い処置をとつた理由ではなかろうかと考えております。それから業者としましてもちようど調達庁と同じようなわけで、自分で納めたものについてかれこれの批評を受けるにかかわらず、自分検査に立会うことができぬ。それから軍においていろいろ試験炭をとりまして検査をして、その残りをもう保管していない。従つて、はたして間違いかどうか再審査することもできないというような事情もありますので、業者のみを責めるということもかなり困難なような事情にあつたわけであります。それからなお少し具体的な問題になりますと、喜清商事の賠償金の決定については、契約上無償炭納入となつておりますので、検討の結果二千五百四十一万一千二百八十円ときめまして、これからすでに納めた額四百二十八万七千百九十八円を差引いた二千百二万四千八十二円について、昭和二十六年六月十一日業者に対して納入告知書を発行しましたが、会社は清算中で無資産であるので回収はきわめて困難であつたわけであります。しかしながら、なお続いて督促いたしておるようなわけであります。  それから次に、三七番の、名古屋局で実施しました氷の問題でありますが、これは、私ども、結果においてはあの名古屋の地区の氷の納入の価格は決して高いものではないと考えております。ただ、その氷の単価の内訳の中で、項目によつては少し適切でないというようなものもありまして、こういう点は当然御批判の対象になるわけでありますが、あるいは事務的に適当でなかつたというそしりは受けましても、額そのものは決して高くなかつたと考えております。それは、この当時の民需市場価格で二十四年度に比べて二十五年度は一八%ばかり高くなつております。二十五年度に比べて二十六年度は約二〇%くらい値段が高くなつた。しかし名古屋としては二十四年度の価格を踏襲してやつたわけで、その点からいつて高過ぎるとは考えられないのであります、かように考えております。  なお岐阜地区につきましては、お手元にお持ちと思いますが、各省でつくりました説明書に書いてありますことは少しく検査院の批難に対する言葉としては適当じやないと思いますが、ごく簡約に申し上げますれば、ことに岐阜の問題につきましてはいろいろ衛生上の問題、規格、あるいは優先出荷というような厳重な制約を受けておりますので、自然一般の民需に出す場合と違つて特別な費用を要することが多い。そんな関係から岐阜地区におきましても一般卸売値段によらなかつたので、小売値段同様の値段できめて支払つたというような事情でありまして、これまたやむを得なかつたのじやないか、かように考えております。  それから三八の営業用倉庫の点でありますが、これはやり方として検査院の御批難はごもつともだと思いますが、ただ私ども当時やつた事情だけをごく簡単に申し上げて御了承願いたいと思います。営業用倉庫につきましては、昭和二十五年八月一日から、従来の営業用倉庫借上料算定基準というのがありまして、これは運輸省がきめたものでありますが、これを廃止されまして、自然接収不動産一般基準によることとなつたのであります。そのため倉庫業者は一割程度の減額となつた、そういう一割程度の減額になつたものを基礎にして、その後ときどき値上りがありまして、倍率適用というようなことから——土台が少し安いものですから、倍率を適用してますます他との間の差が大きくなつた、影響が大きくなつておつたのであります。ところが一方非接収の倉庫につきましては、二十五年七月十一日統制がはずされてから接収のものとの借上料の差が著しくなつて来ていたのであります。かような状況のもとで借上料の要素である火災保険料率を、これは正式にやればあるいは低額にしなければならぬ事情があつたかと思いますけれども、全体としてはこれは一つの借上げ料の要素であるだけで、全体の保険料を含めた借上料として必ずしも高額であるとは考えられないのであります。そのまま実施した次第であります。  それから二十七年度の三六番の八戸地区の立木の問題でありますが、これは会計検査院御指摘のような事情があつたことは事実でありまして、補償事務処理の上からまことに遺憾に存じておりまして、関係者にも厳重注意いたした次第であります。ただ調達庁の方として、その当時やり方がまずかつたから、これはどうもけしからぬじやないかというふうに御解釈願われますとはなはだ都合の悪い点もありまして、実情ちよつと申し上げたいと思います。ただ本件では次に申し上げますような特殊事情がありまして補償いたしたので、結果から見ればやむを得なかつたのじやないか、かようには考えております。本件の地区は、旧日本軍用地に接触した、八戸市長市川村長及び窪田某を代理人とした二百七十名の多数の人の民有地であつたのであります。ところがあそこの飛行場が、全体として軍の見るところでは、これはかつて日本軍の支配下にあつたのだからその土地も当然今は国有である、われわれがかつてに使つていいのだ、そういう考え方のもとに、私ども民有地であることを主張したのでありますけれども、なかなか軍は聞き入れません。事実上日本の軍の支配下にあつたものは何といつてもわれわれかつてにやつていいのだ、こういう観念が抜けなかつたのであります。二十五年の九月三十日付でようやく向うもその趣旨が理解されまして、正式に調達要求書が発せられたわけであります。これまでの間たくさんの農民としては極度の生活難に陥つておりまして、この補償について青森県あるいは調達庁当局にはいろいろ陳情があつたのであります。しがし立木の補償はどうしても当時は軍の承認を得なければならぬのが、承認を得ることができないで、ようやく講和発効後処理することができたわけであります。当時民有であることは青森県庁にしても、調達庁にしてもわかつておりますから、たくさんの要望に対して、かなり激昂したいろいろの主張に対して、これまでの点に対してはいずれは何とかするということで、そう的確な数字でなかつたかもしれぬけれども、ある程度の見通しは与えておつたような事実があつたのじやないかと思われるような節があるわけであります。それと、山林に依存する者にとつては、あるいは規則としては、ただ軍に切られた本数を基礎にしてこれから賠償額をきめるということになつておつたと思いますけれども、実際の営林業者から見ると、営林上間伐すべき立木も間伐せずそのままにしておる、従つて残つた山林も非常に損害が多い、あるいは下草とか下枝を刈取つて管理をよくすることも軍の支配下にあつてできない。それから早齢樹が伐採される、すなわち最も有効な年齢というものがあるのでありますが、それがその時期までにならないで切られるので、そのときの相場でいえば非常に割安になるというようないろいろの理由等もありまして、実際の損害はかなりに達したことと予想されておるのであります。まあそんなような関係で、立木だけで見ますと高いような結果になつておるかと思いますけれども、それらの全体の事情を勘案した場合、当時補償した金額というものはやむを得なかつたのじやないか、こんなふうに考えておる次第であります。以上だけを申し上げて御了解を得たいと思います。
  96. 天野公義

    ○天野委員長代理 それでは質疑に入ります。柴田義男君。
  97. 柴田義男

    柴田委員 会計検査院の二十六年度、二十七年度の御説明のほかにも、まだ批難事項がたくさんあるのであります。ただ代表的な批難事項として二十六年度に五件、二十七年度に一件あります。その会計検査院の御説明を承るまでもなく、私どももこの批難事項を詳細にしかも真剣に目を通してみたのでありますが、特別調達庁が今までやつておる方針というものを私どももいろいろな面で十分知つておるのであります。しかるに今の山内総務部長の御説明を承りますと、日本の考え方の範囲がどうも適用されない、アメリカの方針によつてのみ行われておるのだというようなすこぶる無責任きわまる、しかも良心が麻痺したようなお言葉を承つて心外にたえないのであります。昭和二十六年、二十七年というものはもう講和会議が成立して、発効した後における、しかも終戦処理の関係費用から支出されておる問題である。何を遠慮してこういう考え方で処理をされておるのか、根本的な御方針をわれわれは承りたい。そういう考え方であれば特別調達庁はいろいろな問題が今後続出するであろうとわれわれは考える。小さな損害を受けた業者にとつては非常な厳格な規格によつて調査をされて、補償の弁償が非常に遅れておつて、実際困つておる民間人がたくさん現実にあるのである。しかるにここを見ますると、石炭の契約に至つては、カロリーを中心として契約するのは当然であるし、氷の契約におきましてももちろん衛生を中心として飲料氷が売買されておるのはこれは常識論でわかる。それをどの項も何かアメリカの御方針や圧力によつて——しからば調達庁などというお役所はいらぬはずではないか、こうわれわれは考えざるを得ない。本日次長がお見えになつておりますが、そういう考え方でこれらの一切を処理されておるのかどうか。この点まず根本方針をもう一度具体的に承りたいと思います。この一項目一項目の問題でなしに、今の次長の説明のような考え方で処理をされておるのかどうか。これをまず劈頭に次長から承りたい。私どもは本日長官のご出席を仰いで、この根本方針を承つてからでなければこの論議を進めて行けないと思います。
  98. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 ただいまの御意見に対しまして、私ども調達庁責任は、まさに御指摘のような気持を持ちまして、軍に正当なる支出を要求しておつたのでございます。事例を申せば切りがないほど私どもは軍に抵抗と申しますか、不適正なものに対してはあらゆる資料をもちまして、適正化するということに努力いたしたのであります。ただ終戦処理費は御承知通り、軍の承認がなければ支払いができない、こういう建前になつておりましたので、従つて軍の了解を得ないことには、われわれは支払いができなかつたという立場にあつたことを御了承願いたいと思います。私ども考え方の根本は、繰返すようでありますけれども、当時いかに軍をして了解せしめるかということに全員の努力が打ち込まれたのであります。その点については私どもとしては、ただいまいかにもすべてについてイエス・マンであつたというがごとき印象を持たれますことは、調達庁にとりましてまことに心外にたえぬと感ずるところであります。
  99. 柴田義男

    柴田委員 これはアメリカの軍を相手としてやる渉外の一環でございましようが、事務的にも折衝にも相当骨が折れることは、われわれも十分わかるのであります。そういう点は了承されるのでありますが、ただここに指摘されておる問題に対しまして、あまりにも総務部長の御説明は、ことごとく会計検査院の指摘が少し無理なようなという印象を非常に深くするのであります。私ども会計検査院がむしろ甘過ぎるとすら考えておる。会計検査院が指摘されておる問題が、どれ一つ克明に考えましても無理だとはわれわれは考えられない。率直にこういう問題は今後起さないように努力する、こういう信念があられるのかどうか。これをまず承りたいと思います。
  100. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 私ども調達庁はただいまお話通り、占領軍の調達というまことに特殊な業務を担当いたしております。しかも占領軍の特殊なる調達方式を体しまして、わが方もこれに対応する組織手続をもつて対抗したのでありまして、従つてこれに習熟いたしまするには非常な努力を要したのでありますが、二十六年度におきましては、ようやくその事務にも習熟いたしまして、占領軍の考えるところも大体その実情等がわかりまして、特に二十六年度を前年度と比較いたしますれば、検査院の御指摘の事項も非常に減りまして、私どもは二十六年度においては非常に改善されたというふうに考えておつたのでありまして、この点は常に検査院等の御指導も賜わつておりまして、当時調達庁としては非常に成績を上げて来たという言葉を私はちようだいしておることを記憶しております。
  101. 柴田義男

    柴田委員 二十六年度の最も代表的なものは、三八の営業用倉庫の借料の支払いにあたつて問題が起されておりますが、この問題は一億二千四百七十一万余円を支払つておる。しかもこの算定の基礎が借料になくて、大体における計算の点を見ますると、損害保険料の料率の算定にあるように見受けられるのです。こういう問題は火災保険のことを何か資料をもらつて調査になれば実に簡単にわかることである。鉄筋コンクリートの建物で料率が千円について幾らというふうなことは簡単にわかるはずです。それを十円から二十円までの算定を基礎とされて支払いをやつておる、こういうようなことは、まつたくずさんきわまりないと言わざるを得ないのです。これでも何かアメリカの関係で御理由がございますか。もう一度山内総務部長から承りたいと思います。
  102. 山内隆一

    ○山内説明員 お答えいたします。今の営業用倉庫の料金の算定につきましては、軍の考えでもつてなかなか思うように行かぬというようなことはないのであります。ただ調達庁としていろいろ制度がかわつたり、まただんだんと基準が高くなつて倍率適用によつて一般の保険料以外の方が一般倉庫に比べて非常に不利益になつた、そういう事情を勘案して、あるいは火災保険料率だけは直し、他の方も直して相当にやるべきであつたかとも思いますけれども、最後の額そのものがこれならば適当であるというので、そのまま支払いをしたという形になつておるのであります。  なお先ほどの問題で少し誤解をお持ちになつたのじやないかという点もありますので、ごく簡単に申し上げておきたいと思います。実は先ほどの説明を、軍のことにコンクリートの仕事のごとき、軍のアメリカ式の工法で押されたので、どうもやむを得なかつた、むしろこちらは検査院考え通りにやつていいのじやないかと思いながら、軍の方に従つたというふうに、こちらが非常に弱いようにお聞きとりになつたと思いますが、ただ時間の関系で調達庁が何回も先方に折衝して、こういう不経済なやり方でなく、もう少しある資材を利用してやらしてもらいたいということを数回にわたつて強調したけれども、どうしても監督者は聞かなかつた、そういう場合には、第一線の監督者の考え方に最後は従わなければならぬ事情にありましたわけで、調達庁は十分あらゆる問題について軍の考えよりもこちらの考え方の方が経済的である、正しいと思う場合は強く主張することは、いずれの局でも同じでございます。十分やつておるが、その点だけを略したためにちよつと弱いようにお聞取りになつたと思いますが、どうぞ御了承願います。
  103. 柴田義男

    柴田委員 今の三菱倉庫に支払つておるのが、この保険料の料率の間違いによつて生じました分がどのくらいございましようか。会計検査院お尋ねいたしたいと思います。
  104. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 支払いました一億二千四百万円に対して、二千二百万円ばかりになつております。
  105. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、保険料の料率の算定が誤つた結果、これだけ生まれたのでございましようか。それとも全体から、営業用倉庫としての算定基礎がそのほかにもあつたのでしようか。
  106. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 間違つておるのは保険料だけでございます。
  107. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますとなおはつきりして来るのでありますが、営業用倉庫の場合は一坪幾らというような計算があるでしようし、それから火災保険の料率の基礎が誤つた結果、二千二百八十万円を節減されることができた。こういうようなことはやはりわれわれの指摘しているように、計算の仕方があまりずさん過ぎる。これは否定のできない事実だと思うのです。こういう点はもうだれでも——保険の料率というものは、御承知のように、甲の保険会社と乙の保険会社で相違はございません。日本の民間保険会社は全部料率が同じなはずであります。こういう点で簡単な調査ができなければならぬはずである。それがこういう疎漏な調査の上に、しかも一億二千四百万というものを支払いにあたつてやつたとすれば、もう万事が推して知るべしだ。調達庁のやつている仕事は何をやつているかわからぬ。小さな民間業者に対しましては非常に厳格な規格をもつて押しつけ、そして三菱倉庫なんかに支払う場合には、こういうずさんな方法で支払うということであつては、断じてわれわれは承服ができないと思うのです。これは工事とかなんとかいう関係ではない。単純な倉庫料の支払いにあたつてすらこういう大きなミステークを出しているということであれば、三六の石炭の購入、三七の氷の購入、三九の不動産の損害賠償、こういうような問題に関しましてはもう議論の余地がない、こうとしかわれわれは思えぬのですが、これに対しまして何かわれわれが納得するようなお答えがいただけますならばお答えを願いたいと思います。私は非常に表現を強くしておるのですが、私どもは何も調達庁を目のかたきにして議論しようなどとは、ここで考えておるのではないのです。ただ今後こういう問題が起きないように最善の努力を払つてもらいたいので、今指摘されている問題を一つの例として申し上げているので、決して感情にも走つておりません。けれどもただ先ほど来御説明を承ると、どうもすべてが弁解がましくしか聞えません。率直に、この指摘されておる問題は実際間違いがあつたから間違つた、今後はこういう問題を少くするように努力する、こういうお答えがあればもうわれわれはそれ以上何も申し上げようとしているのではないのです。こういうことをひとつ御了承願いたいと思います。
  108. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 私ども心棒えとしては先ほど申し上げました通りの心構えをもちまして執務いたしておるのでありますが、その間御指摘のようなあやまちをいたしておる点につきましてはまことに申訳ないと存じます。平和回復後におきましては占領業務から脱しまして、新しい調達庁の任務といたしまして、不動産の提供、労務の提供その他駐留軍関係の補償関係等を担当いたしておりますが、ただいま御指摘のありました通り、執務にあたりましては長官以下十分に執務の適正を期しております。決して権力におもねるというようなことはないつもりでございます。ことに国民の大きな財産等に関係する業務を担当しておりまするので、その取扱いにつきましては十分に慎重を期し、あやまちのなからんことを常に努力いたしております点を御了承いただきたいと思います。
  109. 天野公義

    ○天野委員長代理 吉田賢一君。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十六年の五十二ページ、三六、石炭購入の問題で伺います。この一の喜清商事株式会社というのはどの程度の資産、信用のある会社であつたのでありますか。——それから政府委員の方々に御注意を喚起していただきたいのは、だんだん時刻が切迫しておりますので、できるだけ簡潔に問答を進めたいと思いますから、そのおつもりで御答弁願いますようにお願い申し上げます。どうぞさように御注意をお願いいたします。
  111. 天野公義

    ○天野委員長代理 答弁は要点を簡潔にお願いいたします。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こまかい喜清商事のただいま質疑の点がお調べにならなければならぬのであれば、大体の状況でいいのであります。つまりこれのよつて来るところがあなた方はやはり占領軍の支配下にあつたので十分にできなかつたという趣旨がどうもあるらしいので、これは相手の商人が相当悪質であつたということも考慮されるので、それで尋ねておるのであります。わかりませんか。——終戦処理費の結末につきましては、これはまだ幾多の問題を持つておるのでありますが、特別調達庁におきましては、少くとも会計検査院が指摘いたしました批難事項案件につきましては、その原因、その途中におけるいろいろの手続の経過、結果というものを詳細にお調べになつたのではないでしようか、これはひとつつておきます。今後のこともありますので……。
  113. 山内隆一

    ○山内説明員 喜清商事につきましては、発注業者として指名するときにもちろん業者の力なり、資本金なり、やり方等を十分調べますが、清算に入る当時どの程度の資本金を持つておつたかということは今ここに資料を持つておりません。それからいろいろの会社等につきまして、検査院の御批判をまつまでもなく、調達庁がやつておる間は十分調べて、その信用状態の変化によりまして入札から省くというようなことをやつておりましたが、講和条約発効からは直接調達になりまして、業者との直接の関係がありませんので、その後の変化等の調べは十分やつていないことと考えております。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私があとで確かめました点は、批難事項として指摘せられました各事項につきましては、その原因、経過なんかについて十分御調査になつておりますかということを、これは確かめておきたいので伺つたのでありますが、それはあるとかないとかだけでけつこうであります。
  115. 山内隆一

    ○山内説明員 批難事項なつたものにつきましては、その担当の第一線の局がまず十分その間の事情を調べて調達庁に報告する、調達庁の方では、さらにそれを見て、不十分なところは再照会、再々照会、何回でも重ねて十分調べて、その検査院の御批判に対する答弁資料、あるいはまた私ども自身業者から回収する立場の上からいつても、十分調べておるつもりであります。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの喜清商事ですが、これは当時相当信用があつたのでしようか、その後事情商事は存在しておるのですか、現在の資産信用状況はどんなでしようか。なおこれは、問題は一切解決済みであるのですか、あるいは相当な国の損害になるだろうと思うのですが、こういつた問題の結末につきましては、これは解決しておるのでしようか、おらぬのでしようか、あわせて御答弁願います。
  117. 山内隆一

    ○山内説明員 喜清商事は現在は解散になつております。解散の時期は二十七年三月ごろと考えますが、今どういうふうな状態になつておるかということは、私は今手元に資料を持つておりませんので、どういう仕事をやつて、どんなことになつているかということは、いずれまた御報告します。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 喜清商事に対する(イ)(ロ)の各項につきましては、やはり相当政府側における損害もこうむつておると思うのでありますが、これはやはり適切な処置をとらなければならぬと思います。ことに解散しておるということであれば、まだ二両年にしかならぬのでありますが、いずれ社運が悪くして解散したのでしようから、その辺についての将来の見通しが十分できぬのじやないかということを心配いたします。占領時代のことでありまするので、さらに精細に検討するわけには行きますまいけれども、やはりこういう結末につきましては、十分に相手方を選ばなかつたというようなことに一つ原因があるのじやないかと思うのでありまするが、その辺について何かはつきりと御答弁になるような資料がありましようか。これは要するに、他の幾多の案件について類似の原因があるらしく推測いたしますので、それの資料としてわれわれは考えたいのです。つまり調達庁がどの程度ほんとうに真剣におやりになつておつたのか、今同僚委員が伺いましたように、占領軍の威光に隠れてやつたというのではなしに、やはり相当やれることはおやりになつたということが認められるかどうかということに帰する一つの資料なんですが、相手を選ぶということについもて相当善処され、適当なる措置をされておつたのたろうか、こういう点なんです。御答弁願えましようか。
  119. 山内隆一

    ○山内説明員 喜清商事についてああいう結果になつたのは、あるいは調査が十分でなかつたかという御不審の点は無理からぬと思いますが、調達庁といたしましては平素から十分調べて、業者の力を点数で表わして持つている。本庁としては全国的に統制をとる意味で、各局から報告を求め、それに基いて全体の各業体の成績を点数にして、地方に参考にまわして、それに基いて仕事を進めておりますので、まず間違いはないはずでありますが、何としても大勢の業者であり、しかもいろいろ経済事情の変化のはげしい時代もありましたので、まつたく当局の予想に反して、相当りつぱなものであつたものが没落してしまつて、国家に損害をかけるということが生じましたことは、まことに遺憾に思つております。何としても今はこの業者に関係がありませんので、業者の調査について今後努力すると申し上げても、実情に沿いませんから、十分注意してやつたつもりであります。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは推測にすぎませんけれども調達庁当局が、たとえば喜清商事なるものを選定するにあたりまして、その業者の信用、経済力また過去の業績といつたようなものを慎重に検討せられておつたならば、検収に際しまして、よしんば実権が占領軍にあつたといたしましても、占領軍もそうことさらに日本政府をいじめ、もしくは日本の業者をいじめるということはなかつただろうと思いますから、やはりそこは信用一本で事が処理せられるということになり得たものであろうと思います。終戦後いろいろと道義、経済等の秩序が混乱しましたさ中において、そういうような悪い弊が官界にまで侵透しておつたということもなしとは申せませんので、そういうような弊害が業者の選択において事欠いた。従つてこういう類似のものが他にもたくさん生じたものであろうということであるのではないか。しかしこれとても今日済んだことで、せんないこと。もう占領軍もおりませんから、同じ案件が生ずるという可能性は全然ないのでありますけれども、やはりそこは過去の記録になるだけですが、選択によろしきを得なかつたというふうなことがあるならば、その辺ははつきりさように述べておいてもらうならば、私どもはそれはそれとしてやむを得なかつたというふうに考えるんですけれども、やはり占領軍下においてあなた方の手の届かない範囲の原因が事ここに至らしめたということが相当あつたような感じを一抹受けます。これは調達庁全体を通じてわれわれ受ける感じでありますので、そこはさような臆測なり疑いを払拭して、相手の選択について欠くるところがありせば、率直にお認めくださると、問題はすつきりとしてしまいます。しかしこれは今調べてもまつたくせんないことで、過去の繰り言をお互いに言い合つておるようなことでありますから、あまり価値のないことでありますけれども、全体を通じて私ども感ずるので、念のために伺つた次第であります。何か伺えればけつこうだと思いますが、なければよろしゆうございます。
  121. 山内隆一

    ○山内説明員 先ほど申し上げた中にちよつと違つた点がありますので、訂正させていただきたいと思います。解散決議をしたのは、二十七年三月でなくて、一月であります。解散決議が二十七年の一月で、調達庁から債権の申入れを二十七年の三月六日にいたしておるのであります。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十七年度決算検査報告の五十九ページ、報告番号三六についてちよつと伺います。説明書によりますると、数が二百人以上にもなる、それから旧日本軍のためにもかなり乱暴に使われておつたようなこと等々が遠因をなしておつたので、そこで見積りを大きくしたというようなこと、従つてそれは不当でないとまでは言わないけれども、情としては了すべきものがあつたというような御説明もさつき聞いたのであります。しかし国の会計をお預かりになつて経理を行い、予算をお使いになりますときには、その点はもしそういう事情を加味しなければならぬのであるならば、その理由、事情を明らかにせねばならぬのじやないかと思います。ここは主として立木の被害弁償というのでありまするので、それはそれ、そうでないもので弁償すべき理由があるならば、それはそうする。そういうふうに、お使いになる弁償金の費途、内容、趣旨を明確にすべきでないかと思うのであります。いろいろと理由をここでお述べになつておりますけれども、それは聞いてみれば、農民の人には気の毒だという感じは受けますけれども、しかし会計経理といたしましては、そこはやはり筋をすつきり通さなければ、会計紊乱のもとになると思うのですが、次長はどうお考えになりますか。
  123. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 まことに御指摘の通りでありまして、事情と経理上の問題とはまた別個の問題だと考えます。ただいま当時の実情としてこういうような実情があつたのだということを御説明申し上げたのでありまして、御指摘の点は私どももさように考えております。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは予算の流用なんかが非常にやかましく今言われておる時代でもありまするので、特に担当官がいろいろな自己の状況判断で経理をずさんにするという危険が、こういうところからだんだん生じて来ると思うのであります。たとえばいろいろと駐留軍の使用しておりましたものを返還する、それに対する弁償といいますか、賠償といいますかを一般民間の人にするような場合におきましても、もしいろいろな事情を加味するということであるならば、その事情というものを厳密に検討して、どのくらいの価値があるのか、どのくらいに価値を算定すべきかということをはつきりして行くというようにして行かなければ、これは混乱してしまうと思います。そうしないと、やはり出先の人の主観や何かが入りまじりまして、同種のものでありながら、いろいろな事情が加味されているので、そこで、これに対する賠償とか、あるいは弁償とか、支払い金とかが不当に多額になつて来る危険があると思います。これは一つの例にすぎませんけれども、その後の事務としてはおやりになつているはずでございますから、こういうものの算定の上におきましても、そこは事情によつて動揺を受けるようなことがないようにすることが、会計の一番大事な点だろうと思います。そうしないと、あとからなんぼでも批難のしつぽが出て来るだろうと思います。  それで終戦処理費のことにつきましてなお聞いておかねばならぬのでございます。これはほかに法律の改正案も出ておりましたが、特別調達資金設置令というものによるあの基金が出ておりますね。この終戦処理費というものの扱い方が、一般会計からなされているというような形になつているために、とかく国会がわからぬ面がよくあるのであります。これも決算報告書の調達庁における参照書によりましたら、七十五億円というものが当初の特別調達資金繰入れとして設定されております。これは年間に数回回転するようでありますから、数百億円が動いているようでありますが、これの結末といたしまして、相当な剰余金が出ているのじやないだろうかという問題であります。それが現況はどういうふうになつておるかということが一つと、それからこういうものは、むしろ次長並びに検査院の方の御意見を伺つてみたいのですが、国会に明確に知らすために、たとえば特別会計のごとくに、直接国会がこれを調査し得るような機会を与えるようにすることが、日本の財政の運用上適当でないだろうか。といいますのは、今の予算なり決算なりを調べてみますると、決算書なんかでも、こんな大きな、とても見れないようなものを調べなければならぬのですが、どうも一つの伝統の技術がありまして、一つの術語の中に隠れてしまつて、その中から一つ一つを排出して行くというようなことは容易なことじやありませんので、こういう重要なものにつきましては、やはり特別会計式な何らかの措置をもつて、国会が直接知り得る機会を持つことが必要でないだろうか、こういうふうに思います。そこで、この基金を元にいたしまして回転しました経理の最近の状況につきまして、剰余金が相当あると思うのです。これは一般会計に繰り入れるべきものであると思いますが、それもできておらぬらしく推測しておりますので、その根本の点と、この二つについて御説明願いたい。
  125. 山内隆一

    ○山内説明員 ただいまの御意見に対して私ども考えを申し上げたいと思います。調達資金を特別会計か何かにして国会の承認を受ける、もつと明確にするやり方ができぬものか、これは一つの御意見だと思います。ただ調達資金は御承知のように終戦処理費から出して、軍に供給する労務者の賃金を支払う、あるいは手当を支払う、その回転基金のような意味で存置されたわけでありまして、必ずしも日本の会計年度と米軍の会計年度と合つておるわけでもありませんし、そういう意味で一向うから入つて来るのを受け、それでまた賃金の支払いをするというようなわけで、まつたく一つの運転資金のような形でまわしておりますので、現在までのところはそういう予算をつくつて承認を受けるというところまで行きませんで、資金設置令として国会の承認を受けて、そうしてその運用に当つておるわけでございます。設置令自体の管轄はどこの省かといえば、これは調達庁が設置令によつて運用に当つておりますけれども、形の上では大蔵省が所管である、こう申し上げざるを得ないかと思います。そんなわけで今まではつくつておりません。あるいは今後としても特にそういうことなしに運転して行く、実際資金も御承知のように昨年の七月十日労務者の解雇手当を、講和条約発効の日を一つの境としてそれまでの計算によつて払うべきものを、遅れましたけれども、全部払いましたので、実際この七十五億の回転基金というものは、その意味においては事実上もうなくなつて、むしろマイナスになつておるような形であります。そんな事情でありますので、御意見のように特別会計をつくつて御議決を願うというようなことは簡単には参らぬのじやないか、かように考えております。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 会計の結末は……。それに一応今のそういう御意見は、調達庁の方の御意見でありますが、そこでこれの剰余金等につきましては現状はどうなつておりますか、それは一般会計に繰入れられるべき筋合いのものじやないかどうか、これを聞くのであります。
  127. 横山正臣

    ○横山政府委員 お答え申し上げます。今剰余金があるようにおつしやいましたのは、おそらくお手元に先ほど届けました二十六年度及び二十七年度特別調達資金受払い決定計算書の表からその質問が出たことだと思いますが、ここに受入れ超過と書いてありますが、これは剰余金を意味していないのでありまして、この計算書の金額は単なる現金の受払いを計上したものでありまして、現実に剰余金が幾らあつたかというものの実態を表わす数字ではないのであります。従いまして現在剰余金が幾らあるかということにつきましては、大体この調達金の支払いあるいは支出する面は労務者の賃金と府県に対する労務者賃金支払い事務の委託費でございまして、その労務者の賃金につきましては、全額米側から償還を受ける建前になつております。  それから委託費につきましては、これも事実上全額米側からの償還を受けることになりまして、建前といたしましては実際米側と日本側との間に損得のないようにするというのが現在までの話合いになつております。従つてその面の剰余金というものもございません。ただ考えられますことは、日本側から県へ流します委託費は予算上歳出に計上しておりまして、これは項、調達労務管理費というものによりまして、予算に計上してありまして、それが年々歳出されておるわけです。従いましてこの金額相当額を事実上は一般会計に繰入れるべき筋合いのものでありまして、これが剰余金であり利益であるから繰入れると、こういうような考え方ではないのであります。従つてただいま御質問になりました剰余金の有無につきましては、建前として日本側にはなしということになります。  それから一般会計に繰入れるべきものを現在まで繰入れてないという意見に対しまして、これは資金繰りの関係で現在まで非常に困難であつたので、大蔵省の方の了解も得まして、繰入れしなかつたのでありますが、二十八年三月三十一日現在におきまして、とにかく少しでも繰入れしなければいかぬということになりましたので、十七億ほど一般会計に繰入れをいたしました。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは十七億を二十八年三月に繰入れをしましたが、当然なすべき数額は何ほどになるのでしようか。それからアメリカ側に対する請求の未済というものはないのでしようか。回収する未済というものはありませんでしようか。なおこれらの点につきまして、ひとつ会計検査院の御意見を伺つておきたいのですが……。
  129. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 最初特別会計の設置の点についてお答えいたします。資金の受払いについて国会の方に提出される仕組みになつておりません。従いましてできませんわけでありますが、これを特別会計にして国会に出すような仕組みにやる方がよろしいかどうかという点については、なお考究を要すると思いますが、特別会計を設けなくても、資金の受払い決定計算書というものをつくられて、私の方にも出て来ておりますが、その資金の受払い決定計算書を出す、あるいはその様式をかえるということもあるかもわかりませんが、そのものを出すということでも、政令の改正で行くのじやないか、こういうふうに考えております。  それから剰余金の問題でありますか、二十六、二十七は相当アメリカの方から返つて来る金が遅れておるというような関係もございまして、実は検査院としては見送つておるわけでありまして、詳細な検討は今後においてしたいと、かように考えております。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さつき申しましたアメリカからの未済はどのくらいになつておりますか。それから今検査院の御意見でありましたが、やはりこの種の問題は、たとえば今度特別調達資金設置令の一部改正の件第一条の改正によりますと、今度は国際連合の軍隊などが加わり、アメリカ政府の職員などが加わつておるようでありまするから、従つてこれの基金の用途というものが非常に広い対象になつて来ると思いまするので、これはさらに一層利用されるのじやないかと思われますから、今お述べになりましたような、たとえばこれらの受払い計算書とでもいう、そういう詳細な内容のものを国会に提出するということによつて、国会は特別会計たらずとも、この予算会計の全貌をただちに知る方法が得られると思います。ひとつこういうことを機会にそういうふうになさつてはどうか。われわれが決算の参照書なんかをひつくり返して見てでないとわからぬというのでは、どうもこれはおもしろくないと思いまするので、幸い今ああいう検査院の御意見もありましたが、きよう即答かできませんでしたら、そういう方向へ積極的に努力なさるということの言明でもなさることが適当ではないかと思いますが、これはひとつ調達庁としての代表的な御意見を聞きたい。それからさきにお尋ねしましたアメリカからの回収すべきものの未済の数、それから今当然一般会計に繰入れるべき数が十七億円以外に何ほどあるべきや、この三点を伺つておきます。
  131. 横山正臣

    ○横山政府委員 御質問のアメリカから償還した金額は幾らかということにつきましては、これは労務者に対する貸金については毎月支払いの都度確定いたしまして、それに対してアメリカ側から翌月初旬までには償還になつておりますが、先ほど申し上げました地方公共団体に対する委託事務費につきましては、償還する金額自身が現存いろいろ話合い中でございまして、その交渉かまとまらなければ、幾ら償還を受けるかという金額は確定しないように存じております。従つて現在幾ら償還を受くべきかということについては、御質問にお答えするような資料がないのであります。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは資料として文書でお出し願つてけつこうであります。
  133. 横山正臣

    ○横山政府委員 金額が確定していないのであります。
  134. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いつ確定するのですか。
  135. 横山正臣

    ○横山政府委員 現在話合い中でございまして、それについては大蔵省、外務省の方からもいろいろアメリカ側にプツシユしておるようであります。一般会計繰入れ金額は、これは大蔵省から大蔵大臣がその都度指定するということになつておりまして、幾ら繰入れするかということについてはきまつておりませんが、とにかく二十八年度末におきまして十七億繰入れるという指定がありましたので、繰入れた次第であります。
  136. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 第三の御意見に対しましては、大蔵省当局とも打合せまして考究いたしたいと思います。
  137. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の最後の点は重要な点と思いますので、大蔵省等と御協議の結果きまりましたとき、ただちに本委員会あてで文書できまりました趣旨、内容等をひとつ御報告をしていただきたい、かようにおとりはからい願いたいと存じます。
  138. 天野公義

    ○天野委員長代理 ただいまの吉田委員の御要望のように、調達庁においておとりはからいを願います。
  139. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからもう一つ、終戦処理費の関係でありますが、それについてアメリカの占領政策としてではなしに、財務、物品あるいは運賃その他労力等々の提供によつてできておりましたアメリカに対する債権、これが二十五年度の歳入の決算の明細書によりますと、終戦処理収入のうちで外国為替特別会計の受入金として百二億一千七百七十三万九千余円、さらに貿易特別会計の受入金として四十六億七千七百六十一万二千余円、それから二十六年の総理府所管の歳入決算の明細書によりまして、これも終戦処理費の収入といたしまして、外国為替売却の収入として徴収決定済額が三十三億七千八百四十五万余りということになつております。こういうことになつておりますので、これを概算いたしますと百八十二意四千三百余万円であります。そこで伺いたいことは、これはアメリカから当然支払いを受けなければならぬ金額の総額であるのかどうか、それからまたこれの受けるべき内容を日本政府としては確認しておるのかどうか。それからもう一つ、従つて残額はもうないのかどうか、こういうことについてどういうふうになつておるのか、これは今外務省も見えておりますので、このあと質問しますことにも関連を持つておりますし、終戦処理費の一環といたしまして聞いておきたいと思いますから、御説明願いたい。
  140. 山内隆一

    ○山内説明員 ただいまの点は、当然アメリカからもらうべき総額かどうかというお尋ねに対しては、総額とは申しかねる。と申しますのは、会計検査院の御批難の中に、二十七年度の冒頭において二十一億幾らの金額が載つておりますが、今お話の数字の中にはそれは入らない。そういう意味において、それをかりに全然除いてみても、完全に総額といえるかどうかということについては、若干疑問を持つております。講和条約発効前後の経費の区分についての問題は別として、それ以前のものについては大体合つておるだろうと思いますけれども、的確にそこが合致しておるかどうかについては、まだここで申し上げる域に達しておりません。
  141. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体この徴収は何ですか、外為特別会計とか貿易特別会計とかいうようなことになつておるのですが、何でしよう。それから最初おつしやつておりましたが、この二十七年の決算報告の調達庁関係の二十一億九千七百余万円というのは、これは平和条約の発効後の問題でありまして、今私が述べておりますのは、二十五年の決算と二十六年の決算であります。だからこれは違うのであります。だからこの二十七年の二十一億円があるから、従つてこの百八十二億円が総額でないというのでは、これは問題が違うのであります。一体この百八十二億円というのは何でしよう。それはさきに申しました一体何の対価としてお受取りになつておるのか、これはこの三つの項目だけではよくわからぬのであります。もつともこれはあなたの方でどうしてもおわかりにならぬのならおわかりにならぬでいいのであります。こちらで調達したものは労務にしても物品にしてもあなたの方でわかつておりますから、それをどれだけおもらいになつたかということがはつきりしておれば、その内容がわかるのであります。従つてそうなれば残りがあるのか。あるいはそれが総額なのか、ないのかということがはつきりして来るのでありまして、ここをはつきりと知りたいのです。
  142. 山内隆一

    ○山内説明員 お話の二十五年以前の大体のドル収入につきましては、二十七年度末の現在の数字として百八十一億、約百八十二億ばかりになつておりますが、そのうち国連関係のドルとして百六億、これは的確な御回答と申し上げかねますが、大体において朝鮮事変が起りまして、あの当時の国連軍の必要に応ずるために、軍の方からの切なる日本政府に対する依頼もあり、日本側としてもかなり調達庁がやることが便宜な仕事もありますので引受けまして、特にしるしをつけて実施したことがあるのであります。大体その額に相当するものであろうと考えております。  それから占領軍の米国側としてお言葉にありました四十六億幾ら、これは大体貿易勘定であつて調達庁自体の仕事の結果ではないのであります。たまたまドル収入としてこの中に入れてありますけれども、これは別口でありまして、あと二十八、九億円、これは大体PDAはどこまでも約束に基いて終戦処理費で支弁すべきものについて発行するのが当然でありますが、二つの面においてちよつと例外になる場合がありまして、突発事変等の場合便宜上頼まれてやること、それからそういう意味じやないが、個々の事件の場合にまつたく例外的に取扱わされる、あるいは便宜取扱うというような性質になりはせぬか。この占領米軍の場合は大体そういうような部類にあてはまるのではないか。それからやはり占領軍ですが、英連邦の分が約一億円あまりございます。これも大体において突発的の問題の例外的の取扱いになつていはせぬか。この合計の百八十一億なにがしは全部収納済みになつております。それからちよつと触れました検査院のこの表にある二十一億の問題は、実は当然要求してもらうべきわけでありますが、実はこの数字について若干問題が残つておりますので、まだこれが解決に至りません。なぜかということを御了承得たいと思うのですが、講和条約発効の二十七年四月二十八日を境にして、経費の負担をどうするかという問題ですが、調達庁仕事をずつと引続き役務にしても需品にしても工事にしてもいたすわけであります。この問題が非常にやつかいな問題であります。一番最初に行政協定公式議事録というものの中に、二十六年度に終戦処理費によつて支出負担行為を行つたもので、同条約の効力発生の日において支出未済残高は日本側負担である、こういうとりきめをしたことがあるわけであります。ところがその後またかわりまして、昭和二十七年八月十一日第十四回日米合同委員会におきまして、講和発効前に引渡しの完了したものは日本側負担である。講和発効後に米軍に引渡したのは米側が負担する、こういう一つの原則をきめたこともあるわけであります。ところがその後今度は外務省を通じて大蔵省の見解が通知されまして、日米合同委員会の財務分科会において審議の上合意された解釈として、需品、役務、維持工事については納入または役務の提供が、講和発効前のものは日本側、講和発効後のものは米側負担、こういうことにきめられたこともあります。それから現在の段階で問題になつておりますのは、契約上の納入期日、これを納入契約の予定日、実際の現品なりあるいはその役務を完了して引渡す前後によらずして、納入の契約予定日をとつて、発効前の場合は日本側、発効後の場合は米軍、こういうような案が今論議をされております。そこで検査院の二十一億幾らのこの金額は実際に引渡しを基礎にして計算した結果の数字だと思つております。ですからそういう字句もありましたので、それで押せるならば押して行つて一刻も早く解消いたしたいのでありますが、最近はこの考え方、最後の考え方で予定日によつて移転するということになると少しアメリカが得になるわけです。そういう問題がありますので、これはまだ基本方針が未解決という立場で押すわけに参りませんので、遺憾ながらそのままになつておりますことを御了承願いたいと思います。
  143. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 山内さんは少し行き過ぎなさつているが、まだそこまで入つておらぬ。さきの百八十二億、私は決算の明細書の合計をしたのでありますから私の方が正確だろうと思う。百八十二億四千三百余万円というものは、そうしますとアメリカから当然受取るべき総額であるのかないのか、あなたの方でわからぬのですか。それからこれが何の対価として受取ることになつたのかというその内容がわからぬのでしようか。この点を明確にしておいてもらいたい。わかつておればわかつているでいいんですけれども、わからぬのならわからぬとしておいてもらいたい。そうしませんとものが間違つて来ます。それともあなたの方で御承知ないのかどうか。それからあなたの方がこれに対する徴収の責任官庁ではあるのですね。そのこともひとつ……。
  144. 山内隆一

    ○山内説明員 かような駐留軍に対する仕事をやつて向うから代償を受けるというようなものは調達庁がその主管官庁として取扱つております。  その前のお尋ねの点でありますが、私的確にこれが全部であるかどうか多少問題があるということを申し上げたわけですが、実は種類がおのおのありますから全部調べればその内訳がはつきりするもの思いますが、なかなか厖大な書類になつておりまして、細かな内訳ごとに幾らということがはつきりいたしません。しかもこの軍の方のドルで入つたこれははつきり何年何月ということが明確になつておりますが、その詳細な内訳というものが照会してもなかなかはつきりいたしません。そんな関係で多少はつきりと合致するかどうかという点にいささか疑問がありますので、ああいう数字を申し上げたのであります。
  145. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはやはりアメリカから日本が正当に受取るべき債権の一種である限りは、これはあなたの方が主管官庁であれば何らかの措置をとつてこれを確認すべき責任が私はあると思います。あなたの方が交渉をなすべき官庁でないとするならば、外務省においてこれはなすべきであると思います。やはりこういう問題は、十六国会におきましても、この委員会におきましていろいろと論議いたしました例の対米債権と称しておりまするあの始末と同じように、やはりはつきりすべきものをはつきりしないで、国内におきましては、国会の方にはちよつと内容を推認することができないような表現で決算の方をして来られるわけであります。でありますので、こういうこともやはり国の会計といたしましてはもつと筋を通して、きちつときまりをつけてもらわぬと困るのであります。総額やら、総額でないのやらわからぬままに徴収主管官庁の調達庁では見送つて行くということはあるべきでないと思います。もうすでに昭和二十九年度に入つてまだその辺が確認されないということはどういうわけであるか。しかもそれがわずかな金額ならともかくとしまして、しかしわずかであつても、また大きな金額であるにいたしましても、いずれにいたしましてもこのような事務はやはり明確に最終確定をするという手順をおとりにならねばいかぬと思いますが、これはどういうふうになさるつもりでしようか。あなたの方でもこれで総額であるということの確信はなさそうでありまするし、相手にも照会してもう一つはつきりしないということでありますならば、外務省へ交渉を一任するという措置に出るか、いずれにしましても総理府の重要な機関としての調達庁としましては、こういう問題の結末はつけておおきにならぬと国会を通過するわけに行くまいと思いますが、やはり重要な一つの決算面におけるなすべきお仕事であろうと思います。今後どういうふうになさるでしようか、同時にこの問題について会計検査院はどういうふうにお考えになりますか、これも一緒に聞きたいと思います。
  146. 山内隆一

    ○山内説明員 ただいま大切な問題について御懇切な御注意をいただきましてありがとうございました。御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  147. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 この問題が明らかになつておりませんので、調達庁の方でも明らかにされるように私の方も申し上げておるわけであります。これがほんとうに明らかになり得るかどうかについては多少の疑問がございます。
  148. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 外務省の官房長が見えておりますので、ほかの方で聞きたい点がありますが、ただいまの問題については外務省としましては具体的内容を御承知でなかつたら御答弁が困難と思いますが、こういうものはやはりアメリカと相当折衝いたしまして適当に内容を確定するという手続をとることが、独立国として当然の措置であろうと思いまするが、何か御答弁願えましようか。具体的案件を御承知でなかつたらこれはしようがないのですが、その点いかがですか。
  149. 松井明

    ○松井(明)政府委員 内容を存じておりませんので、後刻調達庁の意見を聞きまして答弁いたしたいと思います。
  150. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではさきにも調連庁におきましても主管官庁として確定をするように努力するお話もありましたから、事情お話合いの上、日本政府といたしましてこれを適当に確認なさるように、また確認された以上は適当に措置をなさるようにひとつ御希望申し上げておきたいと思います。  それでは進みまして、二十七年検査報告の三十五ページ、総理府調達庁関係、これは総論であります。これは全部聞いてみたいのでありますけれども、きようは省略をいたしまして、この末尾の段に入りまして、「なお、連合軍の調達要求に基き契約をし、平和条約の発効後においてアメリカ合衆国駐留軍および英連邦軍に提供した工事、役務、物品の代金等として終戦処理事業費から支出した二十一億九千七百余万円については、外務省を通じこれが求償方を相手国と折衝中である。」アメリカ並びに英連邦軍でありますから濠州及びイギリスですか、こういうことにこれはなつておりますが、このいきさつをさきにちよつとお触れになりましたけれども、外務省を通じてということになつておりますから、外務省はどういう経緯でただいま進行しておるか、もつとこれの基礎的事実関係につきましてこの文章以外に御説明を願えるならば調達庁並びに検査院にも御説明を願いまして、それによつて外務省の方からこれの交渉状況の御説明を願います。調達庁及び検査院の方で事実関係についてこれ以上補足していただくことはございませんですか。
  151. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 特に補足することはございませんが、二十一億九千七百万円をわけますと、米国関係が二十一億四千七百万円、それから英国関係が四千万円、さらに米国関係で講和発効後契約を解約したための補償が九百余万円、こういうふうになつておるだけでございます。
  152. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 調達庁の方は……。
  153. 天野公義

    ○天野委員長代理 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  154. 天野公義

    ○天野委員長代理 速記を始めて。
  155. 安川壮

    ○安川説明員 お答え申し上げます。本件は先ほど調達庁の山内説明員から御説明がありましたが、それと多少重複をすると思いますが、外務省が日米合同委員会を通じて従来までやつて参りました交渉の経過を御説明申し上げます。本件につきましては最初に講和発効の年すなわち昭和二十七年の六月の合同委員会におきまして、こちら側から先方に対しまして、終戦処理費で調達されました物資、役務につきまして代金の未払いのものにつきましては、すみやかにこれを日本側に返還するかあるいは代金を支払うことを請求したのであります。それに基きまして同じ二十七年の八月の合同委員会におきまして両者の合意が成立いたしました。その合意と申しますのは、物品需品につきましては、講和発効までに納入されたものは日本側が負担する、それから講和発効後に納入されたものについてはアメリカ側が負担する、但し建設工事関係はこれから除きまして、講和発効前の契約に基くものは全部日本側の負担にする、こういう合意が成立したわけであります。その合意に基きまして調達庁においてさらに細目の集計をいたしました結果、翌二十八年の四月に調達庁より直接米軍の調達機関に対しまして、先ほど御説明がありました約二十二億の代金の請求をしたわけであります。その後米軍の方がいろいろ内部的な事情がありまして支払いが遅れたのでありますが、昨年の九月にあらためて本件を合同委員会の下部機構でありますところの財務分科委員会に付託してそこで日米さらに協議するということになりまして、合同委員会から財務分科委員会に本件を付託したわけであります。その結果日本側は、大蔵省の方から鈴木財務官が日本側の首席代表として出席しまして、米軍の方の担当官と直接交渉したわけであります。その結果、ごく最近でありますが、本年の三月の二十五日にこの財務分科委員会からの勧告が合同委員会になされました。それによりますと、従来は最初に申しました二十七年の八月の両者の合意においては、納入期間が四月の講和発効前のものは日本側負担、講和発効後のものは米軍側負担、こうなつておつたのでありますが、これはいろいろな実際的な考慮、特に分担の分岐点になります納入期日については、前述の納入の期日を今から確認するよりも、その契約に現われておりますところの納入期日を基準にした方がより実際的で、また適当であるという考慮に基きまして、本年の三月二十五日に成立しました財務分科委員会の合意においては、この分担の分岐点になります基準をそれぞれの契約に定められた納入期日にするということになりまして、その旨合同委員会に勧告されました。合同委員会も即日これを承認したわけであります。  以上申し上げましたような経過をたどつて現在に至つたわけでありまして、すでに負担の区分というものは両者の間ではつきりときまつておるわけであります。あとはただ細目の照合その他が終了すれば請求が行われるものと期待いたしております。財務分科委員会の交渉の細部の経過につきましては、あるいは大蔵省の方から御説明があるかとも思いますので省略いたします。  これは但し米軍関係でありますが、それから国連軍関係、すなわち現在の英連邦軍の関係でありますが、これにつきましても、先ほど申し上げました米軍との間に成立しました合意の線に沿いまして、英連邦軍側に対してもすでに昨年、金額にして約四千万円でございますが、その請求をしたわけであります。この根拠は、やはり米軍の場合にならいまして、講和発効前の納入のものはこちらが負担する、講和発効後の納入のものは先方の負担にするという建前におきまして、先方の負担すべき四千万円について細目の表をつけまして、先方にすみやかに支払うように要求をしておるのでありますが、いまだ先方からはつきりした回答に接しておりませんが、これは今回国連軍協定も成立間近になつておりますので、新たに国連軍協定に基いて設置されますところの合同会議を通じまして、さらに支払い方を督促する所存であります。
  156. 鈴木源吾

    ○鈴木(源)政府委員 調達庁及び外務省からの御説明と多少重複いたしますけれども、御説明いたします。先ほどもお話がありましたように、行政協定の公式議事録によりますと、平和条約の効力が発生する前に日本政府が支出負担行為を行つたもので、同条約の効力発生の日において支出未済残額になつておるものは日本政府の責任とされることに合意されております。従つてこの公式議事録通りで行きますと、全部日本側が負担することになつておつたのであります。しかしその後平和条約の発効後、日米合同委員会で、実際に平和条約が発効したあとは防衛分担金で向うがまかなうことになるから、従つて引渡しがあとになるものはアメリカで負担してくれないかという話合いをなしまして、向うもそれに同意して、それで二十七年の八月十七日に開かれました第十四回日米合同委員会において需品については、平和条約発効前の引渡し分に対する支払いは日本側負担、それ以後の引渡し分については米国側の負担、工事については、平和条約発効前の契約にかかわるものは全額日本側が負担する、そういうふうに合意されております。その後昭和二十八年になりまして調達庁から、先ほども説明がありましたように、外務省を通じて米国側に請求書が出ました。しかし昨年の九月十七日の第七十回の合同委員会において、米国側が支払うべき負担分の調査と、それに対しての意見を財務分科委員会の方で出すようにするということがきまりましたので、そこで財務分科委員会ではその後数回会議を開きまして、そして当初平和条約の発効する当時、米軍がどういうふうの準備をしておつたか、いろいろそういうことも調べますと、あのころいつ平和条約が発効するかということがはつきりしないときでありましたから、米国側としましては、一応契約書に記載してある納入期日を基準にしてすべて書類を整理するようにと各部隊に通知を出し、それですべてを整理する方が整理しやすいということは、当時日本側にもそういうような意見を述べておつたということもはつきりしておりますし、それからまた納入期日より遅れて納入するということは、主として日本側の事情で起きるわけで、向う側の事情で起きるということはほとんどありません、そういういろいろな事情を考慮いたしまして、それからまた当時の書類をこれからさかのぼつて調査する場合にも、すべてそれで行くとこの問題は解決できるということがはつきりして来ましたものですから、従つて今年の財務分科委員会の会議で、契約書記載の納入期日によつてすべてをきめようということにしました。昨年の秋から今日までの間日にちが相当かかりましたのは、この全体の契約数が約千二百ありますが、占領当時の書類が四十数件を除きまして全部アメリカのカンサス市の本部に書類が行つておるということがわかりましたから、それをすべて照合するということを続けまして、この三月十八日米国側から受けました通知はもうわずか五件を残して、あとは全部照合が済んだという報告が来ましたから、もう間もなくこの問題は処理できると思います。
  157. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは調達庁関係は一応この程度にしておきます。なお他の委員が若干お尋ねになることが残つておると聞きましたので、都合によりましてそのときになお総括的に聞いておきたいことがちよつとありますけれども一応はこの程度で打切りまして、今日は終つておきます。  そこで時間もたいへんおそくなつて恐縮ですけれども、外務省関係について、これは簡単でありますので、議題に供していただきたいと思います。
  158. 天野公義

    ○天野委員長代理 それでは調達庁関係質疑は、次会適当なときに行うことといたします。     —————————————
  159. 天野公義

    ○天野委員長代理 次に外務省所管に移ります。すなわち昭和二十七年度決算検査報告七十五ページ、報告番号五八、物品の購入が多量に過ぎたものに関し、検査院当局の説明を求めます。
  160. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 五八号の案件は、旅券冊子の購入が多かつたという事態であります。旅券冊子は大臣発給用のもの、公館発給用のものと二つございますが、大臣発給用のものについていいますと、二十六年度からの越しが一万一千二百二十一冊ございます。二十七年度に買われたのが五万冊ございます。そうして使われた結果が四万七千ほど二十八年度に越して行く。それから公館長発給用のものは、二十六年度からの越しが二万五千冊、そして二十七年度中に買われたのが五万冊、そして二十八年度に越して行つたものが三万八千冊ばかりになつておる。二十七年度に買われましたものは、大体当時のお使いになる量その他を勘案しても、また実績から見ても少し買い過ぎた、こういうふうに考えておる次第であります。
  161. 天野公義

    ○天野委員長代理 ただいまの説明に対し、外務省当局の説明を求めます。
  162. 松井明

    ○松井(明)政府委員 ただいま会計検査院から御指摘の通り、当該年度の発給状況というものを十分検討して発注数量を調整すべきであつたにもかかわらず、外務大臣発給に五万、在外公館発給に五万、合わせて十万を発注したということは、調整の点において不十分な点がありました。この点は遺憾であつたと存じております。将来十分注意するつもりでおります。ただ若干弁解めいたことでございますが、その当時の状況を申し上げますと、平和条約が発効いたしまして、海外渡航者が非常にふえるであろうと考えておつたことが一つ。それから内外の状況からいたしまして、移民が可能になつて来る、海外移民が開始されるので、相当程度の旅券がいるだろう。それから在外におります邦人が所持いたしておりました旧旅券、これを新しい旅券に切りかえる必要が生じはしないか、その場合には非常に多量の旅券冊子が必要になつて来る、こういうふうに考えられておりましたのと、さらにまたアメリカのマツカラン法が実施されまして、船員が船員手帳でなく、旅券を持たないと、アメリカに上陸できないというようなことになりますとたいへんであるというので、そのために非常にたくさんの旅券を輸送しなければならぬという、こういうような理由によりまして、非常にたくさんの旅券用紙を購入したのであります。当時の実情をそのまま率直に申し上げますと、こういうことでございます。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは金額におきましては大きなものではありませんので、金額の面から見ましてさほど糾明すべき案件ではないと思つております。ただしかし外務省といたしまして、たとえば今お述べになりました講和発効後の新渡航者の増加とか、あるいは新移民とか、旧券の切りかえその他でありますとか、こうした事情はこれはあなたの方は専門家なんですから、そう移民が多量に行くというようなことはちよつと想像されませんでしようし、あるいはまたそう渡航が簡単にはできぬという関係から見ても、われわれしろうとが考えるよりも、あなた方の方ならば手にとるようにこういう数字は見当がつくべきであろうと思います。そこでこれは二十七年でありますから、二十七年度の所要需品としての予算であると思いますので、まさか二十八年度分もということにはなつていなかつたとは思いますが、そういうことは一体どうお考えになりましたか。それから前段伺いました新渡航者とか、これらの新たな旅券がいる数量というものは、われわれしろうとではなく、あなたの方ではその推測が正確とは言わなくても、大よその推測はできただろうと思います。もう一つ、しからばその実績はどれほど必要であつたのか、大体集約してこの三点をお答え願いたい。
  164. 松井明

    ○松井(明)政府委員 御指摘の通りでありまして、相当しさいに検討すべきであつたと思います。しかしながら在外邦人の数がきわめて多数でありまして、四十五万人ほど出ておりますので、そのうちもし旧券を新券にかえなければならないといたしますと、これはきわめて莫大な数字が必要になりはせぬかということを心配いたして、こういう数字が出て来たわけであります。  またまさか二十七年度分を二十八年度分に入れておるという考えではなかつたろうというお尋ねでございますが、この点につきましては、これもお説の通りであります。ただ旅券につきましては、会計年度の切りかえというときにも多少の手持ちは必要でございます。在外公館に送る必要もございますし、遠隔な距離にもあります。それからまた急な必要も生ずるということもありますので、相当程度の手持ちというものは二十八年度としても考えなければならない、こう考えております。  それでは今の実績を申し上げますが、昭和二十九年三月一日現在在庫旅券を申し述べますと、本省分といたしまして一般旅券が二万九百六十一冊、外航旅券が四千百二十四冊、公用旅券が三千六百九十二冊、数次旅券千九百十一冊、合せまして三万六百八十八冊が手持ちにあります。在外公館の方は手持ちが二万九千九百九冊ございます。それを先ほど会計検査院の方から御指摘のありました昭和二十七年度末における本省分四万七千五十七冊、それから在外が三万八千冊でありましたが、それから差引いていただきますと、大体二十八年度に使つた数字が出ると存じます。
  165. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なおこの際伺つておきまするが、この種の需品の予算をおとりになるときは、大蔵省への積算書は大体内容は書いて行かれるのでしようか、そういうことなしに行くのでしようか、その辺ひとつ説明つておきたいと思います。
  166. 松井明

    ○松井(明)政府委員 積算の基礎は書いて出しております。大体年々三割程度くらい増加して行くようであります。今後のことは存じませんが、今までの実績は大体三割程度増加ということで要求しております。
  167. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、積算はやはり本省五万、存外公館五万、こういうことになつておつたのですか、その点いかがですか。
  168. 松井明

    ○松井(明)政府委員 そのときは、先ほど申し上げました通り、講和発効後でございまして、いろいろな急激に増加する実情にありはせぬかということで要求したわけであります。それが多過ぎたという実績を見て、その後は大体三割程度という勘定にしております。
  169. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと私が誤解したのかもしれませんが、そうするとやはり積算といたしましては、これは二十七年度でありますから、将来の講和発効を見越しての予算要求、こういうことになるわけですね。
  170. 松井明

    ○松井(明)政府委員 その通りであります。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方のことでありますから、ほかの物件費の濫用なんかとはおよそ性質も違いますので、私どもは格別多くを論議するつもりはございません。ただこういうような非常に御専門の立場で、他の口を許さないほど正確なつかみ方ができるあなたの方が、こういうしつぽをつかまれなさつたというところを私は非常に遺憾に思うのであります。  これで終了いたします。
  172. 天野公義

    ○天野委員長代理 本日はこの程度とし、次会は追つて期日及び議題を定め、公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十四分散会