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窪谷政府委員 大蔵省当局から接収されまして
日本銀行その他に保管されておりまするものの価格は、四、五千億になるというふうなことを言
つたことはないと存じますが、おそらく何かの間違いではなかろうかと想像いたされます。それからなお現在保管しておりますものがどれだけの金額になるかという評価は、評価としてはつきりや
つたものは実はまだございません。それでどれくらいなものになるだろうかということでいろいろお尋ねがございますので、それはこういうようなことで一応私
どもはお答えしておるのであります。一番問題は禁制品等のものであります。これは昔——昔と申しますか、
昭和十二年支那事変が起りまして
あとに、売りもどし条件付で
日本銀行に売り渡した禁制品がございます。これは金のいろいろな細工物があるわけであります。中には金の茶がまその他等もございまするが、そういうものは美術と申しますか、骨董的な価値が相当あるだろうと思います。これはどうも私
どものようなしろうとではその評価はなかなかできないのでありまして、まだその評価をするような
段階には至
つておらないのでありますが、かりにそういうものを金の純分の価格で
計算してみると、どのくらいになるであろうかというふうなことはや
つてみたことがあるのであります。なおその場合に金の純分といたしましても、国内の小売相場で見るか、あるいは
政府の買入れ価格で見るかあるいは国際市場における金の価格で見るかということによ
つて若干の相違が出て参るのであります。一応金の地金につきましては、国際市場価格と申しますか、一オンス三十五ドルというアメリカにおける
政府の買入れ価格がございますが、これが世界市場の基準にな
つております。かりにそういうもので見るといたしますと、
ちようど一グラム四百五円ということに相な
つております。この四百五円という数字は、貴金属
特別会計が新産金を買い上げます場合の価格が、同様に四百五円であります。それでかりに金の評価をいたし、さらに銀につきましても、銀貨であるとかそういうものがございますが、これも同様に銀の純分の価格で見る、それを国際市場におきます価格で見ますと、一キロが約千円程度に相なります。そういうふうにいたしまして金、銀、白金等については、地金の価絡で見るということにいたしました。それからダイヤモンドにつきましては、占領中に連合国軍の最高司令部がアメリカから専門家を呼びまして、さらに
日本の専門家もそれに参加をいたしまして、一応の評価をいたしたものがございます。そういうものを土台にして
計算いたしますと、約七百億程度に相なるということでございまして、私
どもといたしましては、この数字以外には申し上げたことはないというふうに
考えておりのであります。従いまして四千億とか五千億とかいう数字は全然記憶がございませんし、また千四、五百億というような数字を発表と申しますか、申し上げたこともないと存ずるのであります。