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吉田(賢)
委員 ただいま、
委員長が所持しておられる森脇メモなるものを公表せられたいという
動議につきまして、
田中角榮君がそれは意味のない、無効の
動議である、こうい
つた趣旨の議論をせられたのであります。私はそういう議論はま
つたく筋の通らない議論であると断定いたします。なぜならば第一、われわれの
決算委員会の任務は、申し上げるまでもなく、
造船融資をめぐりまして
国家財政投資をいたしております
開発銀行の
融資のありさまが、適切であるか妥当を欠くかということに置かれております。
従つてその真実性を明らかにせんがために、過日森脇氏がここへ現われて参りまして、
造船疑獄なるものの発端ないしは経過について、だんだんと論議され、質疑応答をせられたのであります。そこでかかる根本的な
委員会の権限がある建前であることと、第二に、森脇氏がここに出て参りまして、るる説明をし質疑応答がありました経緯から、はしなくも
運輸大臣その他の現
閣僚が
料亭におきまして借主の船主側と会合したということが質疑の一対象にな
つたのでございます。しこうして、その内容がある
程度までは
委員長に差出したメモの中に記載されてあるということであります。メモによ
つて一切が明らかになるということをわれわれは期待いたしておりません。あるいは信憑性の薄いものかもわかりません。しかしいずれにいたしましても数億、数十億円の
融資なるものが、もし
料亭の談合によりまして左右せられた形跡があるとしまするならば、その事実はやはり明らかにすることが当
委員会の責任であります。また任務であります。その資料の一端としてわれわれは
考えておるのであ
つて、かつ
委員長は十九日の
委員会におきまして、信憑性のいかんを自分も検討して行きたいと言われたのであります。けれ
ども信憑性の終局的な確定は容易ならざることであ
つて、それはここにお出しになりましても、当
委員会がどの
程度信憑性を認めるかいなやは当
委員会のなすところであります。
従つてそういう
ような事情のもとに発展して来ておりまするので、
委員会の権限の見地からみても、経緯から
考えてみても、一種の法的性質を持
つた質疑応答の渦中に現われた一文書にな
つているのでありますから、これはむしろ公にして、その信憑性の有無を当
委員会に一任するということの方が、当
委員会の職責を果す上におきまして忠実であると
考えるのであります。もし
国会法あるいは衆議院規則などによりまして無効説などをお唱えになりましても、これは何らの根拠のないものでありまして、われわれの国政
調査権の発動によりまして、当然かかる
決議をなし得るものであり、
委員長が本
委員会の意思を尊重せられるということによ
つて、
委員長の良識にわれわれはまつということも期待しておるのでございますから、この際すみやかにそういう無効論に目を向くることなく、われわれは本提案をすみやかに本
委員会に出されんことを望んでやまないものであります。
〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕