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1954-02-19 第19回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十九日(金曜日)     午後一時二十五分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 大上  司君 理事 高橋 英吉君    理事 松山 義雄君 理事 河野 金昇君    理事 杉村沖治郎君       天野 公義君    越智  茂君       田中 角榮君    徳安 實藏君       牧野 寛索君    渡邊 良夫君       藤田 義光君    阿部 五郎君       山田 長司君    吉田 賢一君       池田正之輔君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君  委員外出席者         検     事 宮本 利寿君         参  考  人         (安全投資株式         会社取締役社         長)      森脇 将光君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月十八日  委員田中角榮辞任につき、その補欠として助  川良平君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員助川良平君、山口喜久一郎君及び山崎岩男  君辞任につき、その補欠として天野公義君、渡  邊良夫君及び田中角榮君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  政府関係機関収支日本開発銀行造船融  資)に関する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  本日の日程といたしまして、まず昭和二十七年度国有財産二件について審議いたす予定でありましたが、御承知の通り造船融資等の問題がかなり深刻になつて来ておりますし、かつ参考人都合等、諸般の事情を勘案いたしまして取急ぎ理事各位了解を得まして、造船融資に関する問題として、まず参考人意見を聴取し、次に本日日程昭和二十七年度国有財産二件の説明を求め、前会に引続いて二十七年度決算に対する質疑に移ることにいたしたいと思いますから、この際各位の御了承を願う次第であります。  それでは造船融資等に関する問題の参考人として、安全投資株式会社取締役社長森脇将光君を指名して、意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたしました。  参考人におかれましては、問題の重要性にかんがみまして、委員各位質疑に対して事実を率直に、かつ明確なる御意見を述べられ、問題の解明に協力されんことを特に望む次第であります。  それでは質疑を許します。但しこういうような状態ですから、初め一人十分ぐらいずつにしていただいて……。杉村沖治郎君。
  4. 杉村沖治郎

    杉村委員 ただいま委員長のお言葉で十分ということでありましたが、私がここで申し上げておかねばならないことは、参考人にも非常に重大な関係のあることで、中途で切れたようなことになると、あるいはその焦点がぼけるようなことになると思うのですが、その点だけちよつとお含み置きを願いたい。なるべく焦点のぼけないようにお願いしたいと思います。  それでは森脇さんに伺います。いろいろたいへんな事情はあるようでありますが、あまり長くなるとまたわかりにくくなりますから、どうか簡単に願います。もし足らないところがありましたら、私の方でまた補うて伺いますから、簡単に要を得てひとつお話願いたいと思います。  第一番に伺いますのは、山下汽船株式会社振出しの一千万円の約束手形日本海運が振出しておりますところの二百万円、同じく日本海運が振出しておるところの一千万円、まだたくさんありまするが、それを一々読んでおりますと、時間がかかりますから略しますが、こういうような手形、及び日本通運株式三千株、それから日本海運株式二万株、その他合せますると二十四万三千六百株、こういうような株券手形があなたのお手元に入つたように私どもの調査したところではなつておりますが、どういうわけであなたのところにこういうたくさんのものが入つたのか、入るようになつたのか、その経緯を伺いたいのであります。なおこれに対してこの手形株券を見ますると、猪股功という人が関係をしておるのでありまするが、日本通運猪股氏の間に何か金銭上の貸借等もあるように、どうも私どもの調査したところでは見られるのでありますが、そういうようなことを御存じでありましたならば、それらも伺いたのであります。なおあなたの御意見伺つて次に進みたいと思いますが、とりあえずまずそれだけをお伺い申し上げます。
  5. 森脇将光

    森脇参考人 今お尋ねのありましたうち、猪股功なる者が日通関係等々に登場して参りますいきさつからお答えいたします。  御存じ通り、終戦になりまして、日本占領政策の中に置かれるようになつたときに、猪股はお父さんが交通公社の生みの親であるというような関係から、鉄道に深い因縁があつたわけです。ところが司令部がいろいろなセクシヨンにわかれていて、交通関係担当者であつた名前は忘れましたが、何とかいう大佐鉄道に対していろいろいじめてしようがない。それで鉄道はどうしてもこの大佐を籠絡しなければならない。ところが鉄道ではそういうものいろいろな金を使うような収支伝票を切ることができない。これをどうしてやるかといつて考えた結果、そこへ登場したのが猪股功なる人であります。そこで当時猪股鉄道に対して納めておつた物件がありましたが、たとえて言えば今まで百円で買つてつたものを、約四割増しの高い値段で買う契約に置きかえまして、そこで今まで百円払つてつたものに百四十円を払う。従つて四十円という浮きが出る。これを何万個となく納めてその額を合計しますと相当な金になる。その金を何とかいう大佐に女をあてがうとか、金をやるとか、ごちそうをするとか、いろいろな政策によつてやる役を猪股が買つた。そこで猪股が登場いたしまして、ある程度の成功を納めたということになるわけです。そうするうちに御存じ通り日本交通公社の大量の金は国家の金だ、それが一私社に私されておることはいかんということで、また司令部交通公社に文句をつける。そこで交通公社もこれは重大なことであるというので、どうしてもその大佐を何とかしなければならぬ、だれがいいかといつて選んだのがやはり猪股であります。そこで交通公社からいろいろな浮貸しという問題がそこに生じて、その浮貸しというものは、初めからそういう金に使わせるということを、ある程度相互了解のもとで浮貸しが始まつた。そこでこれもある程度成功する。そうすると今度起つたのが、日本通運独占企業体である、これは解体すべきであるというような指令がまた発せられた。そこで日通も大騒ぎを始める。これは一体だれがいいかとなつて選ばれたのが猪股である。従つて猪股日通との関連が結ばれる端緒というものは、そこから発したわけです。そこで早川社長が、やはり日通でもそうした伝票の切り方ができない。そこで、当時実業ビルにございました東京支社に命じて、そしてやはり浮貸しの問題が発生した。初めは日通でも、一億以上というようなことは予定していなかつたらしいのです。せいぜい一千万円か二千万円くらいでものにしようということであつたわけですが、それがだんだん積り積つて、一億からの浮貸しを生ずるに至つた。これが猪股が、いろいろなそういう関係に関連して登場する場面であります。  そこで今度私と猪股関係になりますが、これはたしか二十五年の終りごろでありましたが、ある人の紹介で私のところに参りました。そのときはわずか三百万か五百万を十日ほど貸してくれというのがそもそも端緒でありまして、爾来そういうものが決済になつたりまた貸したりというようなことが、間接的に行われること約一年であります。そうして彼の方に私の方でも融資がだんだんできて参りましたのは、大体昭和二十六年の終りごろであります。その当時約三千万ほどこげつきになつてしまつた。それを棚上げして無利子にしてやりました。そうすると先生がその翌年の二十七年の二月ごろですか、運輸省の官吏に対する贈賄事件警視庁桃原主任のところで逮捕勾留になつて、それが浅見検事手元で起訴になつた先生は目下その事犯によつて保釈中です。先生が出て参りましてから、ちようど四月ごろでありましたか、それからまた私の方へいろいろ頼みに参りまして、また二、三千万円新しい債権が生じた。そうするうちに、六月の末ごろでございますか、猪股が私のところへ参りまして今度自分警視庁から秘匿情報を得た。それは自分がこの前贈賄事件で取調べを受けた桃原主任というのと非常に懇意になつた。それで今度警視庁が五部屋ほどの主任を動員して、保全経済会に対する大々的な手入れをする。それがせいぜいここ一月あまりのことで大展開を生ずる。これは秘密なことであるから、絶対他に漏らしてはならぬが、お前さんだけに特にこの情報を流してやる。そこでその当時保全経済会なるものが買い進んでいる銘柄、それはいろいろございますが、そういうような買い進んでいる柄というものに対して、ここで売りはたいて行く、つまり一箇月くらい後に保全経済会手入れがあれば新聞に大々的に宣伝が始まる。そうすれば大衆の金を預託しているから取付け騒ぎが起つて来る。取付け騒ぎが起つて来たならば、保全経済会が買いつけしている大量の株を売り払わなければならない。そこで仕手関係でぐんぐん値が下つて来る。そうすればここで大いなるもうけになる。こういう情報を得たから、最低にして一億ほど融資してもらえないか、こういう話を持つて来た。私はその情報が真なるかいなかということに疑問を持つておりましたから、その後何度も先生が来たときにいろいろ聞きますと、私の会社から警視庁電話をいたしまして、内線の何番と言つて桃原主任を呼び出して、それで聞いた情報は、一体いつごろほんとうに展開されるかということを何度となく聞いております。それはからくりでやつたかどうかわかりませんけれども、少くとも交換台を通じてそうして内線何番、桃原言つて呼び出すのだから、それはほんとうだと思います。しかし私の方でも、相場のことですから、ただその情報だけで金を貸すわけに行かない。だから何かりつぱな担保でもあれば、それは五千万でも一億でもどつからか借りて来てまわしてやろうということになつた。そこでちようど一箇月くらいの間に、利息など差引きましても彼に渡した金は、これは検察庁でくわしく調べてありますが、ざつと八千万円余りの金を一月くらいの間に出した。ですから債権額は、古いやつを入れると一億五、六千万円という債権ができた。従つて担保といたしまして取得したものが、今仰せになつた大量の株券であり、それから山下汽船手形であり、日本海運手形であり等等のものが私が取得するに至つた、こういうことになるのであります。
  6. 杉村沖治郎

    杉村委員 あなたがこれだけ莫大なる金をお出しになるのについて、こういうような手形をお受取りになつたのですが、この手形をお受取りになるときに、山下汽船手形にいたしましても、日本海運手形にいたしましても、あるいはその他日本通運等関係におきましても、この手形は真実なものであるかどうかということはお調べになられましたか。
  7. 森脇将光

    森脇参考人 それは大体いろいろ一流の手形などというものは、ひとり猪股ばかりでなく、私の方に参ります。その真偽というものは、大体多くの手形のことであるから、私の方に取得しておるものと比べてわかるわけです。それが一つと、それからいま一つは、私の方では必ず銀行に掲示するということをいたしております。私は当時猪股を絶対信頼しておりましたのが一つと、それからもう一つは、猪股が、高利貸しにこういうものを担保として入れたということがわかると自分の立場が困るから、銀行の掲示であるとか、あるいは電話ぐらいなどにしておいてもらいたい、それも高利貸したる私からということでなく、私の取引銀行等から聞いてもらいたい、こういうことでありました。私の取引銀行を通じて調べた結果、間違いがないということを認識したがゆえに、担保に取得して金融するに至つたのであります。
  8. 杉村沖治郎

    杉村委員 それから次に、あなたは日本通運社長早川慎一とそういうようなことに関連してお会いになつたことがあるかどうか。  それからいま一つは、このたくさんの金額であるところの手形並びに株券等は、引続いて現在でも所持しておられますか、所持しておるかおらないかをはつきりしていただきたい、もしおらないとするならば、それをどういうふうに——他に裏書でもして譲渡をされたか、あるいは手形は落ちて振出人に返つたのか、また担保に入つたところの二十四万余の株券も返つたかどうか。聞くところによると、この事件に対して警視庁刑事が関与して、何らかあなたの権利を妨害したことがあるようなこともちよつと聞いておりまするが、それらの点を伺いたい。
  9. 森脇将光

    森脇参考人 一番最初の早川社長と会つたことがあるかという御質問にお答えします。その手形を取得する当時というものは、そういうわけでありますから、早川社長などに会つたことはさらさらなかつたわけであります。それが昨年の十一月の初旬と思いますが、私の友人に元代議士をしておりました長谷川政友というのがおります。これが福井県の出身であり、それから早川社長がやはり福井県の出身でありました。同郷同窓関係で非常に懇意であつた。私の今度の事案に対して長谷川は知つておりまして、一ぺん早川さんと会つてくれないか、そして早川氏も君の方へ迷惑をかけておるような事態に対して何とか円満にこれを片づけたいという意思があるから会つてくれという要請があつたわけです。ところが私は、二十七年の九月十九日に釈放になりましてから、いとも奇怪なできごとに遭遇いたしましたときに、一ぺん早川会つてこの真相を話して、一体どうして私の手元にあつた株券がお宅に一億の浮貸しになつたか、これをあなたは責任を持つて処理してほしいという進言をしたいために私は面会行つたのです。ところが社長はいたけれども、私に面会を拒否したわけです。ですから私は、その前後のいろいろ情報を収集した範囲で、これは早川社長ぐるであつたぐるでなかつたならば私に面会を拒否する必要はないのだ、こう思つてつた関係上、私はその要請に応じなかつたわけです。たびたび長谷川が参りまして、できたことはしようがないから、君の方も、一億弱の株券がこうなつたため会つて片づけるというのだから会つてくれということになりまして私は築地のある料亭で昼食事をしながら早川社長と私と長谷川と、三者会談をやつたわけです。そのときに早川は、一切の詳しい事情を話してもらいたい、それを話してもらうことによつて自分の方も和解の道に進みたいから、こう言いますので、何といつたつて東京都の財政ほどの大収入あるりつぱな会社社長さんですから、まさか考えがあるとは思いませんから、私はいろいろな事案についていとも明細に説明してやつたわけです。これはお互いに絶対に秘密にしよう、私も他に秘密にする、早川も絶対他の社員とかその他にはきよう会つたことも、また私から聞いたことも一切秘密にする、こういう条件でわかれたわけです。ですから私は、この早川との三者会談ということはいまだ検察庁にも申し出ていないわけです。そこでそういうことで示談をするということでありましたが、その後長谷川は、再三早川のところに早くあれをまとめようじやないかということで進言行つたそうですが、結局何の音さたもなく、日通の方では示談する意思がないという実情になつたわけです。そこで私の方でもやむを得ないから検察庁告訴を提起するという結論になつたわけであります。そうして、ことしになりまして検察庁山下汽船あるいは日通等々に対して家宅捜索をいたしましたが、山下汽船はいともたくさんの材料押収された、ところが日本通運に対しては何事もなかつた、どういうわけだか、いろいろな証拠書類がみんなありやしない、そういうことを検察庁押収された当時の事情として私は承りました。検察庁に悪いことをした、私が早川にだまされてああいうことを言わなかつたら、今度の押収でも相当の材料が出たであろう、私が早川に会つたためにそういう証拠を隠滅するようなことが行われたのじやないか、私は今でも検察庁に済まないことをしたと思つております。
  10. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと参考人の方に聞きますが、あなたの話を聞いてから日通が厖大な書類を焼いたといううわさを聞いておるのですが、あなたはそういううわさを聞いておりませんか。
  11. 森脇将光

    森脇参考人 それはうわさとしては聞きましたけれども、しかし私はそういうことに対する確実な情報は握つておりません。
  12. 田中彰治

    田中委員長 次をやつてください。
  13. 森脇将光

    森脇参考人 そこで今でも手形や何かいろいろなものが私の手元にあるかという御質問でございますが、これは全然ございません。全然ないということは——猪股との取引のうち一万や二万の手形は私の逮捕前に決済になつたものもあります。しかし私が逮捕になりまして二十三日の勾留生活をいたして出て参りまして四日というものは、そういうことを夢にも想像もしないし、考えてもいなかつた。ところが釈放になつて四日目に警視庁永里主任部屋に行きましてそこで初めて主任あいさつすると同時に、私が実権者だから、私が釈放になつた以上は、数億という有価物警視庁にたくさん行つておる、それはどうか私のところに返してほしいと言うて永里主任に申し出たわけです。そうしたら、それは君が釈放になつた翌日に志賀が来たから渡したよ、こう言うのです。そこで今御質問の多くの手形全部が志賀の手に渡つた。それで志賀は私が釈放になつた翌日から杳として姿をくらまして、四日たつた今日でもいまだ私のところに全然姿を現わさない。その数億という手形も、一枚も会社に返つていない。だからこれは志賀にどういう意図があつてしたことかわかりませんけれども、今後は一切私に渡してもらいたいということを永里主任に懇願したわけです。そして私が一番気になりましたのは、株金預り証、それから同時に一億弱の株券というものが警視庁押収になつている。これが一体どうなつたかと思いましたから、永里主任預り証はどうなつているかということを聞きただしましたときに、彼はそれはまだ返していないよと答えましたから、それじやこれだけは私でなければ渡さないでくださいよとよく頼んだのですが、ふんというような態度でいいとも悪いとも答えなし。いくら言つて答えがないから、私はよくだめを押して帰つたわけであります。そこで私が警視庁あいさつ行つたとほとんど間髪を入れない時間に、志賀がひよつこりと永里主任部屋へ現われて来た。私はびつくりしまして二日も三日も君の行方を探していたのに、君どうして来てくれないのかと、永里主任以下満座の刑事の中で彼を詰問したわけです。そうしたら家庭の事情があつて行けなかつた。きようはお昼時分に必ず行きますから待つていてくださいと言つたのです。それで私は永里主任あいさつして帰ろうとしたら、先生が何か手に持つて見ている。それをふつと見ますと、タイプで打つたもので、示談書という字がありましたから、一体それは何ですかと聞きましたら、これは志賀猪股の間にできた示談書だよと言う。それを見せてくれませんかと私が頼みましたら、見たらいいだろうとテーブルの上に投げ出しましたから、私がそれをとつて見た。そうすると、いとも奇怪な示談書なんです。それは一億数千万円の猪股に対する債権は全部棒引きにする、株券手形、不動産等々の一切の担保は無条件返却する、それで猪股は後日において江戸橋商事に五百万円を贈与する、こういう示談書なんです。それで私はそれを見てびつくりしまして、裏返してよく見たら——私の方は御存じかどうか知りませんが、共同代表制をとつておりますが、志賀一人の判こしか押していない。そしてもう一人の共同代表ということが書いてあつて、そこには茂木という共同代表の一人の名前が鉛筆で書いてある。そこには判も何も押していない。そこで私は主任に、これはどういうことでできた示談書か知らぬが、私の方は共同代表制たということは、あなたの方の調べでよく知つていると思う。これはたとい示談ができても、民事上無効の示談じやありませんかと詰問しました。それからまたこれが有効だと仮定すれば、三歳の童子が見たつていとも奇怪な示談書である。これはただの民事問題じやない。少くともこれを志賀がやつたと仮定するならば、これは背任の着手であり、目下背任進行過程にあるところじやないか。あなたの方の捜査官というものは、現に犯罪が起きたものを逮捕し、勾留し、取調べる。現に犯 罪を起さんとするものがあれば、それと防止するのがあなた方の役目じやないか。一体どうしてあなたはこういうことを見て見ぬふりをするのかと言いましたら、そんなことは民事問題だ、おれの知つたことじやないというわけです。何を言つたところでとりつくしまがありません。それで志賀が外に待つていると言いますから、早く志賀をとつつかまえて事情を聞きたいので、永里主任のもとをそこそこにして廊下に出ました。そうしてあちこち志賀を探して歩いた。地下の調べ室にいるかと思つて見たが、いない。廊下も待合室も見ましたが、どこにもいない。彼はもう長年の間松本係長と非常にじつこんでありますから、あるいは係長のところに行つていないかと思つて行つてみましたがいない。とにかくお昼ごろ来ると言うから、私は急いで帰らなければならぬ。そこで検察庁浅見検事のところへ釈放あいさつ行つて、急いで帰つた。そうすると十二時になつて志賀は現われません。一時になつても二時になつても杳として連絡がない。こつちは電話をかけたり自宅の方へ使いを出したり、いろいろしても杳として知れません。三時、四時まで待つても来ない。そこで私は、それまではいろいろなできごとがあつても、あるいは志賀が私をうまく助けようためにいろいろな策を描いたものかもわからぬというような気持で見ておつたのですけれども、もう三時になり、四時になりするうちに、私はだんだん疑惑がつのつて来た。これは何か陰謀でこういうことをやつていたんじやないかな。だからこれは早く行つて、せめて株券預り証だけでもとつて来ておかなければたいへんだと思いまして四時過ぎだと思いますが、自動車で飛んで永里主任部屋行つたけさほど株の預り証だけはあなたの手元にあるというお話でしたが、けさ志賀か現われたときに、あなた方の前であれだけ詰責したので、あなた方はよく事情御存じでしよう。私は待つていること四時間に及んでまだ来ません。こうも私はおかしいと思いますから、株券預り証だけは私に返してくださいということを永里主任のところへ上申するわけです。そうすると永里主任は、いとも簡単に、ああそうか、それは今から三、四十分前に志賀が来たから渡したよ、こういうわけです。そこでははあこれは警視庁ぐるになつてつているんだということを私は初めてわかるわけです。それでそんなやつに言つてつたつてもしようがありませんから、私はやむを得ず帰つた、こういうことです。
  14. 山田長司

    山田(長)委員 けさの朝日新聞を見まして、森脇さんが、私の告訴はただ単に個人の損害を返済してもらいたいからではないんだ。国民が悩み苦しんでいる。この悩み苦しんでいる状態を何とかして解決しなければならない。さらに政治の浄化もこの機会にやらなければならないのじやないかというような意図のことを申され、さらに国民の血潮をしぼつた税金が計画造船のために使われているということは、これは国策の上からやむを得ないことであるけれども、リベートとしてそれが政治家に寄金されたり、料理屋などに大散財をされる事態至つては、まことに情ないことだという意味のことを申されておりましたので、私はあなたの新聞記者に語られたこのお言葉に非常に感激おくあたわざるものを実は感じましてあなたのようなお仕事をされている方の中にも、こうして国家に対する至誠の愛情をお持ちになつておられる方がおられることを耳にしまして、政治家として私は実はきようは何としてでもあなたにほんとうに良心的に国を愛する情熱で参考意見を吐露していただきたい、こう思いまして発言を許さしていただいているわけでありますが、新聞や雑誌などにお見受けしますと、あなたが大分税金をたくさんおためになつている。この税金についてあなたはどういうふうに処理されて行こうとしておられるのか。さらにまた最近税務署などでもややもすると二重帳簿のつけ方を教えているというような実にけしからない税務署員がいるということを耳にしておるのでありますが、あなたのこの滞納の税金についてどんなふうに国税庁ではお扱いになつておられるのか。あなたにたいへん申訳ないですが、あなたの至誠におすがりして、今日本中の勤労階級がたくさん苦しんでおられますときに、あなたも大分おためになつているから、これらの点を一つ伺いたいと思います。
  15. 森脇将光

    森脇参考人 今お尋ねの最初の部分につきまして、私が告訴をいたしましたのは、私は常々変転きわまりない人生をしておりますために、また新憲法下にならぬとき、警視庁の、ごやつかいに度々なつております。しかし新憲法下になれば、警察は人権を非常に尊重してお取調べがあると聞いておりましたが、この一億五千万に対する永里主任の取調べというものは、旧憲法下においてもめつたにないような罵詈雑言の連続の取調べ方であつたのであります。その一例といたしまして私の方の経理部長に米屋という者がおりますが、私が出て来てから家内に聞きましたら、これが、きよう永里から実に犬といおうかねこといおうか、そういうような罵詈雑言のもとに取調べをされて、私は海軍ナイフを持つていたらほんとうに永里を突きさして自分も死にたいと思うほどだつたと、涙ながらの報告を聞いたのであります。ですからこれは私ばかりでなく、うちの者たちもすばらしき人権無視の取調べがあつたということを想像することができます。しかしそれは時の権勢がなさる取調べの方法でありますから、これはいたし方ないと私は観念しておりましたが、とにかく私が釈放になつて出て来まして、それで永里の部屋でそういうようなことを発見し、志賀が杳として十数日というものは私の方に参りませんから、私はまるで暗夜にちようちんをともして探すように、一つ一つ事案を取調べて行きますと、調べれば調べるほど次々に起る奇怪な事案に遭遇するわけであります。そこでそういうようなことは、少くとも志賀だとか、猪股だとか、あるいは日本冶金等々とかがいかなる陰謀をしても、警視庁というものが意を通ずることでなければ断じてできるものではないということに結論はなるわけであります。その後あらゆる諸情報を私が収集いたしますと、この事案には日本冶金、志賀米平、猪股、これに毎日の野口副部長、読売新聞、こういうやつが買収されて、そして私が逮捕される十日くらい前に、森脇逮捕かというような堂々たる大宣伝が新聞に書き上げられてその中に私の罪状をいともこまかに書き上げて、そうして最後には森脇は金権にものを言わせて、現職検事や現職警官を買収しておるというようなことを書いて、そして天下のセンセーシヨンを起した。そうして片やいろいろな政治勢力を使つて警視庁の幹部連中に、こういうぐあいに世間が騒いでおる、それなのに森脇逮捕できないとは何事だということで、大きな政治勢力をもつて動かした。そうして出てみれば、数億の財宝が夢の間に消えておつたということを発見いたしました。それで私は、いやしくも民主警察の第一線につながる捜査陣というようなところが、こういうことをしておつたのでは、今後私と同じ運命に置かれる人が幾人出て来るかわからぬ。これはどうしてもそうした捜査第一線に警鐘を乱打して、後日こういう人がないようになつてほしい、こう思いまして私は告訴したわけであります。ただそのときに私が検察庁進言いたしましたことは、それは高利貸しも悪いかもしらぬ。しかし戦後の一流会社の悪さというものはあなた方は御存じない。要するに一流会社というものはたとい悪いことをしておつても、時の権勢を持つ人たちは、あんなりつぱな一流会社になんでそんなことがあるものか、また世間の一般社会人も、あんなりつぱな会社がそういうことをやるはずがない、こういう認識に立つて、その認識の陰に隠れて、悪いことが山ほどある。それについては私に関連する日本通運山下汽船日本海運等々をお取調べになればいとも明瞭に判明する。その他私が体験した一流会社のことを三、四聞かしておいたわけであります。そのときは私は何も造船疑獄とか何とかいうことは申しません。ただ私は、そうした第一線部隊というものの浄化なくしては政治勢力の浄化もないのだ、こういうやむにやまれない自分の心情から告訴することになりました。これだけのことなのであります。それがだんだん一流会社調べておるうちに、ああいう結果になつて来た、こういうことになるのであります。  それから第二のお尋ねは税金のことであります。この税金の話をしますためには、一体高利金融というものはどういう本質を持つておるかということを説明しなければならない。これを説明するには非常に長い時間を要しますから、私はただ出た事態に対してお答えいたします。私が物価統制令違反で約六十日拘置生活を受けまして出て来て一週間もたたないうちに、査察部が八十何人を動員して私の家宅捜索をやりました。そうして毎日査察部通いをいたしました。その年の御用じまいの日に、査察部の課長が私にこれに署名せよといつて出したものは、約一億の税金を承認せよという書面であります。それで私は、署名できない。なぜできないと言うから、私は払うことができないものを署名は断じてできない。払うことができなくても、何しても払うのだ、それから私はいろいろな事情をよく話したわけですが、どうしてもお前さんが承認しなければかつてに書け。署名する以上は払うことができると同時に、払うことができる状態であるということが認識されて初めて署名できるのであると言つて私はそこでけんかして帰つた。そうすると翌年の十日ごろに約一億の令書が参りまして、臨時徴収法第何条かによつて一月十五日までに払え、こういうのが来た。私はまさか十五日までに払わないからといつて、その翌日差押えに来るとは思つておらなかつたのですが、一月十六日に十人くらいの人が私のところに参りまして、さあここで一億払え、払わなければ差押えをするということで、いともきれいにペタペタ張り紙をされて帰つたわけであります。こが私の滞納の発生の原因になるわけあります。そこで私が言いたいことは、つまり私は二十二年の暮れに無一物の状態であつた。ようやくにして百万円か二百万円あるかなしかの金をもつて私は再び金融の道に入つて行つた。満一年でようやくにして立つか立たぬかのときに、物価統制令違反で検察庁に検挙された。その当時私が持つておる債権というものは約一億五千万円ぐらいございました。ところが高利金融というようなものは、銀行や信託や保険とは事違いまして、とにかく経済の弱体者に金融をして行く。ですからAならA、甲なら甲という債務者に一千万円なら一千万円貸す。これは十日とか十五日、一月とかせいぜい二月くらいな見通しによつてこれがとれるかとれないかという勘と度胸の仕事であります。ですから、これがそういうようなことで六十日、九十日私が留置生活に移つてしまえば、その見通しと勘はすべて狂いが生じて来ます。銀行のように担保をとつてやるものではないのでありますから、そういうことがありますととれるべきものがとれなくなりますから、一億五千万円の債権を持つておりましても、私が社会に生き、債務者と対峙するところにおいてのみとれるものでありまして、九十日も百日もそういう問題があつたら、とれなくなるのは自然の理であります。そこは高利金融の本質をお話しなければ理解できないのでありますが、私が一億五千万円という債権を持つてつてもなかなかとれない。もちろん全然とれないわけじやありません。そこで私は一体国民として納税に対して私の最上の良心としてどうして行くことがいいかということを考えた。要するに昭和二十二年の十月ごろから始めて九月に検挙を見るまでの間に、私はほとんど無一物といつていい状態からそこまで持つて行つた一年の汗とあぶらの結晶が、すべてこの一億五千万円の債権に凝結しておるわけです。ですからとれるとれないは第二としても、私は過去一年の汗とあぶらの結晶がこの一億五千万円の債権に凝結しておる、この債権をそのまま国庫に提供することが、私としては最大の良心であると思いました。しかし債権だけを一億五千万円持つて行くのはきまりが悪いかを思いまして、いろいろなものを処理して百万の現金をぶら下げて、そして一億五千万の債権を手にして、私は検察庁行つた。この百万の現金も、これはいろいろ苦心してつくつた金だ、そして一年間の汗とあぶらの結晶は、一億五千万の債権に凝結しておる。ぼくはどう考えてみても、これ以上の国民的良心の発露はないと思う。それであなたの方でしかるべく料理してくれと申しました。ところがここでは、君がその債権を持つて来ても、税法上譲渡を受けるという方法はない、だからこれは差押えするということになつた。それではどちらでもいい、これを置いておくから差押えをしてくれと、こういうことになつた。ところが、差押えというのは、国税庁から差紙が参りまして、たとえば私が甲なら甲に一千万の債権を持つておる。そうすると、甲なる債務者のところに、この森脇に対する君の一千万の債務を差押えする、爾今森脇払つても無効である、直接国庫に払いなさいという差紙が行くわけです。ところが、これはまさに強制徴収の方法のように見えますけれども、結局これはこういうことになるのです。ただ払えというだけでありまして、たとえば甲という債務者が一銭一厘払わなくてそれで何十億の資産を持つていても、また債務者が一億の現金を積んでおつても、国税庁の役人が行つてそれを差押えする強制徴収の方法がない。ですから、一千万の債務に対して、税務署員が払いなさいと言つたとき、そこに一千万の金が積んであつても、この人が自発的に払わない限り、税務署というものは、差押えをすることはできない。それですから、良心のない国民つたら、ああありません、ありませんと言つていたら一つも払わないで済む。また、どうしてもそれを強制徴収の方法に持つて行くのにはどうするか。今度は国家がそれを訴訟して行つて、一審、二審、三審と確定判決を受けてからでなければ、その債務者に対して、強制徴収の方法がないわけです。それですから、結局こういうことになるのです。私が国税庁に言つていることは、あなたの方でやつた差押えというのは、表面的には払えということであるけれども、実質的には、これを裏返してみれば、森脇にも絶対に払つてはいかぬぞ、表面的には国家に払えとは言つているが、払いたくなければ払わないでもいいよといつたことになつてしまう。だから国税庁がなす差押えというものは、債務者に対して国家に対しても、森脇に対して、も、一銭一厘も払わないでもいいという神の託宣のようなものである。そうするうちに、二十三年から朝鮮事変が起るまで、財界というものは、だんだん下つて行きました。そうするとわれわれの債務者というものは、そんなに一流の財界人ではありませんで、大体経済弱体者でありますから、財界が低下して行くに従つて、なおさらとれなくなる。それで一年以上やつてから、ようやく国税庁は音をあげて、森脇君、君一緒にまわつてくれ、こういうことになるのです。ところが、もう一年、一年半たつてしまつてからでは、財界はそれくらい悪くなつておりますから、破産、倒産、山のごとくになつていてそういうものではとれやしない。ですから、結局国税庁があの債権で取立て得た金は、せいぜい五、六百万あるかなしでございます。そういう事情でありまして、私は新聞雑誌で滞納王などといわれておりますけれども、私としては少くとも国民として最大の良心を発揮したつもりでおります。そこで私は国税庁に行つたときに、私はこれで大川でけつを洗つたようなものだ、戦後無一物になり、今また無一物になつた、これで私は常に無一物だから、大川でけつを洗つたようないい気持になりました。もしも財産を隠匿しているような事情がありましたならば、どこでも押えなさいと言つてこれを投げ出した。これ以上私にはどうしたつてできないのです。それに付言して私が国税庁に言つたことは、私の事犯というものをこういう具合に批判してもらいたい。それは、たとえば一町歩のたんぼを耕している農夫がいる。そこに税務署がやつて来て、この秋の実りがあつたならば、米三十俵献納しろと言う。税務官吏も良心的であり、農夫も良心的であれば必ず納めます。ところが、秋の実りのときに、刈り取つてみたらそれが全部白穂であつたなら、どんなに国民が良心を持つていても払えない。私の債権は白穂にかわつている。白穂にかわつているけれども、帳簿上一億の集計があつたから、それを払えということになる。それはどんなに良心を持つてつても、その百姓が白穂であつたら払えないと同じように、私もそうです。
  16. 田中彰治

    田中委員長 もう一点にしてください。
  17. 山田長司

    山田(長)委員 もう一点ですか。私の質問は短かいのですから、森脇参考人もなるべく短かく答えてください。  次に伺いますが、今話を伺つていると、警視庁永里主任調べたりなどして、ずいぶんむちやな示談書ができ上つたりしている様子ですが、一体これを警視総監は知つていたかどうかが一点。それから、あなたはこういう示談になつているのにもかかわらず、これをどこにも訴えなかつたのかということです。それから、刑事局長がここに来ておられますから、刑事局長に伺いたいのですけれども、こういう問題を刑事局では一体どう処理されるか、一応これを伺つておきます。
  18. 森脇将光

    森脇参考人 それは私は知つてつたと思えるのであります。なぜか、それは私は永里主任のところに、釈放後四日目に行つて、この奇怪なる示談書を見ましたときに、これはどうしてあなたのところに来ているのだと言つたところが、猪股氏が示談書をつくつたときに、警視総監にこれに添えて上申書を書いて上申してある、それがまわりまわつてここに来たのだと言いましんから、おそらく警視総監の手元にそれが提出されたのではないか。警視総監の目も通せば、局長の目も通せば、課長の目も通せば、係長の目も通したものと推定せざるを得ない。  いま一つは、志賀が容疑として、背任横領となつた十日後に、私は初めて友人の紹介で会いました。そのときにかれいわく、この示談書というものをつくつて上申書をつけて警視総監まで出した。かれがうそをつかない限りはこれは真実であると思います。よつて警視庁上層部にこれは必ず出ているものと確信いたします。
  19. 井本台吉

    ○井本政府委員 事、隠秘の間に行われたことでありまして、告訴、告発等があれば当然取締らなければならぬ事犯であります。ゆえにこの事犯も森脇参考人から告訴が出てから取調べを始めた次第であります。なお本日伺つたことは、さらに私の方でも関係者より事情を聴取して善処いたしたいと存じます。
  20. 山田長司

    山田(長)委員 あなたは政界の方にも、実業界の方にもたくさん顔見知りの方が多いし、連絡がおありだと思うのですが、猪股さんの使用された金は非常に莫大なる金額になりますが、どういうふうにお使いになられたものか、お金をお貸しになる以上、何か安心が行かなければお貸しにならないと思うのですが、これをまず一点。  次に伺いたいことは、私が調べたことがはたして正確であるかどうかという点については、私は確実な情報をもつてあなたに伺うわけですが、実はこれらのものに関連して、政界の巨頭連中、たとえば自由党の池田さん、今新聞で問題になつておる有田二郎さん、大野さん、山県さん、石井運輸相、保利さん、犬養さん、あるいは浦賀船渠の多賀社長、これらの人たちが去年の十二月に港区赤坂田町三の三番地にある料亭中川へ出入りをしておるわけです。そこで自由党の一年生議員はほとんど知らないうちに、雲の上のできごとのようなうちに、すつと国民の血税が利子補給で使用されてしまつておるという状態になつておるわけですが、これらの人たちの出入りする中川料亭にあなたもおいでになられたことがあるかどうか。それからこれらの人たちといろいろ金の問題についてお話になつたことがあるかどうか。あなたに伺うことはたいへんどうかと思うんですが、あなたの良心に訴えてこのことを伺いたいわけです。
  21. 森脇将光

    森脇参考人 今の最後の方から申し上げます。今いろいろ名前を羅列されましたが、私は政治家でもありませんし、市井一介の野人でありますから、名前などは知らぬことにしております。ただ私の言い得ることは、今度の造船疑獄の問題で馬場検事正、田中次席、山本特捜部長、河井検事、これは昭電事件のトリオである。同時にまた今度のトリオである。ところで柳暗花明のちまたはどういうぐあいに利用されておるかということに私は興味を持つて調べたことがある。そうするとまた昭電事件に登場しておる中川、長谷川というものがここにも出ておる。それから昭電事件のときは秀駒の登場で、今度は人こそ違いますが、やはり秀駒というものが登場して活躍しておるわけです。そういうことに興味を持ちましたために、私は私なりにいろいろ中川というところだとか、長谷川というところについて調査をしてみたのですが、ほとんど毎夜のごとく芸者何十名かをあげて、財界、政界さまざまな一夜の大宴会が催されておることだけはわかつておる。しかしその名前はだれだれかということは、ここでは申し上げることはできません。
  22. 山田長司

    山田(長)委員 次に伺いたいのですが、私の方でも調べておりますので大体わかるのですが、中川ばかりでなしに、長谷川という料亭にも、秀駒さんという芸者が出入りしておるわけです。そこでこれはあなたの良心にお願いするわけですが、それらに出入りしておる政界の巨頭連中の名前をぜひお知らせを願いたいと思うのです。
  23. 森脇将光

    森脇参考人 それは私は言えません。私の調べた範囲のことは、委員長手元に出してあります。
  24. 山田長司

    山田(長)委員 実はこのことはやはり決算関係あることで、当然伺わなければならぬことなんです。そこで私は委員長に伺いたい。私の調べておる範囲のうちに、実は委員長名前も出ておる。委員長も資料を持たぬはずはない。委員長も必ず持つておるはずです。それで私の持つておる資料も出すから、委員長も出していただきたい。当然これは出してもらつて明らかにして、国民の疑惑を解かなければならぬと思うのです。
  25. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今山田君からいろいろと政界の重要な人の名前も出たのでありますが、この種の問題は、いま少しくいろいろな観点から質疑をいたしまして、結局におきまして理事会におきまして適当にはからう、こういうことにしていま少しく質疑をさしていただきたい、こう思いますので、さようにこの議事をお進めあらんことをお願いしたい。
  26. 杉村沖治郎

    杉村委員 この点は私も最初から聞きたくておつたのですが、これはあとで聞こうと思つて実は私は伏せておいたのですが、私の調べにも、ちやんとある程度まで月日もわかつておるし、人もわかつておるのです。私の調べが疎漏であるかどうか知りませんが、今政界で問題になつておるところの人たちが、はつきり私たちのメモにも入つておる。山田君の今の意見とまつたく私ども意見が同一なのでありますが、これは実に重大問題です。このたびのいわゆる造船疑獄というものは、ここに私は端を発しておるのではないかと思いますが、これがいやしくも参考人森脇さんから委員長手元に出されてあるというのであつたならば、これはしばらく休憩をしても、委員長はお出しになるかどうするか、これをはつきりしていただきたい。これ以上の重大問題はないと思います。
  27. 田中彰治

    田中委員長 山田長司君にお答えをいたします。今委員長名前も載つているとおつしやいますが、田中彰治は代議士になつて約六年たちますが、人からお茶一ぱいでもおごつてもらつた覚えは今日までありません。もし田中彰治が料亭においてそういうことがあつたら、刑事問題にならなくても、いつ何時でも田中彰治は政治家をやめておわびをいたします。
  28. 山田長司

    山田(長)委員 私が申し上げたことについて委員長は誤解していると思う。私が申し上げたことは、私が調査をしておる、委員長もまた調査しておるという意味です。私が調査をしている範疇とあなたが調査している範疇とで、調査の過程においてかち合つておそらくこれは田中委員長だろうということをつかんでおる。そこであなたの調べて来ているうちに、必ず現職の大臣が何人か名を連ねておると思う。私の調べて来た書類の中にそれが出ておる。そこで私は森脇さんに伺いたい。猪股さんが使用したお金については、これは国民の血税であつて、当然国に入れなければならぬ金があるわけです。交通公社の金とか、日本通運の運輸省に入れなければならぬ金がある。それだから私は伺うのですが、一体猪股さんが何でこんなに莫大な金がいつたのか理解に苦しむ。あなたが猪股さんに金を融資されるのに、ただ漠然とその金を融資されているはずはないと思う。そこで私はほんとうにあなたにお願いをしたい。あなたに何としてでもお願いをしたいことは、この猪股さんが便つたと思われる金のこことここぐらいはこのぐらいの金が行つておるだろうという二、三でけつこうでありますから、お名前をあげていただきたい。
  29. 森脇将光

    森脇参考人 今この前にお答えしなければならなかつたことを忘れておりましたが、猪股がそれだけの大金を何に使つたかということについては、私今日になつて猪股があれだけの大量の金を手にしたということを知つたわけです。その当時は、猪股については、私の方からの融資金だとかあるいは銀行等からの融資金あるいは友人その他とかいう程度にしか理解しておりませんでしたが、私の方から出た金はわずか一億数千万円の金であります。(笑声)彼が出しておる金は厖大なものであります。また調査云々ということがありましたけれども、私は担保をとつて貸すのですから、桃原情報がどうであろうと、別にそれ以上調査をする必要はありません。ただ私が金を使つたと想定できることは、彼は日本特殊産業社長だが、それは彼のほんの片手間の仕事であつた。彼は相場師だつた。大正海上の株の値をつり上げてそれで莫大な金をもうけた。その次に私が知つておるのは、日本車輪工業という株を買い占めた。そうしてよたよたとした安い株が、高いときには三百何十円にもなつた。これは彼が途中で失敗したそういうときに使われておると私は信じておつたわけです。それからまた私も伊東にささやかな別荘がありますが、猪股もございまして、こういう問題にならぬときには、私も伊東の別荘に行つたとき、彼の伊東の別荘に遊びに行つたことがあります。そのとき彼は、きようは運輸省のえらいところを別荘に招待しておるが、マージヤンをやるのにわざと負けてやらなければならぬ、これくらいつまらぬものはないということを言つてつた。そういうことは何度もありますが、私は必要がないから、高官のだれが来たとか、かれが来たとかは、さらに聞こうともしませんし、聞く必要もなかつた。今日になつてみれば、聞いておけばよかつた思つております。私の知る限りにおいては、今井田審議官は猪股と非常に懇意だつた。それは猪股の弟の紹介で猪股が会い、そしてあれは完全なマージヤン友達の一人であつて、家庭的にも今井田は出入りしていた事実。それから長崎総裁、あれとも家庭的に非常に懇意であつた。それから大蔵省の次官をやつてつて、今日銀の理事をやつておられる人が猪股の近辺であつた。そうして彼がその人の紹介状を私に見せたことがありまして、そのときにじゆうたんを寄贈したとか、冷蔵庫を寄贈したとかいうことを聞いておりまして、それ以外に厖大な金がどこに行つたかということは、皆さんが考えられると同じく私は想像するにすぎないことであります。それから今度名前の問題ですが、あなた方は政治家であるし、それくらいお調べになつておれば、私から聞くまでもなくあなた方は承知しておるから、それでけつこうだと思います。
  30. 山田長司

    山田(長)委員 私が委員長質問した問題は……。
  31. 田中彰治

    田中委員長 書類は預つておりますが、これは重要な書類であるから一応委員長がよく再調査して理事会にはかつて発表しましよう。
  32. 山田長司

    山田(長)委員 刑事局長に伺います。こういう重大な問題のときに、予算の関係刑事局の調査官が自動車に乗らないで、よたよた電車に乗つて調査をしているという話を聞きましたが、一体そんな状態でこの調査が完全にできるかどうか。あなたは責任ある立場で、このことについてもつと明確な答弁をしてもらいたい。
  33. 井本台吉

    ○井本政府委員 乏しい国家予算でありますから、できるだけ節約はしておりますが、捜査にさしつかえないように努力しております。現に補正予算で一億円あまりの請求もしておりますので、さらに予算が潤沢になつて、十分捜査活動ができると私は確信いたしております。
  34. 田中彰治

    田中委員長 吉田賢一君。
  35. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 森脇さんに伺いますが、順序を追うて聞きたいと思います。  第一は、あなたが山下汽船の分として取りました手形その他の担保物の内容を御説明願いたい。
  36. 森脇将光

    森脇参考人 それは千万が二枚、一枚は私の方で神戸銀行で割引いております。一枚は手元にあつたわけであります。その一枚の神戸銀行で割引いておるやつも、私が逮捕中に志賀が何度も行つて警視庁に出すのだから渡してくれ、渡してくれということを再三懇請したそうですけれども銀行としてはそういうことに応じられないといつてつてくれたために、その一千万円だけは被害から助かつた。ところが私の持つてつた一千万円というものは、他のもろもろの手形株券などと一緒に預り証というものを私の二号である徳田一枝というものが持つておりました。それを警視庁が来て無理やりに提出させて持つて行つたということになつたわけであります。
  37. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 開発銀行提出の当委員会の資料によりますと、第六次ないし第九次までの融資総額は三十二億円に達しておる。かなり苦しい経理状態であつたとも考えられる。そこで山下汽船が各方面に新造船の割当につきまして運動しておつた形勢も察知せられるのであります。あなたの方は山下汽船に対する担保回収などの問題もありますので、山下汽船が船の割当を受けようとすることについてかなり努力をしていた、暗躍しておりました状況を、何かお調べになつてつておられることはありませんか。
  38. 森脇将光

    森脇参考人 大体山下汽船のみならず造船会社は二十七年初めごろはやはり金融難に苦しんでおりまして、猪股がそもそも山下汽船へ連結が生じたというのは、たしか今井田さんの紹介だと思う。それから猪股から私が聞いたことでは——真か偽かわかりませんが、山上汽船から頼まれて鉄道弘済会の金を一億流し込み、預金をしてやつたことがある、そしてそれを山下汽船に金融をする。それが大体猪股山下汽船の結びつきの最発端だつたと思います。それからいろいろな関連であの一億数千万円というものが浮貸しされるという状態が生れました。それから山下汽船が造船割当資金獲得のために云々という言葉がありましたが、私が調査した範囲では、今申した通り赤坂の中川とか長谷川とかの料亭へ盛んに出入りしておりました。それから秀駒というのはそれまでは宮島の愛人だつたのですが、あまり金をしぼるので宮島は困つて、その上に立つたのは山下で、しよつちゆう山下のそばには秀駒がはべつておりましたから、そこへいろいろ偉い人たちが蜜に集まるありのごとくに集まつたので相当なことはあつたと思います。と同時に一般的に言えば、造船会社というものが、三割の一般市中銀行融資の証明をとるために、右往左往したことは手にとるごとくたくさんあることであります。そんな範囲のことしか私は知りません。
  39. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 造船会社がほとんど自己資金が少くて、数億円の金が融資できるというので、ずいぶんはげしい運動をして割込んで行つたことは天下周知の事実であります。そこであなたも金融業者として金融界の人の動きについては特に御注意になろうと思いますが、山下汽船とか飯野海運とかいつた海運業者の船の割当運動のさ中におきまして、われわれの聞くところによると、一万田日本銀行総裁も相当活躍なさつたようにも聞くのですが、そういうことをあなたは聞いておりませんでしようか。あなたは金融業者だから特にそういうことは一般人と違つて相当はつきりするだろうと思いますが、その辺はいかがですか。
  40. 森脇将光

    森脇参考人 それはあなたのおつしやる通り、猛運動を展開したという事実はいろいろございます。それからまた相当の人たちがいろいろ動いたということも多少私は知つておりますけれども、こういう点は今検察庁が捜査中のことでありますから、私はあえて今答えることはいたしません。
  41. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの花柳明暗のちまたについてのお話を興味深く拝聴したのでありますが、そういつた調べの途中におきまして、さきに名前の問題がはしなくも現われた。この問題は考えようによればやはり相当重大なかぎにもなると思いますが、特にあなたは一万田総裁とかあるいは現職大臣か、この造船融資をめぐつて会社が暗躍しましたころ、特に第九次前後期前後をめぐりまして、あるいは本年に入りまして、これらの現職大臣も加わつた会合も行われたようなことはお聞きじやないでしようか。名前はともかくとして……。これらの造船会社、船会社は血みどろになつて数億円の金を借りるべく東奔西走では事足らず、日夜あらゆる秘術手段をめぐらして運動をしておつたのであります。もつと具体的に申しますと、さきに山田委員が指摘しました中川、もつと具体的に申しましたら昨年の七月の十日、こういつたときた、そういうような現職大臣も参加して一席設けたようはことは調べの中に入らないでしようか。名前は秘中の秘として、また別の方法によつて検討を加えて行くことにいたしますが、それはいかがでしよう。
  42. 森脇将光

    森脇参考人 今、私の調べた範囲でお答えするならば、それはあつた答えることができます。しかしその名前とか等々は、個人のいろいろな関係にわたることでありますから、あなた方の方でしかるべく調べていただきたいと思います。しかしこれはいずれか検察庁で捜査が進めば線上に浮かんで来ることでありましようが、もし検察庁が手をこまねいて、そういう手を下さなかつた場合には、私は絶対にそれを暴露するつもりでおります。
  43. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さらに本年に入りまして新聞紙上等に伝わるところによれば、すでにたとえば壷井官房長の起訴とか、今井田経審の審査官ですかの起訴、あるいは山下汽船社長、専務の起訴等々いずれも増収賄等その他によりまして起訴せられたことが紙上すでに伝えられておる。そういつた、伝えられた後にもなおかつかような事実、現職大臣が会合するというような事実、こういうこともあなたのメモの中へ入つたでしようか。これもぼやつとでいいですからひとつ漏らしておいていただきたい。
  44. 森脇将光

    森脇参考人 それの逮捕になつた後といえどもつたと思います。
  45. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたも金融界の千軍万馬の士でありまして、天下にその名をはせておられる人でありますから、金を求めて右往左往するところの財界人、あるいは政界人、そういつた人々が国の経費、血税をもつて融資されるというような、さようないわゆる外航船建造融資のはげしい取合いの渦中におきまして、こういうような現職大臣とか、あるいはしかるべき有名なる政界の人、あるいは財界の代表的な人がさような船会社、数億、数十億の債務を背負つた、国の血税を借りておるところの船会社の幹部の人々と、またその雰囲気たるや、世上刑事事件が伝えられておるときに、前後いたしまして、そういう会合がもよおされることは、あなたの正義感を持つてしましたら一体どうお感じになるでしよう。その感想も述べておいてもらいたいと思います。     〔「国会議員の権威の問題だ」「だまつて聞け」と呼ぶ者あり〕
  46. 田中彰治

    田中委員長 森脇参考人、議員がけんかしたつてあなたに関係ありませんから、言うことはどんどん言つてください。
  47. 森脇将光

    森脇参考人 これはひとり私だけでなく、一般国民がそういうことはいかんと思うでありましよう。ましてやリベートの問題のごとき、われわれ法律のことはわかりませんが、常識論で考えてみたところで、たとえば十億なら十億で造船会社が引受けるものを、わざわざ国民の払う血税において一億をふやして、そしてそれをやみ取引でまた返して行く、そういうようなもので献金をしたり、赤坂あたりで大散財するということは、われわれ高利貸しをやつておる人世でも、実によくないことだと思います。(笑声)
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいま山田君の質疑に端を発しまして、森脇参考人からお述べくださつた花柳明暗のお調べと称するメモ、その調査されたメモが委員長手元まで出されてあるようでありますから、いずれ詳細書かれてあると思いますが、委員長にお諮りしたいと思います。適当に理事会をお開きくださいまして、そしてその名前等につきましても、どういうふうにこれを処理すべきか、また委員会といたしましてこれをどう扱うかということを相当広範囲でぜひとも最も近い機会に協議をしていただきますようにお諮りをお願いいたしたいと思います。私は法務大臣等に対し質疑はありますけれども森脇参考人に対してはこれで終ることにいたしたいと思います。
  49. 藤田義光

    ○藤田委員 森脇さん、本日は参考人の形式で出ておられます。従いまして発言は自由でございますが、全国民が注目いたしておりますし、特にわれわれは国民代表という立場からお尋ねしております。先ほど来のいろいろな意見に対する御発言で、まだ大分歯に衣を着せられておりますが、私はおそらくしんがりではないかと思いますから、せつかく貴重な時間をつぶして出ていただきましたから、率直にひとつお答え願いたいと思います。  まず第一点にお伺いいたしいことは、これは山田委員の発言もありましたが、今朝の新聞に報道されておりました浮貸しなど、経理関係がめちやくちやなある会社ということを言われております。まずこれがどの会社であるかをお伺いしたいと思います。
  50. 森脇将光

    森脇参考人 それはいろいろございますけれども、私の告訴に関連して起つた問題として一番ここに登場するのは、六日通できごとでありましよう。これについてなら多少のことなら私はお答えできます。
  51. 藤田義光

    ○藤田委員 次に同じ報道の中に銀行の総裁というお言葉がありましたが、われわれも想像はいたしておりますが、この際ひとつぜひお示しを願いたいと思います。花柳界等に出入りするある銀行の総裁というような言葉がありましたのでお伺いいたします。
  52. 森脇将光

    森脇参考人 これは御存じでありましようけれども、永野護、それから小林中、永野重雄は、これは血縁の関係もありまして、従つて血縁者であるからそういうところに出るとは思いますが……。
  53. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの参考人の発言非常に重大と思いますが、小林開発銀行総裁は造船資金の貸出しの責任者であります。われわれの血税があげて開発銀行に預けられて、ここから七割だけは船会社に金が出ているわけであります。従いまして次にお伺いしたいのは、小林開発銀行総裁が花柳界等に盛んに出入りされるというところまではわかりましたが、主としてどういう相手と出入りされるか、ことに私たちの聞かんとするのは、今船会社を問題といたしておりますが、その方面ではどういう関係の方と最も出入りを頻繁にされておるか、御存じの範囲内でお示し願いたいと思います。
  54. 森脇将光

    森脇参考人 再々の御質問でありますが、私が政治家であるならば一生懸命お答えもしますけれども、私は一介の市井の野人でありますから、それらのことはあなた方の手によつて調べ願いたいと思います。個人的なことに対して、私が証人台に立つて偉方のことをとやかく、私は一市井人としてあまり口にしたくないのです。
  55. 藤田義光

    ○藤田委員 ただ私がここでお伺いしたいのは、吉田委員からも発言がありましたが、昨年の七月十日の会合のことと、もしこれらの問題に関しまして検察庁が動かぬ場合は私は暴露するという国民的な正義感をさつき爆発されております。従いましてぜひその片鱗でもけつこうでございますが、検察庁が動かない場合に暴露されるであろうその一部を、この際ぜひお示し願いたいと思います。
  56. 森脇将光

    森脇参考人 それはたびたび申し上げます通り検察庁つてばかじやありませんし、おそらく必ずやりますよ。だから検察庁を信頼いたして待とうじやありませんか。
  57. 藤田義光

    ○藤田委員 非常に検察庁——これは三種分立でありまして、司法、行政、立法とそれぞれ権限があります。われわれは立法に関する国権の最高機関でありまして、ある意味に関しましては司法権の上に存するわけであります。従いまして全国民が注目している事件だけに、何とかここで森脇参考人が歴史的な発表をしたという記録を残してもらいたい。非常にくどいようでありますが、簡単にお伺いしたいと思います。もしお答えがむずかしいようだつたら、いま少しく具体的な資料に基いてお伺いしてもよろしゆうございますが、ひとつその辺のところで御答弁釈いたいと思います。
  58. 森脇将光

    森脇参考人 要するに私が調査を要して取得したある程度のものは、委員長手元まで秘密のうちに出してありますから、その辺で勘弁してくださいよ。
  59. 藤田義光

    ○藤田委員 非常に参考人苦しいようでありますし……。
  60. 森脇将光

    森脇参考人 いや、苦しくはありません、ちつとも苦しいことはない。
  61. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま全国の報道機関の代表者が立会つておりますから、全国民に発表するような気持でぜひともひとつ御発表願いたいと思います。
  62. 森脇将光

    森脇参考人 それはたびたび言うようですけれども、私が政治につながる人間であるならば何でも言つてしまいますがね。だけれども私はそうじやありませんから、ですからこのアウト、ラインだけのことでわかるじやありませんか。
  63. 田中彰治

    田中委員長 藤田委員に申し上げますが、今耳打ちさせたのは、名前だとか目を間違うといかぬから、委員長書類にあるからと言いなさいと言つたわけで、決して悪意ではありません。
  64. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほどこういうことは、非常に具体的に言われまして、われわれ力強い御発言と非常に感激しておりますが、それは早川日通社長と、かつてわれわれの同僚でありました福井県選出の長谷川政友、この三者会談のことを言われましたが、あなたが何か顧問に使われるとか、あるいはあなたと取引のある有力会社の顧問をされておるような人で政界の有力者と、再三お会いになつたことは、ございませんかどうですか、お伺いいたします。
  65. 森脇将光

    森脇参考人 要するに私が仕事の上でいろいろな政界とか財界とかのお偉方たちに会つたり連絡したりしたことはないか、こういうことですか——私は金貸し人生でありますから、そんな権門に屈する必要もありませんし、別に政界とか財界のお偉方に、ごちそうする必要もありません。また先生たちから、ごちそうになる必要もありません。そういうような人は面識のある人はたくさんございますが、何も顧問であるとか事業上の援助をしてもらうとか、私は独立独歩でやつておりまして、そういう者が助けてやろうといつても、私はいらぬ。そういうことはいたしておりません。
  66. 藤田義光

    ○藤田委員 長谷川は政界人でありますが、友人としての御交際があつただけでありますか、政治的な交際ではない……。
  67. 森脇将光

    森脇参考人 ええそうです。
  68. 藤田義光

    ○藤田委員 それでは次にお伺いいたしますが、あなたの関係方面に出されました訴状によると、非常に各方面のことを勉強されておりますが、先ほど来の御証言の中で一つの大きな問題は、警視庁永里主任、松本係長の問題であります。この問題に関しまして先ほど来拝聴しておりますと、どうもあなたの留守中に警視庁の重大責任を持つ主任係長が、個人会社の財産を横領するために手伝つたというような印象を受けたのであります。これは警視庁の名誉のために非常に重大なことでありますから、この点に関しまして何か——金額が非常に厖大であります。厖大でありますから、警視庁の最高幹部等と折衝されたことはありませんか。ただ単に永里主任とか松本係長とか、警視庁の下の方との折衝だけでこの問題は終つておるのですかどうですか、お伺いいたします。
  69. 森脇将光

    森脇参考人 今のことでございますが、株券がいよいよ九月二十四日に提出者である日通に返されるというときに、もう預り証志賀に渡り、志賀の手を通じて猪股に渡り、そうして片や株券は提出者である日通に返される、そうだとしたらこれはすつとまわつて行つてしまうことは火を見るより明らかでありますので、二十四日の朝早々に私は警視庁行つたわけであります。そうしたら永里主任は選挙取締りの応援で他署に行つている、こういうことであります。そこで松本係長部屋に参りまして松本係長に会つたわけであります。それで、きよう返されるということは聞いておりましたが、きよう返されるのかどうか。そこで今までの一切の詳しい事情をよく松本係長に話をして、こういう事情になつているからこの株券は私に返してください——とも言わないが、この事案の一切が明瞭になるまで、少くとも私が志賀猪股に会えるまで、絶対にだれにも渡さないで、警視庁に保管しておいてもらえないかということを進言したわけであります。そうしたら係長は、永里は他署に応援に行つているけれども、これを返すためにきようわざわざ帰つて来る、だからそれはもう返すことになつているからだめだろう、下に行つてつておれば永里が帰つて来るだろう、こういうことでありまして、それで私は下に行つてつておりました。そこへ永里が帰つて来て、私の手記に詳しく書いてありますが、どうしてもこうしてもその日のうちに返すということになつていて、返されてしまつたわけです。私はその後、どうせ警視庁のお偉どこの幹部のところに行つたところで、私がとつた情報によりますれば、みんな私を痛めつける方向に動いておつたわけですから、こいつらのところに行つてみたところで受付けつこないという観念に浸つておりましたから、上司のところまで行つて上申したり何してみたところで、これは何にもならぬと思つております。
  70. 藤田義光

    ○藤田委員 そこであなたの独特の立場と、また訴状に現われております知識からお伺いしたいのでありますが、国の財政によりまして利子補給等が決定いたしました第九次計画造船に、山下汽船が割込んでおる。あなたは自分の勾留中に山下関係手形等をとられておりますので、山下汽船取引に関しましては、特に深い関心を持つておられたと思いますが、第九次造船に山下が割込んだその裏に、非常に有力な元大臣が介在しておる、現在政界を風靡しておる有力者が介在しているというようなことをお聞きになつたことはございませんか、お伺いします。
  71. 森脇将光

    森脇参考人 とにかく私は警視庁に二十三日おりましても、現実に取調べを受けたのは二時間とはありません。あとは留置場におりまして、猪股関係などは私には片鱗の調べもありませんし、それから毎日呼ばれているうちの幹部連中も取調べも何もなかつたのです。よつて私は警視庁留置中も、その後も、山下汽船がどういうような政界の大者を使つてつてつたかということは、全然知らなかつたわけです。
  72. 藤田義光

    ○藤田委員 そこでお伺いしたいのでありますが、この第九次計画造船の割当にあたりまして、山下が追加を受けております。また先般新聞に発表になつております名村造船が、御存じ通り数日後に一般の発表後に追加割当を受けております。名村には御関係ないのですが、山下は先ほど来の御発言によつて、非常に関係が深いということがわかりましたので、この山下汽船か九次造船の割当を受けるかどうかということは、あなたの手形の運命に関しましても、重大な影響がある問題でございますから、いま一度お伺いしておきますが、その点に関する風評は全然お聞きになりませんかどうか。先ほど日本通運には今回の事件に関して何も証拠がなかつた、しかし山下汽船にはたくさん証拠があつた、こういうことまで御存じ森脇さんでありますから、私はこの際割込みということは債権者として重大関心事であろうと思いますので、重ねてお伺いいたしておきます。
  73. 森脇将光

    森脇参考人 私が山下に貸しておるものは、二千万円か三千万円の手形でございますから、山下の側から言えば、そんなものは大したことでもありませんし、計画造船云々のために、この手形決済になるかならぬかという運命などは夢さら考えておりませんから、そういうような関心はなかつたわけです。
  74. 田中彰治

  75. 徳安實藏

    徳安委員 森脇さんに伺いますが、先ほどの冐頭の御陳述の中にGHQの某大佐というお話がございました。新聞を見ますと、森脇さんのお話として、シヤグノンという方だということかはつきり載つておりますが、これに間違いございませんか。
  76. 森脇将光

    森脇参考人 私その当時はだれだということをはつきり覚えておつたのですが、今は忘れちやつたのです。要するに司令部というものがいろいろなセクシヨンにわかれまして、交通関係を管掌した親玉がいたわけです。それを猪股がいろいろ懐柔して——それがシヤグノンであつたか、スチユアートであつたか、だれであつたかということは忘れてしまつたので、それが真であるか偽であるかということは、今お答えすることはできないのです。
  77. 徳安實藏

    徳安委員 本日の東京タイムスですが、あなたのお話としてはつきり載つていますが、これは新聞社の方で想像して書いたのでありますか。
  78. 森脇将光

    森脇参考人 そうです。
  79. 徳安實藏

    徳安委員 そこでもう一つお伺いいたしますが、GHQの方にはたくさんの部門がございまして、鉄道関係には責任者が一人や二人ではございません。言葉をかえて申しますと、過度経済力集中排除法に関係するいわゆる経済科学局、これが通運関係の最高責任を持つております。さらにシヤグノンさんというのは民間運輸局の鉄道部長であります。先ほどからお話を聞きますと、日通の方でも前に猪股さんを通じてこれに頼んだというお話もございますが、シヤグノンさんは通運事業には全然関係のない方面なのであります。これについては何か確たる証拠がございましようか。
  80. 森脇将光

    森脇参考人 要するに一番最初鉄道猪股を利用したときに登場した人が一人あるわけです。それから今度は交通公社になり、日本通運になりというようなときには、その一番最初に登場した人物を通ずる問題としていろいろな人が登場するに至るということは猪股から聞いておりますが、しかしそういう人の名前を今私は覚えておりません。それしかお答えできないのであります。
  81. 徳安實藏

    徳安委員 これは非常に重大な関係がございますので、猪股とシヤグノンとの御交際等については、私も調査によりまして承知をいたしております。しかし猪股さんと過度経済力集中排除法の、いわゆる通運事業の方の最高責任者でありました方とは御懇親がないように聞いておるのであります。こういう点について、一応ただ鉄道関係であつたからといつても、経済関係もありますれば、あるいはまたそうでなくて、通運業の複数化というふうな問題もあれば、あるいは独占禁止法というようなものもありましておのおの責任者が違います。従つて猪股さんが運動なすつたといたしましても、はたしてだれであつたかということのポイントがはつきりいたしませんと、お話がなんだか抽象的になりまして私ども判断に苦しむのでございますが、その点については何ら確たる御信念はないので、ございましようか。
  82. 森脇将光

    森脇参考人 それは何べんも申しますように、私はすつかり忘れちやつているわけなんです。だからあえてそれが必要なら、日通早川社長でも呼んでお調べになつたらはつきりすると思います。私ではわかりません。それだけです。
  83. 徳安實藏

    徳安委員 これは速記に残りますものですから、一応重ねてお聞きしたわけでございますが、それではけつこうでございます。  次に、これは今捜査中でございますから、非常に大きなポイントになると思いますが、早川社長東京支社に命じて金を貸してやつたというような御陳述でございましたが、これも記録通り、お話の通りに、はつきりした御信念に基いてのお話でございましようか。
  84. 森脇将光

    森脇参考人 それは私が三者会談を築地の某料亭でいたしましたときに、早川みずからの口から私が聞いたことでありますし、それは私一人でなく、長谷川政友という早川の友達も聞いておつたのですから、本人がうそをつかない限りは絶対の真実だと思います。
  85. 徳安實藏

    徳安委員 次に、捜査をしたけれども日本通運には何もなかつた山下汽船にはたくさん出た、だからその前に早川に話をしたから、証拠が隠滅されたのじやないかと残念に思つておる、というような御陳述がございましたが、今捜査中でございますので、はたして証拠が十分にあつたかなかつたか私どもわからない。それを何もなかつたとはつきりおつしやるのには、どこでお聞きになりましてそういうことがはつきり申されるのですか、お聞かせを願えればけつこうだと思います。
  86. 森脇将光

    森脇参考人 それは私は、検察庁押収がありました後に、やはりいろいろ日通関係の取調べを検事にされるうちに、自然と漏れ承つた言葉であります。ですから一つもなかつたというような意味のことは、私がもしそう言つたとすれば、極言でありましようけれども、要するに重要な証拠物というものは何もなかつたということを聞いたわけです。そのときに、ああ私はほんとに検察庁に済まぬことをしたなあと思つたのですから、そういう意味において私はそのことを聞いたということであります。
  87. 田中彰治

    田中委員長 もう一点にしてください。
  88. 徳安實藏

    徳安委員 ではその程度にいたしますが、それはただそういうことを聞いたというのではなく、だれからいつ聞いたというような、もう少し信憑するに足るようなお話を参考人から承りたいと思います。ただ観念的にそういうことを聞いた、しかしその人も言えない、場所も言えないということであるなら、ほんとうに速記にそういうことが残るだけであつて、世を迷わすようなことでありますから、もしできることなら、こうしたはつきりしたことをおつしやる以上は、そういうことについて、どういう場所でどういう人から聞いたということをお聞かせ願えれば非常に仕合せだと思います。
  89. 田中彰治

    田中委員長 早川さんと長谷川さんと森脇さんが築地の待合で会つたということはわかつているのです。その名前を言わしてもいいですよ。
  90. 徳安實藏

    徳安委員 そうでなしに、捜査したけれども何もなかつたという……。
  91. 田中彰治

    田中委員長 それは私のところに出ておる書類にもありますが、それはかえつてお聞きにならぬ方がいいのではないですか。
  92. 徳安實藏

    徳安委員 私は聞ければ聞きたいと思いますが……。
  93. 森脇将光

    森脇参考人 それは検察庁で私が聞いたのですから、検察庁を信用しておいてもらつたらそれでいいのじやありませんか。あえて名前はどうであろうと、私はうそを言つておるわけじやない。検察庁から聞いて来たのですから……。
  94. 田中彰治

    田中委員長 参考人として呼び出されて来たのだから、もう聞かぬでもいいでしよう。そうするといろいろ問題が出て来る。
  95. 大上司

    ○大上委員 森脇参考人には非常にお忙しいところを当委員会の審議の一助として御参考に出ていただきました点お礼申し上げます。  さてそこで先ほど来同僚委員からそれぞれの立場でそれぞれ質問がありましたが、その御回答の中に、私の調査いたしましたところによりますればというふうな点が相当見受けられたのです。そこでわれわれが特に重大に考え得るのは、資料の確実性ということをキー・ポイントに持たなければならない。参考としてきかしていただくのですから、御迷惑とは存じまするが、特に本日当委員会におきましてやつておることについて、真実性がもしもなかつた場合には、あらゆる国の施策に対して国民の批判も出て来れば、当委員会の持つて行き方についても資料の確実性のないものを云々ということがなきにしもあらず。そこでこういう点から私はお尋ねするのです。さいぜん委員長に調書を提出したということをはつきり伺いましたが、まず一つのものを調査するにつきまして、大まかに申し上げますと、ただいまのような広汎にわたるもの、あるいはわたらないもの等もありまするが、現在検察当局におきまして保全経済会あるいは造船疑獄等といわれているものについての調査費が、一億二、三千万円増加申請等も出ております。相当調査費用がかかつたと思いますが、どの程度おかけになりましたか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
  96. 森脇将光

    森脇参考人 どの程度かかつたかということは、私は計算もしておりませんけれども、別にそんなたくさんのお金を、そう大して使つておりません。
  97. 田中彰治

    田中委員長 大上委員、あなたからそう言われると、この書類をここで出さなければいかぬが、あなた自由党の責任を持ちますか。次官から女の名前から全部ありますよ。あなた責任を持てば出しますよ。     〔発言する者多し〕
  98. 田中彰治

    田中委員長 御静粛に願います。
  99. 大上司

    ○大上委員 別に金額は相当かかつておらないということですが、そういう点から、私たちといたしましては、特に本委員会におきましてもこの問題を理事会で諮るということは大体了承したのですから、ただその点を伺つておるのであつて、資料云々の問題じやない。  そこでもう一つお尋ねしたい点は、あなたが国税庁から相当差押え等を食われたお立場は非常にお気の毒に思うのです。まる裸という発言もありましたが、そういうふうな面から見て、どなたかにこれを調査するについて資金的の援助を仰がれたか。あるいはあなたの残余財産等を見て、あまり経費がかからないからというのでおやりになつたか、その点をお尋ねいたします。
  100. 森脇将光

    森脇参考人 私は信用がございますから、どこに行つても金を貸してくれます。自分に金がなくても、人の金も自分のものだと思つているくらいですから、そういうところへ行つて借りて来て使つたりしておりますから、金が一文もなくても、金は天下のまわり物ですから……。
  101. 大上司

    ○大上委員 委員長に動議として出します。まずさいぜん吉田賢一委員からこの資料云々ということがありましたが、これはわれわれが今から勉強しなければわかりませんが、大体国会議員としての一般的な常識から見ますと、われわれ国会が資料を要求する場合には、当然行政府または機関に諮らなければいけない。個人的な資料を当委員会において披瀝するということは、確実性という問題から見て重大問題である。だからわれわれといたしましては、特に資料要求をして例の鉄道会館にあつたがごとく一つの決議等も持たなければならない。ましてわれわれが政府を通じて出させる、また関係機関等の正当のルートで出さなければいろいろな爾後の問題等もありますので、動議として出します点は、理事会に、資料を出すか、出さぬかをお諮り願いたい。
  102. 田中彰治

    田中委員長 それは委員長にまかしてください。河野金昇君。
  103. 河野金昇

    ○河野(金)委員 森脇さん。しまいごろの問題はまるでうわさやら、つまらないことが繰返されておるわけですが、最初の問題は非常に重要だつたと思うのです。あなたをひつぱつておるうちに、あなたの一億数千万か、どれだけかの財産がなくなつてしまつた。それを結局やつたのか永里とかいう主任であり、またそれの相談にあずかつておるのが、警視総監もあずかつておると思うというような断定があつたわけなんですが、それはそのまま了承してよろしゆうございますか。
  104. 森脇将光

    森脇参考人 それは要するに自分として大体調査した範囲で自分なりに断定しておる言葉でありまして、それが絶対の真実であるかどうかというようなことになりますと、私は過去自分で永里君に会つたときの永里君の言葉だとか、いろいろな事情によつて判断して、私は私なりの断定をしておるわけでありますが、それが絶対の断定のものであるかどうかは、あなた方が御推察の上に判断していただく以外にないわけであります。
  105. 河野金昇

    ○河野(金)委員 先ほど来話を承つておると、警視庁はどろぼうをつかまえるところだと思つてつたら、どろぼうの援助をしておるように実は承つたわけなのであります。これは先ほど刑事局長行つてしまつたから残念でありますが、刑事局長にしても、あるいはそのかわりにそこにおられる係の検事の方としても、こういうことを言われたということは、もしそれが事実でなかつたならば私は非常な侮辱であろうと思います。しかも憤慨をされるのがあたりまえであろうと思いますけれども、憤慨されないところを見ると、大体それが真実であるように私は私なりに了解をいたします。しかしこういうような問題は、えてして本問題をそらしておいて、森脇という男をこの世の中へ置いておくとまた何をしやべるかもわからぬというようなことで、その問題には触れないで、何かまた滞納なりその他の問題でまた森脇氏の身柄を拘束されるようなことが往々にして警視庁とか検察庁というところはあるのであります。従いまして先ほど来森脇氏が述べたことに対して、係の検事は一体どういうふうに感じておられるか。もしこれが事実でなかつたとしたならば、この問題に対してあなたの方は名誉毀損なり何かしなければならぬと思いますが、そういうような手続をおとりにならないで、他の問題で再び森脇氏をひつぱるようなことがあつたとしたならば、そのどろぼう援助を隠蔽することであると私は了解をいたしますが、この私の解釈に対して御異議があるならば係の検事から承つておきたいと思います。
  106. 宮本利寿

    ○宮本説明員 ただいまのお尋ねの点につきましては、十分調査をいたしたいと思います。
  107. 河野金昇

    ○河野(金)委員 森脇さんに、私はきよう通告してなかつたので、時間もありませんからもう一点だけお伺いしますが、あなたの入つておられるうちに、猪股志賀警視庁のあつせんによつて、うまいこと、ごまかしてしまつた。その猪股はまた造船会社日通から浮貸しを受けて、そうしてそれを政治資金というか何かに使つておるわけであります。あなたの金も、いわばあなたのような金もうけのうまい方が、逆に詐欺にかかつたようなかつこうになつておるわけであります。従つて猪股としてはあなたをだますか何かして借りたなり融資を受けた金を、かつてに使つているが、それをいかにも真実性があるように見せかけるがために、先ほど来話に出ておつた、あるいは中川とか長谷川というようなところで、猪股が官界なりあるいは政界なりの人と一緒にいろいろ話をしているときに——えてしてそういう詐欺漢というものは、真実性を持たせるためにやる手でありますが、そういうようなところへあなたも何ということなしにひつぱられて行つたようなことはありませんか。たとえば中川とか、先ほど話に出た長谷川というようなところに——相手はだれであるかは、あなたは知つてつてもお言いになりませんでしよう、私も聞こうと思いませんが、猪股なり志賀なりと一緒に中川とか長谷川というところにお行きになつたことがありますかどうか。
  108. 森脇将光

    森脇参考人 私は大体高利金融をやつておりますから、どうしても債務者に高利の負担をさせる。よつて私は債務者たちといかなる招待を受けても行かない主義をとつております。従つて猪股の場合でも、ときどき招待はあつたけれども、私は断じて行つたことはありません。ただ一回、私が日活の堀久作を猪股に紹介してやつたときに、築地の料亭で会つた以外は、数年のつき合いのうちに、そういう花柳のちまたに行つたことは一度もございません。
  109. 河野金昇

    ○河野(金)委員 そこで今度は委員長にお伺いといいますか、御相談なんですけれども森脇氏があなたの手元に出したという書類は、真実であるか真実でないかは別といたしましても、いずれにしても今委員長の口から言われたように、現職の次官なり何かの名前が書いてあるがいいかと言つて大上君に念を押された点から言いましても、相当具体的にいろいろな名前が出ていると思います。私は委員長を絶対信頼しています。けれども委員長といえども自由党の一党員であります。従つてこの委員会が終つてあなたが党にお帰りになると、あなたはそれに従わなくても、いろいろな圧力があなたに加わることをわれわれ野党の者はおそれるのであります。従つてきようこの委員会がいつ終るか知りませんが、委員会が終つたら、あなたが党へお帰りになる前に、ただちに理事会を開いていただきたいということが御確認願えるかどうか、委員長にお尋ねいたしたい。
  110. 藤田義光

    ○藤田委員 関連して私委員長にお伺いしたいのですが、その書類を受取られるときに、何か参考人から条件がありましたかどうですか。それからいつ、どこでどういう権限で受取られたか、その点お伺いしておいて……(「先に書類の取扱いをやれ」と呼ぶ者あり)その前に取扱い問題を処理すべきだと思う。あとは、杉村君からも発言があるようだから、それだけ伺います。
  111. 田中彰治

    田中委員長 河野委員と藤田委員にお答えいたしますが、これは日も書いてありますし、女の数も書いてありますから、私は相当真実性のあるものと信じますが、これは公に決算委員長に出されたものでなくて、森脇君が私に何かないかと尋ねられたときに、これは大事なものだが、委員長にだけ秘密にお貸しするから、委員長は私を裏切らないようにしてくださいというので預かつたのですから、私はこれに対して相当検討も加え、また森脇氏の意見も聞き、その上で……、(「委員長じやないか」と呼ぶ者あり)田中彰治個人として預かつたのだから、これに対しては相当私は考えたい、こういうぐあいに考えております。
  112. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は実はもう少し根本問題を伺いたかつた。と申しますことは、私が伺つていることは、決してそこいらにころがつているものを持つて来たのではありません。私は裁判所に出ているもの及び当決算委員会に出た資料、これらに基いて伺つているのであります。そこで先ほど森脇さんに伺つたときに、山下汽船の一千万円の昭和二十七年十月六日支払いの手形、それから日本海運の、同じく一千万円の昭和二十七年十一月四日支払いの手形、さらに日本海運昭和二十七年十一月四日支払いの五百万円の手形、こういうように莫大な手形が出ているのでありますが、まず第一に、その山下汽船の一千万円の手形は、これは初めての手形でございましたが、それとも前にまだそうした関係がありまして、これが手形の残になつての一千万円であるか、そういうようなことが伺いたい。  それからいま一つ猪股功日本通運株式会社、それから日本交通公社、これらに対して非常な融資を受けているように先ほどあなたが言われたのですが、あなたと猪股とか、そういう日本通運日本交通公社との話をなさる時分には、あなたと猪股との間は、まだそんなに悪くなかつたわけであろうと思うのです。だからその当時猪股が、あなたに日本通運のことや日本交通公社のことをどういうことを言われたか、それが伺いたいのです。と申しますことは、日本通運は当決算委員会におきまして、昨年われわれが調べたところによりますと、昭和二十八年の十月十四日までに四十九億三千三百七十二万円という国鉄に納める金を納めずにおいて、これを浮貸ししているのであろうということをわれわれは十分追究したのですけれども、なかなか巧妙に立ちまわつているので、これを調べることができなかつた。それから日本交通公社も、やはり十数億の金を国鉄に納めずにいた。これがやはり、このうちからこの猪股功に浮貸しされておつたのですが、そういうことについて、あなたは何か猪股から伺つたことがあるかどうか。  それから最後に——まだたくさんあります。数字上のことについてたくさん伺いたいことがあるのですが、時間がありませんので、皆さんにも御迷惑になりますから、数字上のことはそれくらいにとどめておきますが、最後に、先ほど皆さんがおつしやられた、あなたが田中彰治君にお出しになつたという書類、その書類の内容をひとつ私は聞いておきたい。その内容がわからなければ、田中委員長はこれが森脇君から出した書類である、こう言つて出されてしまえば、何を出されてもわれわれはわからない。そこで委員長に、これが森脇から受取つた書類だといいかげんなものを出されて、われわれはごまかされては困る。そこでその書類にあなたが記載なさつたことは、われわれが調査したところによると、飯野海運の俣野という人の招待で、石井運輸大臣、池田さん、それから保利農相、山縣というような人が招待を受けているように聞いている。こういうようないわゆる大官が出て行くということになりますと、必ず一流の芸者さんも来るでしよう。女中も来るでしよう。そういうようなことについて、すなわちあなたがいつ何日、あるいはどういうふうなことでというような、こういう大官の出た日付とか、あるいは芸者の名前とか、そういうようなことまで書いてあるか書いてないか。名前は聞かなくてもけつこうですが、あとで委員長にいいかげんなものを見せられて、これなんですよと言われては困るから、あなたは内容だけでけつこうですが、女の名前が書いてあるとか、芸者の名前が書いてあるとか、日付も書いてある、あるいは出た大臣の名前も書いてある、こういうような内容のことをひとつ伺つておきたいのです。以上であります。
  113. 森脇将光

    森脇参考人 大体私が田中さんのお手元へ出したものは、決算委員会参考人とかいう立場ではなく、私個人の調べた範囲のことを参考までにごらんになれば、要するに中川とかそういうような舞台においてどういうことが行われたか、アウト・ラインだけでもキヤツチしてもらえばその辺の動きがはつきり認識できるという参考として出したものでありまして、これは皆さんに見せていただかないということが条件で、田中さん個人の頭の中にしまつてもらうために私がお見せしたものでありますから、これは田中さんといえども、もし紳士として約束されたならば私との誓約を裏切ることはできないはずだと思います。そこで今いろいろな人が登場したかしないかといつたようなことのお尋ねでありますが、これは再三私が言つていることであつて、個人関係のことについては私は触れたくないからお答えできない。  山下汽船は、最後に残つたものが千万と千万でありましてそれ以外には三千万という一本のものを割引いたこともありますし等々で、それらが決済になつて、それで最後に残つたものが一千万と一千万の二つであつた、こういう結論です。
  114. 杉村沖治郎

    杉村委員 それからいま一つ、たくさん一ぺんに聞いたからわからなくなつたでしようが、あなたが裁判所に出しておる書類を私が見ますと、猪股功があなたに向つて、金がいるのであつたならば日本通運でも交通公社からでも、ぼくが行けば幾らでも金を融通してやれるからというようなことをあなたに言つたように記載されておる項があるのですが、そういうことはございませんか。
  115. 森脇将光

    森脇参考人 そういうことを記載したかどうか今忘れていますが、要するに先生交通公社にいたこと等から、私のところにも交通公社の小切手を持つて来たり何かしたこともありましたし、たしか一度日通手形を持つて来たこともあるように記憶しておりますが、別に私もとりとめてお前さんと日通とはどうだとか、交通公社とはどうだとか、今御質問のように、微に入り細に入り聞いたこともありません。今度出て来て初めて早川の口からいろいろなことを聞いて具体的な事象がわかつただけであります。その当時は何といつても相手は交通公社であり、日通であり、それが真実のものでさえあるならば、わしらは金を出す対象としてはりつぱなものだ、これ以外になかつたですから、猪股日通と何とか、交通公社云々というようなことはアウト・ライン的には想像しておりましたけれども、そんな今御質問のようなこまかい具体的な内容については私も聞こうとしませんし、先生も説明しなかつたのであります。
  116. 杉村沖治郎

    杉村委員 そこで数字上のことはこの程度にしておきましよう。ただ最後に委員長にお出しになつた書類なんだが、これはあなたが先ほどわれわれが問うたときに大体においてそういうようなことがあつた、こういうことだけは申されておるのですが、委員長手元に出された書類にまさかうそはないだろうと思うのです。これは委員長が大上君の質問に対して、そうやかましく言うなら出してもいいのだがと言われたということは、私は、あなたが田中委員長に出されておるところの書類が出たならば、現内閣は本日でもつぶれると思う。これははつきりしておる。もしこれがうそであつたということになれば、これは大問題なんだ。だから私はこの意味合いにおきまして、どうかあなたが少くとも田中彰治君のところに出された書類は、個人的なものとして、自分の良心に従つてほんとうにうそ偽りを書いたものではないということだけは、私も信じておるのでありますが、いかがでございますか。
  117. 田中彰治

    田中委員長 参考人、遠慮せんで言つていいのですよ。
  118. 森脇将光

    森脇参考人 私は自分自分なりにある程度努力をして収集したものでありますから、私はそれについては自分としての良心で、少くとも間違いないだろうということは誓約することはできますが、しかし私も神じやありませんから、人間のやつた仕事でありますから、あるいはどこかに間違いがあるかもしれません。
  119. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は、委員長はかつては鳩自党の委員長であつたのですけれども、自由党に還元されたので、まさかそういうことはあるまいと思いまするが、これは先ほど委員長の口からも出たように自由党の人に念を押すくらいの重大問題でありまするので、これが私はおそらくこの造船疑獄の根本、いわゆるひのき舞台であろうと思います。あなたの受取られておる書類を先ほど河野委員が言われたように、どうか本日これから自由党の席に帰られないうちにひとつこの国民環視のところに、私は出してもらいたいと思うのですが、いかがでありますか。
  120. 田中彰治

    田中委員長 杉村委員にお答えいたしますが、決算委員長は党利党略に自由になりません。これだけ申し上げておきます。但しこの書類は、あなたの言われている通りつたく重大な書類です。そこでこれを委員長として、個人に渡されたんだから、検討いたしてこれならば出しても間違いない、これならこうだという自信がついた上で必ず発表いたします。
  121. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は最後に伺うのですが、これは検察当局に伺うのはあるいは違つておるかもしれませんが、森脇参考人警視庁に二十日余の勾留をしておるのです。いわゆる公文書偽造あるいは詐欺というような非常な重要な罪名によつて、これを勾留したのですが、これを釈放してしまつて、遂に今日に至るまで森脇を公文書偽造としても起訴されておらないし、詐欺としても起訴されておらない、ところがその勾留されておつたところのこの森脇参考人が、一億数千万円の財がなくなつてしまつた、こういうことなんですが、実際において二十日以上も勾留しておいて、この人たちを起訴もしなければ何にもしないで、このままに置いておくということは、私は実に不可思議なことであろうと思うのです。いかに高利貸しであろうとも、やはりこの森脇参考人の名誉のために、こういうことは、ないものはない、罪がないものならばないということを天下に公表すべきだと思う。それを警視庁が公表することができないということは、われわれは森脇参考人言つておるように、警視庁がやはりその猪股功か何か、志賀に手伝つて私はこの森脇参考人の一万数千、(「一億数千だよ」と呼ぶ者あり)一億数千万円の財を横領さしたものではあるまいかと思うのです。ところがこれは書類の方を見ますると、永里という主任が、その一万数千円の(「一億だ」と呼ぶ者あり)一億数千万円の財を渡すときに、田中警視総監の承諾を得て渡しておる、こういうことが記録の上に出ておるのでありますが、これらにつきましてわれわれは刑事局長がおらないことをはなはだ遺憾とするのであります。われわれは何分にも貧弱でありまするから、つい一万円などというのですが、一億数千万円、こういう数字は、ちよつとわれわれの頭には入りにくい、これほど大きな金額を、いいかげんにしておるということは、はなはだ遺憾でありまするが、検察当局がここにおりまするから御意見が伺いたい。
  122. 宮本利寿

    ○宮本説明員 森脇氏に対する公文書偽造、詐偽という罪名の件が、その後どうなつておるかということは、ただいま手元に資料がありませんので、よくわかりません。ただ押収物件の処分につきましての件に関しましては、十分調査いたしたいと思います。
  123. 田中彰治

    田中委員長 杉村委員に申し上げますが、実は森脇参考人を呼んだのは、造船疑獄の関係よりも、われわれが調べておつた日本通運の浮貸し、交通公社の浮貸し、これは今永里という捜査主任が警察学校の方へ左遷されておる。その実態においても、また警視総監等からあつたことにおいても、皆さんからお聞きになつたことにおいても、これは間違いなく警視庁の中へ森脇氏をぶち込んでおいて、警視庁が援助して、これだけのものを横領するのを援助したということを、委員長も信じております。また検察当局に聞きたいのですが、あなたは御存じでしようが、私は森脇氏の処分を保留にしたということは、検事局が警視庁から圧迫を受けて、処分をしなければならぬような状態になつてつたものだ。この点よくお調べくださつて、この処分をどうするのか、ひとつこつちへ知らせていただくことと、もう一つ森脇氏が私に出した書類、あるいはきようここで発言したことは、非常に日本の政界にも重大であり、経済界にも重大であるから、森脇氏の身辺に対しても、あなたの方が相当保障していただかぬと——あなたの方も森脇氏のいろいろな捜査によつて相当なものをつかんでおられることは委員長も知つているのだから、森脇氏の身辺を検事局が保障して守つてもらうということにしないと、決算委員会は重要な参考人を呼べないことになりますから、あなたがお帰りになつて、ぜひとも森脇氏の身辺を守るようにしていただきたい。よくありますが、森脇氏のことでも、いろいろな事件にかこつけて警視庁や検事局はよくやられる。伊藤斗福なども詐欺でひつぱるものを為替管理法を出すとか、いろいろなことをやります。森脇氏も商売しているんだから、ひつかける気になればいくらでもひつかけられる。そういうふうにひつぱられるようなことがあれば、私も検察庁に対し相当なものをにぎつておりますから、今度は私が街頭演説でも何でもやつて暴露するから、そのつもりで……。(笑声)
  124. 山田長司

    山田(長)委員 森脇さんにお伺いしたい。森脇さんは現在自由党の政調会副会長の水田三喜男さんに昭和二十七年にお金を貸しております。あなたはお金貸しが御商売だけれども、何のために水田三喜男さんに三百万円のお金を、しかも無利息でお貸しになつているか、参考にこれを伺いたいのです。それと同時に、その金に関連して猪股さんがこの金を返すようにしたのか、返さなくていいようにしたのか、それに介在されているようですが、水田三喜男さんにお貸しになつた金のことについてちよつと伺いたいと思います。
  125. 森脇将光

    森脇参考人 今の御質問でございますが、確かにそういう事実はございます。ありましたが、これはお互いに話合いをいたしまして、平和のうちに解決することにいたしてございますから、ここで私は表現を差控えたいと思います。
  126. 山田長司

    山田(長)委員 平和のうちに解決されるとおつしやいますが、非常に長い間無利息でお貸しになられております。あなたはお金を貸されることが商売であることはわかるのです。そこでその長い間、昭和二十七年から今日まで無利息でお貸しになつていることについてやはり猪股さんは通運に関係があるわけでございます。そこで何のために無利息でお貸しになつてそれをほうつておかれるのか、私どもはどうも理解に苦しむわけです。もう少し御親切にお答え願いたい。
  127. 森脇将光

    森脇参考人 無利息というのは、私は水田氏に初めて会いまして、あれだけの立場におられる人だからと思いまして、それで利息もいただかないでお貸しした。その後八月の終りごろかそこいらから、利息も払いたいけれども手形の上に載つけてくれということで、手形の上に載つけてあげた。そういうようなことから来たものでありまして、先生に催促しても、金がなくて払えないというものを、むりやりにとることはできませんから、そのまま置いてあるというわけであります。
  128. 山田長司

    山田(長)委員 森脇さんのお答え、私は満足ができないのですが、もう一点伺います。実はこの間開銀総裁の小林さんにここに来ていただきまして、いろいろ総裁に質問申し上げたわけです。それは国民の血税を開発銀行でどんどん日本の造船界の人たちにお貸しになつていることについて、どういう審査でこれを貸したのか質問したわけです。ところがその後私は開銀総裁が言われたことを基本にして調べたのですが、全然違つたことが出て来たわけです。どういうことでそういうことを申し上げるかというと、私が日本のブルジヨア階級のやつて用いることにますます疑惑を感じましたのは、日本鋼管は富士銀行が裏書をし、三井造船は三井、三菱造船は三菱銀行、これらの大資本閥が、要するに銀行融資を証明するものさえあれば、これが百のものであれば三〇%銀行が証明を出せば、あと七〇%は開銀で保証するということになつているわけです。そこでこれらの大財閥が非常に陰で暗躍をいたしまして、開銀の金を十分に利用しようじやないかという動きがあつたわけです。そこでせつかく開発銀行ができたのは、日本の小さな造船業者にまで船をこしらえてやつて日本の海運を発展させようという大きな意図で計画されたものです。ところが開発銀行の営業課で調べをしていたときに、これは小さな会社だからだめだというので選に漏れてしまつた。ところがそれがどこをどうしたのか、調査部から審査部へ申請も何もしないでいるうちに、審査部の方ではそれを拾い上げてそこに金を貸しているわけです。それで去年の十二月につぶれてしまつた会社へ数億の金を貸しています。その会社日本海重工業であります。この会社は新造船一ぱいつくるために去年つぶれちやつているのです。そこへ金を貸している。それで私はますますけしからぬと思うのは、この会社は二千万円の会社であります。それで落つこつた会社に佐世保造船というのがあります。私はこの造船会社調べてみました。ところがこの会社は、去年の六月も去年の十二月も一割五分の配当をしております。そこでそう資本金の考慮と資産のないところと担保のないところへは金を貸さないことになつていたのですが、担保のないどころじやなくて、だんだん調べてみますと、三重にも四重にも担保になつて、おまけにまだできていない船までもできたことになつているのです。そこへ開発銀行で金を貸しています。これは今度は森脇さんに関係が出て来るわけですが、それらの二重、三重に担保にしている会社で、あなたのところへ相談に行つている会社があるわけなのであります。あなたはそれに金の融通をしているはずであります。どういう会社融資なさつたか。あなたの融資をされている範囲、あるいは相談になられたのか、それを一応お話願いたい。私の調べた範囲がもし間違いであれば、発表することができないし、あなたも関係があるはずであります。一応御説明を願います。
  129. 森脇将光

    森脇参考人 今の御質問でありますが、私は海運関係会社には、日本海運だけは貸したことはありますけれども、その他の会社には取引したことはないと思つております。話ぐらいは聞いたことがあるかもしれませんが、何分日にたくさんの話を聞いているものですから、今の記憶の中では現実に取引したのはないと思います。ましてや二重にも三重にも担保になつているような会社なら、たとい相談を受けても出すことは断ります。それは開銀さんの方は出されるかもしれぬけれども、私の方は出さない。
  130. 山田長司

    山田(長)委員 あなたがそうおつしやいますから、私はこれは株価にも影響することになると思いますし、私の調べが間違いであるといけませんから、船会社名前は一応出しません。  それではあなたにもう一つ伺います。実はこの造船汚職で騒ぎが始まつてしまつたために——保安庁が注文をすることになつているのですが、保安庁はすでに石川島と三菱造船と三井と日本重工というような会社昭和二十八年度分として十六隻の船を注文しています。私はこれは重大問題だと思うのです。これは随意契約であります。しかもその十六隻分の部品をさらに八隻分だけよけいにこの会社がつくつておる。これはそれをつくつておる労働組合から資料が出ておるのですから実にはつきりしておる。それで二十九年度に八隻の船をやはりこの会社に注文することになつておるのですが、国民の血税で、しかも船をつくるのに、こうやつて十六隻の船のほかにさらに八隻分の部品が、保安庁と契約書がとりかわされないうちに着々とできておる。こういうことで、この船会社はいずれも大会社でありますので、あなたのところで、じかにこれらのことについての金の催促はないと思うのですが、その船の部品をつくつておる会社で、部品関係であなたのところに金を借りに来ておるところがあるかどうか、参考に一応伺つておきます。
  131. 森脇将光

    森脇参考人 これは今ここで御質問がありましても、私ちよつと調べてみないことにはお答えする材料を持つておりません。これはそういうような関係の先々の取引もいろいろございますけれども、はたしてそういうものをつくつていた重工業会社であつたかどうかというようなことについては、はつきりした認識を持つていませんから、必要があれば調べて後日お答えしたいと思います。
  132. 田中彰治

    田中委員長 森脇参考人ちよつと聞きますが、先ほどまで名前が出なかつたからなるべく出したくなかつたけれども名前が出たから言いますが、水田の手形を運転手の名前手形に書きかえられていたことは事実でしよう。
  133. 森脇将光

    森脇参考人 しかしそんなことはもう済んだことだから、あまり……。
  134. 田中彰治

    田中委員長 けれども書きかえられたことは事実だつたのでしよう。それだけでいいのです。  それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後三時五十三分散会