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佐藤会計検査院長 ただいまの御質問は、われわれが常に考えておるところで、たいへん御同情、御鞭撻いただいた
ようなわけでありますが、実は憲法が改正になりまして、
会計検査院の重要性が、これはアメリカの示唆と思いますけれ
ども、非常に強調されて、急に人員が三倍ないし四倍にな
つたのであります。そこでわれわれとしては従来の旧憲法時代の
会計検査院とは頭を切りかえて、
国民のための
検査院である、
国民の血税がどう使われておるか、いやしくもそれがむだに使われておる
ようなことがあ
つては
国民に対して相済まぬ、そういう見地から、
国民のために
検査をするのだという頭でみんなにや
つてもら
つておるのであります。ところが
検査院の増員が三倍も四倍もということになりますと、何と申してもこの
検査というものは非常なエキスパートといいますか、熟練を要するものであります。会計
関係なり、あるいはそれの基礎となる法規
関係等、いろいろな点を知らなければならない。そこで急に人をふやしたからとい
つて、能率が上るものではないので、私といたしましては、どうすれば各人の
検査能力が上るか。量は一応きま
つておるから、質をいかにして上げるかということを、実は今まで一生懸命や
つて来たつもりであります。そのためにいろいろ講習会を開き、必要によ
つて会計学等の権威者にも来てもらうし、また
関係の役所からエキスパートに来てもらうということと同時に、
検査院の課長以上の熟練者にも新しい職員に講義をさせる、あるいはまた再訓練するということによ
つて、私たちとしてはどうやら量は得たけれ
ども、質もある程度上
つて来た。これは過去数年の
検査報告を詳細に御点検になればわかると思いますが、そういう
状況が大分続いたわけであります。ところが、幸いにいたしまして、最近においては職員の質も、もちろん十分とは言えませんけれ
ども、
相当満足すべき状態にまで上
つて来ております。そうすれば
検査院としては、その能力を発揮するには、さらに新たな人を入れて、新たな職員をも
つて検査能力を充実するということが考えられる段階にな
つて来たのであります。そういう見地から
予算を
大蔵省の方へ要求しておるのであります。しかしながら残念なことに、
予算の非常な緊縮時代でありますので、諸般の
事情でなかなかむずかしいのでありますが、若干は
認められたのであります。来
年度予算で申しますと、一般の行政整理に伴いまして、
会計検査院も若干の行政整理を受けることになりました。しかしながら、私としましては、庶務、会計という
ような一般の役所に共通な部門についてはこれはやむを得ない。しかし
検査部局について人を減らすということは、
検査院の今までの
検査の
状況、不当
事項の数がふえておるということから、これは何とかして残してもらいたいということで、
大蔵省の主計当局におきましても、
検査院の
検査の実績にかんがみまして、管理部門ではある程度の減員でありますけれ
ども、
検査部門では減員しないで、むしろ管理部門で減員すべき一
部分を、
検査部門にまわしてその強化をはか
つてくれたとか、あるいは実地
検査——書面
検査と実地
検査がありますが、実地
検査の必要性が非常にあるので、この問題は旅費の問題でありますが、旅費につきましても、
財政の苦しい中から
大蔵当局が非常な同情をしてくれまして、一割
余りの増額を——
検査院当局としては満足すべき額ではありませんけれ
ども、しかし少くともこういう一般に
経費節約のやかましく叫ばれておるときにかかわらず、
検査旅費は増額する、
検査部門の人も若干ふやす——この多い少いはもちろん問題はありますけれ
ども、そういう方向に向
つておるので、何とかしてさらに各人の質の向上をはか
つて検査をや
つて行きたいと思
つております。