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1954-02-05 第19回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月五日(金曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 有田 二郎君 理事 大上  司君    理事 牧野 寛索君 理事 松山 義雄君    理事 河野 金昇君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       越智  茂君    塩原時三郎君       高橋 英吉君    徳安 實藏君       山崎 岩男君    藤田 義光君       阿部 五郎君    山田 長司君       吉田 賢一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         国税庁長官   平田敬一郎君         食糧庁長官   前谷 重夫君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峻 保栄君         参  考  人         (日本糧穀株式         会社社長)   片柳 眞吉君         参  考  人         (前食糧庁長         官)      東畑 四郎君         参  考  人         (東京都建設局         長)      滝尾 達也君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 二月五日  委員天野公義君、犬養健君及び安井大吉君辞任  につき、その補欠として高橋英吉君、塩原時三  郎君及び越智茂君が議長の指名で委員に選任さ  れた。 同日  理事天野公義君、安井大吉君及び吉田賢一君の  補欠として有田二郎君、牧野寛索君及び杉村沖  治郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  参考人招致に関する件  国有財産管理に関する件  政府関係機関造船融資問題に関する説明聴取  の件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十六年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十六  年度政府関係機関決算報告書  黄変米の輸入、保管及び処分等に関する説明聴  取     ―――――――――――――
  2. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  お諮りいたします。当委員会において決定いたしました造船疑獄問題について法務大臣から発言を求められていますから、これを許したいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 異議なしと認め、法務大臣発言を許します。犬養法務大臣
  4. 犬養国務大臣(犬養健)

    犬養国務大臣 ただいま委員長からのお話がございまして、当決算委員会におきましていわゆる造船に関する不正事件について、調査をお進めになる旨の御決定があつたそうでございます。法務省といたしましては、もとより国権の最高機関の御決定には敬意を表する次第でございますが、一方当局都合といたしましては、事件を目下鋭意捜査中でございまして、捜査中の事案についていろいろ御調査を願うということになりますと、勢い捜査中の機密にも触れて参ることでございますし、司法当局の断固たる決意のもとにおける事件糾明にもさわつて参りますので、当局都合といたしましては、捜査が終りますまでは御調査をお進めになることについて、ひとつ御猶予を願いたい。こういう考えでおりますので、私の方の意思を表明いたす次第でございます。
  5. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 法務大臣お尋ねするのですが、あなたがここへ御出席になるのにつきまして、予備的知識として当委員会がいわゆる造船汚職事件を取上げておるというふうな御説明を、あるいはお聞きになつたかもしれません。しかし張る一日の当委員会で、私も資料請求をいたしました。もうすでに二十六年度の決算審議は付議されております。そこで運輸省、大蔵省並びに財政投資をしております金融機関、たとえば開発銀行などの予算の執行及び金融の状況について、国政調査のために、時間的には第六次計画造船、二十五年の十二月一日以降第九次まで、この範囲におきまして如上の事実について予算並びに決算が適正に行われているかいないかということの調査対象なのであります。そこで開発銀行、興銀あるいは長期信用銀行など、銀行における融資の経緯の詳細、また運輸省におきましてはそれの裏づけになる運輸省としての、造船じやなしに、船会社から各般の申請があつたことに関する詳細、こういうことが大体この調査対象になつておるのであります。そういたしますと、たとえば検察庁において、法律上の刑事訴訟の手続によつていろいろと御捜査になる、それはそれとして別でありますが、やはり国会国会立場におきまして、ただいまのような方法及び理由によつて国政調査をする権限はあると思います。当委員会は、御承知通りに、衆議院規則第九十二条でありましたか、それにもこのことが明記されてあります。ことに附加しまして、会計検査院所管事項はあげて決算委員会の所掌するところであります。会計検査院におきましても、会計検査院法によりまして直接及び間接に国の補助を受けておる対象に対して調査ができるようであります。同時にそれはこの委員会におきましても調査がし得るのでありますから、こういうような関係もございまして、今お述べになりました趣旨は、やはり国会立場、広い意味における国会法範囲内で運営されておるわれわれの委員会仕事は、制肘さるべき筋合いではなくして、特に国会権威国会自主性国会責任におきまして、やはり調査を進めなければいけません。刑事事件として、被疑事件として調査になつておるということも、高い良識をもちまして考慮に入れて、妨げにならぬようにする、これは別であります。しかしお前の委員会で調べると検察庁仕事にじやまになるということでは、これはまた国会法及び憲法無視になるとわれわれは考えるのでありますが、これについて御所見を伺いたい。
  6. 犬養国務大臣(犬養健)

    犬養国務大臣 よく御趣旨はわかりました。ただ私どもはもちろん、当局といたしましては国会権限決算委員会権限侵害を与えようという気は毛頭ございません。これは御懇談でございますが、ただ決算委員会がこういうふうに決議をして、法務省の方の意向はどうであろうが、国会としては権限のことをなさるので、法務省はどうしようとかつてなのでありますが、そこは御懇談であつたろうと思いますので、御懇談に対するお答えとして、御懇談的に法務省としては捜査中の事件は、あなたの御想像通り、なかなか複雑かつ機微をきわめておりまして、捜査機密にさわつてかえつて検察当局国民の期待にそむくことがあつてもならない、こう考えまして私の方の都合を申し上げたのであります。そういうふうに御了承願いたい。
  7. 有田(二)委員(有田二郎)

    有田(二)委員 ちよつとこれは吉田君のおつしやる通りでありますが、ほかに調べる案件もたくさんあるわけであります。ですから一応検察庁の見通しをつけて、そうして決算委員会としてあくまでも徹底的にやらなければならぬ問題であります。だから一応そういう法務大臣のお気持懇談というお話なんですから、ほかにもいろいろ各省にわたつている問題が本委員会にあるわけですし、もつ造船問題につきましても本委員会で徹底的に究明しなければならぬ問題であります。ただいま法務大臣は現状の打開を言われておるのですから、ひとつ御了承願いたいと思います。
  8. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 なお一点申し上げ、かつ御意見をはつきりしておきたいと思うのですが、検察庁仕事妨げにならぬように国会は活動してほしい、こういう御趣旨に一面からいえば帰するのであります。同時にやはり法務省政府一環であります。それでやはり国会活動支障を生ずるようなことが国会以外のところから起つて来ることがないように、但しそこは懇談とおつしやいましたが、どことく御懇談があつたのかないのか、それは存じませんけれども、もし当委員会に対して、法務大臣の御懇談気持であれば、お互い自主性尊重合つて国会権威とともに行政府権威尊重合つて、その仕事支障のないように、と同時に世上伝えられるごとく、ただちに汚職ありとして甲、乙、丙、丁の人間をさし、もしくは会社をさし、ただちに汚職ありという前提でそれを取調べるというような、そういうものではなく、あくまでも今申しましたように当、不当、正、不正があるということは、あとの結論のことであります。やはり厖大な予算の使い道でありますから、それはあくまでもその筋道を立てて究明するということが、最もなさねばならぬ職責であろうと思いますので、その点は誤解なさらぬように、と同時に御懇談ならばこちらからも、そちらへやはり希望的、御懇談的に自主性尊重をぜひお願いしなくちやならぬと思いますが、いかがでしようか。
  9. 犬養国務大臣(犬養健)

    犬養国務大臣 一々ごもつともでございます。大体これは法務大臣としての権限外になつて、あるいは恐縮かもしれませんが、私が国務大臣として率直に感じますことは、予算の獲得の方には非常に世論も注意いたしますが、予算が正しく使われたかということは諸外国に比べてやや注意が鈍いんじやないか。その意味であなたのおつしやることは一々私ごもつともだと思います。決算委員会において国の予算が正しく使用せられているか監視しなければ、ほかに監視するところはございません。従つて国民決算委員会に期待するところは特に私は大きいんじやないかと思います。そういう神聖にして重大な決算委員会の御任務に寸毫たりとも侵害を与えては申訳のないところでございます。ただ事件事件で非常に今ちようど機密保持の私はピークのところだと思いますので、御懇談が願える余地があるならば検察庁都合としてはかくかくでありますと、ひとつその御判断を仰ぎたいという意味で申し上げたのであります。どうぞ御了承願いたいと思います。     〔「理事会一任」と呼ぶ者あり〕
  10. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 理事会は二度もございましてすでに資料の収集には着手出しておるはずであります。それで今大臣のおつしやつた神聖な重大な当委員会職責寸毫も侵されないことをお望みになつておりますので、非常に私は同感でありますとともに、お互い行政府に対しましても、そのような気持良識をもつて臨んで行きたいということは、これは各自の良識にまたねば仕方がないと思いますが、当委員会におきましてもその点においてはだれも異論はないと思います。そこで具体的に先に申しましたような資料をすみやかにおとり願つて、そうしてそういうことを十分に考慮しながら調査して行くということにすればいいのではないかと思いますので、その点はすでに過去の理事会におきましても一応きめられておることでございますから、適当に進行して行くように今後おはからい願い、また一日の委員会における資料請求につきましても、こういうものはあまり遷延すべきものでなく、ごく簡単なものでありますから、ひとつ取寄せを促進するようにお願いいたします。大体これは良識をもつて臨んで行けば過誤なく仕事は進められるのではないかと思いますから、さように願いたいと思います。
  11. 大上委員(大上司)

    大上委員 法務大臣に一、二お尋ねしたいのですが、本委員会におきまして、本問題を取上げて審議させていただくということにつきましてはわれわれ理事の一人として、これが調査を進めれば、あなたの方の捜査に非常に影響があるという点も考えないでもなかつたのです。ところがわれわれの当店決算委員会は、どこまでも国損が幾らになつておるのかという点であつて、現在検察当局という言葉が出ましたが、われわれは刑事的な問題として本問題を取上げておるのではなくて、もちろんそういう権限は賦與されておらない。だから計数的な面で審議をしようと思うのですが、もしもこれを本委員会審議を続けた場合に、どういう点において捜査支障を来たすか。たとえば公開の席上でやる場合は云々という問題がありましたが、われわれはどこまでも計数というか、国損をねらつておるのですから、その点について、少し決議に加わつた理事として了解に苦しむ点があるので、おわかりであるならばお教え願いたいと思います。
  12. 犬養国務大臣(犬養健)

    犬養国務大臣 あまり詳しいことになりますと、これも機密関係いたしますが、ごく常識的なことでもつてお答え申し上げます。政府補助を受けておる船会社がこの問題に関係しておることは御承知通りであります。従つてその捜査途上におきましては、計数に関する帳簿なども調査をいたしております。またその調査によつては、他の調査にも及ばないとも限りませんので、計数的な御調査ということになりまずと、今起訴を受け、あるいは証拠物件として計数的な書類を押収しておる問題にも触れて来るということにもなりますので、私どもの方としてはこれが捜査の技術に関係をいたしますとまことに今後の捜査にさわりますので、御懇談的にしばらく御猶予を願いたいと申し上げておるのであります。権限に触れて申し上げておるのではありません。
  13. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 法務大臣ちよつとお尋ねしておきたいのですが、昨夜の即下の各夕刊及びけさの朝刊によりますと、造船疑獄と称しておりますが、そういつたことについては、この際行政監察特別委員会調査しておるから、そこで他の常任委員会においてはなるべく調査しないように、こういつたことが運営委員会か、もしくは他の方面から伝えられておるかのような新聞記事が実はあるのであります。そこでそういつたことと、今大臣のお述べになりましたこととは、一体関連があるのでしようか、どうでしようか、その一環として、大臣がここで、別の言葉でいえば一つのブレーキになつて、そうしない方がよかろうというような別の角度からも出て来たのが今の御意見になつておるのでしようか。もしくは織り込まれておるのでしようか。その辺をひとつはつきり聞いておきたいのです。もう一つ聞いておきたいのは、最近の日本国政は、大臣もすでに一言なさつたごとく、やはり使つた予算の跡始末について、ほんとうに究明して行、という態勢をもつと強化して行くのとなければ、政治の正しい姿は望めないと思います。そういうことについて大臣は何かの新聞で、これを考えるべき時節が来たかのような趣旨言葉をお述べになつておることを私はちよつと見たのであります。この点についての御感想、この二つをはつきり聞いてきたいと思います。
  14. 犬養国務大臣(犬養健)

    犬養国務大臣 お尋ねまでもなく、大切なことでございますから、できるだけ懇切にお答えいたしたいと思います。最初の問題でございますが、私も実はけさこつちへ来て新聞で読んだのでのります。議運でそういうお話が起つたということを新聞記事で読みましたけれども、これとそれとはまつた関係ございません。またいかなる委員会も、いかなる政党も、こうしてくれというような内々の御交渉もありません。これはいつも捜査途上においては、検察庁都合国会からお尋ねがあれば、いつも同じお答えをしているのでございまして、御記憶にあると思いますが、鹿地亘氏の事件のときも、検察庁としましては、今捜査途上にあるから、委員会にお呼び出しになることは中止していただきたいということを申し伝えまして、それは受入れていただいたわけでございます。今度が初めてでございませんので、これはいつもそういう態度をとつておるものに基くというふうに御了解を願いたいと思います。  あとのことは、この間猪俣浩三氏からの御質問に答えたのでありますが、事件の真偽、ことにいろいろ個人の名前が新聞にはでに出まして、だれがいいとか悪いとかいうこととは全然別問題といたしまして、日本政治のあり方として、国務大臣の一人として、謙虚な気持でものを一ぺん考え直すときが来ているのじやないかという答弁をいたしたことは確かでございます。また今でも私はそういう心持でいるということを申し上げたいと存じます。
  15. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 今のことですが、国会国会の独自の立場で事をやつて行くのであつて大臣がそういうことを発言されたということは、何かこの決算委員会のやつたことについて妨害にでもなつたような事実があるのでございますか、その点伺つておきたい。
  16. 犬養国務大臣(犬養健)

    犬養国務大臣 ちよつと今の御趣旨が聞き取れませんでしたが、つまり外部からの圧迫でこういうことを述べているか、こういうことでございましようか。
  17. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 委員長としてお諮りいたしますが、吉田委員発言も私はごもつともだと思いますし、また有田委員大上委員発言もごもつともだと思います。ただ私が決算委員長として含までいろいろな事を取り扱つて来た関係上、この事件は私は非常に重大だと思います。そこで行政監察委員会もやつておりますし、運輸委員会もやつておりますが、これは運輸委員会運輸委員会立場でやることであり、法務委員会は、これを法的にどう見るか、あるいはその調べ方がどうかという問題であり、それから行政監察委員会は、これはまた政府予算関係なくても、不当と思つたことをやるのでありますから、そういうものに対して関係ないのです。そこで決算委員会といたしましては、国民の血税がどういうぐあいに分配されているか、どういうふう使われているかということを調べるのが至当なんでありますが、もしわが決算委員会で今これを私が決算委員長としてやるということになりますれば、諸君のごとき優秀な、非常に細心注意委員ばかりですから、数字だけ調べるということにならずに、これは行政監察委員会法務委員会でやつているような素通り的なものでなく、重大な問題に触れて来ると思う。そうすると、やはり今の司法問題にも触れるんじやないかというように私は考える。しかしそれだからといつて法務大臣発言を求められたのは、決算委員会が調べれば、行政監察なんかと違つて相当なところに行くので、事件関係して来るんじやないかと思うから、御相談をされているのです。もう一つ皆さんに御理解を得たいのは、党の幹部からも、議長からも、議運あたりからも、昨日新聞に載つたような問題がなきにしもあらずでありますが、この決算委員長は、御安心ください、いざとなれば委員長を辞職しても、除名されても、やるべき段階に来れば必ず私は断固としてやります。そういうことに対して圧迫を加えられてどうとかこうとかいうことは、決算委員長考えておりません。そこでこの事件は、今有田委員お話のように、もう一回理事会を開いてこれをきめたいと思いますから、ひとつ委員長にまかしていただきたい。
  18. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 理事会を開いてもう一ぺん御相談したいとおつしやいますが、理事会は先月の二十六日、それから二月一日にも開かれている。すでに理事会は数次開かれ、委員会も開かれて、委員会満場一致をもちまして資料の要求も可決せられ、またそれぞれの手続も進められているのでありますから、従つて協議すると申しましたところで、私は大して協議する余地もないと思いますので、委員長にまかしてもらいたいというような御趣意ではありますけれども、やはり過去にきまりました趣旨をひとつ御尊重になつて委員会運営に当つてほしいと思います。やはり今の段階におきましては、早く資料提出方を督促するということをやつていただいて、でき得るならば来週の月曜日にでも何か一般的な運輸大臣説明でも聞くというようなところまで行つてはどうかと思います。
  19. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 わかりました。
  20. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 私は今党の会があつて少しおそくなつて、私が来る前にあるいはそういう発言があつたかしれませんが、あつたとすれば、それは必要がないからお答えいただかなくてもけつこうなんですが、議院運営委員会が、決算委員会法務委員会あるいはその他の委員会において、この造船問題についてはやらないというようなことを満場一致で申し合せたというようなことを新聞で見たのですけれども、われわは議院運営委員会に各常任委員会自主性を制圧するような、そんな権限はないと考えている。委員長自由党であられても、ただいまおつしやられたこと聞いておつて、われわれは非常に心強く感じているのだが、いかに自由党が多数で、議院運営委員を多数擁しているからといつて、この常任委員会のいわゆる自主性侵害するような、そんなことの決議があつたとしても、われわれはそんなことをする必要もなし、そんな権限もないと思いますが、委員長の御意見を伺いたい。
  21. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 杉村委員お答えいたします。議運がどういうことをきめようと、議長や副議長がいかなることをきめようと、そんなものが決算委員会を動かす力はございません。決算委員会は、ちやんと憲法に保障されて、国会法に保障されてわれわれは仕事をして行くのですから、幹部からどういう弾圧を受けても、どういう懇願があつても、聞きません。もう一つ総理大臣といえども委員長をどうすることもできないのです。大臣や政務次官のように、官房長官電話一つで辞表を出しませんから、御安心ください。ただこれは私の考えから見ると、非常に重大なんです。これは公平に申し上げてああいう事件に触れることは間違いありません。そこで決算委員会がここまでやつたためにこういう犯罪人を逃がしたとか、こういうものをやつたとかいうことになりますと、決算委員会というものはその責任を負わなければならぬ。それでなくても決算委員会は相当やはりいろいろなところから少しやり過ぎるものですからあれがあるのです。そういう点を(山田(長)委員「あれというのは」と呼ぶ)いろいろ非難があるのです。
  22. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 ただいまの委員長のあれがあるというのは実に心外に思う。あなたは今まで最も公平な立場で動いて来てくれたと私は信じておつた。しかし今のあなたの一言は私は実に奇々怪々な言葉だと思う。そこで捜査上にどういう事態が発生するかということについての危惧の念をあなたはお持ちになられているだろうということは、私ども想像ができるのだが、しかし決算委員会で過日取上げるということを決定しておると思うのです。その決定線が今ここでぐらつくということについては私は委員長の前の行動とあるいはきのう、今お考えになつている行動と非常に差があると思う。なお私はあなたに一つつけ加えて伺いたいのですが、一昨日の決算委員会かここに持たれたときあなたは何か御事情があつて退席された。それでかわつて柴田君が委員長席についた。吉田さんと私と三人になつてしまつた自由党諸君は一人もいなくなつてしまつた委員長はそれは用事があつて出られたのだからしかたがないとしても、ほかの人が一人もいなくなつてしまつたということで、一本ほんとう決算の重大な仕事が進行できるものかどうか。なお私が委員長に伺いたいことは、あなたは何か会議で外へ行かれたというが、今のお言葉だと――私は危惧の念を持つて伺つてたいへん恐縮なんですが、何かおとといの三時から委員長会議があつた新聞では言つております。そこでその席へ出られて今の問題の審議を延ばそうということが進められたものか、ちよつと委員長に伺いたいと思います。
  23. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 山田委員お答えいたします。私が何かあると言いましたことは、新聞でも御承知のごとく決算委員会が逸脱した行為に出るとかなんとかいうようなことを新聞が書いておりますから、決して逸脱した行為に出ておりません。おりませんが、そういうようなものが新聞に書かれておるというそれを申し上げただけであつて、別に他意はございません。それからおととい委員長会議があつて――おとといではありません、昨日あつたのです。しかし私は熊本君の弔詞を読みに行つておりましたからそれに出席いたしませんでした。帰りましてから議長から電話が何回もかかつた。また自由党でも私を探したのですが、夕方四時ごろ議長室行つて、副議長議長法務委員長運輸委員長と会いました。そのときもほかの委員会が重なり合う事件はやめるというような話が出ていましたが、私は重なり合つておらない、行政監察法務委員会運輸委員会決算委員会の調べは別だ。今までの批難事項でこういう重大なものがあるのだが、議長、どう考えますかと言うと、議長もあなたの正義感はその通りなんだ、しかし勝負がこうやつてどんどんあつちからもこつちからもやられると事件捜査に非常に支障を来すというのでひとつ懇願するのだという話でありました。それから帰りまして何とも私は回答を与えて来ません。議長もあなたの気性を知つておるから押えるとか頼むとか、押えようとは思いません、ただ懇願しているのだ。そこで帰つて来まして、きよう法務大臣を呼んで支障があるかないか聞くかということを党の幹部に私どもが言つたときに、法務大臣から委員会に来て発育をしたいというので、法務大臣に今出てもらつただけであります。委員長としてはそういう考えは少しも持つておりません。ただご承知のことくもしこの決算委員会がこれを調べるということになれば、それは相当あなた方も御承知でしようが、鉄道会館を調べた以上の問題として調べなければならないが、二回か三回委員会を開けばすぐにこの事件の核心に触れて、勝負も、困るようなことも出るかもしれません。それを出さないように行政監察委で調べておる、法務委員会で調べておる、運輸委員会で調べておるような調べ方なら決算ではありません。決算は数字から、払つたものから、利子から、どこにどう貸したかを調べるのだからそこに行くのです。ですからやらないというのではありません。事件はちやんと資料調査しておりますから、吉田委員の言うように、資料をとるまでに一週間くらいかかります。それをどうやるのかということを理事会懇談することにして、何もこれをやめるのではない。資料をとるのに四日くらいかかる。法務大臣にいつごろまでやつたらいいかということを聞くとか、そういうようなことを打合せて、やることはやると言つておるのでありますから、ただ向うから発言された、これをここで勝負に関する重大なことをすぐ拒否したり、これをきめたりすることはよくない。一応理事会に諮りたい。理事でない方も理事会に傍聴する人はどうか傍聴して、理事会に来てください。私は決してそういうような考えを持つておりませんから……。
  24. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 それでは確認しておきたいと思います。有田委員の御発言もあつたようでありますが、理事会を開いて御協議になることは、理事会には聞いていかぬということはあり得ません。ただ、かつてきめました線はくずさないように、それだけの固い約束を願いまして、委員会の総意といたしまして、かつて決定しておることはくずさないようにして、良識を持つてこの事件、この案件を処理して行く、こういうふうなことにしていただきたいと思います。これは動議にしますからさようにおきめを願います。
  25. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 了承いたしました。     〔発言する者多く議場騒然〕
  26. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 御静粛に願います。
  27. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 この間前々回、先週なんですが、私は造船問題についてこういうようなことが新聞紙上に報道されると、悪いことをするやつはみな帳簿を改ざんするから、早く会計検査院に帳簿を調べて資料をとつてもらいたいということを私がお願いしておいたはずたが、その後会計検査院の方では何かこれについてお調べになつたかどうか伺いたい。
  28. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 小峰説明員はわからぬと言つておるのですが……。
  29. 小峰会計検査院説明員(小峻保栄)

    ○小峰会計検査院説明員 前々会の委員会で、杉村委員からそういうお話がございましたので、私の所管ではございませんので、私から事務総長にその旨は伝えておきました。それだけであります。
  30. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 それはあなたの所管ではないかもしれぬが、われわれは会計検査院は一体と思つているのですから、決して不服を言うわけではありませんけれども、お願いしたことは事急を要するから、早く――会計検査院はほかのものと違いまして権限があるのですから、その権限を持つているところの会計検査院であれば、帳簿でも何でも閲覧できるのだからというので特にお願いしたのですけれども、きようになつてもまだわからない。きようから資料というと――すでに一週間たつてしまつておるのですから、お帰りになりましたならば、この間お願いしたことはすみやかに出していただきたいと思います。
  31. 徳安委員(徳安實藏)

    徳安委員 これは記録に残ることですから一言申し上げておきますが、先ほど与党の自由党委員はみな逃げてしまつて一人もいなかつたというお話がございました。これは三日であります。しかし私どもはほかに委員会がありまして、その委員会が済むとすぐここへ参りまして最後まで私は残りましたが、もちろん与党の諸君もいろいろな関係でおいでになりましたけれども、野党の方も質問される吉田さん一人で、あとは全部おられませんでした。私は最後までおりました。ですから与党が全部いなくて、野党だけ全部お残りになつたのじやなくて、私どもも与党の一人として最後までおりました。しかし野党の諸君は、質問される方を除いてあとは一人もおられなかつた、これだけはひとつきよう記録に残していただきたいと思います。
  32. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 その点は、野党の諸君と言うが、私もおりました。私に吉田君に山田君これだけしかいない。こんなことでは委員会の定数も何も問題にならない。これでこの重要なる委員会を進めて行くということは、私は不都合だからというので、それでわれわれは帰つた。そんなことでは私はいかぬと思うのです。いかに慣例があるといいながら三人や四人では……。
  33. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 委員諸君に申し上げます。委員長は公平に、この決算委員会を二期続けて勤めておりますが、野党諸君の方は出席率もいいし、いつでもおられますが、与党諸君の方は出席率も悪いし、机のあいているところが多いです。今後注意してください。     ―――――――――――――
  34. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 この際お諮りいたします。理事吉田賢一君より理事を辞任いたしたい旨の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 御異議なきものと認め、よつて辞任を許可するに決しました。これより理事補欠選任をいたしたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 御異議がないものと認めます。よつて杉村沖治郎君を理事に指名いたします。  本日理事安井大吉君及び天野公義君がいずれも委員を辞任されましたので、理事補欠を選任いたしたいと思いますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 異議なしと認めます。よつて有田二郎君、牧野寛索君の両君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  38. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 前会において旧虎ノ門公園敷地管理について、関東財務局長よりその後の処理経過について報告を聴取したのでありますが、いまだ了承しがたい点がありますので、本日大蔵省当局並びに東京都側よりそれぞれ出席を求めることにいたしました。つきましては国有財産の管理に関する参考人として、東京都建設局長滝尾達也君を指名いたしたいのですが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 異議なしと認め、さよう決しました。なお滝尾参考人は東京都を代表して出席されたことを申し添えます。  それでは管財局長から本件に関するその後の経過につき報告を求めます。
  40. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 両二日前の当委員会におきまして、関東財務局長が出席いたしまして、経過の概略を御報告申し上げたことと存じます。あるいは重複するかもわかりませんが、先般来当決算委員会におきまして御審議を願いましたその後の経過につきまして、概略御報告申し上げたいと思います。  まず昭和二十八年七月に、大蔵省管財局長から関東財務局長あてに、次のような趣旨の通達をいたしたのでございます。二十八年の六月一日に関東財務局で引継がれた土地は、原状とは著しく相違し、その上にニューエンパイヤモーター株式会社が建物を建設して営業を続けている模様であるが、同会社は、行政処分によつて公共用地の使用を許可されたものであつて、賃貸借契約により建物の建設を認められたものではなく、かつ東京都との使用許可処分についても、期限満了の際には施設を会社の経費をもつて撤去し、原状回復の上返還することに明記されているから、借地権は認められない。ゆえに関東財務局において明渡し期間を定めて施設を撤去し、原状に回復するよう内容証明をもつてニューエンパイヤモーター株式会社に申入れされたいという趣旨の通牒を出したのであります。なおそれに附帯いたしまして、この要求に対して会社が応じない場合には、訴訟等の措置によつても要求を貫徹することとし、法務省に対し訴訟の手続を依頼するようとりはからわれたいという但書をつけて通牒をいたしたのであります。これを受けまして関東財務局長は、二十八年十月三十日を最終の期限といたしまして、原状回復の上返還するように申入れをいたしたのであります。なお東京都に対しましては、この原状回復について協力をしてもらいたいという趣旨の依頼をいたしたのであります。ところが二十八年の十月六日に至りまして、ニューエンパイヤモーター株式会社から、次のような懇願書が関東財務局に提出をされました。その写しが私どもの局にも提出に相なつたのであります。それによりますと、これは関東財務局の方にニューエンパイヤモーター株式会社からの書類でありますが、「昭和二十八年九月十六日付御書面により旧虎の門公園敷地原状回復の件について御申入れに接しましたが、同敷地に対する当社土地使用は、当社が御庁初め関係各庁に屡々申し上げました通り、東京都から御許可を得ました使用権が今日も依然有効であると固く信じております。然るに御庁が申入れの趣旨を強行せられるような場合、当社としては会社事業は破産をし、役職員二百名、その家族及び下請関係者を合すれば約一千五百名にも達するものが路頭に迷い、生活にも困窮する如き悲惨なる結果を生ずることま必定であります。因に当社の事業は御承知のとおり貿易庁長官からの御委嘱に基いて、政府の代行機関として発足し、国の為に相当なる貢献を為し来つたものと自負しております。又今日一般交通上自動車の負う役割と、駐留軍始め在日外国人に対する自動車サービス上、政府御期待に貢献を為し得る確信と責任を有するものであります。以上の趣旨を御了承願い、当社の死命を制すべき土地使用関係を継続御容認願うか、或は御指示に基いて昭和二十八年六月十二日付当社からの土地払下げの申請を御許可願うか、何れかの線に添い本件土地の円満な解決の結果を得られますよう、何卒良識ある御処置を仰ぎ度いという懇願書が提出をされたのであります。
  41. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 窪谷政府委員に申し上げますが、その書類はこの前全部読んでもらつたのです。そこで一番最後の結果がどうなつているかお聞きするために呼んだのです。
  42. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 そういう懇願書が提出されたのでありますが、当局といたしましては、この懇願書の趣旨を聞き入れるわけには参らないということから、さらに期限内に明け渡すように催告をいたしたのであります。ところが会社の方ではそれに応ずる模様がございませんので、まだ最終期限前ではございましたが、関東財務局長あてに訴訟の依頼を法務省に出すようにという通牒をいたしたのであります。それに基きまして、関東財務局長は法務省に訴訟提起の依頼をいたしました。目下法務省におきましては、その訴訟の準備をいたしておるわけでありまして、遠からず訴訟の提起になることと考えております。現在の状況はそういう状況であります。
  43. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 その点を昨日伺つたのですが、それは訴訟をどういうわけで出すのです。どうして代執行をやらないのです。この間のお答えによると、こういうお答えをなさつた。東京都の貸付は行政公法上の処分である。しかし今は大蔵省の所管になつているから、それが私法上の関係にかわつたので、明渡しの訴えを起すようにしたのだ、こういう答えなんです。これはきわめて不可思議きわまることなんで、そういうようなばかばかしいことはないじやないか。そこでいろいろ聞いたのですけれども、さつぱり要領を得ないのですが、どういうわけで――それが公法上の処分であつたならば執行ができるのじやないですか。ちやんとはつきりそういう条項が入つておるのです。それを執行なさらないで、そういうようないわゆる私法上、民事上の訴えを起されるのか、その訴えはどういう性質の訴えなんですか、それらをお答えを願いたい。
  44. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 まず第一点の行政上の代執行ができないかという御趣旨でございますが、これは私どもとしては、大蔵省では、行政上の代執行は法律上不可能であるというふうに考えております。仰せになりましたように、当初公園を使用許可いたしましたのは明らかに行政処分でございます。従いまして公園という状態が継続をして公園の管理庁が代執行をやるということでありますれば、法律上その権限があるわけでございます。今この虎ノ門公園の敷地はすでに東京都の都市計画審議会の議を経、建設大臣の許可を得て公園の用途廃止に相なつておるわけであります。用途廃止になりましたあとで昨年の六月一日に普通財産として大藏省に引継ぎになつたのであります。従つて公園の管理者は大蔵省ではないわけであります。普通の財産の管理者であります。従いまして行政代執行法に言う当該行政庁ということには大蔵管は該当しないというふうに考えております。従いましてこれを強制的に立らのかせるためには訴訟に訴える以外にはない、訴訟による確定判決による執行力以外には強制の道はないというふうに考えておる次第でございます。訴訟の内容は現在はすでに使用許可の期限が切れて、無権限に基いてその上に建物を建てて土地を使つておるという状態であるから、至急にその建物を取払つて土地を明け渡せという意味の民事訴訟に相なるわけであります。その民事訴訟の確定判決による執行力。初めてこの建物を強制的に取りのけることができることに相なるというふうに考えておる次第でございます。従いまして行政代執行法による行政上の代執行は法律上できないというふうに考えております。
  45. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 あなたとここで法律上の議論をしておりますとほかの事件が進行しませんから、法律上の議論はいたしません。それはあなたの方の見解ということになりましようけれども、公園であつたからそういうところがどうとかこうとか言いますけれども、われわれはどうもそんなことを承服することができない。いやしくも行政上の処分でやつた行為はどこまでも行政上の処分でなければならない。私法上の処分にかわるはずがないのです。そういうような法律の解釈は、われわれはとうていあなたの意見に承服することはできませんが、あなたの方の法律上の解釈がそうだとあればしかたがないからそれ以上私は議論しませんが、私法上の契約にもなるはずがないのだ。東京都から大蔵省に返したならば国有財産に――なるほどその用途は公園であつたかもしれないけれども、その国有財産を使用収益さしたということは公法上の処分としてやられておるのだから、それができないというはずは私はないと思うが、しかしこれ以上そんな法律論をここで議論しておつてもいたし方がないからいたしませんが、私どもはそういうことには承服することはできない。ことにこの問題につきましては、もう当初からこの点について、片一方は払下げをしたい。またそういうふうにしてやりたいという考えが、大蔵省にも、東京都にも、建設省にもあつたように思われる。この問題を追究して行くと、大蔵省は大蔵省で建設省になすろうとする、建設省は東京都あるいは大蔵省になすろうとする、東京都を追究すれば、さらに大蔵省になすろうとする、こういうような状態であつたことは、当時の速記録を見ればまことに明瞭なんでありまして、私はあなた方のそんな法律解釈には賛成することはできない。はなはだ納得できませんが、ここで法律論をすることは差控えて、いずれあとのことにいたしたいと思います。
  46. 有田(二)委員(有田二郎)

    有田(二)委員 今杉村さんのお話がありましたが、われわれも納得できぬ。そこで法務省を次回の委員会にお呼び願つて、今度は法務省の民事上の告発になるわけでありますから、法務省から、今の管財局長の解釈が妥当であるかどうか、また杉村さんのおつしやる方が妥当であるかどうか、法務省意見を聴取することにしていただきたいと思います。
  47. 河野(金)委員(河野金昇)

    ○河野(金)委員 ここでそんな法律論を私たちがやつたつてむだだと思う。われわれは弁護士の寄り合いでも何でもない。大体東京都が公園といつて借りておつて、そうしてあと建てさせてしまつて、四年過ぎたらとりこわして、もとの公園にするという約束で貸しておきながら、それがにつちもさつちもならなくなつてしまつて、今度はそのまま大蔵省へ返して、そうしてそれで大蔵省は今度はまたその用途を変更さしている。これは払い下げる意思でやつている以外の何ものでもないのだ。だからわれわれは何もここ法務省や何かを呼んで来て、それが合法的であるとか何とかいうことを聞きたくない。東京都は公園として借りておつたものがにつちもさつちも行かなくなつたからといつてなぜほかへ押しつける。なぜ東京都がもとの通りこして画に返さないのだ。借りておいてわけのわからないものにしてしまつて、おかしな、何というか妙なものを五百万円か何かとつておるから、東京都としては何ともしようがなくなつてしまつて、大蔵省に返した。大蔵省はそのしりぬぐいをするためにおそらく法務省へまわして、現に建つてしまつているし、しようがないというようなことで、おそらく安い値段で払い下げるだろう。千二百坪ばかりあるところを六百五十坪だけわずかの値段で貸して、しかも余分に五百万円ばかり東京都はとつておいて、あとの分までただで貸しておるじやないか。われわれはそんな私法上の問題を聞いておるんじやない。国にこういう迷惑をかけておきながら、それがやりにくくなつたらなすり合いをしておつて、それでいいのか。東京都の責任者も来ておるだろうと思うが、東京都はなぜそういうばかなことをやる。東京都がまずもとのものにして返して、原形に復旧して国に返すべきものではないか。それをまた大蔵省ものこのこと受取る方もおかしいじやないか。もとのものにして受けとつてそれから処分することは別であるけれども、もう公園の用途がないなんて何を言つているのだ。ああいうふりにやられてしまつてしようがないから書類上そういうふうにごまかして、という以外の何ものでもない。ここはそういうふうにごまかして行けばいいというところではない。なぜ東京都はそういう措置をしたのか。また大蔵省はそういうわけのわからぬものをなぜ受取つたのか、そういうことを私は聞きたい。
  48. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 大蔵省がなぜ引継いだかということでございますが、当初大蔵省といたしましては、東京都が使用許可をいたしましたのが、ああいうふうな状況になつておるということを承知いたしたのであります。その当時におきましては、会計検査院の方からもどうも公園の実態を備えていないものをいつまでも公園として置いておくのはおかしいじやないか。むしろきれいに用途を廃止して、売り払うなり貸し付けるなりの処分をなすべきではないかというような御意見も承つたのであります。一時大蔵省といたしましてもそういうふうな処置にするのが最も妥当であろうと考えた時期もあるのであります。しかしながらその後いろいろ国会におきます御意見等も拝聴をいたしておりまする間に、そのような考え方はどうも妥当でないということから、大蔵省といたしましてもこれはやはり原状に回復をして公園に復活すべきものであるという省議決定をいたしたのでございます。それと相前後いたしまして、国会の側におかれましても同様趣旨の御決定をいただきまして、私どもはその線に沿つて復活に努力をいたしておるのでございまして、私どもとして別に大蔵省の責任を今度は法労省になすりつけて涼しい顔をしておるというつもりはまつたくないのでありまして、法労省の方と協力をいたしまして、目下訴訟の準備を急いでおるような状況でございます。
  49. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 窪谷政府委員お尋ねしますが、あなたは常識もあり、相当教育を受けておられて局長にもなつておられる方だがこれが公園地としてあつたものを普通財産に――ニューエンパイヤ会社の人が来てここで発言をしているが、これは払下げをするように頼んであるのだ。ここに事件になつて返すということを言明していながら、それを普通財産にすると払下げができるというのだ。公園になつてつたものを普通財産にして払下げできるようにしてあなたの方にもどされて、あなたの方が何ともないとおとりになつたのか。あなた方がこんなことをすれば、これは普通財産だからあすこに建つたの建たないのと民事問題になる。今までは民事問題にならないのだ。そうでないものが民事問題になるのだ。そういうことにお気づきにならないのですか。しかもあなたの方から訴訟を出したのは六百五十坪です。あとの土地は何しておるのか。あなたは役人としてここへ来ていつもうまい説明をしていますけれども、血税をとられて泣いておる者がおるのだ。この責任をどうするのだ。
  50. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 なぜ引継いだかというお話でございますが、これは公共団体に対して無償で貸付してある土地でございます。国有財産法の第二十二条六よりますと、「各省各庁の長は、第一項の規定により、」と申しますのは、公共団体において、緑地、公園、ため池、火葬場、」その他と書いてありますが、その用に供することができるという規定に基きまして、国有財産を無償で貸付をいたしました場合におきまして、「公共団体の当該財産の管理川良好でないと認めるとき又は前項の規定に該当すること」と申しますのはそれを営利を目的に転用したというふうな場合でございますが、ただちにその契約を解除しなければならないという規定があるのでございます。それの精神から見ますと、すでに公園の用途にその当時においては供していないということでございますれば、法律の精神からはその無償貸付の契約を解除いたさなければならぬという筋合いに相なろうかと思うのであります。従いまして、当時大蔵省といたしましては、この規定の精神をくんで、東京都に対しましては公園に復活できるということならばいいけたども、それでない場合は引継ぎをすべきではなかろうかという申入れをいたしたのであります。当時東京都におきましては、これは期限が切れた後には公園に復活するんだというお話かございました大蔵省といたしましてもその言を信用して期限が切れるまで来たのでありますが期限が切れましてもどうしても公園に復活するような状況がございません。建設省の御意見もございまして、都市計画審議会の決定を経て公園の用途廃止をいたしたのでございます。公園の用途廃止をいたしますと、東京都が管理をする権限がなくなるわけでございます。当然これは大蔵省に引継ぎをなすべき事柄になります。財産をだれが管理をするか責任者がわからないという状況では相済みませんので、公園用途廃止がございましたので、当然のこととして大蔵省は引継ぎをせざるを得ないという状況に相なつた次第であります。その間別に何ら私どもとして不当な利益を会社に与えてやろうというような考えはごうまつもないのでございます。その点御了承を賜わりたいと思います。
  51. 河野(金)委員(河野金昇)

    ○河野(金)委員 まるで言葉だけは懇切丁寧のようだけれども、実に責任回避の答弁である。大体東京都が公園に使うと言つたから大蔵省はただで貸しておつた。その東京都が一部分の地代をとり、それが援助費か、何という名目か知らぬけれども、数百万円とつて四年間貸しておる。そういうことを大蔵省は知つてつたのですか、知らなかつたのですか。知つてつてそれをただで貸しておつたとすれば、これは共犯じやないか。大蔵省も同じことじやないか。この問題をもう少しはつきりしないと、大蔵省の問題はいろいろあるから、もつと徹底的にやりますよ。国有財産をむだに使つてむちやくちやにやつていることを幾つも知つておる。もう少しはつきりしたらどうですか。東京都に公園だからただで貸しておつた。その東京都は地代をとり、それから数百万円の金をとつてつたのだが、そういうことを知つておるのかどうか。おそらく今なら知つておるだろうけれども、それに対して大蔵省はどうしたのですか。何かその辺になれ合いがありはしないのですか。
  52. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 当初にはそういう状況は聞きませんでした。この調査を開始いたしましてからそういう経過に相なつておるということがわかつたのでございます。  それから先ほど委員長からの御質問に答え漏らしましたし、また先ほどの御質問とも関連いたすのでありますが、正式の貸付になつておるのは六百五十坪でございます。ところがあの地域は千百三十六坪でございまして、あとの地域は、当初の状況を聞きますと、都市計画で道路敷になるということから、それが貸付の対象からは除外をされておつたようであります。従つて、六百五十坪以外の地域につきましては会社は何らの権限なくして使用しておるという状況でございますので、今回の解決のときにその弁償金を請求する考えであります。なお、現在は会社との間には何ら法律関係はないのでありまして、法律関係はなくて事実上会社が使つておるという状況でございます。しかしながら、国有財産を使つておるという状況にはかわりはないのでありまして、これは契約に基く貸付料としては徴収することはできないのでありますが、その弁償金として徴収するという考えをいたしておるのであります。それらの間の処理は十分慎重にやつて行くつもりでおります。
  53. 高橋(英)委員(高橋英吉)

    高橋(英)委員 私はこの問題は初めて聞いたのですが、今聞いておると二つの場合が想定されるのです。東京都の方が最初の目的通りの公園に使用しなくなり、いろいろないきさつがあつてもてあまして大蔵省へ土地の問題の解決を押しつけたのか。もしくは大蔵省の方で、使用目的に反する管理、すなわち都の管理が不都合だから、都の一管理権を剥奪するというふうな意味で、進んで都の方から管理権を剥奪して大蔵省の方へ引取られたのですか、どつちですか。その点ちよつと今聞いておつて河野君なんかに言わせると、東京都の方がもうにつちもさつちも行かなくなつて大蔵省に返したようにとれるし、またあなたの説明を聞いておると、大蔵省の方が進んで東京都のやり方が不都合だから引取つて大蔵省独自の見解で問題を処理しようとしたというふうにもとれるのですが、いずれですか。
  54. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 当初大蔵省といたしましてはどうも公園のかつこうをなしておらないものでありますから、この規定の精神に従つて引渡しをすべきものではないかということを東京都に言いましたことは事実でございます。ところが東京都の方におきましては、一時こうなつておるけれども、公園に復活するというお話がございましたので、それはそれとしてまた意見尊重して参つたのであります。それが期限が切れましてもどうも公園に返らないというふうな状況に相なつております。その間都市計画審議会の方で公園を廃止して大蔵省に引継ぐということに相なつた次第でございます。
  55. 河野(金)委員(河野金昇)

    ○河野(金)委員 ここへ東京都の建設局長かだれか責任ある人が来ておりますか。
  56. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 滝尾さんが知事の代理で来ております。
  57. 河野(金)委員(河野金昇)

    ○河野(金)委員 東京都は大蔵省から公園に使用するために借りておつた。それをただで使用さしてもらつておるやつを、東京都は相当のものをとつてあのエンパイヤモーターへ貸した。そして永久建築じや困るという、それは契約のときは四年を過ぎたら返すという約束でやつておるけれども、ああいう鉄筋のものが建ちつつあるのを東京都は傍観しておつた。建ててしまつたら向うの方はなかなか動かない。動かなくなつたから、今度は大蔵省の方へあなたの方が返したのじやないか。東京都はただで使用さしてもらつてもうけておるのだから、せめて原形に復帰して、そしてあれは公園に使わないから何かにしてくれと言つて国へ返すならいいけれども、ただで使用さしてもらつて金だけとつておいて、そしてにつちもさつちもならぬものにして国の方へ返すというのは一体どういうわけです。あなたのところならあの契約があるから、司法関係にしなくても取返すことができたはずです。あなたの方が向うへやつたのか、向うからよこせと言つたのか、そんなことはどつちでもいい。高橋君の言うようなことはどうでもいいけれども、問題はなぜあなたの方が原形に復帰してから返さなかつたのかということです。
  58. 滝尾参考人(滝尾達也)

    ○滝尾参考人 これは前の議会の当時から問題になつたのでありまして、いろいろ御説明申し上げておるのでありますが、この前の春の時分にその経過もよくお話したのです。要するに公園を廃止してしまうか、あれを残してまた公園にするかという問題になるわけですが、国から拝借した土地でもありますし、監督官庁である建設省、また大蔵省とよく御相談の結果、一応あれを廃止して大蔵省に返す方がいいという結論を得ましたので、それに従つてそういう措置をとつたのであります。
  59. 河野(金)委員(河野金昇)

    ○河野(金)委員 おかしな説明だと思うんだ。ただで借りて、あとあれをまた公園にするか何にするかということは、これは東京都が使わなければ大蔵省の方、国の方で考えることであつて、あなたの方は公園として借りておつたのを、とにかく頼まれてかどうか知らぬけれども、エンパイヤモーターに四年間貸しておつたのだから、あとの使用方法のことはあなたの方は考える必要がない。公園としてやつて行きたいならそれでもいいけれどもあとの使用方法は国の方で考えることであつて、あなたの方としてはあそこは公園として借りておつたのだから、少くともああいう建物や何かだけはのけさして、そしてもう一ぺん公園にしたいとか、あるいはあんなところは公園には使えないからどうなどしてくれと言つて返すのがあたりまえであつて、公園として借りておつたのを、金をもうけておいて、そしてあと公園にせぬでもいいと思うから返す、そういうふざけ切つたことはここでは通りませんよ。あなたのところならあんな裁判手続をとらないでも、これは行政処分でできたはずです。それをやつてから国の方へ返すことが私は筋だと思う。そういうことをなぜやらなかつたのですか。
  60. 滝尾参考人(滝尾達也)

    ○滝尾参考人 これは建設省、大蔵省と協議してその方法をとることにきまります。
  61. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 私は東京都についてはこの前に聞いたので、もうあきれた答弁をしているのだが、大蔵省の今の説明でもまた実に無責任きわまることを言つている。これはこの前も大蔵大臣に出てもらつてひとつ聞きたいということになつてつた。なお私は大蔵大臣出席を求めますが、まずあなた方大蔵省当局の今の法律論だと、東京都がやるのであつたならば代執行でできたのだ、ところが今では私の方になつたのだからできないのだ、こういうことだ。そうならばあなた方は東京都から返されるときに、自分の方へ来たのでは代執行ができなくなるが、東京都がやれば代執行ができるのだが、そういうことについて考えなかつたのか。その当時はそういう法律を知らなかつたのか。あなた方の今の法律の見解で、自分たちがニューエンパイヤモーター会社の建物があるのをそのまま東京都から受入れて引継いだならば、東京都の行政処分に基く代執行は自分の方ではできなくなるということがわかつてつたならば、これはわれわれの方で普通財産として受入てしまつたら、東京都が行政処分でやつたことが効力がなくなつてしまつて、司法上のいわゆる裁判所に訴えなければならなくなるから、それよりもあなたの方の手でこれをやつてとりのけさして返してもらいたいと、こういうようなことに気がつかなかつたのか。その当時は法律を知らなかつたのですか、どちらですか、それを伺いたい。
  62. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 当時の状況といたしましては、この引受けました土地の処分についての考え方かまたはつきり決定をいたしておらなかつた。とにかく公園という状況でないものであるから、一応現状で引継ぎを受ける以外にはなかろうというふうな考え方であつた考えるのであります。
  63. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 あなたは寝言みたいなことを言つているんです。この土地に対する考え方がきまつておらなかつたと言うけれども、私どもから言えば東京都が実に不都合千万だ。この東京都内の一坪の緑地地帯といえども、これは非常に重要なんですよ。ことに虎の門公園なんというのは一千坪もある。周囲の児童にとつても、衛生上からいつても、都民の保健上からいつても非常に必要なんだ。だからこれを東京都が廃止するなんということはとんでもない話だ。東京都は大蔵省にも建設省にも、ぜひこれは東京都の公園としておいてもらいたいということを懇請しなければならぬ。ところが東京都はやはりニューエンパイヤモーターから金をとつているのだ。そういうような関係で、このうしろには暗い影がさしている。これをニューエンパイヤモーターに払下げをさせるためには公園を廃止して、普通財産として大蔵省に返してやれば、そこで大蔵省の方が払下げすることができるであろうという観点に立つて、これは公園を廃止した。そして大蔵省に返した。今あなた方がそんなところへ条文を持つて来てひつくり返しているけれども、われわれはそんな条文の論争をしようとしているのじやない。われわれでも法律の一ページを知つているが、そんな法律談議を聞くつもりはない。そういう法律を知つてつたならば、はつきりそのときに――裁判所にこんな訴えを起こしてごらんなさい。第一審、第二審、最高裁判所に行くのには五年も六年もかかりますよ。その五年も六年もかかるのが、東京都にやらせれば代執行であすにでも片づく。一日で片づくのです。その一日で片づくということを法律で知つているのじやないか。当該行政庁なんてあなたはさつき説明したでしよう。当該行政庁がやればできると、あなたは今条文を読んだじやないか。それならなぜ東京都にそれをやらせて、原状に回復して国有財産を管理しないのですか。それが今になつてそんな条文をここへ持つて来て広げて、われわれに説明をして、それでごまかそうつたつて、われわれはそんなことにごまかされない。委員長、この問題はこれらの属僚ではわからないから、ひとつ大臣をここへ出してもらつて、そしてわれわれはこれを糾明したいと思いますが、皆さんいかがですか。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  64. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 今大臣を呼びにやりました。
  65. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 先ほど同僚河野委員から質問されましたように、東京都から大蔵省がもどされるときに、大体大蔵省の怠慢があると思う。これが一つ。それから、東京都としても、とにかくただで借りておるところを、五百万も権利金をとつておる。こういう事態は、実にけしからぬ事件です。  なお、その後私は調べたのでありますが、実はこのニューエンパイア会社の二階に通信社があつた。その通信社は、莫大な権利金をとられてその二階に巣をくつておりました。現在その通信社は、とりこわしをされるからとにかく急いで立ちのかなければならないというので、ニューエンパイアの方から交渉を受けて、立ちのかされております。そういう事実がある。ですから、ニユーエンパイア会社なるものは、権利金をよそからとつて東京都に出しておる。まことに奇々怪々な事件です。なお、東京都の方では、建設省にも大蔵省にも相談をしたということを、先ほどの参考人は言つておりますが、この建設局長の話が事実であるとするならば、大蔵省としても建設省としても、何か一連の疑惑をわれわれは感ぜざるを得ないのであります。  なお、この問題については、六百六十坪の建物を二年前に見に行つて、この現場を見ているわけですが、実際は六百六十坪ではなくて、千百三十六坪を使われたことは事実であります。東京都のまん中で、どんなことを考えても、周囲は二十万ぐらいするところです。この土地だけが坪五円十銭で貸されておつた事実は、どう考えても気違いざたです。ですから、千百三十六坪は、計算してみると一坪二円五十銭にしか当つていない。今、どんないなかに行つたつて、こんな坪二円五十銭などというべらぼうなところはあり得ない。そういう点で、先ほどから言つておりますが、大蔵大臣がどういう考え方でこれを受取つたか。なお、大蔵省の役人にしても、東京都がそんなうやむやな建物を建てたまま引継いだということについて、どうしても理解できません。どうかそういう点について、明快な大蔵当局お答えを願いたいと思います。
  66. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 常識的に考えて、どうですか。一坪二十万円以上するところが、坪二円五十銭にもついていない。それをそのまま借りて、家を建てさせて、それがちやんと代執行でとれるよりになつたものを、とれないようにして、あなたの方で引受けて、民事で払下げできるような芝居を打つて、ここでもつてつまらない法律論なんか言わなくてもよい。あなたのような人がたくさんおるから、不正事件がたくさんあるのです。常識上どう思うのですか。私のうちの女中さんでも、そんなとは知つているはずだ。これは許しませんよ。それから、もう一つあなたにお聞きしますが、東京都が何百万と賄賂をとつて、この公園地を借りたのでしよう。しかも、四年たてばもどすということにした。そこにあんな大きなもどさないようなものを建てて、しかも六百五十坪を千三百坪も使つて、道路だ、敷地だとかいつて、許されますか。それでは、こういうことを許してくれますね。国有財産の上に、人がどんどん黙つて家を建ててしまつて、その国有財産の使用が不能になれば、あなたの方でそれを全部民間に払下げしますか。ほうつておきますか。全部民事裁判でやつてくれますか。私は、あしたすぐに知つている一万坪ばかりの土地に、貧乏人で困つておる人に家を建てさせてやろう。そんなばかなことはないじやないか。一坪二十万円以上している土地ではないか。何百万と賄賂をとつているのがわかるじやないか。そういうものが許されるならば、あした一万坪の土地に、貧乏人のために家を建てさせて、これは不能になつたからといつて払い下げなさい。そして民事裁判を起しなさい。弱い者は、そんなことをしたらすぐ懲役じやないか。これを返事しなさい。
  67. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 委員長のお説まことにごもつともでございますが、当時の価格の算定は、東京都でおやりになつたものであります。たしか当時はまだ地代の統制があつた時代だと思いますが、その統制令の趣旨によりまして、計算をやつたのであります。
  68. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 そんなことを聞いているのじやない。
  69. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 委員長が言つたことがわからなければ、私から聞きます。あなたの方では不法占拠だからということで、法律上何ら権限がないから裁判を起しておるのだというが、そうなつて来ると、法律上権限のない者が、家を建てたくても家のない者が、まだそこらにたくさん官有地があるが、そこに家を建てたときに、あなたの方では、どうもしかたがない、法律上権限のない者が家を建てたけれどもどうすることもできないから、ひとつ東京地方裁判所に訴えを起す、そして負けても勝つても最高裁判所までやつて行くのだということで、そういう処置をされますか、伺いたい。
  70. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 現行の法制におきましては、結論としてはそういうことにならざるを得ないかと思います。これは普通財産のように、不法に、契約なしに建物を建てました等の場合には、行政代執行の法律の適用はいたすことができないのでございます。これは現行の法制におきましては、訴訟に訴えまして、確定判決によるほかはないというような法制になつておるのであります。
  71. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 そうすると、結局は今の法制上では、最高裁判所の確定判決のあるまではいたし方ない、手は出せない、こういうことになりますな。イエスかノーか、それだけでいいです。いろんな理由はいりません。
  72. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 もちろん第一審の判決が確定いたしますればそうでありますが、どちらか当事者の双方から控訴なり上告なりいたすと、最高裁判所まで参るということに相なります。
  73. 阿部委員(阿部五郎)

    ○阿部委員 お尋ねしますが、国有財産が不法占拠をやられた場合に、それを回復するのは訴訟によるほかはないとあなたはおつしやるのだが国有財産の管理の責任を負う者として、そういうことが起ることがあつて、それであなたは善良なる管理者として注意を払つて、国有財産を管理しておるものと言えるのですか。今回の場合ですが、これは東京都から引継ぎを受ける時分に、あなた方当然の責任を負つている人々の処置が適当であつたならば、ただちにとりあげさせて、国家がこの土地を回復することができたはずなのであります。それはあなたも認めるでしよう。そうしてなおかつその処置をとらないでおいて、あなたの言う通り――私はそう思わないのです。私が法律解釈をするならば、もつと処置があると思うのですが、あなたのお説によれば、今のところは民事裁判によるほかできないというのですが、そういう事態を引起して来たのは、あなた方の責任ではないのですか。あなた方はそれで善良なる管理者としての注意を払つて、国有財産を管理していると思つているのですか。その点を聞きたい。
  74. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 第一点の、国有地の上に不法に建物を建てる事態が起つたとき、そのこと自体につきまして、すでにそれは善良なる管理者の注意が行き届かないということになるのじやないかという仰せは、まことにその通りだと思います。しかしながら建ちました以上は、どうもその後の善後措置としては、訴訟に訴える以外はないというのが現行の法制かと存じます。  それから第二点の、東京都がやつておるならば、行政代執行ができて、簡単に取払いができたのではないかということでございますが、行政代執行と申しましても、いきなりとりこわしができるというものではございませんで、一定の期間を定めまして警告を発しまして、その警告を発しました期限内に向う側でとりこわしをいたさない場合に、その管理者の側において、かわつてとりこわしをするということに相なるのでありますが、それに対しましても相手の方では訴願なり、異議の申立てを許される道が開かれておりまして、その場合にも争いが起りますれば、結局訴訟に行かざるを得ないというふうなことになつております。
  75. 河野(金)委員(河野金昇)

    ○河野(金)委員 こんな議論を聞いておるとばからしくなるのです。大体こういうのに国の財産を管理さしておいたら、実際国民がかわいそうでしようがない。だからこれと同じ考え大臣がおるということなら、これまたたいへんなことだから、大臣を呼んで――国の財産は、これは現われて来ておるのは一つだが、国有財産はまだたくさんあるから、こういう考え方で国の財産を取扱われたらたいへんなことになる。こういうつまらない議論を聞いていてもしようがない。大臣が来られれば別だが、大臣が来られないとするならば、こういうつまらぬ説明を聞くのはやめて、そうして大臣の出られるときに大臣からはつきりとこの国の財産の管理に対するところの態度を聞いて、今日説明をするがごとき考えでないとするならば、こういう管理の仕方をしておる者は少し考え直してもらわなければならぬ。行政整理など一番いいときだと思いますから……。重要な国の財産をこういうことをしては私はいかぬと思います。こういうむだな議論はきようはこの程度でやめていただいて、責任ある大臣が来るまで待つということにしておきたいと思います。
  76. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 この問題を究明する一つの参考に私は伺つておくのですが、このニューエンパイヤ会社の顧問になつている自由党の山口喜久一郎さん及び東京都知事の弟の安井さん、この二人がその後東京都知事を通し、あるいはその他の方法を通じて滝尾局長に何か参考になるような話があつたかどうか、参考に聞いておきたいと思います。
  77. 滝尾参考人(滝尾達也)

    ○滝尾参考人 この問題については御両名から何も承つておりません。
  78. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 滝尾参考人に申し上げておきますが、これはむしろあなたの方の管理として、あすこで訴訟裁判とかなんとかされておれば問題はないのです。それを今のようなことでは、これは重大な問題になりますよ。東京都に、あなた方に土地がたくさんあるのを知つていますから、そういうところに家をいくらでもただで建てますよ。賄路でも使つてあんなものを建てるよりか、だましてとつた方がいいくらいですよ。これはよほどよくお考えになつておかぬと問題になります。
  79. 滝尾参考人(滝尾達也)

    ○滝尾参考人 今賄路とおつしやいましたが、その場合、賄路というものは受取つたものでございますが、やみからやみに入つて行く金では決してございませんので、使用方法はやはり管理しております。他の公園の整備に使つたりしておるのでありますから、その点御了承願いたいと思います。
  80. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 今予算委員会で何か大蔵大臣が答えをしておるということですか、それが済めば来るというのですかり、間もなく来るでしようが、それまと東京都のことで伺いたいのですが、東京都はこのニユーエンパイヤに貸すときに、木造で建てろということを言つておる。ところが東京都は鉄筋コンクリートで建てておるのを知つてこれを建てさした。四年間でこわすのだから、こわすには鉄骨の方がむだにならないで使えていいからということを昨年の国会で答えておる。そうしてとうとうこれをこのままにしてしまつて、今日この公園を公園でなくしてしまつたのですが、東京都としてはここに公園のある方がいいのか、悪いのか、東京都はこういうことをしてしまつて、これをどう考えておるのか。こういうことになつておる状態に対して東京都はどんな考えを持つておるか。あなた方ではほんとうのことはわからない、知事に来てもらわなければならないが、ついでにあなたの考え伺つておきたい。
  81. 滝尾参考人(滝尾達也)

    ○滝尾参考人 東京都内と申しますか、おいおい人口もふえるのでありますから、公園をできれば確保して参りたいというふうに……。
  82. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 そういう議論をしていてもしようがない。大蔵大臣が来られるまで、それでは麻袋の問題に入りたいと思いますが…。
  83. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 これは問題を分割しない方がいいのじやないですか。この問題について何か…。
  84. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 私からちよつと窪谷政府委員に聞いておきますが、あの土地の半分が契約の対象になり、半分が空地である。これはわれわれ実地を見てよく知つておるのですが、その空地の部分には自動車を置いてあり、駐車してあるのですが、ともかくそれは空地には違いないが、空地のものでも将来損害賠償をとるというような処置に出て、現実に空地のものを即刻国が専用して行くという処置をとらなければならぬと思うが、それについてどうお考えですか。
  85. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 仰せになりましたように、六百五十坪以外に会社が使用しておる面積もあるのでありますが、これにつきましては、解決するとき、会社が専用しておりました面積に応じて損害金は徴収をいたす考えであります。なおこれを強制的にまた立ちのかせるということは、これもまた先ほどおしかりをこうむりましたように、弁解がましいようなことになると思いますが、一体として訴訟を起してやる以外にないというふうに考えております。
  86. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 そうではないのです一体として訴訟を起す以外にないというのではなしに、不法に専用しておるというのは六百五十坪、空地というのは自動車の駐車に利用しておるにすぎないのです。それすらも損害賠償にゆだねて、九年あるいは十年以上も遠い将来に損害をとるというようなことがふに落ちない。なぜ空地なら空地をそのままに国の専用に移すことをしないのか、その点についての答弁を求めておるわけです。
  87. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 一応六百五十坪の方は、一時は正当な権限に基づいて使用をいたしておつたのでありますが、それが道路敷になるというようなことから入れかえをされたように聞いておりますので、国の方で直接さしあたりあすこを使用しなければならぬというふうな必要もございませんので、現在のような状況に相なつておる次第であります。
  88. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 大臣が来ましても、ぼくは若干の時間を利用するのだけれども、良心に訴えて答えなければいかぬ。さしあたつて使う必要もないからとらずに、将来損害賠償の請求をするということは、およそこれまた意味がない、子供の論争になつてしまう。だからそういうことじやなしに、必要があるとかないとかは何もあなた方事務当局が判断するのじやない。国が自分の所有しておるものを不法に妨げられておる実情にあるのだから、それをどう使うかは別として、可能な範囲はすみやかに国が専用して行く。建物を建てておるのは、これまた別個の方法をとつて行くということなら一応わかるが、その空地すらただちに使うことを、専用することを躊躇しておるという理由がわからない。あなたが説明できなければ大臣に聞きます。
  89. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 これは将来は道路敷になるような予定の土地でありますので、あそこをかりに区画をいたしてしまいますと、ほかの車の出入りもできないというふうな状況に相なりますので、どうもまことに困つた事態ではございますが、一体として解決する以外にはなかろうかというふうに考えております。
  90. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 決算委員長は、あなたに対して強いことを言うわけでも何でもないけれども、ニューエンバイヤの土地をごらんになりましたか。
  91. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 見ました。
  92. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 あれは千三百十何坪のうち、なるほど六百五十坪を使つているのだが、まん中をとつたりしてしまつたから、使つたのは六百五十坪だけれども、あつちに少し残り、こつちに少し残るということになつておるのを御存じですか。
  93. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 承知いたしております。
  94. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 そうしたら、こんな答弁はおかしいじやないですか。委員の人が知らぬと思つてあなたがおつしやると、この決算委員会は非常に強硬なような委員会だが、予算をわけるとき灰皿まで投げてわける。国民が泣いて納めた税金や国有財産は、みんな国民の共同財産ですから、ここでは暴力は振いませんけれども、それをそういうぐあいにされて、そういうことを言われるのはおかしいじやないか。一番いいまん中をとつてしまつて、六百五十坪を使つたけれども、あつちに少し残り、こつちに少し残り、あれはどうするのですか。そういうことに対して良心的にもう少し弁明してもらわぬと、われわれが強く言うのは無理ないです。決算委員会というものは、決して私情で動いているのではありません。国民の血税の行方を探しているのです。よくそういう点をお考えになつてください。あまりやり方がひどいですよ。よくあなたごらんになつてください。予算をわけるときには、総理大臣まで出て答弁して、灰皿を投げなければわけられない。その予算がどんなふうに使われても、ここで調べることはできないということでは、国会はいりません。予算委員会より、もつとここは重要なところです。予算はとれないならとれないで節約するとか何とかして、とつたものを政府が使つたことについて調べるのは当然だから、もう少しお考えになつて、良心的に答弁してもらいたい。
  95. 河野(金)委員(河野金昇)

    ○河野(金)委員 あんまりニユーエンパイヤ・ビルに対して親切すぎるのだ、そのあいているところをとられたら向うが困るだろうから、あとで一緒にやつてやろうというのは、あまりに親切すぎる。悪いことをやつて、不法に占拠したりなんかしている者に対して、占拠しておつたら、向うが不便を感じるくらいにして、向うから自発的に出て行くくらいのことをやつてもいい、とは言わぬけれども、それをやるのが普通はあたりまえなのに、あなたは、悪いことをやつてるのに対して、あまりに寛大過ぎるのはどういうことか、せめてあいてるところくらいは、まず国の方で確保しておけばいいのではないか。どうせ悪いことをやつたやつは、最後に一ぺんにやるにしても、まあ五年か六年かかれば、向うは喜んでいます。向うの方ばかりあまり喜ばせるのでなしに、国の財産を預つておるのだつたら、もう少しニューエンパイヤだけでなしに、国民全体のことを考えてやらぬといかぬ。さつきの答弁は向うに親切過ぎるが、答弁をやり直す気持はないですか。
  96. 窪谷政府委員(窪谷直光)

    窪谷政府委員 お説ごもつともでございます。一般公衆の立入りしないような区域につきましては、もう一ぺん現場を精査いたしまして、御趣旨に滑りような処置をとつてみたいと思います。
  97. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 それではお諮りいたしますが、大蔵大臣は手間がかかるのでこの次にいたしまして、次回には必ず呼びますから、きようはニューエンパイアの問題はこのくらにしておきます。参考人の方御苦労さんでした。     ―――――――――――――
  98. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 次に、前回に引続いて、黄変米並びに麻袋に関する問題を聴取審議いたします。本問題に関しましては、すでに前後六回にわたり調査いたして来たのでありますが、なお問題の核心を把握するためには、当時の関係者から事情を聴取する必要があると考えましたので、去る二月三日の理事会におきまして、関係者を参考人として招致することに協議、決定いたしたのであります。つきましては、その参考人として日本糧穀株式会社社長片柳眞吉君及び前食糧庁長官東畑四郎君を招致して意見を聴取いたしたいと思います。従つて右両君を参考人に指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定しました。  つきましては参考人各位に一言申し上げます。御多忙中にもかかわらず御出席を煩し、かつ審議関係上、時間もいささかかかろうかと存じますが、本問題の重要性にかんがみまして、何とぞ事情を率直に述べられ、本問題の解明に協力せられんことを切望する次第であります。  また委員各位におかれましても、質疑の重複を避け、なるべく重点的に検討せられんことを要望いたしておきます。  それではただちに質疑を許します。柴田君。
  100. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 麻袋の問題を主として伺いたいと思いますが、この麻袋が問題になつておりました昭和二十六年の八月に三百万袋を購入し、あるいは昭和二十七年の十二月に重ねて五百万袋を食糧庁が食管特別会計で購入しておりましたが、この当時の長官が、東畑さんでございましたろうか、この点をまず承りたいと思います。  東畑さんでございましたといたしますならば、われわれは計数上いくらそろばんをとつてみましても、どうしてもむだなように考えられまする麻袋を、大量に購入されたという根拠を承りたい。  もう一つは、昭和二十六年にお買いになりました当時には、朝鮮事変直後で、諸物価が高いのではございましたけれども、この麻袋に限つて一枚二百九十円という特段に高価なものを購入しておる。その後二月、三月とたつに従つて、随時これが値下りを来しておるので、莫大な国損をここに与えておる。こういう問題は、大体今日まで前谷食糧庁長官からもそれを承つておりましたが、当時の責任者であられた東畑さんに、その点をもう一度率直に承りたいと存じます。
  101. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 昭和二十六年に三百万袋を買いましたときは、実は私の前でありました。私は昭和二十七年の一月七日から昭和二十八年の三月まで長官をやりました。従いましてあとの分は私の時代に購入いたしたものでございます。実は、前回の決算委員会に食管長官として出ましたときも、麻袋の問題はございましたが、昨年の二月でございます。このときは相当な問題であることを、はなはだ申訳ございませんが、初めて実は気がづいたのであります。不勉強の点は重々おわび申し上げますが、そのときはすでに私の責任で次のものを前の十二月に買つてつたというのが事実であります。当委員会で非常に問題にされましたのは、二十八年二月でございます。買いましたときは二十七年の十二月になつております。それを買つた基礎は、需給推算上のいろいろの説明をいたしたかと思いますが、結果において、非常に判断が誤つてつたということは率直におわびを申し上げます。実はその当時は大麦を入れるということのために、麻袋の需給推算をやりました結果、そういうことになつたのであります。私の責任で実は決済をいたしたのであります。率直に申しまして、特にこういう問題が起りましたのは、私が反省してみますと、昭和二十七年に麻袋を食糧庁が相当持つておりまして、これが実は物品特別会計として持つておりました場合に、どんどん流れ薫りますので、どこへ行つてどうなるかということは何ら取締りのできないものである。中に米が入つてつたり、麦が入つておりまして、だんだん交換中に物が悪くなつて参るというので、私はこういうむずかしいものはなるたけ政府の特別会計から切り離して、政府の特別会計で扱わない方がいいのじやないかということをみずから主張いたしまして、実は相当部内の会議をやりました。そのときに私は一度こういうことを申したのであります。麻袋というのは非常に価格が不安定で動揺するが、包装材料として非常に重要である。しかしこれはなかなか管理が容易じやない。しかし食糧庁としては麻袋をある程度持つておれば価格安定になるのじやないか。ある程度市場に対する価格の牽制になるから、思惑も起らないのじやないかということを実は私思いたしました。米の需給、麦の需給と同様な意味において、重要な包装材料として食糧庁で麻袋を相当持つておれば価格が安定するのじやないかということを、私自身が部内の会議で主張したことがございます。たしか七月か八月でございます。それと購入ということは直接関係はございませんが、そういうことを申したことを記憶いたしております。本件に関しましては実ははなはだ不用意でありまして、そういう需給推算から考えまして、実は決裁いたしたのでありまして、いろいろ御非難の点は現長官からも聞いております。われわれとして国損を来した面につきましては、買い方のまずかつた点、あるいは管理よろしきを得なかつた点等につきまして、まことに申訳なく存じます。私のときにやはり麻袋の購入費を大蔵省に要求して持つております。ただいまの会計ではもうございません。私として知つております点は、率直に申し上げてその点でございます。
  102. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 ただいま前の三百万袋の時代には東畑さんでなかつたことが明らかになりましたが、この前の三百万袋の問題を切り離して、五百万袋の問題だけでお尋ねいたします。  私どもいただいている資料によりますと、昭和二十七年の十一月現在で食糧庁の持つている麻袋が、四百三十八万八千三百二十八袋残つております。その十二月に買います前の月までに四百三十八万袋余の保有があるにもかかわらず、十二月二十日に起案をされて、二十三日に決定をされている。この十二月二十日から二十三日の間に日曜が一日ございますから、二日間で五億になんなんとする麻袋を購入されている。こういう敏速な処理――常にこういう処理を諸官庁がやつているものであれば了解するのでありますが、諸官庁は民間団体等からいろいろな書類で申請がございましても、一課をまわるにも一週間ぐらいはかかつているのが普通でございます。それにもかかわらず、この麻袋購入の場合にのみ、二日間で五億になんなんとする麻袋の買付を決定されている。そして起案者から局長に至るまでの判の数を調べてみますと、二十余にわたつております。こういう現状で、何でこういう急スピードにこの書類を決裁し、十二月の年末を控えて買わなければならなかつたかという根拠をわれわれは疑うものであります。巷間伝えられているところによりますと、当時朝鮮事変が終りまして、朝鮮に輸出されておりました砂袋の輸出がばつたりととだえまして、麻袋生産業者は青息吐息の状態であつた。破産寸前というような状態であつたということを聞いております。そうして労働者の首切りをやり、操業短縮をやる、こういう場合に何か生産業者救済のために打たれた手ではないかという疑いを持たざるを得ないのであります。こういう点に対しまして、長官か率直に、あるいはそういうような問題があつたかもしれぬのであれば、あつたであろうと、想像でもかまいませんが、もう一度承りたいと思います。
  103. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 ただいま御非難を受けました点につきましては、現長官に実は聞きました。役所の仕事としては、おつしやいますように、非常に敏速であつたことは率直に認めます。私個人につきましては、実は麻袋を買つてくれとは何の要請もなかつたのでありますが、書類上の決裁のときには、書類によりますと、ストックも買うという体裁をいたしておりますので、滞貨のものももちろん買つたのだと考えます。前のときは発注いたしたのでありますが、この場合は製麻業者が持つているストックももちろん買つたと思います。その問われわれは何ら不正なことはいたしておらないと実は確信をいたしているのでありますが、当時持つております相当量のストックを政府が買いましたことは、率直に認めます。
  104. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 これが一枚九十三円で買つております。そうして小泉製麻、あるいは帝国産業、あるいは六日繊維工業三社から買つておりますが、三社のおのおのの生産力には莫大の相違がございます。小泉製麻が八十万袋の一箇月の生産、帝国産業は二十数万袋、六日繊維のごときは十八万袋、こういう莫大な生産量においても相違のある会社が、何で同一価格でなければならぬのか。そうしてこういう莫大なものを購入されるのに限つて、随意契約でなければならないという根拠がどこにあつたのか。少くも諸官庁が物資を購入されます場合には、会計規定にも存在しておりますように、全部がほとんど入札制度をやつております。特定のものでも指名入札の制度を行つている。この物資に限つて随意契約をもつて購入されたという根拠がどこにございましたろうか、承りたいと思います。
  105. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 法律上の根拠は申し上げるまでもないと思いますが、実体としては御承知のように三社でございます。入札をいたしましても、おそらく談合するじやないかというようなことから、随意契約でやつたということでございます。九十三円の相場は、基礎をつけ、予定価格をつけて買つているものでございます。
  106. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 談合するであろうという想像の上に立つておやりになつたということも、私どもは承服できませんが、そういうお考えでおやりになつたということは率直に承つておきます。ただこういう大量の物資を購入なさいます場合には、もちろん計画があつたはずであります。たとえば外国からの輸入米はどれほどで、麦はどれほどでというような計画がお立てになつてつたと存じております。その計画の基礎も、この五百万袋を買いましたことを正当化するための計画でなくして、実質的な計画というものを私どもはもう一度承りたいと思います。
  107. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 私の知つております限りにおいては、十二月十一日に提出いたしました資料七十ページの計画と実績以外に実は持つておりません。計画に対して実績が非常に食い違つているということは事実でございますか、計画としてはこういう計画を持つてつて、部内において相当論議をして、買うか買わぬかということを――私は実はそのときは携わらなかつたのでありますが、部内では論議をした上で長官の決裁をしたということになつております。
  108. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 そういたしますと、その計画は実質的にはあまりにもずさんであつたということはお認めになりますか。
  109. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 結果としては認めます。
  110. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 もう一点伺つておきますが、この契約書の内容を拝見いたしますると、品名の規格といたしまして、七クオーター、七シヨットこういうことが最後にうたわれておりますが、これを専門語はわかりませんので、簡単に見ますと、前の委員会でも杉村委員からもその点を申し上げておりましたが、一インチの中に麻が七本入ることが七クオーター七シヨットという計算のようでありますが、そういたしますと、この契約に基いて、この品物を入れたと仮定いたしますると、米も麦も漏つてしまいますが、こういうずさんな契約を、常に食糧庁はおやりになつておるのでしようか、この点を承りたいと思います。
  111. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 申訳ありませんが、私ちよつと御質問の意味がよくわからないのです。もう一度……。
  112. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 一インチの中に七本の麻で織つたものでございます。その契約のいわゆる品名の規格というものがそうなつておる、こういうめちやめちやな麻袋でございましたならば、米も麦もばらばら漏つてしまつて入りません。こういう粗悪な規格を持つ契約というものは、業者と何らか腐れ縁があつた結果、こういう非常に規格の甘い契約をおやりになつたのかどうかということを承つておるのであります。
  113. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 規格の悪いものをことさら買つたではないかというお話でございますが、台湾米の規格がこれであるということだそうでございます。実は今教わりましたようなわけでございます。
  114. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 柴田君、どうです、説明も率直に悪いことを認めているし、麻袋はこれくらいにして許してやろうじやありませんか……。
  115. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 最後に……。実は今まで前谷現長官とは大分もうこの問題は飽きるほど論戦をやつたのですけれども、実際に購入された当の責任者の東畑さんの顔を見ると闘志が満々と湧いて来る、前谷さんは、前の方がやつたので、実際はやつたのじやないのだから、どうもかわいそうだつたのですが、東畑さんには三時間くらいこの麻袋の問題でほんとうは追究したいのだけれども、実際今申しましたように、私どもから見ますと、どうしても納得ができない。結論においては、三百万袋は余つておるのに、またぞろ五百万袋を買つて四億六千五百万円払つておる。前には八億七千万円払つておる。前の八億七千万円は現在の価格にいたしましたならば三分の一でございます。こういうような国に損失を与えるというようなことは、どうしても私どもは承服できない。こういうことでしかも最も重要である食管特別会計をおあずかりなつた長官としては、今後こういうことは再びあつてはならない。こういうことで私どもほんとう国民の代表として申し上げておるのであつて、何も東畑さんにも前谷さんにも怨恨も何もない。だから実際問題としてこういうことはけしからぬから、食糧庁にはまだこのほかにもあるのじやないかという疑いを持たざるを得なくなつてしまいます。だからこういうことを汗を流して申し上げておるのですが、実際今後こういうような間違いがあつてはならないし、この麻袋の生産業者というものをあまりにも擁護されるように見受けられます。どういう角度から見ても麻袋業者と臭いなという感じを国民大衆に与えることは非常によくない、こういうことで申し上げておるのでありますから、この麻袋の問題はまた別の方も御質問があると思いますが、麻袋会社の救済でなかつたかという点が非常に疑われるし、決済の仕方があまり迅速過ぎる、ほんとうに二日間で決済しておる。しかも現地に参りましては検収をやつて、すぐに検収の当日報告が来て翌る日金を払つておる、こういうことを詳細に調べれば調べるほど奇怪至極であるから、言葉を荒くして申し上げるわけなんです。東畑さんが、今のような問題はほんとうに今後は起さしてはならないし、また間違いであつたからということをはつきりと認めていただけるならば、われわれはこれ以上この問題には触れません。
  116. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 私率直に申し上げました通り世の非難を受けることは当然でございまして、ただ昨年の二月に決算委員会で初めて知りましたときも、すでにあやまちを犯しておつたということでございまして、まことに申訳ないのです。私自身麻袋等は相当これは政局が扱いますにしても非常にむずかしい問題である、こういうところは特別会計でいたしたいということで考えておつたのであります。まだ現在最高の責任者として事務当局に対して今後とも監督等をやりますとともに、みずかり反省をいたしたいと思つております。御了承を願います。
  117. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 麻袋につきましては、私は若干触れたいことがありますけれども、大体これくらいで審議は終了する方がよいんじやないかと思いまりので、それには触れないことにいたしまして………。
  118. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 今大臣はすぐ来るそうですから、ちよつと吉田委員つてください。大臣が来たらあなたは黄変米をやられるのでしよう。
  119. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 大臣には総括的な質問をしますけれども……。
  120. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 東畑さんにちよつと伺います。今言つたように、大臣が来たら大臣にも一応釈明してもらつて、これはもうこの程度で切上げた方がよいと思います。私はそれで有田君の意見も伺つたのでありますが、この価格は十三億三千五百万円なんですな、最初に買入れたものが八億七千万円、その次にいらないものを買つたものが五百万枚が四億六千五百万円、これが合せますと十三億三千五百万円という莫大な金になるのです。これは実際不要のものを買つたんですが、もうこれは今いくら繰返したつて仕方がありません。この聞食糧庁長官にも問いたのですがあなたが当時の責任者であつたとすると、その点いま一ぺん伺つておきたい。現長官はずいぶん苦しかつたろうと思う。自分の失敗でなかつたことをわれわれに追究されたの答弁に苦しかつたろうと思うが、当時会計検査院調査によりますと、五十七万八千九百三十二トンの大麦、小麦等を買入れるというようなことがあつたというように答えられておるのでございますが、それは事実その点のことはいかがでございますか。閣議等を経てそれだけのものを買入れるとか何とかいうようなことがあつたのでございますか。ただいろいろな事情から買つておいたというようなことなんでしようか。その点は深くは追究しませんからどうか率直にひとつ……。どうも理論的に行きますと先ほど柴田君が開いたようにその当時はたくさんの麻袋の余りがありまして、さらに在庫品のほかに麻袋の配給会社にもたくさんな麻袋があつたわけなんです。ほんとうにこれはどういうりくつ言つても、われわれが納得できないような状態にあつたのですが、実際はどうだつたんでしよう。いまさら終つたことをあくまで追究するわけではございませんけれども、むしろわれわれとしては率直にざつくばらんに聞けばそれでもう了解ができるのですが、いかがなものでしよう。
  121. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 数字的のことは間違うといけませんから省略さしていただくとしまして、そのときの状況をお話申し上げます。実は麦の統制撤廃ということが非常に問題になりまして、食糧管理法の改正をいたしたわけであります。そのときに麦の統制が撤廃になりまして実行に入りましたところが、小麦の方は比較的よく集荷できたのでありますが、大麦、裸麦は集荷が非常に悪かつたのであります。集荷が悪くて精麦の価格がだんだん上昇をいたして参りまして、どうしても計画と実際とが狂つて参りました。それで大麦を埋めてやらなければならぬということで、ある程度大麦の輸入をふやしまして精麦価格の高騰を抑えなければならぬということになりまして、計画を変更し、外貨予算等も頼みまして、大麦の輸入を増加いたしたわけであります。どれくらい増加したかちよつと記憶いたしておりませんが、相当に増加いたしたということがございます。  麻袋の問題につきましては、これはそれとの関連は相当おそくなつてからでございます。大麦をふやしましたのが、もう少したちまして年末になりまして、需給推算をしたときに増加したという点が一つであります。先ほど私が申し上げましたように、麻袋ははずしまして、政府の持つておるものを全部なくして行こう。古麻袋がどんどん質が悪くなつて来るということは、物品会計としても非常に困る問題がありますので、これは政府の持つべきものではないということを私が主張いたしまして、はずしたわけでありますが、麻袋の価格が非常に動揺しますので、新麻袋は若干持つておるべきだということを私自身が主張いたしまして、大蔵省とも相談をして特別会計に包装代、麻袋購入費というものを、たしか八億くらいとつたと思いますが、組み人れておつたわけであります。それもその翌年は、これは落したのであります。その予算がありましたために、やはりまた買うということになつたと実は考えるのであります。そういうことを起さしたもとは、やはり私が新麻袋をもつて価格の安定をはかるべきではないかということを、八月でしたか、主張いたしましていろいろ部内で反対もあつたのですが、私が長官として主張したことがこういうことに至らしめた原因ではないか、実はこのことを自分で反省をいたしておるのであります。事実として申し上げればそういうことであります。
  122. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 大臣が見えましたから、今の点はその程度で了承いたしておきます。
  123. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 委員長として東畑さんに二点お伺いしておきたい。あなたが長官のときに、あとの物を買つたのは広川農林大臣のときだつたと思いますが、こういうものを買うときに、大臣から買えといつて命令を受けるのか、そういうことはないのか、これが一点。  それからあなたの判断でこういうことをやられるのか、そういうものは大臣が最後に判を押すものであるのか、大臣は知つておるのか知らぬでおるのか、この二点だけお伺いいたしたい。
  124. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 この麻袋を買いましたのは十二月になつてからであります。当時の大臣は、今の大蔵大臣つたかと思います。広川さんがやめられたあとでございます。この件に関しましては全然大臣からではございません。私の責任で買つたのであります。
  125. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 私は大臣にもう質問するというよりは、大臣の御心境をお伺いすると申し上げた方がいいのじやないかと思います。と申しますことは、この間大臣がおいでになられたときわれわれ麻袋の問題を質問したのですが、なるほど手続は悪かつたが、買つておいたの、あとで値上りをした。それだから損ではなかつただろうということをおつしやつたけれども、それは大臣はこまかいことをお知りにならぬから物価が何でも上つたのだから、麻袋も上つたというような腰だめのお考えであつたろうと思うのです。そういうこまかいことはわれわれは追究するわけではありませんが、とにかくこの麻袋の問題はわれわれが各方面から数字的に研究して行きますと、当初の三百万枚も、実際は向うから入れ物に入つて来るということがわかつてつた。それでもやはり買つたのですが、さらにそのほかに五百万枚買つたということも、この間から当委員会において調査したところでは、この五百万枚というものはまつたく不要なものを買つておる。この総額が両方を合せますと実に十三億三千五百万円。これだけのものを倉庫に頼んで倉庫料を払つておる。こういう状態であつて、まつたく国に大きな損害を与えておりますので、私どもは麻袋の問題は遺憾しごくに思つておるのです。これはどこまでやつても切りがないので、もう適当のところでこれを切上げませんと、あと審議に影響を来しますが、大臣としてもこの問題については、長官からもいろいろお聞きになつてることであろうと思う。でありますからこれに対しては、実際において大臣は、これは手落ちであつた、今までの手続が悪かつたという気持になられておるのか、それともこれはこういうふうにやるのが至当であつたとお考えになるのか、ほんとう大臣の心境を聞かしていただくことが、もういろいろな言い訳――といつては語弊がありますが、そういうようなことでなく、この事件についての大臣の御心境を伺いたいと思います。
  126. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 私はこの点をつまびらかにいたしまして痛感いたしておりますことは、あわせて二十六年度、二十七年度における会計検査院の検査報告において批難事項が農林省の関係において非常に多いということを考えてみます場合に、国が責任をもつて行う仕事について、国自体の監督が十分届かない面が非常に多いのじやないかということを第一に考えておるのであります。従いまして、全般的には政府みずから行うことについては、政府みずからが監督と責任を十分とれる形に持つて行かなければならぬというふうに考えております。本件に関しましては、事務上においては、結果においては明らかに見通しを誤つてつた。しかし事務をとつた人についてはいささかの悪意もなかつた、善意のもとに行われた。しかし結果においては見通しを誤つた結果になつておる。そこでこの麻袋それ自体の件につきましても、今後裸で入つて来る外地食糧はかなり厖大なものが予想せられる。大体三百万トンが大麦、小麦でも来年度輸入計画になつておるわけであります。そうしますれば、六十キロの入れ物にしましても延五千万枚を要するという非常に大きな問題でございますから、こういう結果において失態を来しておりまする事態を引起さないように、これを管理して行くにはどうしたらよいかということを、事務的にも改善案を命じております。私自身も直接携わつて、再びかような事態を起さないようにやつて行く決心でおるわけでございます。しかしかような結果になつて検査院のかような報告を受けましたことにつきましては、農林当局としてまことに遺憾にたえない次第であります。
  127. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 ただいま大臣は麻袋の問題について、とにかく善意でやつて結果において失敗したというふうなことを漏らされておりますが、何としても私たちのふに落ちないのは、一インチ四方の中へ麻ひもが七本入つている、そういう品物を国では注文しておるわけであります。ところがその中に九本入つている品物をつくつてよこしておつたということです。一体商人が、これだけの品物がほしいとこちらが依頼しておつた場合に、その中へ二本も三本も余分に麻ひもを入れた物を、実際上注文主に渡すというようなものは、今どきわれわれにはまつた考えられないことです。そういう点で、この麻袋は、私たちが考え範囲では、どうもどこか朝鮮にでも持つて行こうとした物を、ときのあなた方の立場におられる者に、朝鮮の方で使わなくなつたから、急いでこれを使つてくれと言つて来たものと考えられるのです。そういう点でどうしてもこれは善意じやなくて、まつた政治的な悪意があつて処理されたものとしか考えられないのですが、この点大臣はどうお考えになりますか。
  128. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 その点も私は非常に究明したつもりでございますが、私が究明いたしましたところでは、なるほどそれは確かにお話のような用途につくられたものであつたろうと思います。しかし外麦の輸入計画を増大いたしまして、食糧庁当局でそれだけの必要があつて麻袋の需給計画を立てたわけですから、比較的当時としては――結果においてばそれば非常三局かつたということになろうかと思いますが、当時の需給状態からいいますと、麻袋が割合妥当なところで買えるというようなところで買つたものだ、そういうふうに私は理解しているわけであります。
  129. 藤田委員(藤田義光)

    ○藤田委員 麻袋問題の全貌に関しましては、大体同僚諸君からお尋ねがありまして尽きておりますから、私から蛇足を加えることは遠慮いたしますが、先ほど来の問答のうち、特に委員長の質問に対する東畑次官の答弁で疑問がありますので、この際大臣にお伺いしておきたいと思うのであります。まず第一に十三億という厖大な麻袋を購入するについて、食管長官だけの決済において、しかも二日間という非常に迅速な決済で、購入を決定された。私は事務が迅速に行われるということは非常にけつこうなことだと思いますが、こういう厖大な国費を支出するに関しまして、所管大臣の決済を受けていないというところに重大な疑問を抱くのでありますが、現在におきましても、保利農林大臣は行政執行の実際において、食管特別会計に対しまして同様な処置をとられておりますかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  130. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 これは、たとえば資材を買い込むとか、あるいは施設をするとかいうことについては、事務規定の関係がございましよう、食糧庁長官の専決になつておるわけでございます。しかし政治責任はとにかく私が負わなければならないことでありますから、事務規定がいかようでありましようとも、とにかく重要な事項については、ことごとく長官から報告を聞き、そして妥当とした場合にのみけつこうだと申し上げる。妥当と思わないときは、事務規定でいかようになつておりましようとも、絶対にやつてもらわないという建前でやつておるつもりでございますけれども、あるいは御注意を受けるようなことがありますれば、御注意を受けます。
  131. 藤田委員(藤田義光)

    ○藤田委員 農林省設置法を持つておりませんが、当然一切の責任は農林大臣にあると解釈をしております。もし事務規定におきまして、こういう厖大な国費を支出するに際しまして、農林大臣の決済を必要としないという事務規定があれば、それを廃止すべきじやないか、かように考えております。この点に対する大臣の所見を伺いたい。これは責任政治を遂行する上におきましても、絶対に必要なことでありまして、そういう事務規定によつて、一部長官の専管事項にすることは、非常に危険な事態を生ずるのではないか、かように考えております。特に議会政治の今日におきまして、所管大臣が大体議席を置いている際におきましては、責任の究明上も、この点は特に必要だと私は考えておりますが、これに対する大臣のお考えをお伺いいたします。  もう一点お伺いしたいのは、これは先日来質問がありましたが、二十七年度の会計検査院の報告を見ましても、農林省関係が圧倒的多数の項目に及んでおります。大臣から、国の監督が不行届だからこういう多数の不正不当事項が出るという御答弁でありますが、私の感じからしますと、どうもこれは会計検査院にも何かあるのじやないか、同じ建設面を持つております建設省等の不正不当事項が非常に少くなつておる。終戦後、特に最近公共事業等の運営にあたりましているく問題が起きやすいのでありますが、さまつな問題まですべてこれに取上げまして、不正不当として検査官会議を経て国会に持つて来る、あまり会計検査院としても神経質すぎるような点がありはしないか、こういう感じを抱いております。必ずしも私は会計検査院が不正不当事項を黙殺しろという意味じやございません。最近は一件三万円以下の不正不当は不自然に切り捨てて検査官会議を通さないでおく、十万円以上の不正不当だけを通して持つて来るというふうに運営をかえた、従つて不正不当事項は減つたというようなうわさも耳にするのでありますが、こういう点は決算委員会としても非常に重大であります。これがもし三局がやつております検査が正しいならば、会計検査院のほかの局はすべて不正をやつておるという結果になりますから、私はこの際三局長の気持もお伺いしておきます。また大臣としましても、会計検査院に対する措置におきまして何かお考えがありましたならば、この際お伺いしておきたいと思います。
  132. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 前段に関しましては、私の考えでございますが、少くとも農林省には三つの外庁があるわけでございます。それぞれ大事な行政を扱つておるわけでございます。少くとも事務次官の決裁まではどうしても持つて行かせるようにしなければならぬ。重大な事項については、むろん大臣直接扱わなければならぬことは申すまでもないことであります。そういう線でひとつ至急検討を進めることにいたしたいと思います。こういうふうに会計検査院から検査報告を受けておるわけでありますからこれについてとやかく申し上げることはいかがかと思いますが、いろいろ検査報告受けまし分については、農林省としましてもそれぞれの現地機関等によつてさらにできるだけの調査もいたし、反省いたすべきところは反省しなければならぬというようにいたしておりまして、率直に申し上げますれば、農林省の案件が多いといいますのは、結局災害復旧の関係、しかも災害復旧の関係は件数としては何といつても農林省の件数が多いわけでございます。しかも災害復旧のある程度以上ということにはなつておりますけれども、それが十分目が届かないままに、農林省が責任を持つという形になつておるわけでございます。相当大規模のものは、これは当然そうでございますけれども、ある程度のものまでは、府県において査定もあるいは実施上の責任も持つてもらうようにすることがよいのじやないか、こういうふうに思います。これは建設省も同様の考えを持つておられると思います。そういう線でただいま検討いたしておるわけであります。
  133. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 私、さつきもう一つ大臣に伺いたかつたのですが、それはこういうことがあるのです。計画上において非常に支障を来して、とにかく八百万袋の麻袋を買つてしまつたというふうに大体聞いてよいと思うのですが、実は二十六年の最初に三百万袋の麻袋を買つておる。ところがその二十六年の十二月に、中央区日本橋の鎧橋ぎわにある東邦商事という会社は、もうすでに麻袋を払い下げているのです。そうして東京都の交通局へ電車のいすに麻袋を使つてくれないかという交渉に行つているのであります。ですから次の五百万袋の麻袋を買う前に、すでに前の麻袋は東京都内に何箇所も払い下げているはずです。ですからこれは五百万袋買つたときには、必要のないものを買つているはずなんです。実は私はこの日本橋鎧橋の東邦商事という会社も調べているのですが、二十六年と二十七年の間にもうすでにいらなくなつて農林省では払い下げているんですよ。こういう点で農林大臣にわからなければ関係者に答弁してもらいたい。その点はつきりしてもらいたい。
  134. 前谷政府委員(前谷重夫)

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。先ほども前東畑長官が申されましたように、従来麦につきまして統制をいたしておつたわけでございます。統制いたしますと粉の取扱いがあつたわけでございます。ただいま御指摘のものは、麻袋ではなくヘシアンの袋でございます。船用に扱つてつたのであります。従来粉を統制いたしております場合には、当然そのヘシアン袋というものを持つてつたわけであります。粉の統制をはずしますと同時に袋の取扱いもはずしましたので、残つておりましたものを公共用として、公共団体の証明があるものにつきまして入札によりまして払下げをいたしたわけでございます。
  135. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 大臣黄変米について簡単に伺います。黄変米調査いたしましていろいろと気づいたのでありますが、特にこの点について大臣の所見を伺つておきたい。この黄変米を扱いました結果、会計検査院の計算なさつた国の損は、大体、二十六年と七年の処分米によつて一億三千万円、ところが現実にはさらに随意契約によつたものと指名入札によつたものと値段に相当な開きがある。指名入札によつておるものをここに一々計算いたしますと、トン三万二千円から三千円くらい、随意契約によると大体が二万八千六百円くらい、こういうような違いがあるのです。随意契約の方がずつと安いのであります。そこでこれは指名契約にしておつたならば、もつと高くなつたであろうということも考えられる、こういうことであります。日本糧穀というトンネル会社を通したばかりに、通産省の方が約千万円ばかり損をしております。しかしこれらの関係におきましてこの二、三の点から見ま出して、これは九億円前後の国の損失を生じておるわけであります。こういうような損失を生じたことについていろいろな原因があるだろうけれども、こういうような損害の額を考えてみると、これは食糧管理の特別会計上における相当な政府として政治的な責任を負うべき筋合いになるんじやないか。どうしても天然現象でもなければ不可抗力でもない、また契約の当初から避けることができなかつた原因でもない、こういうことが考えられるのですが、この莫大な損害が生じたということについての大臣としての責任感をひとつ伺つておきたい、こう思うのです。
  136. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 黄変米に関しましては、弁明を申し上げるというよりも、こういうふうな事態に至つておることをはなはだ遺憾に思います。ただ私は黄変米については、個人としてどこまでも割切れない気持を持つております。と申しますのは、二十七年以前に黄変米は全然入つていなかつたかといえば入つておる。配給されていなかつたかといえば配給されておる。世界中どこの国でも、黄変米については日本のようにやかましく言つておるのかといえば言つておらない。日本でやかましく言うのをむしろ世界中はふしぎに思つておる。従つてこういうふうにどうしても外地食糧に相当依存しなければならない状態において――もちろんこれは医学的に有毒だということになれば問題はきまるわけでございますけれども、どうもそこのところが私には割切れないという気持が絶えずあるのでございます。そこで今後は昨年末のビルマとの協定で一考以上入つておるものはとらぬという協定をしておるわけですが、しかし現地で一%であつても船中でまた幾らかふえる場合もあるでしようし、それからまたこれを全部そういうふうな本来の趣意にはずれた処分をしなければならぬということは、非常に国益からいつても損じやないかというような気がいたしますから、第一はあらゆる手段を尽して黄変米をなくすことを私ども責任としてやらなければならぬことでございます。それからこの処分関係につきましては、中間機関を通すと、かりに中間機関を通したがゆえに便宜でもあり、また有利に処分ができたとしても、そこにやはり疑いをさしはさまれることが多いわけでございますから、できるだけ実需者に直接払下げをするような方途をとつて行かなければならぬと私は考えておるわけでございます。
  137. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 今の質疑に対して答弁が一つ漏れおります。いろいろと大臣は過去及び現在、将来の考え方についてもお話があつたのでありますが、やはり一つ予算執行上の大きな損失になつて現われておりますので、この点について執行責任者の大臣としてどうお考えになつておるかという、政治責任的な考え方からする答弁を求めたいのです。  続いて今のお話になりました点ですが、将来の問題につきまして、この間大臣は、将来一%以上入つておるものは入手を拒否する契約になつておるとおつしやつておりましたが、現実問題としてトルコ米についてこの間の委員会において質疑したのであります。トルコ米が五千トン、十二月に一まだこれはどちらかわからないが黄色い色をしておる、しかしこれは浸水の結果保険事故として目下調査中である、こういうふうな長官の御説明ではあつた。ところでこれも黄色い米が黄変米であるといたしましたならば、かりに拒否するといたしましても、そこにどこの責任かという問題は生ずるだろうと思います。結局国の輸入計画に支障を来す一環にもなるわけであります。そこで黄変米もつと根本的に研究することについての対策をひとつしつかりと持つてつてもらいたい。たとえば学説によりますと、やはりまだ有毒無害説というのもあるとか聞くのです。この間角田という技師の御説明も聞きました。また贈られた書物も読みましたけれども、これはやはり根本的に、黄変米がどのくらいの分量において人間の食糧にどういうふうに有害であるか。人体に対する作用はどうかということと、なお受渡しの問題、買入れ等の問題についてはこれをどういうふうに検収するのか、検収する方法、検収する人間、検収する場所、そういつたものについて、今後こういつた災いが起らないようにする、単に契約だけでは徹底的解決にならぬと私は思いますので、政府として根本的にこれが解決策を研究するという方途に出られるのがいいのではないか。医学的研究とか、あるいは生物学的な研究とか、そういう実験的ないろいろな研究もありましようが、いろいろな角度から、国としての食糧対策の一環としての研究対策がいいのではないか、こう思いますので、この点とあわせて御答弁願いたい。
  138. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 それは私も全然さように考えております。それでまた今日まで京都大学あるいは新潟医大、東京人学、日大医科等に実験を願つて、中側的な報告が来ておるものもあるわけです。これもあるいは御承知であろうかと思います。たとえば京都大学では人体実験までもして、何らの影響もないという報告もあるし、また東京大学あたりでは、いやそうではない、なるほど人体実験はしてないけれども、動物実験によれば多少の反応が出て来るというようなものもございますけれども、もう少しそういう面で研究をしつかり願う。しかしそうかといつてむろん省内の専門家によつて聞きますところでは、日本じやどうしてそんなものをやかましく言うのだ、むしろ黄金食だというのでヨーロッパでは喜んでおるというような実態、そこで私は割切れないという気持が非常に強いわけなんです。お説の点は全然同感に考えております。
  139. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 抜本的な対策は立てるのですか。
  140. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 立てなければならぬと考えております。  それからそういうことの対策が、結局食品衛生法が発動せられて、これだけ国家が損失を来しておるというこの状態を、もう少し実際的に改善せられる方途はないものかということもあわせて考えなければならぬと思います。いずれにいたしましても、たとい内地の食糧事情が窮迫しておつたとはいいながらも、こういう配給できない食糧を多量に入れたということにつきましては責任を感じなければならぬ、かように考えております。従つてその点についての責任は十分感じております。
  141. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 杉村君。
  142. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 麻袋の問題について、大臣の最後の御心境を伺いたい。と申しますのは、実はまだこの麻袋の問題は、私がこの間食糧庁長官資料を出していただくように申し上げたのですが、まだその資料をいただいておりません。しかしこれは先ほど申しましたように、どうもやつて行けばいつまでやつて行つてもきりがないのでありまして、先ほど東畑さんからもいろいろ話を伺つたのですが、現長官のお話と、また東畑さんのお話とでは、まだ幾分食い違つているところもあるのですが、しかしどうもそんな食い違いをやかましく言つてみたところではてしがないことなんで、要はこの麻袋の買入れについて、何らか暗い影があつたのではないかということが、われわれには多分にうかがわれたのですけれども、もうそれ以上のことについていろいろと論議してもしかたがない。私どもも架空なことを申し上げて当局を困らせるような考えは毛頭ないのでありまして、ただ先ほど柴田委員あるいは山田委員が申されましたように、調べた結果が、需要供給の関係におきましても数量の関係におきましても、まことにはつきりいたしております。でありますから先ほど大臣があやまちがないとおつしやられたので、われわれ両派社会党の委員間においても、どうも間違いがないのだということになると、このまま打切るというわけにも行かないのでありまして、私どもはこの需要供給、数量等については確信をもつて今まで質問をいたして参つたようなわけですが、この点についてわれわれのそれが認められるのでありますならば、私どもは麻袋の問題はこの程度で結末をつけたいと思つておるのです。先ほどちよつと漏らされたように、事務的には間違いがなかつたということになると、何だかわれわれが架空の数字をあげてお話を申し上げたようになつてしまつて、このまま打切りにくい。また長官からの資料も受取つてありませんが、そういうことになると私がお願いした資料ももらつて、さらに論議しなければならぬのですが、いかがでしようね、大臣は実際にまだ間違いがないというふうにお考えでしようか。多くはいらない、それだけでけつこうなんです。あなたもお忙しいからだでしようから、いずれ黄変米については日を改めて伺うことにいたしますが、麻袋の問題は数字上はつきりしているのですが、その点間違いであつたということを認められればそれで私どもは了とするのですが、いかがでありましようか。
  143. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 関連のことで申し上げたいのですが、今の問題はなるほど食糧庁長官やその他の係りから農林大臣にいろいろ有利な資料だけしか出しておらぬと思われる節がある。数字的に申し上げると私どもは絶対に間違いありません。昭和二十七年の十月までの輸入契約によつて五百万袋買つた小型の麻袋の必要量が、三百三十五万四千七百六十五枚あれば足りたのです。これは計算の基礎がちやんと成り立つておる。そうしていながら十一月四百三十八万八千枚余持つてつた。そういう事例が資料の上から計算しても完全にあるのです。それがこの間も本会議で、もう三月までには使つてしまうという簡単な御答弁で、われわれも黙つて聞いておつたのですが、とても三月までなんて使えつこありません。どんどん損をして払い下げたりすれば使い方があるかもしれませんが、量はそんなに使えつこはない。そういう点を詳細に御調査を願いたい。この点だけ一言申し上げておきます。
  144. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 私が申し上げておりますのは、先ほど心境はどうだと言われましたところに尽きるわけでございますが、事務当局は善意のもとにやられておるけれども、見通しにおいて誤つた。結果において会計検査院の指摘を受けるということを私は非常に遺憾に存じております。従つて再びかような事態を起さないように、麻袋の調達、運営について、再びあやまちを犯さないような改善策を講じて責任を果して参りたい、かように考えておるわけでございます。
  145. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 食糧庁長官に聞きたいのですが、ビルマ政府との米の売買契約に基きます、契約書を見ますと、品質において買手に引渡しを受けるときには米は良好かつ健全なる状態であるべきであるという一項が入つています。そこで黄変米については格別何も規定するところはありませんが、この面から見ると、やはり黄変米はわが国におきましては毒性を有して人間の食用に適しない不適格米ということになるのでありますから、当然これに該当することが学問上も常識上も契約の趣旨に適合すると思うのでありますが、そうであればいずれへか外へ向つて、つまり日本政府だけが損をするのではなしに、扱う商社かあるいは売り主の相手国家、立会人、検定人があつたならば検定人の責任を問うか、どこかへ問うべきのがこの趣旨に適合すると思われるのであります。こういう点についてはお考えにならなかつたのであろうかどうか。あるいは一々検定人もあつたようでありますが、そういうものとの話合いもあつたのではないだろうか。むぞうさに国の損ということにひつかぶつてしまうということは私はふに落ちぬのですが、この点についてはいかがお考えになりますか。なおそれについて東畑次官からお答え願つてもけつこうでございます。
  146. 前谷政府委員(前谷重夫)

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。契約書には、ただいまの吉田委員お話のような文言があるわけでございます。ただその次をごらんになつていただきますと、それの買取りにつきましてビルマ連合国中立検定局により査定されという言葉がございまして、その低品位なりやいなやということにつきましての検定は、ビルマの中立検定局で査定する、こういう形になつております。従いましてこの条項はございますが、このビルマ中立検定局の査定いかんということになつてつたわけでございます。先ほど大臣からもお話申し上げましたように、昨年の十月から、ビルマ中立検定局のほかに、世界的な検定会社も立会うことを要求しまして、これがようやく認められたという形になつたわけでございます。従いましてこういう条項はございますか、その検定権と申しますか、査定権というものがビルマ側にあつたというところに買手側の非常な不利な形になつてつたわけでございます。
  147. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 私は重複を避けまして、残余のいろいろな質疑を終りたいと思いますので、ひとつ簡明にその点についてお答え願いたいと思います。今の国際的検定人ですかにまかしてある。検定の結果によつてというお話でありますが、私のお尋ね趣旨は、契約書によれば、健全でないものは契約品でないというのが契約の趣旨だと思います。だからそれが日本へ参りまして食糧に適しないということであれば、検定人がどういうふうに検定をいたしたといたしましても、そこに食糧に適しないものが検定されておるということであれば、それをしも検定人の検定の結果に従わねばならぬのであろうか。ことに黄変米というものについては、検定の対象には相なつておらぬとも見えるのです。なぜならば、各条項を見まして黄変米というものが記載されてありません。そうしますとやはり検定外になつておるとすれば、やはり健全にあらざる米ということを主張し得る余地があつただろう。そういうことについて十分検討もし、値引きの交渉をすることが政府といたしまして当然の措置でなかつたかと思うので、そういう趣旨で聞くのであります。
  148. 前谷政府委員(前谷重夫)

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまのお話のように、米は良好かつ健全な状態において渡さるべきだという条項がございますので、当時外務省の出先機関を通じまして、黄変米というものがその状態に反するということを再三ビルマ側と交渉いたしたわけであります。いたしましたが、先ほども大臣が申し上げましたように、また従来申し上げておりますように、その当時の事情から、ビルマ側はどうしても聞かなかつたという事情にございますので、爾来交渉を続けまして昨年度の十月に至りまして、黄変粒の混入についても向うが契約条項に入れることを承諾いたしましたし、またビルマ側の立会人のみならず、世界的な立会人も認めるという形で契約ができるようになつたわけであります。
  149. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 その点は了承しますが、しからば損害についていずれに責任が帰属するのかということについて交渉はなさつたのでしようか。たとえば扱つた三つの商社につきましても、善良な管理者としてやつたかいなやというようなこと等々幾多の相手はあろうと思いますが、値引き、損害等についての交渉はいかがであつたでしようか。
  150. 前谷政府委員(前谷重夫)

    ○前谷政府委員 ただいまも申し上げましたように、黄変粒の混入が契約の条項に違反するということをビルマ側に言つたと思いますが、これはビルマ側に対する損害賠償の請求になろうという前提のもとに、まず交渉をやつたのでありますが、その内容が妥結いたさなかつたわけであります。
  151. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 ビルマ米の輸入につきまして三つの指名取扱い商社がございます。以前はたくさんにあつたらしいのですが、これが先般来から私どもなお若干疑問が解けぬのでありますが、これにつきまして何か個々の商社と随意契約をして、一々輸入の取扱い契約をするのでありますが、もう少し何か広い範囲で契約を取結んで指名する商社を永めるということは考えなかつたのでしようか。三つに限定してしまつたのでしようか。この点につきましては、特に一々随意契約になつておりますので、あらかじめ指名商社をふやすという方法もあるけれども、そうじやなしに白紙で臨んで入札をするとか、あるいは何かの方法でもう少し範囲を広げるということが適当でなかつたか、こう思うのですが、その点について東畑次官の御所見を伺つてみたいと思う。
  152. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 ビルマにつきましては、三社をずつと以前から実は指定をしておつたのであります。その他の国につきましては、私が長官時代に指定をしました。タイ国は八社を実は指定しております。この指定の問題につきまして非常にたくさんの指定をいたしますと、またお互いに競争をして国際米価を上げるという非難がございます。あまり少い指定でございますと独占的な商社に引きずられるという形になる懸念がありますので、そこをどの程度にすじを引くかという問題はむずかしい問題でありますが、ビルマにつりまして、それがそのまま今日に至つているのであろうと思います。だからときどきこの商社の指定を変更するというようなことは、あるいは機に応じてやる方がいいではないかというような気持は持つております。それから入札の問題等につきましては、一応入札をいたさせまして、その最底価格のものを選定いたしまして、それと随意契約を結ぶということでありますので、価格につきましては一応入札で出しているその最底価格のものから随意契約をしておる、こういうことに実はなつております。ビルマ等につきましては、大体において政府政府の貿易でやる方が多いものでありますから、外交という形で商社を指定しておるという場合が取引としては非常に多いのであります。
  153. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 日本糧穀の社長が見えておるようでありますから伺いたいのですが、あなたの方が食糧庁から黄変米を買い受けまして、それを通産省アルコール特別会計へ売つておられます。これは昭和二十七年の五月三十日と七月二十八日に買うておられて、それをアルコール特別会計に売つておる。ところがこれは実は随意契約によつておられるのであります。随意契約の可否につきましては政府側に聞きますが、あなたの方では政府の中間になつて商売をしておられるのですが、われわれから考えますとまつたくトンネル的存在であつたというふうに見ておるのでありますが、あなたの方としましては両者の間にあつて相当な加工仕事をなさつたということになつておるのでしようか、その点はどんなものでしようか、一応伺つておきます。
  154. 片柳参考人(片柳眞吉)

    ○片柳参考人 ただいまの御質問の点でありますが、トンネル会社というような御批判もあるようでありますが、実は私どもの方におきましては、もちろん輸送等は輸送機関にお願いをいたしておりますが、これが受渡しにつきましては食糧事務所の倉庫方面あるいはこれの納入先でありますところの各地にありますアルコール工場に立会いをいたさせまして、相当人も使いまして、かつまた輸送機関も督励をいたしましてやつたわけでございます。もちろんトンネル会社という見方はいろいろあると思いますが、全然坐つておりまして手数料をとつておるというのではないことを申し上げておきます。  なおこの黄変米を扱う以前から雑穀、かんしよ等につきましては通産省のお仕事をやつておるのでありまして、仕事は現実に職員も各地に相当派遣いたしましてやつた次第であります。
  155. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 そこであなたの方は、食糧庁から買いました四千百九十九トン、六百七十六トン、このうち通産省に売り渡している量が四千九十二トン、六百六十二トン余り、差引百七トンというものが不足になつております。これはどこに行つた米でありますか御説明願いたいと思います。
  156. 片柳参考人(片柳眞吉)

    ○片柳参考人 食糧庁払下げ数量、通産省納入数量の点は御指摘の通りでありまして、百七トン程度のロスがあるわけであります。その点は私もいろいろ会社内部につきまして調査いたしたわけでありまするが、これは御承知と存じまするが、この黄変米黄変米として世上に出ました最初でございまして、すでにこれは相当各地に配給に充てるために分散移出しておりましたものをこれをさらに回収いたしまして、相当遠隔地のアルコール工場まで輸送した関係上、私の過去の経験から見て参りましても、ロスとしては若干多いような感じもいたしまするが、この程度のロスが起つたのじやないかと思います。私も若干多いような感じもいたしますが、これを他に流したということは絶対ないということを申し上げます。
  157. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 しかし長い期間ではなしに、ごく短時日の間にこれは移動され売渡されておるのでありまするか、百余トンの米がロスだというようなことは、社長として、あなた御自身直接手をつけたわけではないけれども、そういうことで株主総会に御報告はできぬと思います。ことに米の専門家でありまするから、やや多いように思うというようないいかげんなことでは株主は承知しますまい。だからこれは明白に御答弁にならぬと、一体百トン――百石と違います。だから百トンの米がどんなであつたにしろ、そう途中でこぼれてしまうものでもないことは、これは常識上明らかであります。そういうようなことであるならば、何千万のものを集荷するという時分に政府は大きなロスを見なくちやならぬ。どこもそんなロスは見ておりません。だからこの百トンについてはもつと明確に、いずれ御調査なつたと思います。会計検査院も指摘しておるのですから、御答弁願いたい。
  158. 片柳参考人(片柳眞吉)

    ○片柳参考人 この点はすでに御承知と思いまするが、私の方では、食糧庁からはあり姿のままで払下げを受けまして、それを通産省の工場まで持つて参りまして、そこで一々厳重な看貫をいたしておるわけであります。私どももあり姿のときに一々看貫をしますれば、その関係ははつきりいたすわけでありまするが、ちようど雨期を控えておりましたし、急速に工場に入れる関係もありまして、実は突貫移出といいますか、相当馬力をかけてやつたわけであります。でありますから、あり姿の際に私の方で一々看貫しません点は、これは私どもの手落ちかと思いますが、急速に輸送をいたします関係で、急いでやつたようなこともあるかと思います。
  159. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 長官に聞きますが、よしんばあり姿のものといたしましても、四千トンぐらいのもので百トン以上のロスというか、不足が出たというようなことがよくあるのでしようか。はたしてありとするならば、食糧庁が米の保管の上におきまして非常にずさんな、もしくは善良な管理者としての注意が欠けておつた事実があるのじやないかと思われるのですが、そういう点いかがですか。
  160. 前谷政府委員(前谷重夫)

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。食糧庁におきまして需給計画を立てまする場合におきまして、やはり需給計画上はロスを見込むわけでございます。御承知のように、内地米につきましては、全体の食糧を買い上げまして、そうして各地に保管し、またこれを配給するというふうな関係で、その需給上は大体買上げから配給に至るまでの間におきまして、約二%のロスを計画上考えておるわけでございます。もちろんわれわれといたしましては、このロスの軽減については、その保管なり輸送については十分注意をし、これを消すべく努力をいたしておるわけでございますが、何分大量のものを操作し、末端から買い上げまして末端に配給するという操作をいたしておりまするので、大体二%のロスを考えておるわけでございます。この場合におきましては二・一八%というふうになつておりますが、われわれもいささかその点において少し多いのではなかろうかということも考えておるわけでございますが、輸送等の状態によりますると、こういう場合も全然想像されないではなかろうと考えるのであります。
  161. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 こういう点についてはあまり多く時間を費したくないのですが、長官は私の質問に対しまして少し焦点のぼけた御答弁になつております。私の伺つているのは、食糧庁が保管しておつたものを日本糧穀に渡したわけですが、アルコール会計というものはごく単純だと思う。ことに記録によりますと、そう多くの回数じやないのであります。そこであなたが今お述べになつておるのは、末端の配給へ行くまで二%、しかしその間には何回も段階があります。それとはよほど違うと思う。やはり根本の一番元になつておるあなたの方の保管、その次の糧穀会社、そして通産省へ行く、きわめて簡単な、単純なところですから、四千トンに対して百トンというのでは、たいへんで、どこかに大きな欠陥があつたのではないかと私は思います。もしあなたの方でなければ日本糧穀、そのいずれかにあつたと思うのですが、具体的なことはあるいはおわかりにならぬかもしれませんけれども、しかしこのことはすでに問題になつておりまして、表面化しておるはずでありますから、相当お調べになつたのじやないかと思います。この委員会においても問題になつておるし、検査院からも報告が来ているし、いろいろとありまするので、当然この原因について、百トン――なぜこんなに減つたのだろうというようなことについてはお調べにならなくちやならぬと思う。もしこういうことが放置されて行くといたしましたら、それはもう数千万石の米、あるいはまた数百万トンの輸入食糧等につきましても相当ずさんな保管、受渡しがある、こういうふうな推定も一応しなければならぬ問題になつて来るのです。簡単でよろしゆうございますから重ねてお答えを願います。
  162. 前谷政府委員(前谷重夫)

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。黄変米の本件につきましては、港から受けまして、配給すべく各地に輸送をいたしたわけでございますが、輸入当時におきまする水分と、時間も経過した関係上、水分見込みにおいてもある程度のロスは保管中には生じるだろうということは考えられるわけでございます。ただその当時、具体的に日本糧穀会社に渡しまするときに、立会い看貫をしませんでしたために、この保管中におきますロスはいかほどであつたかということは、その当時としては具体的につかみ得なかつたわけでございます。大体水分の含有量、それからまた時期の経過によりまする自然のロスというふうなものを、保管中におきましても〇・七%か〇・八%というものは、通常の場合におきましても水分上生じる可能性があるということは、過去の経験で承知いたしております。
  163. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 日本糧穀会社の社長さんに伺いますが、二十七年度に政府黄変米を買却いたしました。その買却処分したものはあなたのみには随意契約で、その他は全部入札なんです。どういうわけでこういう区別になるのだろうか、あなたの方の申出によつて契約したのだろうか、あなたの方だけを信用したのだろうか、その点についてはあなたの方から聞いてみたいと思います。
  164. 片柳参考人(片柳眞吉)

    ○片柳参考人 政府側で競争入札なり随意契約をとられたその点は、私の方でははつきりいたしませんが、先ほども申し上げましたように、これ以前におきましても、通産省所管のアルコール工場につきましては、いろいろ仕事をやらしていただいております。これはまじめにやつたつもりでありまして、そういうところから、かようなことになつたと思うのでありますが、随意契約をとられた趣旨につきましては、私からはつきりした御説明はできない次第であります。
  165. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 その点大分古いことでありまするから、東畑さんに一ぺん聞きましよう。さきに大臣のときにちよつと触れたのでありますが、大体随意契約によるものは二万八千何がしで非常に安いのであります。それが入札によりますと、三万二、三千円で売れておるのであります。そこに相当値開きがあるのにかかわらず、なぜ安い値段で唯一の随意契約を日本糧穀と結んだのであるか、三万二、三千円で売れたものを、なぜこの違いを生じたのだろうか、この点についての御所見を伺つておきたい。
  166. 東畑参考人(東畑四郎)

    ○東畑参考人 当時黄変米の中でもいろいろ混入率が違い品質が違うということは、そうはつきりとまだわかりませんので、荒つぽくたしか上、下程度にわけておつたのじやないかと思いますが、それで悪い方は工業用アルコールに、いい方は蒸溜酒用にする、こういうことになつて実は決済をいたしております。そうしてこの工業アルコールの面は政府政府の特別会計に売るわけでありますが、その間二万八千六百三十円という値をつけましたのは、賞時の工業アルコール等から逆算をしましてつけた値段だと記憶をいたしております。第二回目は、これは明らかに指名競争入札をいたしております。これは予定価格は落札価格より大分安くて、三万百十五円ということになつておりまり。この予定価格の基礎は、やはりこれは逆算で出したことになります。こり予定価格を立てて入札をいたしましても、三べんくらいかかつた、こうい経緯になつておりまして、なかなか落札しなかつたというのが事実でございます。そこで雨季が過ぎまして、だんだん品質も悪くなつて来る、かつ比較的方々に散在しているものが残つた、こういう関係で第三回目は、前の入札価格等を参酌し、品質の下落等を織り込みまして予定価格をつくつた、こういう経緯に実はなつております。
  167. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 平田国税庁長官に伺いたいのですが、この黄変米は東洋醸造株式会社に処分せられておるのであります。ところがそのうち五百十四トンというものが食糧に横流しされまして、刑事事件が起つて、今なお審理中という案件であります。ところがまたその翌年二十八年になりましてから、その東洋醸造掛声全村と随意契約か結ばれておるのであります。どうやらこれは国税庁の方の指定というのですか指名というのですか、国税庁が介在しておる、こういうことになるのです。当委員会におきましても、この東洋醸造の案件が非常に問題になりまして、一方におきまして、自分の名前でかつては数百トンのものが食糧に横流しせられて、そうして東洋醸造は何ら責任を問われることなく、中間にあつた人間だけが刑事事件となつて起訴されておる。さらに東洋醸造は、その穴埋めに百姓さんからたくさんな原料を買い入れてアルコールを製造しておるのに、代金の支払いをしないといつて山田委員が非常にここを追究せられておつた。そういうようないろいろな物事を起しました東洋醸造でありますが、これをさらに随意契約で世話して国の黄変米の処分の相手方にする、こういうようなことについてはいろいろと当委員会におきましても疑義を持つてつたのでありますが、どういう事情でそこに介在しておりましたのでしようか、ひとつ御説明を聞いておきたいと思います。
  168. 平田政府委員(平田敬一郎)

    ○平田政府委員 お答え申し上げます。黄変米の横流し事件につきましては、実は昨年大蔵委員会におきましても大分問題になりまして、私どももいろいろ調べてみたのでございます。その結果といたしまして、配給の方法と申しますか、売りさばきの方法等にいろいろ改善すべき点もあるようでございますから、私どもといたしましては、今までの事績にかんがみまして今後は絶対に横流しのないような方法で行くということで、その点につきまして、酒類業者にも相当の責任を負わせまして払下げを受けることにいたしたのであります。その際に、結局昨年の七月でございましたか、さらに相当な、約三千二百九十トンでございますか、食糧庁から払い下げることができるということでございましたので、国税庁といたしましては、各業者に希望の価格と数量を聞きまして、それをとりまとめまして、各業者に対しまして、値段を高く言つて来た者に若干有利にいたしておりますが、公平な基準で査定いたしまして払い下げを受けることに農林省に申込みいたしたわけでございます。その際に御指摘の東洋醸造が三千二百九十一トンのうちたしか百七十三トンほど払い下げを受けることになつております。それをなぜオミットしなかつたかという問題だろうと思いますが、これは率直に申し上げまして、一昨年の暮れでありましたか、時期はあるいは私の記憶が少し違つておるかもしれませんが、横流し事件が和歌山の検察庁かどこかで問題になりまして、事件が完全に結末がついていたのかどうか、その辺のことにつきましては、あるいは私ども十分な注意が足らなかつたかとも思いますが、その当時といたしましては一応その事件は中間に介在した者に不正がありとしまして起訴されまして、東洋醸造は直接の責任は問われていない、こういう事情にあつたかと思うのであります。従いまして私どもといたしましては、今後横流しにつきまして厳重にそのようなことがないような全体的な措置を、国税庁としましても食糧庁にできるだけ協力いたしまして、酒類業者を監督は、再びあやまちを繰返すようなこともなかろうということで、実はこれを除外するということを特別に考えたわけでもない、そういう事情でありますことを御了承願いたいと思うのであります。
  169. 杉村委員(杉村沖治郎)

    杉村委員 議事進行について。この黄変米のことにつきましては、私もまた他の議員も聞きたいことがあるのでありますが、本日ではとうていこれを終えないと思うのでありまして、次にこれを続行してやつていただいて、今日は五時になつたのでありますから、この程度で今日は議事を終了したい、こう思うのですが、いかがでしようか。
  170. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 国税長官だけひとつ済ましてしまつたらどうですか。――山田長司君。
  171. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 国税庁長官にお伺いします。  実は東洋醸造が米のやみ流しをしたということで、東洋醸造を追究しておられるうちに、さらにこれに関連のありまする問題で、関東五県、栃木県、茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県、この五県の農民が東洋醸造にさつまいもを売つておるわけであります。東洋醸造では、そのさつまいもをおそらくしようちゆうとかアルコールにしておると思うのです。それで東洋醸造へ払い下げた米は全部関西の方にやみ流ししてしまつて、その分をさつまいもでアルコールをこしらえているわけです。これについて国税庁として、税金はどんなふうに処理しているか、これを一応伺つておきたいわけであります。
  172. 平田政府委員(平田敬一郎)

    ○平田政府委員 税務署におきましては、酒類製造場につきましては、原料が幾ら入つたかということは始終調べております。それに基きまして、どれくらいの製品を製造しているかということも、東洋醸造のような大工場につきましては始終よく調査をいたしております。そうしましてでき上りました酒類につきましては、倉を出ますとき査定をいたすわけでございます。従いまして今御指摘のようないもを買い入れまして、それによつてでき上つている酒類があるといたしますれば、それに対しましては当然酒税を賦課しておるものと思いまするが、何か特別な事情で酒税自体をまぬがれているようなうわさでもありますれば、ゆゆしきことだと思いますので、さらによく調べたいと思いますが、参考のために伺つておきたいと思う次第であります。
  173. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 これは東洋醸造が税金を払つていないんじやないかということをいわれておることが一つ。もう一つは、東洋醸造の代表者のような顔をして有働一夫という人間が関西の方に出かけて行つて、これがお米の売買をやつておるわけです。こういう場合に、東洋醸造はまつたく出先機関がやつたということで、自分のところじや知らぬと逃げておるようです。ところが相手方は、東洋醸造の代表者としてこれを扱つておるわけです。こういう問題について東洋醸造自身は実に上手に逃げているから、政府としては、東洋醸造に何ら責任がないという形で将来も続けて米の払い下げなどをなされるものと思うのですが、一体そんな宙ぶらりんな状態の人間に、農林省の方でも米をやたらに払い下げて、この有働という人間が刑事事件を起したような場合には、東洋醸造に波及しないように手を打つておると思うのです。で買つた米は全部東洋醸造へ行つておるわけです。それで、たとえば関西で刑事事件を起した事件については、全部有働が背負つておる、こういう事件のようです。そういう点で売つたものについての税金はどんなふうにしておるか、国税庁も二重な調査を願いたいわけです。どうぞお願いいたします。
  174. 平田政府委員(平田敬一郎)

    ○平田政府委員 東洋醸造に割当てられた黄変米が横流しになつておる事件は、率直に申しまして、先ほど申し上げましたように、すでに刑事事件になりまして、和歌山検察庁で相当調べられているということでございましたので、私どもはその結果を承つた次第であります。それによりますと、先ほどから申し上げましたように、どうも東洋醸造は直接責任がないということでございましたので、今申し上げましたようなことにいたしたわけでございましたが、しかしもちろんその間におきまして法的でなくても、道義的にも何らか変なことがありますれば、これ私どもは将来また酒税行政上十分参にいたす資料といたしまして注意しければならぬと思いますが、御指摘のような点につきましては、よく注意いたしまして、今後取調べてみたいと思うのであります。
  175. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 実は先ほど犬養法務大臣が来て法務大臣は途中で帰られたのですが、実は本会議の席上で、犬養さんは東京地検の木村治検事はこれにタッチしてないということを言われておるのですか、実は私はこの問題について関西に調査に行く前に木村東京地検の検事にも会つてつたのです。本会議の席上犬養さんは全然東京地検の検事はこれに関係ないということで逃げてしまつたので、先ほど見えたきに私聞こうと思つたのですが、その後聞きそこなつておるわけですけれども、今あなたが言われておりますこの事犯は、検挙されておりますのは和歌山だけでありますけれども、ところがこれは大阪にも、京都にも、それから神戸にも、広島にも、愛媛にも横流しされているのです。こういう点について、検察当局が和歌山だけにとどめてしまつているところに私の調査した範囲では実に不可解な事件があるわけです。そういう点についてあなた方の参考になればと思つて申し上げたわけですけれども、農林省としては和歌山の食糧事務所だけの調査だけでなく、大阪、京都、神戸、それから広島、愛媛、この二府三県にわたつて調査を至急にお願いしたいと思うのです。
  176. 吉田(賢)委員(吉田賢一)

    吉田(賢)委員 長官にちよつと念を押しておきますが、東洋醸造が買い受けた黄変米を横流ししておる案件にいて、和歌山で起訴されたのは神前いう人だけであつて、有働は起訴されておらぬということになつておるのですが、これはどうですか。
  177. 平田政府委員(平田敬一郎)

    ○平田政府委員 その点は、あるいは私からお答えするよりも法務省からお答えする方が適当かと思いますが、私もそのように聞いております。
  178. 柴田委員(柴田義男)

    柴田委員 片柳さんに一言だけ伺つておきますが私ども今までも資料調査しておりますと、片柳さんの御説明のように、非常なお手数をかけて会社がやつたというようなことは、全然詭弁のようにうかがわれます。大体あり姿でお買いになつたということは事事で、やはり同じ現場でアルコールの工場へ発送されておる。マル通は介在したことは事実なんですが、あなたの方の会社から、一人か二人の社員が携わたということだけは、これは認められますが、それを非常な労力をそこにかけたというようなことは、全然書類の上では見受けられませんが、ほんとうにそれだけ労力をかけられたのでございましようか。
  179. 片柳参考人(片柳眞吉)

    ○片柳参考人 これは、私もいろいろ御批判がありましたので、この点はつぶさに会社の内部について調べました結果、やはり発注の方にも相当人を出しまして、輸送機関も督励しておりますし、また納入のところでは一々看貫をいたしますので、各工場に全部立ち会つておりますから、相当人を出しております。実は会社もこの仕事関係で、大体三月間はこの仕事に没頭しておつたのであります。もちろん輸送等は、御指摘のように日通その他に御依頼しておりますが、発注、着荷には相当人を出しまして、看貫その他の点に当つたわけであります。御批判はいろいろありますけれども、相当の仕事つたのであります。
  180. 山田(長)委員(山田長司)

    山田(長)委員 ただいまの片柳さんお答えについて、ちよつと伺いたいと思いますが、ただいま運賃の問題及び人がたくさん出たという話がありましたが、どういうぐあいにどれだけの人間を要したのか、それから全体の経費が幾らかかつたのか、どうも運賃の点について不明な点がありますから、これを一つ書類で出していただきたいと思います。
  181. 片柳参考人(片柳眞吉)

    ○片柳参考人 その点は書類で詳細に報告いたします。
  182. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 会計検査院から、お話したいということですから……。
  183. 小峰会計検査院説明員(小峻保栄)

    ○小峰会計検査院説明員 先ほど農林関係の批難事項が、最近激増されたことにつきまして、会計検査院の検査が、端的に申しますと、きついのではないだろうか、こういうような御意見があつて、所見を求められたわけであります。私の局では、農林のほかに建設省と運輸省ちようど公共事業関係の省を三省担当しております。それで検査報告の件数で多いのは公共事業関係補助であります。これは検査報告をごらんいただくとわかります。件数は比較的多くございませんが、金額が非常に大きい批難事項というものは、現在問題になつております食糧問題であります。食糧会計は、件数は、今申し上げました通り必ずしも多くございませんが、二十七年度の成績で参りますと、検査院として批難すべき金額は約六十億という莫大な額に上つておるのであります。この公共事業関係補助と、それから食糧問題の二つが、今私どもとしては非常に大きく考え、重大に取扱つているわけであります。一般のほかの局はどうかというようなお話もございましたが、一般の会計と申しますと、二、三年前までに比べまして相当よくなりつつあるということは言えるのでありまして、これは検査報告の批難事項に端的に現われて減つております。私どもといたしましては、別に農林省を特に辛くとか、そういうことは毛頭考えておりません。一人の局長のもとで、同じ方針でやつているのでありまして、どうぞひとつ御了承願いたいと思います。
  184. 田中委員長(田中彰治)

    田中委員長 本日はこの程度にいたし、次会は二月八日午後一時から開会いたします。参考人各位には、長時間まことに御苦労でありました。これにて散会いたします。     午後五時十六分散会