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1954-05-21 第19回国会 衆議院 経済安定委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十一日(金曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長代理 理事加藤 宗平君    理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君    理事 栗田 英男君 理事 松原喜之次君    理事 菊川 忠雄君       木村 俊夫君    迫水 久常君       西村 久之君    平野 三郎君       杉村沖治郎君    三宅 正一君       水谷長三郎君  出席政府委員         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         議     員 竹谷源太郎君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 五月二十一日  委員楠美省吾君辞任につき、その補欠として加  藤高藏君が議長の指名で委員に選任された。 五月二十一日  根本龍太郎君及び菊川忠雄君が理事補欠当選  した。     ————————————— 五月二十日  昭和二十九年度離島振興予算確保に関する請願  (岩川與助君紹介)(第四九五八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  国土開発中央道事業法案竹谷源太郎君外二十  五名提出衆法第三二号)     —————————————
  2. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任の件について、お諮りいたします。本委員会におきましてはただいま理事二名欠員となつておりますので、この際その補欠選任をいたしたいと存じますが、前例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 御異議なしものと認めまして、根本龍太郎君及び菊川忠雄君の両君を理事に指名いたします。
  4. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 国土開発中央道事業法案を議題といたしまして審議に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。
  5. 三宅正一

    三宅委員 ちよつと資料のお願いをしたい。今審議になつております中央道路調査費として前年一千万円組みまして、それで一万分の一の航空写真による観測の地図ができているそうであります。それから山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、東京、神奈川、滋賀、各県それぞれこの中央道路関係総合開発調査報告書ができているそうであります。これはまだ本省まで集まつているかどうかわかりませんが、その地図、それから各県のこの関連をいたしました調査、一千万円出して調査のできました資料の写しを、委員資料として政府の方から提出してもらうようにお手配を願います。
  6. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 承知しました。杉村沖治郎君。
  7. 杉村沖治郎

    杉村委員 中央道路のことにつきまして伺いたいのは、まず本案と国土総合開発法との関係なんであります。国土総合開発法によつてこうした事項は十分にやれると思うのでありますが、こういうような単行法をつくらねばならないという理由はどういうことであるかという点が第一点であります。  第二点は、国土総合開発法によつて指定されている地区が、本法案によつて道路がつくられる地区にかかつているのでありますが、これについて国土総合開発法に基くところの指定地区事業との関係をいかように調節なされるかという点が第二点であります。  第三点といたしましては、この実施にあたりまして公社をつくつてやるということになつているのでありますが、道路開発をすることについて、どういう必要があつて公社をつくつてやるかという点が第三点であります。公社はとかく私どもが決算委員会を通して、公社のいわゆる経理状態を見ますると、きわめてその経理において適当ならざる面が非常に多いのであります。それにもかかわらず、こういう道路開発というようなことについて、公社でやらぬでも国家でやつたなればよろしいのじやあるまいかと思われるのであります。以上につきまして御質問を申し上げた次第であります。
  8. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 杉村委員の御質問にお答えをいたします。国土総合開発法によりまして、国内各地にそれぞれ資源開発その他総合的な公共事業が行われておりまするが、これは私の承知しておりますところでは、国土総合開発法というのは国土総合開発に関する基本法でございまして、この基本法によりまして現実に国土総合開発をある地区を指定して行う場合には、それぞれ単独法をつくつて実施をするということになつておるのでございまして、そ、うした観点からも、この国土開発中央道事業法案は、そうした基本法のもとにおける実施法律である、こう考えまして、この国土総合開発法との関連においては何ら支障はないのではないか、かように考えておる次第でございます。  それからこの国土総合開発法によりまして指定された地区と、この法律による中央道との重複関係につきましては、これはこの法案にも書いてあります通り国土開発道路に関する審議会を設けまして、これをもちまして実施計画立案をいたします。そこでこの審議会がすでに指定された国土総合開発指定地区との関連調整いたしまして計画を立てますから、この点の調整は完全に行くものと考える次第でございます。  第三点の、この中央道をつくるための公社の問題に関する質問でございますが、むろんこの事業国家事業でございまして、特別会計をもちまして国家の直接の事業として実施するという一つの方法もありましようし、あるいは現在やつておりまする国土総合開発法に基く事業のように、それぞれの所管の官庁にわけて実施するというやり方もございましようが、この法案におきましては、そういうやり方ではどうも従来の実績によりますると、仕事能率的に、迅速に、そして総合的にうまく行かない趣がある。これをむしろ一本にまとめて、全責任権限を持たし、そうして公社をして国家の代行としてこの事業実施させるということが一番能率がよく、さらにりつぱな事業の成績を上げ得るのではないか、かような考えから公社制度を体用するという法案をつくつた次第でございます。杉村さん御心配のように、公共企業体能率的な運営をさせるために特別法をつくりましてできましたが、いろいろ鉄道会館問題なり、あるいはその他の汚職疑獄等、まことに遺憾な事態を引起してはおりますけれども、この公社名前は同じような名称を使つておりますけれども、従来の鉄道、専売、電電公社のような、そういう行き方とは組織も、またその権限責任も、やり方も全然かえまして、全責任権限を持たすが、同時にこれらの三人の理事が中心となりまして、企画実施と両方面を担当させて、全心身を打込んで国民全体のために、国土を今までよりも倍にも広めて使おうという、そういう高い理想と使命を持つて、それに自覚した熱烈な態度でこの事業経営に当らせるという、非常に精神的な要素を加味したような意味合いで完全な仕事をやらせよう、そうしてむろん汚職疑獄のような事件は絶対に起らないように、会計関係につきましても、会計検査院が直接この中央道事業公社に対しまして絶えざる監視検査行つて、あやまちのないようにさせるという組織にかえて行きたい、かように考える次第でございます。現在日本国有鉄道等は、上に最高責任機関であります、昔の鉄道監理委員会、昨年の夏法律が改正になりまして日本国有鉄道経営委員会という五人の委員会が、国鉄最高議決、そして総合調整統制指導機関になつておるわけでありますが、その下に理事その他の職員日本国有鉄道経営に当つておる。ところが現在その経営委員なるものは、何ら見るべき仕事をやつておらない。鉄道会館その他の問題が起きた後におきましても、これに対する十分の経営委員としての職責を果しておらないとわれわれは見るのでございます。はなはだ遺憾にたえない。この点杉村さんと同じ意見でございますが、この中央道事業役員は、議決機関執行機関とをわけませんで、三人の理事国土開発中央道事業審議会企画に基きまして、諸般の方針を決定し、そして実施に当る、意思機関執行機関をこの三人に集中した、その意味合いで一層その権限が大きくはなるのでございますが、しかしながら現在わが国がいろいろな行政機構におきまして委員会制度をとつておる、その下に執行機関がある。そういう場合に責任の所在が非常に不明確で能率が上らない、合理的に行政が運営せられてない例をたくさん見るのでございまするが、その弊害を除去するために、意思機関実施機関、これを一体として、理事三人に全責任を負わす、ほかに監事二人がおりまして絶えずこれを監視をして行く、そうして会計検査院会計については厳重なる審査検査を励行して行く、こういう組織によりまして、真にこの事業能率を上げ、合理的なりつぱな経営をさせるというねらいでございます。そういう意味合品いからこの法案にも、中央道事業公社役員は、国民のために、国民に対して、総理大臣の前で誠実に忠実にまじあに、あらゆる努力を傾到して、理事としての職責に当るということを宣誓をして、そうして理事に就任する、監事に就任するという建前をとつておる次第でございまして、この点はアメリカTVA——テネシー・ヴアレー・オーソリティーの、そうした精神によりまして、テネシー・ヴアレー開発の非常な成功を見たのでございまして、大体そういうような点を参考といたしまして公社案を採用したのでございまするが、名前がどうも、従来の公社企業体と同じ名称公社という名称を用いてある点、立案者としても不満なのでございまするが、他に適当な名称がございませんので、従来あります公社という言葉を用いたのでございまするが、精神は現在あります他の公共企業体というものとは全然内容、実質の違つた、真に国民のためにりつば仕事責任を持つて遂行する、そういう機関としてこの中央道事業公社を設立する、こういう構想に基いたものであります。
  9. 杉村沖治郎

    杉村委員 私はしつこく尋ねようとするものではありませんが、国土総合開発法基本法であつて、こうしたことは単行法でというようなお説でございますが、国土総合開発法こそはこういうような事案を取上げておるので、十分にこの国土総合開発法を活用せなければならないと思うのであります。国土総合開発法は決して基本法だけではありません。すべてちやんと具体的に同法に例示されてあるのでありまして、資源開発運輸交通電源開発についても、すなわち二都府県にわたる地域についての重要なる開発関係においてはそれをやるように規定されておりまして、しかもその国土総合開発法に基いてやりまするところの、その実施方法につきましては、私がここに申し上げるまでもなく、提案者も御存じの通り審議会等ができておりまして、政党においても各党各派からその審議委員が出ておる。さらに全国の学識経験者が選ばれて委員になつておるというよりに、きわめて間違いの起らないような方法でその組織ができておるのでございます。でありますから、このような問題こそは、私は当然に国土総合開発法によつてやるべき事案であろうと思うのであります。ことに第一点として伺いました、現在国土総合開発法によつて指定されておりまするところの飛騨地区のごときは、この道路のまん中に当つておるので——本日それを持つて参りませんでしたが、そのほかにもまだ指定された地区がありまするが、いずれもこの国土総合開発法によつて指定されておるところの地区にかかつておるのであります。これらはこの国土総合開発法に基くところのその実行者との間にいろいろな摩擦が生じなければよろしいのですが、どうもこういうようなことでやつて行きますと、当然そこに摩擦が起るのではないかと心配されるのであります。それが国土総合開発法に基いて行きまするなれば、一本でありまするから、決してそういう摩擦も起らないと思うのでありますが、提案者におかれましてそういうようなことは心配がない、こういうことであればそれ以上私は何事をも申し上げません。  さらに公社については、いろいろと監督を厳重にするとかいうことをおつしやられておりまするが、それがそもそも根本問題としていけない。監督を厳重にするとかしないとかいう問題ではありません。こういうようなことは当然に国家の手によつて行うべきでありまして、監督をいかに厳にいたしましてもなかなかなかうまく行きませんで、今陸運疑獄としてあれだけの大汚職を起したゆえんのものは、どこから起つて来たかと申しますなれば、御承知のように昨年のいわゆる株式会社鉄道会館並びに国鉄を取巻いておるところの外郭団体に端を発しておるのであります。先ほども提案者国有鉄道経営委員会のことについて申し述べられたのでありまするが、昨年この国鉄の問題が起つた当時は経営委員ではありません。国有鉄道監理委員であります。監理委員として相当な人が指定されておつたのでありますけれども、この監理委員までがいわゆる株式会社鉄道会館の株主となつて、金もうけに没頭しておるというような状態であつたのであります。実に公社制度が、日本においては経済面におきまして国民血税をみだりにしておるということがはつきりいたしておるのであります。造船関係におきましても、御案内のように、昭和二十四年以来今日まで、政府が各船会社に貸しておりまするところの国民血税というものは、九百九十二億一千九百万円であります。さらにそのほかに市中銀行から七百億という莫大なる融資を受けておりまするが、利息すら払つておらないのであります。それは当経済安定委員会におきまして、銀行代表者が説明をいたしておりました。もういかに何と言われてもわれわれは船会社に金を出すことはできないということを、当委員会銀行代表者が言うておる。それにもかかわらず、政府は昨年昭和三十五年にさかのぼつて船会社の借金の利息の補助をやるという、すなわち外航船舶利子補給法を出して、そうしてこの大疑獄を起しておるのであります。さらに電気事業におきましても、今どんな状態にあるかと申しまするなれば、国民血税によるところの資本が、いわゆる民間から借りている資本の七〇%以上に及んでおります。会社資本からいつたならば、それこそ何十倍というものが国民血税によつてまかなわれておるのであります。それにもかかわらずこの電気事業会社は一割五分の配当を昨年やつてつた。かくのごとく数え上げますならば、日本国民血税をこういうような制度によつて非常にみだらに使われておるのであります。かような今日、これを公社制度でやるということは、私ははなはだ遺憾しごくであると思うのであります。かりにこういう法案を出しても、その実行方法が、国家においてやるというのであるならばまだしもでありますが、公社制度でやるということは、どう考えても私は納得が行かないのであります。  さらに次にあらためて伺いたいのは、日本の現在の国家経済の見地から見まして、かような道路をつくることと、外航船舶をつくるということについて、両者いずれに重きを置かなければならないかという問題であります。外航船舶建造については、あの大疑獄以来、政府といえども、現在の状態において船会社に対して融資をしてやるということはできないということを承知いたしておるのであります。ことに民間資金利用することができないということになりますと、財政資金ではほんの乏しいわずかの金であります。それにもかかわらず、この道路法案におきますると、五箇年計画で一千億ということになります。そうする、年間二百億という金をここにつぎ込まなくてはならない。かような金があるならば、この金を外航船舶建造の方にまわしますならば、民間資金がなくともたくさんの外航船舶建造することができるのであります。しかるにこのような日本の貧弱なる経済状態にあるにもかかわらず、年間二百億もの金をこういう道路計画使つて——日本経済というものは貿易がなかつたならば立つて行かない、その貿易に最も必要なるところの船舶建造資金というものを乏しいままでおいて、一方にこういうことをやるということは、私は日本経済のいわゆる根本的観念においてはなはだ遺憾であると思うのでありまするが、これらの日本経済根本的観念において提案者はどんなお考えをお持ちになられておりますか、伺いたいのであります。
  10. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 国土総合開発法に基く国土総合開発指定地区とこの中央道との関係につきましてなお一言申し上げておきたいことは、国土総合開発法に基く指定地区はむろん未開発のところもありまするが、すでに開発に着手されており、あるいは開発されておるが一層開発を促進しようというような、まあ比較的里山あるいは従来人間利用しておつたところに近いところであるのでありますが、この中央道によつて開発しようとする資源地帯は、山の中で全然未開発のところをなるべく開発したいというところにねらいが亙るのでございます、ことにこの大井川上流赤石山系は、幅四十キロほどでございまして、これは日本にまれな非常な美林だそうでございまするが、全然僻地であつて切り出すこともできない。そういうところを横に貫通をするこの道路ができますると、一年に百万石ないし二百万石ぐらいの森林資源が積み出せる。そうすると、二百万石といたしますると、石千円としても二一十億の収入が年々入つて来る。そのあとには新しい植林をしてそうしてどんどん木が成長する、こういうようなまつたく未開発地帯を主として開発しよう、しかもそれを道路として交通の便に供しよという二つのねらいからできておるのでございまして、従来の国土総合開発法によつてつておりますところとは趣をかえて、日本の全然利用せられておらないと同じような土地人間利用に供しよう、生活圏の中に直接入れようというねらいであるのでございます。  それから公社の問題につきましては、御心配ごもつともでございまするが、しかしながら人間が悪いことをするという心配であるならば国家は何も仕事ができない。国家が直接事業をやる、たとえば国土開発道路省というような省をつくつてこれを開発して行くといたしましても、やるのはやはり人間でございまして、その人間が悪ければどんなこともいたします。そこで公社といいましても、これは公務員でありまして、官吏、いわゆる国家公務員と実質的に異なるところがない。あらゆる法律上の扱いは国家公務員と同じように扱われる。ただ公社という国家とは一応独立したような形にはなつておるが、国家機関でございまして、この点国家公務員がやるのも公社理事職員仕事執行に当るのも同じ人間であり、同じ日本人であり、また同じように国家公務員に準ずるところの待遇を受けるところの人間が当るのでございまして、日本人が役人として悪いことをやる、日本人国家公務員としてならば絶対に悪いことをしない、公社員ならば悪いことをするというわけではございませんので、やはり国家公共の確たる認識の上に立つて国家公共の目的のために自分を投げ出して一生懸命仕事をやろうという人たちが当れば、それは国家官庁として国営であろうが、あるいは公社をしてやらしめようが、それは同じことではないか。むしろ能率を高く、そうしてあらゆる責任を持たして、現在の国家公務員が持つておらないよいものをこの公社理事職員に持たしめて、一層能率的な奉仕的な仕事をさせようという考えでございまして、その点従来の実績から申しますると、公共企業体職員は非常に遺憾の点がございましたが、この中央道事業公社理事職員国家公務員以上のりつぱな人間、また精神をもつてこの事業に当らせなければならぬ、そういたすことができますならば、むしろ国家公務員をしてやらしめるよりもかえつて能率的なよい仕事ができるのではないか、かように考える次第でございます。  それから第三の国家財政経済との関連でございますが、もちろん貧乏な日本が年々二百億づつこの中央道事業公社のために出資するということは財政上困難な点がございます。しかしながらわが国面積は三十六万平方キロメートルしかございません。イギリスよりわずか広く、フランスよりも三分の二くらいの面積しかない。アメリカの二十分の一である。そういう狭い国土に一億近い人間がうごめいて押し合いへし合い生活をしなければならない。しかるにこの三十六万平方キロメートルの狭い国土の七〇%が山岳であり、農耕地はわずか一五・六パーセントでございます。イギリスの例をとりますれば、八〇%が農耕地になつておる。フランスは六〇%、ドイツでも四、五十パーセントが農耕地になつておる。この狭い国土で一五・六パーセントしか農耕地になつておらないし、その他住宅、道路工場敷地荒地等を除きますと、山林が七〇%くらい、しかもその山林には六十億石の木材が入つておるわけでございますが、この六十億石のうち二十四億石だけを利用しておつてあとの三十六億石、すなわち六〇%は全然未利用森林資源でございます。そうした利用されていない土地森林地下資源というものを開発することによつて、いわゆる日本人の使つている土地を倍にも増しまして、そうして日本自給自足体制を確立する。日本人が海外に移住し、あるいは人口問題では産児制限をやる、あるいは貿易をやつて大いに外国にたくさん物を売つて食糧を買つて来るということをやりましても、今日の世界情勢においてはとうてい移民は焼け石に水である。産児制限についても現在の一億に近い人口を殺すわけには行かない。貿易でもつて食おうといたしましても、なかなか日本品物をどしどし自分の思う通り外国に売ることができない。また輸出する品物をつくる原料はかなりの分を外国から買わなければならないということになると、今後日本人はどうして食つて行くか、生活程度を高めるというようなことはまつたく思いもつかないことになると思うのでございます。そういう日本国土利用の現状にかんがみて、日本のまだ利用されていない七〇%にも上る森林地帯をできるだけ開発をして、そうして日本人利用する土地を多くするということが日本人の今後生きるために残された唯一の道ではないか。この問題を解決するためにわれわれといたしましては、北は北海道から南は鹿児島に至るまで延長約三千キロございますが、これを五百メートル前後の高地帯にハイ・ウエーをつくりまして、そうしてこれを幹線といたしまして、肋骨道路を海岸の方に出しまして、そうして農耕地を三百万町歩くらい拡大をしたい。森林資源を十分に開発する、地下資源開発する、それから電源開発する。そうして農耕地を拡張して農家の二、三男対策あるいは食糧の自給をはかる。それから高原地帯精密機械工業等を発達させて、りつぱな工業製品をつくるというふうな、あらゆる日本人生活領域を広げまして、そうして自給自足体制を確立して、根本から日本国家経済国民生活を建て直して、革命的な経済的、社会的、これは方向でございますが、こういう革新的な革命的な開発をするのでなければ、とうていわれわれ日本人の将来の生きる道はない。かような観点から第一期の事業として、まず東京・神戸間の直線道路をつくりまして、残されたる資源開発に着手しよう、あわせて東海道の交通閉塞状態解決しよう、こういうねらいを持つものでございまして、二百億の国費を年々投ずることは非常に高いように見えますけれども、これによつてつて来る生産、失業問題の解決、将来は完全雇用にもなる、そして食糧の輸入をしないで、むしろ小麦や酪農品外国に売れるぐらいに農耕地を拡大する、また材木やパルプ材を輸入しないで、国内森林資源でこれらの解決ができる、また地下資源開発をすることによつて、不足している日本の金属その他の原料を獲得する、あるいは東京中央道路沿線には優秀なる石灰石等もございまして、電気もできますし、これらによつて日本の特異な化繊工業を盛んにして行くという方向もございますし、これによつて日本人の、また日本の国の経済がよくなりこそすれ悪くはならない、こういう大目的のために二百億を投ずることはあえて惜しくないし、またこの決意をもつて進めば、現在の財政状態をもつてしても優に二百億の金は捻出できますし、ことに保安隊の増強等を停止しますれば、難なくこの財政問題は解決をしてより以上の金を出せる、かように考えるのでありまして、これは国家経済観点からもぜひやらなければならぬ、かような結論から本法案を提出いたした次第でございます。
  11. 杉村沖治郎

    杉村委員 提案者の御意見は一応はうなずけるのでありますが、しかしこれは意見の相違になりますから多くは申し上げません。けれども、日本の領土が狭いから資源開発する、人口が増加して困る、こういうことを言われるのですが、私はいま一歩進んでお考え願いたいことは、これつぽつちの狭い領土をそんなにすみからすみまでさらつてしまつたら、そのあとどうなるかということです。われわれ日本民族がほんとうに生きて行こうというためには、何よりも国際関係に入る以外にない。自給自足なんということを考えておることは、私はきわめて近視眼的なことではあるまいかと思う。輸入すきものがあつたらどんどん輸入し、そうしてどんどん輸出する、そしてわれわれ日本民族は海外に出て行くことを考えなければならぬ。これは私個人の私見でありますが、少くとも、日は世界国家をつくらなければならない時代なんです、日本はかつて農地解放をやりましたけれども、こんな狭い日本国内だけの農地解放をやつてみたところが、限られたこの狭い領土をいかに開発してみたところが、それには限度がある。むしろわれわれは現在の日本の山岳地帯資源などというものは、いま少しそのまま置いてながめておつて、他から求めて、これこそはいよいよ日本民族の最後のどたんばに来たときの資源として残しておかなければならない。蒙古に行きますと、蒙人は決して土を掘らない。これは後世のための資源であるというので掘らないのであります。これもどうかとは思いますけれども、人口はふえて行く、狭いから山の奥までも開発しなくちやならぬといつて、こんな狭い中ですみからすみまで重箱のすみをほじくるようにさらつてしまつたら、あとはどうなる。そんなことではわれわれ日本民族は世界に雄飛することはできないであろうと思うのであります。それから公社をつくれば公務員と同じである、こういう御説であるが、公務員と同じであつたならば、なぜ国家の現在の役人にやらして悪いかということなんです。現内閣においても行政整理を断行しようとしておる。現在の役人ですらも多くてしかたがないというのに、さらにこれ以上何人かを拾い込んで、これにたくさんの月給を与えてやるということは、その点からいつてもむだ口を食わせるということになると思うのであります。しかし、これらについては別にお答えを願わなくてけつこうです。  次に道路局長の富樫さんにひとつ伺いたいと思います。私はこの問題は国土総合開発法でりつぱにやつて行ける問題であると思うのであるが、局長は総合開発法でやるよりも、こういう単行法を出してやる方がよいと思うかどうか。それから役人にやらせるよりも公社制度公社人たちにやらせた方がよいかどうか。それから道路の問題につきましては、確かにこの道路は不必要だというのではありませんけれども、日本の現在の地方の道路、橋梁の状態と比較して、日本経済上これに年間二百億の国民血税を投じてやることが——現在なお地方に行つてみますならば、橋が満足じやない、あるいは道が狭くて自動車、トラックが通ることができないというようなところがたくさんあるのであるが、そういうものを置いておいてもこういうものを先にやる方がよいかどうか、これらについて御所見を伺いたい。
  12. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 答弁はいらないということでございましたが、一言申し上げておきたいことは、杉村さんのおつしやるように、大いに日本人が海外に発展したらよろしい、重箱のすみをつつくように国のあらゆるところをみな開発するなんということはあとまわしにしてながめておく、それができたらそれに越しをとはない、われわれはそう念願するのであります。しかしながら、外務省の移民係官等の意見を聞きましても、今一年に何千人しか出せません、非常な努力をしても、一万、二万、あるいは四、五万が最大限度でありまして、百万以上の毎年増加する人口の解決方法にはならない。また大いに外国から品物を買えばよろしいと言うのですが買う金がない、買つて来ても、それをつくつて売る場合に相手がなかなか買つてくれない、これ日本の外交政策を改めなければならぬ、今日のように日本が再軍備をやつてますます隣近所から恐れられるようなことをしておつたのではいげない、日本がアラフラ海に真珠貝をとりに行こうと思つても妨害を受けるし、代議士か民間人かがアメリカの帰りにニューギニアあたりをちよつと買いたいような話をしたら大なる反撃を受けた、アメリカ人が日本人技術者を南洋方面で使おうと思つたらオーストラリアから猛烈な抗議が出る、こういう状態である。またブラジルその他南米の、日本が移民を送ろうとする国々の状況を聞きますと、何とかして有色人種は入れたくない、どうしてもなければ最後にやむを得ず日本人を多少入れる、こういう情勢だそうでございます。こういう日本人に対する世界中の誤解を一掃して、日本人は世界で最も優秀な、非常に平和的、道徳的な民族であるということを認識させまして、白人以上の待遇を外国から受け得るようになればそうした問題は解決するかもしれませんが、今日の世界情勢——世界連邦国家でもでき、あるいは世界中に民主社会主義の政権が樹立され、そして国境というわくをはずすような時代になればこれはよい。これはわれわれの理想としてぜひ達成したいと思いますが、そこに至るまではそうした日本の人口問題、食糧問題、財政経済問題は解決されないので、われわれが当面の、ここ五年でも十年でも二十年でも、日本民族を何とかして行かなければならないという問題を考えますときに、ヨーロッパ各国を見ましても、山のてつぺんまで牧場にし、あるいは小麦畑にいたしておるのでありまして、日本人が食えない食えないと言つておりながら、まだ利用し得る土地利用しないでいて、外国に援助を訴えるようなことはまことにこじき根性でありまして、自給自足を全部するということは困難かもしれませんが、でき得る限り自給自足をするようにわれわれが努力をするのが当然であり、またわが国の独立を、またわれわれ日本民族の矜持の上からも外国に恵みを乞うようなことは断じて許されない。われわれは自分でなし得ることは最大限にやつてわれわれの生活を建て直してこ高めてわれわれの独立と、平和と民族の幸福が守られるのではないかと考える次第でございます。議論にわたるようでございますが、そういう気持からこの法案を提出した次第でございます。
  13. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 ただいまのお尋ねのことと順序がかわるかもしれませんが、まずこの道路について建設省はどういう調査をしたかということを申し上げますと、この法案によります道路そのものかどうわかりませんが、この法案によります第三条第二項の要件を満たすと考え道路についてごく初歩の調査をいたしました。すなわち航空測量をいたしまして、これを一万分の一の地図に図化いたしました。この程度の調査行つております。これを実施しますとすれば、今後必要な調査はこの図面に数線を入れました結果について現地を踏査いたします。踏査いたしましてそのうちでこの線がよいときまりました線について実測をいたします。実測をいたしました結果について、さらに大きなトンネルとか橋梁がありますので、そういう点の実施調査が必要になります。それらの調査をいたしまして実施設計をつくつて実施するということに相なるのでございまして、まだ相当の調査を要するという事業が残つておるわけでございます。  そこで日本道路の現況でございますが、府県道以上の延長が十四万キロございます。十四万キロのうち改良されておりますのは三万キロ足らずでございまして、なお十一万キロは改良されずに残つております。また橋梁もほとんど木橋でございまして、橋数は六万二千ございますが、その半数は木橋である状況です。また鋪装につきましてはごく蓼々たるものであります。  これらの日本道路をどういう計画で今後改修しなければならぬかと申し上げますと、ただいま道路整備五箇年計画が閣議決定されましたので、その線に沿うてこの五箇年間道路の整備をいたすわけてございますが、この五箇年間で総額が事業費にいたしまして二千六百億でございます。年間にいたしますと三十年度以降約五百億の事業をいたすことになりますが、これをやりましても日本道路のまだ二〇%程度が改良されるということになるわけでございます。  そこで提案されております国土開発中央自動車道でございますが、これは公共事業費でやるというふうにも受取れないのでありまして、自動車道路ということになりますと、あるいは有料ではないかとも考えられるわけでございます。公共事業費でない他の資金でやるということになりますと、これはまた別の観点からながめなければならないと存じますが、こういう開発道路につきましては、われわれといたしましても公共事業費の中に資源開発道路を含めて考えておるわけでございます。ここに提案されております中央自動車道路は高速自動車道路の性格と開発道路の性格と二つ持つているように考えるのでございますが、開発道路の規格は高速道路の規格と異なるわけでございます。高速道路は幅員の広いものがいりますし、また高速を出す関係で勾配、曲線等も抑えられて来るわけでございます。また高速道路の第一の目的は短時間に結ぶということでございますので、高いところに上つてまた下るとか、あるいはまた年間使用できるような地点を選ぶべきでありますので、そういう条件に合うような道路を選べばよろしいと思います。また開発道路開発さるべき地域に最も便利なようにつくればよろしいので、必ずしも高速を出す必要はないわけでございます。また開発道路になりますとこの道路の培養線がたくさんできると思いますが、それらの道路と結びつきやすいように、また森林資源開発でありますと木材を切出しやすいような道路を選ぶべきでありまして、この二つの違つた性格の道路を結びつけて一本にする場合には、おのおの別にこしらえるよりも、あわせてつくつた方が建設費も安いし、また年間の使用の点からいつて便利であろうと考えます。ここに提案されております道路がどのくらいの建設費がかかるかはまだ今後の調査をまたなければはつきりいたさないのでございますが、それらの調査の結果をまつて、二本つくるよりも一本でやつた方がよろしいということならまた別でありますが、今の段階で意見を申し上げるのははなはだ行き過ぎかと存ずるのでございますけれども、ただいまの一万分の一の平面図のできたところでわれわれが中心線を入れて考えますと、問題は赤石山脈を抜けるところで、これを高さ九百四十メートルと押えまして抜けることにいたしますと相当の困難があります。あるいはセンターを赤石山脈でなくほかに求めなければこの線は通り得ないかもしれないと考えておるのでございまして、これらの点から考えますと、おそらく建設費は莫大なものになろうと考えますし、また相当標高の高いところを通りますので年中使うことができるかどうか、あるいは使うにいたしましても相当の維持費をかけなければならぬのじやないかというふうに考えます。また非常に長いトンネルができて参りますので、これらの維持費は年間相当の費用にもなろうと考えます。そこでこの法律のような道路事業を行うものが、単行法の方がよろしいかどうかという問題でございますが、前に申し上げましたように開発道路であるということであるならば、総合開発計画の方で総合開発計画がきまれば具体的に道路計画を定めまして、それによつてつて行くべきではないかと考えておるのでございます。また公社をこしらえて実施すべきかどうかの問題でございますが、これが公共事業費でなく、有料道路でやるというふうなことになりますと、これはまた公社ということも考え得ることと思うのであります。こういう事業公社でやつた方がいいかどうかの問題については、まだ研究が十分でございませんが、もし料金をとるということになれば、公社ということも考えられるというふうに考えております。
  14. 杉村沖治郎

    杉村委員 私の質問は終ります。
  15. 松原喜之次

    ○松原委員 関連して……。道路局長にお伺いいたしますが、アジアの従来の植民地、ことにフィリピンを見てみますると、堂々たる道路がごく短距離だけについておつて、その道路から一たび足が横に入ると、たちまち原始的な道路しかないというような事情であります、それにもかかわらず第一級ともいうべき道路が一部分にだけはできておる、こういうのがアジアの植民地の交通の状況であつたやに思われるのであります。さて日本交通については、先ほど局長がおつしやつたように、まだ改良すべき道路がたくさんある、まずそれが先である、そうして中央道路といい、あるいはいわゆる弾丸道路といい、そういうものはあとまわしにすべきである、私はこれもまことに筋の通つた話であると考えるのであります。ところが先ほど申したように、植民地はえてして総合的な交通政策よりは、何らかの他の意図によつて部分的なりつば道路をつくられやすいのであります。日本の弾丸道路についてのうわさも、これに似た趣なきにしもあらずというふうにわれわれは感ずるのであります。  そこで今度の吉田首相のいわゆる外遊でありますが、これの結果日本に分に過ぎた弾丸道路ができないものでもない、こういうふうなことも考えられるのであります。そういつた場合に道路当局としては、従来の東海道を通るあの弾丸道路計画をあくまでも固執されるのか、あるいは少くともこの新しい構想を一応考慮に置いて、そして比較して、そのいずれをとるかをさらに再検討するというような熱意と申しますか、興味がおありになるのかどうかということを承つておきたいのであります。はなはだどうも仮定の上に立つて質問ではありますけれども、早手まわしに、ひとつ技術者としての、あるいは技術者でなくても専門家としてのお考えを承つておきたいと想うのであります。
  16. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 東京—神戸間の高速道路についてのお尋ねでございますが、この高速道路につきましては、二、三年来調査を進めておりまして、二十九年度で調査は完了いたします。ただいまのところでは計画線をきめまして、実際の計画を立てておるところでございます。  この道路をなぜ必要と考えたかでございますが、御存じのように東海道線には日本の六大都市が並んでおりますし、また工業の生産額におきましても、日本の生産額の大半を占めております。また人口におきましても、日本の人口の三十数パーセントを持つておるのでございまして、現在の東海道の交通から推測いたしますと、もうすでに飽和状態に達しておることが認められるのであります。そこでもう一本新しい東海道線をつくらなければならぬと考えておるのでございますが、日本の全体の道路整備が、まだ非常に進みが悪い状態でございますので、公共事業費でこの間にもう一本つくることは、日本財政の上からいつてなかなかむずかしいと考えておるのでございます。そこで他の資金——民間の投資でもよろしゆうございますし、外資でもよろしゆうございますが、公共事業費でない他の資金を投じ、またこの道路を有料にするということでやつたらどうかというのがわれわれの案でございます。  一方現在の東海道につきましては、公共事業費で改修を進めておりますけれども、これもはなはだ遅々として進まない状態でございます。これもわれわれとしては公共事業費で、現在の東海道を重点的に改良するつもりではございますが、しかし遠からず来るであろうこういう交通の問題に対しては対処できないというふうに考えておりますので、この高速道路はぜひ実現させたいと考えておるわけであります。
  17. 三宅正一

    三宅委員 富樫道路局長にお伺いいたします。日本の産業開発、人口疎開、あらゆる面から考えまして、道路の整備の必要であることは申すまでもないことであります。その意味において、われわれもガソリン税等を繰入れまして、既定の道路を整備いたすことにつきましてはまつたく同感でありまして、もつと費用をふやすことをわれわれは要望いたすわけであります。しかしながら日本のように国土が狭くて、しかも人口が稠密であつて、そうして耕地が全面積の一割七分くらいしかないという地帯におきまして、たとえば東海道で道路が非常に輻湊するからといつて、そういう線にもう一本つくるというような考え方は、国土総合開発考え方からいつても、私どもは間違いではないかと思つておるのであります。やはり日本のほんとうの総合開発から行きますと、第一に東海道などにつくります道路よりは、今ここに出ております中央道路——もとよりこれはひつぱつて行く線やいろいろにつきましては、調査の結果多少かわるところがあろうかと思いますが、プリンシプルといたしまして、ハイ・ウエーの道路をつくりまして、そうして総合開発をやる。人口の疎開をやる。さらに肋骨道路をつくるということで、たとえば東京・神戸間などにいたしましても、補償料などが非常に高い東海道に並行させるよりは、総合開発をやりながら肋骨で入つて行けば、東京から神戸、静岡から肋骨線によつて名古屋、こういう線で幾らでも行けるし、裏日本との関係もつけられるという意味におきまして、第一期として東京・神戸間の中央道路をつくる。それから北海道までずつとつくるというような、道路の基本政策をつくらなければ、十七箇所、十八箇所に国土総合開発計画地域というものをつくりましても、これを縦横につなぎます一本の筋金が入らなければ、私どもはほんとうの意味の総合開発にはならぬと考えておるのであります。そういう意味で、われわれは道路の専門家でも何でもないけれども、一つの政治家的な感覚から総合的に判断いたしますと、やはりこういう構想の方がほんとうに建設的だと考えておるのでありますが、そういう点についていかがでありますか。
  18. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 開発道路に関しますお話のような構想は、私どももそう考えたいと思つておるのであります。ただ高速道路と合せるかどうかということについて先ほど意見を申し上げたわけでございますが、開発道路というのは、お話のような国家的な観点からぜひ必要であろうと思うのであります。そこでわれわれといたしましても、この開発計画が定まつておるところにつきましては、できるだけその線に沿うように、公共事業費も入れたいと考えておるわけでございまして、そういう観点からはわれわれも開発に十分協力いたしたいと考えておるわけでございます。
  19. 三宅正一

    三宅委員 ただいま開発道路と高速道路との関連について別に考えておるという意味の御答弁があつたのでありますが、たとえばこの間も凍霜害の見舞でもつて私どもが群馬、埼玉等をまわる場合におきましても、人口の密集しております今の既定の路線を拡張するといいましても、非常に補償費がかかる。従いまして私どもの感覚から行くと、ああいう道路はああいう道路として、それのでこぼこであるとか屈曲を直して行きますことはよろしいが、それを何倍にも大きくするという線は出て来ないと思う。むしろ側線道路さえできまして、肋骨から少し入りますれば——現在の道路技術、ことに佐久間などで使つておりますあのトンネル開鑿技術等から行きますれば、それこそ日本の七割を占めております奥地帯開発と、そうして補償費等が少い意味において高速道路というものは並行させるべきものじやないか、これを別々に考えることは非常な間違いじやないか、日本のようなところにおきまして道路を整備して行きまする方針としては、平野地帯等におきまする道路というものはそうむちやくちやに広いものにする必要はない、しかしながらほんとうに、たとえば東京・大阪間の荷物を運ぶとか、東京・名古屋間の荷物を運ぶとか、東京・静岡間の荷物を運ぶというような、鉄道の輸送は別といたしまして、トラック輸送というものは、その中央道路的なそういうところをハイ・スピードで通らせる、そうして肋骨線でおろさせる。そうして東海道線に並行しておるような線は、むしろ長い距離のトラックなどには運ばせないという行き方で行くのが、日本のようなところにおける道路政策の基本理念として考えるべきことではないかと思うのでありますが、アメリカなどとは事情が違いますから、そういうふうに思うのですが、いかがですか。
  20. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 この開発道路と高速道路は、私は別々に考えておるわけでございますが、これを合せてやつた方が便利であるというときには、合せてやつた方がいいと考えるわけでございます。そこで合せる場合にその建設費と維持費ということが問題になりますが、その総和において少い方をやる、また利用度の高い方を選ぶようにした方がいいと考えておるのでございます。お話のように、平地に持つて行きますと耕地もつぶれますし、その他補償の問題も高額に上ります。これはお説の通りでございます。また今の脊梁の方に持つて行きますと、これに連絡する道路というものが非常に延長も長くなり、また建設費も高額なものになつて来るわけでございます。また中央道路の全体の計画また建設費維持費等もわかりませんので、この点については比較できないのでございますが、われわれが考えたところでは相当になります。だから別々に考えた方がよくはないかという気がするわけでございます。
  21. 三宅正一

    三宅委員 なおひとつ富樫局長にはゆつくり一ぺんお考えを承りたいと思うのでありますが、やはりこれはほんとうに議論をいたしますれば、たとえば最近において鉄道で輸送いたしまする鉄道輸送の貨物、それは鉄道で神戸から東京まで持つて来て、それからまた目的地まで持つて行くという不便のために、統計の数字は知りませんけれども、私どもの直感では、やはり窓口から窓口へ持つて行ける、工場から工場へ持つて、行けるという意味において、最近の傾向といたしましては、相当に長距離のトラック輸送というものが鉄道にかわる趨勢にある。そういう段階になりますれば、たとえば静岡から大阪へ貨物を持つて行きまする場合におきまして、中央道路、脊梁道路に側線が一本、静岡から最短距離でついていますならば、何も混雑する東海道などをトラックを通す必要はない。むしろ早く行けるし障害物がないからということで行ける。それと同時に私は、道路局長等がだんだんと新しい感覚の上に立たれまして、総合開発という観念に立つた道路政策ということを考えて来ておられると思うのでありますけれども、オーソドックスの道路政策というものは、道路交通オンリーしか考えておらない。脊梁道路などについてわれわれが非常に大きく評価いたしまする点は、たとえば赤石山系におきまして出ます材木、これは百年切つても、五十年たてば樹齢が来ますから更新できる。まつたく捨てておる材木が出るわけでありますが、これは何も静岡だけへ持つて行くのじやない、東京へも神戸へも大阪へも必要に応じて持つて行く勘定になります。それからダムを上流につくることによつて水力の建設等ができ、下流の洪水がなくなるとか、いろいろの条件を、私はこれからのほんとうの意味の資金の重点的活用という意味においては、国土総合開発法ができた理念において、道路政策にも考えて行かなければならぬと思うのでありまして、そういう観点から行きますと、私どものしろうと的直感から行きますれば、この案で出ておりまする中央道路はもとよりでありますが、九州から北海道に及ぶ背骨道路の幹線というものが、長距離輸送のハイ・ウエーの高速度ウエーであつて、しかもそれによつて人口の疎開も総合開発もできる。十七箇所に別々に総合開発をやつて、これを横に貫くところの大きな幹線というものがなければ問題にならない、こういう観点に立つて私は、昔のオーソドックスな道路行政的な建設的な考え方でなしに、新しい理念から行きますと、これなど非常に示唆に富んだ案だと考えておるのでありまして、しろうとでありますけれども、私どもは両方の説明を聞きまして、確かにこの脊梁道路の方が、道路政策オンリーとして考えてみても、私どもは将来としては正しいのだというふうに考えておるのでありまして、きようは資料等も持ちませんし、なお道路局長などの御意見等も十分に拝聴いたしまして、お教えを請いたいと思うのでありますが、私どもはそういうふうに直感をいたすのであります。その点についていかがでありますか。
  22. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 お話はごもつともでございまして、われわれといたしましても、日本全土をおおう高速道路網という構想は持つておるのでございます。これは理想として持つておるのでございますが、その案にいたしましても、われわれとしての考えはやはりその高速道路というものは両地間を短時間で結ぶという点に置いておりますので、脊梁は通つておらないのでございます。この高速道路は先ほどちよつと説明を落しましたが、他の一切の道路なり鉄道とは立体交叉にいたしまして、平面交叉は避けております。先ほどお話にございましたが、脊梁山脈から肋骨を出して結ぶというお話でございますが、その構想はなるほどその通りでございますが、かりに静岡と今の脊梁道路中央道路を結ぶことにいたしますと、静岡から大井川の上流に一本線を引くということになるわけでございまして、あの区間で約千メートル上らなければならぬことになるわけでございます。これは不可能ではございませんが、非常な金がいることになろうと予想いたしておるのでございます。これは私ども何も脊梁がいやだというわけではございませんので、ただ現在の財政の上から行きまして、建設費、維持費を考え、あわせて年間使う上からの便利の点から言いまして、いい方をとるべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  23. 三宅正一

    三宅委員 議論になりますけれども、こういうことではありませんか。私は東京・名古屋間、東京・大阪間、東京・神戸間ということを考えまして、何といつたつて貨物の一番出るのはその関係が一番よけい動く、そこに高速道路ができますれば、かりに一千メートルの標高の高いところに肋骨線を静岡からつくらなければならぬということになりまして、それが遅れましても、静岡の分は今の線を通つて行けばいいので、そうして非常に交通の煩雑がなくなりますから、スピードも出せるということになる。それはそれで改善できて行く、そうして一番大量に動きまする東京・大阪、東京・名古屋というようなものがそこを通つて行くということによつて、逐次つくつて行けばよろしい。そうして東京などの人口にいたしましても、たとえば富士五湖地帯に、水の関係は確かによろしいし、それからそのハイ・ウエーを通しまして、四、五十分で東京へ通えるということになりますれば、たとえば官立大学などはそこに移すとか、そういう関係によりまして、四、五十分で通えれば東京に学者が住んでおつて、すぐ行けるということになりますので、私どもはそういう観点からいたしますと、背骨道路というものは非常にとうとい発見であると考えておるのであります。そういう点は私は御同感ではないかと思うのですが、いかがですか。
  24. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 その点は同感でございます。逐次建設して行くということにつきましては同感でございます。そういう線であるならば、そういう線を何と名をつけましようか、高速道路ということではなくてつくつたらいいのではないかというふうに私は考えるのでございます。たとえば富士山麓にいたしますと、あそこは標高約一千メートルでございます。冬は凍りますが、あそこへ行きますのに、現在甲州街道が通つておるわけでございますが、この甲州街道が未改良の区間をまだ相当残しているわけでございまして、これらを改良いたしますならば相当今の輸送時間を短縮できることになるのでございまして、この間を二十二メートルあるいは十六メートルで結ばなければならぬ時代はまた将来来るとは思いますが、現状においてはそれだけの幅もいらぬし、またそれだけの高速を要求するわけでもないと考えます。そのときどきの必要に応じましてそれに応じた道路を建設して行けばいいではないかというふうに考えます。
  25. 三宅正一

    三宅委員 時間がないそうですからこれだけで切り上げておきますが、高速道路というものは今仰せの通り立体交叉で行かなければならぬのはきまつております。東海道のような人口の稠密な地帯に立体交叉の高速道路ができ、立体交叉をやりますところでは、人間が横断いたしまする地帯などが十町、二十町と離れてできたということではたいへんな不便です。現状におきましては京浜国道だつて平気で横断いたしておりますから、あれだけの人間がおりますれば、アメリカなどと違いますから、アメリカの一州に当る程度の、人口が京浜地帯におるということになつて、そういうところに立体交叉の高速道路をどんどんつくるということになりますと、これはたいへんな金がかかることになると思います。従いまして立体交叉をほんとうにやるというのならば、やはり人口のまだおらぬ地帯をやつて行きますることがそういう意味においても非常に楽だと思うのでありますが、私はしろうとでわからぬけれども、そういう観点から行くと、明らかにそういう意味の費用というものは、東海道などで立体交叉の道をつくつて縦横に人間が動けるというようなところを便宜につくるという関係で行きますれば、鉄道でさえも踏切りで十分も二十分も待たされておるのに、道路におきまして横断ができない、半道歩いて行つてそこを横断しなければならないというようなことは、これだけ人口稠密のところにいたしましたのではたいへんでありますから、そういう意味において本格的な高速道路というものは、雪の条件とかいろいろなことも指摘されておりますけれども、中央道路に関する限りそんな雪の関係は私は大したことではないと思うのでありまして、それは別として、多少そういうことの不便がありましても、高速道路というものはむしろ脊梁山脈を中心にした相当の高い地帯で人口の少い地帯につくることが、立体交叉を考えれば考えるほど私は日本の実情には即しておると考えますので、議論になりますから御答弁をいただきませんけれども、ひとつ十分にお考えを願いたいと存じます。
  26. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 大分時間も経過いたしまとたので、次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十三分散会