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1954-04-06 第19回国会 衆議院 経済安定委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十九年四月六日(火曜日) 午前十一時四十七分
開議
出席委員
委員長代理
理事
加藤
宗平
君
理事
小笠
公韶君
理事
武田信之助
君
理事
松原喜之次
君 迫水 久常君 西村 久之君 平野 三郎君 前田 正男君 南 好雄君 楠見 省吾君 園田 直君 伊藤 好道君 小平 忠君
出席政府委員
総理府事務官
(
経済審議庁次
長) 長村 貞一君
総理府事務官
(
経済審議庁調
整部長
)
松尾
金蔵君
通商産業事務官
(
通商局次長
)
松尾泰一郎
君
委員外
の
出席者
専 門 員 円地与四松君 専 門 員
菅田清治郎
君
—————————————
四月三日
委員菊川忠雄
君辞任につき、その補欠として水
谷長三郎
君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
貿易政策
の
総合調整
に関する件
—————————————
加藤宗平
1
○
加藤
(宗)
委員長代理
これより
会議
を開きます。
貿易政策
の
総合調整
に関する件について調査を進めます。まず
政府
より
説明
を求めます。
松尾調整部長
。
松尾金蔵
2
○
松尾
(金)
政府委員
最近の
貿易
の
状況
につきまして、
ちようど年度がわり
でございますから、二十八
年度
の最近の
状況
に基く
数字
をまず申し上げて、御
説明
申し上げたいと思います。 御
承知
のように二十八
年度
の
貿易
、
国際収支
の
見通し
は、
年度
間一億九千万ドルの
赤字
を
予想
した
見通し
の
数字
を御
説明
して参りましたことは御
承知
の
通り
でありますが、最近までの
実績
に徴してみますと、計数的に
実績
が出ておりますのは、二月までのものが出ておるのであります。これに、三月一箇月間の
予想
と申しましても、大分これは実際に近い
予想
になると思いますが、その一箇月分の
見込み
を加えまして、その結果二十八
年度
の比較的確実な最近の
見込み
ということになるわけでございます。これと当初の二十八
年度
見込み
とを比較して申し上げますと、まず
輸出
の
関係
におきましては、御
承知
のように
年度
間の
見通し
として十二億二千万ドルを見込んでお
つたの
でありますが、ただいま申しましたような最近の
見通し
におきましては、
輸出
の面はほぼこれと同額になる
見込み
であります。一応の推計といたしましては、十二億二千万ドルに対しまして十二億二千九百万ドルという
見込み
がほぼ確実な
見込み
になると思います。なお受取りの側におきましては、大きな
項目
として特需の
見通し
があるわけでございます。これは従来八億一千百万ドルという
見込み
で来てお
つたの
でありますが、これが最近の
見通し
におきましては、二月までの
実績
が七億一千七百万ドルでございまして、これに三月の
見込み
を六千万ドル前後と見ますれば、
年度
間の
見込み
は七億七千八百万ドル、さきの
見通し
に比べますと若干実際の
数字
は減るような
傾向
にございます。従いまして大体受取りの
見込み
といたしましては、従来立てておりました二十八
年度
見込み
がそう違わなか
つた
、大体その辺の見当だ
つた
ということになるわけであります。これに対しまして、
輸入
の
見込み
でございます。これは御
承知
のように従来
年度間見通し
といたしまして、二十一億七千百万ドルという
支払い見込み
を立てていたのでありますが、これが二月までの
実績
におきまして、すでに二十億千四百万ドルにな
つて
いるのであります。これに三月の
見込み
を最近の
LC
の
発行状況等
から見込んでみますと、三月には一億二千万ドルぐらいの
支払い
になると思われますので、合計いたしまして、
年度
間では二十二億三千五百万ドル
程度
の
輸入支払い見込み
になる予定であります。この点は、
先ほど推定
をいたしました従来の
見込み
でございました二十一億七千百万ドルに対しまして、かなり大幅に
輸入
がふえることに
なつ
たわけであります。その結果
最後
の
バランス
におきましては、例の
IMF
からの
借入金
を別といたしまして、一億九千万ドルの
赤字
、しかし
IMF
からの
借入金
がございますので、実質的な
赤字
は二億四千万ドルと、従来の
見込み
を立てていたのであります。それに対しまして今度の
関係
では、二億四千万ドルに対応いたします
数字
といたしまして三億三千八百万ドル、大体従来の
見込み
と
最後
の
バランス
におきまして約一億ドルほど
赤字
が増加したという
見込み
になるわけであります。最近の
状況
におきましては、すでに御
承知
のように
輸入
の
実勢
は従来の線よりふえて来ておりますが、この一、二箇月の
状況
はやや
輸入
が抑制されぎみにな
つて
いることは御
承知
の
通り
であります。
ポンド地域
に対する
輸出
がやや明るく
なつ
たという
程度
でございますが、まずまず
輸出
は、従来の線をたど
つて
いるというような
傾向
でございます。二十八
年度
の
見込み
は従来の
見込み
と
輸入
において相当大幅な増加があります結果、
最後
の
バランス
は約一億ドルほど多く
赤字
が出たという結果にな
つて
いると思います。 二十九
年度
の
見通し
は、この前の
委員会
のときに大臣から御
説明
いたしましたが、
最後
の
バランス
におきましては、一億ドル前後の
赤字
を見込んだ
見通し
を立てておりますけれども、
輸出
、
輸入
の
見通し
と、実際
外貨予算
を組みます際のさらに確実な
内訳
の
見込み
との間には、約一億四、五千万ドルかたく見たことにな
つて
いることは、この前御
説明
を申し上げた
通り
でございます。なおこの前の
委員会
のときに
日中貿易
の
関係
の資料の御要求がございましたので、お手元に配付してございます。ここで
輸出
と
輸入
の
関係
を二十八年の
暦年
で
——終り
から二番目に書いてございますが、一番下に二十八年の
暦年
の合計が書いてございます。その
中国向け輸出額
が
暦年
では四百五十三万九千ドル、これに対しまして
中国
からの
輸入
が二千九百七十万ドルにな
つて
おりますが、この
輸入
の
関係
には、
香港貿易
の
輸入
が入
つて
おります。実際の
バーター
による
日中貿易
の
バランス
は、大体五百万ドル前後で
バランス
していることになるはずでございます。あと最近までわか
つて
おります
程度
で、おもな
品目別
の
内訳
を後ほど申し上げます。
加藤宗平
3
○
加藤
(宗)
委員長代理
なお
補足説明
といたしまして、
通産省通商局次長松尾泰一郎
君。
松尾泰一郎
4
○
松尾
(泰)
政府委員
それでは最近の
輸出振興対策
につきまして、今
通産省
でや
つて
おりますこと、また考えておりますことを簡単に御
説明
を申し上げたいと思います。 まず
輸出振興
の
前提条件
でございますが、
輸出振興
の恒久的な
対策
といたしまして、要するに
輸出振興
のできやすいような内外の
条件
をつくることが第一の問題になるわけであります。具体的に申しますと、外的な要因といたしましては、
経済外交
を
推進
をいたしまして、
ガット等
の
国際機構
に参加をして行くということと同時に、各国との
通商航海条約
なりあるいは
通商協定等
を締結をいたし、また現在ある
協定
を
改善
をし、これを
拡大
して行くということがまず第一の問題になろうかと思います。これにつきましてはかなり進んでいるわけでございまして、具体的に申し上げるのもいかがかと思いますが、まず
経済外交
の
推進
ということが
前提
の第一かと思います。第二の問題といたしましては、安い
商品
、良質の
商品
をつくるということが先決問題でございますので、
国内物価水準
の
引下げ
あるいは
企業コスト
の
引下げ
ということが、第二の大きな
前提条件
になろうかと思うのであります。これらの二点は、いわば恒久的な基本的な
施策
であるわけでありまして、そう一朝一夕に効果を期待することも困難かと思うのでありますが、絶えずその
方向
に向
つて施策
を
推進
して行かなければならないのは申し上げるまでもないことかと思うのであります。 なおさしあたりの問題といたしまして、数点
振興対策
として現に実施し、また研究しているところをごひろう申し上げますと、まず第一は、
原材料
の
輸入
と
当該製品
の
輸出
の
リンク制
の
拡充
なり
強化
なりをいたずべきではなかろうかと考えております。現在は綿花なり
羊毛
と
レーヨンパルプ
について
リンク制
を実施しているわけでありますが、それをさらに
拡充
いたしまして、あるいは
鉄鋼
と
鉄鋼原材料
との
リンク制
なり、あるいは生ゴムと
ゴム製品
の
輸出
との
リンク
の問題、あるいは
ラワン材
の
輸入
と合板の
輸出
の
リンク制
、なおグリセリンの
輸出
と油脂の
輸入
、それからたとえば
製紙用
の
パルプ
と
紙製品
の
輸出
というふうな
リンク
も考えられますが、それらのものにつきましてできるだけ
原料
の
輸入
と、その
当該製品
の
輸出
の
リンク制
の
拡充強化
をいたして参りたいというふうに考えております。 それから第二の問題といたしまして、
加工貿易制度
の
拡充強化
の問題でございます。現在も一部
保税工場
を
活用
いたしまして、
原材料
の
輸入
、それからその
当該製品
の
輸出
につきまして、いろいろの
振興措置
を興じておるのでありますが、今度
関税法
の改正に伴いまして、いわゆる
保税工場制度自身
が
拡大
をされますのと並行いたしまして、この
保税工場
を
活用
しまして、
保税工場
でも
つて
加工する
原材料
の
品目
の範囲もできるだけ
拡大
をし、それによ
つて原材料
の
輸入
を容易にして、
製品
の
輸出
を
振興
したいというふうに考えておりまして、この二十九
年度
の上期の
外貨予算
におきましても三千万ドル
程度
の、この
加工貿易制度
のための
原材料
の
輸入
を考えておるのであります。なおこの
制度
につきましては、
輸入
及び
輸出
の
金融
を容易にするという問題もございますので、この
加工貿易
に関するいわゆる
手形制度
というふうなものも、
目下考究
をいたしておるような
状況
でございます。 次にいわゆる
責任輸出制度
をや
つて
参りたいというふうに考えておるのであります。
先ほど
来申しました
原料
と
製品
の
リンク制
なり、
加工貿易制度
には必ずしも乗らないような
輸出品目
も考えられるのでありますが、場合によりましてはこれらの
リンク制
なり
加工貿易制度
を一部加味される場合もあろうかと思うのでありますが、一応別個の
制度
といたしまして、
責任輸出制度
というようなものをや
つて
参りたいというふうに考えておるのでございます。 以上、現在のところ
鉄鋼
なりあるいは
セメント等
につきまして、
行政指導
によりまして各
企業別
に
一定量
の
輸出計画
といいますか、
輸出
の
責任量
をつくりまして、その
責任額
の
達成
に応じて
原材料
の
輸入
の許可をするとか、あるいは
金融
上の
措置
をするとか、あるいは電力の
配当等
でめんどうを見るとかいうふうな、とにかく
官民一体
になりまして、その
責任量
の
達成
のためにあらゆる
措置
を講じて参るという
考え方
でありますが、そういう
制度
もいたしたいというふうに考えておるわけでございます。 次に第四点といたしまして、
輸出
の
販売秩序
の
確立
の問題を考えておるわけであります。現在すでに
輸出入取引法
がありまして、
輸出組合
もかなりできて参
つて
おりますし、また
業者
間の
協定
もぼつぼつ軌道に乗
つて
来ておるわけでございますが、何分まだ
法律
の現実の
適用
といいますか、
活用
が十分でございませんので、この
法律
をもう少し積極的に
活用
いたしまして、
輸出業者
間の
協定
を
推進
をして、
安売り競争等
の
弊害
の除去に努めたいというふうに考えておるわけであります。なお
輸出業者
の
協定
と並行しまして、
メーカー
と
輸出業者
との間の系列化なり、また
メーカーグループ
と
商社グループ
との間の
協定
の必要も最近漸次痛感されて参
つて
おりますが、これらの
生産者
及び
輸出業者
間の
協定
もまた
輸出振興
上
推進
をして参りたいというふうに考えておるわけであります。 第五点といたしまして、
求償貿易
の
拡大
を考えております。現在も
ドル地域
のうち、いわゆる新
市場
と申しますか、
バーター制度
によらなければ
輸出振興
の困難なような
地域
につきまして、一部
求償貿易制度
を採用しておるのでありますが、これを
ドル地域
以外にも
拡大
をいたしまして、いわゆる
オープンアカウント地域
でありましても、わが方が非常に
輸入超過
にな
つて
おるというふうな
地域
につきましては、必要に応じて
バーター制度
を
拡大
して参りたいと考えております。もつともこの
バーター貿易
につきましては、
正常貿易
を阻害しないということがまずその根幹になるわけでございますが、それらの点を考えまして、現在も実施をいたしております
対象地域
の
拡大
のみならず、
輸入
の
見返り品目等
もできるだけ
拡大
をして参る。他方また
市場別
の
リンク制
といたしまして、現在アルゼンチンの
羊毛
と
鉄鋼
の
コンビネーシヨン取引
を慫慂しておるわけでありますが、これらの
制度
につきましても、いわゆる
市場リンク制度
ということになるわけでありますが、これらの
制度
をできるだけ
拡大
して参りたいと考えております。 次に第六点といたしましては、
輸出金融
の
改善
の問題であります。現在も
輸出貿手制
度という、かなり
輸出金融
について優遇した
制度
があるわけではございますが、これは現実問題として
LC
が到着して以後の
金融
の
円滑化
に非常に役立
つて
おるのでありますが、
LC
の到着する以前のもの、
輸出契約
ができたが
LC
がまだ来ておらぬという
段階
のものについては、現在のところ比較的
輸出金融
の
制度
としては不備なきらいがあるのであります。もちろん現在も
スタンプ手形等
の
制度
がありましてや
つて
おりますが、これも日銀の第二次
高率適用等
がありまして、そういう積極的な利用を見ていないのでありますが、これはいま少しあるいは再
割適格扱い
にしてもらうとか、あるいは
高率適用
を免除してもらうとかいうふうな
方向
に、この
契約成立
後の
LC到着
前の
輸出金融
につきまして、積極的な
措置
を講ずる必要があるのではないかということで、
関係当局
と
目下協議
をしているような
段階
でございます。 なおその次には、同じく
輸出金融
といたしまして
輸出入銀行
による融資の問題がございますが、これは別段取立てて申し上げることもなかろうかと思います。 第八点としまして、
貿易商社
の
強化
の問題がございます。何分
国内取引
と違いまして、
貿易
は
国際競争
でございますので、いわばオリンピックの
競技
というふうなものでございます。そこでこの
競技
において活躍する
商社
というものが強力であることが、最も重要なことであるわけであります。戦後諸般の情勢から、
貿易商社
は非常に弱体化いたしておるのであります。そこでこの
商社
の
育成強化
ということが重要な問題になるわけであります。よく
商社
の
統合
の問題が論議されるのでありますが、これは
メーカー
の
統合
と違いまして、
商社
の
統合
ということは非常にむずかしいことでございますが、できるだけそういう
統合
を促進するような環境をつくり上げるということとか、あるいは
メーカー
の協力をまちまして、
商社
の
自己資本
の充実をはかるということも考えなければなりません。また
輸入外貨資金
の
割当
にあたりまして、ある一部の
割当
を加味することによりまして、
商社
の
強化
を策するというようなことも、逐次実施して参らなければならぬのじやないかと思うのであります。その他
輸出振興
上の問題といたしまして、たとえば海外にいろいろ
貿易振興施設
を持つということもありますが、それらは省略さしていただきます。 簡単に今の
輸出振興施策
の
方向
を申し上げますと、大体以上の
通り
でございます。
加藤宗平
5
○
加藤
(宗)
委員長代理
以上をも
つて
政府
の
説明
は終了いたしました。 これより
質疑
に入ります。
質疑
の通告がありますからこれを許します。
松原喜之次
君。
松原喜之次
6
○
松原委員
貿易
の
リンク制
の問題でありますが、今聞いたのは、大体
原材料
の
輸入
とそれによる
製品輸出
の
リンク制
を主としておる、それから
市場リンク制
というものを考えておるというお話でございましたが、
輸入外貨
を
割当
てられるというと、
日本
の
為替
の
実勢
から行きまして、ただちに自然的に大きな
利益
がそこに生ずるのが自然な状態であることは申すまでもございません。しかもその
為替
の
割当
によ
つて
約束されるところの
利得
というものは、いわば
不労利得
と申しますか、
不当利得
と申しますか、それが少くとも四割前後あるというふうに、まあ、腰だめ的に考えられるのでございまするが、
従つて輸入為替
を
割当
てるということは、それ自体がすでに不当な
利益
を与えるということにな
つて
、ここにいろいろな
弊害
が生ずる場ができるのであります。従いまして、そういう
輸入為替割当
による特別の
利益
というものを、何らかの形において吸収する。そうしてその吸収したるものを、今度は
輸出
の
振興
に充てるというような
リンク制
と申しまするか、あるいはそういう
制度
を何とか考えておられるのかどうか、その点を承りたいのであります。
松尾泰一郎
7
○
松尾
(泰)
政府委員
現状におきまして、
輸入外貨
を
割当
をいたしました場合に、かなりの
利得
の伴うものもあることは事実でありますが、しかしながらこの
利得
があまり多くなるということ
自身
が、
日本
の
経済
が正常化していないという
——
必ずしもそうは言えない面もあるのでございますが、正常化してないということも言えるかと思うのであります。そこでこの
利得
を利用して
輸出振興
をやったらどうかという
お尋ね
のように
伺つたの
でありますが、この
輸入
に伴う
利得
をも
つて
、いわゆる普通の
方法
をも
つて
しては
輸出
に非常に困難なもの、いわば俗に
出血輸出
という言葉を使われておるのでありますが、その
出血輸出
をしなければ
輸出
ができないような
商品
に対して、この
輸入
に伴う
利益
をも
つて
一部カバーをする
方法
が、よく考えられたりいたすのでありますが、これは原則としてはできるだけ避くべきでありまして、現在の三百六十円という
為替
に対する
謀叛行為
といいますか、その
為替レート
の堅持に挑戦をした
考え方
になるわけであります。従いまして、できるだけその
輸入
に伴う
利益
をも
つて
、
出血輸出
を慫慂するというふうな
考え方
は、一応避くべきではなかろうかと思うわけであります。現在やむを得ずそういうことを
希望
いたしておりまする
商社
といたしまして生糸と、これも今年六月までという暫定的な問題でございますが、それと
船舶
、
プラント等
の重
機械類
につきましては、実はやむを得ずそういうふうな方式をと
つて
、
輸出
の
振興
をはか
つて
おるのでありまするが、これもできるだけそういうことがなしに
輸出
ができるような
方向
に持
つて
行かなければならぬと思うのであります。別段積極的にそういう
制度
をとるということではなしに、やむを得ず暫定的にそういう
方法
をと
つて
いるわけであります。それから、その他そういう
出血輸出
をカバーするという
意味
ではなしに、たとえば
通商協定
の
関係等
で入
つて
来るがごとき一部のやや不急の
輸入
がある。それには
利益
も伴うわけでありますが、その
利益
を吸収することによ
つて
、それを集めて、直接の
輸出価格
に対する
措置
ではなしに、
輸出振興
の一般的な
施設
に、その
輸入
から上
つて
参ります
利得
を一
応使つて
はどうかということも考えられるのであります。この後者の問題につきましては、現
段階
といたしまして、
不当利得
的なものが発生しておる以上、何らかこれを
輸出振興施設
の方に利用するということは、あながちそう非難さるべき
措置
ではないのではなかろうかということで、目下その
措置
につきまして、研究をいたしておるような
状況
でございます。
松原喜之次
8
○
松原委員
私の
質問
に含んでおる
希望
的な
意味
も、やはり
最後
にあなたがおつしや
つた
ような
方向
で、あるいは
国際貿易機構
とか、あるいはその他の方面も刺激せざるような、きわめて適切な
方法
をとらなければならないというようにはもちろん思
つて
おるわけでありますが、いずれにいたしましても、これは
日本経済
の正常でないことという、一概に言えばそういう
意味
ですが、われわれの見解をも
つて
すれば、これは
為替レートそのもの
が少し変態なんだ、こういうふうな
考え方
をしておるのであ
つて
、
考え方
が
ちよ
つと逆でありますけれども、いずれにしても結果は同じものだと思うので、そういう点については総合的に大いに考えなければならないのではないか、こう考えておるのであります。それはそれといたしまして、もう一点お伺いしておきたいのですが、最近ウラジオストツクを中心とするソビエトの船の
修理
の
引合い
が、相当大量にあるとかいう話でありますが、その点に関して簡単に御
説明
を願いたいのであります。
松尾泰一郎
9
○
松尾
(泰)
政府委員
今
お尋ね
の
ソ連
の船の
修理
でございますが、すでに昨年以来
——ちよ
つと私正確な
数字
を覚えておりませんが、若干の隻数は
修理
を
日本側
で引受けてや
つたの
であります。これは
石炭等
を
ソ連
から
輸入
するのに対しまして、こちらの支払うべき
輸入代金
が、要するにその
船舶
の
修理代金
となる。これは
先ほど
申し上げました
地域別
の一種の
バーター
に相なろうかと思います。
バーター
の形式でそういうことをや
つたの
であります。最近もかなりそういう
引合い
のあるようには
承知
しております。これはわれわれの方といたしましては、
取引
が成立いたしますれば非常に喜ばしいことでありますし、別段そうむずかしい
戦略物資云々
ということはございませんので、できるだけ
取引
のできますように慫慂と申しますか、期待を申し上げる次第であります。
松原喜之次
10
○
松原委員
引合い
を受けておるものが、金額にして約百億円くらいのものだということを聞いておるのですが、その
程度
はおわかりになりませんか。
松尾泰一郎
11
○
松尾
(泰)
政府委員
具体的な
数字
は今
ちよ
つと存じ上げません。
加藤宗平
12
○
加藤
(宗)
委員長代理
小笠公韶君
。
小笠公韶
13
○
小笠委員
私は
一つ二つ
お教えを願いたいのですが、まず第一に
経済審議庁
に伺いたい。この前
松尾調整部長
から
外貨
の位置につきまして
説明
があ
つたの
ですが、新
年度
に入り、新
年度
当初におきます
外貨ポジシヨン
はどうなのかということを第一点に伺いたいのであります。この前のときは
推定数字
であ
つた
ようでありますが、
外貨ポジシヨン
がどうな
つて
いるか、まずお伺いしたい。
松尾金蔵
14
○
松尾
(金)
政府委員
御
承知
のように
先ほど
申しました
数字
で申しまして、大体二十八
年度
中の
赤字
が三億四千万ドル前後だというように
推定
をいたしますと、二月末の
外貨
の
手持ち
が八億三千万ドル
程度
であります。三月一箇月の
赤字
を五千万ドル弱と
推定
いたしまして、二十九年三月末の
外貨手持ち
の
見込み
は、これはもちろん
推定
でございますが、七億八千五百万ドルくらいで、従来八億ドルを割る
手持ち
と言
つて
おるところに大体おちつくわけでございます。
小笠公韶
15
○
小笠委員
まことに恐縮でありますが、七億八千五百万ドルの
内容
に入りますが、これは南方の
焦げつき
を含めた
数字
かどうか、それを伺いたい。
松尾金蔵
16
○
松尾
(金)
政府委員
焦げつき
を含んだ
数字
でございます。
小笠公韶
17
○
小笠委員
最近上半期の
外貨予算
の
公表
があり、この
公表
に伴いましていろいろな議論が新聞その他でいわれておるわけでありますが、
外貨予算
の
公表
問題につきまして、
政府
の
やり方
は商売と政治が一緒にな
つて
おるのではないかという感じを禁じ得ないのであります。その結果
通産当局
の
行政事務
の
やり方
というものは、非常に繁忙を加えておるだろうと思います。不必要なる
行政事務
の
増高
を来しておるのが、この
外貨予算
の
公表
の
やり方
にあると思うのであります。これは実は私の
希望意見
でありますが、現
段階
まで
日本
の
外貨
が追い詰められて来るということになると、どうしてもレート問題に花が咲く、あるいはまた
外貨割当
にいろいろな問題を起しがちでありますので、今後の
日本
の行き方としては、
相当程度
再検討を加えてほしいという
希望
を実は持
つて
おるのであります。これは
質問
でありませんが、
外貨ポジシヨン
に関連してお願いをいたしたいのであります。 第二点の問題でお伺いいたしたいのは、
先ほど
通産当局
からの御
説明
の九
項目
の第四点の、
輸出
の
秩序
の
整備
の問題に関連してでありますが、
輸出秩序
の
確立
は、現在
輸出入取引法
があるので、これの
活用
にま
つて
行きたい、こういうふうな
説明
があ
つた
ようであります。
エクスポーター
の間の
協定
、あるいは
エクスポーター
と
メーカー
の間の
協定
、
系列整備
というような
方向
において持
つて
行きたいという御
説明
がありましたが、現在の
輸出入取引法
でねら
つて
おるいわゆる
輸出秩序
の
確立
が可能とお考えにな
つて
おるのかどうかということをまず伺いたい。
松尾泰一郎
18
○
松尾
(泰)
政府委員
小笠先生
もこの
法律
の
内容
につきましては
十分御存じ
の
通り
と思うのでありますが、現行の
輸出入取引法
が、一回の改正によりましてかなり
内容
も
改善
をされたのでありますが、最初のスタートがいわば講和条約の成立直後の情勢で生れたというふうなこともありまして、比較的国際的な気がねと申しますか、そういう対外的な配慮を多く含みまして、
法律
の構成なり、書き方なり、
条件
なりができ上
つて
おるのであります。従いまして戦前の
貿易
組合等と比べてみますと、確かに運用におきまして、また実際の
業者
の活動におきまして非常になまぬるいというか、やりにくいと申しますか、そういう点もあるのであります。従
つて
われわれ事務の者といたしましては、常時情勢に即応するように、この
法律
を改正して参らなければならぬと考えておるのであります。率直に申しまして現在の
法律
の中でいろいろやれること、与えられていることを、まだ十分
活用
していないというのが現状であるわけであります。その理由といたしましては、平易な言葉で申しますと、
貿易
業者
が非常に弱体化して、表現は悪いのでございますが、いわゆるどんぐりの背くらべみたいなかつこうにな
つて
おる
関係
上、ある一定の
方向
に業界をとりまとめをするというようなこと、話し合
つて
一定の
方向
に引きず
つて
参るというようなことは、非常にむずかしくな
つて
おるということにもよろうかと思うのでありますが、正直なところ現行法でやれることがまだ十分行われておらないという
状況
なのであります。従いましてわれわれの立場といたしましては、まずこの
法律
で許されている
程度
をできるだけ
活用
願
つて
、そうしてなおかつ不十分である、この
法律
のわく外に出なければうまく仕事が運ばぬという
段階
におきまして、この
法律
の改正ということに行くべきではないかというふうに考えておるのであります。従いまして現行法でまずやれることにつきまして、
輸出業者
との
協定
あるいは
メーカー
との
協定
をできるだけ
推進
して行くのが、当面の仕事ではなかろうかというふうに考えます。
先ほど
もそういう趣旨で、
輸出
の問題については現行法を極力百パーセントに
活用
してやりたいということを申し上げておるのであります。確かに戦前と比べますと、若干不便な条項もあるわけでありますが、それらの改正は、その限界にまで来ましたときにいたすべきではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
小笠公韶
19
○
小笠委員
輸出入取引法
をどう改正するか、こういうふうな問題はいろいろあるだろうと思うのでありますが、私は現法規の十分なる
活用
をや
つて
いない、いな、一つも
活用
していないじやないかと思うのであります。その
活用
しておらないということは、現法規の
内容
と現在の行政機構の運用の実態とが、マッチしないところにあるのじやないかと思うのであります。新しい
日本
の政策の一つの頂点が
輸出振興
に向おうとするならば、物価高ではありまするが、どういたしましても
出血輸出
をできるだけ少くして行くために必要な
輸出
の系列の整理ということが、急務中の急務といわなければならぬと思うのであります。その
意味
から第八項で
政府
側は
貿易商社
の
強化
を説いておる。
貿易商社
の
強化
を説きながら、一方において
輸出
系列の
秩序
の
確立
について、現在の形でいいのだということで
輸出振興
ができるかどうか、そこに問題があると思う。私は多くは申しませんが、
先ほど
お話の
統合
とか
輸出業者
と
メーカー
の系列の整理であるとか、あるいは
外貨
を
輸入
業者
あるいは
輸出業者
に一部
割当
てるとか、こういう政策ではたして
出血輸出
を少くして、
輸出振興
に役立つかどうか。現実の
輸出
の
内容
がそういうなまやさしい形にあるのかどうか、私は疑問だと思うのであります。ここに一つ現行法規があるから、それを
活用
してしかる後困
つた
らやります、これは非常に無難な話でありますが、
輸出振興
が叫ばれ、国家的要請とな
つて
おる以上、もう少し機動的な、そうして大胆な
輸出
系列の整理をぜひ行
つて
いただきたい。これが私の念願であり、
希望
であります。 次に第三点として私が伺いたいことは、最近新聞その他にもぼつぼつ出ておるのでありますが、
輸出振興
の方策として、多角決済の
方法
をとる政策についてであります。前大戦のあとにおきまして、ドイツの興隆の一つは、
輸出
多角決済をと
つて
輸出振興
をはか
つた
ことにあるということは、申し上げるまでもないことであります。しかして今日西独
輸出
の
振興
にも、またこの多角決済を利用しておるということが多いと思うのであります。多角決済方式の
推進
ということは、もとよります
経済外交
の先駆がなければなりませんが、この問題について
政府
側はどうお考えにな
つて
おるか。東南アジア開発、われわれとの提携ということを言
つて
みましても、もとより賠償問題の解決を
前提
とするのでありましようが、
日本
と東南アジアの
経済
関係
をよくして行くのは、やはり多角決済方式をとらなければ、東南アジアとの緊密な提携はできないと思うのであります。東南アジアと
日本
と直接にやればなかなかむずかしい。そういうような
意味
で、東南アジア問題にかかわらず、多角決済方式による
日本
の
輸出振興
という問題について、どういうふうなお考えなり、御調査があるかを伺いたいと思います。
松尾泰一郎
20
○
松尾
(泰)
政府委員
御指摘の多角決済方式による
輸出振興
は、御
承知
の
通り
非常に重要な問題でありまして、われわれも鋭意研究をいたしておりますが、戦前においてドルとポンドが世界の二大通貨であ
つた
場合には、その通貨の力によりまして、当時私どもは多角決済とは申しませんでしたが、現実の問題として多角決済が行われてお
つた
わけであります。従いまして究極のところは、今のような清算勘定とかいうものではなしに、ドルあるいはポンド等によ
つて
、通貨の力によ
つて
、自然と多角決済が望まれるような
方向
に世界情勢が進展をして参るのが筋かと思いますが、それはなかなか時間もかかることですし、いつそういうことが
達成
できるかもわからないわけであります。そこで今の各国の通貨事情を肯定しながら、多角的な決済をやることになりますと、今お話のありましたような、いわゆる決済方式としての多角決済ということを考えなければならぬわけであります。現にヨーロツパにおきましては、欧州決済同盟が非常な効果を上げておるわけであります。そこでこの東南アジアにつきましても、東南アジアの多角決済機構を持つ必要があるのではないかということで、かねがね識者間でも研究されおりますけれども、われわれ役所側といたしましても研究をしておるような次第であります。先般エカフェにおいてもこれが議題として取上げられまして、各国の研究あるいは討議の材料に供せられたのであります。ところがこれは実際問題としていろいろ研究して参りますと、東南アジア諸国間の
貿易
と、東南アジア外の諸国との
貿易
の比重というようなものを、十分に考えて行かなければならぬわけであります。それからこの多角決済方式を考える場合には、その決済の中心となるべきもの、いわゆる盟主となるべき国なり通貨を必要とするわけであります。それらの点を考えて行きますと、欧州決済同盟の場合のように、しかく簡単には参らないのではないかというのが、今までのささやかな研究の結果であります。しかしながら御指摘のように、東南アジアとの
貿易
の
拡大
あるいは
経済
提携の促進というようなことから考えてみますと、若干の困難はあろうけれども、この問題をもう少し深く掘り下げて取組んで行く必要を、われわれ
自身
痛切に感じておるのであります。今後ますます研究をして参りたいというふうに考えておるわけであります。
加藤宗平
21
○
加藤
(宗)
委員長代理
ほかに御
質疑
はありませんか。
——
ほかに御
質疑
がなければ本日はこの
程度
にいたし、次会は公報をも
つて
お知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十一分散会