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1954-03-23 第19回国会 衆議院 経済安定委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十三日(火曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長代理理事 加藤 宗平君    理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君    理事 松原喜之次君 理事 菊川 忠雄君       迫水 久常君    西村 久之君       根本龍太郎君    平野 三郎君       楠美 省吾君    小平  忠君       杉村沖治郎君    水谷長三郎君  委員外出席者         参  考  人         (電気事業連合         会事務局長)  平井寛一郎君         参  考  人         (電気事業連合         会事務局次長) 福田 勝治君         参  考  人         (東京電力株式         会社取締役営業         部長)     笹森 建三君         参  考  人         (関西電力株式         会社支配人)  加藤 博見君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 三月十九日  兵庫県灘村を離島振興対策実施地域に指定の陳  情書(  第二一二五号)  吉野川地域総合開発事業促進に関する陳情書  (第二一二六号)  瀬戸内海地域国土総合開発特定地域編入に関  する陳情書(第二  一二七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会申入れに関する件  電気料金政策総合調整に関する件     ―――――――――――――
  2. 加藤宗平

    加藤委員長代理 これより会議を開きます。  連合審査会開会の件についてお諮りいたします。ただいま内閣委員会において審査中の行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会の所管とも関係がありますので、この際本案について内閣委員会連合審査会開会申入れをいたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤宗平

    加藤委員長代理 御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。  なお右連合審査会開会の日時につきましては、内閣委員長と協議の上決定いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
  4. 加藤宗平

    加藤委員長代理 この際お諮りいたします。電気料金政策総合調整に関する件について参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 加藤宗平

    加藤委員長代理 御異議なしと認めます。  それでは電気事業連合会事務局長平井寛一郎君を参考人とし、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 加藤宗平

    加藤委員長代理 御異議なしと認め参考人平井寛一郎君より意見を聴取いたすことといたします。  この際一言ごあいさつ申し上げます。平井参考人には、御多用中にもかかわらず御出席くださいましてまことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。本委員会におきましてはただいま電気料金政策総合調整に関する件について鋭意調査を進めておる次第でありまして、ことに今般の電気料金値上げの問題につきましては、その各方面に及ぼす影響にかんがみまして、去る十九日の本委員会におきましては、電気消費者側参考人より意見を聴取いたした次第であります。本日は平井参考人より電気事業者側の立場より御意見を承るわけでありますが、平井参考人には本件につきまして忌憚のない御意見を開陳されまして、本件調査参考に資されたいと存ずる次第であります。  これより平井参考人より御意見を伺うことといたします。電気事業連合会事務局長平井寛一郎君。
  7. 平井寛一郎

    平井参考人 ただいま御紹介いただきました平井でございます。本日は当委員会の席上におきまして、皆様に今回の電気料金改訂並びに料金制度改正に関するお願いの件について、御説明を申し上げ得る機会をお与えいただきましたことを厚くお礼申し上げます。  財政緊縮による経済安定政策が強力に今推進されようといたしております際におきまして、電気料金値上げをお願いいたしますることは、私どもといたしましてはまことに心苦しいきわみであり、また国民皆様に対しましてもはなはだ相済まないとは存ずる次第でありますけれども、にもかかわりませずこの際この値上げ申請をせざるのやむなきに至りましたことにつきましては、ここにその事情の概要を御説明申し上げることによりまして、御調査参考の一助ともなりますならばたいへん幸甚とする次第であります。  今回の料金値上げは、新規電源開発による電力原価高騰が要因となつておるのでありまして、その原価高騰を招きましたおもな原因は、資本費負担が急激に増加したことにあるのであります。すなわち私どもは再編成以来全力をあげてこの電源開発を強行して参つたのでありまするが、これらは前回の二十七年五月の料金改訂以降になりまして、ようやく順次完成の域に達しまして、そうして二十九年度までに開発される電力約二百万キロの増加を見るに至つたのであります。これがために前回料金改訂当時と比べまして、供給力は二三%の増加を見ることになつたのであります。しかるにこれらの電源開発によりまして増加した稼働資産は、いずれも最近の高い建設費のものでありますために、この二箇年間に二千三百億円という金がかかるのであります。二十七年度末の稼働資産が三千九百億円ございましたが、これに比べまして稼働資産が約六割の急激な増加をするという結果になるのであります。すなわち供給力は二二%増したのに対しまして、稼働資産の方は金額において六〇%を増すという形になつておるのであります。なおこのほかに第三次再評価をいたしまする関係上、約千百億円がふえますので、これを加算いたしますると、二十九年度夏の稼働資産は総額で約七千四百億円に上昇する予定であります。このよう新設分設備建設費が非常に高いために、新設分料金単価既設分料金単価の約二倍に高騰するのであります。これはまつたく資本費負担増加したためなのでありまして、企業内部ではいかに合理化をいたしましても、資本費自体はいかんともなしがたいという関係にあるのであります。このよう新規開発によりまして供給力増加をされますが、従来の安い設備とこれがまじりますので、平均料金単価は漸次高騰せざるを得ないような結果になります。元来電気料金原価主義建前になつておりまして、一切の費用原価に織り込んで料金をきめるというふうに法定されておりますけれども、私ども電気事業者といたしましては、原価主義の原則があるとは申しますものの、これをこのまま不用意に料金の形で消費者皆さん負担していただくということは、わが国内外の経済情勢にかんがみまして極力避けたいと考えまして、昨年以来半歳にわたり、いわゆる電力緊急対策というものを打立てまして、開発促進電力原価高の矛盾を解決するために、原価高のおもなる原因であるところの金利とか税金とかいう、言いかえれば資本費軽減方政府及び関係方面にいろいろと要請をいたしておるのであります。私どもは、その効果には相当の期待をいたしておつたのでありますが、何分これにつきましては、政府の施策と国会の御決定を必要といたしますために、申請当時はこれらはいずれもまだ何ら確定をいたしておりませんでしたので、今回の料金値上げの中にはそれは織り込んでございません。ししながらこれが確定いたしましたあかつきは、その分だけは料金値上げ軽減する用意があるのでありまして、私どもは、今日でもなお引続きこの金利税金等軽減の問題についても努力をいたしておる次第であります。以上のような結果で、二十九年度の電力原価の総計、すなわち私どもの言葉で申しますと総括原価額と申しますが、これにつきましては送電損失石炭消費率その他の工場とかいろいろな事業内部における合理化石炭の値下りも織り込む、そういうふうにして圧縮したのでありますが、なおその数字が二千百億円となりまして、二十九年度の総括原価額の千四百四十八億円に比べると六百五十四億円の増加となります。しかしながらこの二箇年間には約二割の供給量増加いたしておりますから、現行料金によつて収入増によつて石炭費用増加その他の一般諸経費の増加も十分まかなえるのでありまして、これを差引きました二百六十四億円だけがどうしても不足する。そういう意味において、これだけが純増になるのであります。これはすべて資本費増加によるものでありますが、この二百六十四億円の不足分を吸収するための料金値上げ率は、今回申請いたしました通り全国平均において一四・四%となります。ただここに補足いたしておく必要のありますのは、実際にはその後に石炭の価格が下つておりますので、その値下げに伴いまして、動力料金の方につきましては、若干の値下げをスライドの条項に基いていたしております。従いまして現在の値下げ後の料金に比べますと、この値上げ倍率が一七・一%に当つておるのであります。なおこの料金改訂と同時に現行料金制度改正をも申請をいたしております。現在の法的な電力割当制度なるものは、終戦後電力不足に対応するための過渡的な措置として策定されたものでありますが、この制度の欠陥を順次是正をして、そうして消費者負担の公平をはかり、かつ電源増強による電力需給の緩和を反映するために、料金制度正常化に一歩を進めましたところの新しい料金制度をここに確立しようとするものであります。その内容は、電源開発進捗度と見合いまして、一本料金制または負荷率別二段料金制を採用いたしまして、さらに電力を原料として使いますよう電解電力用等につきましては特約料金制を取入れ、もつて個別割当制度にかえ、同時に制度改正による急激な影響を少くさせるようなくふうをいたしたのであります。私ども電気事業者は、今回のこの緊縮財政による経済安定政策には全面的に協力いたす覚悟であります。しかしながら今回あえて料金改訂をお願いいたしました理由は、電源開発に伴う電力原価増高をば最低限度電気料金の中に織り込んでいただいて、予想される一層の悪条件のもとで電源開発を引続き強力に進捗いたしまして、一日も早く電力不足を解消することを念願するためなのであります。ここにもし増加する資本費の回収が困難となり、会社経営安定性を喪失するような事態に立至ります場合には、増資とか社債の発行というよう建設資金調達に非常な困難を生ずるのでありまして、これはひいては目下工事の最盛期にあります電源開発にも重大な支障を生ずるおそれがあることを深く憂えるのでありまして、今日の段階において料金改訂をお願いせざるを得ない衷情はそういうところにあるのであります。何分この点を御賢察をお願いしたいと思うのであります。以上、料金改訂並びに制度改正をお願いいたしますに至つた事情を申し上げて各位の御参考に資し、御理解及び御協力をお願いしたいと思うのであります。  なお電気料金改正につきましては、政府認可を要することに法律で定められておりますので、私どもはそういう意味認可申請をいたしたのでありますが、申請があります場合には、政府におかれましてはその内容審査せられ——審査の過程には聴聞会等もあるのでございますが、そしてその内容が定められた一定基準に照して適正である場合には、それを認可されるというふうなことになつておるのであります。従つてこの申請後、政府におかれましては、これを一応聴聞会におかけになりまして、この三月の十二日から十九日にわたりまして、全国各地でそれぞれ各方面利害関係者意見を御聴取になつた次第であります。その上に立つて政府とせられましては、その内容が適正であるか、どうかその他を御検討になつて、どういうふうに御処分になりますか、これは今後の問題だろうと思つておるのであります。  なお最後に、この料金値上げをいたしました場合に、それがどういうふうに影響するかという点について一言申し上げてみたいと思うのであります。電気料金値上げをいたしますれば、それだけ当然、これが家庭生活の面にもあるいは生産原価の面にも、一応数字的に響きますけれども、またそれだけに私どもその点を非常に心配するのでありますが、この点につきましては、どの程度の影響があるかということについて、手元にもいろいろと調査した資料がございますので、後ほど、私のあと事務局次長から補足説明をお許し願いたいと思います。ただこれについて一言申し上げますと、何分現在電気が足りませんので、その意味におきましてまず電気をつくるということがわれわれの使命だと考えて善処しておる次第でございます。今回の若干の値上げ家庭に響きます面につきましては、たとえば電燈その他の面についても響くのでございますが、電気の足りない際ということも御配慮いただきまして、若干のむだの節約と申しますか、たとえば深夜燈あるいはむだな電気をお消しになるというふうなくふうを願いますならば、その面で若干また電気供給力が他の方面に生きて使えると同時に、この面も緩和されるのではないかと思いますが、この点は国民皆さんにもお願いいたしたいと思いますし、また生産面に響く点につきましても、それは生産増強によつて工場稼働率その他の合理化の面から、むしろ原価高は将来その面において吸収し得ると考えますので、緊縮財政の中ではありますが、やはり電気をまずつくつて生産増強生産合理化ということを通じて輸出を増進される、これが長い目で見た国民経済へのプラスになるということを期待いたしまして、その意味での御理解をいただきたいと考えておる次第でございます。本日はこの説明をいたすにつきまして、ちようど東北、東京、中部、北陸、関西の五電力会社営業担当責任者も参つておりますし、事務局からも二、三の次長以下の説明員も参つておりますので、私で足りません点につきましては委員長のお許しを得まして補足説明等をさしていただきたいと考えております。最初のごあいさつを終ります。
  8. 加藤宗平

    加藤委員長代理 この際質疑の通告がありますのでこれを許します。松原喜之次君。
  9. 松原喜之次

    松原委員 まずお伺いいたしたいことは、この前の本委員会において、電力需用者側参考人に来ていただきまして、いろいろ御覧を承つたのでありますが、その際に各方面の方々が示された今回の値上げによる影響、すなわち言いかえれば、実際の値上げ率というものをそれぞれ計算してみられたその数字を報告されたのでありますが、その数字と、そうして電力会社側から示されております標準一四・四%、ただいまの御説明によれば現在の電力料に比べれば一七・一%値上げというその数字とは、相当開きがあるのでございます。たとえば中小企業のある工場の方は一九%ばかりの値上げがあると言、あるいは硫安工業の方は全国平均で七九%の値上げになると言い、いろいろありますが、どの数字をとつてみましても一四・四%よりははるかに上まわつた数字を示されておるのであります。これはもちろん二十八年度の実績使用量に新しい値上げ料金を適用した場合を計算された結果でございますし、電力業者から示されておられる一四・四%というのはそれとは違う基準計算されておるというところにこの数字の違いが出て来たのであろうとは思いますけれども、しかしながら二十八年度の使用実績、これを基本として計算されて、そして非常な値上りになる、わえわれその計算の方が具体的で実際的で、事実でなかろうか、こういうふうに感ずるのでありますが、その点に関するお考えを承りたいのであります。
  10. 平井寛一郎

    平井参考人 御質問の点はまことにごもつともな点でございまして、実は私ども需用家皆さんの方からいろいろと数字的に違つていやしないかという御質問を聞いておるのであります。また各業種団体方面からの御説明等数字も私どもの予想しないよう数字が実は出ておるのでございます。その点につきましては、その後引続き各電力会社ともそれぞれの責任において具体的に個々の工場会社別に御説明及びお話合いを進めておりますので、その点は順次御理解をいただいて来つつございます。その食い違つております行き違いのございました点については、いろいろやはり私ども説明の足りなかつた面、あるいは需用家の方でお気づきのなかつたというような点がいろいろあつたのでございます。それらの大きなものを例で申し上げますと、その一つはこれは大口電力等についてでございますが、基準月のとり方が、最近の二箇年間の実績基礎とするという建前になつておるのでございますが、不用意にこの二箇年をそのままとりますと、その中には渇水等のために電力制限をしたり、あるいはストライキのために供給側の不可抗力による御迷惑をかけている面があります。こうしたものにつきましては、一定基準をもつてそうした月のものは基準実績として扱わないで、補正をする建前をとつてございます。この点が当初われわれの方の説明が十分届いておらなかつた関係上、その補正をする線によつて非常に数字が違う点があるのであります。それからまた大口工場等につきましては契約電力——現在の契約数字をそのまま需用家皆様は一応おとりになつたらしいのでございます。御承知ように長い間割当制度——これは非常に利益の面も一時あつたのでありますが、これについてはいろいろ弊害の面も残つております。できるだけ割当はよけいもらいたいために、必要以上に契約電力を非常に大きくせられた傾向があつた。その姿が今日残つておりますそのままのものを需用家皆さん計算基礎にするということは御迷惑だと思います。私どもはその実績に即しましてこれをそれぞれお話合いによつて下げて行くという線で、お話を進めておるわけであります。そうすればそれだけ料金が安くなるわけでありますが、この点等も当初の段階においては御理解がいただけないで行き違つたというような点があつたのではないかと思います。そのほかそういうような点がいろいろございまして、当初行き違つたのでございますが、今日ではおおむね需用家がその点については、それぞれ会社のそういう補正をする基準皆様にはつきりと申し上げております。そうして順次御理解をいただいておりますので、そういうふうな基準によつてやりますと、決して当初お考えになりましたような大きな値上り率になつておらないのであります。私どもといたしましては、この点につきましては今後ともなお御理解のない面について十分御説明を申し上げれば、よく御納得をいただけるものと考えて善処いたしております。なおただいま需用家といろいろ折衝をいたしております値上げ倍率業種別とか、いろいろの種類による平均上り方が、私どもの見ております今の段階における数字、これはまだ折衝中でありますが、若干は下るとかまたいろいろ補正などはあると思いますが、現在の段階において、私どもがこの辺までは行くという見通しを立てております数字お客様方との話合いの上に立つて出た数字がどういうふうな全国的な平均値上り率になつておりますかを私ども事務局福田次長から御説明することをお許しいただきたいと思います。
  11. 加藤宗平

    加藤委員長代理 この際お諮りいたします。電気事業連合会事務局次長福田勝治君、東京電力株式会社取締役営業部長笹森建三君、関西電力株式会社支配人加藤博見君を参考人として補助説明を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 加藤宗平

    加藤委員長代理 御異議なしと認めさようにとりはからいます。福田参考人
  13. 福田勝治

    福田参考人 私らの方で調べました影響調査は、そこに差上げておきました「大口電力影響調査表」というのがございますので、こらんいただきたいと思いますが、これは、大口工場だけにつきまして調べたのでございますが、御承知ように、今回の電気料金制度によりましては、先ほど申し上げました通り業種別料金と、もう一つは、特約でもつて供給申し上げる需用家と二つあるわけでありまして、三千キロ以上の大口工場につきましては、その特性から考えまして特約供給を申し上げる需用家が非常に多くなるのであります。それは特約と申し上げますと、結局電力をわれわれの発電の能力に応じて、たとえば夏は多く、冬は少くあるいは雨が降つたときにはたくさんに使つていただくというように、われわれの方で出せる電力に合わせて、工場側で調整していただけるよう設備に対しましては、原価的にも特別に安くなりますので、特別な料金制度供給を申し上げることに相なります。先ほどお話がありました硫安等工場は、従来そういう雨の降つたときに出る電気であるとか夏場の電気であるとか、そういうような特別な電気をお使いになつておられた、そういうのでありまして、最近は電力割当がございますので、必ずしもさようではありませんが、従来はさよう電気であつたわけでありまして、また現在すでに一部では、そういうよう電気をお使いになつていらつしやいますので、今後もそういうような方針に従つて特約を申し上げよう、こう思つておるのであります。従つて硫安先ほどお話のありました通りそういう特約による料金制度を適用しなかつたならば、先ほどのお話ように、七九%というよう数字もあるいは出るかと思うのであります。しかしこの硫安協会で出された数子は、どうも私らの方ではわからないのでありますが現在特約になつていらつしやる需用家を、有利に常時契約になるよう契約をされて変更するとして勘定されたような気もするのでありまして、どういう計算かよくわかりませんが、さようなことで非常に大きな影響が出ております。ところが今お配りいたしておりますその表をごらん願いますと、第一ページは、二十九年度の特約需用家調査表というのでありまして、たとえば肥料というのは大体全国平均一二三%になるということに相なつております。この肥料工場は、全国三十六工場についての平均値でありまして、大体肥料の大部分が入つておると考えております。従つて硫安協会の方で言つておられるような大きな数字には大体ならないのだとわれわれは一応考えておるような次第であります。なおそのほかに、ここに各業種別特約値上り率を書いておきましたか、これは合計全国で二百十六需用家の、業種別に総平均したものでありまして、大体その最後の欄に書いておりますよう値上り率になるかと思います。  それから第三ページにありますのは、特約でない普通の既定料金でもつて契約される大口丙、すなわち三千キロ以上の需用家の各業種別にどのくらいの値上り率になるかということを示したのが、この第二枚目の表であります。右から二行目の数が大体先ほどの数と対応する数であります。  それから三枚目以下には特定業種調査表というのがありますが、これは今回の料金制度改正によりまして、いろいろと影響を調べてみますと、影響がかなり大きく出る特殊な業種があるのであります。たとえば電鉄であるとか上下水道であるとか製氷冷凍であるとかいうものにつきましては、かなり影響が大きく出て参るのであります。従つてこういうものにつきましては、われわれはいろいろの契約条項考えまして、なるべく影響の少くなるような方途を講じました。と申しますと、たとえば電鉄でありますと、御承知よう電鉄は電車の路線が、すなわち直流側路線においては、全部二つ三つ変電所から供給しておるものが並列に運転されておりますので、従来は各供給点一箇所ごと契約いたしておりましたが、今後その一つ路線について直流側で全部つながつておるものについては総合契約にしようじやないかということでもつて、個別の供給点一箇所ごと契約ではなくて、個別の総合契約にいたすとか、その他契約上の方法にいろいろの配慮をいたしまして、原価的に最も妥当なよう値上り率になるように、契約条項においていろいろと考えた次第であります。さようにいたしました結果、電鉄、上下水道等におきましても、いずれもそこに書きましたような程度の値上り率なつた次第であります。  大体影響はさようなことでありますが、なおここにちよつと参考までに申し上げておきたいと思いますことは、この電気料金改訂申請資料という冊子の七十ページを見ていただきますと、これは現在の割当制度というものがどういうような結果になつておるかというようなことにつきまして、一つの資料として書いた次第であります。これは三千キロ以上の、需用家につきまして、去年の二月にお支払いになつた金額を、お使いなつ電力料で割つてみました一キロワット・アワー当りの単価が、どのようになつておるかということを示しておるのであります。これは日本全国ではありませんで、ある一つ電力会社の数であります。たとえばその一ページにありますように、金属工業の普通鋼という欄をごらん願いますと、三千キロ以上の需用家の数は、十八あります。これが去年の二月にお支払いになつ電力料金の一キロワツト・アワー当りの単価は、右から四行目にありますように、一番上は——これは少し間違つている点があるようであります。一の需用家は、三十二円となつておりますが、三円二十銭であります。二番目は二十一円になつておりますが、二円十九銭であります。これで見ていただきますと、そういうようになつておりまして、たとえば十四という需用家は一円八十七銭という電気をお使いになつていらつしやるかと思うと、その上の十三という需用家は六円六十銭という電気をお使いになつていらつしやる。結局こういうよう割当制度があることによつて、少し割当が多くもらえた需用家は非常に割安になりますし、実際使用に対して少し割当が少ければ非常に高い料金負担になります。しかも三千キロ以上の同じ業種において二倍あるいはそれ以上も支払いが違つておるというような状態になつております。  なお化学工業の一例をちよつと申し上げますと、七十五ページにソーダ工業がございます。ソーダ工業は六つの需用家があります。ところがその需用家が二月にお支払いになつた一キロワット・アワー当りの電力料金を見てみますと、一番安いのが一円三十一銭、一番高いのが五円五十銭というよう料金でお支払いになつておられます。かくのごとく現在の割当制度につきましては、電力割当が多い少いということは結局原価に非常に大きな影響を来しますので、こういうよう制度はできるだけ改めたいと考えておるような次第であります。  なお影響の非常に大きいのはどちらかと申し上げますれば、従来非常に安い電気というか、割当が非常に多くて安くお使いになつていらつしやつた方が、影響が大きく出ておるかのように一般的に考えられる次第であります。  以上であります。
  14. 松原喜之次

    松原委員 なお一、二点同じ問題でお尋ねを申し上げたいのでありますが、非常にこまかくなりますけれども電鉄で業者の話によると、特別大口は関東において六二%値上げになる。関西でもやはり六二%、それから中部では九〇%というふうな値上りになる。それからそうでない五百キロから三千キロまでは、ちようどあなたの方の表に出ておりますように二二%になる、こういうふうに言つておるのでありますが、それがはたして先ほど申されたところの総合料金制度改訂することによつて救済され得る問題なのかどうか。ちよつとそれと反対のような気がするのですが、そういう点。  それからなお結論的な質問を申し上げますが、いずれにいたしましても、各業者よりも電力会社の側がより専門家であるから、その推算はおそらく正しいとは思いますが、しかしながらやはり何を申しても腰だめ的な未確定なフアクターというものがそのうちに必ず入つておると思うのであります。従いまして、はたしてこういうふうな電力会社側の御計算がそのまま現われるかどうかということは、必ずしも保証がないのであつて、やはりそれが予想よりは相当な増減のあることも考え得ると思うのであります。しかも電力会社計算によれば、おそらく原価の方は、予想よりも減の方は大体ないだろう、むしろ増の方が多いだろう、そのプロバビリティの方か多いだろう、そうわれわれは邪推するのであります。結局それが相当大きく違つた場合には、業種別にどういう救済策を講ずるのか。あるいは全体としてそれが大きく違つた場合には、全体としてどういう是正方法をとるのか。それらの点に関するあなた方のお考えを承つておきたいのであります。
  15. 平井寛一郎

    平井参考人 ただいまの御質問の点につきましては、当初電鉄関係の方にはそういういろいろな御不安の点もあつたのでありますが、最近におきましては、先ほど申し上げましたように、総合契約にするとか、いろいろな措置をとりまして、言いかえれば電気鉄道事業自体の持つ特殊な電気の消費の仕方にちよう原価的に合うような面を調節いたしました結果、全国的の平均は先ほどの数字ように二〇前後の数字になつております。一番高いのでも大口電気鉄道については三割以上を越したものはないということになつております。この点は御懸念はないのであります。  それでちようど御発言も、ございましたので、実際の状態を、東京、関西の例についてもう少し補足説明をさせていただきたいと思います。
  16. 笹森建三

    笹森参考人 東京の電鉄について申しますれば、東京の電鉄さんで一番初め計算なさいましたのは、お話ように六割九分の値上りになつております。その計算いたしましたのは、先ほど平井事務局長及び次長から話がありましたように、従来通り供給地点別の契約によつて計算をしております。それが一つ。  もう一つは、二十九年度において使用するキロワット・アワーを相当大きく見込んでおります。従つてそれが二段料金にかかる、そういうことで六割九分という数字が出たわけでありますけれども事務局長、次長から話がありましたそれで計算してみまして、東京では二割一分見当の数字が現在出ております。これにつきましては、各私鉄さんの方も現在では了解しておられる、そう私どもは見ております。
  17. 加藤博見

    加藤参考人 関西の私鉄について申し上げます。関西の私鉄は五大私鉄並びに大阪、京都、神戸の三市電、そういう電鉄が大部分でございますが、その平均値上り率は、先ほどの御説明にありましたように、いろいろな特別の措置を考えました結果、平均して一九・三%になつております。そのうち五大私鉄におきましては平均二一・六%ぐらいに調整できるというふうに考えております。なおこれにつきましては運賃値上げまで特別の措置を講じたいと考えております。
  18. 平井寛一郎

    平井参考人 なお電鉄関係といたしましては、今度の税法改正の面で電気ガス税が、電気鉄道関係につきましては今回免除されることに今国会で御審議が進んでおるやに伺つておりますが、これで今申し上げました数字より約一割ほど下まわつたのが実際の電鉄事業の業界への影響であるというふうに御理解していただけばけつこうだと考えます。
  19. 松原喜之次

    松原委員 ちよつと結論的な質問に対する御答弁が抜けているのですが、なお補足して、ただいま聞いたところをもつていたしましても、一四・四%よりはいずれも上まわつておるようであります。そこで特に大口電力需用者でございますと、電力会社に対して相当大きな発言権を持つておられて、すでに事前にそういう緩和救済の手段さえも講じておるということでありますが、一般小口需用者になりますと、そういうふうな適切な早急な是正は非常にむずかしかろうと思うのであります。そこで結論的に出て来るものは、先ほど申したように、電力会社側としてはおそらく相当のリスクを見込みながらこの数字を出しておられると思うのであります。従つて先ほど来聞いたように、その例をもつてしても一四・四%よりは相当上まわつておる。しかもそれは相当救済手段を講じた結果である。救済手段を講ぜられないその他の多くの企業ないし家庭等においては、この予想以上の上まわつた値上りになるかもしれない。ならないということは保しがたい状況であると私は察するのであります。従いましてそういう際に、電力会社側としては予期以上の収入があつたというふうな場合に、今度は経営費が高くなつて、結局は利益増にもならないというような詰まらないことになるかもしれない。そういうことを考えますと、電力会社をいじめるのではありませんが、国民経済の立場から申して、そういうふうな予想以上の増収があるということは好ましくないことでありますから、これに対してどういうふうに考えておられるか、そういう場合には何か特別な方法を講ずることを考えておられるかどうか、そういう点について話合い等がなかつたかどうか、こういう点について承つておきたいというのが、先ほどの結論的な、質問であります。
  20. 平井寛一郎

    平井参考人 先ほど来るる御説明申し上げました電鉄とか特殊なものは、実は従来特に料金が安かつたために、今回割当制度の姿からより公平な姿に前進をいたしました関係上、値上り倍率が平均より上まわる傾向の出る産業が多く問題になつておると思います。電鉄もその例なのでございます。しかしながら全体を通じて見ますならばこの値上り倍率は、たとえば電燈全国平均値上り倍率は一六%程度になつておりますし、それから電力につきましても、これは一七%強の平均になつております。こういうことで全体の平均値上り倍率というものは決してそう不当に高くなつておらないのであつて、当初に申し上げましたよう平均値上り倍率の一つ内容になつております電鉄やその他の場合と違いまして、逆に平均値上り倍率が非常に低いものもございます。業種のうちでも、お手元の営業調書の第二ページ目の表をごらんいただきましても、この調査の範囲内においての一般大口丙特約以外のものでありますが、たとえば右の数字、あるいは左の数字等ごらん願いましても、現在より下つたような結果になつておるものもあるのでございますが、値上り倍率の平均が非常にわずかしか上らないものもあるのです。こういうふうで、そういう影響の少いところは割合声がないのですが、私どもの手元で全部集計いたしますと、大体申し上げましたよう平均値になつておるのであります。それからなおここにあります業種別平均というのは、御承知よう全国地域によつて値上り倍率が若干違つておりますので、その業種の地域分布の次第によりましては、必ずしも全国平均と合わない面はどうしても出るわけでございます。一例をとつて申し上げますと、これは関西あたりの紡績の例でございますが、従来は紡績の場合に、関西でもやはり一番安いのと高いのと同じ紡績の需用家であつて倍以上違つてつたのです。それで一番安い需用家の方は、どうしても値上り倍率が平均よりよけい上まるのです。ところが高いところはちつとも上らない、あるいは若干下るところもあるわけです。その平均は紡績産業の平均値で、全国平均はここにあるような形で、決して御懸念はないと私どもは信じております。それからこの計算にはいろいろ含みがあるから、もうけが出るのではないだろうか、まことにごもつともな御質問でございますが、私の方としましては、やはりいろいろの計算家庭はもうけておりますので、その辺であるいはもうけの形が出るか、あるいはそうでなしに赤字の形で出るかわかりませんが、そういう食い違いは出るかと思いますが、できるだけ良心のもとにこれをやつておりますので、大きなそうした食い違いがあつて皆様から御批判を買うようなことはないようにと、実は努力いたしておる次第でございます。
  21. 松原喜之次

    松原委員 最後にこの際承つておきたいのですが、電力会社の方もおられる際でありますから承つておきたいと思うのでありますが、先般世界銀行の資金でございましたか、お借りになつて、そうして火力発電設備について、アメリカから設備を輸入されるようなことになつたやに承つております。それは在来の日本でつくつておつたものよりは効率が数十パーセントよいとかなんとかいう意味で、それをお入れになるというような理由も承つておるのであります。しかるにそれに対して一方メーカー側の日立製作所等からは声明が出ておるように思うのであります。もはや日本の技術はさようなものを輸入する必要のある段階でないのであつて、なるほど今までのものは劣つておつたかもしれぬけれども、今かりにわれわれにあつらえてもらつたならば、決してアメリカのものに劣らざるものをつくり得る、こういうことであつたと思います。何と申しましても国策的な立場にある電力会社でありますからして、日立の申し分に対してわれわれがこれに加担するという方が正しいような気がするのでありますが、われわれはこの間の詳しい消息がわからない。これに対してはたして事実であるかどうか、また将来そういう電力会社方面のお考えを持つておられるのかという点について、この際聞かせていただけばたいへん幸せだと思います。
  22. 平井寛一郎

    平井参考人 外国の機械を輸入するということは、電気事業者としては極力避けたいと思つております。やはり国内の産業が発展するという意味において国内の電機メーカーの発展することを念願するのであります。従つてできるだけそういう観点に立つておりますが、にもかかわらずたとえば九州、関西、中国等におきまして若干の外国機械を輸入せざるを得なかつたのは、ちようどこの三社におきましてはこの話が出ましたのが昭和二十六年ごろなのでございます。その当時の日本の火力発電設備の製作技術の水準と申しますると、たとえば例を気圧だけにとつてみましても、現在国内でつくつておりまする最高気圧級のものはわずかに六十気圧級のものであります。ところが今回輸入のものは九十気圧級のものでありまして、性能の点においてもはるかに高いのであります。輸入をするかどうかにつきましては、経済比較もありますし、いろいろしたのでありますが、何しろ技術的にそうものができる段階になかつたものでありますから、これは一つのモデル・ケースとして入れることにいたしたわけであります。外国ではもつとそれより高い技術のものがどんどん出ております。九十というのはもう標準型であります。そういうものを早く日本に若干輸入することによつて日本の技術の水準の足がかりとしたらどうだろうというのが一つの目標でありますし、もう一つは、あの当時は資金のわくの面で、これの注文をいたしました場合に外貨がついて来る。そうすると国内の資金のわくの苦しい中と別途に金も貸してくれるという面もあつた。そうした経済的な面あるいは資金上の面、いろいろ勘案いたしまして、この輸入を申請いたしましたが、政府におかれましてもこの点は非常に慎重な検討をせられました結果、これは必要であろうということで輸入を御許可になつたのであります。最近におきましては、それから後になりまして、若干東京電力あたりで輸入という話が出ております。これはその当時と違いまして、国内ではどうにも安心できないような特殊の高度の性能のものを部品として輸入するという程度にとどまつております。将来はおそらく国内の技術水準は、こうした外国の実物を目の前に見ることによつて、日立さんがおつしやる通りに国内で十分のものができる方向にだんだん行くのではないかと考えております。なおおつしやいまする日立さんのお話も、現段階におきましてはやはり日立さんに御注文申し上げても、部品については輸入のものがあるということをはつきり申し上げておきます。これを全部なくすることが日本の目標だと思いますが、やはりそういう方向に前進するためには、若干のこういう策もとらざるを得なかつたという点も御理解願いたいと思います。
  23. 加藤宗平

    加藤委員長代理 杉村君。
  24. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ここにたくさん資料をいただきましたし、いろいろ御説明を承つたのですが、こういう数字的の資料をここでいただいて説明を聞いても、この資料についてすぐいろいろお伺いするということは困難でありますし、先ほどから見ておりますが、お出しくださつた数字にも間違いがあるということで、今数字上について御質問を申し上げていろいろ伺うことができないのははなはだ遺憾とするので、他日また数字上のことはよく研究しまして伺いたいと思つておりますが、先ほど前の委員がいろいろ質問されたように、この資料はもちろんあなた方電力会社から見れば正しいということでお出しになつたのでしようし、今までわれわれが需用者側からいただいた資料を拝見しますれば、またその説明を拝聴いたしまするならば、これまたごもつとものようにわれわれは感じられるのでありまして、両者いずれが正しいかということは、この両資料をよくつき合せて検討してみなければ、われわれにもほんとうの点は納得が行きがたいのであります。さような点につきましては、他の機会において御質問を申し上げたいと思つておるのでありまするが、先ほど平井さんのお話のうちに、要するに政府緊縮財政政策には全面的に賛成をなさる、こういうお話があつたのでありますが、今の吉田内閣は、大蔵省では物価の一割値下げを標榜しておりまするし、日銀におきましては二割の物価値下げをやろう、こういうようなことになつてつて、これができなかつたならば、いわゆる現内閣の財政政策の破綻を来すというくらいに真剣にやる、こういうようなことを言われておるのであります。ところが政府の緊縮政策に全面的に御賛成なさるというお言葉と、この電気料金値上げというものは、正反対になるんじやないかと思われるのでありますが、大体この面から見ましても、二割近いところの値上げということになりまするが、この電気料金値上げをいたしました結果、それはいろいろりくつはありましようけれども、何といつてもそれだけの物価が上るということは、われわれしろうとが考えても、どうも上るような気がするのでありますが、あなたの先ほどの政府の緊縮政策に全面的に賛成だということと、この電気料金値上げということは、われわれはどうもあなたのお話には納得できないのであります。そこで今こまかいことを伺つてつてもしかたがないんですが、私は聞くところによれば、電気会社が一割五分くらいの利益配当をしておる、こういうようなことを聞いておるのであります。さらに私ども調査したところによりますると、先ほどあなたもおつしやられるように、なお政府資金を要請しておるというのでありますが、今までに政府からどれくらいの資金があなたの方に行つてつて、その総額がどれくらいであつて、それの利子が幾らであつて、どれくらい償還になつておるか、そういうこともひとつこの際伺いたいのでありますが、おわかりでありましたならば、まずそれらから伺いたいと思います。
  25. 平井寛一郎

    平井参考人 最後政府から借りておりまする資金の点について、手元にわかつておる限りの資料で御説明申し上げます。
  26. 福田勝治

    福田参考人 二十九年三月三十一日現在の予想でありますが開銀から借りております金額は、大体一千九十三億程度だと考えております。これは九電力会社の固定負債総額二千六百三十二億に対して一千九十三億借りておる、大体こういうことに相なつております。それで昭和三十年三月三十一日の予想では、大体千四百億程度に相なるかと思います。御承知ように開銀の金利は現在七分五厘でありますのを、六分五厘にしていただきますので、一分だけ引いていただくような予定でありますので、約十三、四億のものが一分引くことによつて浮いて来るという勘定に相なります。大体どのくらい償還して来たかという金額は、今のところちよつとわかりませんが、現在残つておりますのは大体そのくらいのものであります。
  27. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私どもが調べたところによりますと、相当多額の大きな会社ばかり——あなたの方でここに出されましたこの表の、特別大口何とかいう表のうちの住友——住友はここに入つておりませんが、要するに北海道、東京、関西、中国、四国、九州以下書いてあるこれらの会社、そのほか合せますると莫大な、三千五百四十七億九千九百九十余万円、これは私の調査でありますから、私の数字が誤りでないとも限りませんが、なおそのほかに小さい会社に対しても、こういうように見返り資金等から金が出ておつて、これらの償還がどうなつておるか。これは昭和二十九年二月九日現在の調査になつておるのであります。とにかくこの莫大な金は国民税金であります。こういうようなたくさんな国民税金を、いわゆる独占事業である電気会社もとより国家経済の根幹をなす電気でありますから、われわれも決してこれに国費を使うことが悪いとは考えませんが、こういうような莫大な国民税金を借りて事業をやつて、一割五分も配当をしておつて、それはいろいろりくつもありましようけれども、さらにここに値上げをするというようなことは、われわれはとうてい承服することができないのであります。いずれこの表を検討いたしまして、さらに詳細なる検討の結果、またお伺いしたいと思うのでありますが、今まで私ども参考人の方から伺つたところ、そのほか日本の各新聞の論説等を見ましても、ほとんどこの電気料金値上げに賛成しておるところはないのでありまして、われわれははなはだ承服できないのであります。さらに昭和二十九年度に、聞くところによると、まだ調べておりませんが、三百億くらいの資金要請をしておるというようなことでありますが、造船関係におきましても、そのほかの特殊機関関係におきましても、こういうよう政府の特別機関が国民の金を使つておるというのは、はたしてこれがほんとうに正味電気事業に使われて、おるかどうかということまでがこのごろは疑われて来ておるのです。造船関係がああいうことがあるから、電燈会社にもそういうことがあるのじやないかというよう考えを持つことは誤りかしれませんが、どうも私どもがいろいろな立場から財政関係を調べてみますると、ほとんどどろ沼に足を踏み込んだような状態であります。いずれこの電燈会社のこともひとつ研究はしてみたいと思つておりますが、そういうようないわゆる財政政策、経済政策において、電燈会社あたりでは何も間違いなく、ほんとうに合理的に事業を運営されておるかどうか、ひとつお話を願いたいと思います。
  28. 平井寛一郎

    平井参考人 御承知よう電気事業の経営は、一面において独占が法定されておりますると同時に、これには厳重なる監督の基定を設けられております。そうしてそれによつて独占の弊を食いとめる、同時にサービスの改善を意図するような強力な措置がとられております。たとえば会計規則につきましても、法律に基いて会計規則が政府できめられておりまして、費目のわけ方その他こまかいところにまで、政府は方針を立てて、厳重なる監督をいたしております。私どもといたしましては、こういうサービスの事業であるしいたしますので、特に配慮いたしまして、そういうようなことのないように努力いたしております。その点は御心配のないように願いたいと思います。  それから資金の面でございますが、例を二十九年度の資金にとつてみますと、私どもの二十九年度の資金計画の総わくは、千四百六十六億に圧縮されております。その中で、開銀から三百数十億の金を予定いたしております。遺憾ながら終戦直後しばらくの段階におきましては、なかなか料金値上げも遅れがちでありましたりして、無配当等が続いておりまして、政府からの援助資金等の占める割合も大きかつたのでありますが、順次自己調達のわくを広げる方向に善処いたしております。しかしながらここで御理解いただきたいと思いますことは、先ほどの一割五分はどうだろうという配当の面についての御意見は、ごもつともな御意見であろうと思いますけれども今回の料金申請に予定いたしておりますのは、配当は一割二分という基準で出しております。現在は確かに一割五分の配当をいたしております。しかし、その一割五分の配当をしておる段階における株の相場はどうであろうかと申しますと、会社によつて違うのでありますが、額面をわずかにすれすれに上つておるものと、むしろ下まわつておるものとがあるような状態であります。その中で、ちよつと料金改訂問題についての不安な情報などが伝わりましたら、ただちにそれに大きく影響を受けまして、たとえば東京電力の株価は、数日前までは、五百十数円しておつたものが、額面を割つて、現在は四百五十円ぐらいに下つておるという状態にあるのであります。非常に敏感な株式市場その他の中で、普通の既設の工場をもつての操業だけにとどめるならば、その点では非常に安定した、できるだけ経営を合理化するような方法も楽なんであります。しかし御承知ように、電気事業は電源開発という大きな使命を託されております。その遂行こそ日本産業発展の基盤であると考えて、今一生懸命にやつておりますが、この開発をいたしております関係上どうしても年々多額の開発資金を必要とするのであります。今は確かに資金のきゆうくつな中でありますので、一部政府からも融通していただいたりしておりますが、この金利が非常に大きく占めるのであります。新設の部分については、資本費負担だけで大部分を占めるというような状態であります。冒頭に申し上げましたように、今回の料金値上げも、そういうような非常に高い設備ができたために平均原価が上つて、そのうちの資本費の一部がどうしてもまかなえないので、それをお願いしておるのであります。しかし私どもとしては、そういうものをできるだけ需用家に転嫁しないようにという意味で、昨年の春以来政府から御融資の金利については、七分五厘であつたものを、五分程度までは下げていただきたいとお願いし、税金等についても、それぞれの費目について減免の措置をお願いするような運動をしております。みなそういうふうにして、いろいろの特殊な御配慮をいただくならば、基礎産業としての電気原価の上ることを、その幅だけは十分防止できますし、それによつて日本の生産原価もできるだけ安くなる方向に行くことを念願いたしておる次第であります。しかしそれでも実を結ばないものについては、どうしても若干の値上げをお願いしない限りは二十九年度はただちに赤字になるのでありまして、配当もできなくなる、しかも工事中の工事資金は集められなくなる、そのために開発の問題すら推進できなくなることになつて、非常に電気不足している実態の中でそれをとめるのは、非常に望ましくない姿になります。従つて、私どもといたしましては、やはり最小限度の配当——今度の申請も一割二分程度で、実際額面を維持できるかどうかは、市場の状況次第でわかりませんが、安定したこういうふうな配当をさせていただくならば、資金の調達もどうにかできるのじやないか、こう考えておる次第でございます。
  29. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただいまあなたの御説明で、電源開発資金がいるということでしたが、これはわれわれは十分承知しておるのです。承知しておるけれども、あなた方のふところの金を出しておるのではない。ほとんど大部分が政府の資金、国民の金を出しておるのであります。あなたは一割二分の最小限度などと申しますけれども、今日政府の金、国民の金を借りて使つてつて、一割二分の配当などということは、少しぜいたく過ぎると私は考えておる。五分かそこらでたくさんじやないかとわれわれは考えておる。こういう事業は、普通の事業とは違うのであります。それについてあなたのお話は別に伺わなくてもけつこうなんです。が、さらに伺つておきたいことは、要するに復金の見返り資金から電気会社が借りた金の償還期が来ておるものは、全部償還されておるかどうか。それから利息もみな返つて来ておるかどうか。その点いかがでございますか。それだけ伺つておきます。
  30. 平井寛一郎

    平井参考人 政府から借りておる金はもちろん、借りた金についての金利の償還は約定通りみな返しております。
  31. 加藤宗平

    加藤委員長代理 菊川忠雄君。
  32. 菊川忠雄

    ○菊川委員 二、三の重要な点だけお尋ねいたします。その前に御参考にお尋ねしますが、この委員会におきましては、二、三日前関係電力需用者においでを願つて参考意見を聞いております。それは大体書面によつて提出されまして、それをそれぞれの業界のしかるべき代表者から口頭で敷衍説明を願つたのであります。従つて速記録に残つておるわけでありますが、いずれも改訂の結果から来る電気料金値上げについては、数字で推計した報告を受けておりますが遺憾ながらただいま伺いました電力会社側からの数字とは相当食い違つておるのであります。先ほど来それにつきましていろいろと御説明を伺つたのでありますが、いずれが正しいかわれわれは後刻検討するにいたしましても、ここで二つのことをお尋ねしたい。   一つはこういう電力大口需用者のしかもその業界の団体、たとえば日本機械工業会だとか、硫安協会であるとかあるいは石炭協会であるとか、こういうものが正式にきめておるところの意見と、電力会社申請された数字が、われわれの手元に出た場合にはこのように大きな食い違いがあるということは、一体何に原因があるとお考えになるか。先ほど来の御陳述を伺いますと、今回の改訂料金制度料金率との総合調整であるから、それぞれの具体的な場合によつて複雑な影響があるわけですから、推定に困難があるということは察せられるのであります。けれどもこのような大きな食い違いがあるということは、そういう実情がわからないからこういうことになつたので、今後話をすればわかるのだし、今までの御報告によると、すぐに了解を得ているということでありますが、そういう程度に一方的な不徹底あるいは誤解に基くというふうに電力会社では解釈をとつておられるのかどうか、その点が一つ。  なおそれに関連してですが、こういう料金改訂は今、国会に限りません。ところが電力事業というものは、公益的な事業の性質から見ても、独占的な企業であるという面から見ても、その影響がそれぞれの産業におけるコストに及ぶという観点から見ても、当然それぞれの業界の代表との間に何らかの正式な話合いがあつて申請をされるのが、今日の時代における適当なやり方ではないかとわれわれは考えている。これは民主的な常識をもつてすれば、公益事業を経営される方が考えないのがおかしいのです。そういうことを考えてお出しになつたのか。出した結果、業界から非常な反対があつたのでびつくりして事後に了解工作をやつておられるのか。一体こういう場合においては、従来慣例としておやりになつていないのかどうか、この点をお尋ねします。それからなお、それはわれわれが一業界の代表者と会つて実情を調べるまでもなく、これは電力事業を経営する者として、公益性、社会性にかんがみて独自の協会その他の機関でもつて十分調査をしているんだという確信を持つておられるのか、この二点をお伺いしておきます。
  33. 平井寛一郎

    平井参考人 最初の御質問は誤解があるのではないかということでございますが、この点は最初にいろいろと申し上げましたように、私どもといたしましては十分了解していただける、また今日においては相当御理解を実情においては見つつあると思うのです。ただここで御了解を得たいと思うのは、現在申請しております値上げ率の問題についても、その内容等につきまして政府が御審査の結果どういうふうに御査定になりますか、そういう点で申請通りにきまるとはやはり需用者の方では考えておられませんで、下話はいろいろありますが、それで契約するというところには行かないのであります。そういう程度のお話でありますので、多少その点での営業取引上の関係もありまして、対外的な発表についてはそういうふうな線はあるかと思いますが、現実にお話合いは具体的に進んで、おおむねこれで御理解の願える線に達したものが多いのであります。これはひとつどこかの会社の例についてその辺の空気を御説明いたしたいと思うのです。  それから業界と事前に話をしたか、どうか。これは何もかもすべての業界に事前にお話をするということはできませんでしたけれども硫安協会とか日化協とか、そういうふうな特に電力に利害関係の多いような産業団体方面には、ものによつては何回も御説明に上つたりしております。そういうふうにして私ども申請したのでございます。
  34. 菊川忠雄

    ○菊川委員 聞けばますます私は疑問を持たざるを得ないのです。硫安協会その他に対して事前に話合いを何回もされたというが、硫安協会から本委員会に出されている意見書なるものは、電力会社話合いをしてあなた方の言い分もわかつていたが、しかも納得できないところから出た決定的な反対意見であるということの、われわれの一つ参考になるわけなんです。しかるに今のお話によると、それぞれの話合いを進めておられるようであります。一体どちらがほんとうでしようか。  いま一つは、個々の業者は大体これならいいという目安で交渉しておられるのですか。しからば平均一一・四%、実情は二〇%以上という値上げ率になるという線で、それぞれの関係大口の業者と話合いをしておられるのか。これはいずれ公益事業局から査定をされるのだからというので、山をかけた——実際妥協数字は別にお持ちで話をされているのか、その内容はどちらなんですか。
  35. 平井寛一郎

    平井参考人 絶対に山はかけておりませんからその点は御心配いりません。  今特に化学関係でのお話が出ました。先ほども説明申し上げたのでありますが、もう一度御質問の点に触れて補足的に御説明申し上げたいと思います。同時に具体的な話合いの進行状態を、どこか一つ会社の実例について、具体的に説明させていただきたいと思います。
  36. 福田勝治

    福田参考人 今のお話硫安協会の点でありますが、硫安協会の方々につきましては、先ほど申し上げたように、事前に料金制度は今度はこういうようにしたいんだということで、いろいろと話合いをしております。ところが一体値上げ率を幾らにするかということについては、ごく最近申請するまでもちろん発表するわけにも行きませんので、その直前に一度硫安協会には値上げ率はこういうふうになるということは話しております。事前に話しておりましたことは、料金制度はこういうふうにやるということについていろいろ話合いをしておつたわけであります。それで硫安協会から出ているこの資料でありますが、これは硫安協会考え方とわれわれのとは非常に違つています。その点は硫安協会では、先ほど申し上げましたように、われわれとしては特別契約でやつていただくのであります。現に昭和電工さんにはすでに去年から特別契約をやつてつたのであります。ところが今回硫安協会で出された数字は、そういう特約でなく、規定料金でその料金をはじいておられるのであります。規定料金ではなくと非常に大きな値上りになるわけであります。従来特約でやつておられたものを今回規定料金でおはじきになることになりますので、こういう大きな値上り率になると思うのであります。先般われわれ硫安協会の方々にもそういうことを申し上げましたら、いやそれは規定料金ではじいているんだ。なぜ規定料金ではじいたかというと、それは特約ということがわからないからはじきようがないんだ、こういうお話なのであります。われわれとしては特別契約というものは、各会社個々の需用の特性に応じて個々に契約しなければならないわけでありますので、総括的にはこういうものだということは言つておりますが、個々の需用家については個々にお話を申し上げまして、これは個々の、需用家の特質に応ずるよう契約になるわけでありますので、当然これは個々に交渉しなければならぬことになるのであります。われわれとしては今われわれが申請したときに考えておりましたのは一応このくらいのことであるということで個々に交渉に当つているわけであります。大体その交渉で需用家がこのくらいならはかろうという程度の了解を得ているのでありますが、得ていない会社も多少あります。それは従来需用家が、たとえば五千キロお使いになつていらつしやつたものを、今度は急にその二倍の電気をくれというようお話が出るものでありますから、そういう需用家についてはいろいろの点において交渉が未解決になつているというのが現情であります。大部分の需用家については、先ほど私の説明申し上げたこの影響調査表でおわかりになる程度に納まる、今後はそういうことに相なると考えているような次第であります。
  37. 菊川忠雄

    ○菊川委員 今の御説明は一方提出された資料の信憑性という問題にもなりますから、私の方でよく調べてみたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、先ほど私遅れて参りまして、最後平井さんのお言葉の中に、カバーできるものとわれわれは考えておるというふうな御意見があつたのであります。これを私は確認をしておきたいのでありますが、一体そういう御見解があつて、それが今度の申請の中に入つておるのですか。もし事実そういう生産増強によつてカバーできないというような実証があれば、電気料金改訂申請されるということについては無理があるということを、またお考え直しになるのかどうか。これは重大な問題でありますからこの点をお伺いしておきます。
  38. 平井寛一郎

    平井参考人 生産増強によつてカバーできると、そういうような表現ではなかつたと思いますが、あるいは申し上げそこなつたためにそういう御質問をいただいたのじやないかと思います。ただこういうつもりで申し上げておるのであります。というのは、今電気が足りないのであります。それにこういう緊縮財政の中で、ただ一律に緊縮するということで電力増強もやめておくという形では、電気は足りない。一方工場設備は余つているというようなでこぼこのままの姿で、ただ不自由をしんぼうするというので、足りない電気のわくの中でやれば生産に制限が来るのであります。しかし私どもはやはりこの際電源開発して電力増強することによつてそういう不足面を補足して、生産と消費の面がマツチするようになる。これは産業全体の合理化だと思います。そういうような形をとることによつて自然増産ができると思うのです。それで工場の需用にしましても、現在、たとえば化学工業等についても、北陸の例をとつても、電解電炉の工場設備が今までのところはせいぜい四〇%ぐらいの稼働しかしておりません。今回の料金申請の中ではこれを五〇%まで上げることになつております。将来電源増強されれば、それに応じて工場設備その他も稼働率が上る。確かに料金値上げすれば生産費に響くことは当然なのでありますが、しかしその響きますものも、将来にわたつての増産という形によつて、厳格に言えば、順次そういう面から安くなるという点から吸収される面があるという意味で申し上げたのでありまして、そうした個々のつながりにおいて申し上げたはずではなかつたのであります。その点を、間違つておりましたらひとつ御理解を願いたいと思います。
  39. 菊川忠雄

    ○菊川委員 電源開発の使命は、言うまでもなく豊富低廉良質な電気供給であります。従いまして悪質で高い電気供給してもらうということをわれわれはお願いしたわけではない。そこに問題があるわけです。従つて悪質で高い電気供給されたならば、結果においては生産コストに響いてかえつて逆な結果を引起す場合もあるわけであります。今のお話だと、電気供給さえ豊富であれば、豊富低廉にして良質の電気の点はわれわれにまかしておけばいいというようなお考えがあるのではないかという心配があるのです。そこで私は一つの例として、先般の委員会で私鉄の方から提出された資料——これは関西奈良私鉄の表でございますが、原価構成推移表というものを提出をされております。それによれば、電力費だけは二十二年度四・二%からずつと急カーブが上つて来て、二十七年下期には一〇・九%というふうに上つておるのでありますが、そのために圧迫を受けて、他の材料費、あるいは人件費、諸経費というものが非常に削減を余儀なくされておる。ことに人件費などのごときは、私鉄のごときああいう相当活発に運動される組合を持つておる企業でありましても、二十二年度の六〇・一%に対し、二十七年度下期には四七・三%というふうに下つております。こういうふうに見ますと、たとえば、これは私鉄の方の表だけで申し上げるのでありますが、こういうふうに電力費というものが、コスト構成の中の非常な大きな部分を占めて行き、高まつてつて、他の重要経費を圧迫するというふうな状態にある。これはもちろんもつとしさいに検討しなければなりませんが、たとえば私鉄の経営がはたして健全であるかどうかというふうな問題もありましようけれども、ともかく電力費がこういうふうに高まつて来ることによつて、私鉄は経営上非常な困難に陥つておることは事実であります。電力会社では今度一割二分の配当をするために申請されるわけでありますけれども、私鉄では御承知ように四十社が欠損または無配の状態にございます。こういうふうなことを見る場合に、一体一つの私鉄を考えてみた場合にも、簡単に電力さえ供給すれば、値段は多少上げても、それによつて操業ができ、輸送力もふえ、お客もふえてカバーできるのだというふうな断定が下せるとお考えですか、こういう点であります。
  40. 平井寛一郎

    平井参考人 現在電気が足りません中で、こちらにぜひほしいというふうに無理にお使いになるものですから、電圧も下り、不足も来しておるのであります。確かに電気はそういう意味においてサービスが十分でないという非難もあると思います。これはやはり電源増強して十分電気を送ることによつてそういう問題は解決すると思うのであります。豊富低廉というお言葉がございましたが、これは何しろ物価水準が移動した過程の中で申し上げることは、どうしても話がむずかしくなりますが、私どもは豊富低廉な電気を現在の経済事情の中でできるだけ供給するというのを建前考えております。確かにそういうふうな意味で、私どもはいかに電源開発が必要かというところからこの問題をぜひひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。  それからあとの方の御質問でございますが、私ども手元の資料を見ましたが、電鉄の経営費の中で電力費がどのくらいを占めるかという数字はちよつとわかりませんが、手元の他の資料によつて見ますと、必ずしもそういうふうにはなつていないのではないかと思います。御引用の資料はどういう統計かわからないのでありますが、ただ問題は、戦後だけでなく、戦前電鉄はどうなつておつたかということも考えなければならぬと思います。それでこういう点だけは御理解願えると思うのでありますが、電気事業は終戦後ずいぶん長い間無配の状態でございます。終戦後約十年の間に最近三期配当を続けております。その前に一期やつてまた無配また一期やつたという状態がある程度でありまして、無配の期の方が多いのでございます。電気料金値上げという問題は、こういうように固定資本をもつて経営する産業であります関係上、またそういう点で資産を食いつぶすという点においても時間的に多少しんぼうできるという意味もあつたのでありますが、国家の政策としても電気料金値上げというものは極力抑制して、他の産業の復興をまず意図せられたという時期も、終戦後にあつたのではないかと私ども見ております。従いまして、戦後の今の数字だけ比べました中で、もしそういうことが事実だとすれば、電気料金値上げの過程が非常に遅れており、現在でも値上げの倍率は、一般の物価の値上りより、戦前に比べますとずつと低いという点等をも含めて御判断いただけたらいいのではないかと思います。
  41. 菊川忠雄

    ○菊川委員 私も電源開発については及ばずながら熱意をもつて大いに勉強しておるつもりでありまして、従つて四国あるいは奥只見まで行つて勉強させてもらつておるのであります。日本の電源開発が奥地開発になるために資金がいることはわかつておるのであります。そこでこの問題は一応それにいたしまして、先ほど杉村氏からお尋ねした問題でありますが、私どもの調べてもらつたところによりますと、日本の電力事業というものは、政府投資が非常に重い部分を占めておる。先ほども数字がございましたが、たとえば昭和二十一年から二十七年までをとつて見ますと、復金融資が二百二十七億五千六百万円、見返り資金からの融資が四百二十九億九千三百万円、開銀からの借入れが三百六十二億円、合計千十九億四千九百万円、こういうことになつております。今度は設備資金の方と比べてみますと、大体現在までの比率が四〇%見当になつておるのではないか。さらに二十八年度開銀からの九電力関係の四百億、それから二十九年度の見込みが三百五十億、こういうふうに押えてみますと、政府投資額は相当大きな額を占めておる。そうして電気事業の資本構成率で見ますと、もちろん資本の再評価がございますけれども、年度にして再評価前を見ますと、借入れ資本が一番多いときにおいて八八・四%を占めておる。再評価後の二十六年上期以後、またこの率は下りましたけれども、現在においても四一・五%を占めておる。こういう状態になつておりますから、今後電源開発資金をさらに多額に導入しますれば、また三十二年度ごろまでにはおそらく八〇%を越え、九〇%くらいに借入れ資本がなるんじやないか、こういうのが日本の今日の電力事業の資本構成の大きな変化ではないかというふうに見て参つておる。こういう数字の方は推計もありますから多少の狂いはあるにいたしましても、とにかく大きな部分が電力会社に株主だけの出資金によつてはまかなつていないということは決定的であります。そういうふうな企業の経営のあり方というものを今日このまま続けられるということ自身われわれには疑問なんです。それは大きな政治上の問題ですけれども、たとえばアメリカにおいても今後こういう大きな国家資金り投入を必要とするということは、資本主義、社会主義のりくついかんにかかわらず、コーポレーシヨンという方式をとつてつておる。そうすれば、しこく資本の少い、資本蓄積のなかなかでき上らない日本において、九電力会社を中心として、そうしてその資本の一部しか出していないところの株主を中心として経営をされ、そこでもつて料金値上げの際においても一方的に申請をされる、こういつたあり方で、今関連産業あるいは国民一般が納得するということは、一体普通に考えられることであるのかどうなのか、そこに根本的の問題がある。公益事業局があつて、そこで政府として調べていただくのだからよいというだけのお考え申請しておられるのか。こういう点について、一体今日の電気事業の経営のあり方というものは、この資本構成の数字から見てこれでよろしいというお考えか、あるいはこれについては何らかの事業自体に相応したところのやり方を考えなければならぬという構想をお持ちなのかどうか。そういうことは考えなくて、ただわれわれは電力料金の申請をするについては、そういう資本家、株主の利益の安全を保つということを目途にして申請をするならばいいというお考えなのか、この点をお尋ねいたします。
  42. 平井寛一郎

    平井参考人 今回の申請は、株主の利益の安全を目途として申請したものというのではなくて、やはり電源開発を円満に遂行したいという意図によるものであります。それで確かに政府からの融資の面についてはいただいております。たとえば例をとつてみますと、二十九年度の資金額は大体千四百六十六億の資金額を持つておる。そのうちで開銀から借入れることに予定いたしておりますのは三百五十億であります。そのほかに債券発行、銀行からの若干の融資等もありますが大部分は内部留保及び自己調達であります。自己調達の資金、だけでも八百四十二億、内部留保二百七十四億を予定し、そういうよう考え方で今進めております。ただここで私どもがサービス事業としての電気事業の立場から非常に苦慮いたしますことは、現在の金利は高い。それがために社債にしても、あるいはその他の銀行からの借入金等につきましても、どうしても九%から一二%の金利負担せざるを得ない。ところが金利が高ければそれだけ電気料金が高くなるのでありまして、やはりそういう点で、ある程度金利の低い政府資金を併用しなければ原価が安くならないというような感じがいたします。開銀の金利は、従来の七分五厘が二月一日から六分五厘になつたのでありますが、一般の金利と開きがあるというような点もある。料金を上げることはなるべく避けるという意味において、私どもは、金利の引下げとか税金とかについても、いろいろ各方面に対してお願いを続けている実情にあるのであります。  それから経営の根本問題についての御質問がありました。この点については、私どもとしては、非常に慎重に絶えずいろいろと内部的にも意見等を交換いたしておりますが、企業形態をどうするかという御質問ではないかと思います。御承知ように、終戦後戦前の統制その他の関係ででき上りました経営組織による企業形態が適正であるかどうかということについて、企業再編成令をめぐつて電気事業者の中でも、いかにこれを再編成すべきかということが大きく論議せられ、広く天下の注視するところとなりまして、長く論争の対象になつたことは、御記憶に新たなことであろうと思います。しかし結果は、現段階においては、その後約三年になりますが、現在の企業形態のような地区別の一貫経営という形態がとられておる。ただここで私ども企業形態の問題に触れる場合に、あの長い論争をやつたその間、結局結果的に電源開発がおろそかというか、自然円滑に行かなくなつた苦い経験を持つております。ようやくでき上つてまだ三年の声を聞かないこの電気事業の今の形態をどうするかという問題は、もうしばらく先になつて御検討をいただくことにして、一応今の企業形態ができ上つたのを、できるだけその中において国家的な要請として規制をさせるべき面あるいは調整すべき面等について御配慮願つて、この企業を育てていただいて、そうした中から将来この面についてまた御検討を願うというふうにお願いいたしたいと考えております。
  43. 加藤宗平

  44. 小笠公韶

    ○小笠委員 時間もありませんから簡単に事務的なことを一つ二つ伺いたいのでありますが、二十九年度の総括原価は二千百億という数字でありまして、純不足二百四十六億、これが値上げの根本になつておりますが、総括原価の中で水の出方をどう見ておるかということをまず伺いたいと思うのであります。  第二の問題は、総括原価計算上におきますロスをどう見ておるかということを一応伺いたいと思うのであります。もし総括原価二千百億をそのままとりましても、不足二百四十六億ということになると、一割二分弱になります。その一割四分四厘の差というものが配当になるかどうかということが考えられるのでありますが、それは別といたしまして、まず総括原価の中で水の出方をどう見ているか。石炭のクローズがあつて石炭の値段が安くなりまして、一七・一%石炭の値段が下つたから一四・四%にしたという御説明でありますが、水のクローズはつかないものかどうか、水の出方いかんによつて石炭のクローズが出るかどうか、いわゆる原価計算上の事務的な問題としてお伺いしたい。  次の問題は料金制度の問題でありますが、今度の電気料金改正に伴いまして非常に問題が複雑化しておるのは、料金制度の変更と値上げとが相伴つたところにあると思うのであります。先ほど御説明の中で、割当制度は過渡的なものだ。たしか昭和二十五年から実施したと思うのでありますが、この過渡的だが今ごろはもう正常化して一歩踏み出していいのじやないか、こういう御説明しか承らなかつたのであります。御説明によると二十九年度において約二〇%の電力増加を期待しておる。需用の増加も当然予想されるのでありますが、この程度のときに大きな料金制度の——理想的な形態にあるといたしましても持つて行くことが適当な時期かどうかということについてどうお考えになつているのか、いわゆる料金制度の変更を二段制にしたというところに小口需用に最も圧力をかけて来た原因があると私は思うのであります。従いまして現在の制度が、お言葉のような、悪い過渡的な制度であるといたしましても、今日の経済情勢下において、特に小口あるいは家庭にロードをかけるような案をこの際やるのが適当かどうかということについて御意見を伺いたいと思うのであります。
  45. 平井寛一郎

    平井参考人 水の出方は実はお天気次第でありますので、来年度どれだけ出るということはだれも的確に当て得ないのであります。しかしながら電気事業はやはり水の出方によつてその経理が非常に左右される実情にありますので、電気料金の決定の場合といえども、あるいは需給計画の策定の場合といえども、できるだけ長い期間の平均をもつて、そうしてそれを基準として計画を立てるようにしております。そしてその基準からでこぼこしたものは別途の方法でそれを考えるという行き方がとられておるのでありまして、水の出方は今回の申請におきましては、過去十一箇年の実績平均によつております。それより古いデータは実は配電統合以前の状態でありまして、信用すべき記録がないのでありまして、むしろその記録を入れますともう小し数字は下まわるような傾向になるのではないかと思うのであります。どうも年度によつて豊渇水の影響が違うのでやはりそういうような方法で長年の平均によつて見るという建前をとつております。そういたしますと当然豊渇水の影響が出るのでありますが、豊渇水の影響に対する経理措置は、豊水であつた場合、豊水によつて余分に利益が出た場合に、その豊水の利益というものは、ただすぐにこれを株主の利益配当にまわすというようなことでなしに、これは渇水準備金という法律の規定に基いてできた制度がございまして、強制積立てをさせられる建前になつております。同時に平水よりも渇水したために、予想外の赤字の出た部分について、その蓄積された渇水準備金を取りくずすことが政府認可によつてできるという形になつておりますから、この点電気事業の経営が豊渇水によつて年々赤字あるいは黒字ということが、生々しく経理の上に出るのを緩和して、そして豊渇水を通じて、安定した経理の状態に持つて行くという措置がとられておるのであります。  話が前後するのでありますが、ロスの見方でありますが、終戦後の昭和二十三年ごろにおける全国平均のロスは三二・四%であります。そういうふうに大きな数字になつてつたのでありますが、その後順次経営努力をいたしまして、前回料金申請の場合には、二五・七七%という程度まで下げて申請をいたしております。その後さらに実績はよくなりつつあるのでありますが、今回の料金申請におきまして織込みましたロス率は三四・五五%というふうにして申請をいたしております。それから石炭クローズ及び水のクローズのお話がございましたが、石炭の価格変動につきましては、これを石炭の価格の変動に応じて、ある一定基準で調整する形になつております。それが先ほど申し上げましたように、前回申請した料金単価よりは、小口動力において若干もうすでに値段の下つておるというもとになつておるのであります。これは今回の申請におきましてもやはり石炭のクローズはつけております。水のクローズの用意があるかどうかということでございますが、水のクローズというのは、私が先ほど申し上げました渇水準備金という制度が、あるいはそれに対応すべき制度じやないのであろうか、こういうふうに考えております。それから今回料金制度改正する必要があつたのかどうかという御質問であつたのでありますが、この点につきましても、実は電気事業者の中でもずい篤いろいろと検討をしまして、結果的に今回は申請すべきであろうという結論に達して、御申請をいたした次第でございまして、元来現行の需給調整規則によりますと、割当制度なるものは、電力が非常に、三割も四割も時期的に不足するというような、深刻な事態の中においてつくられた制度であり、その持つ需給調整画の能力というものは相当に効果があつたのでありますが、その後年々進みまして、今日では需給の不均衡はかなり緩和されて来ておるのであります。特に地域によりましては、契約した電力のわく内で操作する限りにおいては、おおむね需給がとれるという段階にすでに達しておるようなところもあるのでありまして、全体的にそういう不足の期間及び割合というものは、非常に小さくなつて来たのであります。そういたしますと、今日ではそういう、需給調整面における利益ということは非常に薄くなつて参りまして、むしろ割当制度の持つ欠陥の面が非難の対象になつておる。もつと言葉をかえて言いますならば、現行の割当制度では非常に不公平な料金の実態になつておる。それから割当制度を通じて、料金を個々の需用家に対して調節できるような形になつておるという点から来る不公平の非難が非常に大きくなつて来ております。そこで私どもといたしましては、この段階においてはやはり本質的な電気料金の姿というものは、それぞれの需用家原価的に公平に配分するという建前でなければならない。同じような条件で、同じ数量と同じ質の電気をお使いになりまする場合に、その単価が先ほどの資料で申し上げましたように、二倍も三倍も違うという姿でいつまでもおくということは、弊害の面こそ多いのじやないか。そうしますと、むしろ一本料金ないしはもつと言うならば、逓減料金というような形にまで移行すべきじやないかと思うのでありますが、今一本料金に一ぺんに参りますということは、やはりそういう不公平の姿からより公平の姿への移行ではありまするけれども、現実に個々の需用家の中には、そのために大きな影響を受けられる面がある。むしろ安くなる面については御批判がないのでありますけれども、そういう面を考えると、一ぺんに全面的な一本料金に移行するのもどうかと考えまして、そういう措置をとつたわけなのであります。今回の申請に、制度もあわせてお願いをしたというのはそういう事情であります。ただ東北、北陸におきましては、需給がおおむねバランスされるという段階になつておりますので、一本料金という形ですでに申請をいたしておるわけであります。
  46. 加藤宗平

    加藤委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、以上をもちまして参考人よりの意見の聴取を終ります。次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十二分散会