○井伊
委員 秘密の内容というものは、
先ほど外務大臣の仰せられる
通り、こちらは国防のためにそういう
MSA等の
援助を受けなければならない、その
秘密を守らないようであ
つては、向うは貸してくれないはずだ、それはその
通りだと思います。それだけにこちらの方でそれをあばくようであ
つては貸してくれないというものがあると思う。漏れては困る、しかし貸してやりたいというところにむずかしい問題があるのでありますから、私は、この
秘密のある重要な点は、
日本国に対してもこれは
秘密なりとして与えるのではないか、こう
考えておるのであります。そういうことになりますと、これを理解する人間というものは、
日本にはいないのではないか、そういうことにな
つて来ると思うのです。ことにそういう重要な
秘密を漏洩するというようなことになりました場合の責任は、やはりこれはごく少数の人でなければならぬと思う。それから第二次、第三次的に
国民に責任がある。しかしこの法律の立て方はそのところがはつきりしておりません。これはむしろ
国民が全部
国民として責任を負うというのがこの法の大体の
建前である。これは、言
つてはならぬ、そういうものに近寄っつ、のぞいてはならぬというような警戒を与えるような
建前にな
つておりますけれ
ども、いよいろこれが効力を発動して何か具体的な事件が起るということになれば、これは
裁判所が何とかこれに対して
裁判をしなければならぬのでありますが、
裁判官にはたしてそういうものの理解があるかどうかということも実は疑わしい。今五つの階段があるということですが、その中の最も重大な
秘密ということになれば、
国民のどの階層の者でもわからない、主管
大臣でもわからないと見るのがほんとうだと思う。こういうようなものを受取るときの受取り方です。その
機密がどういうふうにして
日本に知らされて来るのか。それは何かわくをきめて、この中は何だかわからないけれ
ども、
機密だぞとして受取るのであ
ろうかということであります。なぜこんなことを言うかというと、この法律というものは、何も向うからしいられて、
義務づけられてやるのではなく、
日本が自発的にこれをつくるのだとい
つてこの法律をつくるのですから、そうすると、この
機密というものは、どうしても
日本国がこれを
知つていなければならない
機密です。けれ
ども、今のは
MSAの
援助を受けるというところから出て来る
機密なのですから、どうしても
機密の本体は向うになければならない。そうすると、その
機密を
日本に対してもほんとうに知らせて、またこちらの方が理解してこれを受取るかどうかということに私は疑問を持つのです。この法律を
国民に適用する場合において、自分でわからないで、そうして法律だけは多数でも
つてつく
つても、われわれこの審議にあずか
つて、これに賛成していいかどうかわからないということになる。そういうふうにして、できておるぞとい
つて、
国民にこれを従うべく求めるというところに、私は審議の上でどうしても
矛盾を感ずる。だから、そこのところはどういうふうにしてこの
機密を受取るのでしようか。これは
国民も
機密だから知らないが、受取る者にはその構造、
性能、製作、保管まはた修理に関する技術、使用の
方法が、その物件を扱
つておるうちに明らかになるものもありましようが、そうではないものは、やはり
日本にも知らせないで、これは
機密だ、こういうふうにして来る部分もあるのじやないか、こういうふうに思うのでありますが、そういうことはなく、ほんとうに全部これをのみ込んでお
つて受取るのであるかどうか、そういうことをもう一度重ねて
お尋ねいたします。