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1954-05-08 第19回国会 衆議院 外務委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月八日(土曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 上塚  司君    理事 福田 健治君 理事 稲田 篤泰君    理事 野田 卯一君 理事 並木 芳雄君    理事 穗積 七郎君       麻生太賀吉君    大橋 忠一君       北 れい吉君    佐々木盛雄君       福井  勇君    須磨彌吉郎君       上林與市郎君    福田 昌子君       細迫 兼光君    加藤 勘十君       河野  密君    西村 榮一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         法制局参事官         (第一部長)  高辻 正巳君         検     事         (法制局第二部         長)      野木 新一君         保安政務次官  前田 正男君         保安庁次長   増原 恵吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         財務参事官   鈴木 源吉君  委員外出席者         議     員 猪俣 浩三君         保安庁課長         (保安局調査課         長)      綱井 輝夫君         検     事         (刑事局公安課         長)      桃澤 全司君         参  考  人 末永 大祐君         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 五月八日  委員岡良一君及び戸叶里子君辞任につき、その  補欠として加藤勘十君及び西村榮一君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案(  内閣提出第一一四号)  外交に関する件     ―――――――――――――
  2. 上塚司

    ○上塚委員長 これより会議を開きます。  日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案を議題といたします。前会に続いて法務委員猪俣浩三君の質疑を許します。猪俣浩三君。
  3. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 昨日お尋ねしてお答えを得たのでありますが、なお念のためちよつと確かめておきたい思いますことは、第一条の第三項であります。これが具体的事案の場合には必ず問題になると存じますので、なおはつきりさしておきたいと思います。第三項によりますと、防衛秘密の定義として、結局本法の対象になるべきものは公になつていない防衛秘密ということに相なつておりますので、そこで公になつておるものだと信じてやつた、ところが事実客観的には公になつていないものであるということが証明できたという場合には、これは錯誤の問題になるという御答弁でありました。認識と客観的事実が符合しない場合でありますから、刑法上錯誤の問題だと思うのであります。そこで法学上錯誤の場合、すなわち事実と認識と齟齬しておる場合におきましては、全然犯意を阻却する場合と、しからざる場合とがあるのであります。そこで私がお尋ねしたいのは、公になつていないものを公になつているものなりと信じて、本法に触れる行為をやりました場合には、この錯誤は結局犯意を阻却することに相なりますかどうか、そこを確かめておきたいと思うのであります。
  4. 桃澤全司

    桃澤説明員 その場合には犯意を欠くものとして取扱われるものと考えられます。
  5. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 犯意が成立しないものとしてお取扱いになる、しかあるべきことだと考えるのでございます。それはそれでよろしゆうございますが、その次に、きのうの質問がまだ中速で打切られましたが、この第一条の三項の二号の「日米相互防衛援助協定等に基き、アメリカ合衆国政府から供与される情報」、この「情報」ということはどういうことであるか。昨日の質問で、これはここに掲げてあるところのイからハまでに関する知識というようなことだというような御説明がありまして、その具体的例として青写真というようなものをあげられました。そういう意味であるならば相当はつきりすると思うのでありますが、それにしてはこの「情報」という言葉法律用語としてあまり今まで見かけない言葉であるし、政府委員説明するような内容のことであるとすると、不適当じやないかと思うのでありますが、これに対する御意見はいかがでございましようか。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 一応ごもつともに拝承いたします。ただ御承知のように、これは協定そのものの第三条でも「情報」という言葉を使つたわけでありまして、それとの関連もございますが、それはそれとして、今のお話のような筋から、他の言葉としているく考えることは、これは可能でありましようが、たとえば「知識」とやつたところで、これは舞は今までの刑罰法令に「知識」などということが出たことは私はないと思います。そういう点から、他にきわめて適切なかわるべき言葉があればもとよりけつこうでございますけれども、少くともわれわれの乏しい知識では、「情報」ということがいろいろ比較研究された結果の言葉としてはまず穏当であろう、こういう結論でございまして、これは物が青写真なら青写真ときまつておれば、もちろん供与される青写真と書けば問題はないのでありますけれども、青写真ばかりとも限りませんから、そこに苦労があるわけでございます。
  7. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 それなら、なおこの「情報」という意味を明確ならしめるためにお尋ねいたしますが、イからハまでに関する、すなわち物に関する科学的な説明、かような意味であると解釈してよろしゆうございますか。この「情報」というのは、防衛秘密指定されますところの物自体に関する科学的な知識、科学的な説明、こういうものをいうのであつて、そうじやない政治的とか経済的とか、いわゆる世論にいう精報というものじやない、そういうふうに理解してよろしゆうございますか。
  8. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 まことにおつしやる通りでございます。政治的、経済的の情報のごときものは当然含まれないものと考えております。
  9. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 私は、犯意に関する質問として今やつているのでありますが、しからばさようなイからハまで、物自体に関する科学的な知識説明というものを「情報」というならば、そういう意味認識と、それからそれがアメリカから供与されたものだという認識犯意として必要だと考えるのですみ、その点についてはいかがですか。
  10. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 当然さようなことであると考えます。
  11. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 次に第二条に移ります。これも犯意――犯罪構成要件中の犯意の問題に限つてお尋ねいたします。この第二条を見ますと、防御秘密というものについては「標記を附し、関係者通知する等」の措置を講ずるとあるのでありますが、そうすると、たまたま標記が付されてなく、あるいは通知も受けなかつたという場合においては、この犯意は成立しないということに相なりますか。
  12. 桃澤全司

    桃澤説明員 第二条の標記は、昨日申し上げました通り標記があるなしによつて防衛秘密であるかないかがきまる性質のものではございませんが、しかし標記がないためにこれを防備秘密と思わなかつたということになる場合が相当多かろうと考えたわけであります。さような場合にはこれを犯意を欠くということに相なるかと任じます。
  13. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 そうすると結局標記を付したり、関係者通知をするという行為が怠られておる場合においては、秘密であることを認識したかどうかということは、大体犯意が阻却せられるように見受けられるが、結局第二条は、立証責任をただ取締り側に負わせたということだけになるのですか、どういうことになるのか。標記を付さなくても、防衛秘密防衛秘密だ、そうすると犯罪は成立するのだという説明だとしますと、結局第二条は、立証責任取締り側に負わせただけの規定なのですか、これはどういう意味ですか。こういうふうにこの法律の第二条として重要な地位に掲げてある規定です。ただ注意規定みたいなものじやなかろうと思う。行政機関の長が、標記を付し、あるいは関係者通知をする、さような手段をすることをここに約束しておる。それをしないものについては、結局そういうものは秘密じやないのたと認識するということは、正当のことではないかと考えられるのですが、事実問題としてどうなのですか。そういう標記も付さぬし、通知もないのだが、なおお前はこの法律に違反したのだぞという場合には、一体どういうことになるのですか。
  14. 桃澤全司

    桃澤説明員 善意一般人防衛秘密にやたらに接近することがないようにという予防的な措置が第二条で規定されており、これが第二条の第一のねらいであろうと思うのであります。すなわち、防衛秘密という標記がある。これは防衛秘密だからわれわれは近寄らない方がいいのだという警告を発することになり、同時に一般人をこの犯罪から遠ざけるという予防措置、これが最初のねらいでございます。ただいま猪俣委員仰せになりました立証責任の問題は、二義的、三義的なものでございまして、たとえばスパイが、これは標記がなくても防衛秘密知つていて、それを盗み出そうとする場合もあろうかと存じます。かような場合には、かりに標記がなくても、防御秘密であることを知つておるのでございますから、これはやはり犯罪が成立することになると思います。ただ善意一般人の場合には仰せのように犯意を欠く場合が相当多いのではなかろうか、かように考える次第であります。
  15. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 これは考え方によりますと、非常に弊害を生ずる規定じやないかと思う。標記を付さなかつた場合、関係者通知をしなかつた場合、結局こういう規定を赴く以上は、それをしなかつた場合においては、これは取締り官憲の怠慢か、故意か、過失か、こういう標記を付したり、通知したりすることを怠つた者責任でなければならない。しかしやつてもやらぬでも犯罪は成立するのだということになると、こういう条文はかえつて害毒を流すと思う。なぜならば、ここは標記がついてないのだからさしつかえないのだとして、本決に触れるような行為をやる者も起つて来るかもしれない。しかるに、いや、標記を付しておらなくても、お前はそれは本法遜反なんだと言うて、いわゆる難題を吹つかけられる。かえつてそんなものがなければ注意をしたのにかかわらず、この第二条があるために、おれのところには通知が来なかつたから、ここに標記がなかつたのだからこれはいいのだ、こうして安心してやつた場合において、取調べられる危険が出て来る。もちろん、いろいろ弁疏してあるいは釈放されるかもしれませんが、そういう安心してやつた行為が、一応処罰される危険が出て来る。私はそういうものが実際起つて来るのじやないかと思う。何が秘密であるかということは、この法律を見ましても非常にめんどうなのです。そうして先ほど私が一々質問しているように、公になつていないものでなければならぬし、アメリカ合衆国から供与されたものでなければならぬし、そういうことを一々そういうふうにしぼつてあるだけに、なお一般の人にはなかなかわかりにくい場合がある。そこでちやんと取締法しるしをつけてくれるという規定がありますから、これに安心して、これはしるしがついてないのだからいい、こう思うのは普通だと思う。あなたの説明は、一般の人に警戒して寄りつかせないためだというのだけれども、私は逆になりはせぬかと思うのです。そういうことはあり得るとあなたも思われるのじやないですか。第二条はかえつて逆の作用を起す。安心してやつたものを脅かす規定になるのじやないか。ですから結局第二条を設けるようであるならば、標記を付さなかつたり、関係者通知を怠つたような場合には、本法は成立しないのだということに徹底しなければ、これはかえつて間違いを起し序すいと思いますが、政府当局の御意見を承りたい。
  16. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この第二条は、間違いを起さないようにというつもりで特に入れておるのでございまして、すま でもなく、この法律のねらいは、違反者を一人でも多くひつくくつて罰しようというのではありませんので、防衛秘密というものが少しでも漏れないようにというこの一心に出発しているわけであります。その意味から申しますと、むしろ第一次に考えらるべきものは、第二条の措置あるいは行政機関内部における措置として、十分それが漏れることのないような手当をするということが最初に考えらるべきでございまして、従いましてこの標記関係におきましても、なるべくしるしをつけて、そうして逆に近寄らせないという措置を第一次的に講じて、これが一番大事な、あるべき形であろうというふうに考えているわけであります。
  17. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 私の質問は、それが悪いというのじやない、不徹底だというのです。それはまことにけつこうなことで、第二条は大切な規定だと私は思う。そうしていただきたいのです。ただ、たまたま何かの都合で標記を付さなかつたり、関係者通知しなかつたということは、この第二条がある以上は、それは行政官吏の怠慢だと思う。しかるにかかわらず、今の説明によると、こういうものはあろうが、なかろうが、処罰するのだということになりますと、こういうものがあることによつて、かえつて予断するものが出て来て、思わぬ嫌疑をかけられることができて来るのじゃないか。だから第二条を設けるならば、徹底して、これを怠つた場合、その責任取締りの力にあるので、標記がついていなかつたり、関係者通知を受けなかつたりしたものは、そのもの本法に違反してもこれは処罰しないのだというところまで行かなければ、かえつて第二条という親切があだになることがあるのじやないかという私の質問なのです。第二条がいけないというのじやない。これをもつと徹底してもらいたい、そういう意味なのでございます。それに対する御所見を承りたい。
  18. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 よくわかりました。それを翻訳して行きますと、大体秘密保護立法のやり方として、その秘密そのものをすべて指定して、指定したことによつて指定されたもののみの秘密を保護するという建前と、それから官然秘という御念を前提にとつて、高度の秘密というものを予定して、それについては指定をまたずして当然に保護されるという客体をつくり上げるという考え方と、二つあるわけです。おつしやるようなお言葉から推測いたしますと、むしろ指定秘主義によつたらどうかということでありまして、実は立法例もございますが、これは御承知国防保安法というあの恐ろしい法律、あれなんか、たしか指定秘主義をとつてつた。これは指定秘主義で行くか、自然秘主義で行くかということは、大きな実際上の違いが出て来ると思いますのは、指定秘主義をとりますと、いずれ指定をするにしましても、機械器共等については張札をするということで済みましようけれども、抽象的なもの、たとえば先ほど来の情報というようなのもになりますと、紙の張りようがありませんから、指定の仕方が非常に広く漠然としてしまう。しかもその指定行政官庁に一任されてしまうという形になりまして、かえつて国防保安法式のいやらしさといいますか、恐ろしさというものが伴つて来はしないか。それよりも自然秘の観念にとどめておいて、あとは裁判所の判断にすべてまかしてしまうという前提の方が、この際の立法としてはむしろいいのじやないか、そういう頭で、出発したわけであります。そこで第二条において、先ほど来申しましたような趣旨から、標記を付し、その他の必要な措置を講ずることによりまして、今度は実際上の運用の場合にどうなるかと申しますと、標記を付すべきものに付してなかつた、しかも善意の、何も悪意のない人が、標記を付してなかつたために、その秘密を漏らして疑いをかけられたという場合においては、これはもちろん立証の場合においては、標記が付してあれば、お前知つてつてつたのだろうという立証はしやすいわけですが、標記が付してなければ、その立証が困難になりますから、おのずから処罰される人が少くなる。すなわち自然秘指定秘両方のいいところを総合したいい結果が出て来るのじやないか、こういう自信を持つておるわけであります。
  19. 穗積七郎

    穗積委員 その点についてちよつと関連してお尋ねしたいのですが、今猪俣議員が言われましたように、わざわざ標記並びに通知の義務を法律上負わしておいて、故意または過失によつて係官がそれをしなかつた場合に、それにもかかわらず、その一般人犯罪構成の場合が出て来るということになりますと、そういう今の論理で行けば、当然こういうふうに義務づけを法律上しておるのに、その係官過失または故意によつて標記を付さなかつた場合に、片手落ちにならないためには、その係官もこの法律における処罰を受けるべきだ。行政上の処置または処罰を受けるだけでなしに、それを概念または故意をもつて行わなかつた係官自身も、善意または無過失一般人よりむしろ罪は重いというふうに思いますから、この法律上における処罰規定を当然設けるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  20. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 係官責任の重大なことは、おつしやる通りであります。昨日お答えしましたように、それに対する制裁というものは、もちろん懲戒罰が行くことは当然でございますが、また場合によりましては、たとえばこの法律の第四条によつて過失で漏らしたという場合に当ることもありましようし、あるいはこれは第三条に当ることはあるかどうか知りませんが、とにかく法律罰則そのものに触れる場合もあり得るというふうに考えております。
  21. 細迫兼光

    細迫委員 関連して。猪俣議員質問に対しましての御答弁を聞いておりますと、標記及び通知というものが犯罪要件では必ずしもないということに相なるのでありまして、言葉をかえていえば、標記通知のないものは、すべてこれ公になつたものと判断することは、早計であるということに相なるのであります。これが犯罪になるかどうかの境に立つた行動を国民がする場合には、結局そのものは公になつているかなつていないものであるかということを判断して、そこの境界をきめなくちやならぬ。従つて公になつているかいないかということが、非常に重要な要件に相なる。そうすると「公になつていないもの」という表現は、いよいよもつて非常に漠然として刑罰法規を律する言葉としてまことに不適当といわざるを得ないのであります。どうしても刑罰法規である限り、こういう漠然たる表現は許されない。公になつているかいないかが決定的な要件である限り不在なつているかいないかということをわける境界キーポイントは何であるか。標記でもない、通知でもないとすれば、一体公になつているかいないかをわけるキーポイントは何であるか。これは官報にも報告せられるものではない。そのほかいろいろ公報によつて通知せられるものでもない。まつたく雲をつかむがごときものの事情の中において、国民は公になつているかいないかということを判断しなければならぬ。それを決定するキーポイントというものが、どうしても刑罰法規としては必要だと思うのであります。そのキーポ・イントは一体何であるか。
  22. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おつしやる通りに、この法律処罰される場合には、第一次的にはまず秘密限界というものがきまつていなければならぬ。その秘密限界の問題として、公になつているものは除かれるということが一つあるわけであります。第二段としては、今度は犯意と申しますか、故意、これがなければ処罰されない。この二つの組合せの問題になるのであります。従いましてこの「公になつていないもの」云々という問題につきましては、秘密限界そのもの犯意故意の問題と両方につながつておるわけでありますから、公になつておらないということを知つておらなければ処罰されないという関係になるわけであります。そこでお尋ねの核心は、公になつていないというのが漠然とし過ぎておるというお話であります。この間たしか御説明したはずでございますけれども、もと軍機保護法では今のお言葉にありましたように、官報で一々告示して、告示したものは除かれるという形になつております。ところがこれは非常にはつきりするようでありますけれども、実は差引き勘定の結果は、秘密範囲というものが非常に広いわけであります。従つて一々官報に告示して、告示漏れがあれば、それは当然秘密範囲に入つてしまう。これは非常に不合理な場面を生じますから、われわれとしては単力直入に客観的な基準として、公になつていないもの、これを持つて来た。ところが公云々の問題が具体的にわからぬじやないか、これはごもつともだと思いますけれども、しかし今のように官報指定して告示するという方法をとらない以上は、技術上の問題としては、これは「公になつていないもの」と言うほかには私は名案はないと考えます。従つて前の刑事特別法の改正のような場面におきましても、今のような趣旨から、「公になつていないもの」ということで限界を引いて、これは客観的な限界である。それを踏襲して、今度の法案にも入れて参つたのであります。その点については、前の軍機保証法官報による指定秘主義よりも、これはよほど改善された形であるというふうに考えておるわけであります。
  23. 細迫兼光

    細迫委員 関連質問でありますから、あとはやめておきますが、依然として私は刑罰法規である以上、もつと明確なキーポイントがほしいものであると思うのであります。その点に対する明確な御説明を得なかつたという印象を受けたことを申し上げまして、一応終ります。
  24. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 次に、やはり犯意に関する問題といたしまして、第三条の一号及び二号に「不当な方法」という吉葉があるのであります。もちろん二号では「通常不当な方法」と言つておる。そこで第一号の「わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、又は不当な方法で、」この「不当な方法」ということは、行為者が自分のやつておる行為が不当な方法であることの認識を必要とするかしないか。
  25. 桃澤全司

    桃澤説明員 仰せのように、不当な方法であるという認識が必要であろうと存じます。
  26. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 それから第三号に、「業務により知得し、」とありますが、この業務というものは、民法あるいは商法における「業務」ということと同じ内容であるかどうか、及びこれに対する業務によつて知得した認識行為者が必要とするかどうか。
  27. 桃澤全司

    桃澤説明員 この「業務により知得し、又は領有した」と申しますのは、自己の従事する業務に基因しまして当然知るべくして知つていた、すなわち職務権限上知り得る、これが業務により知得、領有ということになるのでございます。同時に後の問題でございますが、そういう認識はもちろん必要だろうと考えます。
  28. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 それからいま一点、私がお尋ねしたのは、「業務」ということは、民法あるいは商法にいう「業務」と同じ内容であるか、別な新しいここでつくつた意味であるかということです。
  29. 桃澤全司

    桃澤説明員 民法商法の方はあまり詳しくございませんので、十分お答えできないのでございますが、この「業務により」という言葉は、前の軍機保護法あるいは国防保安法等で使用されていた言葉でございまして、大体その内容は、法概念というものは一定しているように考えております。
  30. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 この前の刑事特別法で使う意味と同じならばよろしいのです。それはやはり民法商法に一定の法概念として生きている「業務」であるという意味になつておりますから……。  そこでなおもう一点犯意論としてお尋ねいたしますが、第一条の二項に、「この法律において「装備品等」とは、船舶航空機武器弾薬その他の装備品及び資材をいう。」とある。この芸備品等に対する認識が必要だと思うのでありますが、そういたしますと、「船舶航空機武器弾薬その他の装備品」まではわかつても、「資材」ということになりますと、これは特定いたしておりませんで、物自体に対する認識となりますと、これははなはだ漠といたしておりますが、これは政令か何かで、「その他の装備品及び資材」といつたようなものは特定なさるのか、あるいはさつき言つた第二条の通知するとか標記を付すとかいうことにするのか、そうでないと、この物自体認識がなければ犯意がないと私思うのです。この犯意の成立を認めるには、第一条の二項、「及び資材」といつたようなことは、はなはだ漠としておりますが、これはどういうことに相なりますか。
  31. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 ここで「資材」と申しておりますのは、船舶航空機武器弾薬その他の装備品関連して用いられる部品だとか、あるいは交換用の予備品あるいは原材料、そういうものをさすのであります。もちろんこれらの資材につきましても、第二条に規定しておりますように、標記なり通知をいたす考えであります。それによつて認識していただきたい、そういうふうに考えております。
  32. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 行為につきまして二、三お尋ねいたしますが、この第一条の三項のイに、「構造又は性能」こうあります。そこで組立てじやなくて全体の形態、このものはこの対象になつておるのかどうか。
  33. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 ここで「構造又は性能」といいましたのは、名称及び全体の形状を除く意味であります。
  34. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 それからハに、「使用の方法」とあるのでありますが、たとえばレーダーのような特殊な兵器の場合において、その設置場所を明らかしてはいかぬのかどうか、ただ使用の方法だけでいいのかどうか、設置場所なんか含まれないかどうか、それをはつきりさしていたださない。
  35. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 「使用の方法」と申しますのは、もちろん装備品を操作するやり方をさすのであります。それが置かれておる場所、そういう概念は含んでおりません。
  36. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 それから第三条につきまして、第一号に「又は不当な方法で、」と書いてある。第二号には「通常不当な方法」こう書いてある、そこで「不当な方法」というのと、「通常不当な方法」というのは、どういうふうに違うのであるか、御説明願いたい。
  37. 桃澤全司

    桃澤説明員 第一号の方で不当な方法で探知し収集したものとなつておりますのは、この探知し、または収集する方法が不当な方法であつた場合をいうわけでございます。第二号の「通常不当な方法によらなければ」となつておりますのは、探知、収集を処罰する規定ではございませんので、他人に漏らした場合、その漏らした防衛秘密内容が通常不当な方法によらなければ探知し、または収集できないものである場合に限つたものでございます。その探知し収集した方法がどういう方法であるかは、この漏洩罪の場合には問うていないのでございます。前の軍機保護法は、この場合の規定の在方としては、偶然の事由により秘密を知得、領有したる者が、他人に漏らした場合に処罰するという規定の仕方をしているのでありますが、この偶然の事由というのでは広過ぎる、でありますから通常不当な方法によらなければそういうものは入手できないもの、そういう場合だけに限ろうではないかというのが、前の刑事特別法のときの立案の考え方であつたように思つておりますが、それを本法案においても踏襲した次第でございます。
  38. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 いや私が質問いたしましたのは、一号は「不当な方法」と書いてある、二号は「通常不当な方法」と書いてあるから、この二つが何か違いがあるのかないのか。通常ということは、これは修飾語にすぎないのかどうか。不当な方法に量的あるいは質的な差異をつけた言葉であるのかどうか、その意味をお尋ねしたのです。その意味でこれは同じものであるならば同じもの、違うなら遣うというふうに御答弁願いたい。
  39. 桃澤全司

    桃澤説明員 その点はお話のように同じものであると考えております。
  40. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 そこで「不当な方法」ということは、先ほど私がお尋ねいたしましたように、もちろん行為者においてその認識がなければならない。自分がやつていることが不当であるという認識がなければならぬというお話です。これはわかりました。そこで不当な方法であるかどうかということの「不当な方法」というのはどういうものであるのか。何か立案者において、具体的にそういう場合をお考えになつて、その言葉をお使いになつたとするならば、たとえばどんなことが不当だということになるのか、御例示を願いたいと思います。
  41. 桃澤全司

    桃澤説明員 この「不当な方法」と申しますのは、法令に違反するような方法ですることはもちろんでございますが、その他社会通念に照しまして妥当とは認められないような方法ですることが、この「不当な方法」ということになろうと思います。具体的に申しますと、施設内におきまして、この場所には入つてはいけないという掲示がされ、また立入り禁止の設備ができているにかかわらず、これを犯して中に入つて秘密とつた、こういう場合も入ると思います。それから金品を提供しまして、防衛秘密を相手方からとろうとしたという場合、あるいはよく映画などであることでございますが、防衛秘密を持つておる者を誘惑――女性によつて誘惑する場合もありましよう、また酒を大いに飲ませて酩酊させて、そしてこれをとる、こういうようなこともやはり不当な方法になろうと考えます。
  42. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 まあ立入り禁止の中に入つたというような場合には、刑法の罪にもなると思いますが、「不法な方法」というのと、ここにお使いになつている「不当な方法」というのの広狭の差異はどこにありますか。今御例示のようなことは大体不法な方法だと思うのですが、「不法な方法」とせずして「不当な方法」という言葉を用いられた理由、これはきつと不法な方法と不当な方法範囲が違つているという意味から出ていると思うのですが、どちらが広くてどちらが狭いことになりますか。
  43. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お尋ねの問題は、御記憶の通り刑事特別法の際にも、「不当」と「不法」の差異をめぐつていろいろ御質問があつたのでありますが、その節にもお答えしてありますように、不当と不法を並べれば不当の方が幅が広いことは事実であります。不当なものの中に不法なものも入り得るというように考えております。
  44. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 私どもは不法の方が明確だと思うのでありまして、不当というように範囲を広めるということは、人の行動を束縛することになる。ややもすると人権蹂躙を起しやすいことについては、私どもはできるだけ明確に犯罪構成要件をつくりたいという考えから、「不法」とした方が適当じやないか思うのですが、それをわざわざ「不当」になされた理由はどこから来ておりますか。
  45. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その節もお答えしたはずでありますが、たとえば今桃澤君も設例いたしましたような、色仕掛とか、酒仕掛というような場面を考えてみますと、あながち不法と言い切れない場合、しかも社会通念上けしからぬという場面があるのであります。そういう場合も含めた上で、社会通念上けしからぬというふうにした方が穏当である、かように考えております。
  46. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 まあ色仕掛のような場合でも、その相手は必ず公務員に違いない。そうでなければそんなものはわかつているわけはないのだから。それは刑法の涜職罪その他の犯罪が成立するだろうと思うのです。だから不法ということで取締れないなんということは、そうめつたにないと思う。また不法ということで取締れない範囲まで広めようということになると、どうも私は人権蹂躪に陥る傾向が出て来ると思う。私どもは、はなはだ感心いたしませんが、それは議論になりますので、政府の意思だけ聞いておくことにいたします。  なおついでに、この条項につきましてですが、「わが国の安全を害すべき用途に供する目的」、これは要するに法学上の目的罪に相なりますか。
  47. 桃澤全司

    桃澤説明員 仰せのように目的罪でございます。
  48. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 この目的罪はたいへんけつこうなようでありますけれども、これは私ども今から警告を発しておきますが、治安維持法に見られるように、何々の目的ということが犯罪構成要件になつておりますと、無理にその目的を自白せしめる傾向があるのであります。なぜならば、目的罪はその目的がないということになると無罪にしなければならぬ。そこで非常に無理な自白を強要するおそれがあるのでありまして、この点については十二分に御留意を願わなければならぬと思うのであります。これも私の意見を申し上げるだけにとどめておきます。  それから第三条の二項に、「前項に未遂罪は、罰する。」とこうあります。たとえば第二号の「他人に漏らした者」、漏らせば既遂になるのであります。漏らさぬうちはこんな犯罪はないわけです。そうすると、この第二項の未遂罪というのは、どういう場合を御想定になつているのですか。
  49. 桃澤全司

    桃澤説明員 たとえば、第三者に対して通信を発送した、その通信の中に、この防衛秘密内容が書いてあつた、しかもそれが相手方に届かないうちに発覚したような場合には、これは第二項の未遂舞になると思います。(並木委員「信書の秘密をどうして侵すか」と呼ぶ)たとえば自首して出た場合などはこの規定の、今の並木委員の御心配の点は問題ないと思います。
  50. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 自首して出た場合そうだというのですか。
  51. 桃澤全司

    桃澤説明員 いいえ、ちよつとこれは混乱いたしましたが、先ほど申し上げましたように、手紙で出した、あるいは何か書いて、それを何人かに渡そうと思つてつたという、渡そうとして伝達する者に渡したという場合には未遂になろうと思います。
  52. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 どうもあなたの今あげられた実例からはぴんと来ないのですがね。たとえば郵便に出して向うへ届かぬうちだというのならある程度ぴんと来る。そうすると、これは憲法違反の行為をやらぬとわからぬことになる。そういうことを想定されたということになると、法律の中に憲法違反の規定を設けたことになると、穏やかでないと思うのだが、そうした場合でないとすると何ですか、メッセンジヤー・ボーイなんかで手紙を渡してやろうとした、それが漏れた、そういう秘密をそんなボーイなんかに託してだれにもわからぬようにしてやる、さよ うなことを想定された。常識上ちつと私どもにぴんと来ないのですが、この未遂罪の場合をやはりはつきり言つてくださらぬか。
  53. 桃澤全司

    桃澤説明員 手紙の場合でありますと、それに参画している者が密告をしたというような場合には、未遂罪が成立することがあろうと思うのであります。憲法の問題とは別にでございます。なお一番よい例といたしましては、何らかのスパイ機関がございまして、その一人がレポに秘密内容の文書を持つて行かせるその途中でもって、たとえば不審尋問でひつかかつてそれがわかるという場合も、これは未遂罪であろうと思います。
  54. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 私は未遂罪を処罰することに必ずしも反対ではありません。漏らされたら、もう処罰してもあとの祭りになるのですから、漏らさない以前につかまえることがもちろん大事なことでありますが、ただ犯罪構成要件的に考え、人権擁護の立場から考えますと、そうした未遂罪というようなことでいろいろな人権蹂躪問題、あるいは戦時中よく行われましたスパイの密告、だれかを陥れたいというためには、何か妙なことを密縛して、そうしてその人間を検挙させるというような、何か人権蹂躪を引起すような傾向が、未遂罪を罰するというような規定から起つて来るのです。仲間割れをして片方をぶち込んでやろうというので、とんでもないことを書いて警察へ出すというようなこと。警察はこの未遂罪を処罰する規定があるために、向うの方でそれが漏れないにしても、これをつかまえてしまうというようなことから、何かそこに私は人権蹂躪事件が起るような気がいたしまして、これにはよほど御留意が願いたいと思うのであります。  もう少し聞きたいのですけれども、法務委員会もありますので、私は一応この程度にいたしておきます。
  55. 上塚司

    ○上塚委員長 次は稲田昌子君。
  56. 福田昌子

    福田(昌)委員 先ほどから、猪俣さんの御質問に対する御答弁を伺つてつたのでございますが、標記故意または過失係官がつけることを忘れておつた防衛秘密の物件に対して、大衆が知らずしてこれに触れた行動をとるというようなことがありましても、罰せられることがあり得るということでありますと、大衆は何が秘密になつておるのか、公になつておるのかということの判断がつかないことに結果的にはなりますから、非常な恐怖心を覚えることになるわけでございます。従いまして、この条文におきまして、いろいろな方が御質問になりましたが、公になつていないものというこの規定と、標記を付して秘密ということを限定させるというその範囲が、私どもにはわからないのでございますが、一体公になつているものというものはどういうものでございましようか。
  57. 桃澤全司

    桃澤説明員 その点につきまして、実は昨日も申し上げたことでございますが、この第一条の第三項の防御秘密というものは、これは自然秘のつもりでございまして、従つて相当高度な秘密をいうつもりでございます。あるいはそれだけの定義でいいのかもしれませんが、以前戦争中に、日本では秘密とされていて、しかもそれが敵国側は知つていて、あるいはラジオで甘い、あるいは新聞雑誌等で発表しているものも、日本におきましては官報で公表していないということで、これは秘密として処罰を受けるという例もあつたかに聞いておるのであります。今回保護せられます防衛秘密というものは、アメリカから供与される装備品等に関するものが一番おもなものであります。私どもは秘密と思つておりましても、たとえばアメリカの科学雑誌でそれをすつぱ抜いている、あるいは中共でこれを発表している、ラジオで放送しているというふうな場合にも、やはり処罰を受けるというようなことになつては困りますので、そういうものは公になつているものであるから防備秘密に当らないのだというように、この防備秘密をしぼつた、こういうつもりでございます。
  58. 福田昌子

    福田(昌)委員 その抽象的な御理論というのはわかるのでございますが、私がお尋ね申し上げておりますのは、そういう抽象的な基本的なものの考え方のほかに、具体的な方法を承りたいのでございます。高度の秘密だけに限定したと申しましても、大衆はその限定された秘密がどういうものであるかということを知る由もございませんし、従つて、反対に公になつているものというものを知る由もないのでございます。従つて、このけじめをどういう形でおつけになるのかということを具体的に承りたい。
  59. 桃澤全司

    桃澤説明員 たとえば防衛秘密をある新聞、ある雑誌でスクープしたといたします。こうなれば、これは防衛秘密として守つて行くつもりでありますけれども、公になつているものとして、第一条の第三項には該当しないということになろうと存ずるのであります。
  60. 福田昌子

    福田(昌)委員 私は、たとえばの事例をお伺いするためにお伺いしておるのではないのであります。行政当局としてどういうことを措置なさつて、公であるということを限定なさるのか、また同時に、秘密であるということを大衆に知らしめる方法をとるのか、その行政的な措置をお伺いしておるのであります。
  61. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点は私から大体の御説明を申し上げましよう。もちろんこの法律の対象としているのは、高度の秘密を持つているものであります。しかして、これが防備秘密であるかどうかということのけじめは、一般大衆に対してこれが防御秘密であることを十分周知させるために、いわゆる標記その他の方法をとることは当然のことであります。従いまして、この点から、何が防衛秘密であるかということは大体において国民にわかるわけであります。しかして、それがわかつてつても、公になつておらないものを条件にしておるのでありまして、ここでまたさらに国民に迷惑をかけないようにわれわれは考えておるのであります。われわれといたしましては、高度の防衛秘密であつてそれを保護すべき手段を講じておるのではありますが、一度すでに公になつておればそれから除外れる。たとえばわれわれの方で防衛秘密なりと考えて標記している、しかしこれは、今桃澤説明員から申し上げましたように、あるいは外国の雑誌に出ている、あるいは一度ラジオで放送されているというようなことであれば、これも対象からのがれる、そこの点において、国民にできるだけ迷惑をかけないということを期して、法案に「で公になつていないもの」ということを掲げたわけであります。
  62. 福田昌子

    福田(昌)委員 たとえば大衆があやまつて、しかも標記があやまちによつて落されている物件を知らずして、それに関する遣反を行つてこの防衛秘密保護法に問われたというような場合でも、外囲の雑誌にでも、そういうことに対する発表がすでにされておれば、これは情状酌量して秘密保護法の誤当にしないというようなことで、これによつてできるだけ大衆に迷惑を及ぼさないように措置することになるというような、そういう御答弁には何としても私どもとしては了解できない点があるのでございます。これでは結局、何が秘密であるか何が公になつているかということを四囲の一般大衆というものは知ることができないのでありまして、従つて、そのまつたく知らないことによつて犯罪を犯すというようなことも当然起り得るのでございます。従つて、それを未然に防ごうということになれば、大衆は、何もかもこわくて香りつけないというように感じて、見ざる言わざる聞かざるの境地に入つて行くというようなことにも結果的にはなつて参ります。私は、この秘密保護法の政府の御説明を伺つておりますと、どうも秘密保護法というものは、大衆に向つてともかくアメリカの貸与武器に対して触れることはおつかないぞ、おつかないぞということをふれまわつているというような法案にしか受取れないのでございます。これではこれを立案なさつた政府当局においても、その本旨に反するだろうと思うのです。国民大衆はわれわれと同じような考え方、感じ方を持つておると思いますから、こういう感じを持つております国民に納得の行く方法をぜひおとりにならなければならない。これに対して政府はどういう御処置をおとりになる考えであるか、今長官は国民に迷惑を及ぼさないような方法を考えておるということでございますが、そのお考えはどういうお考えでございましようか。
  63. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまあなたがおつしやいました国民防衛秘密であるものを知らない、そしてそれを漏洩したというような場合は、この法案の対象にならないのでございます。それだからかりに標記が欠けておつて、そしてたれかがそれが防御秘密であるということを全然認識しなかつたということであれば、この法案の対象にならない、罰せられないのであります。それが欠けておつても、なおこれが防衛秘密であるということをスパイなんかで知つてつてこれを他人に漏らすということは、これは国家機密を守る上において容易ならぬこと百でありますから、これの対象になります。しかし今あなたの仰せなつたように全然防御秘密であることを知らない、秘密範囲がわからなかつた、そういう場合には決してこの法案の対象にならない、罰することはできないのであります。
  64. 細迫兼光

    細迫委員 関連して。ただいま福田委員が御質問になりました「公になつていないもの」というのと、それからMSA協定の第三条第二項との関連ですが、MSA協定の第三条第二項では「公衆に周知させるため、」適当な措置を講ずるということを約束しておるのであります。ところが私は前にもしつこく質問いたしたのでありますが、その方法としては標記を付すとか、通知をするとかいうようなことを言われたのでありますが、その標記を付するということも、実際上におきましては、大体業務に従事する者の範囲に知らせるのにとどまると思うのです。いわんや通知におきましては、関係業務従事者に限られることは開進いないと思うのです。そうすれば標記通知は第三条第二項におきましての公衆に川知させるという措置ではないと思うのです。公衆に周知させることをアメリカと約束しながら実際はしていない。しこれはペテンにかけたようなことに相なるのであります。官報にも、公報にも出さない。何とか努力を払つてこの協定の趣旨に沿うような周知方法というものを、極力お考えにならなければならぬ責任があると思うのでございますが、具体的にどういう考えをめぐらされたか。こういうことを考えたがそれもいけなかつた、こういうことを考えたがそれもいけなかつたというようなことで、結局何にもならないということにおちついたという御説明を受ければそれでも満足できるかもしれません。第三条第二項との関係において御説明願いたいと存じます。
  65. 増原恵吉

    ○増原政府委員 第三条の第二項、というのは、秘密保持のことについて公衆に周知させるというのではございませんで、お読みを願えばわかりますように、二項と二項とは違うことを規定しておるのでありまして、二項は、行政府は、この協定に基く活動について公衆に周知させるため適当な措置をとる、しかしそれは秘密保持と矛盾しないという条件があるだけでございます。協定を結んでどういうものをアメリカから貸与を受ける、日本にあり余つてアメリカにないようなものを日本からどういうものを向うに供与するというふうな活動について、公衆に周知させるための適当な措置をとる、しかしそれは秘密保持と矛盾をしてはならぬという但書がついておるのであります。こちらの秘密保護法におきまして、第二条に、秘密保護上必要な措置をとるといいます措置は、そのための政令案を御参考にお手元に配布をしておるのでありまして、秘密区分を行う、あるいは標記通知及び掲示の措置をとる、それから秘密の解除についての措置、その他秘密保護上必要な措置、こういうものをお手元に御参考に差上げてあると思うのであります。これが政令として今考えております秘密保謹上必要な措置というものでございます。
  66. 細迫兼光

    細迫委員 今の御解釈はおかしいと思うのでございます。すなわちこの第二項も第三条の中の二項品でございまして、第三条そのものはあくまで秘密保持を品的とした規定であります。「この協定に基く活動」という文字だけをここに抜き出して読みますと、あるいはあなたのような御解釈で事が済むかもしれませんが、あくまで第三条そのもの全体が秘密保持の措置に関する規定であると読まなくては間違いだと思う。従つて「この協定に基く活動」という文句の意味も、秘密保持に関する活動というように第三条全体の精神から解釈を施さなくては相ならぬ、従つて公衆に周知云々も、秘密保持に関する事項についての公衆への周知というふうに読まなくてはうそだと思う。そうすれば今の御答弁は顧みて他を言うものになると思うのでありますが、いかがでありましようか。
  67. 増原恵吉

    ○増原政府委員 ただいま申し上げました私の解釈は政府の解釈でございまして、各政府は、この協定に基く活動について「公衆に周知させる」というふうに書いてあるのでありまして、秘密保持の行動についてというふうに書いておるわけではございません。この解釈はただいま私の申し上げた通りでございます。
  68. 細迫兼光

    細迫委員 それはあくまでお間違いでございまして、この協定に基く活動というのが、MSA協定全体にかかるものであるならば、別に独立の一箇条を設けるべきであります。あくまで第三条の二項として掲げてある限り、第三条の全体の意味における一項目として解釈しなければ、法律的な解釈として筋が立たぬのであります。御説明ができなければ百できないでよろしいのでありますが、政府のお間違いを指摘いたしまして、なお進んで御説明ができますなら承りたいと思うのであります。
  69. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点については私から申し上げておきましよう。これは細迫委員がよくこの規定をお読みになれば、私は御了解が得られるものだと思います。原文にもこう書いてあります。「イーチ・ガヴアメント・ウイル・テーク・アプロプリエイト・メジヤース・コンシスタント・ウイズ・セキユリテイ・ツー・キープ・ザ・パブリツク・インフォームド・オブ・オペレーシヨンズ・アンダー・ザ・プレゼント・アグメリーメント」、プレゼント・アグリーメントとあつて、いわゆるこの協定のもとにおける活動について周知させる、しかしこれは秘密保持とは矛盾しちやいかぬ、こういうことであります。あくまでもこの協定についての活動でありまして、秘密の活動ではない。この原文もまたこの条約文も、その点についてはきわめて明瞭になつております。「この協定に基く活動」であります。従つて「この協定に基く活動」につきましては、公衆に周知させるような手段をとるが、その手段は秘密保持と矛盾してはいかぬ、こういうことであります。
  70. 細迫兼光

    細迫委員 法制局長官にお伺いいたします。今のような御説明ならば、独立の一箇条を設けることが、これは立法技術形式として選ばれなくちやならぬと思うのです。第三条第二項なんというような形式は、今の政府の趣旨表現した立法形式ではないと私は思うが、御意見いかがですか。
  71. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この実体上の説明は、今速記録を見ますと、この連合委員会で下田政府委員先ほど来と同じような説明を申し上げておりますから、実体は間違いないと思います。立法技術についての御批評は、たとえて申しますと、これが立法技術の試験の答案であるとすれば、三点か四点くらいはお引きになつてもやむを得ない、そういう程度のものであると思います。(笑声)
  72. 北昤吉

    ○北委員 関連して。秘密保護法案の第三条第一項に「わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、」とありますが、これでは、ゾルゲ事件のような大きなスパイ事件は取締れぬと思うのです。たとえてみれば、尾崎秀実のごときは、日本は資本主義の国と戦つて世界を共産化することが、日本国の安全に役立つと思つてつたのです。そうしてスパイの事実も不当の方法じやないのです。当時の近衛のブレーン・トラストたる風見章君、犬養健君、それから西園寺公一君の三人から主として得ておる。それは私はウイロビーのスパイの書物を全部読んだのでありますが、明らかに不当の方法ではないのであります。自然に聞き込んだことをどんどん漏らして、ロシヤと戦わせないことが日本の安全に貢献する、そして行く行くは、英米に不利になるように戦争してもいいという考え方です。そうすると、これは小さい武器取締りぐらいはできるかもしれないけれども、大きいスパイ行為は取締れぬじやないですか、これはいかがですか。
  73. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私が常々申し上げております通り、独立国家たる以上は、いわゆる国家の機密を保持する必要は十分あろうと考えております。たとえて申しますと、現在御審議願つております自衛隊については、申すまでもなく外国からの不当侵略に対してはこれに対処する、そのときには防衛出動ということをする、その防衛出動についての部隊の行動、任務は秘密を要するのであります。これはぜひともその秘密は防衛しなければならぬ。その他関連した事項は幾つもあり、これは私は十分考える余地があろうと考えております。これはしかし国民の全般にわたる権利義務に関して重大なる影響がありますから、将来十分考慮して、どう処すべきかというこはと考えざるを得ないと思います。さしあたり現在においてMSA協定ができ、アメリカからは秘密の兵器もおそらく供与されることであろうと考えます。そのときにおきまして、何よりもまず協定に基く義務を履行する上において、本法案をわれわれは立案したわけであります。そこでこの法案の目的とするところは何かといいますと、アメリカからMSA協定により受ける装備の高度の秘密を保護して行こうということが、この法案のねらいであります。今仰せになりましたような重大なる国家機密に対する防衛の方法は、将来において国民とともに十分考えるべき段階が来るだろうと考えております。
  74. 北昤吉

    ○北委員 ただいまの木村保安庁長官の説明は私も了といたしますが、この目的罪にあまりに重きを置くと、「わが国の安全を害すべき用用途に供する目的をもつて、」というのは、吉田内閣からいえば、自由企業の体制を支持するというのが国家の目的でありますから、米国と協調しようとする、ところが、日本にはそれに反対の分子が相当おるのですから、目的罪から犯罪を取締るということはちよつとめんどうです。すなわち、日本のためには、アメリカから離れて共産ブロックの方へ経済組織を持つてつた方がよろしいという考えの者が相当おるだろうと思う。それであるから。国家目的にそむくというのは、今日の政府を支持している段階で言えることで、それと反対の人は反対の考えを持つているのだから、やはり目的ということに重きを置くよりも、非合法的な手段を用いて国家機密を漏らすということに重点を置かなくてはならぬと思います。木村保安庁長官のような大きな国家機密を保つ法律は別にできると私確信いたしております。改進党はそれを主張しているから、ここに急に出さなくても、これを一応通してもらつてあとからゆつくり審議してもらつてもいいと私は思いますが、ともかくもあまり目的罪に重きを置くと、これは非常に困るだろうと思う。裁判所が認定するよりほかしかたがない。それについての御意見ちよつと承りたいと思います。
  75. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お説ごもつともであります。目的罪にいたしますと、その目的を持つているということの立証代任は検察官側にあるのでありまして、その点について私は非常に制約を受けるだろうと思います。まことにごもつともでありますが、しかしながらこの法案のねらいとするところは、ただいま申し上げた通りであります。従いまして、国の安全をする目的というところで多分にしぼつております。将来これで不便を感ずることがあるかとも私には想像されるのでありますが、まず現段階においてはこれらのところで法案の成立を期することがきわめて妥当じやないか、こう考えている次第であります。
  76. 福田昌子

    福田(昌)委員 このMSA協定の第三条の一項と二項との矛盾につきましてお伺いしようと思つておりましたので、細迫委員から御質問がございましたが、重ねてお尋ねいたします。このMSA協定の本文の第三条二項は、今お試みいただきましたように、この協定に基く活動について公衆に周知徹底させるための方法をとらなくてはならぬということになつております。これについて、この協定の本文が審議されておりますときに、政府側は、この協定に基く活動というものは、アメリカ側から貸与される武器の数とか、あるいはまたその実施状況とか、そういうものを大衆に間知徹底させるのだという御説明があつたのでございます。私どもはそういうことを大象に周知徹底させる方法をおとりになると確信を持つてつたのてありますが、この秘密保護法案の条文を見ますと、アメリカから借りて参ります武器の品目及び数量というようなものは、全部ではありませんでしようが、この秘密保護法の装備品秘密を守らなければならない範疇に入るようになつております。この協定の三条の第二項を政府は忠実に実行なさる場合においては、この秘密保護法と当然矛盾が起つて来るという感じがするのでございますが、まずこの協定の三条の二項というものに対しては、どういう措置を政府はおとりになろうとしておられるか、長官にお伺いいたします。
  77. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 政府委員から答弁いたします。
  78. 増原恵吉

    ○増原政府委員 二項に書いてありますことは、ただいま福田委員のおつしやいましたように、たとえばカービン銃を何ぼ借りたとか、バズーカ砲を何ぼ借りたとかいう数を発表することも、その一つであろうと思います。そういうものを発表いたすつもりでおります。今一日、数量ということをおあげになりましたが、何度もくどく御説明しておりますように、防衛秘密というのは、いわゆる自然秘という観念をとつて、高度の秘密を保護するために措置をとりたいということを申しております。それでたとえば具体的に言いますと、現在保安隊がカービン銃は数万ちよう、あるいはタンクを数十台、あるいは百五十五ミリとか、百五ミリの大砲とか、ずいぶんいろいろなものを借りておりまして、昔の、戦争中の日本の軍の持つてつた武鑑に比べまして、非常にすぐれた優秀な武器もたくさんありますが、これにはいずれも秘密はございません。防衛秘密に該当するものは一つもございませんで、いずれも公になつたものという措置をとつておるわけでございます。将来MSAで借りるもののうちには、現在陸で借りておるものよりもすぐれた、平易な若葉でいえば新式な優秀なものを借りようと期待しておりますし、向うでもそういうものを出すという概括的な意図がある。しかしそれはごく少数のものでありまして、一般国民大衆の目に触れるようなところへやたらに出て行くような数のものではございません。そして一般に借りて参ります武器等の数量、品目等については、これは適当な方法、特に国会等においては時時御説明を申し上げるというふうなことに相なろうかと考えるのであります。
  79. 福田昌子

    福田(昌)委員 適当に時々国会等において御説明申し上げるでは、MS協定本文の第三条の第二項というものは、政府としてはその責任を十分果されたとは、私考えられないのでございます。これに対して長官はどういうような措置をとろうとお考えになつておるか、その点を伺いたいと思います。
  80. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 MSA協定は議会において承認されたのであります。この一項と二項との条文について何ら矛盾をいたしません。一項は秘密物件についての規定であり、二項は全協定についての活動状態を国民に周知せしめようということになつておるのであります。従つて矛盾するものではないと考えております。
  81. 福田昌子

    福田(昌)委員 私は矛盾するとかしないとかをお尋ねしたわけではないのでございまして、この二項の規定には公衆に周知せしめることが義務づけられていますが、この公衆に周知せしめる方法として、どういうことをなさいますがということをお尋ねしたのであります。
  82. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今後アメリカから供与を受けますものにつきましては、国民に知らせるような方法をこれからとろうと考えております。どういう具体的方法をとるかということは、ちよつとお答えをいたしかねます。
  83. 福田昌子

    福田(昌)委員 私どもは、せつかく第三条の秘密を保持する義務に対しで法律までおつくりになつて、その責任を果されようとするのでありますならば、第二項の公衆に周知させることを義務づけられましたこの項に対しましても、もつと政府が御熱心な措置をとられることを希望いたしておきます。またぜひおとりにならなければならない。秘密保護法とも関連いたしまして必ずとつて行かなければならない措置だと思われます。  次にお伺いいたしたいのは、この秘密を要します武器が日本に貸与されます場合におきましては、その秘密内容というものは、日本の係官のどういう人が内容についての説明を聞くなり、これを受取るのでございますか。
  84. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 それは「防衛秘密を取り扱う国の行政機関の長」、具体的にいいますと、たとえば保安庁長官、場合によりましては防衛生産の関係で通産大臣ということに形式的にはなろうと思います。またその長官、大臣の技術的な補佐官、これらが実際にタッチして向うから通知を受け、その内容について十分に承知するということになると思います。
  85. 福田昌子

    福田(昌)委員 私どもは、長官が秘密についていろいろな事項をお伺いになつたといたしましても、長官も万能ではございませんから、高度な秘密を要しますようないろいろな武器の構造とか、あるいは性能またその原理というようなことに、あるいは御理解がなかろうという点も出て来ると思われます。それに対してまた適当な係官をお選びになるということも当然起つて来ると思うのでありますが、それにしてもその適当な係官さえわからない、理解できないという点もあろうかと思います。なぜならば、日本とアメリカとの科学的な水準というものは、戦後の十年間のギャップによりまして大きな開きができておるというような点から、そういう点が当然起つて来ると思われます。そういう秘密秘密としていろいろ説明を聞いたけれどもわからないというような点は、これはどうなさるのでございますか。
  86. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 何お援助を受けないで自分で製作したり発明したりすることは、日本人としてできない場合が――もちろんそういう性質のものが秘密であると考えますが、それぞれの日本の現在の各分野の専門家が、その説明を聞いてもわからず、研究してもわからないというようなものはまずない。従つてそういう説明も聞いてもわからないものがあるというふうには考えておりません。
  87. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういうお考えは非常に思い上つたお考えでありまして、そういうような、日進月歩の科学を無視した政府のお考えでありますから、私どもは今日の防衛あるいは武器、軍備の問題においても非常に間違つた結論が出て来ると考えておるわけであります。当然世界の科学水準から行けば、ほんとうに高度な世界的に秘密武器であれば、日本の学者にわかり得ないものも出て来ることがあり得ることを、私は率直にすなおに日本の行政当局の立場の人も認めていただかなければならないと思います。それはさておきまして、学者がこの秘密保持に該当する武器の性能を知りたいというような場合があるといたしますと、これはその学者にはそういうことを知ることが許されるのでございますか。
  88. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それが国家の利益になるということでありますれば、その学者の研究を許すことは当然あろうと考えております。
  89. 福田昌子

    福田(昌)委員 それが国家の利益になるという観点から、そういつた学者を中心とした一つの研究機関をお持ちになるということもあり得るかと思いますが、そういう研究機関をお持ちになるお考えでありますか。
  90. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまさような研究機関の構想は持つておりません。但し保安庁におきましては相当の研究機関は持つております。
  91. 福田昌子

    福田(昌)委員 保安庁においても多少の研究機関を持つておられるというわけであります。従つて多少の研究はしていただいておると思うのでありますが、私どもは実は根本的には考え方の相違がありますが、政府のお考えに基いて日本の防衛体制を自力でだんだんまかなつて行きたいというお考えであるといたしますならば、日本にも必ずそういつた研究機関というものを持ち、そしてアメリカから貸与された秘密武器の性能につきましても十分に理解し、さらに製作――製品武器としてつくるような研究機関、生産機関というものがなければ、自衛力を日本の国の自力において漸増して行くということはできがたいと思うのであります。この点は秘密保護法といささか矛盾すると思いますが、これに対しましては政府はいかような施策をとつて行くかお聞きしたい。
  92. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 決して矛盾はいたしません。われわれといたしましては科学の水準を一日も早く上げたいと考えておるのであります。この秘密兵器にいたしましても、われわれとしては十分研究を重ねて行く、また民間人に研究してもらうことについては、便宜であるとすれば委託もいたしたい、こう考えております。
  93. 福田昌子

    福田(昌)委員 政府がただいま持つておられます何がしかのそういつた兵器に対します研究機関というものは、これは昔式に申しますと三軍がそれぞれにお持ちになろうとしておるのか、統一して一つでお持ちになろうとしておるのか、お聞きしたい。
  94. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいま保安庁においては技術研究所というものがあつて、これにおいて統合的の研究をいたさせておるのであります。
  95. 福田昌子

    福田(昌)委員 次の点でお伺いしたいと思うのでありますが、この防衛秘密の条項が解除されるというような場合はどういう場合でありますか。それは絶えずアメリカ側とお話合いになつておきめになるのであるか、この点お伺いしたいと思います。
  96. 増原恵吉

    ○増原政府委員 何と申しますか、だんだん科学技術が進歩して、従来秘密とし、他に漏らすことを抑制しなければならなかつたようなものが、もはやその必要がないということになれば、いわゆる解除ということがあるわけであります。現在の段階における防衛秘密保護法は、米国から供与を受ける装備品等についてのものでありますので、大体そういう判断が一時的に出て来るのは、米国の方でそういう秘密保証がいらなくなつたというふうなものが普通であろうと思います。しかし日本側においても、もうこういうものは秘密保護とする必要がないというふうに判断をしたものは、米国側と協議をして、秘密保護の解除をするということもあり得ると考えます。またいわゆる公にされたものというものは秘密扱いをしないという法の建前でありまして、それが不当な方法によつて公にされましても秘密扱いをしないという建前をとつておりますので、何らかの方法で公になるというものについては、秘密保護を解除する、そういう場合もあり得るわけであります。
  97. 福田昌子

    福田(昌)委員 秘密の等級の問題でありますが、御説明がありましたように「機密」「極密」「秘」というような三段階の等級が、ときによつて「機密」であつたものが「秘」というような段階になることもあると思いますが、それに対してどういう取扱いをなさるか、この点伺います。
  98. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 御説明通り秘密区分には変動があると思います。もしそれらが解除になれば、解除のように標記を抹消するとか、あるいは現在業務に携つておる者にそれを通知するという措置をとるわけであります。それらがさらに高度のものになるというものはまずなかろうと思いますが、たとえば「極秘」のものが「秘」になるという場合には、やはり標記の変更とか、あるいは取扱者に通知するという措置をとる考えであります。
  99. 福田昌子

    福田(昌)委員 それは大体においてアメリカ側の等級の取扱いに準ずるわけでありますか。
  100. 増原恵吉

    ○増原政府委員 その予定であります。
  101. 福田昌子

    福田(昌)委員 アメリカ側ではすでに秘密は解除されたけれども、日本の場合においてはやはり秘密として処置しなければならないというふうな事例もあり得るのでございましようか。
  102. 増原恵吉

    ○増原政府委員 アメリカ側で秘密区分を解除したものを、日本側でさらに秘密区分を持つということはいたさないつもりであります。
  103. 福田昌子

    福田(昌)委員 最近問題になつております艦艇貸与協定が成立いたしました場合におきましては、艦艇貸与協定も秘密保護法の該当事項にお入れになるのですか。
  104. 増原恵吉

    ○増原政府委員 現在米国と話合いをしております。名前はどうなりますか、仮称艦艇貸借協定が成立をし、国会の承認を得るということになりますと、秘密保護法の第一条を改正いたしましてこの中に加えたいと考えております。
  105. 福田昌子

    福田(昌)委員 たとえば暗号なんかの問題も防衛秘密になつて来ることがあると思うのでありますが、こういうものに対ましては何ら規定がないのでありますがこれらに対してはどういうお取扱いをなさるのですか。
  106. 増原恵吉

    ○増原政府委員 先ほど来他の委員からもいろいろ御質問があつたのでありますが、いわゆる独立国家として外部からの侵略に対抗する部隊を持つ防衛関係法案が成立いたしますれば、そういうことになるわけでありますが、その際にはやはり国家として保存したいという秘密が出て来ますことは、先ほど長官から申し述べた通りでございます。ただそういう秘密を今保証する措置法律上講ずるかどうかについては、これはいわゆる人権の尊重と重大な関係がありますので、なお慎重に考慮したいということで、立法措置を防衛秘密保護法案の形にいたして御審議を願つておるわけでございます。暗号等もやはり秘密を保持して行かなければならないことはもちろんでございます。現在の段階では取扱者の厳重な看守によりまして、また暗号等は一定期間をもつて、それが漏れたといなとにかかわらず、更改をして行くというような措置によりまして、実質としての秘密は保護しなければならないという措置をとつて行くつもりであります。
  107. 福田昌子

    福田(昌)委員 この通信情報活動に関しましては、日本の自衛隊の訓練そのものがアメリカ式になりつつあるわけでありますが、こういつた通信情報活動に対しましても、たぶんそういう結果になるのではないかということを考えますが、この点いかがでございますか。
  108. 増原恵吉

    ○増原政府委員 御承知の今の保安隊は、わが国の平和秩序を守るという建前をとつておりまして、いわゆる軍のやつておりますような通信情報というような形のものはやつておりません。これは将来の問題としてはなお研究を要するものであると思います。
  109. 福田昌子

    福田(昌)委員 いわゆる米軍がやるような通信情報活動というものも、これから日本で問題になつて来ると思うのでありますが、そういうようなお話合いはございませんか。
  110. 増原恵吉

    ○増原政府委員 現在のところまだございません。
  111. 福田昌子

    福田(昌)委員 もしそういうことが問題になつたといたしましたら、この点もたとえば暗号などに関しまして、やはりこの秘密保護法に該当する事項として御規定になる御意思でありましようか。
  112. 増原恵吉

    ○増原政府委員 それは今のところこれとは関係がございませんで、たとえば提出をしておりますのは、御承知通りの米国から供与されます装備品等について、秘密を保持するということにとどめておるつもりでおります。
  113. 福田昌子

    福田(昌)委員 この第一条の二項に「装備品等」とは、云々弾薬その他の装備品及び資材をいう。」とありますが、この資材につきましては、予備品なんかはお含めになるのですか。これもすべてアメリカから貸与されたもので、日本でつくられるものは含まれないものでございましょうか。
  114. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 二つの場合を含んでおります。一つは資材そのものが、第三項の第一号にありますように、MSA協定によりましてアメリカ合衆国政府から供与される場合、第二号にありますようにその資材に関するあるいは図面、設計図、そういうものをもらつて日本でそれを製作する、両者がこれに含まれます。
  115. 福田昌子

    福田(昌)委員 保安庁長官の御答弁によりますと、この秘密保護法が早く上らなければ、アメリカから借りる武器の交渉においても、スムーズに行かないというようなお話がございましたが、それゆえにいろいろな謹呈いて今日支障を来しているという事例があるのでございましようか。
  116. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 事例はありません。
  117. 福田昌子

    福田(昌)委員 ではなぜ昨日いかにも事例があるような、この秘密保護法が上らないから、その武器貸与の交渉ができないというような御答弁をなさつたのか。私は今日の御答弁とは矛盾を感ずるのでございますが、どういう意味でなさつたのでありますか。
  118. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 矛盾は決していたしません。事例がないからないというのであります。ただこの秘密保証法案が通過いたしませんと、アメリカ側からはMSA協定による局長の秘密装備はもらえないわけであります。
  119. 福田昌子

    福田(昌)委員 それなら矛盾するじやありませんか。この秘密保護法と関係なく交渉ができるものであれば今なさつて、そうしてまたもらえるはずであるのでありますが、それができない。交渉もできないし、高度の秘密を要するものはもらえないということであれば、やはりこの秘密保護法にこれからの交渉をかけておるということになるわけで、長官の御答弁はきのうきようと矛盾することははつきりいたておるわけであります。  次にお尋ねいたしますが……。
  120. 上塚司

    ○上塚委員長 福田君にお諮りしますが、またあとに河野君の質問も残つております。穗積君もまだあるのですし、もうあなたには四十分も許しておりますから、できるだけ集約してやつてください。
  121. 福田昌子

    福田(昌)委員 関連質問も入つておりますから、私の質問は……。
  122. 上塚司

    ○上塚委員長 関連質問を除いてそのくらいになつております。
  123. 福田昌子

    福田(昌)委員 そんなことはない。(笑声)第三条の「不当な方法で、」ということが私何回お伺いしても、その限定に苦しむのでございますが、昨日長官は不当な方法を使うのは、おもにスパイみたいな人であるから、この「不当な方法」というものは、こういう文句を入れるのが妥当だというお話、でございましたが、これは実に大ざつぱなお考えだと思うのであります。不当な方法はすべてスパイ的な人物が使うというように大まかにおきめになることは、非常に弊害がある。そうしてまなそういう考え方でこの文句を使つたということになれば、国民の良識において非常に困つた事態、大衆の権利を侵害する事態が起るということを恐れます。この「不当な方法」というものは先ほど係官の御答弁によりますと、本人が不当な方法と認めなければ不当な方法というものは成立しないというようなお話でありましたが、本人が不当な方法と認めていないが、しかしこれを取調べる人たちは不当な方法だと主張たしますような場合におきましては、やはりその間たとえばお酒とか、女といつたような、だれが考えましても、これに判断を与えることができるような手段の場合はいいのでありますが、たとえば非常に科学的な知識が発達しておる人がありまして、高度な科学技術による感光板を利用するとか、あるいは薬品を利用いたしまして、本人は、私は不当な方法ではないという形でそういう秘密物件に触れるようなことがあつたといたしました場合においては、不当であるかどうかということの決定はどこでするのでございますか。
  124. 桃澤全司

    桃澤説明員 本人が社会知念上不出な方法で探知収集しているにかかわらず、これは不当ではないと言つただけで、不当な方法にないとは申せないのであります。これは低価判断の問題になりますが、その手段自体に対する認識の問題であろうと思います。
  125. 福田昌子

    福田(昌)委員 その手段自体に対する認識の基準についてお伺いいたしたいのでありますが、たとえば科学者と一般の文官系統の人たちとは、その手段の認識においても違うわけでございますから、そういう場合を不当と認めるか認めないかということの判定はむずかしいと思いますが、それはどういう機関でおきめになるのかということをお伺いいたしたいのでございます。
  126. 桃澤全司

    桃澤説明員 ただいまのお尋ねの趣旨がよくのみ込めないのでありますが、最終的には裁判所が決定するということになろうかと思います。その探知収集する者の身分あるいは知識等によつて、必ずしも区別が出て来るとは考えておりません。
  127. 福田昌子

    福田(昌)委員 まだたくさんあるのですけれども、御制約を受けましたから一応これで保留にさせていただきますが、この秘密保護法はMSA協定の第三条と附属書Bの規定からおつくりになつたわけでありますが、このMSA協定第三条と附属書Bの内容からいたしますと、アメリカは法律を特別につくることを要某いたしておりませんし、それにまたアメリカ側が懸念いたしておりますのは、政府の職員、自衛隊の隊員、あるいはまた委託を受けた一部の人たちから秘密を漏れないようにしてもらいたいということが、その趣旨であろうかと思うのであります。それにもかかわりませず、こういう非常に広汎な秘密保証法をおつくりになつたということ、これは非常に解せないところがあるのでありますが、何かこの協定のもとにアメリカ側からそういう広汎な秘密保護法をつくるようにというような示唆でもあつたのでございましようか。
  128. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 しばしば申し上げました通り、アメリカから何らの示唆も受けておりません。日本独自で作成したものであります。
  129. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、日本独自において広汎な秘密を守ろうという御趣旨でおつくりになつたわけでありまして、アメリカ側の要望を越して、アメリカ側の要望以上にこたえられたわけでありますが、それにいたしましては、この秘密保護法違反の事例に対しまして、裁判をいたします場合においては公開裁判になる、ということになりますと、せつかくその処分をいたします場合において、裁判ですべて公開になると、せつかくの秘密が保てなくなると思うのでありますが、その場合には公判はこういう防衛秘密を守ろうとする政府の意図とは矛盾すると思うのであります。そうしてまたせつかくの秘密というものは守られないと思うのでありますが、これに対しましては政府はさらにそういう裁判の公開を禁ずるような別途の処置をおとりになろうとする意思であるかどうか、あるいはまた今のままでよろしい、矛盾したままでよろしいお考えであるかどうか、承りたい。
  130. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ずつと前に一度詳しくお答えいたしたのでございますが、要するにこれは憲法問題でありまして、御承知のように憲法では秘密の場合もきめておりますし、公開の場合もきめております。これは裁判所が全会一致で秘密とすれば秘密の法廷になる、こういうことになつておるわけであります。従いましてこれは裁判所の扱い方にまかされるのでありますけれども、しかし要するに公開裁判の場合におきましても裁判の運営の仕方というものがありますから、公開の結果秘密保護法自身がナンセンスになるというような結果にはならない、かように考えております。
  131. 福田昌子

    福田(昌)委員 この秘密保護法におきます秘密標記の等級の問題と、第一条三項のイから二との関連と申しますか、たとえば「構造又は性能」というものは、「機密」に属するとか「極秘」にするとかいうふうに、イからニまでの項目と等級との関連があるのでありますか。
  132. 増原恵吉

    ○増原政府委員 イ、ロ、ハ、ニとそれから二号のものと、それぞれ「機密」なり「極秘」なり「秘」なりという区分ができるわけであります。イが「極秘」になるとか、ロが「機密」になるとかいうふうなものではありません。
  133. 上塚司

    ○上塚委員長 河野密君。
  134. 河野密

    ○河野(密)委員 私はきのうお尋ねをいたしました点で、まだ政府から明確なる御答弁がいただけない点を、この際明確にしておいていただきたいと思うのであります。  その第一点は、アメリカの秘密保護の等級と同等のものを確保するという点は、単に「機密」「極秘」「秘」というような等級を確保するのでなく、それらのものに対する漏洩をいかにして防御するかということも関連をいたしておると思わざるを得ないのであります。そこでアメリカがそれらの機密を防衛するについてとつておる手投と、日本がそれらの秘密を防備するにとるべきところの手段とは同じ程度でなければならない、こういうのが私は当然の協定の趣旨であると思うのであります。しかるにアメリカの国内法においては、きのう私が申し上げましたように、主としてアメリカに損出を与え、もしくは外国に利益を与えるため使用する意図を有し、または使用すると信ずるに足る理由を有しと、完全にスパイ行為だけを取締るという明確な限定を赴いてあるのであります。しかるに日本においてはその目的罪としてのほかに「不当なる方法で、」ということをつけ加えており、非常に大きく拡張しておる。これは一体いかなる趣旨に基くのであるか、何の必要であつてさような点をつけ加えたのであるか、これを私は明確にしてほしい。これが明快なる御答弁が得られないのでございますので、私は木村保安庁長官からどういう趣旨で日本のこの立法趣旨が、アメリカよりも拡大されておるのであるか、いかなる必要に基いておるのであるか、この点をひとつはつきりと御答弁が願いたいと思います。
  135. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 詳細は法制局長官が申し上げますが、私が大体申し上げます。MSA協定においてかく附設をつけるということは、とにかく秘密の保護を要する装備の取扱いについて階段をつけるという取扱いについての階段であります。従つて日本においてはアメリカと同等にあるいは「極秘」とかあるいは「秘」とかいうことの、取扱いについての標記などを同一にしようとすることであります。しこうして今御審議を願つております秘密保護法は、日本の政府においてMSA協定に基いて一つの処置をとる方法としてわれわれは制定したわけであります。日本独自の考え方で作成したわけであります。しこうして「不当な方法」ということについて規定を設けたのは、昨日申し上げましたようにいわゆる妥当にあらざる、常人が考えて正当でないというような方法秘密の収集探知をするということはきわめて危険であります。これは今も申し上げたようでありますが、さような方法をもつてやるというのは、大体においてスパイがやることなのであります。私はそう申してさしつかえないと思う。普通の人間が妥当でない、いわゆる不当な方法でするというようなことはおよそ考えられないのであります。何かの意図を持つてやることは私は当然であろうと思います。これがきわめて危険であります。従いましてかようなものを取締る必要ありと考えてかような規定を設けた次第であります。
  136. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 木村大臣の説明で要点は尽きておると思いますが、元来この法案がアメリカのためのものかどこのためのものかということに話が始まる事柄だろうと思います。申し上げるまでもなく、日本の防衛上これが漏れることは困るのでありますから、日本のために困るという立場から、先ほど大臣が誓えましたように自主的に考えて立法をしておるわけです。その意味では自主的に日本のためを思つて立法ということになるわけであります。それで第二段に昨日来のアメリカの法律との対象の問題がたびたび出るのであります。それはアメリカの法律通りに敷写しにすることもあるいは一つの方法かとも思いますけれども、それとこれとの間に幅が違うという点は桃澤説明員からも申し上げましたように、私としてはどうも納得ができないのであります。アメリカの法律は例によつて言票数が非常に多く、いろいろとこまかそうに書いてありますけれども、せんじ詰めたところは、これはばあつとした形になつておるのであります。「信ずるに足る理由」云々というようなこともこれはきわめて漠然としておつて、むしろ「不当な方法」といつた方がどれほど単刀直入に明らかであるか、かように考えます。その他他人に漏らす場合においてもきのう御説明した通りであります。その点の権衡を失しておらないというように考えております。
  137. 河野密

    ○河野(密)委員 私はただいまの御説明では満足することはできません。それはなぜできないかと申しますと、先ほど来の御答弁を聞いておりますと、アメリカで秘密でないものは日本でも秘密にしない、アメリカが秘密にするものは日本でも秘密にする、一切の何が秘密であるか秘密でないかということはアメリカまかせであります。そのアメリカまかせであるこの法律において、その方法と罪に該当する範囲を決定するにあたりまして、日本だけが何ゆえにその不当な方法というものを、文字はなるほど今法制局長官が言われたようにアメリカのものよりは簡単になつております。簡単な法律が必ずしもいい法律とは甘えないのでありまして、そういう意味からいつて簡単にはしてあるけれども、その不当な方法というものは明らかにアメリカよりも広くなつておるのであります。日本が防衛秘密内容そのものはアメリカの通りにしておきながら、そうしてアメリカが秘密でなくなつたら日本でも秘密でなくなるのだ。こう言つておきながら、その取締る場合において、その犯罪範囲を決定する場合においてだけ、不当な方法というような漠然とした広いものをなぜ日本では入れたのだ、それは日本人は信用できないとおつしやる意味なのか、それともアメリカの要求であるのか、そこらのところを明確にしてもらわなければ、われわれはこれに対して納得することができない、こういいことを言つておるのでありまして、重ねて私は御答弁を願いたいと思います。
  138. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 アメリカの要請でも何でもありません。われわれは独自でこれを立案したのであります。今申し上げましたように、およそ妥当な方法でない、客観的的に見て不当な方法で収知するというような者はきわめて危険なのであります。これはスパイに利用される、きわめて大きな危険があるものとわれわれは考えております。従いまして、普通の常人で通常な方法でやる分には何もさしつかえないのであります。さような不当な方法でやるということの危険性を考えてみますと、この法案の必要なことは御了承願えると私は考えます。
  139. 河野密

    ○河野(密)委員 長官の説明の裏を返して、それでは不当な方法でやる者はスパイに限る、大体スパイと考えてよろしいのだ、だからこれはスパイを取締るものである、そうすれば、スパイ以外の者がやる行為であれば、大体不当な方法じやないのだ、こういうふうに長官はお考えになつておるのかどうか。たとえば報道関係の者がその取材をする場合において、かりに多少の行き過ぎがあつたとしても、そういうことはとがめる性質の法律じやないのだ、こういう趣旨だ、こう了解してよろしいですか。
  140. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 もとよりわれわれは普通の報道陣が不当な方法で収知しようとするというようなことは考えておりません。報道陣が活動される分野というものはおそよきまつておるわけなのであります。普通の方法でやる分には一向この法案の対象となるものではないと考えております。
  141. 河野密

    ○河野(密)委員 どうも長官にも似合わずあとの方は小さい声で言われるのでありまして(笑声)聞きとれないのですが、もつと明確に言つてください。こういう点ははつきりしておかないと、あとで誤解を招きますから……。
  142. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それでは大きな声で申し上げましよう。報道陣が普通の方法で収知されることは、決してこの法案の対象となるものではありませんと私は信じております。報道陣もおよそわれわれの考えておるような不在な方法で収知しようというようなことは、あるべきはずはないと私は信じております。従いまして不当な、われわれの考えておりますような常軌を逸するような方法で収知しようという者は、それこそ何らか不当な意図を持つてやる者と考えておるのであります。裏を返せばスパイがよくやることであります。さようなものについては危険性が多分にありますから、この法案で取締つて行こうと考えるのであります。
  143. 河野密

    ○河野(密)委員 わかつたようでわからないのでありますが、ではこういうふうに私がお尋ねしますから、イエスかノーかお答えいただきたい。スパイが通常用いるような方法、これが不当な方法というのだ、報道陣が通常用いるような、新聞報道者が競争するために用いるようもなのは、たとい通常の適当な範囲を越えるものであつても、それはここにいう不当なものには入らない、こういうことに長官はお考えになつておるのですか。
  144. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 スパイが用いる方法は千変万化でありまして、およそどういうものであるかということはわれわれ考えておりません。しかし報道陣が通常用いる方法は、われわれはこれを不当な方法ではないと考えております。
  145. 河野密

    ○河野(密)委員 不当な方法意味はややわかりましたが、私の最初にお尋ねをした点はまだははつきりしておらぬ。なぜ日本では「不当な方法」というような文字を入れなければ取締れないのかという点ははつきりいたしません。日本人が信頼できないというお考えなのか、日本は東西両陣営の接触点に当つているから、特にこういうスパイ行為が非常に横行しておるとお考えになつておるのか、あるいは日本においてはアメリカにおけるよりも、もつと厳重に取締らなければならないとお考えになつておるのか、この点がはつきりしないのであります。何ゆえにこれをつけ加えられたかという趣旨を明確にしてもらいたい。
  146. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は日本人全部を信用しないわけじやありません、大いに信用しております。しかし、日本人の中にも信用できがたい者がたくさんおるということは、河野君も御承知のことであらうと思います。いわんや日本においては、国際的スパイもいないとは限りません。かたがたわれわれは日本の国の安全を保護するためにこの法案は必要なりと考えております。
  147. 河野密

    ○河野(密)委員 では、「不当な方法」ということを入れたのは、アメリカよりも日本の方がより厳重に取締る必要があるのだ、こういう趣旨であるように承るのですが、これはその通りでよろしいのですか。
  148. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 さようではありません。アメリカはどうであろう、こうであろうということは別の問題でありまして、われわれはアメリカより高度の取締りをして行こうという考えのもとにこれはやつたのじやありません。日本の独自の見解をもつて立案したのであります。
  149. 河野密

    ○河野(密)委員 実に矛盾だらけの答弁でわからないのでありますが、秘密内容そのものは、何が「機密」であり何が「極秘」であり何が「秘」であるかというのはアメリカの通りであつて、アメリカの方でそれを解除したものは解除する、今まで「機密」にしていたものを「極秘」にしたならば日本も「極秘」にするのだ、アメリカまかせじやありませんか。アメリカの通りじやありませんか。しかもこの法案の明文には日米防衛協定に伴うと書いてある。それだのにかかわらず、この法律がアメリカとの協定に基きアメリカまかせの秘密を保持するための法律でありながら、その取締り範囲だけを日本が広くしておるのは不当じやないか、それは何かの理由があるのかと言えば、日本独自の見解だ。そういうばかな筋の通らない答弁はあり得ないと私は思うのです。これは私は何べん長官にお尋ねしてもはつきりしないのでありますが、その明確なるお答えを願いたい。
  150. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は決して矛盾もしておりませんし、私の言うことは筋が通つておると私は考えておる。もちろんこの法案の対象となつておるものMSAは、協定によつてアメリカから供与を受ける装備品、これに対する秘密の防御であります。これははつきりしております。しかし、この法案をつくるについてはアメリカと何も相談するわけでもなし、日本がいかにこの秘密を防衛して行こうかというので、国の安全を守るためにやつているわけであります。独自の立場でやつている。アメリカと国情も違うでしよう、いろいろな観点から日本は独自で考えておるのであります。アメリカの示唆を受けたものではありません。日本の与えられたるこの地位、国際情勢その他いろいろな観点から勘案して、アメリカからMSA協定によつて供与を受ける秘密の防衛をどうするか、こうして日本の安全をいかにして守つて行こうかという観点から、われわれはこの法案を立案したわけであります。
  151. 河野密

    ○河野(密)委員 私は今の御答弁では納得ができません。それではもう一ぺん重ねて別の方面からお尋ねしますが、この法律と憲法との関係につきましては私はいつぞや申し上げましたようにたくさんの関連があると思います。しかし、最も直接的な関連のありますのは、憲法第二十一条の検閲禁止の条項との関係、憲法第三十七条の裁判公開の条項との関係、憲法第五十七条の国会の秘密会との関係・それから憲法第七十六条の二項にある特別裁判所の禁止の条項との関係、憲法第八十二条の公開法廷で行うべき条項との関係、それから憲法九十八条の関係、これだけ重要なる点があると私は思うのであります。このうちで法制局長官にこの間お尋ねをいたしましたのは、国会の秘密会との関係であつたのでありますが、そのほかの点で今私が読み上げました問題について、当局並びに法制局長官は、これらのものとこの法律とは矛盾なしに行い得るということを確言できるか、これが第一点であります。その矛盾なしに行い得るとするならば、この法律の条項はこれだけでよろしいか、もつと何らかの条項をつけ加える必要があるかないかというこの二つの点についてまずお尋ねします。
  152. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 憲法に何ら矛盾することなしに行い得ると確言することができます。第二点につきましては、これだけて十分で表そうと考えております。
  153. 河野密

    ○河野(密)委員 そこで私はお尋ねするのでありますが、この憲法の条項に何ら抵触することなしに行い得るその一番重要なる点は、アメリカにおきましても、あるいはイギリスにおきましても、この同じような規定の中には特別裁判所があることを前提といたしておることは御承知であろうと思います。その特別裁判所があり、あるいはイギリスのごときにおきましては、本法の目的を遂行する場合には、必要に応じて裁判を非公開にすることができるという条項が入つております。この法律の百的を達成するために特別裁判所がいらないでやり得ると言うが、どういう確信に基いてそういうことがやり得ると当局は考えておるのか、また裁判を常に公開してこれをやり得るということは、どういうことによつて目的が達成できると考えておられるか、この二つの点をお答え願いたい。
  154. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど福田委員にも簡単にお答えしたのでありますが、実は前に少し詳しくお答えしたことがあります。要旨は、結局わが憲法は特別裁判所を否定しておる、これは申すまでもないことでありますから、あくまでも憲法に従つて裁判そのものが運営されなければならない、これも当然のことであります。そこで裁判がいかにして運営されるかは公開が原則である、これも申すまでもないのでありますが、場合によつては裁判官の全員一致の決議によつて公開を禁ずるということもある、これが憲法の姿であります。しかしその運営は要するに裁判官が直接きめられることでありますから、われわれとしてはとやかく申すことはできませんけれども、かりに公開法廷のもとにおいて審理が行われましても、裁判の運営等の形において、この法律で保護しようとしておる秘密が、当然明らかにされるという必然的の結果にはなるまいと考えておるわけであります。従つてこの法律はその面からナンセンスである、無意味であるということは言えない。これは刑事特別法についても同じ問題があつたわけであります。
  155. 河野密

    ○河野(密)委員 そこでだんだん問題がはつきりして来たと私は思うのであります。アメリカにしても、イギリスにしてもこういう種類のものに対しては特別裁判所の規定もあるし、現在そういう特別裁判所が設けられている国において初めて機密が保持される点もあり得るし、また裁判公開の原則をある程度停止するという条項があつて、自的が達成される場合もあり得るのであります。しかるに日本の法律にはそういうことは一つも規定していないし、憲法には今私が申し上げたように、ちやんとそういうものを禁止するという明文を設けてあるわけであります。そこで私がここで考え得られることは、この法律において保護することを期待しているような秘密というものは、アメリカにおいてはもうそれほどの秘密でないものを、特にもつたいぶつてと申しては語弊があるかもしれないですが、大げさに秘密であるかのごとくにして日本がありがたくちようだいしておるのだという以外のことは私は考えられないと思う。アメリカにおいてほんとうに機密に属するようなものを前提としておるものじやない。そういうものがほんとうに機密を保持しなければならないようなものか。この程度のものはこの法律取締りの対象としておくようなものじやない。もしそういうものであるならば、アメリカと同じように特別裁判所を置くなり、あるいは裁判公開の原則に対するある程度の制限というようなものがなければ、これはおそらくやり得ない問題ではないか。そうでないその程度のものをわれわれが受取つておきながら、特にそのアメリカにおいて規定しているものよりも広い範囲のものを取締らなければならないという態度をおとりになつておる。この点がわれわれとしてはどうしても納得が行かない。われわれは最初から申し上げておるように、この法律案を審議するにあたつて二つの観点がある。一つはこれによつて内政干渉を受けるのじやないかということを、私たちは極度に恐れておるという点と、もう一つは、この法律の拡大されることによつて国民の基本的人権が制限されるのではないか、制約されるのではないか、蹂躪されるのではないかという点を申し上げておるのでありますが、まさにその通りだと私は思うのであります。アメリカにおいてほんとうの国家的機密であり得ないようなものを日本が受取つて、しかも日本においてはそれを取締るに際して、アメリカの法律よりもなお広い範囲において取締りの対象にする、こういうふうにいわざるを得ない。そういうことになれば、これはまつたくアメリカに対する媚態以外の何ものでもないと思う。ほんとうにアメリカに対してこびを売る以外の何ものでもない。内政干渉になり得る危険性が多分にあると私は思うのであります。この点について、この法律で憲法に違反せずして秘密が保ち得るという確信をお持ちになるならば、私は裏を返せばアメリカにはおいてはその程度の秘密のものしか日本にはよこさないのである、そう考えてよろしいかという点と、何ゆえにその程度のものに対して、日本がこれほどにこの「不当な方法で、」というような、そういう条件までつけて取締らなければならないか、この点についての木村保安庁長官の信念のほどを私は承りたいと思います。
  156. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 まずアメリカで高度の秘密でないものを、日本で秘密として取扱うというような懸念は毛頭ありません。アメリカが今後どういう高度の秘密の装備を日本に供与するかどうかは別問題でありますが、われわれといたしましてもアメリカから供与を受ける場合において、十分これの秘密を保護する必要があるかどうかということを検討するのであります。しこうしてアメリカで秘密になつていないものは、これはすでに公になつておるものでありますから、この法案の対象になるべきはずがあるわけはありません。私が河肝委員にぜひとも御了解を願いたいことは、われわれといたしましても日本の国の安全を守るために、アメリカから高度の秘密の装備をもらい受けようとしておるのであります。アメリカで秘密になつていないものを、日本で秘密で取扱うなどということは毛頭も考えておりません。その点は十分了解を得られるものと私は考えておるわけであります。  それから次には、やはり「不当な方法」でありますが、これはもうさつきから繰返して申し上げました通り、さようにアメリカから高度の秘密の装備をもらいました上に、この秘密を守ることは、日本の防衛のために必要なのであります。さようなものを漏洩し、これが他国に利用されるということになりますと、日本の自衛隊の行動にも非常な影響を及ぼすわけであります。これを守ること自体がすなわち日本の安全を期する上において必要であるのであります。従いまして、われわれは河野君のお考えになつているような御懸念は毛頭ないと考えております。
  157. 河野密

    ○河野(密)委員 私は木村長官に申し上げますが、こういうことはお互いに重大な問題でありますから、ひとつおざなりで御答弁をなさらぬようにお願いしたいのであります。ほんとうにこれを私が憂えるのは、先ほどお話がありましたように、日本の憲法では、御存じのように秘密裁判を許さないぞ、検閲制度というようなものもやらせないぞ、それから特別裁判所のようなものも設けることはいけないぞという、これは日本の憲法は憲法九条だけでなしに、憲法全体を貫いて、ひとつの軍国主義的な色彩というものを、一切払拭する建前においてできておるということを前提にして考えなければならないと思うのであります。そういう建前においてできておる憲法のもとにおいて、憲法に抵触しない方法において保持し得る秘密というものは、アメリカにおいて、軍を持ち、軍事裁判所を持ち、そういう国で保持されておる秘密とは、秘密の段階がおのずから違うものでなければならないと私は思うのであります。しかるに、そういう軍国調をまつたく除いておる日本の憲法に抵触しない範囲内において保持し得る秘密というものは、われわれは秘密とはいうけれども、その程度というものはアメリカから見るならば第二義的な秘密であり、第三義的な秘密であるとしか考えられない。そういうものを受取る場合において、なぜ日本において、これを取締るときにおいて厳正なる制約を設けようとするのであるか。先ほど福田委員が言われましたように、政府がこれに対して責任を負うだけでよろしいじやないか。一般国民に対してまでもこの秘密保持の責任を負わせる必要はないじやないか。もし独自の見解において日本の国家秘密を保持しなければならないとする法律であるとするならば、日本独自の見解において、裁判管轄権の問題についても、あるいは特別裁判所の問題についても、もつと憲法との関係を検討なさつて、根本的に考え直さるべき筋合いのものであると私は思うのであります。これもちようど憲法第九条において武力を持つことを禁止しておるがほおかむりでやろうという、その安易な気持と相通ずる態度でもつてこういうものを設けておられるというところに、私たちは政府の共通した安易な考え方があると思う。私が木村保安庁長官から明確にその信念を承りたいというのはその点であります。私は保安庁長官が憲法第九条の問題と関係していろいろやつておられることと相通ずる問題がある。MSAの問題というものは、憲法九条だけの問題じやないのです。それを憲法九条というから憲法九条だけだと考えておるところにたいへんな誤りがある。この秘密保護法案なんかも、もし追求して行けば、私がさつき指摘したような憲法の条項に津反する。違反しないで運用ができるとすればそれは国家秘密でもなければ防衛秘密でもあり得ない。そうはお考えになりませんか。私は木村長官の信念を承りたい。
  158. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は信念をもつて前から答弁しているのであります。決しておざなりを言つておりません。繰返して申し上げますが、アメリカで秘密にしていないものを、日本で秘密に取扱うということは断じてありません。アメリカで秘密を要するものをもらい受けるために日本においてもこの秘密を守ろうというのであります。しこうしてそれは憲法の範囲内においてわれわれはやつているのであります。今憲法に反するというお話でありますが、われわれは憲法に何も反したことはないと考えております。
  159. 河野密

    ○河野(密)委員 これは意見の違いになるならばやむを得ないのでありますが、私はこの点は速記録にとどめておきたい。いつかは物を言うときがあると思いますので、この点は明らかに速記録にとどめておきたいと思います。  もう一つ、これはここで明言していただきたいのは、これもきのうお話がありまして了解したのでありますが、国会の秘密会において要求したならば、防衛秘密もあり得ない。それからアメリカの事前の了解なしには漏らしてはならぬというこの附属書Bの規定というものは、国会の秘密会に対して政府が防衛秘密を話す場合においては適用がないのだ。アメリカに事前に、これは国会に話すがよろしいかというような了解は得ないのだ、日本は独立国なのだから、そういうことはあり得ないのだ。こういうことを明確にしておいてもらいたい。これが一つと、もしそれならばこの防備秘密保護法案の中に、この法律は国会に対してその要求に基いて通報をしあるいは告知することを妨げるものではない、こういう附則を設けてもらいたい。こういう点を明確に御答弁願いたい。
  160. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 前段のお尋ねに対しましては、昨日お答えしたところで尽きております。あえて付加すべきところがないと考えております。後段のお話もちらと昨日受けましたが、私どもの考えから申しますれば、さようなことをお入れいただく必要はないと考えております。
  161. 河野密

    ○河野(密)委員 入れる必要はなくても趣旨はその趣旨だ。当然のことだからそれはないのだ、こういうふうに解してよろしいか。
  162. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 妨げるものではないということは、一般の理論に従うということでありますから、当然のことと考えております。
  163. 河野密

    ○河野(密)委員 それではその点を明確にこれも速記録にとどめておいていただいて私の質問を打切ります。
  164. 上塚司

    ○上塚委員長 細迫兼光君。
  165. 細迫兼光

    細迫委員 問題は各論的な小さいところに入りますが、第一条第三項第一号「アメリカ合衆国政府から供与せられる装備品」という字句に関する問題であります。これは当然アメリカ軍に関する、あるいはアメリカ軍が使用している武器の構造、性能、品目、数量に関しては、この秘密保護法は何ら適用せられないのだということは当然な解釈だと思いますが、この際用心のためにはつきりしておきたいのでありまして、イエスという御回答を期待してお尋ね申し上げます。
  166. 増原恵吉

    ○増原政府委員 ちよつと質問を聞きそらしたかもわかりませんが申しますと、この法律は、書いてありますように、日米相互防衛援助協定等に基き、アメリカ合衆国政府から供与される装備品等について、イ、ロ、ハ、ニというものに適用があるのであります。米軍が使つておりましてわれわれがもらつておらぬものには適用がありません。
  167. 細迫兼光

    細迫委員 ところが読み方によりましては、供与される装備品、されるということは、日本語におきましては未来の意味を持つ言葉として通常解されるのであります。そうしますと、ここに疑問、用心しなければならぬところが出て来るのでありまして、現在いまだ供与されていない品物については、一切この法は適用できないということに理解して間違いございませんか。
  168. 増原恵吉

    ○増原政府委員 念を押すようですが、二号の方に該当するものについては適用がありますが、三項一号の関係においては、まだもらわないものについては適用はありません。
  169. 細迫兼光

    細迫委員 少しく問題がかわつて参りますが、現在ではアメリカ軍だけが使用しておる。しかし将来それが日本に供与せられるかもしれない、そういう品物に関しても適用ないものであるということを明確にしていただきたいのであります。
  170. 増原恵吉

    ○増原政府委員 さつきの御質問と同じように思いますが、くれぐれもお断りをいたしますが、二号に該当するものについてはございます。一号の意味においてはございません。
  171. 細迫兼光

    細迫委員 それでは、現在すでに日本に供与せられておる品物、同様な品物がアメリカ軍に使われておる場合、具体的な構造、品物、品目あるいは性能等の秘密をアメリカ軍使用のものについて探知し入手した、こういう場合にはいかがな取扱いに相なりましようか。
  172. 桃澤全司

    桃澤説明員 ただいまの御設例の場合には、いわゆる刑事特別法の第六条違反として取扱われることになろうと考えます。
  173. 細迫兼光

    細迫委員 裁判の問題でございますから桃澤説明員あたりから御答弁を願いたいのであります。公開裁判の場合については、大体従来の御説明によつて明らかになつておるのでございますが、公開せられざる裁判があり得ると思うのであります。ところが裁判を公開するかいなかが決定せられますのは・公判開始の時期であります。そのときに初めて公開禁止ということが確定するのであります。すなわちそれ以前におきましては、一般の刑事訴訟法に基く手続が進行するものでございます。すなわち検察官において提出したいと思うようないろいろな証拠書類等は、弁護人にもあらかじめ提示せられなくてはなりません。弁護人はこれをあるいは謄写をいたします。これによつて秘密に属する事項は、弁護人の手元に書類となつて領有せられるのでございます。しかしこれを謄写したような場合、謄写に従事する人間もやはりこの内容を知るのでございます。これらは不当な方法でないということによつて、問題になりましても、犯意は阻却すると思うのであります。また安全を害すべき用途に供する目的でもないということによつて犯意は阻却せられると思うのでありますが、さように理解して間違いございませんか。
  174. 桃澤全司

    桃澤説明員 ただいまの御説例の場合は、大体細迫委員仰せられた通りでございます。
  175. 細迫兼光

    細迫委員 この前高橋法務委員から御質問がありましたが、刑罰法規はなるべくならばつくりたくないということが、一般の心得でなくてはならぬと思うのであります。すなわち行政処置において事足りる場合には、刑罰法規はなるべくつくるべからざるものである。しかるにこの刑罰法規がどうしても必要だとお考えになりました根拠でございますが、いろいろなことを考えた末、この刑罰法規の立案に着手せざるを得なかつたという経路がここに私は必要だと思う、刑罰法規によるにあらざる行政処置によつて、たとえば秘密を漏洩したものを行政処分するというようなこと、あるいはより以上厳重な秘密保持の具体的な処置をとる。すなわち倉庫なんかも厳重にするとか、寄りつけないようにする方法として厳重なことをするとかいうようなことによつては、どうしても保持の百的を達し得ないという場合に限つて、初めて刑罰法規が許されるということにならざるを得ないと思うのでありますが、私は必要な処置としてまつ先から刑罰法規に飛びつかれたものだという印象を受けるのであります。行政処置としてこれで行つたらどうだろうか、それもいけない。これで行つたらどうだろうか、それもいけないというようなお考えをめぐらされた事実がありますならば、刑罰法規に飛びつかれたまでの経路として、その事実を承りたいと思うのであります。
  176. 増原恵吉

    ○増原政府委員 毎々何度も申し上げましたが、MSA協定によつて罰則を持つた法律をつくるという義務を負うておるわけではございませんが、日本の将来の防衛のために自衛隊というものが発足をして適切な行動をとる、国の安全を守るというために、こうしたいわゆる高度の機密を持つ優秀な武器の供与を受けたい。受けるためには、これを守る適切な処置をとることも必要である。どうすることが適切であるかということを考えまして、行政処置のみによつて保護するよりも、この法律によることが適当であるというふうに結論を得ましてこの法案を作成し、御審議を願つておる、こういう径路であります。初めから刑罰法規けつこうで飛びついたというような考え方は、関係者一同一人も持つておりません。
  177. 細迫兼光

    細迫委員 御答弁は満足いたしませんが、質問を打切ります。
  178. 上塚司

    ○上塚委員長 穗積七郎君。
  179. 穗積七郎

    穗積委員 今までいろいろお尋ねして参りましたが、最後に簡潔に増原次長に二点、それから木村長官に二点お尋ねいたします。時間を急がれるならば、正確にお答えいただきたいと思います。  最初にお尋ねいたしたいのは、昨日私はわかりやすい例として原子兵器の問題を例にとつて法解釈の問題をお尋ねいたしましたが、これが不適当であるならば、ちよつとお尋ねいたしますが、レーダー機は、この法律によります防衛秘密の中に入りますか、どうですか。
  180. 増原恵吉

    ○増原政府委員 レーダー機という一般的な名前で入るか入らないかは、明確に申し上げかねます。向うから貸してくれるレーダーについて、あるレーダーはなるかもわかりません。ならないものもあるかもわかりません。
  181. 穗積七郎

    穗積委員 ところでこれも一つの例でございますから、そのつもりで法律の解釈を私は伺つておきますが、レーーダー機は、言うまでもなく、原子力の問題と同じく、平和産業利用の点も多分にございます。たとえば航空、漁業等において同様だと思う。ところでアメリカから供与されました機密に属しておりますレーダー機と同様の性能、構造を持ちましたレーダー機を、民間航空または漁業等に採用しておる場合、そのときに、一般の常識として、その性能、構造、またはここにいいます製作、保管、修理に関する技術等を公開いたしました場合は、この法律取締り対象となりましようかどうか。
  182. 増原恵吉

    ○増原政府委員 ちよつと御質問趣旨がよくわからなかつたのですが、似たようなものを一方において秘密にし、一方においては公開されておるというような、そういう種類のものを秘密とすることはないと確信いたします。
  183. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、民間でまだ使用しておりませんが、そういう同様な構造または性能を持つたものを――アメリカから供与されているわけではありませんが、民間においてそういうものを製作しようとする場合、その製作しようとしておる構造、性能、内容等が、すべてたまたまアメリカから機密として日本に供与されておるレーダー機と同様のものである場合、その性能・構造、またはその他の技術を公開した場合、どうですか。
  184. 増原恵吉

    ○増原政府委員 具体的にはそういう場合はあり得ないと考えますので、どうも答弁も力が入りませんが、しかしさような意味において公開されたものはこの法律の対象にはなりません。
  185. 穗積七郎

    穗積委員 公開されたとは、一体どこをもつて公開されたというのですか。科学者がそういうものを頭の中でクリエートした場合です。公開でも何でもない、これからクリエートするのです。
  186. 増原恵吉

    ○増原政府委員 科学者がクリエートするものは、この法律の対象ではございません。
  187. 穗積七郎

    穗積委員 その場合、この第三条にいう犯意はない、また不当な方法でもございません。しかしながら、客観的には、結果的にはそうなるかもしれないが、主観的には全然科学者の創意によるものである場合、またはそういうものが機密であるかないか科学者は知らないが、そういう性能を持つたレーダー機が軍用機として使われておる事実は、科学者同士の大体の推理によりまして知つておる。それを製造し、またはそれを使用するために、一般にそういう技術なり性能なりを知らせる、そういう場合はいかがでございますか。
  188. 増原恵吉

    ○増原政府委員 今までお答えしたところでも明瞭であると思いますが、科学者がクリエートしたものは、それが米国からわれわれがもらつた秘密のものと一致しようと一致しまいと、この法律範囲ではございません。
  189. 穗積七郎

    穗積委員 もう一点念のためにお尋ねいたしますが、報道陣が、犯意を持たず、不当な方法によらないで、たとえば機密武器を使用しておる日本の自衛隊が演習しているところを、非常に正確な望遠レンズをもつて撮影いたします。その場合に、今の部隊の行動演習の中に秘密武器が比較的鮮明に出ておる。そうすると、このイにいいます構造がこれで一応わかるとも見られるわけです。そういう場合はいかがですか。
  190. 増原恵吉

    ○増原政府委員 外から写真を写してわかるような場合というようなものは、いわゆる不当の方法でありませんから、そういうものは本法にいう取締りの適用には当たらないと思います。
  191. 穗積七郎

    穗積委員 ちよつとはつきりしませんが、当りませんか。
  192. 増原恵吉

    ○増原政府委員 当らないと思います。
  193. 穗積七郎

    穗積委員 それをグラフなり何なりで公開した場合ですよ。
  194. 増原恵吉

    ○増原政府委員 当らないというのは、公開して当らないという意味であります。
  195. 穗積七郎

    穗積委員 最後に木村長官にちよつとお尋ねいたしておきますが、この法律と憲法との関係でございます。これは先ほど個々の例につきましては、私のお尋ねしたいと思つてつた点を河野委員からもお尋ねがございましたが、私はこういうことはすべてやはり日本の現憲法がまつたく予想していないことをやつている、そこに根元の問題があると思うのです。そこでこの秘密保護法に伴います大体の取扱いは、自衛隊、その長官等であろうと思いますが、その自衛隊の今度の法律を見ますと、部隊に対します指揮権が内閣総理大臣に帰することになつているわけですが、今まで巨内の治安の維持のために当るという限界内における特別の部隊、警察予備隊または保安隊でございますと、これはある意味における警察権と解釈してよろしいと思いますが、しかし対外的な関係におきまして外国軍隊と事実上の戦闘行為を交えることになりますと、これは明らかに実質的な統帥権になる場合が相当多いと思う。またそういう戦闘行為に入りますと、そのことが非常に国際紛争を起しまして、その戦争を継続するか、または終結するかというようなことは、これは実質的に旧憲法にいいます。戦いを宣し和を講ずるという非常な外交権になるわけでありますが、そういうものが内閣総理大臣に属するということは――各国の憲法を見まして当然でございますが、国の構造の基本として、これは国の元首に属すべきものでございます。たとえば皇帝のあるところでは皇帝、そうでないところは大統領、日本の内閣総理大臣は行政府の長官でございまして、決して国の元首ではございません。非常に大きな国家的構造におきます革命が行われておるわけでございますが、そのことに対して長官はお気づきになつておられるかどうか、それをどういうふうに解釈しておられるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  196. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいま穗積君の御質疑を承つておりますと、自衛隊の最高指揮権を元首たる天皇に持たしてはどうかというように受取られるのであります。
  197. 穗積七郎

    穗積委員 そうじやありません。そんなことを言つていませんよ。
  198. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 そう受取られるのです。日本は総理大臣が行政府の長であります。行政権は総理が代表しておるのであります。その総理にいわゆる軍隊の最高指揮権を持たせるのは、私は妥当であると考えております。
  199. 穗積七郎

    穗積委員 行政府の長官でございまして、これはまつたく予想せざるところだと思うのです。それではちよつとお尋ねいたしますが、あなたはやがて軍隊が戦力に及んだ場合は、憲法改正の必要を認められるかどうか。その場合の統帥権をあくまで内閣総理大臣に置かれるつもりでありますかどうですか。
  200. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 憲法の改正の時期、いつたるやわかりませんし、その憲法の改正の方法いかんにもよることでもありましようが、私は現段階において、日本の自衛隊の最高指揮官は総理大臣であつてよろしいと考えております。
  201. 穗積七郎

    穗積委員 これはよろしいとあなたがお考えになつても、それよりほかに持つて行くところがないからそれへ持つて行くということであつて、これをもう一ぺん国の基本的な構造または基本渋の立場から見ますれば、内閣総理大臣というものはそういう性格のものではございません。そういう性格のものに、今言いました統帥権または外交権というものを与えるということになりますと、これは実は多数の暴力によりますまつたくの革命でございます。そういうことが事実行われつつある。そういうことについて長官は一体どういうふうにお考えになつておられるか。その所信を承つておきたいのです。
  202. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 さようなことについては私はお答えいたしません。
  203. 穗積七郎

    穗積委員 それでははなはだ私は不本意でございまして、その誠意を疑わざるを得ないのでございますが、お答えにならぬというなら、暴力をもつてやるわけにも行きませんから、やめておきます。  ところでもう一点憲法との関係でお尋ねしたいのは、吉田さんは戦力なき軍隊と言われた。あなたも今の自衛隊は軍隊と認める、しかしそれは戦力ではないと言われたのですが、その場合における戦力というのは、憲法第九条にいいます「陸海空軍その他の戦力」の戦力の意味でございますかどうですか。
  204. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その通りであります。
  205. 穗積七郎

    穗積委員 そこで法制局長官にお尋ねいたしますが、第九条にいいます「陸海空軍その他の戦力」というのは――軍隊は戦力ではないと言われるが、それ以上の戦力という意味では決してないと思うのであります。「陸海空軍その他の戦力」というのは、軍隊に至らざる戦力、実力部隊、そういうものを含むのであるというのか。あなたもお見えにならなかつたと思いますが、高辻部長は政府の解釈としてそういう解釈をすると言われたのです。ここに大きな矛盾があると思いますが、長官はどういうふうにお考えになりますか。
  206. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 憲法第九条二項の戦力は、たびたび申し上げておりますように、陸海空軍たる戦力その他の戦力でありまして、結局は戦力ということに達するか、達しないか、これがけじめであります。それが内乱のためであろうと、あるいは、外敵防禦のためであろうと、そういうレッテル、看板には憲法はとらわれておらない、あくまで実力そのものを恐れておるということをたびたび申し上げておるのであります。
  207. 穗積七郎

    穗積委員 実力そのものの量並びに質についてでございますが、陸海空軍はもちろん、そういう意味でございますならば、明らかにすでに憲法に違反しておる。さらに憲法の解釈上問題になりますのは、戦力は陸海空軍より以上の内容、量的、質的のものを持つた戦闘力、実力部隊であると解釈されるのであるか、それ以外の戦闘力のことを意味しておるのかどうかということであります。
  208. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 陸海空軍の名前にとらわれることは、憲法解釈の態度としては佃ら意味がないのじやないかと思います。陸海空軍といつてそれが任務となつてつたところで、どんな小さい部隊でも考えられるわけであります。そういう名前とか、任務に憲法はこだわつておるのではないので、実力そのものに恐るべきものがあるのじやないか。そういう点にかけて禁止いたしておるのじやないか。それで説明は尽きております。
  209. 穗積七郎

    穗積委員 戦力というのは軍隊より上ですか、下ですか。
  210. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 戦力と軍隊と比べて批評するのはおかしいのでありまして、戦力は戦闘力と申し上げてよいでしよう。近代戦を遂行する実力ということに尽きるのであります。この実力はよそと戦うための任務を持たせれば軍隊という名前をつけてもよいでしようし、内乱に対処するというならあるいは警察予備隊とか、いろいろの名前がありましよう。そういう名前や任務は問題にならない。それを問題にしておつたら憲法の解釈ができないというのがわれわれの態度であります。
  211. 穗積七郎

    穗積委員 そういう詭弁を弄されましてこれを押し切ろうということでははなはだ不満足でございまして、法制局長官としては政治的の立場をとらずして、客観的、合理的に法の解釈をさるべきときである。しかも憲法制定の当時から関係当局におられた長官が、そういう時の権力に迎合するような解釈をされておられるということは、はなはだ遺憾でございますが、これは直接この法案内容とは関連がございません。根本に触れるので、念のために伺つたのでありますが、私はそれに満足せざる意思を表明いたしまして、この問題はまたほかの機会にお尋ねいたしたいと思います。上塚委員長 これにて本法案に関する質疑は終局いたしました。  この際お諮りいたします。本日午後三時より再び委員会を開き、米国援助資金の問題について末永大祐君を参考人として招致し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 上塚司

    ○上塚委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。  これにて暫時休憩いたします。    午後一時三十八分休憩      ――――◇―――――    午後三時二十八分開議
  213. 上塚司

    ○上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  米国の対日援助資金に関する問題について参考人末永大祐君より意見を聴取することといたします。この際お諮りいたします。本問題につきましてこれより秘密会を開きたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 上塚司

    ○上塚委員長 御異議がなければさよう決定いたします。      ――――◇―――――   〔午後五時一分秘密会を終る〕      ――――◇―――――
  215. 上塚司

    ○上塚委員長 これにて秘密会を閉じます。  末永参考人には長時間にわたつて有益なる御意見を開陳していただいてまことにありがとうございました。委員長より厚くお礼申し上げます。  この際お諮りいたしますが、本日の秘密会議の記録は秘密を要すると認められますので、衆議院規則第六十三条によりましてこれを印刷配付いたさないことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 上塚司

    ○上塚委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後五時二分散会