○加藤(勘)
委員 その点については見解の相違になりますから何とも言われませんけれども、前書きなりあるいは附属書において表明をする場合に、
アメリカの保障によ
つて、
アメリカのかれこれによ
つて日本が派兵するとかなんとかということを言えば、
アメリカの保障ということで独立国の主権を侵害されるということになりますが、前書きなりあるいは附属書において、「
日本政府は」と、
日本政府を主体として、そうして、
日本政府は、この
協定のいかんにかかわらず、海外派兵の義務は負わないとやれば、どこからも主権を侵害されるようなおそれはひとつもないと思います。これはまあ見解の相違ということにな
つて、いつまでた
つても議論は並行して進まないと思いますから、われわれはそういうことが
条約締結の途中において、もう一歩深く
考えられたならば、今日この問題に対する
国民的疑惑と不安を取除くことに成功したのではないかと思いますが、それは今日にな
つてできないとおつしやれば、当事者である
政府の
考えであるから、われわれはそれ以上議論をしても切りがないと思います。これは議論にな
つてしま
つてはなはだ残念でありますけれども、われわれはそういう
意思をはつきり持
つておる。決して
日本の主権が侵害されることなく、むしろそれを規定することによ
つて、
日本の主権は一層この相互援助
協定の中においても明確にされるということを強く
考えておるものであります。
次の
質問は原子爆弾の問題についてでありますが、原子爆弾、
水素爆弾等を含んで今日では米、ソ、イギリス等において――数の問題は別としまして、これらの国々が確実に保有しておることは、
世界公知の事実とい
つてもよいと思うのであります。イギリスのことは大西洋と太平洋と遠く離れておりますからしばらく別にしまして、米ソ両国の原子爆弾について、私ども
日本国民は無関心でおるわけには参りません。今後これが
兵器として利用されることが絶対にないように私どもは念願するのでありますけれども、現実に原子爆弾が保有されておるとするならば、これの使用いかんについては非常に大きな関心を持たなければなりません。もしこれが先般のビキニ島におけるように、太平洋のまん中で実験される、あるいは中央
アジアかシベリアか知りませんが、そういう不毛の
地域において実験されるそのたびごとに、今度のビキニ環礁における実験のように灰の中に放射能が含まれて、それが
日本にも飛来し、あるいは
日本まで来ないにしても、その付近の住民の生命を脅かす、あるいはそこの海に泳いでおる魚を襲う、そうしてその魚を食えば同時に放射能によ
つて冒されたと同じ症状を呈する、こういうことになりますと、
日本は原子爆弾なり
水素爆弾なりの偉力が増せば増すほど、恐怖にさらされなければならないわけであります。そういうことに対して当然
考えられることは、現有原子爆弾その他の殺人的な
原子兵器というものが使用されるような国際情勢をつくり出すということについて、ぜひこれをとめなければならぬことは言うまでもありませんが、この使用についてどういう手段によ
つてこれを制限することができるであろうか、原子力というものを
兵器に使用しないで、何か人類の文化を向上せしめるような平和的なものに利用することが
考えられはしないか、現在あるものは何らかの
方法によ
つて、一国が単独で自分のものだからか
つてに使用するということでなくして、
国際管理に移して、国際的な
協定のもとに、人類に
被害を与えないような
方法で保存するというようなことについて
考えられるわけでありますが、これらの点について
政府は先般のビキニ
水爆か
原爆かしりませんが、その実験の結果として、現実に
日本国民が第三次の
被害を受けておる実情から見て、何らかの措置を講ずべきであるとお
考えにな
つておいでになるか、あるいは単に
被害を受けた漁民諸君の救済なり治療なりあるいは船舶その他の
被害物件の補償くらいで済まそうとされて、今後の問題については何も
考えておらぬ、ただ対症療法を
考えればいいというお
考えでおいでになるか、この点をひとつはつきりお聞かせ願いたいと思います。