○須磨
委員 まさに私の懸念おくあたわざるお答えを得たのでございますが、これは
アメリカ側といたしましては、最も重要性をも
つて置いたモデル中の一文だと思うのであります。それをわが当局においてお気づきにならずにおられるということについては、無限の憂慮を覚えるものであります。と申しますことは、ここにあります、
日本にあ
つてアメリカにないもの――
アメリカは世界で知られる富裕国でございます。わが
日本は世界で知られる貧乏国かもしれませんが、世の中は非常にかわ
つているわけであります。かわ
つて来ておりますのは、私どもが今回の予算にも出しました原子炉の問題についても御承知の
通りでございますが、いわゆる原子力であります。このことにつきましては、さようなお答えもございましたから、一応私の研究を述べまして重大な御関心を喚起いたしたいと思うものでございます。この中で
アメリカは当然
考えられるものはタングステンでございます。タングステンが
アメリカにはございませんで、モリブデンをも
つてアメリカはこれを補充いたしておりますことは、天下公知の事実でございますが、いかに大
米国といえどもなくて困
つているのは、今の原子力に関連いたしますウラニウム、ジルコニウムその他の放射性の元素でございますが、これを出しますものは、すなわちレヤー・メタルとして知られます稀少物資でありますが、これは
アメリカはあれだけ広くてもどうしてもない。非常に探しまして、最近に至りましてはカリフオルニアの南の湾に出たのでありますが、これは非常に悪質なもののようで――と申しますよりも、ピユーリテイと申しますか、その純度が非常に低いのでございます。しかるに私が聞いておりますところによりますと、きようは内容を申し上げる自由を持ちませんが、私はか
つて広東に総領事をいたしておりますときから聞いておりました。今から十七年前のことでございますが、わが国、福建省、海南島、これに連なるこの一帯の地帯というものは、かような放射性のものに富んでいるということが、つとに実は目をつけられてお
つたのでございます。敗戦の結果
日本に何があるかといえば、このレヤー・メタルを見つけることであるということを私は常に心に入れてお
つたのでございますが、驚くなかれ、
日本には世界のどこにもない良質のウラニウムがある様子でございます。かような
意味をも
つてこの条文を読みますときに、実に戦慄を覚えざるを得ない感がいたすのでございます。元来このようなモデル
協定の中に、かようなモデル・アーテイクルが設けられたのは、まことに
アメリカが先を見て、利益を持つた
一つの条文でございます。それにわが
日本が気づかないでおるということにつきましては、ひとり
アメリカにおける
関係のみならず、
日本の外交をこれから遂行なさいます御担当の皆様御当局に対しましては、私はいささか失望せざるを得ないものでございます。われわれは国小さく
なつたといえども、これほど貧乏になりましても、かような稀少物資において富裕国になるかもしれない、これがわれわれの外交の抱負でなければならぬと思うものでございます。これにつきまして申し上げたいことは、元来このウラニウムから出ます元素につきましては、
アメリカでは二三五と名前をつけておりますが、これは一〇〇%のものでありまして、ピユーリテイの実にいいものであります。これは原子爆弾、水素爆弾の原料となりまして、
アメリカでは格納庫に入れて、特に秘密に保存しておるものであります。その次に、質度の悪いもので九九・五%というものがあるのでありますが、これは二三七という名前がつけられておるのでございますが、さような爆発性のある実にたつといものが、わが
日本にある様子であります。さらにこの二三七と称せられる
産業用、技術用その他
経済用に使われ得るところの、平和的
産業に役立つものも豊富にあるらしいのでございます。そうしますと、ここにわれわれの実に驚くべきことがございます。かような
規定のもとに――実にこれは用意された条文でありますが、向うで思うような合意されたる期間、合意されたる数量、合意されたる
条件でもらいたいと書いてあるのであります。これほど綿密な用意のあることを知りますときにおいて、私はここに注意を喚起いたしたいのは、こういうものを執行される場合においては、実はこれはほんとうを言うとこういう条文をつけるならば、これに
付属書をつける、あるいは何か議定書を必要とすると思われるくらい重要なものでございます。そして今申しましたピユーリテイの高いものはやらない、ということは、昨日の本
委員会においても問題にな
つたのでございますが、この原子爆弾によ
つて三回が三回とも、わが
日本だけが、人類の中で一番最初に犠牲にな
つたのでございますから、さような爆弾用に使いますものは一切輸出しない、かような意思をはつきり示すことも
一つでございます。さらにまた
条件といたしましては、平和
産業用に使われますような原子力を、
つまり二三七に当りますものを反対給付として
日本が受けるにあらずんば、かようなものはお渡しいたしませんということを言うのも、私はりつぱな
条件となろうと思うのでございます。私のつたない研究でございますが、この二三七のごとき平和
産業に用いられるものが、もし二百トンわが国に生産ができ、もしくは二百トンわが国に輸入ができることになりますならば、
日本の電気は水力、火力を問わず、全部いらなくなるというような驚くべき動力であるのであります。かようなことを
考えあわせまして――私は本条を置いたことに文句を言うものではございません。これを遂行することにあたりまして、私のような門外漢が言うことは非常に私はおこがましく思うものでございますが、さらにこのことの専門家等も集中せられましてこれを御研究に相なり、これらに対する
条件をとくとお
考え置きを願いたいと思うのでございます。特に申し上げたいのでございますが、わが国にかような鉱石がありといたしました場合において、
日本の鉱業法という法律におきましては、これが明記されておらないのであります。ウラニウムだとかチタニウムとか、そういうような元素の名前はないのであります。従いまして鉱業法のいわゆる鉱種として指定はできないために、今これをやるといたしますと、採石法でございますか、そういうふうなものによりまして、暫定的な
措置として、土砂扱いにこれを指定するしかいたし方ない国でございますが、かような
措置も
政府におきましては内政的には急いでとる必要があるわけであります。私の
考え方といたしまして、この
MSA協定の中で最も重要な問題をお気づきにならなかつたことを重ねて遺憾に思う次第でございます。同時にこれを今後わが国が、内にも外にも十分な効力を発揮されるような御解釈と御適用のために、万全をお尽し願いたいと思うのでございます。これを希望として申し上げるのみならず、私のただいままで申し上げましたことに対しまする御所見でもございましたら、
関係のお方々から承りたいと思うものでございます。