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松前委員 そのほか問題は現在の患者の病状あるいはまた船体の科学的な被害の分析、こういう問題に対して
政府は
責任を持
つて調査報告をしてもらいたいと思うのでおりますけれ
ども、これは外務大臣の所管ではありませんから、一応保留をいたすことにいたしまして、次の問題に移ります。保安庁長官の御出席を求めておきましたけれ
どもおいでになりませんので、保安庁長官の御
答弁をいただきたい分は、また後日に留保させていただいて
質問をいたすことにいたします。
先般予算
委員会において私が外務大臣と副総理にお尋ねをいたした問題であります。それは今回投ぜられたる爆弾は、大体距離にして広島の爆弾の半径十倍の強さを持
つておるのであります。すなわちこれをも
つていたしますれば、当然大体三十二キロメートルの直径の
範囲が殱滅されるという爆弾でありますから、たとえば関東地方に一発落しますれば、大体関東地方は片づく。こういうふうな偉大なる力を持
つた爆弾であることは大体想像がつくのであります。このような強力なる爆弾というようなものを中心として新しい歴史の時代がここに生れて来た、こういう見方を私
どもはしなくちやならぬと思うのでありますが、これに対しまして先般外務大臣にいろいろ御
質問をいたしました。すなわちこれも予算
委員会でいろいろ
質問に
なつた、その後においても
質問されたものでありますけれ
ども、あるいは
原子力の
国際管理だとか、このような問題を通じまして外務大臣はあまり熱意のない
答弁をなす
つたのであります。しかし私は、このような
原子力の時代というものは、人類の歴史上いまだか
つて遭遇したことのない新しい歴史時代でありまして、人間は戦争はしない、平和の時代を欲し、しかも世界の平利を望むということを常に口にしながらも、その裏では刃をといで戦争の準備をして来たというのが、人類の長い歴史の悲劇であ
つたと思うのでありますが、こういう偉大なる科学的なエネルギーがここに出現いたしました後におきましては、好むと好まざるとにかかわらず、人間は戦争をしてはいかぬ、相手だけを殺して自分だけは生きておろうということはできなく
なつた、このような時代が訪れておるということだけは認識してかからなければ、あらゆる
意味において国の運営を誤るのではないかと思うのであります。この点につきまして外務大臣のこの前の予算
委員会の御
答弁は、いかにも
原子力の問題を対岸の火事のような、まことに冷淡な見方をも
つてごらんになり――アイゼンハウアー大統領があのような提案をいたしまして、そうしてマレンコフがこれに応じて、ようやく何か軌道に乗りかか
つておるような感じがしておるのが現状であり、またパートランド・ラッセルのごときは、いろいろ紆余曲折はあろうが、とどのつまりは、いわゆる
国際管理の方向に向
つて世界はおもむくものである。そうしてそこで話合いによ
つて一つの管理機構ができて、その管理機構の
原子力を持
つた大きな力によ
つて、国際間の問題は片づくような秩序が必ず生れるであろう。その間において問題になるのはこの管理機構の問題である。
国内は警察力をも
つてとどめる、そうして国際問の問題は、
原子力の
国際管理機構によ
つて片づけるというような必然的な態勢が生れた、これが今日であるというのでありますから、そこに当然
国際管理の根本問題に対してどうあるべきか、わが国としてはどのような態度をも
つて臨むか。しかも
日本は御承知のように平和憲法を持
つておる世界唯一の国でありますがゆえに、最も発言権の強い
立場にあると私
どもは思うのであります。その発言権と、しかもまた広島やその他長崎で原爆の洗礼を受けて、世界の人類のうちでた
つた一つ日本だけが原爆の洗礼を受けた国であります。しかもまた今度
ビキニの環礁においてあのような悲劇にあ
つた。二度も三度も受けておるこのような事実の前に、私
どもは厳粛に新しい歴史の時代の到来と、そうして
日本の将来のあり方を考えなければならないと思うのであります。この
意味におきまして、この前御
質問はいたしましたけれ
ども、あらためてここにこのような半経十マイルにもわたりますところの水爆あるいは水爆であろうと思われるものが落され、関東地方が一瞬にして職滅されるようなこのような科学の進歩の前に、新しい世界のあり方と国の外交のあり方というものが創造されなければならないときが来た、こういう
立場から見まして、外務大臣はどのような熱意を持
つて原子力の
国際管理の機構、それを
日本の平和憲法の
立場からいかに推進して行かれるのであるか、世界の輿論にどのようにして訴えようと思
つておられるのか、その熱意と方法について伺いたいと思うのであります。