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穗積委員 もう一点だけ。だから無理が出るのです。すなわち現在の憲法の中でこういう悪いことをしようとするから無理ができて、どこへもやりどころのないものが出て来る。やるなら憲法を改正してやれ。われわれは反対だけれ
ども、おやりになるなら……。問題は
政策上の問題と、この憲法を守るか守らぬかという問題があるわけなのです。そこで私は
言つているのです。ですから
日本の憲法は当然対外的な
戦争をする
軍隊なんというものは
考えておらぬから、その所属がないのはあたりまえなのだ。ないところでこういう対外的な
戦闘行為をするような
保安隊の指揮権というものをつく
つて来るから、そこで実はやりどころがなくな
つて来て、しようがなしに内閣総理大臣へ持
つて来る。内閣総理大臣へ持
つて来れば、この指揮権というものは実質的には統帥権なのだ、そこで憲法は別といたしまして、国の
政治構造の根本的な革命がこれで行われた。そういうことを私は憂えておるのです。しかも国会も見ず、何も見ないで、そうしてこれが指揮権な持つ。しかもその
関係は
アメリカとの
関係が非常にあいまいにな
つている。
アメリカとの共同作戦の場合における指揮権の所在については、これは協議ということがあるだけであ
つて、さつぱりはつきりしておらない。こういうような状態でこのことなやることは、
政策的にも法律的にもわれわれは認められないということを
言つておるのですから、その点はどうぞひとつごまかさないで、問題をそらさないで、正確に受取
つていていただいて、次の機会にお尋ねいたしますからよくお
考え願います。
そこで最後に一点だけお尋ねいたしますが、これは前に下田
条約局長にも
ちよつとお尋ねいたしましたが、第九条で「
自国の憲法上の規定に
従つて実施するものとする。」とございます、このことは実はこれが国際
条約の文章の中に出て来たところに問題があると私は思うのです。
自国の憲法の
範囲内で
条約を結び、あるいはまた法律をつくり、あるいは行政行為を行うということはあたりまえのことであります。それを
条約の文章の中に書いたということになれば、そこで私がお尋ねいたしたいのは、こういう文章を
アメリカとの、お互いに
義務と権利を持ち合う
条約文の中に書けば、どこまでが合憲的な法律であり行為であり、どこから先は違憲であるかという判断について、
アメリカとの間に解釈の流一をする必要が生じて参ります。たとえば
アメリカ側が共同作戦のために、
日本の自衛のためだということで、そこでこの間の問題のように元山の上陸作戦、二十五年の上陸作戦に兵隊を出せという命令を出した。これは明らかに違憲だ。だから当時の良心的な指揮官の一人は辞職しておると聞いております。その
程度ならまだしも、それがだんだん拡大して行
つた場合にそれを要求する、そのときに
日本は、これは憲法に反しますからこれ以上のことはできません。そこで
アメリカは、そんなことはない、
日本の憲法はかくかくであるから、まだこのことはできるはずである、お前は国際法上の
義務を怠るものであるという要求が出される危険があるわけです。すなわち憲法の解釈に対して、もとより当然法理的にいえば、憲法の解釈は
日本の自主的な
国民の判断すべきものであ
つて、外国が関与すべきものではございません。しかしながらこの行動が合憲であるか違憲であるか、
アメリカとの間に共同作戦でとる行動が――その他の場合でもよろしゆうございますが、
アメリカとの間において話し合
つた行為なり法律が合憲であるか違憲であるかについて、この九条をたてにと
つてアメリカはこれは合憲の
範囲だとわれわれは解釈するという、非常な
政治的な――法律的には問題ですが、
政治的なインフルエソスを持つし、同時に、国内渋としての憲法解釈には
アメリカは関与できませんが、国際
条約上のこの条文に
従つて、憲法の
範囲内であるかないかについての判断に対して、
発言をすることができるようにわれわれ解釈するのですが、そうなりますというと、これは恐るべき規定である。
岡崎国務大臣はこういうものをつく
つたから安心しろと言うが、とんでもないことであ
つて、裏をひつくり返せばそういう危険がある。しかもマッカーサーは終戦のときああいう解釈をした。しかも最高のものでありました当時の対日管理方針から行きましても、そういうことはないのに、か
つてにこういうことをやらしておる。そういうことでございますから、その危険をわれわれは感じるのですが、この憲法の解釈権、この条文から生ずる憲法の解釈権について、並びに
アメリカの
発言権について、私は今言
つたような恐れをなすものであります。そこでそれに対する御所見を承りたい。
次いで
条約局長にお尋ねいたしますが、こんな
条約がどこかに例がございますか、念のために伺
つておきます。こんなばかな
条約、条文があるはずがない。