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北委員 私は九州の水害のときにも
保安隊が非常に活動されたことは感謝している。それでそういうふうに地下たびをはいて働く者があ
つて、一朝事あるときにはすぐ出て民衆に貢献するというのは、
日本の元来の兵農一体の主義に合う。国民全体が強くならなければならぬ。兵隊だけ志願兵兵をも
つて保安隊で十六万ぐらい置いても、八千万の人口から見れば微々たるものでありますから、その基礎を養う必要があると思うのです。これは
アメリカあたりはあるいはとつぴな
考えだと思うかもしれないが、中共軍の強くな
つたのはみんな百姓して働いたためである。そうして蒋介石の兵隊よりも徒競争を盛んにやつた。蒋介石はばかにしておつた。自動車があるときには走る必要はないが、夜襲などのときには徒歩の訓練が非常にために
なつた。今では中共軍は
世界の精兵の
一つだと思うておる。たとえてみれば北鮮においては夜になると夜襲で攻めて来るので、
アメリカ軍が困つた。東洋で戦うには
アメリカ的訓練では私は物足らぬと思う。やはり東洋人らしい訓練をやらなければならぬ。この点について
岡崎さんは
アメリカ軍に
意見を聞き、
保安庁長官にも
お話願いたい。やはり国民が強兵の基礎を養わなければとてもだめだ、
武器がよくても一朝事のあるときにはものの役に立たぬ、私はこう
考えます。経済的にも千何百億ですか、これだけでもそれぐらいのことはできる。しかし攻めるという
意味じやありません。それで金城鉄壁の守りをすれば
戦争がなくなるから、私は平和に質献すると思う。私もいろいろ専門家の
意見を剛いたところが、私の
考えに大部分賛成してくれるのです。特殊の機械を操縦する者は朝から晩までフルに働く、そうでない者は一時間ぐらい訓練すればいい。剣道でも柔道でも二時間も熱心にやれば五、六年もたてば五段くらいにはなれる。鉄砲撃つのにはあまり時間はいらぬと思う。私は
日本にと
つてはぜいたくな
保安隊だと思う。
その次に、
日本も
独立国にな
つて軍備をだんだん持つようになる以上は、やはり
アメリカも
日本に対してもう少し認識を改めなければいかぬ。たとえば戦犯者のごときものをこの際MSA調印を
機会に解放する。昨年ルーズげエルト夫人が議会に来られて、議会の諸君がみな話された。衆議院議長や
参議院議長はただお礼ばかり言
つておりましたが、私は腹にもよいとすえかねたから最後に一言した。
アメリカの
日本に対する政策は三階段ある。一階段はリヴエンジ、復讐だ、第二階段は
アメリカ流のリフオーム改革だ、第三階段は、
アメリカ流ばかり押しつけてはいかぬから
日本の立場から復興しよう、リヴアイヴアルです。今リヴアイヴアルの時代にな
つておる。リバエンジの時代の国際裁判は無効たというくらいの
考えを持
つてくれないか、ルーズヴエルト夫人も色をなして、戦犯のことは詳しく存じません、帰つたらば戦犯解除に協力いたしましようと明書して帰りました。
アメリカは露骨にいうと三R政策――リヴエンジ、リフオーム、リヴアイヴアルです。このリヴアイヴアルの階段に来たのであるから、巣鴨の諸君は
アメリカが率先して解放したらよかろう。現に巣鴨におる
佐藤賢了、橋本欣五郎、鈴木貞一君など比較的若い諸君は、自分らは一生ここにお
つてもよろしい、老人の戦犯者あるいはB級、C級の戦犯者はみな解放してもらいたいと言
つておる。今村均大将は、われわれの責任であるからり級、C級の戦犯はみんな解放してもらいたい、私は一生ここにおると言
つておる。例の、ラバウルに監禁されなくてもいい、
日本におれというのを進んでラバウルに帰つたぐらいの将軍ですから、今巣鴨では一番人望がある。そういうように責任庁を引受けて自分らは一生おるが、B級、C級は解放してくれ、こう言うておるのであるから、その気持ぐらいは
アメリカに知らして、そうして旧軍人の誤つた心得で
戦争をやつた人も解放して、日米協調して
日本の国家を安全にするように貢献するべきだと思う。
それからもう
一つ、社会党の諸君は沖繩、小笠原を返せと言
つておるが、これももつともだ。ヤルタ
会議の決定は大統領の僭越であ
つて、
条約のごときものであるかち、上院の
批准をせずしてシークレリト・アグリーメントである、共和党の諸君にはあれを否認せよという
議論が非常に強かつた。ところが、十八年十一月だつたと思いますが、カイロ宣言では、
アメリカは沖繩、小笠原島をとる意思はなかつた。ヤルタ
会議のときにロシヤに樺太、千島をくれたものだから、自分らもとり始めた。それだから中共とソ連の東洋における脅威の続く限りは保有しておく、これがやんだからただちに
日本に
領土権を認め管理権を認めるという宣言くらいは、
MSA協定にや
つてもらいたい。戦犯の解放をやり、さらに小笠原、沖繩の条件付解放を宣言したらば、
日本人も感謝するし、日米の心からの
協定ができる。今
アメリカは
日本を占領してそのまま居すわ
つてお
つて、そして
MSA協定だというならば、
日本は明らかに満州国待遇です。満州国を
日本が占領して匪賊を平定して、満州皇帝を置いて、そして日満議定書を設けて、外交と軍事の権力は
日本の手に収めた。ただ
アメリカが
日本の関東軍
関係よりはるかにまさ
つておるのは、満州国には日系官吏が充満しておつたが、
日本に米系官吏がおらない、これは非常に正しいことであり、
日本の好感を寄せる点でありますが、その点を除けば、日満議定書における満州国の独立と同じようなものです。上院のコナリー
委員長らが、民主党の時代に、
日本の
防衛は
アメリカの
権利であると主張した。彼らは
権利だと
思つておる、義務だと
思つておらぬ。だから日米安全保障
条約には義務だという条項は
一つもない。現にMSAのことについてもダレスはこう、言うておる、プロモード・ゼ・
アメリカン・フオーリン・ポリシー、
アメリカの外交政策をプロモートする、助長するためだ、さらにまたフ
イランスロピイではない、慈善事業ではないということも言
つておる。
日本を保護することは慈善事業じやない、要するに
アメリカの安全を第一に
考えて、付随して
日本の安全をはか
つてやろう、
日本がロシヤの手に入つたら危険だから離さないというだけだ。だから、
日本も
アメリカの利己心に貢献しつつあるのであるから、
日本の利己心も大いに発揮して、正しい、調整点を見出すべきものではないかと
考えます。それであるから、沖繩、小笠原島を中共からの
侵略の脅威がないときには解放する、戦犯者はただちに解放するというだけの
措置を講じてもらいたい。現は私今村大将に会つたらば、今村大将は、オーストラリアの監獄の主任の奥さんのお父さんが元
日本の名誉領事で、
日本に対して非常に好意的で、ドイツが先に戦犯がなくなれば、人種的な差別として攻撃されるから、
日本の戦犯もなくなると言
つておつた、だから
日本の
外務省はドイツの戦犯問題解決に力を注いでもらいたい、こう言うておる。これはつい先月の話です。
日本とドイツは同じ待遇に苦しんでおるのであるから、ドイツの戦犯が解除されれば、
日本の戦犯も解除されると思う。
岡崎外務大臣は外交の手腕はなかなかすぐれておると私は信じておりますから、米国や英国に働きかけて、ドイツ戦犯も一日も早く解除するようにや
つてもらいたい。そうしないと、
戦争に負けて、征服されたままで居すわられて、それで
条約を結ぶということになると、何となく保護国のように思われる。満州を
独立国だというくらいの
意味である。だから満軍あたりは
日本の
軍隊の旗色が悪くなるとすぐ寝返りを打つた。蒋介石の軍に寝返りをたないで共産軍に寝返りを打
つている。江兆銘側も共産軍に寝返りを打
つておる。これは蒋介石のやり方が下手だつたためである。だから
戦争というものがもし起きたときには結果はわからぬ。
日本はドイツが勝つと思つたから
戦争を始めた。陸軍の諸君に聞いてみると、ドイツが勝つと
思つておつたと言う。今は米対ソでは
アメリカが勝つとばかり
思つておる。
アメリカが強い、そうすれば、またドイツにたより過ぎたと同じことになる。
日本は自主的に、もう少しはつきり
アメリカに
考えを言うたらよかろう。ことに中共貿易の制限。これはイギリスが中共やソ連と貿易をしたが
つている。イギリスがやりたがるのだから、
日本はもつとやりたいはずである。木材のごときは二十年もたてば切り尽してしまう。ソ連から木材を入れなければならぬ。中共との貿易は、善隣だからやるのがあたりまえだ。共和国のときにも親交を保
つておつた。共産国にな
つて資本主義体系の国と貿易ができない。こういうことならば、もう少し
アメリカに反省を促して、
日本の外交の自主性を取返してもらいたい。これは私の希望でありますけれ
ども、
岡崎外務大臣の御
答弁をいただたきたい。