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岡崎国務大臣 明確に
お答えいたします。
穗積君のおつしやることは、自由圏諸国の競争が激化しているのだから、なぜ
中共あるいはソ連と
貿易をしないか、また手近な
中共には鉄や石炭や塩や大豆等がたくさんあるので、それを買
つて来れば
コストが引下るじやないか、それをなぜやらないか、こういう
お話だろうと思いますが、りくつから言えばおつしやるような点は確かにあります。ただ、私が今まで見たところによりますと、
中共側でもなかなかその点で
——もちろんりこうですから、こういういい原料がここにあるのにこれをなぜ買わないか、ばかじやないかとい
つてや
つておりますけれども、いざそれを買おうとしますと、いやそれはAのカテゴリーに入
つているのだから、
日本からAのものを持
つて来なければ売れない、いやそれはBのカテゴリーに入
つているのだから、
日本からBのものを持
つて来なければ売れないというわけで、Cなんかに入
つているものは、
日本でほしくないものばかり入
つている。ところが、AとBに対するバーターの対象は、ココム等で禁じているものをみな入れている。
従つて、
日本がほしいと思うものを買いたければ、そういう禁制を破
つて貿易しろ、こういうような議論にな
つて来るようでありますから、おつしやるようなことはなかなかむずかしいのであります。それからまた、現実に今度は商取引としてみますと、たとえば石炭なども、
先方は労働賃金等が非常に優遇されたためかどうか存じませんが、品質、つまりカロリーを計算してみますと、
中共から買うよりは
アメリカから買つた方が粘結炭なんか安いという
結論にも、今まではな
つておるようなわけでありまして、おつしやるように、必ずしも
中共から
中共の言い値で買
つて来て
コストが引下るとも思えないのであります。地方自由諸国の経済の問題につきましては、これは経済の
状況でありますから一進一退はあります。年百年中百年二百年と続いて
景気がずつと上昇して来るということはありませんからして、一時
景気の
後退することもあり得るわけでございますが、長い目で全体を見れば、
後退してもまた上昇し、
後退しても上昇して結局は上昇のラインをずつと通
つて来ておると思
つております。
従つて今あるいは今後に
景気が
後退するであろうという予想のもとに、自由主義諸国の経済はもう行き詰まりであるという
結論は、
ちよつと私はどうかと思います。そういうふうなわけで、
中共貿易につきましても、ソ連との
貿易その他共産圏の
貿易について、われわれは決して禁止しておるわけでもなければ、また同じ共産国でも、これは違うと言われますかもしれませんが、ユーゴなどとは特にいろいろの点で協力してやっております。ただそういうようないろいろの、
先方にもある程度のわくがある。それをくずそうとはされないで、
日本の方でわくをくずして来い、こう言われますが、
日本の方も国際的な話合いもありまして、輸出
制限等についてある程度のわくはあるわけでありますから、その範囲内では共産圏との
貿易もやりますけれども、今のところ非常に
期待のできるようなところには行っておりません。