○
真田説明員 昭和三十
年度運輸省基本政策のうち、
自動車関係の分について御
説明いたします。
自動車関係といたしましては、三ページの
交通網の
緊急整備に関する
方策のうち、二の
大都市における
旅客輸送力の
増強整備、そのうちの一、
自動車でございます。2、
ターミナル・
パーキング施設、それから三の
自動車輸送力の
整備。それから六ページにございます、これは
企業の
合理化に関する
方策のうち、四、
自動車。それから
災害防止並びに
交通安全の
確保に関する
方策のうちの八ページの裏にございます、一、
自動車検査の
完全実施、二、
自動車賠償責任保障制度の
確立、これだけに
関係がございますが、御
説明申し上げますのに、やはりこの順序によ
つて御
説明いたしたいと存じます。
お
手元に
資料も配
つてあると存じますが、
大都市における
旅客輸送力の
整備の問題でございます。この問題は、特に
通勤通学の
輸送難を打開するためということに
重点があると存じておりますが、
自動車は、そういう面ではむしろ補助的な
役目を果しているわけでございまして、そういう面では、
自動車が協力いたします
役目と申しますか受持ち範囲は、お
手元の
資料の一にございますように、郊外から
都心へ直行しております
バス等につきましては、その系統と
運行回数を
増強して行きたい。これらの
増強することによ
つて、
通勤輸送等の
緩和に資したい。それから
鉄道、
軌道との
連絡輸送、たとえば新宿とか渋谷とか池袋のような、
バスと
鉄道の
接続点にな
つておりますところの
連絡輸送を円滑にや
つて行きたい、こういう面から
都市の
通勤通学者の
輸送について
輸送力を
整備して参りたい、こう
考えておるわけでございます。
それから次の
ターミナル・
パーキング事業の
助成でございますが、最近の
バス、
トラック等の非常な
発達に伴いまして、この
事業相互間、あるいはこれらと他の
交通機関との間の
連絡輸送をうまく調整して参りますために、どうしても
ターミナル・ステーシヨンがいる。これも主として
大都市の付近の問題で、ございますが、また最近の
都市内におきまする
交通輻湊を
緩和するためにも、パーキング・プレースを設けて、この
交通不要をできるだけ除きたい、こういうふうに
考えているわけでございますが、これらの
事業をやりますためには、いずれも
都心に設けなくてはなりませんために、土地の
確保がなかなか困難でございますし、またこれを
運営して参りますのも、単に
交通利用者からとりますところの料金その他からでは、とてもまかない切れないような
状態でございまして、ある
程度の
助成措置を必要とするのではないか。そうでない場合には、何か総合的な
経営をやらして、全体としてペイするような形に持
つて行かせる、そういつたことを
考える必要があると思
つているのであります。
それから次の
自動車輸送力の
整備でございます。これには
輸送力の
整備と申しましても
道路事情を主としてあげてございますが、この
輸送力の
整備ということは、
車両と
燃料と
道路の
整備、この三つから来るわけでございます。
燃料の問題につきましては後ほど
企業の
合理化という点で御
説明するつもりでございますが、実際には
外貨によ
つて得ておりますところの
燃料の量の絶対数をふやすということは、当然この
項目に入るわけでございます。その
監督の面につきましては直接
自動車の所管でございませんために、その
政策要綱からははずれておりますが、われわれといたしましては大いにその
確保のために努力する覚悟でございます。それから
道路の状況は非常に悪いのでございまして、
府県道以上の
幹線道路というところでも、
改良済みのものは大体二〇%
程度、そうして舗装されているものは五%
程度にしかすぎないというような
状態でございます。この八月ごろでございましたか、
道路法に基き
道路との
関係における
車両の制限に関する
政令という
政令の案につきまして、
建設省の方から御相談がございましたが、その
案そのものは非常に
けつこうな案なんでありますが、非常な理想的な
道路を想定して案を立てられている。将来こういつた
道路をつくりたいのだという
整備計画としては非常に
けつこうだ、しかしながら現在の
道路の
現状はそこまで
行つてないために、もしその
案通りで参りますと、おそらく現在の
バス路線の七、八十パーセントまではこの
政令にひつかかる、だろうということで、何か
緩和方法なりあるいは
実施時期について考慮していただきたいということを
建設省の方にお願いしておりますが、いずれにしましてもそういつたような
道路の
状態でございますので、何とかして早く
道路を
りつぱなものにしていただきたい、こういうことで
建設省の方にお願いしているわけでございます。お
手元の表の3に
道路費調べというのがございまして、
道路費の
関係もここにあげてございますが、本
年度は
道路費として二百三十七億計上されて、その三分の一が
地方に渡されている。しかしながら本
年度確保いたしました
石油の量は二百四十万キロ
リッターという
予定でございますので、これで行きますともつと
道路費に
経費をかけていだだいても、
揮発油税で得ていただいたものでまかなえるのじやないか、こう
考えておりますので、
そういつた面からも大いに
道路の
整備について
関係の
方面に折衝しているわけでございます。
それからこれに
高速自動車道について触れておりますが、これにつきましても
建設省の方で主としてや
つておられますので、われわれの方としてはむしろ他の
交通機関との間における
交通調整その他の面から、これについて
考えて行きたいと存じているのでございます。いろいろ
調査事項はあげておりますが、立場は
違つた目から見なくてはならないと思
つております。ただわれわれの希望といたしましては、こういつた
高速道路ができますことは非常に
けつこうでございますが、どちらかと申しますれば現在のいろいろの
幹線道路がまず
整備されることが望ましいのではないか、こう
考えております。
それから七ページにございます
自動車関係の
企業の
合理化で、
自動車用石油使用の
合理化ということでございますが、先ほど申し上げましたように
自動車の
燃料は、九〇%以上
外貨に仰いでおります。本
年度も最初二百五十七万キロ
リッターぐらいほしいのだということでスタートいたしましたが、二百四十万キロ
リッターということでおちつきました。その量が足りなくな
つて、ある
程度の規正をするような
状態を生ずるのじやないかと案じておりましたが、最近の動きは多少ガソリンの
使用量が少くなりまして、この分で参りますならばさほど心配はない。ただこの十月、十一月の
行楽シーズンと申しますか、特に
自動車の動きますときに使い越すようなことがないように、厳重に
注意しているわけであります。一方わくを
確保するだけでなしに、
企業そのものを
合理化したいということで、むだな
石油の使い方をしないようにいろいろと
考えているわけであります。七ページに
項目をあげてございますように、
車両の
運用効率を上げて行くとか、
燃料管理を徹底して行く、あるいは
運転者の
指導をやる、それから車の
整備を完全にやるといつたようなことによ
つて、少しでもむだのないようにや
つて参りたい、こういうふうに
考えております。それから
事業の
合理化の面につきましては、特に
車両の
更新に
重点を置いて行く。古い車を使
つておりますと
経費がかかるばかりで、なかなか能率が上らない。またこれが
事故の原因にもなるわけでございます。ただ
事業を拡張するという面でなしに、古い車を
整備して、車の
更新に
重点を置いて行きたい、こういうふうに
考えております。そのためにはなかなか
資金の
確保がむずかしいものですから、これについてわれわれの方から大いに
援助して参りたい、側面的な
援助でございますが、そういつたことをやりたいと思
つております。
なお、ここに
通運事業者の有する
鉄道貨物後納運賃債務保証機構の
確立とあげてございますが、これは現在
鉄道貨物を
通運業者が送りますのに
後納制度をと
つておるわけでありますが、現在の
後納制度につきましていろいろと満足でない点もございますので、これについてある
程度の改革を加えますことと一緒に、
事業者同士がお互いに保証するような形にして
保証料の引下げを行う、それによ
つて多少とも
事業者の
資金運営に資したい、こういう
考えでこの
制度について研究をいたしております。
それから
最後に
災害防止並びに
交通安全という
項目がございまして、
自動車の最近の
発達が非常に目ざましいわけでありますが、これとともに
自動車事故がどんどんふえてまいりまして、何としてもこの
事故に対する
対策を
考えて行かなければならないということなんでございますが、その
対策の一つは事前の
対策でございまして、他の一つはいろいろの
方策を講じて
事故を
防止しようとしても、どうしても避け得なかつた
事故について被害者の救済をはかる、この二つの
対策でございます。事前の
対策につきましては、まず
車両の
整備ということでございますが、これにつきましてはわれわれの方で
車両検査をや
つております。ところがこれにつきましても相次ぐ行政整理のおつき合いと申しますか、現実に車がふえて参りましても、同じように行政整理を受けたということで、人手が非常に不足して参りました。そのためにいろいろと苦心しておるわけでございますが、できるだけ人もふやしたい。また
設備も機械もふやして、いいかげんな検査をやらないようにしたい。また出張検査をするようなときには、
自動車に機械でも積んで
行つて、出張検査そのものの日取りをできるだけ少くすることと一緒に、機械による検査をや
つて行きたい、こういうことなども
考えております。また
事業者自身、あるいは車を使
つておる人自身が根本的
整備をやると一緒に、実際に車を使うときには異常がないかどうかを調べていただく。
事業の方では信用点検、そういうような名前を使
つておるわけでありますが、そういうようなことをや
つてもらわなければならないと
考えております。それからもう一つは
道路の
整備でありますが、これは先ほど申し上げました。その次は実際の運転について、
運転者の問題でございます。これは一般的に
交通道徳あるいは遵法精神ということをまず植えつけなくてはならないので、ございますが、
運転者の資格その他につきましても、
旅客輸送についてはわれわれの方で経験年数あるいはその年齢についてある
程度の制限を設けておりますが、いずれにしましても採用された
運転者の再教育ということも、ぜひや
つてもらわなくちやいけないと思
つております。このようにいたしまして
事故の
防止にいろいろな努力をいたしましても、なお
事故が起りましたときに、
自動車の
事故による賠償責任を保障する
制度をつくりたい、こういうことで、昨年、一昨年あたりから研究して参つたのでございますが、現在この
制度について
考えておりますことについてお話申し上げますと、
自動車を持
つておる人は全部
自動車に保険をかけていただく、強制保険にしたい。またこれを保険する側も必ず引受けなくてはいけない、強制引受けにいたしたい。従
つて保険に入
つてない
自動車はないのだということにしたいわけなんです。
車両を検査するときにも、登録をしますときにも、必ずこの保険に入
つているという証明をしなければやれないというふうにいたします。またその賠償の責任があるかないかということを挙証する責任を加害者側に持たせる。これは民法の例外になるわけでございますが、そういつたことにしまして、あくまでも被害者の保護に
重点を置いて参りたいと思
つております。しかしながら一方これを強制して保険に入らせるのでございますので、その保険料についてはできるだけ安くしたい。営利的な保険にしないで、営利目的を排除した保険にして行きたいというふうに
考えておりますので、この保険料の決定あるいは保険約款につきまして厳重に
監督して参りたい、こんなふうに
考えておるのでございます。なおこうした
制度でございますので、できれば国の
財政負担をしていただくように、大蔵省と目下折衝中でございます。
なお
基本政策につきましては以上でございますが、一昨日三重県下で
バスの転落
事故がございましたので、ついででまことに失礼ですが御報告さしていただきたいと思います。これは
事業者は三重
交通株式会社でございます。この車は扶桑の普通乗合
自動車で定期
バスでございまして、観光
バスとかあるいはトレーラー・
バスというような話が新聞にございましたが、もしそういう新聞がございましたら、それは誤りでございます。定員は七十四名で、乗車人員は旅客七十一名の乗務員二名、合わせて七十三名で、店員ぎりぎりではございますが、定員以内ということでございます。この
車両検査は九月十一日に済ましております。
道路の状況は七メートルございましたが、先ごろの台風その他で路面が大分悪くな
つておりまして、実際には有効幅員五メートルくらいであろうという報告でございます。前方を走
つておりました三輪車を追い越すために、右側に寄り過ぎたというのが
実情のようでございまして、これは結局
運転者の操縦の誤りということになるのではないかと思
つております。これは実際の裁判を経ないとわかりませんが、われわれの推定ではそうではないかと思
つております。その結果死者十三名、重傷が二名くらいございまして、軽傷が三十四名、こういうふうに報告が来ております。
運転者は経験年数が八年ございましたが、
バスとしては四年八箇月という
状態で、普通の
状態ならばこういつた操縦の誤りをするような経験年数とは思えないのでございます。被害者に対する会社の
措置としましては、お供え物として二万円、それから葬祭料として五万円を差出してある。なお賠償としてどの
程度のものを差上げるかについては、目下いろいろとお話し合い中だということでございます。以上でございます。