○
竹谷委員 今
総裁からきわめて不徹底な、無
責任と思われる
答弁があ
つて、はなはだ残念なのでありますが、今最後に
総裁がおつしや
つたように、
国鉄はこの
洞爺丸事件のみならず、各地にいろいろな交通事故が発生しておるが、これは結局
規程、
指令等によ
つて安全にや
つておる、こう抽象的に申しますけれ
ども、現実にそれが徹底もしておらないし、またや
つてもおらない。これは
鉄道局長や
船舶部長、あるいは
海務課長、
現場の各職員から聞き取
つたことであ
つて、今回の
洞爺丸事件に際して
青函鉄道管理局及びその
現場においては、もしかりに
総裁がさような
指令、
規程等を設けて厳命したのだとい
つても、
一つも行われていないということは明瞭である。もし
総裁から
命令、指示があ
つてもこれをや
つていないとすれば、これは
鉄道局並びに
現場の職員が非常な怠慢、法規に違反する、公共企業体の職員としてきわめて不忠実に業務に携わ
つておる、かように断ぜざるを得ない。問題は、そういう
規程や
指令が昔出たのがあるいはあ
つたのかもしれないが、これは死文にな
つているに違いない。現実にはそういう
規程や指示がないとわれわれは断定せざるを得ない。
台風で船がひどい目にあう、事故も起るというようなことがありましても、
洞爺丸の転覆というまでには、もしこうした
警戒態勢ができておれば至らないで済んだのではないか、犠牲が非常に少くて済んだのではないか、かように感じ、またこの点は
調査団の一行も痛切に感じて、意見の一致を見ている点でございます。これはわれわれは
国鉄当局として重大なる
責任を感じなければならぬ点だと、強く感じておる次第でございます。
次にお尋ねしたいのは、
洞爺丸の
船長が
出港した。これは
船舶の出入港並びに航海は全部
船長の独断専行の職務である、こういうふうに
国鉄当局も言い、また
青函局の人たち、あるいは
船長等も申しております。しかしながら
高見局長は私に言明したのでございますが、
出港をさしとめる権限は
局長にあると
言つておる。
ただ事実上それは
船長にまかして、そういうことはしない、慣習上
出港、入港に関する指示はしない、しかし権限としては法律上あるのだ、こういう言明を最後にいたしております。それは
荒天時に、
船長がきようは危険で出られない、こういうのに、
青函鉄道管理局長が何でもかでも出ろ、こういう権限はないと私は思う。これは
船長に
船舶の安全をまかしている以上、
船長の考えによらなければならない。しかしながらきようは荒れているから、出ない方がいいだろうとい
つて出港をさしとめることは、
青函管理
局長としてさしつかえない。いろいろ法律的に
言つても事実上の問題から
言つても、かように考えるのであります。そこで二十六日に、危険だから出るなということを
鉄道局長として言う権限がある。あるいはそれでも
船長が出るというときには、ダイヤの変更等によ
つてもできる。だからさしとめのできることは間違いない。しかしながら
局長は、その日はさしとめるほどの情勢でなか
つたからとめなか
つたということを
言つておるのです。ところが調べてみますと、終戦直後でございますが、
昭和二十年十二月に今の
青函鉄道管理局長の高見君は
青函鉄道管理部長をや
つてお
つて、同じような仕事をや
つてお
つたわけであります。その当時非常に
海上が
しけた。これは十二月の冬の荒れでございましよう。ところがその際
青函鉄道管理部長であ
つた高見君が、
船長に対して
出港を
要請して、
船長は
ちよつと港外に出たが、荒れてだめですと
言つて帰つて来た、こういう事実がある。高見
鉄道管理部長はすでに今から九年前に、
船長に対して
荒天時にさえ
出港を強要した事実がある。私は、
局長として
荒天時に
出港を強要するという権限はないと思う。荒れたときに出るなと言うことはいいと思う。
船舶の出入港並びに航海に関して安全の全
責任を持つ
船長が、外へ出たら危険だというので
出港しないと言うのに、無理にこれを出す権限はないと思う。だがきようは危険だから出るなという
命令は逆にあり得る。ところがなすべからざる
出港強要を
昭和二十年においてや
つておる。だからきようは荒れて危険だから出るなと、
鉄道管理局長が
近藤船長をとめる権限は十分あることは間違いない。事実の上から
言つてもあると思う、こういう観点から今回のこの
台風の襲来に対しまして、高見
鉄道管理局長が
近藤船長の
出港に対して見合せの
命令をしないまでも、少くとも勧告くらいは当然なすべきであ
つた。これをなさないということは、
鉄道管理局として重大な失態である。これは
近藤船長が出たのと共同の、同じ
責任がある。これは法律上の問題になりますが、私はそう感ずるのであります。そこで思いますことは、むろん
船長に航海安全のための全
責任を負わぜなければならぬということは当然のことでございますが、しかしこれは国有
鉄道の一部分をなす
函館、
青森間の運航の問題でございますし、しかも公社員たる
船長でもあるので、この点は
警戒態勢あるいは職務
規程等によ
つて今後十分改善を加えなければならぬし、従来でもそうやるべきであ
つたのでございますが、
船長と
青函局が協力して間違いのないような、そういう行政機構をつく
つておかなければならなか
つた、これをつくづく感じて参
つたのであります。とにかく基本的な根本
原因は、
国鉄が
非常時態勢を確立しておかなか
つた、かねての
訓練もない。そこでこれは今後
函館海難審判
理事所あるいは検察庁、裁判所等において、法律的に検討された結果でなければ真相は出て参りませんが、少くとも今日までわれわれが見聞し、あるいは最近に
洞爺丸の船体を調べた結果について新聞の報道するところによれば、貨車甲板のハツチが明いてお
つたり、こわれてお
つたり、あるいはエスケープのドアが締められておらなか
つたり、非常な事故の場合に海水が侵入し得るような
船舶の
状況にあ
つたということを見ますならば——貨車甲板を見ましても、幾つもふたがある。あれを全部締めるということはなかなか容易なことじやないと思う。それを
しけて来てから締め始めたのでは問題にならない。それで
荒天時の
非常時態勢ができてお
つて、
甲種警戒態勢というものが発令になれば、それぞれの水夫がその部署について、
一つも漏れなくふたを締める。あるいは船室にまるい窓があるが、その窓には盲板とかいうふたを締めるそうです。そういうものまで締めるような装置ができておる。そういうものを全部漏れなくやるということは、
警戒に関する十分の
計画と
態勢ができていなければできない相談でございます。こういう観点から、
国鉄当局の
警戒態勢ができていない。またそのときに具体的に発令もされなか
つたということが、全体に通ずる
原因であり、重大な
責任があるということを私は感ぜざるを得ないのでございます。なお
出港に関しても、以上のようにこれは当然指示するか、少くとも勧告をしてやめさせるという処置をとるべきではなか
つたか、かように感ずるのでございます。
次にこの
船舶の構造の問題をお尋ねしたい。これは
船舶局なり
船舶検査官にお尋ねしたいのでございまするが、現在
使つております
青函連絡船は、大体七百トン台の重量トンを持
つておる。ところが実際は四千数百トンということにな
つておる。そのために、貨車甲板をおおうておるところの鉄板などを少くしたり、いろいろ手抜きをしておる。そのために
荒天時等においてはあの
青函連絡船は非常に危険である。それは占領時代、
船舶を五千トンか四千トンで押えられて、それ以上の船がつくれない。そこで四、五千トンということにしておいて、実質上は七千トン、八千トンという内容を持
つた船舶を建造した。これがこの貨車航送船の実情であ
つて、この船体の構造の欠陥が今回の転覆を引起したのではないか、こういう考えを持
つた船長もいるのでありますが、
船舶局としては、この
青函連絡船の構造に関して今の点はどうお考えか、ひ
とつお答えを願いたい。