○
岡田(五)
委員 私の言葉がまずか
つたせいかしれませんが、私の聞かんとするところと多少違
つたところへ御答弁をいただいたようでございます。私のお聞きいたした本旨は、この
死体を前にして、
負傷者を前にして、また
遺族を前にして、どういうお感じをお持ちにな
つたか。私はおそらく
大臣は、これらの
遺族の
方々、これらの
死体といいますか、乗客の親戚、知人、あるいは
負傷者の療養後の安否、あるいは
死体の問題というようなことがまず頭に浮び、またその先にえらいことをしでかしたという感じがぴりつと来ただろうと思う。次に起
つたのが、この
死体を前にされて、これらに対しては最大級の
弔意を表し、これらの
遺族に対しては最大級の慰安を捧げたい、こういう
気持が起
つたと私は御推察申し上げておるのであります。と申しますのは、実は私個人のことを申し上げてはなはだ僣越で申訳ないのでございますが、私は長く鉄道に勤めておりまして、札幌に勤務いたしておりました。その間、終戦直前におきましては、私の
責任下におきまして
連絡船が何隻空襲によ
つて沈められたか。また暴風雪のために青森港外で沈没いたした船から、
死体を百数名収容いたしたこともございます。また空襲下で沈没いたしました
連絡船から、
死体を数百収容した経験もある。かような経験からいたしまして、その当時私が感じました感じを、同じく
大臣が感ぜられたのではないか。こういう個人的な、幸か不幸か、私の経験からいたしましてお聞きいたしたのでございます。かようなことは
大臣といえ
ども、私以上にこういう問題につきましてはお感じにな
つたことだろうと思いますし、あえてこれ以上追究はいたしません。ただ私はちよつと遺憾に思いますといえば少し言い過ぎかもしれませんが、これまた
新聞報道でございまして、あるいは正確であるか、
大臣の真意であるかどうかわかりませんが、今度の問題について中央において対策
委員会というようなものは設ける必要はないだろうというようなことを、これはもう東京へお帰りになる前にすでに
新聞で発表なす
つたのか、
新聞記事がか
つてとい
つては報道機関に申訳ありませんが、推察して書いたのかどうか知りませんが、どうしてそういう
気持が起
つたか、私はむしろ今度の
事件は国内的な、一
国鉄の事故だと見るところに非常にこの感覚が狭いと思う。先ほど
山口丈太郎君が言
つておりましたが、青函
連絡船でおそらくこんな事故を起した例はないと思う。ことに一時間数十分のうちに、その出帆した港内において沈んでしま
つた。なるほどタイタニツクの
事件がありましたが、私はもう昔のことで忘れましたが、氷山にぶつか
つて沈んだということであります。
連絡船でこんな大きな事故を起したということはない。この四つの島はわれわれの生活の根拠なんです。四つの島それぞれがわれわれの、経済の最も重要な部分である。これをつなぐものはみんな
連絡船で、関門間だけが隧道でつながれておる。こういうような島国で、
連絡船の最も重要なこの国柄からいたしまして、あの事故を起し、しかも世界に第二の事故であ
つたというようなことから考えまして、また世界の海難史上から見ましても、おそらく私は例がないと思う、おそらく世界の海運国
——英国にいたしましても、アメリカにいたしましても、その他の国々にいたしましても、この海難の事故の
原因はいずこにあ
つたりや、この旅客の扱いはどうであ
つたかということは、世界海運国の注視の的であると考える。これの結果の判明、結果の
処置というようなものは、おそらく永久に不幸たる歴史として、
石井運輸大臣の名前も残りましようし、長崎
総裁の名前も残されると私は考える。かように国内的に国際的に重要な問題を
——なるほど
国鉄の事故でございますので、
国鉄が対策について主体性を持つということは理の当然でございまするが、もつともつと大きな視野で、この事故の重大性と意義のあることを考えられて、もつと真剣にとい
つては失礼でございまするが、もつともつとお考えにならないかということです。なるほどトンネルもけつこうですが、
北海道との間にトンネルをするならば、四国との間もまたトンネルをしなければならぬ。これはどの島島を
とつつかまえましても重要な問題であると私は考える。かような
意味から行きましても、
国鉄が主体性を持つにいたしましても、
政府が
協力的な
態勢をとらなければならないと考える。なるほど中央対策
委員会というようなものを設けられても、
国鉄が中心にな
つてやられるということは当然だと思うのでありますが、この機構の点において、
関係各省の
協力の点において、やはり組織を考え、そういう意気込みでこの事故を考えられるのが当然じやないか、かように私は考える。ことに
北海道と本州との間は、これから風浪の高くなる時節である。乗客にして一片の不安を持
つて、あの
連絡船に乗るような
状態に置くことはできません。日航の飛行機が一日や二日あるいは一箇月欠航いたしましても問題ない。もしあの
連絡船の乗客にして不安を持
つて一人も乗らないならば、あるいは乗る人が非常に少いということにな
つたならば、私は有形、無形に
日本の経済に及ぼすことが非常に大きいと考える。かようなことを考え及びますと、もつともつと
政府全体がこの問題の重大性を認識されまして、対策を講ぜられることが必要だと、個人的な意見ではあるかもしれませんが、考える。かような前提をなす私は、現場視察をされた
運輸大臣が、この
死体その他のものを見られて、同様に感ぜられたかということを聞き合せたのでございます。昨日いろいろと
閣議をお開きになりまして、数時間にわた
つて熟議をこらされたようでありますが、
補償金の問題とか、
死体安置の問題とか、いろいろな問題もありましようが、これに向う体勢について話題に上
つたのかどうか。また
運輸大臣は敏腕なる
運輸大臣でありますので、おれにまかせておけ、あるいは
国鉄総裁は非常に手腕のある人でありますから、これは
国鉄にまかせておけば大丈夫だということで、個人の力を信頼してそうなさいましたのかどうか。その辺の事情をお漏らし願えるものならば、お漏らし願いたい。なるほど
閣議の
内容の話でございますので、ときにより手柄によ
つては、こういう席上ではお漏らしできないこともあろうかと思いますが、お漏らしできるものならその辺の状況をお漏らしいただきたいと考えます。