○石井国務大臣
政府の
考えておりますことは、先ごろから
ちよく新聞にも出ておりましたから、大体の筋は御承知だと思うのでございますが、船を急いでつくれという声が先ごろから上つておりましたのは、
造船所並びにその職員
たちでありまして、銀行方面は前にも申し上げましたように、昨年の暮れごろまでは、担保を少しふやしてくれ、それから自分
たちの融資の額が三割のものを減らしてくれということでありましたが、
造船疑獄というようなものだけではないのでありますが、そういう声におびえたのもあり、また実際上の問題といたしまして、緊縮
予算、金融引締めという問題のために、銀行は金を貸すことがだんだん困難に
なつて来ているというようなこと等で、二月の末ごろ衆議院の方も
予算の見通しがついて、財政資金の額も大よそきま
つたのであるから、十次
造船をどうやつてやるかという問題のとき、金融方面の諸君に会つて聞きましたときは、われわれの方から金を出すのは今度はかんべんしてくれというそのころからの声が、今日までなお続いているわけでございます。船主側になる者はどうかと申しますと、みんな様子見というような形で、その中には時がだんだんたてば
造船所が困つて
値段が安く
なつなつて、安くこしらえられるのじやないかというような、そろばんをはじいたような
考えの人もあるように思うのでありますが、それだけでもなく、何となく立ち上りがにぶいのであります。昨年度の
造船のころは、銀行もしぶしぶながらではありましたが、やろうということであり、船主もそうであり、
造船所はもちろんのことであつたわけでありますが、ことしは
造船所以外が今申したような
状態で続いて参りました。しかし私
どもとしては船をこしらえなければならぬ。
日本の海運国策という点から見ましても、三十万トンはだめでも、二十万トンに近いものをぜも何とかしてこしらえたいということで、いろいろ今日まで折衝を続けて来たわけでございます。全額
政府出資という話がよく出ます。それからその
意味で
政府がストツク・ボード式にやつて貸したらいいじやないか。これは一方には法律をかえなくちやならぬ問題があると思いますが、かりに法律がかわつて
造船をするという場合に、財政資金の高がきまつておりますので、
造船量が三割なら三割だけ減るわけであります。そうすると、そうでなくてさえ財政資金が減つて
造船の量が少くなるのに、さらにまた減るということは、
造船所としても非常に苦しいことでありましようし、また私
ども日本の海運国策から見まして、一ぱいでも、二はいでも、できるだけ多くの船をこしらえたいというのが願いでありますので、何とか
政府の資金を七割見当にとめて、自己資金、あるいは市中から借りるなり、自分がどうかしてほかでこしらえられるなりして、それで
造船量を増してもらいたいということに、私
どもがいつもになく苦労をしなくちやならぬわけであります。その
意味におきまして、いろいろ折衝をやり、先ごろからまた
造船所の諸君の言うところも聞き、それから船主側の方からも聞き、おもな船主十軒あまりも
一つ一つ呼んで、その基本になる金融
業者が要望し、また
政府としても当然国民の声として要望いたさなければならぬと思います海運
業者、またその経営方法の整理統合、自粛というような点についてのいろいろな問題を話し合つて、意見も聞き、私
どももそれに意見を加えて話をいたしまして、大体の向方は、まず船会社にいたしますと、オペレーターの間に各航路のできるだけの
話合いをつけて利益を上げて、むだな競争による損失を少くするという線がだんだん出かかつているのは事実でございます。そういう情勢、それからそれを基礎にして十次
造船をやるといたしまして、市中からどれだけ金を出せるだろうかということになると、見方がさまざまあるのでございます。それは今すぐ急いでやるということだけ
考えますれば、
政府でどんどんやつてしまつて、あとはこれだけ金がなく
なつてしま
つたのだから、もう
造船はできないのだといつて別問題にすることが、一番簡単に十次
造船にかかれるわけであります。法律の改正はありますが、これは別として、そういうことになるのであります。私は何とかして
政府資金を七割で、民間からあと出せぬかというと、私の今まで船会社の諸君に会つていろいろ聞いており、金融
業者諸君に個々に当つて聞いた心持では、全部そう行けるかどうかわかるませんが七割、三割の線、あるいはそれを多少修正するような線でやれるじやないか。これらのところが実際上の問題でございます。筋は
政府の資金と民間の資金というもので
造船をやつて行きたい。きようの新聞を見ますと、金融
業者がびた一文も出せぬというふうな
意味に書いたものもありますが、さつきから申しますように、これは本年に入りまして初めからずつと言うておられることである。集まるといつもその声になる。しかし個々になりますと、船会社との
関係、
造船所との
関係等々から
考えまして、必ずしも一文も出さないという心持でないところが多いように思うのでございます。ここらが話の最後点として多少残つておりますが、
大蔵省方面に私の方でもいろいろ話をいたしております。私
どもといたしましては、
政府でこの間
関係の閣僚だけで集まつたとき私の出しました
一つの草案と申しますか、それはまず担保力の問題がいつも問題になる。担保力をつける。それには開銀の二十九年度の船に貸し付けるのを本船担保だけにしてもらう。そしてそこに余力のできたものを、一般の方にまわしてもらうということが
一つの点でございます。この点は担保力が少し増すのだということで銀行の諸君もこれはのめるが、これよりほかに何も加えるものがないという批評が新聞等に出ておるようであります。それから、七、三の問題については、
政府でおやりなさい、自分
たちは金がないということを言つておるようでありますが、これは今申し上げましたように前から言つておられることでありまして、私
どもは個々に話のできる余地があると思うのでございます。それで今度は
造船を申し込むのに整備統合という線に近づく
一つの問題にもなるわけでございます。それから担保力を増すということにもなると思うのでございます。それから経営の合理化の線にも沿うと思うのでありまして、どこも一律にやるかどうか、まだはつきりきめてありませんが、今までは、かりに二社、三社で申し込んで来た場合には、こういうところは一個々々の会社が資力、信用が薄いのだという見方がとられておりまして、そういうところはあとまわしになる傾向があります。私は今度はこういうものをよけい尊重したらどうだこういうふうに思うております。そうせぬでもいいような大きな会社で、信用のある、担保力のあるところは別でありますけれ
ども、Aクラスでなく、Aダツシユくらいなところに行きますれば、そういうようなやり方をとりますと、将来はそういう会社同士が合同をするとか、共同経営をするという線に導くこともできると思いますので、なるべくその共同申込みということをやらしてみたらどうであるか。但しこれは弱小のものが集まつて力を得て行く。
政府の今までの行き方は、いろいろ苦労しながらも総花的であつたというようなこともいわれ、それをそうでないと言えない事実もあると思うのでございます。そこで今度は
運輸省といたしましては、航路の問題等を中心に
考え、もうこれ以上航路に新しい船をふやす必要はない。また高速にかえる必要もないということもあり得ると思うのであります。そういたしますると、なるべくトランパーを――要するに中速船と申しますか、
値段の安くて回数が多くできるような方法を講じたらどうであろうか、そういうような方面は世界的にも相当需要があり、そろばんも立つようであります。そこでそういう方面の船を少しこしらえてみたらどうだということ等を
考えておるようなわけでございます。進行はとどまつておるわけではないのでございまして、できれば来週にでも
造船合理化審議会等の議にもかけるというようなことをやつて、少くとも五月中には応募の線が出て来る。そして早く
造船にかかれるような――さつき申し落しましたが、去年みたいに期間をきめまして、そこに一ぱい全部申し込んで来て、それで全部こしらえるというような行き方でなしに、今度は資格のそろつたものから順次認めるということにすれば、全部そろわぬでも決定ができ、そうして
造船にかかれる。なるべく早く
造船にかかれるのにはどうしたらよいのかということで、そういうふうな案も
考えておるわけでございます。大体進行の
状況はそういうわけでございます。なお金融
業者の方面には、本日から個々にいろいろ御
相談をいたしまして、近く今申しました市中の応援のおよその見当を出したい、そういうふうに思つておるわけでございます。